(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】熱可塑性加硫物用の油展ペレット形態エチレンΑ-オレフィンジエンインターポリマー
(51)【国際特許分類】
C08L 23/16 20060101AFI20240401BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20240401BHJP
B60K 15/01 20060101ALI20240401BHJP
B60R 13/06 20060101ALI20240401BHJP
C08L 91/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
C08L23/16
B60C1/00
B60K15/01
B60R13/06
C08L91/00
(21)【出願番号】P 2021557427
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 CN2019080377
(87)【国際公開番号】W WO2020198918
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ウー、シャオソン
(72)【発明者】
【氏名】リピシャン、コリン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、タオ
(72)【発明者】
【氏名】トゥー、リボ
【審査官】堀内 建吾
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-510244(JP,A)
【文献】国際公開第2018/005852(WO,A1)
【文献】特表2015-500920(JP,A)
【文献】国際公開第2017/210201(WO,A1)
【文献】特表2017-538842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 23/16
B60C 1/00
B60K 15/01
B60R 13/06
C08L 91/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物であって、
エチレン、α-オレフィン、および非共役ポリエンのインターポリマーと、
前記ポリマー組成物の総重量に基づいて、10重量%~40重量%の油と、を含み、前記ポリマー組成物が、20~70のムーニー粘度[ML(1+4)、125℃]を有し、
前記インターポリマーが、
前記インターポリマーの総重量に基づいて、66重量%~75重量%のエチレンから誘導されたモノマー単位と、
前記インターポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~10重量%の前記非共役ポリエンから誘導されたモノマー単位と、を含み、
前記インターポリマーが、
250kDa~300kDaの重量平均分子量Mwと、
50~200のムーニー粘度[ML(1+4)、125℃]と、
30未満のレオロジー比V
0.1/V
100と、
4.0を超える分子量と低剪断粘度との比Mw/V
0.1と、
2.0~3.5の多分散度指数と、
2.0を超える、0.1ラジアン/秒、190℃でのタンデルタと、を有する、ポリマー組成物。
【請求項2】
前記ポリマー組成物が、ペレットの形態であり、前記組成物と、混合物の総重量に基づいて5000ppmのタルク充填物との前記混合物は、
一軸降伏強度(UYS)が、22℃のアンロード温度で測定される場合、500lb/ft
2(
2441kg/m
2)未満で、
UYSが、0℃のアンロード温度で測定される場合、1500lb/ft
2(
7324kg/m
2)未満のUYSを有する、請求項1に記載のポリマー組成物。
【請求項3】
前記α-オレフィンが、C
3~C
20α-オレフィンである、請求項1または2に記載のポリマー組成物。
【請求項4】
前記インターポリマーが、EPDMターポリマーである、請求項1または2に記載のポリマー組成物。
【請求項5】
前記α-オレフィンが、プロピレンであり、前記非共役ポリエンが、5-エチリデン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、および1,5-ヘキサジエンからなる群から選択される、請求項1または2に記載のポリマー組成物。
【請求項6】
前記α-オレフィンが、プロピレンであり、前記非共役ポリエンが、5-エチリデン-2-ノルボルネンである、請求項1または2に記載のポリマー組成物。
【請求項7】
前記油が、石油、ポリアルキルベンゼン油、および有機酸モノエステル、ならびにこれらの組み合わせから選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載のポリマー組成物。
【請求項8】
前記α-オレフィンが、プロピレンであり、
前記非共役ポリエンが、5-エチリデン-2-ノルボルネンであり、
前記ポリマー組成物が、前記ポリマー組成物の総重量に基づいて、25重量%~40重量%の油を含み、
前記ポリマー組成物が、125℃で45ML(1+4)~125℃で55ML(1+4)のムーニー粘度を有し、
前記インターポリマーが、
前記インターポリマーの総重量に基づいて、68重量%~75重量%のエチレンから誘導されたモノマー単位と、
前記インターポリマーの総重量に基づいて、3重量%~6重量%の5-エチリデン-2-ノルボルネンから誘導されたモノマー単位と、を含み、
前記インターポリマーが、
60,000Pa・s未満の低剪断粘度V
0.1と、
20~25のレオロジー比V
0.1/V
100と、
4.5を超える分子量と低剪断粘度との比Mw/V
0.1と、を有する、請求項1または2に記載のポリマー組成物。
【請求項9】
前記インターポリマーが、265kDa~280kDaの重量平均分子量Mwを有する、請求項1または2に記載のポリマー組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のポリマー組成物、
熱可塑性ポリマー、および
加硫剤を含む、熱可塑性加硫物組成物。
【請求項11】
請求項10に記載の熱可塑性加硫物組成物を含む、少なくとも1つの構成要素を含む物品。
【請求項12】
前記物品が、プロファイル、射出成形部品、ガスケット、靴構成要素、チューブ、自動車用ホース、自動車用ベルト、ウェザーストリッププロファイル、建築用プロファイル、屋根ふき膜、射出成形物品、汎用ゴム製品、タイヤ、衝撃吸収材、およびTPE化合物からなる群から選択される、請求項11に記載の物品。
【請求項13】
前記物品が、ウェザーストリップである、請求項11に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、エチレンα-オレフィンジエンインターポリマー、インターポリマーを含む熱可塑性加硫物、および熱可塑性加硫物を含む物品に関する。より具体的には、本出願は、ペレット形態で望ましい流動特性を有するエチレンα-オレフィンジエンインターポリマーを含む油展ポリマー組成物、それを含む熱可塑性加硫物、および熱可塑性加硫物を含む物品に関する。
【背景技術】
【0002】
架橋ゴムと熱可塑性物質とのブレンドから形成された熱可塑性加硫物(「TPV」)は、当技術分野で既知である。形態学的には、TPVは、連続的な熱可塑性マトリックス中に微細に分散したマイクロサイズのゴム粒子の存在を特徴とする。ゴム相は、典型的には、動的加硫プロセスによって、好適な硬化剤で加硫される。従来の非加硫熱可塑性エラストマー(TPE)と比較して、TPV材料は、耐熱性、耐油性、弾性回復などのより良好な特性を示す。熱硬化性ゴムと比較して、TPV材料は、熱可塑性の加工性およびリサイクル性の利点を有する。TPVはまた、様々な用途において熱硬化性ゴムと可撓性PVC(ポリ塩化ビニル)との両方の代替品としても広く受け入れられている。
【0003】
TPVの物理的特性は、ゴム相の分子構造、熱可塑性相の特性、硬化レベル、フィラーの存在を含む多くの要因によって影響を受ける。その中で、ゴム相の選択が、TPVの最終特性に最も大きな影響を与えると見なされる。エチレン-プロピレン-ジエン(EPDM)エラストマーは、TPV配合物で最も広く使用されているゴムである。コモノマー含有量、分子量、分子量分布、ジエン含有量、長鎖分岐(LCB)のレベルなどの、EPDMの分子微細構造の特徴は、TPVの最終物理的特性に有意な影響を及ぼす。ゴム相の改善された分散を有する(ゴム相の分散がより均一になり、ゴム粒子が小さくなって界面積が増加する)新規なTPV配合物の必要性が存在する。
【0004】
熱可塑性加硫物(TPV)は、ゴムと熱可塑性物質の非混和性ブレンドの動的加硫、すなわち、熱可塑性物質との溶融混合中のゴムの選択的架橋を介して生成される。得られたTPVは、熱可塑性マトリックス中に分散された架橋ゴム粒子を含み、弾性と溶融加工性との両方を有する。市販のTPVの過半は、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)タイプのインターポリマーと、ポリプロピレン(PP)とのブレンドに基づき、フェノール系またはペルオキシド硬化剤で架橋されている。市販のTPV配合物において典型的に使用されるEPDMは、非常に高分子量、例えば、200以上のムーニー粘度(ML(1+4@125℃))を有する。加工性を改善するために、多くの場合、エクステンダー油がEPDMポリマーに添加されて、生成中の見かけの粘度を低減させる。得られたベール形態のEPDMは、取り扱いに欠点を有する。例えば、ベール形態のEPDMは、押出機に供給される前に、追加の粉砕工程を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
TPVで現在既知であり、使用されている様々なEPDM系配合物にもかかわらず、高度油展ベールとは対照的に、自由流動性ペレットの形態でEPDMから形成された配合物の必要性が存在し、これは、ベール形態の超高分子量EPDMを使用して調製された、従来のTPV配合物の特性と比較して、同等以上のバランスの取れた特性を提供する。さらに、取り扱いの容易性および配合柔軟性を提供する、そのようなTPV配合物の必要性が存在する。
【0006】
上記の背景に対して、本開示の実施形態は、本発明を対象とし、エチレン、α-オレフィン、および非共役ポリエンのインターポリマーと、ポリマー組成物の総重量に基づいて、10重量%~40重量%の油と、を含む油展ポリマー組成物を対象とする。ポリマー組成物は、20~70のムーニー粘度[ML(1+4)、125℃]を有し得る。インターポリマーは、インターポリマーの総重量に基づいて、66重量%~75重量%のエチレンから誘導されたモノマー単位と、インターポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~10重量%の非共役ポリエンから誘導されたモノマー単位と、からなる。いくつかの実施形態では、インターポリマーは、EPDMターポリマーである。いくつかの実施形態では、ジエンは、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)である。インターポリマーは、以下の特性、250kDa~300kDaの重量平均分子量Mwと、50~200のムーニー粘度[ML(1+4)、125℃]と、30未満の粘度比V0.1/V100と、4.0を超える分子量と低剪断粘度との比Mw/V0.1と、2.0~3.5の多分散度指数と、2.0を超える、0.1ラジアン/秒、190℃でのタンデルタのいずれかまたはすべてを有し得る。ポリマー組成物は、一軸降伏強度測定によって定量化可能な流動特性を有するペレットの形態であり得る。例えば、ポリマー組成物は、ペレットの形態であり得、組成物と、混合物の総重量に基づいて5000ppmのタルク充填物との混合物は、一軸降伏強度(UYS)が、22℃のアンロード温度で測定される場合、500lb/ft2未満で、かつ/またはUYSが、0℃のアンロード温度で測定される場合、1500lb/ft2未満のUYSを有する。
【0007】
本開示のさらなる実施形態は、熱可塑性ポリマーおよび加硫剤と組み合わせて、上記のような油展インターポリマーを含む熱可塑性加硫物を対象とする。
【0008】
本開示のさらに別の実施形態は、物品の少なくとも1つの構成要素が、上記のような熱可塑性加硫物を含む物品を対象とする。
【0009】
本明細書に記載される実施形態の追加の特徴および利点は、以下に続く詳細な説明に記載され、一部は、その説明から当業者に容易に明らかになるか、または、以下の詳細な説明および特許請求の範囲を含む本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【0010】
上記の一般的な説明および下記の発明を実施するための形態の両方は、様々な実施形態を説明し、特許請求される主題の性質および特徴を理解するための概要または枠組みの提供を意図していることを理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
定義
反対の記載、文脈から暗黙的、または当技術分野で慣習的でない限り、すべての部およびパーセントは重量に基づいており、すべての試験方法は本開示の出願日現在のものである。
【0012】
本明細書で使用される場合、「組成物」という用語は、組成物を含む材料、ならびに組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を含む。いかなる反応生成物または分解生成物も、典型的には、微量または残留量で存在する。
【0013】
