(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】吸気同期式の流体製品吐出装置
(51)【国際特許分類】
A61M 15/00 20060101AFI20240401BHJP
A61M 16/20 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
A61M15/00 Z
A61M16/20 Z
(21)【出願番号】P 2021545425
(86)(22)【出願日】2020-02-03
(86)【国際出願番号】 FR2020050170
(87)【国際公開番号】W WO2020161420
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-02-01
(32)【優先日】2019-02-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502343252
【氏名又は名称】アプター フランス エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】APTAR FRANCE SAS
【住所又は居所原語表記】Lieu-dit Le Prieure,27110 Le Neubourg,France
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン ダヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】カヴァトルタ マチュー
(72)【発明者】
【氏名】トゥルノワ ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ワルター マチュー
【審査官】岡本 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/178764(WO,A1)
【文献】特表2005-512739(JP,A)
【文献】特表2010-514533(JP,A)
【文献】特開平09-168593(JP,A)
【文献】特表2013-523395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 15/00
A61M 16/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気同期式の流体製品吐出装置であって、
マウスピース(400)を有する本体(10)と、
前記本体(10)に対して軸方向に摺動し、流体製品および推進用ガスが入れられている流体製品用の容器(100)と、
待機位置と作動位置の間を移動可能な弁部材(210)を含み、前記容器(100)に装着されており、作動の度に前記流体製品を選択的に吐出する計量弁(200)と、
前記計量弁(200)が作動不可能である阻止位置と前記計量弁(200)が作動可能である作動位置との間で移動および/または変形可能である阻止部材(500)と、
前記阻止部材(500)の移動を前記阻止位置において阻止する係止位置と前記阻止部材(500)の移動を阻止しない解除位置との間で移動および/または変形可能であるトリガ部材(600)と、
吸気に反応して変形および/または移動可能な吸気反応部材(60)を含む吸気制御式トリガ機構と、
バネ(850)の作用により待機位置と作動位置との間を移動可能なアクチュエータ(800)と、
自動弁開放システムと、
前記マウスピース(400)の閉位置と開位置との間で可動、具体的には前記本体(10)上で揺動可能なキャップ(1)と、
を備え、
前記吸気反応部材(60)は、変形および/または移動して前記トリガ部材(600)を前記解除位置に向けて移動および/または変形させることにより、前記阻止部材(500)を前記阻止位置から前記作動位置に向けて移動および/または変形させ、
前記アクチュエータ(800)は、前記阻止部材(500)と協働し、
前記阻止部材(500)は、前記阻止位置において前記アクチュエータ(800)の軸方向の移動を阻止し、前記作動位置において前記アクチュエータ(800)の軸方向の移動を可能にし、
前記自動弁開放システムは、前記アクチュエータ(800)の位置とは関係なく、前記計量弁(200)の前記弁部材(210)を、弁の作動後、前記待機位置に自動的に戻し、
前記キャップ(1)は、前記アクチュエータ(800)と協働して、前記閉位置において、前記アクチュエータ(800)の前記本体(10)内の軸方向への動きを阻止し、前記開位置から前記閉位置に戻されるときに前記アクチュエータ(800)を待機位置に戻すことで、前記バネ(850)が蓄勢され、
前記自動弁開放システムは、2つのレバー(901、902)と、押し込み要素(910)と、レバースプリング(920)とを備え、
前記押し込み要素(910)は、前記容器(100)と接触し、前記レバースプリング(920)を介し
て押し込み部材(810)に接続されている
ことを特徴とす
る流体製品吐出装置。
【請求項2】
前記各レバー(901、902)は、前記押し込み部材(810)のカム(815)内で揺動するようにスタッド(905)を介して組み立てられており、前記押し込み要素(910)と協働して、前記バネ(850)によって加えられる力(F)を、前記押し込み要素(910)に伝える
ことを特徴とする請求項
1に記載の流体製品吐出装置。
【請求項3】
前記レバー(901、902)のそれぞれは、吸気前のロック位置では、前記レバー(901、902)の一方の側が前記押し込み要素(910)の肩部(911)に当接し、前記レバー(901、902)の他方の側が係止指部(115)に接触しており、
前記各係止指部(115)は、カバー部材(11)内に形成され、前記カバー部材(11)の底部から軸方向下方に延びており、前記押し込み要素(910)の前記肩部(911)に当接している各レバー(901、902)が前記肩部(911)から離れる方向に揺動するのを防止する
ことを特徴とする請求項
2に記載の流体製品吐出装置。
【請求項4】
吸気後、前記作動位置では、前記各レバー(901、902)は、前記カバー部材(11)の前記係止指部(115)と協働しておらず、前記押し込み要素(910)の前記肩部(911)と接触しなくなるまで、前記押し込み部材(810)の内部で揺動することが可能であり、前記容器(100)は、前記各レバー(901、902)が前記押し込み要素(910)の開口(912)を通過するようになることで、前記計量弁(200)の戻しバネの作用で前記待機位置に向かって上昇することが可能になる
ことを特徴とする請求項
3に記載の流体製品吐出装置。
【請求項5】
当該流体製品吐出装置がリセットされる場合にユーザにより前記キャップ(1)が閉じられると、前記アクチュエータ(800)および前記押し込み部材(810)がそれらの待機位置に戻って前記バネ(850)を圧縮し、前記各レバー(901、902)が前記カバー部材(11)の前記係止指部(115)に接触するまで前記押し込み部材(810)と共に軸方向に移動し、これにより前記スタッド(905)が前記カム(815)内を半径方向外方に移動して、前記各レバー(901、902)が前記係止指部(115)の周りに戻ることが可能になり、前記レバースプリング(920)の作用により前記各レバー(901、902)が前記押し込み要素(910)の肩部(911)に当接した状態に戻される
ことを特徴とする請求項
4に記載の流体製品吐出装置。
【請求項6】
前記阻止部材(500)は、前記本体(10)に対して揺動軸(B)を中心として揺動可能に装着されており、
前記トリガ部材(600)は、前記本体(10)に対して揺動軸(C)を中心として揺動可能に装着されており、
