(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】電気的負荷に定電圧または定電流を提供するワイヤレス電力受信回路、および、方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240401BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20240401BHJP
【FI】
H02J7/00 301D
H02J50/12
(21)【出願番号】P 2020572475
(86)(22)【出願日】2019-06-27
(86)【国際出願番号】 US2019039387
(87)【国際公開番号】W WO2020006165
(87)【国際公開日】2020-01-02
【審査請求日】2022-06-15
(32)【優先日】2018-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-08-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519129595
【氏名又は名称】イーサーダイン テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ETHERDYNE TECHNOLOGIES INC
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】モファット, ロバート エー.
(72)【発明者】
【氏名】イェン, ジェフリー ジェイ.
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/037758(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0099591(US,A1)
【文献】特開2013-212043(JP,A)
【文献】特開2015-202030(JP,A)
【文献】特表2016-534705(JP,A)
【文献】特開2011-010443(JP,A)
【文献】特開2016-178714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス電力伝送システムに使用するためのワイヤレス電力受信回路であって、前記ワイヤレス電力受信回路は、
前記ワイヤレス電力受信回路が、アクティブ状態にあり、ラジオ周波数(RF)出力信号を出力する場合に、前記ワイヤレス電力伝送システムのワイヤレス電力送信機によって生成された周囲磁界の周波数で共振するように構成された共振回路であって、前記共振回路が第1状態から第2状態、および、その逆に切り替わる原因になる制御信号によって制御可能な電気制御可能スイッチを含む、共振回路と、
交流(AC)-直流(DC)整流回路であって、前記共振回路から出力される前記RF出力信号が前記AC-DC整流回路に入力され、前記AC-DC整流回路は、前記RF出力信号をDC電力信号に変換し、前記DC電力信号を出力する、AC-DC整流回路と、
DC負荷およびエネルギ貯蔵デバイスを有するDC負荷回路であって、前記アクティブ状態の間、前記AC-DC整流回路によって出力される前記DC電力信号は、前記エネルギ貯蔵デバイスを充電し、前記DC負荷によって使用されるのに応じた実質的に一定のDC電流または電圧を前記DC負荷へ伝送させる原因になる、DC負荷回路と、
前記DC負荷回路から出力される出力信号を受け取り、受け取った前記出力信号を予め選択された基準電圧信号と比較し、前記制御信号を生成する比較回路であって、前記制御信号は、前記電気制御可能スイッチ
の状態を制御するために前記共振回路にフィードバックされる、比較回路と、
前記共振回路に一列になって接続されたヒューズまたはスイッチであって、前記ワイヤレス電力受信回路がオフ状態である場合、前記共振回路の共振応答がシャットダウンされ、前記ワイヤレス電力受信回路がオフ状態である場合、前記ワイヤレス電力受信回路によって電力の最小限の量が受け取られる、ヒューズまたはスイッチと、
を含むことを特徴とするワイヤレス電力受信回路。
【請求項2】
前記第1および第2状態は、前記電気制御可能スイッチのそれぞれ閉および開状態であり
、前記閉状態から前記開状態への、および、その逆のスイッチングは、前記ワイヤレス電力受信回路のアイドル状態から前記アクティブ状態への、および、その逆の切り替わりの原因になり、前記ワイヤレス電力受信回路が前記アイドル状態である場合、前記共振回路の共振応答はシャットダウンされ、前記ワイヤレス電力受信回路が前記アイドル状態である場合、前記ワイヤレス電力受信回路によって電力の最小限の量が受け取られることを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項3】
前記DC負荷回路から出力される前記出力信号が、前記予め選択された基準電圧信号よりも所定の量
を下回る値に低下した場合、前記比較回路によって生成される前記制御信号は、前記電気制御可能スイッチが前記閉状態から前記開状態に切り替わる原因になる低い値を有し、これによって、前記ワイヤレス電力受信回路をアクティブ状態に置くことを特徴とする請求項2に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項4】
前記比較回路は、前記比較回路が前記制御信号を出力する前に、前記DC負荷回路から出力される前記出力信号が低下し、前記予め選択された基準電圧信号を下回る前記所定の量を決定する予め選択された量のヒステリシスを示すことを特徴とする請求項3に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項5】
前記予め選択された量のヒステリシスは、前記ワイヤレス電力受信回路の前記アイドル状態から前記アクティブ状態へのスイッチングを遅延させるために予め選択され、前記遅延は、前記ワイヤレス電力受信回路の前記スイッチングが、前記周囲磁界の前記周波数よりも低い周波数であることを確保することを特徴とする請求項4に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項6】
前記エネルギ貯蔵デバイスが完全に充電された場合、前記ワイヤレス電力受信回路は前記アクティブ状態からアイドル状態に切り替わり、前記ワイヤレス電力受信回路が前記アイドル状態にある場合、前記共振回路はシャットダウンされ、前記周囲磁界に対して共振応答を有さず、前記エネルギ貯蔵デバイスの電荷が所定のレベルを下回り低下した場合、前記ワイヤレス電力受信回路は前記アイドル状態から前記アクティブ状態に切り替わり、前記ワイヤレス電力受信回路が前記アクティブ状態にある場合、前記共振回路は前記周囲磁界に対して共振応答を有することを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項7】
前記共振回路が、互いに直列に接続された少なくとも第1キャパシタおよび第1インダクタを含むことを特徴とする請求項6に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項8】
前記電気制御可能スイッチが、前記第1キャパシタと並列に接続されていることを特徴とする請求項7に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項9】
