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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】農作業機
(51)【国際特許分類】
   A01F 15/08 20060101AFI20240401BHJP
   A01F 25/13 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
A01F15/08 R
A01F25/13 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020146984
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2022041647
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000198330
【氏名又は名称】株式会社IHIアグリテック
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮田 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】廣川 雄亮
(72)【発明者】
【氏名】横内 博史
(72)【発明者】
【氏名】宮西 広樹
【審査官】小林 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-159926(JP,A)
【文献】特開平3-74604(JP,A)
【文献】特開2006-67840(JP,A)
【文献】特開2018-157790(JP,A)
【文献】特開昭62-672(JP,A)
【文献】特開2005-307631(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01F 15/08
A01F 25/13
A01D 76/00-90/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一連のシーケンスで作動する複数の流体圧アクチュエータと電磁作動弁と各種作動終了センサと制御部を備え、
前記各種作動終了センサは、各々の前記流体圧アクチュエータの作動終了情報を前記制御部へ出力し、
前記電磁作動弁は、前記流体圧アクチュエータを作動または停止させるものであり、
前記制御部は、
作動タイミング修正部と電磁作動弁制御部を有し、
前記作動タイミング修正部は、前記複数の流体圧アクチュエータそれぞれの前記作動終了情報に基づき、次回シーケンスで作動する前記複数の流体圧アクチュエータのそれぞれの作動タイミングを所定の範囲で修正し、
前記電磁作動弁制御部は、前回のシーケンスで修正された前記作動タイミングで次回のシーケンスの前記流体圧アクチュエータを作動するように前記電磁作動弁を作動させることを特徴とする農作業機。
【請求項2】
前記流体圧アクチュエータは、流体圧シリンダであり、
前記各種作動終了センサは、前記流体圧シリンダのストローク長を検出するストローク長センサであることを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、農作業機として、特許文献1には、圃場に載置されたロールベールを拾い上げ、フィルムでラッピングするラッピングマシンが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-157790
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
農作業機には、ある決まったシーケンス、例えば、ラッピングマシンなら、圃場に置かれたロールベールを拾い揚げ、載置テーブルに乗せ、載置テーブルを回転させてフィルムを巻き、フィルムの巻かれたロールベールを再び圃場に置くという一連のシーケンスがある。それらの一連のシーケンス中に、様々な流体圧シリンダや流体圧モータが駆動し、ロールベールにフィルムを巻く作業を行うようになっている。これらの流体圧シリンダや流体圧モータは、従来技術では流体圧シリンダが駆動し終えたか否をリリーフ弁の設定圧で判断している。つまり、リリーフ弁の設定圧になったとき、次の工程の流体圧シリンダを駆動するようになっていた。この設定圧は1つだけであり、動作する流体圧シリンダが異なっても変わることはなかった。
【0005】
しかしながら、一つの農作業機に搭載されている流体圧シリンダは多種多様なものが使われている。それを一つの設定圧だけで流体圧シリンダの駆動が終了したと判断しているため、次の流体圧シリンダを動かすまで無駄な待ち時間が発生することがあった。
本発明は、各種流体圧アクチュエータを作動させる一連のシーケンスに要する時間の短縮を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一連のシーケンスで作動する複数の流体圧アクチュエータと電磁作動弁と各種作動終了センサと制御部を備え、前記各種作動終了センサは、各々の前記流体圧アクチュエータの作動終了情報を前記制御部へ出力し、前記電磁作動弁は、前記流体圧アクチュエータを作動または停止させるものであり、前記制御部は、作動タイミング修正部と電磁作動弁制御部を有し、前記作動タイミング修正部は、前記複数の流体圧アクチュエータそれぞれの前記作動終了情報に基づき、次回シーケンスで作動する前記複数の流体圧アクチュエータのそれぞれの作動タイミングを所定の範囲で修正し、前記電磁作動弁制御部は、前回のシーケンスで修正された前記作動タイミングで次回のシーケンスの前記流体圧アクチュエータを作動するように前記電磁作動弁を作動させることを特徴とする農作業機とすることで課題を解決した。
