(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】車両用前照灯
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/12 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
B60Q1/12 100
(21)【出願番号】P 2020108071
(22)【出願日】2020-06-23
【審査請求日】2023-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100143764
【氏名又は名称】森村 靖男
(72)【発明者】
【氏名】宇賀神 佑太
【審査官】當間 庸裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-056704(JP,A)
【文献】特開2006-001393(JP,A)
【文献】特開2013-010491(JP,A)
【文献】特開2019-121520(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0218946(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の配光パターンを形成する光を出射する発光ユニットと、
車両の左右方向において右側及び左側のそれぞれに位置するターンランプのいずれか一方の点滅または前記ターンランプのそれぞれの消灯に応じて前記発光ユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記配光パターンは、
前記車両の前記左右方向において前記右側に位置する第1領域と、
前記車両の前記左右方向において前記左側に位置する第2領域と、
前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通る第3領域と、
前記第1領域の下方に位置する第4領域と、
前記第2領域の下方に位置する第5領域と、
前記第3領域の下方に位置する第6領域と、
を含み、
前記制御部は、前記ターンランプのいずれか一方が点滅している場合において、前記ターンランプのそれぞれが消灯している場合よりも、前記第1領域及び前記第2領域のうちの点滅している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が多くな
り、前記第4領域及び前記第5領域のうちの点滅している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が多くなり、前記第4領域及び前記第5領域のうちの消灯している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が前記第1領域及び前記第2領域のうちの消灯している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量よりも多くなるように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項2】
所定の配光パターンを形成する光を出射する発光ユニットと、
車両の左右方向において右側及び左側のそれぞれに位置するターンランプのいずれか一方の点滅または前記ターンランプのそれぞれの消灯に応じて前記発光ユニットを制御する制御部と、
を備え、
前記配光パターンは、
前記車両の前記左右方向において前記右側に位置する第1領域と、
前記車両の前記左右方向において前記左側に位置する第2領域と、
前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通る第3領域と、
前記第1領域の下方に位置する第4領域と、
前記第2領域の下方に位置する第5領域と、
前記第3領域の下方に位置する第6領域と、
を含み、
前記制御部は、前記ターンランプのいずれか一方が点滅している場合において、前記ターンランプのそれぞれが消灯している場合よりも、前記第1領域及び前記第2領域のうちの点滅している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が多くな
り、前記第4領域及び前記第5領域のうちの点滅している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が多くなり、前記第6領域を形成する光の少なくとも一部の光量が前記第4領域及び前記第5領域のうちの点滅している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量よりも多くなるように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする車両用前照灯。
【請求項3】
前記制御部は、前記ターンランプのいずれか一方が点滅している場合において、前記第1領域及び前記第2領域のうちの点滅している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が前記第3領域を形成する光の少なくとも一部の光量以上となるように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用前照灯。
【請求項4】
前記制御部は、前記ターンランプのいずれか一方が点滅している場合において、前記第4領域及び前記第5領域のうちの消灯している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が前記第1領域及び前記第2領域のうちの消灯している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量よりも多くなるように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする請求項
2に記載の車両用前照灯。
【請求項5】
前記制御部は、前記ターンランプのいずれか一方が点滅している場合において、前記第4領域及び前記第5領域のうちの点滅している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が前記第4領域及び前記第5領域のうちの消灯している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量よりも多くなるように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする請求項
1から4のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
【請求項6】
前記制御部は、前記ターンランプのそれぞれが消灯している場合と前記ターンランプのいずれか一方が点滅している場合とにおいて、前記第6領域を形成する光の少なくとも一部の光量が前記第3領域を形成する光の少なくとも一部の光量よりも少なくなるように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする請求項
1から5のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
【請求項7】
前記制御部は、前記ターンランプのそれぞれが消灯している場合と前記ターンランプのいずれか一方が点滅している場合とにおいて、前記第3領域を形成する光の少なくとも一部の光量が同じとなるように、前記発光ユニットを制御する
ことを特徴とする請求項1から
6のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
【請求項8】
前記配光パターンを形成する光は、ロービームである
ことを特徴とする請求項1から
7のいずれか1項に記載の車両用前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、前照灯の配光を制御する車両用配光制御システムが知られている。このような車両用配光制御システムは、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載される車両用配光制御システムは、左右一対の前照灯と、カメラと、前照灯の配光を制御する制御システムとを備える。一対の前照灯のそれぞれは、車両の前方に左右対称の基本配光パターンを形成するメインランプユニットと、基本配光パターンよりも車両側方に追加配光パターンを形成するサブランプユニットとを備える。制御ユニットは、カメラの映像データに基づいて、サブランプユニットのそれぞれの光出力を個別に制御する。この前照灯では、必要な時に、必要な場所へ、必要な量の光が照射されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載される車両用配光制御システムにおいて、基本配光パターン及び追加配光パターンのそれぞれを形成する光の光量が不足すると、運転者の視認性が低下してしまうことがある。
【0005】
そこで、本発明は、運転者の視認性の低下を抑制し得る車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の車両用前照灯は、所定の配光パターンを形成する光を出射する発光ユニットと、車両の左右方向において右側及び左側のそれぞれに位置するターンランプのいずれか一方の点滅または前記ターンランプのそれぞれの消灯に応じて前記発光ユニットを制御する制御部と、を備え、前記配光パターンは、前記車両の前記左右方向において前記右側に位置する第1領域と、前記車両の前記左右方向において前記左側に位置する第2領域と、前記車両の前記左右方向において前記第1領域と前記第2領域との間に位置する領域であり、前記車両の前記左右方向における前記車両の中心を通り前記車両の前後に延びる直線が通る第3領域と、を含み、前記制御部は、前記ターンランプのいずれか一方が点滅している場合において、前記ターンランプのそれぞれが消灯するよりも前記第1領域及び前記第2領域のうちの点滅している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が多くなるように、前記発光ユニットを制御することを特徴とする。
【0007】
ターンランプのいずれか一方が点滅している場合において、車両は、点滅しているターンランプ側に曲がることとなり得、運転者の視線は第1領域及び第2領域のうちの点滅しているターンランプ側の領域に集中し、運転者は第3領域及び消灯しているターンランプ側の領域に比べて点滅しているターンランプ側の領域に注意を払うことが多い。以上により、ターンランプのいずれか一方が点滅している場合では、点滅しているターンランプ側の領域の明るさの必要性は直進時よりも向上し得る。このため、この車両用前照灯において、ターンランプのいずれか一方が点滅している場合では、ターンランプのそれぞれが消灯している場合よりも点滅しているターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が多い。点滅しているターンランプ側の領域における光量が多いと、当該光量が多くならない場合に比べて、点滅しているターンランプ側の領域が明るくなり得、点滅しているターンランプ側の領域における光量の不足が抑制され得る。従って、点滅しているターンランプ側の領域において、運転者の視認性の低下が抑制され得る。
【0008】
また、前記制御部は、前記ターンランプのいずれか一方が点滅している場合において、前記第1領域及び前記第2領域のうちの点滅している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が前記第3領域を形成する光の少なくとも一部の光量以上となるように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0009】
点滅しているターンランプ側の領域における光量が第3領域における光量以上となると、点滅しているターンランプ側の領域は、第3領域以上に明るくなる。点滅しているターンランプ側の領域が第3領域以上に明るくなると、点滅しているターンランプ側の領域が第3領域以上に明るくならない場合に比べて、運転者は点滅しているターンランプ側の領域に注目し易くなり得る。
【0010】
また、前記配光パターンは、前記第1領域の下方に位置する第4領域と、前記第2領域の下方に位置する第5領域と、前記第3領域の下方に位置する第6領域と、をさらに含み、前記制御部は、前記ターンランプのいずれか一方が点滅している場合において、前記ターンランプのそれぞれが消灯するよりも前記第4領域及び前記第5領域のうちの点滅している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が多くなるように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0011】
ターンランプのいずれか一方が点滅している場合において、運転者の視線は第4領域及び第5領域のうちの点滅しているターンランプ側の領域に集中し、運転者は消灯しているターンランプ側の領域に比べて点滅しているターンランプ側の領域に注意を払うことが多い。以上により、ターンランプのいずれか一方が点滅している場合では、点滅しているターンランプ側の領域の明るさの必要性は直進時よりも向上し得る。このため、この車両用前照灯において、ターンランプのいずれか一方が点滅している場合では、ターンランプのそれぞれが消灯している場合よりも点滅しているターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が多い。点滅しているターンランプ側の領域における光量が多いと、当該光量が多くならない場合に比べて、点滅しているターンランプ側の領域が明るくなり得、点滅しているターンランプ側の領域における光量の不足が抑制され得る。従って、点滅しているターンランプ側の領域において、運転者の視認性の低下が抑制され得る。
【0012】
また、前記制御部は、前記ターンランプのいずれか一方が点滅している場合において、前記第4領域及び前記第5領域のうちの消灯している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が前記第1領域及び前記第2領域のうちの消灯している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量よりも多くなるように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0013】
