(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】改善されたロボットアームを有する外科用ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 34/30 20160101AFI20240401BHJP
【FI】
A61B34/30
(21)【出願番号】P 2020539226
(86)(22)【出願日】2018-12-28
(86)【国際出願番号】 US2018067968
(87)【国際公開番号】W WO2019143458
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2021-12-27
(32)【優先日】2018-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518083032
【氏名又は名称】オーリス ヘルス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エア・ニコラス・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヒル・アレン・カルダー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェールマン・スヴェン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン・コリン・アレン
(72)【発明者】
【氏名】フアン・ヤナン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン・ジェイソン・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ミンツ・デビッド・スティーブン
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/187054(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/088205(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/164824(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0204646(US,A1)
【文献】特開2005-204999(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0009838(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/00 ― 90/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ロボットシステムであって、
テーブルと、
前記テーブルに連結されたアーム支持体と、
冗長な自由度を有するロボットアームであって、前記アーム支持体に装着されたベースと、肩接合部において前記ベースに接続された近位リンクと、肘接合部において前記近位リンクに接続された遠位リンクと、を含む、ロボットアームと、を含み、
前記肩接合部は、前記アーム支持体に沿って肩部を並進させ、
前記肩部をピッチングさせる(shoulder pitch)ことが可能であり、前記ロボットアームは、前記ロボットアームに固定的に取り付けられた器具駆動機構
と、
器具と、を含み、
前記
器具は、
細長いシャフトと、
エンドエフェクタと、
前記細長いシャフトと前記
エンドエフェクタとを
前記ロボットアームに取り付けるために、前記ロボットアームの前記器具駆動機構に取り外し可能に取り付けられるように構成された
ハンドルと、
前記
ハンドル内に配置され、前記細長いシャフトに接続されたケーブルと係合する少なくとも1つのプーリを含む挿入機構
であって、前記細長いシャフトを、挿入軸に沿って並進させるように構成された挿入機構と、を含む、外科用ロボットシステム。
【請求項2】
前記アーム支持体は、前記テーブルに対して垂直に調節されることが可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
追加のロボットアームを支持するための第2のアーム支持体を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記アーム支持体が、前記第2のアーム支持体に独立して調節可能である、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記肩接合部及び前記肘接合部が、電動式である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ロボットアームは、少なくとも7自由度が可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記ロボットアームは、前記テーブルの下方に収容されることが可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記肩接合部はまた、
前記肩部をヨーイングさせることが可能である、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ロボットアームが、それに取り付けられた
前記器具の器具ドライバのロールを可能にする自由度を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記ロボットアームが、手首接合部を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記手首接合部が、部分的に球形の接合部である、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記冗長な自由度が、ポーズ最適化及び衝突回避を可能にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記ロボットアームが、手首接合部を更に含んでおり、前記手首接合部、肘接合部、及び肩接合部が、同じ平面内で実質的に位置合わせされ得る、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、概して、外科用又は医療用ロボットに関し、具体的には、様々な外科手術又は医療手術用に構成可能なロボットシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ロボット技術は、様々な用途を有する。具体的には、ロボットアームは、通常は人間が実行するタスクを完了するのを支援する。例えば、工場では、ロボットアームを使用して、自動車及び民生用電子機器製品が製造される。加えて、科学施設では、マイクロプレートを輸送するなどの実験室での手順を自動化するために、ロボットアームが使用される。最近、医師は、外科手術を実行するのを支援させるために、ロボットアームを使用し始めている。例えば、医師は、ロボットアームを使用して、患者の内部の外科用器具を制御する。しかしながら、ロボットアームを含む既存の医療システムは、資本コストが高く、典型的には、限定されたタイプの外科手術を実行するために専門化されている。したがって、医師又はその助手は、様々な外科手術に適応するために、複数のロボットアームシステムを入手する必要があり得る。各外科手技のためにロボットアームシステムを手動で再構成することもまた、医師にとって時間のかかる物理的な負担になる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
ロボットアームを有する外科用(又は医療用)ロボットシステムは、様々な外科(又は医療)手術を実行するように構成可能である。外科用ロボットシステムは、1つ又は2つ以上のロボットアームを支持する1つ又は2つ以上の調節可能なアーム支持体を含むことができる。調節可能なアーム支持体は、テーブル、テーブルのカラム支持体、又はテーブルのベースのいずれかに取り付けて、テーブルの下方の位置から調節可能なアーム支持体及びロボットアームを展開するように構成され得る。いくつかの実施例では、調節可能なアーム支持体は、ロボットアームが装着されるバー又はレールの位置の調節を可能にする、少なくとも3つ又は4つの自由度を含む。自由度のうちの1つにより、調節可能なアーム支持体をテーブルに対して垂直に調節することが可能になり得る。ロボット外科用システムは、各々が1つ又は2つ以上のロボットアームを支持する、2つの調節可能なアーム支持体を含むことができる。2つの調節可能なアーム支持体は、独立して調節され得る。例えば、各アーム支持体は、テーブルに対して異なる高さに調節され得る。
【0004】
外科用ロボットシステムはまた、1つ又は2つ以上のロボットアームを含むことができる。1つ又は2つ以上のロボットアームは、調節可能なアーム支持体に装着されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、低マウント位置から(例えば、テーブルの表面の下方の位置から)展開されるように構成されているが、他の実施形態では、ロボットアームは、テーブルの表面の上方の位置から展開され得る。ロボットアームは、複数の自由度を提供する複数の接合部を含むことができる。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、1つ又は2つ以上の冗長な自由度を含み得る。
【0005】
第1の態様では、システムは、テーブルと、テーブルの下のテーブル支持体と、テーブル又はテーブル支持体のうちの少なくとも1つに連結されたアーム支持体と、アーム支持体に連結された第1のロボットアームと、を含むことができる。第1のロボットアームは、近位部分と、遠位部分と、近位部分と遠位部分との間の少なくとも4つの電動接合部と、を含み得、接合部の各々は、他の接合部とは独立して作動されることが可能であり、第1のロボットアームは、外科用器具を駆動するように構成された器具駆動機構を含んでいる。システムはまた、挿入軸に沿って器具の挿入を提供するために、第1のロボットアームと関連付けられている、挿入機構と、アーム支持体に連結された第2のロボットアームと、を含むことができる。
【0006】
システムはまた、任意の組み合わせにおける以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含んでもよい。(a)第1のロボットアームは、第2のロボットアームに対して並進可能である、(b)挿入機構は、第1のロボットアームとは独立して、器具自体内に構築されている、(c)挿入機構は、第1のロボットアーム内に構築されている、(d)挿入機構は、挿入体ハウジングに対して器具駆動機構を並進させて、挿入軸に沿って器具を並進させるように構成されている、(e)第1のロボットアームは、少なくとも7自由度が可能であり、自由度のうちの少なくとも1つは、冗長である、及び/又は(f)第1のロボットアーム及び第2のロボットアームは、テーブルの下方に収容されることが可能である。
【0007】
別の態様では、システムは、テーブルと、テーブルの下のテーブル支持体と、テーブル又はテーブル支持体のうちの少なくとも1つに連結されたアーム支持体と、アーム支持体に連結された第1のロボットアームであって、第1のロボットアームが、近位リンクと、遠位リンクと、遠位リンクの遠位端に連結された少なくとも3つの接合部と、を含み、接合部の各々が、他の接合部とは独立して作動されることが可能であり、第1のロボットアームが、外科用器具を駆動するように構成された器具駆動機構を含む、第1のロボットアームと、を含む。システムはまた、挿入軸に沿って器具の挿入を提供するために、第1のロボットアームと関連付けられている、挿入機構を含んでもよい。
【0008】
システムはまた、任意の組み合わせにおける以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含んでもよい。(a)接合部のうちの少なくとも2つは、回転接合部である、(b)接合部のうちの少なくとも1つは、挿入軸を含む、(c)接合部のうちの少なくとも1つは、器具軸を中心に器具をローリングさせる、(d)器具軸を中心に器具をローリングさせる少なくとも1つの接合部は、第1のロボットアームの一部又は器具自体の一部である、(e)アーム支持体に連結された第2のロボットアーム、(f)第1のロボットアームは、第2のロボットアームに対して並進可能である、及び/又は(g)第1のロボットアームは、少なくとも7自由度が可能であり、自由度のうちの少なくとも1つは、冗長である。
【0009】
別の態様では、システムは、テーブルと、テーブルを支持するためのテーブル支持体と、テーブル又はテーブル支持体のうちの少なくとも1つに連結されたアーム支持体と、アーム支持体に連結された第1のロボットアームであって、第1のロボットアームが、テーブルの下に収容されること、及び上昇することが可能である、第1のロボットアームと、を含む。第1のロボットアームは、近位部分及び遠位部分であって、近位部分が、アーム支持体に連結されたベースを含み、遠位部分が、複数のモータを含む器具駆動機構を含み、器具駆動機構が、それに取り付けられた外科用器具を駆動するように構成されている、近位部分及び遠位部分を含む。システムはまた、近位部分と遠位部分との間の複数の電動接合部であって、それにより、複数の自由度における器具の移動に適応し、接合部の各々が、他の接合部とは独立して作動されることが可能である、複数の電動接合部と、挿入軸に沿って器具の挿入を提供するために、第1のロボットアームと関連付けられている、挿入機構と、アーム支持体に連結された第2のロボットアームであって、第2のロボットアームが、テーブルの下に収容されること、及び上昇することが可能である、第2のロボットアームと、を含む。
【0010】
システムはまた、任意の組み合わせにおける以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含んでもよい。(a)挿入機構は、第1のロボットアームとは独立して、器具自体内に構築されている、(b)第1のロボットアームは、少なくとも7自由度が可能であり、自由度のうちの少なくとも1つは、冗長である(c)第1のロボットアームは、近位リンク及び遠位リンクを含み、少なくとも3つの接合部は、遠位リンクの遠位端に連結されており、遠位リンクの遠位端に連結された接合部のうちの少なくとも2つは、回転接合部である、及び/又は(d)外科用器具は、内視鏡器具を含む。
【0011】
別の態様では、システムは、テーブル上に位置付けられた患者を支持するためのテーブルと、テーブルの下のテーブル支持体と、テーブル又はテーブル支持体のうちの少なくとも1つに連結されたアーム支持体と、を含むことができる。システムはまた、アーム支持体に連結された第1のロボットアームであって、第1のロボットアームが、近位部分と、遠位部分と、近位部分と遠位部分との間の少なくとも4つの電動接合部と、を含み、接合部の各々が、他の接合部とは独立して作動されることが可能であり、第1のロボットアームが、外科用器具を駆動するように構成された器具駆動機構を含む、第1のロボットアームを含むことができる。システムはまた、挿入軸に沿って器具の挿入を提供するために、第1のロボットアームと関連付けられている、挿入機構を含んでもよい。システムは、アーム支持体に連結された第2のロボットアームを含んでもよい。
【0012】
システムは、任意の組み合わせにおける以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含んでもよい。(a)第1のロボットアームは、第2のロボットアームに対して並進可能である、(b)挿入機構は、第1のロボットアームとは独立して、器具自体内に構築されている、(c)挿入機構は、第1のロボットアーム内に構築されている、(d)挿入機構は、挿入体ハウジングに対して器具駆動機構を並進させて、挿入軸に沿って器具を並進させるように構成されている、(e)第1のロボットアームは、少なくとも5自由度が可能である、(f)第1のロボットアームは、少なくとも6自由度が可能である、(g)第1のロボットアームは、少なくとも7自由度が可能である、(h)7自由度のうちの少なくとも1つは、冗長である、(i)第2のアーム支持体であって、アーム支持体及び第2のアーム支持体は、高さ差を有することができる、第2のアーム支持体、(j)アーム支持体は、その傾斜角を調節することが可能である、(k)第1のロボットアーム及び第2のロボットアームは、テーブルの下方に収容されることが可能である、(l)テーブル支持体は、ベースを含み、第1のロボットアーム及び第2のロボットアームは、ベースに収容されることが可能である、(m)実行可能命令が記憶された少なくとも1つのコンピュータ可読メモリ、及び少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと通信し、かつ命令を実行して、システムに、第1及び第2のロボットアームをベース内の収容位置からテーブルに隣接する垂直な上昇位置へと移動させる命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサ、(n)第1のロボットアームの器具駆動機構に取り付けられたハンドルを有する、器具、(o)ロールは、器具のハンドル若しくは器具駆動機構に提供されている、(p)第1のロボットアームは、第2の器具駆動機構を更に含み、並びに/又は(q)アーム支持体は、テーブルに対して垂直な調節が可能である。
【0013】
別の態様では、システムは、テーブルと、テーブルを支持するためのテーブル支持体と、テーブル又はテーブル支持体のうちの少なくとも1つに連結されたアーム支持体と、アーム支持体に連結された第1のロボットアームであって、第1のロボットアームが、テーブルの下に収容されること、及び上昇することが可能である、第1のロボットアームと、を含むことができる。第1のロボットアームは、近位部分及び遠位部分であって、近位部分が、アーム支持体に連結されたベースを含み、遠位部分が、複数のモータを含む器具駆動機構を含み、器具駆動機構が、それに取り付けられた外科用器具を駆動するように構成されている、近位部分及び遠位部分と、近位部分と遠位部分との間の複数の電動接合部であって、それにより、複数の自由度における移動に適応し、接合部の各々が、他の接合部とは独立して作動されることが可能である、複数の電動接合部と、を含むことができる。システムは、挿入軸に沿って器具の挿入を提供するために、第1のロボットアームと関連付けられている、挿入機構を含んでもよい。システムは、アーム支持体に連結された第2のロボットアームであって、第2のロボットアームが、テーブルの下に収容されること、及び上昇することが可能である、第2のロボットアームを含んでもよい。
【0014】
システムは、任意の組み合わせにおける以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含んでもよい。(a)実行可能命令が記憶された少なくとも1つのコンピュータ可読メモリ、及び少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと通信し、かつ命令を実行して、システムに、少なくとも第1及び第2のロボットアームを収容位置からテーブルに隣接する垂直な上昇位置へと移動させる命令を実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサ、(b)第1のロボットアームは、その軸を中心に器具をローリングさせることと、その軸に沿って外科用器具を挿入することと、その軸に沿った点を中心に器具をピッチング及びヨーイングさせることと、を行うことが可能である、(c)挿入機構は、第1のロボットアームとは独立して、器具自体内に構築されている、(d)器具駆動機構は、第1のロボットアームの手首部の一部である、(e)手首部は、器具駆動機構及び挿入体ハウジングを含み、挿入機構は、挿入体ハウジングに対して器具駆動機構を並進させて、挿入軸に沿って器具を並進させるように構成されている、(f)第1のロボットアーム及び第2のロボットアームのうちの少なくとも1つは、アーム支持体に沿って並進可能である、(g)第1のロボットアームは、少なくとも3つの電動式回転接合部を有する手首部を含み、手首部は、ピッチ及びヨーが可能である、並びに/又は(h)第1のロボットアーム及び第2のロボットアームのうちの少なくとも1つは、カメラを保持している。
【0015】
別の態様では、ロボットアームが患者支持テーブルの表面の下に位置する収容位置から、ロボットアームの少なくとも遠位部分がテーブルの表面の上に位置する作動位置へと、ロボットアームを移動させることであって、作動位置において、ロボットアームの遠位部分に連結された器具の軸が、テーブルの表面上の患者の体内にポートと位置合わせされている、移動させることを含み得る、方法が提供される。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、テーブル又はテーブルの下に位置付けられたテーブル支持体のうちの少なくとも1つに取り付けられている。
【0016】
別の態様では、アーム支持体に装着されるように構成されたベースと、近位端及び遠位端を含む近位リンクであって、近位リンクの近位端が、肩部によってベースに接続されている、近位リンクと、近位端及び遠位端を含む遠位リンクであって、遠位リンクの近位端が、肘部によって近位リンクの遠位端に接続されている、遠位リンクと、遠位リンクの遠位端における手首部と、を含む、ロボットアームを含むことができる、システムが提供される。システムは、実行可能命令が記憶された少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと通信し、かつ命令を実行して、システムに、ロボットアームが患者を支持するように構成されたテーブルの表面の下に位置する収容位置から、ロボットアームの少なくとも遠位部分がテーブルの表面の上に位置する作動位置へと、少なくともロボットアームを移動させるように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を含むことができる。いくつかの実施形態では、作動位置において、ロボットアームの遠位部分に連結された器具の軸は、テーブルの表面上の患者の体内にポートと位置合わせされている。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、テーブル又はテーブルの下に位置付けられたテーブル支持体のうちの少なくとも1つに取り付けられている。
【0017】
別の態様では、ロボットアームを用いて、ポートを通して患者に器具を挿入することであって、器具が、ロボットアームの遠位端に位置する、挿入することと、ロボットアームを用いて、ポートに対して器具のピッチ、ヨー、又はロールのうちの少なくとも1つを操作することと、ロボットアームを操作して、ポートに対するロボットアームの近位端の位置を調節することと、を含むことができる、方法が提供される。
【0018】
方法は、任意の組み合わせにおける以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含んでもよい。(a)ロボットアームを用いて、器具を操作すること、及びロボットアームを操作することは、同時に行われること、並びに/又は(b)ロボットアームを操作して、ロボットアームの近位端の位置を更に調節することは、ロボットアームの遠位端に取り付けられた器具の位置若しくは配向に影響を及ぼさないこと。
【0019】
別の態様では、ロボットアームを用いて、ポートを通して患者に器具を挿入することであって、器具が、ロボットアームの遠位端に位置する、挿入することと、器具の位置又は配向に影響を及ぼすことなく、ロボットアームを操作して、ポートに対してロボットアームの近位端の位置を調節することと、を含むことができる、方法が提供される。方法はまた、ロボットアームを用いて、ポートに対して器具のピッチ、ヨー、又はロールのうちの少なくとも1つを操作することを含んでもよい。
【0020】
別の態様では、アーム支持体に連結された第1のロボットアームであって、ロボットアームは、アーム支持体に装着されるように構成されたベースと、近位端及び遠位端を含む近位リンクであって、近位リンクの近位端が、電動肩部によってベースに接続されている、近位リンクと、近位端及び遠位端を含む遠位リンクであって、遠位リンクの近位端が、電動肩部によって近位リンクの遠位端に接続されている、遠位リンクと、遠位リンクの遠位端にある電動手首部と、ロボットアームの遠位端にあり、かつ挿入軸に沿った器具の挿入を提供するように構成された挿入機構であって、挿入機構が、手首部に取り付けられている、挿入機構と、を含む、第1のロボットアームを含むことができる、システムが提供される。システムはまた、ポートを含んでもよく、器具は、ポートを通って延在して、外科手術を支援する。
【0021】
いくつかの実施形態では、システムは、任意の組み合わせにおける以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含んでもよい。(a)肩部、肘部、若しくは手首部のうちの少なくとも1つは、モータ式である、(b)挿入機構は、挿入軸に沿って器具の挿入を提供するように、器具自体の内部に構築された機構を含む、(c)挿入機構は、挿入軸に沿って器具のハンドルに対して移動する器具のシャフトを含む、(d)挿入機構は、挿入体ハウジングに沿って並進して、挿入軸に沿って器具の挿入を提供するように構成された器具駆動機構を含む、(e)手首部は、少なくとも2自由度を含む、(f)手首部は、ピッチ及びヨーが可能である、(g)肘部は、少なくとも1自由度を含む、(h)肩部は、少なくとも2自由度を含む、(i)肩部の少なくとも2自由度は、少なくともピッチ及びヨー又はピッチ及び並進を含む、(j)ベースは、アーム支持体のレールに沿ってベースが並進することを可能にするように構成された直線状の接合部を介して、アーム支持体に装着されるように構成されている、並びに/又は(k)肩部、肘部、及び手首部は、少なくとも6自由度を提供して、ロボットアームが、器具を遠隔中心に位置決めし、かつ遠隔中心の周りでの器具の少なくともピッチ、ヨー、及びロールを制御することを可能にするように構成されている。
【0022】
別の態様では、テーブルと、テーブルに対して位置付けられたアーム支持体と、アーム支持体に連結されたロボットアームと、を含むことができる、システムが提供される。ロボットアームは、アーム支持体に装着されるように構成されたベースと、近位端及び遠位端を含む近位リンクであって、近位リンクの近位端が、電動肩部によってベースに接続されている、近位リンクと、近位端及び遠位端を含む遠位リンクであって、遠位リンクの近位端が、電動肘部によって近位リンクの遠位端に接続されている、遠位リンクと、遠位リンクの遠位端にあり、かつ器具に連結するように構成された電動手首部と、を含むことができる。いくつかの実施形態では、肩部、肘部、及び手首部は、少なくとも6自由度を提供して、ロボットアームが、遠隔中心で器具を位置決めし、かつ遠隔中心の周りでの器具の少なくともピッチ、ヨー、及びロールを制御することを可能にするように構成されており、ベースは、アーム支持体に対して並進可能である。システムは、ロボットアームの遠位端にあり、かつ挿入軸に沿った器具の挿入を提供するように構成された挿入機構と、ポートと、を含むことができ、器具は、ポートを通して延在して、外科手術を支援する。
【0023】
システムは、任意の組み合わせにおける以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含んでもよい。(a)手首部は、少なくとも3自由度を提供して、器具の少なくともピッチ、ヨー、及びロールの調節を可能にするように構成された接合部を含む、(b)手首部は、部分的な球形の接合部を含む、(c)ベースは、ベースがアーム支持体のレールに沿って並進することを可能にするように構成された直線状の接合部を介して、アーム支持体に装着されるように構成されており、アーム支持体は、テーブルの表面の下に位置しており、及びテーブルは、患者を支持するように構成されている、並びに/又は(d)レールは、テーブルの表面の下に位置する。
【0024】
別の態様では、アーム支持体に装着されるように構成されたベースと、近位端及び遠位端を含む近位リンクであって、近位リンクの近位端が、肩部によってベースに接続されている、近位リンクと、近位端及び遠位端を含む遠位リンクであって、遠位リンクの近位端が、肘部によって近位リンクの遠位端に接続されている、遠位リンクと、遠位リンクの遠位端における手首部と、を含む、ロボットアームを含むことができる、システムが提供される。システムはまた、実行可能命令が記憶された少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと、少なくとも1つのコンピュータ可読メモリと通信し、かつ命令を実行して、システムに、少なくとも、手首部、肘部、及び肩部のうちの少なくとも1つを作動させて、ロボットアームの位置を調節することと、器具の軸が患者の体内のポートと位置合わせされた遠隔中心を通して延在するように、ロボットアームで器具を位置決めすることと、コマンドを受信したことに応じて、手首部、肘部、及び肩部のうちの少なくとも1つを作動させて、コマンドに従って器具を操作することと、を行わせるように構成された少なくとも1つのプロセッサと、を含むことができる。
【0025】
システムは、任意の組み合わせにおける以下の特徴のうちの1つ又は2つ以上を含んでもよい。(a)命令は、実行されると、システムに、手首部、肘部、及び肩部のうちの少なくとも1つを作動させて、患者、患者を支持するテーブル、医療用撮像装置、及び追加のロボットアームのうちの少なくとも1つに対するロボットアームの位置を調節させる、(b)追加のロボットアームは、アーム支持体に装着されている、(c)テーブルを支持するカラムに装着されたアーム支持体であって、アーム支持体が、レールを含んでおり、ロボットアームのベースが、直線状のモータ式接合部を介してレールに装着されている、アーム支持体、(d)命令は、実行されると、少なくとも1つのプロセッサに、システムに、少なくとも直線状のモータ式接合部を作動させて、レールに沿ってベースを並進させるようにすることを更に行わせる、(e)レールは、テーブルの表面の下に位置している、並びに/又は(f)命令は、実行されると、システムに、コマンドに応答して、少なくとも直線状の接合部を作動させて、レールに沿ってベースを並進させ、同時に、コマンドに従って、手首部、肘部、及び肩部のうちの少なくとも1つを作動させて、器具を操作することを更に行わせる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】一実施形態による、外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図2A】一実施形態による、外科用ロボットシステムのテーブルの等角図である。
【
図2B】一実施形態による、テーブルの上面図である。
【
図2C】一実施形態による、テーブルの旋回セグメントの上面図である。
【
図2D】一実施形態による、テーブルの旋回セグメントの上面図である。
【
図2E】一実施形態による、旋回機構の構成要素の等角分解図である。
【
図2F】一実施形態による、
図2Eに示した旋回機構の断面図である。
【
図2G】一実施形態による、
図2Eに示した旋回機構の底面図である。
【
図2H】一実施形態による、テーブルの折り畳みセグメントの等角図である。
【
図2I】一実施形態による、テーブルの折り畳みセグメントの別の等角図である。
【
図2J】一実施形態による、テーブルのトラップドアの等角図である。
【
図2K】一実施形態による、テーブルのピボットの等角図である。
【
図2L】一実施形態による、ピッチの軸を中心に回転したテーブルの側面図である。
【
図2M】一実施形態による、ロー(row)の軸を中心に回転したテーブルの等角図である。
【
図3A】一実施形態による、外科用ロボットシステムのカラムの側面切欠図である。
【
図3B】一実施形態による、カラムの等角切欠図である。
【
図3C】一実施形態による、カラムの上面図である。
【
図4A】一実施形態による、カラム装着ロボットアームを有する外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図4B】一実施形態による、カラム装着ロボットアームを有する外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図5A】一実施形態による、外科用ロボットシステムのカラムリングの等角図である。
【
図5B】一実施形態による、テーブルの下にあるカラムリングのセットの底面図である。
【
図5C】一実施形態による、カラムに装着されたカラムリングのセットの等角図である。
【
図5D】一実施形態による、カラムリングのアームマウントの等角切欠図である。
【
図5E】一実施形態による、伸縮式構成におけるアームマウントの等角切欠図である。
【
図6A】一実施形態による、外科用ロボットシステムのロボットアームの等角図である。
【
図6B】一実施形態による、ロボットアームのアームセグメント接合部の等角図である。
【
図6C】一実施形態による、ロボットアームの別のアームセグメント接合部の等角図である。
【
図7A】一実施形態による、患者の下半身領域にアクセスするように構成されたカラム装着アームを有する、外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図7B】一実施形態による、患者の下半身領域にアクセスするように構成されたカラム装着アームを有する、外科用ロボットシステムの上面図である。
【
図7C】一実施形態による、撮像装置と、患者の下半身領域にアクセスするように構成されたカラム装着アームを有する、外科用ロボットシステムと、の等角図である。
【
図7D】一実施形態による、撮像装置と、患者の下半身領域にアクセスするように構成されたカラム装着アームを有する、外科用ロボットシステムと、の上面図である。
【
図7E】一実施形態による、患者のコア体領域にアクセスするように構成されたカラム装着アームを有する、外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図7F】一実施形態による、患者の上半身領域にアクセスするように構成されたカラム装着アームを有する、外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図8A】一実施形態による、外科用ロボットシステムのベースの等角図である。
【
図8B】一実施形態による、ベースの開放パネルの等角図である。
【
図8C】一実施形態による、外科用ロボットシステムのベースの内側に収容されたロボットアームの等角図である。
【
図8D】一実施形態による、外科用ロボットシステムのテーブルの下に収容されたロボットアームの等角図である。
【
図8E】一実施形態による、外科用ロボットシステムのベースの上に収容されたロボットアームの等角図である。
【
図8F】一実施形態による、外科用ロボットシステムのベースの上に収容されたロボットアームの別の等角図である。
【
図8G】一実施形態による、外科用ロボットシステムのベース上のアウトリガキャスタの等角図である。
【
図8H】一実施形態による、外科用ロボットシステムのベース上のアウトリガキャスタの別の等角図である。
【
図8I】一実施形態による、可動構成におけるアウトリガキャスタの側面図である。
【
図8J】一実施形態による、静止構成のアウトリガキャスタの側面図である。
【
図9A】一実施形態による、レール装着ロボットアームを有する外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図9B】一実施形態による、レール装着ロボットアームを有する外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図10A】一実施形態による、外科用ロボットシステムのベースレールの等角図である。
【
図10B】一実施形態による、ベースレール上のアームマウントの等角図である。
【
図10C】一実施形態による、ベースレール上のアームマウントの等角切欠図である。
【
図10D】一実施形態による、ベースレールの断面図である。
【
図11】一実施形態による、カラム装着ロボットアーム及びレール装着ロボットアームを有する、外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図12】一実施形態による、外科用ロボットシステムのテーブル及びベースとは別個のプラットフォーム上のカラム装着ロボットアームを有する、外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図13A】一実施形態による、調節可能なアーム支持体を有する外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図13B】
図13Aの調節可能なアーム支持体を有する、外科用ロボットシステムの端面図である。
【
図14A】一実施形態による、テーブルの両側に装着された2つの調節可能なアーム支持体を有する、外科用ロボットシステムの端面図である。
【
図14B】一実施形態による、腹腔鏡手術のために構成された2つの調節可能なアーム支持体及び複数のロボットアームを有する、外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図14C】一実施形態による、腹腔鏡手術のために構成された2つの調節可能なアーム支持体及び複数のロボットアームを有する、外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図15A】一実施形態による、調節可能なアーム支持体の位置を調節するように並進するように構成された2つの調節可能なアーム支持体を有する、外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図15B】一実施形態による、内視鏡手術のために構成された調節可能なアーム支持体及びロボットアームを有する、外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図16】一実施形態による、傾斜が可能なレールを有して構成された調節可能なアーム支持体を有する、外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図17A】一実施形態による、医療用撮像装置のCアームへのアクセスを可能にするように位置付けられた調節可能なアーム支持体を有する、外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図17B】別の実施形態による、医療用撮像装置のCアームへのアクセスを可能にするように位置付けられた調節可能なアーム支持体を有する、
図17Aの外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図18A】一実施形態による、展開構成に位置付けられた調節可能なアーム支持体を有する外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図18B】一実施形態による、収容構成に位置付けられた調節可能なアーム支持体を有する外科用ロボットシステムの等角図である。