【発明の効果】
【0007】
各種流体圧アクチュエータを作動させる一連のシーケンスに要する時間が短縮できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ラッピングマシンの主な部材の説明図(A)正面図(B)斜視図(C)側面図(D)背面図
図2】油圧回路図
図3】電磁弁制御ブロックの説明図
図4】ロールベールの積み下ろし時のシーケンスの説明図(A)ロールベールラッピング完了時の状態(B)ラッピング済みロールベールの積み降ろし途中の状態(C)ラッピング済みロールベールの積み降ろし完了時の状態
図5図4記載の初回シーケンスにおける油圧の変化を示す説明図(従来技術の説明図でもある)
図6】ラッピングマシンがぬかるみ等にはまり傾いた状態の説明図
図7】実施例の初回シーケンス中の油圧変化を示す説明図
図8】制御部の概念図
図9】実施例の一連のシーケンス中の油圧変化を示す説明図
図10】ダンプシリンダ作動時にリリーフ圧を下げたときの油圧変化を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施例および従来例を説明する。以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
さらに、油圧変化を示す図は説明図であり、正確な油圧変化を示すものではなく、理解しやすいように簡略化されたものである。
【0010】
実施例について説明するが、従来のラッピングマシン1の構成は、各種作動終了センサを有しておらず、制御部6の制御内容が異なる点を除けば、基本的構造は実施例と同じである。
【0011】
(実施例)
[ラッピングマシンの全体構成]
従来例・実施例は、ラッピングマシン1に関するものである。
図1はラッピングマシン1の主な部材の説明図である。図1(A)は正面図、図1(B)は斜視図、図1(C)は側面図そして図1(D)は背面図である。ここで、ラッピングマシン1に搭載されている流体圧アクチュエータ11について説明する。ラッピングマシン1には、各種の油圧シリンダ(121・131)などが搭載され、載置テーブル13に設けられた回転軸132を回転させる油圧モータ133などの数々の流体圧アクチュエータ11が設けられている。
具体的に説明すると
(1)ロールベールRを抱え込むリフトアーム12を駆動するリフトアームシリンダ(油圧シリンダ)121
(2)リフトアーム12と載置テーブル13を支える機枠15を圃場側に倒し、再びラッピングマシン1上に戻すダンプシリンダ(油圧シリンダ)131
(3)ラッピング装置14でロールベールRをラッピングする時に載置テーブル13を回転させる油圧モータ133(流体圧アクチュエータ11)
等がある。
この他にも流体圧アクチュエータ11は搭載されているが、説明を分かりやすくするためこれらの流体圧アクチュエータ11に焦点を絞り説明する。
また、図1図2から分かるように、流体圧アクチュエータ11の作動を制御する電磁作動弁21が集められた電磁弁制御ブロック2が設けられている。さらに。電磁弁制御ブロック2に隣接してパワーパッケージ4(PTO軸44からの動力でオイルタンク41からオイルを送り出す定容量型油圧ポンプ43が搭載されている)がPTO軸44付近に配置されている。パワーパッケージ4は、油圧回路をとおして電磁弁制御ブロック2に搭載された電磁作動弁21へ油圧のかかったオイルを送る機能を有している。また、流体圧アクチュエータ11からの戻りオイルを溜めるオイルタンク41が図示されている。
基本的な構成は実施例と同じである。
【0012】
次に、油圧回路について説明する。
図2は従来例の油圧回路図であり、油圧を発生させるパワーパッケージ4、電磁作動弁21をまとめた電磁弁制御ブロック2とで主に構成される。油圧回路図を見ての通り、随所にフィルタ22が設けられている。
(パワーパッケージ)
パワーパッケージ4は、オイルタンク41、定容量型油圧ポンプ43、リリーフ弁42を主に備えている。トラクタのPTO軸44で駆動される定容量型油圧ポンプ43は、オイルタンク41からオイルを加圧し油圧を伴うオイルをプレッシャーラインPに送り出す。また、油圧回路全体の安全のため、スプリング421を用いて所定のリリーフ圧(175bar)となるように設定されたリリーフ弁42が設けられており、定容量型油圧ポンプ43で加圧されたオイルが175barを超えると、オイルはオイルタンク41へと戻される。
【0013】
(油圧センサ(流体圧センサ))
油圧センサ(流体圧センサ)3は、定容量型油圧ポンプ43と電磁弁制御ブロック2の間に設けられる。油圧センサ(流体圧センサ)3は、プレッシャーラインPの油圧を常に監視している。
【0014】
(流体圧アクチュエータ)
実施例では、流体圧アクチュエータ11として油圧モータ133、ダンプシリンダ131およびリフトアームシリンダ121を例示している。通例、ラッピングマシン1にはこの他にも複数の流体圧アクチュエータ11が搭載されているが、上記3つの流体圧アクチュエータ11を中心に説明する。
