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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】煙感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/107 20060101AFI20240401BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G08B17/107 Z
A61L9/20
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020140549
(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公開番号】P2022036380
(43)【公開日】2022-03-08
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100188547
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴野 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】内田 真道
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-114475(JP,A)
【文献】特開2011-242909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00-17/12
A61L 9/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子の散乱光を受光する受光素子と、
前記発光素子と前記受光素子が設けられ、外光を遮断しつつ、外気を内部へ通気させる内部空間と、
基板に設けられた制御部と、
を有する煙感知器において、
前記制御部の出力信号で駆動し、前記内部空間に外気を取り入れる送気装置と、前記内部空間に紫外線を照射する、紫外線発光素子と、を備え
前記制御部は、
前記発光素子と前記紫外線発光素子を間欠的に発光させ、前記発光素子の発光時に前記紫外線発光素子の発光を停止させる、発光制御手段と、
前記紫外線発光素子の発光時に前記送気装置を駆動させる駆動手段と、して機能することを特徴とする煙感知器。
【請求項2】
前記制御部は、前記受光素子が前記発光素子の散乱光を検出したとき、所定時間は前記紫外線発光素子を発光させず、前記送気装置も駆動させないことを特徴とする
請求項1に記載された煙感知器。
【請求項3】
発光素子と、
前記発光素子の散乱光を受光する受光素子と、
前記発光素子と前記受光素子が設けられ、外光を遮断しつつ、外気を内部へ通気させる内部空間と、
基板に設けられた制御部と、
を有する煙感知器において、
前記制御部の出力信号で駆動し、前記内部空間に外気を取り入れる送気装置と、前記内部空間に紫外線を照射する、紫外線発光素子と、を備え、
前記制御部は、前記受光素子が前記発光素子の散乱光を検出したとき、所定時間は前記紫外線発光素子を発光させず、前記送気装置も駆動させないことを特徴とする感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の天井等に取り付ける煙感知器に関し、建物内の空気を殺菌する機能を有するものである。
【背景技術】
【0002】
光電式スポット型の煙感知器は、火災により発生した煙を、外光を遮断した内部空間で感知する。このような煙感知器のなかには、積極的に外気を内部空間に取り入れるものがある。特許文献1には、吸込扇を備えた煙感知器が記載されている。そして、吸込扇によって煙を吸い込むことによって、火災により発生した煙が少量であっても煙室の空間内を確実に通過させることになり、光検知部を動作させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開昭53-45198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、ウィルス等による感染症が問題となっている。ウィルスや細菌を含む飛沫や、飛沫の水分が蒸発した飛沫核により感染する感染症は、接触感染よりも感染しやすい。ウィルス等を含んだ飛沫は落下しやすいが、飛沫から水分が蒸発した飛沫核は小さく軽いために長時間にわたり空気中を浮遊して、空気感染の原因となる。空気中を飛沫核の形態で浮遊するウィルスや細菌を不活性化や殺菌するためには、紫外線LEDを用いた紫外線照射が有効である。しかし、紫外線は人体にも悪影響を及ぼすことから、室内に紫外線を照射することはできない。
