IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オーバーン・ユニバーシティの特許一覧 ▶ ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ、 アズ リプレゼンティッド バイ ザ セクレタリー オブ アグリカルチャーの特許一覧

特許7463374土壌炭素地図作成のための中性子ガンマ線分析の走査モードアプリケーション
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】土壌炭素地図作成のための中性子ガンマ線分析の走査モードアプリケーション
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/24 20060101AFI20240401BHJP
   G01N 23/22 20180101ALI20240401BHJP
【FI】
G01N33/24 C
G01N23/22
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021532066
(86)(22)【出願日】2019-12-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 US2019064950
(87)【国際公開番号】W WO2020118189
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-11-18
(31)【優先権主張番号】62/776,822
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597158986
【氏名又は名称】オーバーン・ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】Auburn University
(73)【特許権者】
【識別番号】500031032
【氏名又は名称】ザ ユナイテッド ステイツ オブ アメリカ、 アズ リプレゼンティッド バイ ザ セクレタリー オブ アグリカルチャー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エー・チン
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリー・アレン・トーバート・ザ・サード
(72)【発明者】
【氏名】ガリナ・エヌ・ヤクボワ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンドル・カヴェツキー
(72)【発明者】
【氏名】ニコライ・サルキシャン
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07152002(US,B2)
【文献】米国特許第08286857(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2017/0307550(US,A1)
【文献】GALINA YAKUBOVA et al.,Measurements of Soil Carbon by Neutron-Gamma Analysis in Static and Scaning Modes,Journal of Visualized Experiments,2017年08月24日,Vol.379156270,No.126,P.56270
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
土地の土壌含有量を分析するためのシステムであって、
前記土地の土壌の表面上に配置され、且つ複数の土壌サンプルの各土壌サンプルのガンマ線スペクトルを検出するように構成されたデータ取得ユニットと
前記土地の1つ以上の外側境界を検出し、且つ1つ以上の前記外側境界内の前記土地の表面積を、ガンマ線スペクトルの検出を開始する前に複数の部分に分割するように構成された処理ユニットであって、複数の前記土壌サンプルは複数の前記部分の各々からの少なくとも1つの土壌サンプルから構成されている、処理ユニットと、
複数の前記部分の各部分内に配置された複数の前記土壌サンプルの各土壌サンプルの地理座標を検出するように構成されたナビゲーションユニットと、
複数の前記土壌サンプルの各土壌サンプルの検出された前記ガンマ線スペクトルを前記土壌サンプルの前記地理座標に関連付け、検出された前記ガンマ線スペクトルに基づいて各前記土壌サンプル内の少なくとも1つの元素の重量パーセントを判定するように構成されたデータ分析ユニットと、
前記土地の前記土壌内の少なくとも1つの前記元素の濃度を示す地図を生成するように構成された元素含有量図ユニットと、を備えるシステム。
【請求項2】
前記土壌サンプルは、前記土地の前記表面積の少なくとも5%を累積的に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記土壌サンプルは、前記土地の前記表面積の少なくとも10%を累積的に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
農地の土壌の含有量を分析するための方法であって、
前記農地の1つ以上の外側境界を検出して、1つ以上の前記外側境界内の前記農地の表面積を複数の部分に分割するステップと、
前記部分のそれぞれの中の少なくとも1つの土壌サンプルを走査して、前記土壌サンプルのガンマ線スペクトルを検出するステップと、
検出された前記スペクトルを、複数の前記部分の各部分内に配置された前記土壌サンプルの地理的位置に関連付けるステップと、
検出された前記スペクトルに基づいて、前記土壌サンプル内の少なくとも1つの元素の量を算出するステップと、
前記農地の各部分内の少なくとも1つの前記元素の量を示す地図を生成するステップと、を含む方法。
【請求項5】
少なくとも1つの前記元素の量は、炭素(C)、ケイ素(Si)、カリウム(K)、酸素(O)、水素(H)、および塩素(Cl)のうちの少なくとも1つの濃度値を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
各部分は均質な風景を有する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
走査は、中性子発生装置を有するパルス高速熱中性子システムを使用した走査を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記土壌サンプルは、前記農地の前記表面積の少なくとも10%を累積的に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
所定の値に基づいてスペクトルエネルギーを補正するステップをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
