(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】光学式情報読取装置及び光学式情報読取方法
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20240401BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20240401BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20240401BHJP
G02B 7/36 20210101ALI20240401BHJP
G03B 15/02 20210101ALI20240401BHJP
G03B 13/36 20210101ALI20240401BHJP
G01C 3/06 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
G06K7/10 408
G06K7/10 372
G06K7/10 416
G06K7/14 013
G06K7/10 436
G03B15/00 H
G02B7/36
G03B15/02 G
G03B13/36
G01C3/06 110B
G01C3/06 140
(21)【出願番号】P 2020162337
(22)【出願日】2020-09-28
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大堀 宏海
(72)【発明者】
【氏名】西澤 有翼
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-46980(JP,A)
【文献】特開平11-312213(JP,A)
【文献】特開平7-253607(JP,A)
【文献】特開平7-253608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 3/00-3/32
G02B 7/28-7/40
G03B 3/00-3/12
13/30-15/035
15/06-15/16
21/53
G06K 7/00-7/14
17/00-19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
読取対象となるシンボルを撮像して、該シンボルの情報を読み取る光学式情報読取装置であって、
シンボルに入射されて該シンボルで反射された反射光を集光する固定焦点光学系と、
前記固定焦点光学系により集光された光を電気信号に変換し、第一画像データを生成する第一撮像素子と
を含む第一撮像部と、
シンボルに入射されて該シンボルで反射された反射光を受光する可変焦点光学系と、
前記可変焦点光学系により集光された光を電気信号に変換し、第二画像データを生成する第二撮像素子と、
前記可変焦点光学系の焦点位置を変化させる焦点駆動部と、
を含む第二撮像部と、
前記第一撮像部により生成された第一画像データ、及び前記第二撮像部により生成された第二画像データに基づいてシンボルの情報を読み取り可能な制御部と
を備え、
前記制御部は、前記第一撮像部により生成された前記第一画像データを解析し、該第一撮像部による撮像ではシンボルの読み取りに不適当であると判定した場合に、前記第二撮像部でシンボルに焦点が合った画像を撮像するために必要な前記可変焦点光学系の焦点位置を算出し、当該焦点位置に前記可変焦点光学系の焦点位置を一致させるように前記焦点駆動部を制御し、前記第二撮像部が生成したシンボルに焦点の合った第二画像データに基づいて、シンボルの情報を読み取るよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式情報読取装置であって、
前記第二撮像素子が、前記第一撮像部による撮像でシンボルの読み取りに適当か否かの前記制御部の判定如何によらず、シンボルを付した対象物の光学画像を撮像可能に構成しており、
前記対象物の光学画像を、前記制御部で読み取ったシンボルの情報と関連付けで保存するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光学式情報読取装置であって、
前記第二撮像素子が、シンボルを付した対象物の光学画像を撮像する際に、前記焦点駆動部が前記可変焦点光学系を移動させないよう設定可能に構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
前記固定焦点光学系と隣接させて、エイミング光を照射するエイミング光照射部を備えており、
前記制御部は、前記エイミング光照射部で照射したエイミング光を含む画像を前記第一撮像部で撮像したエイマー画像に基づいて、シンボルまでの距離を推定するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光学式情報読取装置であって、
前記制御部が、前記第一撮像部を用いたシンボルの読み取りを不適当と判定した場合に、前記エイマー画像に基づいて算出されたシンボルまでの距離に前記可変焦点光学系の焦点距離を一致させるよう、前記焦点駆動部を駆動するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光学式情報読取装置であって、
前記制御部は、予め記憶された前記第二撮像部の焦点距離Dと前記焦点駆動部を駆動させる駆動電流Iの関係式I=F(D)に従い、前記焦点駆動部を制御するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項7】
請求項4~6のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記制御部は、前記エイマー画像を第一画像データとして、該エイマー画像を解析することにより算出されたシンボルまでの距離に基づいて、該第一撮像部による撮像でシンボルの読み取りが適切に行えるか否かを判定するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項8】
請求項4~6のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記制御部は、前記エイマー画像取得後に前記第一撮像部で撮像されたエイミング光を含まない本撮像データを第一画像データとして、該本撮像データに基づいて前記第一撮像部による撮像でシンボルの読み取りが適切に行えるか否かを判定するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
前記固定焦点光学系用の第一照明部と、
前記可変焦点光学系用の第二照明部と
を備え、
前記第一照明部と、前記固定焦点光学系と、前記可変焦点光学系と、前記第二照明部とが、一直線状に配置されてなる光学式情報読取装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記第一撮像部の解像度が、前記第二撮像部の解像度よりも低い光学式情報読取装置。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記第一撮像部の撮像視野が、前記第二撮像部の撮像視野よりも狭い光学式情報読取装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記第一撮像素子がモノクロ画像を撮像するイメージセンサであり、
前記第二撮像素子がカラー画像を撮像するイメージセンサであって、
色差情報を使ってシンボルの読み取り可能に構成されてなる光学式情報読取装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記制御部が前記第一画像データを解析し、シンボルの読み取りに不適当か否かを判定する基準が、前記第一画像データの解像度、視野範囲、コントラストのいずれかを含む光学式情報読取装置。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記制御部は、前記第一撮像部により生成された前記画像データから、読取対象のシンボルの解像度を算出し、
前記制御部で算出された解像度が、予め定められた閾値以下の場合に、前記第一撮像部により生成される前記第一画像データがシンボルの読み取りに不適当であると判定するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記制御部は、前記第一撮像部により生成された前記第一画像データから、読取対象のシンボルの必要視野を算出し、
前記制御部で算出された必要視野が、予め定められた閾値以上の場合に、前記第一撮像部により生成される前記第一画像データがシンボルの読み取りに不適当であると判定するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記制御部は、前記第一撮像部により生成された前記第一画像データから、読取対象のシンボルのコントラストを算出し、
前記制御部で算出されたコントラストが、予め定められた閾値以下の場合に、前記第一撮像部により生成される前記第一画像データがシンボルの読み取りに不適当であると判定するよう構成してなる光学式情報読取装置。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、
前記制御部が、
前記第一撮像部により生成された第一画像データ、及び前記第二撮像部により生成された第二画像データに基づいてシンボルの情報を読み取り可能な読取制御部と、
前記第二撮像部の焦点駆動部を制御するための焦点制御部と
を備えてなる光学式情報読取装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか一項に記載の光学式情報読取装置であって、さらに、
第一主面と、該第一主面と対向する第二主面とを備え、該第二主面側に部分的に突出させた突出部を有する、一方向に延長された筐体と、
前記筐体の前記第一主面側に設けられた、前記第二撮像部により生成された第二画像データを表示させるための表示部と、
を備えてなる光学的情報読取装置。
【請求項19】
請求項18に記載の光学式情報読取装置であって、
前記突出部が、
前記第二主面に対して傾斜された傾斜面と、
