(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H05K 3/28 20060101AFI20240401BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20240401BHJP
H05K 7/14 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
H05K3/28 G
H05K9/00 G
H05K7/14 C
(21)【出願番号】P 2021190981
(22)【出願日】2021-11-25
【審査請求日】2022-10-18
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】椿 怜
(72)【発明者】
【氏名】中林 茉央
【審査官】原田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-198180(JP,A)
【文献】特開2017-118042(JP,A)
【文献】特開2018-170393(JP,A)
【文献】特開2006-324451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/28
H05K 9/00
H05K 7/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、電気回路を有する基板と、
前記第1面に設けられ、前記電気回路に接続されたプロセッサと、
前記第2面に設けられ、前記電気回路に接続されたコンデンサと、
前記第2面のうち少なくとも一部を覆う電磁波吸収シートと、
前記コンデンサの表面を覆うように前記第2面に形成された絶縁シートと、
を備え、
前記基板の厚さ方向に見て、前記コンデンサは、前記プロセッサと重なっており、
前記電磁波吸収シートは、前記厚さ方向に見て前記コンデンサに対応するように位置しかつ前記コンデンサに供給される電圧の変動に起因する前記電磁波吸収シートの微振動を抑制する振動抑制構造を有
し、
前記振動抑制構造は、前記絶縁シートと前記電磁波吸収シートとの間に形成された空間を有する、
電子機器。
【請求項2】
前記振動抑制構造は、前記電磁波吸収シートに形成された開口を有する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電磁波吸収シートは、前記厚さ方向に見て、前記開口を有する格子状の開口パターンを有する、
請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記振動抑制構造は、前記空間に配置されたスペーサを有する、
請求項1に記載の電子機器。
【請求項5】
前記振動抑制構造は、前記空間に配置された緩衝材を有する、
請求項1に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器を構成する筐体や基板に貼り付けられる部材として、電気回路から外部に放出される電磁波を吸収する電磁波吸収シートが知られている(例えば、特許文献1)。このような電磁波吸収シートは、例えば、電子機器を構成する基板上に実装された電子部品を覆うように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子機器を構成する電子部品として、セラミックコンデンサ等のコンデンサが広く用いられている。一般的に、コンデンサは、コンデンサを形成する誘電体に電圧が印加されると、誘電体が変形する(歪む)という特性を有する。人間の可聴周波数帯域(20Hz~20kHz)と略同じ周波数の電圧がコンデンサに付与されると、コンデンサが振動し、コンデンサを覆う電磁波吸収シートに振動が伝達し、振動が増幅され、音鳴きと呼ばれる現象(以下、音鳴き現象を称する)が発生するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、コンデンサから電磁波吸収シートへの振動の伝達を抑制し、音鳴き現象の発生を抑制することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電子機器は、第1面と、前記第1面とは反対側の第2面とを有し、電気回路を有する基板と、前記第1面に設けられ、前記電気回路に接続されたプロセッサと、前記第2面に設けられ、前記電気回路に接続されたコンデンサと、前記第2面のうち少なくとも一部を覆う電磁波吸収シートと、を備える。前記基板の厚さ方向に見て、前記コンデンサは、前記プロセッサと重なっている。前記電磁波吸収シートは、前記厚さ方向に見て前記コンデンサに対応するように位置しかつ前記コンデンサに供給される電圧の変動に起因する前記電磁波吸収シートの微振動を抑制する振動抑制構造を有する。