第4領域及び第5領域のうちの消灯しているターンランプ側の領域は、第1領域及び第2領域のうちの消灯しているターンランプ側の領域よりも車両の進行方向における手前に位置する路面に投影される。このように投影される第4領域及び第5領域のうちの消灯しているターンランプ側の領域は、運転者に安心感を与える観点から、第1領域及び第2領域のうちの消灯しているターンランプ側の領域よりも明るくされることが望まれている。従って、この車両用前照灯において、ターンランプのいずれか一方が点滅している場合、第4領域及び第5領域のうちの消灯しているターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が第1領域及び第2領域のうちの消灯しているターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量よりも多くなる。この場合、第4領域及び第5領域のうちの消灯しているターンランプ側の領域における光量が第1領域及び第2領域のうちの消灯しているターンランプ側の領域における光量よりも多くならない場合に比べて、手前は明るくなり得る。従って、運転者は手前に注目し易くなり得、運転者は安心感を与えられ得る。
【0014】
また、前記制御部は、前記ターンランプのいずれか一方が点滅している場合において、前記第4領域及び前記第5領域のうちの点滅している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が前記第4領域及び前記第5領域のうちの消灯している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量よりも多くなるように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0015】
ターンランプのいずれか一方が点滅している場合において、運転者の視線は第4領域及び第5領域のうちの消灯しているターンランプ側の領域よりも第4領域及び第5領域のうちの点滅しているターンランプ側の領域に集中し、運転者は消灯しているターンランプ側の領域に比べて点滅しているターンランプ側の領域に注意を払うことが多い。以上により、ターンランプのいずれか一方が点滅している場合では、点滅しているターンランプ側の領域の明るさの必要性は消灯しているターンランプ側の領域の明るさの必要性よりも向上し得る。このため、この車両用前照灯において、ターンランプのいずれか一方が点滅している場合では、点滅しているターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量は消灯しているターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量よりも多い。点滅しているターンランプ側の領域における光量が多いと、当該光量が多くならない場合に比べて、点滅しているターンランプ側の領域が明るくなり得、点滅しているターンランプ側の領域における光量の不足が抑制され得る。従って、点滅しているターンランプ側の領域において、運転者の視認性の低下が抑制され得る。
【0016】
また、前記制御部は、前記ターンランプのいずれか一方が点滅している場合において、前記第6領域を形成する光の少なくとも一部の光量が前記第4領域及び前記第5領域のうちの点滅している前記ターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量よりも多くなるように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0017】
配光パターンにおいて、第6領域は車両の走行車線の前方に投影され、第4領域及び第5領域のうちの点滅しているターンランプ側の領域は当該走行車線の隣りの車線に投影され得る。このように投影される第6領域は、運転者に安心感を与える観点から、第4領域及び第5領域のうちの点滅しているターンランプ側の領域よりも明るくされることが望まれている。従って、この車両用前照灯において、ターンランプのいずれか一方が点滅している場合、第6領域を形成する光の少なくとも一部の光量が第4領域及び第5領域のうちの点滅しているターンランプ側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量よりも多くなる。この場合、第6領域における光量が第4領域及び第5領域のうちの点滅しているターンランプ側の領域における光量よりも多くならない場合に比べて、走行車線の前方は明るくなり得る。従って、運転者は手前に注目し易くなり得、運転者は安心感を与えられ得る。
【0018】
また、前記制御部は、前記ターンランプのそれぞれが消灯する場合と前記ターンランプのいずれか一方が点滅している場合とにおいて、前記第6領域を形成する光の少なくとも一部の光量が前記第3領域を形成する光の少なくとも一部の光量よりも少なくなるように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0019】
ターンランプのそれぞれが消灯している場合とターンランプのいずれか一方が点滅している場合とにおいて、第6領域は第3領域よりも車両の進行方向における手前に投影される。車両が進行すると、路面は、第3領域を形成する光を照射された後、第6領域を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第6領域を形成する光よりも前に第3領域を形成する光によって路面を認知し得る。従って、ターンランプのそれぞれが消灯している場合とターンランプのいずれか一方が点滅している場合とにおいて、第6領域の明るさの必要性は第3領域の明るさの必要性に比べて低下し得る。このため、この車両用前照灯において、ターンランプのそれぞれが消灯している場合とターンランプのいずれか一方が点滅している場合とにおいて、第6領域における光量は、第3領域における光量よりも少ない。この場合、第6領域における光量が第3領域における光量よりも少なくならない場合に比べて、第6領域を形成する光を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯によれば、消費電力が低減され得る。
【0020】
また、前記制御部は、前記ターンランプのそれぞれが消灯する場合と前記ターンランプのいずれか一方が点滅している場合とにおいて、前記第3領域を形成する光の少なくとも一部の光量が同じとなるように、前記発光ユニットを制御することが好ましい。
【0021】
ターンランプのそれぞれが消灯している場合とターンランプのいずれか一方が点滅している場合とにおいて、第3領域の明るさは同じとなる。従って、この車両用前照灯では、明るさの変化による運転者の視覚への負担が抑制され得る。また、この車両用前照灯では、制御部は、ターンランプのそれぞれが消灯している場合とターンランプのいずれか一方が点滅している場合とにおいて、発光ユニットに同じ電力を供給すればよい。従って、この車両用前照灯では、明るさが変わる場合に比べて、制御部の負担が軽減され得る。
【0022】
また、前記配光パターンを形成する光は、ロービームであってもよい。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、本発明によれば、運転者の視認性の低下を抑制し得る車両用前照灯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】
図2は、
図1に示す1つの発光ユニットを概略的に示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す配光パターン形成部を概略的に示す正面図である。
【
図4】
図4は、車両用前照灯システムの動作を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、ターンランプのそれぞれが消灯し、車両が直進している場合におけるロービームの配光パターン及びオーバーヘッドサイン光の配光パターンを示す図である。
【
図6】
図6は、直進している車両を車両の上下方向における上側から見る場合の平面図である。
【
図7】
図7は、右側のターンランプが点滅し、車両が右折する場合におけるロービームの配光パターン及びオーバーヘッドサイン光の配光パターンを示す図である。
【
図8】
図8は、右折する車両を車両の上下方向における上側から見る場合の平面図である。
【
図9】
図9は、左側のターンランプが点滅し、車両が左折する場合におけるロービームの配光パターン及びオーバーヘッドサイン光の配光パターンを示す図である。
【
図10】
図10は、左折する車両を車両の上下方向における上側から見る場合の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る車両用前照灯の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下に例示する実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良することができる。また、本発明は、以下に例示する実施形態における構成要素を適宜組み合わせてもよい。なお、理解の容易のため、それぞれの図において一部が誇張して記載される場合等がある。
【0026】
図1は、車両10を概念的に示す平面図である。
図1に示すように、車両10は車両用前照灯システム15を備えており、車両用前照灯システム15は車両用前照灯20及び検出装置100を備える。
【0027】
本実施形態の車両用前照灯20は、自動車用の前照灯とされる。車両用前照灯20は、車両10の前方部位の左右に配置される一対の発光ユニット30と、制御部50と、記録部60とを主に備える。なお、本明細書において「右」とは車両10の進行方向において右側を意味し、「左」とは車両10の進行方向において左側を意味する。
【0028】
一対の発光ユニット30は、車両10の左右方向において互いに概ね対称な形状とされる。本実施形態の一対の発光ユニット30は、ロービーム及びオーバーヘッドサイン光、またはハイビームを車両10の前方に出射する。オーバーヘッドサイン光は、車両10の上下方向においてロービームよりも上方に出射される。一対の発光ユニット30のうちの一方の発光ユニット30aの構成は、形状が概ね対称であることを除いて、一対の発光ユニット30のうちの他方の発光ユニット30bの構成と同じとされる。
【0029】
図2は、
図1に示す一方の発光ユニット30aを概略的に示す側面図である。
図2に示すように、発光ユニット30aは、筐体31と、配光パターン形成部33と、投影レンズ35とを主な構成として備える。なお、
図2において、筐体31及び投影レンズ35は鉛直断面にて示されている。
【0030】
筐体31は、ランプハウジング31a、フロントカバー31b、及びバックカバー31cを主な構成として備える。ランプハウジング31aの前方には開口が形成されており、当該開口を塞ぐようにフロントカバー31bがランプハウジング31aに固定されている。また、ランプハウジング31aの後方には前方の開口よりも小さな開口が形成されており、当該開口を塞ぐようにバックカバー31cがランプハウジング31aに固定されている。
【0031】
ランプハウジング31aとフロントカバー31bとバックカバー31cとによって、密閉された空間としての灯室31dが形成される。この灯室31dには、配光パターン形成部33及び投影レンズ35が収容される。バックカバー31cは、ランプハウジング31aの後方の開口を通じての配光パターン形成部33及び投影レンズ35の交換のために、ランプハウジング31aに対して開閉可能または着脱可能となっている。
【0032】
フロントカバー31bは透光性を有する材料で構成されており、配光パターン形成部33及び投影レンズ35から出射される光はフロントカバー31bを透過する。ランプハウジング31a及びバックカバー31cは、例えば、樹脂で構成される。
【0033】
図3は、
図2に示す配光パターン形成部33を概略的に示す正面図である。
図3に示すように、配光パターン形成部33は、光を出射する複数の発光素子33aと、複数の発光素子33aが実装される回路基板33bとを有する。複数の発光素子33aは、回路基板33bを介して制御部50に電気的に接続される。複数の発光素子33aは、マトリックス状に配置されて上下方向及び左右方向に列を形成し、前方に向かって光を出射する。これら発光素子33aは、出射する光の光量を、発光素子33aに供給される電力によって個別に変更可能とされている。本実施形態では、発光素子33aのそれぞれは、例えば、白色の光を出射するLED(Light Emitting Diode)とされる。従って、配光パターン形成部33はLEDアレイである。また、発光素子33aの数、発光素子33aの列の数、それぞれの発光素子33aの列における発光素子33aの数、発光素子33aが配列される方向、発光素子33aの種類は特に限定されるものではない。
【0034】
このような配光パターン形成部33は、光を出射する発光素子33aを選択することで、大きさ及び形状が変更可能な所定の配光パターンを形成する。また、配光パターン形成部33は、それぞれの発光素子33aから出射する光の光量を独立して調節することで、光量分布が変更可能な配光パターンを形成する。
【0035】
図2に戻り、発光ユニット30aの説明を続ける。発光ユニット30aにおける投影レンズ35は、配光パターン形成部33よりも前方に配置される。投影レンズ35は、入射面及び出射面が凸状に形成されたレンズとされる。投影レンズ35の後方焦点は、配光パターン形成部33におけるいずれかの発光素子33aの光の出射面上またはその近傍に位置している。投影レンズ35は、配光パターン形成部33から出射する光の発散角を調節する。配光パターン形成部33から出射する光は投影レンズ35に入射し、この光の発散角は投影レンズ35によって調節される。当該光は、フロントカバー31bを介して発光ユニット30から車両10の前方へ向けて出射する。
【0036】
【0037】
制御部50は、例えば、マイクロコントローラ、IC(Integrated Circuit)、LSI(Large-scale Integrated Circuit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路やNC(Numerical Control)装置を用いることができる。また、制御部50は、NC装置を用いた場合、機械学習器を用いたものであってもよく、機械学習器を用いないものであってもよい。後述するように、制御部50は、一対の発光ユニット30、及び後述する一対のターンランプ153を制御する。
【0038】
制御部50は、車両10に搭載される図示しないライトスイッチからの制御信号が入力されているか否かを判定する。制御信号は、一対の発光ユニット30からの光の出射の開始を指示する信号である。この光は、例えば、ロービーム及びオーバーヘッドサイン光、またはハイビームである。制御信号が制御部50に入力されている場合には、制御部50は一対の発光ユニット30を駆動させる。制御信号が制御部50に入力されていない場合、制御部50は、一対の発光ユニット30の駆動を停止させる。
【0039】
