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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】二酸化チタン粒子
(51)【国際特許分類】
   C01G 23/053 20060101AFI20240401BHJP
   A61K 8/29 20060101ALI20240401BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
C01G23/053
A61K8/29
A61Q17/04
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020555357
(86)(22)【出願日】2019-04-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 EP2019059345
(87)【国際公開番号】W WO2019197577
(87)【国際公開日】2019-10-17
【審査請求日】2022-01-20
(31)【優先権主張番号】1806041.8
(32)【優先日】2018-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】506352278
【氏名又は名称】クローダ インターナショナル パブリック リミティド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】イアン ロバート トゥーリー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート マイケル セイヤー
(72)【発明者】
【氏名】エイミー ローズ ゴッダード
【審査官】▲高▼橋 真由
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/021633(WO,A1)
【文献】特開2000-191325(JP,A)
【文献】特開2017-119622(JP,A)
【文献】特表2015-531734(JP,A)
【文献】特表2013-515662(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 23/053
A61K 8/29
A61Q 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
175nmを超える体積基準のメジアン粒子径D(v,0.5)、300l/g/cmを超える(E308×E360)/E524値、1800(l/g/cm)2を超え、かつ、3500(l/g/cm)2未満であるE308×E360値、45l/g/cmを超え、かつ、76l/g/cm以下であるE308、20l/g/cmを超え、かつ、50l/g/cm以下であるE360、4.7~7.5l/g/cmのE524、1.05~1.55:1の平均アスペクト比、及び30.0~51.0nmの平均結晶サイズを含む二酸化チタン粒子。
【請求項2】
(i)100nmを超える数基準のメジアン粒子径D(n,0.5)、及び/又は、(ii)80nmを超えるZ平均粒子サイズ、及び/又は、(iii)90nmを超える強度平均粒子サイズを含む、請求項1に記載の二酸化チタン粒子。
【請求項3】
22.0~46.0nmの平均幅を含む、請求項1又は2に記載の二酸化チタン粒子。
【請求項4】
320l/g/cm以上の(E308×E360)/E524値を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の二酸化チタン粒子。
【請求項5】
37.0~47.0nmの平均結晶サイズを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の二酸化チタン粒子。
【請求項6】
15~43m2-1のBET比表面積を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の二酸化チタン粒子。
【請求項7】
(i)22~55m2-1の59,950.54psiaでの水銀ポロシメトリー総細孔面積、及び/又は(ii)65~150nmの水銀ポロシメトリー平均細孔径を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の二酸化チタン粒子。
【請求項8】
320l/g/cm以上で650l/g/cm未満の(E308×E360)/E524値を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の二酸化チタン粒子。
【請求項9】
(i)5.2~7.5l/g/cmのE524、(ii)32~50l/g/cmのE360、及び(iii)1800(l/g/cm)2超で3300(l/g/cm)2以下のE308×E360値からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の二酸化チタン粒子。
【請求項10】
(i)、(ii)、及び(iii)からなる群から選ばれる少なくとも2つを含む、請求項9に記載の二酸化チタン粒子。
【請求項11】
(i)、(ii)、及び(iii)の全てを含む請求項10に記載の二酸化チタン粒子。
【請求項12】
分散媒体と請求項1~11のいずれか一項に規定される二酸化チタン粒子とを含む分散体。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に規定される二酸化チタン粒子、及び/又は、請求項12に規定される分散体を含む、日焼け止め製品。
【請求項14】
請求項1~11のいずれか一項に記載の二酸化粒子を製造する方法であって、(i)3.0~7.0:1の平均アスペクト比を有する前駆体二酸化チタン粒子を形成すること、(ii)前記前駆体粒子を400℃を超える温度で焼成して175nmを超える体積基準のメジアン粒子径D(v,0.5)、300l/g/cmを超える(E308×E360)/E524値、1800(l/g/cm)2を超え、かつ、3500(l/g/cm)2未満であるE308×E360値、45l/g/cmを超え、かつ、76l/g/cm以下であるE308、20l/g/cmを超え、かつ、50l/g/cm以下であるE360、4.7~7.5l/g/cmのE524、30.0~51.0nmの平均結晶サイズ及び1.05~1.55:1の平均アスペクト比を有する焼成された二酸化チタン粒子を生成させること、及び任意選択的に(iii)前記焼成された二酸化チタン粒子に無機及び/又は有機コーティングを適用することを含む、方法。
【請求項15】
(i)前記焼成された粒子の平均アスペクト比が1.15~1.45:1であり、及び/又は(ii)前記焼成された粒子の平均結晶サイズが37.0~47.0nmである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記焼成された二酸化チタン粒子が、(i)32~50l/g/cmのE360、及び(ii)1800超で3300(l/g/cm)2以下のE308×E360値からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
焼成によって、(i)前記二酸化チタン粒子の平均幅が60~200%増加し、及び/又は(ii)前記BET比表面積が35~95%減少し、及び/又は(iii)前記平均結晶サイズが200~400%増加する、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
焼成された粒子が175nmを超える体積基準のメジアン粒子径D(v,0.5)、300l/g/cm以上の(E308×E360)/E524、1800(l/g/cm) 2 を超え、かつ、3500(l/g/cm) 2 未満であるE 308 ×E 360 値、45l/g/cmを超え、かつ、76l/g/cm以下であるE 308 、20l/g/cmを超え、かつ、50l/g/cm以下であるE 360 、4.7~7.5l/g/cmのE 524 、1.05~1.55:1の平均アスペクト比、及び30.0~51.0nmの平均結晶サイズを有する、二酸化チタン粒子の紫外線吸収特性を改善するための400℃を超える温度での焼成の使用。
【請求項19】
前記焼成された粒子が、27l/g/cmを超え、かつ、50l/g/cm以下のE360を含む、請求項18に記載の使用。
【請求項20】
前記焼成が回転式焼成機で行われる、請求項18又は19に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化チタン粒子及びその製造方法、それから製造される分散体、特にパーソナルケア製品におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化チタンは、日焼け止め、有機樹脂、フィルム、コーティングなどの幅広い用途で紫外線の減衰剤として使用されてきた。
【0003】
UVA及びUVB線の両方が、皮膚の早期老化と皮膚癌に重要な役割を果たす可能性があることはよく知られている。そのため、UVA及びUVB線の両方に対する保護は、エンドユーザーにとって非常に重要である。無機の、特に二酸化チタンの日焼け止めの特性のバランスを改善することが絶えず求められている。これは特に、様々な有機UV(紫外線)吸収剤の毒性への懸念、及びある種の有機UV吸収剤が無機日焼け止めに対して「黄変」効果を有するために、「無機のみ」の日焼け止めの需要が近年増加してきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、高いUVB吸収特性を示し、しかも、有効なUVA効力及び改善された透明性も有し、特に非ナノ粒子形態にある、広範な用途に使用することができる粒子状二酸化チタンが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、前述の課題の少なくとも1つを克服又は大幅に軽減する、改良された二酸化チタンとその製造方法を発見した。
【0006】
したがって、本発明は、(i)175nmを超える体積基準のメジアン粒子径(volume based median particle diameter)D(v,0.5)、及び(ii)300l/g/cmを超える(E308×E360)/E524値を含む二酸化チタン粒子を提供する。
【0007】
本発明は、(i)30.0~51.0nmの平均結晶サイズ、及び/又は(ii)1.05~1.55:1の平均アスペクト比を含む二酸化チタン粒子も提供する。
【0008】
本発明はさらに、(i)320l/g/cm以上の(E308×E360)/E524値、(ii)7.5l/g/cm以下のE524、及び任意選択的に2100(l/g/cm)2を超えるE308×E360値を含む二酸化チタン粒子を提供する。
【0009】
本発明はまた、分散媒体及び本開示で定義されるとおりの二酸化チタン粒子を含む分散体を提供する。
【0010】
本発明はさらに、本開示で定義されるとおりの、二酸化チタン粒子及び/又はその分散体を含む日焼け止め製品を提供する。
【0011】
本発明はさらに、(i)3.0~7.0:1の平均アスペクト比を有する前駆体二酸化チタン粒子を形成すること、(ii)前駆体粒子を焼成(calcining)して平均結晶サイズ30.0~51.0nm及び/又は平均アスペクト比1.05~1.55:1を有する焼成二酸化チタン粒子を生成させること、及び任意選択的に(iii)焼成二酸化チタン粒子に無機及び/又は有機コーティングを適用することを含む、二酸化チタン粒子を製造する方法を提供する。
【0012】
