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特許7463291ショベル、ショベルの制御装置、作業現場の管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ショベル、ショベルの制御装置、作業現場の管理方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/26 20060101AFI20240401BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20240401BHJP
   G08B 21/24 20060101ALI20240401BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
E02F9/26 A
E02F9/24 B
G08B21/24
H04N7/18 J
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020558411
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(86)【国際出願番号】 JP2019045204
(87)【国際公開番号】W WO2020105614
(87)【国際公開日】2020-05-28
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2018216733
(32)【優先日】2018-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】西 貴志
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/038654(WO,A1)
【文献】特開2002-201676(JP,A)
【文献】実開平04-090444(JP,U)
【文献】特開2007-162279(JP,A)
【文献】実開昭55-142350(JP,U)
【文献】国際公開第2011/148946(WO,A1)
【文献】特開2018-172943(JP,A)
【文献】特開平11-252711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/26
E02F 9/24
G08B 21/24
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショベルが実行中の作業パターンに基づき、当該ショベルの動作を予測する動作予測部と、
前記動作予測部により当該ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、当該ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する注意喚起部と、を備える、
ショベル。
【請求項2】
当該ショベルに搭載されるセンサから取得される、当該ショベルの作業内容に関する情報の履歴を解析する解析部を備え、
前記動作予測部は、前記解析部の解析結果に基づき、当該ショベルが実行中の作業パターンを判断する、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記動作予測部は、当該ショベルの現在の動作状態に基づき、当該ショベルが実行中の作業パターンを判断する、
請求項1又は2に記載のショベル。
【請求項4】
前記動作予測部は、当該ショベルの現在の動作状態に基づき、互いに種類の異なる複数の作業パターンの中から当該ショベルが実行中の作業パターンを判断する、
請求項3に記載のショベル。
【請求項5】
前記動作予測部は、予め登録される、作業パターンに対応するショベルの動作状態を規定する情報に基づき、ショベルが実行中の作業パターンを判断する、
請求項1乃至4の何れか一項に記載のショベル。
【請求項6】
ショベルによって実際に行われた動作に基づき、複数の動作区間の連なりで定義される作業パターンを参照して当該ショベルの動作を予測する動作予測部と、
前記動作予測部により当該ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、当該ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する注意喚起部と、を備える、
ショベル。
【請求項7】
ショベルを操作するオペレータの動作を監視することにより、当該ショベルの動作を予測する動作予測部と、
前記動作予測部により当該ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、当該ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する注意喚起部と、を備える、
ショベル。
【請求項8】
当該ショベルに搭載されるセンサから取得される、オペレータの動作内容に関する情報の履歴を解析する解析部を備え、
前記動作予測部は、前記解析部の解析結果に基づき、オペレータの動作を監視し、当該ショベルの動作を予測する、
請求項7に記載のショベル。
【請求項9】
前記動作予測部は、当該ショベルが前記所定の動作を行う場合のオペレータの動作パターンを規定する情報に基づき、オペレータの動作を監視し、前記所定の動作が行われることを事前に予測する、
請求項7又は8に記載のショベル。
【請求項10】
当該ショベルを駆動するアクチュエータと、
当該ショベルの周囲の様子を認識する空間認識装置と、
前記アクチュエータの操作を受け付ける操作装置と、を備え、
前記アクチュエータの動作開始前において、前記空間認識装置の取得情報に基づき当該ショベルから所定範囲内に人が存在すると判断されると、前記操作装置が操作されても前記アクチュエータを駆動させない、
請求項1乃至9の何れか一項に記載のショベル。
【請求項11】
ショベルが実行中の作業パターンに基づき、当該ショベルの動作を予測する動作予測部と、
前記動作予測部により当該ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、当該ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する注意喚起部と、を備える、
ショベルの制御装置。
【請求項12】
ショベルによって実際に行われた動作に基づき、複数の動作区間の連なりで定義される作業パターンを参照して当該ショベルの動作を予測する動作予測部と、
前記動作予測部により当該ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、当該ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する注意喚起部と、を備える、
ショベルの制御装置。
【請求項13】
ショベルを操作するオペレータの動作を監視することにより、当該ショベルの動作を予測する動作予測部と、
前記動作予測部により当該ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、当該ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する注意喚起部と、を備える、
ショベルの制御装置。
【請求項14】
情報処理装置が、ショベルが実行中の作業パターンに基づき、前記ショベルの動作を予測し、
情報処理装置が、前記ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、前記ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する、
作業現場の管理方法。
【請求項15】
情報処理装置が、ショベルによって実際に行われた動作に基づき、複数の動作区間の連なりで定義される作業パターンを参照して前記ショベルの動作を予測し、
情報処理装置が、前記ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、前記ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する、
作業現場の管理方法。
【請求項16】
情報処理装置が、ショベルを操作するオペレータの動作を監視することにより、前記ショベルの動作を予測し、
情報処理装置が、前記ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、前記ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する、
作業現場の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ショベル等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ショベルの動作を予測してオペレータに通知する等により、その状況の把握をオペレータに促すショベルが知られている(特許文献1等参照)。
【0003】
特許文献1では、ショベルの転倒を予測して、オペレータに知らせるショベルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-238097号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ショベルの周囲の作業者等は、例えば、ショベルの走行時や旋回時にその動作を事前に把握して行動する必要があるところ、ショベルは、様々な環境下で使用されうるため、その動作を常に把握しながら行動するのは難しい場合がある。よって、ショベルの周囲の作業者等に対しても、ショベルの動作の把握を促す必要がある。
【0006】
そこで、上記課題に鑑み、ショベルの周囲の作業者等に対して、当該ショベルの動作の把握を促すことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一実施形態では、
ショベルが実行中の作業パターンに基づき、当該ショベルの動作を予測する動作予測部と、
前記動作予測部により当該ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、当該ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する注意喚起部と、を備える、
ショベルが提供される。
また、本発明の他の実施形態では、
ショベルによって実際に行われた動作に基づき、複数の動作区間の連なりで定義される作業パターンを参照して当該ショベルの動作を予測する動作予測部と、
前記動作予測部により当該ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、当該ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する注意喚起部と、を備える、
ショベルが提供される。
また、本発明の更に他の実施形態では、
ショベルを操作するオペレータの動作を監視することにより、当該ショベルの動作を予測する動作予測部と、
前記動作予測部により当該ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、当該ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する注意喚起部と、を備える、
ショベルが提供される。
また、本発明の更に他の実施形態では、
ショベルが実行中の作業パターンに基づき、当該ショベルの動作を予測する動作予測部と、
前記動作予測部により当該ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、当該ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する注意喚起部と、を備える、
