(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】外科用ステープラカートリッジ用のステープルリテーナ
(51)【国際特許分類】
A61B 17/072 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
A61B17/072
(21)【出願番号】P 2021563290
(86)(22)【出願日】2020-04-14
(86)【国際出願番号】 IB2020053516
(87)【国際公開番号】W WO2020217137
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-02-27
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル・マコール・ケイ
(72)【発明者】
【氏名】バーバー・ダニエル・エル
【審査官】山口 賢一
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-193040(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0020732(US,A1)
【文献】特表2018-509243(JP,A)
【文献】特開2016-122104(JP,A)
【文献】特開2010-018740(JP,A)
【文献】特開2004-306748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/072
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科用ステープルカートリッジユニットとともに使用するためのステープルリテーナであって、
前記外科用ステープルカートリッジユニットは、アンビルと、デッキと、を備え、前記アンビルと前記デッキとの間にアパーチャが画定されている際に、前記デッキが前記アンビルに向かって、前記アパーチャを縮小しつつ直線状に移動して、前記アンビルと前記デッキとの間に組織をクランプし、その後、前記デッキ内に形成された開口部内に保持されているステープルを前記アンビルに向けて発射して、組織をステープル留めするようになっており、前記アンビルは、前記デッキの移動方向に対して垂直に延びるデッキ対向面を有し、前記デッキは、前記デッキの前記移動方向に対して垂直に延びるアンビル対向面を有し、
前記ステープルリテーナは、
(a)
前記デッキの前記移動方向に対する垂直方向において細長い第1の本体側
、前記デッキの前記移動方向に対する前記垂直方向において細長く、前記第1の本体側に対向する第2の本体側
、第1の本体端部、前記第1の本体端部に対向する第2の本体端部、前部本体側、及び、前記前部本体側に対向する後部本体側を有する略矩形形状で形成される本体であって、前記本体が、前記
外科用ステープルカートリッジユニットの
前記アンビルと
前記デッキとの間に画定された
前記アパーチャ内に位置付けられるように構成されており、これにより、前記第1の本体側が前記アンビル
の前記デッキ対向面と向かい合い、前記第2の本体側が前記デッキ
の前記アンビル対向面と向かい合うよう
に構成されている、本体と、
(b)前記第1の本体側に配設された第1の突出部であって、第1の位置で前記アンビルと接触するように構成されている、第1の突出部と、
(c)前記第1の本体側に配設された第2の突出部であって、前記第1の位置から離間された第2の位置で前記アンビルと接触するように構成されている、第2の突出部と、を備え、
前記ステープルリテーナが前記
外科用ステープルカートリッジユニットの前記アパーチャ内に位置付けられたことに応じて、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記第2の本体側に向かって弾性的に偏向するように構成されており、
前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記第2の本体側と協働して、前記アンビルと前記デッキとの間の所定の距離を維持するように構成されて
おり、
前記第1の本体側に連結された弾性的に偏向可能なビームを更に備え、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記ビーム上に配設されている、ステープルリテーナ。
【請求項2】
前記第1の突出部及び前記第2の突出部が
、前記デッキの前記移動方向に対する前記垂直方向において、互いに離間されている、請求項1に記載のステープルリテーナ。
【請求項3】
前記ステープルリテーナが接触面に沿って前記アンビルと接触するように構成されており、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が協働して前記接触面を画定する、請求項1に記載のステープルリテーナ。
【請求項4】
前記第1の突出部及び前記第2の突出部が、前記接触面が前記第2の本体側及び前記デッキに平行になるように前記アンビルを配向するように構成されている、請求項
3に記載のステープルリテーナ。
【請求項5】
外科用ステープルカートリッジユニットとともに使用するためのステープルリテーナであって、
前記外科用ステープルカートリッジユニットは、アンビルと、デッキと、を備え、前記アンビルと前記デッキとの間にアパーチャが画定されている際に、前記デッキが前記アンビルに向かって、前記アパーチャを縮小しつつ直線状に移動して、前記アンビルと前記デッキとの間に組織をクランプし、その後、前記デッキ内に形成された開口部内に保持されているステープルを前記アンビルに向けて発射して、組織をステープル留めするようになっており、前記アンビルは、前記デッキの移動方向に対して垂直に延びるデッキ対向面を有し、前記デッキは、前記デッキの前記移動方向に対して垂直に延びるアンビル対向面を有し、
前記ステープルリテーナは、
(a)
前記デッキの前記移動方向に対する垂直方向において細長い第1の本体側
、前記デッキの前記移動方向に対する前記垂直方向において細長く、前記第1の本体側に対向する第2の本体側
、第1の本体端部、前記第1の本体端部に対向する第2の本体端部、前部本体側、及び、前記前部本体側に対向する後部本体側を有する略矩形形状で形成される本体であって、前記本体が、前記
外科用ステープルカートリッジユニットの
前記アンビルと
前記デッキとの間に画定された
前記アパーチャ内に位置付けられるように構成されており、これにより、前記第1の本体側が前記アンビル
の前記デッキ対向面と向かい合い、前記第2の本体側が前記デッキ
の前記アンビル対向面と向かい合うよう
に構成されている、本体と、
(b)前記第1の本体側に配設された第1の突出部であって、第1の位置で前記アンビルと接触するように構成されている、第1の突出部と、
(c)前記第1の本体側に配設された第2の突出部であって、前記第1の位置から離間された第2の位置で前記アンビルと接触するように構成されている、第2の突出部と、を備え、
前記ステープルリテーナが前記
外科用ステープルカートリッジユニットの前記アパーチャ内に位置付けられたことに応じて、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記第2の本体側に向かって弾性的に偏向するように構成されており、
前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記第2の本体側と協働して、前記アンビルと前記デッキとの間の所定の距離を維持するように構成されて
おり、
前記ステープルリテーナは、更に、前記外科用ステープルカートリッジユニットと異なる第2の外科用ステープルカートリッジユニットとともに使用可能であり、
前記第2の外科用ステープルカートリッジユニットは、第2のアンビルと、第2のデッキと、を備え、前記第2のアンビルと前記第2のデッキとの間に第2のアパーチャが画定されている際に、前記第2のデッキが前記第2のアンビルに向かって、前記第2のアパーチャを縮小しつつ直線状に移動して、前記第2のアンビルと前記第2のデッキとの間に組織をクランプし、その後、前記第2のデッキ内に形成された第2の開口部内に保持されている第2のステープルを前記第2のアンビルに向けて発射して、組織をステープル留めするようになっており、前記第2のアンビルは、前記第2のデッキの移動方向に対して垂直に延びる第2のデッキ対向面を有し、前記第2のデッキは、前記第2のデッキの前記移動方向に対して垂直に延びる第2のアンビル対向面を有し、
前記ステープルリテーナが
前記外科用ステープルカートリッジユニットの
前記デッキの前記移動方向において第1の長さを有する前記アパーチャ内に位置付けられると、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記本体に対して
前記デッキの前記移動方向における第2の長さ分が偏向された状態を弾性的に呈するように構成されており、前記ステープルリテーナが
前記第2の
外科用ステープルカートリッジユニットの
前記第2のデッキの前記移動方向において第3の長さを有する前記第2のアパーチャ内に位置付けられると、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が、前記本体に対して
前記第2のデッキの前記移動方向における第4の長さ分が偏向された状態を弾性的に呈するように構成されており、
前記第1の長さおよび前記第3の長さが
互いに異なり、
前記第2の長さおよび前記第4の長さが互いに異なる、ステープルリテーナ。
【請求項6】
外科用ステープルカートリッジユニットとともに使用するためのステープルリテーナであって、
前記外科用ステープルカートリッジユニットは、アンビルと、デッキと、を備え、前記アンビルと前記デッキとの間にアパーチャが画定されている際に、前記デッキが前記アンビルに向かって、前記アパーチャを縮小しつつ直線状に移動して、前記アンビルと前記デッキとの間に組織をクランプし、その後、前記デッキ内に形成された開口部内に保持されているステープルを前記アンビルに向けて発射して、組織をステープル留めするようになっており、前記アンビルは、前記デッキの移動方向に対して垂直に延びるデッキ対向面を有し、前記デッキは、前記デッキの前記移動方向に対して垂直に延びるアンビル対向面を有し、
前記ステープルリテーナは、
(a)
前記デッキの前記移動方向に対する垂直方向において細長い第1の本体側
、前記デッキの前記移動方向に対する前記垂直方向において細長く、前記第1の本体側に対向する第2の本体側
、第1の本体端部、前記第1の本体端部に対向する第2の本体端部、前部本体側、及び、前記前部本体側に対向する後部本体側を有する略矩形形状で形成される本体であって、前記本体が、前記
外科用ステープルカートリッジユニットの
前記アンビルと
前記デッキとの間に画定された
前記アパーチャ内に位置付けられるように構成されており、これにより、前記第1の本体側が前記アンビル
の前記デッキ対向面と向かい合い、前記第2の本体側が前記デッキ
の前記アンビル対向面と向かい合うよう
に構成されている、本体と、
(b)前記第1の本体側に配設された第1の突出部であって、第1の位置で前記アンビルと接触するように構成されている、第1の突出部と、
(c)前記第1の本体側に配設された第2の突出部であって、前記第1の位置から離間された第2の位置で前記アンビルと接触するように構成されている、第2の突出部と、を備え、
前記ステープルリテーナが前記
外科用ステープルカートリッジユニットの前記アパーチャ内に位置付けられたことに応じて、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記第2の本体側に向かって弾性的に偏向するように構成されており、
前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記第2の本体側と協働して、前記アンビルと前記デッキとの間の所定の距離を維持するように構成されて
おり、
前記第1の本体側が
、前記デッキの前記移動方向に対する前記垂直方向において細長い開口部を含み、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記細長い開口部内に
おいて、前記デッキの前記移動方向に移動可能に配設されて
いる、ステープルリテーナ。
【請求項7】
前記外科用ステープルカートリッジユニットは、前記デッキの前記アンビルに向かった移動をガイドするガイドピンを備え、
前記ステープルリテーナが、前記本体に連結されたラッチ部材を更に備え、前記ラッチ部材がラッチ位置と解放位置との間で前記本体に対して移動可能であり、前記ラッチ位置で、前記ラッチ部材
の第1の部分および前記本体の第2部分が協同して前記ガイドピンを取り囲むことで前記
ガイドピンを捕捉し、それにより、前記
外科用ステープルカートリッジユニットに対して前記ステープルリテーナを拘束するように構成されており、前記解放位置で、
前記ラッチ部材の前記第1の部分が移動することで、前記ガイドピンは、前記ラッチ部材の前記第1の部分が移動すること生じた隙間から前記本体の前記第2部分の外側に出ることが可能となり、それにより、前記