本発明はさらに、焼成二酸化チタン粒子を生成させるために前駆体二酸化チタン粒子を400℃を超える温度で加熱する方法であって、(i)二酸化チタン粒子の平均幅が60~200%増加し、及び/又は(ii)BET比表面積が35~95%減少し、及び/又は(iii)平均結晶サイズが200~400%増加する方法を提供する。
【0013】
本発明はさらに、(i)3.0~7.0:1の平均アスペクト比を有する前駆体二酸化チタン粒子を形成すること、(ii)前駆体粒子を焼成して焼成二酸化チタン粒子を生成させること、任意選択的に(iii)焼成二酸化チタン粒子に無機及び/又は有機コーティングを適用することを含むプロセスにより得られる二酸化チタン粒子を提供する。当該二酸化チタン粒子は7.5l/g/cm以下のE524及び320l/g/cm以上の(E308×E360)/E524値を有する。
【0014】
本発明はまた、焼成された粒子が320l/g/cm以上の(E 308 ×E360)/E524値を含む、二酸化チタン粒子のUV吸収特性を改善するための焼成(calcination)の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明による二酸化チタン粒子は、好ましくは、アナターゼ及び/又はルチル結晶形態を含む。粒子中の二酸化チタンは、好適には、大部分がルチルであり、好ましくは70質量%超、より好ましくは80質量%超、特に90質量%超、とりわけ95質量%超で、最大100質量%までのルチルを含む。
【0016】
粒子は、標準的な手順によって、例えば塩化物プロセスを使用して、又はスルフェートプロセスによって、あるいは、好適なチタン化合物、例えばチタンオキシジクロリド又は有機もしくは無機チタン酸塩の加水分解によって、又は酸化可能なチタン化合物の、例えば気相での酸化によって、調製することができる。
【0017】
一実施形態では、二酸化チタン粒子に、アルミニウム、クロム、コバルト、銅、ガリウム、鉄、鉛、マンガン、ニッケル、銀、スズ、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、及びそれらの組み合わせからなる群から選択された金属ドーパントがドープされてもよい。ドーパントは、好ましくは、クロム、コバルト、銅、鉄、マンガン、ニッケル、銀、及びバナジウムからなる群から選択され、より好ましくは、マンガン及びバナジウム、特にマンガンから選択され、特に2+及び/又は3+状態にある。
【0018】
ドーピングは、当技術分野において知られている通常の方法によって行なうことができる。ドーピングは、好ましくは二酸化チタン及び可溶性のドーパント錯体、例えば塩化マンガンもしくは酢酸マンガンの共沈殿によって得られる。あるいは、ドーピングは、ドーパント錯体、例えば硝酸マンガンの存在下での、500℃超、通常は1000℃以下の温度でのチタン錯体の加熱によるベーキング技術によって行なうことができる。チタン錯体と、ドーパント錯体、例えば酢酸マンガンとを含む混合物を酸化することによって、例えば、この混合物をスプレー噴霧器を通して酸化チャンバー中に噴霧することによって、ドーパントを加えることができる。
【0019】
ドープされた二酸化チタン粒子は、二酸化チタンの質量に基づいて、好ましくは0.01~3質量%、より好ましくは0.05~2質量%、特には0.1~1質量%、とりわけ0.5~0.7質量%の範囲内のドーパント金属、好ましくはマンガンを含む。
【0020】
一実施形態では、初期の、又は前駆体の二酸化チタン粒子は、例えば、チタン化合物、特にチタンオキシジクロリドの加水分解によって調製され、そしてこれらの前駆体粒子は、次いで、本発明による二酸化チタン粒子を得るために、焼成プロセスにかけられる。
【0021】
前駆体二酸化チタン粒子は、好ましくは、前述したとおりのルチル含有量を有する。さらに、前駆体二酸化チタン粒子は、好ましくは10質量%未満、より好ましくは5質量%未満、特に2質量%未満のアモルファス二酸化チタンを含む。残りの二酸化チタン(すなわち、100%以下)は、結晶形態である。一実施形態では、前駆体粒子中の二酸化チタンは、好ましくは実質的に全てが結晶形態にある。
【0022】
個々の前駆体二酸化チタン粒子は、好適には針状の形状であり、長軸(最大寸法又は長さ)及び短軸(最小寸法又は幅)を有する。粒子の第3の軸(又は奥行き)は、好ましくは幅とほぼ同じ寸法である。
【0023】
前駆体二酸化チタン粒子の数平均長さは、好適には、40.0~85.0nm、好ましくは45.0~80.0nm、より好ましくは50.0~75.0nm、特に55.0~70.0nm、とりわけ60.0~65.0nmの範囲内である。粒子の数平均幅は、好適には、8.0~22.0nm、好ましくは10.0~20.0nm、より好ましくは12.0~18.0nm、特に13.0~17.0nm、とりわけ14.0~16.0nmの範囲内である。前駆体二酸化チタン粒子は、好適には、3.0~7.0:1、好ましくは3.5~6.5:1、より好ましくは4.0~6.0:1、特に4.5~5.5:1、とりわけ4.8~5.2:1の範囲内の平均アスペクト比d1:d2(ここで、d1及びd2は粒子の長さ及び幅である)を有する。前駆体粒子の寸法は、本開示に記載したように、透過型電子顕微鏡を使用して得た写真画像から選択した複数の粒子の長さと幅を測定することにより決定することができる。
【0024】
前駆体二酸化チタン粒子は、好適には、6.0~15.0、好適には7.0~13.5nm、好ましくは8.0~12.5nm、より好ましくは9.0~11.5nm、特に9.5~10.5nm、とりわけ9.8~10.2nmの範囲内の平均結晶サイズ(本開示に記載したようにX線回折によって測定される)を有することができる。
【0025】
前駆体二酸化チタン粒子の結晶サイズのサイズ分布は重要なことがあり、好適には二酸化チタン粒子の少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、特に少なくとも70%、とりわけ少なくとも80%は、平均結晶サイズについての上記の好ましい範囲の1つ又は2つ以上の範囲内の結晶サイズを有する。
【0026】
前駆体二酸化チタン粒子は、本開示に記載したように測定される、75~140、好適には80~125、好ましくは87~115、より好ましくは92~110、特に97~105、とりわけ99~103m2-1の範囲内のBET比表面積を有することができる。
【0027】
前駆体二酸化チタン粒子は、(i)水銀ポロシメトリーによって本開示に記載したように測定される、40~115、好適には50~105、好ましくは60~95、より好ましくは65~90、特に70~85、とりわけ75~80nmの範囲内の平均細孔径;及び/又は(ii)59,950.54psiaで、水銀ポロシメトリーによって本開示に記載したように測定される、35~105、好適には45~95、好ましくは55~85、より好ましくは63~80、特に68~77、とりわけ71~74m2-1の範囲内の総細孔面積を有することができる。
【0028】
一実施形態では、本開示に記載の前駆体二酸化チタン粒子は、好ましくは2時間未満、より好ましくは2分間~1.5時間、特に5分間~1時間、とりわけ10~30分間焼成される。前駆体二酸化チタン粒子は、400℃を超える温度、好適には450~900℃、好ましくは500~850℃、より好ましくは550~800℃、特に600~750℃、とりわけ650~720℃の範囲内の温度で焼成することができる。
【0029】
プラント規模の生産の場合、例えば50kg/時を超える量の場合、前駆体二酸化チタン粒子は、500~850℃、好ましくは650~770℃、より好ましくは690~730℃、特に700~720℃、とりわけ705~715℃の範囲内の温度で好適に焼成される。
【0030】
一実施形態では、前駆体二酸化チタン粒子を、好ましくは間接的に加熱される回転式焼成機を通過させる連続焼成プロセスが使用される。ドラムを加熱しながらドラムを回転させることが好ましく、トロンメルの速度がオーブン内の二酸化チタン粒子の滞留時間を決定する。トロンメルの速度は、好ましくは500~1,000r.p.m、より好ましくは600~900r.p.mの範囲内である。二酸化チタン粒子のオーブンへの供給速度は、好適にはスクリューコンベヤーによって、スクリューコンベヤの総キャパシティーの好ましくは5~50質量%、より好ましくは10~40質量%、特に15~30質量%の範囲内、とりわけ約25質量%で、連続的に運転することができる。オーブンへの二酸化チタンの供給速度は、例えばプラント規模の生産の場合、好ましくは50~150kg/時、より好ましくは70~130kg/時、特に90~110kg/時、とりわけ95~105kg/時の範囲内である。
【0031】
一実施形態では、予備乾燥段階は使用されず、焼成プロセスに供される前駆体二酸化チタン粒子は、粒子の総質量に基づいて、40~75質量%、好ましくは50~70質量%、より好ましくは55~65質量%の範囲内、特に約60質量%の水を含み得る。
【0032】
別の実施形態では、前駆体二酸化チタン粒子を、好ましくは流動床上で、約150℃で約2時間加熱することによる予備乾燥段階が使用される。焼成プロセスに供された乾燥前駆体二酸化チタン粒子は、好ましくは、粒子の総質量に基づいて、1~15質量%、より好ましくは4~10質量%、特に5~7質量%、とりわけ5.5~6.5質量%の水を含む。
【0033】
焼成された二酸化チタン粒子は、本開示に記載のように測定される、24m2-1以上、好適には24~42m2-1、より好適には27~39m2-1、好ましくは29~37m2-1、より好ましくは30~36m2-1、特に31~35m2-1、とりわけ32~34m2-1の範囲内のBET比表面積を有することができる。
【0034】
一実施形態では、本開示に記載の焼成プロセスは、好適には、前駆体粒子のBET比表面積に基づいて、35~95%、好適には45~85%、好ましくは55~80%、より好ましくは60~75%、特に64~70%、とりわけ66~68%の範囲内の分の二酸化チタン粒子(前駆体から焼成されたものまで)のBET比表面積の減少をもたらす。
【0035】
焼成された二酸化チタン粒子は、(i)水銀ポロシメトリーによって本開示に記載したように測定される、75~160、好適には85~150、好ましくは95~140、より好ましくは105~130、特に110~125、とりわけ115~120nmの範囲内の平均細孔径;及び/又は(ii)59,950.54psiaで水銀ポロシメトリーによって本開示に記載したように測定される、20~53、好適には24~48、好ましくは28~44、より好ましくは31~41、特に33~39、とりわけ35~37m2-1の範囲内の総細孔面積を有することができる。
【0036】
一実施形態では、本開示に記載の焼成プロセスは、(i)前駆体粒子の59,950.54psiaでの総細孔面積に基づいて、20~80%、好適には30~70%、好ましくは40~60%、より好ましくは45~56%、特に48~53%、とりわけ50~51%の範囲内の分の、水銀ポロシメトリーによって本開示に記載したように測定される、二酸化チタン粒子(前駆体から焼成されたものまで)の59,950.54psiaでの総細孔面積の減少;及び/又は(ii)前駆体粒子の平均細孔径に基づいて、10~90%、好適には20~70%、好ましくは30~55%、より好ましくは35~47%、特に38~44%、とりわけ40~42%の範囲内の分の、水銀ポロシメトリーによって本開示に記載したように測定される、二酸化チタン粒子(前駆体から焼成されたものまで)の平均細孔径の増加をもたらす。
【0037】