土地の土壌の元素含有量を分析するためのシステムであって、
前記土地の土壌の表面上に配置され、且つ少なくとも1つの土壌サンプルのガンマ線スペクトルを収集および検出するように構成されたデータ取得ユニットと、
前記土地の1つ以上の外側境界を検出し、且つ1つ以上の前記外側境界内の前記土地の表面積を、ガンマ線スペクトルの検出を開始する前に複数の部分に分割するように構成された処理ユニットであって、複数の前記土壌サンプルは複数の前記部分の各々からの少なくとも1つの土壌サンプルから構成されている、処理ユニットと、
複数の前記部分の各部分内に配置された複数の前記土壌サンプルの、各土壌サンプルの地理座標を提示するように構成されたナビゲーションユニットと、
収集された前記ガンマ線スペクトルを前記土壌サンプルの前記地理座標に関連付け、前記土壌サンプル内の元素の重量パーセントを算出するように構成されたデータ分析ユニットと、
算出された前記重量パーセントに基づいて、前記土壌サンプル内の少なくとも1つの前記元素の濃度を示す地図を生成するように構成された元素含有量図ユニットと、を備えるシステム。
【請求項11】
前記データ取得ユニットは、パルス高速熱中性子システムを備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記パルス高速熱中性子システムは、中性子発生装置を含む、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記パルス高速熱中性子システムは、ガンマ線検出器をさらに含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記データ取得ユニットは、複数の土壌サンプルのガンマ線スペクトルを収集するようにさらに構成され、複数の前記土壌サンプルは、前記土地の表面積の少なくとも10%を累積的に含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記分析ユニットは、スペクトルシフトおよび重量パーセント計算器を使用して判定された所定の値に基づいてスペクトルエネルギーを補正するようにさらに構成される、請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
スペクトルエネルギーを補正することは、スペクトルをシフトさせ、それによって、複数のスペクトルの各スペクトルについて、前記元素のドミナントピークの重心が前記スペクトルの複数のエネルギーチャネルのうちの1つの同じエネルギーチャネルに関連付けられることを含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記分析ユニットは、スペクトルの寿命に基づいて前記重量パーセントを算出するようにさらに構成され、前記スペクトルの前記寿命は、複数の検出器の各検出器の寿命の平均である、請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記検出器の前記寿命は、実測時間、入力計数率、および出力計数率に基づく、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記分析ユニットは、算出された前記重量パーセントを2つの互いに近接するレコード間の地理的中点に関連付けるようにさらに構成される、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記濃度は、炭素(C)、ケイ素(Si)、カリウム(K)、酸素(O)、および水素(H)のうちの少なくとも1つの含有量を示す、請求項10に記載のシステム。
【請求項21】
前記土壌サンプル内の炭素(C)の濃度は、前記土地の一部内で検出される正味スペクトルの平均に基づいて判定され、カリウムの濃度は、前記土壌の中性子照射を使用せずに前記土壌サンプルの自然ガンマ線スペクトルに基づいて判定される、請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照により開示全体が本明細書に組み込まれている、2018年12月7日に出願された米国仮出願第62/776,822号の、米国特許法第119(e)条に基づく利益を主張する。
【0002】
本開示は、土壌内の少なくとも1つの化合物の分布図を作成するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
所与の地理的領域の土壌の元素含有量分析によって、土壌が農業、レクリエーションなどの特定の用途に適合しているかどうかが明らかになることがある。土壌含有量分析の他の用途は、炭素クレジットおよび栄養素の利用可能性レベルまたは栄養素導入の必要性を判定し、現在の収量および予測される収量ならびに施肥の潜在的な収益性を評価することを含む。
【0004】
土壌分析では、まず土壌サンプルが収集されることがあり、それによって、ある土地の小さい部分が実際に研究所内で分析される。たとえば、土壌元素含有量分析の1つの一般的な方法は、複合サンプリングであり、土地における無作為に選択された位置から土壌のいくつかのサブサンプルが収集される。サブサンプルは次いで、混合され、混合物が元素含有量について分析される。いくつかの例では、混合物中に含有されることが判明した所与の元素の量が、分析中の土地の全領域内のその元素の平均量として処理されてもよい。
【0005】
サブサンプルの実際の数は、土地の広さおよび一様性に基づいてわずかに異なり得るが、サブサンプルの数は通常、20個を超えず、場合によっては、分析中の面積の0.01%未満に相当する。さらに、大部分の土壌試験および分析システムは、数個のサンプルを試験するように適合することが容易ではなく、土地の土壌の真の元素含有量を高度に近似するに過ぎない。土壌の元素含有量の精度の重要性はどれだけ誇張してもし過ぎることはないので、所与の土地領域についてより詳細で正確な元素含有量情報を生成する方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
土地の土壌含有量を分析するためのシステムは、複数の土壌サンプルの各土壌サンプルのガンマ線スペクトルを検出するように構成されたデータ取得ユニットであって、土地の表面積が複数の部分に分割され、複数の土壌サンプルが、複数の部分の各部分から得られる少なくとも1つの土壌サンプルを備えるデータ取得ユニットと、複数の土壌サンプルの各土壌サンプルの地理座標を検出するように構成されたナビゲーションユニットと、複数の土壌サンプルの各土壌サンプルの検出されたガンマ線スペクトルを土壌サンプルの地理座標に関連付け、検出されたガンマ線スペクトルに基づいて各土壌サンプル内の少なくとも1つの元素の重量パーセントを判定するように構成されたデータ分析ユニットと、土地の土壌内の少なくとも1つの元素の濃度を示す地図を生成するように構成された元素含有量図ユニットと、を含む。