【
図19】一実施形態による、調節可能なアーム支持体を有する外科用ロボットシステムを操作するための方法を示すフローチャートである。
【
図20】一実施形態による、調節可能なアーム支持体を有する外科用ロボットシステムのブロック図である。
【
図21】一実施形態による、ロボットアームの等角図である。
【
図22】一実施形態による、腹腔鏡手術を実行する複数のロボットアームを含むロボット外科用システムの俯瞰図である。
【
図23】一実施形態による、2つの器具駆動機構を含むロボットアームの等角図である。
【
図24】一実施形態による、ロボットアームの遠位端に取り付けられた器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具の等角図である。
【
図25A】一実施形態による、第1の配向に位置付けられた挿入軸本体を有するロボットアームの側面図である。
【
図25B】一実施形態による、第2の配向に位置付けられた挿入軸本体を有する、
図25Aのロボットアームの側面図である。
【
図26A】一実施形態による、取り付けられたカニューレで構成されたロボットアームの側面図である。
【
図26B】一実施形態による、分離されたカニューレで構成されたロボットアームの側面図である。
【
図27A】一実施形態による、腹腔鏡手術を実行する複数のロボットアームを含むシステムの等角図であり、ここで、アームのうちの1つは、取り付けられたカニューレと共に構成されている。
【
図27B】一実施形態による、腹腔鏡手術を実行する複数のロボットアームを含むシステムの等角図であり、ここで、アームのうちの1つは、分離されたカニューレと共に構成されている。
【
図28】一実施形態による、追加の回転接合部を有する手首部を含む、ロボットアームの等角図である。
【
図29A】一実施形態による、傾斜ベースを含むロボットアームの等角図である。
【
図30】一実施形態による、伸縮式リンクを有するロボットアームの等角図である。
【
図31】一実施形態による、外科用ロボットシステム用の器具装置マニピュレータの斜視図を示す。
【
図32】一実施形態による、
図31の器具装置マニピュレータの側面図を示す。
【
図33】一実施形態による、
図31の器具装置マニピュレータに固定された例示的な外科用ツールの前方斜視分解図を示す。
【
図34】一実施形態による、
図31の器具装置マニピュレータに固定された例示的な外科用ツールの背面斜視分解図を示す。
【
図35】一実施形態による、外科用ツールホルダに対する外科用ツールの係合及び係合解除のための作動機構の拡大斜視図を示す。
【
図36A】一実施形態による、外科用ツールを無菌アダプタに対して係合及び係合解除するプロセスを示す。
【
図36B】一実施形態による、外科用ツールを無菌アダプタに対して係合及び係合解除するプロセスを示す。
【
図37A】追加の実施形態による、外科用ツールを無菌アダプタに対して係合及び係合解除するプロセスを示す。
【
図37B】追加の実施形態による、外科用ツールを無菌アダプタに対して係合及び係合解除するプロセスを示す。
【
図38A】一実施形態による、器具装置マニピュレータ内で外科用ツールホルダをローリングさせるための機構の斜視図を示す。
【
図38B】一実施形態による、器具装置マニピュレータの断面図を示す。
【
図38C】一実施形態による、器具装置マニピュレータの内部部品及びその内部部品の特定の電気部品の部分分解斜視図を示す。
【
図38D】一実施形態による、器具装置マニピュレータの内部部品及びその内部部品の特定の電気部品の部分分解斜視図を示す。
【
図38E】一実施形態による、外科用ツールホルダをロール割り出しするための、器具装置マニピュレータの電気部品の拡大斜視図を示す。
【
図39】一実施形態による、器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具の側面図を示す。
【
図40】一実施形態による、エンドエフェクタを作動させるための第1の作動機構を示す概略図を示す。
【
図41】一実施形態による、
図39の器具の第1の作動機構の拡大側面図を示す。
【
図42】一実施形態による、
図39の器具の第1の作動機構の拡大斜視図を示す。
【
図43】一実施形態による、プーリの作動前の
図39の器具のプーリ及びケーブルの図を示す。
【
図44】一実施形態による、プーリの作動後の
図39の器具のプーリ及びケーブルの図を示す。
【
図45】一実施形態による、シャフト並進のためのスプールを含む第2の作動機構の側面図を示す。
【
図46】一実施形態による、シャフト並進のために単一のケーブルを使用する、代替的なスプールの斜視図を示す。
【
図47】一実施形態による、シャフト並進のために2本以上のケーブルを使用する、代替的なスプールの斜視図を示す。
【
図48】一実施形態による、
図46のスプールを含むハンドルの正面図を示す。
【
図49】一実施形態による、エンドエフェクタの作動及びシャフトの並進のための代替的なアーキテクチャを示す概略図を示す。
【
図50A】一実施形態による、
図49のエンドエフェクタの作動及びシャフトの挿入のための代替的なアーキテクチャを組み込んだ器具の拡大正面図を示す。
【
図50B】一実施形態による、
図49のエンドエフェクタの作動及びシャフトの挿入のための代替的なアーキテクチャを組み込んだ器具の上面斜視図を示す。
【
図51】一実施形態による、器具のハンドル及びシャフトの上面斜視図を示す。
【
図52A】一実施形態による、
図40に示される挿入アーキテクチャを利用する器具のシャフトの断面の概略図を示す。
【
図52B】一実施形態による、
図49に示される挿入アーキテクチャを利用する器具のシャフトの断面の概略図を示す。
【
図53】一実施形態による、血管シーラ内でナイフを駆動するためのアーキテクチャを示す概略図を示す。
【
図54】一実施形態による、血管シーラ内でナイフを駆動するための代替的なアーキテクチャを示す概略図を示す。
【
図55】一実施形態による、血管シーラ内でナイフを駆動するための更に別の代替的なアーキテクチャを示す概略図を示す。
【
図56】一実施形態による、剛性カメラを挿入器具とするためのアーキテクチャを示す概略図を示す。
【
図57】一実施形態による、カメラが挿入ハンドルから分離されることを可能にする第1の挿入アーキテクチャを示す。
【
図58】一実施形態による、カメラが挿入ハンドルから分離されることを可能にする第2の挿入アーキテクチャを示す。
【
図59】一実施形態による、カメラが挿入ハンドルから分離されることを可能にする第2の挿入アーキテクチャを示す。
【
図60】別の実施形態による、シャフト並進のための代替的なアーキテクチャを示す図を示す。
【
図61】患者からの空気漏れを防止するための複数の封止部を有する器具の側面断面図を示す。
【
図62】複数の封止部を有する器具の正面断面図を示す。
【0027】
これから、いくつかの実施形態に関して詳細に言及を行い、それらの実施例が添付の図に示される。可能である場合は、類似又は同様の参照番号を図面で使用してもよく、これら参照番号は類似又は同様の機能性を示してもよいことに留意されたい。図は、例示のみを目的として、説明されるシステム(又は方法)の実施形態を示すものである。当業者であれば、本明細書に記載の原理から逸脱することなく、本明細書に例示した構造及び方法の代替的な実施形態が採用され得ることを以下の説明から容易に理解するであろう。
【発明を実施するための形態】
【0028】
I.システム概要
図1は、一実施形態による、外科用ロボットシステム100の等角図である。ユーザ、例えば、医師又は助手は、外科用ロボットシステム100を使用して、患者に対してロボット支援手術を実行する。外科用ロボットシステム100は、テーブル101と、カラム102と、互いに物理的に連結されたベース103と、を含む。
図1には示されていないが、テーブル101、カラム102及び/又はベース103は、外科用ロボットシステム100の機能を支持する電子機器、流体装置、空圧、吸引、又は他の電気的及び機械的構成要素を収容、接続、又は使用してもよい。
【0029】
テーブル101は、外科用ロボットシステム100を使用して、手術を受ける患者の支持を提供する。一般に、テーブル101は、接地に平行であるが、テーブル101は、様々な外科手術を容易にするためにその配向及び構成を変更してもよい。テーブル101は、セクションII.テーブルにおける
図2A~
図2Iを参照して更に説明される。
【0030】
カラム102は、一方の端部でテーブル101に連結されており、かつ他方の端部でベース103に連結されている。一般に、カラム102は、カラム102に連結されたカラムリングに適応するように円筒形状であり、セクションV.カラムリングにおける
図5A~
図5Eを参照して更に説明されるが、カラム102は、楕円形又は矩形などの他の形状を有してもよい。カラム102は、セクションIII.カラムにおける
図3A及び
図3Bを参照して更に説明される。
【0031】
ベース103は、接地に平行であり、カラム102及びテーブル101の支持を提供する。ベース103は、ホイール、トレッド、又は外科用ロボットシステム100を位置付け又は輸送する他の手段を含んでもよい。ベース103は、セクションVIII.ベースにおける
図8A~
図8Eを参照して更に説明される。
【0032】
上述の構成要素を含む外科用ロボットシステム100の代替的な図及び実施形態は、少なくとも、2015年5月15日に出願された米国特許仮出願第62/162,486号及び2015年5月15日に出願された米国特許仮出願第62/162,467号に、更に例示及び記載されている。
【0033】
II.テーブル
図2Aは、一実施形態による、外科用ロボットシステム100のテーブル201Aの等角図である。テーブル201Aは、
図1のテーブル101の一実施形態である。テーブル201Aは、1つ又は2つ以上のセグメントのセットを含む。一般に、ユーザは、セグメントのセットを構成することによってテーブル201Aの構成を変更する。外科用ロボットシステム100はまた、例えば、セグメントのセットのセグメントを再配置するためにモータを使用することによって、セグメントを自動的に構成してもよい。セグメントの例示的なセットが
図2Aに示されており、これは、旋回セグメント210と、中央セグメント212と、折り畳み可能なセグメント214と、分離可能なセグメント216と、テーブルベース218と、を含む。旋回セグメント210、中央セグメント212、及び折り畳み可能なセグメント214は、テーブルベース218に連結されている。
図2Aは、テーブルベース218から分離された分離可能なセグメント216を示しているが、分離可能なセグメント216はまた、テーブルベース218に連結されていてもよい。様々な実装態様では、追加の又はより少ないセグメントが使用されてもよい。
【0034】
テーブル201Aのセグメントのセットを構成する利点は、構成されたテーブル201Aが、テーブル201A上の患者へのより大きいアクセスを提供し得ることである。例えば、外科用ロボットシステム100は、患者の鼠径領域へのアクセスを必要とする患者に対して外科手術を実行する。患者が典型的な外科用ベッド上に上向きに置かれるとき、患者の鼠径領域よりも、患者の頭部、腕部、及び脚部へのアクセスが多くなる。鼠径領域は、患者の身体の中心に向かって位置するため、脚部は、鼠径領域へのアクセスを妨げることが多い。分離可能なセグメント216は、テーブル201Aから分離可能である。分離可能なセグメント216を有さないテーブル201Aは、患者の頭部が旋回セグメント210を有するテーブル201Aの側面に向かっている状態での、テーブル201A上に位置する患者の鼠径領域へのより大きいアクセスを提供する。具体的には、分離可能なセグメント216を取り外すことにより、例えば、外科用器具を鼠径領域内に挿入するために、より多くの空間が開かれる。鼠径領域にアクセスするために追加の空間が必要とされる場合、折り畳み可能なセグメント214は、患者から離れるように折り畳まれてもよい(
図2Hに更に記載される)。中央セグメント212は、鼠径領域へのより大きいアクセスをまた提供する切欠きセクション220を含む。
【0035】
旋回セグメント210は、テーブル201Aに対して横方向に枢動する。旋回セグメント210は、弓状縁部222を含み、中央部分212はまた、弓状縁部224に含まれる。弓状の縁部により、旋回セグメント210がテーブル201Aから離れるように又はテーブル201Aに向かって枢動するときに、旋回セグメント210と中央セグメント212との間には最小限の間隙が存在する。旋回セグメント210がテーブル201Aから離れる方向に枢動する状態のテーブル201Aの構成は、テーブル201Aの他のセグメントが鼠径領域を妨げないため、鼠径領域へのより大きいアクセスを提供する。この構成の一実施例は、セクションVII.A.下半身手術における
図7C及び
図7Dに関連して更に説明される。加えて、旋回セグメント210はまた、鼠径領域への更により大きいアクセスを提供する切欠きセクション226を含む。
【0036】
図2Bは、一実施形態による、テーブル201Aの上面図である。具体的には、
図2Bは、部分的な切欠き図を有するテーブルベース218及び旋回セグメント210の一部分を示している。旋回セグメント210内の構成要素は、例示の目的で露出されている。テーブルベース218は、二重湾曲レール230、すなわち、2つの湾曲した直線レール(第1のベアリングサブアセンブリとも称される)を含む。旋回セグメント210はまた、二重湾曲レール232(第2のベアリングサブアセンブリとも称される)を含む。第2のベアリングアセンブリに連結された第1のベアリングアセンブリは、ベアリング機構と称されてもよい。テーブルベース218の二重湾曲レール230は、旋回セグメント210の二重湾曲レール232と係合する。二重湾曲レールの両方は、仮想円234と同心である。旋回セグメント210は、テーブルベース218の平面に対して垂直な仮想円234の中心にある点236を通る軸を中心に枢動する。テーブルベース218の二重湾曲レール230は、第1の台車238及び第2の台車240を含む。同様に、旋回セグメント210の二重湾曲レール232は、第1の台車242及び第2の台車244を含む。台車は、構造的支持を提供し、かつモーメント荷重を打ち消し、これにより、二重湾曲レールが、少なくとも500ポンドまでの高片持ち荷重を支持することを可能にする。例えば、患者をテーブル201Aから離れるように枢動させることにより、患者の体重を支持する二重湾曲レール上に高い片持ち荷重を発生させる。テーブルベース218及び旋回セグメント210は、ローラ、カムフォロワ、及びベアリングなどの追加の荷重共有構成要素を含んでもよい。いくつかの実施形態では、旋回セグメント210及びテーブルベース218は各々、二重湾曲レールの代わりに単一の湾曲レールを含む。更に、各湾曲レールは、追加の又はより少ない台車を含んでもよい。
【0037】
図2Cは、一実施形態による、テーブル201Aの旋回セグメント210の上面図である。質量中心250は、旋回セグメント210の質量中心、及び旋回セグメント210上に位置する患者(図示せず)を示す。旋回セグメント210は、軸236を中心に角度αで枢動される。
図2Dに示す質量中心246と比較して、質量中心250は、
図2C及び
図2Dの両方の旋回セグメントが各々同じ角度αで枢動されても、テーブルベース218(
図2Dのテーブルベース218Bに対応する)に近い。質量中心250をテーブル218に近づくように維持することは、旋回セグメント210が、外科用ロボットシステムを転倒させることなく、患者のために、より大きい片持ち荷重を支持するのに役立つ。いくつかの実施形態では、旋回セグメント210をテーブルベース218に対して30度又は45度の角度まで回転させる一方で、旋回セグメント210の質量中心をテーブル201Aの上に維持することができる。
【0038】
図2Dは、一実施形態による、テーブル201Bの旋回セグメント210Aの上面図である。具体的には、テーブル201Bは、テーブルベース218A及び旋回セグメント210Aを含む。テーブル201Bは、二重湾曲レールを含まないが、代わりに、
図2E~
図2Gを参照して以下で更に説明される旋回機構278を含む。質量中心246は、旋回セグメント210Aの質量中心、及び旋回セグメント210A上に位置する患者(図示せず)を示す。旋回セグメント210Aは、軸248を中心に角度αで枢動される。したがって、質量中心246は、テーブルベース218Aから離れて位置付けられる。
【0039】
図2Eは、一実施形態による、テーブル201Bの旋回機構278(ベアリング機構とも称され得る)の構成要素の等角分解図である。旋回機構278は、第2のベアリングサブアセンブリに連結された第1のベアリングサブアセンブリを含む。具体的には、旋回機構278は、ハーモニック駆動モータ280、静止プレート281、シム282、内側ベアリングレース283、ベアリング284、外側ベアリングレースクリート285、内側ベアリングレース支持体286、静止リング287、モータハウジングマウント288、エンコーダストリップ289、駆動プレート290、エンコーダセンサ291、及び旋回インサート292を含む。モータハウジングマウント288は、テーブルベース218Aに対して静止している。ハーモニック駆動モータ280は、軸248を中心に旋回セグメント210Aを回転させる。第1のベアリングサブアセンブリは、テーブルベース218Aに連結された上述の構成要素を含む。第2のベアリングサブアセンブリは、旋回セグメント210Aに連結された上述の構成要素を含む。
【0040】
図2Fは、一実施形態による、
図2Eに示す旋回機構278の断面図である。ハーモニック駆動モータ280は、モータハウジングマウント288に連結されている。モータハウジングマウント288は、静的リング287及び静的プレート281に連結されている。静的プレート281は、ハーモニック駆動モータ280がまたテーブルベース218Aに対して静止しているように、シム282を使用して、テーブルベース218Aに連結されている。
【0041】
ハーモニック駆動モータ280は、駆動軸294及び駆動面296が一緒に回転するように、駆動面296に連結された駆動軸294を含む。駆動面296は、駆動プレート290に連結されている。駆動プレート290は、内側ベアリングレース支持体286に連結されている。内側ベアリングレース支持体286は、旋回インサート292及び内側ベアリングレースクリート283に連結されている。内側ベアリングレース支持体286は、ベアリング284(例えば、クロスローラベアリング)によって、テーブルベース218Aに移動可能に連結されている。旋回インサート292は、駆動軸294及び駆動面296を回転させることにより、旋回セグメント210Aが同じ方向に回転するように、旋回セグメント210Aに連結されている。
図2Fには示されていないが、旋回機構278は、例えば、物理的なハードストップの形態における追加の安定性を提供するために、静的プレート281と内側ベアリングレースクリート283との間に追加の構成要素を含んでいてもよい。更に、
図2Fには示されていないが、エンコーダセンサ291は、エンコーダストリップ289によってモータハウジングマウント288に連結されている。エンコーダセンサ291は、旋回セグメント210Aの回転に関する情報、例えば、旋回セグメント210Aの位置を、0.01度の分解能で0.1度の精度まで記録する。
図2Fは、旋回機構の構成要素を連結するために使用されるいくつかのねじ(又はボルト)を示すが、構成要素は、他の方法、例えば、溶接、圧力ばめ、接着などを使用して連結されてもよいことに留意されたい。
【0042】
旋回機構278は、例えば、旋回セグメント210A上に位置する患者から、最大500ポンドの荷重を支持しながら、ハーモニック駆動モータ280が旋回セグメント210Aを正確な制御で回転させることを可能にする。具体的には、ハーモニック駆動モータ280は、旋回セグメント210Aを、10度/秒の回転速度まで、及び軸248を中心としたいずれかの方向に最大45度まで回転させ得る。更に、旋回セグメント210Aは、患者の質量中心の最大速度が100ミリメートル/秒であり、かつ最大速度までの時間が0.5秒であるように回転される。いくつかの実施形態では、旋回機構のベアリングのうちの1つは、例えば、約0.0025のベアリング摩擦係数を有するボールベアリングを有するクロスローラベアリングであり、これは、患者の体重から片持ち荷重を維持しながら、旋回セグメント210Aの正確な回転を可能にする安定性を更に提供するのに役立つ。ハーモニック駆動モータ280は、最大33ニュートンメートルのトルクを生成して、旋回セグメント210Aを患者の重量で回転させることができる。いくつかの実施形態では、ハーモニック駆動モータ280は、少なくとも40ニュートンメートルの保持トルクを有する内部ブレーキを含む。
【0043】
図2Gは、一実施形態による、
図2Eに示した旋回機構の底面図である。ハーモニック駆動モータ280は、例えば、外科用ロボットシステムのカラムからの電線がハーモニック駆動モータ280に連結されて、ハーモニック駆動モータ280に制御信号を提供することができるように、露出される。
【0044】
図2Hは、一実施形態による、テーブル201Cの折り畳み可能なセグメント214Cの等角図である。テーブル201Cは、
図2Aのテーブル201Aの一実施形態である。テーブル201Cはまた、テーブルベース218Cに連結された中央セグメント212Cを含む。折り畳み可能なセグメント214Cは、テーブルベース218Cに対して平行な軸252を中心に、ベアリングを使用して回転する。折り畳み可能なセグメント214Cは、折り畳み可能なセグメント214Cがテーブルベース218C及び中央セグメント212Cに直交するように回転される。他の実施形態では、折り畳み可能なセグメント214Cは、テーブルベース218C及び中央セグメント212Cに対して他の角度に回転されてもよい。折り畳み可能なセグメント214Cは、例えば、テーブル201C上に位置する患者へのより大きいアクセスを提供するための切欠きセクション254を含む。他の実施形態では、折り畳み可能なセグメント214Cは、切欠きセクションを含まない。
【0045】
図2Iは、一実施形態による、テーブル201Dの折り畳み可能なセグメント214Dの別の等角図である。テーブル201Dは、
図2Aのテーブル201Aの一実施形態である。折り畳み可能なセグメント214Dは、折り畳み可能なセグメント214D及びテーブルベース218Dが互いに対して角度βで位置付けられるように回転される。テーブル201Dは、テーブル201D上の患者の体重を支持しながら回転位置を維持するために、折り畳み可能なセグメント214D及び中央セグメント212Dのための機構を含む。例えば、機構は、折り畳み可能なセグメント214Dと、中央セグメント212Dとの2つのセグメントを角度βで保持する接合部における摩擦ブレーキである。代替的に、折り畳み可能なセグメント214Dは、シャフトを使用して中央セグメント212Dを中心に回転し、機構は、シャフトを係止する、したがって、2つのセグメントを固定位置に維持するクラッチである。
図2Iには示されていないが、テーブル201Dは、折り畳み可能なセグメント214Dを、中心セグメント212Dに対して特定の角度に自動的に回転し、かつ係止するためのモータ又は他のアクチュエータを含んでもよい。折り畳み可能なセグメント214Dを回転させることは、例えば、テーブル201Dの対応する構成が、テーブル201D上に位置する患者の腹部の周囲の領域へのより大きいアクセスを提供するため、有利である。
【0046】
図2Jは、一実施形態による、テーブル201Eのトラップドア256の等角図である。テーブル201Eは、
図2Aのテーブル201Aの一実施形態である。具体的には、テーブル201Eは、トラップドア256と、トラップドア256の下に位置付けられた排水構成要素258と、を含む。トラップドア256及び排水構成要素258は、外科手術中にテーブル上に位置する患者によって分泌される又は放出される、流体(例えば、尿)、破片(例えば、糞便)などの廃棄物質を収集する。容器(図示せず)を排水構成要素258の下に位置付けて、廃棄物質を収集及び格納することができる。トラップドア256及び排水構成要素258は、廃棄物質が、外科用ロボットシステム100の他の構成要素又は外科用ロボットシステム100と共に手術室にある他の外科用ツールなどの機器を汚すこと、又は減菌することを防止するので有利である。
【0047】
図2Kは、一実施形態による、テーブル201Aのピボットの等角図である。具体的には、テーブル201Aは、第1のピボット260及び第2のピボット262を含む。テーブル201Aは、第1の軸264を中心に回転する。ユーザ、例えば、医師は、第1の軸264又は第2の軸266を中心にテーブル201Aを、手動で又は外科用ロボットシステム100によって補助されて回転させ得る。外科用ロボットシステム100はまた、例えば、第1のピボット260又は第2のピボット262に連結されたモータを動作させるために、制御信号を使用することによって、テーブル201Aを自動的に回転させてもよい。モータ280は、第1のピボット260に連結されている。テーブル201Aの回転は、外科手術中にテーブル201A上に位置する患者の特定の領域へのより大きいアクセスを提供することができる。具体的には、テーブル201Aは、第1の軸264を中心に回転することによって、テーブル201A上に位置する患者をトレンデレンブルク位置に配向するように構成されている。テーブル201Aの回転を、
図2L~
図2Mで更に説明する。
【0048】
図2Lは、一実施形態による、ピッチの軸264を中心に回転したテーブル201Aの側面図である。具体的には、テーブル201Aは、接地に対して平行な平面268に対して角度γに回転される。
【0049】
図2Mは、一実施形態による、ロー266の軸を中心に回転したテーブル201Aの等角図である。具体的には、テーブル201Aは、接地に対して平行な平面268に対して角度δに回転される。テーブル201Aは、テーブル201Aの下側の構成要素を露出させるために透明として示されている。テーブルは、一セットのレール270を含む。テーブル201Aは、レール270のセットに対して平行な軸266に沿って横方向に並進してもよい。外科用ロボットシステム100は、例えば、モータ又は他の作動手段(図示せず)を使用して、テーブル201Aを横方向に並進させる。外科用ロボットシステム100のユーザはまた、テーブル201Aを、手動で又は外科用ロボットシステム100からの補助を受けて並進させてもよい。
【0050】
上述の構成要素を含むテーブル201Aの代替的な図及び実施形態は、少なくとも、2015年9月30日に出願された米国特許仮出願第62/235,394号に、更に例示及び記載されている。
【0051】
III.カラム
図3Aは、一実施形態による、外科用ロボットシステム100のカラム102の側面切欠図である。カラム102は、外科用ロボットシステム100の機能を実行するための電気的及び機械的並びに他のタイプの構成要素を含む。カラム102は、ピッチ回転機構310、カラム伸縮式機構320、リング伸縮式機構330A及び330B、並びにリング回転機構340A及び340Bを含む。リング回転機構340A及び340Bは、
図3Bに更に記載される。
【0052】
外科用ロボットシステム100は、ピッチ回転機構310を使用して、テーブル101をピッチの軸264(これはまた、
図2K~Lで既に示されている)の周りで回転させる。ピッチ回転機構310は、ピッチ回転モータ312、直角歯車ボックス314、ピッチ回転送りねじ316、及びピッチ回転ブラケット318を含む。ピッチ回転モータ312は、直角歯車ボックス314に連結されている。ピッチ回転モータ312は、ピッチ回転送りねじ316と直交する。ピッチ回転送りねじ316は、ピッチ回転ブラケット318に移動可能に連結されている。直角歯車ボックス314は、ピッチ回転送りねじ316に連結されている。ピッチ回転モータ312の出力回転は、軸311に沿ったピッチ回転送りねじの並進運動を引き起こす。したがって、ピッチ回転送りねじ318の並進運動は、テーブル101をピッチの軸264を中心に回転させる。
【0053】
外科用ロボットシステム100は、カラム伸縮式機構320を使用して、テーブルを垂直に並進させる。カラム伸縮式機構320は、カラム伸縮式モータ322、カラム伸縮式送りねじ324、及びカラム伸縮式レール326を含む。カラム伸縮式モータ322は、カラム伸縮式送りねじ324に連結されている。カラム伸縮式モータ322及びカラム伸縮式送りねじ324は、ベース103に対して静止している。カラム伸縮式送りねじ324は、カラム伸縮式レール326と係合される。カラム伸縮式モータ322の出力回転により、カラム伸縮式レール326は、カラム伸縮式送りねじ324に沿って垂直軸321に沿って並進する。カラム伸縮式レール326が垂直軸321に沿って正方向に並進すると、カラム102及びテーブル101の高さが増加する。
【0054】
カラム102はまた、下部カラムセグメント350、中央カラムセグメント352、及び上部カラムセグメント354を含む。下部カラムセグメント350は、ベース103に連結されており、ベース103に対して静止している。中央カラムセグメント352は、下部カラムセグメント350に移動可能に連結されている。上部カラムセグメント354は、中央カラムセグメント352に移動可能に連結されている。他の実施形態では、カラム102は、追加又はより少ないカラムセグメントを含んでもよい。
【0055】
上部カラムセグメント354及び/又は中央カラムセグメント352はまた、カラム102の高さを延在するように、垂直軸321に沿って並進する。同様に、カラム伸縮式レール326が垂直軸321に沿って負方向に並進すると、カラム102及びテーブル101の高さは減少する。更に、上部カラムセグメント354及び/又は中央カラムセグメント352はまた、下部カラムセグメント350の上で圧潰して、垂直軸321に沿って並進する。調節可能な高さを有するテーブル101は、様々な外科手術を容易にするため、そのようなテーブル101は有利である。具体的には、1つの外科手術は、テーブル101上に位置する患者が、異なる外科手術のためにテーブル101上に位置する患者の高さよりも低い高さに位置付けられることを必要とする。いくつかの実施形態では、カラム伸縮式機構320は、モータの代わりに、又はそれに加えて、油圧又は空気圧などの他の作動手段を使用する。
【0056】
外科用ロボットシステム100は、リング伸縮式機構330A及び330Bを使用して、カラムリング305A及び305Bを垂直に並進させる。リング伸縮式機構330Aは、リング伸縮式モータ332、リング伸縮式送りねじ334、及びリング伸縮式レール336を含む。カラムリングは、セクションV.カラムリングにおける
図5A~
図5Eを参照して更に説明される。カラムリング305A及び305Bは、カラム102に移動可能に連結されており、垂直軸331に沿って並進する。一般に、カラム102は、カラム102の各カラムリングのためのリング伸縮式機構を含む。具体的には、カラム102は、リング伸縮式機構330A及び第2のリング伸縮式機構330Bを含む。リング伸縮式モータ332は、リング伸縮式送りねじ334に連結されている。リング伸縮式モータ332及びリング伸縮式送りねじ334は、ベース103に対して静止している。リング伸縮式送りねじ334は、リング伸縮式レール336と係合されている。リング伸縮式レール336は、カラムリング305Aに連結されている。リング伸縮式モータ332の出力回転により、リング伸縮式レール336は、リング伸縮式送りねじ334に沿って垂直軸331に沿って並進する。リング伸縮式レール336が垂直軸331に沿って正方向又は負方向に並進すると、対応するカラムリングの高さは、それぞれ増加又は減少する。
【0057】
図3Bは、一実施形態による、カラム102の等角切欠図である。カラム102は、第1のアコーディオンパネル360A及び第2のアコーディオンパネル360Bを含む。アコーディオンパネル360A及び360Bは、外科用ロボットシステム100が、垂直軸331に沿って正方向又は負方向にカラムリング305A及び305Bを並進させる際に、それぞれ延在するか、又は折り畳まれる。アコーディオンパネル360A及び360Bは、それらが、カラム102の内部の電気的及び機械的並びに他のタイプの構成要素(例えば、ピッチ回転機構310、カラム伸縮式機構320、リング伸縮式機構330A及び330B、並びにリング回転機構340A及び340B)を、流体廃棄物及び他の危険によって汚れること又は滅菌されることから保護するので、有利である。
図3Bは、リング回転機構340Aの等角図を示している一方で、リング回転機構340Bは、カラム102によって覆い隠されている。
【0058】
外科用ロボットシステム100は、リング回転機構340A及び340Bを使用して、それぞれカラムリング305A及び305Bを回転させる。リング伸縮式レール336は、リング回転ブラケット344によってリング回転モータ342に連結されている。リング回転モータ342は、一セットの歯車346に連結されている。歯車346のセットは、駆動歯車346Gを含む。駆動歯車346Gは、カラムリング305Aのカラムリングレール348と係合されている。リング回転モータ342の出力回転により、歯車346のセット及び駆動歯車346Gが回転する。したがって、駆動歯車346Gの回転により、カラムリング305Aは、カラム102と同心の垂直軸341を中心に回転する。カラム102は、カラムリング305Bに対応する別のリング回転機構340Bを含む。一般に、リング回転機構340A及び340B並びにカラムリング305A及び305Bの両方は、実質的に同じであるが、他の実装形態では、それらは、異なる機構を使用して構築されてもよい。
【0059】
図3Cは、一実施形態による、リング回転機構340Aの上面図である。明確にするために、
図3Cは、リング回転機構340Aの駆動歯車346G、カラムリング305A、及びカラムリングレール348のみを示す。例示的な使用事例では、外科用ロボットシステム100は、駆動歯車346Gを時計回りに回転させて、カラムリングレール348を回転させ、したがって、カラムリング305Aは、垂直軸341を中心として時計回りに回転する。
【0060】
上述の構成要素を含むカラム103の代替的な図及び実施形態は、少なくとも、2015年5月15日に出願された米国特許仮出願第62/162,486号及び2015年5月15日に出願された米国特許仮出願第62/162,467号に、更に例示及び記載されている。
【0061】
IV.カラム装着ロボットアーム
図4Aは、一実施形態による、カラム装着ロボットアーム470Aを有する外科用ロボットシステム400Aの等角図である。外科用ロボットシステム400Aは、一セットのロボットアーム、一セットのカラムリング、テーブル401A、カラム402A、及びベース403Aを含む。外科用ロボットシステム400Aは、
図1に示す外科用ロボットシステム100の一実施形態である。一般に、ロボットアームのセットは、ロボットアーム470Aなどの1つ又は2つ以上のロボットアームを含み、ロボットアームは、カラムリング405Aなどの1つ又は2つ以上のカラムリングに連結されている。カラムリングは、以下のセクションV.カラムリングにおける
図5A~
図5Eに関連してより詳細に説明される。ロボットアームは、以下のセクションVI.ロボットアームにおける
図6A~
図6Cに関連してより詳細に説明される。カラムリング405Aは、カラム402Aに移動可能に連結されている。したがって、カラム405Aに取り付けられたロボットアーム470Aは、カラム装着ロボットアーム470Aと称され得る。上記で紹介したように、外科用ロボットシステム400Aは、ロボットアーム470Aを使用して、テーブル401A上に位置する患者に対して外科手術を実行する。
【0062】
図4Bは、一実施形態による、カラム装着ロボットアームを有する外科用ロボットシステム400Bの等角図である。外科用ロボットシステム400Bは、
図4Aに示す外科用ロボットシステム400Aの一実施形態である。外科用ロボットシステム400Bは、複数のロボットアーム、すなわち、第1のロボットアーム470B、第2のロボットアーム470C、第3のロボットアーム470D、及び第4のロボットアーム470E、並びに複数のカラムリング、すなわち、第1のカラムリング405B及び第2のカラムリング405Cを含む。他の実施形態では、外科用ロボットシステム400Bは、追加の又はより少ないロボットアーム及び/又はカラムリングを含んでもよい。更に、ロボットアームは、様々な構成でカラムリングに連結されてもよい。例えば、3つのロボットアームは、1つのカラムリングに連結されてもよい。加えて、外科用ロボットシステム400Bは、2つのロボットアームに各々連結された3つのカラムリングを含んでもよい。
【0063】
カラム装着ロボットアームと共に上述の構成要素を含む外科用ロボットシステム400Bの代替的な図及び実施形態は、少なくとも、2015年5月15日に出願された米国特許仮出願第62/162,486号及び2015年5月15日に出願された米国特許仮出願第62/162,467号に、更に例示及び記載されている。
【0064】
V.カラムリング
図5Aは、一実施形態による、外科用ロボットシステム(例えば、外科用ロボットシステム100、400A又は400B)のカラムリング505の等角図である。
【0065】
カラムリング505は、カラムリングレール510、アームマウントピボット512、アームマウントベース514、及び一セットのアームマウントを含む。アームマウントのセットは、1つ又は2つ以上のアームマウントを含む。具体的には、
図5Aのアームマウントのセットは、第1のアームマウント506A及び第2のアームマウント506Bを含む。一般に、アームマウントのセットの各アームマウント及びアームマウントベース514は、円筒形状である。
【0066】
第1のアームマウント506A及び第2のアームマウント506Bは、アームマウントベース514に移動可能に連結されている。第1のアームマウント506A及び第2のアーム506Bマウントは、アームマウントベース514と同心の軸511を中心に、一緒に又は独立して回転することができる。例えば、外科用ロボットシステム400Bは、アームマウントベース514又はアームマウントの内側のモータ又は他の作動手段(図示せず)を使用して、第1のアームマウント506A及び第2のアームマウント506Bを回転させる。いくつかの実施形態では、第1のアームマウント506A及び第2のアームマウント506Bは、所定の増分、例えば、15度の増分で回転する。
【0067】
アームマウントベース514は、アームマウントピボット512に連結されている。アームマウントピボット512は、アームマウントピボット512内部のモータ又は他の作動手段(図示せず)を使用して、アームマウントベース514を、軸511に直交する軸521を中心に回転させる。アームマウントピボット512は、カラムリングレール510に連結されており、かつカラムリングレール510に対して静止している。アームマウントベース514を回転させることは、アームマウントベース514に連結されたロボットアーム(及びアームマウント)が、テーブル401Bの回転に応答して再配向され得るため、有利である。したがって、アームマウントベース514のアームマウントに連結されたロボットアームは、テーブル401B上に位置する患者へのより大きいアクセスを有する。
