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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240401BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B41J2/175 153
B41J2/17 203
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020105336
(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公開番号】P2021194900
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 孝明
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-171742(JP,A)
【文献】特開2002-029065(JP,A)
【文献】特開2008-062430(JP,A)
【文献】特開2003-266724(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0142150(US,A1)
【文献】中国実用新案第201645996(CN,U)
【文献】特開平03-295665(JP,A)
【文献】特開2005-153523(JP,A)
【文献】特開2016-010887(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留可能であり、貯留する液体を導入可能な導入部を備えた液体貯留部と、
液体を流通可能であり、前記導入部との摺動を伴って接続および接続の解除が可能な流路部と、
前記流路部と前記導入部とが接続される接続部と、
を備えた液体吐出装置であって、
前記接続部には、前記液体貯留部と連通する流路が大気と連通する大気連通部が設けられていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記大気連通部は、前記流路部に設けられている請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記大気連通部には、空気を透過し液体を透過しない機能部材が設けられている請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記大気連通部は、前記流路部に開口が設けられた大気連通口であり、
前記大気連通口の開口面積は、前記流路部の内径の断面積以上である請求項2または3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記大気連通部は、前記導入部に設けられている請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記大気連通部は、重力方向と反対方向に開口している大気連通口である請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記大気連通部は、溝である請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記大気連通部には、空気を透過し液体を透過しない機能部材が設けられている請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記大気連通部は、前記流路部と、前記導入部と、に設けられている請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記流路部に設けられた前記大気連通部は、U字型である請求項9に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換可能に設けられた液体を貯留する液体貯留部を備えた液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体吐出装置に関して、廃液貯留部の交換時に廃液流路部材の容積を増大させて負圧を発生させることで廃液流路からインクを垂れ落ちさせない技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-114624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載されている構成は、廃液流路と廃液貯留部とが接続されていない構成であり、廃液流路と廃液貯留部とが接続された構成に適用することはできない。
【0005】
廃液流路と廃液貯留部とがチューブ等で接続された構成において、廃液貯留部の交換時に廃液貯留部からチューブを引き抜く際に、接続部の内部において負圧が発生する。このように負圧が生じた状態で接続が解除されると、負圧の影響により、廃液貯留部およびチューブから廃液が引き出されて、垂れ落ちや飛散りが生じるという課題がある。
【0006】
よって本発明は、液体の垂れ落ちや飛散りが生じることを抑制することができる液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため本発明の液体吐出装置は、液体を貯留可能であり、貯留する液体を導入可能な導入部を備えた液体貯留部と、液体を流通可能であり、前記導入部との摺動を伴って接続および接続の解除が可能な流路部と、前記流路部と前記導入部とが接続される接続部と、