【0007】
農地の土壌の含有量を分析するための方法は、農地の表面積を複数の部分に分割するステップと、各部分内の少なくとも1つの土壌サンプルを走査して土壌サンプルのガンマ線スペクトルを検出するステップと、検出されたスペクトルを土壌サンプルの地理的位置に関連付けるステップと、検出されたスペクトルに基づいて、土壌サンプル内の少なくとも1つの元素の量を算出するステップと、農地の各部分内の少なくとも1つの元素の量を示す地図を生成するステップと、を含む。
【0008】
土地の土壌の元素含有量を分析するためのシステムは、少なくとも1つの土壌サンプルのガンマ線スペクトルを収集するように構成されたデータ取得ユニットと、土壌サンプルの地理座標を提示するように構成されたナビゲーションユニットと、収集されたガンマ線スペクトルを土壌サンプルの地理座標に関連付け、土壌サンプル内の元素の重量パーセントを算出するように構成されたデータ分析ユニットと、算出された重量パーセントに基づいて土壌サンプル内の少なくとも1つの元素の濃度を示す地図を生成するように構成された元素含有量図ユニットと、を含む。
【0009】
本開示で説明する概念は、添付の図において一例として示されており、限定的なものではない。図示を簡略化し明確にするために、図示の要素は、必ずしも一定の縮尺で描かれているとは限らない。たとえば、図を明確にするために、いくつかの要素の寸法は、他の要素に対して誇張されることがある。さらに、参照符号は適宜、各図において対応する要素または類似する要素を示すために繰り返されている。詳細な説明は具体的に添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ガンマ線分析装置の例示的な実装形態を示す簡略図である。
図2A】ガンマ線分析装置の例示的なモバイル実装形態を示す簡略図である。
図2B】ガンマ線分析装置の例示的なモバイル実装形態を示す簡略図である。
図3】ガンマ線分析装置によって走査すべき土地の複数の部分を示す簡略図である。
図4A】ケイ素のピーク領域と重量パーセントとの間の例示的な関係を示すグラフである。
図4B図4Aに示すグラフの一部を示すグラフである。
図5】カリウムのガンマ線分析収率とエネルギーとの間の例示的な関係を示すグラフである。
図6】土壌のカリウム含有量を判定するための例示的な方法を示す簡略図である。
図7】第1の走査地の複数の部分を示す簡略図である。
図8】第1の走査地の炭素分布の地図を示す簡略図である。
図9】第1の走査地のケイ素分布の地図を示す簡略図である。
図10】ある日に実施された第2の走査地の走査工程から生成された地図を示す簡略図である。
図11図10とは異なる日に実施された第2の走査地の走査工程から生成された地図を示す簡略図である。
図12図10の走査データと図11の走査データの組合せに基づく炭素分布の地図を示す簡略図である。
図13】第2の走査地のケイ素分布の地図を示す簡略図である。
図14】本開示の方法を使用して生成された第1の地図を示す簡略図である。
図15】第1の地図と同時に実施される水分測定に基づいて生成された第2の地図を示す簡略図である。
図16A】土地の土壌の元素含有量を判定するための例示的なプロセスアルゴリズムのブロック図である。
図16B】土地の土壌の元素含有量を判定するための例示的なプロセスアルゴリズムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の概念には、様々な修正例および代替形態が可能であるが、図面では一例としてその特定の実施形態が示されており、本明細書ではこれらの実施形態について詳述する。しかし、本開示の概念を開示された特定の形態に限定するものではなく、本開示および添付の特許請求の範囲に整合するすべての修正例、均等物、および代替手段を対象とすることが意図されることを理解されたい。
【0012】
本明細書における「一実施形態」、「実施形態」、「例示的な実施形態」などの参照は、説明する実施形態が特定の特徴、構造、または特性を含むことがあるが、あらゆる実施形態がその特定の特徴、構造、または特性を含む場合も、また、必ずしも含むとは限らない場合もあることを示す。さらに、そのような語句が必ずしも同じ実施形態を指すとは限らない。さらに、実施形態に関連して特定の特徴、構造、または特性について説明するとき、明示的に説明されているか否かにかかわらず、そのような特徴、構造、または特性を他の実施形態に関連して実施することが当業者の知識の範囲内であると考えられる。
【0013】
開示する実施形態は、場合によっては、ハードウェアにおいて実施されてもよく、ファームウェアにおいて実施されてもよく、ソフトウェアにおいて実施されてもよく、またはそれらの任意の組合せにおいて実施されてもよい。開示する実施形態は、一時的または非一時的コンピュータ可読記憶媒体上に保持または記憶された命令として実施されてもよく、このような命令は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ実行されてもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、情報をコンピューティングデバイスによって読み取り可能な形態で記憶または送信するための任意の記憶デバイス、機構、または他の物理構造(たとえば、揮発性もしくは不揮発性メモリ、メディアディスク、または他のメディアデバイス)として具体化されてもよい。
【0014】
図面では、いくつかの構造または方法特徴が特定の配置および/または順序で示されることがある。しかし、特定の配置および/または順序が必要とされない場合もあることを諒解されたい。いくつかの実施形態では、そのような特徴は、例示的な図に示されている態様および/または順序以外の態様および/または順序で配置されてもよい。さらに、特定の図に構造または方法特徴を含めることは、そのような特徴がすべての実施形態において必要であることを意味するものではなく、いくつかの実施形態では、含まれなくてもよく、または他の特徴と組み合わされてもよい。
【0015】
所与の土地の土壌の詳細で正確な元素含有量を展開するための例示的なシステムは、土地の少なくとも一部を走査するための中性子発生デバイスおよび複数のガンマ線検出器(たとえば、ヨウ化ナトリウムガンマ線検出器)と、走査の結果を記憶し分析して土地の上記の部分の元素含有量を示す地図を生成するためのコンピューティングシステムと、を含んでもよい。例示的なシステムは、モバイルシステムであってもよく、土地の実質的な部分の上方を走行して土壌の走査を実行するように構成されてもよい。本開示のいくつかの実施形態によれば、土壌の元素(C、Si、O、H、K、Cl、およびその他の元素)含有量は、ガンマ線検出器によって捕捉された測定されたスペクトルを使用して算出されてもよい。
【0016】
