(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】原稿読取装置、当該原稿読取装置を備える画像出力装置、原稿読取装置の制御プログラムおよび制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240401BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20240401BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
H04N1/00 567M
H04N1/00 567J
H04N1/00 350
H04N1/04 106A
H04N1/12 Z
G03G21/00 386
G03G21/00 510
(21)【出願番号】P 2020141839
(22)【出願日】2020-08-25
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100168217
【氏名又は名称】大村 和史
(72)【発明者】
【氏名】小川 数馬
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-201242(JP,A)
【文献】特開2010-011359(JP,A)
【文献】特開平07-038712(JP,A)
【文献】特開2010-143732(JP,A)
【文献】特開2016-163168(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04 - 1/207
G03G 15/00
15/36
21/00
21/02
21/14
21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシート状の原稿が積層状に載置可能な原稿載置トレイ、
前記原稿載置トレイに載置された前記原稿を
1枚単位で搬送路に沿って搬送させる搬送手段、
前記搬送手段による搬送途中で前記搬送路における画像読取位置を通過する前記原稿の画像を読み取る画像読取手段、
前記原稿の搬送方向における前記画像読取位置よりも上流側において当該原稿の基本姿勢に対する傾き度合を検知する傾き度合検知手段、
前記傾き度合検知手段による検知結果に基づいて前記画像読取手段による読取画像の傾きを補正するための傾き補正処理を行う傾き補正手段、
前記傾き度合検知手段による検知結果が第1閾値未満であるときに前記傾き補正手段による前記傾き補正処理を不実行とし、当該傾き度合検知手段による検知結果が当該第1閾値以上かつ当該第1閾値よりも大きい第2閾値未満であるときに当該傾き補正手段に当該傾き補正処理を実行させる、補正制御手段
、
前記傾き度合検知手段による検知結果が前記第2閾値以上であるときに前記搬送手段による前記原稿の搬送を停止させる停止手段
、
前記傾き度合検知手段による検知結果が前記第1閾値以上かつ前記第2閾値未満であるときに前記傾き補正処理の実行を希望するかどうかをユーザへ問い合わせる問合せ手段、および
前記問合せ手段による問合せに対する前記ユーザによる回答を受け付ける回答受付手段を備え
、
前記補正制御手段は、前記傾き度合検知手段による検知結果が前記第1閾値以上かつ前記第2閾値未満であって、前記回答受付手段により受け付けられた前記ユーザによる回答が前記傾き補正処理の実行を希望することを表すときに、前記傾き補正手段に当該傾き補正処理を実行させ、さらに
前記傾き度合検知手段による検知結果が前記第1閾値以上かつ前記第2閾値未満である場合は、前記問合せ手段による問合せに対する前記ユーザによる回答が前記回答受付手段により受け付けられたときに、前記原稿載置トレイに載置された次の前記原稿の前記搬送手段による搬送を開始させる、原稿読取装置。
【請求項2】
前記問合せ手段による前記ユーザへの問合せが行われるときに、前記読取画像に基づくプレビュー画像を表示するプレビュー画像表示手段をさらに備える、請求項
1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記第1閾値は、任意に変更可能である、請求項1
または2に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれかに記載の原稿読取装置、および
前記読取画像に基づく画像を出力する画像出力手段を備える、画像出力装置。
【請求項5】
複数枚のシート状の原稿が積層状に載置可能な原稿載置トレイ、当該原稿載置トレイに載置された当該原稿を
1枚単位で搬送路に沿って搬送させる搬送手段、および当該搬送手段による搬送途中で当該搬送路における画像読取位置を通過する当該原稿の画像を読み取る画像読取手段を備える、原稿読取装置の制御プログラムであって、
前記原稿の搬送方向における前記画像読取位置よりも上流側において当該原稿の基本姿勢に対する傾き度合を検知する傾き度合検知手順、
前記傾き度合検知手順による検知結果に基づいて前記画像読取手段による読取画像の傾きを補正するための傾き補正処理を行う傾き補正手順、
前記傾き度合検知手順による検知結果が第1閾値未満であるときに前記傾き補正手順による前記傾き補正処理を不実行とし、当該傾き度合検知手順による検知結果が当該第1閾値以上かつ当該第1閾値よりも大きい第2閾値未満であるときに当該傾き補正手順による当該傾き補正処理を実行させる、補正制御手順
、
前記傾き度合検知手順による検知結果が前記第2閾値以上であるときに前記搬送手段による前記原稿の搬送を停止させる停止手順
、
前記傾き度合検知手順による検知結果が前記第1閾値以上かつ前記第2閾値未満であるときに前記傾き補正処理の実行を希望するかどうかをユーザへ問い合わせる問合せ手順、および
前記問合せ手順による問合せに対する前記ユーザによる回答を受け付ける回答受付手順を、前記原稿読取装置のコンピュータに実行させ
、
前記補正制御手順では、前記傾き度合検知手順による検知結果が前記第1閾値以上かつ前記第2閾値未満であって、前記回答受付手順により受け付けられた前記ユーザによる回答が前記傾き補正処理の実行を希望することを表すときに、前記傾き補正手順による当該傾き補正処理を実行させ、さらに
前記傾き度合検知手順による検知結果が前記第1閾値以上かつ前記第2閾値未満である場合は、前記問合せ手順による問合せに対する前記ユーザによる回答が前記回答受付手順により受け付けられたときに、前記原稿載置トレイに載置された次の前記原稿の前記搬送手段による搬送を開始させる、制御プログラム。
【請求項6】
複数枚のシート状の原稿が積層状に載置可能な原稿載置トレイ、当該原稿載置トレイに載置された前記原稿を
1枚単位で搬送路に沿って搬送させる搬送手段、および当該搬送手段による搬送途中で当該搬送路における画像読取位置を通過する当該原稿の画像を読み取る画像読取手段を備える、原稿読取装置の制御方法であって、
前記原稿の搬送方向における前記画像読取位置よりも上流側において当該原稿の基本姿勢に対する傾き度合を検知する傾き度合検知ステップ、
前記傾き度合検知ステップによる検知結果に基づいて前記画像読取手段による読取画像の傾きを補正するための傾き補正処理を行う傾き補正ステップ、
前記傾き度合検知ステップによる検知結果が第1閾値未満であるときに前記傾き補正ステップによる前記傾き補正処理を不実行とし、当該傾き度合検知ステップによる検知結果が当該第1閾値以上かつ当該第1閾値よりも大きい第2閾値未満であるときに当該傾き補正ステップによる当該傾き補正処理を実行させる、補正制御ステップ
、
前記傾き度合検知ステップによる検知結果が前記第2閾値以上であるときに前記搬送手段による前記原稿の搬送を停止させる停止ステップ
、
前記傾き度合検知ステップによる検知結果が前記第1閾値以上かつ前記第2閾値未満であるときに前記傾き補正処理の実行を希望するかどうかをユーザへ問い合わせる問合せステップ、および
前記問合せステップによる問合せに対する前記ユーザによる回答を受け付ける回答受付ステップを含
み、
前記補正制御ステップでは、前記傾き度合検知ステップによる検知結果が前記第1閾値以上かつ前記第2閾値未満であって、前記回答受付ステップにより受け付けられた前記ユーザによる回答が前記傾き補正処理の実行を希望することを表すときに、前記傾き補正ステップによる当該傾き補正処理を実行させ、さらに