焼成された二酸化チタン粒子は、好適には、1.05~1.55:1、好ましくは1.10~1.50:1、より好ましくは1.15~1.45:1、特に1.20~1.40:1、とりわけ1.25~1.35:1の範囲内の平均アスペクト比d1:d2(ここで、d1及びd2はそれぞれ粒子の長さ及び幅である)を有する。粒子の第3の軸(又は奥行き)は、好ましくは、幅とほぼ同じ寸法である。
【0038】
二酸化チタン粒子の数による平均長さは、好適には、32.0~56.0nm、好ましくは37.0~51.0nm、より好ましくは40.0~48.0nm、特に42.0~46.0nm、とりわけ43.0~45.0nmの範囲内である。粒子の数による平均幅は、好適には、22.0~46.0nm、好ましくは27.0~41.0nm、より好ましくは30.0~38.0nm、特に32.0~36.0nm、とりわけ33.0~35.0nmの範囲内である。二酸化チタン粒子のサイズは、本開示に記載されているように、透過型電子顕微鏡を使用して得られた写真画像から選択された複数の粒子の長さ及び幅を測定することによって決定することができる。
【0039】
一実施形態では、本開示に記載の焼成プロセスは、前駆体粒子の数による平均幅に基づいて、好適には、60~200%、好ましくは80~180%、より好ましくは95~160%、特に110~145%、とりわけ120~135%の範囲内の分の、二酸化チタン粒子(前駆体から焼成されたものまで)の数による平均幅の増加をもたらす。
【0040】
焼成された二酸化チタン粒子は、30.0~51.0nm、好適には34.0~51.0nm、好ましくは37.0~47.0nm、より好ましくは39.0~44.0nm、特に41.0~44.0nm、とりわけ42.0~43.0nmの範囲内の平均結晶サイズ(本開示に記載のとおりのX線回折により測定される)を有することができる。
【0041】
焼成された二酸化チタン粒子の結晶サイズのサイズ分布は重要なことがあり、二酸化チタン粒子の質量基準で、好適には、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、特に少なくとも80%、とりわけ少なくとも90%は、平均結晶サイズについての上記の好ましい範囲の1つ又は2つ以上の範囲内の結晶サイズを有する。
【0042】
一実施形態では、本開示に記載の焼成プロセスは、前駆体粒子の平均結晶サイズに基づいて、好適には、200~400%、好ましくは235~375%、より好ましくは260~350%、特に280~330%、とりわけ295~315%の範囲内の分の二酸化チタン粒子(前駆体から焼成されたものまで)の平均結晶サイズの増加をもたらす。
【0043】
本発明の一実施形態では、本発明による二酸化チタン粒子、好ましくは焼成された粒子は、無機及び/又は有機コーティングでコーティングされる。ドープされた二酸化チタン粒子は、コーティングされていなくてもよい、すなわち、本質的に二酸化チタン及びドーパントからなっていてもよい。
【0044】
一実施形態では、無機コーティングは、アルミニウム、ジルコニウム又はケイ素の酸化物、あるいはそれらの混合物、例えばアルミナとシリカの紺物などである。無機コーティング、好ましくはアルミナ及び/又はシリカの量は、二酸化チタンコア(又はコーティングされていない)粒子の質量に基づいて、好適には、1~12質量%、好ましくは2~6質量%、より好ましくは2.5~4.5質量%、特に3~4質量%、とりわけ3.3~3.7質量%の範囲内である。
【0045】
本発明の一実施形態で、二酸化チタン粒子は疎水性である。二酸化チタンの疎水性は、二酸化チタン粉末のディスクをプレスし、当技術分野で知られている標準的な技術によって、その上に置かれた水滴の接触角を測定することによって決定することができる。疎水性二酸化チタンの接触角は、好ましくは50°を超える。
【0046】
二酸化チタン粒子は、それらを疎水性にするために疎水性化剤でコーティングすることができる。好適なコーティング材料は、撥水性、好ましくは有機物であり、好適なコーティング材料としては、脂肪酸、好ましくは10~20個の炭素原子を含む脂肪酸、例えばラウリン酸、ステアリン酸及びイソステアリン酸など、上記脂肪酸の塩、例えばのナトリウム、カリウム及び/又はアルミニウム塩など、脂肪アルコール、例えばステアリルアルコールなど、及びシリコーン、例えばポリジメチルシロキサン及び置換ポリジメチルシロキサンなど、ならびに反応性シリコーン、例えばメチルヒドロシロキサン及びそれらのポリマー及びコポリマーなどが挙げられる。ステアリン酸及び/又はその塩が特に好ましい。
【0047】
一実施形態では、二酸化チタン粒子は、二酸化チタンコア粒子の質量に基づいて、最大15質量%、好適には1~10質量%、好ましくは2.5~7.5質量%、より好ましくは3.5~6質量%、特に4~5.2質量%、とりわけ4.4~4.8質量%の範囲内の脂肪酸により処理される。
【0048】
一実施形態では、コーティング層は、シランカップリング剤、好ましくはオルガノシラン、より好ましくは一般式(1)により表されるシランカップリング剤を含む。
4-n-Si-[Lm-Y]n (1)
ここで、
Yは官能基であり、
Xは加水分解性基であり、
Lは連結基(linking group)であり、
mは0又は1、好ましくは1であり、
nは1又は2、好ましくは1である。
【0049】
したがって、好ましいシランカップリング剤は、X3-Si-L-Yにより表されるものである。少なくとも1つの官能基(Y)は、例えば、メチル、エチル、ビニル、カルボキシル、グリシドキシ、エポキシ、グリシジル、アミノ、メルカプト、アクリル及びメタクリル基から成る群より選択することができる。官能基は、好ましくは、窒素原子を含み、より好ましくはアミン基である。アミン基は、第1級、第2級、第3級又は第4級基であってよく、好ましくは、第1級アミン基である。
【0050】
好ましいアミン基は、好適には、式-NR2により表されるものであり、この式中、各Rは、それぞれ、水素、低級(すなわち、C1-C6)アルキル、アリール、低級アルキルアリール、低級アリールアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレン及びシクロアルキレンから成る群より選択された基であるか、又はこの群から選択された基を含む。好ましい実施形態では、各Rは、それぞれ、水素及び直鎖もしくは分岐C1-C6アルキル基、より好ましくは、水素及びC1-C4アルキル基から成る群より選択され、特に、両方のR基は水素である。
【0051】
少なくとも1つの加水分解性基(X)は、-OR1、-Cl、-Br、-Iであることができ、好ましくは、-OR1であり、ここで、各R1は、それぞれ、水素、低級(すなわち、C1-C6)アルキル、アリール、低級アルキルアリール、低級アリールアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレン及びシクロアルキレンから成る群より選択された基であるか、又はこの群から選択された基を含む。好ましくは、各R1は、それぞれ、水素及び直鎖もしくは分岐C1-C6アルキル基、より好ましくはC1-C4アルキル基、特にC1-C2アルキル基から成る群より選択され、とりわけエチル基である。
【0052】
必要に応じて存在してもよい連結基(L)は、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルケニレン、シクロアルケニレン、アルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレン及び/又はシクロアルキレン基を含むか、あるいは、アルキル、アリール、アルキルアリール、アリールアルキル、シクロアルキル、アルケニル、シクロアルケニル、アルケン、アルケニレン、シクロアルケニレン、アルキレン、アリーレン、アルキルアリーレン、アリールアルキレン及び/又はシクロアルキレン基から成っていてもよい。連結基は、好ましくは直鎖又は分岐C1-C6アルキレン基、より好ましくはC1-C4アルキレン基、特にC3アルキレン、すなわち、プロピル基である。
【0053】
適切なシランカップリング剤の例としては、メチルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリアルコキシシラン、例えばフェニルトリアルコキシシランなど及びジフェニルジアルコキシシランなど、ジアルキルジアルコキシシラン、例えばジメチルジメトキシシラン及びジメチルジエトキシシランなど、第4級シラン、ならびにアミノシランが挙げられる。
【0054】
アミノシランが好ましく、好適な材料としては、アミノエチルトリメトキシシラン、アミノエチルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルアミノプロピルトリメトキシシラン、エチルアミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリプロポキシシラン、アミノイソブチルトリメトキシシラン及びアミノブチルトリエトキシシランが挙げられる。特に好ましいアミノシランは、アミノプロピルトリエトキシシラン(NH2-CH2CH2CH2-Si-[OCH2CH33)である。
【0055】
コーティング層中に存在するシランカップリング剤又はその反応生成物の量は、二酸化チタンコア粒子の質量に基づいて、好適には、最大15質量%、好ましくは1~10質量%、より好ましくは3~7質量%、特に3.5~5質量%の範囲内、とりわけ4~4.5質量%である。
【0056】
シランカップリング剤は、無機材料及び/又は脂肪酸(両方とも本明細書で定義される)と組み合わせてコーティング層で好適に使用される。無機材料は、好適にはシリカであり、好ましくはアモルファスであり、より好ましくは、高度に水和された形態にある、すなわち、高い割合のヒドロキシル基を含む。シリカは、好ましくは、高密度シリカの形態ではない。脂肪酸は、好ましくは、ステアリン酸及び/又はその塩である。
【0057】
好適には、二酸化チタンコア粒子は、無機材料、好ましくはシリカでコーティングされ、水に分散され、50~80℃の範囲内の温度に加熱され、その後、無機材料の表面及び/又は二酸化チタンコア粒子の表面と反応するシランカップリング剤が添加される。脂肪酸及び/又はその塩は、好ましくは、無機材料及びシランカップリング剤の後に適用される。
【0058】
二酸化チタン粒子は、焼成段階の前又は後にコーティングすることができる。好ましい実施形態では、任意のコーティングは、任意の焼成段階の後に粒子に適用される。したがって、コーティングされていない前駆体二酸化チタン粒子は、本開示に記載の焼成プロセスに供されることが好ましい。
【0059】
一実施形態では、二酸化チタン粒子は、本発明による分散体の形成中に現場(in situ)でコーティングされる。かかるコーティングは、本開示に記載されるように、ミリングプロセスの前に分散体混合物にコーティング材料を加えることによって適用することができる。現場コーティングプロセスに好適な材料の例は、イソステアリン酸、オレス-3ホスフェート、オクチル/デシルホスフェート、セトレス-5ホスフェート、PPG-5-セテス-10ホスフェート、トリデセス-5ホスフェート、ドバノールC12-C15ホスフェート、C9-C15アルキルホスフェート、グリセリルトリアセテート、ソルビタンラウレート、ソルビタンイソステアレート、ラウリル硫酸ナトリウム、ナトリウムメチルココイルタウレート、及びそれらの混合物である。
【0060】