例示的なシステムは、全地球測位システム(GPS)デバイスと通信して走査プロセス時に土壌の地理的位置を取り込むようにさらに構成されてもよい。一例では、走査時に特定される元素含有量データは、GPSデバイスによって与えられる地理座標と組み合わされても(または関連付けられても)よい。追加または代替として、走査から判定された元素含有量および関連する地理座標に基づいて、例示的なシステムは、農業およびその他の目的に適した元素分布図を生成するように構成されてもよい。
【0017】
図1は、土地120の土壌サンプル124を分析するための例示的なシステム100を示す。システム100は、土壌元素分析用の1つ以上の構成要素を備えてもよい。一例では、システム100は、中性子発生デバイス102と、複数のガンマ線検出器104と、分割電子機器106と、処理ユニット(またはプロセッサ)110と、を含む。分離して示されていないが、例示的なシステム100は、元素分析データを取得し、処理し、記憶し、ならびに/または分析するように構成された、処理およびメモリ/データストアユニットおよびデバイス、オーディオおよびビデオ走査デバイスなどの1つ以上の追加または代替構成要素を含み得るが、それらに限らない。追加または代替として、任意の中性子パルス源102を使用することができ、本開示は、中性子発生装置102に限定されない。さらに、重水素-重水素(D-D)および重水素-トリチウム(D-T)核融合中性子発生装置および中性子放出118の電子制御を可能にする他の中性子発生装置などの加速器ベース中性子源が好ましい。D-T中性子発生装置は特に、本発明を実施するうえで好ましいことがある。そのような発生装置は、パルス制御されても(すなわち、様々な長さについてオン、オフを切り替えられても)よく、中性子放出118の電子制御が可能になる。
【0018】
処理ユニット110は、中性子発生デバイス102、ガンマ線検出器104、および分割電子機器106を監視し動作させて、土壌120の走査および走査時に収集されたスペクトルデータの分析を行うように構成されてもよい。システム100は、全地球測位システム(GPS)デバイス112と通信して1つ以上の地理座標を受信してもよい。一例では、処理ユニット110は、土壌サンプル124の地理的位置を示す地理座標を要求するように構成されてもよい。別の例では、処理ユニット110は、土壌サンプル124の受信された地理的位置をその土壌サンプル124の検出されたガンマ線スペクトル116を示すデータに関連付けてもよい。
【0019】
システム100の1つ以上の構成要素は、固定具、カート、または剛性もしくは半剛性を有する別の構造114上に配設されならびに/または固定されてもよい。構造114は、自己推進するか、または直接もしくは遠隔的に駆動され得、土地120の少なくとも一部の上方を走行して土壌122を走査する。図2Aは、土壌分析システム100の例示的なモバイル実装形態200-Aを示し、システム100の少なくとも一部がトレーラー202内に配設される。トレーラー202は、ガソリン式であるかそれともバッテリー式であるかにかかわらず、モータービークル206によって土地120全体にわたって引かれてもよい(204)。追加または代替として、図2Bは、システム100の例示的なモバイル実装形態200-Bを示し、この場合、システム100の1つ以上の構成要素が、ドローン220などの遠隔制御無人航空機上に配設されならびに/または固定される。
【0020】
図3から図15は、土地120の土壌を走査し、土地120の土壌122に対応する走査されたデータを分析し記憶し、走査時に取得されたスペクトルデータに基づいて土地120の元素含有量図を生成するようにシステム100によって実行される例示的なプロセスを示す。限定はしないが、分析、計算、および地図生成タスクなどの1つ以上のプロセスは、処理ユニット110によって実施されてもよい。追加または代替として、走査時にシステム110の1つ以上の構成要素によって収集された走査データが、システム100からダウンロードされもしくは場合によっては抽出され、遠隔(たとえば、クラウドベース)コンピューティングシステム上でさらなる処理ができるようにエクスポートされてもよい。他の走査データ収集、処理、および分析方法も考えられる。
【0021】
図3は、土壌分析システム100によって走査すべき領域302の例示的な図300を示す。一例では、システム100の処理ユニット110は、走査工程を開始する前に土地120を複数の部分(ブロックまたは区画)306に分割するように構成されてもよい。いくつかの例では、部分(以下では区画)306の数は、土地の広さおよび1つ以上の景観の特徴の存在に基づいてもよい。たとえば、区画306の広さを決定する際には、走査の適切な速度(たとえば、約5km/h)および地形プロファイルが考慮されてもよい。各区画306は、比較的均質な地形プロファイルを備えてもよい。土地分割の間、システム100の処理ユニット110は、土地120と交差するアスファルト道路308などの地形タイプの変化を検出し、ならびに/または地形の形状および構成の変化を検出したことに応じ、たとえば、地形における低スポットを検出したことに応じて別個の区画306を指定するように構成されてもよい。走査条件に影響を与える上記の地形関連因子およびその他の因子が与えられる場合、複数の区画306の各区画306は、広さが100m未満から1000m以上の範囲であってもよい。図3に示す例では、土地120の総面積は約800mであり、区画の数は12であった。
【0022】
システム100の処理ユニット110は、区画306の土壌122内の所与の元素の有無を特定し、ならびに/または区画306の土壌122内の元素の量を測定するうえで所定の所望の精度値を実現するように所定の期間の間土壌122を走査するように構成されてもよい。いくつかの例では、システム100の処理ユニット110が各区画306を走査する期間は、元素のガンマ線ピーク収率に基づいてもよく、元素のガンマ線ピーク収率は、区画306の土壌内のその元素の量、特定中の元素の化学構造、分子構造、および/または解剖学的構造、ならびに1つ以上の他の特性によって影響を受けることがある。
【0023】
追加または代替として、各区画306を走査すべき期間は、測定の所定の所望の精度値に基づく。たとえば、炭素含有量測定の場合に±0.5w%の精度に到達するための、1つの区画についての取得時間は15分であり得る。別の例として、±0.5~1w%の容認可能な精度でのケイ素についてのシステム100測定時間は、ケイ素についてのケイ素ガンマ線ピーク収率が炭素ピーク収率よりも数倍多い(土壌122ではケイ素の方が含有量が多いことに起因する)ことに起因して約5分であってもよい。
【0024】
