(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】直角外科用ステープラ用のクランプベースのロックアウト機構
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
A61B17/072
(21)【出願番号】P 2021563287
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(86)【国際出願番号】 IB2020053513
(87)【国際公開番号】W WO2020217135
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-02-27
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】レクター・ジェイソン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ファネッリ・ニコラス
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-516229(JP,A)
【文献】特開2004-344661(JP,A)
【文献】特開2005-193040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープラであって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するシャフト組立体と、
(c)前記シャフト組立体の遠位端にあるエンドエフェクタであって
、開放状態
と閉鎖状態との間で作動可能である、エンドエフェクタと、
(d)前記エンドエフェクタと動作可能に連結された
エンドエフェクタ閉鎖システムであって、
閉鎖トリガの作動によって前記エンドエフェクタを前記開放状態から前記閉鎖状態に作動させるように動作可能である、
エンドエフェクタ閉鎖システムと、
(e)前記エンドエフェクタと動作可能に連結された
ステープル発射システムであって、
発射トリガを前記閉鎖状態で作動させ
ることでステープルが発射されるように構成された、
ステープル発射システムと、
(f)前記
ステープル発射システムと動作可能に連結された発射ロックアウト機構
を備え、
前記発射ロックアウト機構が略L字状の発射ロックアウトレバーを備え、
前記発射ロックアウトレバーが、前記シャフト組立体の長手方向軸に対して横切るように延在する下部タブを含み、
前記エンドエフェクタが前記閉鎖トリガによって完全に閉鎖されるまで、前記下部タブが、前記発射トリガの回転動作を抑制することにより前記ステープル発射システムの作動を抑制するように構成されており、
前記外科用ステープラは閉鎖システムと動作可能に連結された爪状ラグを含み、
前記エンドエフェクタが前記閉鎖トリガによって完全に閉鎖されることによって、前記爪状ラグが前記発射ロックアウトレバーを下方に駆動することで、前記下部タブが前記発射トリガの回転動作の抑制を解除するように構成されている、
外科用ステープラ。
【請求項2】
前記発射ロックアウト機構が
弾性体を備え、前記爪状ラグが前記弾性体によって前記発射トリガの作動を抑制するように弾性的に付勢されている、請求項1に記載の外科用ステープラ。
【請求項3】
前記
爪状ラグと動作可能に連結された
解放ボタンを更に含み、ユーザー入力に応答して、
前記解放ボタンは、前記
爪状ラグと前記発射ロックアウトレバーとの係合
を解除するように動作可能である、請求項
1に記載の外科用ステープラ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
外科用ステープラのいくつかは、1つ又は2つ以上の患者の組織層をクランプし、組織層を通してステープルを形成して、形成されたステープルの付近の組織層同士を実質的に封止し、クランプされた組織層を切断して、作動的に封止された組織の切断端を形成するように動作可能である。例示的なステープル留め器具は、一対の協働する細長いジョー部材を含み、各ジョー部材が患者に挿入され、ステープル留めされる組織に対して位置付けられるように適合される。ジョー部材のうちの一方は、横方向の間隔を有して離間された少なくとも2列のステープルを中に収容したステープルカートリッジを支持し、他方のジョー部材は、ステープルカートリッジ内のステープル列と位置合わせするように構成されているステープル形成ポケットを有するアンビルを支持する。一般に、ステープル留め器具は、ジョー部材に対して作動可能な1つ又は2つ以上の押し込みバーを更に含むが、この押し込みバーは、ジョー部材間にクランプされた組織を通ってステープルカートリッジからステープルを駆動し、かつ形成用アンビルに対してステープルを駆動し、また、クランプされた組織を通ってナイフ部材を駆動し、それによって、ステープル留めと同時に又はその後に組織を切断する。このようにして、ステープル留め器具は、クランプされた組織内に、変形したステープルの複数の横方向に離間された列を形成するように動作可能であるが、このような列は、直線状の列及び/又は円弧状の列を含んでもよい。ナイフブレードは、クランプされた組織内に形成されたステープルの隣接する列の間に延在する直線状又は円弧状の経路に沿って組織を切断することができる。
【0002】
あくまで例示の外科用ステープラが、1997年2月25日に発行された「Trigger Mechanism for Surgical Instruments」と題する米国特許第5,605,272号;1997年12月16日に発行された「Linear Stapler with Improved Firing Stroke」と題する米国特許第5,697,543号;2006年1月24日に発行された「Retaining Pin Lever Advancement Mechanism for a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第6,988,650号;2006年11月14日に発行された「Knife Retraction Arm for a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第7,134,587号;2006年12月12日に発行された「Closure Plate Lockout for a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第7,147,139号;2006年12月12日に発行された「Cartridge Retainer for a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第7,147,140号;2007年4月17日に発行された「Slotted Pins Guiding Knife in a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第7,204,404号;2007年4月24日に発行された「Cartridge with Locking Knife for a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第7,207,472号;及び2018年8月14日に発行された「Method of Applying Staples in Lower Anterior Bowel Resection」と題する米国特許第10,045,780号に開示されている。上に引用した米国特許及び米国特許出願公開のそれぞれの本開示内容を参照により本明細書に援用するものとする。
【0003】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、上記の本発明の一般的な説明、及び以下の実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1A】組織保持ピン作動システムが格納位置にあり、エンドエフェクタが開放状態であることを示す、ハンドル組立体と、シャフト組立体と、エンドエフェクタと、を有する例示的な外科用ステープラの斜視図である。
【
図1B】エンドエフェクタが開放状態の間、組織保持ピン作動システムが伸張位置にあることを示す、
図1Aの外科用ステープラの斜視図である。
【
図1C】組織保持ピン作動システムが伸張位置に留まっている間、エンドエフェクタが閉鎖システムの作動を介して閉鎖状態にあることを示す、
図1Aの外科用ステープラの斜視図である。
【
図1D】組織保持ピン作動システムが伸張位置に留まっている間、エンドエフェクタによって捕捉された組織のステープル留め及び切断を行うために、エンドエフェクタが発射システムの作動を介して発射状態にあることを示す、
図1Aの外科用ステープラの斜視図である。
【
図2】
図1Aの外科用ステープラの部分分解斜視図である。
【
図3】閉鎖システムの閉鎖バー、発射システムのステープルバー、及び発射システムのナイフバーを含む、
図1Aの外科用ステープラのシャフト組立体の作動可能な構成要素の分解斜視図である。
【
図4A】閉鎖システム及び発射システムが非作動状態にある間、組織を保持するために組織保持ピン作動システムが伸張位置にあることを示す、明瞭さのために様々な構成要素が省略された、
図1Aの外科用ステープラのハンドル組立体の側面図である。
【
図4B】閉鎖トリガを介してエンドエフェクタを閉鎖するように作動し、それによって組織をクランプする閉鎖システムを示す、明瞭さのために様々な構成要素が省略された、
図1Aの外科用ステープラのハンドル組立体の側面図である。
【
図4C】エンドエフェクタが閉鎖状態の間、発射トリガを介してエンドエフェクタを発射し、それによって組織をステープル留め及び切断する発射システムを示す、明瞭さのために様々な構成要素が省略された、
図1Aの外科用ステープラのハンドル組立体の側面図である。
【
図5】エンドエフェクタの遠位支持構造体から分離されたエンドエフェクタのステープルカートリッジユニットを示す、
図1Aの外科用ステープラの斜視図である。
【
図6】
図1Aの外科用ステープラのステープルカートリッジユニットの遠位左側の斜視図である。
【
図7】
図1Aの外科用ステープラのステープルカートリッジユニットの近位右側の斜視図である。
【
図8】
図1Aの外科用ステープラのステープルカートリッジユニットの分解斜視図である。
【
図9A】ステープルカートリッジユニットが遠位支持構造体から欠落しているときに、エンドエフェクタのロックアウト部材がロックアウト位置にある状態を示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの側面図である。
【
図9B】未使用のステープルカートリッジユニットが遠位支持構造体内に着座しているときに、ロックアウト部材がバイパス位置にある状態を示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの側面図である。
【
図10】ステープルカートリッジユニットを遠位支持構造体内に挿入した後の、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの遠位部分の側面図である。
【
図11】ステープルカートリッジユニットの組織切断ワッシャと遠位支持構造体との相互作用を示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの遠位部分の断面図である。
【
図12A】エンドエフェクタが開放状態にある間、組織保持ピンが格納位置にあることを示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの側面断面図である。
【
図12B】エンドエフェクタが開放状態にある間、組織保持ピンが伸張状態で組織を保持することを示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの側面断面図である。
【
図12C】組織保持ピンが伸張状態に留まっている間、エンドエフェクタを閉鎖状態に作動して、組織をクランプすることを示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの側面断面図である。
【
図12D】閉鎖状態に留まっている間、更に発射状態に作動して組織をステープル留め及び切断することを示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの側面断面図である。
【
図13】ハンドル組立体内に収容された枢動可能な発射ロックアウト機構の詳細を示す、明瞭さのためにそのハウジングの一部分が省略された、
図1Aの外科用ステープラのハンドル組立体の斜視図である。
【
図14A】閉鎖システムが非作動状態にある間のロックアウト状態にある発射ロックアウト機構を示す、明瞭さのためにその特定の構成要素が省略された、
図1Aの外科用ステープラのハンドル組立体の側面図である。
【
図14B】エンドエフェクタを完全に閉鎖するための閉鎖トリガを介した閉鎖システムの作動に応答して、バイパス状態に移動した発射ロックアウト機構を示す、明瞭さのためにその特定の構成要素が省略された、
図1Aの外科用ステープラのハンドル組立体の側面図である。
【
図14C】閉鎖システムが完全な作動状態にあり、発射ロックアウト機構がバイパス状態にある間の、発射トリガを介した発射システムの作動を示す、明瞭さのためにその特定の構成要素が省略された、
図1Aの外科用ステープラのハンドル組立体の側面図である。
【
図15A】発射トリガの作動を抑制するためのロックアウト状態にある発射ロックアウト機構を示す、
図1Aの外科用ステープラの発射トリガ及び発射ロックアウト機構の一部分の拡大斜視図である。
【
図15B】発射トリガの作動を可能にするためのバイパス状態に移動した発射ロックアウト機構を示す、