本発明にしたがって好適にコーティングされた二酸化チタン粒子は、本開示に記載したように測定される、15~43m2-1、好適には20~38m2-1、好ましくは24~34m2-1、より好ましくは26~32m2-1、特に27~31m2-1、とりわけ28~30m2-1の範囲内のBET比表面積を有することができる。BET比表面積は、好ましくは焼成された二酸化チタン粒子をコーティングする際に、1.0~7.0m2-1、好適には2.0~6.0m2-1、好ましくは2.5~5.5m2-1、より好ましくは3.0~5.0m2-1、特に3.5~4.5m2-1、とりわけ3.8~4.2m2-1の範囲内の分、減少させることができる。
【0061】
二酸化チタンの好適にコーティングされた粒子は、(i)水銀ポロシメトリーによって本開示に記載したように測定される、65~150nm、好適には75~140nm、好ましくは85~130nm、より好ましくは95~120nm、特に100~115nm、とりわけ105~110nmの範囲内の平均細孔径;及び/又は(ii)水銀ポロシメトリーによって本開示に記載したように測定される、22~55m2-1、好適には26~50m2-1、好ましくは30~46m2-1、より好ましくは33~43m2-1、特に35~41m2-1、とりわけ37~39m2-1の範囲内の、59,950.54psiaでの総細孔面積を有することができる。
【0062】
二酸化チタンの好適にコーティングされた粒子は、1.05~1.55:1、好ましくは1.10~1.50:1、より好ましくは1.15~1.45:1、特に1.20~1.40:1、とりわけ1.25~1.35:1の範囲内の平均アスペクト比d1:d2(d1及びd2はそれぞれ粒子の長さ及び幅である。)を有することができる。粒子の第3の軸(又は奥行き)は、好ましくは、幅とほぼ同じ寸法である。
【0063】
二酸化チタン粒子の数による平均長さは、好適には、32.0~56.0nm、好ましくは37.0~51.0nm、より好ましくは40.0~48.0nm、特に42.0~46.0nm、とりわけ43.0~45.0nmの範囲内である。粒子の数による平均幅は、好適には、22.0~46.0nm、好ましくは27.0~41.0nm、より好ましくは30.0~38.0nm、特に32.0~36.0nm、とりわけ33.0~35.0nmの範囲内にある。二酸化チタン粒子のサイズは、本開示に記載されるように、透過型電子顕微鏡を使用して得られた写真画像から選択された複数の粒子の長さ及び幅を測定することによって決定することができる。
【0064】
二酸化チタンの好適にコーティングされた粒子は、30.0~51.0nm、好適には34.0~51.0nm、好ましくは37.0~47.0nm、より好ましくは39.0~44.0nm、特に41.0~44.0nm、とりわけ42.0~43.0nmの範囲内の平均結晶サイズ(本開示に記載のX線回折によって測定される)を有することができる。
【0065】
二酸化チタン粒子の結晶サイズのサイズ分布は重要であることがあり、二酸化チタン粒子の、好適には、少なくとも50質量%、好ましくは少なくとも60質量%、より好ましくは少なくとも70質量%、特に少なくとも80質量%、とりわけ少なくとも90質量%は、平均結晶サイズについての上記の好ましい範囲の1つ又は2つ以上の範囲内の結晶サイズを有する。
【0066】
二酸化チタンの好適にコーティングされた粒子のサイズは、本開示に記載したように、透過型電子顕微鏡を使用して得られた写真画像から選択された複数の粒子の長さ及び幅を測定することによって決定することができる。
【0067】
本発明による二酸化チタン粒子は、自由流動性粉末(free-flowing powder)の形態であることができる。必要な粒子サイズを有する粉末は、当技術分野で知られているミリングプロセスによって製造することができる。二酸化チタンの最終ミリング段階は、凝集を減らすために、乾燥ガスに浮遊した条件で好適に行われる。流体エネルギーミルを使用することができ、この場合、凝集した金属酸化物粉末が、密閉チャンバー内の高乱流条件に連続的に注入され、密閉チャンバー内では、チャンバーの壁との、及び/又は凝集体間での複数の高エネルギー衝突が発生する。次に、ミリングされた粉末は、回収のために、サイクロン及び/又はバグフィルターへ運ばれる。エネルギーミルで使用される流体は、冷却もしくは加熱されたいかなる気体であってもよく、あるいは過熱乾燥蒸気であってもよい。
【0068】
二酸化チタン粒子は、任意の好適な水性又は有機液体媒体中の、スラリー、又は好ましくは液体分散体に形成することができる。液体とは、周囲温度(例えば、25℃)での液体を意味し、分散体とは、真の分散体、すなわち、固体粒子が凝集に対して安定であることを意味する。分散体中の粒子は比較的均一に分散しており、静置時に沈降しにくいが、もしいくらかの沈降が発生した場合は、単純な撹拌で粒子を簡単に再分散させることができる。
【0069】
あるいは、二酸化チタン粒子は、固体及び/又は半固体分散体のローション又はクリームの形態にあることができる。好適な固体又は半固体の分散体は、例えば、50~90質量%、好ましくは60~85質量%の範囲内の二酸化チタン粒子を、本明細書に開示される液体媒体のいずれか1種又は2種以上、又は高分子量ポリマー材料、例えばワックス、例えばモノステアリン酸グリセリルなどと一緒に含むことができる。
【0070】
日焼け止め製品における使用の場合、液体媒質としては、美容的に許容可能な材料が好ましい。液体媒体は、水、又は有機媒体、例えば、植物油、脂肪酸グリセリド、脂肪酸エステル及び/又は脂肪アルコールなどの液体であることができる。1つの好適な有機媒体は、シロキサン流体、特に環状オリゴマージアルキルシロキサン、例えばシクロメチコーンとしても知られている、ジメチルシロキサンの環状五量体などである。代わりの流体としては、好適な流動性を有するジメチルシロキサン直鎖状オリゴマーもしくはポリマー、及びフェニルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(フェニルトリメチコーンとしても知られている)が挙げられる。
【0071】
他の好適な有機媒体の例としては、非極性材料、例えば、C13~C14イソパラフィン、イソヘキサデカン、流動パラフィン(ミネラルオイル)、スクアラン、スクアレン、水素化ポリイソブテン、及びポリデセンなど;並びに極性材料、例えばC12~C15アルキルベンゾエート、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、イソノナン酸セテアリル、イソステアリン酸エチルヘキシル、パルミチン酸エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、イソステアリン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ネオペンタン酸イソステアリル、オクチルドデカノール、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、PPG-15ステアリルエーテル、トリエチルへキシルトリグリセリド、ジカプリリルカーボネート、ステアリン酸エチルヘキシル、ヒマワリ(helianthus annus)種子油、パルミチン酸イソプロピル、及びネオペンタン酸オクチルドデシル、トリエチルヘキサノイン、ヤシ油脂肪酸エチルヘキシル、イソステアリン酸プロピレングリコール、イソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン、コハク酸ジエトキシエチル、エイコ酸カプリリル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、乳酸ラウリル、ステアリン酸ブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、オレイン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、テトラカプリル酸/テトラカプリン酸ペンタエリスリチル、オレイン酸オレイル、プロピレングリコールイソセテス-3アセテート、PPG-3ベンジルエーテルミリステート、エチルヘキサン酸セテアリル、ペラルゴン酸エチルヘキシル、PPG-2ミリスチルエーテルプロピオネート、C14~C18アルキルエチルヘキサノエート、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0072】
一実施形態では、有機媒体は、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、トリイソステアリン、オレイン酸エチル、ジカプリリルエーテル、及びそれらの混合物からなる群から選択される。
【0073】
一実施形態では、有機媒体は、植物油、例えばスイートアーモンド油、オリーブ油、アボカド油、ブドウ種子油、ヒマワリ油、メドウフォーム種子油、ニンジン油、及びそれらの混合物からなる群から選択されたものなどである。
【0074】
本発明による分散体はまた、その特性を改善するために分散剤を含んでもよい。分散剤は、二酸化チタン粒子の総質量に基づいて、好適には、二酸化チタン粒子の総質量に基づいて、1~30質量%、好ましくは4~20質量%、より好ましくは6~15質量%、特に8~12質量%、とりわけ9~11質量%の範囲内で存在する。
【0075】
好適な分散剤としては、置換カルボン酸、石鹸素地(soap base)、及びポリヒドロキシ酸が挙げられる。典型的な分散剤は、式R・CO・AXを有するものであることができ、ここで、Aは2価の原子、例えばOなど、又は2価の橋架け基(bridging group)である。Xは、水素又は金属カチオン、又は第1級、第2級もしくは第3級アミノ基又はそれらの酸との塩、あるいは第4級アンモニウム塩基であることができる。Rは、ポリエステル鎖の残基であることができ、これは-CO-基と共に、式HO-R'-COOHのヒドロキシカルボン酸から誘導される。典型的な分散剤の例としては、リシノール酸、ヒドロキシステアリン酸、水素化ひまし油脂肪酸を基にしたものが挙げられ、水素化ひまし油脂肪酸は、12-ヒドロキシステアリン酸に加えて、少量のステアリン酸及びパルミチン酸を含む。ヒドロキシ基を含まないヒドロキシカルボン酸及びカルボン酸の1種又は2種以上のポリエステル又は塩に基づく分散剤も使用できる。種々の分子量の化合物を使用できる。ポリグリセリル-3ポリリシノレエート及びポリヒドロキシステアリン酸が好ましい分散剤である。二酸化チタン粒子のコーティング層が本明細書で定義されるシランカップリング剤を含む場合、ポリグリセリル-3ポリリシノレエートが特に好ましい。二酸化チタン粒子のコーティング層がシランカップリング剤を含まない場合、ポリヒドロキシステアリン酸が特に好ましい。
【0076】
他の好適な分散剤は、脂肪酸アルカノールアミドとカルボン酸のモノエステル及びそれらの塩である。好適なアルカノールアミドとしては、例えば、エタノールアミン、プロパノールアミン又はアミノエチルエタノールアミンに基づくものが挙げられる。分散剤は、ハイパー分散剤(hyper dispersant)と商業的に呼称されているもののうちの1種であることができる。ポリヒドロキシステアリン酸が有機媒体中で特に好ましい分散剤である。
【0077】
水性媒体中での使用に好適な分散剤としては、ポリマー性アクリル酸又はそれらの塩が挙げられる。部分的にもしくは完全に中和された塩、例えばアルカリ金属塩及びアンモニウム塩が使用可能である。分散剤の例は、ポリアクリル酸、置換アクリル酸ポリマー、アクリル酸共重合体、ポリアクリル酸のナトリウム及び/又はアンモニウム塩、ならびにアクリル酸共重合体のナトリウム及び/又はアンモニウム塩である。かかる分散剤は、ポリアクリル酸自体及びそれらのナトリウムもしくはアンモニウム塩、ならびにアクリル酸と他の好適なモノマー、例えばスルホン酸誘導体、例えば2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸との共重合体に類型化される。アクリル酸もしくは置換アクリル酸と重合可能なコモノマーはカルボキシル基を含むものであることができる。通常は、水性媒体中で使用される分散剤は1,000~10,000の範囲内の分子量を有し、好ましくは実質的に直鎖状の分子である。クエン酸ナトリウムなどの材料を共分散剤として使用してもよい。