本明細書で使用される場合、「ポリマー組成物」という用語は、ポリマー組成物を含む材料、ならびにポリマー組成物の材料から形成された反応生成物および分解生成物を含む。いかなる反応生成物または分解生成物も、典型的には、微量または残留量で存在する。ポリマー組成物は、例えば、1つのエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーを含有し得るか、または1つのそのようなインターポリマーおよび1つ以上の添加剤を含有し得る。ポリマー組成物は、2つ以上のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーを含有し得るか、またはそのようなインターポリマーおよび1つ以上の添加剤を含有し得る。
【0014】
本明細書で使用される場合、「ポリマー」という用語は、同じ種類のものか、または異なる種類のものかにかかわらず、モノマーを重合することによって調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという一般的な用語は、ホモポリマーという用語(微量の不純物をポリマー構造に組み込むことができるという理解を前提として、一種類のモノマーのみから調製されるポリマーを指すために用いられる)と、以下で定義するインターポリマーという用語とを包含する。触媒残留物などの微量の不純物は、ポリマー内におよび/またはポリマー中に組み込むことができる。
【0015】
本明細書で使用される場合、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なる種類のモノマーの重合によって調製されたポリマーを指す。したがって、インターポリマーという用語は、コポリマーという用語(2つの異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために用いられる)および2つを超える異なる種類のモノマーから調製されるポリマーを含む。
【0016】
本明細書で使用される際、「オレフィン系ポリマー」という用語は、過半量のオレフィンモノマー、例えば、エチレンまたはプロピレン(ポリマーの重量に基づいて)を重合形態で含むポリマーを指し、任意に1つ以上のコモノマーを含んでもよい。
【0017】
本明細書で使用される場合、「エチレン系ポリマー」という用語は、過半重量パーセントのエチレン(ポリマーの重量に基づく)を重合形態で含むポリマーを指し、任意に1つ以上のコモノマー含んでもよい。
【0018】
本明細書で使用される場合、「エチレン系インターポリマー」という用語は、過半重量パーセントのエチレン(インターポリマーの重量に基づく)、および少なくとも1種のコモノマーを重合形態で含むポリマーを指す。
【0019】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマー」という用語は、重合形態で、エチレン、α-オレフィン、および非共役ポリエンを含むポリマーを指す。一実施形態では、「エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマー」は、過半重量パーセントのエチレン(インターポリマーの重量に基づく)を含む。
【0020】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー」という用語は、重合形態で、エチレン、α-オレフィン、およびジエンを含むポリマーを指す。一実施形態では、「エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー」は、過半重量パーセントのエチレン(インターポリマーの重量に基づいて)を含む。
【0021】
本明細書で使用される場合、「エチレン/α-オレフィンコポリマー」という用語は、重合形態において、2種類のみのモノマーとして、過半量のエチレンモノマー(コポリマーの重量に基づいて)、およびα-オレフィンを含むコポリマーを指す。
【0022】
本明細書で使用される「プロピレン系ポリマー」という用語は、重合形態で、過半量のプロピレンモノマー(ポリマーの重量に基づいて)を含むポリマーを指し、任意に1種以上のコモノマーを含んでもよい。
【0023】
「~を含む(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を有する(having)」という用語、およびそれらの派生語は、それらが具体的に開示されているか否かにかかわらず、任意の追加の構成要素、工程、または手順の存在を除外することを意図するものではない。「含む(comprising)」という用語の使用を通して主張されるすべての組成物は、相反する記載がない限り、高分子であるか否かにかかわらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、または化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる」という用語は、操作性に必須ではないものを除き、任意の以降の記述の範囲から任意の他の構成要素、工程、または手順を除外する。「からなる」という用語は、具体的に規定または列挙されていない任意の構成要素、工程、または手順を除外する。
【0024】
ここで、ポリマー組成物、ポリマー組成物を含む熱可塑性加硫物、および熱可塑性加硫物を含む物品の実施形態を詳細に言及する。エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマー(例えば、EPDMターポリマー)は、低レベルの長鎖分岐(LCB)を有することが見出された。インターポリマーはまた、独自のレオロジー挙動(すなわち、高タンデルタおよび低レオロジー比V0.1/V100)も示し、それによって、典型的に溶液重合プロセスにおいて使用される脱揮ユニットおよびギアポンプを通しての、そのようなインターポリマーの生成、移送が可能になる。インターポリマーのペレットは、ベール形態ポリマーで一般的な粉砕工程の必要性を軽減または排除する、望ましい流動特性を有する。さらに、このインターポリマーを使用して、改善されたTPV配合物および高充填物配合物を形成し得、各々は、改善された機械的特性および良好な加工性(例えば、混合物のより速い混合または改善された押出加工性)を有する高性能ポリマーを必要とする。
【0025】
ポリマー組成物
実施形態によるポリマー組成物または油展ポリマー組成物は、エチレン、α-オレフィン、および非共役ポリエンのインターポリマーと、ポリマー組成物の総重量に基づいて、10重量%~40重量%の油と、を含む。いくつかの実施形態では、インターポリマーは、インターポリマーの総重量に基づいて、66重量%~75重量%のエチレンから誘導されたモノマー単位と、インターポリマーの総重量に基づいて、0.5重量%~10重量%の非共役ポリエンから誘導されたモノマー単位と、を含む。ここで、インターポリマーおよびポリマー組成物の追加の特徴について記載する。ポリマー組成物はまた、本明細書に記載されるような2つ以上の実施形態の任意の組み合わせを通して具体化され得ることを理解されたい。
【0026】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の重量に基づいて、60~80重量パーセントのエチレン、または65~75重量パーセントのエチレン、または68~75重量パーセントのエチレンを含む。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0027】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の重量に基づいて、0.5~10重量パーセント、2.0~7.0重量パーセント、または2.5~6.5重量パーセント、または3.0~6.0重量パーセント、または3.5~5.5重量パーセントの非共役ポリエンを含む。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0028】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、200kDa(キロダルトン=g/モル)以上、または220kDa以上、または250kDa以上、または265kDa以上の重量平均分子量(Mw)を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0029】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、400kDa以下、または350kDa以下、または300kDa以下、または280kDa以下の重量平均分子量(Mw)を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0030】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、200kDa~400kDa、または220kDa~350kDa、または250kDa~300kDa、または265kDa~280kDaの重量平均分子量(Mw)を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0031】
いくつかの実施形態では、インターポリマーおよび油を含むポリマー組成物は、20以上、または30以上、または40以上、または45以上のムーニー粘度(ML1+4、125℃)を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0032】
いくつかの実施形態では、インターポリマーおよび油を含むポリマー組成物は、70以下、または65以下、または60以下、または55以下のムーニー粘度(ML1+4、125℃)を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0033】
いくつかの実施形態では、インターポリマーおよび油を含むポリマー組成物は、20~70、30~60、40~60、または45~55のムーニー粘度(ML1+4、125℃)を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0034】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、10,000Pa・s以上、12,000Pa・s以上、または15,000Pa・s以上の、0.1ラジアン/秒、190℃での低剪断粘度を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0035】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、100,000Pa・s以下、または90,000Pa・s以下、または80,000Pa・s以下、または70,000Pa・s以下、または60,000Pa・s以下の、0.1ラジアン/秒、190℃での粘度を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0036】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、10,000Pa・s~100,000Pa・s、または30,000Pa・s~90,000Pa・s、または40,000Pa・s~80,000Pa・s、または40,000Pa・s~70,000Pa・s、または40,000Pa・s~60,000Pa・s、または50,000Pa・s~60,000Pa・s、または55,000Pa・s~60,000Pa・sの、0.1ラジアン/秒、190℃での粘度を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0037】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、10以上、または15以上、または20以上のレオロジー比(190℃でのV0.1/V100)を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0038】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、40以下、または30以下、または25以下のレオロジー比(190℃でのV0.1/V100)を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0039】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、10~40、10~30、20~30、または20~25のレオロジー比(190℃でのV0.1/V100)を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0040】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、例えば、3.2~10.0、3.5~10.0、4.0~10.0、4.5~10.0、4.0~8.0、4.0~6.0、または4.0~5.0などの、3.2を超える、3.5を超える、4.0を超える、または4.5を超える分子量と低剪断粘度との比Mw/V0.1((g/モル)/(Pa・s))を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0041】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、例えば、2.0~3.5などの、1.5~4.0の多分散度指数(PDI)または分子量分布(Mw/Mn)を有する。