を備えた液体吐出装置であって、前記接続部には、前記液体貯留部と連通する流路が、大気と連通する大気連通部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液体の垂れ落ちや飛散りが生じることを抑制することができる液体吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】液体吐出装置を示した外観斜視図である。
図2】液体吐出装置の内部が分かるように示した側面図である。
図3】インク貯留部と、プリントヘッドと、メンテナンス部とを示した図である。
図4】廃液貯留部とチューブとが接続された接続部を示した図である。
図5】接続部を示した図である。
図6】接続部を示した図である。
図7】接続部を示した図である。
図8】接続部を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、本発明を適用可能な液体吐出装置10を示した外観斜視図である。液体吐出装置10は、紙など印刷媒体を投入する印刷媒体投入部11と、印刷物を排出する印刷物排出部12と、印刷するための液体(以下、インクともいう)を貯留するインク貯留部13と、を備えている。更に液体吐出装置10は、印刷操作を行うための操作パネル部14と、プリントヘッドをメンテナンスするメンテナンス部15と、を備えている。
【0012】
図2は、液体吐出装置10の内部が分かるように示した側面図である。液体吐出装置10の印刷部分は、カセット24と、給紙ローラー25と、位置決めローラー27と、プリントヘッド23と、インクチューブ22と、インク貯留部13とを備えている。カセット24は、印刷媒体としての用紙を積層した状態で複数枚保持するいわゆる箱の入れ物である。カセット24は液体吐出装置10の本体から水平に出し入れできるスライド機構を有しており、用紙をセットする際はカセット24を引き出し、用紙をセットした後はカセット24を押し入れる。またカセット24は、A4サイズ、はがきサイズなど、異なる用紙サイズにも対応しており、各用紙をセンタリングができるように、カセット24の内側に可動式のガイドが幅方向と奥行き方向の2か所に設置されている。
【0013】
給紙ローラー25は、カセット24に保持された記録用紙を1枚ずつピックアップするように速度調整されて回転する。用紙との接触面には、いわゆる象肌といわれる波模様の形状が施されたゴムが巻き付けられている。位置決めローラー27は、プリントヘッド23と用紙との距離を一定範囲内となるように、位置決めローラー27の表面と用紙との摩擦で高精度に用紙を搬送する。位置決めローラー27の表面は、例えばセラミック粒子を含ませた塗料で覆われている。
【0014】
プリントヘッド23は、不図示のPCなどから文書もしくは画像データを受信し、用紙送りと直交する幅方向に可動しながらインクを高精度に噴射して用紙に印刷を行う。インクチューブ22は、可動するプリントヘッド23と液体吐出装置10本体に固定されているインク貯留部13とを各色で個別に接続する。インク貯留部13は、各色を個別に貯留できるように仕切られており、各色個別に不図示のインクボトルでインク貯留部13へインクを補充する。
【0015】
図3は、液体吐出装置10におけるインク貯留部13と、プリントヘッド23と、メンテナンス部15とを示した図である。液体吐出装置10は、プリントヘッド23の中のインクを吸引することで、プリントヘッド23の吐出状態を回復するメンテナンス部15を備えている。メンテナンス部15は、可動部31と、可動部31を上下方向に移動させるカム機構33と、ポンプ34と、可動部31に設けられるキャップ30と、液体を流通可能なチューブ32とを備えている。キャップ30及びチューブ32は、プリントヘッド23から排出されたインクが流通する流路部材の一例である。キャップ30は、ゴム等の弾性材料からなり、プリントヘッド23が可動部31の上方に位置しているときに、上下方向においてプリントヘッド23の下面と対向する位置に配置されている。
【0016】
カム機構33は、モータ35からの駆動力が伝達されることで、可動部31を上下方向に移動させる。キャップ30は、可動部31が上方へ移動するとプリントヘッド23の下面に当接し、可動部31が下方へ移動するとプリントヘッド23の下面と離間する。キャップ30は、プリントヘッド23の下面に当接した際に、各色のインクを吐出するノズル38の列の開口部を覆うように構成されている。キャップ30がプリントヘッド23の下面に当接しているときには、キャップ30とプリントヘッド23の下面とで囲まれた空間は略密閉空間となっている。
【0017】
キャップ30には、チューブ32の一端部32bが接続されている。チューブ32は、例えば可撓性を有する樹脂部材にて構成されている。ポンプ34は、モータ35からの駆動力により動作するロータリー式のチューブポンプである。ポンプ34は、チューブ32を通じて、キャップ30がプリントヘッド23の下面に当接した際の、キャップ30とプリントヘッド23の下面とで囲まれた密閉空間に連通している。キャップ30がプリントヘッド23の下面に当接してノズル38の開口部を覆った状態において、ポンプ34が駆動されると、キャップ30内の密閉空間が負圧となり、各ノズル38からインクが排出される。各ノズル38から排出されたインクは、キャップ30に受容される。キャップ30に受容されたインクは、ポンプ34によりチューブ32内を他端部32a側へ向けて送出され、他端部32aを介して、廃液を貯留可能な廃液貯留部37へ流し込む。