前記共振回路は、互いに直列に接続された少なくとも第1キャパシタおよび第1インダクタと、前記電気制御可能スイッチに並列に接続された第2キャパシタと、を含むことを特徴とする請求項6に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項10】
前記AC-DC整流回路は、第1整流ダイオードを含み、前記共振回路は、互いに直列に接続された少なくとも第1キャパシタおよび第1インダクタと、前記電気制御可能スイッチに並列に接続された第2キャパシタと、を含み、前記ワイヤレス電力受信回路が、
前記第2キャパシタおよび前記電気制御可能スイッチに並列に接続された第2整流ダイオードをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項11】
前記DC負荷回路が、
少なくとも1つの抵抗を含む抵抗ネットワークをさらに含み、前記抵抗ネットワークは、前記DC負荷回路の出力ノードと、前記DC負荷および前記エネルギ貯蔵デバイスのうち少なくとも1つと、に接続されることを特徴とする請求項1に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項12】
前記DC負荷回路が、
前記DC負荷に並列に接続されたバッテリまたは電気化学セルをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項13】
前記DC負荷回路が、
前記DC負荷に並列に接続されたキャパシタをさらに含むことを特徴とする請求項12に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項14】
前記DC負荷回路が、
前記バッテリまたは電気化学セルに直列に接続された抵抗をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項15】
前記DC負荷回路が、
前記DC負荷に直列に接続されたローパス抵抗-キャパシタ(RC)フィルタをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項16】
前記DC負荷回路が、
前記DC負荷に直列に接続されたローパスインダクタ-キャパシタ(RC)フィルタをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項17】
前記DC負荷回路が、
前記抵抗ネットワークに接続された入力端子と、前記DC負荷に接続された出力端子と、を有するリニアレギュレータをさらに含むことを特徴とする請求項11に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項18】
前記DC負荷回路が、
前記DC負荷に並列に接続された少なくとも第1キャパシタをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項19】
前記電気制御可能スイッチに電気的に結合された制御回路をさらに含み、前記制御回路は、所定のイベントまたは条件が起きたことを検出し、前記所定のイベントまたは条件が起きたことを検出すると、前記電気制御可能スイッチ
が前記共振回路を前記第1状態に置くように構成されていることを特徴とする請求項11に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項20】
前記ヒューズまたはスイッチは、温度が所定の温度を超えた場合に前記ワイヤレス電力受信回路をパルス幅変調(PWM)状態からオフ状態に切り換える原因になるように、前記共振回路に開回路を形成するように構成さ
れることを特徴とする請求項
1に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項21】
前記
ヒューズまたはスイッチは、ユーザ制御可能スイッチ
であり、前記ユーザ制御可能スイッチは、前記ユーザが前記ワイヤレス電力受信回路をパルス幅変調(PWM)状態からオフ状態、および、その逆に切り替えることを可能にするために、前記ユーザがオンおよびオフすることがで
きることを特徴とする請求項
1に記載のワイヤレス電力受信回路。
【請求項22】
ワイヤレス電力伝送システムに使用するためのワイヤレス電力受信回路であって、前記ワイヤレス電力受信回路は、
前記ワイヤレス電力伝送システムのワイヤレス電力送信機によって生成された周囲磁界の周波数で共振し、ラジオ周波数(RF)出力信号を出力するように構成された共振回路であって、前記共振回路は、制御信号を受け取る制御信号入力端子と前記RF出力信号を出力するRF電力出力端子とを有し、前記共振回路は、前記共振回路を第1状態から第2状態、および、その逆に切り替えるための制御信号によって制御可能な電気制御可能スイッチを含み、前記
共振回路が前記第1状態にある場合、前記ワイヤレス電力受信回路は、前記共振回路の共振応答がシャットダウンされて前記ワイヤレス電力受信回路による電力の受け取りを防止するアイドリング状態にあり、前記
共振回路が前記第2状態にある場合、前記ワイヤレス電力受信回路は、前記ワイヤレス電力受信回路によって電力が受け取られるアクティブ状態にある、共振回路と、
交流(AC)-直流(DC)整流回路であって、前記共振回路から出力される前記RF出力信号が前記AC-DC整流回路の入力端子を介して前記AC-DC整流回路に入力され、前記AC-DC整流回路は、前記RF出力信号をDC電力信号に変換し、前記AC-DC整流回路の出力端子を介して前記DC電力信号を出力する、AC-DC整流回路と、
DC負荷回路であって、前記DC負荷回路は、DC負荷およびエネルギ貯蔵デバイスを有し、前記DC負荷回路は、前記DC負荷回路の入力端子に前記DC電力信号を入力し、前記DC負荷回路の出力端子を介して出力信号を出力する、DC負荷回路と、
第1および第2入力端子と出力端子とを有する比較回路であって、前記比較回路は、前記DC負荷回路の前記出力端子から出力される前記出力信号を受け取り、受け取った前記出力信号を予め選択された基準電圧信号と比較し、前記比較の結果に基づいて前記制御信号を生成し、前記比較
回路は、前記比較回路の出力端子を介して前記制御信号を出力し、前記比較回路の前記出力端子は、前記共振回路の前記制御信号入力端子に電気的に結合されている、比較回路と、
前記共振回路に一列になって接続されたヒューズまたはスイッチと、
を含むことを特徴とするワイヤレス電力受信回路。
【請求項23】
ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレス電力を受け取る方法であって、前記ワイヤレス電力
伝送システムは、
ワイヤレス電力受信回路の共振回路を用いて、アクティブ状態またはアイドル状態で動作することであって、前記アクティブ状態において、前記共振回路は、前記ワイヤレス電力伝送システムのワイヤレス電力送信機によって生成される周囲磁界の周波数で共振し、ラジオ周波数(RF)出力信号を出力し、前記共振回路は、前記共振回路がアイドル状態である第1の状態から前記共振回路がアクティブ状態で動作する第2の状態、および、その逆に前記共振回路を切り換える原因になる制御信号によって制御可能な電気制御可能スイッチを含