図1Aの外科用ステープラの発射トリガ及び発射ロックアウト機構の一部分の拡大斜視図である。
【
図16】
図1Aの外科用ステープラとともに使用するのに好適な、例示的な代替の枢動可能な発射ロックアウト機構である。
【
図17】ハンドル組立体内に収容された並進可能な発射ロックアウト機構の詳細を示す、明瞭さのためにそのハウジングの一部分が省略された、別の例示的な外科用ステープラのハンドル組立体の斜視図である。
【
図18A】閉鎖システムが非作動状態にある間のロックアウト状態にある発射ロックアウト機構を示す、明瞭さのためにハウジングの一部分が省略された、
図17の外科用ステープラのハンドル組立体の側面図である。
【
図18B】エンドエフェクタを完全に閉鎖するための閉鎖トリガを介した閉鎖システムの作動に応答して、バイパス状態に移動した発射ロックアウト機構を示す、明瞭さのためにハウジングの一部分が省略された、
図17の外科用ステープラのハンドル組立体の側面図である。
【
図19A】その並進可能なピンが発射トリガの作動を抑制するように位置付けられているロックアウト状態にある発射ロックアウト機構を示す、
図17の外科用ステープラのハンドル組立体の下面の拡大斜視図である。
【
図19B】並進可能なピンが発射トリガの作動を可能にするように位置付けられているバイパス状態にある発射ロックアウト機構を示す、
図17の外科用ステープラのハンドル組立体の下面の拡大斜視図である。
【
図20A】閉鎖システムが非作動状態にある間のロックアウト状態にある枢動可能な発射ロックアウト機構を示す、別の例示的な外科用ステープラのハンドル組立体内に収容された選択可動構成要素の部分の概略側面図である。
【
図20B】エンドエフェクタを完全に閉鎖するための閉鎖システムの作動に応答してバイパス状態に移動した発射ロックアウト機構を示し、発射システムの作動を示す、
図20Aの外科用ステープラのハンドル組立体とともに収容された選択可動構成要素の部分の概略側面図である。
【0005】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を例示するものであり、説明とともに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴部、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文により、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものとみなされるべきである。
【0007】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を把持する外科医又は他の操作者に対して本明細書で定義される。「近位」という用語は、外科医のより近くに配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科用器具の外科用エンドエフェクタのより近くにかつ外科医からより遠くに配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上」、「下」、「上側」、「下側」、「垂直」、「水平」、「左」、「右」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定も絶対も意図していないことが理解されるであろう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な配向及び位置で使用してもよいことが理解されるであろう。
【0008】
本明細書で使用されるとき、任意の数値、又は数値の範囲に関連する「約」、「ほぼ」などの用語は、参照される正確な値、並びに参照される特徴、又は特徴の組み合わせが、本明細書に記載されている意図された目的のために機能することができる適切な寸法の許容誤差を包含することが意図されている。
【0009】
I.例示の直角外科用ステープラの概説
図1Aは、例えば、結腸直腸、胸郭、及び肥満症の処置を含む様々な非内視鏡(「開放」)外科的処置において組織をステープル留め及び切断するように構成された例示的な直角直線状外科用ステープラ(10)を示す。直角直線状外科用ステープラ(10)(「直角直線状カッター」とも呼ばれる)は、一般に、ハンドル組立体(12)と、ハンドル組立体(12)から遠位に延在するシャフト組立体(14)と、シャフト組立体(14)の遠位端にあるエンドエフェクタ(16)と、を含む。以下に記載するように、エンドエフェクタ(16)は、エンドエフェクタ(16)がシャフト組立体(14)によって画定される長手方向軸線に対して直角に横切るように延在する平面内の組織をクランプし、ステープル留めし、かつ切断するように、「直角」構成が設けられている。
【0010】
以下により詳細に記載するように、外科用ステープラ(10)は、患者に対する外科的処置の間にハンドル組立体(12)を介してエンドエフェクタ(16)を操作するための複数の作動システムを含む。具体的には、外科用ステープラ(10)は、エンドエフェクタ(16)内に組織を最初に保持するように動作可能な組織保持ピン作動システム(20)と、エンドエフェクタ(16)を用いて組織をクランプするように動作可能な閉鎖システム(22)と、その後に、エンドエフェクタ(16)を用いて組織をステープル留め及び切断するように動作可能な発射システム(24)と、を含む。
【0011】
本明細書の教示は、直線状のステープル列及び組織内の直線状切断線に適用するように構成された「直線状」外科用ステープラ(10)の文脈で示され記載されているが、本明細書の教示のうちの任意の1つ又は2つ以上が、本明細書に参考として組み込まれた参考文献のうちの任意の1つ又は2つ以上に開示されたタイプの外科用ステープラのように、非直線状の(例えば、湾曲した)構成でステープル列及び組織の切断線に適用するように構成された外科用ステープラに適用されてもよいことが理解されるであろう。
【0012】
A.外科用ステープラのハンドル組立体及びシャフト組立体
図1Aに示すように、ハンドル組立体(12)は、ピストルグリップ(32)を画定するハウジング(30)と、ハンドルハウジング(30)の上部に摺動可能に配設されたサドル形状の摺動部(34)と、枢動可能な閉鎖トリガ(36)と、枢動可能な発射トリガ(38)と、を含む。閉鎖トリガ(36)及び発射トリガ(38)は、シャフト組立体(14)を介してエンドエフェクタ(16)と動作可能に連結され、それにより、エンドエフェクタ(16)は、閉鎖トリガ(36)の作動に応じて閉鎖し、かつそれによって組織をクランプするように構成され、その後、発射トリガ(38)の作動に応じて組織をステープル留めしかつ切断する(すなわち、「発射する」)ように構成されている。
図1Aは、エンドエフェクタ(16)が、カートリッジハウジング(162)と、エンドエフェクタ(16)内に取り付けられた(又は「リロードされた」)交換可能なステープルカートリッジユニット(160)のアンビル(210)との間に画定された間隙(G)(又は「アパーチャ」)内に横方向に組織を受容するように構成されるように、非作動構成にある摺動部(34)及び閉鎖トリガ(36)を示す。
図1Bに示すように、摺動部(34)をエンドエフェクタ(16)に向かって遠位に並進させることにより、ステープルカートリッジユニット(160)の組織保持ピン(176)が遠位に延在して、アンビル(210)とカートリッジハウジング(162)との間に組織を捕捉する。
図1Cに示すように、続いて閉鎖トリガ(36)をピストルグリップ(32)に向かって作動させると、カートリッジハウジング(162)がアンビル(210)に向かって遠位に駆動され、それによって組織がその間にクランプされる。
図1Dに示すように、続いて、ピストルグリップ(32)に向かって発射トリガ(38)を作動させると、クランプされた組織内にステープルが遠位に駆動され、また、以下でより詳細に記載するように、ナイフ部材(194)(
図8参照)を用いて、形成されたステープルラインの間で組織を切断する。
【0013】
図2に示すように、外科用ステープラ(10)は、組織保持ピン作動システム(20)、閉鎖システム(22)、及び発射システム(24)を支持するステープラ(10)のフレーム構造体を画定するために協働する一対の長手方向に延在するサイドプレート(40)を含む。各サイドプレート(40)は、ハンドルハウジング(30)内に収容された近位フレーム部分(42)と、シャフト組立体(14)のそれぞれの外側の横方向の側面を画定する中間シャフト部分(44)と、上方に延在する遠位フック(47)を有する遠位ジョー部分(46)と、を含む。遠位ジョー部分(46)は、以下に記載される閉鎖バー(50)の遠位端と協働して、ステープルカートリッジユニット(160)を取り外し可能に受容するエンドエフェクタ(16)のU字型遠位支持構造体(48)を画定する。本明細書で使用するとき、用語「U字型」は、本明細書に示される側面図のいずれかにおいて、エンドエフェクタ(16)によって提示される形状を指す。
【0014】
図3に示すように、サイドプレート(40)の間に摺動可能に配設され、かつそれによって支持されているのは、ハンドル組立体(12)とステープルカートリッジユニット(160)とを作動的に連結する、作動システム(20、22、24)の細長い作動可能な構成要素であり、閉鎖バー(50)、ステープルバー(60)、及びナイフバー(70)を含む。閉鎖バー(50)は、ステープルカートリッジユニット(160)を受容して支持するように構成されたカートリッジ受容遠位部分(52)を含む。閉鎖バー(50)及びステープルバー(60)は各々、互いに離間した第1及び第2の横方向の側面と、それらの間に長手方向に延在する内側チャネルと、を有する両面構造体として構成される。この構成により、ナイフバー(70)は、ステープルバー(60)の長手方向の内側チャネル内に入れ子式でかつ摺動可能に配設され、ステープルバー(60)も同様にして閉鎖バー(50)の長手方向の内側チャネル内に入れ子式でかつ摺動可能に配設される、シャフト組立体(14)の配置が可能になる。更に、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)は、エンドエフェクタ(16)の独立した閉鎖及び発射を可能にする長手方向運動の範囲にわたって閉鎖バー(50)とは独立して長手方向に並進可能である。以下により詳細に記載するように、閉鎖バー(50)は、閉鎖トリガ(36)の作動に応じて組織をクランプするために、アンビル(210)に対して長手方向にカートリッジハウジング(162)を作動させるように動作可能である。ステープルバー(60)は、クランプされた組織をステープル留めするために、ステープルドライバ部材(186)(
図8参照)をカートリッジハウジング(162)に対して長手方向に作動させるように動作可能である。ナイフバー(70)は、クランプされた組織を切断するために、カートリッジハウジング(162)及びステープルドライバ部材(186)に対して長手方向にナイフ部材(194)(
図8参照)を作動させるように動作可能である。
【0015】
外科用ステープラ(10)の組織保持ピン作動システム(20)は、ハンドル組立体(12)の摺動部(34)と、ステープルカートリッジユニット(160)の組織保持ピン(176)と、シャフト組立体(14)の上側に沿って長手方向に延在する細長い押棒(80)と、ハンドル組立体(12)内に摺動可能に配設された押棒ドライバ(82)と、を含む。押棒(80)の遠位端は、ステープルカートリッジユニット(160)をエンドエフェクタ(16)の遠位支持構造体(48)に挿入すると、組織保持ピン(176)と解放可能に連結するように構成されている。押棒(80)の近位端は、押棒ドライバ(82)と連結され、これは摺動部(34)と連結される。したがって、近位位置と遠位位置との間の摺動部(34)を長手方向に並進させることにより、格納位置と伸張位置との間でカートリッジハウジング(162)に対する組織保持ピン(176)の長手方向の並進が駆動される。
図1Aに示すように、組織保持ピン(176)は、摺動部(34)が近位位置にあるとき、保持ピン(176)がカートリッジハウジング(162)内に収容される格納位置を呈するように構成されている。
図1Bに示すように、組織保持ピン(176)は、摺動部(34)が遠位位置に進んだときに、保持ピン(176)の遠位端がアンビル(210)に係合し、それによって、ステープルカートリッジユニット(160)の間隙(G)内に配置された組織を保持する、伸張位置を呈するように構成される。
【0016】
外科用ステープラ(10)の閉鎖システム(22)は、ハンドル組立体(12)の閉鎖トリガ(36)及び閉鎖バー(50)を含む。
図2及び
図4A~
図4Cに示すように、閉鎖トリガ(36)は、一対の横方向に延在するポスト(90)を中心としてハンドルハウジング(30)と枢動可能に連結される。垂直方向にスロット付きの遠位部分を有する閉鎖トリガ(36)の上部アーム(92)は、一対の閉鎖リンク(96)によって閉鎖バー(50)の近位端と動作可能に連結される。各閉鎖リンク(96)の近位端は、閉鎖トリガ上部アーム(92)の横方向に延在するポスト(93)と枢動可能に連結される。各閉鎖リンク(96)の遠位端は、閉鎖バー(50)の横方向に延在するポスト(54)を中心として閉鎖バー(50)の近位端と枢動可能に連結される。
【0017】
図4A~
図4Bに示すように、ピストルグリップ(32)に向かって閉鎖トリガ(36)を枢動させる枢動により、閉鎖トリガ上部アーム(92)が遠位かつ下方に前進され、それによって閉鎖リンク(96)を介して閉鎖バー(50)が遠位に駆動される。次いで、閉鎖バー(50)のカートリッジ受容遠位部分(52)は、カートリッジハウジング(162)をアンビル(210)に向かって遠位に駆動する。このようにして、エンドエフェクタ(16)は、組織がエンドエフェクタ(16)内に位置付け可能である開放状態(