前記傾き度合検知ステップによる検知結果が前記第1閾値以上かつ前記第2閾値未満である場合は、前記問合せステップによる問合せに対する前記ユーザによる回答が前記回答受付ステップにより受け付けられたときに、前記原稿載置トレイに載置された次の前記原稿の前記搬送手段による搬送を開始させる、制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿読取装置、当該原稿読取装置を備える画像出力装置、原稿読取装置の制御プログラムおよび制御方法に関し、特に、シート状の原稿を搬送路に沿って搬送させる搬送手段と、当該搬送手段による搬送途中で搬送路における画像読取位置を通過する原稿の画像を読み取る画像読取手段と、を備える、原稿読取装置、当該原稿読取装置を備える画像出力装置、原稿読取装置の制御プログラムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された技術によれば、搬送路を搬送中の原稿の姿勢が検出される。そして、検出された原稿の姿勢が予め定められた閾値以上に傾いた姿勢であるときに、原稿の傾きが補正され、言わば機械的機構による傾き補正が行われる。一方、原稿の傾きが閾値未満であるときには、読取画像から算出された傾き量に基づいて当該読取画像の傾きが補正され、つまり画像処理による傾き補正が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
すなわち、特許文献1に開示された技術によれば、原稿の傾きが閾値未満であろうとなかろうと、必ず傾き補正が行われ、とりわけ原稿の傾きが閾値未満であるときには、画像処理による傾き補正が行われる。この画像処理による傾き補正は、原稿読取装置にとって大きな負担であり、原稿読取装置のパフォーマンスを低下させる。その一方で、原稿が多少傾いても、状況によっては原稿の傾きが許容される場合があり、換言すれば傾き補正が行われなくてもよい場合がある。さらに、原稿が過度に傾いている場合には、当該原稿が搬送路の側縁部に引っ掛かって破損するなどの別の不都合が生ずる虞があり、これを回避することも極めて重要である。
【0005】
そこで、本発明は、原稿読取装置、当該原稿読取装置を備える画像出力装置、原稿読取装置の制御プログラムおよび制御方法において、原稿読取装置のパフォーマンスの低下を抑制しつつ、原稿が傾いた状態で搬送されることに起因する不都合に適切に対処することができる、新規な技術を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、原稿読取装置に係る第1の発明と、当該原稿読取装置を備える画像出力装置に係る第2の発明と、原稿読取装置の制御プログラムに係る第3の発明と、原稿読取装置の制御方法に係る第4の発明と、を含む。
【0007】
このうちの原稿読取装置に係る第1の発明は、原稿載置トレイ、搬送手段、画像読取手段、傾き度合検知手段、傾き補正手段、補正制御手段および停止手段を、備える。原稿載置トレイには、複数枚のシート状の原稿が積層状に載置可能である。搬送手段は、原稿載置トレイに載置された原稿を1枚単位で搬送路に沿って搬送させる。画像読取手段は、搬送手段による搬送途中で搬送路における画像読取位置を通過する原稿の画像を読み取る。傾き度合検知手段は、原稿の搬送方向における画像読取位置よりも上流側において、原稿の基本姿勢に対する傾き度合を検知する。傾き補正手段は、傾き度合検知手段による検知結果に基づいて、画像読取手段に
よる読取画像の傾きを補正するための傾き補正処理を行う。補正制御手段は、傾き度合検知手段による検知結果が第1閾値未満であるときに、傾き補正手段による傾き補正処理を不実行とする。一方、傾き度合検知手段による検知結果が第1閾値以上かつ当該第1閾値よりも大きい第2閾値未満であるときに、補正制御手段は、傾き補正手段に傾き補正処理を実行させる。そして、停止手段は、傾き度合検知手段による検知結果が第2閾値以上であるときに、搬送手段による原稿の搬送を停止させる。
【0008】
さらに、本第1の発明においては、問合せ手段および回答受付手段が、備えられる。問合せ手段は、傾き度合検知手段による検知結果が第1閾値以上かつ第2閾値未満であるときに、傾き補正処理の実行を希望するかどうかをユーザへ問い合わせる。そして、回答受付手段は、問合せ手段による問合せに対するユーザによる回答を受け付ける。その上で、補正制御手段は、傾き度合検知手段による検知結果が第1閾値以上かつ第2閾値未満であって、これに加えて、回答受付手段により受け付けられたユーザによる回答が傾き補正処理の実行を希望することを表すときに、傾き補正手段に傾き補正処理を実行させる。さらに加えて、本第1の発明においては、傾き度合検知手段による検知結果が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合は、問合せ手段による問合せに対するユーザによる回答が回答受付手段により受け付けられたときに、原稿載置トレイに載置された次の原稿の搬送手段による搬送を開始させる。
【0009】
また、本第1の発明においては、プレビュー画像表示手段が、さらに備えられてもよい。プレビュー画像表示手段は、問合せ手段によるユーザへの問合せが行われるときに、画像読取手段による読取画像に基づくプレビュー画像を表示する。
【0010】
そして、本第1の発明における第1閾値は、任意に変更可能であるのが、望ましい。これに対して、第2閾値は、不変であるのが、望ましい。
【0011】
本発明のうちの第2の発明に係る画像出力装置は、第1の発明に係る原稿読取装置を備えるとともに、画像出力手段を備える。画像出力手段は、画像読取手段による読取画像に基づく画像を出力する。
【0012】
本発明のうちの第3の発明に係る原稿読取装置の制御プログラムは、当該原稿読取装置のコンピュータに、傾き度合検知手順、傾き補正手順、補正制御手順、停止手順、問合せ手順および回答受付手順を、実行させる。ここで、原稿読取装置は、原稿載置トレイ、搬送手段および画像読取手段を、備える。原稿載置トレイには、複数枚のシート状の原稿が積層状に載置可能である。搬送手段は、原稿載置トレイに載置された原稿を1枚単位で搬送路に沿って搬送させる。そして、画像読取手段は、搬送手段による搬送途中で搬送路における画像読取位置を通過する原稿の画像を読み取る。その上で、傾き度合検知手順では、原稿の搬送方向における画像読取位置よりも上流側において、原稿の基本姿勢に対する傾き度合を検知する。傾き補正手順では、傾き度合検知手順による検知結果に基づいて、画像読取手段による読取画像の傾きを補正するための傾き補正処理を行う。補正制御手順では、傾き度合検知手順による検知結果が第1閾値未満であるときに、傾き補正手順による傾き補正処理を不実行とする。一方、傾き度合検知手順による検知結果が第1閾値以上かつ当該第1閾値よりも大きい第2閾値未満であるときに、補正制御手順では、傾き補正手順による傾き補正処理を実行させる。停止手順では、傾き度合検知手順による検知結果が第2閾値以上であるときに、搬送手段による原稿の搬送を停止させる。問合せ手順では、傾き度合検知手順による検知結果が第1閾値以上かつ第2閾値未満であるときに、傾き補正処理の実行を希望するかどうかをユーザへ問い合わせる。そして、回答受付手順では、問合せ手順による問合せに対するユーザによる回答を受け付ける。さらに、補正制御手順では、傾き度合検知手順による検知結果が第1閾値以上かつ第2閾値未満であって、これに加えて、回答受付手順により受け付けられたユーザによる回答が傾き補正処理の実行を希望することを表すときに、傾き補正手順による傾き補正処理を実行させる。さらに加えて、本第3の発明においては、傾き度合検知手順による検知結果が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合は、問合せ手順による問合せに対するユーザによる回答が回答受付手順により受け付けられたときに、原稿載置トレイに載置された次の原稿の搬送手段による搬送を開始させる。
【0013】
本発明のうちの第4の発明に係る原稿読取装置の制御方法は、傾き度合検知ステップ、傾き補正ステップ、補正制御ステップ、停止ステップ、問合せステップおよび回答受付ステップを、含む。ここで、原稿読取装置は、原稿載置トレイ、搬送手段および画像読取手段を、備える。原稿載置トレイには、複数枚のシート状の原稿が積層状に載置可能である。搬送手段は、原稿載置トレイに載置された原稿を1枚単位で搬送路に沿って搬送させる。そして、画像読取手段は、搬送手段による搬送途中で搬送路における画像読取位置を通過する原稿の画像を読み取る。その上で、傾き度合検知ステップでは、原稿の搬送方向における画像読取位置よりも上流側において、原稿の基本姿勢に対する傾き度合を検知する。傾き補正ステップでは、傾き度合検知ステップによる検知結果に基づいて、画像読取手段による読取画像の傾きを補正するための傾き補正処理を行う。補正制御ステップでは、傾き度合検知ステップによる検知結果が第1閾値未満であるときに、傾き補正ステップによる傾き補正処理を不実行とする。一方、傾き度合検知ステップによる検知結果が第1閾値以上かつ当該第1閾値よりも大きい第2閾値未満であるときに、補正制御ステップでは、傾き補正ステップによる傾き補正処理を実行させる。停止ステップでは、傾き度合検知ステップによる検知結果が第2閾値以上であるときに、搬送手段による原稿の搬送を停止させる。問合せステップでは、傾き度合検知ステップによる検知結果が第1閾値以上かつ第2閾値未満であるときに、傾き補正処理の実行を希望するかどうかをユーザへ問い合わせる。そして、回答受付ステップでは、問合せステップによる問合せに対するユーザによる回答を受け付ける。さらに、補正制御ステップでは、傾き度合検知ステップによる検知結果が第1閾値以上かつ第2閾値未満であって、これに加えて、回答受付ステップにより受け付けられたユーザによる回答が傾き補正処理の実行を希望することを表すときに、傾き補正ステップによる傾き補正処理を実行させる。さらに加えて、本第4の発明においては、傾き度合検知ステップによる検知結果が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合は、問合せステップによる問合せに対するユーザによる回答が回答受付ステップにより受け付けられたときに、原稿載置トレイに載置された次の原稿の搬送手段による搬送を開始させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、原稿読取装置のパフォーマンスの低下を抑制しつつ、原稿が傾いた状態で搬送されることに起因する不都合に適切に対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施例に係る複合機の斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施例における自動原稿送り装置の原稿載置トレイに原稿が載置される状態を上方から見た図である。
