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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】密閉断熱タンク
(51)【国際特許分類】
   F17C 3/04 20060101AFI20240401BHJP
   B65D 90/02 20190101ALI20240401BHJP
   B63B 25/08 20060101ALI20240401BHJP
   B63B 25/16 20060101ALI20240401BHJP
   B67D 9/00 20100101ALI20240401BHJP
【FI】
F17C3/04 Z
B65D90/02 B
B63B25/08 B
B63B25/16 103
B67D9/00 A
B67D9/00 E
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021522347
(86)(22)【出願日】2019-10-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-14
(86)【国際出願番号】 FR2019052510
(87)【国際公開番号】W WO2020084247
(87)【国際公開日】2020-04-30
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】1859862
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】キャプデヴィユ ジャン-ダミアン
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-516344(JP,A)
【文献】特開2008-110813(JP,A)
【文献】特開平04-194498(JP,A)
【文献】特公昭53-042889(JP,B1)
【文献】実開昭59-125697(JP,U)
【文献】特開2014-126058(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0081127(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0216782(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 3/04
B65D 90/02
B63B 25/08
B63B 25/16
B67D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造(2)に組み込まれる流体の貯蔵のための密閉断熱タンク(1)であって、前記密閉断熱タンク(1)は、厚さ方向に連続して、
前記支持構造(2)上に保持される断熱バリア(3)と、
前記断熱バリア(3)により支持される密閉メンブレン(4)と、を備え、
前記断熱バリア(3)は、少なくとも2つの平行な列(51,52)のかたちで配された断熱パネル(5)を含み、
前記断熱パネル(5)の前記2つの列(51,52)は、前記断熱パネルの寸法と比較して小さい幅(E)を有するギャップ(6)によって離隔されており、
前記断熱バリア(3)は、第1のガスケット(7)及び第2のガスケット(7)をさらに含み、
前記第1のガスケット(7)及び前記第2のガスケット(7)は、前記断熱パネル(5)の前記2つの列(51,52)の間で前記ギャップ(6)の前記小さい幅(E)の方向に圧縮されるように前記ギャップ(6)内に配置されており、
前記断熱バリア(3)は、前記第1のガスケット(7)と前記第2のガスケット(7)との間の近接ゾーン(9)内に配置された少なくとも1つのインサート(8)をさらに含み、
前記近接ゾーン(9)内において前記第1のガスケット(7)及び前記第2のガスケット(7)が近接し、前記インサート(8)が前記第1のガスケット(7)と前記第2のガスケット(7)との間で前記ギャップ(6)の長手方向に圧縮されるよう構成されており前記ギャップ(6)の前記長手方向は前記ギャップ(6)の前記小さい幅(E)の方向に交差する、密閉断熱タンク(1)。
【請求項2】
前記第1のガスケット(7)及び前記第2のガスケット(7)は、シート材エンベロープ(71)によって部分的に又は全体が覆われた圧縮性断熱材(72)を含む、請求項1に記載の密閉断熱タンク(1)。
【請求項3】
前記インサート(8)は、半分に折られることでひだ部(83)を形成する支持シート(81)と、前記ひだ部(83)内に少なくとも部分的に配された圧縮性断熱材(82)の層と、を含む、請求項1又は2に記載の密閉断熱タンク(1)。
【請求項4】
前記インサート(8)は、前記密閉断熱タンク(1)の前記厚さ方向に延在し、
前記ひだ部(83)は、前記支持構造(2)に向かうように配向されている、請求項3に記載の密閉断熱タンク(1)。
【請求項5】
前記支持構造(2)は、角(A)を成すとともにエッジ(10)のレベルにおいて互いに接合する第1の支持壁(21)及び第2の支持壁(22)を含み、
前記2つの列(51,52)は前記エッジ(10)に対し横向きに配向されており、