また、ダンプシリンダ131とリフトアームシリンダ121(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)は、複動型シリンダであり、それに適合する電磁作動弁21が設けられているが、一方向型シリンダであることを妨げるものではない。
【0015】
(電磁弁制御ブロック)
図2に記載のように流体圧アクチュエータ11を作動させる複数の電磁作動弁21が油圧回路中に配置されている。電磁作動弁21は、図2の電磁作動弁拡大図で示しているように、流体圧アクチュエータ11を作動させる電磁作動弁21は、4ポート3位置ノーマル閉の電磁作動弁21である。ソレノイド217を励磁する信号が入力されないとき、中央の「閉」の位置となるように一対のスプリングで付勢されている(ノーマル閉)。また、正方向、逆方向にプレッシャーラインPとタンクラインTをつなげる位置があり、一対のソレノイド217の何れかのソレノイド217の励磁により流体圧アクチュエータ11の作動位置を選べるようになっている。
図3は電磁弁制御ブロック2の概念図であり、(1)逆止・アンロード電磁作動弁211、(2)油圧モータ133(流体圧アクチュエータ11)を作動させる油圧モータ電磁作動弁212、(3)リフトアーム12を倒起させるリフトアームシリンダ121(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)を作動させるリフトアームシリンダ電磁作動弁214、および(4)載置テーブル13を倒起させるダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)を作動させるダンプシリンダ電磁作動弁213が並んでコンパクトに収められている。
【0016】
(逆止・アンロード電磁作動弁)
逆止・アンロード電磁作動弁211は、ノーマルアンロードの位置に置かれている。そのため、定容量型油圧ポンプ43からの油圧を伴うオイルは、オイルタンク41へ直ちに戻される。無負荷の状態でオイルが戻されるためPTO軸44の動力を使って、無駄に定容量型油圧ポンプ43が高圧の油圧を発生することが無くなる。いわばアイドリング状態となり、動力の浪費を抑制する。
他方、流体圧アクチュエータ11を作動させるときは、逆止・アンロード電磁作動弁211は励磁され、逆止弁の位置にポートが移動する。これにより、定容量型油圧ポンプ43からの油圧は、油圧回路のプレッシャーラインPの油圧を上昇させる。逆止・アンロード電磁作動弁211の作動と同時もしくは若干のラグタイムを置いて、各種の流体圧アクチュエータ11を作動させる各種の電磁作動弁21作動し、各種の流体圧アクチュエータ11が動作する。
【0017】
(時間と時間間隔)
混乱を避けるため、時間とは絶対時間、すなわち、現在時間を意味する。これに対して、時間間隔は、例えば待ち時間間隔WT1などと大文字で表す。
【0018】
(一連のシーケンス)
一連のシーケンスのうち、ロールベールRの積み降ろし作業のシーケンスについて焦点を絞って説明する。図4はロールベールRの積み降ろし時のシーケンスを示す説明図であり、図4(A)ロールベールラッピング完了時の状態、図4(B)はラッピング済みロールベールRの積み降ろし途中の状態、図4(C)はラッピング済みロールベールRの積み降ろし完了時の状態である。
また、図5は、図4記載の初回シーケンスにおける油圧の変化を示す説明図(従来技術の説明図)である。
この一連のシーケンスは実施例と従来例共に同じであり、制御部6で行われる制御が異なるだけである。
図4(A)のように、載置テーブル13上には、ラッピング装置14を用いてラップフィルムで巻かれたロールベールRが置かれている。リフトアームシリンダ電磁作動弁214が図5の時間t1で作動し、流路を「下」側に切り替える。これにより、前述したようにロールベールRを抱え込むように、鎖線で描かれた位置からリフトアーム12が下降を開始する。作動開始時は、図7でいうと時間t1に相当する。当初、リフトアーム12は自重で落ちる方向に動くだけであるからリフトアームシリンダ121(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)にはほとんど負荷がかかっていない。
【0019】
ところが、リフトアーム12がロールベールRと接触すると、リフトアーム12は動きにくくなる。この時、リフトアームシリンダ121(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)は急激に伸びる速度が減る。リフトアームシリンダ121が動きにくくなることで、油圧は急激に上昇し始める。急激な上昇の作動タイミングが時間t2である。やがてパワーパッケージ4に設けられたリリーフ弁42に設定されたリリーフ圧175barを超えると、リリーフ弁42を介してオイルがオイルタンク41へと排出され、リリーフ圧を保ったままとなる。リリーフ圧に達したとはいえ、ロールベールRの表面は柔軟であり、リリーフ圧を維持したままリフトアーム12はロールベールRの表面にゆっくりではあるが徐々に食い込んでゆき、やがて停止する。リリーフ圧に達したからと言って、直ちにリフトアームシリンダ121(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)の作動終了を意味しない。