ショベルの制御装置が提供される。
また、本発明の更に他の実施形態では、
ショベルによって実際に行われた動作に基づき、複数の動作区間の連なりで定義される作業パターンを参照して当該ショベルの動作を予測する動作予測部と、
前記動作予測部により当該ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、当該ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する注意喚起部と、を備える、
ショベルの制御装置が提供される。
また、本発明の更に他の実施形態では、
ショベルを操作するオペレータの動作を監視することにより、当該ショベルの動作を予測する動作予測部と、
前記動作予測部により当該ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、当該ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する注意喚起部と、を備える、
ショベルの制御装置が提供される。
また、本発明の更に他の実施形態では、
情報処理装置が、ショベルが実行中作業パターンに基づき、前記ショベルの動作を予測し、
情報処理装置が、前記ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、前記ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する、
作業現場の管理方法が提供される。
また、本発明の更に他の実施形態では、
情報処理装置が、ショベルによって実際に行われた動作に基づき、複数の動作区間の連なりで定義される作業パターンを参照して前記ショベルの動作を予測し、
情報処理装置が、前記ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、前記ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する、
作業現場の管理方法が提供される。
また、本発明の更に他の実施形態では、
情報処理装置が、ショベルを操作するオペレータの動作を監視することにより、前記ショベルの動作を予測し、
情報処理装置が、前記ショベルが次に所定の動作を行うと予測された場合、前記所定の動作の開始前に、前記ショベルの周囲に対して前記所定の動作が行われる旨を注意喚起する、
作業現場の管理方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
上述の実施形態によれば、ショベルの周囲の作業者等に対して、オペレータの操作による当該ショベルの動作の把握を促すことが可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】ショベルの側面図である。
図2】ショベルの構成の一例を示すブロック図である。
図3】ショベルの外部注意喚起機能に関する機能的な構成の一例を示す機能ブロック図である。
図4A】ショベルのコントローラによる外部注意喚起処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
図4B】ショベルのコントローラによる外部注意喚起処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
図5】外部注意喚起が行われるショベルの作業状況の具体例を説明する図である。
図6】ショベルの外部注意喚起機能に関する機能的な構成の他の例を示す機能ブロック図である。
図7】ショベルのコントローラによる外部注意喚起処理の他の例を示す図である。
図8】ショベル管理システムの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
[ショベルの概要]
まず、図1を参照して、本実施形態に係るショベル100の概要について説明をする。
【0012】
図1は、本実施形態に係るショベル100の側面図である。
【0013】
本実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回自在に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメント(作業装置)としてのブーム4、アーム5、及び、バケット6と、キャビン10とを備える。
【0014】
下部走行体1は、例えば、左右一対のクローラを含み、それぞれのクローラが走行油圧モータ1L,1R(図2参照)で油圧駆動されることにより、ショベル100を走行させる。
【0015】
上部旋回体3は、旋回油圧モータ2A(図2参照)で駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回軸2Xを中心として旋回する。
【0016】
ブーム4は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に枢着され、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に枢着され、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に枢着される。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。
【0017】
また、エンドアタッチメントとしてのバケット6には、クレーン作業用のフック80が取り付けられる。フック80は、基端が、アーム5とバケット6との間を連結するバケットピン62に回動可能に連結される。これにより、フック80は、掘削作業等のクレーン作業以外の作業が行われる場合、2本のバケットリンク70の間に形成されるフック収納部50に収納される。
【0018】
キャビン10は、オペレータが搭乗する運転室であり、例えば、上部旋回体3の前部左側に搭載される。
【0019】
ショベル100は、キャビン10に搭乗するオペレータの操作に応じて、アクチュエータ(例えば、油圧アクチュエータ)を動作させ、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の動作要素(被駆動要素)を駆動する。
【0020】
また、ショベル100は、キャビン10のオペレータにより操作が可能に構成されるのに代えて、或いは、加えて、所定の外部装置のオペレータによって遠隔操作が可能に構成されてもよい。所定の外部装置には、例えば、後述の支援装置200や管理装置300が含まれる。この場合、ショベル100は、例えば、後述の前方カメラS5が出力する画像情報(撮像画像)を外部装置に送信する。また、後述するショベル100の表示装置40に表示される各種の情報画像(例えば、各種設定画面等)は、同様に、外部装置に設けられる表示装置にも表示されてよい。これにより、オペレータは、例えば、外部装置に設けられる表示装置に表示される内容を確認しながら、ショベル100を遠隔操作することができる。そして、ショベル100は、外部装置から受信される、遠隔操作の内容を表す遠隔操作信号に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の動作要素を駆動してよい。ショベル100が遠隔操作される場合、キャビン10の内部は、無人状態であってもよい。以下、オペレータの操作には、キャビン10のオペレータの操作装置26に対する操作、及び外部装置のオペレータの遠隔操作の少なくとも一方が含まれる前提で説明を進める。
【0021】
また、ショベル100は、オペレータの操作の内容に依らず、自動でアクチュエータを動作させてもよい。これにより、ショベル100は、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の動作要素の少なくとも一部を自動で動作させる機能(以下、「自動運転機能」或いは「マシンコントロール機能」)を実現する。
【0022】
自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作に応じて、操作対象の動作要素(アクチュエータ)以外の動作要素(アクチュエータ)を自動で動作させる機能(いわゆる「半自動運機能」)が含まれてよい。また、自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作がない前提で、複数の動作要素(アクチュエータ)の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「完全自動運転機能」)が含まれてよい。ショベル100において、完全自動運転機能が有効な場合、キャビン10の内部は無人状態であってよい。また、自動運転機能には、ショベル100の周囲の作業者等の人のジェスチャをショベル100が認識し、認識されるジェスチャの内容に応じて、複数の動作要素(油圧アクチュエータ)の少なくとも一部を自動で動作させる機能(「ジェスチャ操作機能」)が含まれてよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能やジェスチャ操作機能には、自動運転の対象の動作要素(油圧アクチュエータ)の動作内容が予め規定されるルールに従って自動的に決定される態様が含まれてよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能やジェスチャ操作機能には、ショベル100が自律的に各種の判断を行い、その判断結果に沿って、自律的に自動運転の対象の動作要素(油圧アクチュエータ)の動作内容が決定される態様(いわゆる「自律運転機能」)が含まれてもよい。
【0023】
[ショベルの構成]
次に、図1に加えて、図2を参照して、ショベル100の具体的な構成について説明する。
【0024】
図2は、本実施形態に係るショベル100の構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
尚、図中において、機械的動力ラインは二重線、高圧油圧ラインは実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御ラインは点線でそれぞれ示される。以下、図3及び図6についても同様である。
【0026】
本実施形態に係るショベル100の油圧アクチュエータを油圧駆動する油圧駆動系は、エンジン11と、レギュレータ13と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17とを含む。また、本実施形態に係るショベル100の油圧駆動系は、上述の如く、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1L,1R、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。
【0027】
エンジン11は、油圧駆動系におけるメイン動力源であり、例えば、上部旋回体3の後部に搭載される。具体的には、エンジン11は、後述するコントローラ30による直接或いは間接的な制御下で、予め設定される目標回転数で一定回転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。
【0028】
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御する。例えば、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じて、メインポンプ14の斜板の角度(以下、「傾転角」)を調節する。
【0029】
メインポンプ14は、例えば、エンジン11と同様、上部旋回体3の後部に搭載され、高圧油圧ラインを通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、上述の如く、エンジン11により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、上述の如く、コントローラ30による制御下で、レギュレータ13により斜板の傾転角が調節されることでピストンのストローク長が調整され、吐出流量(吐出圧)が制御されうる。