【0068】
図5Bは、一実施形態による、
図4Bのテーブル401Bの下側のカラムリングのセットの底面図である。カラムリングのセットは、第1のカラムリング405B及び第2のカラムリング405Cを含む。
図5Bは、アームマウントがテーブル401Bの同じ側にあるように位置合わせされた第1のカラムリング405B及び第2のカラムリング405Cを示し、一方で、
図4Bは、アームマウントがテーブル401Bの両側にあるように位置付けられた第1のカラムリング405B及び第2のカラムリング405Cを示すことに留意されたい。外科用ロボットシステム400Bは、カラムリング405B及び405Cを回転させて、アームマウントを他の構成で位置付けることができる。例えば、2つのアームマウントがテーブル401Bの一方の側に位置付けられ、2つのアームマウントがテーブル401Bの対向する側に位置付けられる。カラムリングを、カラムを中心に互いに独立して回転させることによって、外科用ロボットシステム400Bは、より多くの可能な位置で、アームマウント、したがってアームマウントに装着されたロボットアームを構成することができる。この構成可能性により、外科用ロボットシステム400Bは、ロボットアームがテーブル401B上に位置する患者の身体の任意の領域(例えば、上半身、コア体、又は下半身)にアクセスすることができるため、様々な外科手術に適応する。いくつかの実施形態では、カラムリングの各アームマウントは、アームマウントへのロボットアームの取り付けを容易にするノッチ516を含む。
【0069】
図5Cは、一実施形態による、
図4Bのカラム402Bに装着されたカラムリングのセットの等角図である。
図5Bと同様に、
図5Cは、外科用ロボットシステム400Bの同じ側に位置合わせされた全てのアームマウントを示す。
【0070】
図5Dは、一実施形態による、カラムリングのアームマウント506Cの等角切欠図である。アームマウント506Cは、アームマウント伸縮式機構520及び一セットのアームマウントセグメントを含む。アームマウント伸縮式機構520は、アームマウント伸縮式モータ522、アームマウント伸縮式送りねじ524、及びアームマウント伸縮式レール526を含む。一般に、アームマウントセグメントのセットは、1つ又は2つ以上のアームマウントセグメントを含む。具体的には、
図5Dのアームマウントセグメントのセットは、下部アームマウントセグメント530、中央アームマウントセグメント532、及び上部アームマウントセグメント534を含む。ロボットアームセグメント571(例えば、
図4Bのロボットアーム470Bの)は、上部アームマウントセグメント534に連結されている。中央アームマウントセグメント532及び上部アームマウントセグメント534は、下部アームマウントセグメント530に移動可能に連結されている。下部アームマウントセグメント530は、アームマウントベース(例えば、
図5Aのアームマウントベース514)に連結されている。
【0071】
外科用ロボットシステム400Bは、アームマウント伸縮式機構520を使用して、アームマウント506Cを軸531に沿って並進させる。
図5Dでは、軸531は水平配向であるが、他の実施形態では、軸531は、垂直又は任意の他の配向にあることに留意されたい。アームマウント伸縮式モータ522は、アームマウント伸縮式レール526に連結されている。アームマウント伸縮式レール526は、アームマウント伸縮式送りねじ524と係合されている。アームマウント伸縮式送りねじ524は、下部アームマウントセグメント530に対して静止している。アームマウント伸縮式モータ522の出力回転により、アームマウント伸縮式レール526が垂直軸531に沿って並進する。アームマウント506Cの並進は、アームマウント506Cが拡張している場合に、アームマウント506Cに装着されたロボットアームが、外科手術中にテーブル401B上に位置する患者へのより大きいアクセスを有し得るため、有利である。
【0072】
図5Eは、一実施形態による、伸縮式構成におけるアームマウント506Cの等角切欠図である。伸縮式構成では、上部アームマウントセグメント534及び中央アームマウントセグメント532は、アームマウント506Cの拡張を容易にするために、正軸531方向に延在している。
【0073】
上述の構成要素を含むカラムリング505の代替的な図及び実施形態は、少なくとも、2015年5月15日に出願された米国特許仮出願第62/162,486号及び2015年5月15日に出願された米国特許仮出願第62/162,467号に、更に例示及び記載されている。
【0074】
VI.ロボットアーム
図6Aは、一実施形態による、外科用ロボットシステム(例えば、外科用ロボットシステム100、400A又は400B)のロボットアーム670の等角図である。一般に、ロボットアーム670は、ロボットアームセグメント671、672、673、674、675、676及び677などの一セットのロボットアームセグメントを含む。各アームセグメントは、アームセグメント接合部で少なくとも1つの他のアームセグメントに移動可能に連結されている。具体的には、第1のアームセグメント671は、第2のアームセグメント672に移動可能に連結されており、第2のアームセグメント672は、第3のアームセグメント673に移動可能に連結されており、同じように続いている。第1のアームセグメント671は、アームマウント(例えば、
図5Aのアームマウント506A)に移動可能に連結されている。第7のアームセグメント677(又は7以外のいくつかのアームセグメントを含む一セットのアームセグメントのセットの最後のアームセグメント)は、外科用器具に連結されている。第7のアームセグメント677はまた、クランプ又はロボット指部などの外科用器具を保持するための機構を含んでもよい。ロボットアーム670は、モータ、歯車、及びセンサなどの電気的及び機械的構成要素を、ロボットアームセグメントの内側に使用して、アームセグメント接合部でアームセグメントを回転させる。
【0075】
ロボットアーム670は、例えば、
図4Bのカラム402Bに収容されたロボットアーム制御システムから制御信号を受信する。いくつかの実施形態では、ロボットアーム670は、カラム402Bの外側に位置するか、又は外科用ロボットシステム400Bから分離したロボットアーム制御システムから、制御信号を受信する。一般に、ロボットアーム670は、ロボットアーム制御システムにセンサデータを提供する、センサを含んでもよい。具体的には、圧力センサは、力フィードバック信号を提供し、エンコーダ又はポテンショメータは、アームセグメントの回転の測定を提供する。ロボットアーム制御システムは、センサデータを使用して、ロボットアーム670に提供される制御信号を生成する。各アームセグメントは別の隣接するセグメントに対して回転することができるため、各アームセグメントは、ロボットアーム670の機械的システムに追加の自由度を提供する。ロボットアームセグメントを回転させることによって、外科用ロボットシステム400Bは、外科用器具が外科手術を受ける患者へのアクセスを有するように、ロボットアーム670に連結された外科用器具を位置付ける。外科用ロボットシステム400Bのロボットアームの構成は、セクションVII.外科手術を実行するためのシステム配向における
図7A~
図7Fを参照して更に説明される。
【0076】
図6Bは、一実施形態による、ロボットアーム670のアームセグメント接合部610の等角図である。第1のアームセグメント671A及び第2のアームセグメント672Aは、
図6Aのアームセグメントのいずれかの実施形態である。アームセグメント671A及び672Aは、円筒形状であり、かつ平面612で接合されている。第1のアームセグメント671Aは、平面612に対して垂直な軸611を中心に第2のアームセグメント672Aに対して回転する。更に、軸611は、第2のアームセグメント672Aの平面614に対して垂直であり、かつ第1のアームセグメント671Aの平面616に対して垂直である。すなわち、軸611は、アームセグメント671A及び672Aに対して長手方向である。
【0077】
図6Cは、一実施形態による、ロボットアーム670の別のアームセグメント接合部620の等角図である。アームセグメント671B及び672Bは、平面622で接合されている。
図6Bに示される円筒形状のアームセグメントとは異なり、アームセグメント671B及び672Bは各々、湾曲セクション628及び630をそれぞれ含む。第1のアームセグメント671Bは、平面622に対して垂直な軸621を中心に第2のアームセグメント672Bに対して回転する。軸621は、アームセグメント672Bの平面624に対して垂直ではなく、かつアームセグメント671Bの平面626に対して垂直ではない。いくつかの実施形態では、回転軸は、1つのアームセグメントの平面に対して垂直であるが、アームセグメント接合部の他のアームセグメントの平面に対して垂直ではない。
【0078】
上述の構成要素を含むロボットアーム670の代替的な図及び実施形態は、少なくとも、2015年5月15日に出願された米国特許仮出願第62/162,486号及び2015年5月15日に出願された米国特許仮出願第62/162,467号に、更に例示及び記載されている。
【0079】
VII.外科手術を実行するためのシステム配向
図4Bの外科用ロボットシステム400Bは、ロボットアームのセットのカラム装着ロボットアームを使用して、様々な外科手術を実行する。外科用ロボットシステム400Bは、外科手術の前、その間、及び/又はその後に、テーブル401B上に位置する患者の部分にアクセスするように、カラム装着ロボットアームを構成する。カラム装着ロボットアームは、尿管鏡検査、経皮的腎切石術(PCNL(percutaneous nephrolithotomy))、結腸鏡検査、及び透視検査などの外科手術のために、患者の鼠径部付近の部分にアクセスする。カラム装着ロボットアームは、前立腺切除術、結腸切除術、胆嚢切除術、及び鼠径ヘルニアなどの外科手術のために、コア(例えば、腹部)領域の患者の付近の部分にアクセスする。カラム装着ロボットアームは、気管支鏡検査、内視鏡逆行性胆管解剖学的断層撮影(ERCP(endoscopic retrograde cholangiopancreatography))などの外科手術のために、患者の頭部付近の部分にアクセスする。
【0080】
外科用ロボットシステム400Bは、カラム装着ロボットアーム、カラムリング、カラム、及びテーブルを自動的に再構成して、異なる外科手術を実行する。外科用ロボットシステム400Bの各サブシステム及び構成要素の特徴により、ロボットアームの同じセットが大きい作業容積及び複数の作業容積(構成に基づく)にアクセスして、患者に対して様々な外科手術を実行することが可能になる。具体的には、上述のように、ロボットアームは、患者の鼠径領域にアクセスするための第1の構成、患者の腹部領域にアクセスするための第2の構成、及び患者の頭部領域にアクセスするための第3の構成、加えて他の可能な構成で構成されてもよい。ロボットアーム、カラムリング、カラム、及びテーブルのアームセグメントによって提供される自由度は、広範囲の構成に寄与する。外科用ロボットシステム400Bは、例えば、永続的な磁気記憶ドライブ、ソリッドステートドライブなどの非一時的コンピュータ可読記憶媒体内にコンピュータプログラム命令を記憶するコンピュータシステムを含む。コンピュータシステムのプロセッサによって実行されると、命令は、外科用ロボットシステム400Bの構成要素を、ユーザ(例えば、医師)からの介入を必要とせずに、又は最小限の介入を伴って、自動的に再構成させる。例えば、命令に基づいて、コンピュータシステムは、ロボットアームのモータに電子制御信号を送信する。制御信号を受信したことに応じて、モータは、特定の位置に、ロボットアームのアームセグメントを回転させる。医師又は別のユーザは、命令を作成すること、及び命令をコンピュータシステムに提供することによって、外科用ロボットシステムの構成を設計することができる。例えば、命令は、コンピュータシステムのデータベースにアップロードされる。外科用ロボットシステム400Bの自動構成可能性は、自動構成可能性がリソースを節約するため利点となる。具体的には、外科用ロボットシステム400Bは、ユーザが、外科手術のために外科用ロボットシステム400Bをセットアップするためにかかる時間量を低減する。更に、様々な外科手術のために外科用ロボットシステム400Bを使用することにより、ユーザは、動作するために購入、維持、格納、及び学習に必要な外科用機器の量を低減する。
【0081】
上述の構成要素を含むカラム装着ロボットアームを有する外科用ロボットシステム400Bの使用事例の代替的な図及び実施形態は、少なくとも、2015年5月15日に出願された米国特許仮出願第62/162,486号及び2015年5月15日に出願された米国特許仮出願第62/162,467号に、更に例示及び記載されている。
【0082】
VII.A.下半身手術
図7Aは、一実施形態による、患者708の下半身領域にアクセスするように構成されたカラム装着アームを有する、外科用ロボットシステム700Aの等角図である。外科用ロボットシステム700Aは、
図4Bの外科用ロボットシステム400Bよりも多くの構成要素を含む一実施形態である。具体的には、外科用ロボットシステム700Aは、一セットのロボットアーム(合計5つのロボットアームを含む)及び一セットの3つのカラムリングを含む。第1のロボットアーム770A及び第2のロボットアーム770Bは、第1のカラムリング705Aに連結されている。第3のロボットアーム770C及び第4のロボットアーム770Dは、第2のカラムリング705Bに連結されている。第5のロボットアーム770Eは、第3のカラムリング705Cに連結されている。
図7Aは、患者708の下半身領域へのアクセスを必要とする外科手術(例えば、尿管鏡検査)を受けている、テーブル701上に位置する患者708のワイレレームを示す。患者708の脚部は、外科用ロボットシステム700Aの部分を不明瞭にしないように示されていない。
【0083】
外科用ロボットシステム700Aは、ロボットアームのセットを構成して、患者708の下半身領域に対する外科手術を実行する。具体的には、外科用ロボットシステム700Aは、ロボットアームのセットを構成して、外科用器具710を操作する。
図7Aは、患者708の鼠径領域に仮想レール790に沿って、外科用器具710を挿入するロボットアームのセットを示している。一般に、仮想レール790は、同軸軌道であり、ロボットアームのセットが、それに沿って外科用器具(典型的には、伸縮式器具)を並進させる。第2のロボットアーム770B、第3のロボットアーム770C、及び第5のロボットアーム770Eは、例えば、外科用器具710を保持するように連結されている。第1のロボットアーム770A及び第4のロボットアーム770Dは、外科手術(又は
図7Aに示される外科手術の少なくとも一部)のために必ずしも必要とされないため、外科用ロボットシステムの側面に収容される。ロボットアームは、患者708から離れた距離から外科用器具710を操作するように構成されている。これは、例えば、多くの場合患者の身体に向かって接近して利用可能な限られた空間が存在するか、又は患者708の周囲に滅菌境界が存在するため、有利である。更に、外科用機器の周囲に滅菌ドレープが存在してもよい。外科手術中に、滅菌物体のみが、滅菌境界を通過することができる。したがって、外科用ロボットシステム700Aは、更に滅菌境界の外側に位置付けられ、かつ滅菌されたドレープで覆われているロボットアームを使用して、外科手術を実行してもよい。
【0084】
一実施形態では、外科用ロボットシステム700Aは、ロボットアームのセットを構成して、患者708に対して内視鏡外科手術を実行する。ロボットアームのセットは、内視鏡、例えば、外科用器具710を保持する。ロボットアームのセットは、患者708の鼠径領域内の開口部を介して、患者の体内に内視鏡を挿入する。内視鏡は、カメラ及び光ケーブルなどの光学構成要素を有する可撓性、細長い、及び管状の器具である。光学構成要素は、患者の体内の部分の画像を表すデータを収集する。外科用ロボットシステム700Aのユーザは、内視鏡検査を実行するのを支援するために、データを使用する。
【0085】
図7Bは、一実施形態による、患者708の下半身領域にアクセスするように構成されたカラム装着アームを有する、外科用ロボットシステム700Aの上面図である。
【0086】
図7Cは、一実施形態による、撮像装置740と、患者708の下半身領域にアクセスするように構成されたカラム装着アームを有する、外科用ロボットシステム700Bと、の等角図である。外科用ロボットシステム700Bは、
図4Bの外科用ロボットシステム400Bの一実施形態である。外科用ロボットシステム700Bは、患者708の脚部を支持し、したがって患者708の鼠径領域を露出させる一対のスティラップ720を含む。一般に、撮像装置740は、患者708内部の身体部分又は他の物体の画像をキャプチャする。撮像装置740は、多くの場合X線透視タイプの外科手術、又は別のタイプの撮像装置に使用される、可動Cアームとも称されるCアームであってもよい。Cアームは、発生器、検出器、及び撮像システム(図示せず)を含む。発生器は、Cアームの下端部に連結されており、患者708に向かって上向きに面している。検出器は、Cアームの上端部に連結されており、患者708に向かって下向きに面している。発生器は、患者708に向かってX線波を放射する。X線波は、患者708に浸透し、検出器によって受信される。受信されたX線波に基づいて、撮像システム740は、患者708内部の身体部分又は他の物体の画像を生成する。テーブル401Bの旋回セグメント210は、患者708の鼠径領域がCアーム撮像装置740の発生器と検出器との間で位置合わせされるように、横方向に回転される。Cアームは、患者の下側に留める必要があるフットプリントを有する物理的に大きい装置である。具体的には、Cアームの発生器は、患者の手術領域、例えば、腹部領域の下側にある必要がある。カラムに装着された典型的な外科用ベッドでは、カラムは、例えば、カラムがまた手術領域の下側にあるので、Cアーム発生器の位置付けに干渉する。対照的に、旋回セグメント210の構成可能性により、外科用ロボットシステム700Bは、Cアーム、ロボットアーム、及びユーザ(例えば、医師)が、患者の身体の作業領域で外科手術を実行するのに十分な範囲のアクセスを有するように、テーブル401Bを構成することができる。1つの例示的な使用事例では、テーブル401Bは、ロボットアームが、テーブル401B上の患者の鼠径領域又は下部腹部領域にアクセスすることができるように、テーブル401Bの長手方向軸に沿って横方向に並進される。別の例示的な使用事例では、旋回セグメント210をカラム402Bから離れるように回転させることによって、Cアーム740の発生器は、患者708の鼠径領域の下側に位置付けられてもよい。旋回セグメント210は、患者が旋回セグメント210上に位置している状態で、外科用ロボットシステムを傾けることなく、テーブル401Bの長手方向軸に対して少なくとも45度回転され得る。具体的には、外科用ロボットシステムは、外科用ロボットシステムの質量中心(例えば、組み合わされた、少なくともテーブル、ベッド、及びベースの質量中心)がベースのフットプリントの上方に位置付けられるため、傾いていない。セクションVIII.ベースにおける
図8G~
図8Jを参照して更に説明されるアウトリガキャスタは、旋回セグメントがテーブルから離れる方向に回転されるときに、外科用ロボットシステムが傾くことを防止するための更なる安定性を提供することができる。
【0087】
外科用ロボットシステム700Bは、一セットのカラム装着ロボットアームを使用して、外科用器具710を操作する。ロボットアームの各々は、外科用器具710に連結されており、例えば、それを保持する。外科用ロボットシステム700Bは、ロボットアームを使用して、外科用器具710を、仮想レール790に沿って患者の鼠径領域内に挿入する。
【0088】
図7Dは、一実施形態による、撮像装置740と、患者708の下半身領域にアクセスするように構成されたカラム装着アームを有する、外科用ロボットシステム700Bと、の上面図である。
【0089】
VII.B.コア体手術
図7Eは、一実施形態による、患者708のコア体領域にアクセスするように構成されたカラム装着アームを有する、外科用ロボットシステム700B(又は400B)の等角図である。外科用ロボットシステム700Bは、
図7C及び
図7Dに示される構成から再構成されており、ここで、ロボットアームは、患者708の下半身領域にアクセスしている。テーブルが旋回セグメント210を含む実施形態では、テーブルの旋回セグメント210は、テーブルの残りの部分と1列に並べられた状態で回転する。テーブル401B上に位置する患者708は、患者708のコア体領域へのアクセスを必要とする外科手術(例えば、前立腺切除術又は腹腔鏡検査)を受ける。各ロボットアームは、外科手術を実行するために外科用器具を操作する。外科用ロボットシステム700Bは、ロボットアームが患者708により多くアクセスすることができるように、カラムリング405B及び405Cを、テーブル401Bに向かって持ち上げる。更に、外科ロボットシステム700Bは、ロボットアームのうちの2つが、テーブル401Bの一方の側から延在し、かつロボットアームのうちの他方の2つが、401Bの対向する側から延在するように、カラムリングを回転させる。したがって、ロボットアームは、外科手術中に互いに干渉する(例えば、ロボットアームが別のロボットアームの運動を阻止する)可能性が低い。
【0090】
VII.C.上半身手術
図7Fは、一実施形態による、患者708の上半身領域にアクセスするように構成されたカラム装着アームを有する、外科用ロボットシステム700B(又は400B)の等角図である。外科用ロボットシステム700Bは、
図7Eに示される構成から再構成されており、ここで、ロボットアームは、患者708のコア体領域にアクセスしている。テーブルが旋回セグメント210を含む実施形態では、テーブルの旋回セグメント210は、テーブルの残りの部分と1列に並べられた状態で回転する。テーブル401B上に位置する患者708は、患者708の上半身領域、具体的には、患者708の頭部へのアクセスを必要とする外科手術(例えば、気管支鏡検査)を受ける。ロボットアーム470C及びロボットアーム470Dは、外科用器具710D、例えば、気管支鏡を、仮想レール790に沿って患者708の口部内に挿入する。ロボットアーム470Bは、イントロデューサー750に連結されており、例えば、それを保持している。イントロデューサー750は、気管支鏡を、患者708の口部内に方向付ける外科用器具である。具体的には、仮想レール790に沿った気管支鏡の軌道は、患者708に対して平行に開始する。イントロデューサー750は、気管支鏡が口部に入る直前に、仮想レール790の角度を変更する。ロボットアーム470E(
図7Fには示されていない)は、外科手術に使用されず、したがって、収容されている。
【0091】
VIII.ベース
図8Aは、一実施形態による、外科用ロボットシステム800Aのベース403Aの等角図である。外科用ロボットシステム800Aは、
図4Bの外科用ロボットシステム400Bの一実施形態である。外科用ロボットシステム800Aは、ロボットアームが使用されていないときに、ベース403Bの内側にカラム装着ロボットアーム及び/又はカラムリング(図示せず)を格納する。ベース403Bは、格納されたロボットアームを覆う第1のパネル820A及び第2のパネル820Bを含む。第1のパネル820A及び第2のパネル820Bは、廃棄物質が、格納されたロボットアームを脱滅菌するか、ないしは別の方法で汚染することを防止するため、有利である。
【0092】
図8Bは、一実施形態による、ベース403Bの開放パネルの等角図である。第1のパネル820A及び第2のパネル820Bは、カラム装着ロボットアームがベース403Bの内側へのアクセスを有するように、カラム802Aから離れる方向に枢動する。第1のパネル820Aは、切欠部830Aを含んでおり、第2のパネル820Bは、切欠部830Bを含んでいる。切欠部830A及び830Bは、パネル820A及び820Bが、閉じたときにカラム402Bの周囲にシールを形成するように、カラム402Bの形状に適合する。外科用ロボットシステム800Aは、モータ又は他の作動手段を使用して、第1のパネル820A及び第2のパネル820Bを自動的に開閉することができる。外科用ロボットシステム800Aのユーザはまた、第1のパネル820A及び第2のパネル820Bを手動で開閉してもよい。
【0093】
図8Cは、一実施形態による、外科用ロボットシステム800Bのベース403Bの内側に収容されたロボットアームの等角図である。外科用ロボットシステム800Bは、
図4Bの外科用ロボットシステム400Bの一実施形態である。外科用ロボットシステム800Bは、ロボットアームが使用されていないときに、カラム装着ロボットアーム470B及び470D、並びにベース403Bの内側のカラムリング405B及び405Cを格納する。ベース403Bは、格納されたロボットアーム及びカラムリングを覆う、第1のパネル820A及び第2のパネル820Bを含む。第1のパネル820Aは、切欠部830Cを含む。第2のパネル820Bはまた、切欠部(他の構成要素によって覆い隠されているために示されていない)を含む。切欠部は、パネル820A及び820Bが、閉じたときにカラム402Bの周囲にシールを形成するように、カラム402Bの形状に適合する。
【0094】
第1のパネル820A及び第2のパネル820Bは、横方向に並進して、ロボットアーム及びカラムリングのベース403B内へのアクセスを提供する。
図8Cは、開口部を形成するように並進された第1のパネル820A及び第2のパネル820Bを示している。開口部は、ロボットアームのためのアクセスを提供するのに十分な大きさであってもよいが、パネルが開いているときであっても、ロボットアームへの保護を依然として提供するためには大きすぎない。ロボットアーム470D及びカラムリング405Cは、ベース403Bの内側に収容される。ロボットアーム470B及びカラムリング405Bは、ベース403Bの外側にあるが、またベース403Bの内側に収容されていてもよい。外科用ロボットシステム800Bは、モータ又は他の作動手段を使用して、第1のパネル820A及び第2のパネル820Bを自動的に開閉することができる。外科用ロボットシステム800Bのユーザはまた、第1のパネル820A及び第2のパネル820Bを手動で開閉してもよい。
【0095】
図8Dは、一実施形態による、外科用ロボットシステム700Aのテーブル701の下に収容されたロボットアームの等角図である。具体的には、各ロボットアームのアームセグメントは、ロボットアームが収容のためにコンパクトな構成になるように回転する。外科用ロボットシステム700Aは、第1のカラムリング705A及び第2のカラムリング705Bを持ち上げており、かつ第3のカラムリング705Cを、カラム702の中心に向かって下降させている。このようにして、ロボットアームは、互いに干渉することなく、収容構成に十分な空間を有する。一実施形態では、カラム702は、ロボットアームを汚染又は損傷から保護するために、ロボットアーム上のカバー(例えば、パネル820A及び820Bと同様である)を含む。
【0096】
図8Eは、一実施形態による、外科用ロボットシステム400Bのベース403Bの上に収容されたロボットアームの等角図である。ロボットアーム470B、470C、470D及び470Eは、収容構成にある。具体的には、各ロボットアームのアームセグメントは、ロボットアームが収容のためにコンパクトな構成になるように回転する。外科用ロボットシステム400Bは、カラム402Bに沿って第1のカラムリング405B及び第2のカラムリング405Cを下降させており、そのため収容されたロボットアームは、ベース403B上に載置され、かつテーブル401Bから離れている。ドレープ又はパネルなどのカバー(図示せず)を使用して、収容ロボットアームを、脱滅菌又は他の汚染から保護するために覆うことができる。
【0097】
図8Fは、一実施形態による、外科用ロボットシステム800Cのベース403Bの上に収容されたロボットアームの別の等角図である。ロボットアームは、カラム装着の代わりにレール装着されている。レール装着ロボットアームは、セクションIX.レール装着ロボットアーム及びセクションX.レールにおける、それぞれの
図9A及び
図9B並びに
図10A~
図10Dを参照して更に説明されている。外科用ロボットシステム800Cは、セクションIX.レール装着ロボットアームにおける
図9Bを参照して更に説明される外科用ロボットシステム900Bの一実施形態である。ロボットアーム870C、870D、870E、870F、870G及び870Hは、収容構成にある。
【0098】
図8Gは、一実施形態による、外科用ロボットシステムのベース803上のアウトリガキャスタの等角図である。
図8Gに示されるベース803は、各々互いに実質的に同じであり、かつベース803の異なる角部に位置付けられた4つのアウトリガキャスタ840A、840B、840C、及び840Dを含むが、他の実施形態では、ベースは、ベース上の他の場所に位置付けられた任意の数のアウトリガキャスタを含んでもよいことに留意されたい。アウトリガキャスタ840A、840B、840C、及び840Dは各々、可動構成であり、すなわち、キャスタホイールは、接地と物理的に接触している。したがって、外科用ロボットシステムのユーザは、外科用ロボットシステムが使用されていないときに、キャスタホイールを使用して、例えば、格納領域に、外科用ロボットシステムを輸送することができる。
【0099】
図8Hは、一実施形態による、外科用ロボットシステムのベース803上のアウトリガキャスタ840A、840B、840C、及び840Dの別の等角図である。アウトリガキャスタ840A、840B、840C、及び840Dは各々、静止構成にあり、すなわち、アウトリガキャスタは、キャスタホイールが接地と物理的に接触しないように回転される。したがって、外科用ロボットシステムは、外科手術中に安定化され固定され得る。
【0100】
図8Iは、一実施形態による、可動構成におけるアウトリガキャスタ840Aの側面図である。アウトリガキャスタ840Aは、アウトリガマウント844に移動可能に連結されたキャスタホイール842を含む。アウトリガマウント844は、足部846に連結されている。第1のリンケージ848は、第1のヒンジ850によってアウトリガマウント844に移動可能に連結されている。第2のリンケージ852は、第2のヒンジ854によってアウトリガマウント844に移動可能に連結されている。可動構成では、キャスタホイール842は、回転して、アウトリガキャスタ840を接地に沿って移動させることができる。
【0101】
図8Jは、一実施形態による、静止構成のアウトリガキャスタ840Aの側面図である。静止構成では、キャスタホイール842は、自由に回転することができるが、キャスタホイール842は、キャスタホイール842が接地と物理的に接触していないため、アウトリガキャスタ840Aを移動させない。外科用ロボットシステム(又はユーザ)は、アウトリガキャスタ840Aを、例えば、90度回転させて、アウトリガキャスタ840Aを可動構成から静止構成に変化させる。したがって、ここで、足部846は、物理的に接地に接触しており、外科用ロボットシステムが移動するのを防止するのに役立つ。足部846は、接地上に更なる安定性を提供するために、キャスタホイール842に対してより大きいフットプリントを有してもよい。リンケージ848及び852は、アウトリガキャスタ840Aの回転経路に干渉しないように位置付けられている。アウトリガキャスタ840Aにおけるキャスタホイール842と足部846との組み合わせは、例えば、アウトリガキャスタ840Aによって、キャスタ及び安定化のための別個の機構を有することと比較して、コンパクトな機構を使用して、外科用ロボットシステムを可動構成と静止構成との間で変化させることを可能にするため、有利である。更に、旋回セグメント上に位置する患者を、対応するテーブルから離れるように回転させる旋回セグメントを含む外科用ロボットシステムの使用事例(例えば、
図7C及び
図7Dに示されるような)では、アウトリガキャスタの足部(静止構成における)は、テーブルベースを越えて延在する患者の質量中心によって、外科用ロボットシステムが傾かないようにすることに役立つ。
【0102】
上述の構成要素を含むベース403Bの代替的な図及び実施形態は、少なくとも、2015年8月11日に出願された米国特許仮出願第62/203,530号に更に例示及び記載されている。
【0103】
IX.レール装着ロボットアーム
図9Aは、一実施形態による、レール装着ロボットアームを有する外科用ロボットシステム900Aの等角図である。外科用ロボットシステム900Aは、一セットのロボットアーム(少なくともアーム470Aを含む)と、一セットのベースレール(少なくともベースレール980Aを含む)と、を含む。ロボットアーム470Aは、ベースレール980Aに連結されている。ベースレールは、以下のセクションX.レールにおける
図10A~
図10Dに関連して更に説明されている。ベースレール980Aは、ベース103に移動可能に連結されている。したがって、ロボットアーム470Aは、レール装着ロボットアーム470Aと称されてもよい。
【0104】
図9Bは、一実施形態による、レール装着ロボットアームを有する外科用ロボットシステム900Bの等角図である。外科用ロボットシステム900Bは、第1のベースレール980B又は第2のベースレール980Cに各々連結されている、ロボットアーム470B、470C、470D及び470Eを含む。第1のベースレール980B及び第2のベースレール980Cは、ベース103に移動可能に連結されている。
【0105】
他の実施形態では、外科用ロボットシステム900Bは、追加の又はより少ないロボットアーム及び/又はベースレールを含んでもよい。更に、ロボットアームは、様々な構成でベースレールに連結されてもよい。例えば、3つのロボットアームが、1つのベースレールに連結されてもよい。加えて、外科用ロボットシステム900Bは、1つのロボットアームに各々連結された3つのベースレールを含んでもよい。
【0106】
外科用ロボットシステム900Bは、ベースレールをベース103に対して並進させることによって、ベースレールに装着されたロボットアームを並進させることができる。ベースレールは、ベース103の開始フットプリントを超えて並進することができ、これにより、ロボットアームがより大きい空間容積で動作することを可能にする。更に、外科用ロボットシステム900Bは、ロボットアームをベースレールに対して並進させることによって、ベースレールに装着されたロボットアームを互いに独立して並進させることができる。これは、例えば、外科用ロボットシステム900Bが、様々な外科手術を実行するためにロボットアームを異なる構成に位置付けることができるため、有利である。
【0107】
上述の構成要素を含むレール装着ロボットアームを有する外科用ロボットシステム900Bの代替的な図及び実施形態は、少なくとも、2015年7月17日に出願された米国特許仮出願第62/193,604号及び2015年8月5日に出願された米国特許仮出願第62/201,518号に更に例示及び記載されている。
【0108】
X.レール
図10Aは、一実施形態による、外科用ロボットシステム1000のベースレールの等角図である。ベースレールは、ベースレールに各々移動可能に連結された一セットの1つ又は2つ以上のアームマウントを含んでいる。更に、各アームマウントは、セクションV.カラムリングにおいて
図5Aを参照して前述したアームマウント506A又は506Bの一実施形態である。具体的には、ベースレール980Bは、アームマウント1006A、1006B及び1006Cを含む。
【0109】
図10Bは、一実施形態による、ベースレール980B上のアームマウントの等角図である。アームマウント1006A、1006B及び1006Cは各々、ベルト及びピニオンアセンブリを含む。具体的には、アームマウント1006Aのベルト及びピニオンアセンブリは、ブラケット1012、モータ1014、ベルト1016及びピニオン1018を含む。アームマウント1006B及び1006Cのベルト及びピニオンアセンブリは、同様に構築されている。
【0110】
外科用ロボットシステム1000は、ベルト及びピニオンアセンブリを使用して、ベースレールに沿ってアームマウント(したがって、アームマウントに装着されたロボットアーム)を並進させる。具体的には、アームマウント1006Aは、ブラケット1012によって、ベースレール980Bのチャネル1020に移動可能に連結されている。ブラケット1012は、モータ1014、ベルト1016及びピニオン1018に連結されている。モータ1014は、ベルト1016によってピニオン1018に連結されている。したがって、モータ1014の出力回転により、ピニオン1018が回転する。ピニオン1018は、ベースレール980Bのレール送りねじ1010と係合される。ピニオン1018の回転は、アームマウント1006Aを、レール送りねじ1010に対して平行なベースレール980Bに沿って並進させる。
【0111】
図10Cは、一実施形態による、ベースレール980B上のアームマウント1006Aの等角切欠図である。アームマウント1006Aは、ベルト及びピニオンアセンブリを含む。具体的には、ベルト及びピニオンアセンブリは、モータ1014、ベルト1016、ピニオン1018及びベアリング1022を含む。外科用ロボットシステム1000は、ベルト及びピニオンアセンブリを使用して、ベースレール980Bに沿ってアームマウント1006A(したがって、アームマウント1006Aに装着されたロボットアーム)を並進させる。モータ1014は、ベルト1016によってピニオン1018に連結されている。したがって、モータ1014の出力回転により、ピニオン1018が回転する。センサ1018は、ベアリング1022に連結されている。いくつかの実施形態では、ベアリング1022は、ベースレール980Bを有するラック及びピニオンアセンブリを形成する。具体的には、ベアリング1022は、歯車(すなわち、ピニオン)であり、ベースレール980Bのラック1024と係合される。ピニオン1018の回転は、ベアリング1022を、ラック1024に対して平行なベースレール980Bに沿って並進させる。したがって、アームマウント1006Aはまた、ベースレール980Bに沿って並進する。
【0112】
図10Dは、一実施形態による、ベースレール980Bの断面図である。断面
図1000Aは、ベースレール980Bの一実施形態の基本プロファイルを示す。断面
図1000Bは、ベースレール980Bの一実施形態の強化されたプロファイルを示す。強化されたプロファイルの下部セグメント1030Bは、基本プロファイルの下部セグメント1030Aよりもサイズが大きい。したがって、強化されたプロファイルは、例えば、ベースレール980Bが基本プロファイルに対してより大きい荷重に耐えることを可能にするので、利点である。基本及び強化されたプロファイルの両方は、外科用ロボットシステムのベース上の対応するT字形スロットと係合する、T字形スロットアタッチメント1040を有する。
【0113】
上述の構成要素を含むベースレール980A、980B及び980Cの代替的な図及び実施形態は、少なくとも、2015年7月17日に出願された米国特許仮出願第62/193,604号及び2015年8月5日に出願された米国特許仮出願第62/201,518号に更に例示及び記載されている。