外科用ステープルカートリッジユニットからの前記ステープルリテーナの分離を可能にするように構成されている、請求項1
、5、及び、6の何れか1項に記載のステープルリテーナ。
【請求項8】
前記第1の突出部及び前記第2の突出部が、前記本体に対する前記ラッチ部材の移動から独立して、前記本体に対して弾性的に偏向可能である、請求項
7に記載のステープルリテーナ。
【請求項9】
前記ラッチ部材が前記ラッチ位置に向かって弾性的に付勢されている、請求項
7に記載のステープルリテーナ。
【請求項10】
前記ラッチ部材の第1の端部が前記本体に対して固定されており、前記ラッチ部材の
前記第1の部分が前記ラッチ位置と前記解放位置との間で
前記デッキの前記移動方向に対する前記垂直方向において前記本体に対して並進可能である、請求項
7に記載のステープルリテーナ。
【請求項11】
前記ラッチ部材の前記第1の部分はジョー
であり、前記ジョーが前記ラッチ位置と前記解放位置との間で前記本体に対して
前記デッキの前記移動方向に対する前記垂直方向において並進可能である、請求項
7に記載のステープルリテーナ。
【請求項12】
前記本体が、前記ステープルリテーナが前記
外科用ステープルカートリッジユニットの前記アパーチャ内に位置付けられると前記
外科用ステープルカートリッジユニットの前記
ガイドピンを受容するように構成され
、前記本体の前記第2部分により形成されるスロットを含み、前記ジョーが、前記
ガイドピンが前記スロット内に配設されると前記
ガイドピンを解放可能に捕捉するように構成されている、請求項
11に記載のステープルリテーナ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
外科用ステープラのいくつかは、1つ又は2つ以上の患者の組織層をクランプし、組織層を通してステープルを形成して、形成されたステープルの付近の組織層同士を実質的に封止し、クランプされた組織層を切断して、作動的に封止された組織の切断端を形成するように動作可能である。例示的なステープル留め器具は、一対の協働する細長いジョー部材を含み、各ジョー部材が患者に挿入され、ステープル留めされる組織に対して位置付けられるように適合される。ジョー部材のうちの一方は、横方向の間隔を有して離間された少なくとも2列のステープルを中に収容したステープルカートリッジを支持し、他方のジョー部材は、ステープルカートリッジ内のステープル列と位置合わせするように構成されているステープル形成ポケットを有するアンビルを支持する。一般に、ステープル留め器具は、ジョー部材に対して作動可能な1つ又は2つ以上の押し込みバーを更に含み、この押し込みバーは、ジョー部材間にクランプされた組織を通しステープルカートリッジからステープルを駆動し、かつ形成用アンビルに対してステープルを駆動し、また、クランプされた組織を通してナイフ部材を駆動し、それによって、ステープル留めと同時に又はステープル留めの後に組織を切断する。このようにして、ステープル留め器具は、クランプされた組織内に、変形したステープルの複数の横方向に離間された列を形成するように動作可能であり、このような列は、直線状の列及び/又は円弧状の列を含んでもよい。ナイフブレードは、クランプされた組織内に形成されたステープルの隣接する列の間に延在する直線状又は円弧状の経路に沿って組織を切断することができる。
【0002】
あくまで例示の外科用ステープラが、1997年2月25日に発行された「Trigger Mechanism for Surgical Instruments」と題する米国特許第5,605,272号;1997年12月16日に発行された「Linear Stapler with Improved Firing Stroke」と題する米国特許第5,697,543号;2006年1月24日に発行された「Retaining Pin Lever Advancement Mechanism for a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第6,988,650号;2006年11月14日に発行された「Knife Retraction Arm for a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第7,134,587号;2006年12月12日に発行された「Closure Plate Lockout for a Curved Cutter Stapler」 と題する米国特許第7,147,139号、2006年12月12日に発行された「Cartridge Retainer for a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第7,147,140号;2007年4月17日に発行された「Slotted Pins Guiding Knife in a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第7,204,404号;2007年4月24日に発行された「Cartridge with Locking Knife for a Curved Cutter Stapler」と題する米国特許第7,207,472号;及び2018年8月14に発行された「Method of Applying Staples in Lower Anterior Bowel Resection」と題する米国特許第10,045,780号に開示されている。上に引用した米国特許及び米国特許出願公開のそれぞれの本開示内容を参照により本明細書に援用するものとする。
【0003】
様々な種類の外科用ステープル留め器具及び関連構成要素が作製され使用されてきたが、本発明者ら以前には、添付の特許請求の範囲に記載されている発明を誰も作製又は使用したことがないものと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0004】
本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、上記の本発明の一般的な説明、及び以下の実施形態の詳細な説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たすものである。
【
図1A】組織保持ピン作動システムが格納位置にあり、エンドエフェクタが開放状態であることを示す、ハンドルアセンブリと、シャフトアセンブリと、エンドエフェクタと、を有する例示的な外科用ステープラの斜視図である。
【
図1B】エンドエフェクタが開放状態に留まっている間、組織保持ピン作動システムが伸張位置にあることを示す、
図1Aの外科用ステープラの斜視図である。
【
図1C】組織保持ピン作動システムが伸張位置に留まっている間、エンドエフェクタが閉鎖システムの作動を介して閉鎖状態にあることを示す、
図1Aの外科用ステープラの斜視図である。
【
図1D】組織保持ピン作動システムが伸張位置に留まっている間、エンドエフェクタによって捕捉された組織のステープル留め及び切断を行うために、エンドエフェクタが発射システムの作動を介して発射状態にあることを示す、
図1Aの外科用ステープラの斜視図である。
【
図2】
図1Aの外科用ステープラの部分分解斜視図である。
【
図3】閉鎖システムの閉鎖バー、発射システムのステープルバー、及び発射システムのナイフバーを含む、
図1Aの外科用ステープラのシャフトアセンブリの作動可能な構成要素の分解斜視図である。
【
図4A】閉鎖システム及び発射システムが非作動状態にある間、組織を保持するために組織保持ピン作動システムが伸張位置にあることを示す、明瞭さのために様々な構成要素が省略された、
図1Aの外科用ステープラのハンドルアセンブリの側面図である。
【
図4B】閉鎖トリガを介してエンドエフェクタを閉鎖するように作動し、それによって組織をクランプする閉鎖システムを示す、明瞭さのために様々な構成要素が省略された、
図1Aの外科用ステープラのハンドルアセンブリの側面図である。
【
図4C】エンドエフェクタが閉鎖状態に留まっている間、発射トリガを介してエンドエフェクタを発射し、それによって組織をステープル留め及び切断する発射システムを示す、明瞭さのために様々な構成要素が省略された、
図1Aの外科用ステープラのハンドルアセンブリの側面図である。
【
図5】エンドエフェクタの遠位支持構造体から分離されたエンドエフェクタのステープルカートリッジユニットを示す、
図1Aの外科用ステープラの斜視図である。
【
図6】
図1Aの外科用ステープラのステープルカートリッジユニットの遠位左側の斜視図である。
【
図7】
図1Aの外科用ステープラのステープルカートリッジユニットの近位右側の斜視図である。
【
図8】
図1Aの外科用ステープラのステープルカートリッジユニットの分解斜視図である。
【
図9A】ステープルカートリッジユニットが遠位支持構造体から欠落しているときに、エンドエフェクタのロックアウト部材がロックアウト位置にある状態を示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの側面図である。
【
図9B】未使用のステープルカートリッジユニットが遠位支持構造体内に着座しているときに、ロックアウト部材がバイパス位置にある状態を示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの側面図である。
【
図10】ステープルカートリッジユニットを遠位支持構造体内に挿入した後の、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの遠位部分の側面図である。
【
図11】ステープルカートリッジユニットの組織切断ワッシャと遠位支持構造体との相互作用を示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの遠位部分の断面図である。
【
図12A】エンドエフェクタが開放状態にある間、組織保持ピンが格納位置にあることを示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの側面断面図である。
【
図12B】エンドエフェクタが開放状態に留まっている間、組織保持ピンが伸張状態で組織を保持することを示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの側面断面図である。
【
図12C】組織保持ピンが伸張状態に留まっている間、エンドエフェクタを閉鎖状態に作動して組織をクランプすることを示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの側面断面図である。
【
図12D】閉鎖状態に留まっている間、エンドエフェクタを更に発射状態に作動して組織をステープル留め及び切断することを示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの側面断面図である。
【
図13】
図1Aの外科用ステープラのステープルカートリッジユニットとともに使用するように構成された例示的なステープルリテーナの正面斜視図である。
【
図15】ステープルリテーナの本体から分離されたラッチ部材を示す、
図13のステープルリテーナの分解正面斜視図である。
【
図16A】リテーナ本体に対して例示的なラッチ位置にあるラッチ部材を示す、
図13のステープルリテーナの上面断面図である。
【
図16B】リテーナ本体に対して例示的な解放位置にあるラッチ部材を示す、
図13のステープルリテーナの別の上面断面図である。
【
図17A】第1の例示的なステープルカートリッジユニットのアパーチャ内に取り付けられた
図13のステープルリテーナの略立面図である。
【
図17B】第2の例示的なステープルカートリッジユニットのアパーチャ内に取り付けられた
図13のステープルリテーナの略立面図である。
【
図18】例示的なカートリッジハウジングのスロットと係合したステープルリテーナの保持脚部を示す、
図13のステープルリテーナの端部の拡大斜視図である。
【
図19】保持脚部とスロットの端壁との間の接触によって画定される枢動点を示す、
図13のステープルリテーナの嵌合端部及び
図18のカートリッジハウジングの嵌合端部の上面断面図である。
【
図20A】ステープルリテーナがステープルカートリッジユニット内のステープルを保持し、ラッチ部材がステープルカートリッジユニットのガイドピンを捕捉する着座位置にある状態のステープルリテーナを示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの拡大側面図である。
【
図20B】ステープルリテーナの特徴部にユーザが印加した力が作用して、ステープルリテーナの端部をステープルカートリッジユニットから離れるように枢動させ、それによってラッチ部材をガイドピンから係合解除することを示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの別の拡大側面図である。
【
図20C】ユーザが印加した力に応じて、ステープルリテーナの端部が係合解除されてステープルカートリッジユニットから離れるように枢動している状態を示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの斜視図である。
