(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】バスバー電線及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01B 7/00 20060101AFI20240401BHJP
H01B 13/00 20060101ALI20240401BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
H01B7/00 302
H01B13/00 515
H02G3/04 062
(21)【出願番号】P 2020109392
(22)【出願日】2020-06-25
【審査請求日】2023-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】近藤 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】志茂 茜
(72)【発明者】
【氏名】阿部 倫之
【審査官】北嶋 賢二
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02571119(EP,A2)
【文献】国際公開第2015/079884(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 7/00
H01B 13/00
H02G 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された導電性を有する複数枚の平型導体と、
前記複数枚の平型導体の周囲に設けられる絶縁被覆と、を備え、
前記絶縁被覆は、
長手方向における特定の箇所において前記複数枚の平型導体
の周囲全域と密着状態とされており、
長手方向における前記特定の箇所を除く非特定箇所において前記複数枚の平型導体と隙間を有した状態とされている
ことを特徴とするバスバー電線。
【請求項2】
前記非特定箇所の少なくとも1箇所において曲げられている
ことを特徴とする請求項1に記載のバスバー電線。
【請求項3】
積層された導電性を有する複数枚の平型導体の周囲を、熱収縮性を有する絶縁被覆で覆う第1工程と、
前記第1工程で覆った前記絶縁被覆の特定の箇所に対して加熱を行い、前記絶縁被覆を熱収縮させて前記複数枚の平型導体と密着させる第2工程と、
を備えることを特徴とするバスバー電線の製造方法。
【請求項4】
積層された導電性を有する複数枚の平型導体の一部を加熱し残部を非加熱とする第1工程と、
前記第1工程において一部が加熱された前記複数枚の平型導体の周囲を、熱収縮性を有する絶縁被覆で覆う第2工程と、を備え、
前記複数枚の平型導体のうち前記第1工程にて加熱された部分において、前記第2工程において覆われた前記絶縁被覆が熱収縮して前記複数枚の平型導体と密着する
ことを特徴とするバスバー電線の製造方法。
【請求項5】
積層された導電性を有する複数枚の平型導体の周囲を、熱収縮性を有する絶縁被覆で覆う工程を備え、
前記工程では、押出機の樹脂吐出量を変化させながら、前記複数枚の平型導体の周囲を前記絶縁被覆で覆い、前記樹脂吐出量を所定値以上としたときに前記絶縁被覆を前記複数枚の平型導体に密着させる
ことを特徴とするバスバー電線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバー電線及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の電動化や自動運転化に伴いワイヤーハーネスの使用量が増加傾向にあり、ワイヤーハーネスの省スペース化が求められている。このような省スペース化を実現し得るものとして、電線の形状を従来の丸形から平型形状とすることにより省スペース化を図るバスバー電線が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1に記載のバスバー電線については、車両内の配索状態に応じて適宜曲げるために柔軟性を有する箇所と、自重で撓まないようにするために剛性を有する箇所とを備える必要がある。
【0005】