【0114】
XI.代替的な構成
XI.A.ハイブリッド構成
図11は、一実施形態による、カラム装着ロボットアーム及びレール装着ロボットアームを有する、外科用ロボットシステム1100の等角図である。カラム装着ロボットアーム及びレール装着ロボットアームの両方を含むハイブリッド構成により、外科ロボットシステム1100は、カラム装着ロボットアームのみ又はレール装着ロボットアームのみを有する外科用ロボットシステムと比較して、ロボットアームを、より多くの数(又は異なるタイプの)位置に構成することができる。更に、外科用ロボットシステム1100は、カラムリングを使用するロボットアームの回転運動、並びにベースレールを使用するロボットアームの並進運動を利用する。
【0115】
XI.B.カートベースのロボットアームカラム
図12は、一実施形態による、外科用ロボットシステム1200のテーブル101、カラム102及びベース103から独立した、例えば、自立型カートとしてのカラム402B及びベース403B上のカラム装着ロボットアームを備えた外科用ロボットシステム1200の等角図である。外科用ロボットシステム1200は、ロボットアームを、テーブル101上に位置する患者708の下半身領域にアクセスするように構成する。一実施形態では、患者と共にテーブル101に連結されたカラム102から分離したカラム402Bを含むカートにロボットアームを装着することは、有利である。例えば、外科用ロボットシステム1200は、テーブルと同じカラムに装着されたロボットアームを有する外科用ロボットシステムと比較して、ロボットアームを、より多くの数の(又は異なるタイプの)位置に構成してもよく、これは、少なくともテーブルがカラム102を越えて延在する角度に限定される。更に、カートは、ユーザが、ロボットアームをより容易に輸送するか、又はカートを静止したままにすることができる、アウトリガキャスタ(例えば、セクションVIII.ベースにおける
図8G~
図8Jを参照して前述したもの)を含んでもよい。ロボットアームを別々に装着することにより、患者と共にテーブルに連結されたカラムの構成要素及び複雑さの数も低減することができる。
【0116】
上述の構成要素を含む、外科用ロボットシステム1100、外科用ロボットシステム1200及び他の外科用ロボットシステムの代替的な図及び実施形態は、少なくとも、2015年5月15日に出願された米国特許仮出願第62/162,486号、2015年5月15日に出願された米国特許仮出願第62/162,467号、2015年7月17日に出願された米国特許仮出願第62/193,604号、2015年8月5日に出願された米国特許仮出願第62/201,518号、2015年8月11日に出願された米国特許仮出願第62/203,530号、及び2015年9月30日に出願された米国特許仮出願第62/235,394号に、更に例示及び記載されている。
【0117】
XII.調節可能なアーム支持体
ロボット外科用(又は医療用)システムは、1つ又は2つ以上のロボットアームを支持するための、このセクションに記載されるような調節可能なアーム支持体を含むことができる。調節可能なアーム支持体は、テーブル、テーブルのカラム支持体、又はテーブルのベースのいずれかに取り付けて、テーブルの下方の位置から調節可能なアーム支持体及びロボットアームを展開するように構成され得る。いくつかの実施形態では、調節可能なアーム支持体は、ベッド(又はテーブル)又はベッドに隣接して位置付けられたカートに取り付けられ得る。いくつかの実施例では、調節可能なアーム支持体は、1つ又は2つ以上のロボットアームが装着されるバー、トラック、又はレールを含む。いくつかの実施形態では、調節可能なアーム支持体は、バー、トラック、又はレールの位置の調節を可能にする、少なくとも3つ又は4つの自由度を含む。自由度のうちの1つにより、調節可能なアーム支持体をテーブルに対して垂直に調節することが可能になり得る。調節可能なアーム支持体のこれら及び他の特徴は、
図13A~
図20の実施例を参照して詳細に説明されることになる。
【0118】
図13A及び
図13Bは、それぞれ、一実施形態による、調節可能なアーム支持体1305を含む外科用ロボットシステム1300の等角図及び端面図である。調節可能なアーム支持体1305は、テーブル1301に対して1つ又は2つ以上のロボットアームを支持するように構成され得る(例えば、
図14A~
図15Bを参照されたい)。以下でより詳細に説明するように、調節可能なアーム支持体1305は、テーブル1301に対して動いて、調節可能なアーム支持体1305及び/又はテーブル1301に対して調節可能なアーム支持体1305に装着された任意のロボットアームの位置を調節及び/又は変更することができるように構成され得る。例えば、調節可能なアーム支持体1305は、調節可能なアーム支持体1305の調節を可能にするために、テーブル1301に対して1つ又は2つ以上の自由度を含んでもよい。
図13A及び
図13Bに示されるシステム1300は、単一の調節可能なアーム支持体1305のみを含むが、いくつかの実施形態では、システムは、複数の調節可能なアーム支持体を含むことができる(例えば、2つの調節可能なアーム支持体1305A、1305Bを含む
図14Aのシステム1400を参照されたい)。
【0119】
このセクションに記載されるような調節可能なアーム支持体1305を含む外科用ロボットシステムは、既知の外科用ロボットシステムの1つ又は2つ以上の問題に対処するように設計され得る。例えば、いくつかの外科用ロボットシステムによる1つの問題は、大量の部屋空間を占めるような嵩高であり得ることである。これは、ロボットアームを位置付けて、ロボット外科手術を実行するために、大きく、かつ精巧な支持構造体が必要であることが多いためである。いくつかの外科用ロボットシステムは、ロボット外科手術中に患者を支持するテーブルの上方に複数のロボットアームを支持する、ロボットアーム支持構造体を含む。例えば、いくつかの外科用ロボットシステムは、1つ又は2つ以上のロボットアームをテーブル上に懸架する支持構造体を含む。これらの支持構造体は、例えば、それらがテーブルの上及び上方に延在する必要があるため、かなり大きく、かつ嵩高である。
【0120】
いくつかの外科用ロボットシステムによる別の問題は、それらが過度に扱いにくいものであり得ることである。例えば、上述したようないくつかの外科用ロボットシステムによって必要とされる大きく、かつ嵩高な支持構造体により、これらのシステムは、容易に移動されず、これは不都合であり得る。手術前及び手術後に、テーブル上に患者を装填するか、又は患者をテーブルから取り外すための容易なアクセスを提供するために、外科用領域からロボットアームを迅速かつ円滑に取り除くことが望ましい場合がある。これは、大きく、かつ嵩高な支持構造体及びこれらのシステムの扱いにくい性質のため、いくつかの外科用ロボットシステムでは困難であることが証明されている。いくつかの外科用ロボットシステムは、容易に格納又は移動されない。
【0121】
更に、いくつかの外科用ロボットシステムは、限定された適応性又は汎用性を有する。すなわち、いくつかの外科用ロボットシステムは、特定の外科手術のために設計されており、したがって、他のタイプの外科手術に十分に機能しない。例えば、腹腔鏡手術のために構成された外科用ロボットシステムは、内視鏡手術のためによく機能せず、又はその逆であってもよい。場合によっては、このことは、手術中に使用されるロボットアームが、異なるタイプの外科手術中に患者及び/又はテーブルに対して異なる位置に位置付けられる必要があり、並びに従来の外科用ロボットシステムの支持構造体が、ロボットアームの異なる位置に適応することができないことが理由である。更に、上述したように、いくつかの外科用ロボットシステムは、患者及びテーブルの上に1つ又は2つ以上のロボットアームを懸架する支持構造体を含む。この位置に装着されたロボットアームを用いて、特定の医療手術を実行することは困難であり得る。
【0122】
最後に、いくつかの外科用ロボットシステムは、それらの対応する支持構造体に固定的に装着されたロボットアーム、及び/又は固定的に装着された若しくは位置付けられた支持構造自体を含む。これらのシステムは、ロボットアーム及び/又はロボットアームに装着された外科用ツールの位置を調節するために、ロボットアームの関節運動のみに依存し得る。アーム及び/又は支持体は定位置に固定されているため、このことは、これらのシステムの全体的な適応性を大幅に制限することができる。いくつかのシステムのロボットアーム及び/又は支持体の固定された性質は、手術中のアーム及び/又は他の物体(例えば、患者、テーブル、他の機器など)間の衝突を回避するための、これらのシステムの能力を更に制限し得る。
【0123】
図13A及び
図13Bに示されるように、例えば、調節可能なアーム支持体1305を含むシステム1300、並びに本出願に記載される他のシステムは、上で考察されるいくつかの外科用ロボットシステムと関連付けられた問題のうちの1つ又は2つ以上に対処する(例えば、低減する又は排除する)ように構成され得る。例えば、本明細書に記載されるシステムは、いくつかのシステムよりも嵩高でない場合がある。本明細書に記載されるシステムは、いくつかのシステムよりも少ない物理空間を占有し得る。本明細書に記載されるシステムは、いくつかのシステムよりも扱いにくくないものであり得る。例えば、本明細書に記載されるシステムは、容易に移動可能であり得、かつ/又はアーム支持体及びロボットアームを素早くかつ容易に格納して、患者及び/又はテーブルへの便利なアクセスを可能にするように構成され得る。本明細書に記載されるシステムは、高度に可撓性であり、多種多様な外科手術で使用するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、システムは、腹腔鏡手術及び内視鏡手術の両方のために構成されている。本明細書に記載されるシステムは、様々なロボットアームと手術室内の他の物体との間の衝突を低減するように構成され得る。
【0124】
いくつかの実施形態では、これらの利点のうちの1つ又は2つ以上は、本明細書に記載されるように、1つ又は2つ以上の調節可能なアーム支持体1305を含めることによって達成され得る。上述したように、調節可能なアーム支持体1305は、テーブル1301に対して動いて、調節可能なアーム支持体1305及び/又はテーブル1301に対して調節可能なアーム支持体1305に装着された任意のロボットアームの位置を調節及び/又は変更することができるように構成され得る。例えば、調節可能なアーム支持体1305は、収容され得(例えば、テーブル1301の下に)、その後、使用のために上昇され得る。いくつかの実施形態では、調節可能なアーム支持体1305は、テーブル1301を支持するベース内に、又はベースに近接して収容され得る。いくつかの実施形態では、調節可能なアーム支持体1305は、ベースの長手方向中心軸に沿って形成された1つ又は2つ以上の凹部に収容され得る。他の実施形態では、調節可能なアーム支持体1305は、ベースの長手方向中心軸からオフセットされた1つ又は2つ以上の凹部に収容され得る。上昇すると、調節可能なアーム支持体1305は、患者の近くであるが、テーブル1301の下(例えば、テーブル1301の上部表面の下)に位置付けられ得る。他の実施形態では、アーム支持体1305は、テーブル1301の上(例えば、テーブルの上部表面の上)に持ち上げられ得る。このような構成は、例えば、調節可能なアーム支持体が、その側に位置する患者の後ろに位置付けられる場合に有用であり得る。
【0125】
いくつかの実施形態では、調節可能なアーム支持体1305は、いくつかの自由度(例えば、リフト、横方向並進、傾斜など)を提供する支持構造体を用いてベッドに取り付けられる。
図13A及び
図13Bの示された実施形態では、アーム支持体1305は、
図13Aに矢印で示される4自由度で構成されている。第1の自由度は、z方向(例えば、Zリフト)における調節可能なアーム支持体の調節を可能にする。例えば、以下で説明するように、調節可能なアーム支持体1305は、テーブル1301を支持するカラム1302に沿って、又はそれに対して上下に移動するように構成された台車1309を含むことができる。第2の自由度は、調節可能なアーム支持体1305が傾くことを可能にすることができる。例えば、調節可能なアーム支持体1305は、回転接合部を含むことができ、これにより、例えば、アーム支持体1305が、トレンデレンブルク位置のベッドと位置合わせされることを可能にする。第3の自由度は、図示されるように、調節可能なアーム支持体が枢動することを可能にすることができる。以下に説明するように、この自由度を使用して、テーブル1301の側面と調節可能なアーム支持体1305との間の距離を調節することができる。第4の自由度は、テーブルの長手方向の長さに沿って調節可能なアーム支持体1305の並進を許容することができる。これらの自由度のうちの1つ又は2つ以上を含むアーム支持体1305は、様々なロボットアームを取り付けることができる高度に位置付け可能な支持体を提供することによって、上述したいくつかのシステムと関連付けられた問題のうちの1つ又は2つ以上に対処することができる。調節可能なアーム支持体1305は、例えば、テーブル1301に対するロボットアームの位置の調節を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、これらの自由度は、連続的に制御され得、その場合、1つの移動は、別の移動の後に実行される。他の実施形態では、異なる自由度を、並列に制御することができる。例えば、いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の直線アクチュエータは、Zリフト及び傾斜の両方を提供することができる。
【0126】
ここで、調節可能なアーム支持体1305のこれらの自由度、並びに他の特徴について、一実施形態による調節可能なアーム支持体1305を含む外科用ロボットシステム1300のそれぞれの等角図及び端面図である、
図13A及び
図13Bを続けて参照しながらより詳細に説明する。示される実施形態では、システム1300は、テーブル1301を含む。いくつかの実施形態では、テーブル1301は、上述のテーブルと同様であってもよい。示される実施形態では、テーブル1301は、ベース1303に装着されたカラム1302によって支持される。ベース1303は、床などの支持面上に載置されるように構成され得る。したがって、ベース1303及びカラム1302は、支持面に対してテーブル1301を支持する。
図13Bは、支持面平面1331を示す。いくつかの実施形態では、テーブル1301は、1つ又は2つ以上の支持体によって支持され得、支持体のうちの1つは、カラム1302を含む。例えば、テーブル1301は、複数の並列アクチュエータを含むスチュワート機構によって支持され得る。
【0127】
システム1300はまた、調節可能なアーム支持体1305を含むことができる。示される実施形態では、調節可能なアーム支持体1305は、カラム1302に装着されている。他の実施形態では、調節可能なアーム支持体1305は、テーブル1301又はベース1303に装着される。上述したように、調節可能なアーム支持体1305は、調節可能なアーム支持体1305の位置がテーブル1301に対して調節され得るように構成されている。いくつかの実施形態では、調節可能なアーム支持体1305の位置はまた、カラム1302及び/又はベース1303に対して調節され得る。
【0128】
調節可能なアーム支持体1305は、台車1309、バー又はレールコネクタ1311、及びレール1307を含むことができる。1つ又は2つ以上のロボットアームは、例えば、
図14A~
図15Bに示されるように、レール1307に装着され得る。例えば、いくつかの実施形態では、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上のロボットアームを、レール1307に装着することができる。更に、いくつかの実施形態では、レールに装着されたロボットアームは、レール1307に沿って移動(例えば、並進)するように構成され得、したがって、レール1307上のロボットアームの位置を互いに対して調節し、それによって、ロボットアーム間の衝突のリスクを低減することができる。これは、以下により詳細に記載されている。示される実施形態では、レール1307は、バー又はレールコネクタ1311に接続されている。バー又はレールコネクタ1311は、台車1309に接続される。台車は、カラム1302に接続されている。他の配設が可能である。
【0129】
カラム1302は、第1の軸1323に沿って延在することができる。いくつかの実施形態では、第1の軸1323は、示されるようにz軸に平行である。いくつかの実施形態では、第1の軸1323は、垂直軸である。例えば、第1の軸1323は、システム1300が載置される支持面又は床に対して垂直であり得る。
【0130】
台車1309は、第1の接合部1313によってカラム1302に取り付けられ得る。第1の接合部1313は、台車1309(及びしたがって調節可能なアーム支持体1305)がカラム1302に対して移動することを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、第1の接合部1313は、台車1309がカラム1302に沿って(例えば、カラム1302に沿って上下に)移動することを可能にするように構成されている。いくつかの実施形態では、第1の接合部1313は、台車1309が第1の軸1323に沿って(例えば、第1の軸1323に沿って前後に)移動することを可能にするように構成されている。第1の接合部1313は、直線状又は角柱状の接合部を含むことができる。第1の接合部1313は、モータ式又は油圧式接合部などの電動接合部を含むことができる。第1の接合部1313は、調節可能なアーム支持体1305の第1の自由度(例えば、Zリフト)を提供するように構成され得る。
【0131】
調節可能なアーム支持体1305は、図示されるように第2の接合部1315を含むことができる。第2の接合部1315は、調節可能なアーム支持体1305の第2の自由度(傾斜)を提供するように構成され得る。第2の接合部1315は、調節可能なアーム支持体1305が、第1の軸1323とは異なる第2の軸1325を中心に回転することを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、第2の軸1325は、第1の軸1323に対して垂直である。いくつかの実施形態では、第2の軸1325は、第1の軸1323に対して垂直である必要はない。例えば、いくつかの実施形態では、第2の軸1325は、第1の軸1323に対して鋭角である。いくつかの実施形態では、第2の軸1325は、y方向に延在している。いくつかの実施形態では、第2の軸1325は、システム1300が載置される支持面又は床に対して平行な平面内にあってもよい。第2の接合部1315は、回転接合部を含むことができる。第2の接合部1315は、モータ式又は油圧式接合部などの電動接合部を含むことができる。
【0132】
示される実施形態では、台車1309がカラム1302に対して第2の軸1325を中心に回転することができるように、台車1309とカラム1302との間に、第2の接合部1315が形成されている。他の実施形態では、第2の接合部1315は、他の場所に位置付けられ得る。例えば、第2の接合部1315は、台車1309とレールコネクタ1311との間、又はレールコネクタ1311とレール1307との間に位置付けられ得る。
【0133】
上述したように、第2の接合部1315は、調節可能なアーム支持体1305が、第2の軸1325を中心に回転することを可能にして、調節可能なアーム支持体1305の第2の自由度(傾斜)を可能にするように構成され得る。以下の
図16を参照してより詳細に説明するように、調節可能なアーム支持体1305を第2の軸1325を中心に回転させることにより、調節可能なアーム支持体1305の傾斜角の調節を可能にすることができる。すなわち、バー又はレール1307の傾斜角度は、第2の軸1325を中心に調節可能なアーム支持体1305を回転させることによって調節され得る(
図16を参照)。
【0134】
調節可能なアーム支持体1305は、図示されるように第3の接合部1317を含むことができる。第3の接合部1317は、調節可能なアーム支持体1305の第3の自由度(ピボットアップ)を提供するように構成することができる。第3の接合部1317は、レールコネクタ1311が第1の軸1323及び第2の軸1325とは異なる第3の軸1327を中心に回転することを可能にする、回転接合部として構成され得る。いくつかの実施形態では、第3の軸1327は、第2の軸1325に対して垂直であり得る。他の実施形態では、第3の軸1327は、第2の軸1325に対して平行である必要はない。例えば、第3の軸1327は、第2の軸1325に対して鋭角であってもよい。いくつかの実施形態では、第3の軸1327は、x方向に延在している。いくつかの実施形態では、第3の軸1327は、システム1300が載置される支持面又は床に対して平行な平面内にあってもよい。第3の軸1327は、第2の軸1325と同じ平面又は異なる平面内にあってもよい。調節可能なアーム支持体1305が、
図13A及び
図13Bに示されるように位置付けられるとき、第3の軸1327は、第1の軸1323に対して垂直であり得る。しかしながら、調節可能なアーム支持体1305が第2の接合部1315を中心に回転すると、第1の軸1323と第3の軸1327との間の角度は、変化し得る。いくつかの実施形態では、第3の軸1327は、レール1307に対して平行であり得る。
【0135】
回転接合部として構成されるとき、第3の接合部1317は、レールコネクタ1311が第3の軸1327を中心に回転することを可能にすることができる。レールコネクタ1311が第3の軸1327を中心に回転するとき、テーブル1301の縁部とレール1307との間の距離(例えば、y方向に沿って測定される)は、調節され得る。例えば、レールコネクタ1311が
図13Bに示す位置から下方に回転するにつれて、テーブル1301の縁部とレール1307との間の距離は、増加することになる。したがって、第3の接合部1317は、レール1307のy方向に沿った位置付けの調節を可能にする自由度を提供するように構成され得る。更に、回転接合部として構成される場合、第3の接合部1317はまた、z方向に沿ったレール1307の位置の更なる調節を可能にすることができる。例えば、レールコネクタ1311が
図13Bに示す位置から下方に回転するにつれて、レール1307の高さ(z方向に沿った)は、減少することになる。いくつかの実施形態では、第3の接合部1317は、レール1307が、収容位置から上昇位置へと「二頭筋」タイプの様式で上方に枢動することを可能にすることができる。
【0136】
図13Bで最も良く分かるように、示される実施形態では、第3の接合部1317は、レールコネクタ1311を台車に接続するレールコネクタ1311の第1の端部上に位置付けられる。レールコネクタ1311をレール1307に接続する、追加の接合部1319を、レールコネクタ1311の第2の端部に含めることができる。いくつかの実施形態では、第3の接合部1317及び追加の接合部1319の位置は、転換され得る。いくつかの実施形態では、追加の接合部1319は、第3の接合部1317及び追加の接合部1319が一緒に回転するように、第3の接合部1317に機械的に拘束される。例えば、第3の接合部1317及び追加の接合部1319は、4棒のリンケージを介して機械的に拘束され得る。機械的拘束のための他の方法がまた、可能である。第3の接合部1317と追加の接合部1319との間の機械的拘束は、レールコネクタ1311が第3の軸1327を中心に回転する際にレール1307の配向を維持するように構成され得る。例えば、第3の接合部1317と追加の接合部1319との間の機械的拘束は、レールコネクタ1311が回転すると、レール1307の上部表面(1つ又は2つ以上のロボットアームが装着され得る)が同じ方向に引き続き面するように構成され得る。
図13A及び
図13Bの示される実施例では、レール1307の上面は、上向き(z方向)に面している。第3の接合部1317と追加の接合部1319との間の機械的拘束は、レールコネクタ1311が回転する際にレール1307の上面が上向き(z方向)に面することを維持するように構成され得る。いくつかの実施形態では、機械的制約は、ソフトウェア定義の拘束で置き換えることができる。例えば、第3の接合部1317及び追加の接合部1319の各々は、電動接合部とすることができ、ソフトウェアを使用して、各接合部の回転が共に拘束され得る。
【0137】
いくつかの実施形態では、第3の接合部1317は、(例えば、y方向に沿って)カラム1302に向かう及びそれから離れるレール1307の直線変位を可能にするように構成されている、(上記で説明され、かつ図に示された回転性の接合部の代わりに)直線状の接合部又は角柱状の接合部を含むことができる。
【0138】
第3の接合部1317は、電動接合部を含むことができる。いくつかの実施形態では、第3の接合部1317は、モータ式又は油圧式接合部を含むことができる。
【0139】
調節可能なアーム支持体1305は、図示されるように第4の接合部1321を含むことができる。第4の接合部1321は、調節可能なアーム支持体1305に対して第4の自由度(並進)を提供するように構成され得る。例えば、第4の接合部1321は、レール1307が、例えば、テーブル1301、カラム1302、台車1309及び/又はレールコネクタ1311に対して前後に並進することを可能にするように構成され得る。レール1307は、第4の軸1329に沿って延在することができる。第4の接合部1321は、レール1307が第4の軸1329に沿って並進することを可能にするように構成され得る。いくつかの実施形態では、第4の軸1329は、第3の軸1327に対して平行であり得る。他の実施形態では、第4の軸1329は、第3の軸1327に対して非平行(例えば、鋭角)であり得る。いくつかの実施形態では、第4の軸1329は、第2の軸1325に対して垂直であり得る。他の実施形態では、第4の軸1329は、第2の軸1325に対して垂直でない角度(例えば、鋭角)であり得る。調節可能なアーム支持体1305が、
図13A及び
図13Bに示されるように位置付けられるとき、第4の軸1329は、第1の軸1323に対して垂直であり得る。しかしながら、調節可能なアーム支持体1305が第2の接合部1315を中心に回転すると、第1の軸1323と第4の軸1329との間の角度は、変化し得る。
【0140】
第4の接合部1321は、直線状又は角柱状の接合部を含むことができる。第4の接合部1321は、モータ式又は油圧式接合部などの電動接合部を含むことができる。示される実施形態では、第4の接合部1321は、バー又はレールコネクタ1311とレール1307との間に位置付けられる。
【0141】
以下に
図15A及び
図15Bを参照してより詳細に説明されるように、レール1307の並進は、システム1300のために(例えば、x方向に沿って)増加した長手方向の到達を提供するように構成され得る。これにより、システム1300の適応性を改善することができ、システム1300をより広範な外科手術で使用することが可能になる。
【0142】
いくつかの実施形態では、調節可能なアーム支持体1305は、テーブル1301に対するレール1307の可変位置付けを可能にするように構成されている。いくつかの実施形態では、レール1307の位置は、テーブル1301の上部表面と平行である支持面平面1333の下に留まる。このことは、医療手術中に、テーブル支持面平面1333の上に滅菌野を維持する能力を改善することができるため、有利であり得る。手術環境では、医療用個人は、テーブルの表面の上に滅菌野を維持することを望む場合がある。したがって、テーブルの表面の上に位置付けられた機器については、要件が厳しくなる、又は手術が厳しくなる場合がある。例えば、テーブルの表面の上に位置付けられた機器は、ドレープである必要があり得る。したがって、アーム支持体がテーブルの表面の下に維持されることが望ましい場合があり、一部の医療用個人が、そのことを好む場合がある。いくつかの例では、アーム支持体がテーブルの表面の下に維持される場合、それはドレープである必要はなくてもよい。しかしながら、他の実施形態では、調節可能なアーム支持体1305は、レール1307がテーブル支持面平面1333の上に位置付けられるように、レール1307の位置を調節することができる。
【0143】
いくつかの実施形態では、調節可能なアーム支持体1305は、テーブル支持面平面1333の下の位置で、ベース1303、カラム1302又はテーブル1301に取り付けられる。
図18A及び
図18Bを参照して以下で説明するように、このことは、調節可能なアーム支持体1305(及び任意の取り付けられたロボットアーム)を、調節可能なアーム支持体1305(及び任意の取り付けられたロボットアーム)がテーブル1301の下に収容される収容構成(
図18Bを参照)に移動させることを有利に可能にし得る。これは、既知の外科用ロボットシステムと比較したときに、システム1300を、より嵩高にせず、かつ/又はより扱いにくくないものにするのに有利であり得る。
【0144】
アーム支持体1305の移動(例えば、第1、第2、第3、又は第4の接合部1313、1315、1317、1321のうちの1つ又は2つ以上の移動)は、いくつかの方法で制御及び/又は命令され得る。例えば、システム1300は、ベッド(患者側)又は外科医コンソール上のいずれかのコントローラ(例えば、ペンダント)を含み得る。別の実施例として、ボタン(又は他の作動機構)は、調節可能なアーム支持体1305の構成要素のうちの1つ又は2つ以上(又は接続されたロボットアームのうちの1つ若しくは2つ以上)に含まれ得る。別の実施例として、調節可能なアーム支持体1305の移動は、例えば、ロボットのヌル空間内での調節する(外科医によって命令されるツール先端位置を維持しながら)ために、システムソフトウェアによって自動的に提供され得る。加えて、調節可能なアーム支持体1305の移動は、ツールが患者に挿入されないときに、セットアップ、展開、ドレーピング、又は他のワークフロー工程中にシステムソフトウェアによって自動的に提供され得る。他の実施例もまた、可能である。
【0145】
図13A及び
図13Bは、1つの調節可能なアーム支持体1305を含む一実施形態を示している。前述したように、いくつかのシステムは、1つ又は2つ以上のロボットアームを各々支持する、2つ以上の調節可能なアーム支持体1305を含むことができる。このようなシステムでは、各調節可能なアーム支持体は、上述のように構成され得る。更に、このようなシステムでは、各調節可能なアーム支持体を、独立して制御することができる。
【0146】
図14Aは、一実施形態による、テーブル1301の両側に装着された2つの調節可能なアーム支持体1305A、1305Bを有する、外科用ロボットシステム1400Aの端面図である。調節可能なアーム支持体1305A、1305Bの各々は、上述のように構成され得る。示される実施形態では、第1の調節可能なアーム支持体1305Aは、テーブル1301の第1の側(例えば、図に示される右側)上に位置付けられており、第2の調節可能なアーム支持体1305Bは、テーブル1301の第2の側(例えば、図に示される左側)上に位置付けられている。第2の側は、第1の側とは反対であり得る。
【0147】
更に、第1のロボットアーム1402Aは、第1の調節可能なアーム支持体1305Aのバー又はレール1307Aに取り付けられて示されており、第2のロボットアーム1402Bは、第2の調節可能なアーム支持体1305Bのバー又はレール1307Bに取り付けられて示されている。示されるように、第1のロボットアーム1402Aは、レール1307Aに取り付けられたベース1404Aを含む。第1のロボットアーム1402Aの遠位端は、器具駆動機構1406Aを含む。器具駆動機構1406Aは、1つ又は2つ以上のロボット医療用器具又はツールに取り付けるように構成され得る。同様に、第2のロボットアーム1402Bは、レール1307Bに取り付けられたベース1404Bを含む。第2のロボットアーム1402Bの遠位端は、器具駆動機構1406Bを含む。器具駆動機構1406Bは、1つ又は2つ以上のロボット医療用器具又はツールに取り付けるように構成され得る。調節可能なアーム支持体1305と共に使用するように構成された例示的なロボットアームは、セクションXIIIでより詳細に説明される(
図21~
図30)を参照)。
【0148】
図14Aは、調節可能なアーム支持体1305A、1305Bが独立して制御及び位置付けられ得ることを示している。示されるように、第1の調節可能なアーム支持体1305Aは、第1の軸1323に沿って第1の高さに位置付けられており、第2の調節可能なアーム支持体1305Bは、第1の軸1323に沿って第2の高さに位置付けられている。いくつかの実施形態では、第2の高さは、第1の高さとは異なり、及びそれから独立していてもよい。他の実施形態では、第2の高さは、第1の高さに実質的に等しくてもよい。
【0149】
図14Aの実施形態では、第1の調節可能なアーム支持体1305Aの台車1309Aは、第1の軸1323に沿って第1の高さに位置付けられており、第2の調節可能なアーム支持体1305Bの台車1309Bは、第1の高さとは異なる第1の軸1323に沿った第2の高さに位置付けられている。したがって、高さ差H1は、第1及び第2の調節可能なアーム支持体1305A、1305Bの台車1309Aと台車1309Bとの間に存在し得る。他の実施形態では、第1及び第2の調節可能なアーム支持体1305A、1305Bの台車1309A、1309Bは、同じ高さに位置付けられてもよい。
【0150】
更に、
図14Aは、第1及び第2の調節可能なアーム支持体1305A、1305Bのバー又はレールコネクタ1311A、1311Bの位置を示しており、これはまた、異なる配向を有するように独立して調節され得る。例えば、示されるように、第1の調節可能なアーム支持体1305Aのレールコネクタ1311Aは、下向きに回転し、第2の調節可能なアーム支持体1305Bのレールコネクタ1311Bは、上向きに回転する。示されるように、第1及び第2の調節可能なアーム支持体1305A、1305Bのレール1307Aとレール1307Bとの間に、高さ差H2が存在し得る。更に、この位置では、第1及び第2の調節可能なアーム支持体1305A、1305Bのレールコネクタ1311A、1311Bの各々は、第1の軸1323から異なる距離に位置付けられている。例えば、第1の調節可能なアーム支持体1305Aのレールコネクタ1311Aは、第1の軸1323から第1の距離D1に位置付けられており、第2の調節可能なアーム支持体1305Bのレールコネクタ1311Bは、第1の軸1323から第2の距離D2に位置付けられている。この距離D1は、距離D2と異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、第1及び第2の調節可能なアーム支持体1305A、1305Bのレールコネクタ1311A、1311Bは、同じ程度に回転され得、及び/又は距離D1は、距離D2に等しくてもよい。
【0151】
図14Aは、調節可能なアーム支持体1305A、1305Bが各々、独立して位置付けられて、又は調節されて、ロボットアームが取り付けられて支持される異なる位置を提供することができることを示している。
図14Aは、多くのうちの一実施例のみを示している。調節可能なアーム支持体1305は、連続的な移動(例えば、垂直又は長手方向)を有することができ、外科医又は臨床医によって所望されるような任意の点で停止され得る。これは、例えば、1つのセットのロボットアームを低くする必要があり、別のものを患者上に到達する必要がある場合など、特定のタイプの手術に有利であり得る、アーム支持体間の高さ差を作り出す際に有益であり得る。例えば、
図14Aに示されるように、取り付けられたロボットアーム1402Bを有する第2の調節可能なアーム支持体1305Bは、取り付けられたロボットアーム1402Aを有する第1の調節可能なアーム支持体1305Aよりも高く持ち上げられている。この位置は、患者が、例えば、腎摘出術において、その側(例えば、側臥位)にあるときに特に有用であり得るが、当業者は、差が他の手術においても有益であり得ることを理解するであろう。
図14B及び
図14Cは、追加の実施例を提供する。
【0152】
図14Bは、一実施形態による腹腔鏡手術のために構成された2つの調節可能なアーム支持体1305A、1305B及び複数のロボットアーム1402A、1402B、1402C、1402Dを有する外科用ロボットシステム1400Bの等角図である。示される実施形態では、第1の調節可能なアーム支持体1305Aは、第1のロボットアーム1402Aを支持しており、第2の調節可能なアーム支持体1305Bは、第2のロボットアーム1402B、第3のロボットアーム1402C、及び第4のロボットアーム1402Dを支持している。
【0153】
第1のロボットアーム1402Aは、第1の調節可能なアーム支持体1305Aのレール1307Aに沿って前後に並進するように構成され得る。すなわち、第1のロボットアーム1402Aは、第4の軸1329Aに沿って並進するように構成され得る。これは、レール1307Aに対する第1のロボットアーム1402Aの調節を可能にすることができる。同様に、第2のロボットアーム1402B、第3のロボットアーム1402C、及び第4のロボットアーム1402Dは各々、第2の調節可能なアーム支持体1305Bのレール1307Bに沿って前後に並進するように構成され得る。すなわち、第2のロボットアーム1402B、第3のロボットアーム1402C、及び第4のロボットアーム1402Dは、第2の調節可能なアーム支持体1305Bの第4の軸1329Bに沿って並進するように構成され得る。これにより、レール1307Bに対する第2のロボットアーム1402B、第3のロボットアーム1402C、及び第4のロボットアーム1402Dの調節を可能になり得る。更に、第2のロボットアーム1402B、第3のロボットアーム1402C、及び第4のロボットアーム1402Dの各々は、第2のロボットアーム1402Bと第3のロボットアーム1402Cと第4のロボットアーム1402Dとの各々の間の間隔を調節することができるように、レール1307Bに沿って独立して移動することができる。とりわけ、
図14Bは、いくつかの実施形態では、対応するアーム支持体1305の対応するレール1307に沿った各ロボットアーム1402の位置を独立して制御及び調節することができることを示している。
【0154】
更に、
図14Bは、第1のアーム支持体1305Aと第2のアーム支持体1305Bとの間の高さ差の別の実施例を示している。示される実施形態では、患者10は、腹腔鏡手術中に自身の側に位置付けられる。第1の調節可能なアーム支持体1305Aは、第1のロボットアーム1402Aが患者10の上に到達することができるように、高位置(しかし、テーブル1301の表面の下方)に位置付けられている。示されるように、第2の調節可能なアーム支持体1305Bは、第2のロボットアーム1402B、第3のロボットアーム1402C、及び第4のロボットアーム1402Dが患者の前方側にアクセスすることができるように、下方位置に位置付けられている。
【0155】