記録部60は、後述する閾値を記録する。記録部60は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)等の半導体記録媒体が好適であるが、光学式記録媒体や磁気記録媒体等の任意の形式の記録媒体を包含し得る。なお、「非一過性」の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く全てのコンピュータ読み取り可能な記録媒体を含み、揮発性の記録媒体を除外するものではない。
【0040】
検出装置100は、カメラを備える。カメラは、車両10の前方部位に取り付けられ、車両10の前方を撮影する。カメラは、赤外線カメラであってもよい。カメラによって撮影される撮影画像には、一対の発光ユニット30から出射する光が照射される領域の少なくとも一部が含まれる。撮影画像は、制御部50に出力される。
【0041】
検出装置100は、ステアリングセンサをさらに備える。ステアリングセンサは、車両10の電子制御装置を介して制御部50に電気的に接続されても良い。ステアリングセンサは、車両10のステアリングホイールの回転方向及び回転角度を検知するセンサである。ステアリングホイールの回転方向及び回転角度は車両10が曲がる方向及び車両10の操舵角に対応するため、ステアリングセンサは、車両10が曲がる方向及び車両10の操舵角を検知するセンサでもある。車両10が曲がる方向及び車両10の操舵角は車両10の走行状況を示す走行状況情報を示し、走行状況情報は走行情報と理解できる。従って、検出装置100は、車両10の走行情報を検出すると理解できる。検出装置100のステアリングセンサは、刻々と変化し得る走行情報を示す信号を制御部50に随時出力する。
【0042】
また、車両用前照灯システム15は、ターンスイッチ151と、左右一対のターンランプ153とをさらに備える。ターンスイッチ151は、車両10の電子制御装置を介して制御部50に電気的に接続されても良い。ターンスイッチ151は、車両10の右側のターンランプ153の点滅と、左側のターンランプ153の点滅と、右側のターンランプ153及び左側のターンランプ153の両方の消灯とのいずれかを選択するスイッチである。ターンスイッチ151が右側のターンランプ153の点滅を選択した場合には、ターンスイッチ151は右側のターンランプ153を点滅させるための指示を示す信号を制御部50に出力する。また、ターンスイッチ151が左側のターンランプ153の点滅を選択した場合には、ターンスイッチ151は左側のターンランプ153を点滅させるための指示を示す信号を制御部50に出力する。このように、ターンスイッチ151は、選択に応じて、制御部50に出力する信号を変化させる。制御部50は、当該信号に応じて右側のターンランプ153または左側のターンランプ153に電力を供給し、電力を供給したターンランプ153を点滅させる。ターンランプ153は、ターンランプ153の点滅によって、例えば交差点における車両10の右折、または左折といった車両10の進路変更を車両10の周囲に表示する。なお、ターンスイッチ151が右側のターンランプ153及び左側のターンランプ153の消灯を選択した場合、ターンスイッチ151は信号を制御部50に出力しない。信号が制御部50に入力されないと、制御部50は、右側のターンランプ153及び左側のターンランプ153に電力を供給せず、右側のターンランプ153及び左側のターンランプ153を消灯させる。また、制御部50は、右側のターンランプ153及び左側のターンランプ153のいずれか一方の点滅、または右側のターンランプ153及び左側のターンランプ153の消灯に応じて後述するように一対の発光ユニット30を制御し、後述するように配光パターンにおける光量分布を調節する。
【0043】
なお、ターンスイッチ151は、初期状態として、右側のターンランプ153及び左側のターンランプ153の両方の消灯を選択している。車両10が右折、または左折する場合に、ターンスイッチ151は、運転者の操作によって、右側のターンランプ153または左側のターンランプ153の点滅を選択する。ここで、車両10が直進している場合、車両10の操舵角は概ね0度となり、この0度の車両10の操舵角を基準角とする。車両10が右折、または左折すると、操舵角は基準角以上の所定角に変化する。車両10の走行状態が右折、または左折している状態から直進する状態に変化する場合、操舵角は所定角から基準角に戻る。ターンスイッチ151が点滅を選択した後に、車両10の操舵角が所定角よりも少なくなると、制御部50は、ターンスイッチ151を、右側のターンランプ153及び左側のターンランプ153の両方の消灯を選択する状態に切り替える。
【0044】
右側のターンランプ153の構成は、形状が概ね対称であることを除いて、左側のターンランプ153の構成と同じとされる。右側のターンランプ153の構成は、特に限定されるものではなく、パラボラ型の発光ユニット、プロジェクター型の発光ユニット、または直射レンズ型の発光ユニット等とされてもよい。右側のターンランプ153の構成は、一方の発光ユニット30aの構成と同じとされてもよい。
【0045】
次に、本実施形態の車両用前照灯システム15の動作について説明する。
【0046】
図4は、本実施形態における車両用前照灯システム15の動作を示すフローチャートである。
図4に示すように、本実施形態のフローチャートは、ステップS1~ステップS6を含んでいる。
【0047】
(ステップS1)
本ステップでは、制御部50は、ライトスイッチからの制御信号を基に、光を出射させるか否かを判定する。制御信号が制御部50に入力されておらず、光が出射されない場合、制御部50は、一対の発光ユニット30の駆動を停止させ、処理はステップS1に戻る。また、制御信号が制御部50に入力されて、光が出射される場合、処理はステップS2に移行する。
【0048】
(ステップS2)
本ステップでは、車両10が市街地における一般道を直進しているものとして説明する。ここでは、一般道は片側2車線の対面通行の直線路であり、車両10は片側2車線のうちの左側車線を走行しているとする。以下において、車両10が走行している車線を走行車線と呼ぶことがある。車両10が走行している一般道では、走行車線の左側には路肩が位置し、走行車線の右側には追越車線が位置し、追越車線の右側には対向車線が位置するものとする。
【0049】
制御部50は一対の発光ユニット30を駆動させ、一対の発光ユニット30は車両10の前方に向かってロービーム及びオーバーヘッドサイン光を出射する。また、制御部50は、ターンランプ153のそれぞれを消灯させる。
図5は、ターンランプ153のそれぞれが消灯し、車両10が一般道220を直進している場合におけるロービームの配光パターン800及びオーバーヘッドサイン光の配光パターン400を示す図である。配光パターン800及び配光パターン400は、車両10から例えば25m前方に位置する仮想鉛直スクリーン上に形成される。
図5において、配光パターン800は太線で示されており、配光パターン400は破線で示されている。配光パターン400は、車両10の上下方向において、配光パターン800よりも上方に投影される配光パターンである。配光パターン400によって、配光パターン800より上方に位置する不図示の対象物の視認性の向上が図られる。このような対象物は、例えば、道路標識等である。
図5において、Sは水平線を示し、L0は車両10の左右方向の中心を通り車両10の前後の延びる直線を示し、Vは直線L0に対して直交している鉛直線を示す。
【0050】
配光パターン800は、上縁に、カットオフラインCL1,CL2,CL3を有する。カットオフラインCL1は、カットオフラインCL2を基準としてカットオフラインCL3とは反対側に設けられている。カットオフラインCL1とカットオフラインCL2との交点は、エルボー点EPと称される。エルボー点EPは、水平線Sより下方かつ鉛直線V上に位置する。エルボー点EPは、水平線Sより下方かつ鉛直線Vの近傍に位置してもよい。カットオフラインCL1は、エルボー点EPから車両10の左右方向の一方側である右側に水平方向に延在する。カットオフラインCL2は、エルボー点EPから車両10の上下左右方向における左斜め上方に向かって延在している。エルボー点EP側とは反対側におけるカットオフラインCL2の端は、水平線Sより上方に位置している。カットオフラインCL3は、カットオフラインCL2の上記した端から、車両10の左右方向における左側に水平方向に延在する。また、配光パターン800におけるホットゾーンHZLは、エルボー点EPの近傍に位置している。ホットゾーンHZLとは、配光パターン800において最も明るい領域である。従って、ホットゾーンHZLとは、配光パターン800において光量が最も多い領域であると理解できる。配光パターン800の光量分布として、ホットゾーンHZLから離れるに従って、光量が徐々に減少する。従って、配光パターン800の外周縁側は、ホットゾーンHZL側に比べて暗くされる。
【0051】
なお、車両10の右側通行が運用されている国や地域では、配光パターン800は、
図5に示す配光パターン800と概ね左右対称の形状とされる。従って、カットオフラインCL1はエルボー点EPから左側に水平方向に延在し、カットオフラインCL2はエルボー点EPから右斜め上方に向かって延在する。
【0052】
配光パターン400の中心は、鉛直線Vの近傍に位置する。また、配光パターン400の中心は、車両10の上下方向において、カットオフラインCL2の上方に位置する。なお、配光パターン400の中心は、鉛直線V上に位置してもよい。或いは、配光パターン400の中心は、車両10の上下方向において、エルボー点EPの上方に位置してもよい。車両10の左右方向において、配光パターン400の幅は、配光パターン800の幅よりも狭い。配光パターン400の右縁は、車両10の上下方向において、カットオフラインCL1の上方に位置する。また、配光パターン400の左縁は、車両10の上下方向において、カットオフラインCL3の上方に位置する。
【0053】
本実施形態の車両用前照灯20では、配光パターン800は車両10の上下左右方向において6つの領域に区分けられており、車両10の上下左右方向において隣り合う領域のそれぞれは互いに接しているものとする。領域のそれぞれを、第1領域801、第2領域802、第3領域803、第4領域804、第5領域805、及び第6領域806として説明する。第1領域801、第2領域802、及び第3領域803は車両10の上下方向における上側の領域であり、第4領域804、第5領域805、及び第6領域806は車両10の上下方向における下側の領域である。
【0054】
第1領域801は、車両10の左右方向において右側に位置する領域である。第2領域802は、車両10の左右方向において左側に位置する領域である。第3領域803は、車両10の左右方向において第1領域801と第2領域802との間に位置する領域である。第3領域803には直線L0が通るため、第1領域801は車両10の左右方向において右側に位置する領域となり、第2領域802は車両10の左右方向において左側に位置する領域となる。また、第3領域803には、V線が通り、エルボー点EP及びホットゾーンHZLが位置する。第3領域803は、車両10の上下方向において配光パターン400の下方に位置する。
【0055】
第4領域804は、車両10の上下方向において第1領域801の下方に位置する領域である。第5領域805は、車両10の上下方向において第2領域802の下方に位置する領域である。第6領域806は、車両10の左右方向において第4領域804と第5領域805との間に位置する領域であり、車両10の上下方向において第3領域803の下方に位置する領域である。また、第6領域806には、V線が通る。
【0056】
第4領域804と第5領域805と第6領域806とのそれぞれの高さが互いに同一となると共に第1領域801の高さよりも低くなるように、制御部50は一対の発光ユニット30を制御する。ここで、第1領域801と第2領域802と第3領域803とを含む配光パターン800の上側領域と、第4領域804と第5領域805と第6領域806とを含む配光パターン800の下側領域との境界線について説明する。この境界線は、例えば、雨天時における対向車の運転者へのグレアの付与を抑制する観点から、例えば、カットオフラインCL1から2度~3度程度下方に位置することが好ましい。
【0057】
ところで、
図6は、一般道220を直進している車両10を車両10の上下方向における上側から見る場合の平面図である。一般道220は、走行車線220aと、追越車線220bと、2車線の対向車線220cとからなる。例えば、一般道220を走行する車両10の平均時速は40kmであり、この場合の車両10の停止距離は、20.1mであり、余裕を確保して25mとする。
図6において、平面601は、車両10の上下方向及び前後方向に沿っている面であり、車両10の前端における車両10の左右方向の中心を通る面である。ここで、平面601の位置を基準位置と称する。配光パターン800が、車両10の前端から25m前方に位置する一般道220の4車線に投影される場合、配光パターン800は、平面601が基準位置から上記中心を支点として左周りに広がり角度θ1で回転した第1位置と、平面601が基準位置から中心を支点として右周りに広がり角度θ2で回転した第2位置との間に渡って位置すればよい。角度θ1は7度であり、角度θ2は29度である。また、車両10の前端から25m前方は、走行車線220aにおける先行車との衝突を避けるために、車両10の運転者に目視されることが望まれている。そこで車両10の運転者に安心感を与える観点から、第3領域803は、平面601が基準位置から上記中心を支点として左周りに広がり角度θ3で回転した第1位置と、平面601が基準位置から中心を支点として右周りに広がり角度θ4で回転した第2位置との間に渡って位置すればよい。角度θ3は4度であり、角度θ4は26度である。車両10が一般道220を走行している状態では、
図5に示すように、第3領域803の幅は配光パターン400の幅よりも小さい。また、第3領域803の右縁は配光パターン400の右縁よりも左側に位置し、第3領域803の左縁は配光パターン400の左縁よりも右側に位置する。
【0058】
図5に示すように、第3領域803は、車両10の左右方向の右側において第1領域801に隣り合う。従って、第1領域801の左縁は配光パターン400の右縁よりも左側に位置する。また、第3領域803は、車両10の左右方向の左側において第2領域802に隣り合う。従って、第2領域802の右縁は配光パターン400の左縁よりも右側に位置する。第1領域801の左縁は第4領域804の左縁の上方に位置し、第1領域801の右縁は第4領域804の右縁の上方に位置する。第2領域802の左縁は第5領域805の左縁の上方に位置し、第2領域802の右縁は第5領域805の右縁の上方に位置する。第3領域803の左縁は第6領域806の左縁の上方に位置し、第3領域803の右縁は第6領域806の右縁の上方に位置する。