前記第1のガスケット(7,75,77)は、前記ギャップ(6)の第1の部分に配置され、これにより、前記第1の支持壁(21)上に位置する少なくとも2つの断熱パネル(5)同士を離隔し、
前記第2のガスケット(7,76,78)は、前記ギャップ(6)の第2の部分に配置され、これにより、前記第2の支持壁(22)上に位置する少なくとも2つの断熱パネル(5)同士を離隔する、請求項4に記載の密閉断熱タンク(1)。
【請求項6】
前記近接ゾーン(9)は前記エッジ(10)に沿って位置している、請求項5に記載の密閉断熱タンク(1)。
【請求項7】
前記第1のガスケット(7)は、前記ギャップ(6)の前記長手方向に対して傾斜した長手方向端面(79)を有する、請求項1~6の何れか一項に記載の密閉断熱タンク(1)。
【請求項8】
前記第1のガスケット(7)の前記傾斜した長手方向端面(79)は、前記第1の支持壁(21)と前記第2の支持壁(22)の間の角(A)の二等分線にほぼ平行である、請求項5又は6を引用する請求項7に記載の密閉断熱タンク(1)。
【請求項9】
前記傾斜した長手方向端面(79)と前記ギャップ(6)の前記長手方向との間の傾斜は、45°~68°である、請求項7又は8に記載の密閉断熱タンク(1)。
【請求項10】
前記第1のガスケット及び前記第2のガスケットの前記圧縮性断熱材(72)は積層グラスウールを含む、請求項2に記載の密閉断熱タンク(1)。
【請求項11】
流体の貯蔵のための密閉断熱タンク(1)を製造する方法であって、
少なくとも2つの平行な列(51,52)のかたちで配された断熱パネル(5)を、前記断熱パネル(5)の前記2つの列(51,52)が前記断熱パネル(5)の寸法と比較して小さい幅(E)を有するギャップ(6)によって離隔されるように、支持構造(2)上に配置する工程と、
第1及び第2のガスケット(7)が前記断熱パネル(5)の前記2つの列(51,52)の間で圧縮されるように、前記第1及び第2のガスケット(7)を前記ギャップ(6)に挿入する工程と、
インサート(8)が前記第1及び第2のガスケット(7,75,76,77,78)間で前記ギャップ(6)の長手方向に圧縮されるように、前記インサート(8)を近接ゾーン(9)内において前記第1及び第2のガスケット(7,75,76,77,78)間に介在させる工程と、を有する、方法。
【請求項12】
前記第1及び第2のガスケット(7)は、シート材エンベロープ(71)によって全体が覆われた圧縮性断熱材(72)を含み、
前記第1及び第2のガスケット(7,75,76,77,78)を前記ギャップ(6)に挿入する際に、前記第1及び第2のガスケット(7,75,76,77,78)の厚さを小さくするように前記エンベロープ内に減圧を発生させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記インサート(8)は、前記近接ゾーン(9)内に挿入される前に、前記ひだ部の底部に押力を加えることで2つ折りにされる、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記インサート(8)は、前記近接ゾーン(9)に挿入され、
前記インサート(8)は、前記近接ゾーン(9)に強制挿入される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
二重船体(101)と、前記二重船体内に配置されたタンクと、を備え、
前記タンクは、請求項1~10の何れか一項に記載の密閉断熱タンク(1)である、低温液体製品を輸送するための船(100)。
【請求項16】
請求項15に記載の船(100)と、
前記船の前記船体内に設置された前記密閉断熱タンク(1)を浮体又は陸上貯蔵設備(104)に接続するよう配された断熱パイプ(103,107,108,110)と、
前記浮体若しくは陸上貯蔵設備から前記船の前記密閉断熱タンクへ又は前記船の前記密閉断熱タンクから前記浮体若しくは陸上貯蔵設備への前記断熱パイプを介する低温液体製品の流れを生じさせるためのポンプと、を備える、低温液体製品を輸送するためのシステム。
【請求項17】
請求項15に記載の船(100)に対して積み降ろしを行うための方法であって、
浮体若しくは陸上貯蔵設備(104)から前記船(1)の前記密閉断熱タンクに又は前記船(1)の前記密閉断熱タンクから浮体若しくは陸上貯蔵設備(104)に、断熱パイプ(103,107,108,110)を介して低温液体製品を送る、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉断熱メンブレンタンクの分野に関する。特に、本発明は、例えば-50℃から0℃の間の温度の液化石油ガス(LPGとも称される)を輸送するための又は大気圧で約-162℃で液化天然ガスを輸送するためのタンクなどの、低温液体を貯蔵及び/又は輸送するための密閉断熱タンクの分野に関する。これらのタンクは陸上又は浮体構造上に設置することができる。浮体構造の場合、タンクは、液化ガスの輸送又は浮体構造を推進させるための燃料として使用される液化ガスの収容を意図して構成することができる。
【背景技術】
【0002】