【0007】
ここで、「コンデンサに供給される電圧の変動」とは、コンデンサに供給される直流電圧の変動、すなわち、直流電圧に含まれる電圧変動成分を意味する。このような電圧変動成分は、例えば、リップル電圧である。
【0008】
上述の態様に係る電子機器によれば、電磁波吸収シートが振動抑制構造を備えるので、コンデンサに供給される電圧の変動に起因する前記電磁波吸収シートの微振動を抑制することができる。
【0009】
本発明の一態様に係る電子機器においては、前記振動抑制構造は、前記電磁波吸収シートに形成された開口を有してもよい。
【0010】
上述の態様に係る電子機器によれば、電磁波吸収シートに開口を形成することで電磁波吸収シートが部分的に除去された構造が得られる。このため、電磁波吸収シートの開口においては、コンデンサから生じる振動が増幅することを防止することができる。
【0011】
本発明の一態様に係る電子機器においては、前記電磁波吸収シートは、前記厚さ方向に見て、前記開口を有する格子状の開口パターンを有してもよい。
【0012】
本発明の一態様に係る電子機器においては、前記振動抑制構造は、前記コンデンサと前記電磁波吸収シートとの間に形成された空間を有してもよい。
【0013】
上述の態様に係る電子機器によれば、コンデンサと電磁波吸収シートとの間に空間が形成されているため、コンデンサから生じる振動が電磁波吸収シートに伝達することが抑制される。したがって、電磁波吸収シートにおいて、コンデンサから生じる振動が増幅することを防止することができる。
【0014】
本発明の一態様に係る電子機器においては、前記振動抑制構造は、前記空間に配置されたスペーサを有してもよい。
【0015】
上述の態様に係る電子機器によれば、スペーサを用いてコンデンサと電磁波吸収シートとの間における空間の高さを維持することができる。
【0016】
本発明の一態様に係る電子機器においては、前記振動抑制構造は、前記空間に配置された緩衝材を有してもよい。
【0017】
上述の態様に係る電子機器によれば、コンデンサから生じる振動が緩衝材に吸収される。すなわち、コンデンサから生じる振動が電磁波吸収シートに伝達することが抑制される。したがって、電磁波吸収シートにおいて、コンデンサから生じる振動が増幅することを防止することができる。
【0018】
本発明の一態様に係る電子機器においては、前記コンデンサの表面を覆うように前記第2面に形成された絶縁シートを備えてもよい。
【0019】
上述の態様に係る電子機器によれば、絶縁シートは、コンデンサと回路基板の第2面との間に形成された段差部に沿うように傾斜する滑らかな表面を有する。これにより、電子機器の内部の空気が段差部にて滞留することが抑制され、電子機器の内部における空気の流れの発生が促進される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の態様に係る電子機器によれば、コンデンサから電磁波吸収シートへの振動の伝達を抑制し、音鳴き現象の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る電子機器の全体を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る電子機器を構成する基板、プロセッサ、コンデンサ、及び電磁波吸収シートの構造を部分的に示す断面図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る電子機器を構成する電磁波吸収シートに形成された開口パターンを部分的に示す平面図である。
【
図4】本発明の第2実施形態に係る電子機器を構成する基板、プロセッサ、コンデンサ、及び電磁波吸収シートの構造を部分的に示す断面図である。
【
図5】本発明の第3実施形態に係る電子機器を構成する基板、プロセッサ、コンデンサ、及び電磁波吸収シートの構造を部分的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施形態に係る電子機器について図面を参照して説明する。
実施形態の説明では、同一又は類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。図面は模式的又は概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率等は、必ずしも現実のものと同一とは限らない。
【0023】