【0078】
本発明の1つの利点は、分散体の総質量に基づいて、好適には、少なくとも30質量%、好ましくは少なくとも40質量%、より好ましくは少なくとも45質量%、特に少なくとも50質量%、とりわけ少なくとも55質量%で、一般的には最大で65質量%までの二酸化チタン粒子を含む分散体、特に液体を、生成できることである。
【0079】
一実施形態では、好適に焼成された本発明による二酸化チタン粒子は、分散体において、(i)175nmを超える、好適には180nmを超える、より好適には200nmを超える、より一層好適には220nmを超える、好ましくは235nmを超える、より好ましくは245nmを超える、特に255nmを超える、とりわけ265nmを超え;及び/又は(ii)360nm未満、好適には340nm未満、より好適には320nm未満、好ましくは305nm未満、より好ましくは295nm未満、特に285nm未満、とりわけ275nm未満;及び/又は(iii)(i)と(ii)の任意の組み合わせの、本開示に記載したように測定される、体積基準のメジアン粒子径(粒子の直径に対する体積(質量)%に関する累積分布曲線上で読み取った、全ての粒子の体積の50%に相当する等価球直径-しばしば「D(v,0.5)」値として表される)を有する。
【0080】
一実施形態では、好適に焼成された二酸化チタン粒子は、175nmを超える、好ましくは180nm~230nm、より好ましくは185~210nm、特に190~200nm、とりわけ193~197nmの範囲内のD(v,0.5)値を有する。
【0081】
二酸化チタン粒子のサイズ分布も、所望の特性を得るための重要なパラメータであることがある。一実施形態では、(i)10体積%未満の二酸化チタン粒子は、体積基準のメジアン粒子径よりも、50nm超、好適には45nm超、より好適には40nm超、好ましくは35nm超、より好ましくは32nm超、特に28nm超、とりわけ25nm超小さい体積基準の直径(volume based diameter)を有し;及び/又は(ii)16体積%未満の二酸化チタン粒子は、体積基準のメジアン粒子径よりも、45nm超、好適には40nm超、より好適には35nm超、好ましくは30nm超、より好ましくは25nm超、特に20nm超、とりわけ18nm超小さい体積基準の直径を有し;及び/又は(iii)90体積%を超える二酸化チタン粒子は、体積基準のメジアン粒子径よりも、140nm未満、好適には125nm未満、より好適には115nm未満、好ましくは105nm未満、より好ましくは95nm未満、特に85nm未満、とりわけ80nm未満大きい体積基準の直径を有し;及び/又は(iv)84体積%を超える二酸化チタン粒子は、体積基準のメジアン粒子径よりも、100nm未満、好適には85nm未満、より好適には75nm未満、好ましくは65nm未満、より好ましくは55nm、特に45nm未満、とりわけ40nm未満大きい体積基準の直径を有し;及び/又は(v)(i)、(ii)、(iii)及び/又は(iv)の任意の組み合わせである。
【0082】
一実施形態では、好適に焼成された本発明による二酸化チタン粒子は、分散体において、(i)120nmを超える、好適には135nmを超える、より好適には145nmを超える、より一層好適には155nmを超える、好ましくは165nmを超える、より好ましくは175nmを超える、特に185nmを超える、とりわけ195nmを超える;及び/又は(ii)265nm未満、好適には255nm未満、より好適には245未満nm、好ましくは235nm未満、より好ましくは225nm未満、特に215nm未満、とりわけ205nm未満;及び/又は(iii)(i)及び(ii)の任意の組み合わせの、本開示に記載のように測定される、数基準のメジアン粒子径(number based median particle diameter)(粒子の直径に対する体積%に関する累積分布曲線上で読み取った、全ての粒子の数の50%に相当する等価球直径-しばしば「D(n,0.5)」値として表される)を有する。
【0083】
一実施形態では、好適に焼成された二酸化チタン粒子は、100nmを超える、好ましくは110nm~175nm、より好ましくは120~155nm、特に130~145nm、とりわけ135~140nmの範囲内のD(n,0.5)値を有する。
【0084】
一実施形態では、(i)二酸化チタン粒子の数の10%未満は、数基準のメジアン粒子径よりも50nm超、好適には45nm超、より好適には40nm超、好ましくは35nm超、より好ましくは32nm超、特に28nm超、とりわけ25nm超小さい数基準の直径(number based diameter)を有し;及び/又は(ii)二酸化チタン粒子の数の16%未満は、数基準のメジアン粒子径よりも45nm超、好適には40nm超、より好適には35nm超、好ましくは30nm超、より好ましくは25nm超、特に20nm超、とりわけ18nm超小さい数基準の直径を有し;及び/又は(iii)二酸化チタン粒子の数の90%超は、数基準のメジアン粒子径よりも100nm未満、好適には85nm未満、より好適には70nm未満、好ましくは60nm未満、より好ましくは50nm未満、特に45nm未満、とりわけ40nm未満大きい数基準の直径を有し;及び/又は(iv)二酸化チタン粒子の84%超は、数基準のメジアン粒子径よりも85nm未満、好適には70nm未満、より好適には55nm未満、好ましくは45nm未満、より好ましくは35nm未満、特に30nm未満、とりわけ25nm未満大きい数基準の直径を有し;及び/又は(v)(i)、(ii)、(iii)及び/又は(iv)の任意の組み合わせである。
【0085】
本発明による分散体中の二酸化チタン粒子のサイズは、沈降分析に基づく技術によって測定することができる。体積基準のメジアン粒子径は、選択した粒子サイズ未満の粒子体積の百分率を表す累積分布曲線をプロットし、そして50番目の百分位数を求めることによって決定することができる。数基準のメジアン粒子径は、選択した粒子サイズ未満の粒子数の百分率を表す累積分布曲線をプロットし、そして50番目の百分位数を求めることによって決定することができる。二酸化チタン粒子のメジアン粒子体積及び数直径並びに粒子サイズ分布は、本開示に記載したように、二酸化チタン粒子の分散体を形成し、そしてBrookhaven粒径分析計を使用することによって好適に測定することができる。
【0086】
本発明による分散体中の二酸化チタン粒子のサイズは、光散乱に基づく技術によって測定することもできる。散乱光の強度が測定され、この関数は、(i)1つの全体的な平均粒子サイズを与えるキュムラント(cumulant)(又はZ平均)平均粒子サイズ、及び(ii)散乱光の強度に基づいて平均サイズを与えるピークサイズを決定するアルゴリズムを使用して、サイズを取得するためにフィットされる。強度値は、ミー(Mie)理論を使用して数又は体積分布に変換できる。この分布は、サンプル中の複数の成分の散乱(強度)というよりむしろそれらの質量又は体積に基づいた、サンプル中の複数の成分の相対的な割合を表す。
【0087】
一実施形態では、分散体中の二酸化チタン粒子は、(i)80nmを超える、好適には100nmを超える、より好適には115nmを超える、好ましくは125nmを超える、より好ましくは130nmを超える、特に135nmを超える、とりわけ140nmを超え;及び/又は(ii)230nm未満、好適には200nm未満、より好適には185nm未満、より一層好適には170nm未満、好ましくは165nm未満、より好ましくは160nm未満、特に155nm未満、とりわけ150nm未満の;及び/又は(iii)(i)と(ii)の任意の組み合わせの、本開示に記載したように光散乱によって測定される、Z平均粒子サイズを有する。
【0088】
一実施形態では、分散体中の二酸化チタン粒子は、135~230nm、好ましくは155~210nm、より好ましくは165~200nm、特に175~190nm、とりわけ180~185nmの範囲内のZ平均粒子サイズを有する。
【0089】
一実施形態では、分散体中の二酸化チタン粒子は、(i)90nmを超える、好適には110nmを超える、より好適には125nmを超える、好ましくは135nmを超える、より好ましくは145nmを超える、特に150nmを超える、とりわけ155nmを超え;及び/又は(ii)250nm以下、好適には220nm未満、より好適には200nm未満、より一層好適には185nm未満、好ましくは175nm未満、より好ましくは170nm未満、特に165nm未満、とりわけ160nm未満;及び/又は(iii)(i)と(ii)の任意の組み合わせの、本開示に記載したように光散乱によって測定される強度平均粒子サイズ(intensity mean particle size)を有する。
【0090】
一実施形態では、分散体中の二酸化チタン粒子は、150~250nm、好ましくは175~230nm、より好ましくは185~220nm、特に195~210nmを超える、とりわけ200~205nmの範囲内の強度平均粒子サイズを有する。
【0091】
本発明による二酸化チタン粒子は、好ましくは、改善された透明性を示し、(i)7.5l/g/cm以下、好適には7.0l/g/cm以下、好ましくは6.8l/g/cm以下、より好ましくは6.6l/g/cm以下、特に6.5l/g/cm以下、とりわけ6.45l/g/cm以下;及び/又は(ii)4.7l/g/cm以上、好適には5.2l/g/cm以上、より好適には5.7l/g/cm以上、好ましくは6.0l/g/cm以上、より好ましくは6.2l/g/cm以上、特に6.3l/g/cm以上、とりわけ6.35l/g/cm以上;及び/又は(iii)(i)と(ii)の任意の組み合わせの、本開示に記載したように測定される524nmでの吸光係数(E524)を有することができる。
【0092】
二酸化チタン粒子は、効果的なUV吸収を示し、(i)20l/g/cmを超える、好適には27l/g/cmを超える、より好適には32~50l/g/cm、好ましくは36~46l/g/cm、より好ましくは39~44l/g/cm、特に40~43l/g/cm、とりわけ41~42l/g/cmの範囲内の、本開示に記載したように測定される360nmでの吸光係数(E360);及び/又は(ii)45l/g/cmを超える、好適には50l/g/cmを超える、より好適には55~76l/g/cm、好ましくは59~73l/g/cm、より好ましくは62~70l/g/cm、特に64~68l/g/cm、とりわけ65~67l/g/cmの範囲内の、本開示に記載したように測定される308nmでの吸光係数(E308);及び/又は(iii)(i)と(ii)の任意の組み合わせを有することができる。
【0093】
一実施形態では、二酸化チタン粒子は、(i)3500(l/g/cm)2未満、好適には3300(l/g/cm)2以下、好ましくは3150(l/g/cm)2以下、より好ましくは2950(l/g/cm)2以下、特に2850(l/g/cm)2以下、とりわけ2800(l/g/cm)2以下;及び/又は(ii)1800(l/g/cm)2を超える、好適には2100(l/g/cm)2を超える、より好適には2300(l/g/cm)2以上、好ましくは2450(l/g/cm)2以上、より好ましくは2550(l/g/cm)2以上、特に2650(l/g/cm)2以上、とりわけ2700(l/g/cm)2以上;及び/又は(iii)(i)と(ii)の任意の組み合わせのE308×E360値を有することができる。