前記揺動軸(B)および(C)は平行である
ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項7】
前記アクチュエータ(800)は、前記阻止部材(500)と協働する軸方向突起部(801)を有し、前記アクチュエータ(800)の前記軸方向突起部(801)が、前記阻止位置にある前記阻止部材(500)の阻止伸長部(501)と協働して、前記アクチュエータ(800)の軸方向の動きを阻止し、前記アクチュエータ(800)の前記軸方向突起部(801)が、前記作動位置にある前記阻止部材(500)の軸方向凹部(502)と協働して、前記容器(100)の軸方向の移動を可能にする
ことを特徴とする請求項1~
6のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項8】
前記アクチュエータ(800)の前記軸方向突起部(801)が、前記阻止位置にある前記阻止部材(500)を前記作動位置に向けて付勢する
ことを特徴とする請求項
7に記載の流体製品吐出装置。
【請求項9】
前記阻止部材(500)は、
前記係止位置にある前記トリガ
部材(600)の係止肩部(610)と協働してラッチを構成する係止突起部(510)を有し、
前記ラッチは、前記阻止部材(500)が前記阻止位置から移動および/または変形することを阻止する
ことを特徴とする請求項1~
8のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項10】
前記ラッチは、前記阻止部材(500)と前記係止位置にある前記トリガ部材(600)とが接触する第1接触点を形成し、
前記阻止部材(500)は、
前記係止位置にある前記トリガ部材(600)の当接面(620)と協働して、前記阻止部材(500)と前記トリガ部材(600)とが接触する第2接触点を形成する側方突起部(520)を有し、
前記トリガ部材(600)が前記係止位置にある間は、
前記第1接触点より前記第2接触点のほうが、前記トリガ部材(600)の揺動軸(C)からの距離が長い
ことを特徴とする請求項
9に記載の流体製品吐出装置。
【請求項11】
前記本体(10)に固定、具体的にはネジ止めまたはスナップ止めされたカバー部材(11)と、
前記カバー部材(11)内において軸方向に摺動可能に取り付けられた押し込み部材(810)と、
を備え、
前記押し込み部材(810)は、前記アクチュエータ(800)と協働し、
前記バネ(850)は、前記カバー部材(11)の底部と前記押し込み部材(810)との間に配され、
吸気前では前記押し込み部材(810)は、前記容器(100)と非接触であり、前記バネ(850)により前記押し込み部材(810)に加えられる力が前記容器(100)に伝達されず、吸気中では前記押し込み部材(810)は、前記アクチュエータ(800)とともに軸方向に移動して前記容器(100)に当接し、前記容器(100)を前記本体(10)の内部において軸方向に移動させて前記計量弁(200)を作動させる
ことを特徴とする請求項1~
10のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項12】
流体製品の吐出が行われたことをユーザに伝えるためのインジケータ(15)を含む
ことを特徴とする請求項1~
11のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項13】
前記インジケータは、視覚インジケータおよび/または可聴インジケータである
ことを特徴とする請求項
12に記載の流体製品吐出装置。
【請求項14】
さらに、電子カウンタ(1000)を含む
ことを特徴とする請求項1~
13のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項15】
当該流体製品吐出装置の最初の使用前に、前記電子カウンタ(1000)は待機モードにあり、前記電子カウンタ(1000)は接触部(1010)を含み、
前記アクチュエータ(800)は、前記作動位置に向かうその最初の移動中に前記接触部(1010)に接触して、前記電子カウンタ(1000)を通常の動作モードにする
ことを特徴とする請求項
14に記載の流体製品吐出装置。
【請求項16】
前記電子カウンタ(1000)は、少なくとも1つの加速度計を備える
ことを特徴とする請求項
14または
15に記載の流体製品吐出装置。
【請求項17】
前記吸気反応部材(60)は、変形可能な膜体を含み、
前記膜体は、変形可能な空気室を構成し、前記トリガ部材(600)に固定され、吸気中に変形して、前記トリガ部材(600)を前記係止位置から前記解除位置に向けて移動させる
ことを特徴とする請求項1~
16のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項18】
前記マウスピース(400)は、前記本体(10)の内部に連通させる開口(410)を有し、
前記吸気の開始時点では、前記開口(410)は逆止弁(420)により閉鎖されており、前記吸気により生じる吸気流の大部分が前記
吸気制御式トリガ機構に最初に伝わる
ことを特徴とする請求項1~
17のいずれか1項に記載の流体製品吐出装置。
【請求項19】
前記アクチュエータ(800)が前記容器(100)とともに軸方向に移動することにより、前記逆止弁(420)が開放される
ことを特徴とする請求項
18に記載の流体製品吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸気に同期して吐出を行う吸気同期式の流体製品吐出装置に関し、特に吸気同期式のエアゾール吸入器に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸作動型吸入器(Breath Actuated Inhaler(BAI))は従来から公知である。この種の装置では、患者の吸気に流体製品の吐出を同期させるので、患者の気道に流体製品を適切に投与できることがその主な利点として挙げられる。そのため、推進用ガスを用いて流体を吐出するエアゾール装置の分野では、多種多様な呼吸作動型吸入器が提案されてきた。しかしながら、このような装置は、部品数が多いために製造および組立が複雑で高価であるという明らかに不利な欠点も有する。また、作動閾値を高くし過ぎることなく吸気のたびに確実に吸入させながら、それと同時に、偶発的または望ましくない作動を防止するためにラッチを堅牢にすることも困難である。運悪くラッチが偶発的に解除されると、ユーザの意に反して装置が勝手に作動して流体が吐出されてしまう。他の欠点は、ユーザが吸入する前に、時には1回の作動後、次の作動までの間の保管期間中であっても、バルブは一般的にストレス下にあり、その結果、バルブの漏れおよび誤作動の危険を伴っていることである。さらに、既存の装置において、バルブは、例えばキャップを閉じることによって使用者が装置を待機位置に戻すまで、吸入後、一般的に作動位置に留まる。この場合も、バルブの漏れの危険があり、その結果、次の投与量が不完全になり、および/または容器内に収容された流体製品が失われる可能性がある。
【0003】
特許文献1~12には従来の装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2017/178764号
【文献】国際公開第2018/048795号
【文献】国際公開第2017/112451号
【文献】米国特許第5060643号明細書
【文献】国際公開第2004/028608号
【文献】米国特許第3456646号明細書
【文献】米国特許第5119806号明細書
【文献】ニュージーランド特許出願第562769号公報
【文献】米国特許出願公開第2008/156321号明細書