いくつかの実施形態では、ロボットアーム1402A、1402B、1402C、1402Dのうちの1つ又は2つ以上は、腹腔鏡外科用器具又はツールを操作することができ、1402A、1402B、1402C、1402Dのうちの他の1つ又は2つ以上は、患者内に腹腔鏡的に挿入されたカメラを操作することができる。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の腹腔鏡外科用器具及びカメラは、患者において1つ又は2つ以上の腹腔鏡ポートを通って延在するようにサイズ決め及び構成され得る。
【0156】
図14Cは、一実施形態による腹腔鏡手術のために構成された2つの調節可能なアーム支持体1305A、1305B及び複数のロボットアーム1402A、1402B、1402C、1402D、1402Eを有する外科用ロボットシステム1400Cの等角図である。示される実施形態では、第1の調節可能なアーム支持体1305Aは、第1のロボットアーム1402A及び第2のロボットアーム1402Bを支持しており、第2の調節可能なアーム支持体1305Bは、第3のロボットアーム1402C、第4のロボットアーム1402D、及び第5のロボットアーム1402Eを支持している。
【0157】
示される実施形態では、患者10を支持するテーブル1301は、床に対してある角度で位置付けられている。すなわち、例えば、
図14Bに示されるように、テーブル表面平面1333は、平行であるよりもむしろ、支持面平面1331に対して角度を付けられている。テーブル1301の下側に位置付けられた第1の調節可能なアーム支持体1305Aは、第1のロボットアーム1402A及び第2のロボットアーム1402Bが患者10にアクセスすることができるように、低位置に位置付けられ得る。示されるように、第2の調節可能なアーム支持体1305Bは、第3のロボットアーム1402C、第4のロボットアーム1402D、及び第5のロボットアーム1402Eが患者10の上に到達して、アクセスすることができるように、より高い位置(テーブル支持面1333よりも低くてもよい)に位置付けられる。
【0158】
図15Aは、一実施形態による、調節可能なアーム支持体1305A、1305Bの位置を調節するように並進するように構成された2つの調節可能なアーム支持体1305A、1305Bを有する、外科用ロボットシステムの等角図である。前述したように、調節可能なアーム支持体1305は、レール1307がベース1303、カラム1302、テーブル1301、台車1309及び/又はレールコネクタ1311に対して第4の軸1329に沿って並進することを可能にするように構成された第4の接合部1321を含むことができる。
図15Aは、2つの調節可能なアーム支持体1305A、1305Bを含む実施形態では、各調節可能なアーム支持体1305A、1305Bのレール1307A、1307Bが、他のレールとは独立して、その対応する軸1329A、1329Bに沿って並進することができることを示している。例えば、
図15Aでは、レール1307Aは、軸1329Bに沿って前後に並進することができ、レール1307Bから独立して、軸1329Aに沿って前後に並進することもできる。
【0159】
他の実施形態では、レール1307は、軸1329に沿って並進するように構成されていない。例えば、いくつかの実施形態では、長いレール1307を、並進レールの代わりに使用することができる。いくつかの実施形態では、レール1307の並進は、システムの全体的な汎用性及び適応性を依然として維持しながら、より短いレール1307を使用することを可能にする。いくつかの実施形態では、(並進を伴う又は伴わない)より短いレール1307は、システムがテーブル1301の下に収容される能力を改善することができる(
図18Bを参照)。
【0160】
図15Bは、一実施形態による、内視鏡手術のために構成された調節可能なアーム支持体1305及びロボットアーム1402を有する、外科用ロボットシステム1500Bの等角図である。
図15Bは、いくつかの実施形態では、調節可能なアーム支持体1305を含むシステムが、例えば、尿管鏡検査などの内視鏡手術において有用であり得る長い長手方向の運動範囲を提供するように構成され得ることを示しており、ここで、内視鏡は、鼠径領域を通って患者内に挿入されている。例えば、
図15Bに示されるように、レール1307は、テーブル1301の足部に向かって全面的に並進させることができる。そこから、アーム1402は、更に長手方向に延在して、鼠径領域へのアクセスのために、患者10の脚部の間に器具を位置付けることができる。1つのロボットアーム1402のみが
図15Bに示されているが、他の実施形態では、同じ調節可能なアーム支持体1305又は追加のアーム支持体1305上のいずれかに装着された複数のロボットアームは、内視鏡手術で使用するように構成され得る。
図15Bは、内視鏡手術の一実施例のみを提供する。調節可能なアーム支持体1305を含むシステムは、例えば、気管支鏡検査などの他のタイプの内視鏡手術で使用され得る。
【0161】
図16は、一実施形態による、傾斜が可能なレール1307を有して構成された調節可能なアーム支持体1305を有する、外科用ロボットシステム1600の等角図である。先で考察されるように、アーム支持体は、アーム支持体1305が傾くことを可能にするように構成された第2の接合部1315を含むことができる。
図16の示される実施形態では、第2の接合部1315は、台車1309とレールコネクタ1311との間に位置付けられているが、先で考察されるように、第2の接合部1315の他の位置が可能である。第2の接合部1315は、第2の軸1325を中心に回転し、又はアーム支持体1305の調節を提供するように構成された回転接合部であり得る。
図16に示されるように、第2の軸1325を中心とした回転、又はアーム支持体1305の調節を提供することによって、軸1329の傾斜角1335を調節することができる。傾斜角1335は、例えば、軸1329(レール1307の)と、x軸、支持面平面1331、又はテーブル表面平面1333との間で測定され得る。
【0162】
いくつかの実施形態では、第2の継手1315は、テーブル1301に対するレールの傾きを可能にする。いくつかの実施形態では、テーブル1301はまた、(例えば、トレンデレンブルク位置へ)枢動する、又は傾くことができ、第2の接合部1315は、調節可能な支持アーム1315がテーブル1301の枢動又は傾きに従うことを可能にすることができる。これにより、テーブル1301が枢動する又は傾く際に、外科用アーム1402が患者10及び/又はテーブル1301に対して位置aに留まることを可能にすることができる。これは、外科医又は臨床医が、テーブル1301を手術中に枢動する、又は傾けることを所望する場合があるため、有利であり得る。いくつかの実施形態では、第2の接合部1315は、枢動し、又は傾いて、テーブルが傾くときに、レール1307がテーブル1301との平行を維持することを可能にする。いくつかの実施形態では、レール1307は、テーブル1301と平行なままである必要はない。
【0163】
図17A及び
図17Bは、調節可能なアーム支持体1305を含むシステムが、医療用撮像装置のための改善されたアクセスを提供し得ることを示している。上述のように、調節可能なアーム支持体1305の位置は、Cアームなどの医療用撮像装置へのアクセスを可能にするか、又はそれに適応するように調節され得る。医療用撮像装置の改善されたアクセスを提供することに加えて、調節可能なアーム支持体はまた、臨床医のための改善されたアクセスを提供する。
【0164】
図17Aは、一実施形態による、医療用撮像装置1702のCアーム1704へのアクセスを可能にするように位置付けられた調節可能なアーム支持体1305A、1305Bを有する、外科用ロボットシステム1700Aの等角図である。図示されるように、第2の調節可能なアーム支持体1305Bは、医療用撮像装置のCアーム1704の下に位置付けられるように、床の近くに位置付けられている。第1の調節可能なアーム支持体1305Aは、ロボットアームが患者にアクセスすることができるように、テーブル1301の近くに位置付けられている。
【0165】
図17Bは、別の実施形態による、医療用撮像装置1702のCアーム1704へのアクセスを可能にするように位置付けられた調節可能なアーム支持体1305A、1305Bを有する、外科用ロボットシステム1700Bの等角図である。示される実施形態では、第1の調節可能なアーム支持体1305Aは、Cアーム1704が第1の調節可能なアーム支持体1305Aを部分的に取り囲むように、テーブル1301の近くに位置付けられている。
【0166】
調節可能なアーム支持体1305の調節可能性は、システムが他のタイプの医療用撮像装置と同様に共に機能することを有利に可能にすることができる。
【0167】
図18A及び
図18Bは、調節可能なアーム支持体1305を含むシステムが、調節可能なアーム支持体1305及び対応するロボットアーム1402が好都合なことにテーブル1301の下に収容されることを可能にするように構成され得ることを示している。これは、そのシステムがいくつかの外科用ロボットシステムよりも、より嵩高にせず、かつ/又はより扱いにくくないものにするのに有利であり得る。調節可能なアーム支持体1305は、収容構成(
図18B)と展開構成(
図18A)との間で移行することができる。
【0168】
図18Aは、一実施形態による、展開構成に位置付けられていた調節可能なアーム支持体1305を有する外科用ロボットシステム1800Aの等角図である。図示されるように、調節可能なアーム支持体1305は、レール1307がテーブル1301の側面に隣接して位置付けられ、かつロボットアーム1402が患者10にアクセスするように展開されるように調節されている。
図18Aはまた、ベース1303が凹部1337を含むことができることを示している。凹部1337は、例えば、
図18Bに示されるように、収容構成でアーム支持体1305を受容するように構成され得る。
【0169】
図18Bは、一実施形態による、収容構成に位置付けられた調節可能なアーム支持体1305A、1305Bを有する外科用ロボットシステム1800Bの等角図である。図示されるように、各アーム支持体のバー又はレール1307A、1307Bは、ベース1303の凹部1337内に受容されている。いくつかの実施形態では、ロボットアーム1402A、1402B、1402Cは、図示されるように、アーム支持体1305A、1305Bの上に折り重なることができる。例えば、
図18Bに示されるように、アーム支持体1305A、1305Bがテーブル1301の下の凹部1337に格納された状態での収容構成は、システムをより嵩高にせず、かつ/又はより扱いにくくないものにするのに有利であり得る。他の実施形態では、アーム支持体及びロボットアームの両方を、ベース1303内の凹部に格納することができる。本明細書に記載される実施形態は、テーブルに対して低い位置にあるアーム支持体を示すが、他の実施形態では、調節可能なアーム支持体は、テーブルの上方の上昇又は懸架位置から提供され得る。懸架位置におけるこれらの調節可能なアーム支持体は、独立した調節可能性、互いに対する高さ差、傾斜、及び長手方向の並進を含む、下方に位置付けられたものと同様の属性を有することができる。
【0170】
いくつかの実施形態では、調節可能なアーム支持体1305を含むシステムは、移動可能であるように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、ベース1303は、システムが容易に再配置されることを可能にするホイールを含むことができる(例えば、
図14Aを参照)。例えば、システムは、それを床から持ち上げて、移動する、別個の輸送カートを有することができる。いくつかの実施形態では、システムは、手術室に恒久的に固定されない。
【0171】
図19は、一実施形態による、調節可能なアーム支持体を有する外科用ロボットシステムを操作するための方法1900を示すフローチャートである。例えば、方法1900は、
図13A~
図18Bを参照して上述したシステムのうちのいずれかを動作させるために使用され得る。いくつかの実施形態では、方法1900は、メモリに記憶されたコンピュータ可読命令として記憶され得る。プロセッサは、メモリにアクセスし、方法1900を実行するためにコンピュータ可読命令を実行することができる。
【0172】
方法1900は、コマンドを受信することを含むブロック1902で開始する。いくつかの実施形態では、コマンドは、医師、看護師、医師助手、外科医スタッフなどから受信される。コマンドは、第1のロボットアーム、ロボットの第1のアームのエンドエフェクタに連結された医療用器具、及び/又は第1のロボットアームのベースに連結されたアーム支持体のうちの少なくとも1つの位置付けに関連し得る。いくつかの実施形態では、コマンドは、システムを収容又は展開するコマンドであってもよい。
【0173】
いくつかの実施形態では、第1のコマンドは、少なくとも1つの接合部を作動させて、カラムの垂直軸に沿ったアーム支持体の位置を調節し、第2のコマンドは、アーム支持体を枢動させるために第2の接合部を作動させ、第3のコマンドは、アーム支持体を傾けるために第3の接合部を作動させ、かつ第4のコマンドは、アーム支持体の長手方向の並進を引き起こす。
【0174】
ブロック1904において、方法1900は、受信されたコマンドに基づいて、調節可能なアーム支持体の少なくとも1つの接合部を作動させて、アーム支持体のバー又はレールの位置を調節することを含む。例えば、方法1900は、第1の接合部、第2の接合部、第3の接合部、及び/又は第4の接合部のうちの1つ又は2つ以上を作動させてもよい。これは、アーム支持体を、その自由度のうちの1つ又は2つ以上で移動させることができる。
【0175】
方法1900は、アーム支持体、第1のロボットアーム、及び第2のロボットアームを、テーブルの下の収容位置から持ち上げることと、アーム支持体、第1のロボットアーム、及び第2のロボットアームを、テーブルに隣接して位置付けることと、第1のコマンド、第2のコマンド、第3のコマンド、又は第4のコマンドのうちの少なくとも1つを介して、テーブルに対するアーム支持体の位置を調節することと、外科手術の準備として、支持接合部のレールに沿って第2のロボットアームに対する第1のロボットアームの位置を調節することと、を更に含み得る。いくつかの実施形態では、アーム支持体は、テーブルの上部表面の下に位置付けられている。
【0176】
いくつかの実施形態では、方法1900は、運動学モデルに基づいて、1つ又は2つ以上のコマンドを実行するためのコントローラによって実行され、1つ又は2つ以上のコマンドは、第1のロボットアーム、ロボットの第1のアームのエンドエフェクタに連結された医療用器具、並びに第1のロボットアームのベース及び患者支持テーブルを支持するカラムに連結されたアーム支持体のうちの1つ又は2つ以上の位置付けを制御し、アーム支持体は、少なくとも1つの接合部と、第1のロボットアームを支持するように構成されたレールと、を含む。
【0177】
図20は、一実施形態による、調節可能なアーム支持体1305A、1305Bを有する外科用ロボットシステム2000のブロック図である。図示されるように、システム2000は、メモリ2004と通信するプロセッサ2002を含む。プロセッサ2002及びメモリ2004は、例えば、上述の方法1900を実行するように構成され得る。
【0178】
システムはまた、テーブル1301を含む。示される実施形態では、2つの調節可能なアーム支持体1305A、1305Bは、テーブル1301に連結されている。調節可能なアーム支持体1305A、1305Bは、テーブル1301、テーブルを支持するカラム1302、又はカラムを支持するベース1303に連結され得る。調節可能なアーム支持体1305A、1305Bの各々は、プロセスが調節可能なアーム支持体1305A、1305Bの位置を調節することができるように、プロセッサ2002と通信している。
【0179】
示される実施形態では、一セットのロボットアームは、調節可能なアーム支持体1305A、1305Bの各々に取り付けられている。例えば、ロボットアーム1402A、1402Bは、調節可能なアーム支持体1305Aに連結されており、ロボットアーム1402C、1402Dは、調節可能なアーム支持体1305Bに連結されている。他の実施形態では、他の数のロボットアーム(例えば、1つ、3つ、4つなど)を、各アーム支持体1305A、1305Bに連結することができる。例示的なロボットアームは、以下のセクションXIIIに記載されている。いくつかの実施形態では、アーム支持体が複数のロボットアームを支持すると、アーム支持体の剛性を高めることができる。この増加した剛性は、複数のアームと共に使用されるときに安定性の追加効果を提供し、これにより、外科的プロセス中にロボットアームの揺れを低減することができる。
【0180】
いくつかの実施形態では、プロセッサ2002は、コマンドを受信したことに応じて、第1の軸に沿ったバー又はレールの位置を調節するために、メモリ2004に記憶された命令を実行するように構成されている。コマンドは、アーム支持体に連結されたロボットアームに連結されたロボット医療用ツールの位置を調節するためのコマンドを含むことができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ2002は、医師が選択したセットに応答して、システムに、少なくともレール又はアーム支持体1305A、1305Bの位置を調節させる命令を実行するように更に構成されている。いくつかの実施形態では、プロセッサ2002は、ロボットアームと、テーブル、患者、追加のロボットアーム、及び医療用撮像装置のうちの少なくとも1つとの間の衝突を回避するために、システム2000に、少なくともレールの位置を調節させる命令を実行するように更に構成されている。システム2000は、システムの環境内の他のもの(例えば、ペンダント、スティラップ、ベッドレール上にクリップ留めするもの、看護師など)との衝突を回避するように更に構成されてもよい。衝突回避に加えて、プロセッサ2002は、ロボットアーム1402A、1402B、1402C、1402Dの姿勢を最適化するか、又はそれらの操作性を改善するように、アーム支持体1305A、1305Bの位置を調節するように更に構成され得る。
【0181】
XIII.調節可能なアーム支持体と関連付けられたロボットアーム
上述の調節可能なアーム支持体は、テーブル、カラム、又はベースに装着されるように構成され得、調節可能なアーム支持体上に位置付けられたロボットアームを支持するように調節可能(様々な自由度で移動可能)であり得る。調節可能なアーム支持体を、テーブルの表面の下に装着するように構成することができるため、いくつかの実施形態によれば、特定のタイプのロボットアームを、調節可能なアーム支持体と共に用いることが有利であり得る。いくつかの実施形態では、アーム支持体(複数可)及び/又はそれに連結されたロボットアームは、テーブルの表面の上に少なくとも部分的に又は全体的に装着され得る。このセクションは、上述の調節可能なアーム支持体と共に使用するように構成されたロボットアームの特定の特徴を概説する。
【0182】
このセクションで説明されるロボットアームは、テーブル頂部及び他のロボットアームとの衝突などの課題に直面し得る、テーブル頂部(例えば、テーブル頂部の下)に対する低マウント位置に対して最適化され得る。しかしながら、このセクションで説明されるロボットアームが、低マウント位置に限定されず、テーブルの表面の上に位置付けられるか、又は患者の上に懸架されるアーム支持体に取り付けられたときに有益である特徴を含むことを、当業者は理解するであろう。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、ロボットアームへのより大きい適応性を提供するために、少なくとも1つの冗長な自由度を有するいくつかの自由度(例えば、7自由度)を含む。本明細書で使用するとき、冗長な自由度を有するロボットアームは、所与のタスクを実行するのに必要な自由度よりも多くの自由度を含むものの1つとすることができ、多種多様な方法でタスクを達成することができる。例えば、冗長な自由度を有するロボットアームは、患者の所望の場所にエンドエフェクタ(例えば、ツールの端部)を位置付けるために必要な自由度よりも多くの自由度を含むことができ、多種多様な方法でエンドエフェクタの所望の位置を達成することができる。
【0183】
このセクションで説明されるロボットアームは、空間内の所与の点(例えば、本明細書で使用されるような「遠隔中心」、遠隔中心は、ロボットシステムの物理的な外旋接合部が物理的に遠隔中心に位置されていない状態で、医療用器具が中心として回転する固定点と見なすことができる。)を中心に、エンドエフェクタでツールを回転させる一方で、いくつかの実施形態では、遠隔中心の下(例えば、テーブルトップの下)のマウント点によって、支持されるように更に最適化され得る。ロボットアームは、他のロボットアーム(複数可)に近接して(例えば、画定された距離内で)動作するように最適化され得る。
【0184】
いくつかの実施形態では、このセクションで説明されるロボットアームは、手術室で発生し得る1つ又は2つ以上の問題に対処(例えば、緩和、解決、又は排除)することができる。例えば、本出願に記載されるロボットアーム及びシステムがアドレスに対処するように設計された問題は、限定された空間内で動作することを含み得る。具体的には、空間は、テーブルの下から来るロボットアームを有するシステムに限定され得る。本出願に記載されているロボットアーム及びシステムがアドレスに対処するように設計された問題は、他のロボットアーム及び/又は環境内の他の対象(例えば、テーブル、患者、医師、医療用撮像装置など)との衝突を含み得る。加えて、本出願に記載されるロボットアーム及びシステムがアドレスに対処するように設計された問題は、テーブルの下から来るシステムと関連付けられた課題を含み得る。このようなシステムは、例えば、(例えば、テーブルとの)衝突を回避するために、ロボットアームが、腹腔鏡ポート(例えば、腹壁ヘルニア手術)の上に位置付けられた患者の場所にアクセスするために、ツールを位置決めしなければならない特定の外科手術を実行するための追加の適応性を必要とし得る。本明細書に記載されるロボットアームの特徴及び利点は、以下の
図21~
図30の考察から明らかになるであろう。
【0185】
図21は、一実施形態による、ロボットアーム2100の等角図である。ロボットアーム2100は、上述の調節可能なアーム支持体(複数可)1305と共に使用するように構成され得る。ロボットアーム2100は、近位部分2101と遠位部分2103との間に延在している。近位部分2101は、調節可能なアーム支持体1305を装着するか、又は取り付けるように構成され得る。例えば、ロボットアーム2100の近位部分2101は、調節可能なアーム支持体1305のバー、トラック、又はレール1307を装着するか、又は取り付けるように構成され得る。上述したように、調節可能なアーム支持体1305は、ロボットアーム2100をテーブルに対して位置付けるために、1つ又は2つ以上の自由度で構成され得る。いくつかの実施形態では、調節可能なアーム支持体1305及び/又はロボットアーム2100は、収容状態と展開状態との間で移行するように構成されている。収容状態では、調節可能なアーム支持体1305及びロボットアーム2100は、テーブルの下に位置付けられてもよい(例えば、
図18Bを参照)。展開状態では、ロボットアーム2100の少なくとも一部分は、テーブルの表面の上に延在していてもよい(例えば、
図18Aを参照)。調節可能なアーム支持体1305は、展開状態でテーブルの表面の下に位置付けられてもよい。いくつかの実施形態では、調節可能なアーム支持体1305(又はそのバー又はレール1307)は、展開状態でテーブルの表面の上に位置付けられてもよい。
【0186】
器具駆動機構(IDM)(instrument drive mechanism)とも称される器具ドライバ2115は、ロボットアーム2100の遠位部分2103に位置付けられ得る。器具ドライバ2115は、医療用器具を取り付けるか、又は接続するように構成され得る。器具は、例えば、腹腔鏡器具、内視鏡器具、カメラなどであり得る。器具ドライバ2115は、器具を作動させるように構成され得る。例えば、器具ドライバ2115は、器具を作動させるように構成された1つ又は2つ以上のモータ、プーリ、巻取車軸、又はケーブルを含み得る。後述するように(セクションXIVを参照されたい)、ロボットアーム2100と関連付けられた挿入機構は、ロボットアーム2100の遠位部分2103に含まれてもよく、軸に沿って器具の少なくとも一部分を挿入(又は後退)するように構成され得る。以下に説明するように、挿入機構は、ロボットアーム2100自体の部分として(例えば、
図21)、又は器具ドライバ2115に取り付けられた器具の部分として(例えば、
図24)構成され得る。
【0187】
ロボットアーム2100は、連続的に配置された複数の構成要素を含み得る。構成要素は、ロボットアーム2100の移動又は関節運動を可能にするように構成された1つ又は2つ以上の接合部(例えば、モータ式又は油圧式接合部)によって接続され得る。示されるように、いくつかの実施形態では、接合部は、
図21に示されるように、肩部2117、肘部2119、及び手首部2121にグループ化され得る。すなわち、いくつかの実施形態では、ロボットアーム2100は、肩部2117と、肘部2119と、手首部2121と、を含み、肩部2117、肘部2119、及び手首部2121のうちの1つ又は2つ以上は、複数の接合部を含むことができる。例えば、示される実施例では、肩部2117は、3つの接合部を含んでおり、肘部2119は、1つの接合部を含んでおり、かつ手首部2121は、2つの接合部を含んでいる。別の言い方をすれば、いくつかの実施形態では、肩部2117、肘部2119又は手首部2121のうちの1つ又は2つ以上は、ロボットアーム2100に2つ以上の自由度を提供することができる。例えば、示される実施形態では、肩部2117は、3つの自由度を提供するように構成されており、肘部2119は、1つの自由度を提供するように構成されており、かつ手首部2121は2つの自由度を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、手首部は、いくつかの実施形態に従って、ロボットアーム2100が少なくとも7自由度を含むことができるように、挿入自由度を含むことができる。他の実施形態では、肩部2117、肘部2119又は手首部2121は、他の数の接合部で構成されてもよく、及び/又は他の数の自由度を提供することができる。
【0188】
肩部2117は、ロボットアーム2100の近位部分2101に概ね位置し得る。手首部2121は、ロボットアーム2100の遠位部分2103に概ね位置し得る。肘部2119は、近位部分2101と遠位部分2103との間に概ね位置し得る。いくつかの実施形態では、肘部2119は、近位リンク2109と遠位リンク2111との間に位置している。いくつかの実施形態では、ロボットアーム2100は、
図21に示されるもの以外の他の接合部又は接合部の領域を含むことができる。例えば、ロボットアーム211は、肘部2119と手首部2121との間、及び/又は肘部2110と肩部2117との間に第2の肘部(1つ又は2つ以上の接合部を含む)を含み得る。
【0189】
図21のロボットアーム2100の様々な自由度は、矢印で示されている。矢印は、各自由度によって提供される運動を示すことを意図している。示される実施形態は、以下の自由度を含む。全ての実施形態において、自由度が全て含まれる必要はなく、他の実施形態では、更なる自由度を含むことができる。様々な自由度を提供する接合部は、例えば、モータ式接合部又は油圧式接合部などの電動接合部であり得る。
【0190】
示されるように、ロボットアーム2100は、肩部の並進を可能にする自由度2151を含む。この自由度は、ロボットアーム2100がアーム支持体1305に沿って移動することを可能にし得る。例えば、この自由度は、ロボットアーム2100がアーム支持体1305に沿って、例えば、アーム支持体のレール1307に沿って直線的に移動することを可能にすることができる。複数のロボットアーム2100がアーム支持体1305に取り付けられるとき、並進は、異なるアーム間の衝突のリスクを有利に低減する。
【0191】
ロボットアーム2100はまた、肩部のヨーを可能にする自由度2153を含むことができる。自由度2153は、例えば、ベース2105に対する肩部ハウジング2107(及び対応するロボットアーム2100の残りの部分)の回転を可能にすることができる。
【0192】
ロボットアーム2100はまた、肩部のピッチングを可能にする自由度2155を含むことができる。この自由度2155は、例えば、肩部ハウジング2107に対する近位リンク2109の調節を可能にすることができる。例えば、この自由度を使用して、近位リンク2109の角度を調節することができる。
【0193】
肩部2117は、肩部ヨー自由度2153及び肩部ピッチ自由度2155を提供するように構成され得る。例えば、肩部2117は、アーム支持体1305の近くに1つ又は2つ以上の接合部を含むことができ、これは、近位リンク2109がアーム2100のベース2105から任意の方向に向くことを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、これらの肩部の自由度は、近位リンク及び遠位リンクが、例えば、遠隔中心に向かって内側に向くように配置され得る(例えば、
図22を参照)。
【0194】
ロボットアーム2100はまた、肘部ピッチを可能にする自由度2157を含むことができる。この自由度2157は、近位リンク2109に対する遠位リンク2111の調節を可能にすることができる。例えば、この自由度2157は、遠位リンク2111と近位リンク2109との間の角度の調節を可能にすることができる。この自由度は、肘部2119によって提供され得る。いくつかの実施形態では、この自由度は、遠位リンク2111及び近位リンク2109が、(例えば、単一平面又は平行平面内で)位置合わせされたままであることを確実にするピボット接合部によって提供される。この位置合わせは、アームが互いに離れるように扇形に広がり、互いから離れたままであるため、アーム間の衝突のリスクを有利に低減する。更に、以下に記載されるように、手首部2121の運動の向上(例えば、多自由度を提供する)に起因して、肘部2119における運動が最小化され得、ロボットアーム2100の最速の運動は、手首部2121で生じる。
【0195】
ロボットアーム2100はまた、手首部ヨーを可能にする自由度2159を含むことができる。この自由度2159は、遠位リンク2111に対して遠位リンク2111に接続された構成要素の調節を可能にすることができる。例えば、この自由度2159は、挿入軸本体2113又は器具ドライバ2115と遠位リンク2111との間の調節を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、この自由度2159は、遠位リンク2111に対する遠位リンク2111に取り付けられた構成要素の回転角度を調節するために使用される。回転は、例えば、遠位リンク2111の軸の周りで測定され得る。
【0196】
ロボットアーム2100はまた、手首部ピッチを可能にする自由度2161を含むことができる。この自由度2161は、遠位リンク2111に対して遠位リンク2111に接続された構成要素の更なる調節を可能にすることができる。いくつかの実施形態では、この自由度2161は、遠位リンク2111に接続された構成要素と遠位リンク2111との間の傾斜角の調節を可能にする。
【0197】
ロボットアーム2100はまた、器具ドライバのロールを可能にする自由度2163を含むことができる。この自由度2163は、器具ドライバに取り付けられた器具(又は器具ドライバ自体)が、その軸の周りをローリングすることを可能にするように構成され得る。
【0198】
いくつかの実施形態では、手首部2121は、手首部ヨー、手首部ピッチ、及び器具ドライバのロールの自由度を提供するように構成されている。いくつかの実施形態では、手首部2121は、いくつかの実施形態では、部分的に球形又は球形の接合部を含んでもよい。手首部2121は、ロボットアーム2100が、ロボットアームの他のリンクの動きを最小限に抑えながら、ロボットアーム2100に接続された器具を遠隔中心の周りでピッチ及びヨーすることを可能にし得る。換言すれば、手首部2121は、肘部2119などのロボットアーム2100の他の部分上で運動を最小限に抑えることを可能にし得る。手首部2121は、ロボットアーム2100全体を移動させることなく、器具又はツールを患者の近くに送達することを可能にし、それによって、ロボットアーム2100と環境内の他の物体との間の衝突のリスクを低減することができる。
【0199】
挿入自由度2165はまた、ロボットアーム2100と関連付けられ得る。挿入自由度は、器具の軸又は器具ドライバ2115の軸に沿って器具ドライバ機構2115に取り付けられた器具(又はツール)の挿入(又は後退)を可能にするように構成され得る。挿入軸と称され得るこの軸は、上で考察される器具ドライバのロールの自由度2163の回転軸と同軸であり得る。いくつかの実施形態では、器具は、挿入軸を介して患者の特定の深さに挿入され得る。器具は、器具ドライバ2115内に保持され得、器具ドライバ2115は、挿入軸本体2113に対して並進することができる。いくつかの実施形態では、挿入軸(又は挿入自由度)は、患者の挿入深さをツールシャフトのピッチ及びヨー運動(例えば、手首部2121によって引き起こされる)から分離することを可能にする。すなわち、いくつかの実施形態では、アーム2100の運動又は関節運動を必要とせずに、器具の挿入を達成することができる。
【0200】
上述したように、いくつかの実施形態では、挿入自由度は、ロボットアーム2100によって提供され得る(例えば、ロボットアーム2100に構築され得る)。
図21のロボットアーム2100は、ロボットアーム2100によって、挿入自由度が提供され得る(例えば、ロボットアーム2100に構築され得る)一実施形態を示している。図示されるように、ロボットアーム2100は、遠位リンク2111に、(手首部2121のうちの1つ又は2つ以上の接合部を介して)取り付けられた挿入軸本体(又はハウジング)2113を含む。挿入軸本体2113は、軸に沿って延在することができる。挿入軸本体2113の軸は、挿入軸に対して平行であり得る。器具ドライバ2115は、挿入軸本体2113に取り付けられ得る。器具ドライバ2115と挿入軸本体2113との間の接合部は、器具ドライバ2115が、挿入軸本体2113に沿って(例えば、挿入軸本体2113に沿って前後に)並進することを可能にするように構成され得る。器具ドライバ2115が挿入軸本体2113に沿って並進すると、器具ドライバ2115に取り付けられた器具は、挿入軸に沿って挿入(又は後退)され得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、挿入自由度(ロボットアーム2100の遠位部分2103にも提供される)と組み合わされた手首部2121(ロボットアーム2100の遠位部分2103上に位置付けられている)は、特に上で考察される調節可能なアーム支持体1305と組み合わせて展開されるときに、固有の利点を提供することができる。例えば、この構成は、収容され、その後コンパクトな方法で展開され得る、1つ又は2つ以上のロボットアーム2100を提供することができる。これは、例えば、衝突回避の助けとなり、ロボットアーム2100を、エンドエフェクタが切開部の上方にあるセットアップでより良い結果又は有用にすることができる。
【0202】
いくつかの実施形態では、挿入自由度は、ロボットアーム2100に取り付けられた器具によって提供され得る(例えば、その中に構築され得る)。例えば、器具は、器具の少なくとも一部分が挿入軸に沿って挿入されることを可能にする、器具ベースの挿入構造体を含むことができる。この実施形態では、ロボットアームは、挿入自由度が器具自体に組み込まれるので、自由度を失う。このような実施形態では、器具ドライバ2115は、例えば、遠位リンク2111に(手首部2121の1つ又は2つ以上の接合部を介して)取り付けられ得る。器具は、ハンドル及びシャフトを含むことができる。器具ハンドルは、器具ドライバ2115に取り付けられてもよく、器具は、(例えば、ハンドルに対する)器具軸に沿った器具の少なくとも一部分の挿入を提供することができる。挿入自由度が、ロボットアーム2100に取り付けられた器具によって提供され得る(例えば、その中に構築され得る)実施形態の実施例は、
図24を参照して以下でより詳細に説明される。
【0203】
いくつかの実施形態では、6つ以上の自由度(例えば、7つ又は8つ)が、ロボット医療手術を実行するのに十分な操作性を提供することが望ましい場合がある。例えば、3つの自由度を有するロボットアームを有して、3次元空間(例えば、遠隔中心の周りで器具のピッチ、ヨー、及びロールを制御する3つの追加の自由度がある)に、器具を位置付けることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、必要とされる6自由度を超える更なる自由度を含むことが有利であり得る。これらの自由度は、冗長な自由度と称され得る。冗長な自由度は、腕の姿勢を最適化し、かつ衝突を回避するために、例えば、マルチアームセットアップにおいて有利であり得る。いくつかの実施形態では、冗長な自由度は、器具位置及びベース位置を静止状態に維持しながら、ロボットアームを再配置することを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、ロボットアーム2100は、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の自由度を含む。いくつかの実施形態では、ロボットアーム2100は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の冗長な自由度を含む。
【0204】
説明される多自由度に適応するために上述した機構を有するロボットアーム2100に加えて、ロボットアーム2100が装着される(及び他のロボットアームがまた装着され得る)アーム支持体1305はまた、前述のセクションで考察されるような更なる自由度を提供することができる。更に、いくつかの実施形態では、複数の調節可能なアーム支持体1305を(例えば、テーブルの両側に)提供することができ、その各々は、1つ又は2つ以上のロボットアーム2100を支持する。これらの実施形態のうちのいくつかでは、テーブルの一方の側のロボットアーム2100の全てが、共有並進バー、トラック、又はレール1307上に装着される。これらの2つのレール1307(ベッドの各側面上にある)は、互いに独立して位置付けられ得、前述のように、3自由度(例えば、持ち上げ、横方向並進、及び傾斜)を予測することができる。複数のロボットアーム2100を共有レール1307上に配置することにより、システムに必要なセットアップ自由度を低減することができ、良好な剛性経路を接地に提供することができる。
【0205】