【0059】
制御部50は、第1領域801と第2領域802と第4領域804と第5領域805とのそれぞれの幅が互いに同一となるように、一対の発光ユニット30を制御する。この場合、配光パターン800の幅から第3領域803の幅を差分した残りの幅を均等に分割した長さがそれぞれの領域の幅であり、第6領域806の幅は第3領域803の幅と同じである。ここでは、第1領域801と第2領域802と第4領域804と第5領域805とのそれぞれの幅は、第3領域803の幅よりも大きい。
【0060】
配光パターン800の上縁は、第1領域801、第2領域802、及び第3領域803のそれぞれの上縁である。第1領域801の上縁はカットオフラインCL1の一部であり、第2領域802の上縁はカットオフラインCL3の一部である。また、第3領域803の上縁は、カットオフラインCL1の残りの一部、カットオフラインCL2、及びカットオフラインCL3の残りの一部である。配光パターン800の下縁は、第4領域804、第5領域805、及び第6領域806のそれぞれの下縁である。配光パターン800の右縁は第1領域801及び第4領域804のそれぞれの右縁であり、配光パターン800の左縁は第2領域802及び第5領域805のそれぞれの左縁である。
【0061】
本ステップでは、第1領域801は、主に、配光パターン800内に位置する追越車線220bの一部及び対向車線220cの一部の路面に投影される。第2領域802は、主に、配光パターン800内に位置する走行車線220aの一部の路面及び路肩220dの一部に投影される。第3領域803は、主に、走行車線220aの別の一部の路面及び路肩220dの別の一部に投影される。第4領域804は、主に、配光パターン800内に位置する走行車線220aの別の一部の路面及び追越車線220bの残りの一部の路面に投影される。第4領域804における走行車線220a及び追越車線220bは、第1領域801における走行車線220a及び追越車線220bよりも車両10の進行方向における手前に位置する。第5領域805は、主に、配光パターン800内に位置する走行車線220aの別の一部の路面及び路肩220dの残りの一部に投影される。第5領域805における走行車線220a及び路肩220dは、第2領域802における走行車線220a及び路肩220dよりも車両10の進行方向における手前に位置する。第6領域806は、主に、配光パターン800内に位置する走行車線220aの残りの一部の路面に投影される。第6領域806における走行車線220aは、第3領域803における走行車線220aよりも車両10の進行方向における手前に位置する。
【0062】
本ステップでは、右側のターンランプ153を点滅させるための指示を示す信号及び左側のターンランプ153を点滅させるための指示を示す信号がターンスイッチ151から制御部50に入力されないと、制御部50は、ターンランプ153のそれぞれを消灯させると共に、一対の発光ユニット30の各発光素子33aに供給される電力を調節する。これにより、各発光素子33aのそれぞれから出射する光の光量が調節され、配光パターン800における光量分布が調節され、直進用の配光パターンが形成される。以下に、光量の調節について説明する。
【0063】
制御部50は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合において、第1領域801を形成する光の光量及び第2領域802を形成する光の光量が第3領域803を形成する光の光量よりも少なくなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0064】
ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合において、車両10は直進している状態となる。運転者の視線は第1領域801及び第2領域802よりも第3領域803に集中し、運転者は第1領域801及び第2領域802に比べて第3領域803に注意を払うことが多い。以上により、車両10が直進している状態では、第1領域801及び第2領域802の明るさの必要性は第3領域803の明るさの必要性よりも低下し得る。このため、この車両用前照灯20において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合では、第1領域801を形成する光の光量及び第2領域802を形成する光の光量は第3領域803を形成する光の光量よりも少ない。これにより、車両10が直進している場合において、第1領域801及び第2領域802は、第3領域803よりも暗くなる。
【0065】
また、制御部50は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合において、第4領域804を形成する光の光量及び第5領域805を形成する光の光量が第6領域806を形成する光の光量よりも少なくなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0066】
ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合において、車両10は直進している状態となり、運転者の視線は第4領域804及び第5領域805よりも第6領域806に集中し、運転者は第4領域804及び第5領域805に比べて第6領域806に注意を払うことが多い。以上により、車両10が直進している状態では、第4領域804及び第5領域805の明るさの必要性は第6領域806の明るさの必要性よりも低下し得る。このため、この車両用前照灯20において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合では、第4領域804を形成する光の光量及び第5領域805を形成する光の光量は第6領域806を形成する光の光量よりも少ない。これにより、車両10が直進している場合において、第4領域804及び第5領域805は、第6領域806よりも暗くなる。
【0067】
第1領域801、第2領域802、第5領域805、及び第6領域806における光量は、消灯するのではなく、必要最低限度の光量であることが好ましい。必要最低限度の光量とは、例えば、車両10の前方において車両10の運転者の視認性が確保される程度の明るさである。必要最低限度の光量は、閾値として記録部60に記録されており、日中や夜間といった車両10の走行状況などに応じて適宜変更可能にされてもよい。
【0068】
第4領域804は第1領域801よりも車両10の進行方向における手前に位置する路面に投影される。このように投影される第4領域804は、運転者に安心感を与える観点から、第1領域801よりも明るくされることが望まれている。従って、この車両用前照灯20において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合、第4領域804を形成する光の光量が第1領域801を形成する光の光量よりも多くなってもよい。この場合、第4領域804における光量が第1領域801における光量よりも多くならない場合に比べて、手前は明るくなり得る。従って、運転者は手前に注目し易くなり得、運転者は安心感を与えられ得る。また、第1領域801及び第4領域804と同様に、第5領域805を形成する光の光量が第2領域802を形成する光の光量よりも多くなってもよいし、第6領域806を形成する光の光量が第3領域803を形成する光の光量よりも多くなってもよい。
【0069】
或いは、第1領域801の光量と第4領域804の光量との関係は、上記とは逆であってもよい。第1領域801は第4領域804よりも車両10の進行方向における前方に投影される。このように投影される第1領域801は、第4領域804よりも先に例えば追越車線220bを走行する先行車に投影され得、運転者に注意を与える観点から、第4領域804よりも明るくされることが望まれている。従って、この車両用前照灯20において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合、第1領域801を形成する光の光量が第4領域804を形成する光の光量よりも多くなってもよい。この場合、第1領域801における光量が第4領域804における光量よりも多くならない場合に比べて、前方は明るくなり得る。従って、運転者は前方に注目し易くなり得、運転者は注意を与えられ得る。また、第1領域801及び第4領域804と同様に、第2領域802を形成する光の光量が第5領域805を形成する光の光量よりも多くなってもよいし、第3領域803を形成する光の光量が第6領域806を形成する光の光量よりも多くなってもよい。
【0070】
第1領域801、第2領域802、第4領域804、及び第5領域805における光量は、互いに同じでもよい。第3領域803、及び第6領域806における光量は、互いに同じでもよい。
【0071】
上記したように直進用の配光パターン800において、光量が調節されると、処理はステップS3に進む。
【0072】
(ステップS3)
本ステップでは、制御部50は、右側のターンランプ153を点滅させるための指示を示す信号がターンスイッチ151から制御部50に入力されているか否かを判定する。右側のターンランプ153を点滅させるための指示を示す信号がターンスイッチ151から制御部50に入力されると、制御部50は右側のターンランプ153を点滅させ、処理はステップS4に移行する。また、当該信号が入力されていない場合、処理はステップS5に移行する。
【0073】
(ステップS4)
本ステップでは、車両10が一般道の右折レーンに位置し交差点を右折する状態について説明する。ここでは、一般道の走行車線側は、片側2車線と右折レーンとからなる。
【0074】
制御部50は一対の発光ユニット30を駆動させ、一対の発光ユニット30は車両10の前方に向かってロービーム及びオーバーヘッドサイン光を出射する。また、制御部50は、右側のターンランプ153を点滅させる。
図7は、右側のターンランプ153が点滅し、車両10が一般道220を右折する場合におけるロービームの配光パターン800及びオーバーヘッドサイン光の配光パターン400を示す図である。配光パターン400の形状、大きさ、及び光量分布は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合と右側のターンランプ153が点滅している場合とにおいて同じである。
【0075】
右側のターンランプ153が点滅している場合における配光パターン800の形状及び大きさは、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合における配光パターン800の形状及び大きさと同じである。しかしながら、配光パターン800における光量分布は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合と右側のターンランプ153が点滅している場合とでは異なる。以下に、右側のターンランプ153が点滅している場合の配光パターン800における光量分布について説明する。
【0076】
図8は、右折レーン220eを走行する車両10を車両10の上下方向における上側から見る場合の平面図である。上記したように、一般道220を走行する車両10の平均時速は40kmであり、この場合の車両10の停止距離は、20.1mであり、余裕を確保して25mとする。配光パターン800は、平面601が基準位置から上記中心を支点として左周りに広がり角度θ5で回転した第1位置と、平面601が基準位置から中心を支点として右周りに広がり角度θ6で回転した第2位置との間に渡って位置すればよい。角度θ5は21.8度であり、角度θ6は33.5度である。また、車両10の前端から25m前方は、車両10と走行車線220aにおける先行車との衝突を避けると共に、車両10の運転者が右折側の横断歩道を歩行する歩行者などの対象物を確認するために、車両10の運転者に目視されることが望まれている。そこで車両10の運転者に安心感を与える観点から、第3領域803及び第6領域806の左縁と第1領域801及び第4領域804の右縁とは、平面601が基準位置から上記中心を支点として左周りに広がり角度θ7で回転した第1位置と、平面601が基準位置から中心を支点として右周りに広がり角度θ6で回転した第2位置との間に渡って位置すればよい。角度θ7は18.8度である。
【0077】
図7に戻り、配光パターン800について説明する。第1領域801は、主に、配光パターン800内に位置する対向車線220cの一部の路面に投影される。第2領域802は、主に、配光パターン800内に位置する右折レーン220eの左側の車線220fの一部の路面に投影される。第3領域803は、主に、右折レーン220eの一部の路面に投影される。第4領域804は、主に、配光パターン800内に位置する右折レーン220eの別の一部及び対向車線220cの残りの一部の路面に投影される。第4領域804における路面は、第1領域801における路面よりも車両10の進行方向における手前に位置する。第5領域805は、主に、配光パターン800内に位置する右折レーン220eの別の一部及び車線220fの残りの一部の路面に投影される。第5領域805における路面は、第2領域802における路面よりも車両10の進行方向における手前に位置する。第6領域806は、主に、配光パターン800内に位置する右折レーン220eの残りの一部の路面に投影される。第6領域806における右折レーン220eは、第3領域803における右折レーン220eよりも車両10の進行方向における手前に位置する。
【0078】
本ステップでは、右側のターンランプ153を点滅させるための指示を示す信号がターンスイッチ151から制御部50に入力されると、制御部50は、右側のターンランプ153を点滅させると共に、一対の発光ユニット30の各発光素子33aに供給される電力を調節する。これにより、各発光素子33aのそれぞれから出射する光の光量が調節され、配光パターン800における光量分布が調節され、右折用の配光パターンが形成される。以下に、光量の調節について説明する。
【0079】
制御部50は、右側のターンランプ153が点滅している場合において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも第1領域801及び第2領域802のうちの点滅している右側のターンランプ153側の第1領域801を形成する光の光量が多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0080】