【
図20D】ステープルリテーナがステープルカートリッジユニットから完全に取り外された状態を示す、
図1Aの外科用ステープラのエンドエフェクタの別の斜視図である。
【0005】
図面は、いかなる方式でも限定することを意図しておらず、本発明の様々な実施形態は、図面に必ずしも描写されていないものを含め、他の様々な方式で実施し得ることが企図される。本明細書に組み込まれ、かつその一部をなす添付図面は、本発明のいくつかの態様を例示するものであり、説明とともに本発明の原理を説明する役割を果たすものである。しかしながら、本発明が、示される正確な配置に限定されない点は理解される。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の特定の実施例の以下の説明文は、本発明の範囲を限定する目的で用いられるべきではない。本発明の他の実施例、特徴部、態様、実施形態、及び利点は、本発明を実施するために想到される最良の形態の1つを実例として示す以下の説明文より、当業者には明らかとなろう。理解されるように、本発明は、いずれも本発明から逸脱することなく、他の異なるかつ明白な態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的な性質のものではなく、例示的な性質のものとみなされるべきである。
【0007】
本開示の明瞭さのために、「近位」及び「遠位」という用語は、遠位外科用エンドエフェクタを有する外科用器具を握持する外科医又は他の操作者に対して本明細書で定義される。「近位」という用語は、外科医のより近くに配置された要素の位置を指し、「遠位」という用語は、外科用器具の外科用エンドエフェクタのより近くにかつ外科医からより遠くに配置された要素の位置を指す。また、図面を参照して「上」、「下」、「上側」、「下側」、「垂直」、「水平」、「左」、「右」などの空間的用語が本明細書で使用される限り、このような用語は例示的な記述目的にのみ使用されて、限定も絶対も意図していないことが理解されるであろう。その点において、本明細書に開示されるものなどの外科用器具を、本明細書で図示及び記載するものに限定されない様々な向き及び位置で使用してもよいことが理解される。
【0008】
本明細書で使用されるとき、任意の数値、又は数値の範囲に関連する「約」、「ほぼ」などの用語は、参照される正確な値、並びに参照される特徴、又は特徴の組み合わせが、本明細書に記載されている意図された目的のために機能することができる適切な寸法の許容誤差を包含することが意図されている。
【0009】
I.例示の直角外科用ステープラの概説
図1Aは、例えば、結腸直腸、胸郭、及び肥満症の処置を含む様々な非内視鏡(「開放」)外科的処置において組織をステープル留め及び切断するように構成された例示的な直角直線状外科用ステープラ(10)を示す。直角直線状外科用ステープラ(10)(「直角直線状カッター」とも呼ばれる)は、一般に、ハンドルアセンブリ(12)と、ハンドルアセンブリ(12)から遠位に延在するシャフトアセンブリ(14)と、シャフトアセンブリ(14)の遠位端にあるエンドエフェクタ(16)と、を含む。以下に記載するように、エンドエフェクタ(16)は、エンドエフェクタ(16)がシャフトアセンブリ(14)によって画定される長手方向軸線に対して直角に横切るように延在する平面内の組織をクランプし、ステープル留めし、かつ切断するように、「直角」構成が設けられている。
【0010】
以下により詳細に記載するように、外科用ステープラ(10)は、患者に対する外科的処置の間にハンドルアセンブリ(12)を介してエンドエフェクタ(16)を操作するための複数の作動システムを含む。具体的には、外科用ステープラ(10)は、エンドエフェクタ(16)内に組織を最初に保持するように動作可能な組織保持ピン作動システム(20)と、エンドエフェクタ(16)を用いて組織をクランプするように動作可能な閉鎖システム(22)と、その後に、エンドエフェクタ(16)を用いて組織をステープル留め及び切断するように動作可能な発射システム(24)と、を含む。
【0011】
本明細書の教示は、直線状のステープル列及び組織内の直線状切断線を適用するように構成された「直線状」外科用ステープラ(10)の文脈で示され記載されているが、本明細書の教示のうちの任意の1つ又は2つ以上が、本明細書に参考として組み込まれた参考文献のうちの任意の1つ又は2つ以上に開示されたタイプの外科用ステープラのように、非直線状の(例えば、湾曲した)構成でステープル列及び組織の切断線を適用するように構成された外科用ステープラに適用されてもよいことが理解されるであろう。
【0012】
A.外科用ステープラのハンドルアセンブリ及びシャフトアセンブリ
図1Aに示すように、ハンドルアセンブリ(12)は、ピストルグリップ(32)を画定するハウジング(30)と、ハンドルハウジング(30)の上部に摺動可能に配設されたサドル形状の摺動部(34)と、枢動可能な閉鎖トリガ(36)と、枢動可能な発射トリガ(38)と、を含む。閉鎖トリガ(36)及び発射トリガ(38)は、シャフトアセンブリ(14)を介してエンドエフェクタ(16)と動作可能に連結され、それにより、エンドエフェクタ(16)は、閉鎖トリガ36)の作動に応じて閉鎖し、かつそれによって組織をクランプし、その後、発射トリガ(38)の作動に応じて組織をステープル留めしかつ切断する(すなわち、「発射する」)ように構成されている。
図1Aは、エンドエフェクタ(16)が、カートリッジハウジング(162)と、エンドエフェクタ(16)内に取り付けられた(又は「リロードされた」)交換可能なステープルカートリッジユニット(160)のアンビル(210)との間に画定された間隙(G)(又は「アパーチャ」)内に横方向に組織を受容するように構成されるように、非作動構成にある摺動部(34)及び閉鎖トリガ(36)を示す。
図1Bに示すように、摺動部(34)をエンドエフェクタ(16)に向かって遠位に並進させることにより、ステープルカートリッジユニット(160)の組織保持ピン(176)が遠位に延在して、アンビル(210)とカートリッジハウジング(162)との間に組織を捕捉する。
図1Cに示すように、続いて閉鎖トリガ(36)をピストルグリップ(32)に向かって作動させると、カートリッジハウジング(162)がアンビル(210)に向かって遠位に駆動され、それによって組織がその間にクランプされる。
図1Dに示すように、続いて、ピストルグリップ(32)に向かって発射トリガ(38)を作動させると、クランプされた組織内にステープルが遠位に駆動され、また、以下でより詳細に記載するように、ナイフ部材(194)(
図8参照)を用いて、形成されたステープルラインの間で組織が切断される。
【0013】
図2に示すように、外科用ステープラ(10)は、組織保持ピン作動システム(20)、閉鎖システム(22)、及び発射システム(24)を支持するステープラ(10)のフレーム構造体を画定するために協働する一対の長手方向に延在するサイドプレート(40)を含む。各サイドプレート(40)は、ハンドルハウジング(30)内に収容された近位フレーム部分(42)と、シャフトアセンブリ(14)のそれぞれの外側の横方向の側面を画定する中間シャフト部分(44)と、上方に延在する遠位フック(47)を有する遠位ジョー部分(46)と、を含む。遠位ジョー部分(46)は、以下に記載される閉鎖バー(50)の遠位端と協働して、ステープルカートリッジユニット(160)を取り外し可能に受容するエンドエフェクタ(16)のU字型遠位支持構造体(48)を画定する。本明細書で使用するとき、用語「U字型」は、本明細書に示される側面図のいずれかにおいて、エンドエフェクタ(16)によって提示される形状を指す。
【0014】
図3に示すように、サイドプレート(40)の間に摺動可能に配設され、かつサイドプレート(40)によって支持されているのは、ハンドルアセンブリ(12)とステープルカートリッジユニット(160)とを作動的に連結する、作動システム(20、22、24)の細長い作動可能な構成要素であり、閉鎖バー(50)、ステープルバー(60)、及びナイフバー(70)を含む。閉鎖バー(50)は、ステープルカートリッジユニット(160)を受容して支持するように構成されたカートリッジ受容遠位部分(52)を含む。閉鎖バー(50)及びステープルバー(60)は各々、互いに離間した第1及び第2の横方向の側面と、それらの間に長手方向に延在する内側チャネルと、を有する両面構造体として構成される。この構成により、ナイフバー(70)がステープルバー(60)の長手方向の内側チャネル内に入れ子式でかつ摺動可能に配設され、ステープルバー(60)も同様にして閉鎖バー(50)の長手方向の内側チャネル内に入れ子式でかつ摺動可能に配設される、シャフトアセンブリ(14)の配置が可能になる。更に、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)は、エンドエフェクタ(16)の独立した閉鎖及び発射を可能にする長手方向運動の範囲にわたって閉鎖バー(50)とは独立して長手方向に並進可能である。以下により詳細に記載するように、閉鎖バー(50)は、閉鎖トリガ(36)の作動に応じて組織をクランプするために、アンビル(210)に対して長手方向にカートリッジハウジング(162)を作動させるように動作可能である。ステープルバー(60)は、クランプされた組織をステープル留めするために、ステープルドライバ部材(186)(
図8参照)をカートリッジハウジング(162)に対して長手方向に作動させるように動作可能である。ナイフバー(70)は、クランプされた組織を切断するために、ナイフ部材(194)(
図8参照)をカートリッジハウジング(162)及びステープルドライバ部材(186)に対して長手方向に作動させるように動作可能である。
【0015】
外科用ステープラ(10)の組織保持ピン作動システム(20)は、ハンドルアセンブリ(12)の摺動部(34)と、ステープルカートリッジユニット(160)の組織保持ピン(176)と、シャフトアセンブリ(14)の上側に沿って長手方向に延在する細長い押棒(80)と、ハンドルアセンブリ(12)内に摺動可能に配設された押棒ドライバ(82)と、を含む。押棒(80)の遠位端は、ステープルカートリッジユニット(160)をエンドエフェクタ(16)の遠位支持構造体(48)に挿入すると、組織保持ピン(176)と解放可能に連結するように構成されている。押棒(80)の近位端は、押棒ドライバ(82)と連結され、これは摺動部(34)と連結される。したがって、近位位置と遠位位置との間で摺動部(34)を長手方向に並進させることにより、格納位置と伸張位置との間でのカートリッジハウジング(162)に対する組織保持ピン(176)の長手方向の並進が駆動される。
図1Aに示すように、組織保持ピン(176)は、摺動部(34)が近位位置にあるときに、保持ピン(176)がカートリッジハウジング(162)内に収容される格納位置を呈するように構成されている。
図1Bに示すように、組織保持ピン(176)は、摺動部(34)が遠位位置に進んだときに、保持ピン(176)の遠位端がアンビル(210)に係合し、それによって、ステープルカートリッジユニット(160)の間隙(G)内に配置された組織を保持する、伸張位置を呈するように構成される。
【0016】
外科用ステープラ(10)の閉鎖システム(22)は、ハンドルアセンブリ(12)の閉鎖トリガ(36)及び閉鎖バー(50)を含む。
図2及び
図4A~
図4Cに示すように、閉鎖トリガ(36)は、一対の横方向に延在するポスト(90)を中心としてハンドルハウジング(30)と枢動可能に連結される。垂直方向にスロット付きの遠位部分を有する閉鎖トリガ(36)の上部アーム(92)は、一対の閉鎖リンク(96)によって閉鎖バー(50)の近位端と動作可能に連結される。各閉鎖リンク(96)の近位端は、閉鎖トリガ上部アーム(92)の横方向に延在するポスト(93)と枢動可能に連結される。各閉鎖リンク(96)の遠位端は、閉鎖バー(50)の横方向に延在するポスト(54)を中心として閉鎖バー(50)の近位端と枢動可能に連結される。
【0017】
図4A~
図4Bに示すように、ピストルグリップ(32)に向かって閉鎖トリガ(36)を枢動させることにより、閉鎖トリガ上部アーム(92)が遠位かつ下方に前進し、それによって閉鎖リンク(96)を介して閉鎖バー(50)が遠位に駆動される。次いで、閉鎖バー(50)のカートリッジ受容遠位部分(52)は、カートリッジハウジング(162)をアンビル(210)に向かって遠位に駆動する。このようにして、エンドエフェクタ(16)は、組織がエンドエフェクタ(16)内に位置付け可能である開放状態(
図1A~
図1B)から、組織がカートリッジハウジング(162)とアンビル(210)との間にクランプされる閉鎖状態(
図1C)へと作動される。ハンドルアセンブリ(12)のピストルグリップ(32)内に収容された閉鎖戻りばね(98)は、閉鎖トリガ(36)を非作動状態に向かって弾性的に付勢し、それにより、エンドエフェクタ(16)を開放状態に向かって弾性的に付勢する。