【
図3】
図3は、第1実施例における自動原稿送り装置の内部構成を模式的に示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施例における自動原稿送り装置の傾きセンサの配置位置を示す図である。
【
図5】
図5は、第1実施例における自動原稿送り装置により原稿が搬送される際の一状態を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、第1実施例における自動原稿送り装置により原稿が搬送される際の別の状態を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、第1実施例に係る複合機の電気的な構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、第1実施例における主記憶部のRAM内の構成を概念的に示すメモリマップである。
【
図9】
図9は、第1実施例における原稿読取制御タスクの流れを示すフロー図である。
【
図10】
図10は、本発明の第2実施例における確認メッセージ画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第3実施例における原稿読取制御タスクの一部分の流れを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施例]
本発明の第1実施例について、
図1に示される複合機(MFP)10を例に挙げて説明する。
【0017】
本第1実施例に係る複合機10は、コピー機能、プリンタ機能、イメージスキャナ機能、ファクス機能などの複数の機能を有する。なお、
図1は、使用可能な状態に設置された複合機10の前面、上面および左側面を示す当該複合機10の斜視図である。すなわち、
図1における上下方向は、複合機10の上下方向に対応する。そして、
図1における右斜め下方は、複合機10の前方に対応し、
図1における左斜め上方は、複合機10の後方に対応する。また、
図1における左斜め下方は、複合機10の左方に対応し、
図1における右斜め上方は、複合機10の右方に対応する。
【0018】
複合機10の上部には、画像読取手段の一例としての画像読取部12が設けられる。この画像読取部12は、後述する原稿100の画像を読み取って、その読取画像に応じた2次元の読取画像データを生成する、画像読取処理を担う。このため、画像読取部12は、原稿100が載置される不図示の原稿台を有する。この原稿台は、概略矩形平板状のガラスなどの透明部材により形成され、その両主面を水平方向に沿わせた状態で設けられる。この原稿台の両主面のうちの上面が、原稿100の載置面である。そして、原稿台の下方に、不図示の画像読取ユニットが設けられる。画像読取ユニットは、光源、ミラーやレンズなどの適宜の光学系部品、ライセンサなどを有し、原稿台の上面(原稿載置面)に直線状の画像読取領域を形成する。併せて、原稿台の下方には、不図示の駆動機構が設けられる。この駆動機構は、画像読取ユニットによる画像読取領域を、当該画像読取領域の延伸方向に垂直な方向に沿って移動させる。すなわち、原稿台に原稿100が載置された状態で、画像読取ユニットによる画像読取領域が移動されることで、原稿100の画像が2次元で読み取られ、いわゆる固定読み方式により読み取られる。なお、画像読取ユニットによる画像読取領域の延伸方向は、主走査方向と呼ばれる。そして、駆動機構によって移動される画像読取領域の移動方向は、副走査方向と呼ばれる。
【0019】
さらに、原稿台の上方には、当該原稿台に載置された原稿100を押さえるための原稿押さえカバーを兼ねる自動原稿送り装置(ADF)14が設けられる。この自動原稿送り装置14は、原稿台の上面を外部に露出させる状態と、当該原稿台の上面を覆う状態と、に遷移可能に設けられる。このため、自動原稿送り装置14は、不図示のヒンジなどの適当な支点支持部材を介して複合機10の本体(筐体)に結合される。なお、
図1は、自動原稿送り装置14が原稿台の上面を覆った状態を示す。
【0020】
この自動原稿送り装置14については、後で詳しく説明するが、当該自動原稿送り装置14は、原稿載置部の一例としての原稿載置トレイ14aを有する。この原稿載置トレイ14aには、原稿100が、厳密にはシート状の原稿100が、載置可能であり、とりわけ複数枚の原稿100、100、…が積層状に載置可能である。そして、自動原稿送り装置14は、原稿載置トレイ14aに載置された原稿100を1枚単位で(1枚ずつ)自動的に画像読取部12へ送り込み、つまり画像読取部12による画像読取処理に供する。この画像読取部12による画像読取処理を終えた原稿100は、自動原稿送り装置14の原稿排出トレイ14bに排出される。なお、自動原稿送り装置14は、
図1に示される如く原稿台の上面を覆った状態にあり、かつ、原稿台に(自動原稿送り装置14自体を除く)何らの物体も載置されていない状態にあるときに、(原稿押さえカバーとしてではなく)当該自動原稿送り装置14としての機能を発揮する。
【0021】
さらに、画像読取部12の下方に、画像形成手段の一例としての画像形成部16が設けられる。この画像形成部16は、後述する画像処理部17による画像処理後の印刷用画像データに基づく画像を不図示のシート状の画像記録媒体の一例としての用紙に形成する、つまり印刷する、画像形成処理を担う。この画像形成処理は、たとえば公知の電子写真方式(カールソンプロセス方式)により行われる。このため、画像形成部16は、不図示の感光体ドラム、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置、クリーニング装置、除電装置などを備える。この画像形成部16による画像形成処理後の用紙、言わば印刷済の用紙は、排紙トレイ18に排出される。なお、排紙トレイ18は、画像形成部16と画像読取部12との間に設けられ、いわゆる複合機10の洞内空間に設けられる。また、画像形成部16は、電子写真方式に限らず、たとえばインクジェット方式によって、画像形成処理を行うものであってもよい。
【0022】
そして、画像形成部16の下方に、換言すれば複合機10の下部に、給紙手段の一例としての給紙部20が設けられる。この給紙部20は、複数の、たとえば4つの、給紙カセット20a、20a、…を有する。各給紙カセット20a、20a、…には、適宜のサイズの用紙が収容され、たとえば互いに異なるサイズの用紙が収容される。また、
図1には示されないが、複合機10の右側面には、補助的な給紙トレイである手差しトレイが設けられる。給紙部20は、各給紙カセット20a、20a、…および手差しトレイのいずれかを給紙元として、当該給紙元から画像形成部16へ用紙を1枚単位で供給し、つまり画像形成部16による画像形成処理に供する。
【0023】
加えて、複合機10の上部であって、当該複合機10の本体の前部に、概略矩形板状の操作ユニット22が設けられる。この操作ユニット22は、その一側縁を複合機10の本体に結合させつつ、当該一側縁を軸として回動可能に設けられる。この操作ユニット22の一方主面(
図1において上方を向いている主面)は、操作面であり、この操作面には、タッチパネル22a付きのディスプレイ22bが設けられる。
【0024】
タッチパネル22a付きのディスプレイ22bは、矩形状の表示面を有するディスプレイ22bと、このディスプレイ22bの表示面上に重なるように設けられたシート状のタッチパネル22aとが、一体的に組み合わされた構成品である。このうちのタッチパネル22aは、複合機10を使用する不図示のユーザによるタッチ操作を受付可能な操作受付手段の一例であり、たとえば投影型の静電容量方式のパネルである。そして、ディスプレイ22bは、表示手段の一例であり、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)である。なお、タッチパネル22aは、投影型の静電容量方式に限らず、表面型の静電容量方式や電磁誘導方式、抵抗膜方式、赤外線方式などの他方式のパネルであってもよい。また、ディスプレイ22bは、液晶ディスプレイに限らず、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどであってもよい。