そのため制御部6は、リリーフ圧に到達した時間t3から、十分な待ち時間間隔WT1待ちリリーフ圧が継続するようにし、リフトアーム12がロールベールRをしっかりと抱え込むのに十分な待ち時間間隔WT1の間、リリーフ圧を維持すべく制御する。待ち時間間隔WT1が終了した時点(アンロード時間U1)になってリフトアームシリンダ電磁作動弁214が「閉」の位置へ移動するように制御する。(図2でいうと「閉」の位置)「閉」となることで複動型シリンダであるリフトアームシリンダ121(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)は、いずれの方向にもオイルが排出されず、リフトアームシリンダ121(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)は全く動かなくなり、ロールベールRを抱えたまま固定される。従来の制御部6は、リリーフ圧となり、十分な待ち時間間隔WT1待つことで、次に作動するリフトアーム12の作動タイミング(アンロード時間U1)とする。リリーフ圧に達したことが油圧センサ(流体圧センサ)3によって検出されると次に行われるリフトアーム12の作動準備のため、リリーフ圧に達した図5のアンロード時間U1で逆止・アンロード電磁作動弁211を作動させ油圧を下げる。従来技術では、どのような圃場、どのようなロールベールRの状況でも対応できるように、待ち時間間隔WT1は長く設定されている。
【0020】
図5のアンロード時間U2になると、載置テーブル13を図4(B)のように機枠15ごと圃場側に倒すため、ダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)を駆動する準備が開始される。リリーフ圧を保ったままダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)を駆動すると、高い油圧がかかることでダンプシリンダ131が急激に動きトラブルが生じる可能性がある。そのため、前述したように制御部6は、アンロード時間U1となると、逆止・アンロード電磁作動弁211を作動し、油圧回路の油圧はアンロードされ一旦下げられる。
【0021】
油圧が十分下がった図5の時間t4になると、ダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)が作動を開始する。ダンプシリンダ電磁作動弁213は、「上」の位置に切り替えられ、ダンプシリンダ131は、重たいロールベールRを機枠15ごと持ち上げ始める。この時負荷が急激に上がるため、油圧は急激に上昇するが、やがて、載置テーブル13が地表に近づくにつれて、載置テーブル13とロールベールRの自重によって降下するため負荷が減ってゆく。そして、ダンプシリンダ131がストロークエンドに達する(機枠15が水平にラッピングマシン1に収まる)と、ダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)が動かなくなる(図5の時間t5)。そして、再びリリーフ圧まで油圧が上昇する(図5のアンロード時間U2)。
従来の制御部6は、リリーフ圧まで油圧が高まったことを油圧センサ(流体圧センサ)3で検出し、次に作動するリフトアーム12の作動タイミングとする。リリーフ圧に達したことが検出されると次に行われるリフトアーム12の作動準備のため、リリーフ圧に達した時間U2で逆止・アンロード電磁作動弁211を作動させ油圧を下げる。このリリーフ圧まで待つ間隔は、待ち圧力間隔WP1となり、ダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)が事実上動かないにもかかわらず、リリーフ圧に到達するまで時間と動力の無駄が生じる。
【0022】
次いで、油圧が十分低下した図5の時間t6になると、リフトアーム12が上昇を開始
し、図4(C)の鎖線で表すリフトアーム12の位置まで上昇する。圃場まで降りたラッピング済みロールベールはR、それを抱え込んでいたリフトアーム12が上昇すると載置テーブル13から放出される。この時作動するリフトアームシリンダ121(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)は、リフトアーム12を持ち上げるだけであるから、大きな負荷がかからない。図5の時間t7になると、リフトアームシリンダ121(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)はストロークエンドまで伸び動かなくなる。そのため、再びリリーフ圧になるまで油圧が上昇する。
従来技術の制御部は、リリーフ圧まで油圧が達したことを油圧センサ(流体圧センサ)3検出(図5の時間U3)し、逆止・アンロード電磁作動弁211を作動させアンロードすることで油圧を下げる。
【0023】
以上の通り、従来技術では、リリーフ圧となることを油圧センサ(流体圧センサ)3で検出し、それを契機に次に作動する流体圧アクチュエータ11が作動するように、電磁作動弁21が制御されていた。各々の流体圧アクチュエータ11が作動を停止してもなお油圧を上昇する仕様となっており、無駄に定容量型油圧ポンプ43に負荷がかかり続け、PTO軸から供給される動力を浪費していた上に、リリーフ圧まで待たねば次の流体圧アクチュエータ11が作動せず無駄な待ち時間が多かった。
