(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】半導体製造装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20240401BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240401BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20240401BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20240401BHJP
H10B 41/27 20230101ALI20240401BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20240401BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L29/78 371
H10B41/27
H10B43/27
(21)【出願番号】P 2020150725
(22)【出願日】2020-09-08
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】高橋 篤史
【審査官】加藤 芳健
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-027786(JP,A)
【文献】特開2017-059773(JP,A)
【文献】特開2019-110275(JP,A)
【文献】国際公開第2005/106936(WO,A1)
【文献】特開平06-029264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H10B 43/27
H10B 41/27
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1膜を形成し、
炭素元素およびフッ素元素を含む第1ガスを用いて前記第1膜をエッチングすることで、前記第1膜内に凹部を形成し、かつ、前記凹部内に
フッ素元素を含む第2膜を形成し、
前記第2膜を第2ガスまたは液体に晒すことで処理する、
ことを含み、
前記第2ガスまたは前記液体は、前記第2膜中のフッ素濃度を低減し、かつ硫化水素、フッ化硫黄、および硫化カルボニルの少なくともいずれかを含み、
前記第2膜の処理は、プラズマを用いずに行われる、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2膜の処理は、前記第2膜を前記第2ガスまたは前記液体の雰囲気下でアニールすること、および、所定の温度下で前記第2膜を前記第2ガスまたは前記液体に晒すこと、の少なくともいずれかにより行われる、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1ガスは、C
xH
yF
zガスを含む(Cは炭素、Hは水素、Fはフッ素を表し、xは1以上の整数、yは0以上の整数、zは1以上の整数を表す)、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第2ガスまたは前記液体は、水素を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第2ガスまたは前記液体は、水素、ギ酸、ホルムアルデヒド、メチルアルコール、ヒ化水素、ホウ化水素、セレン化水素、リン化水素、ゲルマニウム化水素、および、シリル基を有する物質、の少なくともいずれかを含む、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2ガスは、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、またはキセノンを含む、請求項1から
5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第1ガスを用いて前記第1膜をエッチングする第1処理と、前記第2ガスまたは前記液体を用いて前記第2膜を処理する第2処理は、同じチャンバ内で行われる、請求項1から
6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1ガスを用いて前記第1膜をエッチングする第1処理と、前記第2ガスまたは前記液体を用いて前記第2膜を処理する第2処理は、交互に行われる、請求項1から
7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体製造装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上の被加工膜内に凹部を形成する場合に、凹部の形状が弓形(bowing)になることを抑制するために、凹部の側面に側壁膜を形成する場合がある。しかしながら、側壁膜の形成方法によっては、凹部の側面を側壁膜により十分に保護することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-110275号公報
【文献】特許第3659933号公報