【0025】
ユーザは、常套的には複合機10の前方に立って、当該複合機10を使用し、とりわけ操作ユニット22を操作する。その際のユーザによる操作ユニット22の操作面の操作性および視認性が良好となるように、当該操作ユニット22は、前述の如く複合機10との結合部を軸として回動可能に設けられ、つまりユーザに対する当該操作面の角度が調整可能に設けられる。なお、操作ユニット22は、タッチパネル22a以外に、押しボタンスイッチなどの適宜のハードウェアスイッチを有する。併せて、操作ユニット22は、ディスプレイ22b以外に、発光ダイオード(LED)などの適宜の発光手段を有する。
【0026】
ここで、
図2をも参照しつつ、自動原稿送り装置14に注目すると、当該自動原稿送り装置14は、規制手段の一例としての一対の原稿ガイド14cおよび14cを有する。この原稿ガイド14cおよび14cは、原稿載置トレイ14aに載置される原稿100の幅方向、厳密には後述する如く搬送される原稿100の搬送方向に垂直な方向である言わば搬送幅方向(たとえば
図2の上下方向)、における当該原稿100の両側縁の位置を規制する。具体的には、原稿ガイド14cおよび14cは、
図2に矢印14dおよび14dで示されるように、搬送幅方向に沿って手動により任意に移動(摺動)可能である。そして、原稿ガイド14cおよび14cは、原稿100の搬送幅方向における両側縁に当接することで、当該原稿100の搬送幅方向における両側縁の位置を機械的に規制する。なお、原稿ガイド14cおよび14cは、互いに連動して対称的に移動し、つまり一方が移動されると、これに連動して他方が対称的に移動する。また、
図2においては、その見易さを考慮して、併せて、説明の便宜上、原稿100を破線で示してある。
【0027】
加えて、
図1および
図2には示されないが、自動原稿送り装置14は、規制位置検知手段の一例としての後述するガイド幅検知部14e(
図7参照)を有する。このガイド幅検知部14eは、原稿ガイド14cおよび14cによる規制位置を検知し、ひいては原稿ガイド14cおよび14cの相互間距離であるガイド幅を検知する。したがってたとえば、原稿ガイド14cおよび14cにより原稿100の搬送幅方向における両側縁の位置が規制された状態にあるときのガイド幅は、当該原稿100の搬送幅方向における寸法である幅寸法におおむね相当する。なお、図示を含む詳しい説明は省略するが、ガイド幅検知部14eは、原稿ガイド14cおよび14cの一方または両方の位置に応じた抵抗値を示すように設けられる可変抵抗器を含み、この可変抵抗器の抵抗値に基づいて、ガイド幅を検知する。これに代えて、ガイド幅検知部14eは、光センサなどの適宜のセンサにより原稿ガイド14cおよび14cの一方または両方の位置を検知し、ひいてはガイド幅を検知する構成であってもよい。
【0028】
さらに、自動原稿送り装置14は、複数の、たとえば2つの、扁平突起状の原稿検知片14fおよび14gを有する。これら2つの原稿検知片14fおよび14gは、原稿載置トレイ14aの搬送幅方向における略中央であって、当該原稿載置トレイ14aの搬送方向(たとえば
図2の左右方向)における互いに異なる適宜の位置に配される。そして、これら各原稿検知片14fおよび14gのそれぞれは、自身に外力が加わっていないときに、とりわけ上方からの外力が加わっていないときに、原稿載置トレイ14aの上面(原稿載置面)よりも上方へ突出した状態にある。一方、各原稿検知片14fおよび14gのそれぞれは、自身に外力が加わると、たとえば原稿100によって覆われると、その原稿100の重みにより原稿載置トレイ14a内に押し込められ、つまりはそうなるように構成される。
【0029】
併せて、
図1および
図2には示されないが、自動原稿送り装置14は、各原稿検知片14fおよび14gそれぞれの状態を検知するための後述する2つの原稿長さセンサ14hおよび14i(
図3参照)を有する。これら各原稿長さセンサ14hおよび14iは、各原稿検知片14fおよび14gに対応して設けられる。すなわち、一方の原稿長さセンサ14hは、一方の原稿検知片14fの状態を検知するように設けられ、当該一方の原稿検知片14fの状態に応じた態様の信号を出力する。そして、他方の原稿長さセンサ14iは、他方の原稿検知片14gの状態を検知するように設けられ、当該他方の原稿検知片14gの状態に応じた態様の信号を出力する。なお、各原稿長さセンサ14hおよび14iは、たとえば光センサであり、詳しくは透過型の光センサである。また、各原稿長さセンサ14hおよび14iは、各原稿検知片14fおよび14gと協働して、後述する原稿長さ検知部14j(
図7参照)を構成する。
【0030】
図3を参照して、自動原稿送り装置14の内部に注目すると、自動原稿送り装置14は、原稿載置トレイ14a側の給紙口14kから原稿排出トレイ14b側の排紙口14mに至る原稿搬送路200を有する。なお、
図3は、自動原稿送り装置14の内部を複合機10の前方側から見た模式図である。この
図3に示されるように、原稿搬送路200は、たとえば概略U字状(または概略C字状)である。
【0031】
原稿搬送路200の給紙口14kの近傍には、ピックアップローラ14nが設けられる。このピックアップローラ14nは、原稿載置トレイ14aに載置された原稿100を当該原稿載置トレイ14aから1枚単位で取り出す。このピックアップローラ14nにより原稿載置トレイ14aから取り出された原稿100は、給紙口14kを介して原稿搬送路200に取り込まれる。そのために、原稿搬送路200の給紙口14k側の端部、言わば上流側端部に、給紙ローラ14pが設けられる。
【0032】
原稿搬送路200には、複数の搬送ローラ14q、14q、…が適宜に設けられる。これら各搬送ローラ14q、14q、…は、原稿搬送路200に取り込まれた原稿100を当該原稿搬送路200に沿って(倣うように)搬送させる。併せて、原稿搬送路200は、前述の原稿台の上面に接する部分14yを有する。この部分14yには、自動原稿送り装置14が(原稿押さえカバーとしてではなく)当該自動原稿送り装置14として機能する際に、画像読取部12による前述の画像読取領域が固定された状態で配され、いわゆる画像読取位置Pが配される。なお、画像読取位置P(画像読取領域)は、主走査方向(
図3の紙面に対して垂直な方向)に沿って延伸する。
【0033】
すなわち、原稿搬送路200に沿って搬送される原稿100は、その途中で、画像読取位置Pを通過する。これにより、画像読取位置Pは、原稿100に対して、当該原稿100の搬送方向に沿って移動し、つまり副走査方向に沿って移動する。この結果、原稿100の画像が2次元で読み取られ、いわゆる流し読み方式により読み取られる。このような流し読み方式による画像読取処理を実現する自動原稿送り装置14は、SPF(Surface Pass Feeder)とも呼ばれる。なお、各搬送ローラ14q、14q、…のうちの原稿100の搬送方向における画像読取位置Pの直前(画像読取位置Pに最も近い上流側)にある搬送ローラ14q’は、画像読取位置Pへの原稿100の供給タイミングを調整するためのレジストローラを兼ねる。
【0034】
画像読取位置Pを通過した原稿100は、原稿搬送路200の下流側端部である排紙口14mを介して原稿排出トレイ14bに排出される。排紙口14mには、排紙ローラ14rが設けられる。この排紙ローラ14rを含め、ピックアップローラ14n、給紙ローラ14pおよび各搬送ローラ14q、14q、…のそれぞれは、後述するローラ駆動部14s(
図7参照)により駆動される。
【0035】
さらに、原稿搬送路200には、複数の原稿搬送センサ14t、14t、…が適宜に設けられる。これら各原稿搬送センサ14t、14t、…は、原稿搬送路200中の原稿100を検知し、換言すれば原稿搬送路200中の原稿100の位置(搬送位置)を検知する。なお、各原稿搬送センサ14t、14t、…は、たとえば光センサであり、詳しくは反射型の光センサである。また、各原稿搬送センサ14t、14t、…は、後述する搬送検知部14u(
図7参照)を構成する。
【0036】
加えて、原稿搬送路200における上流側の適宜の位置に、たとえば最も上流側にある原稿搬送センサ14tと給紙ローラ14pとの間の位置に、傾きセンサ14vが設けられ、厳密には2つの傾きセンサ14vおよび14vが設けられる。これら2つの傾きセンサ14vおよび14vは、傾き度合検知手段の一例としての後述する傾き検知部14w(
図7参照)を構成する。なお、各傾きセンサ14vおよび14vは、互いに同じ仕様のセンサであり、たとえば反射型の光センサである。
