(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ウェブ状の包装材料の製造
(51)【国際特許分類】
A24B 13/00 20060101AFI20240401BHJP
D04H 1/4382 20120101ALI20240401BHJP
D04H 1/425 20120101ALI20240401BHJP
D04H 1/541 20120101ALI20240401BHJP
B65B 9/08 20120101ALI20240401BHJP
【FI】
A24B13/00
D04H1/4382
D04H1/425
D04H1/541
B65B9/08
(21)【出願番号】P 2021548605
(86)(22)【出願日】2020-02-17
(86)【国際出願番号】 EP2020054050
(87)【国際公開番号】W WO2020169513
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-10-26
(32)【優先日】2019-02-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】510171922
【氏名又は名称】スウィーディッシュ・マッチ・ノース・ヨーロップ・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ボディン
(72)【発明者】
【氏名】リネア・ザイラー
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0303511(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0031416(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0073689(US,A1)
【文献】国際公開第2008/016770(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 13/00
D04H 1/4382
D04H 1/425
D04H 1/541
B65B 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋詰めされた経口スナッフ製品のための包装材料のウェブを製造するための装置(100)であって、前記ウェブが、唾液透過性を有している不織布ウェブとされ、前記不織布ウェブが、第1のタイプの繊維と第2のタイプの繊維とから成り、前記第1のタイプの繊維が、0%~95%を占め、前記第2のタイプの繊維が、100%~5%を占める、前記装置(100)において、
前記装置(100)が、
前記第1のタイプの繊維を供給するための第1の繊維供給ユニットであって、前記第1のタイプの繊維が、セルロース系のステープル繊維とされる、前記第1の繊維供給ユニットと、
前記第2のタイプの繊維を供給するための第2の繊維供給ユニットであって、前記第2のタイプの繊維が、少なくとも表面において溶融可能及び/又は軟化可能な熱可塑性繊維とされる、前記第2の繊維供給ユニットと、
プレウェブを形成するために前記繊維をカード処理するためのカード処理ユニット(110)と、
前記ウェブを形成するために、前記第2のタイプの繊維を少なくとも部分的に溶融及び/又は軟化させることによって、前記プレウェブを接着するためのエアスルー接着ユニット(130)であって、フラット型エアスルードライヤ(200)及び/又はシリンダ型エアスルードライヤ(300)を備えているか、又はフラット型エアスルードライヤ(200)及び/又はシリンダ型エアスルードライヤ(300)によって構成されている前記エアスルー接着ユニット(130)と、
カレンダー加工によって滑らかにすることによって前記ウェブを表面処理するためのカレンダー加工ユニット(140)であって、45℃~120℃の範囲の表面処理温度で動作するように構成されている前記カレンダー加工ユニット(140)と、
を備えていることを特徴とする装置(100)。
【請求項2】
前記フラット型エアスルードライヤ(200)が、100℃~160
℃の範囲の温度で、空気を前記プレウェブに吹き付けるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置(100)。
【請求項3】
前記フラット型エアスルードライヤ(200)が、110℃~150℃の範囲の温度で、空気を前記プレウェブに吹き付けるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置(100)。
【請求項4】
前記フラット型エアスルードライヤ(200)が、120℃~150℃の範囲の温度で、空気を前記プレウェブに吹き付けるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置(100)。
【請求項5】
前記フラット型エアスルードライヤ(200)が、120℃~140℃の範囲の温度で、空気を前記プレウェブに吹き付けるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置(100)。
【請求項6】
前記シリンダ型エアスルードライヤ(300)が、100℃~160
℃の範囲の温度で、空気を前記プレウェブに吹き付けるように構成されていることを特徴とする請求項1
~5のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項7】
前記シリンダ型エアスルードライヤ(300)が、115℃~155℃の範囲の温度で、空気を前記プレウェブに吹き付けるように構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項8】
前記シリンダ型エアスルードライヤ(300)が、120℃~150℃の範囲の温度で、空気を前記プレウェブに吹き付けるように構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項9】
前記シリンダ型エアスルードライヤ(300)が、130℃~150℃の範囲の温度で、空気を前記プレウェブに吹き付けるように構成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項10】
前記装置(100)が、前記エアスルー接着ユニット(130)の前方に配置されている予備接着ユニット(120)を備えて
いることを特徴とする請求項1~
9のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項11】
前記予備接着ユニット(120)が、80℃~155℃の範囲の温度で、空気を前記プレウェブに吹き付けるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の装置(100)。
【請求項12】
前記予備接着ユニット(120)が、90℃~140℃の範囲の温度で、空気を前記プレウェブに吹き付けるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の装置(100)。
【請求項13】
前記予備接着ユニット(120)が、100℃~135℃の範囲の温度で、空気を前記プレウェブに吹き付けるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の装置(100)。
【請求項14】
前記予備接着ユニット(120)が、110℃~130℃の範囲の温度で、空気を前記プレウェブに吹き付けるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の装置(100)。
【請求項15】
前記カレンダー加工ユニット(140)が、50℃~110
℃の範囲の表面処理温度で動作するように構成されていることを特徴とする請求項1~
14のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項16】
前記カレンダー加工ユニット(140)が、55℃~100℃の範囲の表面処理温度で動作するように構成されていることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項17】
前記カレンダー加工ユニット(140)が、55℃~70℃の範囲の表面処理温度で動作するように構成されていることを特徴とする請求項1~14のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項18】
前記カレンダー加工ユニット(140)が、5kg/cm
2~70kg/cm
2
の範囲の圧力で動作するように構成されていることを特徴とする請求項1~
17のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項19】
前記カレンダー加工ユニット(140)が、15kg/cm
2
~60kg/cm
2
の範囲の圧力で動作するように構成されていることを特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項20】
前記カレンダー加工ユニット(140)が、20kg/cm
2
~50kg/cm
2
の範囲の圧力で動作するように構成されていることを特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項21】
前記カレンダー加工ユニット(140)が、25kg/cm
2
~40kg/cm
2
の範囲の圧力で動作するように構成されていることを特徴とする請求項1~17のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項22】
前記カレンダー加工ユニット(140)が、一対のローラを備えているか、又は一対の前記ローラから構成されており、
前記ローラが、滑らかな表