み、前記ワイヤレス電力受信回路は、前記共振回路に一列になって接続されたヒューズまたはスイッチであって、前記ワイヤレス電力受信回路がオフ状態である場合、前記共振回路の共振応答がシャットダウンされ、前記ワイヤレス電力受信回路がオフ状態である場合、前記ワイヤレス電力受信回路によって電力の最小限の量が受け取られる、ヒューズまたはスイッチを含む、ことと、
交流(AC)-直流(DC)整流回路を用いて、前記RF出力信号をDC電力信号に変換し、前記DC電力信号を出力することと、
DC負荷およびエネルギ貯蔵デバイスを有するDC負荷回路を用いて、前記共振回路がアクティブ状態にある場合、前記エネルギ貯蔵デバイスを充電し、前記DC負荷によって使用されるのに応じた実質的に一定のDC電流または電圧を前記DC負荷へ伝送させる原因になることと、
比較回路を用いて、前記DC負荷回路から出力される出力信号を受け取り、受け取った前記出力信号を予め選択された基準電圧信号と比較し、前記制御信号を生成し、前記電気制御可能スイッチ
の状態を制御するために前記共振回路に前記制御信号をフィードバックすることと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年6月29日に出願され、全体が参照によって本明細書に組み込まれる“電気的負荷に定電圧または定電流を供給するワイヤレス電力受信回路、および、方法”と題された米国非仮出願第16/023,925号の優先権の利益を主張する。本出願は、また、2018年8月8日に出願され、全体が参照によって本明細書に組み込まれる“電気的負荷に定電圧または定電流を供給するワイヤレス電力受信回路、および、方法”と題された英国特許出願第1812900.7号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本出願は、2016年10月18日に出願された、“可変サイズエリアにわたる複数の受信デバイスへのワイヤレス電力伝送”と題された米国特許出願第15/296,704号に開示された主題、および、2017年7月9日に出願された、“ワイヤレス電力伝送のための統合電力送信機”と題された米国特許出願第15/644,802号に開示された主題に関連する主題を有し、これらの両方は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス電力伝送は、人工の導体を使用して電源を電気的負荷に接続することなく、電源から電気的負荷に電気的エネルギを送信する。ワイヤレス電力伝送システムは、送信機と1つ以上の受信デバイスとを含む。送信機は、電力源に電気的に結合され、電力を時間変動電磁(EM)場に変換する。1つ以上の受信デバイスは、EM場を介して電力を受け取り、受け取った電力を変換し、受信デバイスの一部または受信デバイスに電気的に結合されている電気的負荷によって利用される電流に戻す。
【0004】
受信デバイスは、近接EM場から電力を受け取るために、送信機が動作している特性周波数で共振するように構成される。受信デバイスは、近接EM場から受け取った電力を、受信デバイスの一部または受信デバイスに電気的に結合されている電気的負荷に電力を供給するために使用できる電流に変換する。
【0005】
ワイヤレス電力伝送システムで使用される現在の受信デバイスに関する困難の1つは、必要に応じて、定電圧または定電流が、電気的負荷に提供されることを確実にすることである。ワイヤレス電力伝送システムで使用される現在の受信デバイスに関する別の困難は、電力が負荷によって必要とされない場合に、受信機デバイスの共振応答をシャットダウンするための機構がないことである。電力を必要としないときに共振応答がシャットダウンされない場合、受信機デバイスは、負荷が利用可能な電力の大きな割合を使用していないときはいつでも電力を浪費し、熱を放散することになる。共振応答をシャットダウンする機構を提供する公知の受信機デバイスにおいて、機構は、通常、高価で高速な構成要素を使用して実装される高速スイッチング回路を含む。
【0006】
負荷に、必要に応じて定電流または定電圧を提供することができる、ワイヤレス電力伝送システムに使用するための、受信機デバイスに対する必要性が存在する。電力消費を低減し、不必要な熱放散を避けるために、電力が負荷によって必要とされないときに共振応答をシャットダウンすることができる、ワイヤレス電力伝送システムに使用するための、受信デバイスに対する必要性が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示の多くの態様は、以下の図面を参照することによって、よりよく理解されうる。図面中の構成要素は、必ずしも縮尺通りではなく、代わりに、本開示の原理を明確に示すことに重点を置いている。さらに、図面において、同様の参照番号は、いくつかの図を通して対応する部分を示す。
【0008】
【
図1】
図1は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、代表的な実施形態によるワイヤレス電力受信回路のブロック図である。
【0009】
【
図2】
図2は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、代表的な実施形態によるワイヤレス電力受信回路の概略図である。
【0010】
【
図3】
図3は、
図2に示されるキャパシタC1に掛かる電圧を時間の関数としてプロットしたものであり、キャパシタC1に掛かるRF電圧が、
図1に示される受信回路の整流ダイオードD1の順方向のバイアスを開始するのに十分高い振幅に達すると、受信回路は充電期間に入る。
【0011】
【
図4】
図4は、
図2に示される受信回路の負荷の両端の電圧を時間の関数としてプロットしたものである。
【0012】
【
図5】
図5は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、代表的な実施形態によるワイヤレス電力受信回路の概略図である。
【0013】
【
図6】
図6は、
図5のキャパシタC1の両端の電圧を時間の関数としてプロットしたものである。
【0014】
【
図7】
図7は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、別の代表的な実施形態によるワイヤレス電力受信回路の概略図である。
【0015】
【
図8】
図8は、ワイヤレス電力受信回路の負荷に一定のDC電流を供給する代表的な実施形態によるワイヤレス電力受信回路の概略図である。
【0016】
【
図9】
図9は、ワイヤレス電力受信回路の負荷に一定のDC電流を供給する代表的な実施形態によるワイヤレス電力受信回路の概略図である。
【0017】
【
図10】
図10は、ワイヤレス電力受信回路の負荷に一定のDC電流を供給する代表的な実施形態によるワイヤレス電力受信回路の概略図である。
【0018】
【
図11】
図11は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、受信回路の共振応答をシャットダウンするための電気制御可能スイッチとしてnチャネルMOSFETトランジスタを使用する、代表的な実施形態によるワイヤレス電力受信回路の概略図である。
【0019】
【
図12】
図12は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、受信回路の共振応答をシャットダウンするための電気制御可能スイッチとしてnチャネルMOSFETトランジスタを使用する、代表的な実施形態によるワイヤレス電力受信回路の概略図である。
【0020】
【