前記傾斜面と隣接する光学窓を有しており、
前記第一撮像素子と前記第二撮像素子が、前記突出部の内部で、前記光学窓に面する姿勢に並べて配置されており、
前記第一撮像素子と第二撮像素子の光軸が、前記光学窓を通じて、前記筐体の長手方向に対して、前記傾斜面に沿う方向に傾斜されてなる光学式情報読取装置。
【請求項20】
読取対象となるシンボルを撮像して、該シンボルの情報を読み取る光学式情報読取方法であって、
シンボルに入射されて該シンボルで反射された反射光を集光する固定焦点光学系と、
前記固定焦点光学系により集光された光を電気信号に変換し、第一画像データを生成する第一撮像素子と
を含む第一撮像部により、シンボルを含む前記第一画像データを撮像する工程と、
制御部で、前記第一画像データを解析する工程と、
前記制御部による解析の結果、前記第一画像データがシンボルの読み取りに不適当であると判定した場合に、該解析の結果に基づいて、
シンボルに入射されて該シンボルで反射された反射光を受光する可変焦点光学系と、
前記可変焦点光学系により集光された光を電気信号に変換し、第二画像データを生成する第二撮像素子と
を含む第二撮像部で、シンボルに焦点が合った画像を撮像するために必要な前記可変焦点光学系の焦点位置を算出する工程と、
前記制御部による算出結果に従い、前記可変焦点光学系の焦点位置を変化させる焦点駆動部が、当該焦点位置に前記可変焦点光学系の焦点位置を一致させる工程と、
前記第二撮像部が生成したシンボルに焦点の合った第二画像データに基づいて、前記制御部でシンボルの情報を読み取る工程と、
を含む光学式情報読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バーコードや二次元コードなどのシンボルを読み取る光学式情報読取装置及び光学式情報読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
読取対象となるバーコード、QRコード等のシンボルからの光を、CCDカメラ等のイメージセンサと呼ばれるカメラで受光してシンボルの画像データを取得し、その画像データを解析することでシンボルに応じた情報を読み取る、バーコードリーダやハンディスキャナ、ハンディターミナル等と呼ばれる手持ち式の光学式情報読取装置が知られている(例えば特許文献1)。このような光学式情報読取装置においては、一般に一の固定焦点式のカメラによりシンボルの画像データを取得することが行われている。
【0003】
しかしながら、バーコードやQRコード等のシンボルは、ピントの合った鮮明な画像データを取得することが求められているところ、固定焦点式のカメラでは、条件によっては十分な品質の画像データを得られないことがあった。
【0004】
これに対し、可変焦点式のカメラを使用することも考えられる。しかしながら、可変焦点式のカメラは、焦点を調整するためにボイスコイルモータ(VCM)等の機械的な駆動部分が存在することから、カメラを高い信頼性で安定的に使用できる寿命が限られるという問題があった。また、焦点を調整するための機構を機械的に駆動するため、消費電力も増大し、電池で駆動される手持ち式の光学式情報読取装置においては、電池の持ちが悪くなるという問題もあった。さらに、可変焦点式のカメラでオートフォーカス処理を行う際には、ピントの合う画像データを取得するために数フレームの画像を撮像する必要が生じ、撮像に要する時間が長くなって応答性が低下するという問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-101555号公報
【文献】米国特許第7195164号明細書
【文献】特表2003-532944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的の一は、撮像できる範囲を拡大した光学式情報読取装置、光学式情報読取方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
本発明の第1の側面に係る光学式情報読取装置によれば、読取対象となるシンボルを撮像して、該シンボルの情報を読み取る光学式情報読取装置であって、シンボルに入射されて該シンボルで反射された反射光を集光する固定焦点光学系と、前記固定焦点光学系により集光された光を電気信号に変換し、第一画像データを生成する第一撮像素子とを含む第一撮像部と、シンボルに入射されて該シンボルで反射された反射光を受光する可変焦点光学系と、前記可変焦点光学系により集光された光を電気信号に変換し、第二画像データを生成する第二撮像素子と、前記可変焦点光学系の焦点位置を変化させる焦点駆動部とを含む第二撮像部と、前記第一撮像部により生成された第一画像データ、及び前記第二撮像部により生成された第二画像データに基づいてシンボルの情報を読み取り可能な制御部とを備え、前記制御部は、前記第一撮像部により生成された前記第一画像データを解析し、該第一撮像部による撮像ではシンボルの読み取りに不適当であると判定した場合に、前記第二撮像部でシンボルに焦点が合った画像を撮像するために必要な前記可変焦点光学系の焦点位置を算出し、当該焦点位置に前記可変焦点光学系の焦点位置を一致させるように前記焦点駆動部を制御し、前記第二撮像部が生成したシンボルに焦点の合った第二画像データに基づいて、シンボルの情報を読み取るよう構成できる。上記構成により、第一撮像部での撮像を優先し、この第一撮像部で読み取れないシンボルに対してのみ、第二撮像部に切り替えて撮像することで、可変焦点光学系の使用頻度を低減して、焦点の調整による撮像時間の増加や可変焦点を機械的に駆動させることによる寿命の短縮を回避し、読取速度や製品寿命を向上させた光学式情報読取装置を実現できる。
【0008】
また、本発明の第2の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記構成に加えて、前記第二撮像素子が、前記第一撮像部による撮像でシンボルの読み取りに適当か否かの前記制御部の判定如何によらず、シンボルを付した対象物の光学画像を撮像可能に構成しており、前記対象物の光学画像を、前記制御部で読み取ったシンボルの情報と関連付けで保存するよう構成できる。上記構成により、例えばシンボルの写真や読み取り時の状況を示す証拠写真などを第二撮像素子で残すことが可能となる。またシンボルの情報を読み取る際に、このシンボルを付した対象物の光学画像も取得して、関連付けて保存することにより、シンボルを付した製品の状態等を後日確認する作業を容易に行える利点が得られる。
【0009】
さらに、本発明の第3の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記第二撮像素子が、シンボルを付した対象物の光学画像を撮像する際に、前記焦点駆動部が前記可変焦点光学系を移動させないよう設定可能に構成できる。上記構成により、第二撮像素子でシンボルの光学画像を撮像する際に、焦点位置を予め所定位置に固定したまま、可変焦点光学系を移動させないことで、可変焦点光学系を駆動させることによる待ち時間の発生を防ぎ、また機械的な駆動部分の摩耗などによる劣化を防ぎ、処理の簡素化と製品の長寿命化が図られる。
【0010】
さらにまた、本発明の第4の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに、前記固定焦点光学系と隣接させて、エイミング光を照射するエイミング光照射部を備えており、前記制御部は、前記エイミング光照射部で照射したエイミング光を含む画像を前記第一撮像部で撮像したエイマー画像に基づいて、シンボルまでの距離を推定するよう構成できる。上記構成により、エイミング光を含むエイマー画像を第一撮像部で撮像することで、このエイマー画像に基づいて焦点位置を推定できる。
【0011】
さらにまた、本発明の第5の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記制御部が、前記第一撮像部を用いたシンボルの読み取りを不適当と判定した場合に、前記エイマー画像に基づいて算出されたシンボルまでの距離に前記可変焦点光学系の焦点距離を一致させるよう、前記焦点駆動部を駆動するよう構成できる。上記構成により、エイマー画像から推定された焦点位置に調整した第二画像データを取得でき、読み取りの精度を向上できる。
【0012】
さらにまた、本発明の第6の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記制御部は、予め記憶された前記第二撮像部の焦点距離Dと前記焦点駆動部を駆動させる駆動電流Iの関係式I=F(D)に従い、前記焦点駆動部を制御するよう構成できる。
【0013】
さらにまた、本発明の第7の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記制御部は、前記エイマー画像を第一画像データとして、該エイマー画像を解析することにより算出されたシンボルまでの距離に基づいて、該第一撮像部による撮像でシンボルの読み取りが適切に行えるか否かを判定するよう構成できる。上記構成により、エイミング光を含むエイマー画像を第一画像データとして第一撮像部で撮像することで、このエイマー画像に基づいて焦点位置を推定でき、さらに第一撮像部での撮像の可否を判定して第二撮像部への切り替えを要否を判定することが可能となる。
【0014】
さらにまた、本発明の第8の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記制御部は、前記エイマー画像取得後に前記第一撮像部で撮像されたエイミング光を含まない本撮像データを第一画像データとして、該本撮像データに基づいて前記第一撮像部による撮像でシンボルの読み取りが適切に行えるか否かを判定するよう構成できる。上記構成により、エイミング光を含まない本撮像データを第一画像データとして第一撮像部で撮像することで、この本撮像データに基づいて第一撮像部での撮像の可否を判定して第二撮像部への切り替えを要否を判定することが可能となる。
【0015】