面を有していることを特徴とする請求項1~21のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項23】
前記ローラが、滑らかな鋼製表面を有していることを特徴とする請求項22に記載の装置(100)。
【請求項24】
前記装置(100)が、
無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物を前記ウェブに例えば部分的に供給するための供給ユニット(170)と、
前記ウェブをチューブ状構造体に形成するためのチューブ形成ユニット(150)であって、前記供給ユニット(170)の前方又は後方に配置されている前記チューブ形成ユニットと、
を備えていることを特徴とする請求項1~
23のいずれか一項に記載の装置(100)。
【請求項25】
前記装置(100)が、少なくとも1つの長手方向シールを作ることによって、包装材料の前記ウェブをチューブ状の形状に固定するための長手方向封止ユニット(160)を備えて
いることを特徴とする請求項1~
24のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項26】
前記長手方向封止ユニット(160)は、熱シールユニット又は超音波シールユニットとされることを特徴とする請求項25に記載の装置(100)。
【請求項27】
前記装置(100)が、個々の製品のうち2つの製品の間に少なくとも1つの横方向シールを作ることによって、前記包装材料のウェブを前記個々の製品に形成するための横方向封止ユニット(180)を備えて
いることを特徴とする請求項1~
26のいずれか1項に記載の装置(100)。
【請求項28】
前記横方向封止ユニット(180)が、熱シールユニット又は超音波シールユニットとされることを特徴とする請求項27に記載の装置(100)。
【請求項29】
請求項1~
28のいずれか一項に記載の装置(100)によって、袋詰めされた経口スナッフ製品のための包装材料のウェブを製造するための方法(400)であって、前記ウェブが、唾液透過性を有している不織布ウェブとされ、前記不織布ウェブが、第1のタイプの繊維と第2のタイプの繊維とから成り、前記第1のタイプの繊維が、0%~95%を占め、前記第2のタイプの繊維が100%~5%を占める前記方法(400)において、
前記方法(400)が、
a1)第1の繊維供給ユニットによって前記第1のタイプの繊維を供給するステップであって、前記第1のタイプの繊維が、セルロース系のステープル繊維とされる、前記ステップと、
a2)第2の繊維供給ユニットによって前記第2のタイプの繊維を供給するステップであって、前記第2のタイプの繊維が、少なくとも表面において溶融可能及び/又は軟化可能な熱可塑性繊維とされる、前記ステップと、
a)プレウェブを形成するために、前記繊維をカード処理するステップ(410)と、
b)前記包装材料のウェブを形成するために、空気を前記プレウェブに吹き込み、前記第2のタイプの繊維を少なくとも部分的に溶融及び/又は軟化させることによって、前記プレウェブを接着するステップ(430)と、
c)45℃~120℃の範囲の表面処理温度で動作するカレンダー加工ユニット(140)によって前記ウェブを表面処理するために、前記ウェブを滑らかにカレンダー加工するステップ(440)と、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項30】
前記第2のタイプの繊維が、第1の成分と第2の成分とから成る熱可塑性繊維とされ、前記第2の成分が、前記第1の成分より低い溶融温度を有しており、
前記方法のステップb)が、前記第2のタイプの繊維の前記第2の成分を少なくとも部分的に溶融及び/又は軟化させることによって前記ウェブを接着することを備えていることを特徴とする請求項
29に記載の方法。
【請求項31】
ステップc)が、ステップb)より低い温度で実施され
ることを特徴とする請求項29又は30に記載の方法。
【請求項32】
ステップb)及びc)の前記温度が、前記ウェブがステップb)の間に完全に又は略完全に既に接着完了するように選択されることを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
ステップc)における前記カレンダー加工が、前記ウェブの事前に選択された厚さ及び/又は表面仕上げ及び/又は空気透過性を得るために実施されることを特徴とする請求項
29~
32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
前記方法が、少なくとも1つのシールの前記第2のタイプの繊維を少なくとも部分的に溶融することによって、前記少なくとも1つのシールで前記ウェブを封止するステップ(460,480)を備えていることを特徴とする請求項
29~
33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記方法が、個々の製品のうち2つの製品の間に少なくとも1つの横方向シールを作ることによって、前記包装材料のウェブを前記個々の製品に形成するステップを備えて
いることを特徴とする請求項
29~
34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
横方向の封止(480)が、ヒートシール又は超音波シールによって実施されることを特徴とする請求項35に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋詰めされた経口スナッフ製品(snuff product)のためのウェブ状の包装材料を製造するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
経口利用のための無煙タバコ製品は、タバコ葉、例えばタバコ葉の葉身や茎から作られている。一般に、根及び茎から作られた材料は、経口利用のための無煙タバコ製品の成分の製造のためには利用されない。
【0003】
経口利用のための無煙タバコとしては、噛みタバコ、乾燥した嗅ぎタバコ、及び湿った(濡れた)嗅ぎタバコが挙げられる。一般に、乾燥した嗅ぎタバコは、10重量%より低い含水率を有しており、湿った嗅ぎタバコは、40重量%より高い含水率を有している。10重量%~40重量%の含水率を有している半乾燥の製品も利用可能である。
【0004】
2種類の、すなわちアメリカ式及びスカンジナビア式の湿った嗅ぎタバコが存在する。スカンジナビア式の湿った嗅ぎタバコは、スヌース(snus)とも呼称される。一般に、アメリカ式の湿った嗅ぎタバコは、保湿された土壌又は刻みタバコ(cut tobacco)の発酵工程を通じて製造される。一般に、スカンジナビア式の湿った嗅ぎタバコ(スヌース)は、発酵の代わりに熱処理工程(低温殺菌)を利用することによって製造される。両方の工程が、未処理のタバコの苦みを低減させ、タバコの組織を軟化させる。このことが、未処理のタバコが湿った嗅ぎタバコの製造のために利用されない主な理由である。また、熱処理は、タバコ前処理製品(preparation)の内部の微生物の少なくとも一部を分解し、破壊し、又は変性させるために実施される。
【0005】
アメリカ式及びスカンジナビア式の両方の経口利用のための湿った嗅ぎタバコが、ばらばらの形態(loose form)で、唾液が浸透する包装材料であって、袋を形成するための多孔性の包装材料に又は部分的に包装された形態で利用可能とされる。一般に、袋詰めにされたスヌースを含む湿った嗅ぎタバコは、上側又は下側のガムとリップとの間に袋を載置し、限られた時間の間、当該袋をそこに保持することによって、消費者によって利用される。唾液をタバコに振動させ、フレーバーとニコチンとをタバコ材料から消費者の口に拡散させつつ、袋の材料は、タバコを所定位置に保持する。
【0006】
袋詰めされた経口スナッフ製品で利用される袋材料は、包装材料とも呼称され、唾液を浸透させる不織布である。不織布は、織物でも編み布でもない。
【0007】
カードウェブは、乾式不織布の一例である。カード処理される場合には、製造プロセスの結果として、繊維が実質的にカード処理の方向に方向づけられる。乾式不織布は、平行配置されたウェブ、交差配置されたウェブ、又はランダムに配置されたウェブを備えている。平行配置されたウェブと交差配置されたウェブとは、重ねられた、一般にカード処理された2つ以上のウェブ層を含んでおり、ランダムに配置されたウェブは、エアレイドされた、一般に単一のウェブ層を含んでいる。
【0008】
既知の技術では、幾つかの異なる方法が、繊維をウェブに結合するために、いわゆるウェブ圧密(web consolidation)のために利用される。様々なタイプの結合方法が、例えばニードルパンチング、ステッチ結合、水流交絡(hydro-entanglement)のような機械的結合と、例えば浸潤結合、吹付結合、発泡体結合、粉体結合、印刷結合のような化学的結合と、例えばホットカレンダーの点接着のような熱結合とに分類される。複数の結合方法が、不織布を固めるために利用される場合がある。化学結合では、結合剤又は接着剤と呼称されるバインダーが繊維と結合される。このようなタイプの不織布は、一般に、化学結合不織布又は接着結合不織布と呼称される。
【0009】
経口利用のために袋詰めされた無煙タバコ製品は、袋を形成した後に後加湿されたタバコ製品と、袋を形成した後に後加湿されないタバコ製品とに分類される。本明細書では、後加湿されていない経口利用のための袋詰め製品を、“非後加湿”と呼称する。後加湿された袋詰め製品は、袋詰め製品を缶に包装する前に袋詰めされた無煙タバコ製品に水を噴霧することによって製造される。湿った嗅ぎタバコ又は半乾きの嗅ぎタバコから成る最終的な袋詰めされた経口無煙タバコ製品の水分含有量は、一般に、袋詰め製品の重量(すなわち、湿った嗅ぎタバコと袋材料との合計重量)の、25%w/w~55%w/wの範囲内とされる。
【0010】