右側のターンランプ153が点滅している場合において、車両10は右折する状態となり、第1領域801は曲がる側の領域となり、第2領域802は曲がる側とは反対側の領域となる。運転者の視線は第1領域801及び第2領域802のうちの点滅している右側のターンランプ153側の第1領域801に集中し、運転者は第3領域803及び消灯している左側のターンランプ153側の第2領域802に比べて点滅している右側のターンランプ153側の第1領域801に注意を払うことが多い。以上により、右側のターンランプ153が点滅している場合では、点滅している右側のターンランプ153側の第1領域801の明るさの必要性は直進時よりも向上し得る。このため、この車両用前照灯20において、右側のターンランプ153が点滅している場合では、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも第1領域801を形成する光の光量が多い。これにより、車両10が右折している場合において、第1領域801は、車両10が直進している場合よりも明るくなる。
【0081】
また、制御部50は、右側のターンランプ153が点滅している場合において、第1領域801及び第2領域802のうちの点滅している右側のターンランプ153側の第1領域801を形成する光の光量が第3領域803を形成する光の光量以上となるように、一対の発光ユニット30を制御する。これにより、点滅している右側のターンランプ153側の第1領域801は、第3領域803以上に明るくなる。第1領域801は、第3領域803のいずれか一部以上に明るくなっていればよく、第3領域803の最も暗い部分以上に明るくなってもよいし、第3領域803の最も明るい部分以上に明るくなってもよい。例えば、第3領域803の最も暗い部分は第3領域803の左右の両端部であり、第3領域803の最も明るい部分は第3領域803の中心部やホットゾーンHZL周辺である。
【0082】
また、制御部50は、右側のターンランプ153が点滅している場合において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも第4領域804及び第5領域805のうちの点滅しているターンランプ153側の第4領域804を形成する光の光量が多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0083】
右側のターンランプ153が点滅している場合において、車両10は右折する状態となり、第4領域804は曲がる側の領域となり、第5領域805は曲がる側とは反対側の領域となる。運転者の視線は第4領域804及び第5領域805のうちの点滅している右側のターンランプ153側の第4領域804に集中し、運転者は消灯している左側のターンランプ153側の第5領域805に比べて点滅している右側のターンランプ153側の第4領域804に注意を払うことが多い。以上により、右側のターンランプ153が点滅している場合では、点滅している右側のターンランプ153側の第4領域804の明るさの必要性は直進時よりも向上し得る。このため、この車両用前照灯20において、右側のターンランプ153が点滅している場合では、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも第4領域804を形成する光の光量が多い。これにより、車両10が右折している場合において、第4領域804は、車両10が直進している場合よりも明るくなる。
【0084】
また、制御部50は、右側のターンランプ153が点滅している場合において、第4領域804及び第5領域805のうちの消灯している左側のターンランプ153側の第5領域805を形成する光の光量が第1領域801及び第2領域802のうちの消灯している左側のターンランプ153側の第2領域802を形成する光の光量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。第5領域805は、第2領域802のいずれか一部以上に明るくなっていればよく、第2領域802の最も暗い部分以上に明るくなってもよいし、第2領域802の最も明るい部分以上に明るくなってもよい。例えば、第2領域802の最も暗い部分は第2領域802の左右の両端部であり、第2領域802の最も明るい部分は第2領域802の中心部である。
【0085】
第4領域804及び第5領域805のうちの消灯している左側のターンランプ153側の第5領域805は、第1領域801及び第2領域802のうちの消灯している左側のターンランプ153側の第2領域802よりも車両10の進行方向における手前に位置する路面に投影される。このように投影される第5領域805は、運転者に安心感を与える観点から、第2領域802よりも明るくされることが望まれている。従って、この車両用前照灯20において、右側のターンランプ153が点滅している場合、第5領域805を形成する光の光量が第2領域802を形成する光の光量よりも多くなる。これにより、第5領域805は、第2領域802よりも明るくなる。
【0086】
また、制御部50は、右側のターンランプ153が点滅している場合において、第4領域804及び第5領域805のうちの点滅している右側のターンランプ153側の第4領域804を形成する光の光量が第4領域804及び第5領域805のうちの消灯している左側のターンランプ153側の第5領域805を形成する光の光量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。第4領域804は、第5領域805のいずれか一部以上に明るくなっていればよく、第5領域805の最も暗い部分以上に明るくなってもよいし、第5領域805の最も明るい部分以上に明るくなってもよい。例えば、第5領域805の最も暗い部分は第5領域805の左右の両端部であり、第5領域805の最も明るい部分は第5領域805の中心部である。
【0087】
右側のターンランプ153が点滅している場合において、運転者の視線は第4領域804及び第5領域805のうちの消灯している左側のターンランプ153側の第5領域805よりも第4領域804及び第5領域805のうちの点滅している右側のターンランプ153側の第4領域804に集中し、運転者は消灯している左側のターンランプ153側の第5領域805に比べて点滅している右側のターンランプ153側の第4領域804に注意を払うことが多い。以上により、右側のターンランプ153が点滅している場合では、第4領域804の明るさの必要性は第5領域805の明るさの必要性よりも向上し得る。このため、この車両用前照灯20において、右側のターンランプ153が点滅している場合では、第4領域804を形成する光の光量は第5領域805を形成する光の光量よりも多い。これにより、第4領域804は、第5領域805よりも明るくなる。
【0088】
また、制御部50は、右側のターンランプ153が点滅している場合において、第6領域806を形成する光の光量が第4領域804及び第5領域805のうちの点滅している右側のターンランプ153側の第4領域804を形成する光の光量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。第6領域806は、第4領域804のいずれか一部以上に明るくなっていればよく、第6領域806の最も暗い部分以上に明るくなってもよいし、第6領域806の最も明るい部分以上に明るくなってもよい。例えば、第6領域806の最も暗い部分は第6領域806の上下の両端部であり、第6領域806の最も明るい部分は第6領域806の中心部である。
【0089】
配光パターンにおいて、第6領域806は車両10の右折レーン220eの前方に投影され、第4領域804及び第5領域805のうちの点滅している右側のターンランプ153側の第4領域804は当該レーンの隣りの車線に投影され得る。このように投影される第6領域806は、運転者に安心感を与える観点から、第4領域804及び第5領域805のうちの点滅している右側のターンランプ153側の第4領域804よりも明るくされることが望まれている。従って、この車両用前照灯20において、右側のターンランプ153が点滅している場合、第6領域806を形成する光の光量が第4領域804を形成する光の光量よりも多くなる。これにより、第6領域806は、第4領域804よりも明るくなる。
【0090】
また、制御部50は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合と右側のターンランプ153が点滅している場合とにおいて、第6領域806を形成する光の光量が第3領域803を形成する光の光量よりも少なくなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0091】
ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合と右側のターンランプ153が点滅している場合とにおいて、第6領域806は第3領域803よりも車両10の進行方向における手前に投影される。車両10が進行すると、路面は、第3領域803を形成する光を照射された後、第6領域806を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第6領域806を形成する光よりも前に第3領域803を形成する光によって路面を認知し得る。従って、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合と右側のターンランプ153が点滅している場合とにおいて、第6領域806の明るさの必要性は第3領域803の明るさの必要性に比べて低下し得る。このため、この車両用前照灯20において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合と右側のターンランプ153が点滅している場合とにおいて、第6領域806における光量は、第3領域803における光量よりも少ない。これにより、第6領域806は、第3領域803よりも暗くなる。
【0092】
また、制御部50は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合と右側のターンランプ153が点滅している場合とにおいて、第3領域803を形成する光の光量が同じとなるように、一対の発光ユニット30を制御する。これにより、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合と右側のターンランプ153が点滅している場合とにおいて、第3領域803の明るさは同じとなる。
【0093】
上記したように右折用の配光パターン800において、光量が調節されると、処理はステップS3に戻る。
【0094】
(ステップS5)
本ステップでは、制御部50は、左側のターンランプ153を点滅させるための指示を示す信号がターンスイッチ151から制御部50に入力されているか否かを判定する。左側のターンランプ153を点滅させるための指示を示す信号がターンスイッチ151から制御部50に入力されると、制御部50は左側のターンランプ153を点滅させ、処理はステップS6に移行する。また、当該信号が入力されていない場合、処理はステップS1に戻る。
【0095】
(ステップS6)
本ステップでは、車両10が一般道の片側2車線の左レーンに位置し交差点を左折する状態について説明する。ここでは、一般道の走行車線側は、片側2車線からなる。
【0096】
制御部50は一対の発光ユニット30を駆動させ、一対の発光ユニット30は車両10の前方に向かってロービーム及びオーバーヘッドサイン光を出射する。また、制御部50は、左側のターンランプ153を点滅させる。
図9は、左側のターンランプ153が点滅し、車両10が一般道220を左折する場合におけるロービームの配光パターン800及びオーバーヘッドサイン光の配光パターン400を示す図である。配光パターン400の形状、大きさ、及び光量分布は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合と左側のターンランプ153が点滅している場合とにおいて同じである。
【0097】
左側のターンランプ153が点滅している場合における配光パターン800の形状及び大きさは、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合及び右側のターンランプ153が点滅している場合における配光パターン800の形状及び大きさと同じである。しかしながら、配光パターン800における光量分布は、右側のターンランプ153が点滅している場合と左右対称となっている。以下に、左側のターンランプ153が点滅している場合の配光パターン800における光量分布について説明する。
【0098】
図10は、走行車線220aを走行する車両10を車両10の上下方向における上側から見る場合の平面図である。上記したように、一般道220を走行する車両10の平均時速は40kmであり、この場合の車両10の停止距離は、20.1mであり、余裕を確保して25mとする。配光パターン800は、平面601が基準位置から上記中心を支点として左周りに広がり角度θ8で回転した第1位置と、平面601が基準位置から中心を支点として右周りに広がり角度θ9で回転した第2位置との間に渡って位置すればよい。角度θ8は21.3度であり、角度θ9は29度である。また、車両10の前端から25m前方は、車両10と走行車線220aにおける先行車との衝突を避けると共に、車両10の運転者が左折側の横断歩道を歩行する歩行者などの対象物を確認するために、車両10の運転者に目視されることが望まれている。そこで車両10の運転者に安心感を与える観点から、第2領域802及び第5領域805の左縁と第3領域803及び第6領域806の右縁とは、平面601が基準位置から上記中心を支点として左周りに広がり角度θ8で回転した第1位置と、平面601が基準位置から中心を支点として右周りに広がり角度θ10で回転した第2位置との間に渡って位置すればよい。角度θ10は26度である。
【0099】
図9に戻り、配光パターン800について説明する。第1領域801は、主に、配光パターン800内に位置する追越車線220bの一部及び対向車線220cの路面に投影される。第2領域802は、主に、配光パターン800内に位置する走行車線220aの一部の路面、路肩220dの一部、及び横断歩道220gの一部に投影される。第3領域803は、主に、走行車線220aの別の一部の路面に投影される。第4領域804は、主に、走行車線220aの別の一部の路面及び追越車線220bの残りの一部の路面に投影される。第4領域804における走行車線220a及び追越車線220bは、第1領域801における走行車線220a及び追越車線220bよりも車両10の進行方向における手前に位置する。第5領域805は、主に、配光パターン800内に位置する走行車線220aの別の一部の路面及び路肩220dの残りの一部に投影される。第5領域805における走行車線220a及び路肩220d路肩は、第2領域802における走行車線220a及び路肩220dよりも車両10の進行方向における手前に位置する。第6領域806は、主に、配光パターン800内に位置する走行車線220aの残りの一部の路面に投影される。第6領域806における走行車線220aは、第3領域803における走行車線220aよりも車両10の進行方向における手前に位置する。