【0018】
液体吐出装置10は、カム機構33及びポンプ34等を駆動するモータ35の動作を制御する制御部36を備えている。
【0019】
図4(a)は、廃液貯留部37とチューブ32とが接続された接続部41を示した図であり、図4(b)は、接続部41の拡大図である。液体貯留部である廃液貯留部37は、チューブ32の端部32aと接続されており、チューブ内を流れたインクは、廃液貯留部37内に収容されている吸収体40に吸収される。また、廃液貯留部37は、上面において大気連通している。廃液貯留部37において貯留している廃液が所定量を超えた場合、廃液貯留部37からチューブ32を引き抜き、引き抜いたチューブ32をインクが貯留されていない廃液貯留部37と接続する。
【0020】
本実施形態における液体吐出装置10は、接続部41に流路内と大気とを連通させる大気連通口を備えている。
【0021】
図5(a)から(c)は、本実施形態における接続部41を示した図である。廃液貯留部37には、チューブ32の端部32aとの連結を可能にし、廃液貯留部37に廃液を導入可能な導入部である導入口37aが設けられている。図5(a)は、端部32aと導入口37aとが完全に接続された状態を示している。接続部41の端部32aには、大気と連通する大気連通部である大気連通口51と、その大気連通口51を覆う機能部材52とが設けられている。図5(a)のように、端部32aと導入口37aとが完全に接続された状態では、大気連通口51は導入口37aで塞がれており、チューブ32内は大気とは連通していない。液体吐出装置10の通常の稼働時は、図5(a)の状態で稼働する。このときのチューブ32の流路内と導入口37aとは廃液50で満たされている。
【0022】
図5(b)は、廃液貯留部37からチューブ32を引き抜く途中の状態を示している。廃液貯留部37とチューブ32との接続を解除するには、廃液貯留部37からチューブ32を引き抜く摺動動作を伴って行われる。廃液貯留部37を交換するにあたり、廃液貯留部37からチューブ32の引き抜きを開始すると、図5(b)のように、大気連通口51が開きチューブ32内と大気とが連通する。ここで、機能部材52は、水を不透過として空気のみを透過させる部材である。そのため、チューブ32内が大気と連通しても、大気連通口51からインクが漏れ出すことはない。
【0023】
廃液貯留部37からチューブ32が引き抜かれる際、チューブ32の端部32aが導入口37aに対して移動した分だけ、チューブ32内の流路における容積は増え、流路内は減圧される。流路内の減圧に伴い、開いた大気連通口51から容積変化分の空気が流入し流路内の負圧が解消される。このように流路内の負圧は時間の経過を伴って解消されるため、導入口37aから廃液50が流路に引き出されることはない。
【0024】
図5(c)は、図5(b)の状態から更にチューブ32を引き抜いた状態を示しており、接続解除の直前の状態である。更にチューブ32が引き抜かれた状態で、チューブ32内の流路における容積は更に増えるが、大気連通口51から容積変化分の空気が流入することから、時間の経過を伴って流路内の負圧状態は解消される。このようにして、廃液貯留部37に貯留されている廃液50を引き出すことなくチューブ32を引き抜くことができる。また、大気連通口51から垂れ落ちようとするチューブ内の廃液50は、機能部材52によって垂れ落ちることが抑制される。
【0025】
負圧を解消するのに要する時間は、大気連通口51の開口面積と機能部材52の気体透過度によって決まる。機能部材52を多孔質ポリテトラフルオロエチレンとした場合、ガーレ透過時間は13sec/cm3程度である。透過度は、透過する体積をH、透過圧をP(内外の圧力差)、透過面積をS、透過時間をQとすると透過度=H/(P×S×Q)から与えられる。この機能部材52の透過度は、ガーレ透過時間から、透過度=100cm3/(1.22kPa×6.42cm2×13sec)≒1.0となる。
【0026】
図5(c)のように機能部材52から空気が透過し、流路内の廃液をすべて空気に置き換わる時間Q1を求める。チューブ32aの内径の断面積をS1、大気連通口51の開口面積をS2、導入口37aとチューブ32aの連結の長さをh、容積変化による圧力をP’とする。このとき、連結部がすべて空気に置き換わる時間は、Q1=S1×h/(P’×S2)となる。
流路内の容積変化による圧力P’を0.2気圧とし、時間Q1を1sec以下になるような大気連通口51の開口面積を求めると、S2≧5×h×S1となる。大気連通口51の開口面積は、チューブ32aの内径の断面積以上であることが求められる。連結部の長さは通常0.6cm程度なので、チューブ32aの断面積の3倍の大気連通口51の面積を確保することで流路内の負圧を相殺する時間を1sec以下にでき、効果的に使用することができる。
【0027】
このように、廃液貯留部37とチューブ32との接続部に大気連通口を設ける。これによって、液体の垂れ落ちや飛散りが生じることを抑制することができる液体吐出装置を提供することができる。
【0028】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成について説明する。
【0029】