また、タバコ材料を含んでいない経口利用のための無煙非タバコ製品も存在する。その代わりに、経口の無煙非タバコ製品は、非タバコ植物材料及び/又は充填材料を備えている。
【0011】
経口の無煙非タバコ製品に少量のタバコを加えることによって、経口の無煙低タバコスナッフ製品が得られる。従って、少量のタバコに加えて、経口の無煙スナッフ製品は、本明細書に記載の非タバコ植物材料及び/又は本明細書に記載の充填材料を備えている。
【0012】
経口利用のためのニコチンフリーの湿った非タバコ性スナッフ製品及びその製造方法は、例えば特許文献1及び特許文献2に記載されている。この種の経口利用のための非タバコ性スナッフ製品は、ばらばらの形態で提供されるか、又は袋を形成する唾液透過性の多孔性包装材料で分包されている。
【0013】
ニコチン含有経口無煙スナッフ製品、又は当該無煙スナッフ製品中のタバコによって付与されるニコチンに加えてニコチンを含有している経口無煙低タバコ性スナッフ製品の場合には、ニコチンは、合成ニコチン及び/又はタバコ植物からのニコチン抽出物とされる。さらに、ニコチンは、ニコチンベース又はニコチン塩の形態を呈している場合がある。
【0014】
経口無煙非タバコ製品又は経口無煙低タバコ性スナッフ製品は、乾燥していても、半乾燥であっても湿っていても良い。一般に、乾燥した経口の無煙非タバコ製品すなわち乾燥した経口の無煙低タバコ性スナッフ製品は、10wt%より小さい水分含有量を有しており、湿った経口の無煙非タバコ製品すなわち湿った経口の無煙低タバコ性スナッフ製品は、40wt%より大きい水分含有量を有している。半乾燥した経口の無煙非タバコ製品すなわち半乾燥した経口の無煙低タバコ性スナッフ製品は、10wt%~40wt%の水分含有量を有している。
【0015】
経口の無煙非タバコ製品すなわち経口の無煙低タバコ性スナッフ製品は、製造の際にフレーバーを経口の無煙非タバコ製品成分すなわち経口の無煙スナッフ製品成分と混合することによってフレーバー化される。付加的又は代替的には、フレーバーは、製造後に経口の無煙非タバコ製品すなわち経口の無煙スナッフ製品に加えられる。
【0016】
袋詰めされた無煙タバコ製品は、無煙タバコ成分の一部分を測定し、その一部分を不織布チューブに挿入することによって製造される。
【0017】
特許文献3は、チューブ状の包装材料内の、例えば嗅ぎタバコ等のような微細に分割された正確な量のタバコ製品を包装するための装置であって、スナッフ部分が充填チューブを介してチューブ状の包装材料に注入される装置を開示している。チューブの下流には、包装材料の横方向シールのための溶着手段と、別々又は個々の分包を形成するために横方向シールの領域において包装材料を切断するための切断手段とが位置決めされている。
【0018】
代替的には、特許文献4に開示される装置では、袋詰めされた無煙タバコ製品は、袋包装装置を利用して湿ったスナッフの一部分を不織布ウェブに載置することによって袋詰めされる。
【0019】
各部分をシールして切り離すことによって、矩形の“ピロー形状”(又は任意の他の所望の形状)の袋詰め製品が形成される。一般に、最終的な袋詰め製品は、両端に形成された平行な横方向シールと、横方向シールに対して垂直とされる縦方向シールとを含んでいる。シールは、消費者を困らせないで、利用の際に袋詰め製品の完全性を維持するために十分な強度を有していることが必要とされる。
【0020】
袋詰めされた経口無煙タバコ製品は、通常、上下の歯茎と唇との間で利用者の口の中に快適且つ慎重に適合するように構成された大きさとされる。
【0021】
経口の袋詰め製品のための包装材料を製造する場合には、利用者の口腔(buccal cavity)に載置された際における強度と快適性との間にトレードオフが一般的に存在する。包装材料は、袋詰め製品の外面を形成しているので、典型的には歯と歯茎との間の口腔と接触している。包装材料の強度は、包装材料自体の製造時に、袋詰め製品の製造時に、及び口腔内で袋詰め製品を利用している間に包装材料を取り扱うのに十分高いことが望ましい。従って、袋詰め製品のシールが十分な強度を有していることが重要である。また、好ましくは、包装材料は、袋詰めされた経口スナッフ製品が利用者の口腔に載置された場合に快適であるのに十分な可撓性を有していることが必要である。一般に利用される包装材料の問題は、特に、袋詰め製品の包装材料によって封入された無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物に含有される攻撃的なフレーバー(aggressive flavours)を受けた場合に、袋詰め製品の封止強度が理想より低くなることである。
【0022】
さらに、袋詰めされた経口スナッフ製品が口の中で柔らかく感じられることが望ましい。さらに、袋詰めされた経口スナッフ製品のために一般に利用される包装材料と比較して、包装材料は口の中で滑りにくいことが望ましい。
【0023】
本発明の目的は、従来技術に関連する問題のうち幾つかの問題を克服するか、又は少なくとも軽減することである。
【0024】
[定義]
“タバコ”は、タバコ属に属する任意の要素の任意の部分、例えば、葉、茎、及び茎を意味する。タバコは、そのままとされ、細断され、脱穀され、切断され、粉砕され、硬化され、熟成され、発酵され、又は任意の他の方法(例えば、顆粒化又はカプセル化)で処理されている。
【0025】
本明細書では、“タバコスナッフ組成物”という用語は、例えば粉砕されたタバコ材料や刻みタバコのような、細かく分割されたタバコ材料に対して利用される。タバコ材料に加えて、タバコスナッフ組成物は、水、塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、及びこれらの任意の組み合わせ)、pH調整剤、香料、冷却剤、加熱剤、甘味料、着色剤、保湿剤(例えば、プロピレングリコールやグリセロール)、酸化防止剤、保存剤(例えば、ソルビン酸カリウム)、結合剤、崩壊助剤のうちの少なくとも1つをさらに備えている場合がある。一例では、無煙タバコスナッフ組成物は、細かく分割されたタバコ材料、塩化ナトリウムなどの塩、及びpH調整剤を備えているか、又はこれらから構成されている。タバコスナッフ組成物は、乾燥していても湿っていても良い。タバコスナッフ組成物は、歯と歯茎の間で利用される場合がある。
【0026】
“非タバコ組成物”は、タバコ材料を含まない組成物であり、タバコスナッフ組成物と類似又は同一の方法で利用される。タバコの代わりに、非タバコ性組成物は、非タバコ植物繊維及び/又は充填材を含んでいる場合がある。また、例えば微結晶セルロース繊維のような加工された繊維が利用される場合がある。充填材は、粒子状の形態を呈している場合がある。例えば、充填材料は、例えば微結晶セルロースの粒子のような粒子状の充填材料とされる場合がある。非タバコ組成物は、ニコチンを含んでいる場合がある。すなわち、非タバコ組成物は、ニコチンを含有した非タバコ組成物とされる場合がある。代替的には、非タバコ組成物は、ニコチンを含んでいないか、又は実質的にニコチンを含んでいない。すなわち、非タバコ組成物は、ニコチンを含有しない非タバコ組成物とされる場合がある。本明細書で利用されるように、「実質的にニコチンを含んでいない」という表現は、組成物全体の乾燥重量に対して1重量%以下のニコチンの量を意図している。
【0027】
“経口”及び“経口利用”は、本明細書で利用されるすべての文脈において、例えば頬側配置(buccal placement)のような口腔内での利用に関する説明として用いられている。製品は、例えば歯茎と上唇又は下唇の間のような口腔内に配置することを意図しているので、製品は、全体的に口腔内に含まれる。製品は、飲み込まれることを意図していない。
【0028】
本明細書で利用されるように、「袋詰め製品」又は「経口袋詰め製品」は、例えば口腔内に頬側配置することによる、経口利用を意図した唾液透過性を有している袋詰め材料に袋詰めされた無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物の一部分を示している。代替的には、経口袋詰め製品は、経口利用のための分包された製品(袋詰め製品)を示している。
【0029】
本明細書で利用されるように、「含水率」との用語は、言及された組成物又は製品中の、水及び他のオーブン揮発性物質、例えばプロピレングリコールやエタノールの揮発性成分の総量を示している。本明細書では、水分含有量は、重量パーセント(wt%)を単位として示され、すなわち、言及された組成物、調製物又は製品の全重量に対する言及された成分の重量パーセントで示されている。
【0030】
本明細書では、「フレーバー」又は「フレーバー剤」は、無煙タバコ製品の香り及び/又は風味に影響を与えるために利用される物質に対して用いられている。無煙タバコ製品としては、エッセンシャルオイル、単一フレーバー化合物、複合フレーバー剤、及び抽出物が挙げられるが、これらに限定される訳ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【文献】国際公開第2007/126361号
【文献】国際公開第2008/133563号
【文献】米国特許第4703765号明細書
【文献】米国特許第6135120号明細書
【文献】国際公開第2017/093486号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
本発明の目的は、従来技術の欠点のうち少なくとも1つの欠点を克服若しくは改善すること、又は有用な代替手段を提供することである。
【0033】
上述の目的は、請求項1及び/又は請求項11の主題によって達成される。実施例は、従属請求項、発明の詳細な説明、及び図面に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0034】