そこで、柔軟性を有する箇所と剛性を有する箇所とを、車両への配索状態に応じて予め設計しておくことで、車両に適切に配索可能なバスバー電線を提供することができる。特に、本件発明者らは、柔軟性を有する箇所について平型導体を複数枚積層することを考えており、剛性を有する箇所について1枚の平型導体を用いることを考えていた。しかし、この場合には、車両やグレード等、さらには使用部位のそれぞれに応じて、平型導体の枚数を個別に設定したバスバー電線を製造しなければならず、非常に手間となってしまう。
【0006】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、平型導体の枚数を統一しつつも、柔軟性を有する箇所と剛性を有する箇所とを適宜設定することができるバスバー電線及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るバスバー電線は、積層された導電性を有する複数枚の平型導体と、前記複数枚の平型導体の周囲に設けられる絶縁被覆と、を備え、前記絶縁被覆は、長手方向における特定の箇所において前記複数枚の平型導体の周囲全域と密着状態とされており、長手方向における前記特定の箇所を除く非特定箇所において前記複数枚の平型導体と隙間を有した状態とされている。
【0008】
また、本発明に係るバスバー電線の製造方法は、積層された導電性を有する複数枚の平型導体の周囲を、熱収縮性を有する絶縁被覆で覆う第1工程と、前記第1工程で覆った前記絶縁被覆の特定の箇所に対して加熱を行い、前記絶縁被覆を熱収縮させて前記複数枚の平型導体と密着させる第2工程と、を備える。
【0009】
また、本発明に係るバスバー電線の製造方法は、積層された導電性を有する複数枚の平型導体の一部を加熱し残部を非加熱とする第1工程と、前記第1工程において一部が加熱された前記複数枚の平型導体の周囲を、熱収縮性を有する絶縁被覆で覆う第2工程と、を備え、前記複数枚の平型導体のうち前記第1工程にて加熱された部分において、前記第2工程において覆われた前記絶縁被覆が熱収縮して前記複数枚の平型導体と密着する。
【0010】
また、本発明に係るバスバー電線の製造方法は、積層された導電性を有する複数枚の平型導体の周囲を、熱収縮性を有する絶縁被覆で覆う工程を備え、前記工程では、押出機の樹脂吐出量を変化させながら、前記複数枚の平型導体の周囲を前記絶縁被覆で覆い、前記樹脂吐出量を所定値以上としたときに前記絶縁被覆を前記複数枚の平型導体に密着させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、平型導体の枚数を統一しつつも、柔軟性を有する箇所と剛性を有する箇所とを適宜設定することができるバスバー電線及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係るバスバー電線を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示したバスバー電線の断面図であり、(a)はA-A断面を示し、(b)はB-B断面を示している。
【
図3】本発明の実施形態に係るバスバー電線の製造方法を示す第1の構成図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るバスバー電線の製造方法を示す第2の構成図である。
【
図5】本実施形態に係るバスバー電線の製造時における加熱条件を示す図表である。
【
図6】第2実施形態に係るバスバー電線の製造方法を示す構成図である。
【
図7】第3実施形態に係るバスバー電線を示す斜視図であって、非特定箇所での曲げがない状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るバスバー電線を示す斜視図である。
図2は、
図1に示したバスバー電線の断面図であり、(a)はA-A断面を示し、(b)はB-B断面を示している。
【0015】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るバスバー電線1は、例えばワイヤーハーネスとして車両内に配索されるものであって、複数枚の平型導体10と、絶縁被覆20とを備えている。
【0016】
複数枚の平型導体10は、例えば銅、アルミニウム又はそれらの合金等の導電性金属から構成されており、互いに積層された状態となっている。各平型導体10は、