図13】
図13は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、受信回路の共振応答をシャットダウンするための電気制御可能スイッチとしてnチャネルMOSFETトランジスタを使用する、代表的な実施形態によるワイヤレス電力受信回路の概略図である。
【0021】
【
図14】
図14は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、充電可能なバッテリまたは電気化学セルを含む、代表的な実施形態によるワイヤレス電力受信回路の概略図である。
【0022】
【
図15】
図15は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、充電可能なバッテリまたは電気化学セルを含む、代表的な実施形態によるワイヤレス電力受信回路の概略図である。
【0023】
【
図16】
図16は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、負荷電圧のリップルを低減するための抵抗R3およびキャパシタC4を含むローパスRC回路を含む、代表的な実施形態によるワイヤレス電力受信回路の概略図である。
【0024】
【
図17】
図17は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、負荷電圧のリップルを低減するためのインダクタL2およびキャパシタC4を含むローパスLC回路を含む、代表的な実施形態によるワイヤレス電力PWM受信回路の概略図である。
【0025】
【
図18】
図18は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、負荷電圧のリップルを低減するための線形レギュレータIC2を含む、代表的な実施形態によるワイヤレス電力受信回路の概略図である。
【0026】
【
図19】
図19は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、特定の時間に、または、特定の条件に基づいて、受信回路のLCタンクをシャットダウンするように構成された制御回路を含む、代表的な実施形態によるワイヤレス電力PWM受信回路の概略図である。
【0027】
【
図20】
図20は、別の代表的な実施形態による、ワイヤレス電力伝送システムで使用するためのワイヤレス電力受信回路の概略図であり、温度が所定のしきい値を超えた場合に、受信回路のLCタンクが電力を受け取ることを防止するための熱ヒューズまたはスイッチを含む。
【0028】
【
図21】
図21は、別の代表的な実施形態による、ワイヤレス電力伝送システムで使用するためのワイヤレス電力受信回路の概略図であり、ユーザが受信回路をアクティブ化および非アクティブ化することを可能にするために、ユーザがオンおよびオフにすることができるユーザ制御可能なスイッチを含む。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本明細書に記載される代表的な実施形態によれば、電気的負荷に、必要に応じて定電流または定電圧を提供する、ワイヤレス電力伝送システムで使用するためのワイヤレス電力受信回路が提供される。ワイヤレス電力受信回路は、電力消費を低減し、不必要な熱放散を避けるために、電力が負荷によって必要とされないときに共振応答をシャットダウンするように構成される。追加して、共振応答をシャットダウンするために使用されるワイヤレス電力受信回路のスイッチングデバイスは、比較的低い周波数で動作することができる。その結果、比較的低速で安価な構成要素を使用して、比較的低コストで、スイッチングデバイスを実装することができる。
【0030】
例示的な、または、代表的な実施形態が、図面を参照して説明され、図中、同様の参照符号は、同様の構成要素、要素、または、特徴を表す。図中の特徴、要素、または、構成要素は、縮尺通りに描かれることを意図されておらず、代わりに、発明の原理および概念を実証することに重点が置かれていることに注意すべきである。
【0031】
以下の詳細な説明では、本発明の原理および概念の完全な理解を提供するために、限定ではなく説明を目的として、特定の詳細を開示する例示的または代表的な実施形態が記載される。しかしながら、本明細書で明示的に説明または示されていない本教示による他の実施形態が添付の特許請求の範囲内にあることは、本開示の利点を有する当業者には明らかであろう。さらに、周知の装置および方法の説明は、例示的な実施形態の説明を曖昧にしないように省略されてもよい。そのような方法および装置は、当業者によって理解されるように、明らかに本教示の範囲内である。また、本明細書で使用される“例”という語は非排他的であり、本質的に非限定的であることが意図されることも理解されるべきである。
【0032】
本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためだけのものであり、限定することを意図するものではない。定義された用語は、関連する文脈において一般に理解され、受け入れられている定義された用語の技術的、科学的、または、通常の意味に加えている。
【0033】
“a”、“an”および“the”の用語は、文脈上明確に別段の指示がない限り、単数形および複数形の指示対象の両方を含む。したがって、例えば、“デバイス”は、1つのデバイスおよび複数のデバイスを含む。関連する用語は、添付の図面に示されるように、互いに対する様々な要素の関係を説明するために使用されてもよい。これらの相対的な用語は、図面に示される向きに加えて、デバイス、および/または、要素の異なる向きを包含することが意図される。
【0034】
“定電圧”という用語は、本明細書で使用される場合、電圧がその平均値から約10%を超えて経時的に変化しないという点で実質的に一定であることを意味する。同様に、“定電流”という用語は、本明細書で使用される場合、電流がその平均値から約10%を超えて経時的に変化しないという点で実質的に一定であることを意味する。本明細書に記載される代表的な実施形態は、受信デバイスに電気的に結合された電気的負荷に、必要、または、所望に応じて、定電圧または定電流を伝送する受信デバイスに関する。
【0035】
第1デバイスが第2デバイスに接続または結合されていると言われる場合、これは、2つのデバイスを互いに接続するために1つまたは複数の中間デバイスを使用しうる例を包含する。対照的に、第1デバイスが第2デバイスに直接接続または直接結合されていると言われる場合、これは、2つのデバイスが電気コネクタ(例えば、ワイヤ、ボンディング材料など)以外の任意の介在デバイスなしに互いに接続される例を包含する。フレーズが本明細書で使用されるように、“電気的に結合される”というフレーズは、2つのデバイス間のワイヤレス電磁結合、または、2つのデバイスを相互接続するために使用される中間デバイスを含むまたは含まない2つのデバイス間の有線接続を意味することができる。
【0036】
図1は、例えば、前述の米国特許出願第15/296,704号(以下、“‘704出願”)に開示されているワイヤレス電力送信機から電力をワイヤレスで受け取るためのワイヤレス電力伝送システム100など、ワイヤレス電力伝送システムにおいて、ワイヤレスで電力を受け取るために使用されうるワイヤレス電力受信回路1のブロック図である。