【文献】国際公開第2008/070516号
【文献】国際公開第2010/003846号
【文献】国際公開第2013/178951号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上述の欠点を有さない、すなわち弁の作動後、計量弁が作動位置に留まることを防止できる吸気同期式の流体製品吐出装置を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、吸気の度に有効な作動および投与量の精度を保証することによって動作の信頼性が改善された、吸気同期式の流体製品吐出装置を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、偶発的または望ましくない作動の危険性を最小限にとどめた、吸気同期式の流体製品吐出装置を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、吸気の前および/または後におけるバルブの漏れの危険性を最小限にとどめた、吸気同期式の流体製品吐出装置を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、高すぎる差動閾値を有しないことによって、有病者または高齢者などの比較的身体が弱いユーザでも、安全に信頼して使用できる、吸気同期式の流体製品吐出装置を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、製造および組み立てが簡単で安価な、吸気同期式の流体製品吐出装置を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、作動後に弁室が適切に充填されない結果としてバルブが誤動作する危険性を回避する、吸気同期式の流体製品吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
よって本発明は、吸気同期式の流体製品吐出装置であって、マウスピースを有する本体と、前記本体に対して軸方向に摺動し、流体製品および推進用ガスが入れられている流体製品用の容器と、弁部材を含み、前記容器に装着されており、前記流体製品を選択的に吐出する計量弁と、前記計量弁が作動不可能である阻止位置と前記計量弁が作動可能である作動位置との間で移動および/または変形可能である阻止部材と、前記阻止部材の移動を前記阻止位置において阻止する係止位置と前記阻止部材の移動を阻止しない解除位置との間で移動および/または変形可能であるトリガ部材と、吸気に反応して変形および/または移動可能な吸気反応部材を含む吸気制御式トリガ機構と、バネの作用により待機位置と作動位置との間を移動可能なアクチュエータと、自動弁開放システムと、を備え、前記吸気反応部材は、変形および/または移動して前記トリガ部材を前記解除位置に向けて移動および/または変形させることにより、前記阻止部材を前記阻止位置から前記作動位置に向けて移動および/または変形させ、前記アクチュエータは、前記阻止部材と協働し、前記阻止部材は、前記阻止位置において前記アクチュエータの軸方向の移動を阻止し、前記作動位置において前記アクチュエータの軸方向の移動を可能にし、前記自動弁開放システムは、前記アクチュエータの位置とは関係なく、前記計量弁の前記弁部材を、弁の作動後、前記待機位置に自動的に戻すことを特徴とする。
【0013】
有利には、前記マウスピースの閉位置と開位置との間で可動、具体的には前記本体上で揺動可能なキャップを備え、前記キャップは、前記アクチュエータと協働して、前記閉位置において、前記アクチュエータの前記本体内の軸方向への動きを阻止し、前記開位置から前記閉位置に戻されるときに前記アクチュエータを待機位置に戻すことで、前記バネが蓄勢される。
【0014】
有利には、前記自動弁開放システムは、2つのレバーと、押し込み要素と、レバースプリングとを備え、前記押し込み要素は、前記容器と接触し、前記レバースプリングを介して前記押し込み部材に接続されている。
【0015】
有利には、前記各レバーは、前記押し込み部材のカム内で揺動するようにスタッドを介して組み立てられており、前記押し込み要素と協働して、前記バネによって加えられる力を、前記押し込み要素に伝える。
【0016】
有利には、前記レバーのそれぞれは、吸気前のロック位置では、前記レバーの一方の側が前記押し込み要素の肩部に当接し、前記レバーの他方の側が係止指部に接触しており、前記各係止指部は、カバー部材内に形成され、前記カバー部材の底部から軸方向下方に延びており、前記押し込み要素の前記肩部に当接している各レバーが前記肩部から離れる方向に揺動するのを防止する。
【0017】
有利には、吸気後、前記作動位置では、前記各レバーは、前記カバー部材の前記係止指部と協働しておらず、前記押し込み要素の前記肩部と接触しなくなるまで、前記押し込み部材の内部で揺動することが可能であり、前記容器は、前記各レバーが前記押し込み要素の開口を通過するようになることで、前記計量弁の戻しバネの作用で前記待機位置に向かって上昇することが可能になる。
【0018】
有利には、当該流体製品吐出装置がリセットされる場合にユーザにより前記キャップが閉じられると、前記アクチュエータおよび前記押し込み部材がそれらの待機位置に戻って前記バネを圧縮し、前記各レバーが前記カバー部材の前記係止指部に接触するまで前記押し込み部材と共に軸方向に移動し、これにより前記スタッドが前記カム内を半径方向外方に移動して、前記各レバーが前記係止指部の周りに戻ることが可能になり、前記レバースプリングの作用により前記各レバーが前記押し込み要素の肩部に当接した状態に戻される。
【0019】
有利には、前記阻止部材は、前記本体に対して揺動軸Bを中心として揺動可能に装着されており、前記トリガ部材は、前記本体に対して揺動軸Cを中心として揺動可能に装着されており、前記揺動軸BおよびCは平行である。
【0020】
有利には、前記アクチュエータは、前記阻止部材と協働する軸方向突起部を有し、前記アクチュエータの前記軸方向突起部が、前記阻止位置にある前記阻止部材の阻止伸長部と協働して、前記アクチュエータの軸方向の動きを阻止し、前記アクチュエータの前記軸方向突起部が、前記作動位置にある前記阻止部材の軸方向凹部と協働して、前記容器の軸方向の移動を可能にする。
【0021】
有利には、前記アクチュエータの前記軸方向突起部が、前記阻止位置にある前記阻止部材を前記作動位置に向けて付勢する。
【0022】
有利には、前記阻止部材は、前記係止位置にある前記トリガ要素の係止肩部と協働してラッチを構成する係止突起部を有し、前記ラッチは、前記阻止部材が前記阻止位置から移動および/または変形することを阻止する。
【0023】
有利には、前記ラッチは、前記阻止部材と前記係止位置にある前記トリガ部材とが接触する第1接触点を形成し、前記阻止部材は、前記係止位置にある前記トリガ部材の当接面と協働して、前記阻止部材と前記トリガ部材とが接触する第2接触点を形成する側方突起部を有し、前記トリガ部材が前記係止位置にある間は、前記第1接触点より前記第2接触点のほうが、前記トリガ部材の揺動軸Cからの距離が長い。
【0024】
有利には、前記本体に固定、具体的にはネジ止めまたはスナップ止めされたカバー部材と、前記カバー部材内において軸方向に摺動可能に取り付けられた押し込み部材と、を備え、前記押し込み部材は、前記アクチュエータと協働し、前記バネは、前記カバー部材の底部と前記押し込み部材との間に配され、吸気前では前記押し込み部材は、前記容器と非接触であり、前記バネにより前記押し込み部材に加えられる力が前記容器に伝達されず、吸気中では前記押し込み部材は、前記アクチュエータとともに軸方向に移動して前記容器に当接し、前記容器を前記本体の内部において軸方向に移動させて前記計量弁を作動させる。