システム100は、複数の区画306の各区画の地理的位置、たとえば地理座標を特定し、地図のデジタルレンダリング上で各区画306にマーク付けし番号付けするように構成されてもよい。一例では、システム100の処理ユニット110は、システム100がたとえば、有線ネットワーク接続、別の種類のネットワーク通信媒体、または限定はしないが、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)、Bluetooth、ワイドエリアネットワーク(WAN)などの長距離もしくは短距離無線ネットワークを使用して通信するGPSユニット112(システム100の内部または外部)に各区画306の地理座標を要求しGPSユニット112から地理座標を受信するように構成されてもよい。したがって、システム100の処理ユニット110は、実行時に採取地の地図を覆うように表示される現在進行中の経路に対してシステム100の現在の地理的位置を取得し追跡するように構成されてもよい。
【0025】
走査工程の間、システムは、個々の区画306ごとに、土壌122のガンマ線スペクトルが区画306について走査された期間を判定してもよい。システム100の処理ユニット110は、表示される地図上の所与の区画306の色を、その区画306の土壌122が走査された期間に応じて修正するように構成されてもよい。いくつかの例では、システムは、走査実行時に各区画306内で収集された総取得時間に基づいて、表示される地図上の区画306の色を変更または修正してもよい。一例では、システム100の処理ユニット110は、すべての区画306が所定の色になったときに、走査工程が完了したことを示す対応するコマンドおよび/または通知を処理ユニット110が発行するなどのように、その区画306の正確な土壌元素判定について所定の十分な量のデータが取得されたことを示すためのカラーコーディングを使用してもよい。
【0026】
走査時に取得された各検出器104からのINSおよびTNCスペクトルは、実行時にラップトップスクリーン上に表示される。プロセッサ110は、所定の周期で、たとえば、30秒ごとに、所与の区画306の土壌122のガンマ線スペクトル(各ガンマ線検出器104からのINSおよびTNSスペクトル)およびその区画306の対応する地理座標を記憶するように構成されてもよい。システム100は、GPSデバイス112と処理ユニット110および/または記録機器内のメモリとの間に接続が維持されているかどうかを定期的に検査するように構成されてもよい。さらに、システム100は、GPSデバイスと記録機器との間の接続が失われたことを検出したことに応じて、対応するアラートを発行するように構成されてもよく、走査データの記録を停止して不正確なデータが記録されるのを防止してもよい。いくつかの例では、保存されるスペクトルの総数は、走査時間に応じて数千以上に達してもよい。走査後に、保存されたスペクトルは、システム100の1つ以上のデータ処理構成要素(図示略)に転送されてもよい。
【0027】
開始時に、30秒ごとの測定についての正味INSスペクトルが算出される。
【0028】
数式(1)を使用して、以下のようにそれぞれのr番目レコードおよびそれぞれのi番目の検出器104についてチャネルごとの単位毎秒数(cps)の正味INSスペクトル数(netINSr,i)が算出されてもよい。
【0029】
【数1】
【0030】
上式で、LTINS,r,iおよびLTTNC,r,iはそれぞれ、r番目のレコードおよびi番目の検出器104の寿命を示し、INSr,iおよびTNCr,iはそれぞれ、r番目のレコードおよびi番目の検出器104の測定されたスペクトルを示す。これに続いて、スペクトルを用いたすべての以後の処理はチャネルごとに実行され得る。
【0031】
寿命(LT)は、以下のように数式(2)を使用して算出されてもよい。
【0032】
【数2】
【0033】
上式で、RTは、秒単位の実測時間を示し、OCRは、出力計数率を示し、ICRは入力計数率を示す。いくつかの例では、RT、OCR、およびICRパラメータは、走査工程を実行するために使用されるスペクトル取得ハードウェアの仕様によって定義されてもよい。さらに、RT、OCR、およびICRパラメータ値は、対応する各スペクトルファイルに含められてもよい。
【0034】
一例では、各検出器104は、エネルギーとチャネル番号との依存性を示す一意のエネルギー較正を備えてもよい。走査の所与の日または時間に存在する環境条件の変化によって依存性が変化することがある。すべてのスペクトルに1つのエネルギー較正を施すには、ドミナントピーク(たとえば、ケイ素および酸素ピーク)の重心がすべてのスペクトルにおいて同じチャネルになるようにスペクトルをシフトしてもよい。
【0035】
シフト後に、8つのnetINSr,iスペクトルがチャネルごとに要約されてもよく、
netINS=ΣnetINSr,i
(3)
のように数式(3)を使用して、それぞれのr番目のレコードについての正味INSスペクトル(netINS)を算出することができる。
【0036】
そのスペクトル(ΔLTavg,r)についての寿命は、以下の数式のように、複数の検出器104の各検出器の対応する寿命の平均として定義されてもよい。
【0037】
【数3】
【0038】
ΔLTavg,rを有するnetINSスペクトルは、2つの隣接するレコード間の地理的中点312の位置に起因する。したがって、図3に示すように、データセットnetINSスペクトル、ΔLTavg,r、および中点の地理座標が生成される。
【0039】
さらに図3を参照するとわかるように、中点312座標を有するデータが区画306によってソートされてもよく、それによって、たとえば、番号4、5、6、7、8、および9を使用して特定される中点312は区画#2に起因し、他の場合についても同様である。所与の区画306-nについての重心310は、その区画306-nに起因する中点312に基づいて判定されてもよい。区画Sのチャネルごとのcps平均netINSスペクトルは、以下のように、数式(5)を使用して判定されてもよい。
【0040】
【数4】
【0041】
したがって、各区画306の平均netINSスペクトルを使用して複数の区画306の各区画306の元素含有量を判定してもよい。元素含有量は、対応する元素(核)ガンマ線ピーク領域から算出されてもよい。ピーク領域は、IGORソフトウェアを使用して、設計されたソフトウェアによってnetINSスペクトルから算出されてもよい。いくつかの例では、元素含有量分布は、すでに定義された較正データまたは他のパラメータもしくは値に基づいて算出されてもよい。
【0042】
さらに少なくとも図8図15を参照して説明するように、炭素、ケイ素、水素、およびカリウムについての元素分析地図が、走査工程の間に収集されたデータに基づいてプロットされてもよい。炭素およびケイ素含有量分布は、netINSスペクトルから定義されてもよい。さらに、TNCスペクトルデータは、水素含有量を判定するために使用されてもよい。カリウム含有量および地図作成は、自然ガンマ線背景スペクトル測定に基づいて判定されてもよい。
【0043】
数式(6)は、以下のように、炭素含有量(重量パーセント単位、Cw%)を判定するために使用されてもよい。