本発明は、袋詰めされた経口スナッフ製品のための包装材料のウェブを製造するための装置であって、ウェブが、唾液透過性を有している不織布ウェブとされ、不織布ウェブが、第1のタイプの繊維と第2のタイプの繊維とから成り、第1のタイプの繊維が、0%~95%を占め、第2のタイプの繊維が、100%~5%を占める、装置において、第1のタイプの繊維が、セルロース系のステープル繊維とされ、第2のタイプの繊維が、少なくとも表面において溶融可能及び/又は軟化可能な熱可塑性繊維とされる、装置に関する。当該装置は、プレウェブを形成するために繊維をカード処理するためのカード処理ユニットと、ウェブを形成するために、第2のタイプの繊維を少なくとも部分的に溶融及び/又は軟化させることによって、プレウェブを接着するためのエアスルー接着ユニットと、ウェブを表面処理するためのカレンダー加工ユニットと、を備えている。
【0035】
第1のタイプの繊維は、当業者にとっては既知のタイプの第1の繊維供給ユニットによって供給される。第2のタイプの繊維は、当業者にとっては既知のタイプの第2の繊維供給ユニットによって供給される。通常、繊維はカード処理ユニットに到達する前に互いから切り離される。第1のタイプの繊維と第2のタイプの繊維との両方を利用する場合には、優位には、2つのタイプの繊維が、カード処理ユニットに供給される前に互いと混合されるので、2つのタイプの繊維は、共にカード処理される。
【0036】
カード処理ユニットは、プレウェブの異方性を小さくするために利用される1つ以上のスクランブラーローラを備えている場合がある。
【0037】
カード処理されたプレウェブは、エアスルー接着ユニットにおいて、ウェブを形成するために、第2のタイプの繊維を少なくとも部分的に溶融及び/又は軟化することによって接着される。これにより、少なくとも部分的に溶融及び/又は軟化された第2のタイプの繊維が、粘着性ウェブを形成するために繊維と共に結合し、接着されたウェブが形成される。従って、従来技術として知られるように、付加的な結合剤を包装材料に加える必要が無い。
【0038】
包装材料の接着されたウェブでは、繊維は、その形状及び構造を維持している。従って、第2のタイプの繊維が幾らかであっても完全に溶融した場合に予想される結果であるフィルムが、包装材料には形成されていない。望ましい溶融の程度は、溶融の程度と共に増加する引張強度と、袋詰めされた経口スナッフ製品の外観及び口腔内における袋詰めされた経口スナッフ製品の機能とのバランスによって決定される。単なる一例としては、過度に溶融した包装材料は、袋詰めされた経口スナッフ製品に対してあまり機能しない。過度に溶融した包装材料は、フィルムのように過度に高密度であるので、十分な唾液透過性を有していないからである。
【0039】
第2のタイプの繊維が少なくとも部分的に溶融及び/又は軟化可能であることを利用することによって、後述する本発明における装置で製造された包装材料、及び/又は、本発明における方法で製造された包装材料には、袋詰めされた経口スナッフ製品のための一般的に利用される包装材料の場合のように、付加的な接着剤が必要とされない。包装材料は、従来技術では一般的な水流交絡によっても点接着によっても接着されない。理論に制約される訳ではないが、本発明における包装材料に引張力が加わった場合、少なくとも部分的な溶融又は軟化に起因して繊維同士が引っ掛かり、これにより互いに対して少なくとも部分的に固着されるので、1本の繊維から隣接又は交差する繊維に力が伝達される。従って、包装材料は、付加的な接着剤を利用しなくても十分な強度を有している。
【0040】
省略可能な第1のタイプの繊維は、セルロース系のステープル繊維であって、典型的には、例えば再生セルロース繊維のような人工繊維、例えばレーヨン、リヨセル、ビスコースとされる。テンセル(登録商標)は、リヨセルのブランド名である。
【0041】
第1のタイプの繊維は、包装材料に所望の機械的特性を付与するように選択される。これにより、包装材料自体の製造の際に、及び、袋詰めされた経口スナッフ製品の製造の際に、包装材料の取り扱いが容易になる。袋詰めされた経口スナッフ製品が利用者の口腔内に配置された場合であっても、製品の外面を形成している包装材料は心地良いものとなる。従って、第1のタイプの繊維は、軟質であるように、比較的非弾性であるように、及び/又は吸湿性を有するように選択される。比較的非弾性であることによって、包装材料自体の製造の際に、及び、袋詰めされた経口スナッフ製品の製造の際に、包装材料の取り扱いが容易になる。また、柔らかさと吸湿性によって、利用者は口腔内部において心地よさを得ることができる。さらに、第1のタイプの繊維は、親水性であるように選択される。親水性であることは、袋詰めされた経口スナッフ製品のために利用される場合に優位である。
【0042】
第2のタイプの繊維は、第2のタイプの繊維、少なくとも第2のタイプの繊維の表面が溶融及び/又は軟化可能とされるように選択される。第2のタイプの繊維は、事前に選択可能な強度、事前に選択可能な線形密度、及び/又は、事前に選択可能な形状(例えば三葉状)を有しているように選択される。さらに、第2のタイプの繊維は、任意ではあるが、捲縮されている場合がある。従って、第2のタイプの繊維は、包装材料に望ましい引張強度及び/又は封止強度を付与するように選択される。特に、第2のタイプの繊維によって、濡れた状態であっても高い封止強度を得ることができる。さらに、第2のタイプの繊維は、フレーバーに曝された場合であっても高い封止強度を有するように選択される。上述した1つ以上のスクランブラーローラの利用も、所望の引張強度及び/又は封止強度を得ることに貢献する。
【0043】
第2のタイプの繊維は、装置の内部で利用される温度で少なくとも表面において溶融可能及び/又は軟化可能な熱可塑性繊維とされる。第2のタイプの繊維は、第1の成分と第2の成分とから成り、第2の成分は、第1の成分より低い溶融温度を有している。この場合には、第2の成分は、本明細書に記載の利点を得るために、少なくとも部分的に溶融又は軟化することが望ましい。また、3つ以上の異なる成分から成る繊維であっても良い。さらに、第2のタイプの繊維の成分のうち少なくとも1つの成分は、異なる高分子材料の混合物であっても良い。第2のタイプの繊維は、複合繊維であってもよい。複合繊維は、好ましくは芯鞘構造の繊維(sheath-core fibres)とされるが、例えば“サイドバイサイド構造(side-by-side)”や“海島構造(islands-in-the-sea)”のような他の構成であっても良い。代替的又は補足的には、第2のタイプの繊維は、繊維全体が溶融可能及び/又は軟化可能な単繊維であっても良い。
【0044】
本明細書に記載された装置及び/又は方法を利用することによって、材料及びシールの両方とって適切な強度を有している袋詰めされた経口スナッフ製品のための包装材料であって、袋詰めされた経口スナッフ製品が利用者の口腔内部に配置された場合に十分な心地良さを感じすることができる可撓性を有している包装材料を製造することができる。
【0045】
包装材料のこのような可撓性は、袋詰めされた経口スナッフ製品用の一般的な包装材料を利用する従来技術に基づく製品より低い密度及び高い体積を有している袋詰めされた経口スナッフ製品に影響を及ぼす。
【0046】
本明細書に記載された装置及び/又は方法で製造された包装材料から成る袋詰めされた経口スナッフ製品は、従来技術に従って製造された包装材料から成る袋詰めされた経口スナッフ製品と比較して、口の中で柔らかく感じるようになっている。このことは、理論に制約される訳ではないが、袋詰めされた経口スナッフ製品のための従来技術に基づく包装材料の製造に一般に利用される接着剤が存在しないことに起因する。
【0047】
さらに、包装材料の強度とシールの強度とは、袋詰めされた経口スナッフ製品のために一般に利用される包装材料と比較して、例えばサリチル酸メチルのような攻撃的なフレーバーに対して優れた抵抗性を有している。このようなフレーバーは、従来技術に基づく袋詰めされたスナッフ製品の封止強度を、特に時間の経過と共に低下させることが知られている。
【0048】
さらに、本明細書に記載された装置及び/又は方法によって製造された包装材料は、袋詰めされた経口スナッフ製品のために一般に利用される包装材料と比較して、口の中で滑りにくくなっている。理論に制約される訳ではないが、このことは、袋詰めされた経口スナッフ製品のための従来技術に基づく包装材料に一般に利用される接着剤が存在しないことに起因する。
【0049】
袋詰めされた経口スナッフ製品が後加湿された場合には、本明細書に記載の装置及び/又は方法によって製造された包装材料から成る袋詰めされた経口スナッフ製品は、袋詰めされた経口スナッフ製品のために一般に利用される包装材料と比較して、均一に着色されている。また、ことことは、一般に疎水性を有している接着剤が存在しないことにも起因する。特に、第2のタイプの繊維が、例えば芯がPLAであると共に鞘がcoPLAである、PLA/coPLA繊維である場合に、このような効果が得られる。
【0050】
第1のタイプの繊維は、典型的には、包装材料のすべての繊維の全重量の5%~50%、好ましくは全重量の10%~40%、又は全重量の15%~30%を占めている。第2のタイプの繊維は、典型的には、包装材料のすべての繊維の全重量の50%~95%、好ましくは全重量の60%~90%又は全重量の70%~85%を占めている。これら重量は、21℃且つ50%RHの環境下で決定されている。また、0%の第1のタイプの繊維を利用すること、すなわち第1のタイプの繊維を全く利用しないことも可能である。従って、第2のタイプの繊維を最大100%利用可能であり、例えば第2のタイプの繊維のみを利用し、第1のタイプの繊維を利用しないこともできる。
【0051】