【0025】
有利には、流体製品の吐出が行われたことをユーザに伝えるためのインジケータを含む。
【0026】
有利には、前記インジケータは、視覚インジケータおよび/または可聴インジケータである。
【0027】
有利には、さらに、電子カウンタを含む。
【0028】
有利には、当該流体製品吐出装置の最初の使用前に、前記電子カウンタは待機モードにあり、前記電子カウンタは接触部を含み、前記アクチュエータは、前記作動位置に向かうその最初の移動中に前記接触部に接触して、前記電子カウンタを通常の動作モードにする。
【0029】
有利には、前記電子カウンタは、少なくとも1つの加速度計を備える。
【0030】
有利には、前記吸気反応部材は、変形可能な膜体を含み、前記膜体は、変形可能な空気室を構成し、前記トリガ部材に固定され、吸気中に変形して、前記トリガ部材を前記係止位置から前記解除位置に向けて移動させる。
【0031】
有利には、前記マウスピースは、前記本体の内部に連通させる開口を有し、前記吸気の開始時点では、前記開口は逆止弁により閉鎖されており、前記吸気により生じる吸気流の大部分が前記トリガ機構に最初に伝わる。
【0032】
有利には、前記アクチュエータが前記容器とともに軸方向に移動することにより、前記逆止弁が開放される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下に示す詳細な説明および添付図面は、非限定的な例として、本発明の特徴や利点を明確にするものである。
【
図1】第1の有利な実施形態に係る流体製品吐出装置の待機状態を示す概略断面図である。
【
図2】キャップを開いた後、吸気前における流体製品吐出装置を示す、
図1と同様な断面図である。
【
図3】吸気後における流体製品吐出装置を示す、
図2と同様な図である。
【
図4】変形例に係る流体製品吐出装置を示す、
図2と同様な図である。
【
図5】吸気後における流体製品吐出装置を示す、
図4と同様な図である。
【
図6】吸気前における
図1に示す流体製品吐出装置の概略正面図である。
【
図7】吸気後における流体製品吐出装置を示す、
図6と同様な図である。
【
図8】
図1に示す流体製品吐出装置の変形例に係る、組み立て前の流体製品吐出装置を示す概略断面図である。
【
図9】組み立て中における流体製品吐出装置を示す、
図8と同様な図である。
【
図10】かしめ(crimping)前における
図9に示す流体製品吐出装置の一部を詳細に示した図である。
【
図11】かしめ後における流体製品吐出装置の一部を示す、
図10と同様な図である。
【
図12】第2の有利な実施形態に係る流体吐出装置の分解斜視図である。
【
図13】
図12に示す流体製品吐出装置の待機状態を示す概略断面図である。
【
図14】
図12に示す流体製品吐出装置において、キャップを開いた後、吸気前の状態を示す概略断面図である。
【
図15】
図12に示す流体製品吐出装置において、吸気後の状態を示す概略断面図である。
【
図16】吸気前における
図13に示す流体製品吐出装置のラッチの構成を示す概略拡大図である。
【
図17】吸気の開始時における
図14に示す流体製品吐出装置のラッチの構成を示す概略拡大図である。
【
図18】吸気の終了時における
図15に示す流体製品吐出装置のラッチの構成を示す概略拡大図である。
【
図19】バルブ開放システムの作動からリセットまでの間のある段階におけるバルブ開放システムの構成を示す概略詳細図である。
【
図20】バルブ開放システムの作動からリセットまでの間の別の段階におけるバルブ開放システムの構成を示す概略詳細図である。
【
図21】バルブ開放システムの作動からリセットまでの間のさらに別の段階におけるバルブ開放システムの構成を示す概略詳細図である。
【
図22】バルブ開放システムの作動からリセットまでの間のさらに別の段階におけるバルブ開放システムの構成を示す概略詳細図である。
【
図23】押し込み部材の一部断面を含む概略斜視図である。
【
図24】バルブ開放システムのレバーの概略斜視図である。
【
図25】バルブ開放システムの押し込み要素の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の説明では、用語「上」、「下」、「上方」および「下方」は、
図1~
図9および
図13~
図15に具体的に示す吸入器での位置を表わす。また、用語「軸方向」および「半径方向」は、別段の指定がない限り、バルブの垂直中心軸に対する方向を表わす。さらに、用語「近位」および「遠位」は、マウスピースに対する位置を表わす。
【0035】
本発明は、以下に詳述するとおり、エアゾール弁式の経口吸入器に特に適用されるが、経鼻吸入器のような他の種類の吸入器にも適用可能である。
【0036】
本発明の様々な有利な実施形態を図面で示すが、以下で説明する構成部品のうちの1つまたは複数は、類似または同一の機能を提供しながら、何らかの他の方法で実施することが可能である。
【0037】
図面を参照すると、吸入器は、マウスピース400を備えた本体10を含む。
【0038】
本体10は、単一部品として製造されてもよいし、または複数の部品を組み立てて製造されてもよい。
図12は、本体10が2つのハーフシェルから形成される例を示すが、他の実施形態も可能である。以下の説明では、本体の全体を示す場合に参照番号10で示されている。
【0039】
マウスピース400は、吸入器が使用されている間にユーザが吸入する吸入口になる。マウスピース400は、本体10と一体に形成されてもよいが、図面に示す実施形態では、本体10の底部に組み付けられている。
【0040】
着脱可能な保護キャップ1は、特に保管されている間、マウスピース400を覆うように設けられている。このキャップ1は移動可能であり、好ましくは、
図1、
図8、
図9および
図13に示す閉位置と、
図2~
図7、
図14および
図15に示す開位置との間で、本体10上で揺動するように取り付けられる。
【0041】
本体10は容器100を収容している。容器100には、吐出用の流体製品およびハイドロフルオロアルカン(HFA)類のような推進用ガスが入れられている。また、容器100には、流体製品を選択的に吐出するための計量弁200が装着されている。計量弁200は弁本体および弁部材210を含む。吸入器が作動する間、弁部材210は、弁本体ひいては容器100に対して、待機位置と作動位置との間を軸方向に移動可能である。計量弁200は適切であればいかなる形状でもよい。計量弁200は、適切な固定具、好ましくはクリンプキャップを用いて容器100に固定されてもよい。この場合、クリンプキャップと容器100の間にはネックガスケットを挿入することが好ましい。
【0042】
吸入器が作動する間、弁部材210は本体10に対して静止し、容器100は、待機位置である遠位位置と吐出位置である近位位置の間で、本体10に対して軸方向に移動することが好ましい。
【0043】
計量弁200の弁部材210の開口は、流路を介してマウスピース400に連通している。ユーザは、このマウスピース400を介して、吐出される流体製品を吸入する。公知技術によれば、弁部材210は弁受け700に受け止められる。弁受け700には少なくとも部分的にその流路が含まれる。
【0044】