【0094】
一実施形態では、二酸化チタン粒子は、(i)300l/g/cmを超える、好適には320l/g/cm以上、より好適には340l/g/cm以上、好ましくは365l/g/cm以上、より好ましくは385l/g/cm以上、特に405以上、とりわけ425l/g/cm以上;及び/又は(ii)650l/g/cm未満、好適には570l/g/cm以下、好ましくは520l/g/cm以下、より好ましくは485l/g/cm以下、特に465l/g/cm以下、とりわけ445l/g/cm以下;及び/又は(iii)(i)と(ii)の任意の組み合わせの(E308×E360)/E524値を有することができる。
【0095】
一実施形態では、二酸化チタン粒子は、(i)350(l/g/cm)2未満、好適には320(l/g/cm)2以下、好ましくは300(l/g/cm)2以下、より好ましくは285(l/g/cm)2以下、特に275(l/g/cm)2以下、とりわけ270(l/g/cm)2以下;及び/又は(ii)190(l/g/cm)2を超える、好適には215(l/g/cm)2以上、好ましくは230(l/g/cm)2以上、より好ましくは245(l/g/cm)2以上、特に255(l/g/cm)2以上、とりわけ260(l/g/cm)2以上;及び/又は(iii)(i)と(ii)の任意の組み合わせのE524×E360値を有することができる。
【0096】
二酸化チタン粒子は、本開示に記載したように測定される、290~355nm、好適には300~340nm、好ましくは308~330nm、より好ましくは313~324nm、特に316~320nm、とりわけ317~319nmの範囲のλ(max)を有することができる。
【0097】
一実施形態では、二酸化チタン粒子は、(i)5.0を超える、好適には5.5~8.0、好ましくは5.9~7.3、より好ましくは6.2~6.9、特に6.4~6.7、とりわけ6.5~6.6の範囲内のE360/E524比;及び/又は(ii)5.0を超える、好適には7.0~15.0、好ましくは8.0~13.0、より好ましくは9.0~12.0、特に9.5~11.5、とりわけ10.0~11.0の範囲内のE308/E524比;及び/又は(iii)30を超える、好適には40~130、好ましくは50~100、より好ましくは55~85、特に60~75、とりわけ65~70の範囲内のE360/E524比×E308/E524比;及び/又は(iv)(i)、(ii)及び/又は(iii)の任意の組み合わせを有することができる。
【0098】
二酸化チタン粒子は、0.30~0.90、好適には0.40~0.85、好ましくは0.45~0.80、より好ましくは0.50~0.75、特に0.55~0.70、とりわけ0.60~0.65の範囲内のE360/E308比を有することができる。
【0099】
二酸化チタン粒子は、例えば40質量%の分散体中に存在する場合、本開示に記載したように測定される、50未満、好ましくは10~40、より好ましくは20~36、特に27~33、とりわけ29~31の範囲内の白色度ΔLの変化を好適に示す。
【0100】
本発明による二酸化チタン粒子を含む組成物、好ましくは最終用途の日焼け止め製品は、組成物の総質量に基づいて、好ましくは0.5質量%を超える、より好ましくは1~25質量%、特に3~20質量%、とりわけ5~15質量%の範囲内の、本開示に記載の二酸化チタン粒子を含む。
【0101】
本発明によるかかる組成物は、好適には、(i)10を超える、好ましくは15を超える、より好ましくは25を超える、特に好ましくは35を超える、とりわけ40を超え、一般的には最大で60までの、本開示に記載したように測定されるサンプロテクションファクター又は紫外線防御指数(Sun Protection Factor)(SPF)、及び/又は(ii)6を超える、好ましくは8を超える、より好ましくは10を超える、特に12を超える、とりわけ13を超え、一般的には最大で20までの、本開示に記載したように測定されるUVA防御指数(UVAPF)を有する。
【0102】
組成物は、好適には、0.90未満、好ましくは0.40~0.75の範囲、より好ましくは0.50~0.70、特に0.60~0.66、とりわけ0.62~0.64のUVA/UVB比を有する。
【0103】
組成物は、好適には、8未満、好ましくは1.5~3.5、より好ましくは2.2~3.2、特に2.5~2.9、とりわけ2.6~2.8の範囲内のSPF/UVAPF比を有する。
【0104】
組成物の臨界波長は、好適には、360nmを超える、好ましくは370nm~390nm、より好ましくは375nm~385nm、特に377nm~381nm、とりわけ378nm~380nmの範囲内の値を有する。
【0105】
本発明の1つの驚くべき特徴は、前述のSPF、UVAPF、及び/又はSPF/UVAPF比の値が、本開示に記載の二酸化チタンが組成物中に存在する本質的に唯一の紫外線減衰剤である場合に得られることである。「本質的に」とは、組成物の総質量に基づいて、任意の他の無機物及び/又は有機UV吸収剤が3質量%未満、好ましくは2質量%未満、より好ましくは1質量%未満、特に0.5質量%未満、とりわけ0.1質量%未満であることを意味する。
【0106】
二酸化チタン粒子は、本開示に記載のように測定される、粒子を含む日焼け止め製品の白色度ΔLの、20未満、好ましくは5~16、特に10~15、とりわけ13~14の範囲内の変化を好適に示す。組成物は、好適には、1未満、好ましくは0.05~0.8、より好ましくは0.2~0.6、特に0.3~0.5、とりわけ0.35~0.45の範囲のΔL/SPF比を有する。
【0107】
本発明の二酸化チタン粒子及び分散体は、特に水中油もしくは油中水エマルションの形態の、日焼け止め組成物を調製するための成分として有用である。本組成物は、意図した用途における使用に好適な慣用の添加剤、例えば日焼け止めに使用される慣用の化粧用成分をさらに含むことができる。上記のように、本開示で規定した粒子状二酸化チタンは、存在する唯一の紫外線減衰剤であることができるが、しかしながら他の日焼け止め剤、例えば他の二酸化チタン、酸化亜鉛及び/又は他の有機UV吸収剤を加えてもよい。例えば、本開示で規定した二酸化チタン粒子は、他の存在する商業的に入手可能な二酸化チタン及び/又は酸化亜鉛日焼け止めと組み合わせて使用することができる。
【0108】
本発明の二酸化チタン粒子及び分散体は、有機UV吸収剤、例えば、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アボベンゾン)、ベンゾフェノン-3(オキシベンゾン)、4-メチルベンジリデンカンファー(エンザカメン)、ベンゾフェノン-4(スルイソベンゾン)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(ベモトリジノール)、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルへキシルベンゾエート、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン、二ナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネート、ドロメトリゾールトリシロキサン、エチルヘキシルジメチルPABA(パジメートO)、エチルヘキシルメトキシシンナメート(オクチノキサート)、エチルヘキシルサリチレート(オクチサレート)、エチルヘキシルトリアゾン、ホモサレート、イソアミルp-メトキシシンナメート(アミロキサート)、イソプロピルメトキシンナメート、メチルアントラニレート(メラジマート)、メチレンビス-ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(ビスオクトリゾール)、オクトクリレン、PABA(アミノ安息香酸)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(エンスリゾール)、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、及びそれらの混合物と組み合わせて使用することができる。
【0109】
本明細書では、次の試験方法を使用した。
【0110】
1)二酸化チタン粒子の粒度測定
少量の二酸化チタン粉末(典型的には2mg)を、スチールスパチュラの先端を使用して、約2滴の超純水(ELGA Medica R7)に1~2分間押し込んだ。得られた懸濁液を水で希釈し、激しく振とうした。サンプルを、透過型電子顕微鏡法に適したカーボンコーティングされたグリッド上に載せ、JOEL 2100F PE6-TEMに装填する前に風乾した。200kVの加速電圧を使用し、適切な正確な倍率で画像を撮影した。約300~500個の粒子が約2直径間隔で表示された。等しい体積の球形の結晶を表す、直径が徐々に大きくなる円の列で構成される透明なサイズグリッドを使用して、最小数の300個の粒子のサイズを決定した。各円の下に、同じ体積で徐々に離心率が増加する回転楕円体を表す一連の楕円体の輪郭を描いた。基本的な方法は、1.2~1.6の範囲の対数正規分布(log normal distribution)の標準偏差を想定している(粒子サイズの分布が広いと、例えば1000のオーダーなど、より多くの粒子をカウントする必要がある)。上記の懸濁法は、最小限の結晶破壊を導入しながら、ほぼ完全に分離された二酸化チタン粒子を生成するのに好適である。残留凝集体は十分に明確に定義されるため、それらと小さな破片は無視でき、事実上、カウントに含まれるのは個々の粒子のみである。二酸化チタン粒子の平均長さ、平均幅、平均アスペクト比、及びサイズ分布は、上記の測定値から計算した。
【0111】
2)二酸化チタン粒子の結晶サイズ測定
結晶サイズは、X線回折(XRD)ラインブロードニングによって測定した。回折パターンは、モノクロメーターとして機能するエネルギー分散型検出器を備えたBruker D8回折計を使用して測定した。X線発生器の出力を40kV及び40mAに設定した。0.6mmのプログラム可能なスリットを使用して、0.05°のステップサイズで回折を測定した。2θが22°~48°の間の回折パターンを、ルチルの反射位置に対応する一連のピークと、アナターゼが存在する場合はそれらの反射に対応する追加の一連のピークにフィッティングすることによって、データを分析した。フィッティングプロセスにより、回折線の形状に対する機器ブロードニングの影響を取り除くことができた。B. E. Warren, “X-Ray Diffraction”, Addison-Wesley, Reading, Massachusetts,1969,pp 251-254に記載されているScherrerの式を使用して、半値全幅(FWHM)に基づいて、ルチル110反射(2θは約27°)について、平均結晶サイズの値を決定した。
【0112】
3)分散体中の二酸化チタン粒子の粒子メジアン径及び粒子サイズ分布
i)5gのポリヒドロキシステアリン酸(又はシランカップリング剤がコーティング層に存在する場合はポリグリセリル-3ポリリシノール酸)を45gのC12-C15アルキルベンゾエートと混合し、次に、混合物に50gの二酸化チタン粉末を加えることによって、二酸化チタン粒子の有機液体分散体を生成させた。混合物を、粉砕媒体としてジルコニアビーズを含む、4,500r.p.mで動作する水平ビーズミルに60分間通した。