上述のように、好ましくは、本明細書に記載の装置及び/又は方法によって製造された包装材料は、接着剤又は他の種類の粘着性物質を備えていない。包装材料は、第1のタイプの繊維と、第2のタイプの繊維と、任意には、例えば熱可塑性複合繊維のような任意の他の熱可塑性繊維タイプの繊維とから構成されている。従って、幾つかの実施例では、包装材料は、第1のタイプの繊維及び第2のタイプの繊維のみから構成されている。包装材料の製造の際に、他の成分は添加されない。包装材料は、第2のタイプの繊維と、任意には、例えば熱可塑性複合繊維のような任意の他の熱可塑性繊維タイプの繊維とから構成されている場合がある。
【0052】
当該装置は、エアスルー接着ユニットの前方且つカード処理ユニットの後方に配置されている予備接着ユニットを備えている。予備接着ユニットは、80℃~155℃、好ましくは90℃~140℃、より好ましくは100℃~135℃、最も好ましくは110℃~130℃の範囲の温度で、空気をカード処理されたプレウェブに吹き付けるように構成されている。温度は、好ましくは、事前接着ユニットの内部の温度が第1のタイプの繊維及び第2のタイプの繊維の溶融温度より低くなるように、第1のタイプの繊維及び第2のタイプの繊維の溶融温度に従って選択される。事前接着ユニットは、省略可能な任意のユニットとされる。
【0053】
エアスルードライヤの内部の空気の温度は、通過時間(running-through time)及び/又はエアフローとの関係で選択される。単なる一例であるが、通過時間が長く、及び/又は、エアフローが少ない場合には、温度を低くすることができる。エアフローは、空気の速度と、エアスルードライヤに供給可能な空気の流量とに依存する。
【0054】
エアスルー接着ユニットは、フラット型エアスルードライヤを備えているか、又はフラット型エアスルードライヤによって構成されている。フラット型エアスルードライヤは、単一の領域で構成されても、2~10の領域、例えば3~8の領域の範囲で構成されても良い。フラット型エアスルードライヤを利用する場合には、本明細書では任意選択可能であると述べた事前接着ユニットを省略することができる。その代わりに、フラット型エアスルードライヤの1つ以上の第1の領域が、事前接着のために利用される。また、領域それぞれの温度を選択することによって、フラット型エアスルードライヤの内部において、予備接着からエアスルー接着へ移行される(sliding scale)場合がある。
【0055】
フラット型エアスルードライヤは、100℃~160℃、好ましくは110℃~150℃、より好ましくは120℃~150℃、最も好ましくは120℃~140℃の範囲の温度で、空気をプレウェブに吹き付けるように構成されている。
【0056】
代替的又は補足的には、エアスルー接着ユニットは、シリンダ型エアスルードライヤを備えているか、又はシリンダ型エアスルードライヤから構成されている。優位には、シリンダ型エアスルードライヤは、上述の事前接着ユニットと組み合わせられており、この場合には、事前接着ユニットは、シリンダ型エアスルードライヤの前方、すなわちシリンダ型エアスルードライヤの上流に配置されている。
【0057】
シリンダ型エアスルードライヤは、100℃~160℃、好ましくは115℃~155℃、より好ましくは120℃~150℃、最も好ましくは130℃~150℃の範囲の温度で、空気をプレウェブに吹き込むように構成されている。
【0058】
さらに、フラット型エアスルードライヤは、例えば、1つの領域又は2~3つの領域のような少数の領域を具備するフラット型エアスルードライヤを利用した後にシリンダ型エアスルードライヤを利用することによって、シリンダ型エアスルードライヤを組み合わせられる。この場合には、フラット型エアスルードライヤの1つ以上の領域が、事前接着のために利用される。また、フラット型エアスルードライヤの内部において、事前接着からエアスルー接着に移行される場合がある。
【0059】
シリンダ型エアスルードライヤが適切に動作するためには、中間ウェブがシリンダ型エアスルードライヤに到達したときに自立していることが望ましい。一方、フラット型エアスルードライヤでは、通常、中間ウェブは、例えば布やベルトのような機械要素によって支持されているので、自立性を有していないウェブであっても処理可能とされる。
【0060】
エアスルー接着ユニットの後方、すなわちエアスルー接着ユニットの下流には、ウェブの表面処理のためのカレンダー加工ユニットが設けられている。カレンダー加工は、ウェブの事前に選択された厚さ、及び/又は表面仕上げ、及び/又は空気透過性を得るために実施される。及び/又は従って、本発明における装置では、カレンダー加工ユニットは、ウェブの接着を得るために利用されない。その代わりに、ウェブは、カレンダー加工ユニットに到達した時点で既に十分に接着されている。カレンダー加工ユニットは、45℃~120℃、好ましくは50℃~110℃、より好ましくは55℃~100℃、最も好ましくは55℃~70℃の範囲の表面処理温度で動作するように構成されている。さらに、カレンダー加工ユニットは、5kg/cm2~70kg/cm2、好ましくは15kg/cm2~60kg/cm2、より好ましくは20kg/cm2~50kg/cm2、最も好ましくは25kg/cm2~40kg/cm2の範囲の圧力で動作するように構成されている。通気性は、EDANA(European Disposables and Nonwovens Association)が規定する試験法WSP070.1.R3(12)に従って測定した場合、7500l/m2/s以下、好ましくは4300l/m2/s以下、より好ましくは2900l/m2/s以下、最も好ましくは2000l/m2/s以下となるように選択される。
【0061】
カレンダー加工ユニットを運転する方法としては、2つの原理的に相違する方法が存在する。第1の方法では、高い温度と低いニップ圧とが利用される。第2の方法では、低い温度と高いニップ圧とが利用される。これら2つの方法は、中間のニップ圧と共に中間の温度を利用することによって組み合わせ可能とされる。しかしながら、高い温度を利用する場合であっても、第2のタイプの繊維が溶融又は軟化しないように温度が選択されることが望ましい。原則として、カレンダー加工ユニットにおいてウェブが接着されないか、又は実質的に接着されないことが望ましい。その代わりに、エアスルー接着ユニットにおいて、及び、配設されている場合には事前接着ユニットにおいて、ウェブは、完全に又は少なくとも略完全に接着される必要がある。
【0062】
カレンダー加工ユニットは、滑らかな表面、例えば滑らかな鋼製表面を有している少なくとも1つのローラを備えている。さらに、カレンダー加工ユニットは、滑らかな表面、好ましくは滑らかな鋼製表面を有している一対のローラを備えているか、又は当該一対のローラによって構成されている。このようなローラによって、包装材料には所望の表面処理が施される。上述のように、カレンダー加工ユニットは、ウェブを表面処理するために利用される。従って、本発明における装置において、ローラは、不織布製造の他の分野では既知の技術である点接着を実施するためには利用されない。
【0063】
装置は、不織布の分野における当業者には既知のタイプの付加的なユニットをさらに備えている場合がある。例えば、カード処理ユニットの前方に、ファインオープナ、すなわち繊維の塊を分解するユニットが設けられている場合がある。カレンダー加工ユニットの後方には、巻き取りユニット及び/又はスリット加工ユニットが設けられている場合がある。
【0064】
装置は、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物をウェブに例えば部分的に供給するための供給ユニットと、ウェブをチューブ状構造体に形成するためのチューブ形成ユニットとをさらに備えている。チューブ形成ユニットは、供給ユニットの前方又は後方に配置されている。
【0065】
チューブ形成ユニットでは、ウェブが、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物を囲むように構成されているチューブ状構造体の内部に形成される。チューブ状構造体は、袋詰めされた経口スナッフ製品に適した幅を有している。“チューブ”及び“チューブ状構造体”という用語は、本明細書では一般的な意味内容で利用されており、その断面が円状でなければならないことを意味する訳ではない。むしろ、ウェブが無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物を囲むことができ、チューブ状構造体の内部に無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物のための空間が存在する限り、その断面は任意の形状であって良い。例えば、チューブ形成ユニットは、ウェブをチューブ状構造体に折り畳むための折り畳みユニットを備えている。
【0066】
装置は、少なくとも1つの長手方向シールを作ることによって包装材料のウェブをチューブ状の形状に固定するための長手方向封止ユニットをさらに備えている。従って、長手方向封止ユニットは、少なくとも1つの長手方向シールを作ることによって、包装材料のウェブのチューブ状構造体をチューブ状の形状に固定するために利用される。従って、長手方向封止ユニットは、チューブ形成ユニットで形成された上述のチューブ状構造体に長手方向シールを作るために利用される。長手方向封止ユニットは、例えば熱シールユニット又は超音波シールユニットとされる。
【0067】
長手方向封止ユニットにおいて、第2のタイプの繊維の少なくとも一部分を溶融することによって不織布ウェブにシールを形成するために、エネルギーが利用される。上述のように、第2のタイプの繊維が第1及び第2の成分から構成されている場合には、封止の際に、少なくとも第2の成分、好ましくは第1の成分と第2の成分との両方が溶融する。好ましくは、シールが、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物の外側に配置されているので、シールは、互いに隣り合って配置された2つの不織布表面の間に表面接触した状態で形成される。
【0068】