アクチュエータ800は、容器100の周囲に装着されることが好ましい。このアクチュエータ800は、本体10の内部において容器100を取り囲むように配置された中空スリーブを含む。アクチュエータ800の軸方向遠位側端部には、押し込み部材810が取り付けられており、押し込み部材810は、本体10の軸方向上端部に配置されたカバー部材11内に受け入れられている。カバー部材11の底部と押し込み部材810との間には、バネ850が配置されている。待機位置において吸入がなされるまで、バネ850がプレストレスされ、これにより押し込み部材810に力Fが加えられ、この力Fが押し込み部材810からアクチュエータ800に伝達される。アクチュエータ800は、待機位置と作動位置との間で本体10に対して軸方向に移動可能、特にスライド可能である。アクチュエータ800の下端部802は、キャップ1の閉位置においてキャップ1の部分3に当接してアクチュエータ800が待機位置でブロックされるように、キャップ1と協働する。さらに、キャップ1は、その開位置からその閉位置に戻されるときに、アクチュエータ800の下端部802と協働して、アクチュエータ800をその作動位置からその待機位置に戻させるカム4を備える。アクチュエータ800が待機位置に向かって戻ると、押し込み部材810も戻され、バネ850が圧縮される。従って、バネ850は、作動後にユーザがキャップ1を閉じる度に蓄勢(reload)される。
【0045】
吸入器は、阻止部材500を備える。阻止部材500は、計量弁200の作動に係る阻止位置と作動位置の間で移動可能および/または変形可能である。計量弁200は、阻止部材500が阻止位置にある間は作動不可能であり、阻止部材500が作動位置にある間は作動可能である
阻止部材500は、本体10に対して、阻止位置と作動位置の間で揺動軸B(
図16~
図18)を中心として揺動可能に装着されていることが望ましい。
【0046】
吸気前、阻止部材500は阻止位置にある。ユーザがマウスピース400を通して吸気すると、阻止部材500は作動位置に向かって移動および/または変形する。つまり、ユーザが吸気しない限り、計量弁200を作動させることができない。ユーザが吸気したときにのみ、本体10内における容器100の軸方向の移動によって計量弁200を作動させることができる。
【0047】
以下にさらに詳述するように、阻止部材500は、阻止位置では、本体10の内部におけるアクチュエータ800の軸方向の移動を阻止する。ユーザが吸気すると、阻止部材500は移動および/または変形するので、本体10の内部におけるアクチュエータ800の軸方向の移動が可能になる。吸気後、アクチュエータ800の軸方向の移動が容器100の軸方向の移動を引き起こし、それゆえ計量弁200が作動する。こうして、吸気に同期して1回分の流体製品が吐出される。
【0048】
したがって、ユーザが吸気していないのにもかかわらず吸入器が偶発的にまたは不完全に作動して有効な流体製品が失われる危険性はない。
【0049】
キャップ1の閉位置では、特に
図1に示されるようにキャップ1の阻止部2が阻止部材500の突起部503と協働して、阻止部材500を阻止位置に留める。キャップ1が開放されると、この阻止部材500の阻止位置への停留が解除される。
【0050】
したがって、キャップ1を開くことは、閉位置においてキャップ1によって提供される2つの阻止、すなわち、第1に、アクチュエータ800の軸方向における移動の阻止と、第2に、阻止部材500の揺動の阻止とを解除することになる。
【0051】
吸入器は、吸気制御式のトリガ機構を含む。トリガ機構は、ユーザがマウスピース400を介して吸気すると、阻止部材500を阻止位置から作動位置に向けて移動および/または変形させることを目的としている。
【0052】
トリガ機構は、ユーザの吸気に反応して移動および/または変形可能な吸気反応部材60を含む。吸気反応部材60が移動および/または変形すると、阻止部材500は阻止位置から作動位置に向かって移動および/または変形する。
【0053】
以下にさらに詳述するとおり、吸気反応部材は、例えば蛇腹や変形可能な袋などで構成した、変形可能な空気室60でもよい。
【0054】
吸気制御式のトリガ機構は、ユーザの吸引流の途中にあるのではなく、特定の室である空気室60により構成される。吸引流において移動/変形するフラップにより動作する機構では、ユーザはトリガ後にフラップの両側にある空気を吸い込むが、本実施形態のトリガ機構はこれとは異なり、減圧下で動作し、ユーザは変形前の空気室60にある少量の空気しか吸引しない。したがって、本発明に係るトリガ機構はより一層安定的で効果的である。
【0055】
阻止部材500は、少なくとも1つ、好ましくは2つの阻止伸長部501を備える。阻止伸長部501は、阻止位置においてアクチュエータ800の軸方向突起部801と協働する。
図29は、阻止部材500の斜視図である。
【0056】
阻止部材500が、作動位置に向かって移動、具体的には揺動軸Bを中心として揺動すると、阻止伸長部501は軸方向突起部801から離れる。特に、阻止部材500は、各阻止伸長部501に隣接する軸方向凹部502(
図18)を有する。軸方向突起部801が対応する軸方向凹部502内を軸方向に摺動可能であることにより、アクチュエータ800が本体10の内部を軸方向に摺動可能であり、容器100を軸方向に移動させ、計量弁200が作動して1回分の流体製品が吐出される。
【0057】
阻止部材500は、トリガ部材600によって阻止位置に保持される。
図28は、トリガ部材600の斜視図である。有利にはトリガ部材600は、係止位置と解除位置の間で揺動軸C(
図16および
図18)を中心として揺動可能に本体10に装着される。トリガ部材600は、係止位置では阻止部材500の移動を阻止位置において阻止し、解除位置では阻止部材500の移動を阻止しない。
【0058】
有利には、揺動軸BおよびCは互いに平行である。
【0059】
阻止部材500およびトリガ部材600は協働してラッチを構成する。具体的には、トリガ部材600が係止位置にある間は、その係止肩部610が、阻止部材500の係止突起部510を係止する。これにより、阻止部材500は阻止位置からの揺動を阻止される。すなわち、トリガ部材600は、係止位置では、阻止部材500の作動位置に向かう移動を阻止するので、容器100の軸方向移動ひいては計量弁200の作動も阻止される。
【0060】
このように、本発明に係る阻止機構は、阻止部材500およびトリガ部材600がラッチを構成する第1段階と、阻止部材500およびアクチュエータ800の移動を阻止する第2段階との二段階からなる。
【0061】
この阻止機構によれば、吸気により生じる小さな力によって、大きな力(一般的には約40N~45N)を解除できる。阻止部材500は、バネ850が押し込み部材810を介してアクチュエータ800を押圧することで生じる力F(例えば45N)を受けると、アクチュエータ800が並行移動するのを停止させる。阻止部材500およびトリガ部材600は相互に作用し、トリガ部材600が阻止部材500の移動の阻止およびその解除を行う。なお、トリガ部材600の移動は吸気により制御される。
【0062】
阻止機構を構成すれば、一般的には100倍程度のきわめて大きな増幅(係止力/係止解除力)が可能になる。
【0063】
以下に述べるとおり、好ましくは阻止部材500およびトリガ部材600は、離れた2つの接触点で互いに接触する。
【0064】
・第1接触点は、係止肩部610および係止突起部510が構成するラッチにより形成され、有利にはトリガ部材600の揺動軸Cの近傍にある。
【0065】
・第2接触点は、第1接触点から離れており、阻止部材500の側方突起部520およびトリガ部材600の当接面620が協働することにより形成される。有利には、トリガ部材600が係止位置にある間は、第1接触点より第2接触点のほうが、トリガ部材600の揺動軸Cからの距離が長い。また有利には、ユーザが吸気を開始して吸入器が作動するときに阻止部材500およびトリガ部材600の接触が先に解除されるのは、第2接触点である。
【0066】