【0100】
本ステップでは、左側のターンランプ153を点滅させるための指示を示す信号がターンスイッチ151から制御部50に入力されると、制御部50は、左側のターンランプ153を点滅させると共に、一対の発光ユニット30の各発光素子33aに供給される電力を調節する。これにより、各発光素子33aのそれぞれから出射する光の光量が調節され、配光パターン800における光量分布が調節され、左折用の配光パターンが形成される。以下に、光量の調節について説明する。
【0101】
制御部50は、左側のターンランプ153が点滅している場合において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも第1領域801及び第2領域802のうちの点滅している左側のターンランプ153側の第2領域802を形成する光の光量が多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0102】
左側のターンランプ153が点滅している場合において、車両10は左折する状態となり、第2領域802は曲がる側の領域となり、第1領域801は曲がる側とは反対側の領域となる。運転者の視線は第1領域801及び第2領域802のうちの点滅している左側のターンランプ153側の第2領域802に集中し、運転者は第3領域803及び消灯している右側のターンランプ153側の第1領域801に比べて点滅している左側のターンランプ153側の第2領域802に注意を払うことが多い。以上により、左側のターンランプ153が点滅している場合では、点滅している左側のターンランプ153側の第2領域802の明るさの必要性は直進時よりも向上し得る。このため、この車両用前照灯20において、左側のターンランプ153が点滅している場合では、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも第2領域802を形成する光の光量が多い。これにより、車両10が左折している場合において、第2領域802は、車両10が直進している場合よりも明るくなる。
【0103】
また、制御部50は、左側のターンランプ153が点滅している場合において、第1領域801及び第2領域802のうちの点滅している左側のターンランプ153側の第2領域802を形成する光の光量が第3領域803を形成する光の光量以上となるように、一対の発光ユニット30を制御する。これにより、点滅している左側のターンランプ153側の第2領域802は、第3領域803以上に明るくなる。第2領域802は、第3領域803のいずれか一部以上に明るくなっていればよく、第3領域803の最も暗い部分以上に明るくなってもよいし、第3領域803の最も明るい部分以上に明るくなってもよい。
【0104】
また、制御部50は、左側のターンランプ153が点滅している場合において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも第4領域804及び第5領域805のうちの点滅しているターンランプ153側の第5領域805を形成する光の光量が多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0105】
左側のターンランプ153が点滅している場合において、車両10は左折する状態となり、第5領域805は曲がる側の領域となり、第4領域804は曲がる側とは反対側の領域となる。運転者の視線は第4領域804及び第5領域805のうちの点滅している左側のターンランプ153側の第5領域805に集中し、運転者は消灯している右側のターンランプ153側の第4領域804に比べて点滅している左側のターンランプ153側の第5領域805に注意を払うことが多い。以上により、左側のターンランプ153が点滅している場合では、点滅している左側のターンランプ153側の第5領域805の明るさの必要性は直進時よりも向上し得る。このため、この車両用前照灯20において、左側のターンランプ153が点滅している場合では、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも第5領域805を形成する光の光量が多い。これにより、車両10が左折している場合において、第5領域805は、車両10が直進している場合よりも明るくなる。
【0106】
また、制御部50は、左側のターンランプ153が点滅している場合において、第4領域804及び第5領域805のうちの消灯している右側のターンランプ153側の第4領域804を形成する光の光量が第1領域801及び第2領域802のうちの消灯している右側のターンランプ153側の第1領域801を形成する光の光量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。第4領域804は、第1領域801のいずれか一部以上に明るくなっていればよく、第1領域801の最も暗い部分以上に明るくなってもよいし、第1領域801の最も明るい部分以上に明るくなってもよい。例えば、第1領域801の最も暗い部分は第1領域801の左右の両端部であり、第1領域801の最も明るい部分は第1領域801の中心部である。
【0107】
第4領域804及び第5領域805のうちの消灯している右側のターンランプ153側の第4領域804は、第1領域801及び第2領域802のうちの消灯している右側のターンランプ153側の第1領域801よりも車両10の進行方向における手前に位置する路面に投影される。このように投影される第4領域804は、運転者に安心感を与える観点から、第1領域801よりも明るくされることが望まれている。従って、この車両用前照灯20において、左側のターンランプ153が点滅している場合、第4領域804を形成する光の光量が第1領域801を形成する光の光量よりも多くなる。これにより、第4領域804は、第1領域801よりも明るくなる。
【0108】
また、制御部50は、左側のターンランプ153が点滅している場合において、第4領域804及び第5領域805のうちの点滅している左側のターンランプ153側の第5領域805を形成する光の光量が第4領域804及び第5領域805のうちの消灯している左側のターンランプ153側の第4領域804を形成する光の光量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。第5領域805は、第4領域804のいずれか一部以上に明るくなっていればよく、第4領域804の最も暗い部分以上に明るくなってもよいし、第4領域804の最も明るい部分以上に明るくなってもよい。例えば、第4領域804の最も暗い部分は第4領域804の左右の両端部であり、第4領域804の最も明るい部分は第4領域804の中心部である。
【0109】
また、左側のターンランプ153が点滅している場合において、運転者の視線は第4領域804及び第5領域805のうちの消灯している左側のターンランプ153側の第4領域804よりも第4領域804及び第5領域805のうちの点滅している右側のターンランプ153側の第5領域805に集中し、運転者は消灯している左側のターンランプ153側の第4領域804に比べて点滅している左側のターンランプ153側の第5領域805に注意を払うことが多い。以上により、左側のターンランプ153が点滅している場合では、第5領域805の明るさの必要性は第4領域804の明るさの必要性よりも向上し得る。このため、この車両用前照灯20において、左側のターンランプ153が点滅している場合では、第5領域805を形成する光の光量は第4領域804を形成する光の光量よりも多い。これにより、第5領域805は、第4領域804よりも明るくなる。
【0110】
また、制御部50は、左側のターンランプ153が点滅している場合において、第6領域806を形成する光の光量が第4領域804及び第5領域805のうちの点滅している左側のターンランプ153側の第5領域805を形成する光の光量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。第6領域806は、第5領域805のいずれか一部以上に明るくなっていればよく、第5領域805の最も暗い部分以上に明るくなってもよいし、第5領域805の最も明るい部分以上に明るくなってもよい。例えば、第5領域805の最も暗い部分は第5領域805の左右の両端部であり、第5領域805の最も明るい部分は第4領域804の中心部である。
【0111】
配光パターンにおいて、第6領域806は車両10の走行車線220aの前方に投影され、第4領域804及び第5領域805のうちの点滅している左側のターンランプ153側の第5領域805は路肩に投影され得る。このように投影される第6領域806は、運転者に安心感を与える観点から、第4領域804及び第5領域805のうちの点滅している左側のターンランプ153側の第5領域805よりも明るくされることが望まれている。従って、この車両用前照灯20において、左側のターンランプ153が点滅している場合、第6領域806を形成する光の光量が第5領域805を形成する光の光量よりも多くなる。これにより、第6領域806は、第5領域805よりも明るくなる。
【0112】
また、制御部50は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合と左側のターンランプ153が点滅している場合とにおいて、第6領域806を形成する光の光量が第3領域803を形成する光の光量よりも少なくなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0113】
ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合と左側のターンランプ153が点滅している場合とにおいて、第6領域806は第3領域803よりも車両10の進行方向における手前に投影される。車両10が進行すると、路面は、第3領域803を形成する光を照射された後、第6領域806を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第6領域806を形成する光よりも前に第3領域803を形成する光によって路面を認知し得る。従って、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合と左側のターンランプ153が点滅している場合とにおいて、第6領域806の明るさの必要性は第3領域803の明るさの必要性に比べて低下し得る。このため、この車両用前照灯20において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合と左側のターンランプ153が点滅している場合とにおいて、第6領域806における光量は、第3領域803における光量よりも少ない。これにより、第6領域806は、第3領域803よりも暗くなる。
【0114】
また、制御部50は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合と左側のターンランプ153が点滅している場合とにおいて、第3領域803を形成する光の光量が同じとなるように、一対の発光ユニット30を制御する。これにより、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合と左側のターンランプ153が点滅している場合とにおいて、第3領域803の明るさは同じとなる。
【0115】
上記したように左折用の配光パターン800において、光量が調節されると、処理はステップS3に戻る。
【0116】
以上のように、本実施形態の車両用前照灯20は、所定の配光パターンを形成する光を出射する一対の発光ユニット30と、車両10の左右方向において右側及び左側のそれぞれに位置するターンランプ153のいずれか一方の点滅またはターンランプ153のそれぞれの消灯に応じて一対の発光ユニット30を制御する制御部50と、を備える。配光パターン800は、車両10の左右方向において右側に位置する第1領域801と、車両10の左右方向において左側に位置する第2領域802と、車両10の左右方向において第1領域801と第2領域802との間に位置する領域であり、車両10の左右方向における車両10の中心を通り車両10の前後に延びる直線が通る第3領域803とを含む。制御部50は、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも第1領域801及び第2領域802のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量が多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0117】
ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、運転者の視線は第1領域801及び第2領域802のうちの点滅しているターンランプ153側の領域に集中し、運転者は第3領域803及び消灯しているターンランプ153側の領域に比べて点滅しているターンランプ153側の領域に注意を払うことが多い。以上により、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合では、点滅しているターンランプ153側の領域の明るさの必要性は直進時よりも向上し得る。このため、この車両用前照灯20において、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合では、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量が多い。点滅しているターンランプ153側の領域における光量が多いと、当該光量が多くならない場合に比べて、点滅しているターンランプ153側の領域が明るくなり得、点滅しているターンランプ153側の領域における光量の不足が抑制され得る。従って、点滅しているターンランプ153側の領域において、運転者の視認性の低下が抑制され得る。
【0118】
また、点滅しているターンランプ153側の領域における光量が多くなると、消費電力が増加する。しかしながら、右折の時間または左折の時間は直進の時間に比べて短くなり得るため、点滅しているターンランプ153側の領域における光量の増加は直進時における当該領域の光量の増加に比べて少なくなり得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、点滅しているターンランプ153側の領域における光量のみが多くなる場合、点滅しているターンランプ153側の領域における光量と消灯しているターンランプ153側の領域における光量との両方が多くなる場合に比べて、消灯しているターンランプ153側の領域を形成する光を出射する発光ユニット30に供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。