図1A~
図1B)から、組織がカートリッジハウジング(162)とアンビル(210)との間にクランプされる閉鎖状態(
図1C)へと作動される。ハンドル組立体(12)のピストルグリップ(32)内に収容された閉鎖戻りばね(98)は、閉鎖トリガ(36)を非作動状態に向かって弾性的に付勢し、それにより、エンドエフェクタ(16)を開放状態に向かって弾性的に付勢する。
【0018】
本変形例では、閉鎖バー(50)は、操作者が閉鎖トリガ(36)を握ったときに、組織保持ピン作動システム(20)と協働して、保持ピン(176)をその伸張位置まで遠位に自動的に作動させるように更に構成されている。これに関して、
図4A~
図4Bに最もよく示すように、ハンドル組立体(12)は、閉鎖リンク(96)の外側に沿って回転可能に配設された一対のカムヨーク(100)を更に含む。各カムヨーク(100)は、閉鎖バー(50)のそれぞれの近位ポスト(54)を摺動可能に受容する角度付きスロット(102)を含む。閉鎖トリガ(36)がピストルグリップ(32)に向かって作動すると、近位ポスト(54)は、カムヨーク(100)を遠位に回転可能に駆動させて、ヨーク(100)のカムローブ(104)が押棒ドライバ(82)の対応するサイドポスト(84)と係合し、それによって押棒(80)、ひいては組織保持ピン(176)を遠位に作動させる。エンドエフェクタ(16)の閉鎖中の組織保持ピン(176)のこのような自動伸張は、操作者が閉鎖トリガ(36)を作動する前に摺動部(34)を介して保持ピン(176)を遠位に手動で作動させなかった場合に有用であり得る。
【0019】
本実施例の閉鎖システム(22)は、閉鎖トリガ(36)を作動位置で解放可能にロックして、閉鎖トリガ(36)を継続的に握ることなく、エンドエフェクタ(16)を用いて組織の効果的なクランプを提供できるように更に構成されている。
図4A~
図4Bに最もよく示すように、解放ボタン(110)は、ハンドル組立体(12)の近位端に枢動可能に配設される。ロック爪(112)は、解放ボタン(110)の上端から遠位に延在し、解放ボタンばね(116)を介して、閉鎖トリガ上部アーム(92)の上端と接触するように弾性的に付勢されている爪状ラグ(114)を含む。したがって、閉鎖トリガ(36)がピストルグリップ(32)に向かって握られると、爪状ラグ(114)は、閉鎖トリガ上部アーム(92)の上面に沿って摺動するように構成されている。
図4Bに示すように、閉鎖トリガ(36)が完全に作動位置に到達すると、爪状ラグ(114)は、閉鎖トリガ上部アーム(92)の近位上部ノッチ(94)内に入り込み、それによって閉鎖トリガ(36)を作動位置に完全にロックする。操作者がエンドエフェクタ(16)を再開放することを望む場合、例えば、エンドエフェクタ(16)内に組織を再配置するか、又は発射が完了した後に組織を解放するために、操作者は解放ボタン(110)を押下して、爪状ラグ(114)を閉鎖トリガ(36)から係合解除することができる。閉鎖復帰ばね(98)によって提供される弾性的な付勢によって、閉鎖トリガ(36)は、その後非作動状態に戻り、エンドエフェクタ(16)は、
図1A及び
図4Aに示される開放状態に戻る。
【0020】
外科用ステープラ(10)の発射システム(24)は、ハンドル組立体(12)の発射トリガ(38)、ステープルバー(60)、ナイフバー(70)、及びステープルカートリッジユニット(160)のステープルドライバ部材(186)及びナイフ部材(194)を含む。ナイフバー(70)及びステープルドライバ部材(186)の特徴部は、
図8に関連して以下でより詳細に記載される。
図2及び
図4Aに示すように、本実施例の発射トリガ(38)は、ハンドルハウジング(30)から下方に延在し、操作者によって係合可能である下部シュラウド(120)と、下部シュラウド(120)から上方かつ遠位に延在し、ハンドルハウジング(30)とともに位置付けられている円弧状上部アーム(122)を有する一対のプレートと、円弧状上部アーム(122)の自由な遠位上端の間で横方向に延在する回転可能なカムピン(124)と、ハンドルハウジング(30)内の円弧状上部アーム(122)の下端から遠位に延在する発射ロックアウト突起部(126)と、を有する、アセンブリとして構成されている。カムピン(124)は、本願と同日出願の「Cartridge Based Lockout Mechanism for Right Angle Surgical Stapler」と題する米国特許出願第[代理人参照番号END9088USNP1](その開示は参照により本明細書に組み込まれる)の教示のいずれかに従って更に構成されかつ動作可能であり得る。
【0021】
発射トリガ(38)は、横方向に延在する枢動ピン(128)を介してハンドルハウジング(30)と枢動可能に連結されている。加えて、発射トリガ(38)は、閉鎖トリガ(36)がピストルグリップ(32)に向かって作動する際に、発射トリガ(38)の円弧状上部アーム(122)が閉鎖トリガ上部アーム(92)のスロット付き遠位部分内に受容されるように、閉鎖トリガ(36)の遠位に位置付けられている。
図4A~
図4Bに示すように、操作者が閉鎖トリガ(36)をピストルグリップ(32)に向かって完全に握ると、閉鎖トリガ上部アーム(92)の遠位スロット付き部分内に配設された遠位に面するレッジ(95)が、発射トリガ(38)のカムピン(124)と係合し、カムピン(124)を初期量だけ遠位に駆動する。これにより、
図4Bに示すように、発射トリガ(38)の下端は、閉鎖トリガ(36)と同時にピストルグリップ(32)に向かって部分的に枢動する。
【0022】
図4Cに示すように、一度エンドエフェクタ(16)が完全な閉鎖状態に達して、ピストルグリップ(32)に向かって発射トリガ(38)を更に作動させると、エンドエフェクタ(16)を「発射する」ように動作する。具体的には、カムピン(124)の外側部分は、ステープルバー(60)の近位縁部(62)と係合し、ひいてはステープルバー(60)を閉鎖バー(50)に対して遠位に駆動する。
図12A~
図12Dに関連して以下でより詳細に記載するように、ステープルバー(60)の遠位縁部(64)は、ステープルカートリッジハウジング(162)内のステープルドライバ部材(186)の近位端に係合し、それにより、ステープルドライバ部材(186)がステープルカートリッジハウジング(162)を通って遠位に駆動し、エンドエフェクタ(16)によってクランプされた組織内にステープルを駆動する。発射トリガ(38)がその完全な作動状態に向かって作動すると、カムピン(124)の中間部分が発射トリガ(38)の円弧状上部アーム(122)間に配設され、ナイフバー(70)の丸みを帯びた近位縁部(72)と係合し、それにより、ナイフバー(70)を閉鎖バー(50)に対して遠位に駆動させる。
図12A~
図12Dに関連して以下でより詳細に記載するように、ナイフバー(70)の遠位縁部(74)は、ステープルカートリッジハウジング(162)内のナイフ部材(194)の近位端に係合し、それにより、ナイフ部材(194)がステープルドライバ部材(186)を通って遠位に駆動し、エンドエフェクタ(16)によってクランプされた組織を切断する。
【0023】
本実施例の発射システム(24)は、発射トリガ(38)がピストルグリップ(32)に向かって最初の運動範囲を通して作動されるときに、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)がともに遠位に並進し、かつ発射トリガ(38)がピストルグリップ(32)に向かって最終の運動範囲を通して更に作動されるとき、ナイフバー(70)がステープルバー(60)に対して遠位に並進し続けるように好適に構成されている。有利なことに、このような構成は、エンドエフェクタ(16)によってクランプされた組織が完全にステープル留めされ、組織がナイフ部材(194)によって切断される前に、意図された組織切断線に沿って適切な止血が達成されることを確実にする。
【0024】
図2に示すように、発射システム(24)は、ハンドル組立体(12)内に収容されたナイフ戻しばね(130)を更に含む。ナイフ戻しばね(130)は、その遠位端でナイフバー(70)の遠位端に定着され、その近位端で閉鎖バー(50)の遠位端に定着される。したがって、ナイフ戻しばね(130)は、発射トリガ(38)が解放されると、閉鎖バー(50)及びステープルバー(60)に対してナイフバー(70)を近位に弾性的に付勢するように動作可能である。
図3及び
図12A~
図12Dに示すように、ナイフバー(70)は、遠位フック(76)を含み、それがナイフ部材(194)によって捕捉されることによってナイフ部材(194)をナイフバー(70)に軸方向に固着する。したがって、操作者が発射ストロークを完了した後に発射トリガ(38)を解放すると、ナイフバー(70)及びナイフ部材(194)は自動的に近位に後退して、ナイフ部材(194)の遠位切断縁部(200)をステープルカートリッジハウジング(162)内に安全に収容する。
【0025】
図2に示すように、本実施例の外科用ステープラ(10)は、枢動可能レバー(140)の形態である近位発射ロックアウト特徴部を更に含むが、これは、エンドエフェクタ(16)が閉鎖トリガ(36)によって完全に閉鎖されるまで、発射トリガ(38)の作動を抑制するように動作可能である。発射ロックアウトレバー(140)は、ハンドル組立体(12)内に収容され、左のサイドプレート(40)の近位フレーム部分(42)の外側に枢動可能に取り付けられる。発射ロックアウトレバー(140)は、ばね(146)によって、近位ロックアウトレバー(140)の下部タブ(142)が発射トリガ(38)の発射ロックアウト突起部(126)の下方への移動を阻止する位置に向かって弾性的に付勢されているが、それにより、エンドエフェクタ(16)を閉鎖するために閉鎖トリガ(36)が完全に作動していない場合には、発射トリガ(38)の作動が抑制されるようになっている。閉鎖トリガ(36)が完全な作動状態に達すると、発射ロックアウトレバー(140)の上部アーム(144)は、解放ボタン(110)の爪状ラグ(114)によって下方に駆動されるが、これにより、下部タブ(142)を発射ロックアウト突起部(126)から離れるように回転させ、発射トリガ(38)の作動を可能にする。発射ロックアウトレバー(140)及びその例示的な変形例は、以下により詳細に記載される。
【0026】
図示されていないが、外科用ステープラ(10)のシャフト組立体(14)は、関節接合部など様々な追加の構成要素を含んでもよく、あるいは、シャフト組立体(14)がハンドル組立体(12)に対してモジュール化されるように、様々な構成要素の再配置を含んでもよい。
【0027】
B.外科用ステープラのエンドエフェクタ
外科用ステープラ(10)のエンドエフェクタ(16)は、サイドプレート(40)の遠位部分、閉鎖バー(50)のカートリッジ受容遠位部分(52)、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)の遠位部分によって画定される遠位支持構造体(48)、並びに交換可能なステープルカートリッジユニット(160)を含む。
図5~
図8に最もよく示すように、本変形例のステープルカートリッジユニット(160)は、ステープル留めしかつ切断される患者組織を受容するための軸方向の間隙(G)をその間に画定するように、互いに離間したカートリッジハウジング(162)及びアンビル(210)を含む。カートリッジハウジング(162)は、アンビル(210)に対して組織をクランプするように構成され、アンビル(210)とともにシャフト組立体(14)の長手方向軸に対して横切るように延在し、遠位に面したデッキ(164)を含み、その結果、エンドエフェクタ(16)に「直角」構成を提供する。
【0028】
カートリッジデッキ(164)は、その中にナイフ(198)を摺動可能に受容するように構成された細長い直線状ナイフスロット(166)と、細長い直線状ナイフスロット(166)のいずれかの側に沿って直線状の列で配置され、複数の未形成ステープル(170)を内部に収容するように構成された複数のステープル開口部(168)と、を含む。本実施例のデッキ(164)は、ステープル開口部(168)とともに挿入され、組織がデッキ(164)とアンビル(210)との間にクランプされる際に患者組織の把持及び圧縮を最適化するように構成された、複数のスタンドオフ特徴部(172)を更に含む。デッキ(164)は、2019年1月14日出願の「Surgical Stapler with Sloped Staple Deck for Varying Tissue Compression」と題する米国特許出願第16/234,740号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)の少なくとも一部の教示に従って、更に構成され得る。
【0029】
カートリッジハウジング(162)の細長い上部本体部分(174)は、組織保持ピン(176)と、組織保持ピン(176)の近位端に固着された連結具(180)と、を摺動可能に収容する。連結具(180)は、ステープルカートリッジユニット(160)がエンドエフェクタ(16)の遠位支持構造体(48)内に着座されたときに、組織保持ピン(176)を組織保持ピン作動システム(20)の押棒(80)の遠位端と解放可能に連結するように構成される。上部本体部分(174)の近位端に固着されたエンドキャップ部材(182)は、組織保持ピン(176)及び連結具(180)をカートリッジハウジング(162)内で近位に拘束するように構成されており、一方で、組織保持ピン(176)がその近位の格納位置(
図1A及び
図12Aを参照)とその遠位の伸長位置(
図1B及び