【0030】
コントロールバルブ17は、例えば、上部旋回体3の中央部に搭載され、オペレータによる操作装置26に対する操作や遠隔操作に応じて、油圧駆動系の制御を行う油圧制御装置である。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ラインを介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、操作装置26に対する操作や遠隔操作の状態に応じて、油圧アクチュエータ(走行油圧モータ1L,1R、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9)に選択的に供給する。具体的には、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向を制御する複数の制御弁を含む。
【0031】
本実施形態に係るショベル100の操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26とを含む。
【0032】
パイロットポンプ15は、例えば、上部旋回体3の後部に搭載され、パイロットラインを介して操作装置26等の各種油圧機器にパイロット圧を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、エンジン11により駆動される。
【0033】
操作装置26は、キャビン10の操縦席付近に設けられ、オペレータが各種動作要素(下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、バケット6等)の操作を行うための操作入力装置である。換言すれば、操作装置26は、オペレータがそれぞれの動作要素を駆動する油圧アクチュエータ(即ち、走行油圧モータ1L,1R、旋回油圧モータ2A、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9等)の操作を行うための操作入力装置である。
【0034】
図2に示すように、操作装置26は、例えば、その操作内容に対応するパイロット圧を有する作動油を出力する油圧パイロット式である。操作装置26は、二次側のパイロットラインを通じて、コントロールバルブ17に接続される。これにより、コントロールバルブ17には、操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に応じたパイロット圧が入力される。そのため、コントロールバルブ17は、操作装置26における操作状態に応じて、それぞれの油圧アクチュエータを選択的に駆動することができる。
【0035】
また、操作装置26は、例えば、パイロット圧を出力する油圧パイロット式ではなく、電気信号(以下、「操作信号」)を出力する電気式であってもよい。この場合、操作装置26からの操作信号は、コントローラ30に入力され、コントローラ30は、入力される操作信号に応じて、コントロールバルブ17内の各制御弁を制御することにより、操作装置26に対する操作内容に応じた、各種油圧アクチュエータの動作を実現する。例えば、コントロールバルブ17内の制御弁は、コントローラ30からの指令により駆動する電磁ソレノイド式スプール弁であってよい。また、例えば、パイロットポンプ15と各制御弁のパイロットポートとの間には、コントローラ30からの制御指令に応じて動作する油圧制御弁(以下、「操作用制御弁」)が配置されてもよい。この場合、電気式の操作装置26を用いた手動操作が行われると、コントローラ30は、その操作量(例えば、レバー操作量)に対応する制御指令によって、操作用制御弁を制御しパイロット圧を増減させることで、操作装置26に対する操作内容に合わせて、各制御弁を動作させることができる。
【0036】
操作装置26は、例えば、アタッチメント、つまり、ブーム4(ブームシリンダ7)、アーム5(アームシリンダ8)、バケット6(バケットシリンダ9)の動作や上部旋回体3の旋回動作のそれぞれを操作するレバー装置を含む。また、操作装置26は、例えば、左右の下部走行体1(走行油圧モータ1L,1R)のそれぞれを操作するペダル装置或いはレバー装置を含む。
【0037】
本実施形態に係るショベル100の制御系は、コントローラ30と、ブームボトム圧センサ7aと、吐出圧センサ28と、操作圧センサ29と、表示装置40と、入力装置42と、記憶装置47と、外部音声出力装置48と、フック収納状態検出装置51と、ブーム姿勢センサS1と、アーム姿勢センサS2と、バケット姿勢センサS3と、機体姿勢センサS4と、前方カメラS5と、室内カメラS6とを含む。
【0038】
コントローラ30は、例えば、キャビン10内に設けられ、ショベル100の駆動制御を行う。コントローラ30は、その機能が任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは、その組み合わせにより実現されてよい。例えば、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置(「主記憶装置」とも称する)、ROM(Read Only Memory)等の不揮発性の補助記憶装置、及び各種入出力用のインタフェース装置等を含むマイクロコンピュータを中心に構成される。コントローラ30は、例えば、不揮発性の補助記憶装置にインストールされる各種プログラムをCPU上で実行することにより各種機能を実現する。
【0039】
例えば、コントローラ30は、オペレータ等の入力装置42に対する所定操作により予め設定される作業モード等に基づき、目標回転数を設定し、エンジン11を一定回転させる駆動制御を行う。
【0040】
また、例えば、コントローラ30は、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。
【0041】
また、例えば、コントローラ30は、操作装置26が電気式である場合、上述の如く、操作用比例弁を制御し、操作装置26の操作内容に応じた油圧アクチュエータの動作を実現する。
【0042】
また、例えば、コントローラ30は、操作用比例弁を用いて、ショベル100の遠隔操作を実現する。具体的には、コントローラ30は、外部装置から受信される遠隔操作信号で指定される遠隔操作の内容に対応する制御指令を操作用比例弁に出力してよい。そして、操作用比例弁は、パイロットポンプ15から供給される作動油を用いて、コントローラ30からの制御指令に対応するパイロット圧を出力し、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートにそのパイロット圧を作用させてよい。これにより、遠隔操作の内容がコントロールバルブ17の動作に反映され、油圧アクチュエータによって、遠隔操作の内容に沿った各種動作要素(被駆動要素)の動作が実現される。
【0043】
また、例えば、コントローラ30は、操作用比例弁を用いて、ショベル100の自動運転機能を実現する。具体的には、コントローラ30は、自動運転機能に関する操作指令に対応する制御指令を操作用比例弁に出力してよい。操作指令は、コントローラ30により生成されてもよいし、自動運転機能に関する制御を行う他の制御装置により生成されてもよい。そして、操作用比例弁は、パイロットポンプ15から供給される作動油を用いて、コントローラ30からの制御指令に対応するパイロット圧を出力し、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートにそのパイロット圧を作用させてよい。これにより、自動運転機能に関する操作指令の内容がコントロールバルブ17の動作に反映され、油圧アクチュエータによって、自動運転機能による各種動作要素(被駆動要素)の動作が実現される。
【0044】
また、例えば、コントローラ30は、周辺監視機能に関する制御を行う。周辺監視機能では、前方カメラS5等の空間認識装置で取得される情報に基づき、ショベル100の周囲の所定範囲(以下、「監視範囲」)内への監視対象の物体の進入が監視される。監視範囲内への監視対象の物体の進入の判断処理は、空間認識装置によって行われてもよいし、空間認識装置の外部(例えば、コントローラ30)によって行われてもよい。監視対象の物体には、例えば、人、トラック、トレーラ、他の建設機械、電柱、吊り荷、パイロン、建屋等が含まれてよい。
【0045】
また、例えば、コントローラ30は、物体検知報知機能に関する制御を行う。物体検知報知機能では、周辺監視機能によって、監視範囲内に監視対象の物体が存在すると判断される場合に、キャビン10内のオペレータやショベル100の周囲に対する監視対象の物体の存在が報知される。コントローラ30は、例えば、表示装置40や外部音声出力装置48を用いて、視覚的な方法や聴覚的な方法等により物体検知報知機能を実現してよい。
【0046】
また、例えば、コントローラ30は、動作制限機能に関する制御を行う。動作制限機能では、例えば、周辺監視機能によって、監視範囲内に監視対象の物体が存在すると判断される場合に、ショベル100の動作を制限する。以下、監視対象の物体が人の場合を中心に説明する。
【0047】
コントローラ30は、例えば、アクチュエータが動作する前において、前方カメラS5等の空間認識装置の取得情報に基づきショベル100から所定範囲内(監視範囲内)に人等の監視対象の物体が存在すると判断される場合、オペレータが操作装置26を操作しても、アクチュエータを動作不能、或いは、微速状態での動作に制限してよい。具体的には、コントローラ30は、監視範囲内に人が存在すると判断される場合、ゲートロック弁をロック状態にすることでアクチュエータを動作不能にすることができる。電気式の操作装置26の場合には、コントローラ30から操作用比例弁への信号を無効にすることで、アクチュエータを動作不能にすることができる。他の方式の操作装置26でも、コントローラ30からの制御指令に対応するパイロット圧を出力し、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートにそのパイロット圧を作用させる操作用比例弁が用いられる場合には、同様である。アクチュエータの動作を微速にしたい場合には、コントローラ30から操作用比例弁への制御信号を相対的に小さいパイロット圧に対応する内容に制限することで、アクチュエータの動作を微速状態にすることができる。このように、検出される監視対象の物体が監視範囲内に存在すると判断されると、操作装置26が操作されてもアクチュエータは駆動されない、或いは、操作装置26への操作入力に対応する動作速度よりも小さい動作速度(微速)で駆動される。更に、オペレータが操作装置26を操作している最中において、監視範囲内に人等の監視対象の物体が存在すると判断される場合には、オペレータの操作に関わらずアクチュエータの動作を停止、或いは、減速させてもよい。具体的には、監視範囲内に人が存在すると判断される場合、ゲートロック弁をロック状態にすることでアクチュエータを停止させてよい。コントローラ30からの制御指令に対応するパイロット圧を出力し、コントロールバルブ17内の対応する制御弁のパイロットポートにそのパイロット圧を作用させる操作用比例弁が用いられる場合には、コントローラ30から操作用比例弁への信号を無効にする、或いは、操作用比例弁に減速指令を出力することで、アクチュエータを動作不能、或いは、微速状態の動作に制限することができる。また、検出された監視対象の物体がトラックの場合、アクチュエータの停止或いは減速に関する制御は実施されなくてもよい。例えば、検出されたトラックを回避するようにアクチュエータは制御されてよい。このように、検出された物体の種類が認識され、その認識に基づきアクチュエータは制御されてよい。
【0048】