【文献】特開2006-237356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板上の膜内に凹部を好適に形成することが可能な半導体製造装置および半導体装置の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置の製造方法は、基板上に第1膜を形成することを含む。前記方法はさらに、炭素元素およびフッ素元素を含む第1ガスを用いて前記第1膜をエッチングすることで、前記第1膜内に凹部を形成し、かつ、前記凹部内に第2膜を形成することを含む。前記方法はさらに、前記第2膜を第2ガスまたは液体に晒すことで処理することを含み、前記第2膜の処理は、プラズマを用いずに行われる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/2)である。
【
図2】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/2)である。
【
図3】第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【
図4】第2実施形態の半導体製造装置の構造の例を示す平面図である。
【
図5】第2実施形態の半導体製造装置の構造と、第2実施形態の比較例の半導体製造装置の構造とを示す断面図である。
【
図6】第2実施形態の変形例の半導体製造装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
図1から
図6において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1および
図2は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。本実施形態の半導体装置は、例えば3次元メモリである。
【0009】
まず、基板1上に下部層2を形成し、下部層2上に、複数の絶縁層3と複数の絶縁層4とを交互に含む積層膜を形成する(
図1(a))。絶縁層3は第1絶縁層の例であり、絶縁層4は第2絶縁層の例である。次に、この積層膜上に上部層5を形成し、上部層5上にハードマスク層6を形成する(
図1(a))。下部層2、絶縁層3、絶縁層4、上部層5、およびハードマスク層6が、本実施形態の基板1上の被加工膜である。この被加工膜は、第1膜の例である。
【0010】
基板1は例えば、シリコン(Si)基板などの半導体基板である。
図1(a)は、基板1の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、基板1の表面に垂直なZ方向とを示している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向と一致していなくてもよい。
【0011】
下部層2は例えば、シリコン酸化膜(SiO2)やシリコン窒化膜(SiN)などの絶縁膜や、絶縁膜間に形成された導電層を含んでいる。絶縁層3は例えば、シリコン窒化膜である。絶縁層4は例えば、シリコン酸化膜である。上部層5は例えば、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜や、絶縁膜間に形成された導電層を含んでいる。ハードマスク層6は例えば、有機膜である。
【0012】
次に、基板1上の被加工膜をエッチングするエッチング処理を行う(
図1(a))。具体的には、リソグラフィおよびエッチングにより、メモリホールMを形成するための開口部をハードマスク層6内に形成する。さらには、ハードマスク層6をマスクとして用いて、絶縁層3、絶縁層4、および上部層5をエッチングする。その結果、絶縁層3、絶縁層4、および上部層5内にメモリホールMが途中まで形成される。メモリホールMや上記開口部は、凹部の例である。上記エッチング処理は、第1処理の例である。
【0013】
上記エッチング処理は、例えば炭素元素とフッ素元素とを含むガスG1を用いて行われる。ガスG1は、例えばCxHyFzガスを含んでいる。ただし、Cは炭素、Hは水素、Fはフッ素を表し、xは1以上の整数、yは0以上の整数、zは1以上の整数を表す(x≧1、y≧0、z≧1)。y=0の場合、CxHyFzはフルオロカーボンであり、y≠0の場合、CxHyFzはハイドロフルオロカーボンである。CxHyFzガスは、例えばC4F6ガス、C4F8ガス、CH2F2ガスなどである。ガスG1は、第1膜を処理するための第1ガスの例である。
【0014】
上記エッチング処理では、C
xH
yF
zガスから生じたC
xH
yF
zプラズマによりエッチングが行われると共に、メモリホールMや上記開口部内に露出した絶縁層3、絶縁層4、上部層5、およびハードマスク層6の表面などに側壁膜11が形成される(
図1(a))。側壁膜11は例えば、炭素元素とフッ素元素とを含むフルオロカーボン膜である。側壁膜11は、第2膜の例である。
【0015】
次に、側壁膜11を改質する改質処理を行う(
図1(b))。本実施形態では、例えば側壁膜11を還元することで、側壁膜11を改質する。
図1(b)は、側壁膜11の改質により得られた改質側壁膜12を示している。上記改質処理は、第2処理の例である。