【0018】
本変形例では、閉鎖バー(50)は、操作者が閉鎖トリガ(36)を握ったときに、組織保持ピン作動システム(20)と協働して、保持ピン(176)をその伸張位置まで遠位に自動的に作動させるように更に構成されている。これに関して、
図4A~
図4Bに最もよく示すように、ハンドルアセンブリ(12)は、閉鎖リンク(96)の外側に沿って回転可能に配設された一対のカムヨーク(100)を更に含む。各カムヨーク(100)は、閉鎖バー(50)のそれぞれの近位ポスト(54)を摺動可能に受容する角度付きスロット(102)を含む。閉鎖トリガ(36)がピストルグリップ(32)に向かって作動すると、近位ポスト(54)は、カムヨーク(100)を遠位に回転可能に駆動させて、ヨーク(100)のカムローブ(104)が押棒ドライバ(82)の対応するサイドポスト(84)と係合し、それによって押棒(80)、ひいては組織保持ピン(176)を遠位に作動させる。エンドエフェクタ(16)の閉鎖中の組織保持ピン(176)のこのような自動伸張は、操作者が閉鎖トリガ(36)を作動させる前に摺動部(34)を介して保持ピン(176)を遠位に手動で作動させない場合に有用であり得る。
【0019】
本実施例の閉鎖システム(22)は、閉鎖トリガ(36)を作動位置で解放可能にロックして、閉鎖トリガ(36)を継続的に握ることなく、エンドエフェクタ(16)を用いて組織の効果なクランプを提供できるように更に構成されている。
図4A~
図4Bに最もよく示すように、解放ボタン(110)は、ハンドルアセンブリ(12)の近位端に枢動可能に配設される。ロック爪(112)は、解放ボタン(110)の上端から遠位に延在し、解放ボタンばね(116)を介して、閉鎖トリガ上部アーム(92)の上端と接触するように弾性的に付勢されている爪状ラグ(114)を含む。したがって、閉鎖トリガ(36)がピストルグリップ(32)に向かって握られると、爪状ラグ(114)は、閉鎖トリガ上部アーム(92)の上面に沿って摺動するように構成されている。
図4Bに示すように、閉鎖トリガ(36)が完全作動位置に到達すると、爪状ラグ(114)は、閉鎖トリガ上部アーム(92)の近位上部ノッチ(94)内に入り込み、それによって閉鎖トリガ(36)を完全作動位置にロックする。操作者がエンドエフェクタ(16)を再開放することを望む場合、例えば、エンドエフェクタ(16)内に組織を再配置するか、又は発射が完了した後に組織を解放するために、操作者は解放ボタン(110)を押下して、爪状ラグ(114)を閉鎖トリガ(36)から係合解除することができる。閉鎖復帰ばね(98)によって提供される弾性的な付勢によって、閉鎖トリガ(36)は、その後非作動状態に戻り、エンドエフェクタ(16)は、
図1A及び
図4Aに示される開放状態に戻る。
【0020】
外科用ステープラ(10)の発射システム(24)は、ハンドルアセンブリ(12)の発射トリガ(38)、ステープルバー(60)、ナイフバー(70)、及びステープルカートリッジユニット(160)のステープルドライバ部材(186)及びナイフ部材(194)を含む。ナイフバー(70)及びステープルドライバ部材(186)の特徴部は、
図8に関連して以下でより詳細に記載される。
図2及び
図4Aに示すように、本実施例の発射トリガ(38)は、ハンドルハウジング(30)から下方に延在し、操作者によって係合可能である下部シュラウド(120)と、下部シュラウド(120)から上方かつ遠位に延在し、ハンドルハウジング(30)とともに位置付けられる円弧状上部アーム(122)を有する一対のプレートと、円弧状上部アーム(122)の自由な遠位上端の間で横方向に延在する回転可能なカムピン(124)と、ハンドルハウジング(30)内の円弧状上部アーム(122)の下端から遠位に延在する発射ロックアウト突起部(126)と、を有するアセンブリとして構成される。発射トリガ(38)のカムピン(124)及び他の特徴部は、本願と同日出願の「Cartridge Based Lockout Mechanism for Right Angle Surgical Stapler」と題する米国特許出願第号[代理人参照番号END9088USNP1](その開示は参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部に従って構成されかつ動作可能であり得る。
【0021】
発射トリガ(38)は、横方向に延在する枢動ピン(128)を介してハンドルハウジング(30)と枢動可能に連結されている。加えて、発射トリガ(38)は、閉鎖トリガ(36)がピストルグリップ(32)に向かって作動する際に、発射トリガ(38)の円弧状上部アーム(122)が閉鎖トリガ上部アーム(92)のスロット付き遠位部分内に受容されるように、閉鎖トリガ(36)の遠位に位置付けられる。
図4A~
図4Bに示すように、操作者が閉鎖トリガ(36)をピストルグリップ(32)に向かって完全に握ると、閉鎖トリガ上部アーム(92)の遠位スロット付き部分内に配設された遠位に面するレッジ(95)が、発射トリガ(38)のカムピン(124)と係合し、カムピン(124)を初期量だけ遠位に駆動する。これにより、
図4Bに示すように、発射トリガ(38)の下端は、閉鎖トリガ(36)と同時にピストルグリップ(32)に向かって部分的に枢動する。
【0022】
図4Cに示すように、エンドエフェクタ(16)が完全な閉鎖状態に達した後に、発射トリガ(38)をピストルグリップ(32)に向かって更に作動させると、エンドエフェクタ(16)は「発射する」ように動作する。具体的には、カムピン(124)の外側部分は、ステープルバー(60)の近位縁部(62)に係合し、ひいてはステープルバー(60)を閉鎖バー(50)に対して遠位に駆動する。
図12A~
図12Dに関連して以下でより詳細に記載するように、ステープルバー(60)の遠位縁部(64)は、ステープルカートリッジハウジング(162)内のステープルドライバ部材(186)の近位端に係合し、それにより、ステープルドライバ部材(186)がステープルカートリッジハウジング(162)を通って遠位に駆動し、エンドエフェクタ(16)によってクランプされた組織内にステープルを駆動する。発射トリガ(38)がその完全作動状態に向かって作動すると、発射トリガ(38)の円弧状上部アーム(122)間に配置されたカムピン(124)の中間部分が、ナイフバー(70)の丸みを帯びた近位縁部(72)に係合し、それにより、ナイフバー(70)を閉鎖バー(50)に対して遠位に駆動させる。
図12A~
図12Dに関連して以下でより詳細に記載するように、ナイフバー(70)の遠位縁部(74)は、ステープルカートリッジハウジング(162)内のナイフ部材(194)の近位端に係合し、それにより、ナイフ部材(194)がステープルドライバ部材(186)を通って遠位に駆動し、エンドエフェクタ(16)によってクランプされた組織を切断する。
【0023】
本実施例の発射システム(24)は、発射トリガ(38)がピストルグリップ(32)に向かって最初の運動範囲を通して作動されるときに、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)がともに遠位に並進し、かつ発射トリガ(38)がピストルグリップ(32)に向かって最終の運動範囲を通して更に作動されるとき、ナイフバー(70)がステープルバー(60)に対して遠位に並進し続けるように好適に構成されている。有利なことに、このような構成は、エンドエフェクタ(16)によってクランプされた組織が完全にステープル留めされること、及び、組織がナイフ部材(194)によって切断される前に、意図された組織切断線に沿って適切な止血が達成されることを確実にする。
【0024】
図2に示すように、発射システム(24)は、ハンドルアセンブリ(12)内に収容されたナイフ戻しばね(130)を更に含む。ナイフ戻しばね(130)は、その遠位端でナイフバー(70)の遠位端に固定され、その近位端で閉鎖バー(50)の遠位端に固定される。したがって、ナイフ戻しばね(130)は、発射トリガ(38)が解放されると、閉鎖バー(50)及びステープルバー(60)に対してナイフバー(70)を近位に弾性的に付勢するように動作可能である。
図3及び
図12A~
図12Dに示すように、ナイフバー(70)は、遠位フック(76)を含み、それがナイフ部材(194)によって捕捉されることによってナイフ部材(194)をナイフバー(70)に軸方向に固着する。したがって、操作者が発射ストロークを完了した後に発射トリガ(38)を解放すると、ナイフバー(70)及びナイフ部材(194)は自動的に近位に後退して、ナイフ部材(194)の遠位切断縁部(200)をステープルカートリッジハウジング(162)内に安全に収容する。
【0025】
図2に示すように、本実施例の外科用ステープラ(10)は、枢動可能レバー(140)の形態である近位発射ロックアウト機構を更に含み、これは、エンドエフェクタ(16)が閉鎖トリガ(36)によって完全に閉鎖されるまで、発射トリガ(38)の作動を抑制するように動作可能である。発射ロックアウトレバー(140)は、ハンドルアセンブリ(12)内に収容され、左サイドプレート(40)の近位フレーム部分(42)の外側に枢動可能に取り付けられる。発射ロックアウトレバー(140)は、ばね(146)によって、近位ロックアウトレバー(140)の下部タブ(142)が発射トリガ(38)の発射ロックアウト突起部(126)の下方への移動を阻止する位置に向かって弾性的に付勢されており、それにより、エンドエフェクタ(16)を閉鎖するために閉鎖トリガ(36)が完全に作動していない場合には、発射トリガ(38)の作動が抑制されるようになっている。閉鎖トリガ(36)が完全作動状態に達すると、発射ロックアウトレバー(140)の上部アーム(144)は、解放ボタン(110)の爪状ラグ(114)によって下方に駆動され、これにより、下部タブ(142)を発射ロックアウト突起部(126)から離れるように回転させ、発射トリガ(38)の作動を可能にする。外科用ステープラ(10)の発射ロックアウトレバー(140)及び他のロックアウト特徴部は、本願と同日出願の「Clamping Based Lookout Mechanism for Right Angle Surgical Stapler」と題する米国特許出願第号[代理人参照番号END9087USNP1](その開示は参照により本明細書に組み込まれる)の教示の少なくとも一部に従って更に構成されかつ動作可能であり得る。
【0026】
図示されていないが、外科用ステープラ(10)のシャフトアセンブリ(14)は、関節接合部など様々な追加の構成要素を含んでもよく、あるいは、シャフトアセンブリ(14)がハンドルアセンブリ(12)に対してモジュール化されるように、様々な構成要素の再配置を含んでもよい。
【0027】
B.外科用ステープラのエンドエフェクタ
外科用ステープラ(10)のエンドエフェクタ(16)は、サイドプレート(40)の遠位部分、閉鎖バー(50)のカートリッジ受容遠位部分(52)、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)の遠位部分によって画定される遠位支持構造体(48)、並びに交換可能なステープルカートリッジユニット(160)を含む。
図5~
図8に最もよく示すように、本変形例のステープルカートリッジユニット(160)は、ステープル留めしかつ切断される患者組織を受容するための軸方向の間隙(G)をその間に画定するように、互いに離間したカートリッジハウジング(162)及びアンビル(210)を含む。カートリッジハウジング(162)は、アンビル(210)に対して組織をクランプするように構成され、かつアンビル(210)とともにシャフトアセンブリ(14)の長手方向軸線に対して横切るように延在する、遠位に面したデッキ(164)を含み、その結果、エンドエフェクタ(16)に「直角」構成を提供する。
【0028】
カートリッジデッキ(164)は、その中にナイフ(198)を摺動可能に受容するように構成された細長い直線状ナイフスロット(166)と、細長い直線状ナイフスロット(166)のいずれかの側に沿って直線状の列で配置され、複数の未形成ステープル(170)を内部に収容するように構成された複数のステープル開口部(168)と、を含む。本実施例のデッキ(164)は、ステープル開口部(168)とともに挟入され、組織がデッキ(164)とアンビル(210)との間にクランプされる際に患者組織の把持及び圧縮を最適化するように構成された、複数のスタンドオフ特徴部(172)を更に含む。デッキ(164)は、2019年1月14日出願の「Surgical Stapler with Sloped Staple Deck for Varying Tissue Compression」と題する米国特許出願第16/234,740号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)の少なくとも一部の教示に従って、更に構成され得る。
【0029】