さらにまた、本発明の第9の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに、前記固定焦点光学系用の第一照明部と、前記可変焦点光学系用の第二照明部とを備え、前記第一照明部と、前記固定焦点光学系と、前記可変焦点光学系と、前記第二照明部とを、一直線状に配置することができる。
【0016】
さらにまた、本発明の第10の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記第一撮像部の解像度を、前記第二撮像部の解像度よりも低くすることができる。
【0017】
さらにまた、本発明の第11の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記第一撮像部の撮像視野を、前記第二撮像部の撮像視野よりも狭くすることができる。
【0018】
さらにまた、本発明の第12の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記第一撮像素子がモノクロ画像を撮像するイメージセンサであり、前記第二撮像素子がカラー画像を撮像するイメージセンサであって、色差情報を使ってシンボルの読み取り可能に構成できる。
【0019】
さらにまた、本発明の第13の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記制御部が前記第一画像データを解析し、シンボルの読み取りに不適当か否かを判定する基準に、前記第一画像データの解像度、視野範囲、コントラストのいずれかを含めることができる。
【0020】
さらにまた、本発明の第14の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記制御部は、前記第一撮像部により生成された前記画像データから、読取対象のシンボルの解像度を算出し、前記制御部で算出された解像度が、予め定められた閾値以下の場合に、前記第一撮像部により生成される前記第一画像データがシンボルの読み取りに不適当であると判定するよう構成できる。
【0021】
さらにまた、本発明の第15の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記制御部は、前記第一撮像部により生成された前記第一画像データから、読取対象のシンボルの必要視野を算出し、前記制御部で算出された必要視野が、予め定められた閾値以上の場合に、前記第一撮像部により生成される前記第一画像データがシンボルの読み取りに不適当であると判定するよう構成できる。
【0022】
さらにまた、本発明の第16の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記制御部は、前記第一撮像部により生成された前記第一画像データから、読取対象のシンボルのコントラストを算出し、前記制御部で算出されたコントラストが、予め定められた閾値以下の場合に、前記第一撮像部により生成される前記第一画像データがシンボルの読み取りに不適当であると判定するよう構成できる。
【0023】
さらにまた、本発明の第17の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記制御部が、前記第一撮像部により生成された第一画像データ、及び前記第二撮像部により生成された第二画像データに基づいてシンボルの情報を読み取り可能な読取制御部と、前記第二撮像部の焦点駆動部を制御するための焦点制御部と
を備えることができる。
【0024】
さらにまた、本発明の第18の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、さらに、第一主面と、該第一主面と対向する第二主面とを備え、該第二主面側に部分的に突出させた突出部を有する、一方向に延長された筐体と、前記筐体の前記第一主面側に設けられた、前記第二撮像部により生成された第二画像データを表示させるための表示部とを備えることができる。
【0025】
さらにまた、本発明の第19の側面に係る光学式情報読取装置によれば、上記いずれかの構成に加えて、前記突出部が、前記第二主面に対して傾斜された傾斜面と、前記傾斜面と隣接する光学窓を有しており、前記第一撮像素子と前記第二撮像素子が、前記突出部の内部で、前記光学窓に面する姿勢に並べて配置されており、前記第一撮像素子と第二撮像素子の光軸を、前記光学窓を通じて、前記筐体の長手方向に対して、前記傾斜面に沿う方向に傾斜させることができる。
【0026】
さらにまた、本発明の第20の側面に係る光学式情報読取方法によれば、読取対象となるシンボルを撮像して、該シンボルの情報を読み取る光学式情報読取方法であって、シンボルに入射されて該シンボルで反射された反射光を集光する固定焦点光学系と、前記固定焦点光学系により集光された光を電気信号に変換し、第一画像データを生成する第一撮像素子とを含む第一撮像部により、シンボルを含む前記第一画像データを撮像する工程と、制御部で、前記第一画像データを解析する工程と、前記制御部による解析の結果、前記第一画像データがシンボルの読み取りに不適当であると判定した場合に、該解析の結果に基づいて、シンボルに入射されて該シンボルで反射された反射光を受光する可変焦点光学系と、前記可変焦点光学系により集光された光を電気信号に変換し、第二画像データを生成する第二撮像素子とを含む第二撮像部で、シンボルに焦点が合った画像を撮像するために必要な前記可変焦点光学系の焦点位置を算出する工程と、前記制御部による算出結果に従い、前記可変焦点光学系の焦点位置を変化させる焦点駆動部が、当該焦点位置に前記可変焦点光学系の焦点位置を一致させる工程と、前記第二撮像部が生成したシンボルに焦点の合った第二画像データに基づいて、前記制御部でシンボルの情報を読み取る工程とを含むことができる。これにより、第一撮像部での撮像を優先し、この第一撮像部で読み取れないシンボルに対してのみ、第二撮像部に切り替えて撮像することで、可変焦点光学系の使用頻度を低減して、焦点の調整による撮像時間の増加や可変焦点を機械的に駆動させることによる寿命の短縮を回避し、読取速度や製品寿命を向上させた光学式情報読取装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施形態1に係る光学式情報読取装置の外観斜視図である。
【
図2】
図1の光学式情報読取装置のブロック図である。
【
図3】
図3Aは
図1の光学式情報読取装置の模式側面図、
図3Bは
図1の光学式情報読取装置の撮像モジュールを示す模式正面図である。
【
図4】第一撮像素子と第二撮像素子の視野範囲を示す模式図である。
【
図5】複数のシンボルを第一撮像素子と第二撮像素子で読み取る際の視野範囲を示す模式図である。
【
図7】実施形態1に係る光学式情報読取方法における第一撮像部の撮像手順を示すフローチャートである。
【
図8】第一撮像部のキャリブレーションで得られたエイマー中心位置と距離の関係を示すグラフである。
【
図9】第二撮像部による撮像の要否を判定する手順を示すフローチャートである。
【
図10】シンボルの一部分のみが読み取れる場合の範囲を示す模式図である。
【
図11】第一撮像部の視野と第二撮像部の視野の一例を示す模式図である。
【
図12】第一撮像部、第二撮像部で撮像可能な距離範囲とシンボルのセルサイズを示すグラフにおいて第一撮像距離範囲を設定したグラフである。
【
図13】
図12よりも第一撮像距離範囲を狭く設定した状態を示すグラフである。
【
図14】第二撮像部で撮像設定を行う手順を示すフローチャートである。
【
図15】VCMの電流値Iとピント位置Dの関係を示すグラフである。
【
図16】第一撮像部と第二撮像部の明るさの関係を示すグラフである。
【
図17】変形例に係る光学式情報読取方法における第一撮像部の撮像手順を示すフローチャートである。
【
図18】第二撮像部から見た動作の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための光学式情報読取装置及び光学式情報読取方法を例示するものであって、本発明は光学式情報読取装置及び光学式情報読取方法を以下のものに特定しない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
[実施形態1]
【0029】
光学式情報読取装置は、バーコードや二次元コードなどのシンボルを読み取るための端末装置である。光学式情報読取装置は、シンボルを読み取って出力するハンディスキャナの他、読み取った情報を登録したりデータ照合したりといった任意のデータ処理を行うハンディターミナルや業務用PDA等も含む意味で使用する。
【0030】
読取対象となるシンボルは、バーコード、二次元コードなどの規格化されたコード、あるいは独自規格のコードの他、文字や数字等で構成される文字列も含む。これらのシンボルは、読取対象物である製品などのワークや棚の表面に直接印刷され、あるいはワークの表面に貼付されたラベルに印刷されている。またシンボルの読み取りとは、一般にシンボルに符号化(エンコード)された情報を復号化(デコード)することを意味する。ただ、上述の通りシンボルが文字列の場合は、文字や数字の光学読取(OCR)を意味する。
【0031】
本発明の実施形態1に係る光学式情報読取装置100を、
図1~
図3Bに示す。これらの図において、
図1は光学式情報読取装置100の外観斜視図、
図2はブロック図、
図3Aは
図1の光学式情報読取装置100の模式側面図、
図3Bは撮像モジュール1の模式正面図を、それぞれ示している。これらの図に示す光学式情報読取装置100は、ハンディターミナルである。
図1の光学式情報読取装置100は、略方形である筐体2の外形を一方向に延長した板状である。筐体2の先端部分又は背面部分には、読取対象であるシンボルの光学的読取を行うための撮像モジュール1が設けられている。撮像モジュール1は、バーコードや二次元コード、文字列等のシンボルを読み取るカメラモジュールやバーコードをスキャンするスキャンモジュール等で構成される。
【0032】
筐体2の上面には、表示部3と、キー配置部30が設けられている。筐体2の一端側に表示部3が、表示部3と反対側の他端側にキー配置部30が、それぞれ設けられている。
【0033】