図2(a)及び
図2(b)に示すように、長手方向に直交する断面形状が概略矩形状(完全な矩形状のみならず角部がやや丸みを有した矩形状を含む)とされている。
【0017】
絶縁被覆20は、平型導体10の外周に被覆される絶縁体によって構成されている。この絶縁被覆20は、例えばポリオレフィン、PVC系、及びフッ素系等の熱収縮性を有する絶縁体によって構成されている。この絶縁被覆20は、チューブ状に構成されて、複数枚の平型導体10の周囲に配置されたものとなっている。なお、絶縁被覆20は、平型導体10の断面形状に沿って真円筒状のものよりも楕円筒状のものであることが好ましい。
【0018】
ここで、本実施形態において絶縁被覆20は、
図2(a)に示すように特定の箇所SPにおいて、ヒートガンやアイロン等により熱収縮させられて複数枚の平型導体10と密着状態とされている。一方、絶縁被覆20は、
図2(b)に示すように特定の箇所SPを除く非特定箇所NSPにおいて熱収縮させられておらず複数枚の平型導体10と隙間Gを有した状態とされている。
【0019】
さらに、本実施形態に係るバスバー電線1は、非特定箇所NSPにおいて曲げられている。例えばバスバー電線1は、
図1に示すように、第1及び第2の非特定箇所NSP1,NSP2において平型導体10の平面方向に曲げられており、第3の非特定箇所NSP3において捻じり曲げがされている。なお、
図1において全ての非特定箇所NSPが曲げられているが、これに限らず、剛性面において支障がないレベルで一部の非特定箇所NSPが曲げられてなくともよい。すなわち、非特定箇所NSPは少なくとも1箇所が曲げられていればよい。
【0020】
ここで、絶縁被覆20は、特定の箇所SPにおいて熱収縮させられて複数枚の平型導体10と密着状態とされていることから、複数枚の平型導体10が1枚板であるかのように作用して剛性の高い部位とすることができる。一方、絶縁被覆20は、非特定箇所NSPにおいて熱収縮させられておらず複数枚の平型導体10と隙間Gを有した状態とされていることから、複数枚の平型導体10が曲げに対して個別に曲げられることとなり、柔軟性を有した部位とすることができる。
【0021】
図3は、本発明の実施形態に係るバスバー電線1の製造方法を示す第1の構成図であり、
図4は、本発明の実施形態に係るバスバー電線1の製造方法を示す第2の構成図である。
【0022】
まず、
図3に示すように、本実施形態に係るバスバー電線1を製造するにあたっては、まず複数枚の平型導体10と絶縁被覆20とを用意し、積層された複数枚の平型導体10をチューブ状の絶縁被覆20内に挿入する。これにより、複数枚の平型導体10の周囲を絶縁被覆20にて覆うことができる(第1工程)。
【0023】
次に、車両仕様等に応じて決定される特定の箇所SPを、ヒートガンや熱収縮チューブ用のアイロンにより所定温度以上で所定時間以上加熱する(第2工程)。これにより、特定の箇所SPは熱収縮することとなり、絶縁被覆20と複数枚の平型導体10とが密着することとなる。
【0024】
その後、特定の箇所SPを除く非特定箇所NSPが車両仕様等に応じて曲げられることとなる。これにより、
図1に示すように、剛性を有する箇所において剛性を保ちつつも、柔軟性を有する箇所において曲げられて適切に配索されるバスバー電線1を提供することができる。
【0025】
図5は、本実施形態に係るバスバー電線1の製造時における加熱条件を示す図表である。
図5に示すように、絶縁被覆20の材質が架橋ポリオレフィンであり、絶縁被覆20の内径外周が約63mmであり、厚さが約0.3mmであるとする。この場合において、80℃で10分間の加熱を行った場合、絶縁被覆20は複数枚の平型導体10に対して密着せず隙間Gを有した状態となった。一方、120℃で10分間の加熱を行った場合、絶縁被覆20は複数枚の平型導体10に対して密着して隙間Gが無い状態となった。
【0026】
また、絶縁被覆20の材質がPVC系であり、絶縁被覆20の内径外周が約80mmであり、厚さが約0.3mmであるとする。この場合において、70℃で10分間の加熱を行った場合、絶縁被覆20は複数枚の平型導体10に対して密着せず隙間Gを有した状態となった。一方、100℃で10分間の加熱を行った場合、絶縁被覆20は複数枚の平型導体10に対して密着して隙間Gが無い状態となった。