図12Bを参照)との間で並進することを可能にしている。組織保持ピン(176)は、保持ピン(176)がアンビル(210)に向かって延在するときに組織を貫通するように構成されたテーパ状の遠位先端部(178)を含む。
【0030】
カートリッジハウジング(162)の下部本体部分(184)は、ステープルドライバ部材(186)及びナイフ部材(194)を内部に摺動可能に受容する。
図8に最も良く示すように、本変形例のステープルドライバ部材(186)は、基部(188)と、基部(188)から遠位に突出する複数のステープルドライバ要素(190)と、ステープルドライバ部材(186)を通って軸方向に延在し、ナイフ部材(194)を摺動可能に受容するように構成された内部チャネル(192)と、を含む。各ステープルドライバ要素(190)は、カートリッジハウジング(162)のそれぞれのステープル開口部(168)内に摺動可能に受容され、閉鎖トリガ(36)の作動に応じて、開口部(168)からそれぞれのステープル(170)を駆動するように構成される。本変形例のステープルドライバ要素(190)は基部(188)にしっかりと貼着されているが、基部(188)及びステープルドライバ要素(190)は、他の変形例では別個に提供されてもよいことが理解されるであろう。
【0031】
ナイフ部材(194)は、基部(196)と、基部(196)に固着されかつそこから遠位に延在し、遠位切断縁部(200)を有するナイフ(198)と、を含む。ナイフ(198)は、ナイフ(198)が患者組織上で直線状の切断を行うことを可能にする平坦なプレート状形状で形成される。ナイフ部材(194)は、ステープルドライバ部材(186)の内部チャネル(192)内に摺動可能に受容されるが、このため、ナイフ(198)が、発射トリガ(38)の完全な作動に応じて、エンドエフェクタ(16)によってクランプされた組織を切断するために、ステープルドライバ部材(186)及びカートリッジハウジング(162)の細長い直線状ナイフスロット(166)を通して長手方向に並進するように構成されている。
【0032】
図8に最も良く示すように、ステープルカートリッジユニット(160)のアンビル(210)は、遠位プレート部分(212)と、遠位プレート部分(212)の下端から近位に延在する連結アーム(214)と、を含む。遠位プレート部分(212)は、ステープル留めされ、かつ切断される組織をクランプするためにカートリッジデッキ(164)と協働するように構成されている。遠位プレート部分(212)は、細長い直線状スロット(216)と、スロット(216)の各側面に沿って直線状に配置された複数のステープル形成ポケット(218)と、を含む。ポケット(218)は、遠位プレート部分(212)とカートリッジデッキ(164)との間にクランプされた組織内にステープル(170)を形成するために、カートリッジハウジング(162)から射出されたステープル(170)の脚部を受容し、変形させるように構成されている。
【0033】
ガイドピン(230)は、アンビルプレート部分(212)とカートリッジハウジング(162)との間で長手方向に延在し、近位開放位置(
図1A及び
図12A参照)と遠位閉鎖位置(
図1C及び
図12C参照)との間でカートリッジハウジング(162)の長手方向の並進をガイドするように構成されている。ガイドピン(230)の近位端は、
図8に示すアンビル連結アーム(214)の近位タブ(220)によって拘束され、ガイドピン(230)の遠位端は、アンビルプレート部分(212)内に形成された下部開口部(222)内に拘束される。アンビルプレート部分(212)に形成された上部開口部(224)は、組織保持ピン(176)がガイドピン(230)と協働してアンビル(210)に対するカートリッジハウジング(162)の長手方向の並進をガイドし得るように、組織保持ピン(176)のテーパ状の遠位先端部(178)を伸長位置で受容して拘束するように構成されている。
図6~
図8に見られるように、ガイドピン(230)の内側は、長手方向の溝(232)を含んでもよく、この溝は、同様の溝(234)(
図12A~
図12D参照)と協働して、ナイフ(198)をカートリッジハウジング(162)に対する格納位置と伸長位置との間で摺動可能にガイドするように構成されている。
【0034】
ステープルカートリッジユニット(160)は、アンビル(210)に固定され、かつエンドエフェクタ(16)によってクランプされた組織を切断するためにナイフ(198)と協働するように構成された、組織切断ワッシャ(240)を更に含む。
図8及び
図10~
図11に最もよく示すように、組織切断ワッシャ(240)は、アンビルプレート部分(212)の遠位に沿って延在する細長いプレート状の本体(242)を含む。ワッシャ本体(242)は、アンビルプレート部分(212)の細長いスロット(216)を通って近位方向に突出する細長い切断要素(244)を含む。切断要素(244)は、ナイフの切断縁部(200)に、切断縁部(200)が組織を切断するための平坦な表面を提供することによって、まな板として機能する。少なくとも組織切断ワッシャ(240)の切断要素(244)は、高密度ポリエチレン(HDPE)などの高分子材料を含んでもよい。その関連で、ナイフ(198)は、組織を切断する際に、その長手方向中心線に沿って、切断要素(244)に軸方向に切り込み得る。本変形例の切断要素(244)は、略平面的な切断面を提供するが、切断要素(244)は代替的に他の変形例で構成されてもよいことが理解されるであろう。
【0035】
組織切断ワッシャ(240)は、ワッシャ本体(242)の上端にある丸みを帯びた先端部(246)と、ワッシャ本体(242)の下端から近位に延在する連結アーム(248)と、を更に含む。ワッシャ先端部(246)は、アンビルプレート部分(212)の上端を捕捉し、それによって拘束し、その丸みを帯びた構成は、患者組織との非外傷性相互作用を促進する。プレス嵌めピン(250)は、アンビル(210)及び組織切断ワッシャ(240)の近位連結アーム(214、248)に形成された開口部を介して挿入されるように構成され、それによってアンビル(210)及び切断ワッシャ(240)を一緒に確実に連結する。
【0036】
組織切断ワッシャ(240)は、アンビルプレート部分(212)の全長に沿って延在する一対の側部フランジ(252)を更に含む。
図10及び
図11に示すように、各側部フランジ(252)は、近位に延在して、アンビルプレート部分(212)のそれぞれの側縁部を覆い、かつ遠位に延在して、遠位支持構造体(48)を画定するそれぞれのサイドプレート(40)の遠位フック(47)の少なくとも一部分を覆う。したがって、有利なことに、側部フランジ(252)は、アンビルプレート部分(212)と遠位フック(47)との間に形成され得る軸方向の間隙(254)を覆うように機能し、それにより、組織に望ましくない外傷をもたらす可能性のある様式で、組織が軸方向の間隙(254)内に入り込み、挟まれることを防止することができる。
図11に示すように、側部フランジ(252)の外側表面は、組織切断ワッシャ(240)の外周の非外傷性特性を更に向上させるために丸みを帯びていてもよい。組織切断ワッシャ(240)は、本願と同日出願の「Tissue Cutting Washer for Right Angle Surgical Stapler」と題する米国特許出願第[代理人参照番号END9086USNP1](その開示は参照により本明細書に組み込まれる)の教示のいずれかに従って更に構成されかつ動作可能であり得る。
【0037】
C.エンドエフェクタの遠位支持構造体へのステープルカートリッジユニットの例示的な装填
図9A及び
図9Bは、エンドエフェクタ(16)の遠位支持構造体(48)への、新しい(又は「使用されていない」)状態のステープルカートリッジユニット(160)の装填を示す。
図9Aに示すように、かつ上記で簡潔に記載したように、遠位支持構造体(48)は、遠位フック(47)によって画定される遠位側、遠位ジョー部分(46)の近位部分及び閉鎖バー(50)のカートリッジ受容遠位部分(52)の遠位端によって画定される近位側、及びそれらの間に配設された上方に開く軸方向の間隙を有するU字型の側面輪郭を有するように構成される。
【0038】
ステープルカートリッジユニット(160)には、
図9A~
図9Bに示すように、ステープルリテーナ(260)が設けられており、それは、デッキ(164)とアンビルプレート部分(212)との間に取り外し可能に位置付けられ、ステープル(170)をステープル開口部(168)内に保持し、ステープルカートリッジユニット(160)が遠位支持構造体(48)に挿入される際に、デッキ(164)とアンビルプレート部分(212)との間の適切な軸方向の間隔を確保する。ステープルリテーナ(260)は、本願と同日出願の「Staple Retainer for Right Angle Surgical Stapler」と題する米国特許出願第[代理人参照番号END9090USNP1](その開示は参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくともいずれかに従って構成されかつ動作可能であり得る。ステープルリテーナ(260)を取り外すと、テープルカートリッジユニット(160)は、アンビルプレート部分(212)及び組織切断ワッシャ(240)によって画定される遠位側、カートリッジデッキ(164)によって画定される近位側、及びそれらの間に配設された上方に開く軸方向間隙(G)を有する、遠位支持構造体(48)と同様のU字型の側面輪郭を呈する。
【0039】
図9Aに示すように、ユーザーはまず、カートリッジハウジング(162)の下部本体部分(184)上に形成された近位側レール(202)を、閉鎖バー(50)のカートリッジ受容遠位部分(52)に形成された内側チャネル(56)と位置合わせする(
図3を参照)。
図9Bに示すように、ユーザーは次に、カートリッジハウジング(162)の近位側レール(202)が閉鎖バー(50)の内側チャネル(56)内へ下方に摺動し、かつサイドプレート(40)の遠位フック(47)が組織切断ワッシャ本体(242)の遠位側に形成された溝に摺動するように(
図11参照)、エンドエフェクタ(16)の遠位支持構造体(48)にステープルカートリッジユニット(160)を下方に押し込む。ステープルカートリッジユニット(160)が遠位支持構造体(48)内に完全に着座すると、カートリッジハウジング(162)の下部本体部分(184)上に形成された戻り止め突出部(204)は、閉鎖バー(50)のカートリッジ受容遠位部分(52)に形成されたそれぞれの開口部(58)内に受容され、それによって、ステープルカートリッジユニット(160)が遠位支持構造体(48)内に取り外し可能に固着される。開口部(58)とのカートリッジ戻り止め突出部(204)の係合は、ユーザーに触覚フィードバック及び/又は聴覚フィードバックを提供して、ステープルカートリッジユニット(160)が遠位支持構造体(48)内に完全に着座していることを確認することができる。
【0040】
図9Aに示すように、遠位ロックアウトレバー(270)は、ステープルバー(60)の遠位端に枢動可能に連結される。遠位ロックアウトレバー(270)は、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)の遠位縁部(64)に向かって遠位に延在し、サイドプレート(40)、閉鎖バー(50)、ステープルバー(60)、及びナイフバー(70)の遠位部分を通って横方向に延在する固定遠位ピン(280)と解放可能に係合するように構成されている。遠位ロックアウトレバー(270)は、未使用のステープルカートリッジユニット(160)の遠位支持構造体(48)への挿入時にステープルドライバ部材(186)の近位端が係合することに応じて、
図9Aに示される上昇位置に向かって弾性的に付勢され、
図9Bに示される下降位置に向かって枢動可能である。上昇位置において、遠位ロックアウトレバー(270)は固定遠位ピン(280)と係止されるように係合し、それによって、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)の遠位作動を抑制し、ひいてはステープルカートリッジユニット(160)の発射を抑制する。下降位置において、遠位ロックアウトレバー(270)は固定遠位ピン(280)と係合解除され、それによって、ステープルカートリッジユニット(160)の発射のための、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)の遠位作動を可能にする。遠位ロックアウトレバー(270)及び外科用ステープラ(10)の他のロックアウト特徴部は、本願と同日出願の「Cartridge Based Lockout Mechanism for Right Angle Surgical Stapler」と題する米国特許出願第[代理人参照番号END9088USNP1](その開示は参照により上記に組み込まれる)の教示のいずれかに従って更に構成されかつ動作可能であり得る。
【0041】
D.外科用ステープラの例示的な作動
ステープルカートリッジユニット(160)を含む、上記の外科用ステープラ(10)の様々な構造的特徴について記載してきたが、ここで外科手術中の外科用ステープラ(10)の例示的な作動について以下に記載する。未使用のステープルカートリッジユニット(160)を上記の様式で遠位支持構造体(48)に装填した後、次に患者の体腔内でエンドエフェクタ(16)を適切に操作して、アンビルプレート部分(212)とカートリッジデッキ(164)との間のステープルカートリッジ間隙(G)内に患者組織を位置付ける。
図12A及び