図22は、一実施形態による、腹腔鏡を実行する複数のロボットアーム2100A、2100B、2100C、2100D、2100Eを含むロボット外科用システム2200の俯瞰図である。ロボットアーム2100A、2100B、2100Cは、第1の調節可能なアーム支持体1305A上に装着されており、ロボットアーム2100D、2100Eは、第1の調節可能なアーム支持体1305Aの反対側に位置する第2の調節可能なアーム支持体1305B上に装着されている。図示されるように、ロボットアーム2100A、2100B、2100C、2100D、2100Eは、腹腔鏡ツール又は器具を保持している。ロボットアーム2100A、2100B、2100C、2100D、2100Eは、腹腔鏡ポート(例えば、腹腔鏡ポート2202A、2202C、2202D)を通して腹腔鏡ツールを挿入して、患者内の治療部位へのアクセスを得ることができる。いくつかの実施形態では、ロボットアーム2100ごとに、対応する腹腔鏡ポート2202は、ロボットアーム2100の遠隔中心に位置付けられ得る。すなわち、ロボットアームの挿入軸は、遠隔中心と位置合わせされ、かつ遠隔中心を通って延在し得る。ロボットアーム2100は、器具のピッチ、ロール、及びヨーを遠隔中心の周りで操作するように構成され得る。本実施形態では、調節可能なアーム支持体1305A、1305Bは、複数のアームを支持するようにサイズ決め及び構成されている。調節可能なアーム支持体1305A、1305Bがこれらのアームを支持するための厚さを有することができるので、調節可能なアーム支持体は、振とう性のリスクを低減するために安定性を追加している。
【0206】
図22はまた、いくつかの実施形態では、ロボットアーム2100が、上から見たときに、ロボットアームの手首部2121及び肩部ベース2105が実質的に直線2250に沿って位置し得るように構成され得ることを示している。これは、例えば、ロボットアーム2100の手首部2121A及び肩部ベース2105Aに関して示されている。いくつかの実施形態では、手首部2121、肘部2119、及び肩部2117は、(真上から見た場合に)実質的に直線2250に沿って位置することができる。いくつかの実施形態では、手首部2121、肘部2119、及び肩部2117は、テーブルに対して垂直である平面内で実質的に位置合わせされ得る。有利には、同じ平面内で実質的に位置合わせされることによって、ロボットアームの平面は、外科手術中にテーブルに対して実質的に垂直なままである。この構成は、1つのロボットアームが互いに回避することを可能にし、手首構成によって部分的に有効にされるため、望ましい。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、手首部2121、肘部2119、及び肩部2117が平面内に位置し、平面がテーブルに平行である必要はないように、ロボットアームを位置付けることができる。例えば、平面は、テーブルに対して鋭角であってもよい。
【0207】
図23は、一実施形態による、2つの器具ドライバ2115A、2115Bを含む代替的なロボットアーム2300の等角図である。示される実施形態では、2つの器具ドライバ2115A、2115Bは、ロボットアーム2300の遠位部分2103に位置付けられている。器具ドライバ2115A、2115Bの各々は、対応する器具を受容するように構成され得る。いくつかの実施形態では、器具は伸縮式器具であり、ここで、1つの器具は、他の器具の作業チャネル内に位置付けられている。例えば、1つの器具は、内視鏡であってもよく、他の器具は、内視鏡を取り囲む外部シースであってもよい。器具ドライバ2115A、2115Bは、対応する器具を独立して駆動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、各器具は、挿入軸に沿って挿入され得る。いくつかの実施形態では、示される挿入軸2305のように、2つの軸は同軸である。示される実施形態では、器具ドライバ2115A、2115Bのうちの一方又は両方は、挿入軸本体2113に沿って並進して、器具の挿入又は後退を提供するように構成され得る。他の実施形態では、ツールの挿入は、以下に記載されるように、器具自体によって提供されている。いくつかの実施形態では、器具ドライバのうち一方又は両方は、取り外し可能であり得る。
【0208】
図24は、一実施形態による、代替的なロボットアーム2100の遠位端に取り付けられた器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具2400の等角図である。上述したように、いくつかの実施形態では、器具2400自体は、器具2400の少なくとも一部分を挿入軸に沿って並進させることを可能にするアーキテクチャを有する。これにより、挿入中のロボットアーム2100の移動を最小限に抑えることができる。例えば、
図21の実施形態では、挿入駆動機構2115は、挿入軸本体2113に沿って移動して、挿入軸に沿って挿入を提供する。対照的に、
図24の実施形態では、挿入駆動機構2415は、同じ位置に留まり得るが、器具2400自体のアーキテクチャによって、器具2400の少なくとも一部分が挿入される。
【0209】
示されるように、器具は、器具シャフト2406と、器具ハンドル(図示せず)に取り付けられたカニューレ2402と、を含むことができる。器具ハンドルは、器具ドライバ2415に取り付けて、連結するように構成され得る。器具シャフト2406は、いくつかの実施形態では、器具ハンドル及び/又は器具ドライバ2415を通って延在し得る。器具ドライバ2415は、ロボットアーム2100の遠位端で手首部2121に取り付けられ得る。器具2400は、器具シャフト2406がハンドルに対して並進する、組み込みアーキテクチャを有することができる。
【0210】
いくつかの他のロボットシステムでは、ロボットアームの一部分は、挿入を達成するために多くの場合並進する(それによってロボットアームによって引き起こされるスイング質量が増加する)。
図24の本実施形態では、器具2400自体は、挿入に適応するアーキテクチャを有する。したがって、この実施形態及び同様の実施形態では、挿入軸は、ロボットアーム2100から排除され、ロボットアーム2100の全体的なサイズ及び運動を低減することができる。このことは、ロボットアーム2100から1つの自由度を除去し得るが、自由度がロボットアーム2100ではなく器具2400自体に移動するので、ロボット2100の能力を低下させない。以下のセクションXIVは、そのような器具ベースの挿入アーキテクチャのいくつかの実施例を提供する。
図24に示されるような、いくつかの実施形態で存在し得る更なる利点は、手首部2121と器具ロール軸又は挿入軸との間のオフセット角度又は距離が低減され得ることである。いくつかの実施形態では、これにより、より短いリンクでより多くの到達が可能になり、ロボットアーム2100の肘部運動がより少なくなる。
図24の本実施形態の別の利点は、器具ドライバが手首部の下にあり得ることである。これは、腹壁ヘルニアタイプの手術などの特定の手術に有益であり得る。
【0211】
図25A及び
図25Bは、いくつかの実施形態では、ロボットアーム2100が、挿入軸本体2113が概ね可逆的であるように構成され得るように構成され得ることを示している。いくつかの実施形態では、遠隔中心から遠く離れた器具ドライバ2115を有するロボットアーム2100を操作する能力を有することにより、アームの衝突を軽減することができる。これを容易にするために、ロボットアーム2100は、カニューレが挿入軸ハウジング2113の両側2113A、2113Bに装着され得るように構成され得る。これは、遠隔中心と手首部2121との間の分離距離を変更するために使用され得る。これは、ロボットアーム2100の位置を変化させるように制御する追加オプションを提供することができる。
【0212】
図25Aは、一実施形態による、第1の配向に位置付けられた挿入軸本体2113を有するロボットアーム2500Aの側面図である。図示されるように、器具ドライバ2115は、挿入軸本体2113の第1の側面2113A上に位置付けられている。更に、挿入軸本体2113は、遠隔中心から離れて位置付けられるように配向されている。図示されるように、これは、手首部2121を遠隔中心に近づけている。
【0213】
対照的に、
図25Bは、一実施形態による、第2の配向に位置付けられた挿入軸本体を有する、ロボットアーム2500Bの側面図である。図示されるように、器具ドライバ2115は、挿入軸本体2113の第2の側面2113B上に位置付けられている。更に、挿入軸本体2113は、遠隔中心から向かって位置付けられるように配向されている。図示されるように、これは、一般に、手首部2121を遠隔中心から離れるように移動させる。
【0214】
いくつかの実施形態では、器具ドライバ2115は、挿入軸本体2113の両側2113A、2113Bに取り外され、及び取り付けられ得るように、着脱可能である。いくつかの実施形態では、
図25Aに示される第1の位置から、
図25Bに示される第2の位置へと移動するために、手首部2121は、ロボットアームの頂部を越えて枢動される。他の実施形態では、第1の位置と第2の位置との間で移動するために、手首部2121を、ロボットアームを中心に回転させることができる。これらの実施形態では、器具ドライバ2115は、反対方向に配向されるように取り外し及び/若しくは反転されてもよく、又は器具ドライバ2115は、器具を器具ドライバ2115の両側に取り付けることができるように、可逆的であり得る。
【0215】
図26A及び
図26Bは、いくつかの実施形態では、ロボットアーム2100が分離されたカニューレで操作され得ることを示している。これは、
図24を参照して上で考察されるような挿入を提供する器具を含む実施形態などの挿入軸本体を含まない実施形態では、上述の可逆的挿入軸本体2113と同様の機能性(すなわち、遠隔中心に対する手首部2121の様々な位置を可能にする)を提供することができる。これは、ツール先端を静止して保持しながら、手首部2121とカニューレとの間の距離が動的に変化することを可能にするため、ロボットアーム211に、1つの追加のヌル空間自由度を効果的に与えることができる。
【0216】
図26Aは、一実施形態による、取り付けられたカニューレ2602で構成されたロボットアーム2600Aの側面図である。図示されるように、カニューレ2602は、器具ドライバ2115に取り付けられている。
図26Bは、一実施形態による、分離されたカニューレ2602で構成されたロボットアーム2600Bの側面図である。図示されるように、カニューレ2602は、器具ドライバ2115から分離されている。この構成では、カニューレ2602は、器具が挿入又は後退される際に挿入軸に沿って自由に移動する。
図26A及び
図26Bを比較すると、カニューレ2602を分離することによって、器具ドライバ2115及び/又は手首部2121を、カニューレ2602及び又はツール先端2604に対して戻すことができることが分かる。
【0217】
これは、
図27A(取り付けられたカニューレ)及び
図27B(分離されたカニューレ)に更に例示されている。
図27Aは、一実施形態による、腹腔鏡手術を実行する複数のロボットアーム(例えば、2701A、2702A)を含むシステムの等角図であり、ここで、アーム2701Aのうちの1つは、取り付けられたカニューレと共に構成されている。
図27Aに示されるように、いくつかの実施形態では、分離されたカニューレの操作がない場合(すなわち、カニューレが取り付けられている場合)、中央アーム2701Aは、カメラアーム2702Aに当たる前に、ヨーイングするための制限された空間(距離2703Aによって示されている)を有し得る。
図27Bは、一実施形態による、腹腔鏡手術を実行する複数のロボットアーム(例えば、2701B、2702B)を含むシステムの等角図であり、ここで、アーム2701Bのうちの1つは、分離されたカニューレと共に構成されている。
図27Bに示されるように、いくつかの実施形態では、分離されたカニューレの操作がある状態で、中央アーム2701Bは、カメラアーム2702Bに当たる前に、ヨーイングするためのより多くの空間(距離2703Bによって示されている)を有し得る。
図27A及び
図27Bを比較すると、距離2703Bは、距離2703Aよりも大きいことが分かる。これらの図に示されるように、ロボットアームの手首部は、カニューレが分離されているときに、遠隔中心から離れて移動することができる。これは、ロボットアームを操作するための、更なる取り外しを提供することができる。他の実施形態では、カニューレは、取り付けられたままであり得、遠隔中心は、カニューレの長さに沿ってわずかに移動することができる。他の実施形態では、カニューレは、遠隔中心を手首部から更に遠くにすることを可能にするために、より長く作製することができる。
【0218】
場合によっては、ロボットアーム2100の性能は、以下で考察される特徴のうちの1つ又は2つ以上を含めることによって改善され得る。例えば、本発明者らは、ロボットアーム2100(例えば、
図21に示されるような)が、使用中にいくつかの特異点を経験し得ると判定した。特異点は、低下した性能の領域を表し得る。例えば、ロボットアームの異なる軸が位置合わせされ、それによって自由度を失うときに、特異点が生じ得る。特異点が確認された他の実施例は、(i)ベースヨーが球形の手首と交差することと、(ii)(例えば、180度に近い肘部ピッチを伴って)過度に拡張したアームと、(iii)下に拡張した伸長アーム(例えば、プラスマイナス90度に近い手首部、又は0度に近い肘部を有する)と、を含み得る。
図28~
図29Bに示される特徴は、これらの特異点のうちの1つ又は2つ以上に対処することができる。
【0219】
図28は、一実施形態による、追加の回転接合部を有する手首2821を含む、ロボットアーム2800の等角図である。
図21のロボットアーム2100と比較すると、ロボットアーム2800は、同様の肩部2117及び肘部2119を含み得る。しかしながら、ロボットアーム2800は、手首部2821に追加の軸を含んでいる。例えば、上述のロボットアーム2100は、2自由度を提供する手首部2121を含んでいるが、ロボットアーム2800は、4自由度を提供する手首部2821を含んでいる。いくつかの実施形態では、手首部に追加の回転軸を加えることが望ましい場合がある。いくつかの実施形態では、この回転軸は、高い運動範囲を必要としないが、他の接合部を特異点から遠ざけるのを助ける制御アルゴリズムによって採用され得る。手首部2821に追加の冗長な自由度を追加することにより、特異点回避を可能にすることに加えて、衝突回避(特に、正中線上の厳密に配設されたポートの周りの)の更なる可能性を可能にすることができる。手首部2821によって提供される更なる自由度は、いくつかの実施形態では、アームの作業空間を通してアーム性能をより均一にするのに役立つことができ、かつ所望のツール速度を達成するために必要なピーク接合部要件を低減することができる。いくつかの実施形態では、手首部は、追加の自由度、例えば、3つ、4つ、5つ、又はそれ以上の自由度を含むことができる。これらは、例えば、器具の挿入自由度、器具のロール自由度、及び1つ又は2つ以上の回転/枢動自由度を含むことができる。
【0220】
図29A及び
図29Bはそれぞれ、一実施形態による、傾けられたベース2905を含む、ロボットアーム2900の等角図及び側面図である。
図29Bで最も良く分かるように、ベース2905は、角度2906だけ傾けられ得る。ベース2905は、ベースのヨー角を調節するように傾けられ得る。いくつかの実施形態では、これは、(
図29Bに示されるように)ベースヨー接合部の軸と手首部2121との間の有効距離を増加させることによって、ベースヨーが手首部2121と交差するときに生じる特異点に対処するのに役立ち得る。いくつかの実施形態では、傾斜角2906は、約5度、約10度、約15度、約20度、約25度、若しくは約30度、35度、約40度、約45度、約50度、約55度、約60度、約65度、約70度、約75度、約80度、又は約85度であり得る。
【0221】
図30は、伸縮式リンク3109を含む代替的なロボットアーム3000の等角図である。ロボットアーム3000は、近位部分3001及び遠位部分3003を含む、先の実施形態のような多くの特徴を共有する。ロボットアーム3000は、近位部分3001と遠位部分3003との間に肩部、肘部、及び手首部を含む、連続的に配置された複数の接合部を含む。加えて、ロボットアーム3000は、少なくとも近位リンク3109及び遠位リンク3111を含む。
【0222】
いくつかの実施形態では、近位リンク3109及び遠位リンク3111のうちの少なくとも1つは、プリズム型伸縮式接合部を含む。示される実施形態では、近位リンク3109は、外側部材内に内側部材が伸縮式である、プリズム型伸縮式接合部3120を含む。伸縮式接合部3120を提供することによって、ロボットアーム3000は、有利には、より大きい到達範囲を有することができ、それによって、異なる外科用アプローチでの使用がより容易になる。更に、このような伸縮式接合部3120は、ロボットアーム3000を、より大きいサイズの患者で使用するのに好適にすることができる。
【0223】
このセクションで説明されるロボットアームは、前述のセクションに記載された調節可能なアーム支持体と共に使用するように構成され得る。これらのロボットアームは、テーブルの表面の下にある装着位置から展開されるときに、特に有利であり得る。
【0224】
一般に、平行四辺形の遠隔中心ロボット(腹腔鏡手術で一般的に使用される)との衝突を回避するために、ロボットアームは、望ましくは、上方から見たときに、直線がアームベースから遠隔中心を通って作業空間内に入るようにセットアップされる。これらの3つの点は、テーブル又は床に対して実質的に垂直である平面内に存在する。作業空間がそのように位置合わせされていない場合、アームは、1つの側に大きくヨーイングされなければならず、それは衝突を引き起こす。従来のロボット外科用システムは、ロボットアームがほとんどの作業空間にアクセスすることができるように十分な適応性を提供するために、上述のようなオーバーヘッド支持構造体を採用する。しかしながら、調節可能なアーム支持体に装着されたアームであるように、下から出て、テーブルに沿って装着されるアームは、所望に応じて機能するために、異なる構造体を必要とする場合がある。
【0225】
例えば、いくつかの実施形態では、調節可能なアーム支持体と共に使用するように構成されたロボットアームは、従来の平行四辺形の遠隔中心ロボットとは異なる。一実施例では、調節可能なアーム支持体と共に使用するように構成されたロボットアームは、少なくとも2自由度を有する肩部、少なくとも1自由度を有する肘部、及び少なくとも2自由度を有する手首部を含むことができる。このようなアームと関連付けられた運動学により、アームベースを作業空間に対して任意に位置決めすることが可能となり、そのことは、ベッドに沿って装着された平行四辺形遠隔中心ロボットにとって困難であろうセットアップを可能にする。
【0226】
更に、いくつかの実施形態では、調節可能なアーム支持体と共に使用するように構成されたロボットアームは、少なくとも3自由度で構成された手首部を含んでもよい。いくつかの実施形態では、手首部は、半球形又は球形であり得る。このような手首部は、ロボットアームの遠位端に位置付けられた器具ドライバがアーム手首部の下方にあり得るように、ロボットアームがその手首接合部をローリングさせることを可能にすることができる。これにより、ターゲット作業空間がポートの上に遠く離れている場合の手術を可能にすることができる。
【0227】
他の外科用ロボットアームは、冗長な自由度を有さない機械的に拘束された遠隔中心を含む。すなわち、任意の遠隔中心位置では、ベースまでの距離は、機械的に拘束されている。ロボットアームが上述の調節可能なアーム支持体上に装着された場合のように、ベッドの下から来るロボットアームは、それらの装着構造によって制限され得、平行四辺形ロボットアームを優れたものにする最適な構成に到達することができない。この問題に対処するために、上述の調節可能なアーム支持体と共に使用するように構成されたロボットアームは、1つ又は2つ以上の冗長な自由度を含み得る。冗長な自由度は、ツール先端を移動させることなく、アームがそのヌル空間内で揺れながら進むことを可能にすることができ、これは、予め知られている外科用ロボットアームでは不可能である手術中の衝突回避を可能にする。加えて、アームがそれらのヌル空間内で揺れながら進むとき、それらは、有利には、互いの衝突、並びにベッド、患者、cアームなどとの衝突を回避することができる。
【0228】
XIV.器具ベースの挿入アーキテクチャ
上記で簡潔に述べたように、上述のロボットアーム及び器具駆動機構と共に使用することができるいくつかの器具は、器具ベースの挿入アーキテクチャを含むことができる。器具ベースの挿入アーキテクチャは、器具を直線的に挿入する際にロボットアームに依存してしまうことを低減することができる。具体的には、このセクションで説明されるシステム、装置、及び方法は、器具ベースの直線的挿入アーキテクチャを有する器具の実施例を提供する。このセクションで説明される器具ベースの挿入アーキテクチャは、前述のセクションに記載されているロボットアーム及び調節可能なアーム支持体と共に実装され得る。
【0229】
図31は、外科用ロボットシステム用の器具装置マニピュレータ(IDM)(instrument device manipulator)4300の斜視図を示し、
図32は、一実施形態によるIDM4300の側面図である。IDM4300は、外科用ツール(又は器具)が、その外科用ツールの軸の周りで連続的に回転する又は「ローリングする」ことを可能にするように、外科用ツールをロボット外科用アームに取り付けるように構成される。IDM4300は、ベース4302と、ベースに連結された外科用ツールホルダアセンブリ4304とを含む。外科用ツールホルダアセンブリ4304は、器具118を保持するツールホルダとして機能する。外科用ツールホルダアセンブリ4304は、外側ハウジング4306と、外科用ツールホルダ4308と、取り付けインターフェース4310と、通路4312と、複数のトルクカップラ4314と、を更に含む。いくつかの実施形態では、通路4312は、IDM4300の1つの面からIDM4300の反対側の面まで延在する貫通孔を含む。IDM4300は、様々な外科用ツール(
図31には図示せず)と共に使用されてもよく、そのような外科用ツールには、ハンドル及び細長体(例えば、シャフト)が含まれていてもよく、かつ、そのような外科用ツールは、腹腔鏡、内視鏡、又は外科用ツール若しくは器具の他のタイプのエンドエフェクタ用のものであり得る。
【0230】
ベース4302は、IDM4300を外科用ロボットシステムの外科用ロボットアームに取り外し可能に又は固定的に取り付ける。
図31の実施形態では、ベース4302は、外科用ツールホルダアセンブリ4304の外側ハウジング4306に固定的に取り付けられる。代替的な実施形態では、ベース4302は、取り付けインターフェース4310とは反対側の面上に、外科用ツールホルダ4308を回転可能に受容するように適合されたプラットフォームを含むように構成されてもよい。プラットフォームは、外科用ツールの細長体を受容するため、またいくつかの実施形態では、プラットフォームは、第1の外科用ツール又は器具と同軸に取り付けられた第2の外科用ツールの追加の細長体を受容するため、通路4312と位置合わせされた通路を含んでもよい。
【0231】
手術ツールホルダアセンブリ4304は、外科用ツールをIDM4300に固定し、外科用ツールをベース4302に対して回転させるように構成されている。機械的及び電気的接続が、外科用アームからベース4302へ、次いで外科用ツールホルダアセンブリ4304に提供され、外科用ツールホルダ4308を外側ハウジング4306に対して回転させ、外科用アームから外科用ツールホルダ4308に、そして最終的には外科用ツールに、電力及び/又は信号を、操作及び/又は送達する。信号は、空気圧に関する信号、電力に関する信号、電気信号、及び/又は光信号を含んでもよい。
【0232】
外側ハウジング4306は、ベース4302に対する外科用ツールホルダアセンブリ4304の支持を提供する。外側ハウジング4306は、ベース4302に固定的に取り付けられ、外側ハウジング4306は、ベース4302に対して静止されたままである一方で、外科用ツールホルダ4308が外側ハウジング4306に対して自由に回転できるようになっている。
図31の実施形態では、外側ハウジング4306は、円筒形の形状であり、外科用ツールホルダ4308を完全に取り囲んでいる。外側ハウジング4306は、剛性材料(例えば、金属又は硬質プラスチック)から構成されてもよい。代替的な実施形態では、ハウジングの形状は異なっていてもよい。
【0233】
外科用ツールホルダ4308は、取り付けインターフェース4310を介して、外科用ツールをIDM4300に固定する。外科用ツールホルダ4308は、外側ハウジング4306とは独立して回転することができる。外科用ツールホルダ4308は、回転軸線4316を中心に回転するが、その回転軸線4316は、外科用ツールホルダ4308と共に外科用ツールが回転するように、外科用ツールの細長体と同軸に位置合わせされる。
【0234】
取り付けインターフェース4310は、外科用ツールに取り付けられる外科用ツールホルダ4308の1つの面である。取り付けインターフェース4310は、取り付け機構の第1の部分を含み、この第1の部分は、外科用ツール上に配置された、取り付け機構の第2の部分と相互に嵌合し、これらについては、
図36A及び
図36Bに関連して、より詳細に考察される。いくつかの実施形態では、取り付けインターフェース4310は、複数のトルクカップラ4314を備え、それらのトルクカップラ4314は、取り付けインターフェース4310から外側に突出し、外科用ツール上のそれぞれの器具の入力部と係合する。いくつかの実施形態では、無菌アダプタに連結された切開ドレープを使用して、IDM4300と外科用ツールとの間に無菌境界を形成し得る。これらの実施形態では、外科用ツールがIDM4300に固定されるときに、無菌アダプタが、取り付けインターフェース4310と外科用ツールとの間に位置するようにしてもよく、そうすることで、切開ドレープが、外科用ツール及び患者を、IDM4300及び外科用ロボットシステムとから分離することができるようになる。
【0235】
通路4312は、外科用ツールが取り付けインターフェース4310に固定されたときに、外科用ツールの細長体を受容するように構成されている。
図31の実施形態では、通路4312は、外科用ツールの細長体の長手方向軸線と、外科用ツールホルダ4308の回転軸線4316とに同軸に位置合わせされる。通路4312は、外科用ツールの細長体が、通路4312内で自由に回転することを可能にする。この構成により、外科用ツールが、最小限の制約下で又はいかなる制約も伴わずに、回転軸線4316を中心にして連続的に回転する又はローリングすることが可能になる。
【0236】
複数のトルクカップラ4314は、外科用ツールが外科用ツールホルダ4308に固定されたときに、外科用ツールの構成要素と係合して駆動するように構成されている。各トルクカップラ4314は、外科用ツール上に位置するそれぞれの器具入力部に挿入される。複数のトルクカップラ4314はまた、外科用ツールと外科用ツールホルダ4308との間の、回転方向の位置合わせを維持するように機能し得る。
図31に示されるように、各トルクカップラ4314は、取り付けインターフェース4310から外側に突出する円筒形突出部として成形される。ノッチ4318が、円筒形突出部の外側表面エリアに沿って配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ノッチ4318の配置は、スプラインインターフェースを形成する。外科用ツール上の器具入力部は、トルクカップラ4314に対して相補的な形状を有するように構成されている。例えば、
図31には示されていないが、外科用ツールの器具入力部は、円筒形の形状であってもよく、各トルクカップラ4314上の複数のノッチ4318と相互に嵌合し、それによってノッチ4318に対してトルクを付与する、複数の隆起部を有してもよい。代替的な実施形態では、円筒形突出部の上面が、それぞれの器具入力部にある複数の隆起部と嵌合するように構成された複数のノッチ4318を含んでもよい。この構成では、各トルクカップラ4314は、それぞれの器具入力と完全に係合する。
【0237】
加えて、各トルクカップラ4314は、トルクカップラが並進することを可能にするばねに連結されてもよい。
図31の実施形態では、ばねは、各トルクカップラ4314を、取り付けインターフェース4310から離れるように、外向きに勢いよく移動させるように付勢する。ばねは、軸線方向の並進を生じさせる、すなわち、取り付けインターフェース4310から離れる方向には延伸して、外科用ツールホルダ4308に向かっては後退するように構成されている。いくつかの実施形態では、各トルクカップラ4314は、外科用ツールホルダ4308の中に部分的に後退して入ることができる。他の実施形態では、各トルクカップラ4314は、各トルクカップラの有効高さが取り付けインターフェース4310に対してゼロになるように、外科用ツールホルダ4308の中に完全に後退して入ることができる。
図31の実施形態では、各トルクカップラ4314の並進運動は、作動機構によって作動され、この作動機構については、
図35及び
図36に関連して更に詳細に説明される。様々な実施形態では、各トルクカップラ4314は、単一のばね、複数のばね、又は各トルクカップラに対するそれぞれのばねに連結され得る。
【0238】
加えて、各トルクカップラ4314は、そのトルクカップラをいずれかの方向に回転させるそれぞれのアクチュエータによって駆動される。したがって、各トルクカップラ4314が器具入力部と係合されると、各トルクカップラ4314は、外科用ツール内で、プルワイヤを締め付ける又は緩めて、外科用ツールのエンドエフェクタを操作するための力を伝達することができる。
図31の実施形態では、IDM4300は、5つのトルクカップラ4314を含むが、他の実施形態では、その数は、外科用ツールのエンドエフェクタの所望の自由度の数に応じて異なり得る。いくつかの実施形態では、無菌アダプタに連結された切開ドレープを使用して、IDM4300と外科用ツールとの間に無菌境界を形成し得る。これらの実施形態では、外科用ツールがIDM4300に固定されるときに、無菌アダプタが、取り付けインターフェース4310と外科用ツールとの間に位置付けられてもよく、無菌アダプタは、各トルクカップラ4314からそれぞれの器具入力部に、力を伝達するように構成されてもよい。
【0239】
図31に示されるIDM4300の実施形態は、外科用ロボットシステムと共に、様々な構成で使用されてもよい。所望の構成は、患者に対して実行されている外科手術のタイプ又は外科手術中に使用される外科用ツールのタイプに依存して異なるものとなり得る。例えば、IDM4300の所望の構成は、腹腔鏡手術の場合と内視鏡手術の場合とでは異なっていてもよい。
【0240】
第1の構成では、IDM4300は、外科手術中に取り付けインターフェース4310が患者より近位側になるように、外科用アームに取り外し可能に又は固定的に取り付けられてもよい。この構成(以下、「前方マウント構成」と称する)では、外科用ツールは、患者よりも近位側で、IDM4300に固定される。前方マウント構成で使用するための外科用ツールは、外科用ツールの細長体が、外科用ツールの取り付けインターフェースとは反対側から延在するような構造を有する。外科用ツールが前方マウント構成のIDM4300から取り外される際には、外科用ツールは、患者に対して近位方向に取り外される。
【0241】
第2の構成では、IDM4300は、外科手術中に取り付けインターフェース4310が患者より遠位側になるように、外科用アームに取り外し可能に又は固定的に取り付けられてもよい。この構成(以下、「後方マウント構成」と称する)では、外科用ツールは、患者よりも遠位側の側でIDM4300に固定される。後方マウント構成で使用するための外科用ツールは、外科用ツールの細長体が外科用ツールの取り付けインターフェースから延在するような構造を有する。この構成は、IDM4300からのツール除去中の患者の安全性を高めるものである。外科用ツールが後方マウント構成のIDM4300から取り外される際には、外科用ツールは、患者から遠位方向に取り外される。
【0242】
第3の構成では、IDM4300は、外科用ツールの少なくとも一部分がIDM4300の上方に位置付けられるように、外科用アームに取り外し可能に又は固定的に取り付けられ得る。この構成(以下、「上部構成」又は「貫通構成」と称する)では、外科用ツールのシャフトは、IDM4300を通って下方に延在する。
【0243】
外科用ツールの一部特定の構成は、その外科用ツールが、前方マウント構成又は後方マウント構成のいずれかのIDMと共に使用され得るような構造を有し得る。これらの構成において、外科用ツールは、外科用ツールの両端に取り付けインターフェースを含む。一部の外科手術では、医師がIDMの構成を、実行される外科手術のタイプに応じて決定し得る。例えば、腹腔鏡器具は、他の外科用ツールに対して特に長い場合があるが、後方マウント構成は、腹腔鏡手術に有益であり得る。外科手術中に外科用アームがあちこちに移動する、例えば、医師が外科用ツールの遠位端を、患者の遠隔位置(例えば、肺又は血管)に向ける場合に、腹腔鏡器具の長さが長ければ、外科用アームはより大きい弧を描いてスイングすることになる。有利なことには、後方マウント構成は、通路4312を通して細長体の一部分を受容し、それによって外科用ツールを位置付けるために外科用アームによって必要とされる動作の弧を小さくすることによって、外科用ツールの有効ツール長を減少させる。
【0244】
図33及び
図34は、一実施形態による、
図31の器具装置マニピュレータ4300に固定された、例示的な外科用ツール4500の斜視分解図を示す。外科用ツール4500は、ハウジング4502と、細長体4504と、複数の器具入力部4600と、を含む。前述したように、細長体4504は、腹腔鏡、内視鏡、又はエンドエフェクタを有する他の外科用ツールであってもよい。図示されるように、複数のトルクカップラ4314は、取り付けインターフェース4310から外側に突出し、外科用ツールの器具入力部4600と係合する。器具入力部4600の構造は、
図34に見ることができ、器具入力部4600は、確実な手術ツールの係合を保証するために、トルクカップラ4314に対応する幾何学形状を有する。
【0245】
外科手術中に、切開ドレープを使用して、IDM4300と外部環境(すなわち、手術室)との間に、無菌境界を維持してもよい。
図33及び
図34の実施形態では、切開ドレープは、無菌アダプタ4506と、第1の突出部4508と、第2の突出部4510とを備える。
図33及び
図34には示されていないが、無菌シートが、無菌アダプタ及び第2の突出部に接続され、IDM4300の周囲にゆるやかにかかり、無菌境界を形成する。
【0246】
無菌アダプタ4506は、自身がIDM4300に固定されると、IDM4300と外科用ツール4500との間に無菌インターフェースを形成するように構成される。
図33及び
図34の実施形態では、無菌アダプタ4506は、IDM4300の取り付けインターフェース4310を覆うディスク状の幾何学形状を有する。無菌アダプタ4506は、外科用ツール4500の細長体4504を受容するように構成された中央孔4508を備える。この構成では、無菌アダプタ4506は、外科用ツール4500がIDM4300に固定されたときに、取り付けインターフェース4310と外科用ツール4500との間に位置し、外科用ツール4500とIDM4300との間に無菌境界を形成し、細長体4504が通路4312を通過することを可能にする。特定の実施形態では、無菌アダプタ4506は、外科用ツールホルダ4308と共に回転すること、複数のトルクカップラ4314からの回転トルクを外科用ツール4500に伝達すること、IDM4300と外科用ツール4500との間に電気信号を通すこと、又はそれらの何らかの組み合わせを実行することが可能であり得る。
【0247】
図33及び
図34の実施形態では、無菌アダプタ4506は、複数のカップラ4512を更に含む。カップラ4512の第1の側部は、それぞれのトルクカップラ4314と係合するように構成されており、カップラ4512の第2の側部は、それぞれの器具入力部4600と係合するように構成されている。
【0248】
複数のトルクカップラ4314の構造と同様に、各カップラ4512は、複数のノッチを含む円筒形突出部としての構造を有する。カップラ4512の各側部は、それぞれのトルクカップラ4314及びそれぞれの器具入力部4600と完全に係合するための、相補的な幾何学形状を有する。いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上の器具入力部4600は、機械的入力部と称される。各カップラ4512は、それぞれのトルクカップラ4314と共に、時計回り又は反時計回り方向に回転するように構成されている。この構成により、各カップラ4512は、IDM4300の複数のトルクカップラ4314から外科用ツール4500の複数の器具入力部4600に回転トルクを伝達して、外科用ツール4500のエンドエフェクタを制御することができる。
【0249】
第1の突出部4508及び第2の突出部4510は、IDM4300の通路4312を通過し、通路4312内で互いに嵌合するように構成されている。各突出部4508、4510は、細長体4504が突出部、ひいては通路4312を通過することを可能にするような構造を有している。第1の突出部4508及び第2の突出部4510の接続により、IDM4300と外部環境(すなわち、手術室)との間に、無菌境界が形成される。
【0250】
図35は、一実施形態による、切開ドレープの無菌アダプタ4506に対する外科用ツール4500の係合及び係合解除のための作動機構の拡大斜視図を示す。
図31に関して説明したようなIDM4300の構成により、外科手術中に患者に外科用ツールを挿入する際の軸線は、外科用ツールの取り外しの際の軸線と同じである。外科用ツールの取り外し中の患者の安全性を確保するために、外科用ツール4500は、外科用ツール4500を取り外す前に、無菌アダプタ4506及びIDM4300から関節運動解除され得る。
図35の実施形態では、複数のカップラ4512は、軸線方向に並進する、すなわち、無菌アダプタ4506から離れる方向には延伸して、無菌アダプタ4506に向かっては後退するように構成されている。複数のカップラ4512の並進は、作動機構によって作動され、作動機構は、複数のカップラ4512をそれぞれの器具入力部4600から係合解除することによって、外科用ツール4500の関節運動解除を確実にする。作動機構は、楔部4702及びプッシャプレート4704を含む。
【0251】
楔部4702は、外科用ツールの係合解除のプロセス中にプッシャプレート4704を作動させる構造的構成要素である。
図35の実施形態では、楔部4702は、外科用ツール4500のハウジング4502内に、ハウジング4502の外周に沿って位置する。図示されるように、楔部4702は、プッシャプレート4704との接触が、外科用ツール4500のハウジング4502が無菌アダプタ4506に対して時計回りに回転した場合に、プッシャプレート4704を無菌アダプタ4506内に押し下げるように配向される。代替的な実施形態では、楔部4702は、外科用ツール4500のハウジング4502が時計回りではなく、反時計回りに回転するように構成されてもよい。アーチ形状の傾斜面などの楔形以外の幾何学形状は、その構造体が回転時にプッシャプレートを押し下げることができることを前提として採用されてもよい。