【0044】
【数5】
【0045】
上式で、PA4.44、PA1.78、PA4.44,bkg=140cps、PA1.78,bkg=453cpsは、重心4.44MeV(炭素ピーク)を有するピーク領域およびnetINSにおいて重心1.78MeV(ケイ素ピーク)を有するピーク領域を示し、0.0496および13.733のガンマ線スペクトルにおけるシステム背景は、それぞれの較正係数を示す。
【0046】
図4は、較正依存性に基づいてケイ素の元素含有量を判定するための例示的な図400を示す。たとえば、ケイ素較正依存性の合理的な近似値は、いくつかの点、たとえば、4つのデータポイントおよびゼロ-ゼロポイントに基づいて判定されてもよい。いくつかの例では、追加の走査データを使用して引き続きケイ素較正を改善してもよい。
【0047】
したがって、ケイ素含有量は、以下のように、数式(7)に基づいて判定されてもよい。
【0048】
【数6】
【0049】
土壌水素分布は、重心ピークが2.223MeVであるTNCスペクトルにおける水素ピーク領域に基づいて判定されてもよい。一例では、水素ピーク領域を定義するために、r番目のレコードおよびi番目の検出器104についてのTNCスペクトルが、以下のように、数式(8)を使用してチャネルごとに算出されてもよい。
【0050】
【数7】
【0051】
シフト、複数のガンマ線検出器104にわたるスペクトルの要約、平均寿命および中点312地理的位置の判定、区画306によるスペクトルのソート、区画306の重心310および区画306についての平均TNCスペクトルの判定は、netINSスペクトル判定の場合と同様に行われてもよい。具体的には、以下の数式のように行われる。
【0052】
【数8】
【0053】
さらに、水素のピーク領域のスペクトルは、TNCおよび水素ピーク領域の値から算出されてもよく、区画における重心を使用して水素分布図がプロットされてもよい。
【0054】
土壌カリウム分布図は、中性子ガンマ線技術、たとえば、中性子パルス源102および/またはガンマ線検出器104によって分析される他の元素ならびに水素およびケイ素などのシステム100の関連する成分に対して概略的に説明したプロセスと同様に生成されてもよい。追加または代替として、カリウム含有量は、土壌から収集された自然ガンマ線スペクトルに厳密に基づき、土壌の中性子放射に依存せずに判定されてもよい。たとえば、当然のことながら、40K同位体は、カリウム含有化合物のカリウム同位体混合物内に存在し得る。この同位体は、η=0.0117%のカリウム化合物中に既知の量を有し、放射性である(T1/2=1.248・10年)。40Kの放射性崩壊は、エネルギー1.46MeVを有するガンマ線放出を伴い、ガンマ線放射は、自然放射能の主成分の1つである。したがって、土壌中のカリウムの存在は、測定されたガンマ線強度に基づいて判定されてもよい。
【0055】
図5は、自然放射能のガンマ線スペクトルの例示的なグラフ500を示し、土壌122表面上に直接設置されたシステム100によって0.5時間の間測定されたスペクトルを示す場合がある。一例では、点線506は、カリウム含有物質(約11kg)(総重量22.7kg)が測定システムの下方に配置されたときに測定されたガンマ線スペクトルを示すことがあり、1.46MeVまたはその周りに重心を有する有意のピーク(エネルギー値508-1とエネルギー値508-2の間など)はカリウムの存在を示す。
【0056】
図6は、カリウム較正係数を推定するための方法の例示的な図600を示す。第1の近似値について、土壌カリウムは、半径Rを有する半球体積において一様に分布していると仮定された。ガンマ線検出器104はこの半球602の中心608に配置された。単位体積dV606内にKw%606が存在し、材料密度がdである場合、dγ、s-1、エネルギー1.46MeVを有するガンマ線は、以下の数式のように現れる。
【0057】
【数9】
【0058】
上式で、Nはアボガドロ定数であり、AWはカリウムの原子量、λ=0.693/T1/2である。その場合、ガンマ線検出器104の信号強度(ピーク領域、S)は、以下の数式のように算出することができる。
【0059】
【数10】
【0060】
上式で、tはガンマ線位置合わせ効率であり、μは、物質中の1.46MeVガンマ線の質量吸着係数であり、距離lは、dVとガンマ線検出器104との間の距離であり、Rは、半球半径である。カリウム含有物質中のKw%は11/22.7・100%=48.4%である。この物質のバルク密度は1.1gcm-3であり、この物質の半球の半径は、以下の数式で与えられる。
【0061】
【数11】
【0062】
1.6MeVについてのカリウム含有物質(KCl)についての質量減衰係数は0.048cm-1であり、値Gst = 3.416である。スペクトル中のピーク領域は、図5に点線で示すように、カリウム含有物質については237cpsとして算出された。ここから、t値は69.4と推定することができる。
【0063】
土壌密度は、1.2g cm-3に等しいと見なすことができ、推定のためにμ= 0.052cm-1(主土壌要素はSiおよびOである)とする。その場合、無限半径の土壌の場合、Gsoil = Kw%/100・9.615であり、図5に実線によって示すように、土壌についてカリウムピーク領域は14cpsであった。ピーク領域はGおよびガンマ線位置合わせ効率tに比例する。これらの値から、土壌中のカリウムの較正係数を0.15Kw%/cpsと推定することができ、土壌中のKw%を2%と推定することができる。この値は土壌中の平均カリウム含有量と一致する。精度を高めるには、この較正をいくつかの基準サンプルを用いて繰り返す必要があるが、数式(15)の推定値を所与の一連の測定に使用することができ、それによって以下の数式
Kw%=0.15・PA1.46
(15)
が成立する。
【0064】
地理座標の測定されたデータセットおよび元素含有量(重量パーセント単位)を使用して元素分布図を作成した。地図は、局所多項式補間または別の計算手法を使用して生成されてもよい。地図は地理基図上に配置された。生成された元素分布図は、地図の方向方位を示すために北、南、東、および西などの1つ以上の基本方位を示す矢印または別の種類のアイコンを含んでもよい。他の例では、生成される元素分布図は、上向き垂直方向が北方向を示すなどのように自動的に配向されてもよい。いくつかの例では、生成される地図は、所与の元素以上の元素の元素含有量の1つ以上の範囲を示す対応する凡例および/またはスケールバーを含んでもよい。生成される元素分布図は、同じ含有量を有する領域を示す1つ以上の等高線値ラベルを含む等高線図を備えてもよい。ガンマ線スペクトルデータ分析に基づいて生成された元素分布図のいくつかの例が、少なくとも図8から図15に示されている。
【0065】