筐体2は、表示部3を備える表示部分DAと、キー配置部30を備える把持部分HAとで構成されており、ユーザは、把持部分HAを手で把持して、表示部分DAに設けられた表示部3の表示内容を参照しながら、把持部分HAの表面側に配置されたキー配置部30の各操作キーを操作する。筐体2は、平面視において表示部分DAを幅広とし、把持部分HAを幅狭とする一方、側面視においては、把持部分HAが厚くなるようにしてある。これにより、把持部分HAを持ちやすくしている。
【0034】
表示部3は、筐体2の一面側に設けられており、読取対象のシンボルをカメラ部で撮像した画像、シンボルを復号化した情報、その他の設定情報といった各種の情報を表示する。表示部3は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)、有機EL等で構成されている。また、表示部3は、タッチパネルとして構成されていても良い。タッチパネルで構成された表示部3は、キー入力部としても機能する。
【0035】
キー配置部30には、各種の操作を行うテンキーや電源キー、ファンクションキーといった複数の操作キーが配置されている。キー配置部30に配置された各入力デバイスは、各種の入力操作を受け付けるキー入力部を構成している。またキー配置部30には、トリガキー31が設けられている。トリガキー31を操作することで、シンボルの情報を収集するデータ収集タイミングが規定される。すなわち撮像部10(詳細は後述)は、トリガキー31が操作されたことを検知して、読取対象となるシンボルに入射されて、このシンボルで反射された反射光を電気信号に変換し、画像データを生成する撮像処理を開始する。このようにトリガキー31は、トリガ信号を規定する。なお本発明においてはトリガキーを物理的なキーに限定するものでなく、例えばユーザインターフェース上に表示される仮想的なキーとしてもよい。
【0036】
光学式情報読取装置100は、携帯性を担保するべく、駆動電力を供給するためのバッテリを備えている。また、撮像する位置を特定する、すなわち読取位置を示す照準光を照射するエイミング光照射部15、及び撮像モジュール1は、筐体2の背面側に設けられている。
【0037】
筐体2は、一方向に延長された細長い形状としている。この筐体2は、
図3Aに示すように、第一主面と、この第一主面と対向する第二主面とを備える。第二主面側には部分的に突出させた突出部を設けている。また筐体の第一主面側には、表示部が設けられている。
【0038】
突出部は、第二主面に対して傾斜された傾斜面と、この傾斜面と隣接する光学窓を有している。第一撮像素子と第二撮像素子を含む撮像モジュール1は、突出部の内部で、光学窓に面する姿勢に並べて配置されている。光学窓は透光性の部材、例えば樹脂やガラス等で構成されており、この光学窓を通じて第一撮像素子や第二撮像素子など、撮像モジュール1を構成する各部材は筐体2から外部に表れる。
【0039】
さらに第一撮像素子と第二撮像素子の光軸は、
図3Aにおいて一点鎖線で示す筐体2の長手方向に対して、破線で示すように傾斜されている。傾斜方向は、傾斜面に沿う方向、すなわち光学式情報読取装置100の先端から離れるほど、筐体2の長手方向から離れる方向としている。
図3Aの例では、第一撮像素子と第二撮像素子の光軸は、筐体2の長手方向に対して、角度θで傾斜されている。これによって、光学式情報読取装置100を用いてシンボルを読み取る際、ユーザは光学式情報読取装置100の姿勢を調整し易くなり、無理なく把持して扱い易い環境が実現される。
【0040】
図2は、実施形態1に係る光学式情報読取装置100のブロック図である。この図に示すように、光学式情報読取装置100は、少なくとも動作を制御する制御プログラムを実行する制御部40、RAM51、記憶部52、表示部3、操作部(キー配置部)30、通信インターフェース50、撮像モジュール1を備えている。
【0041】
制御部40は、内部バス等を介して光学式情報読取装置100の上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶部52に記憶されているコンピュータプログラムに従って、種々のソフトウェア的機能を実行する。このような制御部40はCPUやMPU、SoC、ASICなどで好適に実現できる。RAM51は、SRAM、SDRAM等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラムの実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラムの実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0042】
また制御部40は、読取制御部42や焦点制御部49の機能を実現する。読取制御部42は、第一撮像部10により生成された第一画像データや、第二撮像部20により生成された第二画像データに基づいてシンボルの情報を読み取る。また焦点制御部49は、第二撮像部20の焦点駆動部23を制御する。具体的には、予め記憶された第二撮像部20の焦点距離Dと焦点駆動部23を駆動させる駆動電流Iの関係式I=F(D)に従って、焦点制御部49は焦点駆動部23を制御する(詳細は後述)。
【0043】
記憶部52には、ファームウェア211、デコーダ212、文字認識辞書213も記憶されている。ファームウェア211は、接続されている各ハードウェアの動作を制御するドライバソフトウェア等のプログラム群である。デコーダ212は、例えばQRコード(登録商標)やバーコードをデコードする。文字認識辞書213は、撮像された画像を、テキストデータに変換するための辞書である。この記憶部52は、ROM等の不揮発性メモリで構成できる。
【0044】
通信インターフェース50は内部バスに接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワーク網に接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。操作部(キー配置部30)40は、各種の入力操作を受け付けるキー入力部として機能し、キー入力により操作のための入力を受け付ける。
【0045】
エイミング光照射部15は、固定焦点光学系12と隣接させて、エイミング光を照射する。このエイミング光照射部15でエイミング光を照射して、第一撮像部10で撮像した画像をエイマー画像と呼ぶ。焦点制御部49は、このエイマー画像に基づいて、シンボルまでの距離を推定することができる(詳細は後述)。また第一撮像部10を用いたシンボルの読み取りを不適当と読取制御部42が判定した場合は、第二撮像部20を用いた読み取りを実行する。具体的には、エイマー画像に基づいて算出されたシンボルまでの距離に、可変焦点光学系22の焦点距離を一致させるよう、焦点駆動部23を駆動する。
(撮像モジュール1)
【0046】
撮像モジュール1は、
図3Bに示すように第一照明部14と、第一撮像部10と、エイミング光照射部15と、第二撮像部20と、第二照明部24を備える。このように第一撮像素子11と第二撮像素子21は、一直線上に並べて配置されている。また第二撮像素子21は、第一撮像素子11で撮像した第一画像データで読み取り可能な場合であっても、シンボルの光学画像を撮像可能に構成している。
【0047】
特に第二撮像素子21は、筐体2の内、表示部3の裏面側と異なる位置に設ける。このような配置により、一般のデジタルカメラであればビューファインダとなる表示部の裏面側に第二撮像素子を配置することで、使用者から見た光軸上の画像をリアルタイムに表示させるところ、光学式情報読取装置ではバーコードなどのシンボルを撮像するため、被写体であるシンボルを直接視認できれば足りる。加えて、第一撮像素子21と異なる位置に第二撮像素子21を設けることにより光学式情報読取装置を持ち変える必要をなくし、第一撮像素子21による第一画像データの読み取りと同じ姿勢で画像を撮像できる利点が得られる。
【0048】
つまり第二撮像部20をデジカメ機能として用い、シンボルの写真や読み取り時の状況を示す証拠写真などを第二撮像素子21で残すことが可能となる。また従来は、デジカメ機能を有する光学式情報読取装置は、デジカメをシンボル読み取り用のカメラとは別の位置に設けていたため、デジカメで撮像する際には光学式情報読取装置を持ち替えるなど撮像視野を移動させる必要があったところ、この構成によれば第一撮像素子11と第二撮像素子21を並べて配置しているため、第一撮像素子11による画像データの撮像姿勢を維持したまま、第二撮像素子21によるシンボルの光学画像の撮像が可能となり、使い勝手を向上できる。
【0049】
また第二撮像素子21は、上述の通り第一撮像素子11で第一画像データを撮像する際に併せてシンボルの光学画像を撮像する際に、焦点駆動部23が可変焦点光学系22を移動させないよう設定することもできる。このような構成により、第二撮像素子21でシンボルの光学画像をデジタルカメラのように撮像する際に、焦点位置を予め所定位置に固定したまま、可変焦点光学系22を移動させないことで、可変焦点光学系22を駆動させることによる待ち時間の発生を防ぎ、また機械的な駆動部分の摩耗などによる劣化を防ぎ、処理の簡素化と製品の長寿命化が図られる。
【0050】
第一照明部14は、固定焦点光学系用の第一照明光を照射する。第二照明部24は、可変焦点光学系用の第二照明光を照射する。第一照明部14、第二照明部24は、それぞれ、固定焦点光学系12、可変焦点光学系22での撮像に適した第一照明光、第二照明光を発光させるよう、撮像視野に応じた配光や光量に調整される。第二照明部24は、第一照明部14よりも配光範囲を広くすることが好ましい。また第二照明部24は、第一照明部14よりも光量を多くすることが好ましい。これら第一照明部14、第二照明部24には、LEDや有機EL等の半導体発光素子が好適に利用できる。
【0051】
第一撮像部10は、固定焦点光学系12と第一撮像素子11で構成される。固定焦点光学系12は、シンボルに入射されシンボルで反射された反射光を集光する部材であり、好適には一以上の第一光学レンズで構成される。第一撮像素子11は、固定焦点光学系12により集光された光を電気信号に変換し、第一画像データを生成するための部材である。第一撮像素子11は、CMOSやCCD等のイメージセンサが利用できる。
【0052】