【0042】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、例えば、1.8~5.5、または1.9~5.0、または2.0~5.0、または2.1~5.0、または2.1~4.0、または2.1~3.0、または2.1~2.5、または2.1~2.3などの、1.8を超える、1.9を超える、2.0を超える、または2.1を超える、タンデルタ(0.1ラジアン/秒、190℃)を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0043】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、3.50以下、さらに3.20以下、さらに3.00以下のMWDを有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0044】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、1.80以上、または1.90以上、または2.00以上のMWDを有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0045】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、13C NMRによって決定される、3.0パーセント以上、または4.0パーセント以上、または5.0パーセント以上である、{[(21.3ppm~21.8ppmの13C NMRピーク面積)÷(19.5ppm~22.0ppmの総積分面積)]×100}である「13C NMR%ピーク面積」を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0046】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、13C NMRによって決定される、3.0~30.0パーセント、または4.0~30.0パーセント、または5.0~30.0パーセントである、{[(21.3ppm~21.8ppmの13C NMRピーク面積)÷(19.5ppm~22.0ppmの総積分面積)]×100}である「13C NMR%ピーク面積」を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0047】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、インターポリマーおよび油を含むか、本質的にそれからなるか、またはそれらからなる。いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、組成物の総重量に基づいて、60重量%~90重量%、または65重量%~90重量%、または70重量%~90重量%、または60重量%~80重量%、または60重量%~70重量%のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーを含む。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0048】
いくつかの実施形態では、組成物は、0.860g/cm3~0.920g/cm3、または0.860g/cm3~0.910g/cm3、または0.860g/cm3~0.900g/cm3、または0.860g/cm3~0.890g/cm3の密度を有する。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0049】
いくつかの実施形態では、ポリマー組成物は、ペレット形態である。いくつかの実施形態では、ペレット形態のポリマー組成物は、室温流動性試験基準および/または0℃流動性試験基準の一方または両方に合格し得る。これらの試験基準は、ペレットの一軸降伏強度(UYS)の測定値に基づいている。EPDM組成物の流動性は、本開示の実施例の項に記載される手順に従って決定されたUYS測定値から評価される。具体的には、本開示のポリマー組成物に関して、UYSが、22℃のアンロード温度で測定される場合、500lb/ft2以下のUYSを有するタルクコーティング(5000ppm)されたポリマー組成物は、室温流動性試験に「合格」と判定される。UYSが、22℃のアンロード温度で測定される場合、500lb/ft2を超えるUYSを有するタルクコーティング(5000ppm)されたポリマー組成物は、室温流動性試験に「不合格」と判定される。同様に、UYSが、0℃のアンロード温度で測定される場合、1500lb/ft2以下のUYSを有するタルクコーティング(5000ppm)されたポリマー組成物は、0℃流動性試験に「合格」と判定される。UYSが、0℃のアンロード温度で測定される場合、1500lb/ft2を超えるUYSを有するタルクコーティング(5000ppm)されたポリマー組成物は、0℃流動性試験に「不合格」と判定される。
【0050】
エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマー
本明細書に記載されるポリマー組成物のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、重合形態で、エチレン、α-オレフィン、および非共役ポリエンを含む。α-オレフィンの好適な例としては、C3~C20α-オレフィン、および好ましくはプロピレンが挙げられる。非共役ポリエンの好適な例としては、C4~C40非共役ジエンが挙げられる。
【0051】
α-オレフィンは、脂肪族化合物または芳香族化合物のいずれかであり得る。α-オレフィンは、好ましくはC3~20の脂肪族化合物、好ましくはC3~16の脂肪族化合物、より好ましくはC3~10の脂肪族化合物である。好適なC3~C10脂肪族α-オレフィンは、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンからなる群から選択され、より好ましくはプロピレンである。さらなる実施形態において、インターポリマーは、エチレン/プロピレン/-ジエン(EPDM)ターポリマーである。さらなる実施形態では、ジエンは、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)である。
【0052】
例示的な非共役ポリエンには、1,4-ヘキサジエンおよび1,5-ヘプタジエンなどの直鎖非環式ジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン、3,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、5,7-ジメチル-1,7-オクタジエン、1,9-デカジエン、およびジヒドロミルセンの混合異性体などの分岐鎖非環式ジエン、1,4-シクロヘキサジエン、1,5-シクロオクタジエンおよび1,5-シクロドデカジエンなどの単環脂環式ジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデンなどの多環脂環式縮合および架橋環ジエン、アルケニル、アルキリデン、シクロアルケニル、ならびに5-メチレン-2-ノルボルネン(MNB)、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネンおよび5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネンなどのシクロアルキリデンノルボルネンが含まれる。ポリエンは、好ましくはENB、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、7-メチル-1,6-オクタジエンからなる群から選択される非共役ジエンであり、好ましくはENB、ジシクロペンタジエン、および1,4-ヘキサジエン、より好ましくはENBおよびジシクロペンタジエンであり、さらに好ましくはENBである。
【0053】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、インターポリマーの重量に基づいて、過半量の重合エチレンを含む。さらなる実施形態において、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/デンインターポリマーである。さらなる実施形態において、インターポリマーは、EPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0054】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、1.7~5.0、または2.0~4.0、または2.5~3.5の分子量分布(Mw/Mn)を有する。さらなる実施形態において、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/デンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態において、インターポリマーは、EPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0055】
一実施形態では、正味のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、50~200、75~175、100~175、または75~125のムーニー粘度(ML1+4、125℃)、ムーニー粘度を有する。正味のポリマーとは、充填剤を含まず、かつ、油を含まないポリマーを意味する。正味のインターポリマーのムーニー粘度は、正味のインターポリマーで直接測定され得るか、またはカーボンブラックなどの充填剤、および/または油を含有するポリマーから得られた測定値から計算され得る。さらなる実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマーである。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0056】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、着色可能なインターポリマーである。さらなる実施形態において、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/デンインターポリマーである。さらなる実施形態において、インターポリマーは、EPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0057】
エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、本明細書に記載されるような2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0058】
エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマーは、本明細書に記載されるような2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0059】
EPDMターポリマーは、本明細書に記載されるような2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0060】
オイル
油には、芳香油やナフテン油などの石油、ポリアルキルベンゼン油、オレイン酸およびステアリン酸アルキルおよびアルコキシアルキルなどの有機酸モノエステル、ジアルキル、ジアルコキシアルキル、およびアルキルアリールフタレート、テレフタレート、セバケート、アジペート、およびグルタレートなどの有機酸ジエステル、トリ-、テトラ-、およびポリエチレングリコールジアルカノエートなどのグリコールジエステル、トリメリット酸トリアルキル、トリアルキル、トリアルコキシアルキル、アルキルジアリールおよびトリアリールホスフェート、塩素化パラフィン油、クマロン-インデン樹脂、パインタール、ヒマシ油、トール油、ナタネ油、大豆油などの植物油、ならびにそれらのエステルおよびエポキシ化誘導体、などが含まれるが、これらに限定されない。
【0061】
実施形態では、ポリマー組成物は、ポリマー組成物の総重量に基づいて、10重量%~40重量%の油、または15重量%~35重量%の油、または20重量%~35重量%の油、または25重量%~35重量%の油、または約30重量%の油を含み得る。
【0062】
一実施形態において、油は、非芳香族油、パラフィン油、ナフテン油、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。好適な油としては、PARALUX 6001、HYDROBRITE 550、およびCALSOLが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
油は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0064】
添加剤
上記の実施形態によるポリマー組成物は、追加の配合成分を含み得るか、または組成物もしくは配合物に組み込まれ得る。例えば、ポリマー組成物は、1つ以上の追加の添加剤を含み得る。好適な添加剤には、充填剤、酸化防止剤、UV安定剤、難燃剤、着色剤または顔料、架橋剤、およびそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0065】
実施形態では、ポリマー組成物は、架橋剤をさらに含み得る。架橋剤としては、元素硫黄、4,4’-ジチオジモルホリン、チウラムジ-およびポリスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、および2-モルホリノ-ジチオベンゾチアゾールなどの硫黄含有化合物、ならびにジ-tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルクミルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ジ-(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、tert-ブチルペルオキシベンゾエート、および1,1-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサンなどのペルオキシドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