【0016】
上記改質処理は、例えば水素元素を含むガスG2を用いて行われる。ガスG2は、例えばHCOOH(ギ酸)ガスを含んでいる。ただし、Oは酸素を表す。ギ酸は、常温常圧では液体である。本実施形態では、HCOOH液体からHCOOHガスを生成し、このHCOOHガスを用いて側壁膜11を改質する。上記改質処理では、側壁膜11をHCOOHガスに晒すことにより、側壁膜11を改質する。本実施形態では、上記エッチング処理がプラズマを用いて行われるのに対し、上記改質処理はプラズマを用いずに行われる。ガスG2は、第2膜を処理するための第2ガスの例である。
【0017】
以下、側壁膜11の改質処理について詳細に説明する。
【0018】
上述のように、側壁膜11は例えば、炭素元素とフッ素元素とを含むフルオロカーボン膜である。側壁膜11はエッチング時に被加工膜の保護膜として機能するが、側壁膜11に高エネルギーのイオンが入射した際に、側壁膜11が逆にエッチングに寄与する場合がある。すなわち、側壁膜11がメモリホールM内の被加工膜のエッチングを促進するおそれがある。これは、次の式(1)におけるCFaの供給源として、側壁膜11が寄与するためである。
【0019】
SiO2+CFa→SiFb↑+COc↑ ・・・(1)
ただし、a、b、cは組成比を表す。上述のように、絶縁層4は例えば、シリコン酸化膜(SiO2膜)である。また、下部層2や上部層5は、シリコン酸化膜を含んでいる場合がある。これらのシリコン酸化膜は、式(1)の反応によりエッチングされる可能性がある。
【0020】
式(1)によれば、側壁膜11中のフッ素原子の量を減少させると、CFaの供給量を減少させることができ、メモリホールM内の被加工膜のエッチングを抑制することができる。そのため、上記改質処理では、側壁膜11を改質しており、具体的には、側壁膜11中のフッ素原子をガスG2中の水素原子と反応させて(還元反応)、フッ化水素として脱離させている。これにより、側壁膜11よりもカーボンリッチな改質側壁膜12を得ることができ、改質側壁膜12中のフッ素濃度を側壁膜11中のフッ素濃度より低減することができる。よって、高エネルギーのイオンが改質側壁膜12に入射しても、式(1)の反応が起きにくくなり、メモリホールM内の被加工膜のエッチングが抑制される。
【0021】
よって、本実施形態によれば、側壁膜11がエッチングに寄与することを抑制することができ、かつ、改質側壁膜12を保護膜として機能させることができる。これにより、メモリホールMの形状が弓形になることを抑制することが可能となる。
【0022】
続いて、側壁膜11の改質処理におけるアニールについて詳細に説明する。
【0023】
上記改質処理は、上記エッチング処理と同様に、ガスG2から生じたプラズマを用いて行うことが考えられる。このプラズマにより、改質処理を促進することができる。しかしながら、このプラズマは、メモリホールM内の深い地点まで到達できない可能性がある。この場合、メモリホールM内の深い地点で側壁膜11が十分に改質されず、メモリホールM内の被加工膜のエッチングが十分に抑制されない可能性がある。この問題は例えば、3次元メモリがさらに大容量化して、メモリホールMのアスペクト比がさらに高くなると、より顕在化すると考えられる。
【0024】
そこで、本実施形態の上記改質処理では、側壁膜11をガスG2に晒すことにより、側壁膜11を改質する。これにより、プラズマを用いずに側壁膜11を改質することが可能となる。この改質処理によれば、メモリホールM内の深い地点まで側壁膜11を十分に改質することが可能となり、プラズマを用いる場合に比べてよりコンフォーマルな改質側壁膜12を形成することが可能となる。なお、側壁膜11をガスG2に晒すことには、例えば、ガスG2の雰囲気下で側壁膜11をアニールすること、または、所定の温度下で側壁膜11をガスG2に晒すことが含まれる。
【0025】
ガスG2に含まれるガスの例は、H2(水素)ガスや、上述のHCOOH(ギ酸)ガスである。H2ガスを用いて改質処理を行う場合には、フルオロカーボン膜(側壁膜11)を十分に還元するために、H2ガスの雰囲気下でアニールを行うことが望ましく、アニールは300℃以上で行うことが望ましい。一方、一般にドライエッチングチャンバにおけるプロセス温度の上限は100~150℃であり、この上限温度以下ではフルオロカーボン膜(側壁膜11)をH2ガスにより還元することは難しい。そのため、このチャンバ内で上記エッチング処理を行う場合、続けてこのチャンバ内でH2ガスを用いた改質処理を行うことは難しい。よって、H2ガスを用いて改質処理を行う場合には、この改質処理と上記エッチング処理は別個のチャンバ内で行うことが望ましい。
【0026】
一方、HCOOHガスは、H2ガスに比べて還元能力が高く、かつ、沸点が100℃と低い。そのため、HCOOHガスを用いて改質処理を行う場合には、HCOOHガスの雰囲気下で100~150℃のアニールを行う。このアニールを100~150℃で行うことで、フルオロカーボン膜(側壁膜11)を十分に還元することができる。よって、HCOOHガスを用いて改質処理を行う場合には、この改質処理と上記エッチング処理とを同じチャンバ内で行うことが可能となる、すなわち、この改質処理と上記エッチング処理とをin-situで行うことが可能となる。