チューブ形成ユニット及び長手方向封止ユニットが供給ユニットの前方に配置されている場合には、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物が、供給ユニットによって、既に形成及び封止されたチューブ状構造体に例えば部分的に供給される。
【0069】
代替的な装置では、供給ユニットは、チューブ形成ユニット及び長手方向封止ユニットの前方に配置されているので、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物が、最初にウェブ上に例えば部分的に配置され、その後にチューブ状構造体が、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物の周囲に形成される。ウェブは、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物の周囲において、例えば長手方向に折り畳まれる。
【0070】
上述の折り畳みユニットであるチューブ形成ユニットの代替として、その代わりに、チューブ状構造体は、1つ以上のチューブ状構造体が2つのウェブの間に形成されるように、第2の唾液透過性を有している不織布ウェブを第1の唾液透過性を有している不織布ウェブの上に位置決めすることによって形成される場合がある。また、この場合には、供給ユニットは、チューブ形成ユニット及び長手方向封止ユニットの下流又は上流に配置されている。
【0071】
装置は、ウェブによって形成された2つの連続する個々の製品の間に少なくとも1つの横方向シールを作ることによって、包装材料のウェブを個々の製品に形成するための横方向封止ユニットをさらに備えている。好ましくは、横方向封止ユニットは、熱シールユニット又は超音波シールユニットとされる。
【0072】
個々の製品は、例えば特許文献5に開示されているように、横方向封止ユニットと組み合わせられる場合がある分離ユニットにおける切断又は穿孔によって、分離線に沿って互いから分離されるか、又は分離可能に作られている。
【0073】
単一の横方向シールのみが2つの連続する個々の製品の間にウェブに沿って形成される場合には、好ましくは、切断又は穿孔は当該横方向シールの内側で実施される。これにより、連続する製品の隣接する端部同士が同時に封止される。
【0074】
また、本発明は、袋詰めされた経口スナッフ製品のための包装材料のウェブを製造するための方法であって、ウェブが、唾液透過性を有している不織布ウェブとされ、不織布ウェブが、第1のタイプの繊維と第2のタイプの繊維とから成り、第1のタイプの繊維が、0%~95%を占め、第2のタイプの繊維が100%~5%を占め、%数は、21℃且つ50%RHにおける全繊維重量の%として決定され、第1のタイプの繊維が、セルロース系のステープル繊維とされ、第2のタイプの繊維が、少なくとも表面において溶融可能及び/又は軟化可能な熱可塑性繊維とされる、方法において、方法が、
a)プレウェブを形成するために、繊維をカード処理するステップと、
b)包装材料のウェブを形成するために、空気をプレウェブに吹き込み、第2のタイプの繊維を少なくとも部分的に溶融及び/又は軟化させることによって、プレウェブを接着するステップと、
c)ウェブを滑らかにカレンダー加工するステップと、
を備えていることを特徴とする方法に関する。
【0075】
本方法によって得られる利点は、既に上述した装置に関して既に上述した利点と同一である。好ましくは、本方法は、本明細書に記載された配置で実施される。
【0076】
カード処理が実施される前に、繊維が供給される。第1のタイプの繊維は、当業者にとっては既知のタイプである第1の繊維供給ユニットによって供給される。第2のタイプの繊維は、当業者にとっては既知のタイプである第2の繊維供給ユニットによって供給される。通常、繊維は、カード処理ユニットに到達する前に互いから切り離される。第1のタイプの繊維と第2のタイプの繊維との両方を利用する場合には、優位には、2つのタイプの繊維は、共にカード処理されるように、カード処理の前に互いと混合される。
【0077】
当該方法は、ステップa)においてカード処理によって形成されたプレウェブを事前接着する任意のステップを備えている場合がある。事前接着は、エアスルー接着を実施するステップb)の前に実施される。事前接着は、上述のように、事前接着ユニットで実施される。予備接着は、80℃~155℃、好ましくは90℃~140℃、より好ましくは100℃~135℃、最も好ましくは110℃~130℃の範囲の温度で行なわれる。温度間隔は、第1のタイプの繊維及び第2のタイプの繊維の溶融温度に依存して、予備接着時の温度が第1のタイプの繊維及び第2のタイプの繊維それぞれの溶融温度より低くなるように選定される。事前接着は、省略可能な任意のステップとされる。
【0078】
上述のように、第2のタイプの繊維が第1の成分と第2の成分から成る熱可塑性繊維であり、且つ、第2の成分が第1の成分より低い溶融温度を有している場合には、好ましくは、ステップb)は、第2のタイプの繊維の第2の成分を少なくとも部分的に溶融及び/又は軟化させることによってウェブを結合するステップを備えている。
【0079】
ステップb)のエアスルー接着では、第2のタイプの繊維が溶融又は軟化され、繊維と結合することによって、粘着性ウェブが形成される。これにより、ウェブが形成される。第2のタイプの繊維が第1の成分と第2の成分とから成る上述の熱可塑性繊維である場合には、粘着性ウェブを形成するために繊維と結合するように、第2の成分が部分的に溶融又は軟化される。
【0080】
ステップb)のエアスルー接着は、当該配置に関連して上述したように、上述の温度範囲内において、フラット型エアスルードライヤによって実施される。フラット型エアスルードライヤを利用する場合には、上述のように、事前接着のステップを省略することができる。
【0081】
代替的又は補足的には、ステップb)のエアスルー接着は、当該配置に関連して上述したように、上述の温度範囲内において、シリンダ型エアスルードライヤによって実施される。また、事前接着とエアスルー接着とが組み合わせられる場合があり、上述のように、事前接着からエアスルー接着に移行される場合もある。
【0082】
好ましくは、ステップc)は、ステップb)より低い温度で行われる。これにより、好ましくは、ステップb)及びc)の温度は、ウェブがステップb)の間に完全に又は略完全に既に接着完了するように選択される。ステップc)におけるカレンダー加工は、ウェブの事前に選択された厚さ、表面仕上げ、通気性を得るために実施される。
【0083】
本方法は、シール内の第2のタイプの繊維を少なくとも部分的に溶融することによって、少なくとも1つのシールでウェブを封止するステップをさらに備えている。シールは、縦方向又は横方向に延在しており、封止は、本明細書に記載の縦方向封止ユニット又は横方向封止ユニットで実施される。好ましくは、ウェブは、縦方向と横方向との両方で封止されるが、縦方向封止と横方向封止とは、通常、別々のステップとして実施される。
【0084】
本方法は、2つの連続する個々の製品の間に少なくとも1つの横方向シールを作ることによって、包装材料のウェブを個々の製品に形成するステップを備えている。好ましくは、横方向封止は、熱シール又は超音波シールによって実施される。
【0085】
さらに、個々の製品は、本発明における装置の説明に関連して説明したように、例えば切断又は穿孔による分離ステップによって、分離線に沿って互いから分離されるか、又は分離線に沿って互いから分離可能に作られている。封止及び分離は、例えば特許文献5に記載されるように、共通のステップとして実行される場合がある。
【0086】
本方法は、不織布製造の分野に属する当業者にとって既知のタイプの付加的なステップをさらに備えている場合がある。例えば、本方法は、ファインオープン、ブレンド、クロスラッピング及び/又はスクランブルのステップを備えている。ステップc)におけるカレンダー加工の後に、ウェブの巻き取り及び/又はスリット加工が実施される場合がある。
【0087】
本発明については、添付の図面を参照して、非限定的な例示によって、さらに以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【
図1】本発明における袋詰めされた経口スナッフ製品のための包装材料のウェブを製造するための装置を概略的に表わす。
【発明を実施するための形態】
【0089】
添付図面は、必ずしも縮尺通りに描画されていないこと、及び、本発明の幾つかの特徴部の寸法は、明確にするために誇張されている場合があることに留意すべきである。
【0090】
本発明について、実施例を用いて、以下に例示的に説明する。しかしながら、実施例は、本発明の原理を説明するものであり、特許請求の範囲によって定義される本発明の技術的範囲を限定するものではないことを留意すべきである。2つ以上の実施例の詳細部を互いに組み合わせることもできる。
【0091】
図1は、本発明における袋詰めされた経口スナッフ製品のための包装材料のウェブを製造するための装置100を概略的に表わす。装置100について、実施順序に従って以下に説明する。
図1の破線は、任意のユニットを示している。
【0092】
ウェブは、繊維から成る唾液透過性を有している不織布ウェブであり、当該繊維の0%~95%が第1のタイプであり、当該繊維の5%~100%が第2のタイプである。
【0093】
第1のタイプの繊維は、省かれていても良いが、セルロース系のステープル繊維、典型的には人工繊維とされる。人工繊維としては、例えばレーヨン、リヨセルやビスコースのような再生セルロース繊維が挙げられる。
【0094】
第2のタイプの繊維は、装置100で利用される温度において少なくとも表面が溶融可能及び/又は軟化可能とされる熱可塑性繊維である。第2のタイプの繊維は、第1の成分と第2の成分から成り、第2の成分は、第1の成分より低い溶融温度を有している。第2のタイプの繊維は、単一成分の繊維である場合があり、この場合には、当該繊維全体が、溶融及び/又は軟化可能とされる。