実施形態では、ポリマー組成物は、充填剤をさらに含み得る。好適な充填剤としては、粘土、CaCO3、タルク、カーボンブラック、および鉱物繊維が挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
実施形態では、ポリマー組成物は、熱可塑性ポリマーをさらに含み得る。ポリマーには、プロピレンベースポリマー、エチレンベースポリマー、およびオレフィンマルチブロックインターポリマーが含まれる、これらに限定されない。好適なエチレン系ポリマーには、高密度ポリエチレン(HDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、均一に分岐した線状エチレン/α-オレフィンインターポリマー、および均一に分岐した実質的に線状のエチレレン/α-オレフィンインターポリマー(すなわち、均一に分岐した長鎖分岐状エチレン/α-オレフィンインターポリマーである)が含まれるが、これらに限定されない。
【0068】
物品
さらなる実施形態は、1つ以上の構成要素、または物品全体が、本明細書に記載されるようなポリマー組成物を含む、物品を含む。そのような物品の例としては、シート、発泡体、成形品、および押出部品が挙げられるが、これらに限定されない。追加の物品として、自動車部品、ウェザーストリップ、ベルト、ホース、電線およびケーブル外被、床材、ガスケット、タイヤ、コンピュータ部品、建築材料、および履物部品が挙げられる。当業者は、過度の実験を行わずにこのリストを容易に増補することができる。一実施形態では、物品は、自動車部品である。
【0069】
本発明の物品は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含むことができる。
【0070】
プロセス
本明細書の実施形態によるポリマー組成物は、任意の好適な重合プロセスによって調製され得る。例示的な実施形態では、本開示によるポリマー組成物を形成するためのプロセスは、インターポリマーを形成するための触媒系の存在下で、エチレン、α-オレフィン、および非共役ポリエンを重合することを含み得る。本プロセスは、インターポリマーと油とを組み合わせて、ポリマー組成物を形成することをさらに含み得る。
【0071】
エチレン、α-オレフィン、および非共役ポリエンを重合するために、いくつかの実施形態では、触媒系は、触媒および1つ以上の助触媒を含み得る。好適な触媒としては、参照により本明細書に組み込まれる国際特許出願公開第2016/160231A1号に開示されている1つ以上の金属-配位子錯体を挙げることができる。例示的な実施形態では、触媒系としては、式(I)を有する{[[[2’,2’’’-[1,3-プロパンジイルビス(オキシ-kO)]ビス[3-[3,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-9H-カルバゾール-9-イル]-5’-フルオロ-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)[1,1’-ビフェニル]-2-オラト-kO]](2-)]-ハフニウムジメチル}(CAS#1360629-63-5)などの、金属-配位子錯体を挙げることができる。
【化1】
【0072】
重合プロセスの実施形態では、触媒系の存在下で、エチレン、α-オレフィン、非共役ポリエンを重合することによって調製されたインターポリマーは、ポリマー組成物に関して本明細書で上記のようなインターポリマーの特性を示し得る。例えば、インターポリマーは、以下の特性、250kDa~300kDaの重量平均分子量Mwと、50~200のムーニー粘度[ML(1+4)、125℃]と、30未満の粘度比V0.1/V100と、4.0を超える分子量と低剪断粘度との比Mw/V0.1と、2.0~3.5の多分散度指数と、2.0を超える、0.1ラジアン/秒、190℃でのタンデルタのいずれかまたはすべてを有し得る。
【0073】
一実施形態では、プロセスは、1つ以上の反応器内で1つ以上の混合物を重合することを含み、少なくとも1つの反応器内でのエチレン変換は、90.0%未満である。さらなる実施形態では、エチレン変換は、89.0%未満、または88.0%未満である。一実施形態では、少なくとも1つの反応器内でのエチレン変換は、50.0%を超える、または55.0%を超える、または60.0%を超える。
【0074】
一実施形態では、プロセスは、1つ以上の反応器内で1つ以上の混合物を重合することを含み、少なくとも1つの反応器内の反応器温度は、150℃未満、または140℃未満、または145℃未満である。
【0075】
一実施形態では、プロセスは、1つ以上の反応器内で1つ以上の混合物を重合することを含み、少なくとも1つの反応器内の反応器温度は、90℃を超える、または100℃を超える、または110℃を超える。
【0076】
一実施形態では、エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0077】
一実施形態では、ポリマー組成物は、2つのエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーを含み、インターポリマーは、以下の特性:Mw、Mn、MWD、V0.1、V100、V0.1/V100、密度、および/またはムーニー粘度のうちの1つ以上が異なる。さらなる実施形態において、各エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーは、エチレン/α-オレフィン/ジエンインターポリマー(EAODM)である。さらなる実施形態では、インターポリマーはEPDMである。さらなる実施形態では、ジエンは、ENBである。
【0078】
一実施形態では、プロセスは、1つの反応器内または2つの反応器内で1つ以上の混合物を重合することを含む。例えば、1つ以上の重合反応器は、並列、直列、またはこれらの組み合わせで接続される。
【0079】
一実施形態では、プロセスは、1つ以上の反応器内で1つ以上の混合物を重合することを含み得、それは、溶液重合である。本明細書で使用される場合、「溶液重合」という用語は、形成されたポリマーが反応媒体(例えば、ISOPAR Eのような炭化水素系溶媒)に可溶である重合プロセスを指す。ポリマーの溶解度は、主に重合温度およびポリマー濃度に依存する。
【0080】
一実施形態では、重合は、90℃~200℃、または95℃~180℃、または100℃~160℃の温度で行われる。
【0081】
一実施形態では、重合は、2つ以上の助触媒を含み得る。使用に好適な助触媒は、ポリマーまたはオリゴマーアルミノキサン、特にメチルアルミノキサン、および不活性、相溶性、非配位性、イオン形成化合物を含む。例示的な好適な助触媒としては、変性メチルアルミノキサン(MMAO)、ビス(水素化タローアルキル)メチル、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(1-)アミン、トリエチルアルミニウム(TEA)、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
一実施形態では、触媒系は、ボレート、アルキルアルミニウム、アルミノキサン、またはこれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの助触媒をさらに含む。
【0083】
一実施形態では、上記の活性化助触媒のうちの1つ以上は、互いに組み合わせて使用される。特に好ましい組み合わせは、トリ((C1~C4)ヒドロカルビル)アルミニウム、トリ((C1~C4)ヒドロカルビル)ボラン、またはホウ酸アンモニウムとオリゴマーもしくはポリマーアルモキサン化合物との混合物である。
【0084】
一実施形態では、式(I)の1つ以上の金属-配位子錯体の総モル数と、1つ以上の活性化助触媒の総モル数との比は、1:10,000~100:1である。いくつかの実施形態では、この比は、少なくとも1:5000であり、他のいくつかの実施形態では少なくとも1:1000、および10:1以下であり、さらにいくつかの他の実施形態では、1:1以下である。
【0085】
熱可塑性加硫物
実施形態による熱可塑性加硫物としては、1つ以上のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーおよび油を含む、上記のようなポリマー組成物または油展ポリマー組成物を挙げることができる。例示的な実施形態では、インターポリマーは、EPDMであり得、かつ/またはポリエンは、ENBであり得る。ポリマー組成物に加えて、熱可塑性加硫物は、熱可塑性ポリマー、加硫剤、および1つ以上の任意の添加剤をさらに含み得る。
【0086】
熱可塑性ポリマー
熱可塑性ポリマーとしては、プロピレン系ポリマー、エチレン系ポリマー、およびポリエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
一実施形態では、熱可塑性ポリマーは、(エチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンの100部に基づいて、または第1のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーと第2のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーとの合計100部に基づいて、)20~150、さらに25~100、さらに30~50PHRの量で存在する。
【0088】
一実施形態では、熱可塑性ポリマーは、10,000~1,000,000g/モル、さらに20,000~500,000g/モル、さらに50,000~300,000g/モルの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0089】
熱可塑性ポリマーは、本明細書に記載されるような2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0090】
一実施形態では、熱可塑性ポリマーは、ポリオレフィン系ポリマーである。好適なプロピレン系ポリマーとしては、ポリプロピレンホモポリマー、プロピレン/エチレンコポリマー、プロピレン/α-オレフィンコポリマー、および衝撃改質ポリプロピレンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0091】
一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、ビスブレーキングプロセスを使用して後変性される。
【0092】
一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、140℃以上、さらに150℃以上、さらに160℃以上の、DSCによって決定されるような融点(Tm)を有する。
【0093】
一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、140℃~165℃、さらに150℃~165℃、さらに160℃~165℃の、DSCによって決定されるような融点を有する。
【0094】
一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、0.87~0.91g/cm3、さらに0.88~0.90g/cm3(1cc=1cm3)の密度を有する。
【0095】
一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、0.5~100g/10分、さらに0.5~50g/10分、さらに0.5~10g/10分、さらに0.5~5g/10分の、ASTM D1238(230℃/2.16kg)によって決定されるようなメルトフローレート(MFR)を有する。
【0096】
一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、1.7~10、さらに1.8~5、さらに2~3.5の分子量分布(MWD)を有する。
【0097】
一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、プロピレン/α-オレフィンコポリマーである。好適なα-オレフィンの例としては、イソブチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、および1-オクテン、ならびにさらに1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
一実施形態では、プロピレン/α-オレフィンコポリマーは、80℃以上、さらに100℃以上、さらに120℃以上の、DSCによって決定されるような融点(Tm)を有する。
【0099】
一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、プロピレン/エチレンコポリマーである。
【0100】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、コポリマーの重量に基づいて、90重量%以上、または92重量%以上、または94重量%以上、または96重量%以上、または98重量%以上の重合プロピレンを含む。