【0027】
所定の温度のエッチングチャンバ内に、HCOOHガスを供給することで改質処理を行ってもよい。例えば、エッチングチャンバの温度を、エッチングチャンバにおけるプロセス温度の上限以下の温度とした後、HCOOHガスを供給してもよい。例えば150℃のエッチングチャンバにHCOOHガスを供給してもよい。また、通常、エッチング処理におけるエッチングチャンバの温度は室温~60℃である。側壁膜の改質処理が十分に進む場合には、エッチング処理と同程度の温度のエッチングチャンバに、HCOOHガスを供給してもよい。なお、エッチングチャンバの温度は、例えばエッチングチャンバ内のステージ温度である。HCOOHガスを用いることにより、本実施形態の半導体装置の製造工程を簡略化することが可能となり、半導体装置の生産性を向上させることが可能となる。
【0028】
ギ酸(HCOOH)は、常温常圧で液体の物質である。よって、本実施形態の改質処理では、HCOOH液体からHCOOHガスを生成し、このHCOOHガスを用いて側壁膜11を改質する。HCOOHガスは、沸点が100℃と低いため、気化器により気化して上記チャンバ内に導入することができる。なお、ガスG2は、HCOOHガス以外のガスを含んでいてもよく、例えば、常温常圧で液体の物質から得られたその他のガスを含んでいてもよい。また、上記改質処理では、側壁膜11をガスG2の代わりに液体の雰囲気下でアニールすることにより、側壁膜11を改質してもよい。この液体の例は、HCOOH液体である。また、上記改質処理では、所定の温度下で側壁膜11をガスG2の代わりに液体に晒すことにより、側壁膜11を改質してもよい。
【0029】
ガスG2に含まれるガスは、HCOOHガスのような有機系ガスでもよいし、無機系ガスでもよい。有機系ガスの例は、HCHO(ホルムアルデヒド)ガスやCH3OH(メチルアルコール)ガスである。無機系ガスの例は、シリル基を有する物質(Si-R3)のガスであり、例えば、SiH4ガス、Si2H6ガス、SiH2[NH(C4H9)]2ガスなどである。ただし、Siはシリコン、Nは窒素を表す。無機系ガスの別の例は、AsH3(ヒ化水素)ガス、B2H6(ホウ化水素)ガス、H2Se(セレン化水素)ガス、PH3(リン化水素)ガス、GeH4(ゲルマニウム化水素)などである。また、ガスG2の代わりに有機系液体や無機系液体を上記改質処理に用いてもよい。なお、SiH4ガスを用いて改質処理を行う場合には、次の式(2)のように、F原子がH原子に置換される置換反応が起こると予想される。
【0030】
(-CF2-)n+SiH4→(-CH2-)n+SiF4↑ ・・・(2)
ただし、nは1以上の整数を表す。
【0031】
なお、ガスG2は、水素元素と共に、または水素元素に代わり、その他の元素を含んでいてもよい。この元素の例は、硫黄元素である。ガスG2は例えば、HCOOHガスと共に、またはHCOOHガスに代わり、H2S(硫化水素)ガス、SF6(六フッ化硫黄)ガス、またはCOS(硫化カルボニル)ガスを含んでいてもよい。例えばガスG2がH2Sガスを含む場合には、側壁膜11をH2Sガスの雰囲気下でアニールすることにより、側壁膜11が改質される。硫黄元素を含むガスG2の代わりに、硫黄元素を含む液体を、上記改質処理に用いてもよい。
【0032】
また、ガスG2は、水素元素および/または硫黄元素を含むガスと共に、He(ヘリウム)ガス、Ar(アルゴン)ガス、Kr(クリプトン)ガス、またはXe(キセノン)ガスを含んでいてもよい。
【0033】
その後、本実施形態では、上記エッチング処理と上記改質処理とを交互に繰り返し行うことで、メモリホールMを完成させる。別言すると、本実施形態のメモリホールMは、ガスG1とガスG2とを交互に繰り返し供給することで形成される。上記改質処理では、ガスG2の供給と共に上述のアニールが行われる。以下、これらの処理の詳細について説明する。
【0034】
図1(b)の工程の後に、ガスG1を用いて、絶縁層3および絶縁層4をエッチングするエッチング処理を再び行う(
図1(c))。その結果、メモリホールMを形成する処理が進行し、メモリホールMの底面が低下する。このエッチング処理では、C
xH
yF
zプラズマによりエッチングが行われると共に、メモリホールM内に露出した絶縁層3および絶縁層4の表面に側壁膜13が形成される。側壁膜13は、側壁膜11と同様の性質を有し、改質側壁膜12の下方に形成される。側壁膜13も、第2膜の例である。
【0035】
次に、ガスG2を用いて、側壁膜13を改質する改質処理を再び行う(
図2(a))。
図2(a)は、側壁膜13の改質により得られた改質側壁膜14を示している。この改質処理では、側壁膜13をHCOOHガスの雰囲気下でアニールすることにより、側壁膜13を改質する。改質側壁膜14は、改質側壁膜12と同様の性質を有する。
【0036】
次に、ガスG1を用いて、絶縁層3および絶縁層4をエッチングするエッチング処理を再び行う(
図2(b))。その結果、メモリホールMを形成する処理が進行し、メモリホールMの底面がさらに低下する。
図2(b)では、メモリホールMが下部層2を貫通して基板1に到達しており、メモリホールMが完成している。このエッチング処理では、C