フランス特許出願第2781557号には、2つの断熱バリアを備える密閉断熱タンクが記載されている。これらの断熱バリアは、予め作成されたパネルのアセンブリで構成されている。予め作成されたパネル間の接合ゾーンは、グラスウールなどの断熱材のストリップで充填されている。
【0003】
フランス特許出願第2599468号では、断熱バリアを構成する固定セルラーフォームパネルを有する支持構造に一体化された密閉断熱タンクが提案されている。パネル間のギャップは、断熱バリアの連続性を確保するために中間シールで埋められている。
【0004】
フランス特許出願第2813111号には、支持構造に組み込まれた密閉断熱タンクが記載されている。支持構造は、角を成すとともにエッジのレベルで互いに接合する第1の支持壁及び第2の支持壁を有する。各支持壁は、断熱バリアを形成するパネルを備える。エッジのレベルでの2つの断熱バリア間の熱連続性は、グラスウールシールによって保証される。各断熱バリア内の熱連続性は、折りたたまれたグラスウールのシートを挿入することによって保証される。
【0005】
上記の文献おいて提案されたグラスウールの中間シールは、完全に満足のいくものではない。実際、特に液化天然ガスの存在下において、タンクの外部と内部との間の対流現象に好都合な隙間が、これらの中間シールのレベルにおいて生じる傾向がある。
【0006】
あるいは、特開平4-194498には、密閉プラスチックフィルムバッグに包まれたグラスウール又はポリウレタンなどの断熱材を含むガスケットが記載されている。ガスケットはパネル間のギャップに真空圧縮状態で挿入される。挿入後、バッグに孔があけられてシールが膨張し、パネル間のすべてのギャップが埋められる。しかしながら、出願人は、これらのガスケットが、低温において、これらが収容されるパネル間のギャップよりも大きく収縮することを見出した。この収縮により、ガスケットとパネル間の隙間の境界を定めるパネルの面とを離隔するギャップが生じる。このような隙間は対流現象を助長し、断熱バリアの連続性に悪影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0007】
本発明の背景にある一つの発想は、上記の欠点のない密閉断熱タンクを提供するというものである。したがって、本発明の目的は、このタンクが冷却されるとき、特に断熱バリアを構成する少なくとも2つの列のブロック間のギャップの長手方向において、断熱バリアの熱連続性の制御を向上させることである。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、支持構造に組み込まれる流体の貯蔵のための密閉断熱タンクを提供し、密閉断熱タンクは、厚さ方向に連続して、支持構造と、支持構造上に保持される断熱バリアと、断熱バリアにより支持される密閉メンブレンと、を備え、断熱バリアは、少なくとも2つの平行な列のかたちで配された断熱パネルを含み、断熱パネルの2つの列は、断熱パネルの寸法と比較して小さい幅を有するギャップによって離隔されており、断熱バリアは、複数のガスケットをさらに含み、複数のガスケットは、断熱パネルの2つの列の間で圧縮されるようにギャップ内に配置されており、断熱バリアは、近接ゾーン内に配置された少なくとも1つのインサートをさらに含み、近接ゾーン内において第1のガスケット及び第2のガスケットが近接し、インサートがガスケット間でギャップの長手方向に圧縮されるよう構成されている。
【0009】
ガスケットは、ギャップに挿入された後、上記2つの列の間で圧縮される。タンクの冷却中、断熱パネルは収縮し、同様にガスケットも収縮する。しかしながら、ガスケットは断熱パネルとガスケットの間に隙間ができるほど十分には収縮しない。これにより、ギャップの幅方向において熱連続性が常に保証される。
【0010】
一実施形態では、ガスケットは、特にギャップに挿入された後に、ギャップの幅の方向にのみ圧縮される。
【0011】
一実施形態では、ガスケットの圧縮は、ギャップの長手方向よりもギャップの幅の方向において、より大きい。この実施形態では、近接するガスケットは、インサートの挿入前にギャップの長手方向に初期圧縮力が存在するように、長手方向において互いに押され又はプレスされており、初期圧縮力は、上記2つの列の断熱パネル間のガスケットを圧縮する力よりも小さい。
【0012】
ガスケットは、ギャップの長手方向には圧縮されていない又はそれほど圧縮されていない。したがって、タンクの冷却中に2つのガスケットが近接する近接ゾーンに隙間を作ることができる又は容易に作ることができる。インサートを追加することで、ガスケットとこのインサートがギャップの長手方向に圧縮される。これにより、タンクの冷却中にガスケットは低温の影響で収縮するが、対流現象が生じるのに適した隙間を作るには十分ではない。したがって、2つのガスケット間で圧縮されたインサートがあるために、ギャップの長手方向において熱連続性が保証される。
【0013】
さらに、タンクは以下の特徴を、別個に又は組み合わせで有することができる。
【0014】
ガスケットは、有利には、シート材のエンベロープによって部分的に又は全体が覆われた圧縮性断熱材を含む。この種のエンベロープは、ガスケットの挿入中に、断熱パネルの側壁に対するガスケットのスライドを容易にすることができる。エンベロープが閉じている場合、この種のエンベロープは、ガスケットを挿入する際にガスケットの厚さを減少させるような圧力を減じるよう機能することができる。