【0005】
本発明は、紫外線を用いて、人体に悪影響を及ぼさずに空気中に浮遊するウィルスや細菌を不活性化や殺菌することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、発光素子と、受光素子と、前記発光素子と前記受光素子が設けられ、外光を遮断しつつ、外気を内部へ通気させる内部空間と、基板に設けられた制御部と、を有する煙感知器において、前記制御部の出力信号で駆動し、前記内部空間に外気を取り入れる送気装置と、前記内部空間に紫外線を照射する、紫外線発光素子と、を備えたことを特徴とする煙感知器である。
【発明の効果】
【0007】
煙感知器の内部空間である煙感知室は外部との通気性を有しつつ外光が入らない構造となっている。
【0008】
本発明によると、煙感知室の上記構造を利用して煙感知室内に紫外線を照射することにより紫外線が外部に漏れず、人体に悪影響を及ぼさずに空気中のウィルスを不活性化し、細菌を殺菌することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1における煙感知器1。
図2】実施例1における煙未検出時の動作タイミング。
図3】実施例1における煙検出時の動作タイミング。
図4】実施例2における昼間モードの動作タイミング。
図5】実施例3における煙感知器3の垂直断面図。
図6】実施例4における煙感知器4の水平断面図。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0010】
図1は、実施例1における煙感知器1を示す。図1(a)は、天井板5に設けた穴に取り付けた煙感知器1の垂直断面図、図1(b)は、水平断面図である。図1(a)は図1(b)のA-A点線での断面を下から上に見たところを、図1(b)は図1(a)のB-B点線での断面を示す。尚、本願でいう上下、側方は、煙感知器1等を水平な天井に設置した状態を基準として示すものである。煙感知器1等は垂直な壁や斜めの天井に設置することも可能であり、その場合の上下等と本願でいう上下等とは異なることとなる。
【0011】
煙感知器1の内部空間である煙感知室11には、側方に発光素子である赤外線LED121と受光素子である赤外線受光器122が設けられ、上面に紫外線発光素子である紫外線LED123が設けられている。本実施例では、発光素子を赤外線LED121、受光素子を赤外線受光器122として説明するが、これらに限られるものではない。煙感知室11は外光が入光しない暗室となっており、上面板111、側面板112、下面板113を含めて内部は赤外線を反射しない部材を用いている。上面板111の上方には基板12が設けられ、赤外線LED121、赤外線受光器122、紫外線LED123とともに制御部である制御素子124が搭載されている。制御素子124は、主にマイコン等で構成され、煙濃度を検知し火災判定をする手段としての機能に加え、赤外線LED121と紫外線LED123を間欠的に発光させる発光制御手段としての機能を有している。また、制御素子124は、送気ファン141を駆動させる駆動手段としての機能を有している。
【0012】
図1(b)に示すように、煙感知室11の下部は、下面板113の隙間から吸入口13に通じている。吸入口13の下方には、遮光板15が設けられ、外光が吸入口13から煙感知室11に入らないように、一種のラビリンス構造となっている。また、煙感知室11の下部には、送気ファン141が設けられ、送出口14につづいている。送気ファン141も外光が煙感知室11に入らない遮光性を有する構造である。
【0013】
赤外線受光器122は、赤外線LED121の発光方向から120°の角度の位置に設けられている。なお、本実施例では120°であるが、一般的には概ね50~130°の範囲内の角度の位置に赤外線受光器が設けられる。赤外線LED121から送出する赤外線は比較的に指向性が高い。さらに別途、レンズ(図示なし)を設けることで指向性をより高めることもできる。このような赤外線が送出されている内部空間に、煙がない場合には赤外線受光器122に赤外線が直接入光しない。側面板112等の煙感知室11の内面は、光の反射が少ない様に光を吸収しやすい色で形成されているが、側面板112等で弱く反射して迷光が生じうる。赤外線LED121と赤外線受光器122は遮光壁115で囲われており、側面板112等での反射等による赤外線の迷光が赤外線受光器122に入光しにくいようになっている。赤外線は、図1(a)の点線Cの内側に照射される。そして、内部空間に煙があると、散乱により点線Cの領域から外れ、赤外線が赤外線受光器122に入光する。
【0014】