(a)二酸化チタン粒子の分散体をミリスチン酸イソプロピルと混合して15~25g/lに希釈した。希釈したサンプルをBrookhaven BI-XDCパーティクルサイザーで遠心分離モードで分析し、体積と数に基づいたメジアン径、及び粒子サイズ分布を測定した。測定は1,000rpmの速度で行い、粒子サイズはストークス(Stokes)の法則(X線光を使用して決定)に従って検出器内で粒子が沈降するのにかかる時間に基づいて決定した。及び/又は
(b)二酸化チタン粒子の分散体を3質量%のポリヒドロキシステアリン酸を含むC12-C15アルキルベンゾエートの溶液と混合することにより、1~10g/Lに希釈した。希釈したサンプルを使い捨てプラスチックキュベットに移し、Malvern Zetasizer Nano ZSで分析した。機器は、最初に平衡段階を測定することから始め、次にサンプルからの散乱光強度を分析し、懸濁液中のブラウン運動に基づいて粒子の流体力学的体積を決定する。キュムラント平均(Z平均)値は、例えば、Koppel, D.E.“Analysis of Macromolecular Polydispersity in Intensity Correlation Spectroscopy: The Method of Cumulants” J. Chem. Phys 57 (11), pp 4814-4820, 1972に記載されているキュムラントの方法によって計算した。強度基準の平均直径、数基準の平均直径、及び体積(質量)基準の平均直径も決定した。
【0113】
ii)6.2gのポリグリセリル-2カプレート、2.6gのステアリン酸スクロース、2gのホホバオイル、0.6gのスクアラン、1gのカプリリルカプリレート、37.4gの脱イオン水を混合し、次に、混合物に50gの二酸化チタン粉末を加えることによって水性分散体を生成した。混合物を、粉砕媒体としてジルコニアビーズを含む、4,500r.p.mで動作する水平ビーズミルに60分間通した。
(a)二酸化チタン粒子の分散体をイソデセス-6の0.1質量%水溶液と混合することにより15~25g/lに希釈した。希釈したサンプルをBrookhaven BI-XDCパーティクルサイザーで遠心分離モードで分析し、体積基準のメジアン径、数基準のメジアン径、及び粒子サイズ分布を上記のように有機分散体について測定した。及び/又は
(b)二酸化チタン粒子の分散体を脱イオン水と混合して1~10g/Lに希釈した。希釈したサンプルを使い捨てプラスチックキュベットに移し、Malvern Zetasizer Nano ZSで分析した。機器は、最初に平衡段階を測定することから始め、次にサンプルからの散乱光強度を分析し、懸濁液中のブラウン運動に基づいて粒子の流体力学的体積を決定する。キュムラント平均(Z平均)値、強度基準の平均直径、数基準の平均直径、及び体積(質量)基準の平均直径を、有機分散体について上記のように測定した。
【0114】
4)二酸化チタン粒子のBET比表面積
Micromeritics Gemini VII2390Pを使用してBET比表面積を測定した。0.4~0.5gの乾燥二酸化チタン粉末をサンプルチューブに導入し、室温で窒素下で10分間脱気した後、200℃に加熱し、この温度で3時間保持し、再び窒素下で保持した。乾燥したサンプルを液体窒素(-196℃)に浸し、サンプルが凍結したら、窒素を使用して比表面積(SSA)を分析した。
【0115】
5)二酸化チタン粒子の水銀ポロシメトリー細孔径
Micromeritics Autopore Vポロシメーターを使用して細孔径分布を測定した。約0.1gの乾燥二酸化チタン粉末を針入度計(penetrometer)のバルブに量り入れた。二酸化チタンを含む針入度計をMicromeritics Autopore Vポロシメーターにロードし、浸入(intrusion)及び排出(extrusion)サイクル中に0.33~60,000psiaで測定を行った。59,950.54psiaでの平均細孔径及び総細孔面積が決定された。
【0116】
6)二酸化チタン粒子の白色度の変化
i)有機又は水性二酸化チタン分散体(例えば、上記3)に記載したとおりのもの)を光沢のある黒色カードの表面にコーティングし、No.2 Kバーを使用してドローダウンして湿潤厚さ12ミクロンのフィルムを形成した。フィルムを室温で10分間乾燥させ、Minolta CR300比色計を使用して、黒色表面上のコーティングの白色度(LF)を測定した。白色度の変化ΔLは、コーティングの白色度(LF)から基材の白色度(LS)を差し引くことによって計算した。
ii)日焼け止め配合物(例えば、実施例3に記載したとおりのもの)を光沢のある黒色カードの表面にコーティングし、No.2 Kバーを使用してドローダウンして湿潤厚さ12ミクロンのフィルムを形成した。フィルムを室温で10分間乾燥させ、Minolta CR300比色計を使用して、黒色表面上のコーティングの白色度(LF)を測定した。白色度の変化ΔLは、コーティングの白色度(LF)から基材の白色度(LS)を差し引くことによって計算した。
【0117】
7)サンプロテクションファクター及びUVA/UVB比
日焼け止め配合物(例えば、実施例3に記載したとおりのもの)のサンプロテクションファクター(SPF)は、Diffey and Robson, J. Soc. Cosmet. Chem. Vol. 40, pp 127-133, 1989のインビトロ(in vitro)方法を使用して決定した。この方法は、曲線のUVA部分に関連する面積で割った曲線のUVB部分に関連する吸収曲線の下の面積を分析することによって決定される、日焼け止め配合物のUVA/UVB比を特定するためにも使用した。
【0118】
8)UVA防御指数と臨界波長
日焼け止め配合物(例えば実施例3に記載したとおりのもの)のUVA防御指数(UVAPF0及びUVAPF)を、COLIPAガイドライン「Method for In Vitro Determination of UVA Protection Provided by Sunscreen Products Edition of 2011」に記載されているように決定した。Labsphere UV-2000S UV透過率アナライザーを使用した。この方法を使用して、吸光度曲線の下の面積の90%が存在する波長を示す配合物の臨界波長も決定した。
【0119】
ブランク(100%透過率)サンプルは、1.30mg・cm-2(0.0325gに相当)のグリセリンをポリメチルメタクリレート(PMMA)プレート(Laboratoire Helios Science CosmetiqueからのHelioplates HD6)の粗い表面に塗り広げることによって作製した。日焼け止め配合物を、プレートの表面全体に均一に分布する一連の小さな点として1.30mg・cm-2(0.0325gに相当)の濃度で、同じPMMAプレートの粗い表面に塗布した。塗布直後に、ラテックス手袋をはめた指を用いて、配合物をプレートの表面全体に塗り広げた。コーティングされたプレートを暗所で15分間乾燥させた。乾燥直後に、異なる位置で各プレートについて合計9つのUV透過スペクトル(290~400nm)を記録した。3つの異なるプレートを使用して、各波長でのUV透過データの27個の読取り値の平均を得た。1nm増分毎に、コーティングされたプレートを透過した紫外線を定量化した。各波長増分で得られた個々の透過率測定値を使用して、初期UVA防御指数(UVAPF0)を計算した。ロングアークキセノンAtlas Suntest CPS+インソレーターを使用して、同じ日焼け止め配合物で処理されたプレートを、次に、機器によって計算されUVAPF0に関連する単一UV線量の模擬日光曝露にかけ、その後、このサンプルを通しての2回目の一連の透過測定を行った。模擬日光暴露の前に、同じ数の測定(つまり、9×3プレート)を行った。この場合も、透過率の値を吸光度の値に変換し、露光後のUVA防御指数(UVAPF)を計算した。
【0120】
9)吸光係数
i)有機液体二酸化チタン分散体(例えば、上記3)に記載したとおりのもの)の0.1gのサンプルを100mlのシクロヘキサンで希釈した。次に、希釈したサンプルを、1:19のサンプル:シクロヘキサン比率でシクロヘキサンでさらに希釈した。総希釈率は1:20,000であった。
ii)水性二酸化チタン分散体(例えば、上記3)に記載したとおりのもの)の0.1gのサンプルを100mlの脱イオン水で希釈した。次に、希釈したサンプルを、1:19のサンプル:脱イオン水比で脱イオン水でさらに希釈した。総希釈率は1:20,000であった。
【0121】
i)及び/又はii)で作製した希釈サンプルを、光路長1cmの分光光度計(Perkin-Elmer Lambda 650 UV/VIS分光光度計)内に配置し、UV及び可視光の吸光度を測定した。吸光係数は、式A=E・c・lから計算した。ここで、A=吸光度、E=リットル/グラム/cm単位の吸光係数、c=グラム/リットル単位の濃度、l=cm単位の光路長である。
【0122】
本発明は、以下の非限定的な実施例によって例示する。
【実施例
【0123】
実施例1
酸性溶液中のオキシ二塩化チタン1モルを水溶液中の3モルのNaOHと反応させた。最初の反応期間の後、温度を70℃超に上げ、撹拌を続けた。反応混合物を、NaOH水溶液を加えることにより中和し、70℃未満に放冷した。濾過後、前駆体二酸化チタン粒子の得られたフィルターケーキを、6r.p.mで動作する回転式乾燥機を使用して、水20質量%までさらに乾燥させた。スクリューコンベヤーを使用して、この材料を710℃で動作する回転式焼成機に20分間の滞留時間で供給した。処理された二酸化チタンは、3,250r.p.mで動作するIKA Werke乾燥粉末ミルを使用して微粉末に粉砕した。粉末を脱イオン水中に再スラリー化した。得られたスラリーに、pHを11未満に保ちながら、TiO2質量に対して3.5質量%のAl23に相当するアルミン酸ナトリウムのアルカリ性溶液を添加した。添加中、温度を60℃未満に維持した。次に、スラリーの温度を75℃に上げ、熱水中に溶解した、TiO2に対して4.6質量%のステアリン酸ナトリウムを添加した。スラリーを45分間平衡化し、20%塩酸を15分間かけて滴下添加することにより中和した後、スラリーを50℃未満に放冷した。水中の100gdm-3でのケーキ導電率が150μS未満になるまで、ブフナーフィルターを使用してスラリーを濾過した。フィルターケーキを110℃で24時間オーブン乾燥し、3,250r.p.mで動作するIKA Werke乾燥粉末ミルによって微粉末に粉砕した。
【0124】
5.5gのポリヒドロキシステアリン酸を39.5gのC12-C15アルキルベンゾエートと混合し、次に55gの上記の生成した乾燥焼成二酸化チタン粉末を混合物に加えることにより、分散体を生成させた。混合物を、粉砕媒体としてジルコニアビーズを含む4,500r.p.mで動作する水平ビーズミルに60分間通した。
【0125】
前駆体二酸化チタン粒子、焼成二酸化チタン粒子、コーティングされた二酸化チタン粒子及びその分散体を本開示に記載の試験手順にかけ、それらは以下の特性を示した。
【0126】
1)前駆体二酸化チタン粒子:
BET比表面積=101m2-1
水銀ポロシメトリーの平均細孔径=77.6nm
59,950.54psiaでの水銀ポロシメトリーの総細孔面積=72.6m2-1
平均結晶サイズ=10nm
平均長さ=75nm
平均幅=15nm
平均アスペクト比=5.0:1
【0127】
2)焼成二酸化チタン粒子:
BET比表面積=31.9m2-1
水銀ポロシメトリーの平均細孔径=119nm
59,950.54psiaでの水銀ポロシメトリー総細孔面積=36.7m2-1