実施形態の説明に参照される図面においては、3次元直交座標系に相当するX方向、Y方向、及びZ方向が示されている(符号X、Y、Z)。X方向は、電子機器の幅方向(長手方向)に対応している。Y方向は、電子機器の奥行方向(短手方向)に対応している。Z方向は、電子機器を構成する基板の厚さ方向に対応している。以下の説明において、「平面視」とは、基板をZ方向から見た図面を示している。
【0024】
<第1実施形態>
<電子機器の全体構成>
まず、本発明の第1実施形態に係る電子機器を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る電子機器10は、クラムシェル型(ノート型)のPC(Personal Computer)である。なお、電子機器10は、タブレット型のPCや、スマートフォン等であってもよい。電子機器10には、回路基板20(基板)が内蔵されている。電子機器10は、後述するように、回路基板20に設けられたプロセッサ30、コンデンサ40、絶縁シート60、及び電磁波吸収シート50を有する。
【0025】
なお、
図1に示す構造では、クラムシェル型PCを構成する公知の装置、例えば、記憶装置(ハードディスクやソリッドステートドライブ)、バッテリ、キーボード、外部接続端子等が省略されている。
【0026】
<回路基板>
回路基板20としては、例えば、PCB(Printed Circuit Board)等の公知のプリント基板が用いられる。
図2に示すように、回路基板20は、第1面21と、第1面21とは反対側の第2面22とを有する。第1面21及び第2面22の各々には、電気回路23(
図1参照)が形成されている。
【0027】
図2においては、電気回路23とプロセッサ30とを接続する配線や、電気回路23とコンデンサ40とを接続する配線が省略されている。また、
図2には示されていないが、第1面21に形成された電気回路の一部と第2面22に形成された電気回路の一部とを接続するスルーホールが回路基板20に形成されている。
【0028】
<プロセッサ>
プロセッサ30は、回路基板20の第1面21に設けられている。プロセッサ30は、回路基板20の第1面21に形成された電気回路23に接続されている。プロセッサ30としては、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)やCPU(Central Processing Unit)が用いられる。
【0029】
図2に示す例では、第1面21上に1つのプロセッサ30が設けられた構造が示されている。プロセッサ30の個数は、1つに限定されない。複数のプロセッサ30が第1面21上に設けられてもよい。
【0030】
<コンデンサ>
コンデンサ40は、回路基板20の第2面22に設けられている。コンデンサ40は、回路基板20の第2面22に形成された電気回路23に接続されている。コンデンサ40としては、例えば、高誘電率を有する誘電体を備えるセラミックコンデンサが用いられる。
【0031】
図2に示す例では、第2面22上に2つのコンデンサ40が設けられた構造が示されている。コンデンサ40の個数は、2つに限定されない。3以上のコンデンサ40が第2面22上に設けられてもよい。
【0032】
第2面22の平面視において、すなわち、Z方向に見て、コンデンサ40は、プロセッサ30と重なっている。
図2に示す例では、2つのコンデンサ40がプロセッサ30と重なっているが、2つのコンデンサ40のうち少なくとも一つがプロセッサ30と重なっていればよい。また、第2面22上に3以上のコンデンサ40が設けられている場合においても、少なくとも一つのコンデンサ40がプロセッサ30と重なっていればよい。
コンデンサ40は、回路基板20に形成されたスルーホールを介してプロセッサ30に接続されてもよい。
【0033】
<絶縁シート>
絶縁シート60は、コンデンサ40の表面41を覆うように回路基板20の第2面22に形成されている。絶縁シート60は、コンデンサ40と回路基板20の第2面22との間に形成された段差部に沿うように傾斜する滑らかな表面を有する。これにより、電子機器10の内部の空気が段差部にて滞留することが抑制され、電子機器10の内部における空気の流れの発生が促進される。
【0034】
絶縁シート60の材料としては、例えば、ポリエステルフィルム等の樹脂フィルムが用いられる。本実施形態では、絶縁シート60として、ポリエステルフィルムの一つとして知られているマイラー(登録商標)が用いられている。
【0035】
<電磁波吸収シート>
電磁波吸収シート50は、回路基板20の第2面22のうち少なくとも一部を覆っている。電磁波吸収シートとしては、例えば、公知の電磁波吸収シートが採用される。本発明は、電磁波吸収シートの種類を限定しない。例えば、電磁波吸収シート50としては、酸化鉄等の磁性体が樹脂材料に分散されているシートが用いられる。電磁波吸収シート50は、プロセッサ30から発生するノイズを吸収する機能を有する。ここで、ノイズとは、プロセッサ30から発生する電磁波ノイズである。