【0015】
インサートは、有利には、2つ折りされてひだ部を形成する支持シートと、ひだ部の内側に少なくとも部分的に配置された圧縮性断熱材の層とを含む。この種の支持シートは、インサートを嵌める際にガスケットに対してインサートをスライドさせ易くする。
【0016】
一実施形態では、インサートはタンクの厚さ方向に延在し、ひだ部は支持構造に向けられている。この種のひだ部は、インサートをガスケット間に位置付けるための押力を容易に受けることができる。
【0017】
上記2つの列の間のギャップは、タンクの1つ又は複数の平面壁にわたって延在してもよい。一実施形態では、支持構造は、角を成すとともにエッジのレベルで互いに接合する第1の支持壁及び第2の支持壁を含み、上記2つの列はエッジに対して横方向に向けられ、第1のガスケットは、第1支持壁上に位置する少なくとも2つの断熱パネルを離隔するギャップの第1の部分に配置され、第2ガスケットは、第2の支持壁上に位置する少なくとも2つの断熱パネルを離隔するギャップの第2の部分に配置される。
【0018】
一実施形態では、近接ゾーンはエッジに沿って配置されている。
【0019】
ガスケットは、有利には、ギャップの長手方向に対して傾斜した長手方向端面を有する。
【0020】
一実施形態では、ガスケットの傾斜した長手方向端面は、第1の支持壁と第2の支持壁の間の角の二等分線に実質的に平行である。
【0021】
一実施形態では、端面とギャップの長手方向との間の傾斜は、45°(例えば、2つの壁の間の角度が90°のとき)~68°(例えば、2つの壁の間の角度が135°のとき)である。
【0022】
ガスケットの圧縮性断熱材は、有利には、積層グラスウール及び/又はロックウールを含む。
【0023】
一実施形態では、積層グラスウールの密度は20kg/m3~80kg/m3である。
【0024】
一実施形態では、積層グラスウールの積層方向はギャップの幅方向と平行である。
【0025】
有利には、ガスケットのシート材エンベロープは紙を含む。
【0026】
一実施形態では、紙は、単位面積当たりの重量が60g/m2~150g/m2、好ましくは70g/m2~100g/m2である。
【0027】
支持シートは、有利には、紙及び/又はPVCを含む。
【0028】
支持シートは、有利には、断熱材の層が貼り付けられた接着テープを含む。
【0029】
圧縮性断熱材の層は、有利には、例えばグラスウールなどの繊維材料、又は例えばポリエチレン若しくはポリウレタン発泡体などのポリマー発泡体を含む。
【0030】
断熱バリアの断熱パネルは、有利には、ポリマー発泡体のブロックを含む。
【0031】
一実施形態では、ポリマーフォームのブロックはポリウレタンを含む。
【0032】
一実施形態では、ポリウレタンの密度は70kg/m3~220kg/m3である。
【0033】
一実施形態では、支持構造に固定される断熱バリアは二次断熱バリアであり、二次断熱バリアに固定される密閉メンブレンは二次密閉メンブレンであり、タンクは、厚さ方向に外側から内側に、二次断熱バリア及び二次密閉メンブレンの上に、一次断熱バリアと、タンクに収容される液体と接触するよう構成された一次密閉メンブレンと、をさらに含む。
【0034】
一実施形態では、本発明はまた、流体を貯蔵するための密閉断熱タンクの製造方法を提供し、当該方法は、少なくとも2つの平行な列のかたちで配された断熱パネルを、断熱パネルの2つの列が断熱パネルの寸法と比較して小さい幅を有するギャップによって離隔されるように、支持構造上に配置する工程と、複数のガスケットが断熱パネルの2つの列の間で圧縮されるように、複数のガスケットをギャップに挿入する工程と、インサートがギャップの長手方向においてガスケット間で圧縮されるように、インサートを近接ゾーン内において2つの平坦なガスケット間に介在させる工程と、を有する。
【0035】
本明細書において、インサートを近接ゾーン内において2つのガスケット間に介在させる工程は、ガスケットの製造中に実行でき、ガスケットには、ガスケットの近接ゾーンを形成することを意図したゾーンのレベルにおいて、接着又はホッチキス留めで、固定インサートが装着されていることに注意されたい。この場合、介在させる工程は、少なくともインサートがすでに装着されているガスケットを、他の、これもまた場合によってはインサート又はインサート部分が装着されている近接ガスケット自体に押し付けることを含む。勿論、この実施形態では、ガスケットに予め固定されたインサート又はインサート部分は、インサートの上記の圧縮機能に適した形状を有することができ、例えば、(ガスケットがタンクに取り付けられたときに)ガスケットの上部においてより大きい厚さを有する三角形の断面形状を有することができる。
【0036】
以下、本発明は、好ましい非限定的な実施形態により説明され、この実施形態では、インサートを近接ゾーン内において2つのガスケット間に介在させる工程は、タンクの1つ又は複数の壁の上に断熱パネルのセットを立設/組み立てた後に実行又は達成される。