図1において、ワイヤレス電力受信回路1は、4つの機能ブロック3~6の組合せによって示されるパルス幅変調(PWM)ワイヤレス電力受信回路であり、その各々は、1つ以上の機能を実行し、少なくとも1つの入力および1つの出力を有する。
【0037】
ブロック3は、並列に接続された少なくともキャパシタ7およびインダクタ8と、電気制御可能スイッチ9と、を含むLC共振回路である。電気制御可能スイッチ9は、以下により詳細に説明するように、ブロック6の出力信号によってアクティブ化される。この代表的な実施形態によれば、電気制御可能スイッチ9が開状態の場合、LC共振回路は、周囲磁界からRF電力を受け取り、RF電力を出力する。ブロック3から出力されたRF電力は、RF電力を整流し、DC電力に変換するRF整流回路であるブロック4の入力端子に供給される。
図1において、RF整流回路は、ダイオード11によって示されている。ブロック4から出力されたDC電力は、DC負荷2と並列に接続されたエネルギ貯蔵デバイス12を備えるブロック5の入力端子に供給される。例示的な目的のために、エネルギ貯蔵デバイス12は、単一のキャパシタによって
図1に示される。
【0038】
ブロック5は、その出力端子から出力信号をブロック6に出力する。出力信号は、実質的に一定に保つように調節されることを意図されたパラメータ(電圧または電流のいずれか)に比例する。以下により詳細に説明するように、いくつかの場合において、ワイヤレス電力受信回路1がDC負荷2に実質的に一定のDC電流を伝送するように構成され、他の場合において、ワイヤレス電力受信回路1がDC負荷2に実質的に一定のDC電圧を伝送するように構成される。
【0039】
ブロック5からの出力信号は、予め選択された量のヒステリシスを有する比較器14と、基準端子15と、を備えるブロック6の入力端子に入力信号として供給される。比較器14は、入力信号を基準端子15で受け取った基準信号と比較し、入力信号が基準信号よりも大きいか、または、基準信号以下であるかに基づいた値を有する制御信号を出力する。ブロック6から出力された制御信号は、ブロック3の制御信号入力端子16に入力される。上述のように、電気制御可能スイッチ9の状態は、ブロック6から出力され、ブロック3に入力される制御信号の値に基づいて制御される(すなわち、アクティブ化または非アクティブ化)。電気制御可能スイッチ9は、例えば、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)、リレー、相補型金属酸化物半導体(CMOS)、RFスイッチなど、任意の電圧制御されたスイッチであってもよい。
【0040】
4つのブロック3~6を含む閉フィードバックループは、負荷インピーダンスまたは周囲磁界強度が変化した場合であっても、実質的に一定の電流または電圧のいずれかがDC負荷2に伝送されることを確保するように、ブロック5から出力される信号によって測定される負荷パラメータを調節するように作用する。
【0041】
回路1は、電気制御可能スイッチ9の状態に応じて2つの状態を有する:アイドル状態(スイッチ9は第1状態、例えば、スイッチ9は閉じている);アクティブ状態(スイッチ9は第2状態、例えば、スイッチ9は開いている)。この代表的な実施形態によれば、スイッチ9の第1状態は閉状態であり、スイッチ9の第2状態は開状態であり、受信回路1のアイドル状態およびアクティブ状態は、それぞれ、スイッチ9の閉状態および開状態に対応する。他の実施形態において、逆が当てはまりうることに注意されたい。発明の原理および概念を実証する目的で、以下の議論は、スイッチ9が開状態にあるときに回路1がアクティブ状態にあり、スイッチ9が閉状態にあるときにアイドル状態にあると仮定する。
【0042】
回路1がアクティブ状態にある場合、スイッチ9はオフにされ(開状態)、LC共振回路3は、キャパシタ7の両端に見えるRF電圧の原因になる誘起電圧Vindに起因する電力を受け取る。LC共振回路3がエネルギを蓄積するとき、初期リングアップ期間が存在するであろう。キャパシタ7の両端のRF電圧が、整流回路4を順方向バイアスし始めるのに十分高い振幅に達すると、回路1は充電期間に入る。整流回路4は、キャパシタ7の両端のRF電圧を整流し、ブロック5のキャパシタ12を充電し、そのDC電圧をゆっくり上昇させる原因になる。比較器14の非反転入力端子の電圧が電圧基準VREFを超えた場合、比較器14の出力は、その最大出力値(例えば、論理レベルHigh)に切り替わり、電気制御可能スイッチ9をオン(閉状態)する原因になる。この時点で、回路1はアイドル状態になる。
【0043】
スイッチ9がオンすると、キャパシタ7をグランドに短絡させ、キャパシタ7の両端のRF電圧は非常に低いレベルに低下する。次いで、整流ダイオード11は逆バイアスされ、キャパシタ12がインダクタ8を通して放電することを防止する。キャパシタ12は負荷21を通してゆっくり放電し、キャパシタ12の両端の電圧を低下させる原因になる。比較器14は、比較器14の非反転入力端子上の電圧が低下し始めた場合に、即座に状態が変化しないように、予め選択された量のヒステリシスを有するように設計される。キャパシタC3の非反転入力端子29の電圧がヒステリシスによって設定される、特定の量ΔVだけ低下すると、比較器14は状態を変化させ、その最小出力値(例えば、論理レベルlow)を出力する。この時点で、電気制御可能スイッチ9はオフになる。回路1はアクティブ状態に再び入り、サイクルが繰り返される。
【0044】
LC共振回路は、アイドル期間の間、シャットダウンされ、電力を受け取らず、熱を放散しないことが、以上の説明からわかる。これは、受信回路1を周囲の磁界強度の広いダイナミックレンジで動作させることを可能にする。弱い磁界において、受信回路1は、PWMサイクルの大きなパーセンテージにおいてアクティブ状態になるであろう。強い磁界において、受信回路1は、PWMサイクルの大きなパーセンテージにおいてアイドル状態になるであろう。アイドル状態において、LC共振回路はデチューンされるか、または、非共振である。したがって、それは、周囲磁界に対する非常に弱いおよび/または無視できる共振応答を有し、電力を受け取らず、熱を放散しない。換言すると、受信回路1の共振応答は、アイドル期間の間シャットダウンされ、受信回路1の電力の受け取りおよび熱の放散を防止する。アイドル期間の間の熱放散の欠如は、受信回路1の安全性と効率との両方を向上する。
【0045】
ワイヤレス電力受信回路1のブロック3~6の各々は、様々な構成を有することができる。機能を実行し、
図1を参照して上述した特徴を有するワイヤレス電力受信回路のいくつかの例が、
図2~21を参照して説明される。本発明の原理および概念は、
図2~21に示された例に限定されず、
図1を参照して上述された特徴を有し、機能を実行する、本明細書に具体的に示されず、説明されていない様々なワイヤレス電力受信回路を形成することができることに注意されたい。また、本明細書に開示されるワイヤレス電力受信デバイスは、任意の特定のワイヤレス電力送信機と共に使用されることに限定されず、任意の適切なワイヤレス電力送信機と共に、任意の適切なワイヤレス電力伝送システムにおいて使用されてもよいことにも注意されたい。
【0046】