【0027】
また、絶縁被覆20の材質がフッ素系であり、絶縁被覆20の内径外周が約80mmであり、厚さが約0.2mmであるとする。この場合において、150℃で10分間の加熱を行った場合、絶縁被覆20は複数枚の平型導体10に対して密着せず隙間Gを有した状態となった。一方、170℃で10分間の加熱を行った場合、絶縁被覆20は複数枚の平型導体10に対して密着して隙間Gが無い状態となった。
【0028】
以上より、絶縁被覆20の材質に応じて加熱温度を適宜変化させることで、絶縁被覆20を適切に熱収縮させ、絶縁被覆20と複数枚の平型導体10とを密着させることができることがわかった。なお、図示を省略するが、加熱温度が
図5に示す例に満たない場合であっても加熱時間を長くすることで絶縁被覆20と複数枚の平型導体10とを密着させることができることもわかった。
【0029】
このようにして、本実施形態に係るバスバー電線1によれば、複数枚の平型導体10を有するため、柔軟性を有する箇所と剛性を有する箇所とで平型導体10の枚数を統一することができる。また、絶縁被覆20は、特定の箇所SPにおいて熱収縮させられており、非特定箇所NSPにおいて熱収縮させられていない状態とされているため、収縮させられた特定の箇所SPにおいて複数枚の平型導体10と絶縁被覆20とを密着させて剛性を有する部位とすることができ、且つ、非特定箇所NSPにおいては隙間Gを有して複数枚の平型導体10がそれぞれ個別に曲がることができ、柔軟性を有する部位とすることができる。従って、平型導体10の枚数を統一しつつも、柔軟性を有する箇所と剛性を有する箇所とを適宜設定することができる。
【0030】
また、非特定箇所NSPの少なくとも1箇所において曲げられているため、非特定箇所NSPの曲げを利用して車両へ適切に配索することが可能なバスバー電線1とすることができる。
【0031】
また、本実施形態に係るバスバー電線1の製造方法によれば、絶縁被覆20の特定の箇所SPに対して加熱を行って絶縁被覆20を熱収縮させるため、車両使用等に応じて特定の箇所SPを選択して熱収縮させることにより、平型導体10の枚数を統一しつつも、柔軟性を有する箇所と剛性を有する箇所とを適宜設定したバスバー電線1を提供することができる。
【0032】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。以下、第2実施形態について、第1実施形態との相違点を説明する。
【0033】
第2実施形態に係るバスバー電線1は
図1に示したバスバー電線1と同じであるが、製造方法が異なっている。
【0034】
図6は、第2実施形態に係るバスバー電線1の製造方法を示す構成図である。まず、第2実施形態においては、複数枚の平型導体10に加熱処理が行われる。このとき、複数枚の平型導体10のうち一部が加熱され残部が非加熱とされる。導体位置MSPは、絶縁被覆20を被せたときに特定の箇所SP(
図1及び
図4参照)となる位置である(第1工程)。
【0035】
次に、導体位置MSPが加熱された複数枚の平型導体10の周囲を、熱収縮性を有する絶縁被覆20で覆う(第2工程)。これにより、複数枚の平型導体10のうち加熱された部分(導体位置MSP)において、絶縁被覆20が熱収縮して複数枚の平型導体10と密着する。一方、加熱されていない箇所(導体位置MSP以外の箇所)では密着せず隙間G(
図2(b)参照)を有した状態となる。よって、特定の箇所SPで絶縁被覆20が複数枚の平型導体10に密着し、非特定箇所NSPで絶縁被覆20が複数枚の平型導体10に対して隙間Gを有したバスバー電線1を得ることができる。なお、このバスバー電線1は、第1実施形態と同様に、非特定箇所NSPが車両仕様等に応じて曲げられることとなる。
【0036】
このようにして、第2実施形態に係るバスバー電線1によれば、第1実施形態と同様に、平型導体10の枚数を統一しつつも、柔軟性を有する箇所と剛性を有する箇所とを適宜設定することができる。また、非特定箇所NSPの少なくとも1箇所において曲げられているため、非特定箇所NSPの曲げを利用して車両へ適切に配索することが可能なバスバー電線1とすることができる。
【0037】