カートリッジハウジング(162)の細長い上部本体部分(174)は、組織保持ピン(176)と、組織保持ピン(176)の近位端に固着された連結具(180)とを摺動可能に収容する。連結具(180)は、ステープルカートリッジユニット(160)がエンドエフェクタ(16)の遠位支持構造体(48)内に着座されたときに、組織保持ピン(176)を組織保持ピン作動システム(20)の押棒(80)の遠位端と解放可能に連結するように構成される。上部本体部分(174)の近位端に固着されたエンドキャップ部材(182)は、組織保持ピン(176)及び連結具(180)をカートリッジハウジング(162)内で近位に拘束するように構成されており、一方で、組織保持ピン(176)がその近位の格納位置(
図1A及び
図12Aを参照)とその遠位の伸張位置(
図1B及び
図12Bを参照)との間で並進することを可能にしている。組織保持ピン(176)は、保持ピン(176)がアンビル(210)に向かって延在するときに組織を貫通するように構成されたテーパ状の遠位先端部(178)を含む。
【0030】
カートリッジハウジング(162)の下部本体部分(184)は、ステープルドライバ部材(186)及びナイフ部材(194)を内部に摺動可能に受容する。
図8に最も良く示すように、本変形例のステープルドライバ部材(186)は、基部(188)と、基部(188)から遠位に突出する複数のステープルドライバ要素(190)と、ステープルドライバ部材(186)を通って軸方向に延在し、ナイフ部材(194)を摺動可能に受容するように構成された内部チャネル(192)と、を含む。各ステープルドライバ要素(190)は、カートリッジハウジング(162)のそれぞれのステープル開口部(168)内に摺動可能に受容され、閉鎖トリガ(36)の作動に応じて、開口部(168)からそれぞれのステープル(170)を駆動するように構成される。本変形例のステープルドライバ要素(190)は基部(188)にしっかりと貼着されているが、基部(188)及びステープルドライバ要素(190)は、他の変形例では別個に提供されてもよいことが理解されるであろう。
【0031】
ナイフ部材(194)は、基部(196)と、基部(196)に固着されかつそこから遠位に延在し、遠位切断縁部(200)を有するナイフ(198)と、を含む。ナイフ(198)は、ナイフ(198)が患者組織の直線状の切断を行うことを可能にする平坦なプレート状形状で形成される。ナイフ部材(194)は、ステープルドライバ部材(186)の内部チャネル(192)内に摺動可能に受容され、このため、ナイフ(198)は、発射トリガ(38)の完全な作動に応じて、エンドエフェクタ(16)によってクランプされた組織を切断するために、ステープルドライバ部材(186)及びカートリッジハウジング(162)の細長い直線状ナイフスロット(166)を通して長手方向に並進するように構成されている。
【0032】
図8に最も良く示すように、ステープルカートリッジユニット(160)のアンビル(210)は、遠位プレート部分(212)と、遠位プレート部分(212)の下端から近位に延在する連結アーム(214)とを含む。遠位プレート部分(212)は、ステープル留めされ、かつ切断される組織をクランプするためにカートリッジデッキ(164)と協働するように構成されている。遠位プレート部分(212)は、細長い直線状スロット(216)と、スロット(216)の両側に沿って直線状に配置された複数のステープル形成ポケット(218)とを含む。ポケット(218)は、遠位プレート部分(212)とカートリッジデッキ(164)との間にクランプされた組織内にステープル(170)を形成するために、カートリッジハウジング(162)から射出されたステープル(170)の脚部を受容し、変形させるように構成されている。
【0033】
ガイドピン(230)は、アンビルプレート部分(212)とカートリッジハウジング(162)との間で長手方向に延在し、近位開放位置(
図1A及び
図12A参照)と遠位閉鎖位置(
図1C及び
図12C参照)との間でカートリッジハウジング(162)の長手方向の並進をガイドするように構成されている。ガイドピン(230)の近位端は、
図8に示すアンビル連結アーム(214)の近位タブ(220)によって拘束され、ガイドピン(230)の遠位端は、アンビルプレート部分(212)内に形成された下部開口部(222)内に拘束される。アンビルプレート部分(212)内に形成された上部開口部(224)は、組織保持ピン(176)がガイドピン(230)と協働してアンビル(210)に対するカートリッジハウジング(162)の長手方向の並進をガイドし得るように、組織保持ピン(176)のテーパ状の遠位先端部(178)を伸張位置で受容して拘束するように構成されている。
図6~
図8に見られるように、ガイドピン(230)の内側は、長手方向の溝(232)を含んでもよく、この溝は、同様の溝(234)(
図12A~
図12D参照)と協働して、ナイフ(198)をカートリッジハウジング(162)に対する格納位置と伸長位置との間で摺動可能にガイドするように構成されている。
【0034】
ステープルカートリッジユニット(160)は、アンビル(210)に固定され、かつエンドエフェクタ(16)によってクランプされた組織を切断するためにナイフ(198)と協働するように構成された、組織切断ワッシャ(240)を更に含む。
図8及び
図10~
図11に最もよく示すように、組織切断ワッシャ(240)は、アンビルプレート部分(212)の遠位側に沿って延在する細長いプレート状の本体(242)を含む。ワッシャ本体(242)は、アンビルプレート部分(212)の細長いスロット(216)を通って近位方向に突出する細長い切断要素(244)を含む。切断要素(244)は、ナイフの切断縁部(200)に平坦な表面を提供することによってまな板として機能し、切断縁部(200)は切断要素(244)に組織を押し当てて切断する。組織切断ワッシャ(240)の少なくとも切断要素(244)は、高密度ポリエチレン(high-density polyethylene、HDPE)などの高分子材料を含んでもよい。その関連で、ナイフ(198)は、組織を切断する際に、その長手方向中心線に沿って、切断要素(244)に軸方向に切り込み得る。本変形例の切断要素(244)は、略平面的な切断面を提供するが、切断要素(244)は代替的に他の変形例で構成されてもよいことが理解されるであろう。
【0035】
組織切断ワッシャ(240)は、ワッシャ本体(242)の上端にある丸みを帯びた先端部(246)と、ワッシャ本体(242)の下端から近位に延在する連結アーム(248)と、を更に含む。ワッシャ先端部(246)は、アンビルプレート部分(212)の上端を捕捉し、それによって拘束し、その丸みを帯びた構成は、患者組織との非外傷性相互作用を促進する。プレス嵌めピン(250)は、アンビル(210)及び組織切断ワッシャ(240)の近位連結アーム(214、248)に形成された開口部を介して挿入されるように構成され、それによってアンビル(210)及び切断ワッシャ(240)を一緒に確実に連結する。
【0036】
組織切断ワッシャ(240)は、アンビルプレート部分(212)の全長に沿って延在する一対の側部フランジ(252)を更に含む。
図10及び
図11に示すように、各側部フランジ(252)は、近位に延在して、アンビルプレート部分(212)のそれぞれの側縁部を覆い、かつ遠位に延在して、遠位支持構造体(48)を画定するそれぞれのサイドプレート(40)の遠位フック(47)の少なくとも一部分を覆う。したがって、有利なことに、側部フランジ(252)は、アンビルプレート部分(212)と遠位フック(47)との間に形成され得る軸方向の間隙(254)を覆うように機能し、それにより、組織に望ましくない外傷をもたらす可能性のある様式で、組織が軸方向の間隙(254)内に入り込み、挟まれることを防止することができる。
図11に示すように、側部フランジ(252)の外側表面は、組織切断ワッシャ(240)の外周の非外傷性特性を更に向上させるために丸みを帯びていてもよい。組織切断ワッシャ(240)は、本願と同日出願の「Tissue Cutting Washer for Right Angle Surgical Stapler」と題する米国特許出願第号[代理人参照番号END9086USNP1](その開示は参照により本明細書に組み込まれる)の教示のいずれかに従って更に構成されかつ動作可能であり得る。
【0037】
C.エンドエフェクタの遠位支持構造体へのステープルカートリッジユニットの例示的な装填
図9A及び
図9Bは、エンドエフェクタ(16)の遠位支持構造体体(48)への、新しい(又は「使用されていない」)状態のステープルカートリッジユニット(160)の装填を示す。
図9Aに示すように、かつ上で簡潔に記載したように、遠位支持構造体(48)は、遠位フック(47)によって画定される遠位側、遠位ジョー部分(46)の近位部分及び閉鎖バー(50)のカートリッジ受容遠位部分(52)の遠位端によって画定される近位側、及びそれらの間に配設された上方に開く軸方向の間隙を有するU字型の側面輪郭を有するように構成される。
【0038】
ステープルカートリッジユニット(160)には、
図9A~
図9Bに示すように、ステープルリテーナ(260)が設けられており、このステープルリテーナ(260)は、デッキ(164)とアンビルプレート部分(212)との間に取り外し可能に位置付けられ、ステープル(170)をステープル開口部(168)内に保持し、ステープルカートリッジユニット(160)が遠位支持構造体(48)に挿入される際に、デッキ(164)とアンビルプレート部分(212)との間の適切な軸方向の間隔を確保する。ステープルリテーナ(260)を取り外すと、テープルカートリッジユニット(160)は、アンビルプレート部分(212)及び組織切断ワッシャ(240)によって画定される遠位側、カートリッジデッキ(164)によって画定される近位側、及びそれらの間に配設された上方に開く軸方向間隙(G)を有する、遠位支持構造体(48)と同様のU字型の側面輪郭を呈する。ステープルリテーナ(260)の例示的な特徴部は、
図13~
図18に関連して以下により詳細に記載される。
【0039】
図9Aに示すように、ユーザはまず、カートリッジハウジング(162)の下部本体部分(184)上に形成された近位側レール(202)を、閉鎖バー(50)のカートリッジ受容遠位部分(52)に形成された内側チャネル(56)と位置合わせする(
図3を参照)。
図9Bに示すように、ユーザは次に、カートリッジハウジング(162)の近位側レール(202)が閉鎖バー(50)の内側チャネル(56)内へ下方に摺動し、かつサイドプレート(40)の遠位フック(47)が組織切断ワッシャ本体(242)の遠位側に形成された溝に摺動して入るように(
図11参照)、エンドエフェクタ(16)の遠位支持構造体(48)の中にステープルカートリッジユニット(160)を下方に押し込む。ステープルカートリッジユニット(160)が遠位支持構造体(48)内に完全に着座すると、カートリッジハウジング(162)の下部本体部分(184)上に形成された戻り止め突出部(204)は、閉鎖バー(50)のカートリッジ受容遠位部分(52)に形成されたそれぞれの開口部(58)内に受容され、それによって、ステープルカートリッジユニット(160)が遠位支持構造体(48)内に取り外し可能に固着される。開口部(58)とのカートリッジ戻り止め突出部(204)の係合は、ステープルカートリッジユニット(160)が遠位支持構造体(48)内に完全に着座していることを確認するための触覚フィードバック及び/又は聴覚フィードバックをユーザに提供することができる。
【0040】
図9Aに示すように、遠位ロックアウトレバー(270)は、ステープルバー(60)の遠位端に枢動可能に連結される。遠位ロックアウトレバー(270)は、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)の遠位縁部(64)に向かって遠位に延在し、サイドプレート(40)、閉鎖バー(50)、ステープルバー(60)、及びナイフバー(70)の遠位部分を通って横方向に延在する固定遠位ピン(280)に解放可能に係合するように構成されている。遠位ロックアウトレバー(270)は、
図9Aに示される上昇位置に向かって弾性的に付勢され、未使用のステープルカートリッジユニット(160)が遠位支持構造体(48)に挿入された時にステープルドライバ部材(186)の近位端が係合することに応じて、
図9Bに示される下降位置に向かって枢動可能である。上昇位置において、遠位ロックアウトレバー(270)は固定遠位ピン(280)と係止されるように係合し、それによって、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)の遠位作動を抑制し、ひいてはステープルカートリッジユニット(160)の発射を抑制する。下降位置において、遠位ロックアウトレバー(270)は固定遠位ピン(280)と係合解除され、それによって、ステープルカートリッジユニット(160)の発射のための、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)の遠位作動を可能にする。遠位ロックアウトレバー(270)及び外科用ステープラ(10)の他のロックアウト特徴部は、本願と同日出願の「Cartridge Based Lockout Mechanism for Right Angle Surgical Stapler」と題する米国特許出願第号[代理人参照番号END9088USNP1](その開示は参照により本明細書に組み込まれる)の教示のいずれかに従って更に構成されかつ動作可能であり得る。