【0252】
プッシャプレート4704は、複数のカップラ4512を外科用ツール4500から係合解除させるアクチュエータである。複数のトルクカップラ4314と同様に、カップラ4512のそれぞれは、各カップラ4512を無菌アダプタ4506から離れる方向に外向き勢いよく移動させるように付勢する1つ又は2つ以上のばねに連結されてもよい。複数のカップラ4512は、軸線方向に並進する、すなわち、無菌アダプタ4506から離れる方向には延伸して、無菌アダプタ4506の中に後退するように、更に構成されている。プッシャプレート4704は、カップラ4512の並進運動を作動させる。プッシャプレート4704が楔部4702によって押し下げられると、プッシャプレート4704は、各カップラ4512に連結された1つ又は複数のばねを圧縮させ、その結果として、カップラ4512が無菌アダプタ4506の中に後退することになる。
図35の実施形態では、プッシャプレート4704は、複数のカップラ4512の同時後退を引き起こすように構成されている。代替的な実施形態では、複数のカップラ4512が、特定の順序又はランダムな順序で後退し得る。
図35の実施形態では、プッシャプレート4704は、複数のカップラ4512を無菌アダプタ4506の中に、部分的に後退させる。この構成により、外科用ツール4500が取り外される前に、外科用ツール4500が、無菌アダプタ4506から関節運動解除されることが可能になる。この構成により、ユーザは、外科用ツール4500を取り外すことなく、任意の所望の時点で、外科用ツール4500を無菌アダプタ4506から関節運動解除させることが可能になる。代替的な実施形態では、測定された各カップラ4512の有効高さがゼロとなるように、複数のカップラ4512を無菌アダプタ4506の中に、完全に後退させることができる。いくつかの実施形態では、プッシャプレート4704は、複数のトルクカップラ4314を、複数のそれぞれのカップラ4512と同期して後退させることができる。
【0253】
図36A及び
図36Bは、一実施形態による、外科用ツールを無菌アダプタに対して係合及び係合解除するプロセスを示す。
図36Aは、固定位置にある無菌アダプタ4506及び外科用ツール4500を示すが、これらの2つの構成要素は一つに固定され、複数のカップラ4512が、外科用ツール4500のそれぞれの器具入力部4600と完全に係合された状態である。
図36Aに示されるような固定位置を実現するために、外科用ツール4500の細長体4504(図示せず)は、外科用ツール4500と無菌アダプタ4506との嵌合表面どうしが接触するまで、無菌アダプタ4506の中央孔4508(図示せず)を通過させられ、外科用ツール4500及び無菌アダプタ4506は、ラッチ機構によって互いに固定される。
図36A及び
図36Bの実施形態では、ラッチ機構は、出っ張り4802とラッチ4804とを備える。
【0254】
出っ張り4802は、ラッチ4804を固定位置に固定する構造的構成要素である。
図36Aの実施形態では、出っ張り4802は、外科用ツール4500のハウジング4502内に、ハウジング4502の外周に沿って位置する。
図36Aに示されるように、出っ張り4802は、ラッチ4804上の突出部の下方に置かれるように配向され、それによって、
図35に関して説明したように、複数のカップラ4512の勢いよく跳び上がった状態により、ラッチ4804及びその結果無菌アダプタ4506が、外科用ツール4500から引き離されることを防止するように配向される。
【0255】
ラッチ4804は、固定位置において出っ張り4802と嵌合する構造的構成要素である。
図36Aの実施形態では、ラッチ4804は、無菌アダプタ4506の嵌合表面から突出する。ラッチ4804は、外科用ツール4500が無菌アダプタ4506に固定されたときに、出っ張り4802に当接するように構成された突出部を備える。
図36Aの実施形態では、外科用ツール4500のハウジング4502は、外科用ツール4500の残りの部分とは独立して回転することができる。この構成により、ハウジング4502は、無菌アダプタ4506に対して回転することが可能になり、それにより出っ張り4802はラッチ4804に対して固定され、その結果、外科用ツール4500が無菌アダプタ4502に固定される。
図36Aの実施形態では、ハウジング4502は、固定位置を実現するために反時計回りに回転されるが、他の実施形態では時計回りに回転するように構成されてもよい。代替的な実施形態では、出っ張り4802及びラッチ4804は、無菌アダプタ4506及び外科用ツール4500を固定位置に係止する、様々な幾何学形状を有してもよい。
【0256】
図36Bは、固定されていない位置にある無菌アダプタ4506及び外科用ツール4500を図示しており、外科用ツール4500は、無菌アダプタ4506から取り外され得る状態である。前述したように、外科用ツール4500のハウジング4502は、外科用ツール4500の残りの部分とは独立して回転することができる。この構成により、複数のカップラ4512が外科用ツール4500の器具入力部4600と係合している間でも、ハウジング4502が回転可能になっている。固定されている位置から固定されていない位置へと移行するために、ユーザは、外科用ツール4500のハウジング4502を、無菌アダプタ4506に対して時計回りに回転させる。この回転の間、楔部4702はプッシャプレート4704と接触し、プッシャプレート4704が楔部4702の角度付き平面に対して摺動する際にプッシャプレート4704を漸進的に押し下げて、複数のカップラ4512を無菌アダプタ4506の中に後退させ、複数の器具入力部4600から係合解除させる。更に回転させると、ラッチ4804が、楔部4702と同様の構造を有する軸線カム4806に接触する。ラッチ4804が回転中に軸線カム4806に接触すると、軸線カム4806は、ラッチ4804が出っ張り4802から変位するように、ラッチ4804を外科用ツール4500から離すように外向きに屈曲させる。この固定されていない位置では、複数のカップラ4512が後退させられて、
図36Bの実施形態では、外科用ツール4500が、無菌アダプタ4506から取り外され得る。他の実施形態では、軸線カム4806は、回転によってラッチ4804が外側に屈曲するような、様々な幾何学形状を有してもよい。
【0257】
代替的な実施形態では、外科用ツール4500のハウジング4502の回転方向は、ラッチ4804を出っ張り4802から固定解除するために反時計回りで回転するものとして構成されてもよい。加えて、代替的な実施形態は、同様の構成要素を含んでもよいが、構成要素の位置は、無菌アダプタ4506と外科用ツール4500との間で切り替えられてもよい。例えば、出っ張り4802が無菌アダプタ4506上に配置される一方で、ラッチ4804が外科用ツール4500上に配置され得る。他の実施形態では、無菌アダプタ4506の外側部分は、外科用ツール4500のハウジング4502ではなく、複数のカップラ4512に対して回転可能であってもよい。代替的な実施形態はまた、外科用ツール4502のハウジング4502が器具入力部4600に対して完全に回転されたときに、ハウジング4502の回転を係止するための機構を含んでもよい。この構成は、器具入力部4600がカップラ4512から関節運動解除された場合に、外科用ツールが回転するのを防止する。いくつかの実施形態では、カップラ4512の後退及び延伸は、トルクカップラ4314のそれぞれの後退及び延伸と連結され、トルクカップラ4314と係合されたカップラ4512が一緒に並進するようにしてもよい。
【0258】
図37A及び
図37Bは、別の実施形態による、無菌アダプタに対する外科用ツールの係合及び係合解除のプロセスを示す。
図37A及び
図37Bの実施形態では、無菌アダプタ4900が、外科用ツール4904を無菌アダプタ4900に固定する外側バンド4902を含んでもよい。
図37A及び
図37Bに示されるように、外科用ツール4902は、ハウジング4908の外側表面上に、傾斜面4906を備える。傾斜面4906は、ノッチ4910を含み、ノッチ4910は、無菌アダプタ4900の外側バンド4902の内側表面上に配置された円形突出部4912を、受容するように構成されている。外側バンド4902は、無菌アダプタ4900及び外科用ツール4904とは独立して、かつそれらに対して相対的に回転可能である。外側バンド4902が第1の方向に回転すると、円形突出部4912は、円形突出部4912がノッチ4910内に入れ子状態になるまで傾斜面4906の表面を滑り上がり、それによって無菌アダプタ4900及び外科用ツール4904を一緒に固定する。外側バンド4902が第2の方向に回転すると、無菌アダプタ4900及び外科用ツール4904は互いの固定を解除される。特定の実施形態では、この機構は、
図35及び
図36に関連して説明されるように、無菌アダプタ4900上の複数のカップラ4914の関節運動解除に連結されてもよい。
【0259】
外科用ツールの係合解除の代替的な実施形態は、インピーダンスモードなどの追加の機能を含んでもよい。インピーダンスモードでは、外科用ロボットシステムは、外科用ツールがユーザによって無菌アダプタから取り外され得るかどうかを制御し得る。ユーザは、外科用ツールの外側ハウジングを回転させ、外科用ツールを無菌アダプタから固定解除することによって、係合解除機構を始動させ得るが、外科用ロボットシステムは、器具入力部からカップラを解放しなくてもよい。外科用ロボットシステムをインピーダンスモードに移行させて初めてカップラが解放され、ユーザは外科用ツールを取り外すことができるようになる。外科用ツールを係合させたまま維持する利点は、外科用ツールが除去される前に、外科用ロボットシステムが外科用ツールのエンドエフェクタを制御し、ツールの除去のためにそれらを位置付け、外科用ツールへの損傷を最小化することができることである。インピーダンスモードを起動するため、プッシャプレート4704がある特定の距離まで押し込まれ得るように、プッシャプレート4704は、ハードストップを有していてもよい。いくつかの実施形態では、プッシャプレートのハードストップは、ハードストップが外科用ツールのハウジングの最大回転量と一致するように調節可能であってもよい。したがって、限度いっぱいまで回転すると、プッシャプレートによってハードストップもかかるようになっている。複数のセンサは、これらの事象を検出して、インピーダンスモードをトリガーしてもよい。
【0260】
特定の状況では、インピーダンスモードが望ましくない場合がある外科手術中に、緊急でツールを取り外すことを必要とする場合がある。いくつかの実施形態では、ハードストップが緊急時に生じ得るように、プッシャプレートのハードストップは、順応性を有してもよい。プッシャプレートのハードストップは、ばねに連結されて、追加の力に応じて、ハードストップが生じることを可能にしてもよい。他の実施形態では、プッシャプレートのハードストップは、外科用ツールを無菌アダプタに固定するラッチを取り外すことによって、緊急でツールを取り外すことができるように、剛性を有していてもよい。
【0261】
図38Aは、一実施形態による、器具装置マニピュレータ4300内で、外科用ツールホルダ4308をローリングさせるための機構の斜視図を示す。
図38Aに示されるように、取り付けインターフェース4310が取り外されて、ロール機構が露出する。この機構により、外科用ツールホルダ4308は、回転軸線4316を中心としていずれかの方向に連続的に回転又は「ローリング」することが可能になる。ロール機構は、ステータ歯車5002及びロータ歯車5004を備える。
【0262】
ステータ歯車5002は、ロータ歯車5004と嵌合するように構成された静止歯車である。
図38Aの実施形態では、ステータ歯車5002は、リングの内周に沿って歯車歯を備えるリング形状の歯車である。ステータ歯車5002は、取り付けインターフェース4310の後ろで外側ハウジング4306に固定的に取り付けられている。ステータ歯車5002は、ロータ歯車5004と同じピッチを有しており、ステータ歯車5002の歯車歯が、ロータ歯車5004の歯車歯と嵌合するように構成されている。ステータ歯車5002は、剛性材料(例えば、金属又は硬質プラスチック)から構成されてもよい。
【0263】
ロータ歯車5004は、外科用ツールホルダ4308の回転を誘導するように構成された回転歯車である。
図38Aに示されるように、ロータ歯車5004は、その外周に沿って歯車歯を備える円形歯車である。ロータ歯車5004は、ロータ歯車5004の歯車歯がステータ歯車5002の歯車歯と嵌合するように、取り付けインターフェース4310の後方及びステータ歯車5002の内周内に位置付けられる。前述したように、ロータ歯車5004及びステータ歯車5002は、同じピッチを有する。
図38Aの実施形態では、ロータ歯車5004は、ロータ歯車5004を時計回り又は反時計回り方向に回転させる駆動機構(例えば、モータ)に連結されている。駆動機構は、外科用ツールホルダアセンブリ4304内の統合コントローラから信号を受信してもよい。駆動機構がロータ歯車5004を回転させると、ロータ歯車5004は、ステータ歯車5002の歯車歯に沿って移動し、それによって外科用ツールホルダ4308を回転させる。この構成では、ロータ歯車5004は、いずれかの方向に連続的に回転することができ、その結果、外科用ツールホルダ4308が回転軸線4316を中心とした無限のローリングを実現することが可能になる。代替的な実施形態では、例えば、リング歯車及びピニオン歯車の構成などの無限のローリングを可能にするために、同様の機構を使用してもよい。
【0264】
図38Bは、一実施形態による、器具装置マニピュレータ4300の断面図を示す。
図38Bに示されるように、ロール機構は、複数のベアリング5006と連結されている。ベアリングは、可動部品どうしの間の摩擦を低減し、固定軸線の周りの回転を促進する機械的構成要素である。1つのベアリングのみでも、外科用ツールホルダ4308が外側ハウジング4306内で回転する際に、半径方向又はねじり荷重を支持することができる。
図38Bの実施形態では、IDM4300は、外科用ツールホルダ4308に固定的に取り付けられた2つのベアリング5006a、5006bを含み、ベアリング5006内の複数の構成要素(ボール又は円筒など)が外側ハウジング4306と接触するようになっている。第1のベアリング5006aは、取り付けインターフェース4310の後方の第1の端部に固定され、第2のベアリング5006bは第2の端部に固定される。この構成は、外科用ツールホルダ4308が外側ハウジング4306内で回転する際に、外科用ツールホルダ4308の第1の端部と第2の端部との間の剛性及び支持を改善する。代替的な実施形態は、外科用ツールホルダの長さに沿って、追加の支持を提供する追加のベアリングを含んでもよい。
【0265】
図38Bはまた、一実施形態による、IDM4300内の封着構成要素を示す。IDM4300は、複数のOリング5008と、2つの表面間の接合部を封止して流体が接合部に入るのを防止するように構成された複数のガスケット5010とを含む。
図38Bの実施形態では、IDMは、外側ハウジングの接合部と、外科用ツールホルダ4308内の接合部間のガスケット5010a、5010bとの間に、Oリング5008a、5008b、5008c、5008d、5008eを含む。この構成は、外科手術中に、IDM4300内の構成要素の無菌性を維持するのに役立つ。ガスケット及びOリングは、典型的には、強力なエラストマー材料(例えば、ゴム)から構成される。
【0266】
図38Cは、一実施形態による、器具装置マニピュレータの内部部品及びその一部特定の電気部品の部分分解斜視図を示す。外科用ツールホルダ4308の内部部品は、複数のアクチュエータ5102、と、モータと、歯車ヘッド(図示せず)と、トルクセンサ(図示せず)と、トルクセンサ増幅器5110と、スリップリング5112と、複数のエンコーダ基板5114と、複数のモータ電源基板5116と、統合コントローラ5118と、を含む。
【0267】
複数のアクチュエータ5102は、複数のトルクカップラ4314の各々の回転を駆動する。
図38Cの実施形態では、例えば、アクチュエータ5102a又は5102bなどのアクチュエータは、モータシャフトを介してトルクカップラ4314に連結されている。モータシャフトは、モータシャフトがトルクカップラ4314に確実に嵌合することを可能にする複数の溝を含むような、キー付きシャフトであってもよい。アクチュエータ5102は、モータシャフトを時計回り又は反時計回り方向に回転させ、それによって、それぞれ対応するトルクカップラ4314をその方向に回転させる。いくつかの実施形態では、モータシャフトは、ねじり剛性を有しながらも、ばね適合性を有していてもよく、モータシャフト及びしたがってトルクカップラ4314を回転させ、軸線方向に並進させることができる。この構成により、複数のトルクカップラ4314が、外科用ツールホルダ4308の中で、後退又は延伸することが可能になる。各アクチュエータ5102は、モータシャフトを回転させる方向及び量を示す電気信号を、統合コントローラ5118から受信してもよい。
図38Cの実施形態では、外科用ツールホルダ4308は、5つのトルクカップラ4314、及びその結果として、5つのアクチュエータ5102を含む。
【0268】
モータは、外側ハウジング4306内の外科用ツールホルダ4308の回転を駆動する。モータは、アクチュエータのうちの1つと構造的に同等であってもよいが、ただし、モータは、外側ハウジング4306に対して相対的に外科用ツールホルダ4308を回転させるために、ロータ歯車5004及びステータ歯車5002(
図38Aを参照)に連結されている。モータは、ロータ歯車5004を時計回り又は反時計回り方向に回転させ、それによってロータ歯車5004をステータ歯車5002の歯車歯の周りを移動させる。この構成により、外科用ツールホルダ4308は、ケーブル又はプルワイヤの潜在的な巻き上げによって妨げられることなく、連続的にローリング又は回転することが可能になる。モータは、モータシャフトを回転させる方向及び量を示す電気信号を、統合コントローラ5118から受信してもよい。
【0269】
歯車ヘッドは、外科用ツール4500に送達されるトルクの量を制御する。例えば、歯車ヘッドは、外科用ツール4500の器具入力部4600に送達されるトルクの量を増加させ得る。代替的な実施形態は、歯車ヘッドが器具入力部4600に送達されるトルクの量を減少させるように構成されてもよい。
【0270】
トルクセンサは、回転している外科用ツールホルダ4308上に生成されるトルクの量を測定する。
図38Cに示される実施形態では、トルクセンサは、時計回り及び反時計回り方向のトルクを測定することができる。トルク測定値は、外科用ツールの複数のプルワイヤに特定の張力を維持するために使用され得る。例えば、外科用ロボットシステムのいくつかの実施形態は、自動張力付与機能を有してもよく、外科用ロボットシステムに電力を供給するか、又は外科用ツールをIDMと係合させると、外科用ツールのプルワイヤに、張力が予めかけられる。各プルワイヤにかかっている張力の量が、閾値量に達して、プルワイヤが張るのにちょうど十分なだけの張力をかけられるようにすることができる。トルクセンサ増幅器5110は、回転する外科用ツールホルダ4308上で生成されたトルクの量を測定する信号を増幅するための回路を備える。いくつかの実施形態では、トルクセンサは、モータに装着されている。
【0271】
スリップリング5112は、静止構造体から回転構造体への電力及び信号の伝達を可能にする。
図38Cの実施形態では、スリップリング5112は、
図38Dのスリップリング5112の更なる斜視図にも示されるように、外科用ツールホルダ4308の通路4312と位置合わせされるように構成された中央孔を含むリングとしての構造を有する。スリップリング5112の第1の側部は、複数の同心溝5120を含む一方、スリップリング5112の第2の側部は、
図31に関連して説明したように、外科用アーム及びベース4302から提供される電気的接続のための複数の電気部品を含む。スリップリング5112は、これらの電気的接続に用いる空間を割り当てるための特定の距離だけ外側ハウジング4306から離れて、外科用ツールホルダ4308の外側ハウジング4306に固定される。複数の同心溝5120は、統合コントローラに取り付けられた複数のブラシ5122と嵌合するように構成されている。溝5120とブラシ5122との間の接触により、外科用アーム及びベースから外科用ツールホルダへ、電力及び信号が伝達されるのが可能になる。
【0272】
複数のエンコーダ基板5114は、外科用ロボットシステムからスリップリングを通して受信した信号を読み取り、処理する。外科用ロボットシステムから受信した信号としては、外科用ツールの回転量及び回転方向を示す信号、外科用ツールのエンドエフェクタ及び/又は手首部の回転量及び方向を示す信号、外科用ツール上の光源を動作させる信号、外科用ツール上のビデオ又は撮像装置を動作させる信号、及び外科用ツールの様々な機能を動作させる他の信号が挙げられ得る。エンコーダ基板5114のそのような構成により、信号処理全体が外科用ツールホルダ4308内で完全に実行されることが可能になる。複数のモータ電源基板5116は各々、モータに電力を供給するための回路を備える。
【0273】
統合コントローラ5118は、外科用ツールホルダ4308内の演算装置である。
図38Cの実施形態では、統合コントローラ5118は、外科用ツールホルダ4308の通路4312と位置合わせされるように構成された中央孔を含むリングとしての構造を有する。統合コントローラ5118は、統合コントローラ5118の第1の側部上に設けられた複数のブラシ5122を含む。ブラシ5122はスリップリング5112に接触し、外科用ロボットシステムから外科用アーム、ベース4302を通じて送達され、最終的にスリップリング5112を通って統合コントローラ5118に送達される信号を受信する。統合コントローラ5118は、信号を受信した結果、様々な信号を、外科用ツールホルダ4308内のそれぞれ対応する構成要素に送信するように構成される。いくつかの実施形態では、エンコーダ基板5114及び統合コントローラ5118の機能は、エンコーダ基板5114及び統合コントローラ5118が同じ機能又はそれらの何らかの組み合わせを実行し得るように、本明細書に記載されるものとは異なる方式で分散されてもよい。
【0274】
図38Dは、一実施形態による、器具装置マニピュレータの内部部品及びその特定の電気部品の部分分解斜視図を示す。
図38Dの実施形態は、2つのエンコーダ基板5114a及び5114bと、トルクセンサ増幅器5110と、3つのモータ電源基板5116a、5116b、及び5116cとを含む。これらの構成要素は、統合コントローラ5118に固定され、統合コントローラ5118から垂直に延在して、外方向に突出する。この構成は、複数のアクチュエータ5102及びモータを電気基板内に配置するための余地を提供する。
【0275】
図38Cに関して考察されるように、スリップリング5112は、外側ハウジング4306から特定の距離離れて固定される。
図38Dの実施形態では、スリップリング5112と外側ハウジング4306との間に、外科用アームとベース4302とからスリップリング5112への電気的接続のための正しい空間の割り当てを確保するために、スリップリング5112は、複数の位置合わせピン、複数のコイルばね、及びシムによって支持される。スリップリング5112は、スリップリング5112の中心孔の両側に、位置合わせピンの第1の側部を受け入れるように構成された穴5124を含み、位置合わせピンの第2の側部は、外側ハウジング4306のそれぞれ対応する穴に挿入される。位置合わせピンは、剛性材料(例えば、金属又は硬質プラスチック)から構成されてもよい。複数のコイルばねは、スリップリング5112の中心の周りに固定され、スリップリング5112と外側ハウジング4306との間の空間を橋渡し、接触を維持するように構成されている。有益なことには、コイルばねは、IDM4300に対するあらゆる衝撃を吸収し得る。シムは、スリップリング5112の中心孔の周りに位置するリング形状のスペーサであり、スリップリング5112と外側ハウジング4306との間に更なる追加の支持を提供するものである。また、これらの構成要素は、統合コントローラ5118上の複数のブラシ5122が複数の同心溝5120に接触し、当接した状態で回転する際に、スリップリング5112に安定性を提供する。代替的な実施形態では、位置合わせピン、コイルばね、及びシムの数は、スリップリング5112と外側ハウジング4306との間に所望の支持が実現されるまで変化させてもよい。
【0276】
図38Eは、一実施形態による、外科用ツールホルダ4308をロール割り出しするための器具装置マニピュレータ4300の電気部品の拡大斜視図を示す。回転割り出しでは、外科用ツール4500の位置及び配向を、外科用ロボットシステムが連続的に認識するように、外側ハウジング4306に対する外科用ツールホルダ4308の相対的位置をモニタリングする。
図38Eの実施形態は、マイクロスイッチ5202及びボス5204を含む。マイクロスイッチ5202及びボス5204は、外科用ツールホルダ4308内に固定される。ボス5204は、外科用ツールホルダ4308が回転する際にマイクロスイッチ5202と接触し、ボス5204と接触するたびにマイクロスイッチを作動させるように構成された外側ハウジング4306上の構造物である。
図38Eの実施形態では、マイクロスイッチ5202の単一の基準点として機能する1つのボス5204が存在する。
【0277】
腹腔鏡手術、内視鏡手術、及び腔内手術に使用される器具を含む、様々なツール又は器具をIDM4300に取り付けることができる。本明細書に記載される器具は、挿入のためにロボットアームに依存することを減らす、器具ベースの挿入アーキテクチャを含むという意味で、特に新規である。換言すれば、器具の挿入(例えば、手術部位に向かう)は、器具の設計及びアーキテクチャによって容易化することができるということである。例えば、器具が細長いシャフト及びハンドルを備えるいくつかの実施形態では、器具のアーキテクチャは、挿入軸線に沿って細長いシャフトがハンドルに対して並進することを可能にする。
【0278】
本明細書に記載される器具は、多くの問題を緩和する、器具ベースの挿入アーキテクチャを組み込んでいる。器具ベースの挿入アーキテクチャを組み込まれていない器具は、挿入のためにロボットアーム及びそのIDMに依存することになる。この構成では、器具の挿入を実現するために、IDMを内外に移動させることを必要とする場合があり、これは、制御された方法で追加の質量を移動させるための、追加のモータパワー及びアームリンクのサイズを必要とする。加えて、体積がより大きくなると、はるかに大きい行程容積を作り出すことになり、その結果、動作中に衝突をもたらす可能性がある。器具ベースの挿入アーキテクチャが組み込まれたことによって、本明細書に記載される器具は、典型的には、器具自体(例えば、そのシャフト)が挿入軸線に沿って移動し、ロボットアームへの依存がより少なくなるため、スイング質量が低減されることになる。
【0279】
本明細書に記載される器具のいくつかの実施形態は、器具の挿入を可能にするだけでなく、干渉を伴わずに器具のエンドエフェクタを作動させることも可能にする、新規な器具ベースの挿入アーキテクチャを有してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、器具は、エンドエフェクタを作動させるための第1の作動機構と、挿入軸線に沿った器具の一部分(例えば、シャフト)の並進を引き起こす第2の作動機構と、を備える。第1の作動機構は、有利なことには、第2の作動機構から分離され、エンドエフェクタの作動が器具の挿入によって影響されず、逆もまた同様であるようになっている。
【0280】
図39は、一実施形態による、器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具の側面図を示す。器具5200の設計及びアーキテクチャにより、挿入のためのロボットアームの動きへの依存を少なくしながら、器具(例えば、そのシャフト)が挿入軸線に沿って並進することが可能になっている。
【0281】
器具5200は、細長いシャフト5202と、シャフト5202に接続されたエンドエフェクタ5212と、シャフト5202に連結されたハンドル5220とを備える。細長いシャフト5202は、近位部分5204と遠位部分5206とを有する管状部材を備える。細長いシャフト5202は、その外側表面に沿った1本又は2本以上のチャネル又は溝5208を備える。シャフト5202の断面図で最も視認可能な溝5208は、それを通して1本又は2本以上のワイヤ又はケーブル5230を受容するように構成されている。したがって、1本又は2本以上のケーブル5230は、細長いシャフト5202の外側表面に沿って延びることになる。他の実施形態では、ケーブル5230はまた、
図49の概略図に示されるように、シャフト5202を貫通して延びてもよい。いくつかの実施形態では、シャフト5202を貫通するケーブル5230は、露出していない。いくつかの実施形態では、これらのケーブル5230のうちの1つ又は2つ以上の操作(例えば、IDM4300を介した操作)により、エンドエフェクタ5212の作動がもたらされる。
【0282】
エンドエフェクタ5212は、手術部位に効果を提供するように設計された1つ又は2つ以上の腹腔鏡、内視鏡又は腔内用構成要素を備える。例えば、エンドエフェクタ5212は、手首部、把持器具、歯、ピンセット、はさみ、又はクランプを備えることができる。
図39に示される本実施形態では、シャフト5202の外面上の溝5208に沿って延在する1本又は2本以上のケーブル5230が、エンドエフェクタ5212を作動させる。1本又は2本以上のケーブル5230は、シャフト5202の近位部分5204から、ハンドル5220を通って、シャフト5202の遠位部分5206に向かって延在し、そこでエンドエフェクタ5212を作動させる。
【0283】
器具ベースとも称され得る器具ハンドル5220は、一般に、IDM4300の取り付けインターフェース4310上の1つ又は2つ以上のトルクカップラ4314(
図31に図示)と相互に嵌合されるように設計された、1つ又は2つ以上の機械的入力部5224(例えば、レセプタクル、プーリ、又はスプール)を有する取り付けインターフェース5222を備えてもよい。取り付けインターフェース5222は、前方マウント、後方マウント、及び/又は上部マウントを介して、IDM4300に取り付けることができる。物理的に接続、ラッチ、かつ/又は連結されると、器具ハンドル5220の嵌合された機械的入力部5224は、IDM4300のトルクカップラ4314と回転軸線を共有することができ、それによって、IDM4300から器具ハンドル5220へのトルクの伝達が可能になる。いくつかの実施形態では、トルクカップラ4314は、機械的入力部上のレセプタクルと嵌合するように設計されたスプラインを含んでもよい。エンドエフェクタ5212を作動させるケーブル5230は、ハンドル5220のレセプタクル、プーリ、又はスプールと係合し、それにより、IDM4300から器具ハンドル5220へのトルクの伝達が、エンドエフェクタの作動をもたらすこととなる。
【0284】
器具5200のいくつかの実施形態は、エンドエフェクタ5212の作動を制御する第1の作動機構を備える。このような第1の作動機構の一実施形態が、
図40に概略的に例示されている。加えて、器具5200は、シャフト5202が挿入軸線に沿ってハンドル5220に対して並進することを可能にする第2の作動機構を含む。このような第2の作動機構の一実施形態が、
図45に示されている。有利なことには、第1の作動機構は第2の作動機構から分離され、エンドエフェクタ5212の作動がシャフト5202の並進によって影響されず、逆もまた同様であるようになっている。ツール又は器具5200に組み込むことができる第1及び第2の作動機構の実施形態は、
図40~
図48に関連して以下により詳細に記載される。
【0285】
図40は、一実施形態による、エンドエフェクタを作動させるための第1の作動機構を示す概略図を示す。いくつかの実施形態では、第1の作動機構は、N+1とおりの手首部動作を提供し、ここで、Nは、N+1本のケーブルによって提供される自由度の数である。エンドエフェクタ5212を作動させるための第1の作動機構は、少なくとも1組のプーリ5250を通って延在する、少なくとも1本のケーブル又はケーブルセグメント5230aを備える。本実施形態では、第1のケーブル又はケーブルセグメント5230aはプーリ部材5250a、5250b、5250cを通って延在し、一方、第2のケーブル又はケーブルセグメント5230aは、プーリ部材5250d、5250e、5250fを通って延在する。少なくとも1本のケーブル5230aは、シャフト5202の近位端5205又はその付近で接地された後、少なくとも1組のプーリ5250(ハンドル5220内に位置する)を通って延在してから、エンドエフェクタ5212で終端する。ケーブルの総経路長は、各ケーブル5230aをシャフト5202の近位端5205又はその付近で接地することによって一定に保たれ、相対的長さの変更は、プーリ(例えば、プーリ部材5250b及び5250e)を互いに対して移動させることによって行われ(矢印を参照)、それによってエンドエフェクタ5212の作動が可能にされる。いくつかの実施形態では、プーリは、対応する機械的入力部5224の直線的動作又は回転動作を介して移動させることができる。この第1の作動機構は、有利なことには、作動プーリ5250に対する器具シャフト5202の自由な移動(以下に記載される第2の作動機構によって実現される)を可能にし、それによって、エンドエフェクタ5212の作動と同時に器具シャフト5202の挿入及び後退を可能にするための追加のケーブルが含まれることが可能になる。
【0286】
図41は、一実施形態による、
図39の器具の第1の作動機構の拡大側面図を示す。第1の作動機構は、
図40に示される概略図に対応し、その第1の作動機構は、別の第2の作動機構が、ハンドル5220に対してシャフト5202を並進させるのを可能にしながら、エンドエフェクタ5212の作動を引き起こすように設計されている。
図41に示されるように、ハンドル5220は、1組のベアリング、スプール、プーリ又はプーリ部材5250a、5250b、5250c、5250d、5250eを含む(なお、プーリ5250a、5250b、5250cは
図40の同じ一組のプーリに対応する)。ケーブル5230aは、プーリ5250a、5250d、5250b、5250e、5250cを通って延在する。機械的入力部(
図41の5224’として識別される)の操作は、プーリ5250d、5250b、5250eの回転動作を引き起こす。プーリ5250d、5250b、5250eの回転動作は、ハンドル5220内に受容されるケーブル5230の量を変化させ、それによってエンドエフェクタを作動させる。ケーブル5230a上のプーリの回転動作の効果を、
図43及び
図44に示す。回転動作の方向に応じて、プーリ5250d、5250eは、ハンドル5220内にケーブル5230を巻き取る(又は「引き取る」)か、あるいはハンドル5220内のケーブル5230aの巻をほどいて「送り出す」か、のいずれかを行うことができる。いずれにしても、ケーブル5230aの長さがハンドル5220内で変化し、それによってエンドエフェクタ5212の作動を引き起こす。
図41の実施形態は、回転動作によって修正されるプーリシステムを描写しているが、他の実施形態では、プーリシステムは、直線的動作及び/又は回転動作によって修正され得る。加えて、当業者であれば、ハンドル5220内のケーブル5230aの量の、長さでの変化もまた、ケーブル張力を変化させることができることを理解するであろう。
【0287】
図42は、一実施形態による、
図39の器具の第1の作動機構の拡大斜視図を示す。この図から、プーリ5250a、5250cのスプールを含む、プーリ5250a~5250eの異なる詳細を見ることができる。
【0288】
図43及び
図44は、一実施形態による、
図39の器具のプーリ部材5250eの作動前及び作動後の、プーリ部材5250e及びケーブルの正面図を示す。機械的入力部5224’にトルクを印加すると、プーリ5250e、5250b、及び5250dが回転する。
図43に示されるように、プーリ5250eの作動前、ケーブル5230aは、プーリ5250eの片側に沿って延びることができる。
図44に示されるように、プーリ5250eの作動後には、ケーブル5230aはプーリによって引き取られ、それによってハンドル5220内のケーブル5230aの量を増加させて、エンドエフェクタの作動を引き起こす。
【0289】
図39~
図44の実施形態は、相対的ケーブル長を変化させるために回転軸線上に取り付けられた1つ又は2つ以上のプーリを開示しているが、他の実施形態では、位置を調節するためにレバー、歯車、又はトラックベースのシステム上にプーリを装着することが、追加の選択肢となっている。加えて、ツールの長さ方向に移動するボールスプライン回転シャフトもまた、機械的には遠隔の方法で力を伝達するために使用され得る。
【0290】
図45は、一実施形態による、シャフト並進のためのスプールを含む第2の作動機構の側面図を示す。第2の作動機構は、ハンドル5220に対してシャフト5202を、挿入軸線に沿って並進させるように設計されている。エンドエフェクタ5212を作動させる第1の作動機構と同様に、第2の作動機構もまた、ハンドル5220内に組み込まれ得る。
【0291】
第2の作動機構は、一組のスプール5270a、5270b、5270c、5270dに係合する、ケーブル又はケーブルセグメント5230bを備える。ケーブル5230bの一端は、シャフト5202の近位端5205又はその近くに取り付けられ得る一方で、ケーブル5230bの他端は、シャフト5202の遠位端5207又はその付近に取り付けられ得る。ケーブル5230bは、スプール5270bが巻取車軸である、スプール5270a、5270b、5270cの組を通って延在する。ハンドル5220の機械的入力部を回転させることにより、巻取車軸が回転し、それにより、ケーブル5230bを巻取車軸内に、及び巻取車軸外に駆動する。ケーブル5230bが巻取車軸の内外に駆動されると、これにより、シャフト5202が、ハンドル5220に対して並進する。有利なことには、シャフト5202の近位端及び遠位端の両方に取り付けられたケーブル5230bに十分な張力を事前にかけておくことによって、ケーブル5230bを内外に駆動するために摩擦力を利用でき、それによってシャフト5202をハンドル5220に対して滑りを起こすことなく動かすことができる。
【0292】
本実施形態では、巻取車軸5270bは、ゼロウォーク型巻取車軸を含む。他の実施形態、例えば
図46及び
図47に示されるようなものでは、ケーブルのウォークを可能にすることができる巻取車軸を、ハンドル5220に組み込むことができる。ゼロウォーク型巻取車軸アーキテクチャは、巻取車軸5270bを横切るケーブルのウォーク(ケーブルの全体の経路長に影響を及ぼしかつ張力を変化させ得る)を防止するために、溝上の螺旋角なしで巻取車軸5270bの周りのケーブル5230bの複数のラップを管理するのに役立つ。巻取車軸5270bの隣の傾斜上に追加のプーリ5270dを配置することにより、巻取車軸5270b上の平行経路にリダイレクトすることができ、巻取車軸5270b上のケーブル5230bのウォーク動作が消滅する。