第二撮像部20は、可変焦点光学系22と、第二撮像素子21と、焦点駆動系で構成される。可変焦点光学系22は、シンボルに入射されシンボルで反射された反射光を受光する部材であり、好適には一以上の第二光学レンズで構成される。第二撮像素子21は、可変焦点光学系22により集光された光を電気信号に変換し、第二画像データを生成するための部材である。第二撮像素子21も、CMOSやCCD等のイメージセンサが使用できる。
【0053】
第二撮像素子21は、第一撮像素子11よりも高解像度とすることが好ましい。これによって、第一撮像素子11で撮像された画像で読み取りに失敗した場合でも、第二撮像素子21による撮像で読み取りが成功する確率を向上できる。また第二撮像部20の撮像視野を、第一撮像部10の撮像視野よりも広くすることが好ましい。同じく、第一撮像素子11で撮像された画像が視野不足で読み取れない場合でも、第二撮像素子21で撮像された画像の視野が十分となって読み取りに成功する確率を高めることが期待できる。
【0054】
ここでは、第一撮像素子11として、モノクロ画像を撮像するイメージセンサを用いている。一方、第二撮像素子21はカラー画像を撮像するイメージセンサとしている。カラーカメラを用いることで、撮像した画像データの色差情報も、復号化に利用することができる。また
図3Bの例では、第一撮像素子11を画素数1Mバイト、シャッター方式にグローバルシャッター、CMOSとしてグレイスケールのイメージセンサを使用している。また第二撮像素子21は8Mバイト、ローリングシャッターのカラーのイメージセンサを使用している。この結果、
図4に示すような視野範囲を第一撮像素子11と第二撮像素子21で実現している。この図において、細線が第一撮像素子11の視野範囲を、太線が第二撮像素子21の視野範囲を、それぞれ示している。さらに第二撮像素子21は、撮像視野を複数、切替可能としてもよい。例えば
図4の例では、第二撮像素子21の画素数を8Mバイトと13Mバイトのいずれかに設定で切替可能としており、太線が8Mバイトを、破線が13Mバイトを、それぞれ示している。このように視野を切替可能とすることで、一回の撮像でより広い範囲の撮像が可能となる。例えば
図5に示すように、読み取りたいシンボルSBの数が8個の設定に対し、第一撮像部10では4個しか視野に入らない場合でも、第二撮像部20を発動することで8個のシンボルの読み取りを行うことが可能となる。
(変形例)
【0055】
さらに第二撮像部20に、偏光フィルタを付加可能としてもよい。偏光フィルタは、例えばフィルム状に形成し、さらに一面に糊を塗布したシール状として、第二撮像部20の表面に貼付する。また、後述する第二撮像部20の駆動判定の第二動作モードとして、第二撮像部20に偏光フィルタフィルムを付加する動作モードを追加してもよい。この場合において、第二撮像部20の駆動の判定を行う際に、第一撮像部10で撮像した画像のハレーションの有無を判定する工程を追加できる。そしてハレーションを検出した場合は、偏光フィルタフィルムを貼付した第二撮像部20を駆動するよう構成する。
(焦点駆動部23)
【0056】
焦点駆動部23は、可変焦点光学系22の焦点位置を変化させるための部材である。焦点駆動部23によって、可変焦点光学系22の焦点範囲を固定焦点光学系12よりも拡大している。固定焦点光学系12及び可変焦点光学系22は、上述の通り一以上の光学レンズで構成される。固定焦点光学系12では、第一光学レンズは固定されており、焦点距離は概ね一定となる。一方可変焦点光学系22は、第二光学レンズを可動式としており、焦点駆動部23で第二光学レンズを、第二撮像素子21の光軸に沿って移動させることで、第二撮像素子21における焦点位置を調整可能としている。焦点駆動部23は、焦点制御部49によって駆動される。
【0057】
焦点駆動部23は、光学レンズを機械的に可動させる可動機構として、ボイスコイルモータ(VCM)を備えている。VCMを用いた第二撮像部20の一例を
図6に示す。この図に示す第二撮像部20は、第二撮像部筐体25と、ばね26と、レンズユニット27と、コイル28と、磁石29と、第二撮像素子21と、基板25Bを備える。この図に示すVCMは、磁石29が作る磁場の中でコイル28のみが動く、可動コイル型のモータを用いている。
(エイミング光照射部15)
【0058】
また、エイミング光照射部15は、ワークやシンボルにエイミング光(照準光)を照射するための部材である。エイミング光照射部15は、読取位置を視認できるように、撮像しようとするワーク等の表面に光を所定の走査パターンに走査させ、その軌跡で所定のパターンを描画させる。本明細書ではこのパターンをエイミング光又は照準光と呼ぶ。エイミング光は、撮像視野や撮像した画像の水平方向に延伸させた直線状の光や、この水平方向と垂直方向の十字を形成する光等、任意のパターンが利用できる。ここでは、エイミング光を十字状のパターンとしている。エイミング光照射部15は、好適にはレーザ光源と、このレーザ光源からのレーザ光を走査可能なスキャナで構成される。
【0059】
これら第一照明部14と、第一撮像部10と、エイミング光照射部15と、第二撮像部20と、第二照明部24は、一直線状に配置される。このように、カメラや照明を二段に配置せず一列に並べて配置することで、筐体2の先端側に、シンボルの読み取りに必要なハードウェアを撮像モジュール1としてまとめると共に、撮像モジュール1を薄型にして光学式情報読取装置100の薄型化、軽量化、小型化に寄与できる。
【0060】
図3Bの例では、第一撮像部10を構成する第一撮像素子11と固定焦点光学系12は、重ねて配置されている。すなわち正面視において、第一撮像素子11の前方に固定焦点光学系12が配置される。同様に第二撮像部20を構成する第二撮像素子21と固定焦点光学系12も、重ねて配置されている。すなわち正面視において、第二撮像素子21の前方に固定焦点光学系12が配置される。したがって、
図3Bの例では第一照明部14と、固定焦点光学系12と、エイミング光照射部15と、可変焦点光学系22と、第二照明部24とが、一直線状に配置されている。なお、撮像素子は光学系と位置をずらして配置してもよい。例えばミラー等を介在させる等して、光学系の光軸を折曲させることで、撮像素子を光学系と正面視において重ならない位置に配置させてもよい。
(光学式情報読取方法)
【0061】
この光学式情報読取装置100を用いて、読取対象となるシンボルを撮像して、このシンボルの情報を読み取る光学式情報読取方法を説明する。まず第一撮像部10で、シンボルを含む第一画像データを撮像する。次に読取制御部42で、第一画像データを解析する。そして読取制御部42による解析の結果、第一画像データがシンボルの読み取りに不適当であると判定した場合には、この解析結果に基づいて第二撮像部20で、シンボルに焦点が合った画像を撮像するために必要な可変焦点光学系22の焦点位置を算出する。そして焦点駆動部23で、焦点制御部49による算出結果に従ってこの焦点位置に可変焦点光学系22の焦点位置を一致させるように制御する。さらに、第二撮像部20が生成したシンボルに焦点の合った第二画像データに基づいて、読取制御部42でシンボルの情報を読み取る。これにより、第一撮像部10での撮像を優先し、この第一撮像部10で読み取れないシンボルに対してのみ、第二撮像部20に切り替えて撮像することで、可変焦点光学系22の使用頻度を低減して、焦点の調整による撮像時間の増加や可変焦点を機械的に駆動させることによる寿命の短縮を回避し、読取速度や製品寿命を向上させた光学式情報読取装置100を実現できる。
【0062】
読取制御部42は、まず第一撮像部10により生成された第一画像データを解析する。そして、この第一画像データではシンボルの読み取りに不適当であると判定した場合に、第二撮像部20で第二画像データを撮像する。この際、第一画像データの解析の結果に基づいて、第二撮像部20でシンボルに焦点が合った画像を撮像するために必要な可変焦点光学系22の焦点位置を算出する。そして、算出された焦点位置に可変焦点光学系22の焦点位置を一致させるように焦点駆動部23を制御し、第二撮像部20でシンボルに焦点の合った第二画像データを生成する。これによって、第一撮像部10で読み取れなかったシンボルであっても、その情報を読み取ることが可能となる。
【0063】
このように、第一撮像部10での撮像を優先し、この第一撮像部10で読み取れないシンボルに対してのみ、第二撮像部20に切り替えて撮像することで、可変焦点光学系22の使用頻度を低減することが可能となる。この結果、焦点の調整による撮像時間の増加や可変焦点を機械的に駆動させることによる寿命の短縮を回避し、読取速度や製品寿命を向上させた光学式情報読取装置100を実現できる。
【0064】
従来の光学式情報読取装置でも、カラーカメラなど複数のイメージセンサを搭載したバーコードリーダが存在した。しかしながら、追加されたイメージセンサは、シンボルを付した商品の光学画像を撮像する等の用途で用いられていた。いいかえると、追加のカラーカメラ等のイメージセンサは、シンボルの読み取りに用いられるものでなく、シンボルの読み取りはあくまでもシンボルの読み取り専用のイメージセンサが用いられていた。追加のイメージセンサは、シンボルを付した商品の光学画像を撮像するデジカメのような位置付けであり、商品の状態を示す証拠写真を残すなどの目的で使用されるに留まっていた。またこのような複数のイメージセンサを、シンボルまでの距離に応じて切り替えるなどの切り替え制御を行っているものは存在しなかった。
【0065】
これに対して、実施形態1に係る光学式情報読取装置100では、固定焦点光学系12の第一撮像部10に加えて、可変焦点光学系22の第二撮像部20を付加することで、第一撮像部10で読み取れないシンボルであっても、第二撮像部20に切り替えて撮像することで、読み取れる可能性を高めることが可能となり、読み取りの安定性を向上させることが可能となる。このように第一撮像部10での撮像を優先し、可変焦点光学系22の使用頻度を低減することで、機械的な可動部分を有する可変焦点光学系22の劣化やこれによる寿命の短縮を回避できる。また焦点を調整するために生じる読取速度の低下や、VCMを駆動させる消費電力の増大によるバッテリの消耗も回避できる。
【0066】