また、コントローラ30は、当然の如く、操作装置26の操作の場合と同様の動作制限機能をショベル100の遠隔操作が行われる場合や自動運転機能に関する操作指令が出力される場合等に適用してもよい。
【0049】
ブームボトム圧センサ7aは、ブームシリンダ7に取り付けられ、ボトム側油室の圧力(以下、「ブームボトム圧」)を検出する。ブームボトム圧センサ7aにより検出されるブームボトム圧に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0050】
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出する。吐出圧センサ28により検出された吐出圧に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0051】
操作圧センサ29は、上述の如く、操作装置26の二次側のパイロット圧、即ち、操作装置26におけるそれぞれの動作要素(油圧アクチュエータ)の操作状態に対応するパイロット圧を検出する。操作圧センサ29による操作装置26における下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の操作状態に対応するパイロット圧の検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0052】
表示装置40は、キャビン10内の着座したオペレータから視認し易い場所に設けられ、コントローラ30による制御下で、各種情報画像を表示する。表示装置40は、CAN(Controller Area Network)等の車載通信ネットワークを介してコントローラ30に接続されていてもよいし、一対一の専用線を介してコントローラ30に接続されていてもよい。
【0053】
入力装置42は、キャビン10内の着座したオペレータから手が届く範囲に設けられ、オペレータによる各種操作入力を受け付け、操作入力に応じた信号をコントローラ30に出力する。入力装置42は、例えば、各種情報画像を表示する表示装置40のディスプレイに実装されるタッチパネル、操作装置26に含まれるレバー装置のレバー部の先端に設けられるノブスイッチ、表示装置40の周囲に設置されるボタンスイッチ、レバー、トグル等を含みうる。より具体的には、入力装置42は、クレーンモードスイッチ42aを含む。入力装置42に対する操作内容に対応する信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0054】
クレーンモードスイッチ42aは、ショベル100の動作モードを、掘削作業等を行うための通常モードとフック80を用いてクレーン作業を行うためのクレーンモードとの間で切り替えるための操作入力部である。通常モードは、操作装置26を通じたオペレータの操作に対するアタッチメント(例えば、ブーム4)の動作速度が相対的に速いショベル100の動作モードであり、クレーンモードは、操作装置26を通じたオペレータの操作に対するアタッチメントの動作速度が相対的に遅いショベル100の動作モードである。これにより、クレーン作業時において、例えば、オペレータによる操作に対するブーム4の動作が比較的緩慢になる。そのため、ショベル100は、吊荷を安定して吊り上げたり、移動させたりすることができる。コントローラ30は、クレーンモードスイッチ42aがオン操作されると、ショベル100の動作モードを通常モードからクレーンモードに切り替え、クレーンモードスイッチ42aがオフ操作されると、ショベル100の動作モードをクレーンモードから通常モードに切り替える。
【0055】
コントローラ30は、クレーンモードにおいて、例えば、エンジン11の回転数を通常モードの場合よりも低く設定する。これにより、コントローラ30は、クレーンモードにおいて、アタッチメントの動作を通常モードよりも緩慢にすることができる。
【0056】
記憶装置47は、例えば、キャビン10内に設けられ、コントローラ30による制御下で、各種情報を記憶する。記憶装置47は、例えば、不揮発性の半導体メモリ等の記憶媒体である。
【0057】
外部音声出力装置48は、例えば、上部旋回体3に設けられ、コントローラ30による制御下で、キャビン10の外部、つまり、ショベル100の周囲に向けて所定の音を出力する。外部音声出力装置48は、例えば、スピーカやブザー等である。外部音声出力装置48は、コントローラ30からの音声出力指令に応じて、各種情報を音声出力する。
【0058】
フック収納状態検出装置51は、フック80のアタッチメント(フック収納部50)への収納状態を検出する。フック収納状態検出装置51は、例えば、フック収納部50内にフック80が存在する場合、導通状態になり、フック収納部50内にフック80が存在しない場合に遮断状態となるスイッチである。フック収納状態検出装置51は、ケーブル35を通じてコントローラ30と接続され、コントローラ30は、フック収納状態検出装置51の導通/非導通によって、フック80がフック収納部50に収納されているか否かを判断できる。
【0059】
尚、コントローラ30は、フック収納状態検出装置51による検出情報に基づき、自動的に、クレーンモードと通常モードとの間でショベル100の動作モードを切り替えてもよい。この場合、クレーンモードスイッチ42aは、省略されうる。例えば、コントローラ30は、フック収納状態検出装置51が導通状態から遮断状態に切替わることにより、フック80がフック収納部50から取り出されたと判断すると、ショベル100の動作モードを通常モードからクレーンモードに切り替えてよい。また、コントローラ30は、フック収納状態検出装置51が遮断状態から導通状態に切替わることにより、フック80がフック収納部50に戻されたと判断すると、ショベル100の動作モードをクレーンモードから通常モードに切り替えてよい。
【0060】
ブーム姿勢センサS1は、ブーム4に取り付けられ、ブーム4の上部旋回体3に対する姿勢角度、具体的には、俯仰角度(以下、「ブーム角度」)を検出する。ブーム姿勢センサS1は、例えば、側面視において、上部旋回体3の旋回平面に対してブーム4の両端の支点を結ぶ直線が成す角度を検出する。ブーム姿勢センサS1は、例えば、ロータリエンコーダ、加速度センサ、角速度センサ、6軸センサ、IMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)等を含んでよく、以下、アーム姿勢センサS2、バケット姿勢センサS3、機体姿勢センサS4についても同様である。ブーム姿勢センサS1によるブーム角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0061】
アーム姿勢センサS2は、アーム5に取り付けられ、アーム5のブーム4に対する姿勢角度、具体的には、回動角度(以下、「アーム角度」)を検出する。アーム姿勢センサS2は、例えば、側面視において、ブーム4の両端の支点を結ぶ直線に対してアーム5の両端の支点を結ぶ直線が成す角度を検出する。アーム姿勢センサS2によるアーム角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0062】
バケット姿勢センサS3は、バケット6に取り付けられ、バケット6のアーム5に対する姿勢角度、具体的には、回動角度(以下、「バケット角度」)を検出する。バケット姿勢センサS3は、例えば、側面視において、アーム5の両端の支点を結ぶ直線に対してバケット6の支点と先端(刃先)とを結ぶ直線が成す角度を検出する。バケット姿勢センサS3によるバケット角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0063】
機体姿勢センサS4は、機体、具体的には、上部旋回体3の姿勢状態を検出する。機体姿勢センサS4は、例えば、上部旋回体3に取り付けられ、上部旋回体3の前後方向及び左右方向の2軸回りの姿勢角度、つまり、傾斜角度(以下、「前後傾斜角」及び「左右傾斜角」)を検出する。また、機体姿勢センサS4は、上部旋回体3の上下方向の軸回りの姿勢角度、つまり、旋回軸2X回りの旋回角度を検出する。機体姿勢センサS4による傾斜角度(前後傾斜角及び左右傾斜角)及び旋回角度に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0064】
前方カメラS5(空間認識装置の一例)は、例えば、上部旋回体3の前端(例えば、キャビン10の前端上部等)に設けられ、ショベル100の起動から停止までの運転中において、上部旋回体3の前方の様子を撮像する。具体的には、前方カメラS5は、上部旋回体3の前方で作業を行うアタッチメントの動作状態を含む上部旋回体3の前方の撮像範囲を撮像可能な態様で、上部旋回体3の前部に設けられる。前方カメラS5による撮像画像は、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、アタッチメントを用いたショベル100の作業内容やショベル100の作業時の前方状況等を含む撮像画像を取得することができる。
【0065】
尚、前方カメラS5に代えて、或いは、加えて、コントローラ30等が上部旋回体3の前方の様子(空間)を認識するための他の空間認識装置、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、LIDAR(Light Detecting and Ranging)、ステレオカメラ、距離画像センサ、赤外線センサ(何れも空間認識装置の一例)等が設けられてもよい。つまり、ショベル100は、上部旋回体3の前方の様子(空間)を認識する任意の一又は複数の空間認識装置を含んでよい。また、上部旋回体3の前方の様子(空間)を認識する空間認識装置(例えば、前方カメラS5)に加えて、上部旋回体3から見た他の方向(例えば、後方、左方、及び右方のうちの少なくとも一方向)に対応する空間認識装置が設けられてもよい。これにより、コントローラ30は、ショベル100の作業時の左右や後方の状況を含む撮像画像等を取得することができる。
【0066】
室内カメラS6は、キャビン10内に設けられ、オペレータの様子を撮像する。具体的には、室内カメラS6は、オペレータによるキャビン10内での操作装置26の操作の様子、及び、操作時のオペレータの動作(例えば、顔の向き、視線方向、視線移動等)を含む撮像範囲を撮像可能な態様で、キャビン10内に設けられる。室内カメラS6による撮像画像は、コントローラ30に取り込まれる。これにより、コントローラ30は、オペレータによる操作装置26の操作状態や、操作装置26の操作時におけるオペレータの動作状態等を含む撮像画像を取得することができる。
【0067】
尚、室内カメラS6に代えて、或いは、加えて、コントローラ30等が室内のオペレータの動作内容を認識するための他の動作認識装置、例えば、LIDAR、ステレオカメラ、距離画像センサ、赤外線センサ等が設けられてもよい。
【0068】
[ショベルの外部注意喚起機能]
次に、図3図7を参照して、ショベル100のコントローラ30によるキャビン10の外部(つまり、ショベル100の周囲)の作業者等に向けての注意喚起を行う機能(以下、「外部注意喚起機能」)について説明する。
【0069】
<外部注意喚起機能の一例>
図3は、本実施形態のショベル100の外部注意喚起機能に関する機能的な構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0070】
図3に示すように、コントローラ30は、例えば、不揮発性の補助記憶装置にインストールされるプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、作業パターン登録部301と、作業パターン選定部302と、ショベル動作予測部303と、外部注意喚起部304とを含む。
【0071】