図12Bに示すように、次に、摺動部(34)を介して遠位に押棒(80)を作動させて、押棒(80)を遠位に駆動し、それによって、組織保持ピン(176)をカートリッジハウジング(162)から延在させて、その遠位先端部(178)を、カートリッジデッキ(164)の上端を覆う組織に貫通させて、アンビルプレート部分(212)の上端内に着座するようにする。このようにして、患者組織は、閉鎖前にカートリッジ間隙(G)内にしっかりと保持される。
【0042】
図12Cに示すように、次いで、閉鎖トリガ(36)を介して遠位に閉鎖バー(50)を作動させて、それによって、カートリッジハウジング(162)を、ガイドピン(230)及び組織保持ピン(176)に沿って遠位に駆動して、カートリッジデッキ(164)とアンビル(212)との間に組織をクランプする。本実施例に示すように、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)は、エンドエフェクタ(16)の完全閉鎖時にステープルドライバ部材(186)及びナイフ部材(194)が発射のために好適に位置付けられるように、閉鎖バー(50)及びカートリッジハウジング(162)とともに遠位に作動する。上述したように、エンドエフェクタ(16)は、ハンドル組立体(12)の解放ボタン(110)のロック爪(112)によって、完全閉鎖状態に解放可能に維持される。
【0043】
図12Dに示すように、次に、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)が発射トリガ(38)を介して遠位に作動され、それによって、ステープルドライバ部材(186)及びナイフバー(70)は、カートリッジハウジング(162)を通って遠位に駆動される。ステープルドライバ部材(186)のステープルドライバ要素(190)は、ステープル開口部(168)を通って遠位に前進し、それによって、その中に収容されたステープル(170)を、クランプされた組織を通って遠位に駆動し、アンビルプレート部分(212)のステープル形成ポケット(218)内に駆動し、ステープル(170)が組織内に形成されるようにする。ナイフ部材(194)は、ナイフ(198)を、カートリッジデッキ(164)の細長いナイフスロット(166)を通って、クランプされた組織を通って、かつ組織切断ワッシャ(240)の切断要素(244)に対して遠位に駆動させ、それによって、形成されたステープル(170)の最も内側の列の間の直線状切断線に沿ってクランプされた組織を切断する。クランプされた組織を完全に切断すると、ナイフの切断縁部(200)は、組織切断ワッシャー(240)の切断要素(244)内に遠位に貫通し得る。任意選択的に、このような貫通に応じて、組織切断ワッシャ本体(242)は、ナイフの切断縁部(200)に沿って破断することができ、それによって、発射ストロークが完了し、クランプされた組織が完全にステープル留めされ、かつ切断されたことを外科医に(例えば、「パチン」という音を介して)聴覚的に示すことができる。
【0044】
上述したように、及び
図12Dに示すように、発射トリガ(38)が組織のステープル留めすることになる最初の運動範囲を介して作動されると、ステープルドライバ部材(186)及びナイフ部材(194)は、ステープルカートリッジハウジング(162)を通って遠位に一緒に並進してもよい。
図12Dに示すように、ナイフ部材(194)は、次に、発射トリガ(38)がステープル留めされた組織をナイフ(198)で切断することになる最終的な運動範囲を通して更に作動される際に、静止したステープルドライバ部材(186)に対して遠位に並進し続けてもよい。このようにして、エンドエフェクタ(16)によってクランプされた組織は、切断される前に完全にステープル留めされる。
【0045】
図7に最も良く示すように、カートリッジハウジング(162)の下部本体部分(184)の第1の横方向の側面は、複数の軸方向に離間した凹部を有する戻り止めアーム(185)を含む。加えて、ステープルドライバ部材(186)の基部(188)の第1の横方向の側面は、横方向に延在する戻り止めポスト(189)を含むが、これは、クランプされた組織をステープル留めするときに、ステープルドライバ部材(186)が、カートリッジハウジング(162)を通って遠位に駆動される際に、戻り止めアーム(206)に沿って軸方向に戻り止めするように構成されている。
図8に最も良く示すように、ステープルドライバ部材(186)の基部(188)の第2の横方向の側面は、複数の軸方向に離間した凹部を有する戻り止めアーム(191)を含む。加えて、ステープルドライバ部材(194)の基部(196)の第2の横方向の側面は、横方向に延在する戻り止めポスト(197)を含むが、これは、クランプされた組織を切断するときに、ナイフ部材(194)が、ステープルドライバ部材(186)を通って遠位に駆動される際に、戻り止めアーム(191)に沿って軸方向に戻り止めするように構成されている。このような戻り止め特徴部は、ステープルドライバ部材(186)が組織をステープル留めするために完全に伸張されたとき、及びその後、ナイフ部材(194)がステープル留めされた組織を切断するために完全に伸張されたときに、外科医に触覚フィードバックを提供することができる。
【0046】
外科用ステープラ(10)が完全に発射されると、外科医は発射トリガ(38)を解放するが、これにより、ナイフバー(70)及びナイフ部材(194)を、上述のナイフ戻しばね(130)の弾性的な付勢を介して閉鎖バー(50)に対して近位に自動的に後退させることができる。本変形例では、閉鎖バー(50)に対するナイフバー(70)の近位後退はまた、閉鎖バー(50)に対するステープルバー(60)の近位後退をも駆動し、例えば、ナイフバー(70)の遠位部分上に形成された下部タブ(78)と、ステープルバー(60)の遠位部分の下面に形成された下部スロット(66)と、を係合することによって、ナイフバー(70)は、ステープルバー(60)と動作可能に連結される。一方、上記のステープル留め戻り止め特徴部(185、189)は、遠位ロックアウトレバー(270)がステープルドライバ部材(186)を係合解除するように、ステープルドライバ部材(186)をカートリッジハウジング(162)内のその完全に伸長した位置に維持するように動作する。これにより、遠位ロックアウトレバー(270)は、上昇したロックアウト位置に戻り、ステープルカートリッジユニット(160)が使用されたときに発射トリガ(38)の再作動を阻止することができる。このようにして、遠位ロックアウトレバー(270)は、ステープルを適用せずにナイフ(198)で組織を切断することとなる様式で、外科医が、使用済みステープルカートリッジユニット(160)を組織内に不注意に再発射することを防止する。
【0047】
発射トリガ(38)の解放後、次に外科医はハンドル組立体(12)上の解放ボタン(110)を押下して、上述した閉鎖復帰ばね(98)の弾性的な付勢を介して、閉鎖トリガ(36)及び閉鎖バー(50)がそれらの非作動状態に戻ることを可能にする。閉鎖バー(50)のこのような近位への後退は、ステープル留めされた組織及び切断された組織が、エンドエフェクタ(16)から解放され得るように、カートリッジハウジング(162)をアンビル(210)から近位に引き離す。閉鎖バー(50)の近位への後退はまた、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)をそれらの近位ホーム位置よりも更に近位に後退することにより、使用済みステープルカートリッジユニット(160)を遠位支持構造体(48)から取り外し、新しいステープルカートリッジユニット(160)と交換することができる。
【0048】
E.外科用ステープラの近位発射機構
場合によっては、外科手術中に閉鎖トリガ(36)を作動させて、エンドエフェクタ(16)内の組織をクランプしている間、操作者は、発射トリガ(38)上に指を不注意に静止させる可能性があり、又は発射トリガ(38)は、そうでなければ患者の身体の一部分に押し付けられる可能性がある。例えば、エンドエフェクタ(16)が組織上で部分的にのみ閉鎖されているときの発射システム(24)の早期作動は、組織内でステープル(170)の奇形をもたらし、組織がナイフ(198)によって切断されるときに不十分な止血を引き起こす可能性がある。上記で簡潔に記載したように、ハンドル組立体(12)の発射ロックアウトレバー(140)は、ステープル(170)及び切断線を適用する前に、エンドエフェクタ(16)が完全に閉鎖されて組織を適切にクランプするまで、発射トリガ(38)の枢動並びにステープルドライバ部材(186)及びナイフ部材(194)の結果の作動を抑制するように動作可能である。
【0049】
図13に示すように、かつ上記で簡潔に記載したように、発射ロックアウトレバー(140)は、枢動ピン(150)を介して、左のサイドプレート(40)の近位フレーム部分(42)の外側に枢動可能に取り付けられる。本変形例の発射ロックアウトレバー(140)は、いずれも近位フレーム部分(42)に平行な平面内に延在する上部アーム(144)及び上部アーム(144)の遠位端から下方に垂れ下がる下部脚部(148)を画定するL字状形状を有する。下部タブ(142)は、下側脚部(148)の下端から垂直に延在し、サイドプレート(40)の近位フレーム部分(42)に形成されたスロット(152)を通って発射トリガ(38)に向かって横方向内側に突出する。枢動ピン(150)は、上部アーム(144)の遠位端に位置付けられ、発射ロックアウトレバー(140)が、
図14A及び
図15Aに示されるロックアウト状態と
図14B及び
図15Bに示されるバイパス状態との間でサイドプレート(40)に対して枢動することを可能にする。伸張ばねの形態で示されるばね(146)は、近位端で近位フレーム部分(42)に、遠位端で下側脚部(148)に定着される。以下に記載されるように、ばね(146)は、発射ロックアウトレバー(140)をロックアウト状態に向かって弾性的に付勢するように動作可能である。
【0050】
図14A及び
図15Aに示されるように、発射ロックアウトレバー(140)は、閉鎖システム(22)が、エンドエフェクタ(16)を完全に閉鎖するために完全な作動状態以外の任意の状態にある間、ロックアウト状態を呈する。ロックアウト状態では、発射ロックアウトレバー(140)の下部タブ(142)は、発射トリガ(38)の発射ロックアウト突起部(126)の横方向下に延在し、したがって、発射トリガ(38)が枢動して、上述のステープルバー(60)及びナイフバー(70)を作動させることを阻止する。発射ロックアウトレバー(140)は、エンドエフェクタ(16)を完全に閉鎖するまで、閉鎖システム(22)を介してエンドエフェクタ(16)の部分的閉鎖全体にわたってこのロックアウト状態を維持するように構成されている。
【0051】
図14Bに示すように、かつ上記で簡潔に説明したように、閉鎖トリガ(36)がピストルグリップ(32)に向かって握られて、閉鎖バー(50)を遠位に作動させ、それによってエンドエフェクタ(16)を閉鎖すると、解放ボタン(110)の爪状ラグ(114)は、閉鎖トリガ上部アーム(92)の上縁部を横切って摺動する。完全な作動状態に到達し、それによってエンドエフェクタ(16)を完全な閉鎖状態に配置すると、閉鎖トリガ(36)は回転配向され、その結果、爪状ラグ(114)が、解放ボタンばね(116)によって加えられた弾性付勢を介して、閉鎖トリガ上部アーム(92)内に形成された近位ノッチ(94)内に入り込む。ノッチ(94)内に入り込むと、爪状ラグ(114)は、ロックアウトレバー上部アーム(144)の近位端の上縁部に直接接触し、上部アーム(144)を下方に駆動する。
図15Bに示されるように、この係合は、ロックアウトレバー(140)を枢動ピン(150)の周りで時計回りに枢動させ、その結果、下部タブ(142)がスロット(152)内で、発射トリガ突起部(126)の下面の下から外へと遠位に前進する。
図14Cに示すように、次いで、発射トリガ(38)をピストルグリップ(32)に向かって作動させて、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)を遠位に作動させ、エンドエフェクタ(16)を発射することができる。
【0052】
上述のように、エンドエフェクタ(16)が組織内に発射された後、発射トリガ(38)は、操作者によって解放されると、非作動状態に弾性的に戻る。次いで、操作者は解放ボタン(110)を押下して、爪状ラグ(114)を閉鎖トリガ(36)の近位ノッチ(94)から上昇させ、それによって、閉鎖トリガ(36)が非作動状態に弾性的に戻ることを可能にすることができる。近位ノッチ(94)から上昇すると、爪状ラグ(114)は、発射ロックアウトレバー(140)の上部アーム(144)を係合解除し、したがって、ロックアウトレバー(140)がばね(146)の弾性付勢によってロックアウト状態に戻ることを可能にする。したがって、ロックアウトレバー(140)は、閉鎖トリガ(36)が再び完全に作動してエンドエフェクタ(16)を完全に閉鎖するまで、発射トリガ(38)の再作動を防止する。しかしながら、エンドエフェクタ(16)が再び完全に閉鎖されて、バイパス状態で近位発射ロックアウトレバー(140)を提供する場合であっても、使用済みステープルカートリッジユニット(160)の再発射は、遠位ロックアウトレバー(140)によって防止され得る(
図9A~9B参照)。上述のように、遠位ロックアウトレバー(140)は、本願と同日出願の「Cartridge Based Lockout Mechanism for Right Angle Surgical Stapler」と題する米国特許出願第[代理人参照番号END9088USNP1](その開示は参照により上記に組み込まれる)の教示のいずれかに従って更に構成されかつ動作可能であり得る。
【0053】