【0293】
図46及び
図47は、
図45に示されるゼロウォーク型巻取車軸の代替的な実施形態を提示するものである。これらの実施形態では、シャフトの挿入を駆動する巻取車軸は、第2の作動機構のアーキテクチャに組み込むことができる、大型の巻取車軸5270eである。駆動巻取車軸5270eが十分に大型であり、かつ挿入ストロークが十分に小さい場合には、巻取車軸の回転数は小さくなる。例えば、22mmの駆動巻取車軸5270e及び350mmの挿入ストロークの場合には、完全挿入範囲の巻取車軸5270eの回転数は、5回転である。巻取車軸5270eのケーブルのウォーク範囲と比較して、十分に大きい距離だけケーブルが移動する場合、ケーブル上のフリート角及び挿入中の経路長の変化は、無視できるほど小さくなる。いくつかの実施形態では、フリート角は、±2度の間であり得る。
【0294】
図46は、一実施形態による、シャフト並進のために単一のケーブルを使用する、代替的なスプールの斜視図を示す。代替的なスプールは、単一のケーブル5230bによって係合される大型の巻取車軸5270eを備える。この実施形態では、シャフト挿入駆動を作動させるために、単一のケーブル5230bは、駆動するのに十分な巻取車軸摩擦を得るのに十分大きいラップ角を有する。いくつかの実施形態では、単一のケーブル5230bは、連続的であり、巻取車軸5270eの周囲に複数回(例えば、3、4回以上)巻き付いて、巻取車軸を駆動し挿入を駆動するのに十分大きいラップ角度を得ている。
【0295】
図47は、一実施形態による、シャフト並進のために2本以上のケーブルを使用する、代替的なスプールの斜視図を示す。代替的なスプールは、単一のケーブル5230bの2つの別個のセグメント5230b’、5230b’’によって係合される大型の巻取車軸5270eを備える。セグメント5230b’、5230b’’の各々は、巻取車軸5270e上で終端する。
図46の実施形態とは異なり、本実施形態は、シャフトの挿入を駆動するために、巻取車軸の摩擦には依存しない。この実施形態では、ケーブル5230bは、外側に螺旋状になってから、上部及び底部の両方でスプールに終端される。
図47に示される二重終端アプローチの利点は、ケーブル張力の損失に対して回復力に富んでいるということである。二重終端アプローチは、摩擦ではなく確動係合に依存するので、スリップは起こり得ない。
【0296】
図48は、一実施形態による、
図46のスプールを含むハンドルの正面図を示す。この図から、ハンドル5220内のスプール(例えば、巻取車軸5270e)の取り得る位置の1つを見ることができる。有利なことには、エンドエフェクタ5212を作動させるために、追加のスプール及びプーリをハンドル5220内に提供することができる。例えば、
図40に示されるエンドエフェクタ作動のためのプーリシステムを、
図48のハンドルの中に組み込むことができる。したがって、ハンドル5220は、エンドエフェクタの作動及び駆動挿入の両方又はいずれか一方のための、複数の機構を組み込むことができる。
図48に示されるように、ケーブル5230を巻取車軸5270e上に案内する1つ又は2つ以上のプーリは、ケーブル距離を増加させるためにハンドルを横切って位置している。巻取車軸5270eのケーブルのウォーク範囲と比較して、十分に大きい距離だけケーブルが移動する場合、ケーブル上のフリート角及び挿入中の経路長の変化は、無視できるほど小さくなる。いくつかの実施形態では、従来の螺旋型巻取車軸を用いて、長さの変化及びフリート角を最小に保つことが可能である。
【0297】
図49は、一実施形態による、エンドエフェクタの作動及びシャフトの挿入のための代替的なアーキテクチャを示す概略図を示す。このアーキテクチャは、エンドエフェクタを作動させるための第1の作動機構と、シャフト挿入のための第2の作動機構とを組み込んでいる。先に説明した実施形態と同様に、第1の作動機構及び第2の作動機構は連結解除されても、エンドエフェクタの作動がシャフト挿入に影響を与えず、逆もまた同様である。しかしながら、
図40の実施形態では、第1の作動機構が、エンドエフェクタを作動させるための1本又は2本以上のケーブルが、シャフトの近位部分及び遠位部分で終端しているが、本実施形態では、第1の作動機構が、挿入スプール(シャフト挿入のための第2の作動機構の一部としても使用される)で終端する、エンドエフェクタを作動させるための1本又は2本以上のケーブルを備える。このアーキテクチャの結果として、第2の作動機構を介したシャフト挿入の間、挿入スプールによって巻かれる1本以上のケーブルは、挿入スプールによって巻きをほどかれる1本以上のケーブル(エンドエフェクタを作動させるための第1の作動機構で使用される)の長さによって実質的に相殺される。第1の作動機構を介したエンドエフェクタの作動の間、挿入スプールから来るケーブルの経路長がトレードオフされる。
【0298】
図49に示されるように、エンドエフェクタ作動及びシャフト挿入のための代替的なアーキテクチャは、エンドエフェクタが位置する近位部分5304と遠位部分5306とを有するシャフト5502を備える。1つ又は2つ以上のスプール5370a、5370b、5370c、5370d、5370e(それらはハンドルの一部である)は、シャフト5502の周りに位置付けられている。スプール5370cは、挿入スプールを備える。挿入スプール5370cが第1の方向へ回転すると、ハンドルに対して第1の方向(例えば、挿入方向)へ、シャフトが並進させられる一方で、挿入スプール5370cが第2の方向に回転すると、ハンドルに対して第2の方向(例えば、後退方向)へ、シャフトが並進させられる。1本又は2本以上のケーブル又はケーブルセグメント5330aは、その一方の端部が、エンドエフェクタ(例えば、手首部)で終端し、他方の端部が、挿入スプールで終端する。1つ又は2つ以上の追加のケーブル又はケーブルセグメント5330bはまた、シャフト5502の遠位部分5306で、その近くで、又はそこに向かって終端する前に、挿入スプール5370cに端を発する。
【0299】
本実施形態では、直線的動作又は回転動作による、1つ又は2つ以上のスプール(例えば、スプール5370a、5370d)の操作が、ハンドル内の1本又は2本以上のケーブル5330aの長さの変化を引き起こす、第1の作動機構が提供される。いくつかの実施形態では、ハンドル内の1本又は2本以上のケーブル5330aの長さの変化は、ハンドル内の1本又は2本以上のケーブル又はケーブルセグメントの経路長の変化を含み得る。この第1の作動機構では、1本又は2本以上のケーブル5330aは、「エンドエフェクタ」ケーブルと見なすことができる。エンドエフェクタの作動を引き起こすハンドル内の1本又は2本以上のケーブル5330aの長さのいかなる変化も、1本又は2本以上のケーブル5330bの長さによって相殺される。
【0300】
本実施形態では、直線的動作又は回転動作による挿入スプール5370cの操作が、ハンドル内の1本又は2本以上のケーブル5330bの長さの変化を引き起こす、第2の作動機構が提供される。この第2の作動機構では、1本又は2本以上のケーブル5330bは、「挿入」ケーブルと見なすことができる。シャフトの挿入又は後退を引き起こす、ハンドル内での1本又は2本以上のケーブル5330bの長さのいかなる変化も、1本又は2本以上のケーブル5330aの長さによって相殺される。挿入及び後退が進行している下では、1本又は2本以上の挿入ケーブル5330bが巻き取られる際に、等しい量の1本又は2本以上のエンドエフェクタケーブル5330aが払い出されるため、張力が維持される。1本又は2本以上のエンドエフェクタケーブル5330aの相対的な経路長は不変のままであるため、エンドエフェクタは挿入下では動かない。
【0301】
図50Aは、一実施形態による、
図49のエンドエフェクタの作動及びシャフトの挿入のための代替的なアーキテクチャを組み込んだ器具の拡大正面図を示す。
図50Bは、
図49のエンドエフェクタの作動及びシャフトの挿入ための代替的なアーキテクチャを組み込んだ器具の上面斜視図を示す。器具5300は、
図49に示される第1及び第2の作動機構を組み込んでおり、1つ又は2つ以上のスプール5370a~5370eに各々対応する1つ又は2つ以上の機械的入力部5324を備えるハンドル5320を含み、スプール(5370c)のうちの少なくとも1つが、挿入スプールを備える。1本又は2本以上のケーブル又はケーブルセグメント5330a’、5330a’’、5330a’’’、及び5330a’’’’は各々、別個の機械的入力部5324に対応するが、駆動スプール5370cで終端する。これらのケーブル5330a’、5330a’’、5330a’’’、及び5330a’’’’の各々は、1本又は2本以上のケーブル5330a(
図49の概略図に示される)に類似する1つ又は2つ以上のスプールと係合することができる。第1の作動機構では、これらのケーブルは、エンドエフェクタケーブルとして機能し得るが、対応する機械的入力部5324の操作がハンドル内のケーブルの長さの変化を引き起こすようになっている。いくつかの実施形態では、ハンドル内の1本以上のケーブルの長さの変化は、ハンドル内の1本以上のケーブル又はケーブルセグメントの経路長の変化を含み得る。いくつかの実施形態では、ハンドル内のケーブルの経路長が変更される。場合によっては、ハンドル5320内の、エンドエフェクタを作動させる1本又は2本以上のケーブル5330a’、5330a’’、5330a’’’、5330a’’’’の長さの変化は、
図49の同様の参照ケーブル5330bと類似しているケーブル5330bの長さによって相殺される。他の例では、純粋なエンドエフェクタ作動下では、ハンドル内のケーブル5330bの長さは変化しない。第2の作動機構では、ケーブル5330bは、挿入ケーブルとして機能することができるが、その対応する機械的入力部5324の操作が、ケーブル5330bを挿入スプール5370cの周囲に巻き付ける。シャフト挿入を引き起こす、挿入スプール5370cの周りに巻かれたケーブル5330bの量は、1本又は2本以上のケーブル5330a’、5330a’’、5330a’’’、5330a’’’’の巻きがほどかれている部分の長さによって相殺される。
【0302】
図51は、一実施形態による、器具のハンドル及びシャフトの上面斜視図を示す。シャフト5202は、ハンドル5220に対して並進可能である。この図から、回転するときにエンドエフェクタを作動させる1つ又は2つ以上の機械的入力部5224を見ることができる。加えて、回転すると、ハンドル5220に対するシャフト5202の、挿入軸線に沿った並進を可能にする1つ又は2つ以上の機械的入力部5324も見ることができる。取り付けインターフェース5222は、例えば、IDM4300の取り付けインターフェース4310上の1つ又は2つ以上のトルクカップラ4314(
図31に示される)と相互に嵌合するように設計された、1つ又は2つ以上の機械的入力部5224、5324、例えば、レセプタクル、プーリ、又はスプールを含む。
【0303】
図52Aは、
図40に示される挿入アーキテクチャを用いる器具シャフトの断面の概略図を示し、
図52Bは、
図49に示す代替的な挿入アーキテクチャを用いる器具シャフトの断面の概略図を示す。図示されていないが、
図52A及び
図52Bの断面の各々は、その内部を通って延在する開口部又はルーメンを含む。
図52Aに示されるように、
図40の挿入アーキテクチャは、シャフト5202の外面に沿って延在する溝又はチャネル5208を通って延在する、1本又は2本以上のケーブル5230をもたらす。対照的に、
図52Bに示されるように、
図49の挿入アーキテクチャは、シャフト5202の外面に沿った、より少ない数の溝又はチャネル1308(ここでは単一のチャネル)を通って延在する、1本又は2本以上のケーブル5330bをもたらす。これは、
図49の代替的なアーキテクチャでは、ケーブルは、シャフト5502の本体内に延在するようにより傾斜しているためである。例えば、シャフト5502の外側にはエンドエフェクタケーブルは存在しない。シャフト5502の外側に延在するケーブルが少なくなると、
図49のアーキテクチャは、外側表面上に延在する溝又はチャネルが少ない、全体的なより滑らかなシャフト表面をもたらすことができる。
【0304】
上述のアーキテクチャ(例えば、
図40及び
図49に示されるアーキテクチャ)を使用して、エンドエフェクタを作動させ、器具の挿入に適応することができる。加えて、これらのアーキテクチャは、外科手術を支援するために、特定のタイプの器具に組み込むことができる。
【0305】
このような器具の1つは、血管シーラである。血管シーラでは、ナイフ又はカッターが組織を切断するために駆動され得る。いくつかの実施形態では、ナイフの動作は、回転動作である。他の実施形態では、ナイフの運動は、並進動作である。
図53~
図55は、血管シーラを介してナイフを駆動するために、血管シーラ器具に組み込むことができる異なるアーキテクチャを示す。これらの図に示されるアーキテクチャは、
図40に示されるアーキテクチャ及び関連する機構と同様であるが、他の実施形態では、アーキテクチャは、
図49に示されるアーキテクチャ及び関連する機構と同様であり得る。
【0306】
図53~
図55は、血管シーラ内でナイフを駆動するための異なるアーキテクチャを示す概略図である。アーキテクチャは、ケーブルどうしの間での経路長の差を生じさせ、この差動経路長変化をナイフの直線的動作に変換させる。
図53及び
図54の実施形態では、2本のケーブル5430a、5430bが、反対方向の張力で配置されているが、
図55の実施形態では、単一のケーブル5430とばね5490とが反対方向の張力で使用される。2本のケーブルが反対方向の張力で配置される実施形態では、ナイフの直線的動作は、両方の差を、同じ入力軸上で、しかし反対方向にする(例えば、一方は巻き込み緩め用ケーブルとし、他方は巻き込み用ケーブルとする)ことによって実現される。二重の対向するケーブルを用いるアプローチはまた、張力ループを閉鎖するために、リダイレクトプーリを利用するが、このリダイレクトプーリは、シャフトの近位端に若しくは近位端の近くに、又はシャフトの遠位端に若しくは遠位端の近くに取り付けられ得る(
図53及び
図54にそれぞれ示されている)。引っ張って出し入れされるケーブルを設けると、ナイフをケーブルのあるセクションに連結して、ナイフを出し入れする運動を生じさせることができる。
【0307】
図53は、血管シーラ5480内でナイフ5482を駆動するためのアーキテクチャを示す概略図を示す。このアーキテクチャは、第1のケーブル5430a及び第2のケーブル5430bを含み、第1のケーブル5430a及び第2のケーブル5430bには、反対向きの張力がかかっている。そのアーキテクチャは、第1のケーブル5430aによって係合される1つ又は2つ以上のスプール又はプーリ部材5470a、5470b、5470cと、第2のケーブル5430bによって係合される1つ又は2つ以上のスプール又はプーリ部材5470d、5470e、5470fと、張力ループを閉鎖するリダイレクトスプール又はプーリ5470gと、を更に備える。リダイレクトプーリ5470gは、シャフトの近位部分又はその近くに配置される。第1のケーブル5430a及び第2のケーブル5430bに互いに反対方向の張力がかかる状態で、ナイフ5482が、細長い部材5484などのコネクタを介してケーブル(例えば、第1のケーブル5430a)のあるセクションに連結され、それによって、血管シーラ5480に対してナイフ5482が出し入れされる動作を作り出すことができる。いくつかの実施形態では、細長い部材5484は、プッシュロッドを備える。他の実施形態では、細長い部材5484は、座屈することなく、駆動圧縮力に耐える。
【0308】
図54は、血管シーラ内でナイフを駆動するための代替的なアーキテクチャを示す概略図を示す。このアーキテクチャは、
図53に示したものに類似している。しかしながら、本実施形態では、リダイレクトプーリが、シャフトの遠位部分又はその近くに配置される。
【0309】
図55は、血管シーラ内でナイフを駆動するための更に別の代替的なアーキテクチャを示す概略図を示す。
図53及び
図54に示されている先の実施形態とは異なり、本実施形態におけるアーキテクチャは、ばね5490と反対方向の張力がかかる単一のケーブル5430を用いている。このアーキテクチャは、第1のケーブル5430aによって係合される1つ又は2つ以上のスプール又はプーリ部材5470a、5470b、5470cを更に備える。ケーブル5430にばね5490とは反対方向の張力がかかっている状態で、ナイフ5482がケーブル5430のあるセクションに連結され、それによって、血管シーラ5480に対してナイフ5482が出し入れされる動作を作り出すことができる。
【0310】
挿入器具として機能することができる別の装置はカメラである。カメラは、内視鏡手術に使用することができる。このアーキテクチャは、カメラが剛性カメラ又は関節運動式カメラであるかどうかによって変化させることができ、関節運動式カメラの場合には、関節運動の作動手段が提供されなければならない。
【0311】
図56は、剛性カメラを挿入器具とするためのアーキテクチャを示す概略図を示す。カメラ5500は、インターフェースボタン及びそれから出てくるケーブルを有するカメラハンドル5530に、シャフト5502によって接続された遠位側撮像ペイロードを備える。ケーブル5530は、シャフト5502の外側に形成されたチャネル又は溝内に受容される一方、挿入ハンドル5520はシャフト5502の周囲に配置される。これにより、挿入能力を有効にする第2のハンドルが内視鏡に事実上追加される。ケーブル5530は、1つ又は2つ以上のスプール5570a、5570b、5570cを通って延在する。本実施形態では、スプール5570bが巻取車軸であり得る。いくつかの実施形態では、巻取車軸は、ゼロウォーク型巻取車軸を含む(
図45に示されるように)ことができ、他の実施形態では、巻取車軸は、ケーブルウォークを可能にする(
図46及び
図47に示されるように)ことができる。巻取車軸機構を介して、カメラは挿入軸線に沿って並進することができる。いくつかの実施形態では、コアペイロードは、同じ封止アーキテクチャを剛性スコープとして維持するため、同じ方法で滅菌されることが期待され得る。剛性スコープの場合、上記のことはオートクレーブ処理され得ることを意味する。追加の挿入ハンドル5520もまた、滅菌の観点からは、器具のように見える場合があり、同様にオートクレーブ処理することができる。
【0312】
図56は、剛性カメラを挿入器具とするためのアーキテクチャを示しているが、関節運動を提供するためにカメラに機構が追加されるため、関節運動式カメラは追加的な複雑性を提示することになる。関節運動式カメラの場合、関節運動に適応するために、1本又は2本以上のケーブル(例えば、作動ケーブル又は手首部ケーブル)が提供され得る。カメラはまた、封止されたエリア内に収容されてもよく、そのため、外側の1本又は2本以上のケーブルを動かそうとする場合には、その1本又は2本以上のケーブルを除くカメラ用の密閉区画を作製することもできる。このアーキテクチャにより、いくらかの粒子及び破片が封止された領域内の小さい空間に入ることが可能であり得る。いくつかの実施形態では、汚染を防止するための1つの解決策は、関節運動のためのIDMに依存するのではなく、封止されたカメラ領域内に2つの関節運動用モータを追加することであり得る。これにより、チューブの外側からケーブルを取り、それらを封止された内部に入れることによって、カメラ構成要素の洗浄及び封止を大幅に簡素化する。2つの関節運動用モータを、封止されたカメラ内に追加することの別の利点は、カメラがビジョンボックスに繋がれるとすぐにカメラの関節運動を制御することができるようになることである。これにより、設置又は取り外し中にカメラを真っ直ぐに保つ機能、及びロボットから離れての使用中に、カメラをカメラハンドルから関節運動させて周囲を見ることができる機能が可能になる。これにより、関節運動式カメラは、オートクレーブ処理が可能であるため、滅菌という観点からは、剛性カメラに大いに類似したものとなる。
【0313】
カメラがオートクレーブ処理できない場合、封止されたカメラコア及び挿入セクションは、洗浄及び挿入のためには、互いに分離される必要があり得る。これは、確実な滅菌を達成するためには、挿入ハンドルをオートクレーブ処理することが望ましいからである。
図57は、カメラが挿入ハンドルから分離されることを可能にする第1の挿入アーキテクチャを示す。
図58及び
図59は、カメラが挿入ハンドルから分離されることを可能にし、それによってより良好な滅菌を可能にする第2の挿入アーキテクチャを示す。
【0314】
図57は、カメラが挿入ハンドルから分離されることを可能にする第1の挿入アーキテクチャを示す。このアーキテクチャは、IDMにラッチし、カメラコア1600から分離可能な、オートクレーブ処理可能な挿入ハンドル5620を有する。カメラコア1600は、ハンドル5620を通って延在するシャフト5602を備える。ハンドル5620は、スプール5670a、5670b、5670c、5670dを通って延在する、1本又は2本以上のワイヤ5630a、5630bを備える。本実施形態では、スプール5670bは、巻取車軸を備える。いくつかの実施形態では、スプール5670bは、親ねじを備える。いくつかの実施形態では、巻取車軸は、ゼロウォーク型巻取車軸(
図45に示されるようなもの)であり、他の実施形態では、巻取車軸はケーブルのウォークを可能にするものである。挿入ハンドル5620は、コネクタ5640を介して、カメラコア5600に取り外し可能に取り付けられ得る。いくつかの実施形態では、コネクタ5640は、ブラケットを備える。他の実施形態では、コネクタ5640は、カメラがラッチする垂直プレートを備える。挿入ハンドル5620がカメラコア1600に取り外し可能に取り付けられるので、各々が、洗浄のために分離されることができる。
【0315】
図58及び
図59は、カメラが挿入ハンドルから分離されることを可能にする第2のアーキテクチャを示す。本実施形態では、オーバーチューブ5780が提供され、オーバーチューブ5780には挿入ケーブル5730が取り付けられ、またオーバーチューブ5780を通じて、カメラ5700が処置のために装填され得る。
図60は、オーバーチューブ5780から取り外され、分離されたカメラ5700を示し、
図61は、オーバーチューブ5780内に装填されたカメラ5700を示す。カメラ5700をオーバーチューブの中に装填するために、カメラ5700の遠位先端5706及びシャフト5702が、オーバーチューブ5780を貫通する。オーバーチューブ5780は、巻取車軸の形態のスプール5770を収容するハンドル5720に接続されている。このアーキテクチャは、必要に応じて、カメラ5700を挿入ハンドル5720から分離したままにして、両方の構成要素を容易に洗浄することができるという利点を有する。更に、カメラ5700は、オーバーチューブ5780に適合しなければならないので、使用中には薄型に保たれる。挿入ハンドル5720がカメラコア5700に取り外し可能に取り付けられるので、それぞれが、洗浄のために分離されることができる。
【0316】
図60は、別の実施形態による、シャフト並進のための代替的なアーキテクチャを示す図を示す。本実施形態では、器具は、近位部分5904及び遠位部分5906を有するシャフト5902を備える。シャフト5902の挿入は、ラック歯車5912及びピニオン5914によって駆動されることができ、ピニオン5914の回転の結果、ラック歯車5912及びラック歯車5912に連結されたシャフト5902の並進がもたらされる。いくつかの実施形態では、ラック歯車5912は、器具シャフト5902上に配置され、ピニオン5914は、器具ハンドルのハウジング内に配置される。モータ式ドライバを使用して、シャフト5902をハンドルに対して並進させることができる。いくつかの実施形態では、平歯車を、サイクロイドピンラックプロファイルに加えて使用することができる。いくつかの実施形態では、ラック歯車5912及びピニオン5914を、シャフト5902の挿入又は並進を引き起こすために、それ単独で使用し得る。他の実施形態では、ラック歯車5912及びピニオン5914を、既に説明した挿入機構のいずれかに付随させ、補完させることができる。ラック歯車5912及びピニオン5914を、ハンドルに対する器具シャフトの直線的挿入を提供するために、既に説明した器具のタイプのいずれかと共に使用することができる。
【0317】
腹腔鏡手術などの外科手術を行うとき、外科医は送気手段を使用する。これは、患者に挿入されたカニューレが外科用ツールシャフトに対して封止されて、患者の体内の正圧を維持することを意味する。封止部は、空気が患者の身体から漏れるのを防ぐために、外科用ツールシャフトに連結され得る。これらのシールは、多くの場合、円形の断面を有するツールを収容するように設計される。非円形の形状を有するツール、及びシャフトの外側表面上に凹状の特徴を有するツールに、同じ封止を適用することは困難であり得、これは、これらの表面によって形成される通路は、ツールシールにおいて、空気圧が放出されるのを可能にする場合があるからである。例えば、器具ベースの挿入アーキテクチャを有する器具は、空気が患者から漏れることができる溝5208を有する断面(
図52Aに示されるような断面)を有し得る。
【0318】
この課題に対処するため、患者の空気漏れを防止するための複数の封止部を含むシステムを提供することができる。具体的には、円形の外側形状を有するカニューレ封止部と協働する新規な封止部が提供され得るが、このことは、円形断面を有する器具については慣例的である。新規の封止部は、円形カニューレ封止部を通過し、それによって一貫した回転部用封止部を提供することができる。新規の封止部は、有利なことには、任意の回転動作及び直線的動作を範囲ごとに分けて、封止部が形成される2つの境界を形成するであろう。この範囲ごとに分けることは、中間ツール封止ピースを使用することによって達成される。
【0319】
図61は、患者からの空気漏れを防止するための複数の封止部を有する器具の側面断面図を示す。
図62は、複数の封止部を有する器具の正面断面図を示す。器具5200は、カニューレ5050に挿入される。また器具5200は、器具ベースの挿入アーキテクチャを有する
図39に示される器具に類似している。器具は、ハンドル5220に対して並進可能なシャフト5202を含み得る。シャフト5202は、その外側表面に沿って延在する1つ又は2つ以上のチャネル又は溝5208を有することができる。それによって、患者から空気が漏れることを可能にする通路を形成する。
【0320】
空気漏れを防止するために、マルチ封止システムが、有利なことに、器具に連結される。いくつかの実施形態では、マルチ封止システムは、空気漏れのリスクを低減するために協働し得る第1の封止部5810及び第2の封止部5820を備える。いくつかの実施形態では、第1の封止部5810及び第2の封止部5820は、同軸である。
図60に示されるように、第2封止部5820は、第1封止部5810の内部に受容され得る。第1封止部5810は、円形の外周及び円形の内周を有する断面を有することができ、一方、第2の封止部5820は、
図62に示されるように、円形の外周部と、内側突出部、タブ又は突起5822が設けられた内周部とを有する断面を有することができる。内側突出部を有する第2の封止部5820を有するという利点は、内側突出部が器具シャフト5202の外側に沿って延在し得る溝5208などの空隙を埋めることができ、それによって手術中の患者からの空気漏れのリスクを低減するということである。
【0321】
マルチ封止は、有利なことには、回転動作及び直線的動作を範囲ごとに分けて、封止部が形成される2つの境界を形成する。その内側突出部5822を有する第2の封止部5820は、器具シャフト5202の外側溝を摺動し、それによって器具シャフトの動作のための摺動可能直線状封止部を形成することができる。当業者であれば、第2の封止部5820が、曲線的な複数の内側突出部であり、かつ内周の周りに実質的に対称的に離間配置された複数の内側突出部を有して示されているが、第2封止部5820の内側部分は、成形プロセスが第2の封止部5820の内部と器具シャフト5202の外側表面とを実質的に一致させる限りにおいて、他の形状をとり得ることが理解できよう。器具5200の溝5208内に受容されると、第2の封止部5820の内側の小塊5822の各々は、回転封止点5824を形成する。これらの回転封止点により、器具5200及び第2封止部5820が回転について係止され、器具シャフト5202が回転するのに応じて、共に回転することを可能にする。本実施形態は、二重封止部を有するマルチ封止部を示しているが、他の実施形態では、三重、四重、又はそれ以上の封止部が協働して、手術中の患者からの空気漏れのリスクを低減することができる。
【0322】
XV.ソフトウェア
いくつかの実施形態では、調節可能なアーム支持体及び対応するロボットアームを含むシステムの1つ又は2つ以上の態様は、ソフトウェアを介して制御され得る。例えば、システムは、全ての作動がシステムによってロボット制御され、システムが全てのエンドエフェクタのタブ頂部に対する位置を知るように設計され得る。これは、既存のロボット手術システムが有さないという独特の利点を提供することができる。更に、これは、アーム及びアーム位置決めプラットフォームが同期して移動している間にテーブル頂部を手術中に(例えば、傾斜、トレンデレンブルク、高さ、屈曲など)を調節することと、ロボットアームを移動させることが、ドレーピング又は患者の負荷のために動作野から離れて移動することができることと、臨床医がシステムに手術のタイプを伝えた後に、ロボットアームは、ポートが典型的に配置される位置付近の位置に移動することができる(外科医は、手術の好みに合わせてポート選択「事前設定」を修正及び設定することができる)ことと、エンドエフェクタ上のカメラ及びカニューレ上の視力標的を使用して、「ラストマイル」ドッキングを実行すること(エンドエフェクタの周囲の他の非光学センサは同様の機能性を提供することができる)と、を含む、有利なワークフローを可能にすることができる。
【0323】
更に、ロボットアーム接合部のいくつかの傾斜は、モータ及び送信を逆駆動するために、アームに高い力を加えることを必要とする場合がある。これは、エンドエフェクタにおけるトルクセンサ、又はエンドエフェクタにおける力センサ又はジョイスティックによって低減され得て、それにより、ロボットが、臨床医がどこに押し込もうとしているのかを把握し、それに応じて移動(アドミタンス制御)して、出力で感じられるバックドライブ力を下げることができる。このようなバックドライブ調整は、いくつかの実施形態においてソフトウェアで達成され得る。
【0324】
XVI.付加的考察
本開示を読むと、当業者は、本明細書に開示される原理によって、更に追加の代替的な構造的設計及び機能的設計を理解するであろう。したがって、特定の実施形態及び用途が図示及び説明されているが、開示される実施形態は、本明細書に開示される正確な構造及び構成要素に限定されないことを理解されたい。添付の特許請求の範囲に定義される趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される方法及び装置の配置、動作、及び詳細に対して、当業者には明らかであろう様々な修正、変更、及び変形がなされてもよい。
【0325】
本明細書において「一実施形態」又は「実施形態」と述べている場合、それは、当該実施形態に関連して述べられている特定の要素、特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。「一実施形態では」という語句が本明細書の様々な箇所に見られるが、これらは必ずしも全てが同じ実施形態を指しているわけではない。
【0326】
いくつかの実施形態は、「連結された」及び「接続された」という表現を、それらの派生形と共に使用して、説明され得る。例えば、いくつかの実施形態は、2つ又はそれ以上の要素が直接物理的又は電気的に接触していることを示すため、「連結された」という用語を使用して説明され得る。しかしながら、「連結された」という用語は、2つ又は3つ以上の要素が互いに直接接触はしないが、依然として互いに協働又は相互作用することを意味することもある。実施形態は、特に明記しない限り、この文脈において限定されない。
【0327】
本明細書で使用されるとき、「備える又は含む(comprises)」、「備えている又は含んでいる(comprising)」、「含む(includes)」、「含んでいる(including)」、「有する(has)」、「有している(having)」という用語、又はこれらの他全ての変化形は、非排他的に包含するように意図する。例えば、列記された要素を含む、プロセス、方法、物品、又は装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明確には列記されていない他の要素、又はそのようなプロセス、方法、物品、若しくは装置に固有のものではない他の要素を含んでもよい。更に、明示的に反対に明記されない限り、「又は」は包括的な「又は」を指すものであり、排他的な「又は」を指すものではない。例えば、条件A又はBは、Aが真であり(又は存在する)かつBが偽である(又は存在しない)場合、Aが偽であり(又は存在しない)かつBが真である(又は存在する)場合、並びにA及びBの両方が真である(又は存在する)場合、のいずれか1つによって充足される。
【0328】
それに加えて、「ある(「a」又は「an」)」の使用は、本明細書における実施形態の要素及び構成要素について記載するために用いられるものである。これは、単に便宜を図るため、また発明の一般的な意味を与えるためになされるものである。この記載は、1つ又は少なくとも1つを含むように読み取られるべきであり、単数形は、そうでないことを意味することが明白でない限り、複数形も含む。
【0329】
〔実施の態様〕
(1) システムであって、
テーブルと、
前記テーブルの下のテーブル支持体と、
前記テーブル又はテーブル支持体のうちの少なくとも1つに連結されたアーム支持体と、
前記アーム支持体に連結された第1のロボットアームであって、前記第1のロボットアームが、近位部分と、遠位部分と、前記近位部分と前記遠位部分との間の少なくとも4つの電動接合部と、を含み、前記接合部の各々が、他の接合部とは独立して作動されることが可能であり、前記第1のロボットアームが、外科用器具を駆動するように構成された器具駆動機構を含む、第1のロボットアームと、
挿入軸に沿って前記器具の挿入を提供するために、前記第1のロボットアームと関連付けられている、挿入機構と、
前記アーム支持体に連結された第2のロボットアームと、を含む、システム。
(2) 前記第1のロボットアームが、前記第2のロボットアームに対して並進可能である、実施態様1に記載のシステム。
(3) 前記挿入機構が、前記第1のロボットアームとは独立して、前記器具自体内に構築されている、実施態様1に記載のシステム。
(4) 前記挿入機構が、前記第1のロボットアーム内に構築されている、実施態様1に記載のシステム。
(5) 前記挿入機構が、挿入体ハウジングに対して前記器具駆動機構を並進させて、前記挿入軸に沿って前記器具を並進させるように構成されている、実施態様4に記載のシステム。
【0330】
(6) 前記第1のロボットアームは、少なくとも7自由度が可能であり、前記自由度のうちの少なくとも1つが、冗長である、実施態様1に記載のシステム。
(7) 前記第1のロボットアーム及び前記第2のロボットアームは、前記テーブルの下方に収容されることが可能である、実施態様1に記載のシステム。
(8) システムであって、
テーブルと、
前記テーブルの下のテーブル支持体と、
前記テーブル又はテーブル支持体のうちの少なくとも1つに連結されたアーム支持体と、
前記アーム支持体に連結された第1のロボットアームであって、前記第1のロボットアームが、近位リンクと、遠位リンクと、前記遠位リンクの遠位端に連結された少なくとも3つの接合部と、を含み、前記接合部の各々は、他の接合部とは独立して作動されることが可能であり、前記第1のロボットアームが、外科用器具を駆動するように構成された器具駆動機構を含む、第1のロボットアームと、
挿入軸に沿って前記器具の挿入を提供するために、前記第1のロボットアームと関連付けられている、挿入機構と、を含む、システム。
(9) 前記接合部のうちの少なくとも2つが、回転接合部である、実施態様8に記載のシステム。
(10) 前記接合部のうちの少なくとも1つが、挿入軸を含む、実施態様9に記載のシステム。
【0331】
(11) 前記接合部のうちの少なくとも1つが、器具軸を中心に前記器具をローリングさせる、実施態様8に記載のシステム。
(12) 前記器具軸を中心に前記器具をローリングさせる前記少なくとも1つの接合部が、前記第1のロボットアームの一部又は前記器具自体の一部である、実施態様11に記載のシステム。
(13) 前記アーム支持体に連結された第2のロボットアームを更に含む、実施態様8に記載のシステム。
(14) 前記第1のロボットアームが、前記第2のロボットアームに対して並進可能である、実施態様11に記載のシステム。
(15) 前記第1のロボットアームは、少なくとも7自由度が可能であり、前記自由度のうちの少なくとも1つが、冗長である、実施態様8に記載のシステム。
【0332】
(16) システムであって、
テーブルと、
前記テーブルを支持するためのテーブル支持体と、
前記テーブル又は前記テーブル支持体のうちの少なくとも1つに連結されたアーム支持体と、
前記アーム支持体に連結された第1のロボットアームであって、前記第1のロボットアームは、前記テーブルの下に収容されること、及び上昇することが可能であり、前記第1のロボットアームが、
近位部分及び遠位部分であって、前記近位部分が、前記アーム支持体に連結されたベースを含み、前記遠位部分が、複数のモータを含む器具駆動機構を含み、前記器具駆動機構が、それに取り付けられた外科用器具を駆動するように構成されている、近位部分及び遠位部分と、
前記近位部分と前記遠位部分との間の複数の電動接合部であって、それにより、複数の自由度における前記器具の移動に適応し、前記接合部の各々は、他の接合部とは独立して作動されることが可能である、複数の電動接合部と、を含む、第1のロボットアームと、
挿入軸に沿って前記器具の挿入を提供するために、前記第1のロボットアームと関連付けられている、挿入機構と、
前記アーム支持体に連結された第2のロボットアームであって、前記第2のロボットアームは、前記テーブルの下に収容されること、及び上昇することが可能である、第2のロボットアームと、を含む、システム。
(17) 前記挿入機構が、前記第1のロボットアームとは独立して、前記器具自体内に構築されている、実施態様16に記載のシステム。
(18) 前記第1のロボットアームは、少なくとも7自由度が可能であり、前記自由度のうちの少なくとも1つが、冗長である、実施態様16に記載のシステム。
(19) 前記第1のロボットアームが、近位リンク及び遠位リンクを含み、少なくとも3つの接合部が、前記遠位リンクの遠位端に連結されており、前記遠位リンクの前記遠位端に連結された前記接合部のうちの少なくとも2つが、回転接合部である、実施態様16に記載のシステム。
(20) 前記外科用器具が、内視鏡器具を含む、実施態様19に記載のシステム。