図2は、例えば、‘704出願に開示されるワイヤレス電力伝送システム100のようなワイヤレス電力伝送システムにおいて、ワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、代表的な実施形態によるワイヤレス電力受信回路20の概略図である。この代表的な実施形態によると、ワイヤレス電力受信回路20は、電気的負荷21に定電圧を供給するPWMワイヤレス電力受信回路である。周囲磁界が、インダクタL1 22を駆動し、
図2に示される電圧Vindを、インダクタL1 22と直列のRF電圧源23によって誘起する。BはインダクタL1 22の双極子モーメントに平行な周囲磁界の構成要素を示すと仮定すると、インダクタL1 22と組み合わせられたキャパシタC1 24は、周囲磁界Bの振動周波数で共振するように調整される共振LCタンク回路を形成する。
【0047】
回路20は、電気制御可能スイッチの状態に応じて2つの状態を有し、S1 26:アクティブ(スイッチS1 26がオフ)およびアイドル(スイッチS1 26がオン)である。スイッチS1 26は、例えば、1つ以上のMOSFETトランジスタ、リレー、1つ以上のCMOSトランジスタ、RFスイッチなどの任意の電圧制御スイッチであってもよい。回路20がアクティブ状態にある場合、スイッチS1 26はオフにされ、L1 22およびC1 24を含むタンク回路は、キャパシタC1 24の両端に見えるRF電圧の原因になる誘起電圧Vindに起因する電力を受け取る。LCタンク回路がエネルギを蓄積するとき、初期リングアップ期間が存在するであろう。
【0048】
図3は、キャパシタC1 24の両端の電圧を時間の関数としてプロットしたものである。キャパシタC1 24の両端のRF電圧が、整流ダイオードD1 27を順方向バイアスし始めるのに十分高い振幅に達すると、回路20は充電期間に入る。整流ダイオードD1 27はC1 24のRF電圧を整流し、キャパシタC3 29を充電し、そのDC電圧をゆっくり上昇させる原因になる。2つの抵抗R1 31およびR2 32は、キャパシタC3 29の両端の電圧の一部を比較器IC1 33の非反転入力端子に供給する抵抗分圧器を形成する。比較器IC1 33の非反転入力端子の電圧が電圧基準VREFを超えた場合、比較器IC1 33の出力は論理レベルハイに切り替わる。その後、電気制御可能スイッチS1 26がオンになる。この時点で、回路20はアイドル状態になる。
【0049】
スイッチS1 26がオンすると、キャパシタC1 24をグランドに短絡させる。スイッチS1 26は、LCタンク回路のQが非常に低いことを確保するために、低い抵抗を有することが好ましく、キャパシタC1 24の両端のRF電圧は非常に低いレベルに低下する。次いで、整流ダイオードD1 27は逆バイアスされ、キャパシタC3 29がインダクタL1 22を通して放電することを防止する。キャパシタC3 29は、負荷21を通してゆっくり放電し、その電圧を低下させる原因になる。
【0050】
この代表的な実施形態によれば、比較器IC1 33は、比較器IC1 33の非反転入力端子上の電圧が降下し始めた場合に、即座に状態が変化しないように、予め選択された量のヒステリシスを有するように設計される。キャパシタC3 29の非反転入力端子の電圧がヒステリシスによって設定される、特定の量ΔVだけ低下すると、比較器IC1 33は状態を変化させ、論理レベルlowを出力する。この時点で、電気制御可能スイッチS1 26はオフになる。回路20はアクティブ状態に再び入り、サイクルが繰り返される。
【0051】
LCタンク回路は、アイドル期間の間、シャットダウンされ、電力を受け取らず、熱を放散しないことが、以上の説明からわかる。これは、受信回路20を周囲の磁界強度の広いダイナミックレンジで動作させることを可能にする。弱い磁界において、受信回路20は、PWMサイクルの大きなパーセンテージにおいてアクティブ状態になるであろう。強い磁界において、受信回路20は、PWMサイクルの大きなパーセンテージにおいてアイドル状態になるであろう。アイドル状態において、共振器、すなわちLCタンクはデチューンされるか、または、非共振である。したがって、それは、周囲磁界に対する非常に弱いおよび/または無視できる共振応答を有し、電力を受け取らず、熱を放散しない。換言すると、受信回路20の共振応答は、アイドル期間の間シャットダウンされ、受信回路20の電力の受信および熱の放散を防止する。アイドル期間の間の熱放散の欠如は、受信回路20の安全性と効率との両方を向上する。
【0052】
図4は、負荷21の両端の電圧を時間の関数としてプロットしたものである。負荷21の両端の電圧は、調節され、時間の経過にわたり実質的に一定であり、小さな三角波リップルを有する。電圧は、約19.9vと21.7vとの間で時間の経過にわたりわずかに変化するだけである。この例において、平均電圧は20.8vである。負荷21の両端の電圧は、平均負荷電圧から10%よりも小さく、典型的には5%よりも小さく変化する。リップルの振幅は、比較器IC1 33のヒステリシスによって設定され、よりヒステリシスの少ない比較器を選択することによってより小さくされてもよい。
【0053】
上述したように、この代表的な実施形態によれば、比較器IC1 33は、比較器IC1 33の非反転入力端子上の電圧が降下し始めた場合に、即座に状態が変化しないように、予め選択された量のヒステリシスを有するように設計される。むしろ、比較器IC1 33は、キャパシタC3 29の非反転入力端子の電圧がヒステリシスによって設定された特定の量ΔVだけ低下するまで、状態を変化させず、論理レベルlowを出力する。この特徴は、アクティブ状態とアイドル状態との間の受信回路20のスイッチングの周波数を、周囲磁界の発振の周波数よりも著しく低くすることを可能にする。例えば、本発明の原理および概念による受信回路のスイッチング周波数は、周囲磁界のスイッチング周波数よりも10,000倍または100,000倍、低くすることができる。その結果、スイッチングプロセスに関与する受信回路20の構成要素は、比較的低速で、比較的安価な構成要素とすることができる。
【0054】
対照的に、公知のPWM受信回路は、周囲磁界の発振周波数よりも実質的に低い周波数で動作することを可能にするのに十分な予め選択された量のヒステリシスを比較器に組み込むことはない。その結果、それらは、周囲磁界の振動周波数と同等な周波数でスイッチングを実行する。この周波数は比較的高くすることができるため、スイッチングプロセスに関与する回路素子もまた、比較的高速の構成要素であり、それは通常、低速の構成要素よりも複雑で高価である。
【0055】
図5は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、代表的な実施形態によるワイヤレス電力PWM受信回路40の概略図である。
図5に示される受信回路40は、インダクタL1 22と直列に追加のキャパシタC0 41と、キャパシタC1 24と並列に追加の整流ダイオードD2 42と、を含むことを除いて、
図4に示されるワイヤレス電力PWM受信回路40は、
図2に示されるワイヤレス電力PWM受信回路20と同一である。受信回路40の動作は、C1 24、L1 22およびC0 41を含むLCタンク回路のインピーダンスを負荷24のインピーダンスにより効果的に整合させるために、C1 24とC0 40との比が予め選択されていることを除いて、
図2に示される受信回路20の動作と主として同じである。
【0056】