【0036】
<振動抑制構造>
電磁波吸収シート50は、Z方向に見てコンデンサ40に対応するように位置する振動抑制構造51を有する。言い換えると、振動抑制構造51は、コンデンサ40に重なるように配置されている。振動抑制構造51は、コンデンサ40に供給される電圧の変動に起因する電磁波吸収シート50の微振動を抑制する機能を有する。
本実施形態において、振動抑制構造51は、空隙52である。言い換えると、振動抑制構造51において、空隙52は、電磁波吸収シート50に形成された開口53である。開口53においては、コンデンサ40の表面41を覆う絶縁シート60が露出している。
【0037】
図3に示すように、電磁波吸収シート50は、Z方向に見て、開口53を有する格子状の開口パターン54を有する。開口パターン54は、電磁波吸収シート50の一部を形成する複数の第1直線部50Xと、電磁波吸収シート50の一部を形成する複数の第2直線部50Yとを有する。第1直線部50Xは、X方向に延在する部位である。第2直線部50Yは、Y方向に延在する部位である。
【0038】
開口パターン54において、2つの第1直線部50Xと2つの第2直線部50Yとで囲まれた部位が開口53に相当する。
図3に示す例では、開口パターン54を構成する複数の開口53の開口面積は、同じである。本実施形態の変形例として、複数の開口53の開口面積を互いに異ならせてもよい。また、
図3に示す例では、複数の第1直線部50Xの太さと、複数の第2直線部50Yの太さは、同じである。本実施形態の変形例として、複数の第1直線部50Xの太さを互いに異ならせてもよいし、複数の第2直線部50Yの太さを互いに異ならせてもよい。
【0039】
次に、上記構成を有する第1実施形態に係る電子機器10の作用及び効果を説明する。
電子機器10においてプロセッサ30が動作すると、プロセッサ30のスイッチング周波数に同期して、コンデンサ40に印加される直流電圧値が変動するという現象が発生する。言い換えると、微細な振幅を有する電圧変動成分となるリップル電圧が直流電圧に重畳することで、コンデンサ40に印加される直流電圧の値が数%の範囲内で変動する。
【0040】
さらに、Z方向に見て、コンデンサ40は、プロセッサ30と重なっているため、コンデンサ40は、プロセッサ30のスイッチング周波数に同期して発生するリップル電圧の影響を大きく受ける。コンデンサを構成する誘電体は、電圧の印加によって変形する(歪む)という特性を有するため、リップル電圧の影響により変動した電圧がコンデンサ40に印加されると、誘電体が振動し、コンデンサ40が振動する。
【0041】
特に、人間の可聴周波数帯域(20Hz~20kHz)と略同じ周波数を有する電圧変動成分が直流電圧に重畳し、その電圧がコンデンサ40に付与されると、コンデンサ40が振動する。従来の電子機器10においては、電磁波吸収シートがコンデンサを直接的に覆っているため、コンデンサの振動が電磁波吸収シートに伝達し、振動が増幅され、音鳴き現象が発生していた。
【0042】
これに対し、本実施形態に係る電子機器10においては、電磁波吸収シート50は、電磁波吸収シート50に形成された開口53を有する。この開口53は、振動抑制構造51として機能する。
【0043】
本実施形態によれば、電子機器10が振動抑制構造51を備えるので、コンデンサ40に供給される電圧の変動、すなわち、コンデンサ40に対する供給電圧に含まれるリップル電圧に起因する電磁波吸収シート50の微振動を抑制することができる。
【0044】
特に、電磁波吸収シート50に開口53を形成することで電磁波吸収シート50が部分的に除去された構造が得られる。このため、電磁波吸収シート50の開口53において、コンデンサ40から生じる振動が増幅することを防止することができる。
【0045】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係る電子機器を説明する。
図4において、第1実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略又は簡略化する。
【0046】
<振動抑制構造>
本実施形態において、振動抑制構造51は、コンデンサ40と電磁波吸収シート50との間に形成された空間55を有する。具体的には、コンデンサ40の表面41を覆う絶縁シート60と電磁波吸収シート50との間に、空間55が形成されている。この空間55は、空隙52に相当する。
【0047】