【0041】
D.外科用ステープラの例示的な作動
ステープルカートリッジユニット(160)を含む、上記の外科用ステープラ(10)の様々な構造的特徴について記載してきたが、ここで外科手術中の外科用ステープラ(10)の例示的な作動について以下に記載する。未使用のステープルカートリッジユニット(160)を上記の様式で遠位支持構造体(48)内に装填した後、次に患者の体腔内でエンドエフェクタ(16)を適切に操作して、アンビルプレート部分(212)とカートリッジデッキ(164)との間のステープルカートリッジ間隙(G)内に患者組織を位置付ける。
図12A及び
図12Bに示すように、次に、摺動部(34)を介して遠位に押棒(80)を作動させて、押棒(80)を遠位に駆動し、それによって、組織保持ピン(176)をカートリッジハウジング(162)から延在させて、その遠位先端部(178)を、カートリッジデッキ(164)の上端を覆う任意の組織に貫通させて、アンビルプレート部分(212)の上端内に着座させるようにする。このようにして、患者組織は、閉鎖前にカートリッジ間隙(G)内にしっかりと保持される。
【0042】
図12Cに示すように、次いで、閉鎖トリガ(36)を介して遠位に閉鎖バー(50)を作動させ、それによって、カートリッジハウジング(162)を、ガイドピン(230)及び組織保持ピン(176)に沿って遠位に駆動して、カートリッジデッキ(164)とアンビル(212)との間に組織をクランプする。本実施例に示すように、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)は、エンドエフェクタ(16)の完全閉鎖時にステープルドライバ部材(186)及びナイフ部材(194)が発射のために好適に位置付けられるように、閉鎖バー(50)及びカートリッジハウジング(162)とともに遠位に作動する。上述したように、エンドエフェクタ(16)は、ハンドルアセンブリ(12)の解放ボタン(110)のロック爪(112)によって、完全閉鎖状態に解放可能に維持される。
【0043】
図12Dに示すように、次に、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)が発射トリガ(38)を介して遠位に作動され、それによって、ステープルドライバ部材(186)及びナイフバー(70)は、カートリッジハウジング(162)を通って遠位に駆動される。ステープルドライバ部材(186)のステープルドライバ要素(190)は、ステープル開口部(168)を通って遠位に前進し、それによって、その中に収容されたステープル(170)を、クランプされた組織を通って遠位に駆動し、アンビルプレート部分(212)のステープル形成ポケット(218)内に駆動し、ステープル(170)が組織内に形成されるようにする。ナイフ部材(194)は、ナイフ(198)を、カートリッジデッキ(164)の細長いナイフスロット(166)を通って、クランプされた組織を通って、かつ組織切断ワッシャ(240)の切断要素(244)に対して遠位に駆動し、それによって、形成されたステープル(170)の最も内側の列の間の直線状切断線に沿ってクランプされた組織を切断する。クランプされた組織を完全に切断すると、ナイフの切断縁部(200)は、組織切断ワッシャー(240)の切断要素(244)内に遠位に貫通し得る。任意選択的に、このような貫通に応じて、組織切断ワッシャ本体(242)は、ナイフの切断縁部(200)に沿って破断することができ、それによって、発射ストロークが完了し、クランプされた組織が完全にステープル留めされ、かつ切断されたことを外科医に(例えば、「パチン」という音を介して)聴覚的に示すことができる。
【0044】
上述したように、及び
図12Dに示すように、発射トリガ(38)が組織をステープル留めすることになる最初の運動範囲を介して作動されると、ステープルドライバ部材(186)及びナイフ部材(194)は、ステープルカートリッジハウジング(162)を通って遠位に一緒に並進してもよい。
図12Dに示すように、ナイフ部材(194)は、次に、発射トリガ(38)がステープル留めされた組織をナイフ(198)で切断することになる最終的な運動範囲を通して更に作動される際に、静止したステープルドライバ部材(186)に対して遠位に並進し続けてもよい。このようにして、エンドエフェクタ(16)によってクランプされた組織は、切断される前に完全にステープル留めされる。
【0045】
図7に最も良く示すように、カートリッジハウジング(162)の下部本体部分(184)の第1の横方向の側面は、複数の軸方向に離間した凹部を有する戻り止めアーム(185)を含む。加えて、ステープルドライバ部材(186)の基部(188)の第1の横方向の側面は、横方向に延在する戻り止めポスト(189)を含み、これは、クランプされた組織をステープル留めするときに、ステープルドライバ部材(186)がカートリッジハウジング(162)を通って遠位に駆動される際に、戻り止めアーム(206)に沿って軸方向に戻り止めするように構成されている。
図8に最も良く示すように、ステープルドライバ部材(186)の基部(188)の第2の横方向の側面は、複数の軸方向に離間した凹部を有する戻り止めアーム(191)を含む。加えて、ナイフ部材(194)の基部(196)の第2の横方向の側面は、横方向に延在する戻り止めポスト(197)を含み、これは、クランプされた組織を切断するときに、ナイフ部材(194)がステープルドライバ部材(186)を通って遠位に駆動される際に、戻り止めアーム(191)に沿って軸方向に戻り止めするように構成されている。このような戻り止め特徴部は、ステープルドライバ部材(186)が組織をステープル留めするために完全に伸張されたとき、及びその後、ナイフ部材(194)がステープル留めされた組織を切断するために完全に伸張されたときに、外科医に触覚フィードバックを提供することができる。
【0046】
外科用ステープラ(10)が完全に発射されると、外科医は発射トリガ(38)を解放し、これにより、ナイフバー(70)及びナイフ部材(194)を、上述のナイフ戻しばね(130)の弾性的な付勢を介して閉鎖バー(50)に対して近位に自動的に後退させることができる。本変形例では、閉鎖バー(50)に対するナイフバー(70)の近位後退はまた、閉鎖バー(50)に対するステープルバー(60)の近位後退をも駆動し、例えば、ナイフバー(70)の遠位部分上に形成された下部タブ(78)と、ステープルバー(60)の遠位部分の下面に形成された下部スロット(66)とを係合することによって、ナイフバー(70)は、ステープルバー(60)と動作可能に連結される。一方、上記のステープル留め戻り止め特徴部(185、189)は、遠位ロックアウトレバー(270)がステープルドライバ部材(186)を係合解除するように、ステープルドライバ部材(186)をカートリッジハウジング(162)内のその完全に伸張した位置に維持するように動作する。これにより、遠位ロックアウトレバー(270)は、上昇したロックアウト位置に戻り、ステープルカートリッジユニット(160)が使用されたときに発射トリガ(38)の再作動を阻止することができる。このようにして、遠位ロックアウトレバー(270)は、ステープルを適用せずにナイフ(198)で組織を切断することとなる様式で、外科医が、使用済みステープルカートリッジユニット(160)を組織内に不注意に再発射することを防止する。
【0047】
発射トリガ(38)の解放後、次に外科医はハンドルアセンブリ(12)上の解放ボタン(110)を押下して、上述した閉鎖復帰ばね(98)の弾性的な付勢を介して、閉鎖トリガ(36)及び閉鎖バー(50)がそれらの非作動状態に戻ることを可能にする。閉鎖バー(50)のこのような近位への後退は、ステープル留めされて切断された組織が、エンドエフェクタ(16)から解放され得るように、カートリッジハウジング(162)をアンビル(210)から近位に引き離す。閉鎖バー(50)の近位への後退はまた、ステープルバー(60)及びナイフバー(70)をそれらの近位ホーム位置よりも更に近位に引くので、使用済みステープルカートリッジユニット(160)を遠位支持構造体(48)から取り外し、新しいステープルカートリッジユニット(160)と交換することができる。
【0048】
E.弾力性のある接触部材を有する例示的なステープルリテーナ
様々な例において、ステープルカートリッジユニット(160)がエンドエフェクタ(16)内に着座する前に、かつ組織をステープル留めして切断するために操作者が患者内にエンドエフェクタ(16)を展開する準備ができる前に、ステープル(170)がカートリッジデッキ(164)のステープル開口部(168)内にしっかりと保持されることを確実にすることが望ましい場合がある。上述のように、カートリッジハウジング(162)は、ピン(176、230)に沿って、アンビル(210)及び組織切断ワッシャ(240)に対して、組織を受容するための軸方向の間隙(G)(又は「アパーチャ」)がそれらの間に画定される開放状態(
図1A参照)と、組織をクランプするための閉鎖状態との間で摺動可能である。したがって、ステープルカートリッジユニット(160)を外科用ステープラ(10)の遠位支持構造体(48)に適切に装填するのを容易にするために、装填中にこれらの構成要素が互いに略平行なままであるように、アンビルプレート部分(212)及びカートリッジデッキ(164)の全長に沿ってこのアパーチャを維持することが望ましい場合もある。
【0049】
図9A~
図9Bに関連して上記で簡潔に記載したように、ステープルリテーナ(260)は、ステープルカートリッジユニット(160)のデッキ(164)とアンビルプレート部分(212)との間に取り外し可能に位置付けられるように構成され、操作者が外科的処置中にエンドエフェクタ(16)を展開する準備ができたときに、操作者によって取り外され得る。ステープルリテーナ(260)は、ステープル開口部(168)内にステープル(170)をしっかりと保持し、ステープルカートリッジユニット(160)が遠位支持構造体(48)内に装填される際に、デッキ(164)とアンビルプレート部分(212)との間の適切な軸方向間隔を確保するように動作可能である。ステープルリテーナ(260)の例示的な特徴部は、
図13~
図20Dに関連して以下に記載される。有利なことに、このような特徴部は、ステープルリテーナ(260)を、異なる厚さの組織をステープル留めするように構成された様々なステープルカートリッジユニットに関連して、汎用部品として使用することを可能にする。
【0050】
図13~
図15に示すように、ステープルリテーナ(260)は、本体(300)と、本体(300)に連結されたラッチ部材(340)とを含む。本変形例のリテーナ本体(300)は、第1の細長い本体側(302)と、対向する第2の細長い本体側(304)と、第1の本体端部(306)と、対向する第2の本体端部(308)と、前部本体側(310)と、対向する後部本体側(312)と、を有する略矩形形状で形成される。リテーナ本体(300)は、
図13~
図15において、第1の細長い本体側(302)が上方に面し、第2の細長い本体側(304)が下方に面するように配向されて示されているが、使用中、第1の細長い本体側(302)は、外科用ステープラ(10)に対して遠位に配向されてもよく、一方、第2の細長い本体側(304)は、前部及び後部本体側(310、312)が外科用ステープラ(10)に対して側方を向くように、近位に配向される。これは、例えば、上述の
図9A~
図9B及び後述の
図17A~
図20Dに示される。
【0051】
図13及び
図15に最もよく示すように、リテーナ本体(300)の第1の細長い本体側(302)は、細長い開口部(314)を含み、細長い開口部(314)内には、一対の丸みを帯びた接触突出部(318、320)を有する弾性的に偏向可能なビーム(316)の形態の弾性接触部材が配設される。弾性ビーム(316)は、細長い開口部(314)を通って長手方向に延在し、その対向する端部でリテーナ本体(300)の隣接する部分に固定される。接触突出部(318、320)は、弾性ビーム(316)上に配設され、そこから外方に突出している。本実施例では、各接触突出部(318、320)は、弾性ビーム(316)の長さに沿って二重壁構造で構成されている。本変形例では、2つの接触突出部(318、320)が設けられているが、他の変形例では、より多くの接触突出部(318、320)が設けられ得ることが理解されるであろう。
【0052】
第1及び第2の接触突出部(318、320)は、弾性ビーム(316)の長さに沿って離間され、したがって、アンビルプレート部分(212)の長さに沿って離間されたそれぞれの第1及び第2の位置において、ステープルカートリッジユニット(160)のアンビルプレート部分(212)に直接接触するように構成される。
図17A~