阻止位置では、キャップ1の開放後、吸気の前に、アクチュエータ800がバネ850により押圧されて生じる軸方向の力Fが、アクチュエータ800の軸方向突起部801によって阻止部材500の阻止伸長部501に作用する。この力Fは、阻止部材500を
図16に示す第1の方向S1に回転するように付勢する効果を有し、よって、阻止部材500およびトリガ部材600によるラッチの係止を強化し、ラッチした状態を安定させる。
【0067】
ユーザが吸気すると生じる係止解除力が、好ましくは揺動軸Cから離れた位置630で、吸気反応部材60によってトリガ部材600に作用する。この係止解除力は、
図17に示すように、方向S1の反対方向S2にトリガ部材600を揺動させようとする。
【0068】
阻止部材500の阻止伸長部501に作用する力Fの作用線(force axis)から阻止部材500の揺動軸Bまでの距離に応じて、阻止部材500にかかるトルクが制御される。この距離dを可能な限り短くしてトルクを小さくすることが好ましい。
図16に示す距離dは、0ではなく、2mm未満であり、好ましくは1mm未満である。
【0069】
また、阻止部材500からトリガ部材600に作用する力F′の作用線からトリガ部材600の揺動軸Cまでの距離d′に応じて、トリガ部材600にかかるトルクが制御される。ここでも、距離d′を可能な限り短くしてトルクを小さくすることが好ましい。
図16に示す距離d′は、0ではなく、2mm未満であり、好ましくは1mm未満である。
【0070】
このラッチ機構を用いれば、トリガ部材600の揺動に必要な力はきわめて小さくて済むので、吸気反応部材60で生じさせてもよい。この場合、吸気により生じる減圧を係止解除力に変換することができる。
【0071】
マウスピース400は有利には、
図4および
図5に記載の変形例で示すように、本体10の内部に連通する1個または複数個の開口410を有する。吸入器が待機状態にあるときおよびユーザが吸気を開始する時点では、少なくとも1個の開口410は、逆止弁420に閉鎖されているので、吸気流の大部分は吸気によりトリガ機構に最初に伝わる。この例ではトリガ機構は変形可能な空気室60である。このように、吸気によってトリガを最適化できる。ユーザの吸気により阻止部材500が作動位置に向かって移動すると、容器100は本体10に対して軸方向に移動するので、1回分の流体製品の吐出のために計量弁200が作動する。このとき、アクチュエータ800またはその代わりに容器100が逆止弁420を開放位置に向けて移動させる。これによりその少なくとも1個の開口410が開放されて、作動中に空気が流入して吸気流が増加する。このようにしてユーザの吸気と流体の吐出を最適に同期できるので、流体が良好にユーザの肺に到達しやすくなる。
【0072】
有利には、ユーザは、本体10の外からトリガ部材600を操作可能である。このように構成すれば、例えばユーザが流体の服用を必要とするものの十分に吸気できない場合などに、必要に応じて吸気がなくともトリガ部材600を手動で移動させて計量弁200を作動させることができる。このようにトリガ部材600は安全策である。プライミングを必要とする従来の計量弁についてもそのプライミングが可能になる。
【0073】
図示の実施形態では、吸気反応部材60は変形可能な空気室である。有利には空気室は変形可能な膜体からなる。膜体は本体10およびトリガ部材600に連通する。図面から分かるように、有利には膜体は実質的に密閉状態の蛇腹である。また、膜体はその他の構造でもよく、具体的には単なる袋やダイヤフラムなどでもよい。さらには、膜体はスタッド(stud)によりトリガ部材600の開口または縁部630に固定されてもよい。
【0074】
ユーザが吸気すると、その吸気で生じる吸引力によって、変形可能な膜体が変形および/または収縮するので、トリガ部材600が係止位置から解除位置に向かって移動する。そうすると、阻止部材500およびトリガ部材600が構成するラッチが解除されて、阻止部材500が阻止位置から作動位置に向かって移動する。
【0075】
このように、ユーザの吸気中にのみ計量弁200が作動するので、吸気に同期して1回分の流体製品が吸入口を介して吐出される。
【0076】
図1のように待機位置では、キャップ1が閉じた状態で、押し込み部材810が容器100と接触しない。したがって、この待機位置では、バネ850の力が押し込み部材810によってアクチュエータ800に作用し、キャップ1に伝達される。したがって、吸入器の保管中に、計量弁200には圧力が加わらず、このことは、計量弁の漏れおよび/または誤動作の危険性を制限するか、または排除さえする。
【0077】
ユーザが吸入器を使用したいとき、ユーザはキャップ1を開く。そうすることで、キャップ1によりアクチュエータ800の軸方向の動きが阻止されることがなくなり、阻止部材500の揺動が阻止されることもなくなる。この位置において、アクチュエータ800は、アクチュエータ800の軸方向突起部801を軸方向にブロックする阻止部材500の阻止伸長部501によってブロックされ、本体10内における軸方向の摺動を妨げられる。
図2から分かるように、この準備位置(吸気前にキャップが開いている状態)では、押し込み部材810は依然として容器100と接触していない。したがって、この位置においても、バネ850の力は、押し込み部材810によってアクチュエータ800に加えられ、アクチュエータ800から阻止部材500に伝達され、阻止部材500からトリガ部材600に伝達される。したがって、吸気前には、計量弁200に圧力が加えられず、これにより、計量弁の漏れおよび/または誤動作の危険性が制限されるか、さらには排除される。
【0078】
ユーザがマウスピース400を通じて吸気すると、吸気反応部材60の変形可能な膜体が変形して、この膜体に固定されたトリガ部材600が揺動する。トリガ部材600の動きにより、トリガ部材600の係止肩部610と阻止部材500の係止突起部510により構成されるラッチが解除される。アクチュエータ800によって伝達される軸方向の力Fによって阻止部材500が揺動するので、アクチュエータ800が軸方向に摺動することが可能になる。その結果、アクチュエータ800と一体である押し込み部材810が容器100と当接し、容器100を本体10の内部で吐出位置に向かって軸方向に移動させ、計量弁200を作動させる。
【0079】
同時に、
図4および
図5に示す変形例では、アクチュエータ800(または代替的に容器100)は、逆止弁420を開く。
【0080】
吸気の終わりに、吸入器は、ユーザがキャップ1を閉じなければならないことをユーザに伝えるための信号手段を備えることが好ましい。信号手段は、
図6および
図7に示すように、視覚的インジケータを含むことができる。この例では、窓15が本体10に形成され、窓15を通してアクチュエータ800の着色部分が外側から見える、表示手段を形成する。したがって、待機位置または準備位置では、キャップ1が開いているが吸気前は、窓15に明るい色、例えば緑色を表示することができ、一方、吸気後は暗い色、例えば赤色を窓15に表示することができる。もちろん、他の同様の実施形態も可能である。
【0081】
変形例では、複数の窓15を有することが可能である。窓15は、吸入器の異なる場所、例えば本体10の上部またはカバー部材11上に配置されてもよい。窓15に表示される表示手段は、変形例として、ユーザに警告するのに役立つ、記号、図、文字またはその他の任意の表示を含むことができる。これらの表示手段は、例えば、パッド印刷によって、アクチュエータ800上に直接的に形成されてもよく、あるいはアクチュエータ800に固定された部分に形成されてもよい。表示手段は、例えば、押し込み部材810、阻止部材500、トリガ部材600、吸気反応部材60のような、作動中に動く他の任意の部分上に設けるとしてもよい。