作業パターン登録部301は、ショベル動作予測部303による予測対象の所定動作(例えば、下部走行体1の走行動作や上部旋回体3の旋回動作等)(以下、「予測対象動作」)を含むショベル100の作業パターン(以下、「対象作業パターン」)に関する情報(以下、「対象作業パターン情報」)を記憶装置47に登録する。具体的には、記憶装置47には、対象作業パターン情報が所定の抽出条件に基づき抽出可能な態様で整理される作業パターンDB(Data Base)471が構築され、作業パターン登録部301は、作業パターンDB471に対象作業パターン情報を登録する。作業パターンは、ショベル100により実行される一つの作業を構成する一連の動作の集合体を表し、後述の如く、複数の動作区間を含む。
【0072】
尚、作業パターンDB471は、コントローラ30の不揮発性の内部メモリに構築されてもよい。後述するオペレータ動作パターンDB471Aについても同様である。
【0073】
作業パターン登録部301は、例えば、ショベル100の工場出荷前に、工場作業者等がコントローラ30に一時的に接続する外部ツールや外部記憶装置(例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ等)を通じて入力される、一又は複数の対象作業パターンに対応する対象作業パターン情報を記憶装置47の作業パターンDB471に登録する。また、例えば、工場出荷後に対象作業パターンが追加されたり、対象作業パターン情報が更新されたりする場合もあり得る。この場合、作業パターン登録部301は、例えば、サービスマンやオペレータ等がコントローラ30に一時的に接続する外部ツールや外部記憶装置を通じて入力される、更新用の対象作業パターン情報を記憶装置47の作業パターンDB471に登録する。
【0074】
また、作業パターン登録部301は、例えば、過去のショベル100の作業内容に基づき、ショベル100が実行する(具体的には、実行する可能性のある)対象作業パターンを機械学習(抽出)し、抽出した対象作業パターンに関する対象作業パターン情報を記憶装置47の作業パターンDB471に登録してもよい。具体的には、作業パターン登録部301は、例えば、ショベル100の起動から停止までの運転中において、ショベル100の作業内容に関する各種情報(例えば、ブームボトム圧センサ7a、操作圧センサ29、入力装置42(例えば、クレーンモードスイッチ42a)、ブーム姿勢センサS1、アーム姿勢センサS2、バケット姿勢センサS3、機体姿勢センサS4、前方カメラS5、室内カメラS6等から取得される検出情報や状態情報等)を記憶装置47等に蓄積させる。そして、作業パターン登録部301は、所定のタイミング(例えば、ショベル100のアイドリング中等)において、記憶装置47等に蓄積されたショベル100の過去の作業内容に関する各種情報を解析することにより、ショベル100が実行する対象作業パターンを抽出してよい。
【0075】
また、作業パターン登録部301は、過去のショベル100の作業内容に基づき、ショベル100が実行する対象作業パターンを抽出する際、ショベル100の周辺状況を考慮して、対象作業パターンを抽出してもよい。また、作業パターン登録部301は、キャビン10内に設けられた室内カメラS6により撮像されるオペレータの動作パターンに基づいて対象作業パターンを抽出してもよい。作業目的が同じであっても、ショベル100の周辺状況の相違(例えば、周囲に建物や構造物等が存在し、ショベル100の動作範囲に対する制限が多く課される作業現場の場合と、周囲に接触する可能性がある建物や構造物等が無く、ショベル100の動作範囲に対する制限が比較的少ない作業現場の場合との相違等)によって、動作区間の順番や動作区間に対応するショベル100の動作内容が相違する場合がありうるからである。この場合、記憶装置47の作業パターンDB471に登録される対象作業パターン情報には、更に、ショベル100の周辺状況を判別するための判別条件(以下、「周辺状況判別条件」)が含まれる。
【0076】
尚、過去のショベル100の作業内容に基づき、ショベル100が実行する対象作業パターンを抽出する処理は、ショベル100の外部に設けられる外部装置(例えば、ショベル100の作業現場の外部の管理センタ等に設置される後述の管理装置300や作業現場の管理事務所等に設置される管理端末等)で行われてもよい。この場合、コントローラ30は、ショベル100に搭載される所定の通信装置を通じて、ショベル100の起動から停止までの運転中におけるショベル100の作業内容に関する各種情報を外部装置に送信(アップロード)する。これにより、外部装置は、当該ショベル100が実行する対象作業パターンを抽出することができる。そして、外部装置は、抽出した対象作業パターン情報をショベル100に送信することにより、コントローラ30(作業パターン登録部301)は、過去のショベル100の作業内容に基づく対象作業パターンに対応する対象作業パターン情報を記憶装置47の作業パターンDB471に登録することができる。以下、後述する過去のオペレータの動作内容とショベル100の動作内容との関連性に基づき、オペレータ動作パターンを抽出する処理についても同様である。また、作業パターン登録部301には、事前に作業パターンが入力されてもよい。この場合、コントローラ30は、この事前に入力された作業パターンに基づき、ショベル100の自律制御を行うための動作指令を生成してもよい。また、ショベル100は、ショベル100に搭載される通信装置を用いて、ショベル100の外部にある外部機器(例えば、後述の支援装置200や管理装置300等)との間で通信を行ってもよい。この場合、通信装置は、ショベル100の自律制御を行うため、外部機器から受信する信号に基づき、コントローラ30の機能要素に自律制御に関する開始指令を出力するように構成されてもよい。また、通信装置は、外部機器から受信する信号に基づき、コントローラ30の機能要素に動作指令データを出力するように構成されていてもよい。また、この通信装置の機能は、ショベル100に搭載される入力装置42に含まれていてもよい。
【0077】
記憶装置47には、上述の如く、作業パターンDB471が構築されている。
【0078】
作業パターンDB471に登録される対象作業パターンは、例えば、その一連の作業内容が複数の動作区間に区分けされうる。そして、作業パターンDB471に登録される対象作業パターン情報には、対象作業パターンを特定する識別情報(例えば、作業パターンID(Identifier)等)や対象作業パターンに含まれる複数の動作区間が含まれる。また、対象作業パターン情報には、対象作業パターンの実行(開始)の有無を判別するための判別条件(以下、「作業パターン判別条件」)、動作区間ごとの動作区間の開始及び終了(或いは、終了の兆候)等を判別するための判別条件(以下、「動作区間開始判別条件」及び「動作区間終了判別条件」)等が含まれる。
【0079】
対象作業パターンには、例えば、クレーン作業に関するショベル100の作業パターン(以下、「クレーン作業パターン」)が含まれる。クレーン作業パターンは、以下の(A1)~(A3)の順に行われる3つの動作区間を含む。
【0080】
(A1)作業者によるフック80への玉掛けが行われているショベル100の状態(つまり、フック80が地面に近接する位置までブーム4を下げて静止しているショベル100の状態)に対応する動作区間(以下、「玉掛け動作区間」)
(A2)ショベル100が吊荷を釣り上げる(つまり、ショベル100のブーム4を上げる)動作区間(以下、「吊り上げ動作区間」)
(A3)ショベル100が吊荷をある程度の高さまで釣り上げた状態で、下部走行体1の走行動作や上部旋回体3の旋回動作により吊荷を所望の位置に移動させる動作区間(以下、「吊荷移動動作区間」)
【0081】
クレーン作業パターンの場合、上述の吊荷移動動作区間における下部走行体1の走行動作や上部旋回体3の旋回動作が、ショベル動作予測部303による予測対象動作に相当する。
【0082】
また、対象作業パターンには、例えば、ショベル100が切土により所定の法面を成形する作業に関する作業パターン(以下、「法面整形作業パターン」)が含まれる。法面整形作業パターンには、例えば、以下の(B1)、(B2)の順に繰り返し行われる2つの動作区間を含む。以下、当該動作区間の組み合わせに対応する法面整形作業パターンを「第1の法面整形作業パターン」と称する。
【0083】
(B1)ショベル100がアタッチメント(バケット6)を手前(上部旋回体3)側に引きながら、切土或いは法面の転圧を繰り返し行う動作区間(以下、「法面整形動作区間」)
(B2)法面整形動作区間の終了後、下部走行体1の走行動作により次の作業対象となる未整形の法面の前に移動する動作区間(以下、「次作業移動動作区間」)が含まれる。
【0084】
また、法面整形作業パターンには、例えば、以下の(C1)~(C5)の順に繰り返し行われる5つの動作区間を含む。以下、当該動作区間に対応する法面整形作業パターンを「第2の法面整形作業パターン」と称する。
【0085】
(C1)ショベル100がアタッチメント(バケット6)を手前側に引きながら、切土を行う動作区間(以下、「法面切土動作区間」)
(C2)ショベル100が法面切土動作区間で法面から切り取られた土砂等をバケット6内に収容する(抱える)動作区間(以下、「土砂収容動作区間」)
(C3)ショベル100がバケット6内に土砂を収容した状態でバケット6を持ち上げ、上部旋回体3の旋回動作を行う動作区間(以下、「往路旋回動作区間」)
(C4)ショベル100が上部旋回体3の旋回動作を停止した後、バケット6内の土砂等を法面から離れた所定位置に排出する動作区間(以下、「排土動作区間」)
(C5)ショベル100が上部旋回体3の旋回動作を行い、上部旋回体3(アタッチメント)を法面に正対する位置に戻る動作区間(以下、「復路旋回動作区間」)
【0086】
尚、ショベル100は、法面の切土や転圧等による法面整形作業を行う場合、上部旋回体3を法面に正対させつつ、下部走行体1の進行方向を法面が延在する方向、つまり、上部旋回体3の前後方向と略直交する方向に向ける(図5参照)。これにより、ショベル100は、法面の切土による成形作業後、上部旋回体3の旋回動作を伴うことなく、未成形の法面の前に移動し、上部旋回体3を未成形の法面の前に正対させることができる。また、第1の法面整形作業パターン及び第2の法面整形作業パターンは、便宜的に区別されており、実際上、法面整形作業は、第1の法面整形作業パターンと第2の法面整形作業パターンの組み合わせにより実行される。
【0087】
作業パターン選定部302は、操作圧センサ29、各姿勢センサS1~S4、前方カメラS5等の出力情報と、作業パターンDB471に登録される複数の対象作業パターン情報とを比較し、ショベル100が実行中の作業に対応する対象作業パターンを選定する。
【0088】
尚、作業パターンDB471に登録されている作業パターン情報が一つだけである場合、作業パターン選定部302の機能は、省略されてもよい。
【0089】
ショベル動作予測部303(動作予測部の一例)は、オペレータの操作装置26に対する操作によるショベル100の動作を予測する。また、ショベル動作予測部303は、遠隔操作によるショベル100の動作を予測してもよい。また、ショベル動作予測部303は、自律制御(自律運転機能)によるショベル100の動作を予測してもよい。具体的には、ショベル動作予測部303は、作業パターンDB471に登録される対象作業パターン情報の中から作業パターン選定部302により選定された対象作業パターン情報に基づき、ショベル100の予測対象動作、例えば、下部走行体1の走行動作、或いは、上部旋回体3の旋回動作が行われることを事前に予測する。より具体的には、ショベル動作予測部303は、動作指令データ、各姿勢センサS1~S4及び前方カメラS5等の出力情報(現在の動作の進捗情報)等に基づき、対象作業パターンを構成する複数の動作区間のうちのショベル100が予測対象動作を行う動作区間(以下、「対象動作区間」)の直前の動作区間(以下、「直前動作区間」)の終了或いは終了の兆候を検出する。これにより、ショベル動作予測部303は、事前に、予測対象動作が行われることを予測できる。