xH
yF
zプラズマによりエッチングが行われると共に、メモリホールM内に露出した下部層2、絶縁層3、および絶縁層4の表面に側壁膜15が形成される。側壁膜15は、側壁膜11、13と同様の性質を有し、改質側壁膜14の下方に形成される。なお、
図2(b)の工程でメモリホールMが完成しない場合には、その後にメモリホールMが完成するまで上記改質処理と上記エッチング処理とが交互に繰り返し行われる。
【0037】
次に、改質側壁膜12、14、側壁膜15、およびハードマスク層6を除去した後、メモリホールM内にメモリ絶縁膜7とチャネル半導体層8とを順に形成する(
図2(c))。メモリ絶縁膜7は、後述するように、メモリホールM内にブロック絶縁膜、電荷蓄積層、およびトンネル絶縁膜を順に形成することで形成される。なお、
図2(c)の工程では、メモリホールM内にメモリ絶縁膜7、チャネル半導体層8、およびコア絶縁膜を順に形成してもよい。
【0038】
その後、基板1上に種々の層間絶縁膜、プラグ層、配線層などが形成される。このようにして、本実施形態の半導体装置が製造される。
【0039】
なお、
図1(a)から
図2(c)に示す方法は、下部層2、絶縁層3、絶縁層4、上部層5、およびハードマスク層6以外の被加工膜や、メモリホールM以外の凹部にも適用可能である。この方法は例えば、層間絶縁膜内にコンタクトホールやトレンチを形成する場合や、複数の電極層(例えばポリシリコン層)と複数の絶縁層(例えばシリコン酸化膜)とを交互に含む積層膜内にメモリホールを形成する場合にも適用可能である。
【0040】
本実施形態の上記複数の絶縁層3は、
図1(a)から
図2(c)に示す工程以降に行うリプレイス工程により、複数の電極層に置き換えられる。リプレイス工程では、これらの絶縁層3を除去することで絶縁層4間に複数の空洞を形成し、これらの空洞内に上記複数の電極層を埋め込む。このような電極層の例については、
図3にて説明する。
【0041】
図3は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
図3は、本実施形態の方法で製造される半導体装置の一例を示している。
【0042】
図3は、3次元メモリのメモリセル部と階段コンタクト部とを示している。
図3では、下部層2が、絶縁膜2aと、ソース側導電層2bと、絶縁膜2cとを含み、上部層5が、カバー絶縁膜5aと、ドレイン側導電層5bと、層間絶縁膜5cと、層間絶縁膜5dとを含んでいる。また、上記複数の絶縁層3は、タングステン(W)層などを含む複数の電極層3’に置き換えられている。
【0043】
図3はさらに、メモリ絶縁膜7に含まれるブロック絶縁膜7a、電荷蓄積層7b、およびトンネル絶縁膜7cを示している。メモリ絶縁膜7とチャネル半導体層8は例えば、メモリホールMの表面にブロック絶縁膜7a、電荷蓄積層7b、およびトンネル絶縁膜7cを順に形成し、メモリホールMの底部からブロック絶縁膜7a、電荷蓄積層7b、およびトンネル絶縁膜7cを除去し、その後にメモリホールM内にチャネル半導体層8を埋め込むことで形成される。この際、メモリホールM内にチャネル半導体層8とコア絶縁膜とを順に埋め込んでもよい。チャネル半導体層8は、基板1内の拡散層Lに電気的に接続されている。
【0044】
図3はさらに、上部層5内に形成された複数のコンタクトホールHと、これらのコンタクトホールH内に形成された複数のコンタクトプラグ9とを示している。各コンタクトプラグ9は、対応する電極層3’に電気的に接続されるように形成されている。
【0045】
以上のように、本実施形態のメモリホールMは、ガスG1を用いたエッチング処理と、ガスG2を用いた改質処理とを行うことで形成される。エッチング処理では、メモリホールMのエッチングが進行し、かつ、メモリホールM内に側壁膜(側壁膜11など)が形成される。改質処理では、側壁膜をガスG2に晒すことにより、側壁膜が改質される。
【0046】
よって、本実施形態によれば、メモリホールMの形状が弓形になることを側壁膜により抑制することが可能となり、高アスペクト比のメモリホールMを適切に実現することが可能となる。さらに、本実施形態によれば、熱によりメモリホールM内の深い地点まで側壁膜を十分に改質することが可能となり、メモリホールMを改質側壁膜(改質側壁膜12など)により好適に保護することが可能となる。このように、本実施形態によれば、側壁膜をプラズマを用いずに改質することで、基板1上の被加工膜内にメモリホールMを好適に形成することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態の側壁膜は、ガスG2として、例えばHCOOHガスを用いて改質される。これにより、還元能力の高いガスG2により側壁膜を還元(改質)することが可能となる。その結果、アニールの温度を低くすることや、上記エッチング処理と上記改質処理を同じチャンバ内で行うことが可能となる。このように、本実施形態によれば、側壁膜をHCOOHガスを用いて改質することで、基板1上の被加工膜内にメモリホールMを好適に形成することが可能となる。この場合、本実施形態では側壁膜をHCOOHガスおよび上記熱により改質するが、上記熱が不要であれば、側壁膜をHCOOHガスを用いてアニールなしで改質してもよい。また、側壁膜は、HCOOHガス以外のガスを用いて改質してもよい。