さらに、すべての流体圧アクチュエータ11の作動タイミングをたった1つのリリーフ圧で制御するため、細かい制御はできなかった。
【0024】
(実施例の制御)
実施例の制御は、一連のシーケンスにおいて、実際に流体圧アクチュエータ11の作動終了センサ5で検出し、次の流体圧アクチュエータ11を作動させるものである。各々の流体圧アクチュエータ11に適した各種の作動終了センサ5が用いられる。作動終了センサ5として、油圧センサ(流体圧センサ)3を利用する場合は、流体圧アクチュエータ11がストロークエンド、ストローク始端に達することで、図5の油圧が急激に立ち上がる時間t5や時間t7にみられるような、油圧の急激な立ち上がりを検出するものであってもよい。
さらに作動終了センサ5は、シリンダストロークエンドやストローク始端を検出するストローク長センサなどとすることも可能である。また、流体圧アクチュエータ11が載置テーブル13を回転させる油圧モータ133である場合は、回転の数をカウントするセンサでもよい。流体圧アクチュエータ11の使い方や種類に応じて、作動終了センサ5は変わり得る。
【0025】
ラッピングマシン1では、ストロークエンドやストローク始端を検出するセンサが作動終了センサ5として有効な作業もある。例えば、前述したリフトアーム12を上昇させる作業である。リフトアームシリンダ121(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)はストローク始端まで戻され、そこで必ず止まる。
他方、前述のリフトアーム12でラッピング済みロールベールRを抱え込む作業の場合、リフトアームシリンダ121(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)はストロークエンドまで伸長せず、リリーフ圧になってもロールベールRを押しつぶすように動き続ける。また、ロールベールRの形が、和太鼓のように中央部が膨れていると、リリーフ圧に到達した後にリフトアーム12がロールベールRの当接面で滑って、再び動き出すこともある。
ラッピング済みロールベールRと載置テーブル13が配設されている機枠15を持ち上げ、または、降ろすダンプシリンダ131も、ストロークエンドまで伸びないことがある。例えば、図6を参照されたい、ラッピングマシン1がぬかるみ等にはまり傾いている状況が示されている。このとき、ダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)はストロークエンドまで伸びず、途中で圃場面に載置テーブル13の端部が接触して止まる。
このように、圃場の状態やロールベールRの状態により影響を受ける作業が、ラッピングマシン1で行われる一連のシーケンスに含まれる。リフトアーム12をロールベールRから上昇させる工程は、圃場の状態やロールベールRの状態により影響を受けることがないため、本発明の制御は適用されない。
【0026】
圃場で作業を始める前に、圃場やロールベールRの条件がラッピング作業にどのような影響を及ぼすか知るすべはない。そこで、図8に示す本発明の制御部6は、前記条件による影響により次回シーケンスで作動する複数の流体圧アクチュエータ11のそれぞれの作動タイミングを所定の範囲で修正する作動タイミング修正部61を備えるものとした。
各シーケンスの時間は、逆止・アンロード電磁作動弁211がアンロードを開始してから、次のアンロードが開始されるまでとする。例えば、図7では機枠下降・ダンプシリンダ伸長のシーケンスでは、U1からU2がシーケンスにかかる時間である。他方、ダンプシリンダ131の作動タイミングはt4であり、作動時間は、ダンプシリンダ131で(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)は、t4からU2までである。
図7は、実施例の初回シーケンス中の油圧変化を示す説明図であり、初回の一連のシーケンスについて微妙な油圧変動まで図示したものである。実施例では、ラッピングマシン1が作動する最初の一連のシーケンスは、図5に記した従来技術、すなわち、リリーフ圧に到達したことで作動終了を判断するものとしている。
なお、最初の一連のシーケンスをどのような条件から始めるかは適宜であり、実施例では説明のために従来技術の制御を採用しているに過ぎない。
【0027】
(ダンプシリンダの作動タイミング)
図7および図8を参照されたい。実施例1では、リフトアーム12の作動終了を知るための作動終了センサ5として油圧センサ(流体圧センサ)3を用いている。制御部6の作動タイミング修正部61は、油圧センサ(流体圧センサ)3(作動終了センサ5)からの油圧情報を常時受け取っている。リフトアーム12がロールベールRを抱え込む場合、密度が高くきれいな円柱状のロールベールRだと、リリーフ圧に達した時間t3からアンロード時間U1に至る時間までほとんど油圧変動がない。ところが、密度が低い場合は、微妙な油圧変動が起きる。低密度の柔らかいロールベールRにリフトアーム12が、リリーフ圧になっても少しずつ食い込み動き続けていることを示している。図7の拡大図で図示されているのは、この変動である。また、和太鼓のように中央が膨らんだロールベールRの場合、リフトアーム12がロールベールRの上をわずかに滑るような動きをすることがあり、突然油圧が変動する。いずれにせよ、作動タイミング修正部61は、油圧変動が落ち着いたところを作動が終了したと判断し、リリーフ圧になった時間t3から油圧変動が落ち着いた時間までの間隔をそのシーケンスにおける作動終了時間間隔F1と決定する。そして、制御部6は、作動終了時間間隔F1を記憶部62に記憶する。