一方、紫外線LED123から放射される紫外線は指向性が低く、拡がるようになっている。図1(b)において、紫外線は、点線Dの内角側の領域に照射される。図1(a)の点線Dは、煙感知室11の下端における紫外線の照射領域である。赤外線LED121の赤外線と異なり、紫外線は、煙感知室11内の広い範囲に照射される。しかし、紫外線LED123の周囲には、上面板111に遮光カバー114が設けられ、送出されて拡がった紫外線が赤外線受光器122と赤外線LED121に直接当たらないようになっている。このように構成することにより、赤外線受光器122と赤外線LED121の紫外線による劣化を防止する。なお、遮光カバー114と紫外線LED123は、煙感知室11の下方への突出量は、赤外線LED121から発する赤外線には当たらないように小さくなっている。
【0015】
送気ファン141は、制御素子124からの出力信号で駆動し、煙感知室11に外気を取り入れる。送気装置である送気ファン141が回転することにより、外気は矢印Eのように遮光板15の上部を通過して吸入口13から煙感知室11に入る。そして、送気ファン141を通過して送出口14から外部へ送出される。内部空間である煙感知室11は、遮光板15やシロッコファンである送気ファン141等により外光を遮断しつつ、外気を内部へ通気させる。
【0016】
以上のような構成からなる煙感知器1について、煙検出および火災判定までの流れを説明する。煙感知室11に煙が流入すると、赤外線LED121から内部空間である煙感知室11に向かって発された赤外線が煙によって散乱する。さらに、その散乱光が赤外線受光器122に入射することで、制御素子124は煙感知室11内にある煙を検出する。そして、所定の煙濃度に達すると、制御素子124は火災と判定する。また、煙の有無にかかわらず、外気は煙感知室11に取り入れられて紫外線LED123による紫外線の照射によってウィルスを不活性化し、細菌を殺菌する。煙感知室11は、外部と通気性を有しつつも外部と遮光された構造であるため、紫外線は外部にもれることがない。
【0017】
図2は、実施例1における煙未検出時の動作タイミングである。図2(a)は送気ファン141の送風タイミングを、図2(b)は赤外線LED121の発光タイミングと赤外線受光器122の受光タイミングを、図2(c)は紫外線LED123の発光タイミングを示す。線が上側にあるときが送風及び発光のタイミングである。送気ファン141、赤外線LED121、紫外線LED123は、制御素子124の出力信号により、同じ間隔でタイミングをずらして動作する。本実施例では、送気ファン141の駆動開始から次の駆動開始までの間隔は2秒である。赤外線LED121と紫外線LED123の個々についての発光開始の間隔についても同じである。図2に示すように、(c)のように紫外線LED123が点灯して煙感知室11の中に紫外線を照射し、消灯した直後に(a)のように送気ファン141がONとなり、外気を内部へ通気する。その後、(b)のように赤外線LED121と赤外線受光器122をONとして煙の検出を行う。(c)(a)の動作により、紫外線によって清浄化された空気が煙感知器1の外へ放出される。また、(a)(b)のように送気ファン141の動作が終了してから一定時間後に赤外線LED121を発光させて煙の検出を行う。その後は一時休止期間となる。
【0018】
図3は、実施例1における煙検出時の動作タイミングである。図3(a)は送気ファン141の送風タイミングを、図3(b)は赤外線LED121の発光タイミングと赤外線受光器122を、図3(c)は紫外線LED123の発光タイミングを示す。実施例1では、各種の動作タイミングを煙感知器1内の制御素子124が制御する。また、図3(d)は煙感知室11の中における煙の濃度を示す。図3(d)のように、煙の濃度が徐々に高くなると、図3(b)のb2のタイミングで赤外線受光器122に赤外線の散乱光が入光する。これにより、煙が検出される。煙が検出されると、感知優先モードとなる。感知優先モードでは、図3(c)に示すように紫外線LED123の発光が止まる。煙が検出されない期間が所定時間続くと通常モードに戻る。そして、図2(c)のように紫外線LED123が間欠的に発光するようになる。
【0019】
煙の検出量は、赤外線受光器122の出力値としてあらわれるが、感知優先モードに移行するための検出量は火災感知のための検出量と同じであっても良く、火災感知のための検出量よりも小さくてもよい。
【0020】