第1の走査地は、第1の総面積、たとえば約6ヘクタール(ha)を含み、第2の走査地は、第2の総面積、たとえば約23haを含み、それぞれマービン砂質ローム層およびマルボロー砂質ローム層(1~6%勾配)の土壌タイプである。
【0066】
図7は、第1の走査地702が複数の区画306に分割される例示的な図700を示し、この場合、第1の複数の区画306は、第1の走査地702上に位置し、複数の区画704は、第1の走査地702に隣接する道路上に位置する。一例として、表1には、各区画306内の中点の数および各区画306内の総測定時間が示されている。
【0067】
【表1】
【0068】
図8は、少なくとも図7を参照して説明した第1の走査地702についての炭素分布図808のデジタルレンダリングの例示的な図800を示す。一例では、炭素含有量分布802は、南から北へと(図示されたように、たとえば、参照符号802-1から802-4へ)0.5w%から2.0w%に増加し、一方、道路上の炭素含有量は、土地122と比較して極めて高く、18w%に達した。図9は、少なくとも図7を参照して説明した第1の走査地702についてのケイ素分布図908のデジタルレンダリングの例示的な図900を示す。一例では、第1の走査地702上のケイ素含有量分布902は変動し、それによってケイ素含有量は概して、44±2w%の範囲内であった。別の例では、ケイ素含有量902は、土地702に隣接する道路上で非常に低く(約10w%)、すなわち、道路は炭酸塩石などの鉱物からなる場合があり、ケイ素をほとんど有していなかった。
【0069】
図10および図11はそれぞれ、2019年4月11日および2019年4月17日などの2つの異なる日に取り込まれた第2の走査地1004上の炭素分布1002、1102の例示的な地図1000および1100を示し、この2つの日付間の天候は安定しており(快晴)、第2の走査地1004の面積は約13.6haである。比較すると、いくつかのささいな相違があるが2つの地図はかなり類似しており、等高線1002、1102が地図1000および1100のそれぞれの北部分に限定されている。したがって、第2の走査地1004の複数の走査によって、走査の結果および収集された走査データから生成された地図が、概ね同じ天候条件の下で比較的一貫していることが確認された。したがって、ガンマ線分析装置システム100を使用して土壌122の走査データを収集し、収集された走査データに基づいて土壌122の元素含有量分布図を生成するための方法および手法は、十分に正確であり、この方法の結果は同様の基本条件の下で再現可能である。図12は、図10および図11の地図を生成するために使用されるデータセット1000、1100の組合せから得られる炭素(C)の元素分布1202を示す地図1200を示し、より確実な元素含有量図となり得る。図13は、2つの異なる日(本明細書では別々に示されていない)に実施された第2の走査地1004の走査工程の総合データに基づくケイ素元素分布1302を示すケイ素分布図1300を示す。
【0070】
図14は、第2の走査地1004の土壌122中の水素の元素分布1402の例示的な地図1400を示す。一例では、水素分布図1400は、水素ピーク領域の分布を指し、元素番号1404は、各区画306のそれぞれのピーク値を示す。図15は、TDR-300土壌水分計を使用した水分測定を使用して実施された水素走査から生成された例示的な地図1500を示す。電極の長さは7インチ(17.78cm)であり、測定時には土壌タイプモードとして「砂地」が選択された。この計器によって測定された土壌水分の地図1500。TDR-300による水分測定値1502の相対誤差(対応するピーク値1504を含む)は約12%から20%の範囲であった。それぞれ、図14および図15の地図1400および地図1500を比較すると、TDR-300による水分測定の上記の相対誤差値にもかかわらず、2つの計器が類似していることが示されており、中性子ガンマ線分析を水分分布図作成1402に使用すると正確な結果が得られる場合があると結論付けられてもよい。
【0071】
図16Aおよび図16Bは、土地120の土壌122の元素含有量を判定するための例示的なプロセス1600を示す。プロセス1600は、ブロック1602から始まり、処理ユニット110は、所与の土地120の元素土壌分析を実施するための要求を受信する。いくつかの例では、要求はユーザまたはシステムによって生成され得る。さらに、元素土壌分析プロセス1600を開始するための他の方法も考えられる。
【0072】
処理ユニット110は、要求に応じて、走査すべき土地120の1つ以上の外側境界を検出してもよい。一例では、処理ユニット110は、土地120の実際の走査(たとえば、ビデオ、ソナーなど)、またはそれらの何らかの組合せに基づいて、走査すべき土地120の少なくとも一部を含む地図のデジタルレンダリングに基づく土地120の他の境界を検出してもよい。外側境界特定プロセス中に分析される地図は、土地120の近似的または厳密な地理座標、土地120の緯度および経度、土地120の面積、4つの基本方位に対する土地120の方位、土地120の地理空間位置、相対位置、および特定の位置を確定するのに十分な他のデータパラメータを含んでもよい。
【0073】
ブロック1606において、処理ユニット110は、走査すべき土地120を複数の部分または区画306に分割してもよい。たとえば、処理ユニット110は、地形プロファイル、地形の均質性または不均質性、および/または地形要素の有無、丘陵、尾根、鞍部、くぼみ、道路、構造物、水景物、植生などが天然であるか人工であるかに基づいて、土地120を各部分に分割してもよい。いくつかの例では、各区画306は、比較的均質な地形プロファイルを備えてもよい。システム100の処理ユニット110は、土地分割時に、土地120に交差するアスファルト道路308などの地形の変化を検出し、ならびに/または地形のプロファイルおよび構成の変化を検出したことに応じ、たとえば、地形における低スポットを検出したことに応じて別個の区画306を指定するように構成されてもよい。走査条件に影響を与える上記の地形関連因子およびその他の因子が与えられる場合、複数の区画306の各区画306は、広さが100m未満から1000m以上の範囲であってもよく、それによって、総面積が約800mである所与の土地120は、12個の区画を含んでもよい。
【0074】
処理ユニット110は、ブロック1608において、土地120の第1の部分の第1の土壌サンプルの走査を開始するように構成されてもよい。一例では、処理ユニット110は、中性子パルス源102を使用して第1の部分/区画306の第1の土壌サンプルを走査してもよい。追加または代替として、処理ユニット110は、ブロック1608において、たとえば、ガンマ線検出器104を使用して、第1の土壌サンプルのガンマ線スペクトルを検出するように構成されてもよい。処理ユニット110は、ブロック1610において、第1の土壌サンプルの地理的位置を要求するように構成されてもよい。いくつかの例では、処理ユニット110は、システム100の内部に位置するかそれとも外部に位置するかにかかわらず、GPSデバイス112と通信してもよく、土地120の第1の部分306の第1の土壌サンプルの位置を示す地理座標または他の地理空間測位パラメータを要求し受信するように構成されてもよい。