【0028】
作動タイミング修正部61は、リフトアーム12に次いで作動するダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)の作動する待ち時間間隔WT1を予め決められた所定の時間範囲S1で待ち時間間隔WT1が短くなるように修正する。すなわち、

(式1)
待ち時間間隔WT1-所定の時間範囲S1=次回シーケンスの待ち時間間隔WT1

となる。すなわち、次回のシーケンスでダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)の作動タイミングとなるアンロード時間U1は、所定の時間範囲S1だけ早くなる。一挙に次回シーケンスの作動タイミングとなるアンロード時間U1を修正しないのは、まだ、一つのロールベールRについてデータを得ただけであり、たった一つのデータから、圃場のすべてのロールベールRの作動タイミングを修正するのが危険だからである。
【0029】
次回シーケンスでは、初回シーケンスで決定したダンプシリンダ131の作動タイミングとなる新たな待ち時間間隔WT1(前回よりS1だけ短い時間)で、ダンプシリンダ131の作動を開始すべくアンロードが行われる。
同じように、制御部6は、次回シーケンスのリフトアーム12の作動時において作動終了時間間隔F1を作動終了情報として取得し記憶する。作動終了時間間隔(作動終了情報)F1は、一般的に圃場の状態やロールベールRの状態によって毎回変動する。
そこで、作動タイミング修正部61は、リフトアーム作動終了時間間隔(作動終了情報)F1の平均値を計算し記憶する。そして、次々回シーケンスのダンプシリンダ131の作動タイミングを所定の時間範囲S1内で修正する。これを繰り返すことで、待ち時間間隔WT1は、理論的には、作動終了時間間隔(作動終了情報)F1に収束する。
安全範囲について後述するが、実施例の、作動タイミング修正部61は、リフトアーム作動時間間隔F1の平均値に安全範囲を加えた値以下に待ち時間間隔WT1がならないように、次回シーケンスの作動タイミングである待ち時間間隔WT1を自動的に最適化する。次回シーケンスの待ち時間間隔WT1は、次回シーケンスに入ると、ダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)の作動タイミングとして、電磁作動弁制御部63を介して電磁弁制御ブロック2へと送られリフトアームシリンダ電磁作動弁214を「閉」とすると同時に、次に動作するダンプシリンダ131の作動の準備のため、逆止・アンロード電磁作動弁211をアンロードの位置に切り替える。(図2参照)
なお、所定の時間範囲S1は、適宜決めることができ、作動終了時間間隔(作動終了情報)F1の平均値に近づくほど所定の時間範囲S1を小さくすることも可能である。
【0030】
(リフトアーム上昇の作動タイミング)
ダンプシリンダ131の作動はアンロード時間U1から始まる。油圧が十分下がったt4で、ダンプシリンダ131が作動する。ダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)は、載置テーブル13に載置されたロールベールRごと機枠15を一旦持ち上げ、圃場まで積み降ろす。しかし、その時間は常に一定とは限らない。図6で示した状態は、ぬかるみ等に嵌ってラッピングマシン1自体が傾いており、機枠15または載置テーブル13の端部が圃場面に接触し、傾いたままそれ以上動かなくなる。ダンプシリンダ131はストロークエンドまで伸び切っておらず、ラッピングマシン1が水平なときより、ダンプシリンダ131が収縮する長さが短くなる。機枠15または載置テーブル13が予想の箇所で設置してしまうと、ダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)が完全に縮んで動かなくなり、定容量型油圧ポンプ43から送油されるオイルの行き場がなくなり、リリーフ圧まで油圧が上昇し始める。また、通常より短い時間で作動終了となる。
作動タイミング修正部61は、油圧が急激に上がり始めた時間t5をダンプシリンダ131の作動が終了した判断する。
【0031】
作動タイミング修正部61は、油圧センサ(流体圧センサ)3から得た油圧情報から、急激な油圧上昇を検知した圧力を、作動終了圧力(作動終了情報)A1として記憶する。そして、次回シーケンスでは、作動タイミング修正部61は、リリーフ圧から所定の圧力範囲P1だけ下がったアンロード設定圧UP1になると、アンロードを開始するように制御する。これにより次回シーケンスでは、次に作動するリフトアームシリンダ121の作動開始となるアンロード時間U2が実質的に早まる。
作動終了圧力(作動終了情報)A1もシーケンスを繰り返すごとに平均化され、制御部6に記憶される。前述した作動終了時間間隔(作動終了情報)F1と同様に、シーケンスを重ねるごとに、アンロード設定圧UP1も次第に、作動終了圧力(作動終了情報)A1に収束して行く。安全範囲について後述するが、実施例では作動終了圧力A1の平均値に安全範囲圧力を加えた圧力以下に、アンロード設定圧UP1がならないように次回シーケンスの作動タイミングとなるアンロード設定圧UP1を設定する。