図6(a)から(c)は、本実施形態における接続部42を示した図である。図6(a)は、端部32aと導入口37aとが完全に接続された状態を示している。接続部42における導入口37aには、大気と連通する大気連通口61が設けられている。図6(a)のように、端部32aと導入口37aとが完全に接続された状態では、大気連通口61は、チューブ32の端部32aで塞がれており、導入口37aおよびチューブ32内は大気とは連通していない。液体吐出装置10の通常の稼働時は、図6(a)の状態で稼働する。このときのチューブ32の流路内と導入口37aとは廃液50で満たされている。
【0030】
図6(b)は、廃液貯留部37からチューブ32を引き抜く途中の状態を示している。廃液貯留部37を交換するにあたり、廃液貯留部37からチューブ32の引き抜きを開始すると、図6(b)のように、大気連通口61が開き導入口37a内と大気とが連通する。大気連通口61は、導入口37aにおける重力方向と反対方向に設けられているため、導入口37a内が大気と連通しても、大気連通口61からインクが漏れ出すことはない。
【0031】
廃液貯留部37からチューブ32が引き抜かれる際、チューブ32の端部32aが導入口37aに対して移動した分だけ、チューブ32内の流路における容積は増え、流路内は減圧される。流路内の減圧に伴い、開いた大気連通口61から容積変化分の空気が流入し流路内の負圧が解消される。このように流路内の負圧は時間の経過を伴って解消されるため、導入口37aから廃液50が流路に引き出されることはない。
【0032】
図6(c)は、図6(b)の状態から更にチューブ32を引き抜いた状態を示しており、接続解除の直前の状態である。更にチューブ32が引き抜かれた状態で、導入口37a内の流路における容積は更に増えるが、大気連通口61から容積変化分の空気が流入することから流路内の時間の経過を伴って負圧状態は解消される。このようにして、廃液貯留部37に貯留されている廃液50を引き出すことなくチューブ32を引き抜くことができる。よってチューブ32と廃液貯留部37との接続が解除されても、チューブ32の端部32aや導入口37aからインクが垂れ落ちることを抑制することができる。
【0033】
なお、大気連通口61を設ける位置や、端部32aが導入口37aを移動する量については、以下のようにする必要がある。つまり、図6(d)のように、端部32aが導入口37aの端部にきた状態で、導入口37aの開口部37bに廃液50が残らないように、大気連通口61の位置を設定する必要がある。大気連通口61から導入口37aの開口部37bまでの距離が長い場合には、端部32aが導入口37aの端部にきた状態で、図6(d)のように開口部37bに廃液50が残ることがある。そのため、端部32aが導入口37aの端部にきた状態で、開口部37bに廃液50が残らないように大気連通口61の位置を設定する必要がある。
【0034】
なお、導入口37aにおける大気連通口61の位置を設定するにあたり、図7(a)、(b)のようにチューブ32の端部32aにU字型の大気連通口61aを設けてもよい。
【0035】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成について説明する。
【0036】
図8(a)から(c)は、本実施形態における接続部43を示した図である。図8(a)は、端部32aと導入口37aとが完全に接続された状態を示している。導入口37aには、大気と連通するための溝71が設けられており、溝71の一部には機能部材52が接着されている。図8(a)のように、端部32aと導入口37aとが完全に接続された状態では、チューブ32における流路内と流路外は遮断されている。液体吐出装置10の通常の稼働時は、図8(a)の状態で稼働する。このときのチューブ32の流路内と導入口37aとは廃液50で満たされている。
【0037】
図8(b)は、廃液貯留部37からチューブ32を引き抜く途中の状態を示している。廃液貯留部37を交換するにあたり、廃液貯留部37からチューブ32の引き抜きを開始すると、図8(b)のように、溝71によってチューブ32内と大気とが連通する。ここで、機能部材52は、水を不透過として空気のみを透過させる部材である。そのため、チューブ32内が大気と連通しても、溝71からインクが漏れ出すことはない。
【0038】
廃液貯留部37からチューブ32が引き抜かれる際、チューブ32の端部32aが導入口37aに対して移動した分だけ、チューブ32内の流路における容積は増え、流路内は減圧される。流路内の減圧に伴い、溝71から容積変化分の空気が流入し流路内の負圧が解消される。このように流路内の負圧は時間の経過を伴って解消されるため、導入口37aから廃液50が流路に引き出されることはない。
【0039】
図8(c)は、図8(b)の状態から更にチューブ32を引き抜いた状態を示しており、接続解除の直前の状態である。更にチューブ32が引き抜かれた状態で、チューブ32内の流路における容積は更に増えるが、溝71から容積変化分の空気が流入することから時間の経過を伴って流路内の負圧状態は解消される。このようにして、廃液貯留部37に貯留されている廃液50を引き出すことなくチューブ32を引き抜くことができる。また、溝71から垂れ落ちようとするチューブ内の廃液50は、機能部材52によって垂れ落ちることが抑制される。
【符号の説明】
【0040】
10 液体吐出装置
32 チューブ
37 廃液貯留部
37a 導入口
50 廃液
51 大気連通口
61 大気連通口
71 溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8