実施例1では、送気ファン141、赤外線LED121、紫外線LED123が異なったタイミングで動作するため、小さい瞬時電力で動作することができる。また、赤外線受光器122は、赤外線LED121の発光タイミングに合わせて、受光機能をONにするため、紫外線LED123が入射することによる、煙感知器1の誤作動の心配はない。さらに、紫外線LED123の発光時間が短く、さらに紫外線LED123が発光した直後に送気ファン141を動作するため、紫外線LED123の発光による発熱が煙の検出に影響しにくい効果がある。なお、実施例1の送気ファン141はシロッコファンを用いたが、遮光性のある構造とすれば、プロペラファン等の他の送風機でもよい。
【0021】
<実施例1の変形例>
実施例1は1光源式の煙検出を行っているが、2つのセンサ出力差や出力比を用いて煙判別を行う2光源式の煙感知器1を用いることもできる。2光源式の煙感知器1では、光源が順次点灯するため、空気の動きがあると異なった煙を検出することになる。図2,3のように送気ファン141が停止してから一定時間後に順次光源を発光させて同じ煙を検出することによって、正確な判定を行うことができる。
【実施例2】
【0022】
煙感知器が接続されるアナログ型受信機には、昼間と夜間で火災検出感度を変える機能を有するものがある。この受信機では、たとえば、オフィスに人がいる平日の昼間は、火災の発見と対応を行い易いため感度を下げ、人がいない週末や夜間は、感度を上げるということが行われる。実施例2では、上記の機能を用いて、平日昼間は煙検出頻度を少なくし、紫外線発光頻度を上げる。これにより、人がいて空気の汚染率が高い時間帯に殺菌等の性能を上げて、効果的に空気汚染の解消を行う。
【0023】
実施例2の煙感知器2(図示せず)は、図示しない赤外線LED221(発光素子)、赤外線受光器222(受光素子)、紫外線LED223(紫外線発光素子)、送気ファン241(送気装置)を備えている。煙感知器2は、実施例1の煙感知器1において、昼間モードと夜間モードを実行するための機能を有している点で異なり、構造等の他の点は同じである。
【0024】
実施例2では、夜間など人がいないときには、煙感知器2は夜間モードで動作する。夜間モードの動作タイミングは実施例1の図2と同様である。一方、昼間など人がいるときには、昼間モードで動作する。昼間モードと夜間モードのどちらで動作するかは、接続している受信機からの信号で切り替える。
【0025】
図4は、実施例2における昼間モードの動作タイミングを示す。図4(a)は送気ファン241の送風タイミングを、図4(b)は赤外線LED221の発光タイミングを、図4(c)は紫外線LED223の発光タイミングを示す。図2の夜間モードと比べて煙検出頻度が少なく、図4(b)の赤外線LED221の発光タイミングの間隔が長くなっている。また、図4(c)の紫外線LED223は、送気ファン241が駆動する前だけでなく後でも発光して、発光頻度が高くなっている。煙を感知する赤外線LED221の発光と紫外線LED223の発光の間では、送気ファン241が動作する点は、図2の夜間モードと同じである。実施例2では、送気ファン241の動作後に赤外線LED221が発光しないときに、赤外線LED221の発光タイミングに替わって紫外線LED223が発光して、紫外線の発光頻度を上げている。
【0026】
<実施例2の変形例>
実施例2は、受信機に接続された煙感知器2であるため、時計機能を有した受信機からの信号により、昼間モードと夜間モードの切り替えを行うことができる。一方、受信機と接続されない住宅用警報器の煙感知器の場合、気温の変化により電池切れ警報を夜間に出さないようにしているものがある。変形例では、この機能を利用して、図4に示すように昼間モードと夜間モードを切り替える。
【実施例3】
【0027】
図5は、実施例3における煙感知器3の垂直断面図を示す。煙感知器3の内部空間である煙感知室31には、側方に発光素子の赤外線LED321と受光素子である赤外線受光器322が設けられ、上面に紫外線発光素子である紫外線LED323が設けられている。図5に示す煙感知器3の断面では、赤外線受光器322は図示されていないが、実施例1と同様に設置されている。煙感知室の下方には、ラビリンス314が設けられ、外光が入らないようになっている。煙感知室31は暗室となっており、上面板311、側面板312、ラビリンス314を含めて内部は赤外線を反射しない部材を用いている。上面板311の上部には基板32が設けられ、赤外線LED321、赤外線受光器322、紫外線発光素子である紫外線LED323とともに、制御部である制御素子324が搭載されている。
【0028】
制御素子324は、赤外線LED321と紫外線LED323を間欠的に発光させ、赤外線LED321の発光時に紫外線LED323の発光を停止させる発光制御手段としての機能を有している。また、制御素子324は、紫外線LED323の発光時に送気ファン341を駆動させる駆動手段としての機能を有している。実施例3の煙感知器3は、実施例1、2やその変形例のように動作させることができる。