【0037】
一実施形態では、上記方法はさらに、ガスケットをギャップに挿入する際に、ガスケットの厚さを小さくするようにエンベロープ内に減圧を発生させる工程をさらに有し、ガスケットは、シート材エンベロープによって部分的に又は全体が覆われた圧縮性断熱材を含む。
【0038】
一実施形態では、インサートは、近接ゾーンに挿入される前に、ひだ部の底部に押力を加えることで2つ折りにされる。
【0039】
一実施形態では、インサートは近接ゾーンに挿入され、ここで、インサートは近接ゾーンに強制挿入される。
【0040】
この種のタンクは、例えばLNGを貯蔵するための陸上貯蔵設備の一部を形成してもよく、あるいは、沿岸又は深海の浮体構造物(特にメタンタンカー船)、浮体式貯蔵再生産設備(FSRU)、浮体式生産貯蔵及びオフロード(FPSO)ユニットなどに設置されてもよい。この種のタンクは、あらゆるタイプの船の燃料タンクとして使用できる。
【0041】
一実施形態では、低温液体製品を輸送するための船は、二重船体と、二重船体内に配置された上記のタンクと、を備える。
【0042】
一実施形態では、本発明はまた、上記の種類の船に対して積み降ろしを行うための方法を提供し、当該方法は、浮体若しくは陸上貯蔵設備から船のタンクに、又は船のタンクから浮体若しくは陸上貯蔵設備に、断熱パイプを介して低温液体製品を送ることを含む。
【0043】
一実施形態では、本発明はまた、低温液体製品を輸送するためのシステムを提供し、当該システムは、上記の船と、船の船体内に設置されたタンクを浮体又は陸上貯蔵設備に接続するよう配された断熱パイプと、浮体若しくは陸上貯蔵設備から船のタンクへ又は船のタンクから浮体若しくは陸上貯蔵設備への断熱パイプを介する低温液体製品の流れを生じさせるためのポンプと、を備える。
【0044】
本発明は、添付の図面を参照した非限定的な例として与えられる本発明の複数の特定の実施形態の以下の説明によって、よりよく理解され、その他の目的、詳細、特徴及び利点がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】2つの平面壁間のコーナーに位置するタンクゾーンの断面分解図であり、断面平面は断熱パネルの列に平行である。
図2】パネル間のギャップに挿入されたガスケットの概略切り取り図である。
図3】真空ポンプによる2つのガスケットの挿入時の図1のコーナーゾーンIIIの概略斜視図である。
図4】135°のタンクコーナーに適した2つの近接するガスケットの概略斜視図である。
図5】90°のタンクコーナーに適した2つの近接するガスケットの概略斜視図である。
図6】断熱バリアとパネル間のギャップに挿入されたガスケットを上から見た概略図である。
図7】断熱インサートの断面の概略図である。
図8】タンクコーナーの2つの近接するガスケット間にインサートを介在させる様子を示す、図3の平面VIII-VIIIに沿った断面概略図である。
図9】メタンタンカー船のタンクとそのタンクの積み降ろしを行うためのターミナルの概略切り取り図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
慣例により、「外部(外側)」及び「内部(内側)」という用語は、タンクの内部及び外部に対する表現であり、ある要素の別の要素に対する相対位置を定義するために使用される。例えば液化天然ガス(LNG)などの極低温流体を貯蔵及び輸送するための密閉断熱タンクは、各々が多層構造を有する複数のタンク壁を含む。
【0047】
特に図1を参照すると、例えば極低温で流体を貯蔵及び/又は輸送するための、密閉断熱壁で形成されたタンク1が示されている。本明細書では、上記流体は、一例として、特にメタンなどの極低温液化ガスなどである。
【0048】
タンク1は、タンク1の各壁に密閉メンブレン4を共同で形成する予め作成された要素を組み立てることによって構成される、貯蔵される流体を収容するように適合された密閉内部エンベロープを含む。図1において、密閉メンブレン4は、ステンレス鋼又はアルミニウムなどの薄い金属の要素で形成されている。符号41は、タンクの内部に向かって突出するリブを示し、このリブは、このバリアにより構成されるエンベロープが実質的に柔軟となり、内部に貯蔵される流体によって生じる負荷、特に熱負荷の影響により変形可能となるようにすることができる。
【0049】
剛性外部パーティションは、タンク1の支持構造2を構成し、タンクの支持体として機能する。図示の例では、この支持構造2は、メタンタンカーなどの商船の船体又は二重船体の自立型金属板である。タンク1の支持体として、特に陸地用コンクリート壁など、適切な機械的特性を備えた他のタイプの剛性パーティションを使用することができる。さらに、二次断熱バリア3、二次密閉メンブレン16及び一次断熱バリア15が、密閉メンブレン4と支持構造2との間に設けられている。
【0050】
二次断熱バリア3は、ほぼ直方体の形状の断熱パネル5を並置することによって形成されている。断熱パネル5は、通常、エッジ同士を合わせて配置され、したがって、支持構造全体を覆う平行な列51,52を画定するように配置される。図1では、断熱パネル5の列は断面平面に平行である。図2及び図3に見られるように、断熱パネル5の2つの列51,52はギャップ6によって隔てられている。このギャップ6は、ほぼ直線状であり、全体的に、少なくとも断熱パネル5の厚さ全体に延在している。さらに、ギャップ6の幅Eは、断熱パネル5の寸法と比較して小さい。