図17Bに関連して以下でより詳細に記載するように、接触突出部(318、320)は、結果として、第2の細長い本体側(304)及びカートリッジデッキ(164)と平行な関係でアンビルプレート部分(212)を維持するために協働するように構成される。加えて、接触突出部(318、320)を有する弾性ビーム(316)は、ステープルリテーナ(260)がステープルカートリッジユニット(160)に連結される際に、第2の細長い本体側(304)に向かって弾性的に偏向するように構成されている。有利なことに、これにより、ステープルリテーナ(260)を、カートリッジデッキ(164)とアンビルプレート部分(212)との間に画定された固有のサイズの間隙(G)(又は「アパーチャ」)を各々有する様々な異なる種類のステープルカートリッジユニット(160)とともに効果的に使用することが可能となり、これにより、ステープルリテーナ(260)は、ステープルカートリッジユニット(160)の所与のライン内で汎用部品として実装され得る。
【0053】
図13及び
図14に示すように、リテーナ本体(300)は、後部本体側(312)の第1の端部から外方に延在する端部フランジ(322)を更に含む。加えて、第1のバックプレート(324)は、第1の方向(例えば、上方)に後部本体側(312)の上端から外方に延在し、第2のバックプレート(326)は、第1のバックプレート(324)の第1の方向とは反対の第2の方向(例えば、下方)に、後部本体側(312)の下端から外方に延在する。端部フランジ(322)及びバックプレート(324、326)は、ステープルカートリッジユニット(160)のそれぞれの部分に当接し、それによって、外科用ステープラ(10)のエンドエフェクタ(16)に対してステープルリテーナ(260)を横方向に拘束するために協働するように構成されている。
【0054】
図13及び
図14に示すように、リテーナ本体(300)は、第2の本体端部(308)から下方に依拠する保持脚部(330)を更に含む。保持脚部(330)の下端は、
図18~
図19に関連して以下でより詳細に記載するように、ステープルカートリッジハウジング(162)のスロットに係合して第2の本体端部(308)をステープルカートリッジハウジング(162)と係合した状態で確実に保持するように構成された爪(332)を含む。
図14に最もよく示すように、テーパ状の細長い凹部(334)は、第2の本体端部で第2の細長い本体側(304)内に形成される)。凹部(334)は、第2の本体端部(308)に向かって開き、第1の本体端部(306)に向かう方向にテーパ状になる。凹部(334)は、ステープルカートリッジハウジング(162)のデッキ(164)の対応する端部から遠位に突出する円筒状の組織間隙ポスト(165)(
図6を参照)を受容するように構成されている。
【0055】
図13に最もよく示すように、リテーナ本体(300)は、前部本体側(310)の中央部分から外方に突出する円形のボタン状突起部(336)の形態のユーザ係合特徴部を更に含む。ステープルリテーナ(260)がステープルカートリッジユニット(160)に取り付けられるときに、突起部(336)に内側に向けられた力が作用すると、ステープルリテーナ(260)が保持脚部(330)を中心に枢動し、それによって、ラッチ部材(340)を解放位置に駆動させ、それによって、
図20A~
図20Dに関連して以下でより詳細に記載するように、ステープルリテーナ(260)のステープルカートリッジユニット(160)からの分離を可能にすることができる。突起部(336)は、他の変形例では選択的に成形されてもよく、更に突起部(336)は、一部の変形例では省略され得るような単なる任意選択であることが理解されるであろう。
【0056】
図15に最もよく示すように、本実施例のステープルリテーナ(260)のラッチ部材(340)は、概ね細長い板状構造で形成され、リテーナ本体(300)の第1の本体端部(306)に対応する第1の端部にある一対のジョー(342)と、リテーナ本体(300)の第2の本体端部(308)に対応する対向する第2の端部にあるアンカー部分(344)と、それらの間に配置された円弧状ばね要素(346)と、を含む。本変形例では、円弧状ばね要素(346)は、ジョー(342)及びアンカー部分(344)と一体的に接続されており、そのため、ラッチ部材(340)の全体が、ポリマーなどの単一の材料で形成されてもよい。ジョー(342)は、ラッチ部材(340)の高さに沿って1つずつ離間され、各ジョーは、以下により詳細に記載するように、ステープルカートリッジユニット(160)のガイドピン(230)を捕捉するように構成された横方向の開口スロット(348)を含む。ガイドプレート(350)は、ジョー(342)の後側に貼着され、後述するように、リテーナ本体(300)の後部本体側(312)に摺動可能に係合するように構成されている。
【0057】
ラッチ部材(340)のアンカー部分(344)は、外方に突出し、ラッチ部材(340)の長さに対して横切るように延在するラグバー(352)を含む。スナップロック要素(354)は、ラッチ部材(340)の第2の端部に向かう方向にラグバー(352)に隣接して位置付けられる。スナップロック要素(354)は、リテーナ本体(300)の第2の本体端部(308)に一体的に配設された内側プレート(328)内に形成された矩形開口部(329)を通って受容されるように構成されている。スナップロック要素(354)は、矩形開口部(329)と係止係合し、それによって、ラッチ部材(340)のアンカー部分(344)をリテーナ本体(300)に対して固定する。
図16A~
図16Bに示すように、ラグバー(352)は、内側プレート(328)の内側縁部に当接し、それによって円弧状ばね要素(346)の対応する端部をリテーナ本体(300)に対して固定するように構成されている。
【0058】
本実施例の円弧状ばね要素(346)は、リテーナ本体(300)の前部本体部(310)に向かって延在する凸状中央部分(356)と、ジョー(342)のそれぞれの内側部分及びラッチ部材(340)のアンカー部分(344)と一体的に接合する一対の凹状脚部(358)と、を画定する、予め形成された湾曲を有する。
図16A~
図16Bに示すように、円弧状ばね要素(346)は、ラッチ部材(340)の長さに沿って弾性的に圧縮して、
図16Aに示すラッチ位置と
図16Bに示す解放位置との間で、ジョー(342)がアンカー部分(344)に対して並進することを可能にするように構成されている。
図16Aに示すように、ラッチ位置にあるジョー(342)は、リテーナ本体(300)の第1の本体端部(306)に画定された一対のフック(338)と位置合わせされる。各フック(338)は、ステープルカートリッジユニット(160)のガイドピン(230)のそれぞれの部分を捕捉するために、それぞれのジョー(342)の横方向開口スロット(348)と協働するように構成された、前方開口スロット(339)を含む。したがって、ラッチ部材ジョー(342)及びリテーナ本体フック(338)は協働して、ステープルリテーナ(260)がステープルカートリッジユニット(160)に取り付けられたときに、ガイドピン(230)の近位及び遠位部分を捕捉し、それによってステープルリテーナ(260)をステープルカートリッジユニット(160)に対して拘束するように構成されている。
【0059】
図16Bに示すように、円弧状ばね要素(346)は、弾性的に圧縮して、ジョー(342)がアンカー部分(344)に向かって内側に並進して解放位置を呈することを可能にするように構成されている。解放位置において、ジョー(342)は、ガイドピン(230)をジョースロット(348)から解放し、ひいては、ガイドピン(230)をフックスロット(339)から取り外すことを可能にして、ステープルカートリッジユニット(160)からのステープルリテーナ(260)の取り外しを容易にすることができる。図示のように、ラグバー(352)は、円弧状ばね要素(346)の対応する脚部(358)を固定して、円弧状ばね要素(346)のそのような弾性的圧縮を容易にする。ラッチ部材ガイドプレート(250)の対向する端部は、リテーナ本体(300)の後部本体側(312)に形成されたそれぞれのチャネル(360)内に摺動可能に配設され、ひいては、ラッチ位置(
図16A)と解放位置(
図16B)との間にジョー(342)をガイドするように構成されている。
図15に示すように、端部ポスト(362)は、ラッチ部材(340)の第1の端部においてジョー(342)から外方に突出し、ラッチ部材(340)の長手方向の中心線に沿って延在する。端部ポスト(362)は、ラッチ部材(340)がラッチ位置にあるときに、アンビル連結アーム(214)内に形成された対応するノッチ(215)(
図7を参照)内に受容されるように構成され、これにより、ステープルカートリッジユニット(160)に対するステープルリテーナ(260)の拘束が更に強化される。ジョー(342)が解放位置まで内方に並進すると、ステープルリテーナ(260)がステープルカートリッジユニット(160)から係合解除され得るように、端部ポスト(362)はノッチ(215)から引き抜かれる。
【0060】
上記で簡潔に記載したように、リテーナ本体(300)の弾性的な偏向ビーム(316)は、ステープルリテーナ(260)がステープルカートリッジユニット(160)に取り付けられると、第2の細長い本体側(304)に向かって弾性的に偏向するように構成される。
図17Aは、カートリッジハウジング(372)と、カートリッジハウジング(372)から離間されたアンビルプレート(374)とを有する第1の例示的なステープルカートリッジユニット(370)内に取り付けられたステープルリテーナ(260)を示す。上述のカートリッジハウジング(162)と同様に、カートリッジハウジング(372)は、開放状態と閉鎖状態との間でアンビルプレート(374)に対して近位及び遠位に摺動可能である。開放状態において、最大アパーチャ距離(X1)は、カートリッジハウジング(372)のデッキとアンビルプレート(374)との間に画定される。リテーナ本体(300)の第2の細長い本体側(304)は、カートリッジハウジング(372)のデッキに接触して、内部にステープルを保持するように構成されている。同時に、弾性的に偏向可能なビーム(316)の接触突出部(318、320)は、第1の量だけ内側に弾性的に偏向して、それぞれの第1及び第2の位置でアンビルプレート(374)に接触する。したがって、接触突出部(318、320)は、アンビルプレート(374)の全長に沿って最大アパーチャ距離(X1)を維持し、これにより、アンビルプレート(374)は、カートリッジハウジング(372)のデッキ及びリテーナ本体(300)の第2の細長い本体側(304)に平行に支持される。結果として、第2の細長い本体側(304)は、カートリッジハウジング(162)のデッキと完全に接触して維持され、それによって、その中にステープルを効果的に保持する。更に、アンビルプレート(374)の全長に沿った最大アパーチャ距離(X1)の維持は、外科用ステープラ(10)の遠位支持構造体(48)内にステープルカートリッジユニット(370)を適切に着座させるのを容易にする。
【0061】
図17Bは、カートリッジハウジング(382)と、カートリッジハウジング(382)から離間されたアンビルプレート(384)とを有する第2の例示的なステープルカートリッジユニット(380)内に取り付けられたステープルリテーナ(260)を示す。ステープルカートリッジユニット(380)は、完全な開放状態であるときに、カートリッジハウジング(382)とアンビルプレート(384)との間の最大アパーチャ距離(X2)を画定するように構成されている。本実施例では、第2のステープルカートリッジユニット(380)の最大アパーチャ距離(X2)は、ステープルカートリッジユニット(370、380)が異なる外科用ステープル留め用途のために構成されるように、第1のステープルカートリッジユニット(370)の最大アパーチャ距離(X1)よりも小さい。例えば、第1のステープルカートリッジユニット(370)は、気管支又は結腸などのより厚い組織をステープル留めするように構成されてもよく、第2のステープルカートリッジユニット(380)は、血管構造などのより薄い組織をステープル留めするように構成されてもよい。
図17Bに示すように、ステープルリテーナ(260)の接触突出部(318、320)は、カートリッジハウジング(382)に向かって弾性的に偏向し、第1及び第2の位置でアンビルプレート(384)を依然として支持しながら、より小さいアパーチャ距離(X2)に適応する。具体的には、接触突出部(318、320)が内側に弾性的に偏向する量は、より大きいアパーチャ距離(X1)を有するステープルカートリッジユニット(370)に関連して偏向する量よりも大きい。したがって、接触突出部(318、320)は、アンビルプレート(384)をカートリッジハウジング(382)のデッキと平行に維持し、また、リテーナ本体(300)の第2の細長い本体側(304)をカートリッジハウジング(382)のデッキと完全に接触させて維持して、ステープルを内部に効果的に保持する。
【0062】
図18及び