【0119】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、制御部50は、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、第1領域801及び第2領域802のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量が第3領域803を形成する光の光量以上となるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0120】
点滅しているターンランプ153側の領域における光量が第3領域803における光量以上となると、点滅しているターンランプ153側の領域は、第3領域803以上に明るくなる。点滅しているターンランプ153側の領域が第3領域803以上に明るくなると、点滅しているターンランプ153側の領域が第3領域803以上に明るくならない場合に比べて、運転者は点滅しているターンランプ153側の領域に注目し易くなり得る。
【0121】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、配光パターンは、第1領域801の下方に位置する第4領域804と、第2領域802の下方に位置する第5領域805と、第3領域803の下方に位置する第6領域806とをさらに含む。制御部50は、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも第4領域804及び第5領域805のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量が多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0122】
ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、運転者の視線は第4領域804及び第5領域805のうちの点滅しているターンランプ153側の領域に集中し、運転者は消灯しているターンランプ153側の領域に比べて点滅しているターンランプ153側の領域に注意を払うことが多い。以上により、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合では、点滅しているターンランプ153側の領域の明るさの必要性は直進時よりも向上し得る。このため、この車両用前照灯20において、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合では、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量が多い。点滅しているターンランプ153側の領域における光量が多いと、当該光量が多くならない場合に比べて、点滅しているターンランプ153側の領域が明るくなり得、点滅しているターンランプ153側の領域における光量の不足が抑制され得る。従って、点滅しているターンランプ153側の領域において、運転者の視認性の低下が抑制され得る。
【0123】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、制御部50は、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、第4領域804及び第5領域805のうちの消灯しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量が第1領域801及び第2領域802のうちの消灯しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0124】
第4領域804及び第5領域805のうちの消灯しているターンランプ153側の領域は、第1領域801及び第2領域802のうちの消灯しているターンランプ153側の領域よりも車両10の進行方向における手前に位置する路面に投影される。このように投影される第4領域804及び第5領域805のうちの消灯しているターンランプ153側の領域は、運転者に安心感を与える観点から、第1領域801及び第2領域802のうちの消灯しているターンランプ153側の領域よりも明るくされることが望まれている。従って、この車両用前照灯20において、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合、第4領域804及び第5領域805のうちの消灯しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量が第1領域801及び第2領域802のうちの消灯しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量よりも多くなる。この場合、第4領域804及び第5領域805のうちの消灯しているターンランプ153側の領域における光量が第1領域801及び第2領域802のうちの消灯しているターンランプ153側の領域における光量よりも多くならない場合に比べて、手前は明るくなり得る。従って、運転者は手前に注目し易くなり得、運転者は安心感を与えられ得る。
【0125】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、制御部50は、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、第4領域804及び第5領域805のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量が第4領域804及び第5領域805のうちの消灯しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0126】
ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、運転者の視線は第4領域804及び第5領域805のうちの消灯しているターンランプ153側の領域よりも第4領域804及び第5領域805のうちの点滅しているターンランプ153側の領域に集中し、運転者は消灯しているターンランプ153側の領域に比べて点滅しているターンランプ153側の領域に注意を払うことが多い。以上により、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合では、点滅しているターンランプ153側の領域の明るさの必要性は消灯しているターンランプ153側の領域の明るさの必要性よりも向上し得る。このため、この車両用前照灯20において、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合では、点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量は消灯しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量よりも多い。点滅しているターンランプ153側の領域における光量が多いと、当該光量が多くならない場合に比べて、点滅しているターンランプ153側の領域が明るくなり得、点滅しているターンランプ153側の領域における光量の不足が抑制され得る。従って、点滅しているターンランプ153側の領域において、運転者の視認性の低下が抑制され得る。
【0127】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、制御部50は、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、第6領域806を形成する光の光量が第4領域804及び第5領域805のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量よりも多くなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0128】
配光パターン800において、第6領域806は車両10の走行車線の前方に投影され、第4領域804及び第5領域805のうちの点滅しているターンランプ153側の領域は当該走行車線の隣りの車線に投影され得る。このように投影される第6領域806は、運転者に安心感を与える観点から、第4領域804及び第5領域805のうちの点滅しているターンランプ153側の領域よりも明るくされることが望まれている。従って、この車両用前照灯20において、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合、第6領域806を形成する光の光量が第4領域804及び第5領域805のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量よりも多くなる。この場合、第6領域806における光量が第4領域804及び第5領域805のうちの点滅しているターンランプ153側の領域における光量よりも多くならない場合に比べて、走行車線の前方は明るくなり得る。従って、運転者は手前に注目し易くなり得、運転者は安心感を与えられ得る。
【0129】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、制御部50は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合とターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合とにおいて、第6領域806を形成する光量が第3領域803を形成する光の光量よりも少なくなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0130】
ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合とターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合とにおいて、第6領域806は第3領域803よりも車両10の進行方向における手前に投影される。車両10が進行すると、路面は、第3領域803を形成する光を照射された後、第6領域806を形成する光を照射される。この場合、運転者は、第6領域806を形成する光よりも前に第3領域803を形成する光によって路面を認知し得る。従って、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合とターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合とにおいて、第6領域806の明るさの必要性は第3領域803の明るさの必要性に比べて低下し得る。このため、この車両用前照灯20において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合とターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合とにおいて、第6領域806における光量は、第3領域803における光量よりも少ない。この場合、第6領域806における光量が第3領域803における光量よりも少なくならない場合に比べて、第6領域806を形成する光を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。
【0131】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、制御部50は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合とターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合とにおいて、第3領域803を形成する光の光量が同じとなるように、一対の発光ユニット30を制御する。
【0132】
ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合とターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合とにおいて、第3領域803の明るさは同じとなる。従って、この車両用前照灯20では、明るさの変化による運転者の視覚への負担が抑制され得る。また、この車両用前照灯20では、制御部50は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合とターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合とにおいて、発光ユニットに同じ電力を供給すればよい。従って、この車両用前照灯20では、明るさが変わる場合に比べて、制御部50の負担が軽減され得る。
【0133】
また、本実施形態の車両用前照灯20では、制御部50は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合において、第1領域801を形成する光の光量及び第2領域802を形成する光の光量が第3領域803を形成する光の光量よりも少なくなるように、一対の発光ユニット30を制御してもよい。
【0134】
配光パターン800において、第3領域803には直線が通るため、第3領域803は車両10の走行車線の前方に投影され得る。ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合において、車両10は直進している状態となる。運転者の視線は第1領域801及び第2領域802よりも第3領域803に集中し、運転者は第1領域801及び第2領域802に比べて第3領域803に注意を払うことが多い。以上により、車両10が直進している状態では、第1領域801及び第2領域802の明るさの必要性は第3領域803の明るさの必要性よりも低下し得る。このため、この車両用前照灯20において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合では、第1領域801を形成する光の光量及び第2領域802を形成する光の光量は第3領域803を形成する光の光量よりも少ない。第1領域801及び第2領域802における光量が少ないと、当該光量が少なくない場合に比べて、第1領域801及び第2領域802を形成する光を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。また、車両10は、右折または左折することよりも直進することが多くなり得る。従って、この車両用前照灯20によれば、直進時において電力が低減されることによって、右折時または左折時において電力が低減されるよりも、消費電力がより低減され得る。
【0135】