【0051】
また、支持構造2はエッジ10を有する。支持構造2のこれらのエッジ10は、コーナーAを画定する第1の支持壁21及び第2の支持壁22によって形成される。図3に見られるように、2つの列51,52はエッジ10に対して横向きに配向されている。断熱パネル5は、これらのエッジ10のレベルにおいて、支持構造2によって形成される角に適した角度で傾斜することができる。
【0052】
断熱パネル5は、好ましくは標準寸法で予め作成することができる。
【0053】
タンク1の平面壁を示す図6において、断熱パネル5の2つの平行な列51,52の間のギャップ6を埋めて断熱バリア3の連続性を保証する接続部は、複数のガスケット7を挿入することにより得られる。
【0054】
タンク1のコーナーAのレベルにおいて、図3のガスケット7、図4の75,76及び図5の77,78によって示されるように、2つの近接するガスケットはそれらの間に角を成す。
【0055】
図2に見られるように、各ガスケット7,75,76,77,78は、シート材エンベロープ71によって少なくとも部分的に覆われた圧縮性断熱材72を含む。シート材エンベロープ71は、好ましくは圧縮性断熱材72を完全に取り囲み、減圧を生むことができる閉じたポケットを形成する。
【0056】
圧縮性断熱材72は、グラスウールで作ることができる。使用されるグラスウールは、積層グラスウール、即ち、積層方向に重ねられた、肉眼で見える複数の交互に配置された平行な層からなるグラスウールマットであってもよい。したがって、繊維の大部分は、積層方向に垂直な平面内に配向され得る。積層グラスウールの密度は20kg/m3~80kg/m3とすることができる。あるいは、圧縮性断熱材72としてロックウールを使用してもよい。
【0057】
図2図5において、シート材エンベロープ71は、圧縮性断熱材72、即ちグラスウールに固定(例えば接着)されたエンベロープ部分を含む。エンベロープ部71は、圧縮性断熱材72全体を覆う。エンベロープ71はクラフト紙製である。この種のクラフト紙は摩擦係数が低いため、ガスケット7,75,76,77,78は、ギャップ6への挿入時にギャップ6内にスライドさせることができる。さらに、この種のクラフト紙は、熱収縮係数が5×10-6/K~20×10-6/Kのオーダである。したがって、この種のクラフト紙は、圧縮性断熱材72の熱収縮係数に近い熱収縮係数を有する。したがって、ガスケット7,75,76,77,78は、低温時に均一な挙動を示す。実際、圧縮性断熱材72が、シート材エンベロープ71の熱収縮に関連する圧縮の影響によって変形するリスクはない。特に、この圧縮の影響が原因で圧縮性断熱材が変形してコルゲート形状となるリスクはない。ギャップ6のような隙間に生じるこの種のコルゲート形状は、対流を促進し、したがって断熱バリアの断熱性を損なう。ガスケット7をギャップ6に挿入する際にエンベロープ71が裂けるリスクを回避するために、エンベロープ71のクラフト紙は、単位面積当たりの重量が60g/m2よりも大きい。さらに、このクラフト紙は、ガスケット7が圧縮により変形できるようにするのに十分な柔軟性をエンベロープ71が維持するために、単位面積当たりの重量が150g/m2未満である。クラフト紙の単位面積当たりの重量は、70g/m2~100g/m2であることが好ましい。
【0058】
ガスケット7,75,76,77,78は、ギャップ6の長方形断面に対応する直方体断面を有する細長い形状を有する。したがって、ガスケットは、ギャップの長手方向に延在する2つの平行な側面を有する。長手方向端面79は、ギャップ6の幅Eを横切って延在し、側面同士を接続する。
【0059】
しかしながら、一部のガスケットは、特に上記のようなコーナー構造のエッジに沿った代替形態をとることができる。そのようなガスケット75,76,77,78の例が図3及び図4に示されている。ガスケット75,76,77,78は、コーナー構造のエッジ10に沿った傾斜した長手方向端面79を有する。この傾斜した長手方向端面79は、タンクのコーナーAの二等分線に対応するように、ギャップ6の長手方向に対してそれぞれ45°及び67.5°に等しい角度の角を成している。つまり、これらのガスケット75,76,77,78は、長い台形(trapeze rectangle)の輪郭を有している。
【0060】
より一般的には、ガスケットの形状は上記のものに限定されず、直面する制約に応じて適合させることができる。
【0061】
ガスケットをギャップに挿入する方法を、図3を参照して説明する。この挿入方法は、吸引システムを使用する。以下の説明において、この種の吸引システムは一例として、図3に示す真空ポンプ11である。図示していない実施形態では、そのような吸引システムの1つは、ベンチュリシステム真空発生器である。この種の真空ポンプ11は、ポンプ管12を介して吸引ノズル13に接続されている。吸引ノズル13は、クラフト紙エンベロープ71に孔をあけることができるポンプ管12の反対側端部を提供するような円錐台形状を有する。このようにして、吸引ノズル13、特にその穿孔器端部がガスケット7に挿入され、クラフト紙のシート材エンベロープ71に孔があけられる。このエンベロープ71の穿孔によってガスケットに吸引オリフィスが形成される。