次回シーケンスでダンプシリンダ131作動時の油圧がアンロード設定圧UP1となると、電磁作動弁制御部63は、ダンプシリンダ電磁作動弁213を「閉」に切り替えるとともに逆止・アンロード電磁作動弁211をアンロード側に制御し、次に作業するリフトアームシリンダ121の作動の準備を開始する。(図2)参照。
以上のように、作動タイミング修正部61は、ダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)に次いで作動するリフトアームシリンダ121(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)の作動タイミングであるアンロード設定圧UP1を修正する。アンロード設定圧UP1が下がることで、待ち圧力間隔(作動タイミング)WP1は、シーケンスを重ねるごとに最適化されて短くなって行く。そして、アンロード設定圧UP1が下がることにより、定容量型油圧ポンプ43にかかる負荷が低減されて行く。また、リリーフ圧の手前で次のリフトアームシリンダ121(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)の作動タイミングとなるため、機枠降下・ダンプシリンダ伸長シーケンスにかかる時間(U1からU2間の時間)も実質的に短くなってゆく。
なお、所定の圧力範囲P1は、適宜決めることができ、シーケンスを繰り返すごとに所定の圧力範囲P1を小さくして行くことも可能である。
【0032】
(安全間隔)
上述のように作動タイミングの最適化を図ると、修正された作動タイミングは、作動終了時間間隔F1の平均値または作動終了圧力A1の平均値に限りなく近づく。例えば、作動終了時間間隔F1を例にとると、実際のシーケンスの作動終了時間間隔F1(リリーフ圧になってから油圧変動が無くなるまでの経過時間)は、当該平均値を中心として、平均値より短い時間で作動終了時間間隔F1となるもの、平均値より長い時間で作動終了時間間隔F1となるものがあるということである。次回シーケンスで、実際の作動終了時間間隔F1がこれまでの多数のシーケンスから求められた平均値より長くなると、実際の作業が終了していないにもかかわらず、今行っている作業は強制的に終了され、次の作業が開始されてしまうという不都合が生じる。
図9は実施例の作動タイミングの説明図であり、図9(A)は図5の従来例の油圧変動を示す図、図9(B)は実施例において多数の一連のシーケンスを行いうことで、最終的に修正されたアンロード設定圧UP1や待ち時間間隔WT1が収束し終わったときの油圧変動を示す図である。
安全間隔は、前の作業が終了する前に次の作業に移らないようにするため間隔である。実施例の場合、作動終了時間間隔F1(リリーフ圧になってから油圧変動が無くなるまでの経過時間間隔)の標準偏差を計算する。
そして、実施例では、

(式2)
次回シーケンスの待ち時間間隔WT1=作動終了時間平均値(F1の平均)+2×作動終了時間間隔F1の標準偏差

を下回らないように、次回シーケンスの待ち時間間隔WT1が制御されている。このような制御を行うと、次回シーケンスの待ち時間間隔WT1に95%の確率で作動終了時間間隔F1が入る。作動終了時間間隔F1のばらつきを統計学的に管理し、安全間隔とすることで、待ち時間間隔WT1に統計学的な根拠を与えることができる。
もっとも、安全間隔をどのように設定するかは、適宜決め得るものであり、実施例どおりに決める必要はない。
また、アンロード設定圧UP1も作動終了圧力A1の平均値と標準偏差を用いて、安全間隔を設定できることは言うまでもない。
【0033】
ラッピングマシン1で行われる一連のシーケンスについて、すべて説明しないが、同様である。
【0034】
(ダンプシリンダの別制御)
図4の載置テーブル13とロールベールRを載せた機枠15のように、機枠回動軸151を中心に持ち上がってゆく。機枠15を昇降しているのは複動型シリンダであるダンプシリンダ131である。図からも分かるように、当初水平な機枠15は、機枠回動軸151を中心に持ち上げられ、ダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)には大きな負荷がかかり、定容量型油圧ポンプ43から供給されるオイルを動力としてシリンダのピストンを伸ばしてゆく。途中までダンプシリンダ131が伸び、機枠15が降下を始める。この時、機枠15は載置テーブル13とロールベールRの自重により動力が無くとも降下を始める。定容量型油圧ポンプ43は一定量のオイルしか供給しないため、機枠15が降下する速度は、ダンプシリンダ131が複動型シリンダのため定容量型油圧ポンプ43のオイル供給量によって定まる。そのため、機枠15はダンプシリンダ131がストロークエンドに達するまで所定の速度で降下し続け、圃場に接地すると突然止まるような動きとなる。特に、図6のように、ラッピングマシン1が傾斜しているときは、ダンプシリンダ131のストロークエンドに達する前に機枠15の動きが止まるため、接地した機枠15または載置テーブル13の端部に強い衝撃がかかる。
【0035】