【0075】
処理ユニット110は、ブロック1612において、第1の土壌サンプルの検出されたガンマ線116スペクトルデータと第1の土壌サンプルの受信された地理座標を関連付けてもよい。一例では、処理ユニット110は、ブロック1612において、処理ユニット110に直接接続されたデータストアデバイスに走査データおよび関連する地理座標を記憶してもよい。他の例では、処理ユニット110は、外部、リモート、もしくはオフサイト記憶サーバ、ならびに/またはクラウドネットワーキングおよびデータ記憶デバイスもしくはシステムと通信してもよい。
【0076】
処理ユニット110は、ブロック1614において、複数の区画306のうちの同じ区画内の次の土壌サンプルが検出されたかどうかを判定してもよい。一例では、処理ユニット110は、走査中の土地120の領域および/または区画306の領域に対する、システム100、たとえば、構造114、中性子パルス源102、および/またはガンマ線検出器104の現在の地理的位置を検出してもよい。追加または代替として、処理ユニット110は、システム100をそれ自体の地理的位置を変更するように動作させ、それによって、次の土壌サンプル124および/または次の区画306の有無が判定されてもよい。システム100によってさらなるデータ収集を実施する必要があるかどうかを判定するための他のシナリオおよび方法も考えられる。たとえば、システム100は、さらなる土壌サンプル124および/または区画306を元素土壌含有量分析のために走査する必要があることの確認を要求するユーザ通知を表示するように構成されてもよい。現在の区画306内で次の土壌サンプルを走査可能であることに応じて、処理ユニット110は、ブロック1608に戻って区画306内の次に利用可能な土壌サンプルを走査してもよい。
【0077】
現在の区画306のすべての土壌サンプルが走査されたとの判定に応じて、処理ユニット110は、ブロック1616において、複数の区画306のうちの次の区画が検出されたかどうかを判定してもよい。一例では、処理ユニット110は、走査中の土地120の領域および/または区画306の領域に対する、システム100、たとえば、構造114、中性子パルス源102、および/またはガンマ線検出器104の現在の地理的位置を検出してもよい。処理ユニット110は、走査中の土地120内で複数の区画306のうちの次の区画306が利用可能であることのブロック1616での判定に応じて、ブロック1608に戻って次の区画306など内の第1の土壌サンプル124を走査してもよい。追加または代替として、処理ユニット110は、土地120のすべての区画306が走査されたことに応じて、次に、収集された走査データを分析してもよい。
【0078】
処理ユニット110は、ブロック1618において、限定はしないが、C、Si、O、H、K、Clなどの複数の元素のうちの少なくとも1つの元素の1つ以上のピーク値についての収集されたガンマ線スペクトルを分析するように構成されてもよい。少なくとも図3から図6および図11から図15を参照して説明したように、所与の元素のピーク値を判定するための方法は一定でなくてもよい。いくつかの例では、処理ユニット110は、中点、重心、および土壌120の元素含有量分析に関連する他のパラメータ値を特定するように構成されてもよい。追加または代替として、処理ユニット110は、各元素の特定されたピーク値を部分/区画306によってソートするように構成されてもよい。収集されたスペクトルを分析するための他の工程および方法も考えられる。
【0079】
処理ユニット110は、ブロック1620において、システム100を使用する走査工程の間に収集されるガンマ線スペクトルデータに基づいて元素分布図を生成するように構成されてもよい。前述のように、元素分布図は、局所多項式補間または別の計算手法を使用して生成されてもよく、地理基図上に重畳されてもよい。生成された元素分布図は、地図の方向方位を示すために北、南、東、および西などの1つ以上の基本方位を示す矢印または別の種類のアイコンを含んでもよい。他の例では、生成される元素分布図は、上向き垂直方向が北方向を示すなどのように自動的に配向されてもよい。いくつかの例では、生成される地図は、所与の元素以上の元素の元素含有量の1つ以上の範囲を示す対応する凡例および/またはスケールバーを含んでもよい。生成される元素分布図は、同じ含有量を有する領域を示す1つ以上の等高線値ラベルを含む等高線図を備えてもよい。
【0080】
次いで、プロセス1600は終了してもよい。いくつかの例では、処理ユニット110は、収集されたガンマ線スペクトルデータに基づいて、元素分布図を生成するための1つ以上のプロセスを繰り返すように構成されてもよい。
【0081】
特定の例示的な実施形態について図および上記の説明において詳しく説明したが、そのような図示および説明は、例示的なものと見なすべきであり、制限的なものと見なすべきではなく、例示的な実施形態のみについて図示し説明しており、本開示の趣旨内のすべての変更例および修正例が保護されることが望ましいことを理解されたい。本明細書で説明する装置、システム、および方法の様々な特徴から本開示の複数の利点が生じる。本開示の装置、システム、および方法が、説明したすべての特徴を含まない場合があり、それにもかかわらずそのような特徴の利点の少なくともいくつかから利益が得られることに留意されたい。当業者には、本開示の1つ以上の特徴を組み込んだ装置、システム、および方法の当業者自身の実装形態を容易に考案されよう。
【符号の説明】
【0082】
100 システム
102 中性子発生デバイス
104 ガンマ線検出器
106 分割電子機器
110 処理ユニット
112 全地球測位システム(GPS)デバイス
114 構造
118 中性子放出
120 土地
122 土壌
124 土壌サンプル
202 トレーラー
206 モータービークル
302 領域
306 部分
308 アスファルト道路
310 重心
312 中点
600 例示的な図
602 半球
606 単位体積
608 中心
700 例示的な図
702 第1の走査地
704 区画
800 例示的な図
802 炭素含有量分布
900 例示的な図
902 ケイ素含有量分布
908 ケイ素分布図
1000 例示的な地図
1002、1102 炭素分布
1004 第2の走査地
1100 例示的な地図
1400 例示的な地図
1402 元素分布
1404 元素番号
1500 例示的な地図
1502 水分測定値
1504 ピーク値
1600 例示的なプロセス
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B