【0090】
外部注意喚起部304(注意喚起部の一例)は、ショベル動作予測部303により注意喚起の対象動作としての予測対象動作が行われると予測された場合、予測対象動作の開始前に、ショベル100の周囲に対して予測対象動作が行われる旨を注意喚起する。例えば、外部注意喚起部304は、外部音声出力装置48に音声出力指令を出力することにより、外部音声出力装置48から所定の音声を出力させ、ショベル100の周囲(例えば、周囲の作業者等)に対して予測対象動作が行われる旨を注意喚起する。外部音声出力装置48から出力される音声は、例えば、"ショベルが旋回(走行)します。ご注意ください。"等のような音声であってもよいし、ブザー音等のように、ショベル100の予測対象動作が開始されることを示す所定の音であってもよい。以下、後述する外部注意喚起部304Aについても同様である。
【0091】
尚、外部注意喚起部304は、音声以外の方法で、ショベル100の周囲に対する注意喚起を行ってもよい。例えば、外部注意喚起部304は、所定の通信装置を通じて、ショベル100の周囲の作業者が所持する所定の携帯端末(例えば、外部注意喚起用の専用端末やスマートフォン等の汎用端末)に振動指令を出力し、遠隔操作により当該携帯端末を振動させてもよい。以下、外部注意喚起部304Aについても同様である。
【0092】
続いて、図4を参照して、法面整形成形作業時やクレーン作業時における本実施形態の作用を説明する。図4図4A図4B)は、本実施形態に係るショベル100のコントローラ30による外部注意喚起機能に関する処理(以下、「外部注意喚起処理」)の一例、具体的には、図3に示すショベル100のコントローラ30による外部注意喚起処理を概略的に示すフローチャートである。より具体的には、図4Aは、作業パターン選定部302により選定される対象作業パターンの中に注意喚起対象の動作区間(対象動作区間)が複数存在する可能性がある場合(例えば、法面整形作業パターン等)の外部注意喚起処理の具体例を示すフローチャートである。例えば、第2の法面整形作業パターンの場合、往路旋回動作区間の後に、排土動作区間を挟んで、復路旋回動作区間が存在する。また、図4Bは、作業パターン選定部302により選定される対象作業パターンの中に注意喚起対象の動作区間(対象動作区間)が一つだけ存在する場合(例えば、クレーン作業パターン等)の外部注意喚起処理の具体例を示すフローチャートである。図4A図4Bのフローチャートによる処理は、例えば、ショベル100の起動時におけるコントローラ30の初期処理の完了後からショベル100の停止時におけるコントローラ30の終了処理の開始前までの間で、所定の処理間隔ごとに、繰り返し実行される。以下、図7のフローチャートについても同様である。
【0093】
尚、対象作業パターンに含まれる対象動作区間が一つだけの場合についても、図4Aの外部注意喚起処理が適用されてもよい。
【0094】
まず、図4Aに示すように、ステップS102Aにて、作業パターン選定部302は、作業パターンDB471に登録されている対象作業パターンに対応する作業が開始されたか否かを判定する。具体的には、作業パターン選定部302は、複数の対象作業パターン情報のそれぞれに含まれる上述の作業パターン判別条件が成立しているか否かに基づき、どの対象作業パターンに対応する作業が開始されたか否かを判定してよい。換言すれば、作業パターン選定部302は、現在のショベル100の動作が作業パターンDB471に登録されているどの対象作業パターンに該当するかを選定する。作業パターン選定部302は、対象作業パターンに対応する作業が開始された場合、ステップS104Aに進み、それ以外の場合、今回の処理を終了する。
【0095】
例えば、法面整形作業パターンの場合、作業パターン判別条件は、"上部旋回体3が法面に対して正対し、且つ、下部走行体1の進行方向が平面視で上部旋回体3の前後方向に対して略直角の状態にあること"である。この場合、作業パターン選定部302は、前方カメラS5の撮像画像に基づき法面を認識すると共に、認識した法面と予め設定(登録)されている設計データとを比較し、その比較結果に基づき、ショベル100の上部旋回体3が法面整形作業位置についたかどうかを判断することで当該作業パターン判別条件の成立の有無を判断することができる。また、作業パターン選定部302は、GNSS(Global Navigation Satellite System)センサ等の測位装置と機体姿勢センサS4の検出情報とに基づき、下部走行体1の進行方向と上部旋回体3の前後方向との相対角度(旋回角度)や上部旋回体3の世界測地系における向きと位置とを認識し、予め設定されている設計データと比較することにより、当該作業パターン判別条件の成立の有無を判断してもよい。
【0096】
ステップS104Aにて、ショベル動作予測部303は、現在のショベル100の作業状態が、ショベル100による予測対象動作が行われる対象動作区間の直前の動作区間(直前動作区間)に対応するか否かを判定する。具体的には、ショベル動作予測部303は、対象作業パターンを構成する複数の動作区間ごとの動作区間開始判別条件が成立しているか否かを判定することにより、現在のショベル100の作業状態に対応する動作区間を特定し、特定した動作区間が直前動作区間であるか否かを判定してよい。ショベル動作予測部303は、現在のショベル100の作業状態が直前動作区間に対応する場合、ステップS106Aに進み、直前動作区間に対応しない場合、ショベル100の直前動作区間に対応する作業状態になるまで待機する(本ステップの処理を繰り返す)。
【0097】
例えば、第1の法面整形作業パターンの場合、直前動作区間としての法面整形動作区間に関する動作区間開始判別条件は、"アタッチメントによる法面の切土動作或いは転圧動作が開始されること"である。この場合、ショベル動作予測部303は、例えば、操作圧センサ29、ブーム姿勢センサS1、アーム姿勢センサS2、バケット姿勢センサS3等の検出情報や前方カメラS5の撮像画像に基づき、法面に対するアタッチメントの動作を認識することにより、切土動作或いは転圧動作を開始したかどうかを判断できる。また、例えば、第2の法面整形作業パターンの場合、直前動作区間としての土砂収容動作区間に関する動作区間開始判別条件は、"ショベル100が法面の麓に溜まった土砂をバケット6内に収容し始めること"である。この場合、ショベル動作予測部303は、例えば、操作圧センサ29、ブーム姿勢センサS1、アーム姿勢センサS2、バケット姿勢センサS3の検出情報や、前方カメラS5の撮像画像に基づき、アタッチメントの動作を認識し、ショベル100が法面の麓の土砂をバケット6内に収容し始めたかどうかを判断できる。
【0098】
ステップS106Aにて、ショベル動作予測部303は、現在の動作区間、つまり、直前動作区間が終了するか(或いは、終了する兆候があるか)否かを判定する。具体的には、ショベル動作予測部303は、当該直前対象区間に対応する動作区間終了判別条件が成立しているか否かを判定してよい。ショベル動作予測部303は、直前動作区間が終了する(或いは、終了する兆候がある)場合、ステップS108Aに進み、それ以外の場合、直前区間が終了する(或いは終了する兆候がある)まで待機する(本ステップの処理を繰り返す)。
【0099】
例えば、第1の法面整形作業パターンの場合、直前動作区間としての法面整形動作区間に関する動作区間終了判別条件は、"上部旋回体3の正面の法面の切土或いは転圧が終了し、アタッチメントの動作が停止したこと"である。この場合、ショベル動作予測部303は、例えば、前方カメラS5の撮像画像に基づき、法面整形の進行状態を認識する共に、操作圧センサ29、ブーム姿勢センサS1、アーム姿勢センサS2、及びバケット姿勢センサS3等の検出情報に基づき、アタッチメントの動作状態を認識することにより、当該動作区間終了判別条件の成否を判断できる。また、例えば、第2の法面整形作業パターンの場合、直前動作区間としての土砂収容動作区間に関する動作区間終了判別条件は、"ショベル100が土砂をバケット6に収容した状態でバケット6の持ち上げを開始すること"である。この場合、ショベル動作予測部303は、例えば、操作圧センサ29、ブーム姿勢センサS1、アーム姿勢センサS2、バケット姿勢センサS3の検出情報や、前方カメラS5の撮像画像に基づき、アタッチメントの動作を認識し、当該動作区間終了判別条件の成否を判断できる。
【0100】
ステップS108Aにて、外部注意喚起部304は、外部音声出力装置48に音声出力指令を出力することにより、ショベル100の外部(周囲)への予測対象動作、つまり、ショベル100の旋回動作或いは走行動作が行われる旨の注意喚起を開始する。その後、オペレータが旋回用のレバー装置或いは走行用のレバー装置を操作することで、対象動作区間に対応する動作(つまり、旋回動作或いは走行動作)が開始される。
【0101】
ステップS110Aにて、ショベル動作予測部303は、対象動作区間が終了したか否かを判定する。具体的には、ショベル動作予測部303は、対象動作区間に関する動作区間終了判別条件が成立したか否かを判定する。ショベル動作予測部303は、対象動作区間が終了した場合、ステップS112Aに進み、それ以外の場合、対象動作区間が終了するまで待機する(本ステップの処理を繰り返す)。
【0102】
ステップS112Aにて、外部注意喚起部304は、外部音声出力装置48に音声出力停止指令を出力することにより、上述の注意喚起を停止する。
【0103】
ステップS114Aにて、ショベル動作予測部303は、次の動作区間が対象動作区間であるか否かを判定する。予測対象動作が複数存在する場合、対象作業パターンによっては、対象動作区間が連続する可能性があり得るからである。ショベル動作予測部303は、次の動作区間が対象動作区間である場合、ステップS108Aに戻って、再度、ショベル100の周囲への注意喚起を開始し、次の動作区間が対象動作区間でない場合、ステップS116Aに進む。
【0104】
ステップS116Aにて、ショベル動作予測部303は、ショベル100が実行中の作業内容に対応する対象作業パターンに対象動作区間(例えば、走行動作が継続される場合には次の走行動作の区間)が残っているか否かを判定する。ショベル動作予測部303は、ショベル100が実行中の作業内容に対応する対象作業パターンに対象動作区間が残っている場合、ステップS104Aに戻って、ステップS104A以降の処理を繰り返し、対象動作区間が残っていない場合、ステップS118Aに進む。
【0105】
ステップS118Aにて、ショベル動作予測部303は、対象作業パターンに対応する一連の作業が終了したか否かを判定する。具体的には、ショベル動作予測部303は、対象作業パターンを構成する複数の動作区間のうちの最後に実行される動作区間に関する動作区間終了判別条件の成否に基づき、対象作業パターンに対応する一連の作業が終了したか否かを判定してよい。ショベル動作予測部303は、対象作業パターンに対応する一連の作業が終了していない場合、終了するまで待機し(本ステップの処理を繰り返し)、終了した場合、今回の処理を終了する。
【0106】
例えば、図5は、外部注意喚起が行われる場合のショベル100の作業状況の具体例を説明する図であり、より具体的には、対象作業パターンの一例である法面整形作業パターン(第1の法面整形作業パターン)に関するショベル100の作業状況を説明する図である。
【0107】
図5に示すように、第1の法面整形作業パターンでは、オペレータは、上述の如く、上部旋回体3を作業対象の法面500に正対させると共に、下部走行体1の進行方向を法面500の延在方向と略平行に(即ち、上部旋回体3の前後方向と略直角に)配置させる。例えば、オペレータは、アタッチメント稼動面が法面(目標施工面)の法線を含んでいると判断した場合に、上部旋回体3が法面(目標施工面)に正対していると判断する。
【0108】