【0037】
また、原稿載置トレイ14aの適宜の位置に、たとえば原稿載置トレイ14a内における給紙口14kに近い位置に、原稿載置センサ14xが設けられる。この原稿載置センサ14xは、原稿載置トレイ14aに原稿100が載置されているかどうかを検知するため原稿載置検知手段の一例である。この原稿載置センサ14xもまた、たとえば反射型の光センサである。そして、原稿載置トレイ14a内の適宜の位置に、前述の各原稿長さセンサ14hおよび14iが設けられる。すなわち、一方の原稿長さセンサ14hは、
図3には示されない一方の原稿検知片14fに対応して設けられ、当該一方の原稿検知片14fの状態を検知する。そして、他方の原稿長さセンサ14iは、
図3には示されない他方の原稿検知片14gに対応して設けられ、当該他方の原稿検知片14gの状態を検知する。
【0038】
さて、前述の2つの傾きセンサ14vおよび14vは、
図4に示されるように、原稿搬送路200の中心線(原稿搬送路200の搬送幅方向(
図4の上下方向)における中心を表す線)200aに関して対称に設けられる。具体的には、各傾きセンサ14vおよび14vは、搬送方向(
図4の左右方向)においては、互いに同じ(共役な)位置に設けられ、詳しくは前述の如く最も上流側にある原稿搬送センサ14tと給紙ローラ14pとの間に設けられる。そして、搬送幅方向においては、各傾きセンサ14vおよび14vは、原稿搬送路200の中心線200aから互いに同じ距離Dを置いた位置に設けられる。
【0039】
この距離Dは、たとえば70mmである。すなわち、搬送幅方向における各傾きセンサ14vおよび14vの相互間距離2・Dは、140mmである。この相互間距離2・Dは、原稿100の最小サイズに応じて定められる。ここでは、原稿100の最小サイズとしてA5サイズが想定されており、相互間距離2・Dは、当該A5サイズの短辺寸法である148mmよりも少し小さい値(140mm)とされる。
【0040】
なお、
図4においては、原稿載置トレイ14aに原稿100が載置されるとともに、この原稿100の搬送幅方向における両側縁の位置が原稿ガイド14cおよび14cにより規制された状態にある。この状態にあるときには、原稿100の搬送幅方向における中心線100aが、原稿搬送路200の中心線200aと、ほぼ重なる。言い換えれば、原稿100の搬送幅方向における両側縁が、原稿搬送路200の中心線200aと、ほぼ平行を成す。このような状態にあるときの原稿100の姿勢を、基本姿勢と称する。また、
図4においては、(最も上流側にある)原稿搬送センサ14tが原稿搬送路200の中心線200a上から外れた位置にあるが、それぞれの原稿搬送センサ14tは、原稿搬送路200の中心線200a上に設けられてもよい。
【0041】
この
図4に示される状態において、原稿載置トレイ14aに載置された原稿100が給紙口14kを介して原稿搬送路200に取り込まれ、当該原稿搬送路200に沿って搬送される、とする。そして、
図5に示されるように、原稿100が基本姿勢を維持した状態で、当該原稿100の下流側端縁(
図5の左側の端縁)が各傾きセンサ14vおよび14vそれぞれの配置位置に到達する、とする。この場合は、各傾きセンサ14vおよび14vのそれぞれにより同時に原稿100の下流側端縁が検知される。言い換えれば、各傾きセンサ14vおよび14vのそれぞれによる原稿100の下流側端縁の検知タイミングが一致する。なお、
図5においては、その見易さを考慮して、併せて、説明の便宜上、原稿100を破線で示してある。
【0042】
これに対して、たとえば
図6に示されるように、原稿100が基本姿勢に対して斜めに傾いた状態で搬送される、つまり斜行する、とする。この場合、原稿100の下流側端縁が各傾きセンサ14vおよび14vそれぞれの配置位置に到達するタイミングに、つまり各傾きセンサ14vおよび14vのそれぞれによる原稿100の下流側端縁の検知タイミングに、ΔTxという時間のズレが生ずる。言い換えれば、搬送方向において、一方の傾きセンサ14vによる原稿100の下流側端縁の検知位置と、他方の傾きセンサ14vによる原稿100の下流側端縁の検知位置との間に、ΔLxという位置のズレが生ずる。なお、
図6においても、その見易さを考慮して、併せて、説明の便宜上、原稿100を破線で示してある。
【0043】
ここで、原稿100の搬送速度をVxとすると、位置ズレΔLxと時間ズレΔTxとの関係は、次の式1によって表される。
【0044】
《式1》
ΔLx=Vx・ΔTx
【0045】
そして、原稿搬送路200の中心線200aに対して原稿100の中心線100aが成す角度、言わば原稿100の傾き角度(斜行角度)θxは、次の式2によって表される。
【0046】
《式2》
θx=arctan{ΔLx/(2・D)}
【0047】
なお、式2に基づく傾き角度θxは、正の値のみならず、負の値をも取り得る。たとえば、
図6に示される如く一方(
図6の上方側)の傾きセンサ14vによる原稿100の下流側端縁の検知タイミングが他方(
図6の下方側)の傾きセンサ14vによる原稿100の下流側端縁の検知タイミングよりも早いときは、傾き角度θxは、正の値となる。これとは逆に、一方(
図6の上方側)の傾きセンサ14vによる原稿100の下流側端縁の検知タイミングが他方(
図6の下方側)の傾きセンサ14vによる原稿100の下流側端縁の検知タイミングよりも遅いときは、傾き角度θxは、負の値となる。すなわち、原稿100が基準姿勢に対してどちらの方向へ傾くのかによって、傾き角度θxの値の正負が変わる。
【0048】
その上でたとえば、
図6に示される如く原稿100が傾いた状態で搬送され、当該原稿100が画像読取位置Pを通過する、とする。すると、画像読取位置Pにおいて読み取られる原稿100の読取画像は、原稿100の傾きに応じた状態(内容)となり、言わば傾いた状態となる。この原稿100の読取画像の傾き度合が、換言すれば原稿100の基本姿勢に対する傾き度合が、たとえば比較的に小さい場合には、許容され得る。一方、原稿100の基本姿勢に対する傾き度合が比較的に大きい場合には、適当な傾き補正をするのが、望ましい。さらに、原稿100の傾き度合が極端に大きい場合には、原稿100が原稿搬送路200の側縁部に引っ掛かって破損するなどのダメージを受ける虞があるので、即座に原稿100の搬送を停止するのが、望ましい。
【0049】
そこで、本第1実施例においては、たとえば式2に基づく傾き角度θxが、厳密にはその絶対値|θx|が、予め定められた第1閾値θa未満(|θx|<θa)である場合には、原稿100の傾きは許容され得るものとして、傾き補正は行われない。そして、原稿100の傾き角度θxの絶対値|θx|が第1閾値θa以上かつ予め定められた第2閾値θb未満(θa≦|θx|<θb)である場合には、原稿100の読取画像の傾きが補正され、つまり画像処理による傾き補正が行われる。さらに、原稿100の傾き角度θxの絶対値|θx|が第2閾値θb以上(θx≦θb)である場合には、即座に原稿100の搬送が停止される。なお、第1閾値θaは、たとえば0.5度である。そして、第2閾値θbは、第1閾値θaよりも大きく(θb>θa)、たとえば1.5度である。
【0050】
すなわち、原稿100の基本姿勢に対する傾き度合が比較的に小さい場合には、原稿100の傾きは許容されるものとして、傾き補正は行われない。そして、原稿100の基本姿勢に対する傾き度合が比較的に大きい場合にのみ、画像処理による傾き補正が行われる。さらに、原稿100の基本姿勢に対する傾き度合が極端に大きい場合には、即座に原稿100の搬送が停止される。なお、原稿100が傾いていない場合には当然に、傾き補正は行われず、また、原稿100の搬送が停止されることもない。
【0051】
図7は、複合機10の電気的な構成を示すブロック図である。この
図7に示されるように、複合機10は、画像読取部12、自動原稿送り装置14、画像形成部16、給紙部20および操作ユニット22の他に、画像処理部17、制御部24、補助記憶部26および通信部28を備える。これらは、互いに共通のバス30を介して接続される。なお、画像読取部12、自動原稿送り装置14、画像形成部16、給紙部20および操作ユニット22については、前述の通りである。
【0052】
画像処理部17は、画像読取部12により生成された読取画像データなどの種々の画像データに対して、適宜の画像処理を施す。この画像処理には、出力用画像データを生成するための出力用画像処理が含まれる。たとえば、コピー機能およびプリンタ機能においては、画像形成部16による画像形成処理用として適宜に整形された印刷用画像データが、出力用画像データとして生成される。また、ファクス機能のうちのファクス受信機能において、いわゆる紙出力が指定されている場合にも、当該紙出力のための画像形成部16による画像形成処理用として適宜に整形された印刷用画像データが、出力用画像データとして生成される。そして、イメージスキャナ機能においては、保存用または送信用として適宜に整形された画像データが、出力用画像データとして生成される。また、ファクス機能のうちのファクス送信機能においては、ファクス送信用として適宜に整形された画像データが、出力用画像データとして生成される。さらに、ファクス受信機能において、ファクス受信データを保存することが指定されている場合には、保存用として適宜に整形されたファクス受信データが、出力用画像データとして生成される。