図6は、キャパシタC1 24の両端の電圧を時間の関数としてプロットしたものである。整流ダイオードD2 42の目的は、キャパシタC0 41がこのDC電流をインダクタL1 22から流れるのをブロックするため、負荷電流のためのDC経路を提供することである。整流ダイオードD2 42は、アクティブ状態の間にキャパシタC1 24にDC電荷を蓄積させる原因になり、
図6にプロットされた波形で見ることができる。
【0057】
図7は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、別の代表的な実施形態によるワイヤレス電力PWM受信回路50の概略図である。PWM受信回路50は、スイッチS1 26の位置が変更されていることを除いて、
図5に示されるPWM受信回路40と同一である。受信回路50の動作は、
図2に示される受信回路20の動作と主として同じである。
【0058】
キャパシタンス比C1 24/C0 41が大き過ぎる場合、
図5に示される受信回路40は、PWM回路40がアイドル状態にある場合に、共振LCタンク回路を十分にデチューンすることができないであろう。LCタンク回路が十分にデチューンされていない場合、誘起電圧Vindは、熱を放散することになる大きな循環RF電流を生成するであろう。これは、電力の浪費の原因になるだけでなく、受信回路40において熱問題の原因にもなりうる。
図7に示される受信回路50は、キャパシタC1 24をグランドに短絡させるだけではなく、インダクタL1 22をグランドに直接短絡させることによって、この問題を解決する。これは、C1対C0の比に関わらず、アイドル状態においてLCタンク回路が共振からデチューンされることを保証する。
【0059】
図2、5、7をそれぞれ参照して上述した3つのPWM受信回路20、40、50は、すべて、一定のDC電圧を負荷21に供給するように設計されている。しかしながら、負荷が一定のDC電圧の代わりに、一定のDC電流を必要とする状況もある。
図8、9、10は、負荷21に一定のDC電流を供給する代表的な実施形態による、それぞれ、ワイヤレス電力PWM受信回路60、70、80を示す。
【0060】
図8、9、10にそれぞれ示されるPWM受信回路60、70、80において、負荷21は、抵抗R1 31と直列に配置されている。比較器IC1 33は、抵抗R1 31の両端の電圧を基準電圧Vrefに非常に近づけ続けるフィードバックを提供する。抵抗R1 31を流れる電流は、負荷21を流れる電流と等しいため、これらの回路は、負荷21を流れる電流を一定に保つように強制する。
【0061】
図2、5、7~10に示される電気制御可能スイッチS1 26は、
図11、12、13に示されるように、例えば、n-チャネルMOSFETトランジスタQ1 92で実装されうる。
図11、12、13は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、代表的な実施形態によるワイヤレス電力PWM受信回路90、100、110のそれぞれ概略図である。PWM受信回路90、100、110は、スイッチS1 26がn-チャネルMOSFETトランジスタQ1 92に置き換えられていることを除いて、
図2、5、7~10に示されるPWM受信回路と非常に同様である。受信回路90、100、110の動作は、一定のDC電圧を負荷21に伝送する
図2に示される受信回路20の動作と主として同じである。
【0062】
受信回路90、100,110において、n-チャネルMOSFETトランジスタQ1 92は、
図1を参照して上述した電気制御可能スイッチ9の役割を果たす。しかしながら、理想的なスイッチとは異なり、MOSFETトランジスタQ1 92は、ソースからドレインを指すMOSFETの内部ボディダイオードに起因して、オフ状態にある場合にも電流を流すことができる。したがって、MOSFET Q1 92がスイッチとして動作するためには、ドレインの電圧が、ソースの電圧よりも1ダイオードドロップよりも負になることは許されない。この条件を達成するために、
図11、13に示されるように、受信回路90、110のMOSFET Q1 92に直列に、追加のキャパシタC2 91がそれぞれ配置されている。回路がアクティブ状態にある場合、キャパシタC2 91は、MOSFET Q1 92のドレインをソースに対して正に保つDC電荷を蓄積する。キャパシタC2 91の値は、LCタンク回路の共振周波数でRF短絡として振る舞うように十分に大きく選択されるべきである。
【0063】
キャパシタC2 91は、
図12に示される受信回路100では使用されない。受信回路100において、キャパシタC1 24は、DC電荷を蓄積し、キャパシタC2 91が他の2つの受信回路90、110において果たす役割を果たす。
【0064】
図14は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、代表的な実施形態によるワイヤレス電力PWM受信回路120の概略図である。PWM受信回路120は、受信回路120が
図14のB1 121によって表されるバッテリまたは電気化学セルを含むことを除いて、
図2に示されるPWM受信回路20と同一である。受信回路120の動作は、受信回路120がバッテリまたは電気化学セルB1 121を充電する以外、
図2に示される受信回路20の動作と主として同じである。
【0065】
バッテリまたは電気化学セルB1 121は、キャパシタC3 29と並列であり、非常に大きな容量のように効果的に振る舞う。その結果、受信回路120は、非常に低いPWM周波数を有するようにすることができる。バッテリまたは電気化学セルB1 121の電圧が低い場合、受信回路120はアクティブ状態にあり、バッテリまたは電気化学セルB1 121は、一定のDC電流で継続的に充電される。一定のDC電流の大きさは、周囲磁界の強さに比例するVindの振幅に依存する。より強い磁界において、充電電流はより高くなり、バッテリまたは電気化学セルB1 121はより迅速に充電されるであろう。
【0066】
バッテリまたは電気化学セルB1 121の電圧が、比較器IC1 33をトリガするのに十分な高さになると、電気制御可能スイッチS1 26はオンになり、回路120はアイドル状態になる。受信回路120がアイドル状態にある場合、バッテリまたは電気化学セルB1 121は、負荷21を通して継続的に放電し、その電圧を低下させる原因になる。バッテリまたは電気化学セルB1 121の電圧が、比較器IC1 33のヒステリシスによって決定される特定の量だけ低下すると、電気制御可能スイッチS1 26は非アクティブ化され、回路120は再びアクティブ状態になる。
【0067】
図2、5、7に示される定電圧PWM回路のトポロジは、バッテリまたは電気化学セルB1 121がそれらの回路内のキャパシタC3 29と並列に配置され、DC充電電流がバッテリまたは電気化学セルB1 121の最大許容充電電流を超えないように電力レベルが選択される場合、何れもバッテリ充電回路と同様に良好に動作することに注意されたい。
【0068】
図15は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、別の代表的な実施形態によるワイヤレス電力PWM受信回路130の概略図である。この代表的な実施形態によれば、受信回路130は、電流制限抵抗R3 131を用いてバッテリまたは電気化学セルB1 121を充電する。
図14に示される受信回路120のDC充電電流が、バッテリまたは電気化学セルB1 121の最大許容充電電流を超える場合、1つのオプションは、