本例では、ショベル100は、オペレータによる操作の下、上部旋回体3の正面の施工未完了領域502の法面整形作業を行い、終了すると、右方向に移動し、再度、施工未完了領域502の法面整形作業を行う作業手順を繰り返す。これにより、施工完了領域501が法面500の左端から順次形成されていく。
【0109】
このような状況で、ショベル100の周囲の作業者等は、例えば、キャビン10内のオペレータと視線を合わせることが難しい等の要因により、どのタイミングでショベル100が右方向に走行をし始めるか把握しにくい場合があり得る。
【0110】
これに対して、ショベル動作予測部303は、上述の如く、ショベル100が走行動作をし始める直前の動作区間(法面整形動作区間)の終了を判断することにより、ショベル100の走行動作が行われると予測する。そして、外部注意喚起部304は、ショベル100が対象動作区間に対応する走行動作をし始める前に、外部音声出力装置48を通じて、ショベル100の走行動作が行われる(開始される)旨を報知することができる。よって、ショベル100の周囲の作業者等は、どのタイミングでショベル100が走行し始めるか把握しにくい状況であっても、どのタイミングでショベル100が右方向に走行し始めるかを把握することができる。
【0111】
また、図4Bに示すように、ステップS102Bにて、作業パターン選定部302は、図4AのステップS102Aの場合と同様に、作業パターンDB471に登録されている対象作業パターンに対応する作業が開始されたか否かを判定する。作業パターン選定部302は、対象作業パターンに対応する作業が開始された場合、ステップS104Bに進み、それ以外の場合、今回の処理を終了する。
【0112】
例えば、クレーン作業パターンの場合、作業パターン判別条件は、"クレーン作業用のフック80がフック収納部50から出されたこと"や"ショベル100の動作モードが通常モードからクレーンモードに切り替えられたこと"である。このとき、フック80がフック収納部50から外に出ているか否かは、近接スイッチ等のフック収納状態検出装置51や、前方カメラS5、LIDAR、ミリ波レーダ等の空間認識装置等の検出情報に基づき判断されうる。
【0113】
ステップS104Bにて、ショベル動作予測部303は、図4AのステップS104Aの場合と同様に、現在のショベル100の作業状態が、ショベル100による予測対象動作が行われる対象動作区間の直前の動作区間(直前動作区間)に対応するか否かを判定する。ショベル動作予測部303は、現在のショベル100の作業状態が直前動作区間に対応する場合、ステップS106Bに進み、直前動作区間に対応しない場合、ショベル100の直前動作区間に対応する作業状態になるまで待機する(本ステップの処理を繰り返す)。
【0114】
例えば、クレーン作業パターンの場合、直前動作区間としての吊り上げ動作区間に関する動作区間開始判別条件は、"フック80に吊荷がある(吊られた)状態で、ブーム4が上げ動作を始めること"である。この場合、ショベル動作予測部303は、例えば、ブームボトム圧センサ7aの検出情報に基づき、吊荷の重量を計測し、フック80における吊荷の有無を判断すると共に、ブーム姿勢センサS1やブーム4(ブームシリンダ7)の操作に対応する操作圧センサ29の検出情報に基づき、ブーム4の動作を認識することにより、当該動作区間開始判別条件の成立の有無を判断できる。
【0115】
ステップS106Bにて、ショベル動作予測部303は、図4AのステップS106Aの場合と同様に、現在の動作区間、つまり、直前動作区間が終了するか(或いは、終了する兆候があるか)否かを判定する。ショベル動作予測部303は、直前動作区間が終了する(或いは、終了する兆候がある)場合、ステップS108Bに進み、それ以外の場合、直前区間が終了する(或いは終了する兆候がある)まで待機する(本ステップの処理を繰り返す)。
【0116】
例えば、クレーン作業パターンの場合、直前動作区間としての吊り上げ動作区間に関する動作区間終了判別条件は、"吊り上げ動作区間の開始後、ブーム4の上げ動作が所定の高さ以上の位置で停止したこと、或いは、停止する直前に相当する状態に減速したこと"である。この場合、ショベル動作予測部303は、ブーム姿勢センサS1、アーム姿勢センサS2、及びバケット姿勢センサS3やブーム4の操作に対応する操作圧センサ29の検出情報に基づき、ブーム4の動作速度やバケット6の位置(吊荷の位置)を認識することにより、当該動作区間終了判別条件の成否を判断できる。
【0117】
ステップS108Bにて、外部注意喚起部304は、図4AのステップS108Aの場合と同様に、外部音声出力装置48に音声出力指令を出力することにより、ショベル100の外部(周囲)への予測対象動作、つまり、ショベル100の旋回動作或いは走行動作が行われる旨の注意喚起を開始する。
【0118】
ステップS110Bにて、ショベル動作予測部303は、図4AのステップS110Aの場合と同様に、対象動作区間が終了したか否かを判定する。ショベル動作予測部303は、対象動作区間が終了した場合、ステップS112Bに進み、それ以外の場合、対象動作区間が終了するまで待機する(本ステップの処理を繰り返す)。
【0119】
ステップS112Bにて、外部注意喚起部304は、外部音声出力装置48に音声出力停止指令を出力することにより、上述の注意喚起を停止し、今回の処理を終了する。
【0120】
これにより、例えば、クレーン作業のように、外部注意喚起の対象動作区間が一つだけの場合についても、図4Aの場合と同様に、外部注意喚起部304は、ショベル100が旋回動作等をし始める前に、ショベル100の旋回動作等が行われる(開始される)旨を報知することができる。よって、ショベル100の周囲の作業者等は、どのタイミングでショベル100が旋回等をし始めるか把握しにくい状況であっても、どのタイミングでショベル100が旋回等をし始めるかを把握することができる。
【0121】
このように、本例では、ショベル動作予測部303は、ショベル100の動作を予測する。そして、外部注意喚起部304は、ショベル動作予測部303によりショベル100が次に所定の動作(例えば、走行動作や旋回動作)を行うと予測された場合、当該所定の動作の開始前に、ショベル100の周囲に対して当該所定の動作が行われる旨を注意喚起する。
【0122】
これにより、ショベル100は、周囲の作業者等に対して、オペレータの操作による当該ショベル100の動作の把握を促すことができる。
【0123】
また、通常、ショベル100が走行動作や旋回動作を行うと、ショベル100と人等の監視対象の物体との距離が相対的に近くなり、周辺監視機能の監視範囲内に人等の監視対象の物体が入ってしまう可能性がある。この場合、上述の動作制限機能が作動し、ショベル100のアクチュエータの動作が停止されたり、減速されたりする。また、上述の物体検知報知機能よって、キャビン10内のオペレータやショベル100の周囲に対して監視対象の物体(例えば、ショベル100の周囲の作業者)の存在が報知される。すると、ショベル100の周囲の作業者は、監視範囲から退避し、監視範囲からの作業者の退避に応じて自動で、或いは、監視範囲からの作業者の退避を確認したショベル100のオペレータの操作に応じて、動作制限機能が解除される。そのため、ショベル100及び作業者による作業が一時的に中断し、ショベル100や作業者による作業効率が低下する可能性がある。
【0124】
これに対して、本実施形態では、コントローラ30は、ショベル100の走行動作や旋回動作が行われる前に周囲の作業者に対する注意喚起を行うことができる。これにより、作業者は、注意喚起によって、ショベル100の走行動作や旋回動作の前に、ショベル100から離れる方向に退避することができる。そのため、ショベル100は、動作制限機能を作動させる頻度を相対的に低下させ、ショベル100の動作の停止や減速による作業効率の低下を抑制することができる。また、事前に作業者が退避することができるため、作業者による作業効率の低下を抑制することができる。
【0125】
また、本例では、ショベル動作予測部303は、ショベル100が実行中の作業パターンに基づき、ショベル100の動作を予測する。
【0126】
これにより、ショベル動作予測部303は、ショベル100が実行中の作業パターンに対応する一連の動作の流れに沿って、ショベル100の動作を予測することができる。
【0127】
また、本例では、ショベル動作予測部303は、ショベル100が実行中の作業パターンを構成する複数の動作区間のうちの一の動作区間(直前動作区間)に相当する動作をショベル100が行った場合に、一の動作区間の次の他の動作区間(対象動作区間)に相当する動作(予測対象動作)をショベル100が次に行うと予測する。
【0128】
これにより、ショベル動作予測部303は、ショベル100が実行中の作業パターンに対応する複数の動作区間のうちのどの動作区間を実行しているかを判断し、具体的に、ショベル100の次の動作を予測することができる。
【0129】
また、ショベル動作予測部303は、ショベル100の過去の作業内容から規定されるショベル100の作業パターンのうちのショベル100が現在実行中の作業パターンに基づき、ショベル100の動作を予測する。
【0130】
これにより、ショベル動作予測部303は、ショベル100の過去の作業内容を考慮して、ショベル100の動作を予測することができる。
【0131】
<外部注意喚起機能の他の例>
図6は、コントローラ30の外部注意喚起機能に関する機能的な構成の他の例を示す機能ブロック図である。
【0132】
図6に示すように、コントローラ30は、例えば、不揮発性の補助記憶装置に格納される一以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、オペレータ動作パターン登録部301Aと、ショベル動作予測部303Aと、外部注意喚起部304Aを含む。
【0133】
オペレータ動作パターン登録部301Aは、ショベル100が予測対象動作を行う場合のオペレータの動作パターン(以下、オペレータ動作パターン)に関する情報(以下、「オペレータ動作パターン情報」)を記憶装置47に登録する。具体的には、記憶装置47には、動作パターン情報が所定の抽出条件に基づき抽出可能な態様で整理されるオペレータ動作パターンDB471Aが構築され、オペレータ動作パターン登録部301Aは、オペレータ動作パターンDB471Aにオペレータ動作パターン情報を登録する。
【0134】
オペレータ動作パターンDB471Aに登録されるオペレータ動作パターン情報には、例えば、オペレータがショベル100に予測対象動作を行わせる直前のオペレータ動作パターンに対応する動作条件(以下、オペレータ動作条件)が含まれる。例えば、予測対象動作がショベル100の走行動作である場合、オペレータ動作条件は、"ショベル100の周囲を確認(例えば、きょろきょろ)しながら、手を走行用のレバー装置に、或いは、足を走行用のペダル装置に移動させること"である。また、例えば、予測対象動作がショベル100の旋回動作である場合、"正面を向いた同一姿勢のまま、周辺を確認(例えば、きょろきょろ)すること"である。
【0135】
オペレータ動作パターン登録部301Aは、例えば、ショベル100の工場出荷前に、工場作業者等がコントローラ30に一時的に接続する外部ツールや外部記憶装置を通じて入力される、一又は複数のオペレータ動作パターンに対応するオペレータ動作パターン情報を記憶装置47のオペレータ動作パターンDB471Aに登録する。また、例えば、工場出荷後にオペレータ動作パターンが追加されたり、オペレータ動作パターン情報が更新されたりする場合もありうる。この場合、オペレータ動作パターン登録部301Aは、例えば、サービスマンやオペレータ等がコントローラ30に一時的に接続する外部ツールや外部記憶装置を通じて入力される、更新用のオペレータ動作パターン情報を記憶装置47のオペレータ動作パターンDB471Aに登録する。
【0136】