【0053】
さらに、画像処理部17は、前述の画像処理による傾き補正をも担う。この画像処理による傾き補正においては、原稿100の傾き角度θxに基づいて、出力用画像データに基づく出力用画像の傾きが補正される。これにより、傾きが補正された補正後画像データが生成される。
【0054】
制御部24は、複合機10の全体的な制御を司る、制御手段の一例である。このため、制御部24は、制御実行手段としてのコンピュータ、たとえばCPU24aを、有する。併せて、制御部24は、CPU24aが直接的にアクセス可能な主記憶手段としての主記憶部24bを有する。主記憶部24bは、不図示のROMおよびRAMを含む。このうちのROMには、CPU24aの動作を制御するための制御プログラム、いわゆるファームウェアが、記憶される。そして、RAMは、CPU24aが制御プログラムに基づく処理を実行する際の作業領域およびバッファ領域を構成する。
【0055】
補助記憶部26は、補助記憶手段の一例である。すなわち、補助記憶部26には、前述の読取画像データなどの種々のデータが適宜に記憶される。この補助記憶部26は、たとえば不図示のハードディスクドライブを有する。併せて、補助記憶部26は、フラッシュメモリなどの書き換え可能な不揮発性メモリを有する場合がある。
【0056】
通信部28は、通信手段の一例である。すなわち、通信部28は、不図示の通信網と接続されることで、当該通信網を介しての双方向通信を担う。ここで言う通信網としては、LANやインターネット、公衆交換電話網などがある。また、LANには、無線LANが含まれる。
【0057】
そして改めて、自動原稿送り装置14に注目すると、当該自動原稿送り装置14は、ガイド幅検知部14e、原稿長さ検知部14j、ローラ駆動部14s、搬送検知部14uおよび傾き検知部14wを有する。前述したように、ガイド幅検知部14eは、原稿ガイド14cおよび14cによる規制位置を検知し、ひいては原稿ガイド14cおよび14cの相互間距離であるガイド幅を検知する。
【0058】
原稿長さ検知部14jは、各原稿検知片14fおよび14gと、各原稿長さセンサ14hおよび14iと、を含む。この原稿長さ検知部14jは、各原稿長さセンサ14hおよび14iそれぞれの出力信号に基づいて、つまり各原稿検知片14fおよび14gそれぞれの状態に基づいて、搬送方向における原稿100の寸法である原稿長さ寸法を検知し、厳密にはおおよその原稿長さ寸法を検知する。
【0059】
なお、ガイド幅検知部14eによる検知結果(ガイド幅)と、原稿長さ検知部14jによる検知結果(原稿長さ寸法)とは、原稿100のサイズを検知するための原稿サイズ検知処理に供される。この原稿サイズ検知処理は、CPU24aが担う。すなわち、CPU24aは、ガイド幅検知部14eによる検知結果と、原稿長さ検知部14jによる検知結果と、に基づいて、原稿100のサイズを検知(算出)する。
【0060】
さらに、ローラ駆動部14sは、前述の如くピックアップローラ14n、給紙ローラ14p、各搬送ローラ14q、14q、…および排紙ローラ14rのそれぞれを駆動する。このローラ駆動部14sは、ピックアップローラ14n、給紙ローラ14p、各搬送ローラ14q、14q、…および排紙ローラ14rと協働して、搬送手段の一例を構成する。
【0061】
そして、搬送検知部14uは、各原稿搬送センサ14t、14t、…を含む。この搬送検知部14uは、各原稿搬送センサ14t、14t、…それぞれの出力信号に基づいて、原稿搬送路200中の原稿100の位置を検知する。
【0062】
加えて、傾き検知部14wは、傾き度合検知手段の一例であり、各傾きセンサ14vおよび14vを含む。すなわち、傾き検知部14wは、各傾きセンサ14vおよび14vそれぞれの出力信号に基づいて、原稿100の基本姿勢に対する傾き度合を検知する。具体的には、傾き検知部14wは、各傾きセンサ14vおよび14vそれぞれの出力信号に基づいて、前述の時間ズレΔTxを求め、ひいては式1に基づいて、位置ズレΔLxを求め、さらには式2に基づいて、原稿100の傾き角度θxを求める。
【0063】
図8は、主記憶部24bのRAM内の構成を概念的に表すメモリマップ300である。このメモリマップ300に示されるように、RAMは、プログラム記憶領域310およびデータ記憶領域350を有する。
【0064】
このうちのプログラム記憶領域310には、前述の制御プログラムが記憶される。具体的には、制御プログラムは、表示制御プログラム312、操作検出プログラム314、画像読取プログラム316、原稿送り制御プログラム318、画像処理プログラム320、画像形成プログラム322および給紙制御プログラム324を含む。併せて、制御プログラムは、補助記憶制御プログラム326および通信制御プログラム328を含む。さらに、制御プログラムは、原稿読取制御プログラム330を含む。
【0065】
表示制御プログラム312は、ディスプレイ22bに不図示のホーム画面などの各種の画面を表示させるのに必要な表示画面データを生成するためのプログラムである。操作検出プログラム314は、タッチパネル22aに対する操作状態を検出するためのプログラムである。画像読取プログラム316は、画像読取部12を制御するためのプログラムである。原稿送り制御プログラム318は、自動原稿送り装置14を制御するためのプログラムである。画像処理プログラム320は、画像処理部17を制御するためのプログラムである。画像形成プログラム322は、画像形成部16を制御するためのプログラムである。給紙制御プログラム324は、給紙部20を制御するためのプログラムである。補助記憶制御プログラム326は、補助記憶部26を制御するためのプログラムである。通信制御プログラム328は、通信部28を制御するためのプログラムである。そして、原稿読取制御プログラム330は、CPU24aに後述する原稿読取制御タスクを実行させるためのプログラムである。
【0066】
一方、データ記憶領域350には、各種のデータが記憶される。ここで言う各種のデータとしては、表示画像生成データ352、操作データ354、閾値データ356、傾き度合データ358などがある。
【0067】
表示画像生成データ352は、前述の表示制御プログラム312に基づく表示画面データの生成に用いられるポリゴンデータやテクスチャデータなどのデータである。操作データ354は、タッチパネル22aに対する操作状態を表すデータであり、詳しくは当該タッチパネル22aに対するユーザのタッチ位置(座標)を表す時系列のデータである。閾値データ356は、第1閾値θaを表すデータである。この閾値データ356は、つまり第1閾値θaは、任意に変更可能であり、たとえば複合機10のメンテナンスを担うサービスマンによって任意に変更可能である。なお、第2閾値θbについては、基本的には変更不可であり、たとえば当該第2閾値θbを表すデータは、原稿読取制御プログラム330に組み込まれる。そして、傾き度合データ358は、原稿100の傾き角度θxを表すデータである。
【0068】
CPU24aは、原稿読取制御プログラム330に従って、原稿読取制御タスクを実行する。この原稿読取制御タスクの流れを、
図9に示す。なお、CPU24aは、原稿載置トレイ14aに原稿100が載置されている状態で、自動原稿送り装置14による原稿100の送り込み動作の開始を指示する操作が操作ユニット22(タッチパネル22a)により受け付けられたときに、これに応答して、原稿読取制御タスクを実行する。
【0069】
この原稿読取制御タスクによれば、CPU24aは、まず、ステップS1において、自動原稿送り装置14による原稿100の送り込み動作を開始し、厳密にはそうするように自動原稿送り装置14(ローラ駆動部14s)を制御する。これにより、原稿載置トレイ14aに載置された原稿100は、1枚単位で原稿搬送路200に取り込まれ、当該原稿搬送路200に沿って搬送される。このステップS1の実行後、CPU24aは、処理をステップS3へ進める。
【0070】
ステップ3において、CPU24aは、傾き検知部14wにより原稿100の傾き角度θxが検知されるのを待つ(S3:NO)。そして、原稿100の傾き角度θxが検知されると(S3:YES)、CPU24aは、処理をステップS5へ進める。
【0071】
ステップS5において、CPU24aは、ステップS3で検知された原稿100の傾き角度θxの絶対値|θx|と、閾値データ356に基づく第1閾値θaと、を比較する。ここでたとえば、傾き角度θxの絶対値|θx|が第1閾値θa未満(|θx|<θa)である場合(S5:YES)、CPU24aは、処理をステップS7へ進める。一方、傾き角度θxの絶対値|θx|が第1閾値θa以上(|θx|≧θa)である場合は(S5:NO)、CPU24aは、処理を後述するステップS13へ進める。