【0048】
(第2実施形態)
図4は、第2実施形態の半導体製造装置の構造の例を示す平面図である。
【0049】
図4(a)は、本実施形態の半導体製造装置の構造の第1の例を示している。第1の例の半導体製造装置は、複数のFOUP(Front-Opening Unified Pod)台21と、ロードロック室22と、移載室23と、複数の処理室24と、制御部25とを備えている。
【0050】
各FOUP台21は、基板1を収容するためのFOUP(不図示)を載置するために使用される。基板1を半導体製造装置内に搬入する際には、いずれかのFOUP台21上にFOUPが載置され、FOUP内の基板1がロードロック室22内に搬入される。一方、基板1を半導体製造装置から搬出する際には、ロードロック室22内の基板1が、いずれかのFOUP台21上のFOUP内に搬出される。第1の例の半導体製造装置内に搬入された基板1は、ロードロック室22と移載室23とを経由して、いずれかの処理室24内に搬入される。
【0051】
各処理室24は、上記エッチング処理を行う機能と、上記改質処理(還元処理)を行う機能とを有している。第1の例では、いずれかの処理室24内に基板1を搬入し、この処理室24内で基板1に対し上記エッチング処理と上記改質処理とを交互に繰り返し行う。エッチング処理では、ガスG1を用いて基板1上の被加工膜を処理することで、被加工膜内のメモリホールMのエッチングを進行させ、かつ、メモリホールM内に側壁膜(側壁膜11など)を形成する。改質処理では、ガスG2を用いて側壁膜を処理することで、側壁膜を改質側壁膜(改質側壁膜12など)へと改質する。この改質処理では、側壁膜をガスS2の雰囲気下でアニールすることで側壁膜を改質する代わりに、側壁膜を所定の温度の処理室24内でガスS2に晒すことで側壁膜を改質してもよい。
【0052】
第1の例の半導体製造装置は例えば、ガスG2としてHCOOHガスを用いる場合に使用される。各処理室24はドライエッチングに使用可能であり、各処理室24のチャンバにおけるプロセス温度の上限は一般に100~150℃である。この場合、各処理室24内では150℃よりも高温でアニールを行うことができない。しかしながら、ガスG2としてHCOOHガスを用いる場合には、100~150℃のアニールにより側壁膜を十分に改質することができる。第1の例によれば、上記エッチング処理と上記改質処理とを同じ処理室24内でin-situで行うことが可能となる。
【0053】
制御部25は、半導体製造装置の種々の動作を制御する。制御部25は例えば、基板1の搬送や、各処理室24内でのエッチング処理および改質処理を制御する。制御部25の例は、プロセッサ、電気回路、コンピュータなどである。
【0054】
図4(b)は、本実施形態の半導体製造装置の構造の第2の例を示している。第2の例の半導体製造装置は、上記複数の処理室24の代わりに、エッチング室26と、還元室27とを備えている。
【0055】
エッチング室26は、上記エッチング処理を行う機能を有している。還元室27は、上記改質処理(還元処理)を行う機能を有している。第2の例では、基板1をエッチング室26内と還元室27内とに交互に繰り返し搬入し、エッチング室26内で基板1に対し上記エッチング処理を行い、還元室27内で基板1に対し上記改質処理を行う。エッチング処理では、ガスG1を用いて基板1上の被加工膜を処理することで、被加工膜内のメモリホールMのエッチングを進行させ、かつ、メモリホールM内に側壁膜(側壁膜11など)を形成する。改質処理では、ガスG2を用いて側壁膜を処理することで、側壁膜を改質側壁膜(改質側壁膜12など)へと改質する。この改質処理では、側壁膜をガスS2の雰囲気下でアニールすることで側壁膜を改質する代わりに、側壁膜を所定の温度の還元室27内でガスS2に晒すことで側壁膜を改質してもよい。
【0056】
第2の例の半導体製造装置は例えば、ガスG2としてH2ガスを用いる場合に使用される。エッチング室26はドライエッチングに使用可能であり、エッチング室26のチャンバにおけるプロセス温度の上限は一般に100~150℃である。この場合、エッチング室26内では150℃よりも高温でアニールを行うことができない。一方、ガスG2としてH2ガスを用いる場合には、300℃以上のアニールにより側壁膜を改質することが望ましい。そのため、第2の例における改質処理は、エッチング室26とは別に設けられた還元室27内で行われる。なお、還元室27は、ガスG2の代わりに、HCOOH液体などの液体を用いて改質処理を行ってもよい。この場合の還元室27は、ウェット処理室などの薬液処理室としてもよい。
【0057】
制御部25は、第1の例の場合と同様に、半導体製造装置の種々の動作を制御する。制御部25は例えば、基板1の搬送や、エッチング室26内でのエッチング処理や、還元室27内での改質処理を制御する。
【0058】
図5は、第2実施形態の半導体製造装置の構造と、第2実施形態の比較例の半導体製造装置の構造とを示す断面図である。
【0059】
図5(a)は、本実施形態の半導体製造装置の構造を示しており、具体的には、