【0101】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、コポリマーの重量に基づいて、10重量%以下、または8重量%以下、または6重量%以下、または4重量%以下、または2重量%以下の重合エチレンを含む。
【0102】
一実施形態では、プロピレン/エチレンコポリマーは、80℃以上、さらに100℃以上、さらに120℃以上の、DSCによって決定されるような融点(Tm)を有する。
【0103】
一実施形態では、プロピレン系ポリマーは、ポリプロピレンホモポリマーである。
【0104】
好適なプロピレン系ポリマーとしては、BRASKEMプロピレン H110-02N、VERSIFYプラストマーおよびエラストマー(例えば、VERSIFY 2000プラストマー、VERSIFY 2200プラストマー)、ならびにVISTAMAXXポリマー(例えば、VISTAMAXX3000)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0105】
プロピレン系ポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0106】
プロピレン/α-オレフィンコポリマーは、本明細書に記載されるような2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。プロピレン/エチレンコポリマーは、本明細書に記載されるような2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。ポリプロピレンホモポリマーは、本明細書に記載されるような2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0107】
一実施形態では、熱可塑性ポリマーは、エチレン系ポリマーである。好適なエチレン系ポリマーとしては、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、均質に分岐した直鎖状エチレンポリマー、および均質に分岐した実質的に直鎖状のエチレンポリマー(すなわち、均質に分岐した長鎖分岐状エチレンポリマー)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0108】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.900~0.965g/cm3、さらに0.910~0.960g/cm3の密度を有する。
【0109】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、0.5~100g/10分、さらに0.5~50g/10分、さらに0.5~10g/10分、さらに0.5~5g/10分の、ASTM D1238(190℃/2.16kg)によって決定されるようなメルトインデックス(I2)を有する。
【0110】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、1.7~30、さらに1.7~10、さらに1.7~5の分子量分布(MWD)を有する。
【0111】
一実施形態において、エチレン系ポリマーは、ポリエチレンホモポリマーである。
【0112】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレン/α-オレフィンコポリマーである。さらなる実施形態では、α-オレフィンは、C3~C10α-オレフィンである。好適なα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、および1-オクテンが挙げられる。
【0113】
好適なエチレン系ポリマーのいくつかの商業的な例としては、市販のHDPE、市販のLDPE、ATTANE、AFFINITY、DOWLEX、FLEXOMER、ELITE(これらはすべて、Dow Chemical Companyから入手可能)、ならびにEXCEEDおよびEXACT(ExxonMobil Chemical Companyから入手可能)が挙げられる。
【0114】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレンマルチブロックコポリマーである。例えば、WO 2005/090427、US2006/0199931、US2006/0199930、US2006/0199914、US2006/0199912、およびUS2006/0199911を参照されたい。各公開は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0115】
エチレン系ポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。エチレン/α-オレフィンコポリマーは、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。ポリエチレンホモポリマーは、本明細書に記載されるような2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。
【0116】
加硫剤
実施形態による熱可塑性加硫物は、加硫剤をさらに含む。好ましい加硫剤は、フェノール樹脂である。他の硬化剤としては、ペルオキシド、アジド、アルデヒド-アミン反応生成物、ビニルシラングラフト化部分、ヒドロシリル化、置換尿素、置換グアニジン、置換ザンテート、置換ジチオカルバメート、チアゾール、イミダゾール、スルフェンアミド、チウラミジスルフィド、パラキノンジオキシム、ジベンゾパラキノンジオキシム、硫黄などの硫黄含有化合物、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。Encyclopedia of Chemical Technology,Vol.17、第2版、Interscience Publishers、1968年、さらに、Organic Peroxides,Daniel Seern、Vol.1,Wiley-Interscience,1970年)を参照されたい。それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
加硫剤は、シラングラフト化インターポリマー用の、フェノール硬化剤(および任意の硬化促進剤の塩化第一スズ)、または任意の共剤と共にペルオキシド硬化剤、またはヒドロシリル化触媒と共にヒドロシリル化架橋剤、または任意の共剤のアルミナ三水和物(「ATH」と共にジブチルスズジラウレート(「DBTDL」)であり得る。フェノール樹脂、硬化促進剤の塩化第一スズ、および酸捕捉剤の酸化亜鉛が、EPDM硬化に使用され得る(ペルオキシド、または硫黄、またはヒドロシリル化硬化系も使用され得る)。
【0118】
EPDMゴムを完全に硬化させ得る任意のフェノール硬化システムが好適である。エラストマーを完全に硬化させることは好ましいが、それは必ずしも必要ではない。いくつかの実施形態では、エラストマーは、部分的に硬化されるか、または実質的に硬化される。そのような系の基本的な配合成分は、ハロゲン置換フェノール、C1~C10アルキル置換フェノール、もしくは無置換フェノールと、アルデヒド、好ましくはホルムアルデヒドと、のアルカリ媒体中での縮合、または二官能性フェノールジアルコールの縮合によって作製されたフェノール硬化樹脂である。C5~C10アルキル基でパラ位において置換されたジメチロールフェノール類が好ましい。アルキル置換フェノール硬化樹脂のハロゲン化によって調製されたハロゲン化アルキル置換フェノール硬化樹脂も特に好適である。メチロールフェノール樹脂、ハロゲン供与体、および金属化合物を含むフェノール硬化系が、特に推奨され、その詳細は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、Gillerの米国特許第3,287,440号およびGerstinらの米国特許第3,709,840号に記載されている。フェノール硬化系の別の好適なクラスは、米国特許第5,952,425号に開示されており、それは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0119】
フェノール系硬化剤に加えて、アジドも架橋剤として使用され得る。好適なアジドとしては、テトラメチレンビス-(アジドホルメート)(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,284,421号も参照)などのアジドホルメート、4,4’-ジフェニルメタンジアジドなどの芳香族ポリアジド(参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,297,674号も参照)、およびp,p’-オキシビス(ベンゼンスルホニルアジド)などのスルホンアジドが挙げられるが、これらに限定されない。加硫剤としての好適なペルオキシドとしては、芳香族ダクチルペルオキシド、脂肪族ダクチルペルオキシド、二塩基酸ペルオキシド、ケテンペルオキシド、アルキルペルオキシエステル、アルキルヒドロペルオキシド(例えば、ジアセチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ビス-2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、tert-ブチル-ペルベンゾエート、tert-ブチルクミルペルオキシド、2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、2,5-ビス(t-ブチルペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキシン-3、4,4,4’,4’-テトラ-(t-ブチルペルオキシ)-2,2-ジシクロヘキシルプロパン、1,4-ビス-(t-ブチルペルオキシイソプロピル)-ベンゼン、1,1-ビス-(t-ブチルペルオキシ)-3,3,5-トリメチル-シクロヘキサン、ラウロイルペルオキシド、コハク酸ペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、過酢酸t-ブチル、ブチルヒドロペルオキシド、などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
加硫エラストマーは、低レベルのペルオキシドの存在下で、別個の反応性押出プロセスを介して、ビニルシランモノマーにグラフト化され得る。好適なビニルシランには、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランが含まれるが、これらに限定されない。次いで、グラフト化エラストマーを水と反応させて、動的加硫プロセス中にジブチスズジラウレートなどの触媒の存在下でポリマーを硬化させることができる。好適な水源には、蒸気、水/エチレングリコール混合物、アルミニウム三水和物、および水酸化マグネシウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0121】
分子内に少なくとも2つのSiH基を有する水素化ケイ素を、ヒドロシリル化触媒の存在下で不飽和ゴム成分の炭素-炭素多重結合と反応させて、動的加硫中に有用な架橋を形成する。好適な水素化ケイ素化合物には、メチル水素ポリシロキサン、メチル水素ジメチルシロキサンコポリマー、メチル水素アルキルメチルポリシロキサン、ビス(ジメチルシリル)アルカンおよびビス(ジメチルシリル)ベンゼンが含まれるが、これらに限定されない。組成物のプロセスに有用な水素化ケイ素化合物の量は、ゴム中の炭素-炭素二重結合1個当たり約0.1~約10.0モル当量のSiHの範囲であり得、好ましくは、熱可塑性エラストマーのゴム成分中の炭素-炭素二重結合1個当たり約0.5~約5.0モル当量のSiHの範囲である。ヒドロシリル化加硫反応に好適な触媒には、パラジウム、ロジウム、白金など、これらの金属の錯体を含む、VIII族の遷移金属が含まれる。塩化白金酸は、米国特許第4,803,244号および米国特許第5,597,867号に有用な触媒として開示されている。TPVを製造するためにEPDMを動的に加硫するためのヒドロシリル化架橋の使用は、米国特許第6,251,998号(Medsker et al.、2001年6月26日)に記載されており、その全体は参照により本明細書に組み込まれる。
【0122】
加硫剤は、本明細書に記載されるような2つ以上の実施形態の組み合わせを含み得る。熱可塑性加硫物は、ペレット化され得る。本発明の組成物は、本明細書に記載の2つ以上の実施形態の組み合わせを含んでもよい。
【0123】
添加剤
実施形態による熱可塑性加硫物は、1つ以上の追加の添加剤をさらに含み得る。好適な添加剤としては、充填剤、酸化防止剤、UV安定剤、難燃剤、着色剤または顔料、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
充填剤としては、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム、およびこれらの混合物のケイ酸塩、カルシウム、マグネシウム、およびこれらの混合物の炭酸塩、ケイ素、カルシウム、亜鉛、鉄、チタン、およびアルミニウムの酸化物、カルシウム、バリウム、および鉛の硫酸塩、アルミナ三水和物、水酸化マグネシウム、天然繊維、合成繊維などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
いくつかの酸化防止剤およびオゾン劣化防止剤には、ヒンダードフェノール、ビスフェノール、およびチオビスフェノール、ならびに置換ヒドロキノンが含まれるが、これらに限定されない。アゾジカルボンアミドなどの発泡剤は、フォーム構造を製造するために使用することができる。
【0126】
TPVを作製する方法