【0072】
ステップ7において、CPU24aは、流し読み方式による画像読取処理を実行し、厳密にはそうするように画像読取部12を制御する。これにより、原稿100の読取画像に応じた読取画像データが生成される。そして、CPU24aは、処理をステップS9へ進める。
【0073】
ステップS9において、CPU24aは、出力用画像処理を実行し、厳密にはそうするように画像処理部17を制御する。これにより、読取画像データに基づく出力用画像データが生成される。すなわち前述したように、たとえばコピー機能においては、印刷用画像データが、出力用画像データとして生成される。そして、イメージスキャナ機能においては、保存用または送信用の画像データが、出力用画像データとして生成される。さらに、ファクス送信機能においては、ファクス送信用の画像データが、出力用画像データとして生成される。このステップS9の実行後、CPU24aは、処理をステップS11へ進める。
【0074】
ステップS11において、CPU24aは、次の原稿100が存在するかどうかを、つまり原稿載置トレイ14aに原稿100が載置されているかどうかを、判定する。この判定は、前述の原稿載置センサ14x(
図3参照)からの出力信号に基づいて行われる。ここでたとえば、次の原稿100が存在する場合(S11:YES)、CPU24aは、当該次の原稿100の送り込み動作を開始するべく、処理をステップS1へ戻す。一方、次の原稿100が存在しない場合は(S11:NO)、CPU24aは、原稿読取制御タスクを終了する。
【0075】
また、CPU24aは、ステップS5からステップS13へ処理を進めた場合、当該ステップS13において、ステップS3で検知された原稿100の傾き角度θxの絶対値|θx|と、原稿読取制御プログラム330に組み込まれた第2閾値θbと、を比較する。ここでたとえば、傾き角度θxの絶対値|θx|が第2閾値θb未満(|θx|<θb)である場合、つまり当該傾き角度θxの絶対値|θx|が第1閾値θa以上かつ第2閾値θb未満(θa≦|θx|<θb)である場合(S13:YES)、CPU24aは、処理をステップS15へ進める。一方、傾き角度θxの絶対値|θx|が第2閾値θb以上(|θx|≧θa)である場合は(S5:NO)、CPU24aは、処理を後述するステップS21へ進める。
【0076】
ステップS15において、CPU24aは、ステップS7と同様、流し読み方式による画像読取処理を実行し、厳密にはそうするように画像読取部12を制御する。これにより、原稿100の読取画像に応じた読取画像データが生成される。そして、CPU24aは、処理をステップS17へ進める。
【0077】
ステップS17において、CPU24aは、ステップS9と同様、出力用画像処理を実行し、厳密にはそうするように画像処理部17を制御する。これにより、読取画像データに基づく出力用画像データが生成される。そして、CPU24aは、処理をステップS19へ進める。
【0078】
ステップS19において、CPU24aは、出力用画像データに対して画像処理による傾き補正を実行し、厳密にはそうするように画像処理部17を制御する。すなわち、画像処理部17は、原稿100の傾き角度θxに基づいて、つまり(読取画像データや出力用画像データではなく)傾き検知部14wによる検知結果に基づいて、出力用画像データに基づく出力用画像の傾きを補正するための傾き補正処理を行う。これにより、傾きが補正された補正後画像データが生成される。そして、この補正後画像データが、出力用画像データとして取り扱われる。このステップS19の実行後、CPU24aは、処理をステップS11へ進める。
【0079】
さらに、CPU24aは、ステップ13からステップS21へ処理を進めた場合、当該ステップS21において、原稿100の搬送を停止し、厳密にはそうするように自動原稿送り装置14を制御する。そして、CPU24aは、処理をステップS23へ進める。
【0080】
ステップS23において、CPU24aは、原稿100の搬送を停止したことを表すエラーメッセージを出力する。このエラーメッセージは、たとえば不図示のエラーメッセージ画面がディスプレイ22bに表示されるなどの視覚的態様により出力されてもよいし、所定の音声やブザー音が出力されるなどの聴覚的態様により出力されてもよい。このステップS21の実行をもって、CPU24aは、原稿読取制御タスクを終了する。
【0081】
なお、図示を含む詳しい説明は省略するが、原稿読取制御タスクとは別に、出力用画像データを出力するためのタスクが実行される。このタスクが実行されることにより、たとえばコピー機能においては、出力用画像データが画像形成部16による画像形成処理に供され、当該出力用画像データに基づく画像が用紙に形成される。そして、イメージスキャナ機能においては、出力用画像データが予め指定された保存先に保存され、または、予め指定された送信先に送信される。さらに、ファクス送信機能においては、出力用画像データが予め指定されたファクス送信先に送信される。
【0082】
このように本第1実施例によれば、原稿100の基本姿勢に対する傾き度合が比較的に小さい場合には、当該原稿100の傾きは許容されるものとして、傾き補正は行われない。そして、原稿100の基本姿勢に対する傾き度合が比較的に大きい場合にのみ、画像処理による傾き補正が行われる。すなわち、画像処理による傾き補正が行われる場合が限定される。したがって、画像処理による傾き補正が行われることによる複合機10のパフォーマンスの低下が抑制される。さらに、原稿100の基本姿勢に対する傾き度合が極端に大きい場合には、即座に原稿100の搬送が停止される。これにより、原稿100が原稿搬送路200の側縁部に引っ掛かることによる当該原稿100へのダメージを回避することができる。要するに、本第1実施例によれば、複合機10のパフォーマンスの低下を抑制しつつ、原稿100が傾いた状態で搬送されることに起因する不都合に適切に対処することができる。
【0083】
なお、前述の傾き補正処理を実行する画像処理部17は、傾き補正手段の一例である。そして、原稿読取タスク(
図9参照)を実行するCPU24aは、とりわけステップS1~ステップS19を実行するCPU24aは、補正制御手段の一例である。また、ステップS21を実行するCPU24aは、停止手段の一例である。さらに、コピー機能における画像形成部16は、つまり出力用画像データに基づく画像形成処理を実行する画像形成部16は、画像出力手段の一例である。そして、イメージスキャナ機能において、たとえば出力用画像データが予め指定された保存先に保存される場合には、CPU24aが、そのための処理を担うが、そのようなCPU24aもまた、画像出力手段の一例である。併せて、イメージスキャナ機能において、出力用画像データが予め指定された送信先に送信される場合には、CPU24aおよび通信部28が、そのための処理を担うが、そのようなCPU24aおよび通信部28もまた、画像出力手段の一例である。加えて、ファクス送信機能において、出力用画像データが予め指定されたファクス送信先に送信される場合も、CPU24aおよび通信部28が、そのための処理を担うが、そのようなCPU24aおよび通信部28もまた、画像出力手段の一例である。
【0084】
[第2実施例]
次に、本発明の第2実施例について説明する。
【0085】
本第2実施例においては、原稿100の傾き度合が比較的に大きい場合に、つまり当該原稿100の傾き角度θxの絶対値|θx|が第1閾値θa以上かつ第2閾値θbである場合に、
図10に示されるような確認メッセージ画面400がディスプレイ22bに表示される。この確認メッセージ画面400は、ユーザに対して、前述の画像処理による傾き補正(傾き補正処理)の実行を希望するかどうかを問い合わせるための画面である。
【0086】
具体的には、確認メッセージ画面400の上部の左寄りの位置には、原稿100が傾いていることを表す適当な文字列402が配される。そして、この文字列402の下方に、傾き補正を実行するかどうかをユーザに問い合わせる内容の適当な文字列404が配される。さらに、文字列404の下方に、2つの操作キー406および408が配される。このうちのたとえば左側の操作キー406は、傾き補正を実行することを指示するキーであり、言わば「はい」キーである。そして、左側の操作キー408は、傾き補正を実行することを指示するキーであり、言わば「いいえ」キーである。
【0087】
加えて、確認メッセージ画面400の右方に、読取画像データに基づくプレビュー画像410が表示される。具体的には、確認メッセージ画面の右方に、プレビュー画像410を表示するための矩形状のプレビュー表示領域412が配される。そして、このプレビュー表示領域412内に、プレビュー画像410が表示される。なお、
図10における矩形状の破線100bは、原稿100が傾いた状態を表現する便宜上の仮想線であり、実際には表示されない。また、プレビュー表示領域412の近傍の適宜の位置に、たとえばプレビュー表示領域412の上方に、プレビュー画像410の表題を表す適当な文字列414が配される。