加えて、従来のカラーカメラを追加した光学式情報読取装置では、筐体の裏面側にカラーカメラを配置したものが多かった。これは、筐体の表面側に設けたディスプレイの裏面側にカラーカメラを配置し、ディスプレイをリアルタイムで撮像した内容を表示させるビューファインダとして機能させることで、デジタルカメラと同様の使い勝手を実現するためと考えられる。しかしながらこの構成では、使用者がカラーカメラでシンボルの光学画像を撮像したい場合は、シンボルの読み取りを行う姿勢、すなわちシンボル読取用カメラを設けた筐体の先端側をシンボルに向けた姿勢から、筐体の裏面側がシンボルと対向する姿勢となるように筐体を持ち替えた上で、カラーカメラで撮像する必要があった。
【0067】
これに対して実施形態1に係る光学式情報読取装置100では、光学画像を撮像可能な第二撮像素子21を、第一撮像素子11と並べて配置しているため、シンボルを読み取る姿勢と同じ姿勢のまま、筐体2を持ち替えることなく第二撮像部20で光学画像を撮像することができる。特にシンボルの光学画像は、シンボルを付した商品の状態等を確認する目的で撮像されるため、ワークが写っていれば足り、表示部3をビューファインダとして一々視野を確認する必要性が薄い。いいかえると、表示部3の裏面側に第二撮像部20を配置する必要もない。
【0068】
またこの光学画像はシンボルを読み取る目的でないため、ピントの合った鮮明な画像とする必要もない。このような理由から、むしろシンボルを読み取る姿勢のまま、光学写真も併せて取得できるようにする方が光学式情報読取装置においては好都合である。なお光学画像を撮像する際、可変焦点光学系22を駆動させて焦点を合わせて撮像してもよいし、敢えて可変焦点光学系22を駆動させず、第二撮像素子21で光学画像を撮像してもよい。上述の通り光学画像はシンボルの読み取り目的でないため、ピントを綺麗に合わせる必然性がなく、またピントを合わせるためには可変焦点光学系22を駆動させる必要があり、時間がかかる上消費電力も増し、また可変焦点光学系22を構成するVCMの寿命を短くするなどの問題が生じるところ、敢えて焦点を調整しないことでこのような問題を回避できるメリットが得られる。
【0069】
読取制御部42でシンボルの読み取りのために解析する第一画像データは、エイマー画像としてもよいし、このエイマー画像の撮像後に第一撮像部10で高精細に撮像した本撮像データとしてもよい。一般にエイマー画像は、エイミング光の座標位置のみを取得できれば足りるため、短時間で簡易的に撮像される。いいかえると、通常のエイマー画像は本撮像データよりも解像度の低い画像である。ただ、当初より第一撮像部10で高精細なエイマー画像を撮像して、この高精細エイマー画像をシンボルの読み取りに利用してもよい。このようにして撮像した高精細エイマー画像は、距離の測定用と、デコード用の両方を兼ねている。
【0070】
また第一画像データをエイマー画像とする場合において、読取制御部42がシンボルの読み取りを不適当と判定する場合とは、このエイマー画像の撮像後に第一撮像部10で撮影された本撮像データの読み取りを不適当、例えばシンボルまでの距離が範囲外と判定する場合が挙げられる。一方、第一画像データを本撮像データとする場合において、読取制御部42がシンボルの読み取りを不適当と判定する場合とは、本撮像データに基づいて、この本撮像データでは読み取りに失敗すると判定する場合や、第一撮像部10を用いた読み取りを不適当、例えば解像度不足と判定する場合が挙げられる。さらに第一画像データを高精細エイマー画像とする場合において、読取制御部42がシンボルの読み取りを不適当と判定する場合とは、この高精細エイマー画像や、この後に第一撮像部10で撮影される本撮像データでの読み取りが不適当と判定する場合が挙げられる。
【0071】
読取制御部42が画像を解析し、シンボルの読み取りに不適当であるか否かを判定する基準としては、画像の解像度や視野、コントラストなどのパラメータを用いることができる。例えば読取制御部42は、第一撮像部10により生成された画像データから、読取対象のシンボルの解像度を算出する。そして読取制御部42で算出された解像度が、予め定められた閾値以下の場合には、第一撮像部10により生成される第一画像データがシンボルの読み取りに不適当である、いいかえると第二撮像部20で第二画像データを撮像して読み取ることが好ましいと判定する。
【0072】
また読取制御部42は、第一撮像部10により生成された第一画像データから、読取対象のシンボルの必要視野を算出してもよい。この場合は読取制御部42で算出された必要視野が、予め定められた閾値以上の場合には、第一撮像部10により生成される第一画像データがシンボルの読み取りに不適当である、いいかえると第二撮像部20で第二画像データを撮像して読み取ることが好ましいと判定する。
【0073】
さらに読取制御部42は、第一撮像部10により生成された第一画像データから、読取対象のシンボルのコントラストを算出してもよい。この場合は、読取制御部42で算出されたコントラストが、予め定められた閾値以下の場合には、第一撮像部10により生成される第一画像データがシンボルの読み取りに不適当である、いいかえると第二撮像部20で第二画像データを撮像して読み取ることが好ましいと判定する。
【0074】
第二撮像部20には、デジタルカメラやスマートフォンなどで用いられる写真撮影用の汎用カメラモジュールを利用できる。汎用カメラモジュールを第二撮像部20として利用することで、光学式情報読取装置の製造コストを削減できる。汎用カメラモジュールは、一般にコントラストに基づきフォーカス位置を決定するコントラストフォーカス処理が採用されている。また汎用カメラモジュールで用いられる光学レンズは、一般にレンズF値が大きく、ピントが合う位置が浅くなる。このような汎用カメラモジュールを用いてシンボルを撮像して読み取り用途に利用する場合、常にピントの合った第二画像データを取得する必要がある。しかしながら、従来のコントラストに基づくオートフォーカス処理を適用すると、ピントの合った第二画像データを取得するのに数フレーム撮像する必要がある。この結果、駆動時間が長くなり、読み取り速度すなわちカメラ撮像速度が低下する。またVCMを駆動するために要する消費電力が増大し、光学式情報読取装置を駆動するバッテリの持ち時間も低下する。加えて、VCMのばね変位量の増加により駆動寿命も低下してしまう。
【0075】
これに対し、本実施形態に係る光学式情報読取装置100では、固定焦点光学系12の第一撮像部10に、より高解像度で可変焦点光学系22の第二撮像部20を組み合わせ、さらに算出された推定距離を元に、第二撮像部20のフォーカス制御を行うことで、焦点駆動部23の駆動時間を短縮して、上述した課題の解消を図っている。以下、
図7のフローチャートに基づいて、詳述する。
(光学式情報読取方法)
【0076】
図7のフローチャートは、実施形態1に係る光学式情報読取方法において、第一撮像部10で撮像を行う手順を示している。まずステップS701において、トリガー開始操作を行う。具体的にはトリガキー31を押下する。次にステップS702において、ワークにエイミング光を照射する。そしてステップS703において、エイミング光照射部15からエイミング光が照射されたシンボルのエイマー画像を撮像する。撮像されたエイマー画像には、エイミング光の十字状のパターンが含まれる。
【0077】
さらにステップS704において、このエイマー画像に基づいて、光学式情報読取装置100からシンボルまでの距離(ワーキングディスタンス)を測定する。エイマー画像中に含まれるエイミング光の位置は、距離によって変動する。これはエイミング光照射部15が照射するエイミング光の光軸と、エイマー画像を撮像する第一撮像素子11で受光する反射光の光軸が一致しないためである。一般に距離が遠いほど、
図8に示すように十字状のエイミング光ALはエイマー画像の中心に近付き、逆に近付くほど中心からずれる。よって、エイマー画像中のエイミング光ALの位置を測定することで、距離を推定できる。
【0078】
エイマー画像から距離を推定するために、事前のキャリブレーションとして、光学式情報読取装置100の製造工程において予め、第一撮像部10の撮像視野内のエイマー中心位置(x)と、撮像対象のワークまでの距離(D)の関係を検査して保持しておく。このキャリブレーションの結果、
図8に示すようにD=F(x)の距離推定式が得られる。距離の演算に際しては、この距離推定式を利用する。具体的には、エイミング光をシンボルに照射し、第一撮像部10でエイマー画像を撮像して、エイミング光の中心座標を算出する。算出したエイマー中心座標を、キャリブレーションで得られた
図8のD=F(x)の式を用いて、光学式情報読取装置100からワークまでの推定距離を焦点制御部49等で算出する。このようにして算出された距離は、光学式情報読取装置100の記憶部52等に保持される。
【0079】
そしてステップS705において、第一撮像部10で本撮像処理を行う。具体的には、第一照明部14から照明光を照射してシンボルを照明し、第一画像データを取得する。なおステップS704とステップS705は、必ずしもこの順に行われる必要はなく、逆順で、あるいは同時に行うこともできる。第一撮像部10での第一画像データの撮像と、エイマー画像からの距離の演算を同時に行うことで、処理時間の短縮化が図られる。
【0080】
次にステップS706において、第一撮像部10で得られた画像から明るさの算出を行う。明るさは、例えば既知のアルゴリズムに従った画像処理によって明度として算出する。算出された第一撮像部10の明るさも、光学式情報読取装置100の記憶部52等に保持される。ここでは、エイマー画像よりも、第一撮像部10で撮像した第一画像データ(本撮像データ)を用いて明るさの算出を行うことが好ましい。エイマー画像を撮像する際には、一般にエイミング光が明確になるように、照明光を落とすなど暗い状態で撮像することが多いため、明るさの算出には、より明るい状態で撮像された第一画像データの方が好ましいからである。
【0081】
そしてステップS707で、第一画像データのデコード処理を読取制御部42で行う。さらにステップS708において、デコードの可否を判定する。すなわち、読取制御部42でデコードできた場合は読み取り成功となり(ステップS709)、処理を終了する。