図16は、上述の発射ロックアウトレバー(140)の代わりに外科用ステープラ(10)とともに使用するのに好適な例示的な代替の発射ロックアウトレバー(290)を示すが、これは、以下に別途記載される点を除き、発射ロックアウトレバー(140)と同様である。発射ロックアウトレバー(290)は、上部アーム(292)と、上部アーム(292)の遠位端から下方に垂れ下がってL字状形状を画定する遠位脚部(294)と、遠位脚部(294)の下端から横方向内側に延在する下部タブ(296)と、を含む。発射ロックアウトレバー(290)は、下方に垂れ下がり、上方アーム(292)の近位端を形成する近位脚部(298)を更に含む。近位脚部(298)の下端は、上述のばね(146)と同様に、発射ロックアウトレバー(290)をロックアウト位置に向かって弾性的に付勢する戻しばね(図示せず)と連結するように構成されている。したがって、戻りばねは、遠位脚部(294)ではなく近位脚部(298)に連結されるが、これは、場合によっては有利であり得る構成を提供する。
【0054】
ロックアウトレバー(290)は、それ以外の点ではロックアウトレバー(140)と機能的に同様である。具体的には、ロックアウトレバー(290)は、下部タブ(296)が発射トリガ(38)の突出部(126)の下にあり、したがって発射トリガ(38)の作動を抑制するロックアウト位置と、下部タブ(296)が発射トリガ突出部(126)から離れるように移動し、したがって発射トリガ(38)の作動を可能にするバイパス位置と、の間で枢動点(299)を中心に枢動するように構成されている。ロックアウトレバー(290)のそのような作動は、エンドエフェクタ(16)を組織上に完全にクランプするための閉鎖トリガ(36)の完全な作動に応答して、解放ボタン(110)の爪状ラグ(114)によって駆動される。
【0055】
II.例示的な代替の発射ロックアウト機構
場合によっては、上述の発射ロックアウト機構(140)と構造が異なるが、同様の機能を行う発射ロックアウト機構を備えた外科用ステープラ(10)を提供することが望ましい場合がある。以下に記載される例示的な代替の発射ロックアウト機構(360、440)は、発射ロックアウト機構(140)と機能的に同様である。その点に関し、各ロックアウト機構(360、440)は、エンドエフェクタが完全に閉鎖されていない限り、発射システムの作動を抑制するように動作可能であり、したがって、患者組織内のステープルの奇形及び結果として得られる不十分な止血から保護する。上述のロックアウト機構(140)と同様に、以下に記載される各ロックアウト機構(360、440)は、発射トリガの作動を抑制するロックアウト状態に向かって弾性的に付勢され、エンドエフェクタを完全に閉鎖するための閉鎖トリガの完全な作動に応答して、発射システムの作動を可能にするバイパス状態に移行するように構成されている。
【0056】
A.並進可能部材を有する発射ロックアウト機構
図17は、以下に別途記載する点を除き、上述の直角直線状外科用ステープラ(10)と同様である別の例示的な直角直線状外科用ステープラ(310)の近位部分を示す。外科用ステープラ(10)と同様に、外科用ステープラ(310)は、ハンドル組立体(312)と、ハンドル組立体(312)から遠位に延在するシャフト組立体(314)と、シャフト組立体(314)の遠位端にあるエンドエフェクタ(16)と、を含む。ハンドル組立体(312)は、ハンドルハウジング(330)と、ピストルグリップ(332)と、閉鎖トリガ(336)と、発射トリガ(338)と、近位解放ボタン(350)と、を含む。一対の長手方向に延在するものは、組織保持ピン作動システム(320)、閉鎖システム(322)、及び発射システム(324)を支持するステープラ(310)のフレーム構造体を画定するように協働する。各サイドプレート(340)は、近位フレーム部分(342)と、内側シャフト部分(344)と、遠位ジョー部分(46)と同様の遠位ジョー部分(図示せず)と、を含む。
【0057】
外科用ステープラ(310)は、並進可能なロックアウトプレート(362)と、左のサイドプレート(340)の近位フレーム部分(342)に移動可能に取り付けられた並進可能なロックアウトピン(370)と、を含む近位発射ロックアウト機構(360)と、近位フレーム部分(342)から外側に延在する一対の傾斜面(380)と、を含む。ロックアウトプレート(362)は、自由な上端(364)を有する細長い本体、下端に形成された細長いスロット(366)、及び上端部(364)と細長いスロット(366)との間に配設された一対の外向きに延在するショルダ(368)を備える細長い本体を有する。ロックアウトプレート(362)は、サイドプレート(340)の近位フレーム部分(342)に平行な平面内に延在し、並進する。ロックアウトピン(370)は、ロックアウトプレート(362)に対して横切るように延在し、ピンヘッド(372)と、ピンシャフト(374)と、を含む。ピンシャフト(374)は、ロックアウトプレート(362)の細長いスロット(366)及びサイドプレート(340)の近位フレーム部分(342)内に形成された対応する開口部(343)(
図19Bを参照)を通って、発射トリガ(338)に向かう方向に、横方向に延在する。ピンヘッド(372)は、細長いスロット(366)を取り囲むロックアウトプレート(362)の外側表面に摺動可能に当接するように構成されている。本変形例では、一対の傾斜面(380)は、サイドプレート(340)の近位フレーム部分(342)から横方向外側に突出し、細長いスロット(366)が配設されるロックアウトプレート(362)の下部のいずれかの側に位置付けられている。他の変形例では、傾斜面(380)は、ロックアウトプレート(362)の構造体、例えば細長いスロット(366)のいずれかの側に一体化されてもよい。
【0058】
図18A~
図19Bに関連して以下に記載するように、並進可能なロックアウトプレート(362)及び並進可能なロックアウトピン(370)は、傾斜面(380)と協働して、ピン(370)が発射トリガ(338)の作動を阻止するロックアウト状態とピン(370)が発射トリガ(338)の作動を可能にするバイパス状態との間で、ロックアウト機構(360)を移行させるように構成されている。ロックアウト状態とバイパス状態との間を移行する際、ロックアウトプレート(362)は、サイドプレート(340)に平行に延在する第1の軸に沿って並進するように構成され、ロックアウトピン(370)は、第1の軸に対して横切るように延在する横方向の軸に沿って並進するように構成されている。上述の発射ロックアウトレバー(140、290)と同様に、ロックアウトプレート(362)及びロックアウトピン(370)は、1つ又は2つ以上の弾性部材(図示せず)によってロックアウト状態に向かって弾性的に付勢される。
【0059】
図18A及び
図19Aは、ロックアウト機構(360)が、閉鎖トリガ(336)が完全に作動していない任意の状態にあるときに、維持するように構成されているロックアウト状態にある発射ロックアウト機構(360)を示す。その点に関し、発射ロックアウト機構(360)は、エンドエフェクタの完全な閉鎖まで、閉鎖トリガ(336)の部分的な作動及び結果として得られるエンドエフェクタの部分的閉鎖の全体にわたってロックアウト状態を維持するように構成されている。ロックアウト状態において、ロックアウトプレート(362)は上昇位置にあり、その結果、ロックアウトピン(370)が細長いスロット(366)の下端に配設される。したがって、
図19Aに示すように、ピン(370)は、ピンシャフト(374)が発射トリガ(338)の遠位突出部(339)の下面の下に位置付けられ、したがって、発射トリガ(338)が作動してエンドエフェクタを発射することを阻止する横方向内側位置を呈する。
【0060】
図18Bに示すように、エンドエフェクタを完全に閉鎖するための閉鎖トリガ(336)の完全な作動は、閉鎖トリガ(36)のノッチ(94)と同様に、閉鎖トリガ(336)の上部ノッチ(図示せず)を解放ボタン(350)の爪状ラグ(352)と回転位置合わせする。解放ボタンばね(356)によって提供される弾性付勢を介して、爪状ラグ(352)は、閉鎖トリガ(336)の上部ノッチ内に入り込み、閉鎖トリガ(336)を完全な作動位置にロックする。爪状ラグ(352)のこの下向きの運動は、遠位ラグ伸張部(354)をロックアウトプレート(362)の上端(364)に係合させ、したがって、ロックアウトプレート(362)を、サイドプレート(340)に沿って下向きかつ遠位に、下降プレート位置まで並進させる。ロックアウトピン(370)はロックアウトプレート(362)の並進軸に沿って固定されるため、ピン(370)は細長いスロット(366)の上側近位端に前進する。同時に、
図19Bで最も良く分かるように、プレートショルダ(368)は傾斜面(380)に沿って下向きかつ遠位に前進し、これによってロックアウトプレート(362)をサイドプレート(340)から横方向に離れるように駆動する。次に、ロックアウトプレート(362)は、ピンヘッド(372)を介して、ロックアウトピン(370)を発射トリガ(338)から横方向に引き離し、したがって、バイパス状態にあるロックアウト機構(360)を提供する。
図19Bに示すように、発射トリガ突起部(339)の下面からピンシャフト(374)が引き抜かれ、その結果、発射トリガ(338)がエンドエフェクタを発射するためにピストルグリップ(332)に向かって自由に作動する。
【0061】
操作者が解放ボタン(350)を作動させると、爪状ラグ(352)は閉鎖トリガ(336)の上部ノッチを係合解除し、したがって、閉鎖トリガ(336)が、エンドエフェクタから組織を解放するための非作動状態に枢動可能に戻ることを可能にする。同時に、ラグ伸張部(354)は、ロックアウトプレート(362)の上端(364)上でその下向きの力を解放する。弾性付勢を介して、ロックアウトプレート(362)は上向きに並進して上昇プレート位置に戻り、その結果、プレートショルダ(368)が傾斜面を係合解除し、したがって、ロックアウトプレート(362)が上昇位置を再び呈する際に、ロックアウトプレート(362)がサイドプレート(340)に向かって横方向に引き込まれることを可能にする。結果として、弾性付勢を介して、ロックアウトピン(370)は、スロット(366)及び開口部(343)を通って横方向内向きに並進して、発射トリガ突起部(339)を再係合し、したがってロックアウト機構(360)をロックアウト状態に戻す。
【0062】
B.発射バーを係合するように構成された発射ロックアウト機構
図20A~20Bは、上述のステープラ(10、310)と同様の直角直線状外科用ステープラであってもよい、別の例示的な外科用ステープラ(410)のハンドル組立体(412)の選択構成要素の部分を示す。ハンドル組立体(412)は、枢動可能な閉鎖トリガ(414)と、閉鎖トリガ(414)の遠位に配置された枢動可能な発射トリガ(416)と、解放ボタン(420)と、を含む。細長い発射バー(430)は、ハンドル組立体(412)から遠位に延在し、発射トリガ(416)によって遠位側に作動して、上述のエンドエフェクタ(16)と同様であってもよいステープラ(410)のエンドエフェクタ(図示せず)を発射するように構成されている。発射バー(430)の近位端は、以下に記載される発射ロックアウト機構(430)によって係合されるように構成された垂直スロット(432)を含む。発射バー(430)は、ステープルバー(60)と同様のステープルバー、ナイフバー(70)と同様のナイフバー、又はその両方を含んでもよい。
【0063】
外科用ステープラ(410)の発射ロックアウト機構(430)は、枢動可能なロックアウトレバーの形態で示される。ロックアウトレバー(440)は、近位端(442)と横方向の突出部(446)を有する遠位端(444)との間で長手方向に延在し、枢動ピン(448)によって画定される横方向の軸を中心に枢動するように構成されている。
図20A~20Bに示されるように、ロックアウトレバー(440)は、ロックアウトレバー(440)が発射バー(430)の作動を抑制するロックアウト状態と、ロックアウトレバー(440)が発射バー(430)の作動を可能にするバイパス状態との間で枢動するように構成されている。
【0064】
図20Aに示されるロックアウト状態では、遠位レバー端部(444)は下向きに位置付けられ、その結果、横方向の突出部(446)は、発射バー(430)の垂直スロット(432)内に受容される。横方向の突出部(446)と垂直スロット(432)との間のこの係合は、発射トリガ(416)による発射バー(430)の長手方向の作動及び結果として得られるエンドエフェクタの発射を抑制する。ロックアウトレバー(440)による発射バー(430)のそのような長手方向のロックは、発射トリガ(416)の作動を効果的に抑制することが理解されるであろう。したがって、発射バー(430)がステープルバーと、ナイフバーと、を含む変形例では、そのようなバーのいずれかがロックアウトレバー(440)によって係合されて、発射トリガ(416)の作動及び結果として得られるエンドエフェクタの発射を抑制することができる。ロックアウトレバー(440)は、伸張ばね(450)の形態で示される弾性部材によってロックアウト状態に向かって弾性的に付勢され、弾性部材は、ロックアウトレバー(440)の一部分に枢動ピン(448)の遠位に連結される。したがって、ロックアウトレバー(440)は、
図20Aに示すように、閉鎖トリガ(414)が非作動状態又は任意の部分的な作動状態にある間、ロックアウト状態を維持するように構成されている。
【0065】