熱可塑性加硫物は、典型的には、動的加硫によってプラスチックゴムと硬化ゴムとをブレンドすることによって調製される。組成物は、ゴム工場またはバンバリーミキサーなどの内部ミキサーでの混合を含む、ゴム状ポリマーの混合のための任意の好適な方法によって調製され得る。調合手順では、従来の調合配合成分が組み込まれる。そのような調合配合成分は、一種類以上のカーボンブラック、追加のエクステンダー油、粘土、シリカなどの他の充填剤、粘着付与剤、ワックス、結合樹脂など、酸化亜鉛、酸化防止剤、オゾン劣化防止剤、加工助剤、および硬化活性剤を含み得る。一般に、第2段階の調合で硬化活性剤を添加することが好ましく、調合は、ゴム工場で、または内部ミキサーで、通常は約60℃を超えない温度で操作され得る。硬化活性剤は、硫黄および様々な硫黄含有促進剤を含み得る。化合物は、約150℃~約200℃の温度で約5~約60分間加熱することによって、従来の方法で硬化されて、本明細書に記載されるような有用な特性を有する新規なエラストマー加硫物を形成する。本発明の特定の実施形態は、例示のみとして、以下に記載される。
【0127】
動的加硫は、プラスチック、ゴム、およびゴム硬化剤のブレンドを、ゴムを硬化させながら素練りするプロセスである。「動的」という用語は、混合物が加硫工程中に剪断力を受けることを示し、加硫工程中に加硫可能な組成物が(固定された相対空間内で)動かない「静的」加硫とは対照的にである。動的加硫の利点の1つは、ブレンドが適切な割合のプラスチックおよびゴムを含有する場合、弾塑性(熱可塑性弾塑性)組成物を得ることができることである。動的加硫の例は、米国特許第3,037,954号、同第3,806,558号、同第4,104,210号、同第4,116,914号、同第4,130,535号、同第4,141,863号、同第4,141,878号、同第4,173,556号、同第4,207,404号、同第4,271,049号、同第4,287,324号、同第4,288,570号、同第4,299,931号、同第4,311,628号、および同第4,338,413号に記載されており、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0128】
2000秒-1以上の剪断速度を発生させ得る任意のミキサーがプロセスの実施に好適である。一般に、これは、混練要素の先端と壁との間に狭いクリアランスを有する高速内部ミキサーを必要とする。剪断速度は、先端と壁との間の空間の速度勾配である。先端と壁との間のクリアランスに応じて、約100~約500回転/分(rpm)の混練要素の回転は、一般に、十分な剪断速度を発生させるのに適切である。所与の混錬要素の先端の数および回転速度に応じて、組成物が各要素によって混錬される回数は、約1~約30回/秒、好ましくは約5~約30回/秒、より好ましくは、約10~約30回/秒である。これは、典型的には、加硫中に、材料が約200~約1800回混練されることを意味する。例えば、約30秒の滞留時間を有するミキサーにおいて、3つの先端が約400rpmで回転するロータを用いた典型的なプロセスでは、材料は、約600回混練される。
【0129】
プロセスを実施するのに十分なミキサーは、ドイツのWerner&Pfleidererによって製造された高剪断混合押出機である。Werner&Pfleiderer(W&P)押出機は、2つの噛合するスクリューが同じ方向に回転する2軸スクリュー押出機である。そのような押出機の詳細は、米国特許第3,963,679号、および同第4,250,292号、ならびにドイツ特許第2,302,546号、同第2,473,764号、および同第2,549,372号に記載されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。スクリュー直径は、約53mm~約300mmまで様々であり、バレル長は、様々であるが、一般に最大バレル長は、直径に対する長さの比を約42に維持するために必要な長さである。これらの押出機のシャフトスクリューは、通常、搬送セクションと混練セクションとの交互の組で構成されている。搬送セクションは、材料を、押出機の各混練セクションから前方に移動させる。典型的には、バレル長に沿ってかなり均等に分布されたほぼ同数の搬送セクションおよび混練セクションが存在する。1、2、3、または4つの先端を含有する混練要素が好適であるが、3つの先端を有する幅約5~約30mmの混練要素が好ましい。約100~約600rpmの推奨スクリュー速度および約0.1~約0.4mmの半径方向クリアランスで、これらの混合押出機は、少なくとも約2000秒-1~約7500秒-1以上の剪断速度を提供する。均質化および動的加硫を含むプロセスにおいて消費される正味の混合電力は、通常、生成される生成物1キログラム当たり約100~約500ワット時であり、1キログラム当たり約300~約400ワット時が典型的である。
【0130】
プロセスは、W&P二軸スクリュー押出機モデルZSK-53またはZSK-83の使用によって例示される。別段指定されない限り、硬化活性剤を除くすべてのプラスチック、ゴム、および他の調合配合成分は、押出機の入口ポートに供給される。押出機の最初の3分の1において、組成物は素練りされて、プラスチックを溶融し、本質的に均質なブレンドを形成する。硬化活性剤(加硫促進剤)は、最初の入口ポートから下流のバレル長の約3分の1に位置する別の入口ポートを通して添加される。押出機の最後の3分の2(硬化活性剤の入口ポートから押出機の出口まで)は、動的加硫ゾーンと見なされる。任意の揮発性の副生成物を除去するために、減圧下で操作されるベントが出口付近に位置する。加硫ゾーンのほぼ中央に位置する別の入口ポートで、追加のエクステンダー油または可塑剤、および着色剤が添加されることもある。
【0131】
加硫ゾーン内の滞留時間は、所与の量の材料が上記の加硫ゾーン内にある時間である。押出機は、典型的には、通常は約60~約80パーセントが充填の不足条件下で操作されるため、滞留時間は、供給速度に本質的に直接正比例する。したがって、加硫ゾーン内での滞留時間は、動的加硫ゾーンの総体積に充填要因を乗算して、体積流量で除算することによって計算される。剪断速度は、スクリューの先端によって生成する円の周長に、1秒間当たりのスクリュー回転数を乗算した積を、先端のクリアランスによって除算することによって計算される。言い換えれば、剪断速度は、先端速度を先端クリアランスによって除算したものである。
【0132】
ゴム/熱可塑性ポリマー樹脂ブレンドの動的硬化以外の方法を利用して、組成物を調製し得る。例えば、ゴムは、熱可塑性ポリマー樹脂の不在下で、動的または静的に完全に硬化され得、粉末化され、樹脂の融点または軟化点を超える温度で熱可塑性ポリマー樹脂と混合される。架橋ゴム粒子が小さく、十分に分散し、適切な濃度である場合、組成物は、架橋ゴムおよび熱可塑性ポリマー樹脂をブレンドすることによって容易に得られる。十分に分散した架橋ゴムの小さな粒子を含む混合物が得られることが好ましい。分散が不十分または大きすぎるゴム粒子を含有する混合物は、コールドミリングによって粉砕されて、粒子サイズを、約50μm未満、好ましくは約20μm未満、より好ましくは約5μm未満に低減させ得る。十分な粉砕、または微粉末化の後、TPV組成物が得られる。不十分な分散または大きすぎるゴム粒子が肉眼で明らかで、成形シートにおいて観察可能であることが頻繁である。これは、顔料および充填剤の不在下の場合に特に当てはまる。そのような場合、微粉末化および再成形によって、ゴム粒子または大きな粒子の凝集体が肉眼では明らかでないか、またははるかに目立たないシートが得られ、機械的特性が大幅に改善される。
【0133】
いくつかの実施形態では、TPVは、1工程または2工程以上の調合プロセスを使用して作製される。フェノール硬化剤を使用する1工程調合では、フェノール硬化剤の分解を回避するために、調合温度は、好ましくは220℃未満に維持される。2工程調合では、フェノール硬化剤は、典型的には、第2工程中に添加され、第2工程中の温度は、220℃未満に維持される。
【0134】
以下は、動的加硫と組み合わせた熱可塑性ポリマーのオンライン分岐のためのプロセスの3つの簡単な例である。
【0135】
単一工程:ポリプロピレン(ホモポリマーまたはコポリマー(ランダムポリマーまたはインパクトコポリマーのいずれか)、EPDM、安定剤、加工助剤、およびZnO、および二塩化スズなどのハロゲン供与体)の混合物を充填する。油を添加または油に計量供給する。フェノール硬化剤(SP1055またはSP1045など)は、他のすべての配合成分が密接に混合されるように、押出機バレルに沿ったポイントでサイドアーム供給装置を介して供給される。あるいは、ハロゲン供与体の代わりに、非ハロゲン化フェノール硬化剤(SP1045など)が、他の配合成分と共に添加され得る。次いで、ハロゲン供与体は、サイドフィーダーを介して押出機の下流に添加される。使用される典型的な配合が表1に記載される。押出機またはミキサーは、押出機のゾーン内の温度プロファイルが、好ましくは220℃を超えないように操作される必要がある。押出機手法の場合に均質な混合を可能にするように、適切な混合スクリューが用いられる必要がある。最後に、溶融物は冷却され、ペレット化される。
【0136】
押出機の2工程:この態様では、高アスペクト比を有し、2つの供給ホッパーを有するスクリュー調合押出機が利用される。ポリプロピレン(ホモポリマーまたはコポリマー(ランダムまたはインパクトコポリマー))は、第1の供給装置を通して添加される。第1のセクションの温度は、第2の供給ホッパーに到達するまで200℃~250℃に維持される。第2の供給ホッパーに隣接する押出機内の温度は、190℃~220℃の間に下げられる。第2の供給ホッパーにおいて、EPDM、安定剤、加工助剤、充填剤、ハロゲン供与体が添加される。続いて、油がフェノール硬化剤(SP1055またはSP1045)中で計量され、サイドアーム供給装置を介して添加される。この場合も、混合プロセス中に、非ハロゲン化フェノール硬化剤がハロゲン供与体と交換され得、ハロゲン供与体が非ハロゲン化フェノール硬化剤と交換され得る。押出機を出る最終溶融物は冷却され、ペレット化される。
【0137】
ミキサーの単一工程:ミキサー(例えば、ブラベンダーバッチミキサー)では、PP(ホモポリマーまたはコポリマー(ランダムまたはインパクトコポリマー)、EPDM、安定剤、および加工助剤、およびハロゲン供与体を充填する。油を配合物に添加し、トルクが増加するにつれて、さらに2分間混合を続ける。約2分間混合し、フェノール硬化剤を添加する。典型的な配合が表1に記載される。最後に、溶融物を冷却し、造粒する。
【0138】
ミキサーの2工程:ミキサー(例えば、ブラベンダーバッチミキサー)では、PP(ホモポリマーまたはコポリマー(ランダムまたはインパクトコポリマー))を充填し、20℃~250℃の温度で均質な溶融物に混合する。混合物を約190℃まで冷却し、EPDM、安定剤、および加工助剤を添加する。油を配合物に添加し、トルクが増加するにつれて、さらに2分間混合を続ける。約2分間混合し、フェノール硬化剤を添加する。最後に、溶融物を冷却し、造粒する。
【0139】
上記の1工程および2工程プロセスを使用して作製されたTPV混合物は、先の例で例示されたものと同様の特性を有する。
【0140】
いくつかの実施形態では、熱可塑性加硫物組成物は、(1)1.0未満の分岐指数を有する分岐ポリプロピレンと、(2)エチレン性不飽和を有するEPDMエラストマーと、(3)本明細書に開示されるエチレン/α-オレフィンインターポリマーと、フェノール樹脂と、の混合物または反応生成物を含み、分岐ポリプロピレンは、約100,000~1,000,000の範囲内の重量平均分子量を有し、同じ重量平均分子を有する直鎖ポリプロピレンの溶融強度よりも少なくとも約50%高い溶融強度を有する。
【0141】
TPV用途および物品
さらなる実施形態によれば、物品は、熱可塑性加硫物を含む。物品は、熱可塑性加硫物から作製され得るか、または熱可塑性加硫物を含む1つ以上の構成要素を含み得る。実施形態による熱可塑性加硫物を使用して、様々な物品もしくは製品、またはそれらの構成要素部品もしくは部分を調製し得る。熱可塑性加硫物は、いくつかの従来のプロセスおよび装置のうちのいずれか1つによって完成製造物品に変換され得る。例示的なプロセスとしては、押出、カレンダー加工、圧縮成形、および他の典型的な熱硬化性材料形成プロセスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
物品には、シート、発泡体、成形品、および押出部品が含まれるが、これらに限定されない。追加の物品には、自動車部品、ウェザーストリップ、ベルト、ホース、建築プロファイル、電線およびケーブル外被、床材、ガスケット、タイヤおよびタイヤ構成部品、コンピュータ部品、建築材料、および履物構成部品が含まれる。当業者は、過度の実験を行うことなく、このリストを容易に増補することができる。
【0143】
この物品は、本開示の実施形態による、熱可塑性加硫物から形成された少なくとも1つの構成要素を含み得る。そのような物品としては、発泡体、ウェザーストリップ、ベルト、ホース、電線およびケーブル外被、チューブ、床材、ガスケット、膜、成形品、押出部品、および接着剤(例えば、高粘度接着剤)が挙げられるが、これらに限定されない。追加の物品としては、ポリマーシート、自動車部品(例えば、タイヤおよびタイヤ構成要素)、コンピュータ部品、建材、家電製品、給電ハウジング、ゴミ箱、ガーデンホース、冷蔵庫のガスケット、音響システム、ユーティリティカート部品、机の縁取り、およびおもちゃが挙げられる。組成物はまた、屋根ふき膜などの屋根ふき用途にも使用され得る。組成物は、ブーツ、特に工業用ワークブーツ用のシャフトが挙げられるが、これらに限定されない履物構成要素の製作にさらに使用され得る。組成物はまた、自動車部品の製作にも使用され得る。当業者は、過度の実験を行うことなく、このリストを容易に増補することができる。例示的なプロセスとしては、押出、カレンダー加工、射出成形、圧縮成形、および他の典型的な熱可塑性プロセスが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、物品は、射出成形、押出、押出続いて熱成形、低圧成形、圧縮成形などによって調製され得る。本発明はまた、本発明の組成物から形成される少なくとも1つの構成要素を含む物品も提供する。さらなる実施形態では、物品は、発泡プロファイルの押出物品である。さらなる実施形態では、物品は、ウェザーストリップである。別の実施形態では、物品は、自動車部品である。別の実施形態では、物品は、ホースである。別の実施形態では、物品は、床材である。別の実施形態では、物品は、熱可塑性加硫物(TPV)である。別の実施形態では、物品は、靴インナーソールまたは靴アウターソールなどの履物構成要素である。