絶縁シート60と電磁波吸収シート50との間の距離、すなわち、Z方向における空間55の高さを一定に維持するために、絶縁シート60と電磁波吸収シート50との間の空間55にはスペーサ56が配置されている。言い換えると、本実施形態に係る振動抑制構造51においては、電磁波吸収シート50と絶縁シート60とが接触していない非接触状態が維持されている。
【0048】
スペーサ56は、例えば、
図4に示すように、振動抑制構造51の外周領域51Eに配置されている。なお、Z方向における空間55の高さを一定に維持することが可能であれば、X方向及びY方向におけるスペーサ56の位置は、
図4に示す位置に限定されない。例えば、スペーサ56が振動抑制構造51の中央領域51Cに配置されてもよい。
【0049】
スペーサ56の構造は、
図4に示すような部材に限定されない。スペーサ56は、粒状でもよいし、X方向及びY方向に延在する辺を有する枠体であってもよい。スペーサ56として枠体を用いる場合には、外周領域51Eに位置に枠体の辺が一致するように、枠体が絶縁シート60と電磁波吸収シート50との間に配置される。
スペーサ56を構成する材料は、特に限定されない。スペーサ56として、公知の樹脂材料が用いられてもよい。
【0050】
上述した第2実施形態によれば、電子機器10が振動抑制構造51を備えるので、コンデンサ40に供給される電圧の変動、すなわち、コンデンサ40に対する供給電圧に含まれるリップル電圧に起因する電磁波吸収シート50の微振動を抑制することができる。
【0051】
特に、スペーサ56を用いてコンデンサ40と電磁波吸収シート50との間に空間55が形成されているため、Z方向における空間55の高さを維持することができる。さらに、空間55を形成することで、コンデンサ40から生じる振動が電磁波吸収シート50に伝達することが抑制される。したがって、電磁波吸収シート50において、コンデンサ40から生じる振動が増幅することを防止することができる。
【0052】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態に係る電子機器を説明する。
図5において、第1実施形態及び第2実施形態と同一部材には同一符号を付して、その説明は省略又は簡略化する。
【0053】
<振動抑制構造>
本実施形態において、振動抑制構造51は、コンデンサ40と電磁波吸収シート50との間に形成された空間55を有する。具体的には、コンデンサ40の表面41を覆う絶縁シート60と電磁波吸収シート50との間に、空間55が形成されている。この空間55は、空隙52に相当する。
【0054】
絶縁シート60と電磁波吸収シート50との間の空間55には緩衝材57が配置されている。言い換えると、本実施形態に係る振動抑制構造51においては、絶縁シート60及び電磁波吸収シート50の各々が緩衝材57と接触しているが、電磁波吸収シート50と絶縁シート60とが接触していない非接触状態とが維持されている。
【0055】
緩衝材57としては、例えば、サーマルパッドが用いられる。なお、本発明は、緩衝材57の材料を限定しない。サーマルパッドに限定されず、緩衝材の機能を実現することが可能であれば、他の材料で緩衝材57が形成されてもよい。
【0056】
緩衝材57は、空間55の略全体を埋めるように配置されている。電磁波吸収シート50と絶縁シート60とが接触していない非接触状態を維持することが可能であれば、互いに離間する複数の緩衝材が空間55に配置されてもよい。
【0057】
上述した第3実施形態によれば、電子機器10が振動抑制構造51を備えるので、コンデンサ40に供給される電圧の変動、すなわち、コンデンサ40に対する供給電圧に含まれるリップル電圧に起因する電磁波吸収シート50の微振動を抑制することができる。
【0058】
特に、コンデンサ40と電磁波吸収シート50との間に空間55が形成され、空間55に緩衝材57が配置されている。
このため、コンデンサ40から生じる振動が緩衝材57に吸収される。すなわち、コンデンサ40から生じる振動が電磁波吸収シート50に伝達することが抑制される。したがって、電磁波吸収シート50において、コンデンサ40から生じる振動が増幅することを防止することができる。
【0059】
本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、請求の範囲によって制限されている。
【符号の説明】
【0060】
10 電子機器、20 回路基板、21 第1面、22 第2面、23 電気回路、30 プロセッサ、40 コンデンサ、41 表面、50 電磁波吸収シート、50X 第1直線部、50Y 第2直線部、51 振動抑制構造、51C 中央領域、51E 外周領域、52 空隙、53 開口、54 開口パターン、55 空間、56 スペーサ、57 緩衝材、60 絶縁シート