【0082】
一方、ステップS708において読取制御部42で読み取りできないと判定された場合、ステップS710に進み、第二撮像部20による撮像が必要か否かを判定する。第二撮像部20による撮像の要否を判定する具体的な手順は、
図9に基づいて後述する。第二撮像部20による撮像が不要の場合は、ステップS702に戻り、処理を繰り返す。一方、第二撮像部20による撮像が必要な場合は、第二撮像部20による撮像を行う。具体的には、後述する
図14に示す第二撮像部20による撮像設定の手順に進む。
(第二撮像部20の駆動判定)
【0083】
ここで第二撮像部20の駆動、すなわち焦点駆動部23で可変焦点光学系22を駆動させて第二撮像素子21で第二画像データの撮像を行うか否かの判定を行う手順を、
図9のフローチャートに基づいて説明する。まずステップS901において、シンボルまでの距離を測定し、かつ予め設定された設定距離範囲を読み込む。この例では設定距離範囲を、第一撮像部10での撮像を行う範囲としている。次にステップS902において、測定された距離が、設定距離範囲内にあるか否かを判定する。設定距離範囲内にある場合は、第二撮像部20での駆動は不要として、処理を終了する(詳細は後述)。
【0084】
一方、設定距離範囲内にないと判定された場合は、ステップS903に進み、第一撮像部10で撮像した画像から推定解像度を算出する。次にステップS904において、予め設定された解像度閾値を読み込む。解像度閾値は、読み取りを正確に行えるよう必要な解像度が、撮像された画像で担保されているか否かの基準となる閾値であり、光学式情報読取装置100の使用に先立ち、あるいは光学式情報読取装置100の工場出荷時に予め設定しておく。そしてステップS905において、第一撮像部10で撮像した画像の解像度が十分か否かを判定する。
【0085】
例えば、シンボルの一部分のみが読み取れることがある。例えばシンボルがバーコードの場合、
図10に示すバーコードBCにおいて、太枠内で囲んだ部分のバーコードBCが部分的に読み取れる場合がある。またシンボルがQRコードの場合、QRコードの一部は読み取れるものの、セルサイズが小さく完全にデコードできない場合、又はファインダーパターンは見つかったが、セルのサイズが小さくデコードできない場合等がある。このようなシンボルの場合に、第一撮像部10では解像できない条件と判定して、第二撮像部20を駆動する。具体的には、読み取れた領域の大きさや解像度を見て、シンボル全体が第一撮像部10でデコード可能であるかを判断する。第二撮像素子21の方が第一撮像素子11よりも解像度が高いので、第一撮像部10での読み取りが解像度不足により困難と判断された場合には、第二撮像部20を起動する。
【0086】
このように、ステップS905において解像度閾値よりも低い場合は、Aに進み、第二撮像部20を駆動する(詳細は
図14に基づいて後述する)。一方、解像度が足りている場合は、ステップS906に進み、第一撮像部10の結果より推定必要視野を算出する。そしてステップS907において、視野閾値を読み込む。視野閾値とは、
図11に示すように第一撮像部10で撮像可能な撮像視野が足りずにシンボルSBの全体を撮像できないが、第二撮像部20の撮像視野であればシンボルの全体を撮像できるような場合に、第二撮像部20での撮像を行うよう、予め設定された第一撮像部10の撮像視野の閾値である。さらにステップS908において、画像の視野が不足しているか否かを判定する。ここでは、第一撮像部10の第一画像データについて算出された推定必要視野を、予め設定された視野閾値と比較し、視野が不足していると判定された場合は、Aに進んで第二撮像部20を駆動する。これらステップS906~ステップS908の工程も、上述したステップS903~ステップS905の工程と概ね同様の手順により行われる。すなわち、第二撮像部20の方が第一撮像部10よりも撮像可能な視野範囲が広いので、視野が不足して第一撮像部10での読み取りが困難と判断された場合には、第二撮像部20を起動する。
(コントラスト不足判断)
【0087】
一方、視野が足りている場合は、ステップS909に進み、第一撮像部10の結果より推定コントラストを取得する。ここでは、第一画像データのコントラスト値を画像処理によって演算する。例えば、第一撮像部により生成された画像データに含まれる領域のコントラスト差や総発光量に対する受光量の割合であるゲインなどに基づいてコントラスト値を算出する。また、画像データに含まれる領域の全体でもよいし、部分的にデコードされたような場合は、領域の一部分でもよい。さらにステップS910において、コントラスト閾値を読み込む。コントラスト閾値は、シンボルの読み取りに際して必要なコントラスト値として、予め設定された値である。そしてステップS911において、コントラストが不足していないかを判定する。具体的には、推定コントラストとコントラスト閾値を比較して、コントラスト不足を判定する。コントラストが不足している場合は、Aに進んで第二撮像部20を駆動する。一方、コントラストが足りている場合は、第二撮像部20の駆動は不要と判断して処理を終了する。
【0088】
例えばバーコードの一部分がデコードされた場合に、バーコード全体の視野の大きさを推定する。第二撮像部20の方が第一撮像部10よりも視野が大きいので、第一撮像部10でのデコードが視野不足により困難と判断された場合には、第二撮像部20を起動する。そして部分的にデコードされたバーコードのエッジパターンの最大輝度差を計算する。例えば赤色で印字されたバーコードに対して赤色の照明光を照射したり、赤色の背景に赤字でバーコードを印字した場合等、バーコードのバーとスペースとの輝度差が小さく、第一撮像部10ではコントラストが不足すると推定される場合には、第二撮像部20を起動する。
【0089】
なお、第二撮像部20の駆動判定にあたり、一部の判定を省略してもよい。例えばコントラストの過不足を判定するステップS909~ステップS911を省略し、ステップS98において、視野が足りていると判定された時点で第二撮像部20の駆動判定を不要と判断して処理を終了することもできる。これにより、より迅速に第二撮像部20の駆動判定を行える。
【0090】
また、第一撮像部10で撮像した画像を解析することによって、第二撮像部20を駆動すると判定された場合、第二撮像部20を優先してシンボルを読み取るようにしてもよい。例えば表示部に表示させた、撮影モードを切り替えるためのモード切替ボタンを押下することによって、再度モード切替ボタンが押下されるまでの間は第二撮像部20を駆動し、第二撮像部20で撮像された画像をもとにシンボルの情報を読み取る。こうすることで、環境光などの影響により第二撮像部20を用いることが適当と予め分かっている場合においては、第一撮像部10で撮像した画像を解析することなく第二撮像部20を駆動するため、シンボルの情報読取にかかる時間を短縮できる。
【0091】
ここで、
図9のステップS901~ステップS902において、第一撮像部10から第二撮像部20に切り替える基準の一例を、
図12及び
図13に基づいて説明する。これらの図は、シンボルが二次元コードなど最小単位としてセルで構成される場合において、第一撮像部10、第二撮像部20でデコード(読み取り)可能な距離とシンボルのセルサイズの関係を示している。なお、ここでは二次元コードのセルサイズを例としているが、シンボルが一次元コードの場合はナローバーの幅であっても良い。また、セルサイズやナローバーの幅を最小モジュールサイズまたは解像度と称する場合もある。また図中の直線は、第一撮像部10で読み取り可能な範囲の境界線を示しており、また一点鎖線は、第二撮像部20で読み取り可能な範囲の境界線を示している。これらの図に示すように、一般に第二撮像部20で撮像可能な範囲の方が第一撮像部10で撮像可能な範囲よりも広い。第二撮像部20で撮像可能な範囲の一部、例えば中間部分に、第一撮像部10で撮像可能な範囲が重複している。このような条件下において、第一撮像部10から第二撮像部20に切り替える距離範囲を設定する。
【0092】
ここでは、設定距離範囲として、第一撮像距離範囲DR1を設定する。運用時において測定された距離が、この第一撮像距離範囲DR1に存在する場合は、第一撮像部10での撮像を行う。また、第一撮像距離範囲DR1以外の範囲では、
図7や
図9で説明した手順や条件に従って、第一撮像部10と第二撮像部20とを切り替えて撮像を行う。
図12、
図13においてクロスハッチングで示された第一領域は、第一撮像部10を用いてシンボルの読み取りを行う領域である。また斜線で示された第二領域は、第一撮像部10と第二撮像部20とを条件に応じて切り替えることで、シンボルの読み取りを行う領域である。
【0093】
この第一撮像距離範囲DR1は可変とすることができる。例えば
図13において太線矢印で示すように、第一撮像距離範囲DR1を
図12に示す場合と比べて狭く設定してもよい。第一撮像距離範囲DR1が狭くされることで、条件に従って第一撮像部10と第二撮像部20とを切り替えて撮像を行う領域が増加し、読み取り精度を向上させることができる。すなわち、第一撮像距離範囲DR1の範囲を狭くするほど、デコードできる確率は高くなる。反面、第二撮像部20の焦点駆動部23の使用頻度が高くなることで、消費電力の増大や寿命の低下につながるため、用途に応じて設定することが好ましい。
【0094】
このようにして第一撮像距離範囲DR1を設定して、第二撮像部20で撮像するよう切り替える条件を規定する。逆にいえば、第一撮像距離範囲DR1を広く設定する程、第二撮像部20に切り替わる範囲が狭くなるといえる。ここでは、第一撮像距離範囲DR1よりも遠い場合、あるいは近い場合に、第二撮像部20での撮像を行う。すなわち
図9のステップS901において測定された距離が、
図12及び
図13において太字の矢印で示す第一撮像距離範囲DR1内であれば(ステップS902)、第一撮像部10で撮像を行う。換言すると、第二撮像部20に切り替えない。なお、測定された距離が第一撮像距離範囲DR1にない場合は、必然的に第二撮像部20での撮像に切り替わるのでなく、
図9のステップS903~S911を経て第二撮像部20の起動可否を判定することになる。