図20Bに示すように、外科用ステープラ(410)のエンドエフェクタを完全に閉鎖するための閉鎖トリガ(414)の完全な作動は、閉鎖トリガ(414)の近位上部ノッチ(415)を解放ボタン(420)のロック爪(422)と回転位置合わせする。解放ボタンばね(図示せず)によって提供される弾力的な付勢の下で、ロック爪(422)は、ノッチ(415)内へと下方に入り込み、それによって閉鎖トリガ(414)を完全な作動状態でロックして、エンドエフェクタを完全な閉鎖状態に維持する。同時に、解放ボタン(420)の遠位伸張部(424)は、近位レバー端部(442)と係合して、近位レバー端部(442)を下方に駆動し、ロックアウトレバー(440)を枢動ピン(448)の周りで枢動させ、その結果、遠位レバー端部(444)が上昇し、それによって横方向の突出部(446)を発射バー(430)の垂直スロット(432)から係合解除する。したがって、発射バー(430)はここで、エンドエフェクタを発射するための発射トリガ(416)の作動に応答して、遠位に自由に並進する。エンドエフェクタの発射後、発射バー(430)は、
図20Aに示されるそのホーム位置まで近位に後退し、解放ボタン(420)は外科医によって押下され、ロック爪(422)を閉鎖トリガ(414)から係合解除し、したがって、閉鎖トリガ(414)が非作動位置に戻ることを可能にする。同時に、遠位伸張部(424)は近位レバー端部(442)を係合解除し、したがって、ロックアウトレバー(440)が反時計回りに枢動し、その結果、遠位レバー端部(444)が発射バー(430)と再係合してロックアウト状態を再確立する。
【0066】
III.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の権利放棄を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の継承者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴部のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される特徴部以外の更なる特徴部を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴部は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0067】
外科用ステープラであって、(a)本体と、(b)本体から遠位に延在するシャフト組立体と、(c)シャフト組立体の遠位端にあるエンドエフェクタであって、組織を受容するための開放状態と組織をクランプするための閉鎖状態との間で作動可能である、エンドエフェクタと、(d)エンドエフェクタと動作可能に連結された閉鎖システムであって、エンドエフェクタを開放状態から閉鎖状態に作動させるように動作可能である、閉鎖システムと、(e)エンドエフェクタと動作可能に連結された発射システムであって、エンドエフェクタを閉鎖状態で作動させて、クランプされた組織をステープル留めするように動作可能である、発射システムと、(f)発射システムと動作可能に連結された発射ロックアウト機構であって、発射ロックアウト機構が発射システムの作動を抑制するロックアウト状態と、発射ロックアウト機構が発射システムの作動を可能にするバイパス状態との間で移動可能である、発射ロックアウト機構と、を含み、発射ロックアウト機構は、エンドエフェクタが閉鎖状態を呈するまでロックアウト状態を維持するように構成され、発射ロックアウト機構は、エンドエフェクタが閉鎖状態を呈することに応答して、ロックアウト状態からバイパス状態に移行するように構成されている、外科用ステープラ。
【実施例2】
【0068】
発射ロックアウト機構が、ロックアウト状態に向かって弾性的に付勢されている、実施例1に記載の外科用ステープラ。
【実施例3】
【0069】
発射ロックアウト機構は、シャフト組立体の長手方向軸に対して横切るように延在する突起部を含み、突起部が、発射システムをロックアウト状態で係合し、それによって発射システムの作動を抑制するように構成されている、実施例1又は2に記載の外科用ステープラ。
【実施例4】
【0070】
発射ロックアウト機構は、エンドエフェクタを部分的に閉鎖するための閉鎖システムの部分的な作動全体にわたって、ロックアウト状態に静止したままであるように構成され、発射ロックアウト機構が、閉鎖状態にエンドエフェクタを配置するための閉鎖システムの完全な作動に応答して、バイパス状態に移動するように構成されている、実施例1~3のいずれか一項に記載の外科用ステープラ。
【実施例5】
【0071】
閉鎖システムと動作可能に連結された閉鎖ロック特徴部を更に含み、閉鎖ロック特徴部が、閉鎖システムを完全な作動状態に解放可能にロックして、エンドエフェクタを閉鎖状態に維持し、同時に、発射ロックアウト機構をロックアウト状態からバイパス状態に駆動するように動作可能である、実施例1~4のいずれか一項に記載の外科用ステープラ。
【実施例6】
【0072】
閉鎖ロック特徴部が、閉鎖システム及び発射ロックアウト機構と係合するように弾性的に付勢されている、実施例5に記載の外科用ステープラ。
【実施例7】
【0073】
閉鎖ロック特徴部が、発射ロックアウト機構の上端に接触するように位置付けられている、実施例5又は6に記載の外科用ステープラ。
【実施例8】
【0074】
閉鎖ロック特徴部と動作可能に連結された閉鎖解放特徴部を更に含み、ユーザー入力に応答して、閉鎖解放特徴部は、閉鎖ロック特徴部を作動させて閉鎖システムを係合解除し、それによって、エンドエフェクタが開放状態に戻ることを可能にし、同時に、発射ロックアウト機構がロックアウト状態に戻ることを可能にするように動作可能である、実施例5~7のいずれか一項に記載の外科用ステープラ。
【実施例9】
【0075】
発射ロックアウト機構が、ロックアウト状態とバイパス状態との間で枢動するように構成されたレバーを含む、実施例1~8のいずれか一項に記載の外科用ステープラ。
【実施例10】
【0076】
発射ロックアウト機構が、ロックアウト状態とバイパス状態との間で並進するように構成された並進部材を含む、実施例1~9のいずれか一項に記載の外科用ステープラ。
【実施例11】
【0077】
発射ロックアウト機構が、(i)第1の可動部材と、(ii)第1の可動部材と動作可能に連結された第2の可動部材と、を含み、第2の可動部材がロックアウト状態において発射システムを係合し、それによって発射システムの作動を抑制するように構成され、エンドエフェクタが閉鎖状態を呈することに応答して、第1の可動部材が、発射システムとの係合から外れるように第2の可動部材を駆動し、それによって、バイパス状態にある発射ロックアウト機構を提供するように構成されている、実施例1~10のいずれか一項に記載の外科用ステープラ。
【実施例12】
【0078】
第1の可動部材は、第1の軸に沿って並進するように構成され、第2の可動部材は、第1の軸に垂直な第2の軸に沿って並進するように構成されている、実施例11に記載の外科用ステープラ。
【実施例13】
【0079】
発射ロックアウト機構が傾斜面を更に含み、傾斜面は、エンドエフェクタが閉鎖状態を呈するときに、第1の可動部材の移動に応答して、第2の可動部材を発射システムから離れるように駆動するように構成されている、実施例11又は12に記載の外科用ステープラ。
【実施例14】
【0080】
第1の可動部材はプレートを含み、第2の可動部材がピンを含む、実施例11~13のいずれか一項に記載の外科用ステープラ。
【実施例15】
【0081】
閉鎖システムは、開放状態と閉鎖状態との間でエンドエフェクタを作動させるように動作可能な枢動可能な閉鎖トリガを含み、発射システムが、エンドエフェクタを作動させて、閉鎖状態にあるエンドエフェクタによってクランプされた組織内にステープルを発射するように動作可能な枢動可能な発射トリガを含み、発射ロックアウト機構は、ロックアウト状態において発射トリガの作動を抑制し、バイパス状態において発射トリガの作動を可能にするように動作可能である、実施例1~14のいずれか一項に記載の外科用ステープラ。
【実施例16】
【0082】
外科用ステープラであって、(a)本体と、(b)本体から遠位に延在するシャフト組立体と、(c)シャフト組立体の遠位端にあるエンドエフェクタであって、組織を受容するための開放状態と組織をクランプするための閉鎖状態との間で作動可能である、エンドエフェクタと、(d)エンドエフェクタと動作可能に連結された閉鎖システムであって、エンドエフェクタを開放状態から閉鎖状態に作動させるように動作可能である、閉鎖システムと、(e)閉鎖システムと動作可能に連結された閉鎖ロック特徴部であって、閉鎖システムを作動状態で解放可能にロックし、エンドエフェクタを閉鎖状態に維持するように動作可能である、閉鎖ロック特徴部と、(f)エンドエフェクタと動作可能に連結された発射システムであって、エンドエフェクタを閉鎖状態で作動させて、クランプされた組織をステープル留めするように動作可能である、発射システムと、(g)発射システム及び閉鎖ロック特徴部と動作可能に連結された発射ロックアウト機構であって、発射ロックアウト機構が発射システムの作動を抑制するロックアウト状態と、発射ロックアウト機構が発射システムの作動を可能にするバイパス状態との間で移動可能である、発射ロックアウト機構と、を含み、発射ロックアウト機構は、閉鎖ロック特徴部が閉鎖システムを作動状態でロックする際に、閉鎖ロック特徴部によってロックアウト状態からバイパス状態へと駆動されるように構成されている、外科用ステープラ。
【実施例17】
【0083】
閉鎖ロック特徴部は本体内に収容され、閉鎖ロック特徴部が、閉鎖システムを作動状態にロックしている間に、発射ロックアウト機構をバイパス状態に駆動するように構成されている、実施例16に記載の外科用ステープラ。
【実施例18】
【0084】
閉鎖ロック特徴部は、ユーザー入力に応答して閉鎖システムから係合解除可能であり、発射ロックアウト機構は、閉鎖システムからの閉鎖ロック特徴部の係合解除に応答して、バイパス状態からロックアウト状態へと移行するように構成されている、実施例16又は17に記載の外科用ステープラ。
【実施例19】
【0085】
外科用ステープラであって、(a)本体であって、本体フレーム構造体を含む、本体と、(b)本体から遠位に延在するシャフト組立体と、(c)シャフト組立体の遠位端にあるエンドエフェクタであって、組織を受容するための開放状態と組織をクランプするための閉鎖状態との間で作動可能である、エンドエフェクタと、(d)本体フレーム構造体によって支持され、エンドエフェクタと動作可能に連結された閉鎖システムであって、エンドエフェクタを開放状態から閉鎖状態に作動させるように動作可能である、閉鎖システムと、(e)本体フレーム構造体によって支持され、エンドエフェクタと動作可能に連結された発射システムであって、エンドエフェクタを閉鎖状態で作動させて、クランプされた組織をステープル留めするように動作可能である、発射システムと、(f)本体フレーム構造体に移動可能に連結された発射ロックアウト機構であって、発射ロックアウト機構が発射システムの作動を抑制する第1の位置と、発射ロックアウト機構が発射システムの作動を可能にする第2の位置との間で、本体フレーム構造体に対して移動可能であり、第1の位置に向かって弾性的に付勢されている、発射ロックアウト機構と、を含み、発射ロックアウト機構は、エンドエフェクタが閉鎖状態を呈することに応答して、第2の位置へと駆動され、それによって、発射システムの作動を可能にするように構成されている、外科用ステープラ。
【実施例20】
【0086】
閉鎖システムが、本体フレーム構造体によって支持される枢動可能な閉鎖トリガを含み、発射ロックアウト機構は、エンドエフェクタを部分的に閉鎖するための閉鎖トリガの部分的な作動全体にわたって、第1の位置に静止したままであるように構成され、発射ロックアウト機構が、閉鎖状態にエンドエフェクタを配置するための閉鎖トリガの完全な作動に応答して、第2の位置に移動するように構成されている、実施例19に記載の外科用ステープラ。
【0087】
IV.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。かかる改変及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0088】
更に、本明細書に記載された教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本願と同日出願の「Tissue Cutting Washer for Right Angle Surgical Stapler」と題する米国特許出願第[代理人参照番号END9086USNP1];本願と同日出願の「Cartridge Based Lockout Mechanism for Right Angle Surgical Stapler」と題する米国特許出願第[代理人参照番号END9088USNP1];及び、本願と同日出願の「Staple Retainer for Right Angle Surgical Stapler」と題する米国特許出願第[代理人参照番号END9090USNP1](その開示は参照により上記に組み込まれる)に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせてもよい。
【0089】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又はその他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0090】