【0088】
この確認メッセージ画面400において、たとえば「はい」キー406が操作(押下)される、とする。すると、この「はい」キー406の操作に応答して、前述の画像処理による傾き補正が実行される。すなわち、本第2実施例においては、原稿100の傾き角度θxの絶対値|θx|が第1閾値θa以上かつ第2閾値θbであり、これに加えて、確認メッセージ画面400における「はい」キー406が操作された場合に、画像処理による傾き補正が実行される。
【0089】
一方、確認メッセージ画面400における「いいえ」キー408が操作された場合は、画像処理による傾き補正は実行されない。すなわち、本第2実施例においては、原稿100の傾き角度θxの絶対値|θx|が第1閾値θa以上かつ第2閾値θbであっても、確認メッセージ画面400における「いいえ」キー408が操作された場合には、画像処理による傾き補正は実行されない。
【0090】
このような第2実施例においては、前述の原稿読取制御タスク(
図9参照)におけるステップS15とステップS17との間に、
図11に示されるステップS101~ステップS105が設けられる。
【0091】
すなわち、ステップS15の実行後、CPU24aは、処理をステップS101へ進める。そして、ステップS101において、CPU24aは、確認メッセージ画面400をディスプレイ22bに表示する。このとき、確認メッセージ画面400の表示と併せて、音声によりユーザへの問合せが行われてもよい。このステップS101の実行後、CPU24aは、処理をステップS103へ進める。
【0092】
ステップS103において、CPU24aは、確認メッセージ画面400に対してユーザによる何らかの操作が行われるのを待ち、換言すればタッチパネル22aがユーザからの回答として何らかの操作を受け付けるのを待つ(S103:NO)。そして、確認メッセージ画面400に対してユーザによる何らかの操作が行われると、つまりタッチパネル22aがユーザからの回答として何らかの操作を受け付けると(S103:YES)、CPU24aは、処理をステップS105へ進める。
【0093】
ステップS105において、CPU24aは、ステップS103で受け付けられたユーザによる操作が傾き補正の実行を指示する操作であるかどうかを、つまり「はい」キー406の操作であるかどうかを、判定する。ここでたとえば、ステップS103で受け付けられたユーザによる操作が「はい」キー406の操作である場合(S105:YES)、CPU24aは、処理をステップS17へ進める。一方、ステップS103で受け付けられたユーザによる操作が「はい」キー406の操作でない場合、つまり「いいえ」キー408の操作である場合は(S405:NO)、CPU24aは、処理をステップS9へ進める。
【0094】
このように本第2実施例によれば、原稿100の傾き角度θxの絶対値|θx|が第1閾値θa以上かつ第2閾値θbであり、これに加えて、確認メッセージ画面400における「はい」キー406が操作された場合に、画像処理による傾き補正が実行される。一方、原稿100の傾き角度θxの絶対値|θx|が第1閾値θa以上かつ第2閾値θbであっても、確認メッセージ画面400における「いいえ」キー408が操作された場合には、画像処理による傾き補正は実行されない。このような本第2実施例によれば、画像処理による傾き補正を実行するかどうかをユーザの希望に応じて選択することができ、ひいてはユーザの希望に即した複合機10の運用が可能となる。
【0095】
なお、原稿読取制御タスクにおけるステップS101を実行することによりプレビュー画像410を含む確認メッセージ画面400をディスプレイ22bに表示するCPU24aは、当該ディスプレイ22bと協働して、問合せ手段の一例を構成する。併せて、CPU24aは、ディスプレイ22bと協働して、プレビュー画像表示手段の一例をも構成する。そして、確認メッセージ画面400における「はい」キー406および「いいえ」キー408は、厳密には当該「はい」キー406および「いいえ」キー408を介してユーザからの回答を受け付けるタッチパネル22aは、回答受付手段の一例である。
【0096】
また、
図10に示される確認メッセージ画面400は、そのデザインを含め、一例である。すなわち、
図10に示されるのとは異なるデザインの確認メッセージ画面400が表示されてもよい。そして、プレビュー画像410については、確認メッセージ画面400とは別の画面により表示されてもよい。
【0097】
さらに、原稿読取制御タスクにおけるステップS101~ステップS105については、ステップS15とステップS17との間に設けられたが、これに限らず、たとえばステップS17とステップS19との間に設けられてもよい。すなわち、ステップS17が実行された後に、ステップS101~ステップS105が順次実行されてもよい。この場合、ステップS105における『YES』からはステップS19へ処理が進められる。一方、ステップS105における『NO』からはステップS11へ処理が進められる。
【0098】
[その他の適用例]
以上の各実施例は、本発明の具体例であり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。これら各実施例以外の局面にも、本発明を適用することができる。
【0099】
たとえば、原稿読取制御タスクにおけるステップS17とステップS19(
図9参照)については、これらの順番が逆であってもよい。すなわち、ステップS15における画像読取処理の実行後、ステップS19へ処理が進められ、当該ステップS19において、読取画像データに対して傾き補正処理が施されてもよい。その上で、ステップS17へ処理が進められ、当該ステップS17において、出力用画像処理が実行されることにより、傾き補正が成された出力用画像データが生成されてもよい。
【0100】
また、前述の第1閾値θaについては、一定の値ではなく、たとえば原稿100のサイズなどの何らかの条件に応じて適宜に変更されてもよい。具体的には、原稿100のサイズが大きいほど、第1閾値θaが小さくなるように変更されてもよい。あるいは、原稿100の幅寸法もしくは長さ寸法が大きいほど、第1閾値θaが小さくなるように変更されてもよい。
【0101】
これと同様に、第2閾値θbについても、原稿100のサイズなどの何らかの条件に応じて適宜に変更されてもよい。すなわち、原稿100のサイズが大きいほど、第2閾値θbが小さくなるように変更されてもよい。あるいは、原稿100の幅寸法もしくは長さ寸法が大きいほど、第2閾値θbが小さくなるように変更されてもよい。
【0102】
さらに、原稿100の傾き角度θxに基づいて、当該原稿100の傾き度合が判定されたが、これに限らない。たとえば、前述の位置ズレΔLxまたは時間ズレΔTxに基づいて、原稿100の傾き度合が判定されてもよい。この場合は、第1閾値θaおよび第2閾値θbに代えて、位置ズレΔLxまたは時間ズレΔTxに応じた閾値(位置的閾値または時間的閾値)が適宜に設定される。
【0103】
そして、各実施例においては、画像形成装置の一種である複合機10に、本発明が適用される場合について説明したが、これに限らない。すなわち、流し読み方式により原稿100の画像を読み取る機能を備える原稿読取装置、さらには、当該原稿読取装置を備えるコピー専用機やイメージスキャナ専用機などの画像出力装置に、本発明を適用することができる。
【0104】
加えて、本発明は、原稿読取装置または画像出力装置という装置の形態に限らず、原稿読取装置の制御プログラムというプログラムの形態、および、原稿読取装置の制御方法という方法の形態によっても、提供することができる。
【0105】
併せて、本発明は、原稿読取装置の制御プログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体という形態によっても、提供することができる。ここで言う記録媒体としては、たとえばSDメモリカードやUSBメモリなどの半導体メディア、あるいは、CDやDVDなどのディスクメディアがある。これらの可搬型の記憶媒体に限らず、ROMやハードディスクドライブなどのような装置組込み型(内蔵型)の記憶媒体もまた、ここで言う記録媒体として適用可能である。
【符号の説明】
【0106】
10 … 複合機
12 … 画像読取部
14 … 自動原稿送り装置
14n … ピックアップローラ
14p … 給紙ローラ
14q … 搬送ローラ
14r … 排紙ローラ
14s … ローラ駆動部
14v … 傾きセンサ
14w … 傾き検知部
16 … 画像形成部
17 … 画像処理部
22 … 操作ユニット
22a … タッチパネル
22b … ディスプレイ
24a … CPU
28 … 通信部
100 … 原稿
200 … 原稿搬送路
400 … 確認メッセージ画面
406、408 … 操作キー
410 … プレビュー画像
P … 画像読取位置
θx … 傾き角度
θa … 第1閾値
θb … 第2閾値