【0095】
設定距離範囲は、例えばユーザが直接、第一撮像距離範囲DR1(例えばAcm~Bcm)を距離や数値を入力して指定する。あるいは、予め準備された距離範囲の候補群(例えば第一撮像距離範囲DR1を広く取った「第一撮像部優先」、第一撮像距離範囲DR1を狭く取った「第二撮像部優先」、その中間である「バランス」など)から選択させてもよい。また設定距離範囲の設定方法として、第二撮像部20での撮像を行う範囲(例えばCcm以下、Dcm以上)を規定してもよい。
【0096】
上述の通り、測定された光学式情報読取装置100からシンボルまでの距離が、
図12や
図13の太字の矢印で示す第一撮像距離範囲DR1であった場合は、第一撮像部10での撮像となる。これらの図において、クロスハッチングで示す領域が第一撮像部10を用いて撮像する領域であり、斜線で示す領域が条件に従って第一撮像部10と第二撮像部20とを切り替えて撮像を行う領域領域を示している。一点鎖線は第二撮像部20で撮像可能な領域の境界を示しており、一点鎖線とクロスハッチング領域との間の領域PAは、第二撮像部20で読めるが第一撮像部10で読めない領域となる。したがって、仮に測定された距離(
図12において●で示す)と、シンボルのセルサイズで決まる位置が、領域PAに含まれる場合は、第二撮像部20に切り替えればシンボルを読み取ることができる。そのため、
図13に示すように、第一撮像距離範囲DR1を狭く設定することで、読み取りエラーを低減させることが可能である。ただ、領域PAは狭いため、
図12の設定では、太字の矢印で示す第一撮像距離範囲DR1では第二撮像部20の駆動可否を判定することなく、第一撮像部10で読み取るように規定している。
【0097】
一方で、
図13は、第一撮像距離範囲DR1を狭く設定している。この場合は、第一撮像部10で撮像する距離範囲が狭く、例えば測定された距離が
図13において●で示す位置であった場合、第二撮像部20の駆動可否を判定する工程が実施され(
図9のステップS902)、読み取れる可能性が高まる。この設定であれば、第二撮像部20の方が読み取りに適している場合には第二撮像部20を用いる可能性が高くなり、読取確率は向上する。ただし、第二撮像部20の使用頻度が高まる分、相対的に光学式情報読取装置100の装置寿命が短くなる。いいかえると、太字の矢印で示す第一撮像距離範囲DR1の幅が小さいほど第二撮像部20を作動させる可能性が高くなり、逆に大きいほど、第二撮像部20を作動させる可能性が低くなる。そのため、ユーザの使用環境に応じて第一撮像距離範囲DR1を設定することが好ましい。例えば、なるべく第二撮像部20を使用する可能性を残しておきたいユーザは第一撮像距離範囲DR1の幅を小さくすることが望ましい。また、第一撮像距離範囲DR1の幅をゼロに設定することもできる。この場合は、上述した
図9のステップS902の判定では必ずYESに進むことになるため、第二撮像部20が動作する
(第二撮像部20の撮像設定)
【0098】
次に、第二撮像部20を駆動する場合に、第二撮像部20における撮像を行う撮像条件を設定する手順について、
図14に基づいて説明する。まずステップS1401において、予め事前キャリブレーションにより設定されたキャリブレーション値を読み込む。事前キャリブレーションは、光学式情報読取装置100の製造工程において、焦点駆動部23を構成するVCMの電流値(I)と、ピント位置(D)の関係を予め測定して保存しておく。この結果、
図15に示すようなI=F(D)の式が得られる。
【0099】
次にステップS1402において、推定距離を読み込む。ここでは、上述した
図7のステップS704において説明した、エイミング光から推定した距離を用いる。次にステップS1403において、可変焦点光学系22を駆動させる駆動電流の推定電流値を算出する。ここでは、可変焦点光学系22を駆動させる焦点駆動部23であるVCMの駆動電流Iと、距離Dの関係式I=F(D)を事前にキャリブレーションして取得しておく。そして事前キャリブレーションで得られたI=F(D)の式から、推定距離を移動させるために必要な電流値を推定する。
【0100】
さらにステップS1404において、第一撮像部10の明るさを読み込む。第一撮像部10の明るさは、上述したステップS706で算出され保存された、第一撮像部10の明るさ推定値を読み込む。そしてステップS1405において、第二撮像部20の明るさ推定値を第一撮像部10の明るさ推定値から算出する。ここでは、
図16に示すように第一撮像部10と第二撮像部20の明るさは、撮像条件が同じなら比例関係にあることを利用し、ステップS1404において得られた第一撮像部10の明るさ推定値から、第二撮像部20の明るさ推定値を推定する。そしてステップS1406においてフォーカス位置を調整する。具体的には、ステップS1403で算出された推定電流値で可変焦点光学系22を駆動させて、焦点位置を調整する。ここでは、ピントを合わせたい距離Dと、事前キャリブレーションで得られた
図15のI=F(D)を用いて、VCM制御用の電流値Iを算出し、この電流値を用いてVCMを駆動し、推定距離にピントが合うように可変焦点光学系22を制御する。
【0101】
最後にステップS1407で、明るさ設定を第二撮像部20に反映させる。具体的には、ステップS1405で推定された第二撮像部20の明るさ推定値となるように、第二撮像素子21の露光時間やゲインを調整したり、第二照明部24の光量を調整する。また第二撮像部20の明るさ初期設定は、第一撮像部10で撮像した露光時間やゲインに基づいて、第二撮像部20の明るさ初期値や照明有無を判定してもよい。これによって、明るさ調整のための試行的な撮像回数を削減することができる。このようにして第二撮像部20の撮像条件を設定した後、第二撮像部20で撮像を行い、第二画像データを取得する。
【0102】
なお、上述した設定の順序は一例であり、各工程の順序を入れ替えてもよい。例えばステップS1401~ステップS1403の焦点位置の設定よりも先に、ステップS1404~ステップS144~ステップS1405の明るさの設定を行ってもよいし、あるいは焦点位置設定と明るさ設定を同時に、又は並行して行ってもよい。
[変形例]
【0103】
第一撮像部10で撮像を行う手順は、上述した手順に限られない。例えば、第二撮像部20での撮像が必要か否かを判定するタイミングを、
図7のように第一撮像部10で本撮像処理を行った第一画像データに対してデコードができないと判明した際に行うのでなく、これよりも前に行ってもよい。このような例を、変形例に係る光学式情報読取方法として、
図17のフローチャートに基づいて説明する。ここでも、第一撮像部10で撮像を行う手順を示している。
【0104】
まずステップS1701において、トリガー開始操作を行う。次にステップS1702において、ワークにエイミング光を照射する。そしてステップS1703において、エイマー画像を撮像する。さらにステップS1704において、エイマー画像に基づいて距離を推定する。ここまでの手順は、上述した
図7のステップS701~ステップS704と同様である。
【0105】
次にステップS1705において、第二撮像部20による撮像が必要か否かを判定する。第二撮像部20による撮像の要否を判定する具体的な手順は、
図9に示す通りである。そして第二撮像部20による撮像が必要な場合は、
図14に示す手順に進む。一方、第二撮像部20による撮像が不要の場合は、ステップS1706に進み、第一撮像部10で本撮像処理を行う。そしてステップS1707において、第一画像データのデコード処理を行う。さらにステップS1708において、デコードの可否を判定する。デコードできた場合は読み取り成功となり(ステップS1709)、処理を終了する。一方、ステップS1708でデコードできないと判定された場合は、ステップS170に戻り、処理を繰り返す。
(第二撮像部20での手順)
【0106】
次に、第二撮像部20から見た手順を、
図18のフローチャートに基づいて説明する。まずステップS1801において、第二撮像部20を駆動させる命令の有無を判定する。命令がない場合は、処理を終了する。命令がある場合は、ステップS1802に進み、第二撮像部20の撮像設定を行う。ここでは第二撮像部20で第二画像データを撮像するための撮像条件、例えば可変焦点光学系22の焦点位置や第二撮像素子21のシャッタースピード、第二照明部24の明るさ等を設定する。
【0107】
次にステップS1803において、第二撮像部20で撮像処理を行う。すなわち、設定された撮像条件に従って第二撮像部20で第二画像データを撮像する。そして第二撮像部20で撮像された第二画像データのデコード処理を読取制御部42で実行し(ステップS1804)、シンボルのデコードの可否を判定する(ステップS1805)。デコードができなかった場合はステップS1802に戻り、上述の処理を繰り返す。一方、デコードができた場合は読み取り成功となり(ステップS1806)、処理を終了する。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明の光学式情報読取装置及び光学式情報読取方法は、倉庫や工場、店舗、病院等で使用される、バーコードや二次元コードなどのシンボルを読み取ってデータの登録、照合を行うハンディスキャナやハンディターミナル、業務用PDA等に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0109】
100…光学式情報読取装置
1…撮像モジュール
2…筐体
3…表示部
4…傾斜面
5…光学窓
10…第一撮像部
11…第一撮像素子
12…固定焦点光学系
14…第一照明部
15…エイミング光照射部
20…第二撮像部
21…第二撮像素子
22…可変焦点光学系
23…焦点駆動部
24…第二照明部
25…第二撮像部筐体
25B…基板
26…ばね
27…レンズユニット
28…コイル
29…磁石
30…キー配置部
40…制御部
42…読取制御部
49…焦点制御部
50…通信インターフェース
51…RAM
52…記憶部
DA…表示部分;HA…把持部分
SB…シンボル
BC…バーコード
AL…エイミング光
PA…一点鎖線とクロスハッチング領域との間の領域
DR1…第一撮像距離範囲