図4(a)の処理室24の構造を示している。
図5(a)において、処理室24は、ドライエッチングチャンバ31と、ステージ32と、ガス供給部33と、MFC(Mass Flow Controller)34と、シャワーヘッド35と、アニール部36と、配管41、42と、ヒータ43、44、45とを備えている。ドライエッチングチャンバ31は、収容部の例であり、ガス供給部33は、供給部の例であり、MFC34は、流量を制御する機器の例である。配管41は第2流路の例であり、配管42は第1流路の例である。ヒータ43は第2加熱部の例であり、ヒータ44は第1加熱部の例であり、ヒータ45は第3加熱部の例である。
【0060】
ドライエッチングチャンバ31は、ドライエッチングの対象となる基板1を収容することが可能である。本実施形態では、基板1に対する上記エッチング処理と上記改質処理がドライエッチングチャンバ31内で行われる。
【0061】
ステージ32は、ドライエッチングチャンバ31内で基板1を支持するために使用される。
【0062】
ガス供給部33は、基板1上の膜を処理可能なガスを、ドライエッチングチャンバ31に供給する。ガス供給部33は例えば、被加工膜をエッチングし、かつ側壁膜(側壁膜11など)を形成するためのガスG1や、側壁膜を改質側壁膜(改質側壁膜12など)へと改質するためのガスG2を供給する。ガスG1、G2は、配管41、MFC34、および配管42を順に経由してドライエッチングチャンバ31に供給され、ドライエッチングチャンバ31内でシャワーヘッド35に供給される。
【0063】
MFC34は、ガスの質量流量を計測する機能と、ガスの質量流量を制御する機能とを有している。本実施形態のMFC34は、配管41と配管42との間に配置されており、ガス供給部33からドライエッチングチャンバ31に供給されるガスの流量を計測することや制御することができる。例えば、上述の制御部25(
図4(a))は、MFC34により計測された上記ガスの流量を受信することや、上記ガスの流量をMFC34を介して制御することができる。
【0064】
シャワーヘッド35は、ガス供給部33から供給されたガスを、ドライエッチングチャンバ31内に噴射する。本実施形態のシャワーヘッド35は、ドライエッチングチャンバ31の天井付近に配置されており、上記ガスをドライエッチングチャンバ31内で下向きに噴射する。これにより、ステージ32上に載置された基板1上の膜を、このガスを用いて処理することができる。
【0065】
アニール部36は、ステージ32上の基板1に対するアニールを行う。これにより、上記改質処理の間に基板1上の側壁膜をアニールすることができる。
【0066】
ヒータ43は、配管41のまわりに設けられており、配管41を通過するガスを加熱する。よって、ヒータ43は、ガス供給部33からMFC34へと向かうガスを加熱することができる。本実施形態のヒータ43は例えば、配管41を包囲する筒状の形状を有している。
【0067】
ヒータ44は、配管42のまわりに設けられており、配管42を通過するガスを加熱する。よって、ヒータ44は、MFC34からドライエッチングチャンバ31へと向かうガスを加熱することができる。本実施形態のヒータ44は例えば、配管42を包囲する筒状の形状を有している。
【0068】
ヒータ45は、シャワーヘッド35や、ドライエッチングチャンバ31内の天井とシャワーヘッド35との間の空間を加熱するために使用される。よって、ヒータ45は、シャワーヘッド35内のガスや、ドライエッチングチャンバ31内でシャワーヘッド35に向かうガスを加熱することができる。
【0069】
図5(a)の処理室24内では例えば、ガスG1としてC
xH
yF
zガスが用いられ、ガスG2としてHCOOHガスが用いられる。加えて、上記改質処理では、基板1上の側壁膜を100~150℃のアニール温度でアニールする。この場合、HCOOHガスの温度がアニール温度よりも低いと、アニール中に側壁膜の温度が低下し、側壁膜の改質が不十分になるおそれがある。
【0070】
本実施形態では、このような現象が起こることを抑制するため、上記改質処理用にガス供給部33からガスG2を供給する際に、ヒータ43、44、45によりガスG2を加熱する。これにより、ガスG2がガス供給部33から側壁膜に到達する間に、ガスG2の温度が大きく低下することを抑制することが可能となる。
【0071】
このようなガスG2の温度低下を効果的に抑制するためには、ガスG2をなるべく側壁膜の近くで加熱することが望ましい。よって、ヒータ44やヒータ45によりガスG2を加熱する場合には、ヒータ43によりガスG2を加熱する場合に比べて、ガスG2の温度低下を効果的に抑制することが可能となる。
【0072】
なお、ヒータ43は例えば、HCOOHガスが冷却されて、HCOOH液体に戻るのを抑制するために使用することが可能である。また、ヒータ44、45は例えば、HCOOHガスがHCOOH液体に戻るのを抑制するためと、側壁膜に高温のHCOOHガスを供給するためとに使用することが可能である。
【0073】