上記の装置の変形例は、医療専門家により行われる従来の治療及び処置における用途のみではなく、ロボット支援された治療及び処置における用途をも有することができる。単に一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれ得る。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示を、以下のうちのいずれかの様々な教示と容易に組み合わせることができることを認識するであろう:1998年8月11日に発行され、「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題する米国特許第5,792,135号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)、2014年7月22日に発行され、「Robotically-Controlled Surgical End Effector System」と題する米国特許第8,783,541号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)、2013年7月9日に発行され、「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する米国特許第8,479,969号、2014年8月12日に発行され、「Robotically-Controlled Cable-Based Surgical End Effectors」と題する米国特許第8,800,838号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は2013年11月5日に発行され、「Robotically-Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題する米国特許第8,573,465号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0091】
上述の装置の変形例は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形例は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、装置のいくつかの変形例は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、装置のいくつかの変形例を、再調整用の施設において、又は処置の直前にユーザーによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組み立てのための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本発明の範囲内にある。
【0092】
単に一例として、本明細書に記載される変形例は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、装置上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次いで、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、装置を滅菌してもよい。
【0093】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。かかる可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0094】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ステープラであって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するシャフト組立体と、
(c)前記シャフト組立体の遠位端にあるエンドエフェクタであって、組織を受容するための開放状態と前記組織をクランプするための閉鎖状態との間で作動可能である、エンドエフェクタと、
(d)前記エンドエフェクタと動作可能に連結された閉鎖システムであって、前記エンドエフェクタを前記開放状態から前記閉鎖状態に作動させるように動作可能である、閉鎖システムと、
(e)前記エンドエフェクタと動作可能に連結された発射システムであって、前記エンドエフェクタを前記閉鎖状態で作動させて、クランプされた前記組織をステープル留めするように動作可能である、発射システムと、
(f)前記発射システムと動作可能に連結された発射ロックアウト機構であって、前記発射ロックアウト機構が前記発射システムの作動を抑制するロックアウト状態と、前記発射ロックアウト機構が前記発射システムの作動を可能にするバイパス状態との間で移動可能である、発射ロックアウト機構と、を含み、
前記発射ロックアウト機構は、前記エンドエフェクタが前記閉鎖状態を呈するまで前記ロックアウト状態を維持するように構成され、
前記発射ロックアウト機構は、前記エンドエフェクタが前記閉鎖状態を呈することに応答して、前記ロックアウト状態から前記バイパス状態に移行するように構成されている、外科用ステープラ。
(2) 前記発射ロックアウト機構が、前記ロックアウト状態に向かって弾性的に付勢されている、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(3) 前記発射ロックアウト機構は、前記シャフト組立体の長手方向軸に対して横切るように延在する突起部を含み、前記突起部が、前記発射システムを前記ロックアウト状態で係合し、それによって前記発射システムの作動を抑制するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(4) 前記発射ロックアウト機構は、前記エンドエフェクタを部分的に閉鎖するための前記閉鎖システムの部分的な作動全体にわたって、前記ロックアウト状態に静止したままであるように構成され、前記発射ロックアウト機構が、前記閉鎖状態に前記エンドエフェクタを配置するための前記閉鎖システムの完全な作動に応答して、前記バイパス状態に移動するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(5) 前記閉鎖システムと動作可能に連結された閉鎖ロック特徴部を更に含み、前記閉鎖ロック特徴部が、前記閉鎖システムを完全な作動状態に解放可能にロックして、前記エンドエフェクタを前記閉鎖状態に維持し、同時に、前記発射ロックアウト機構を前記ロックアウト状態から前記バイパス状態に駆動するように動作可能である、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
【0095】
(6) 前記閉鎖ロック特徴部が、前記閉鎖システム及び前記発射ロックアウト機構と係合するように弾性的に付勢されている、実施態様5に記載の外科用ステープラ。
(7) 前記閉鎖ロック特徴部が、前記発射ロックアウト機構の上端に接触するように位置付けられている、実施態様5に記載の外科用ステープラ。
(8) 前記閉鎖ロック特徴部と動作可能に連結された閉鎖解放特徴部を更に含み、ユーザー入力に応答して、前記閉鎖解放特徴部は、前記閉鎖ロック特徴部を作動させて前記閉鎖システムを係合解除し、それによって、前記エンドエフェクタが前記開放状態に戻ることを可能にし、同時に、前記発射ロックアウト機構が前記ロックアウト状態に戻ることを可能にするように動作可能である、実施態様5に記載の外科用ステープラ。
(9) 前記発射ロックアウト機構が、前記ロックアウト状態と前記バイパス状態との間で枢動するように構成されたレバーを含む、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(10) 前記発射ロックアウト機構が、前記ロックアウト状態と前記バイパス状態との間で並進するように構成された並進部材を含む、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
【0096】
(11) 前記発射ロックアウト機構が、
(i)第1の可動部材と、
(ii)前記第1の可動部材と動作可能に連結された第2の可動部材と、を含み、
前記第2の可動部材が、前記ロックアウト状態において前記発射システムを係合し、それによって前記発射システムの作動を抑制するように構成され、
前記エンドエフェクタが前記閉鎖状態を呈することに応答して、前記第1の可動部材が、前記発射システムとの係合から外れるように前記第2の可動部材を駆動し、それによって、前記バイパス状態にある前記発射ロックアウト機構を提供するように構成されている、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
(12) 前記第1の可動部材は、第1の軸に沿って並進するように構成され、前記第2の可動部材は、前記第1の軸に垂直な第2の軸に沿って並進するように構成されている、実施態様11に記載の外科用ステープラ。
(13) 前記発射ロックアウト機構が傾斜面を更に含み、前記傾斜面は、前記エンドエフェクタが前記閉鎖状態を呈するときに、前記第1の可動部材の移動に応答して、前記第2の可動部材を前記発射システムから離れるように駆動するように構成されている、実施態様11に記載の外科用ステープラ。
(14) 前記第1の可動部材はプレートを含み、前記第2の可動部材がピンを含む、実施態様11に記載の外科用ステープラ。
(15) 前記閉鎖システムは、前記開放状態と前記閉鎖状態との間で前記エンドエフェクタを作動させるように動作可能な枢動可能な閉鎖トリガを含み、前記発射システムが、前記エンドエフェクタを作動させて、前記閉鎖状態にある前記エンドエフェクタによってクランプされた組織内にステープルを発射するように動作可能な枢動可能な発射トリガを含み、前記発射ロックアウト機構は、前記ロックアウト状態において前記発射トリガの作動を抑制し、前記バイパス状態において前記発射トリガの作動を可能にするように動作可能である、実施態様1に記載の外科用ステープラ。
【0097】
(16) 外科用ステープラであって、
(a)本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するシャフト組立体と、
(c)前記シャフト組立体の遠位端にあるエンドエフェクタであって、組織を受容するための開放状態と前記組織をクランプするための閉鎖状態との間で作動可能である、エンドエフェクタと、
(d)前記エンドエフェクタと動作可能に連結された閉鎖システムであって、前記エンドエフェクタを前記開放状態から前記閉鎖状態に作動させるように動作可能である、閉鎖システムと、
(e)前記閉鎖システムと動作可能に連結された閉鎖ロック特徴部であって、前記閉鎖システムを作動状態で解放可能にロックし、前記エンドエフェクタを前記閉鎖状態に維持するように動作可能である、閉鎖ロック特徴部と、
(f)前記エンドエフェクタと動作可能に連結された発射システムであって、前記エンドエフェクタを前記閉鎖状態で作動させて、クランプされた前記組織をステープル留めするように動作可能である、発射システムと、
(g)前記発射システム及び前記閉鎖ロック特徴部と動作可能に連結された発射ロックアウト機構であって、前記発射ロックアウト機構が前記発射システムの作動を抑制するロックアウト状態と、前記発射ロックアウト機構が前記発射システムの作動を可能にするバイパス状態との間で移動可能である、発射ロックアウト機構と、を含み、
前記発射ロックアウト機構は、前記閉鎖ロック特徴部が前記閉鎖システムを前記作動状態でロックする際に、前記閉鎖ロック特徴部によって前記ロックアウト状態から前記バイパス状態へと駆動されるように構成されている、外科用ステープラ。
(17) 前記閉鎖ロック特徴部は前記本体内に収容され、前記閉鎖ロック特徴部が、前記閉鎖システムを前記作動状態にロックしている間に、前記発射ロックアウト機構を前記バイパス状態に駆動するように構成されている、実施態様16に記載の外科用ステープラ。
(18) 前記閉鎖ロック特徴部は、ユーザー入力に応答して前記閉鎖システムから係合解除可能であり、前記発射ロックアウト機構は、前記閉鎖システムからの前記閉鎖ロック特徴部の係合解除に応答して、前記バイパス状態から前記ロックアウト状態へと移行するように構成されている、実施態様16に記載の外科用ステープラ。
(19) 外科用ステープラであって、
(a)本体であって、本体フレーム構造体を含む、本体と、
(b)前記本体から遠位に延在するシャフト組立体と、
(c)前記シャフト組立体の遠位端にあるエンドエフェクタであって、組織を受容するための開放状態と前記組織をクランプするための閉鎖状態との間で作動可能である、エンドエフェクタと、
(d)前記本体フレーム構造体によって支持され、前記エンドエフェクタと動作可能に連結された閉鎖システムであって、前記エンドエフェクタを前記開放状態から前記閉鎖状態に作動させるように動作可能である、閉鎖システムと、
(e)前記本体フレーム構造体によって支持され、前記エンドエフェクタと動作可能に連結された発射システムであって、前記エンドエフェクタを前記閉鎖状態で作動させて、クランプされた前記組織をステープル留めするように動作可能である、発射システムと、
(f)前記本体フレーム構造体に移動可能に連結された発射ロックアウト機構であって、前記発射ロックアウト機構が前記発射システムの作動を抑制する第1の位置と、前記発射ロックアウト機構が前記発射システムの作動を可能にする第2の位置との間で、前記本体フレーム構造体に対して移動可能であり、前記第1の位置に向かって弾性的に付勢されている、発射ロックアウト機構と、を含み、
前記発射ロックアウト機構は、前記エンドエフェクタが前記閉鎖状態を呈することに応答して、前記第2の位置へと駆動され、それによって、前記発射システムの作動を可能にするように構成されている、外科用ステープラ。
(20) 前記閉鎖システムが、前記本体フレーム構造体によって支持される枢動可能な閉鎖トリガを含み、前記発射ロックアウト機構は、前記エンドエフェクタを部分的に閉鎖するための前記閉鎖トリガの部分的な作動全体にわたって、前記第1の位置に静止したままであるように構成され、前記発射ロックアウト機構が、前記閉鎖状態に前記エンドエフェクタを配置するための前記閉鎖トリガの完全な作動に応答して、前記第2の位置に移動するように構成されている、実施態様19に記載の外科用ステープラ。