【0144】
実施形態では、物品は、本開示で上記に記載されたようなTPVを含む発泡体であり得る。実施形態では、物品は、本開示で上記に記載されたようなTPVから形成された発泡体から形成された少なくとも1つの構成要素を含み得る。さらなる実施形態では、物品は、ウェザーストリップであり得る。
【0145】
別段定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためであり、限定することは意図されない。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに他を示していない限り、複数形も含むことが意図される。
【実施例】
【0146】
本発明は、以下の実施例を参照することによって、よりよく理解され、これらの実施例は、例示として提供され、当業者は、限定することを意味するものではないことを認識するであろう。
ゲル浸透クロマトグラフィー
【0147】
トリプル検出器GPC(TDGPC)
クロマトグラフィー系は、内部IR5赤外検出器(IR5)を装備したPolymerChar GPC-IR(Valencia、Spain)高温GPCクロマトグラフ、およびPrecision Detectors(現在は、Agilent Technologies)2角レーザ光散乱(LS)検出器モデル2040に結合された4-キャピラリー粘度計(DV)からなる。すべての光散乱測定について、15度角を測定目的で使用する。オートサンプラーオーブンコンパートメントを160℃に設定し、カラムコンパートメントを150℃に設定した。使用されたカラムは、4本のAgilent「Mixed A」30cm 20ミクロンの線形混合床カラムおよび20umのプレカラムであった。使用したクロマトグラフィー溶媒は、1,2,4-トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有していた。溶媒源は、窒素注入された。使用した注入体積は200マイクロリットルであり、流速は1.0ミリリットル/分であった。
【0148】
従来のGPC手順に類似した[0002-0010]に記載されている方法に従って、従来の分子量モーメントおよび分布の較正および計算を実施した(20umの「混合A」カラムを使用)。
【0149】
多重検出器オフセットの決定のための系統的手法は、Balke,Mourey,et.al.(Mourey and Balke,Chromatography Polym.Chpt12,(1992))(Balke,Thitiratsakul,Lew,Cheung,Mourey,Chromatography Polym.Chpt 13、(1992))によって公開されたものと一致した様式で行われ、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、広いホモポリマーポリエチレン標準(Mw/Mn>3)からのトリプル検出器ログ(MWおよびIV)の結果を、狭い標準較正曲線からの狭い標準カラム較正の結果に最適化する。
【0150】
絶対分子量データは、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、Zimm(Zimm,B.H.,J.Chem.Phys.,16,1099(1948))およびKratochvil (Kratochvil,P.,Classical Light Scattering from Polymer Solutions,Elsevier,Oxford,NY(1987))によって公開されたものと一致する様式で得た。分子量の決定において使用される総注入濃度は、好適な線状ポリエチレンホモポリマー、または既知の重量平均分子量のポリエチレン標準のうちの1つから導き出した、質量検出器面積および質量検出器定数から得た。(GPCOne(商標)を使用して)計算される分子量は、以下に述べるポリエチレン標準物のうちの1つ以上から誘導される、光散乱定数、および0.104の屈折率濃度係数、dn/dcを使用して得た。一般に、(GPCOne(商標)を使用して決定された)質量検出器応答(IR5)および光散乱定数は、約50,000g/モルを超える分子量を有する線状標準物から決定されるべきである。粘度計の較正(GPCOne(商標)を使用して決定された)は、製造業者によって記載された方法を使用して、または代替的に、標準基準材料(SRM)1475a(国立標準技術研究所(NIST)から入手可能)などの好適な線状標準物の公開された値を使用することによって、達成することができる。較正標準に関する特定の粘度面積(DV)および注入された質量を、その固有粘度に関連づける(GPCOne(商標)を使用して得られる)粘度計定数を計算する。クロマトグラフィー濃度は、第2のウイルス係数効果(分子量に対する濃度効果)への対処を排除するのに十分に低いと仮定される。
【0151】
絶対重量平均分子量(MW
(Abs))は、(GPCOne(商標)を使用して)光散乱(LS)面積統合クロマトグラム(光散乱定数で因数分解)を質量定数から回収された質量および質量検出器(IR5)面積で除算し得られる。分子量および固有粘度応答は、信号対雑音が低くなるクロマトグラフィーの端部で外挿される(GPCOne(商標)を使用)。他のそれぞれのモーメントである、Mn
(Abs)およびMz
(Abs)は、以下の式1および2に従って計算される。
【数1】
【数2】
【0152】
動的機械分光法(DMS)
小角振動せん断(溶融DMS)を、窒素パージ下で、「25mm平行板」を備えたTA Instruments ARESを使用して行った。試料の充填から試験の開始までの時間は、すべての試料で5分に設定した。実験は、0.1~100ラジアン/秒の周波数範囲にわたって、190℃で行った。1~3%の試料の応答に基づいて、歪み振幅を調整した。応力応答を、振幅および位相の観点から分析し、その分析から、貯蔵弾性率(G’)、損失弾性率(G’’)、動的粘度η*、およびタンデルタを計算した。動的機械分光法用の試験片は、「直径25mm×厚さ3.3mm」の圧縮成形ディスクであり、180℃、10MPaの成形圧力で5分間形成し、次いで、冷却プラテン(15~20℃)間で2分間急冷した。レオロジー比(190℃でV0.1/V100;「RR」とも呼ぶ)を記録した。線形分子(検出可能な長鎖分岐はない)のRRは通常8以下である。
【0153】
示差走査熱量測定(DSC)
エチレン系(PE)試料(EPDMを含む)およびプロピレン系(PP)試料の結晶化度を測定するのに示差走査熱量測定(DSC)を使用する。試料(0.5g)を、25000psi、190℃、約10秒の短時間でフィルムに圧縮成形する。約5~10mgのフィルム試料を秤量し、DSCアルミニウム皿内に配置する。アルミニウム蓋を、皿にぴったりとはめて、試験片と、皿の頂部および底部とが良好に接触することを確実にする。試料皿を、DSCセル内に配置し、次いで、10℃/分の速度で、PE、EPDMの場合は180℃の温度(PPの場合は230℃)まで加熱する。試料を、この温度で5分間保持する。次いで、試料を、10℃/分の速度で、PE、PPの場合は-40℃(EPDMの場合は-90℃)まで冷却し、その温度で5分間等温に保持する。次に、試料を、10℃/分の速度で加熱し、その完全な溶融温度を超えて、PEおよびEPDMの場合は150℃、PPの場合は230℃まで加熱する(第2の加熱)。第2の熱曲線から決定された融解熱(Hf)を、PEの場合292J/gの理論融解熱(PPの場合165J/g)で除算し、この量に100を乗算することによって、結晶化度パーセントを計算する。(例えば、結晶化度%=(Hf/292J/g)×100(PEの場合))。
【0154】
別段記載されない限り、各ポリマーの融点(Tm)は、第2の熱曲線から決定され、結晶化温度(Tc)は、第1の冷却曲線から決定される。
【0155】
ムーニー粘度
ムーニー粘度(125℃でML1+4)を、ASTM 1646に従って、1分間の予熱時間および4分間のロータ動作時間で測定した。機器は、Alpha Technologies Mooney Viscometer 2000である。
【0156】
各配合組成物の粘度は、未硬化組成物の粘度を調べることができるように、未硬化ブランケットを使用して測定した(実験の項を参照)。試料を、試験前に室温で24時間調整した。
ムーニースコーチ
【0157】
各組成物のスコーチ特性を、ASTM D-1646に従って、Alpha Technologies Mooney Viscometer 2000を使用して測定した。ムーニー粘度計は125℃に設定した。ムーニースコーチ値は、小型ロータについて報告されており、「xムーニー単位」が最小粘度を超えるまでの時間を表していた(例えば、t5は、粘度が「5ムーニー単位」増加したものである)。総試験時間は30分で、予熱時間は1分であった。組成物の粘度を、スコーチ特性を調べることができるように、粘度計内で硬化させた未硬化ブランケットから測定した。試料を、試験前に室温で24時間調整した。
【0158】
MDR分析
各配合物のMDR硬化特性を、ASTM D-3182に従って、Alpha Technologies Rheometer MDR 2000を使用して測定した。MDR試験を、160℃で30分間にわたって実施した。各配合組成物のレオロジーを、未硬化ブランケットの試料から測定し、次いで、MDR分析中に硬化させた。試料を、試験前に室温で24時間調整する。ムーニーロー、ムーニーハイ、タンデルタロー、タンデルタハイ、および硬化状態の特定の割合に達するまでの時間(例えば、t95は、95%の硬化状態に達するまでの時間(分)に相当する)などの粘弾性特性を、硬化サイクル中に測定する。
【0159】
一軸降伏強度
本明細書で使用される場合、「一軸降伏強度」は、以下の試験に従って測定される。ペレットと、ペレットとタルクとの合計重量に基づいて、5000ppmのタルクとを組み合わせることによって、試験ポリマー組成物のペレットをコーティングする。十分な量のコーティングされたペレットを、コーティングされたペレットのレベルがシリンダーの頂部と同じ高さになるように、2.5の高さ対直径の比を有する2インチ直径(ID)のシリンダーに投入した(典型的には、100~120グラムのコーティングされたペレット)。シリンダーは、ホースクランプによって垂直方向に、一緒に保持された2つの半分からなる。ペレットは、37℃(静的オーブン、周囲雰囲気)で、195lb/ft2の圧密応力を受ける。加速試験には、42℃のより高い温度設定が使用される。ペレットを、この圧密応力下で2週間~4週間置く。次いで、シリンダーをオーブンから取り出し、圧密荷重を取り除き、ペレット(シリンダー内)を、0℃または室温(RT:22℃)などの特定の周囲温度に設定された環境チャンバー内で一晩冷却させて、圧密ペレットの最終試料を得る。環境チャンバーの周囲温度はまた、「アンロード温度」とも称される。
【0160】
シリンダーを、INSTRON 5543単一カラム卓上引張試験機のプラットフォームに配置する。ホースクランプを取り外した後、分割シリンダーの2つの半分を分離した。圧密試料のペレットが完全に自由流動性である場合、ペレットは、シリンダーの形態を保持せず、単純に積み上がる。ペレットの圧密塊がシリンダー形態を保持する場合、INSTRON試験機を使用して、シリンダーを粉砕するのに必要なピーク力を測定する。圧密ペレットを、INSTRON 5543フレームを使用して粉砕し、圧密ペレットの「シリンダー形態」を破壊するのに必要な最大力を測定した。圧密ペレットを、INSTRON試験機内で垂直方向に位置付け、より長い寸法が垂直方向になる。この試験では、2mm/分の一定歪み速度を使用する。データの一貫性を確実にするために、各組成物(コーティングされたペレット)を2回測定し、平均を報告する。
【0161】
一軸降伏強度(UYS)を、上記の試験で決定されたピーク力(lbまたはkgの単位)を、シリンダーの断面積(ft2またはm2の単位)で除算して計算する。UYSは、ブロッキング力の指標であり、UYSが大きいほど、ブロッキング力が大きい。UYSのゼロ値は、自由流動性のペレットに対応する。
【0162】
流動性
EPDM組成物の流動性は、上記のような手順に従って決定されたUYS測定値から評価される。室温流動性試験は、組成物に対して実施されたUYS測定に基づいており、UYS決定手順のアンロード温度は室温(22℃)である。同様に、0℃流動性試験は、組成物に対して実施されたUYS測定に基づいており、UYS決定手順のアンロード温度は、(0℃)である。
【0163】
本開示のEPDM組成物の流動性試験の目的のために、UYSが、22℃のアンロード温度で測定される場合、500lb/ft2以下のUYSを有する組成物は、室温流動性試験に「合格」と判定される。UYSが、22℃のアンロード温度で測定される場合、500lb/ft2を超えるUYSを有する組成物は、室温流動性試験に「不合格」と判定される。同様に、UYSが、0℃のアンロード温度で測定される場合、1500lb/ft2以下のUYSを有する組成物は、0℃流動性試験に「合格」と判定される。UYSが、0℃のアンロード温度で測定される場合、1500lb/ft2を超えるUYSを有する組成物は、0℃流動性試験に「不合格」と判定される。