本実施形態のヒータ44は、MFC34の出口からドライエッチングチャンバ31の入口まで延伸している。すなわち、ヒータ44の一端が、MFC34の出口まで延伸しており、ヒータ44の他端が、ドライエッチングチャンバ31の入口まで延伸している。これにより、ヒータ44の一端とMFC34の出口との間でガスG2が冷却されることや、ヒータ44の他端とドライエッチングチャンバ31の入口との間でガスG2が冷却されることを抑制することが可能となる。同様に、本実施形態のヒータ43も、MFC34の入口まで延伸している。
【0074】
図5(a)の処理室24の動作は、上述の制御部25(
図4(a))により制御される。制御部25は例えば、アニール部36のオン・オフ、アニール時間、アニール温度や、ヒータ43、44、45のオン・オフ、加熱時間、加熱温度や、チャンバ31、ステージ32、ガス供給部33、MFC34、シャワーヘッド35の動作などを制御する。
【0075】
図5(b)は、本実施形態の比較例の半導体製造装置の構造を示しており、具体的には、
図5(a)と同様に処理室24の構造を示している。ただし、本比較例の処理室24は、ヒータ44、45を備えていない。そのため、本比較例では、ガスG2がガス供給部33から側壁膜に到達する間に、ガスG2の温度が大きく低下するおそれがある。なお、本比較例のヒータ43は、MFC34の入口まで延伸していないことに留意されたい。このことも、ガスG2の温度低下を抑制するための障害となるおそれがある。
【0076】
図6は、第2実施形態の変形例の半導体製造装置の構造を示す断面図である。
【0077】
図6は、本変形例の処理室24の構造を示している。本変形例の処理室24の構造は、以下の点を除き、
図5(a)に示す処理室24の構造と同様である。すなわち、本変形例では、ガス供給部33、MFC34、配管41、配管42、およびヒータ43が、2組のガス供給部33a、33b、MFC34a、34b、配管41a、41b、配管42a、42b、およびヒータ43a、43bに置き換えられている。
ガス供給部33a、MFC34a、配管41a、配管42a、およびヒータ43aの構造や機能や、ガス供給部33、MFC34、配管41、配管42、およびヒータ43と同様である。さらに、ガス供給部33b、MFC34b、配管41b、配管42b、およびヒータ43bの構造や機能や、ガス供給部33、MFC34、配管41、配管42、およびヒータ43と同様である。ただし、本変形例では、ガス供給部33aがガスG1を供給し、ガス供給部33bがガスG2を供給する。
【0078】
本変形例の処理室24は、配管42a、42bのうち、配管42bのまわりのみにヒータ44を備えている。これにより、ヒータ43b、44等によりガスG2を加熱することで、ガスG2がガス供給部33bから側壁膜に到達する間に、ガスG2の温度が大きく低下することを抑制することが可能となる。さらには、MFC34bの上流と下流とでガスG2の温度が大きく変化することを抑制することが可能となり、ガスG2の流量を好適に制御することが可能となる。
【0079】
以上のように、本実施形態の半導体製造装置は、上記エッチング処理と上記改質処理の両方を実施できる処理室24や、ガスG2の温度低下を抑制するためのヒータ43(43b)、44、45を備えている。よって、本実施形態によれば、第1実施形態の半導体装置の製造方法を、この半導体製造装置により好適な態様で実施することが可能となる。
【0080】
なお、
図5(a)の処理室24内では、側壁膜をガスS2の雰囲気下でアニールすることで側壁膜を改質する代わりに、側壁膜を所定の温度の処理室24内でガスS2に晒すことで側壁膜を改質してもよい。この場合、処理室24の温度は、ヒータ45により所定の温度に調整してもよいし、アニール部36により所定の温度に調整してもよいし、その他の手段により所定の温度に調整してもよい。また、側壁膜をガスS2に晒すことで、側壁膜を改質する場合には、
図5(a)の処理室24にアニール部36を設けなくてもよい。これは、
図6の処理室24についても同様である。
【0081】
また、
図5(a)の処理室24の構造は、上述の還元室27(
図4(b))に適用することも可能である。この場合、ガス供給部33は、ガスG1、G2のうちのガスG2のみを供給するために使用される。これは、
図6の処理室24についても同様である。
【0082】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0083】
1:基板、2:下部層、2a:絶縁膜、2b:ソース側導電層、2c:絶縁膜、
3:絶縁層、3’:電極層、4:絶縁層、5:上部層、5a:カバー絶縁膜、
5b:ドレイン側導電層、5c:層間絶縁膜、5d:層間絶縁膜、
6:ハードマスク層、7:メモリ絶縁膜、7a:ブロック絶縁膜、7b:電荷蓄積層、
7c:トンネル絶縁膜、8:チャネル半導体層、9:コンタクトプラグ、
11:側壁膜、12:改質側壁膜、13:側壁膜、14:改質側壁膜、15:側壁膜、
21:FOUP台、22:ロードロック室、23:移載室、
24:処理室、25:制御部、26:エッチング室、27:還元室、
31:ドライエッチングチャンバ、32:ステージ、
33、33a、33b:ガス供給部、34、34a、34b:MFC、
35:シャワーヘッド、36:アニール部、
41、41a、41b:配管、42、42a、42b:配管、
43、43a、43b:ヒータ、44:ヒータ、45:ヒータ