図15に示されるように、バッテリまたは電気化学セルB1 121と直列に電流制限抵抗R3 131を追加することによって、回路120を修正することである。
【0069】
図15に示される受信回路130は、バッテリまたは電気化学セルB1 121と電流制限抵抗R3 131との組合せが、負荷21の電圧を実質的に平滑化し、
図4に示される負荷電圧に対する三角波リップルを排除するローパスフィルタとして振舞うという追加の利益を有する。
【0070】
図15に示される受信回路130のPWM周波数は、バッテリまたは電気化学セルB1 121のキャパシティによってPWM周波数が決定される
図14に示される受信回路120とは異なり、キャパシタC3 29の値によって決定されることに注意されたい。これは、
図15に示される受信回路130のPWM周波数が、
図14に示される受信回路120のPWM周波数よりもとても高くなりうることを意味する。
【0071】
再び
図4を参照すると、上で示されるように、受信回路20の周期的なスイッチングは、キャパシタC3 29の両端の電圧の小さな三角波リップルの原因になる。このリップルの振幅は、比較器33のヒステリシスによって完全に設定され、より小さな、または、より大きなヒステリシスを有する比較器を選択することによって、それぞれ、より小さくまたはより大きくされてもよい。しかしながら、このヒステリシスが部分的にPWMの周波数を決定するため、ヒステリシスを排除することはできない。負荷21がキャパシタC3 29と並列に接続されている場合、負荷21もまた、その電圧に対して同じ三角波リップルを有することになる。
【0072】
いくつかの用途において、このリップルは、望ましくない場合がある。
図15に示される受信回路130は、抵抗R3 131とバッテリまたは電気化学セルB1 121との組合せが、負荷21の両端の電圧を平滑化するローパスフィルタとして作用するという特性を有する。同様の効果は、
図16、17を参照して次に説明するように、バッテリを用いないローパスRCまたはLCフィルタを使用して達成されてもよい。
【0073】
図16は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、代表的な実施形態によるワイヤレス電力PWM受信回路140の概略図である。この代表的な実施形態によると、受信回路140は、抵抗R3 131およびキャパシタC4 141を含むローパスRC回路を含む。抵抗R3 131およびキャパシタC4 141を含むローパスRC回路は、負荷電圧のリップルを減少させる。
【0074】
図17は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、代表的な実施形態によるワイヤレス電力PWM受信回路150の概略図である。この代表的な実施形態によると、受信回路150は、インダクタL2 151およびキャパシタC4 141を含むローパスLC回路を含む。インダクタL2 151およびキャパシタC4 141を含むローパスLC回路は、負荷電圧のリップルを減少させる。
【0075】
図18を参照して次に説明するように、リニアレギュレータを使用して、負荷に定電圧を供給することもまた可能である。
図18は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、代表的な実施形態によるワイヤレス電力PWM受信回路160の概略図である。この代表的な実施形態によると、受信回路160は、負荷電圧のリップルを低減するリニアレギュレータIC2 161を含む。
【0076】
いくつかの用途において、特定の時間、または、特定の条件に基づいて、受信回路共振のLCタンクをシャットダウンさせることが望ましい場合がある。受信回路のLCタンクをシャットダウンさせることができる方法の例が、
図19を参照して次に説明される。
【0077】
図19は、ワイヤレス電力伝送システムにおいてワイヤレスで電力を受け取るために使用されうる、代表的な実施形態によるワイヤレス電力PWM受信回路170の概略図である。この代表的な実施形態によると、受信回路170は、インダクタL1 22およびキャパシタC1 24を含むLCタンクをシャットダウンさせ、特定の時間、または、特定の条件に基づいて受信回路共振を防止するように構成される。受信回路170は、比較器IC1 33、または、例えば、マイクロコントローラ集積回路(IC)チップ、RF通信チップ、光通信チップ、温度閾値に基づいてバイナリ出力を有する温度計チップなどであってもよい制御回路IC3 173から、論理レベルのハイ信号が受け取られるたびにスイッチS1 26を動作させるORゲートIC2 171を有する。
【0078】
状況によって、PWM受信回路または負荷を、過度な熱から保護することが必要または望ましい。例えば、PWM受信回路のLCタンクは、回路が異常に高い磁界強度にさらされた場合や、比較器IC1 33が故障した場合に、電力を吸収して過度な熱を生成する可能がある。
図20は、このような熱保護を提供する別の代表的な実施形態による、ワイヤレス電力伝送システムで使用するためのワイヤレス電力PWM受信回路180の概略図である。サーマルヒューズF1 181は、キャパシタC1 24およびインダクタL1 22を含む共振LCタンク回路と直列に配置される。ヒューズF1 181は、ある所定の閾値(TH)を超える温度にさらされると、開回路(オフ状態に置かれている)になり、それによってLCタンク回路が電力を受け取ることを防止する。ヒューズF1 181がオフ状態にある場合、共振回路の共振応答は、受信回路180が電力の、もしあれば、最小量のみを受け取るようにシャットダウンされる。そうでなければ、ヒューズF1 181は、PWM状態にある。
【0079】
いくつかの場合によって、サーマルヒューズF1 181は、温度が所定のTH値を下回ると通常動作に戻るサーマルスイッチによって置き換えられてもよい。したがって、要素181は、サーマルヒューズまたはサーマルスイッチを示す。サーマルヒューズまたはスイッチF1 181は、
図2、5、7~19を参照して上述したPWMトポロジの何れかにおいて、LCタンク回路と直列に配置されてもよいことに注意されたい。
【0080】
図21は、別の代表的な実施形態による、ワイヤレス電力伝送システムで使用するためのワイヤレス電力受信回路190の概略図であり、ユーザが受信回路190をアクティブ化および非アクティブ化することを可能にするために、ユーザがオンおよびオフにすることができるユーザ制御可能スイッチS2 191を含む。他の全ての点において、受信回路190は、
図2に示される受信回路20と同一である。スイッチS2 191が開いている(オフ状態に置かれている)場合、受信回路190の共振応答は、周囲磁界の強さに関わらず、受信回路190が何らかの電力を受け取ることができないようにシャットダウンされる。受信回路190は、したがって、スイッチS2 191が
図21に示すオフ位置にある場合、任意の種類の過電圧または過温度障害から安全な状態である、または、保護される。
【0081】
本開示の上述の実施形態は、本開示の原理の明確な理解のために記載された単なる実施の可能な例にすぎないことが強調されるべきである。本開示の精神および原理から実質的に逸脱することなく、上述の実施形態に対して多くの変形および修正が行われてもよい。これらの変更および変形は、本開示の範囲内に含まれることが意図されており、以下の請求項によって保護される。