【0062】
吸引ノズル13がガスケット7に挿入され正しく配置されるとすぐに、ガスケット7内に減圧を発生させるよう真空ポンプ11が作動する。真空ポンプ11によって生成される吸引は、8m3/h~30m3/hの吸引流量を有する。ポンピング流量は、好ましくは15m3/hである。このような真空ポンプ11のポンピング流量により、高すぎる吸引流量によってクラフト紙エンベロープ71を劣化させるリスクを負うことなく、ガスケット7内に減圧を発生させることができる。真空ポンプ11は、好ましくは、真空ポンプ11によって吸引される可能性のあるグラスウールからの繊維やほこりをフィルタ処理するためのフィルタを含む。
【0063】
以下の説明では、エンベロープ71を製造するためにクラフト紙を参照する。他の材料を使用してエンベロープ71の全部又は一部を製造することもできる。これらの材料は、例えば、ポリマーフィルム、鉱物繊維及びポリマーマトリックスを含む複合シート、紙又はポリマーシートに貼り付けられた鉱物繊維を含む複合材料、並びにこれらの組み合わせである。ポリマーは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PTE)及びポリ塩化ビニル(PVC)からなる群から選択される樹脂であってもよい。特に、エンベロープは、上記のリストからの1つ以上のシート材を切断することによって得られる複数の部分の集合体として製造されてもよい。
【0064】
ガスケット7は、典型的には、無応力状態、即ち非圧縮状態では、ギャップ6の幅以上の厚さを有し、真空ポンプ11による真空下では、ギャップ6の前記幅よりも薄い厚さを有するように寸法決めされている。例えば、ギャップ6が33mm~27mmの場合、ガスケット7は、初期状態、即ち無応力状態では35mmの厚さを有するサイズであり、真空下では厚さ25mmである。その後、ガスケット7がギャップ6に挿入される。図3において矢印14で示すように、ガスケット7は、ギャップ6を画定する隣接する断熱パネル5の側面と平行な側面を有するギャップ6に挿入される。この挿入の間、吸引ノズル13はガスケット6内に保持され、真空ポンプ11は、ギャップ6への挿入を容易にするために、ガスケット7内に継続的に減圧を発生させて、ガスケット7の厚さがギャップ6の幅よりもの薄くなるようガスケット7を真空状態に維持する。
【0065】
ガスケット7は、吸引ノズル13が貫通する側面がタンク内に向くようにギャップ6に挿入され、これにより、ガスケット7と吸引ノズル13とにより形成される組立体の扱いが容易になる。
【0066】
ガスケット7がギャップ6内に正しく配置されるとすぐに、吸引ノズル13がガスケット7から取り外される。このとき、エンベロープ5の内部は、吸引ノズル13による穿孔によって残されたオリフィスを介して外部環境と連通している。ガスケット7内ではもはや減圧は維持されないので、この連通により、グラスウール11は、圧縮応力がない状態で膨張することができる。グラスウール72の膨張により、ギャップ6がガスケット7で完全に満たされるようにガスケット7の厚さが増大し、これにより断熱バリアの断熱の良好な連続性が保証される。
【0067】
図示していない実施形態では、ガスケット7をギャップ6に挿入する際に、剛性ガイドシステムをガイドツールとして使用することができる。
【0068】
図6は、断熱パネル5の第1の列51と断熱パネル5の第2の列52とによって形成されるギャップ6に配置された後に、ガスケットが占める位置を示す。ガスケット7は、それらの長手方向端面のレベルにおいて互いに近接することに留意されたい。
【0069】
最後に、図8において、2つの壁間のギャップの中、即ちコーナー構造のレベルにあるガスケット77,78は、それらの傾斜した長手方向端面が近接してもよいことが分かる。ガスケット7及び/又は75,76及び/又は77,78がギャップ6の全長に沿って配置されると、特に支持構造2のエッジ10のレベルにおいて、ギャップ6の長手方向における2つの近接するガスケットの締め付けが局所的に不十分になる可能性がある。この締め付けが不十分な場合、特にガスケットの熱収縮により、タンクを冷却するときに2つのガスケット間の接合部に隙間が生じやすくなる。この締め付けが不十分な場合は、2つのガスケット間にインサートが挿入される。2つの傾斜した長手方向端面の間において観察される近接ゾーン9は、インサート8の挿入を理解しやすくするために意図的に誇張されている。ギャップ6の全長にわたって断熱バリアの連続性を完成させるために、インサートを2つの近接するガスケット間に介在させることができる。
【0070】
図7を参照すると、インサート8は、2つの面を有する支持シート81と、前記2つの面の一方の上に位置する圧縮性断熱材の層82と、を含む。インサートは広げたときに長方形の形状を有し、その幅はギャップ6の幅Eに対応する。インサートを2つの近接するガスケット7又は75/76又は77/78の間に介在させる場合、インサートの長さは二次断熱バリア3の厚さの2倍である。