【0095】
装置100は、プレウェブを形成するために第1のタイプの繊維と第2のタイプの繊維とをカード処理するためのカード処理ユニット110を備えている。通常、繊維は、カード処理ユニットに到達する前に互いから分離される。第1のタイプの繊維と第2のタイプの繊維の両方を利用する場合には、優位には、第1のタイプの繊維と第2のタイプの繊維とがカード処理ユニットに供給される前に互いに混合され、共にカード処理される。
【0096】
カード処理ユニット110の下流において、当該装置は、事前接着ユニット120を備えている。好ましくは、事前接着ユニット120は、80℃~155℃、好ましくは90℃~140℃、より好ましくは100℃~135℃、最も好ましくは110℃~130℃の範囲の温度で空気をプレウェブに吹き込むように構成されている。温度は、事前接着ユニット120の温度が第1のタイプの繊維及び第2のタイプの繊維の溶融温度より低くなるように、第1のタイプの繊維及び第2のタイプの繊維の溶融温度に従って選択される。事前接着ユニット120は、省略可能な任意のユニットである。
【0097】
さらに、装置100は、ウェブを形成するために、第2のタイプの繊維の少なくとも一部分を溶融及び/又は軟化させることによってプレウェブを接着するためのエアスルー接着ユニット130を備えている。これにより、第2のタイプの少なくとも部分的に溶融又は軟化した繊維は、粘着性ウェブを形成するために繊維と接着されるので、接着されたウェブが形成される。従って、付加的な接着剤を加える必要が無い。第2のタイプの繊維が、第1の成分及び第2の成分を具備する上述の熱可塑性繊維である場合には、第2の成分は、エアスルー接着ユニット130の内部で部分的に溶融又は軟化されるので、繊維同士が共に接着され、粘着性ウェブが形成される。
【0098】
エアスルー接着ユニット130は、例えば
図2に表わすようなフラット型エアスルードライヤ200を備えているか、又は当該エアスルードライヤによって構成されている。例示的なフラット型エアスルードライヤ200は、5つの領域202a~202eを備えているが、他の個数の領域であっても実現可能である。例えば、単一の領域、2つ~10つの領域、又は3つ~8つの領域であっても実現可能である。フラット型エアスルードライヤ200は、100℃~160℃、好ましくは115℃~155℃、より好ましくは120℃~150℃、最も好ましくは130℃~150℃の範囲の温度で動作するように構成されている。フラット型エアスルードライヤ200を利用する場合には、予備接着ユニット120を省略することができる。その代わりに、フラット型エアスルードライヤ200の1つ以上の第1の領域が予備接着のために利用される場合がある。また、予備接着からエアスルー接着に移行される場合がある。
【0099】
代替的又は補足的には、エアスルー接着ユニット130は、
図3に表わすようなシリンダ型エアスルードライヤ300を備えているか、又は当該エアスルードライヤによって構成されている。シリンダ型エアスルードライヤ300は、100℃~160℃、好ましくは115℃~155℃、より好ましくは120℃~150℃、最も好ましくは130℃~150℃の範囲の温度で動作するように構成されている。優位には、シリンダ型エアスルードライヤ300は、シリンダ型エアスルードライヤ300の前方に、すなわちシリンダ型エアスルードライヤ300の上流に配置された事前接着ユニット120と組み合わせられている。
【0100】
また、例えば1つの領域又は例えば2つ~3つの領域のような幾つかの領域を具議するフラット型エアスルードライヤを利用した後にシリンダ型エアスルードライヤ300を利用することによって、フラット型エアスルードライヤ200とシリンダ型エアスルードライヤ300とを組み合わせることができる。この場合には、フラット型エアスルードライヤ200の1つ以上の領域が事前接着のために利用される。また、予備接着からエアスルー接着に移行される場合がある。
【0101】
シリンダ型エアスルードライヤ300が適切に動作するように、中間ウェブ302は、
図3に表わすように、シリンダ型エアスルードライヤ300に到達した場合に自立していることが望ましい。一方、フラット型エアスルードライヤ200では、中間ウェブは、例えば布やベルト204のような機械要素によって支持されているので、
図2に表わすように、自立しないウェブであっても処理することができる。
【0102】
エアスルー接着ユニット130の後方には、すなわちエアスルー接着ユニット130の下流には、ウェブを表面処理するためのカレンダー加工ユニット140が設けられている。カレンダー加工は、ウェブの事前に選択された厚さ及び/又は表面仕上げ及び/又は通気性を得るために実施される。従って、当該装置では、カレンダー加工ユニット140はウェブの結合を得るために利用されない。その代わりに、ウェブは、カレンダー加工ユニット140に到達した時には、既に十分に接着されている。カレンダー加工ユニット140は、滑らかな表面を具備する一対のローラを、一対のローラを備えているか、又は一対のローラから構成されている。当該ローラは、好ましくは滑らかな鋼製表面を有している。
【0103】
装置100は、
図1には図示しないが、不織布の分野に属する当業者にとっては既知のタイプの付加的なユニットをさらに備えている場合がある。例えばファインオープナ、すなわちカード処理ユニット110の前方に繊維の塊を粉砕するためのユニットが挙げられる。カレンダー加工ユニット140の後方には、巻き取りユニット及び/又は切断ユニットが設けられている場合がある。
【0104】
さらに、装置100は、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物を封入するのに適したチューブ状構造体の内部にウェブを形成するためのチューブ形成ユニット150を備えている。チューブ状構造体は、袋詰めされた経口スナッフ製品に適した幅を有している。例えば、チューブ形成ユニット150は、ウェブをチューブ状構造体に折り畳むための折り畳みユニットを備えている。
【0105】
さらに、
図1に表わす装置100は、少なくとも1つの長手方向封止を作ることによって包装材料のウェブのチューブ状構造体をチューブ状に固定し、当該チューブ状構造体を固定するための長手方向封止ユニット160を備えている。長手方向封止ユニット160は、このように、チューブ形成ユニット150の内部に形成された上述のチューブ状構造体にシールを作るために利用される。長手方向封止ユニット160は、例えばヒートシールユニット又は超音波シールユニットとされる。これにより、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物は、供給ユニット170によって、既に形成且つ封止されたチューブ状構造体に供給される。典型的には、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物は、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物の一部として供給される。
【0106】
長手方向封止ユニット160において、第2のタイプの繊維を少なくとも部分的に溶融することによって不織布ウェブにシールを形成するためにエネルギーが利用される。第2のタイプの繊維が、第1の成分及び第2の成分から成る上述の繊維である場合には、少なくとも第2の成分が溶融し、好ましくは第1の成分と第2の成分との両方が溶融する。シールは、好ましくは対面して配置された2つの不織布表面の間にシールが形成されるように、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物の外側に配置されている。
【0107】
図示の実施例では、チューブ形成ユニット150及び長手方向封止ユニット160は、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物が供給ユニット170によって既に形成されたチューブ状構造体に供給されるように、供給ユニット170の前方に、すなわち供給ユニット170の上流に配置されている。
【0108】
代替的な装置では、供給ユニット170は、チューブ形成ユニット150及び長手方向封止ユニット160の前方に配置されている。これにより、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物が、例えば部分として、最初にウェブ上に配置された後に、チューブ状構造体が無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物の周りに形成される。ウェブは、例えば、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物の周囲において長手方向に折り畳まれている。
【0109】
装置100は、ウェブによって形成された2つの連続する個々の製品の間に少なくとも1つの横方向シールを作ることによって、包装材料のウェブを個々の製品に形成するための横方向封止ユニット180をさらに備えている。
【0110】
また、個々の製品は、例えば分離ユニット190における切断又は穿孔によって、分離線に沿って互いから分離されるか、又は分割線に沿って互いから分離可能に作られている。横方向封止ユニット180は、長手方向封止ユニット160として上述したタイプの封止ユニットのように、ヒートシールユニット又は超音波シールユニットとされる。例えば特許文献5に開示されるように、封止と分離との両方のために同一の超音波ユニットを利用する場合には、分離ユニット190が横方向封止ユニット180と組み合わされる場合がある。
【0111】
図4は、本発明における袋詰めされた経口スナッフ製品のための包装材料のウェブを製造するための方法400を概略的に示す。方法400は、本明細書で説明した装置100で実行するのに適している。この場合には、当該方法のステップは、装置100の様々なユニットに対応している。