上記において、第1領域801と第2領域802と第3領域803とを用いて光量の制御を説明したが、第4領域804と第5領域805と第6領域806とにおける光量の制御も同じである。第1領域801と第2領域802と第3領域803と同様に、車両10が直進している状態では、第4領域804及び第5領域805の明るさの必要性は第6領域806の明るさの必要性よりも低下し得る。このため、この車両用前照灯20において、制御部50は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合において、第4領域804を形成する光の光量及び第5領域805を形成する光の光量が第6領域806を形成する光の光量よりも少なくなるように、一対の発光ユニット30を制御してもよい。第4領域804及び第5領域805における光量が少ないと、当該光量が少なくない場合に比べて、第4領域804及び第5領域805を形成する光を出射する発光ユニットに供給される電力が低減され得る。従って、この車両用前照灯20によれば、消費電力が低減され得る。
【0136】
以上、本発明について、上記実施形態を例に説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0137】
一方の発光ユニット30aの構成は、他方の発光ユニット30bの構成と同じとされているが、他方の発光ユニット30bの構成と異なってもよい。一方の発光ユニット30a及び他方の発光ユニット30bの構成は特に限定されるものではない。また、例えば、一方の発光ユニット30a及び他方の発光ユニット30bは、パラボラ型の発光ユニット、プロジェクター型の発光ユニット、または直射レンズ型の発光ユニット等とされてもよい。
【0138】
撮影画像は、動画像及び静止画像の少なくとも一方であればよい。
【0139】
第1領域801と第2領域802と第4領域804と第5領域805とのそれぞれの幅は、第3領域803の幅と同じであってもよいし、第3領域803の幅よりも小さくてもよい。第1領域801と第2領域802と第3領域803と第4領域804と第5領域805と第6領域806とのそれぞれの幅は、配光パターン800の幅を3つに均等に分割した長さであり、配光パターン400の幅は3つに均等に区分けられた配光パターン800の各領域の幅よりも大きくされてもよい。制御部50は、配光パターン400の幅が第3領域803の幅よりも大きくなるように、一対の発光ユニット30を制御してもよい。
【0140】
配光パターン800は、車両10の左右方向において少なくとも3つ以上の領域に区分けられていればよい。
【0141】
制御部50は、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも第1領域801及び第2領域802のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が多くなるように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0142】
また、制御部50は、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、第1領域801及び第2領域802のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が第3領域803を形成する光の少なくとも一部の光量以上となるように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0143】
また、制御部50は、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも第4領域804及び第5領域805のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が多くなるように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0144】
また、制御部50は、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、第4領域804及び第5領域805のうちの消灯しているターンランプ153側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が第1領域801及び第2領域802のうちの消灯しているターンランプ153側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量よりも多くなるように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0145】
また、制御部50は、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、第4領域804及び第5領域805のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が第4領域804及び第5領域805のうちの消灯しているターンランプ153側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量よりも多くなるように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0146】
また、制御部50は、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、第6領域806を形成する光の少なくとも一部の光量が第4領域804及び第5領域805のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量よりも多くなるように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0147】
また、制御部50は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合とターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合とにおいて、第6領域806を形成する光の少なくとも一部の光量が第3領域803を形成する光の少なくとも一部の光量よりも少なくなるように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0148】
また、制御部50は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合とターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合とにおいて、第3領域803を形成する光の少なくとも一部の光量が同じとなるように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0149】
また、制御部50は、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、第1領域801及び第2領域802のうちの点滅しているターンランプ153側の領域とは反対側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量がターンランプ153のそれぞれが消灯している場合以下となるように、発光ユニット30を制御してもよい。ここでは、第1領域801及び第2領域802を用いて説明したが、制御部50は、第1領域801及び第2領域802と同様に、第4領域804及び第5領域805とにおける光量を制御してもよい。
【0150】
制御部50は、第1領域801と第2領域802と第4領域804と第5領域805と第6領域806とのそれぞれを形成する光の少なくとも一部の光量が同時に上記したように調節されるように、発光ユニット30を制御してもよい。また、制御部50は、第1領域801及び第2領域802のうちの消灯しているターンランプ153側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量がゼロとなるように、発光ユニット30を制御してもよい。ここでは、第1領域801及び第2領域802を用いて説明したが、制御部50は、第1領域801及び第2領域802と同様に、第4領域804及び第5領域805とにおける光量を制御してもよい。
【0151】
制御部50は、第3領域803における光量分布が均一となるように、発光ユニット30を制御してもよい。ここでは、第3領域803を用いて説明したが、制御部50は、第3領域803と同様に、他の領域においても光量分布が均一となるように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0152】
制御部50は、第1領域801及び第2領域802のうちの点滅しているターンランプ153側の領域における光量が車両10の左右方向において第3領域803から離れるほど多くなるように、発光ユニット30を制御してもよい。制御部50は、第1領域801及び第2領域802のうちの消灯しているターンランプ153側の領域における光量が車両10の左右方向において第3領域803から離れるほど少なくなるように、発光ユニット30を制御してもよい。ここでは、第1領域801及び第2領域802を用いて説明したが、制御部50は、第1領域801及び第2領域802と同様に、第4領域804及び第5領域805における光量を制御してもよい。制御部50は、第1領域801及び第2領域802のうちの点滅しているターンランプ153側の領域における最も暗い部分が第3領域803の最も暗い部分以上に明るくなるまたは第3領域803の最も明るい部分以上に明るくなるように、発光ユニット30を制御してもよい。第1領域801及び第2領域802のうちの点滅しているターンランプ153側の領域における最も暗い部分は、例えば、当該領域において第3領域803の端部に隣り合う部分である。
【0153】
制御部50は、上記したように、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも第1領域801及び第2領域802のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量が多くなるように、発光ユニット30を制御する。点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の光量は、徐々に多くなってもよいし、段階的に多くなってもよい。
【0154】
光量が徐々に多くなる場合、光量の急峻な増加が抑制される。従って、本実施形態の車両用前照灯20によれば、急峻な増加による自車の運転者の視認性の低下を抑制し得る。また、この車両用前照灯20によれば、光量が徐々に多くならない場合に比べて、自車の運転者は車両10の前方の明るさに目が自然に慣れ易くなり得る。従って、この車両用前照灯20によれば、自車の運転者の視認性の低下を抑制し得る。なお、この車両用前照灯20では、増加する光量の変化率は一定であるが、所定期間の間において途中で変化率が変化するように、制御部50は発光ユニット30を制御してもよい。
【0155】
光量が段階的に多くなる場合、光量が段階的に多くなるタイミングで、制御部50は発光ユニットを制御すればよい。従って、光量が段階的に多くならない場合に比べて、制御部50の負担が軽減され得る。
【0156】
ここでは、第1領域801及び第2領域802のうちの点滅しているターンランプ153側の領域における光量を用いて説明したが、制御部50は、第1領域801及び第2領域802のうちの点滅しているターンランプ153側の領域における光量と同様に、他の領域における光量を制御してもよい。
【0157】
制御部50は、走行情報における操舵角が大きいほど、点滅しているターンランプ153側の領域の光量を多くしてもよい。操舵角が小さいほど車両10は直進している状態に近づく。従って、制御部50は、操舵角が小さいほど、点滅しているターンランプ153側の領域の光量を少なくしてもよい。
【0158】
配光パターン800は、第1領域801の上方に位置する第7領域と、第2領域802の上方に位置する第8領域とをさらに有してもよい。第7領域は配光パターン400の右側に位置し、第8領域は配光パターン400の右側に位置する。制御部50は、第7領域における光量及び第8領域における光量を、第1領域における光量及び第2領域における光量と同様に制御してもよい。例えば、制御部50は、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合において、第7領域を形成する光の少なくとも一部の光量及び第8領域を形成する光の少なくとも一部の光量が第3領域803を形成する光の少なくとも一部の光量よりも少なくなると共に、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、ターンランプ153のそれぞれが消灯している場合よりも第7領域及び第8領域のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が多くなるように、発光ユニット30を制御してもよい。また、制御部50は、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、第7領域及び第8領域のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が第3領域803を形成する光の少なくとも一部の光量以上となるように、発光ユニット30を制御してもよい。また、制御部50は、ターンランプ153のいずれか一方が点滅している場合において、第7領域及び第8領域のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量が第1領域801及び第2領域802のうちの点滅しているターンランプ153側の領域を形成する光の少なくとも一部の光量以上となるように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0159】
制御部50は、配光パターン400の下縁全体が第1領域801の上縁の一部と第2領域802の上縁の一部と第3領域803の上縁全体とに接するように、発光ユニット30を制御してもよい。
【0160】
車両10が一般道220を走行している状態における光量の制御について、ロービームの配光パターン800を用いて説明したが、ハイビームの配光パターンにおいても、配光パターン800と同様に制御されてもよい。
【0161】
ロービーム及びオーバーヘッドサイン光が出射されているが、ロービームのみが出射されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0162】
以上説明したように、本発明によれば、運転者の視認性の低下を抑制し得る車両用前照灯が提供され、当該車両用前照灯は自動車等の車両用前照灯の分野等において利用可能である。
【符号の説明】
【0163】
10・・・車両
20・・・車両用前照灯
30・・・発光ユニット
50・・・制御部
60・・・記録部
100・・・検出装置