また、第2実施形態に係るバスバー電線1の製造方法によれば、第1実施形態と同様に、平型導体10の枚数を統一しつつも、柔軟性を有する箇所と剛性を有する箇所とを適宜設定したバスバー電線1を提供することができる。
【0038】
次に、本発明の第3実施形態を説明する。以下、第3実施形態について、第1実施形態との相違点を説明する。
【0039】
図7は、第3実施形態に係るバスバー電線2を示す斜視図であって、非特定箇所NSPでの曲げがない状態を示している。なお、バスバー電線2は車両配索時に非特定箇所NSPにおいて曲げられることはいうまでもない。
図7に示すように、第3実施形態に係るバスバー電線2は、第1及び第2実施形態と異なり、外観上は特定の箇所SPと非特定箇所NSPとの間で段部がなく、ストレート構造となっている。しかし、絶縁被覆20と複数枚の平型導体10との密着状態は第1及び第2実施形態と同様である。すなわち、第3実施形態において絶縁被覆20は、特定の箇所SPにおいて複数枚の平型導体10と密着しており、非特定箇所NSPにおいて複数枚の平型導体10と密着しておらず隙間G(
図2(b)参照)を有した状態となっている。
【0040】
次に、第3実施形態に係るバスバー電線2の製造方法を説明する。第3実施形態に係るバスバー電線2については、押出機を利用して絶縁被覆20が複数枚の平型導体10の周囲に設けられる。なお、第1及び第2実施形態に係るバスバー電線1は、絶縁被覆20が押出機を利用して複数枚の平型導体10の周囲に設けられてもよいし、手作業により複数枚の平型導体10の周囲に設けられてもよい。
【0041】
ここで、第3実施形態においては、押出機による樹脂吐出量を変化させながら、複数枚の平型導体10の周囲に絶縁被覆20を設けるようにしている。この際、第3実施形態では、特定の箇所SPとなる位置において樹脂吐出量を所定値以上とし、絶縁被覆20を複数枚の平型導体10に密着させる。一方、第3実施形態では、非特定箇所NSPとなる位置において樹脂吐出量を規定値未満とし、絶縁被覆20を複数枚の平型導体10に密着させず隙間G(
図2(b)参照)を有した状態とする。
【0042】
以上により、特定の箇所SPで絶縁被覆20が複数枚の平型導体10に密着し、非特定箇所NSPで絶縁被覆20が複数枚の平型導体10に対して隙間Gを有したバスバー電線2を得ることができる。なお、このバスバー電線2は、第1及び第2実施形態と同様に、非特定箇所NSPが車両仕様等に応じて曲げられることとなる。
【0043】
このようにして、第3実施形態に係るバスバー電線2によれば、第1実施形態と同様に、平型導体10の枚数を統一しつつも、柔軟性を有する箇所と剛性を有する箇所とを適宜設定することができる。また、非特定箇所NSPの少なくとも1箇所において曲げられているため、非特定箇所NSPの曲げを利用して車両へ適切に配索することが可能なバスバー電線2とすることができる。
【0044】
また、第3実施形態に係るバスバー電線2の製造方法によれば、第1実施形態と同様に、平型導体10の枚数を統一しつつも、柔軟性を有する箇所と剛性を有する箇所とを適宜設定したバスバー電線2を提供することができる。加えて、外観上、特定の箇所SPと非特定箇所NSPとの境界で過度の段差を有しないバスバー電線2を提供することができる。
【0045】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能であれば公知又は周知の技術を組み合わせてもよい。
【0046】
例えば、本実施形態に係るバスバー電線1,2については、
図1等に示すように、絶縁被覆20の端部が複数枚の平型導体10と密着状態となっていないが、熱収縮により絶縁被覆20の両端部を複数枚の平型導体10と密着させて、複数枚の平型導体10と絶縁被覆20との隙間Gに異物が侵入しないように構成してもよい。また、密着状態に限らず、異物侵入を防止する程度の隙間Gを有した熱収縮状態となっていてもよい。
【0047】
さらに、本実施形態に係るバスバー電線1,2は、
図1等に図示するように2枚の平型導体10を備えているが、特に2枚に限らず、3枚以上を有していてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1,2 :バスバー電線
10 :平型導体
20 :絶縁被覆
G :隙間
NSP :非特定箇所
SP :特定の箇所