【0082】
別の変形例として、信号手段は、キャップ1が閉じられなければならないことをユーザに伝えるためにユーザに聞こえる音を発する、ラウドスピーカーのような可聴インジケータを含むとしてもよい。
【0083】
ユーザがキャップ1を閉じると、アクチュエータ800は、キャップ1によってその待機位置に向かって押し返され、その結果、容器100は、計量弁200の戻しバネの作用によって本体10の内部をその待機位置に向かって軸方向に上昇する。これと同時に計量弁200の弁部材210も待機位置に戻るので、弁室が新たな1回分の流体製品で満たされる。トリガ部材600も、特には膜体の弾性力によって係止位置に戻される。阻止部材500も阻止位置に戻る。
【0084】
このようにして吸入器は以後の使用に備える。
【0085】
図8~
図11に示される有利な変形例では、吸入器の最終的な組立てが、吸入器を販売する製薬企業のために簡略化される構成になっている。実際、ほとんどの既存の吸入器では、有効成分で満たされた容器は、本体の内部に挿入され、次いで、その容器の上にいくつかの部品を配置する必要があり、このことは、生産性および組立の簡易性を容易にするものではない。この欠点を排除するために、本発明では、押し込み部材810、バネ850およびカバー部材11によって形成されるサブアセンブリを事前に組み立てることを有利に提供する。
【0086】
このサブアセンブリでは、これらの3つの部品の組立中にプレストレスがなされる。例えば、カバー部材11の軸方向中央スリーブ110の周りに押し込み部材810とバネ850が組み付けられた状態で、軸方向中央スリーブ110の軸方向下端部111を加熱ツールOによって熱変形させることが行われる。このように軸方向下端部111は、押し込み部材810およびバネ850をカバー部材11の内部に保持する保持カラーを生成するように変形されてなる。このように形成されたこのサブアセンブリは、次いで、例えばネジ止めまたはスナップ止め(snap-fit)によって、単一の組立作業で本体10上に組み立てることができる。この結果、製薬企業の組立ラインでは、容器100を本体10の内部に挿入し(
図8)、そして、上記のサブアセンブリを本体10上に組み立てる(
図9)という2つの作業のみが行われる。この組み立ての間、本体10内に配置されたアクチュエータ800は、押し込み部材810と協働して、押し込み部材810をカバー部材11内において軸方向に押し込み、押し込み部材810に押されたバネ850に負荷がかかる。ネジ止め式では、このシステムは、容器を変更することも可能になる。実際に、この吸入器は、環境上の理由から、特に、過剰な量のプラスチック部品および/または過剰な量の電子部品を廃棄することを回避するために、再使用可能かつ再充填可能であり得る。
【0087】
図12~
図15および
図19~
図22に示す有利な実施形態では、自動弁開放システムを備え、この自動弁開放システムは、キャップ1の位置およびアクチュエータ800の位置とは関係なく、計量弁200の弁部材210を、弁の作動後、その待機位置に自動的に戻す。したがって、この変形例では、たとえユーザによるキャップ1を閉じる操作が遅れても、次の投与量が不十分な用量になるというような誤動作の危険はない。
【0088】
弁開放システムは、以下の追加部品で構成されている。
・2個のレバー901、902
・押し込み要素910
・レバースプリング920
押し込み要素910は、容器100と接触するために設けられ、レバースプリング920を介して押し込み部材810に接続される。有利には、吸気の前に、押し込み要素910は、容器100から軸方向に非常にわずかにずれており、このずれた位置では、容器100または計量弁200に圧力を伝達しないようになっている。押し込み要素910が容器100に接触するのは、ユーザが吸気して、アクチュエータ800の軸方向への動きの阻止が解除されたときだけである。
【0089】
各レバー901、902は、押し込み部材810のカム815内でスタッド(stud)905を介して揺動可能なように組み立てられており、押し込み要素910と協働する。
【0090】
ユーザが吸気すると、アクチュエータ800、つまり押し込み部材810がバネ850の作用により軸方向下方に移動する。この力は、押し込み部材810からレバー901、902を介して押し込み要素910に伝達され、押し込み要素910から容器100に伝達される。これにより、容器100が軸方向に動いて計量弁200が作動する。
【0091】
この弁開放システムの目的は、吸気後にバネ850から容器100への力の伝達を開放して、容器100がアクチュエータ800とは独立してその待機位置に向かって戻ることを可能にすることである。これにより、例えばキャップ1を閉じ忘れた場合、吸入器が次の投薬の計量弁200への充填のための適切な位置にあるときには、不正確な投薬の危険性なしに、吸気直後に計量弁200に次の投薬を充填することが可能になる。
【0092】
弁開放システムは、以下のように動作する。
【0093】
図19に示すように、吸気前のロック位置では、レバー901および902は、その軸方向一方の側が押し込み要素910の肩部911に当接し、その軸方向他方の側が係止指部115に接触している。係止指部115は、カバー部材11内に形成され、カバー部材11の底部から軸方向下方に延びている。これらの係止指部115は、押し込み要素910の肩部911に当接しているレバー901、902が押し込み要素910の肩部911から離れる方向に揺動するのを防止する。この位置では、バネ850の力は、レバー901、902によって押し込み要素910に伝達され、したがって、容器100に伝達される。
【0094】
アクチュエータ800が作動位置に到達すると、計量弁200が作動して1回分の用量を吐出するとともに、
図20に示すように押し込み部材810、押し込み要素910およびレバー901、902がカバー部材11に対して軸方向下方に摺動する。この位置では、レバー901、902は、もはやカバー部材11の係止指部115と協働していない。これによりレバー901、902は、押し込み要素910の肩部911と接触しなくなるまで、押し込み部材810の内部で揺動することが可能になる。有利には、押し込み要素910のレバー901、902からの開放は、計量弁による用量の吐出後であるが、その弁の作動ストロークの終了前に行われる。
【0095】
揺動によりレバー901、902が押し込み要素910の肩部911から離れたとき、レバー901、902の下端部が押し込み要素910の開口912に面しており、その結果、
図21に示すようにレバー901、902がその開口912を通過するようになることで、容器100が計量弁200の戻しバネの作用で再度、待機位置に向かって上昇することが可能になる。容器100がその待機位置に向かって戻る間、押し込み要素910は、容器100と共に、押し込み部材810およびレバー901、902に対して軸方向上方に摺動する。この動きの間、計量弁200の戻しバネよりも剛性が小さいレバースプリング920が圧縮される。
【0096】
吸入器をリセットする場合にユーザがキャップ1を閉じると、
図22に示すようにアクチュエータ800および押し込み部材810は、それらの待機位置に戻り、ばね850を圧縮する。この動きの間、レバー901、902は、レバースプリング920から矢印F1で示す回転方向の力を受ける。レバー901、902の下端部が押し込み要素910の開口912内にある限り、レバー901、902は揺動することができず、矢印F2で示す方向に押し込み部材810と共に軸方向に移動する。レバー901、902がカバー部材11の係止指部115に接触すると、スタッド905が矢印F3で示す方向に半径方向外方にカム815内を移動させられ、レバー901、902がカバー部材11の係止指部115の周りに戻ることを可能にする。アクチュエータ800および押し込み部材810がそれらの待機位置に到達すると、レバー901、902は押し込み要素910の開口912から出てきており、レバースプリング920の力により各レバーが肩部911に当接した状態に戻される。