また、オペレータ動作パターン登録部301Aは、過去のオペレータの動作とショベル100の動作との関連性に基づき、過去のオペレータの動作内容の中からオペレータ動作パターンを機械学習(抽出)し、抽出したオペレータ動作パターンに関するオペレータ動作パターン情報を記憶装置47のオペレータ動作パターンDB471Aに登録してもよい。具体的には、オペレータ動作パターン登録部301Aは、例えば、ショベル100の起動から停止までの運転中において、記憶装置47等に、オペレータの動作内容に関する情報(例えば、室内カメラS6の撮像画像)と、ショベル100の動作内容に関する各種情報(例えば、ブームボトム圧センサ7a、操作圧センサ29、入力装置42(例えば、クレーンモードスイッチ42a)、ブーム姿勢センサS1、アーム姿勢センサS2、バケット姿勢センサS3、機体姿勢センサS4、前方カメラS5等から取得される検出情報や状態情報等)を記憶装置47等に蓄積させる。そして、オペレータ動作パターン登録部301Aは、所定のタイミング(例えば、ショベル100のアイドリング中等)において、記憶装置47等に蓄積された過去のオペレータの動作内容とショベル100の動作内容との関連性を解析することにより、ショベル100の予測対象動作に対応するオペレータ動作パターンを抽出してよい。
【0137】
また、オペレータ動作パターン登録部301Aは、過去のオペレータの動作内容とショベル100の動作内容との関連性に基づき、オペレータ動作パターンを抽出する際、ショベル100の周辺状況を考慮して、オペレータ動作パターンを抽出してもよい。オペレータが同じ予測対象動作をショベル100に行わせる場合であっても、ショベル100の周辺状況の相違によって、オペレータの動作内容が異なる場合がありうるからである。この場合、記憶装置47のオペレータ動作パターンDB471Aに登録されるオペレータ動作パターン情報には、更に、ショベル100の周辺状況を判別するための判別条件(周辺状況判別条件)が含まれる。
【0138】
また、オペレータ動作パターン登録部301Aは、ショベル100を操作する複数のオペレータが存在する場合、過去のオペレータの動作内容とショベル100の動作内容との関連性に基づき、オペレータごとに、オペレータ動作パターンを抽出してもよい。オペレータによって、個人差や癖等があり、ショベル100の操作時の動作内容は異なる場合があるからである。
【0139】
ショベル動作予測部303A(動作予測部の一例)は、オペレータの操作装置26に対する操作によるショベル100の動作を予測する。具体的には、ショベル動作予測部303Aは、記憶装置47のオペレータ動作パターンDB471Aに登録されるオペレータ動作パターン情報に基づき、予測対象動作が行われることを事前に予測する。より具体的には、ショベル動作予測部303Aは、室内カメラS6の撮像画像に基づき、オペレータの動作を監視し、オペレータがオペレータ動作パターンに対応する動作を行っているか否かにより、予測対象動作が行われることを事前に予測する。
【0140】
外部注意喚起部304A(注意喚起部の一例)は、ショベル動作予測部303Aにより予測対象動作が行われると予測された場合、予測対象動作の開始前に、外部音声出力装置48等を通じて、ショベル100の周囲に対して予測対象動作が行われる旨を注意喚起する。
【0141】
続いて、図7は、コントローラ30による外部注意喚起処理の他の例を概略的に示すフローチャートである。
【0142】
ステップS202にて、ショベル動作予測部303Aは、室内カメラS6の撮像画像に基づき、オペレータがオペレータ動作パターンに対応する動作を行っているか否かを判定する。ショベル動作予測部303Aは、オペレータがオペレータ動作パターンに対応する動作を行っている場合、ステップS204に進み、それ以外の場合、今回の処理を終了する。
【0143】
ステップS204の処理は、図4A図4BのステップS108A,S108Bと同じであるため、説明を省略する。
【0144】
ステップS206にて、ショベル動作予測部303Aは、注意喚起対象のショベルの動作(例えば、ショベル100の走行動作や旋回動作等の予測対象動作)が終了したか否かを判定する。このとき、ショベル動作予測部303Aは、例えば、下部走行体1(走行油圧モータ1L,1R)に対応する操作圧センサ29の検出情報等に基づき、ショベル100(下部走行体1)の走行状態を認識できる。また、ショベル動作予測部303Aは、例えば、上部旋回体3(旋回油圧モータ2A)に対応する操作圧センサ29や機体姿勢センサS4の検出情報等に基づき、ショベル100(上部旋回体3)の旋回状態を認識できる。ショベル動作予測部303Aは、予測対象動作が終了した場合、ステップS208に進み、終了していない場合、終了するまで待機する(本ステップの処理を繰り返す)。
【0145】
ステップS208の処理は、図4A図4BのステップS112A,S112Bと同じであるため、説明を省略する。
【0146】
このように、本例では、ショベル動作予測部303Aは、オペレータの動作を監視することにより、ショベル100の動作を予測する。
【0147】
これにより、ショベル動作予測部303Aは、例えば、室内カメラS6の撮像画像に基づき、オペレータの動作を監視することにより、次に行われる操作を予測することができるため、具体的に、ショベル100の動作を予測することができる。
【0148】
また、本例では、ショベル動作予測部303Aは、過去のオペレータの動作内容とショベル100の動作内容との関連性に基づき、オペレータの動作を監視し、ショベル100の動作を予測する。
【0149】
これにより、ショベル動作予測部303Aは、過去のオペレータの動作内容とショベル100の動作内容との関連性から、例えば、注意喚起対象の所定の動作が行われる場合のオペレータの動作パターンを把握することができる。従って、ショベル動作予測部303Aは、オペレータの動作を監視し、把握された動作パターンに相当する動作がオペレータにより行われたかによって、具体的に、ショベル100の動作を予測することができる。
【0150】
[ショベル管理システム]
次に、図8を参照して、ショベル管理システムSYSについて説明する。
【0151】
図8は、ショベル管理システムSYSの一例を示す概略図である。
【0152】
図8に示すように、ショベル管理システムSYSは、ショベル100と、支援装置200と、管理装置300とを含む。ショベル管理システムSYSは、1台又は複数台のショベル100を管理するシステムである。
【0153】
ショベル100が取得する情報は、ショベル管理システムSYSを通じ、管理者及び他のショベルのオペレータ等と共有されてもよい。ショベル管理システムSYSを構成するショベル100、支援装置200、及び管理装置300のそれぞれは、1台であってもよく、複数台であってもよい。本例では、ショベル管理システムSYSは、1台のショベル100と、1台の支援装置200と、1台の管理装置300とを含む。
【0154】
支援装置200は、典型的には携帯端末装置であり、例えば、施工現場にいる作業者等が携帯するラップトップ型のコンピュータ端末、タブレット端末、或いはスマートフォン等である。支援装置200は、ショベル100のオペレータが携帯する携帯端末であってもよい。支援装置200は、固定端末装置であってもよい。
【0155】
管理装置300は、典型的には固定端末装置であり、例えば、施工現場外の管理センタ等に設置されるサーバコンピュータ(いわゆるクラウドサーバ)である。また、管理装置300は、例えば、施工現場に設定されるエッジサーバであってもよい。また、管理装置300は、可搬性の端末装置(例えば、ラップトップ型のコンピュータ端末、タブレット端末、或いはスマートフォン等の携帯端末)であってもよい。
【0156】
支援装置200及び管理装置300の少なくとも一方は、モニタと遠隔操作用の操作装置とを備えていてもよい。この場合、支援装置200や管理装置300を利用するオペレータは、遠隔操作用の操作装置を用いつつ、ショベル100を操作してもよい。遠隔操作用の操作装置は、例えば、近距離無線通信網、携帯電話通信網、又は衛星通信網等の無線通信網を通じ、ショベル100に搭載されているコントローラ30に通信可能に接続される。
【0157】
また、キャビン10内に設置された表示装置40に表示される各種情報画像(例えば、ショベル100の周囲の様子を表す画像情報や各種の設定画面等)が、支援装置200及び管理装置300の少なくとも一方に接続された表示装置で表示されてもよい。ショベル100の周囲の様子を表す画像情報は、前方カメラS5の撮像画像に基づき生成されてよい。これにより、支援装置200を利用する作業者、或いは、管理装置300を利用する管理者等は、ショベル100の周囲の様子を確認しながら、ショベル100の遠隔操作を行ったり、ショベル100に関する各種の設定を行ったりすることができる。
【0158】
例えば、ショベル管理システムSYSにおいて、ショベル100のコントローラ30は、自律走行スイッチが押されたときの時刻及び場所、ショベル100を自律的に移動させる際(自律走行の際)に利用された目標ルート、並びに、自律走行の際に所定部位が実際に辿った軌跡等の少なくとも1つに関する情報を支援装置200及び管理装置300の少なくとも一方に送信してもよい。その際、コントローラ30は、空間認識装置の出力(例えば、前方カメラS5の撮像画像)を支援装置200及び管理装置300の少なくとも一方に送信してもよい。撮像画像は、自律走行中に撮像された複数の画像であってもよい。更に、コントローラ30は、自律走行中におけるショベル100の動作内容に関するデータ、ショベル100の姿勢に関するデータ、及びアタッチメントの姿勢に関するデータ等の少なくとも1つに関する情報を支援装置200及び管理装置300の少なくとも一方に送信してもよい。これにより、支援装置200を利用する作業者、又は、管理装置300を利用する管理者は、自律走行中のショベル100に関する情報を入手することができる。
【0159】
このように、ショベル管理システムSYSは、遠隔操作中や自律制御中に取得されるショベル100に関する情報を管理者及び他のショベルのオペレータ等と共有できるようにしてよい。
【0160】
[変形・変更]
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0161】
例えば、上述した実施形態では、ショベル100は、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の各種動作要素を全て油圧駆動する構成であったが、その一部が電気駆動される構成であってもよい。つまり、上述した実施形態で開示される構成等は、ハイブリッドショベルや電動ショベル等に適用されてもよい。
【0162】
最後に、本願は、2018年11月19日に出願した日本国特許出願2018-216733号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願の全内容を本願に参照により援用する。
【符号の説明】
【0163】
1 下部走行体
1L,1R 走行油圧モータ
2 旋回機構
2A 旋回油圧モータ
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
7a ブームボトム圧センサ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
26 操作装置
29 操作圧センサ
30 コントローラ
47 記憶装置
48 外部音声出力装置
100 ショベル
301 作業パターン登録部
301A オペレータ動作パターン登録部
302 作業パターン選定部
303,303A ショベル動作予測部(動作予測部)
304,304A 外部注意喚起部(注意喚起部)
471 作業パターンDB
471A オペレータ動作パターンDB
S1 ブーム姿勢センサ
S2 アーム姿勢センサ
S3 バケット姿勢センサ
S4 機体姿勢センサ
S5 前方カメラ(空間認識装置)
S6 室内カメラ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8