平均結晶サイズ=42.4nm
平均長さ=44nm
平均幅=34nm
平均アスペクト比=1.3:1
【0128】
3)焼成による二酸化チタン粒子の特性の変化:
BET比表面積の減少=68.4%
水銀ポロシメトリー平均細孔径の増加=53.4%
59,950.54psiaでの水銀ポロシメトリー総細孔面積の減少=49.4%
平均結晶サイズの増加=324%
平均幅の増加=126.7%
【0129】
4)コーティングされた二酸化チタン粒子:
BET比表面積=28.6m2-1
水銀ポロシメトリー平均細孔径=107.9nm
59,950.54psiaでの水銀ポロシメトリー総細孔面積=37.9m2-1
【0130】
5)二酸化チタン分散体:
(a)沈降による粒子サイズ;
i)D(v,0.5)=271nm、
ii)D(n,0.5)=200nm、
【0131】
(b)光散乱による粒子サイズ:
i)Z平均=148nm
ii)強度平均=158nm
【0132】
(c)吸光係数:
【表1】
【0133】
実施例2
6.2gのポリグリセリル-2カプレート、2.6gのステアリン酸スクロース、2gのホホバオイル、0.6gのスクアラン、1gのカプリル酸カプリリル、37.4gの脱イオン水を混合し、次に、50gの例1で生成した二酸化チタン粉末を添加することによって、水性分散体を生成させた。混合物を、粉砕媒体としてジルコニアビーズを含む4,500r.p.mで動作する水平ビーズミルに60分間通した。二酸化チタン分散体を本開示に記載の試験手順にかけ、二酸化チタン分散体は以下の特性を示した。
【0134】
吸光係数:
【表2】
【0135】
実施例3
実施例1で生成された二酸化チタン分散体を使用して、以下の組成を有する日焼け止めエマルジョン配合物を調製した。
【0136】
【表3】
【0137】
手順
1.Keltrol RDを水に分散させ、残りの水相Aの成分を混合物に加え、65~80℃に加熱した。
2.油相Bの成分を組み合わせ、75~80℃に加熱した。
3.油相を撹拌しながら水相に加えた。
4.混合物を1分間均質化した。
5.得られたエマルジョンを撹拌しながら室温まで冷却し、相C防腐剤を40℃未満で添加した。
【0138】
日焼け止め配合物を本開示に記載の試験手順にかけ、日焼け止め配合物は以下の特性を示した。
i)SPF=34
ii)UVA/UVB比=0.684
iii)UVAPF=13
iv)臨界波長=379nm
v)ΔL=13.5
vi)ΔL/SPF比=0.40
【0139】
実施例4
酸性溶液中の1モルのオキシ二塩化チタンを水溶液中の3モルのNaOHと反応させた。最初の反応期間の後、温度を70℃以上に上げ、撹拌を続けた。反応混合物をNaOH水溶液を加えることにより中和し、70℃未満に放冷した。濾過後、得られた前駆体二酸化チタン粒子のフィルターケーキを、流動床を使用して水5質量%までさらに乾燥させた(約150℃で2時間)。スクリューコンベヤーを使用して、この材料を710℃で動作する回転式焼成機に20分間の滞留時間で供給した。処理した二酸化チタンを、3,250r.p.mで動作するIKA Werke乾燥粉末ミルを使用して微粉末に粉砕した。粉末を脱イオン水中に再スラリー化した。得られたスラリーに、pHを11未満に保ちながら、TiO2質量に対して3.5質量%のAl23に相当するアルミン酸ナトリウムのアルカリ性溶液を添加した。添加中、温度を60℃未満に維持した。次に、スラリーの温度を75℃に上げ、熱水中に溶解した、TiO2に対して4.6質量%のステアリン酸ナトリウムを添加した。スラリーを45分間平衡化し、20%塩酸を15分かけて滴下添加することにより中和した後、スラリーを50℃未満に放冷した。水中の100gdm-3でのケーキの導電率が150μS未満になるまで、ブフナーフィルターを使用してスラリーを濾過した。フィルターケーキを110℃で24時間オーブン乾燥し、3,250rpmで動作するIKA Werke乾燥粉末ミルによって微粉末に粉砕した。
【0140】
5gのポリヒドロキシステアリン酸を45gのC12-C15アルキルベンゾエートと混合し、次に50gの上記の生成した乾燥焼成二酸化チタン粉末を混合物に加えることにより、分散体を生成させた。混合物を、粉砕媒体としてジルコニアビーズを含む4,500r.p.mで動作する水平ビーズミルに60分間通した。
【0141】
二酸化チタン分散体を本開示に記載の試験手順にかけ、二酸化チタン分散体は以下の特性を示した。
【0142】
(a)沈降による粒子サイズ:
i)D(v,0.5)=196nm
ii)D(n,0.5)=137nm
【0143】
(b)光散乱による粒子サイズ:
i)Z平均=182nm
ii)強度平均=203nm
【0144】
吸光係数:
【表4】
【0145】
上記の実施例は、本発明による、二酸化チタン粒子、その製造方法、二酸化チタン分散体、及び/又は日焼け止め製品の改善された特性を示す。
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
175nmを超える体積基準のメジアン粒子径D(v,0.5)及び300l/g/cmを超える(E 308 ×E 360 )/E 524 値を含む二酸化チタン粒子。
[態様2]
(i)100nmを超える数基準のメジアン粒子径D(n,0.5)、及び/又は、(ii)80nmを超えるZ平均粒子サイズ、及び/又は、(iii)90nmを超える強度平均粒子サイズを含む、態様1に記載の二酸化チタン。
[態様3]
1.05~1.55:1の平均アスペクト比を含む、態様1又は2に記載の二酸化チタン。
[態様4]
(i)30.0~51.0nmの平均結晶サイズ、及び/又は(ii)1.05~1.55:1の平均アスペクト比を含む二酸化チタン粒子。
[態様5]
22.0~46.0nmの平均幅を含む、態様4に記載の二酸化チタン。
[態様6]
(i)30.0~51.0nmの平均結晶サイズ、及び/又は(ii)22.0~46.0nmの平均幅を含む、態様1~3のいずれか一つに記載の二酸化チタン。
[態様7]
320l/g/cm以上の(E 308 ×E 360 )/E 524 値を含む、態様1~6のいずれか一つに記載の二酸化チタン。
[態様8]
37.0~47.0nmの平均結晶サイズを含む、態様1~7のいずれか一つに記載の二酸化チタン。
[態様9]
15~43m 2 -1 のBET比表面積を含む、態様1~8のいずれか一つに記載の二酸化チタン。
[態様10]
(i)22~55m 2 -1 の59,950.54psiaでの水銀ポロシメトリー総細孔面積、及び/又は(ii)65~150nmの水銀ポロシメトリー平均細孔径を含む、態様1~9のいずれか一つに記載の二酸化チタン。
[態様11]
1800(l/g/cm) 2 を超え、かつ、3500(l/g/cm) 2 未満であるE 308 ×E 360 値を含む、態様1~10のいずれか一つに記載の二酸化チタン。
[態様12]
(i)320l/g/cm以上の(E 308 ×E 360 )/E 524 値、及び任意選択的に(ii)7.5l/g/cm以下のE 524 、及び/又は2100(l/g/cm) 2 を超えるE 308 ×E 360 値を含む二酸化チタン粒子。
[態様13]
320l/g/cm以上で650l/g/cm未満の(E 308 ×E 360 )/E 524 値を含む、態様1~12のいずれか一つに記載の二酸化チタン。
[態様14]
(i)5.2~7.5l/g/cmのE 524 、(ii)32~50l/g/cmのE 360 、(iii)45l/g/cmを超えるE 308 、及び(iv)1800(l/g/cm) 2 超で3300(l/g/cm) 2 以下のE 308 ×E 360 値からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、態様1~13のいずれか一つに記載の二酸化チタン。
[態様15]
(i)、(ii)、(iii)及び(iv)からなる群から選ばれる少なくとも2つを含む、態様14に記載の二酸化チタン。
[態様16]
(i)、(ii)、(iii)及び(iv)の全てを含む態様15に記載の二酸化チタン。
[態様17]
分散媒体と態様1~16のいずれか一つに規定される二酸化チタン粒子とを含む分散体。
[態様18]
態様1~16のいずれか一つに規定される二酸化チタン粒子、及び/又は、態様17に規定される分散体を含む、日焼け止め製品。
[態様19]
(i)3.0~7.0:1の平均アスペクト比を有する前駆体二酸化チタン粒子を形成すること、(ii)前記前駆体粒子を焼成して30.0~51.0nmの平均結晶サイズ及び/又は1.05~1.55:1の平均アスペクト比を有する焼成された二酸化チタン粒子を生成させること、及び任意選択的に(iii)前記焼成された二酸化チタン粒子に無機及び/又は有機コーティングを適用することを含む、二酸化チタン粒子を製造する方法。
[態様20]
(i)前記焼成された粒子の平均アスペクト比が1.15~1.45:1であり、及び/又は(ii)前記焼成された粒子の平均結晶サイズが37.0~47.0nmである、態様19に記載の方法。
[態様21]
前記焼成された二酸化チタン粒子が、(i)7.5l/g/cm以下のE 524 、及び/又は(ii)1800(l/g/cm) 2 を超えるE 308 ×E 360 値を含む、態様19又は20に記載の方法。
[態様22]
前記焼成された二酸化チタン粒子が、(i)4.7~7.5l/g/cmのE 524 、(ii)32~50l/g/cmのE 360 、(iii)45l/g/cmを超えるE 308 、及び(iv)1800超で3300(l/g/cm) 2 以下のE 308 ×E 360 値からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、態様19~21のいずれか一つに記載の方法。
[態様23]
焼成によって、(i)前記二酸化チタン粒子の平均幅が60~200%増加し、及び/又は(ii)前記BET比表面積が35~95%減少し、及び/又は(iii)前記平均結晶サイズが200~400%増加する、態様19~22のいずれか一つに記載の方法。
[態様24]
焼成された二酸化チタン粒子を生成させるために前駆体二酸化チタン粒子を400℃を超える温度で加熱する方法であって、(i)前記二酸化チタン粒子の平均幅が60~200%増加し、及び/又は(ii)BET比表面積が35~95%減少し、及び/又は(iii)平均結晶サイズが200~400%増加する、前記方法。
[態様25]
(i)3.0~7.0:1の平均アスペクト比を有する前駆体二酸化チタン粒子を形成すること、(ii)前記前駆体粒子を焼成して焼成された二酸化チタン粒子を生成させること、任意選択的に(iii)前記焼成された二酸化チタン粒子に無機及び/又は有機コーティングを適用することを含む方法により得られる二酸化チタン粒子であって、前記二酸化チタン粒子は7.5l/g/cm以下のE 524 及び320l/g/cm以上の(E 308 ×E 360 )/E 524 値を有する、二酸化チタン粒子。
[態様26]
焼成された粒子が320l/g/cm以上の(E 308 ×E 360 )/E 524 値を有する、二酸化チタン粒子の紫外線吸収特性を改善するための焼成の使用。
[態様27]
前記焼成された粒子が、(i)4.7~7.5l/g/cmのE 524 、(ii)27l/g/cmを超えるE 360 、(iii)45l/g/cmを超えるE 308 、及び(iv)1800(l/g/cm) 2 を超えるE 308 ×E 360 値からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む、態様26に記載の使用。
[態様28]
前記焼成が回転式焼成機で行われる、態様26又は27に記載の使用。