【0097】
吸入器の信頼性のある動作を保証するために、弁開放システムは、吐出用量の供給が確実に行われるように十分なストロークの後にのみ作動されなければならない。部品の製造公差のために、押し込み要素910と容器100との間に緩衝要素を設けることが有利であり得る。この緩衝要素は、弁開放システムの作動を減速またはオフセットしなければならず、バネまたは圧縮可能な部品のような弾性要素であってもよい。例えば、エラストマーで作ることができる。その緩衝要素の抵抗力は、緩衝要素が変形する前に最初に計量弁200が作動するように弁部材210の作動位置における計量弁200のバネの力よりも大きく、かつ、作動ストロークの終わりで緩衝要素が圧縮されることを保証するために、アクチュエータ800の作動位置においてバネ850の力よりも小さくなければならない。変形例としては、空気または流体が充填されており、リーケージオリフィス(leakage orifice)が設けられたシリンダーまたは可変容積チャンバによって形成された緩衝要素を使用することも可能である。
【0098】
有利な実施形態では、吸入器は、
図1~
図9に示すドーズカウンタ1000を備えることができ、このドーズカウンタ1000は、本体10内に有利に組み立てられ得る機械的または電子的なものであることができる。このようなドーズカウンタは、
図12~
図22の実施形態に関連付けることもできる。特に、このカウンタ1000は、アクチュエータ800または容器100の動きを検出することができる。変形例では、このカウンタに、吐出中の流体製品を検知するセンサに接続してもよい。このセンサは、具体的には膜体センサであり、例えば弁受けに設けられる。このようなカウンタは、他の方法、例えば弁本体に対する計量弁200の弁部材210の動きを検出することによって作動させることができる。
【0099】
カウンタが電子式の場合、最初の使用までの保管期間を通して動作するのに十分な電気エネルギーを有していなければならない。そのような電子カウンタでは、バッテリーは、例えば、その使用を通じておよび少なくとも医薬品の有効期限まで、ユーザ(残っている用量の数を見る)および/または第三者のアプリケーションと通信するのに十分な容量を有していなければならない。過度に大きなバッテリーを避けるために、最初の使用前における電子回路基板の消費電力を減らす必要がある。これを行うために電子機器は、最初の使用の瞬間まで、ほとんど電気エネルギーを消費しない待機モードに置かれることが有利である。電子機器を「起動」するために、ユーザは、最初の用量を吸入することによって(プライミングの必要のない弁が設けられている吸入器の場合)、またはプライミングによって(従来の弁が設けられている吸入器の場合)、吸入器を作動させることが要求される。この作動はまず、アクチュエータ800が本体10の内部で下降する。次いで、アクチュエータ800の一部が
図2~
図5に示すように接触部1010を押し付ける。これによって電流ループ(current loop)が閉じる。次に、吸入器は、この強度の変化を検出し、これにより、電子回路が起動し、カウンタが通常の動作状態になる。
【0100】
変形例として、または追加的に、吸入器は加速度計を備えてもよい。
【0101】
この加速度計は、次のいくつかの機能を有することができる。
【0102】
加速度計は、吸入器が実際に使用される前に振られたことを確認するために使用することができる。実際に、加圧された容器内に貯蔵されている薬剤の大部分は、多かれ少なかれ可溶性の薬剤であり、したがって、1回分を服用する前にそれらを混合することが必要になる。もし電気回路が加速度計を介して吸入器が動揺されていないことを感知した場合、ユーザに、例えばそのスマートフォン上のアプリケーションによって、または吸入器の画面上で、そのことを知らせることができる。
【0103】
人によっては、吸入器を作動させたいときに吸入器を逆さまにしてしまう人がいる。吸入器が逆さまになっているとき、すなわち、容器が計量弁の下に位置する状態になっているとき、液体は計量弁の弁室内に入ることができず、その結果、用量を充填するときに投与量が減少するか、またはゼロにさえなる。加速度計は、患者が吸入器を逆さまにしているかどうかを検出し、好ましくは、服用の前に、例えばビープ音および/または画面上および/またはスマートフォン上の表示によって、吸入器が正しい方向にないことを示すことができる。
【0104】
加速度計の別の使用としては、バッテリーの電力を節約するために加速度計を使用することである。吸入器がバッグまたはズボンのポケット内にあるか、またはテーブル上に載置されているとき、吸入器は待機モードにあり、この段階ではカウンタの画面および搭載電子機器の大部分が待機モードにおいて電力消費を大幅に低減する。ユーザが吸入器を手に取ると、加速度計がその動きを検出し、電子機器を起動させて、カウンタを通常の動作モードにする。このオプションにより、搭載バッテリーの容量を低減でき、環境への悪影響がより少なくなる。
【0105】
また、吸入器の作動に係る情報の通信を行う信号送信手段を、吸入器に備えることもできる。この通信は具体的には遠隔通信である。特に、基地局との遠隔通信を行う信号送信モジュールを、本体および/またはキャップおよび/またはカウンタに含めることもできる。適切な電源手段が設けることができれば有利である。
【0106】
有利には、電子モジュールは、パルス送信する電気スイッチを備えるボードを備えることができる。また、電子モジュールは、表示装置を含むこと、および/または、電子モジュールがBluetooth(登録商標)接続またはWi-Fi(登録商標)接続により情報を周辺機器に送信することも可能である。さらに、流速センサおよび/または圧力センサなどの適切なセンサを設けて、吸気流の各種パラメータを検知してもよい。
【0107】
電気スイッチは、アクチュエータおよび/または阻止部材および/またはトリガ部材および/または吸気反応部材の移動によって作動させることができる。
【0108】
本発明に係る吸気同期式の吸入器に、実投与回数を計数する電子ドーズカウンタとともに信号送信手段を用いれば、医師や吸入器のユーザによる使用状況を監視したい者に対して、流体の投与のたびに確実に信号を送信できる。吸入器が吸気同期式であるので、ユーザは吸入器を作動させるたびに流体を吸入できる。また、電子ドーズカウンタは、流体の投与のたびにその回数を、投与時刻のような投与に関連する各種のパラメータとともに記録できる。このようにすれば、ユーザによる吸入器の使用状況を、医師がきわめて正確に把握することができる。
【0109】
本発明は、サルブタモール、アクリジニウム、ホルモテロール、チオトロピウム、ブデソニド、フルチカゾン、インダカテロール、グリコピロニウム、サルメテロール、ウメクリジニウム臭化物、ビランテロール、およびオロダテロール(Striverdi(登録商標))の処方またはこれらの処方の組み合わせにより行われる、喘息発作や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療に特に適用される。
【0110】
本発明について、各種の有利な実施形態および変形例に基づいて説明したが、当然ながら当業者は、添付の特許請求の範囲において定義した本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変形を適用してもよい。