【0071】
圧縮性断熱材の層82は、グラスウールで作ることができる。使用されるグラスウールは、積層グラスウール、即ち、積層方向に重ねられた、肉眼で見える絡まり合う平行な繊維の複数の層からなるグラスウールマットであってもよい。したがって、繊維の大部分は、積層方向に垂直な平面内に配向され得る。積層グラスウールの密度は20kg/m3~80kg/m3とすることができる。あるいは、圧縮性断熱材の層82には、グラスウールを使用することができる。
【0072】
支持シート81は、圧縮性断熱材、即ちグラスウールの層82が例えば接着剤を使用して固定されたクラフト紙から構成されてもよい。クラフト紙は摩擦係数が低いため、インサートをスライドさせることができる。支持シート81は2つの面を有する。グラスウールは、クラフト紙の面のうちの一方を部分的に又は全体的に覆う。
【0073】
インサート8を近接ゾーン9に介在させるために、インサート8はまず長手方向に2つ折りにされる。すると、ひだ部は、図7に示すようにU字形状となることができる。このU字形状のひだ部は、インサート8の端部に限定することができる。したがって、グラスウールの少なくとも一部がひだ部の内側に向けられるように折られる。次に、ひだ部の湾曲部分が近接ゾーンのレベルに配置される。次に、平らな長方形の刃を有するナイフがひだ部の内側に押し込まれる。ナイフは、ひだ部の底に到達すると、インサートが2つのガスケット7間に完全に介在されるまでインサートを近接ゾーンの中に押し込むことができる。クラフト紙によって2つのガスケット間におけるインサートのスライドが容易になるが、インサートは、押し込みによって挿入して介在させることができる。
【0074】
上記の説明では、支持シート81を製造するためにクラフト紙を参照しているが、他の材料を使用して支持シート81を製造することもできる。そのような材料は、例えば、ポリマーシート、鉱物繊維及びポリマーマトリックスを含む複合シート、紙又はポリマーシートに貼り付けられた鉱物繊維を含む複合シート、並びにこれらの組み合わせである。ポリマーは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PTE)及びポリ塩化ビニル(PVC)からなる群から選択される樹脂であってもよい。
【0075】
上記の説明は、二次断熱バリア3を参照して記載されている。しかしながら、同じ技術を使用して、タンクの一次断熱バリア、又は密閉メンブレンを1つだけ含むタンクの唯一の断熱バリアを製造することができる。
【0076】
密閉断熱タンクを製造するための上記の技術は、異なるタイプのタンク、例えば陸上設備、又はメタンタンカー若しくは他の船のような浮体構造で使用することができる。
【0077】
図9を参照すると、メタンタンカー船100の切り取り図は、船の二重船体101に取り付けられた全体的に角柱状の密閉断熱タンク1が示されている。タンク1は、タンクに収容されるLNGと接触するよう構成された一次密閉バリアと、一次密閉バリアと船の二重船体101との間に配置された二次密閉バリアと、一次密閉バリアと二次密閉バリアの間、及び二次密閉バリアと二重船体101との間にそれぞれ配置された2つの断熱バリアと、を備えている。
【0078】
図9は、積み降ろしステーション10、水中パイプ10及び陸上設備10を含む海上ターミナルの例を示す。積み降ろしステーション10は、可動アーム10及び可動アーム10を支持するタワー10を含む定置沖合設備である。可動アーム10は、積み降ろしパイプ10に接続可能な断熱可撓性チューブ10の束を支持する。方向付け可能な可動アーム10は、あらゆるメタンタンカー積み込みゲージに適合する。タワー10の内部には、非図示の接続パイプが延在している。積み降ろしステーション10は、陸上設備10との間で船100に対する積み降ろしを可能にする。陸上設備10は、液化ガスタンク109と、水中パイプ10を介して積み降ろしステーション10と接続された接続パイプ11と、を含む。水中パイプ10は、積み降ろしステーション10と陸上設備10との間で、5kmなどの長距離にわたって液化ガスを移送可能にし、これにより、積み降ろし作業中に船100を海岸から遠く離れた場所に位置させたままにすることができる。
【0079】
船100に搭載されたポンプ及び/又は陸上設備10に備え付けられたポンプ及び/又は積み降ろしステーション10に備え付けられたポンプは、液化ガスの移送に必要な圧力を生成するために使用される。
【0080】
複数の特定の実施形態に関連して本発明を説明してきたが、本発明はそれらに限定されるものではなく、技術的等価物及び記載された手段の組み合わせが本発明の範囲内にある場合には、それらを包含することは明らかである。
【0081】
「含む」又は「備える」との動詞及びそれらの活用形の使用は、特許請求の範囲に記載されているもの以外の要素又は工程の存在を除外するものではない。
【0082】
特許請求の範囲において、括弧内の参照記号は、特許請求の範囲の限定として解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9