【0164】
EPDM組成物分析のための13C NMR法
0.025Mのアセチルアセトネートクロム(緩和剤)を含有するテトラクロロエタン-d2/オルトジクロロベンゼンの50/50混合物のおよそ2.6gを、10mmのNMR管内の0.2gの試料に添加することによって、試料を調整する。試料を、チューブおよびその内容物を150℃まで加熱することにより、溶解し、均一化する。データを、Bruker Dual DUL高温CryoProbeを備えたBruker 400MHz分光計を使用して収集する。データを、データファイル当たり160回のスキャン、6秒のパルス繰り返し遅延を使用して、120℃の試料温度で取得した。25,000Hzのスペクトル幅および32,000個のデータ点のファイルサイズを使用して、取得を実施する。
【0165】
実施例の組成物のNMRスペクトル分析を、以下の分析方法を使用して実施した。EPDM中に存在するモノマーの定量は、以下の式(1A~9A)を使用して計算することができる。
【0166】
エチレンのモルの計算を、55.0ppm~5.0ppmのスペクトル範囲を1000積分単位に正規化する。正規化された積分面積の下の寄与は、ENB炭素のうちの7つのみを占める。二重結合が高温で反応し得る懸念に起因して、111ppmおよび147ppmでのENBジエンのピークを、計算から除外する。
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
【数8】
【数9】
【数10】
【数11】
【0167】
いくつかの本発明のインターポリマーのさらなるNMRスペクトル分析は、19.5ppm~22.0ppmの全積分面積の3.0%より大きい(さらに4.0%より大きい)21.3ppm~21.8ppm(%PP立体規則性マーカー)のピーク面積を示す。いくつかの比較例の同様のスペクトル分析は、3.0%未満の19.5ppm~22.0ppmの全積分面積を示す。スペクトルデータは、30ppmでのEEE骨格を基準とする。この領域におけるピーク応答は、典型的には、ポリマーに取り込まれたプロピレン立体規則性の差異に関連していた。別の種類のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーについても同様の分析を行うことができる。
【0168】
いくつかの本発明のEPDMのさらなるNMRスペクトル分析は、化学シフト領域14.0~14.3ppmからのピーク面積(脂肪族鎖末端のCH3に対応する)を示し、全積分面積(化学シフト領域1~55ppm)を1000の値に設定するとき、0.5より大きいピーク面積(1000個の炭素毎の0.5鎖末端より大きい、ACE)に統合される。比較EPDMの同様のスペクトル分析は、0.5未満のACEを示したか、または10~55ppmの総積分面積の非検出を示した。スペクトルデータは、30ppmでのEEE骨格を基準とした。この領域におけるピーク応答は、典型的には、EPDMに取り込まれた鎖末端の差異に関連する。別の種類のエチレン/α-オレフィン/非共役ポリエンインターポリマーについても同様の分析を行うことができる。
【0169】
圧縮永久歪み
圧縮永久歪みを、ASTM D 395Bに従って、-20℃、23℃、70℃、および120℃の試験温度で測定した。29mm(±0.5mm)のパックを、上記の射出成形プラークから取り出した。各試料について、全高が12.5mm(±0.5mm)になるように、均質な4つのパック(ノッチ、厚さの不均一性、不均質性のないもの)を積み重ねた。これは、25%の圧縮ひずみに相当する。圧縮永久歪みを、各試験温度に対して2つの試験片(試験片当たり4つの積み重ねられたパック)で実施した。
【0170】
積み重ねられたパックを圧縮デバイスに配置し、所定の位置に固定した。次いで、装置を、適切な温度のオーブンまたは冷凍庫に指定された時間(23℃および70℃の場合22時間、-20℃および120℃の場合70時間)配置した。この試験では、応力を試験温度で解放し、試料の厚さは室温で30分間の平衡期間後に測定した。
【0171】
圧縮永久歪みは、圧縮後の試料の回復度の測定値であり、等式CS=(H0-H2)/(H0-H1)(式中、H0は、試料の元の厚さであり、H1は、使用されるスペーサバーの厚さであり、H2は、圧縮力を除去した後の試料の最終厚さである)に従って計算される。
【0172】
応力-ひずみ特性
引張特性を、射出成形プラークからダイカットされたマイクロ引張試験片について、ASTMD-412の方法に従って室温で測定した。引張ひずみを、クランプ間の長さの増分と初期ゲージ長との比から計算した。引張応力を、引張荷重を試料の初期断面積で除算することによって決定した。
【0173】
連続重合による実験的EPDMの代表的な合成
一般的に、米国特許第5,977,251号および同第6,545,088号、ならびにそれらの中の参考文献に説明されているような条件下で、本発明のポリマーを生成することが望ましい。ポリマー生成物を、連続混合ループ反応器を使用して、溶液重合プロセスにおいて生成した。重合反応は、定常状態条件、すなわち溶媒、モノマー、および触媒の一定の反応物濃度および連続的な投入、ならびに未反応モノマー、溶媒、およびポリマーの一定の回収のもと行った。反応器系を冷却し、加圧して蒸気相の形成を防止した。モノマー:エチレン(CAS 74-85-1)、プロピレン(CAS 115-07-1)、5-エチリデン-2-ノルボルネン、ENB(CAS 16219-75-3)。
【0174】
例示的なポリマー組成物EDPM-01およびEPDM-02を、連続撹拌槽反応器、続いてループ反応器を使用した溶液重合プロセスにおいて生成した。エチレンをISOPAR E(ExxonMobilから入手可能)の溶媒の混合物に導入し、プロピレンを導入し、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)を導入し、各々反応器原料流を形成した。触媒を、別々に各反応器に供給し、助触媒1および助触媒2を使用してその場で活性化した。
【0175】
触媒は、{[[[2’,2’’’-[1,3-プロパンジイルビス(オキシ-kO)]ビス[3-[3,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-9H-カルバゾール-9-イル]-5’-フルオロ-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)[1,1’-ビフェニル]-2-オラト-kO]](2-)]-ハフニウムジメチル}(CAS#1360629-63-5)である。
【0176】
助触媒-1は、米国特許第5,919,988号の実施例2に開示されているように、実質的に、長鎖トリアルキルアミン(Armeen(商標)M2HT、Akzo-Nobel,Inc.より入手可能)、HCl、およびLi[B(C6F5)4]の反応によって調製された、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのメチルジ(C14~18アルキル)アンモニウム塩の混合物であった。共触媒-1を、Boulder Scientificから購入し、さらに精製することなく使用した。
【0177】
助触媒-2は、Akzo Nobelから購入された変性メチルアルモキサン(MMAO)であり、さらに精製することなく使用された。
【0178】
その結果、各反応器の出口は、ポリマー、溶媒、および低下したレベルの初期モノマーの混合物であった。第1の反応器の出口は、第2の反応器に直接供給された(サンプリングされない限り)。第1の反応器からのポリマー生成物は、ここではEPDM-01-R1およびEPDM-02-R1と称される。EPDM-01-R1およびEPDM-02-R1を第2の反応器に供給し、変更された条件下でさらに重合したポリマー生成物は、それぞれ、最終組成物EPDM-01およびEPDM-02となった。ポリマーの分子量を、各反応器の温度、モノマー変換、および/または水素などの連鎖停止剤の添加を調製することによって制御した。
【0179】
重合後、少量の水を触媒失活剤として反応器出口流に導入し、反応器出口流を、固形分濃度が少なくとも100%増加したフラッシュ容器に導入した。次いで、未反応モノマーの一部分、すなわちENB、エチレン、およびプロピレン、ならびに未使用の希釈剤を回収し、必要に応じて反応器供給量に再循環させた。
【0180】
EDPM-01-R1、EDPM-01、EPDM-02-R1、およびEPDM-02を調製するためのモノマー供給比、重合温度、および重合温度を表1に列挙する。
【表1】
【0181】
EDPM-01-R1、EDPM-01、EPDM-02-R1、およびEPDM-02の調製における供給速度、触媒比、および触媒効率を表2に列挙する。
【表2】
【0182】
記載された2つの反応器による重合プロセスから、最終ポリマーEPDM-01の総重量は、第1の反応器内で形成された38重量%のポリマー生成物と、第2の反応器内で第1の反応器の生成物をさらに重合する間に形成された62重量%のポリマー生成物からなる。同様に、最終ポリマーEPDM-02の総重量は、第1の反応器内で形成された41重量%のポリマー生成物と、第2の反応器内で第1の反応器の生成物をさらに重合する間に形成された59重量%のポリマー生成物からなる。ポリマーEDPM-01-R1、EDPM-01、EPDM-02-R1、およびEPDM-02を、上記の手順に従って特性評価した。特性評価データを表3に示す。
【表3】
【0183】
ポリマーEPDM-01およびEPDM-02を含む油展EPDM組成物を調製し、上記のように特性評価をした。追加のEPDM組成物EPDM A、EPDM B、EPDM C、およびEPDM Dを、比較のための基準として特性評価した。EPDM Aは、三井化学から入手可能なメタロセン触媒によって調製された油展EPDMであるMitsui 3072であった。EPDM Bは、Dow Chemicalから入手可能なEPDM組成物であるNordel 4785であった。EPDM Cは、ExxonMobilから入手可能な油展EPDMであるVistalon 3666であった。EPDM Dは、代替触媒システムを使用して調製されたポリマーを含む油展EPDM組成物であった。EPDM組成に関する特性評価データを表4に示す。
【表4】
【0184】
ポリマーEPDM-02から調製された油展EPDM組成物を含有する熱可塑性加硫物(TPV)を調製した。比較の基準として、EPDM A組成物を含有するTPVを調製した。TPVを、硬度、引張強度、伸び、弾性率、引裂き、メルトフローレート、および圧縮永久歪みなどの物理的特性を決定するために、上記に示された手順に従って分析した。これらの特性評価を表5において報告する。EPDM-02に基づくTPVは、有意により高い引張強度、伸び、およびメルトフローレートを有することが判明した。
【表5】
【0185】
ポリマーEPDM-01、EPDM-02、および比較EPDM Aに基づく油展EPDM組成物を含有する例示的な配合物を調製した。例示的な配合を表6に示す。配合物01は、EPDM-01に基づく組成物を含有していた。配合物02は、EPDM-02に基づく組成物を含有していた。比較配合物は、比較EPDM Aに基づく組成物を含有していた。
【表6】
【0186】
配合物を、本開示で上記に示された手順に従って特性評価した。配合物のMDR硬化特性を表7に示す。配合物01および配合物02は、比較配合物よりも高い硬化度およびより速い硬化速度を示した。
【表7】
【0187】
本明細書では、「実質的に」および「約」という用語は、任意の定量的比較、値、測定、または他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために利用され得ることに留意されたい。これらの用語はまた、問題である主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、定量的表現が記載された基準から変化し得る程度を表すためにも、本明細書において利用される。
【0188】
本発明を記載および定義する目的で、本明細書では、「実質的に」という用語は、任意の定量的比較、値、測定、または他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために使用されることに留意されたい。「実質的に」という用語はまた、問題である主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、定量的表現が記載された基準から変化し得る程度を表すためにも、本明細書において利用される。したがって、それは、任意の定量的比較、値、測定、または他の表現に起因し得る固有の不確実性の程度を表すために使用され、理論的には正確な対応または挙動を示すことが期待されるが、実際には正確ではないものを具現化し得る要素または特徴の配置を指す。
【0189】
特定の実施形態が、本明細書に例示および記載されているが、特許請求される主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な他の変更および修正が行われ得ることを理解されたい。さらに、特許請求される主題の様々な態様が本明細書に記載されているが、そのような態様は、組み合わせて利用される必要性はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、特許請求される主題の範囲内にあるそのようなすべての変更および修正を包含することが意図される。