【0029】
煙感知室31の下部は、ラビリンス314の隙間から吸入口33に通じている。ラビリンス314は、通気性はあるが遮光性があり、外光が煙感知室31に入光せず、煙感知室31の中の光も外に漏れない。吸入口33は天井板5の下面から斜め上方に延在している。また、煙感知室31の下部は、送出管35を介して送気ファン341に接続され、送出口34につづいている。送気ファン341も外光が煙感知室31に入らない構造である。
【0030】
図示していないが、実施例1と同様に、赤外線受光器322は、赤外線LED321の発光方向から120°の角度の位置で設けられている。また、紫外線LED323から放射される紫外線は、指向性が低く拡がるようになっており、点線Dの内角側の領域に照射される。紫外線LED123の周囲には、上面板311に遮光カバー313が設けられ、拡がった紫外線が赤外線受光器322と赤外線LED321に当たらないようになっている。また、遮光カバー313と紫外線LED323は、煙感知室31の下方への突出量が、赤外線LED321から発する赤外線に当たらないように小さくなっている。
【0031】
実施例3の煙感知器3は、吸入口33の最外部が天井板5の下面とほぼ同じであり、扉等との干渉防止に有効であるとともに高いデザイン性等を有する。しかし、天井の上部には、斜線で示すように暖かい空気の層であるホットゾーン6が存在することがある。火災等により生じる煙7は、室内の空気よりも温度が高いため上昇するが、ホットゾーン6の下に留まり、天井板5の下面まで達しにくい。煙7は、ホットゾーン6を抜ける高温にならなければ、通常は煙感知器3に入らない。実施例3では、送気ファン341の働きにより送出口34から空気を下方に送出し、吸入口33から空気を吸い上げる。このようにして矢印Fのように空気を循環的に移動させることにより、ホットゾーン6に乱れを生じさせる。そして、ホットゾーン6の下部に煙7が滞留している場合にも煙感知室31に煙7を取り込んで感知することができる。
【実施例4】
【0032】
図6は、実施例4における煙感知器4の水平断面図を示す。実施例1とは紫外線LED423の位置が異なる。そのため、実施例1の遮光カバー114もない。その他の点は同じである。実施例4では、紫外線LED423が赤外線LED421に隣接して設けられている。紫外線LED423は、赤外線LED421と赤外線受光器422が近接している円弧の中に設けられる。図6では煙感知室41の左下の位置に紫外線LED423が設けられる。赤外線LED421の赤外線は点線Cの内側に照射され、紫外線LED423の紫外線は点線Gの内側に照射される。紫外線LED423と赤外線LED421は、発光の中心軸が煙感知室41の中心を向いており、紫外線LED423から発した紫外線は赤外線LED421に到達しにくい。また、赤外線LED421と赤外線受光器422は遮光壁415で囲われており、赤外線の迷光が赤外線受光器422に入光しないようになっている。そのため、遮光壁415により紫外線も赤外線LED421と赤外線受光器422に入光しにくく、赤外線LED421と赤外線受光器422の劣化が抑制される。
【0033】
赤外線の迷光を削減するために、赤外線LED421に対向する位置の側面板412に波形等の光吸収構造が設けられることがある。このような場合では赤外線LED421に隣接して紫外線LED423を設けることにより、紫外線の迷光も抑制できる。
【0034】
なお、紫外線LED423は、赤外線LED421と赤外線受光器422が近接している円弧の中に設けられればよく、赤外線受光器422に隣接して設けてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 煙感知器、11 煙感知室、111 上面板、112 側面板、113 下面板、114 遮光カバー、115 遮光壁、12 基板、121 赤外線LED、122 赤外線受光器、123 紫外線LED、124 制御素子、13 吸入口、14 送出口、141 送気ファン、15 遮光板、
2 煙感知器、221 赤外線LED、222 赤外線受光器、223 紫外線LED、
241 送気ファン、
3 煙感知器、31 煙感知室、311 上面板、312 側面板、
313 遮光カバー、314 ラビリンス、32 基板、321 赤外線LED、322 赤外線受光器、323 紫外線LED、324 制御素子、33 吸入口、34 送出口、341 送気ファン、35 送出管、
4 煙感知器、41 煙感知室、412 側面板、415 遮光壁、421 赤外線LED、422 赤外線受光器、423 紫外線LED、
5 天井板、6 ホットゾーン、7 煙
図1
図2
図3
図4
図5
図6