図4に表わす破線は、任意のステップを示している。
【0112】
本方法によって製造されるウェブは、0%~95%の第1のタイプの繊維と5%~100%の第2のタイプの繊維とから成る、唾液透過性を有している不織布ウェブとされる。省略可能な第1のタイプの繊維は、セルロース系のステープル繊維である。第2のタイプの繊維は、少なくとも表面で溶融可能及び/又は軟化可能とされる熱可塑性繊維である。例えば、熱可塑性繊維は、第1の成分と第2の成分から成り、第2の成分は、第1の成分より低い溶融温度を有している。
【0113】
本方法は、
ステップ410:プレウェブを形成するために繊維をカード処理すること、
ステップ430:包装材料のウェブを形成するために、空気をプレウェブに吹き込み、第2のタイプの繊維を少なくとも部分的に溶融及び/又は軟化させることによって、プレウェブを接着すること、及び
ステップ440:ウェブを滑らかにカレンダー加工すること、
を含んでいる。
【0114】
上述のように、第2のタイプの繊維が第1の成分と第2の成分とから成る熱可塑性繊維とされ、第2の成分が、第1の成分より低い溶融温度を有している場合には、好ましくは、ステップ430は、第2のタイプの繊維の第2の成分を少なくとも部分的に溶融及び/又は軟化させることによってウェブを接着することを備えている。
【0115】
方法400は、
ステップ420:ステップ410におけるカード処理によって形成されたプレウェブを予備接着すること、
を任意のステップとして含んでいる場合がある。
【0116】
ステップ420における事前接着は、ステップ430におけるエアスルー接着の前に実施される。事前接着のステップ420は、
図1に関連して説明したように、空気をプレウェブに吹き込むように構成されている事前接着ユニット120によって実施される。ステップ420の事前接着は、80℃~155℃、好ましくは90℃~140℃、より好ましくは100℃~135℃、最も好ましくは110℃~130℃の範囲の温度で実施される。温度間隔は、第1のタイプの繊維及び第2のタイプの繊維の溶融温度に依存して選択されるが、予備接着ステップ420の温度は、繊維それぞれの溶融温度より低い。さらに、事前接着ステップ420は、省略可能な任意のステップである。
【0117】
ステップ440のカレンダー加工は、好ましくはステップ430のエアスルー接着より低い温度で実施される。より好ましくは、ステップ430,440の温度は、すべて又は略すべてのウェブの接着がステップ430の間に既に完了するように選択される。ステップ440のカレンダー加工は、ウェブの厚さ、表面仕上げ、空気透過性を事前に選択可能とするために実施される。
【0118】
ステップ430のエアスルー接着では、第2のタイプの繊維が溶融又は軟化し、繊維と接着することによって、粘着性ウェブが形成される。これにより、ウェブが形成される。第2のタイプの繊維が、第1の成分と第2の成分とから成る上述の熱可塑性繊維とされる場合には、第2の成分が部分的に溶融又は軟化し、繊維と結合することによって、粘着性ウェブが形成される。
【0119】
ステップ430のエアスルー接着は、例えば
図2に表わすフラット型エアスルードライヤ200で実施される。この場合には、ステップ430のエアスルー接着は、上述の範囲内の温度で実施される。フラット型エアスルードライヤ200を利用する場合には、上述のように、事前接着ステップ420を省略することができる。
【0120】
代替的又は補足的には、ステップ430のエアスルー接着は、例えば
図3に表わすシリンダ型エアスルードライヤ300で実施される。この場合には、ステップ430のエアスルー接着は、上述した範囲内の温度で実施される。
【0121】
また、事前接着とエアスルー接着とが組み合わされる場合があり、又は例えば
図1に関連して上述したように、事前接着からエアスルー接着に移行される場合がある。
【0122】
さらに、方法400は、任意のステップとして、
ステップ450:ウェブをチューブ状構造体に形成すること、
ステップ460:長手方向封止すること、
ステップ470:無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物を供給すること、
ステップ480:横方向封印すること、及び
ステップ490:分離させること、
のうち1つ以上のステップを備えている。
【0123】
ステップ450は、チューブ形成ユニット150によって実施される。チューブ形成ユニット150は、例えば折り畳みによって、ウェブの、袋詰めされた経口スナッフ製品に適した幅を有している少なくとも1つのチューブ状構造体を形成する。
【0124】
チューブ形成ユニット150は、
図4の左側に示す方法のように、供給ユニット170の前方に配置されているので、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物が、供給ユニット170によって、既に形成されたチューブ状構造体に例えば部分的に供給される(以下のステップ470に関連する説明を参照)。
【0125】
さらに、
図1に表わす方法400は、シールが形成される位置でウェブの第2のタイプの繊維を少なくとも部分的に溶融することによって、少なくとも1つのシールでウェブを封止するための任意のステップを備えている場合がある。当該封止は、ステップ460で実施される長手方向封止シール、又はステップ480で実施される横方向シールとされるが、典型的には、封止は、最初に長手方向で、その後に横方向で、すなわちステップ460及び480を実行することによって実施される。
【0126】
長手方向封止のステップ460によって、結果として、少なくとも1つの長手方向封止を作ることによって、包装材料のウェブをチューブ状の形状に固定することができる。従って、長手方向封止460は、シールを作るために実施され、これにより上述のチューブ状構造体を固定することができる。長手方向封止は、上述のヒートシール又は超音波シールによって実施される。封止の際には、シールを不織布に作成するためにエネルギーが利用される。シールは、好ましくは、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物の外側に配置されているので、シールは、互いに対面して配置されている2つの不織布表面の間に形成されている。
図4の左側に示す方法では、長手方向封止のステップ460は、ステップ470の前に実施されるので、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物は、既に形成及び封止されたチューブ状構造体に供給される。
【0127】
代替的には、チューブ形成ユニット150は、供給ユニットの後方に配置されているので、
図4の右側に示す方法のように、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物を供給するステップ450′は、ウェブをチューブ状構造体に形成するステップ460′の前に実行される。無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物は、典型的には部分的に、最初にウェブに配置された後に、チューブ状構造体が、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物の周囲に形成される。例えば、ウェブは、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物の周囲において長手方向に折り畳まれる。ステップ460′の後に、長手方向封止のステップ470′が実施される。
【0128】
ウェブをチューブ状構造体に折り畳むための代替的又は補足的な方法では、第2の唾液透過性を有している不織布ウェブが第1の唾液透過性を有している不織布ウェブに位置決めされるので、上述のように1つ以上のチューブ状構造体が2つのウェブの間に形成される。この場合には、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物を供給するステップは、チューブ状構造体を形成する前又は後に実施される。すなわち、左側に示すステップ450~470又は右側に示すステップ450′~470′に従って実施可能である。その後に、無煙タバコ組成物又は非タバコ組成物の長手方向側面のいずれかに長手方向封止が形成される。
【0129】
さらに、方法400は、個々の製品のうち2つの製品の間に少なくとも1つの横方向シールを作ることによって、包装材料のウェブを個々の製品に形成するための横方向封止のステップ480を備えている。横方向封止は、例えば上述の横方向封止ユニット180において、ヒートシール又は超音波シールによって実施される。
【0130】
また、個々の製品は、装置100の説明の際に上述したように、分離のステップ490によって、例えば切断又は穿孔によって、分離線に沿って互いから分離されるか、又は分離線に沿って互いから分離可能に作られている。横方向シールのステップ480と分離のステップ490とが、共通のステップとして実行される場合がある。
【0131】
本発明は、本発明の技術的範囲に属する限り、さらに変更することができる。このように、本発明は、本明細書で説明した実施例及び図面によって限定されると解釈すべきではない。むしろ、本発明の技術的範囲全体は、発明の詳細な説明及び図面を参照して、特許請求の範囲によって決定されるべきである。
【符号の説明】
【0132】
100 装置
110 カード処理ユニット
120 事前接着ユニット
130 エアスルー接着ユニット
140 カレンダー加工ユニット
150 チューブ形成ユニット
160 長手方向封止ユニット
170 供給ユニット
180 横方向封止ユニット
190 分離ユニット
200 フラット型エアスルードライヤ
204 ベルト
300 シリンダ型エアスルードライヤ
302 中間ウェブ