図10は、ダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)のリリーフ圧を下げたときの油圧変動を示す説明図である。リリーフ弁42の設定圧を意図的に下げ、定容量型油圧ポンプ43から供給されるオイルの一部をオイルタンク41に意図的に戻し、ダンプシリンダ131に供給されるオイルの量を減らすことで、作動速度を遅くすることができる。このようにすると、機枠15の降下速度を下げることができ、穏やかに圃場にロールベールRを降ろすことが可能となる。
リリーフ圧を所定の圧力まで意図的に下げたため、機枠15を動作させるダンプシリンダ131にかかる油圧(油圧回路の油圧)はすぐにリリーフ圧に達する。油圧回路の油圧はリリーフ圧を保つため、前述したアンロード設定圧UP1による制御は使えない。そのため、図7図9で説明したリフトアームシリンダ121(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)に適用した待ち時間間隔WT1による制御と同様の制御を使用することができる。
具体的に述べれば、リリーフ圧に達したまましばらくダンプシリンダ131(流体圧アクチュエータ11・油圧シリンダ)は降下し、機枠15が圃場に接地したとき突然停止するため圧力変動が起きる。作動タイミング修正部61は、この新たに設定したリリーフ圧に達した時間t5aから圧力変動が起きた時間間隔を、作動終了時間間隔F1と判断する。作動タイミング修正部61は、当初設定されていた待ち時間間隔WT1と作動終了時間間隔F1に差が大きいときは、あらかじめ定められた所定の時間範囲(間隔)S1の範囲内で次回シーケンスの待ち時間間隔WT1を修正する。
すなわち、

(式3)
次回シーケンスの待ち時間間隔WT1=待ち時間間隔WT1-所定の時間範囲S1

となる。
作動タイミング修正部61は、作動終了時間間隔F1の平均値を求めたり標準偏差を求めたりして、前述したのと同様に安全範囲を適宜定め、待ち時間間隔WT1(作動タイミング)を修正してゆく。
【0036】
以上のように、本発明でいう「所定の範囲」とは、時間でも圧力でもよい。また、作動終了情報も、時間でも圧力でもよい。また、シリンダのストローク長(長さ)など適宜なパラメータで作動終了情報を得ることも可能である。
【0037】
(実施例の効果)
従来技術で要する各流体圧アクチュエータ11の作動時間(図5参照)と実施例で要する各作業時間(図9参照)を対比しても分かるように、実施例ではリリーフ圧まで待つ時間が不要となるため、流体圧アクチュエータ11が作動するごとに、少しずつ作動時間が短くなり、動力の浪費と作業時間の短縮を図ることができる。
さらに、従来技術では、油圧が高圧に保たれる時間が長いため、油温が高くなるところ、実施例では油温の上昇を抑えることが可能となる。
また、作動終了センサ5は、実施例で示したように様々なものが使え、実施例で示したものに限られない。流体圧アクチュエータ11の作動終了を検知できるならどのようなセンサであってもかまわない。例えば、前述したように、リフトアーム12が完全に上昇し作動終了したことを検出するには、ストローク長検出センサ(図示せず)を使用するやり方、油圧センサ(流体圧センサ)3(5)を使用するやり方など様々なセンサが使用できる。油圧センサ(流体圧センサ)3は、本来油圧を監視するために用いられているが、作動終了センサ5として流用できる。
このように、他の目的でも使えるセンサを作動終了センサ5として活用することも可能である。
【0038】
実施例では、牽引式のラッピングマシン1であったが、トラクタの前方にラッピングマシン1を取り付けてもよいし、自走式のラッピングマシン1にも本発明を適用できることは言うまでもない。
【0039】
以上、本発明に係る実施例のラッピングマシン1を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0040】
また、随所で変更し得る例を説明してきたが、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 ラッピングマシン
11 流体圧アクチュエータ
12 リフトアーム
121 リフトアームシリンダ(油圧シリンダ)
13 載置テーブル
131 ダンプシリンダ(油圧シリンダ)
132 回転軸
133 油圧モータ
14 ラッピング装置
15 機枠
151 機枠回動軸
2 電磁弁制御ブロック
21 電磁作動弁
211 逆止・アンロード電磁作動弁
212 油圧モータ電磁作動弁
213 ダンプシリンダ電磁作動弁
214 リフトアームシリンダ電磁作動弁
217 ソレノイド
22 フィルタ
3 油圧センサ(流体圧センサ)
4 パワーパッケージ
41 オイルタンク
42 リリーフ弁
421 スプリング
43 定容量型油圧ポンプ
44 PTO軸
5 作動終了センサ
6 制御部
61 作動タイミング修正部
62 記憶部
63 電磁作動弁制御部
P プレッシャーライン
T タンクライン
R ロールベール
S1 所定の時間範囲
P1 所定の圧力範囲
F1 作動終了時間間隔(作動終了情報)
A1 作動終了圧力(作動終了情報)
UP1 アンロード設定圧(作動タイミング)
WT1 待ち時間間隔(作動タイミング)
WP1 待ち圧力間隔(作動タイミング)









































図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10