図19は、上述のステープルリテーナ(260)の保持脚部(330)の例示的な機能を示す。ステープルリテーナ(260)は、上述のカートリッジハウジング(162)と同様の例示的なカートリッジハウジング(392)に取り付けられた状態で示されている。
図18に示すように、保持脚部(330)の爪(332)は、カートリッジハウジング(392)の上部本体部分の端部に形成されたスロット(394)内に配設される。ステープルリテーナ(260)と、上述のカートリッジユニット(160)又はカートリッジハウジング(392)を含むカートリッジユニットなどのステープルカートリッジユニットとの組み立て中に、爪(332)が最初にスロット(394)内に位置付けられてもよい。次いで、ステープルリテーナ(260)は、爪(332)とスロット(394)との間の接触点によって画定される軸を中心に枢動され、それによってステープルリテーナラッチ部材(340)のジョー(342)をガイドピン(230)と係合させて、ステープルリテーナ(260)をステープルカートリッジユニット(160)に対して固着させてもよい。
図19に示すように、このような枢動点(P)は、スロット(394)の端壁と、爪(332)の対応する突起部との間に画定されてもよい。ステープルリテーナ(260)が、カートリッジハウジング(392)とともに
図18~
図19に示されるようにステープルカートリッジユニット(160)に完全に取り付けられると、保持アーム爪(332)は、カートリッジハウジング(392)の対応する部分を捕捉し、それによって、ステープルリテーナ(260)の対応する端部をカートリッジハウジング(392)に対して拘束する。
【0063】
図20A~
図20Dは、ステープルカートリッジユニット(160)が外科用ステープラ(10)の遠位支持構造体(48)内に完全に着座した後、ステープルカートリッジユニット(160)からステープルリテーナ(260)を取り外すための例示的なステップを示す図である。
図20Aは、ステープルリテーナ(260)がアンビルプレート部分(212)とカートリッジデッキ(164)との間に位置付けられている、ステープルカートリッジユニット(160)に対して完全に着座してラッチ留めされた位置にあるステープルリテーナ(260)を示す。上述したように、ラッチ部材ジョー(342)は、リテーナ本体フック(338)と協働してガイドピン(230)を捕捉し、それによって、ステープルカートリッジユニット(160)に対してステープルリテーナ(260)を拘束し、ステープルリテーナ(260)の第2の細長い本体側(304)をカートリッジデッキ(164)と完全に接触させて、その中にステープルを効果的に保持する。加えて、接触突出部(318、320)は、細長いスロット(216)に沿ってアンビルプレート部分(212)の長手方向中心線に沿って離間されたそれぞれの第1及び第2の位置において、アンビルプレート部分(212)に直接かつ弾性的に接触する(
図8を参照)。したがって、接触突出部(318、320)は、アンビルプレート部分(212)をカートリッジデッキ(164)と平行に支持し、また、リテーナ本体(300)の第2の細長い本体側(304)をカートリッジデッキ(164)と完全に接触させて維持して、ステープルを内部に効果的に保持する。
【0064】
外科用ステープラ(10)を患者内に展開して、組織をステープル留めして切断するための準備が整うと、ユーザは、エンドエフェクタ(16)を安定させ、
図20B及び
図20Cに示すように、ステープルリテーナ(260)のボタン式突起部(336)を押す。この動作により、上記の保持脚部(330)によって画定される枢動点(P)を中心に、ステープルカートリッジユニット(160)に対してステープルリテーナ(260)を強制的に枢動させる。この枢動運動は、ガイドピン(230)の横方向の側面を、ステープルリテーナジョースロット(348)の対応する内壁と接触させる。これにより、ステープルリテーナジョー(342)をアンカー部分(344)に向かって内方に並進可能に駆動するカム作用が生じ、そのため、円弧状ばね要素(346)がそれらの間で弾性的に圧縮する。このようにして、ラッチ部材(340)は、
図20Cに示すように、ステープルリテーナ(260)の対応する端部がガイドピン(230)から更に離れるように枢動すると、ガイドピン(230)がステープルリテーナのジョー(342)及びフック(338)から解放されることを可能にする解放位置を呈する。
図20Dに示すように、ステープルリテーナ(260)からガイドピン(230)が完全に解放されると、ステープルリテーナ(260)は、ステープルカートリッジユニット(160)から完全に取り外され得る。ステープルカートリッジユニット(160)からステープルリテーナ(260)が分離されると、円弧状ばね要素(346)は、ジョー(342)をラッチ位置に弾性的に戻し、弾性的に偏向可能なビーム(316)は、接触突出部(318、320)を非偏向状態に弾性的に戻す。したがって、ステープルリテーナ(260)は、所望であれば、その後、ステープルカートリッジユニット(160)に再び取り付けられるのに適した状態にされる。
【0065】
II.例示的な組み合わせ
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせるか又は適用することができる、様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願における又は本出願の後の書類提出におけるどの時点でも提示され得る、いずれの請求項の適用範囲をも限定することを目的としたものではないと理解されよう。一切の権利放棄を意図するものではない。以下の実施例は、単なる例示の目的で与えられるものに過ぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用が可能であると考えられる。また、いくつかの変形では、以下の実施例において言及される特定の特徴部を省略してよいことも考えられる。したがって、本発明者又は本発明者の利益の承継者により、後日、そうである旨が明示的に示されない限り、以下に言及される態様又は特徴部のいずれも重要なものとしてみなされるべきではない。以下に言及される特徴部以外の更なる特徴部を含む請求項が本出願において、又は本出願に関連する後の書類提出において示される場合、それらの更なる特徴部は、特許性に関連するいかなる理由によっても追加されたものとして仮定されるべきではない。
【実施例1】
【0066】
外科用ステープルユニットとともに使用するためのステープルリテーナであって、(a)第1の本体側及び第2の本体側を有する本体であって、本体が、ステープルカートリッジユニットのアンビルとデッキとの間に画定されたアパーチャ内に位置付けられるように構成されており、これにより、第1の本体側がアンビルと向かい合い、第2の本体側がデッキと向かい合うようになり、第2の本体側が、デッキ内に形成された開口部内にステープルを保持するように構成されている、本体と、(b)第1の本体側に配設された第1の突出部であって、第1の位置でアンビルと接触するように構成されている、第1の突出部と、(c)第1の本体側に配設された第2の突出部であって、第1の位置から離間された第2の位置でアンビルと接触するように構成されている、第2の突出部と、を備え、ステープルリテーナがステープルカートリッジユニットのアパーチャ内に位置付けられたことに応じて、第1の突出部及び第2の突出部が第2の本体側に向かって弾性的に偏向するように構成されており、第1の突出部及び第2の突出部が第2の本体側と協働して、アンビルとデッキとの間の所定の距離を維持するように構成されている、ステープルリテーナ。
【実施例2】
【0067】
第1の突出部及び第2の突出部が本体の長さに沿って離間されている、実施例1に記載のステープルリテーナ。
【実施例3】
【0068】
第1の本体側に連結された弾性的に偏向可能なビームを更に備え、第1の突出部及び第2の突出部がビーム上に配設されている、実施例1又は2のいずれかに記載のステープルリテーナ。
【実施例4】
【0069】
ステープルリテーナが接触面に沿ってアンビルと接触するように構成されており、第1の突出部及び第2の突出部が協働して接触面を画定する、実施例1~3のいずれかに記載のステープルリテーナ。
【実施例5】
【0070】
第1の突出部及び第2の突出部が、接触面が第2の本体側及びデッキに平行になるようにアンビルを配向するように構成されている、実施例4のいずれかに記載のステープルリテーナ。
【実施例6】
【0071】
ステープルリテーナが第1のステープルカートリッジユニットの第1のアパーチャ内に位置付けられると、第1の突出部及び第2の突出部が本体に対して第1の偏向された状態を弾性的に呈するように構成されており、ステープルリテーナが第2のステープルカートリッジユニットの第2のアパーチャ内に位置付けられると、第1の突出部及び第2の突出部が、本体に対して第2の偏向された状態を弾性的に呈するように構成されており、第1のアパーチャと第2のアパーチャのサイズが異なる、実施例1~5のいずれかに記載のステープルリテーナ。
【実施例7】
【0072】
第1の本体側が細長い開口部を含み、第1の突出部及び第2の突出部が細長い開口部内に移動可能に配設されている、実施例1~6のいずれかに記載のステープルリテーナ。
【実施例8】
【0073】
本体に連結されたラッチ部材を更に備え、ラッチ部材がラッチ位置と解放位置との間で本体に対して移動可能であり、ラッチ位置で、ラッチ部材がステープルカートリッジユニットの特徴部を捕捉し、それにより、ステープルカートリッジユニットに対してステープルリテーナを拘束するように構成されており、解放位置で、ラッチ部材が特徴部を解放し、それにより、ステープルカートリッジユニットからのステープルリテーナの分離を可能にするように構成されている、実施例1~7のいずれかに記載のステープルリテーナ。
【実施例9】
【0074】
第1の突出部及び第2の突出部が、本体に対するラッチ部材の移動から独立して、本体に対して弾性的に偏向可能である、実施例8のいずれかに記載のステープルリテーナ。
【実施例10】
【0075】
ラッチ部材がラッチ位置に向かって弾性的に付勢されている、実施例8~9のいずれかに記載のステープルリテーナ。
【実施例11】
【0076】
ラッチ部材の第1の端部が本体に対して固定されており、ラッチ部材の第2の端部がラッチ位置と解放位置との間で本体に対して並進可能である、実施例8~9のいずれかに記載のステープルリテーナ。
【実施例12】
【0077】
ラッチ部材がジョーを含み、ジョーがラッチ位置と解放位置との間で本体に対して並進可能である、実施例8~9のいずれかに記載のステープルリテーナ。
【実施例13】
【0078】
本体が、ステープルリテーナがステープルカートリッジユニットのアパーチャ内に位置付けられるとステープルカートリッジユニットの特徴部を受容するように構成されたスロットを含み、ジョーが、特徴部がスロット内に配設されると特徴部を解放可能に捕捉するように構成されている、実施例12に記載のステープルリテーナ。
【実施例14】
【0079】
外科用ステープラとともに使用するために構成されたステープルカートリッジユニットであって、(a)複数の開口部を含むデッキを有するカートリッジハウジングと、(b)開口部内に配設された複数のステープルと、(c)複数のステープル形成ポケットを有するアンビルであって、アンビル及びデッキがそれらの間にアパーチャを画定する、アンビルと、(d)実施例1~13のいずれかに記載のステープルリテーナと、を備え、ステープルリテーナが、第1の本体側の第1の突出部及び第2の突出部がアンビルと接触し、かつ第2の本体側がデッキと接触するように、アパーチャ内に取り外し可能に位置付けられるように構成されている、ステープルカートリッジユニット。
【実施例15】
【0080】
外科用ステープラであって、(a)本体アセンブリと、(b)本体アセンブリから遠位に延在するシャフトアセンブリと、(c)シャフトアセンブリの遠位端にあるエンドエフェクタであって、(i)支持構造体と、(ii)支持構造体内に取り外し可能に取り付けられた請求項14に記載のステープルカートリッジユニットと、を備える、エンドエフェクタと、を備える、外科用ステープラ。
【実施例16】
【0081】
外科用ステープルユニットとともに使用するためのステープルリテーナであって、(a)第1の本体側及び第2の本体側を有する本体であって、本体が、ステープルカートリッジユニットのアンビルとデッキとの間に画定されたアパーチャ内に位置付けられるように構成されており、これにより、第1の本体側がアンビルと向かい合い、第2の本体側がデッキと向かい合うようになり、第2の本体側が、デッキ内に形成された開口部内にステープルを保持するように構成されている、本体と、(b)本体に連結されたラッチ部材であって、ラッチ部材がラッチ位置と解放位置との間で本体に対して移動可能であり、ラッチ位置で、ラッチ部材がステープルカートリッジユニットの細長いピンを捕捉し、それにより、ステープルカートリッジユニットに対してステープルリテーナを拘束するように構成されており、解放位置で、ラッチ部材が細長いピンを解放し、それにより、ステープルカートリッジユニットからのステープルリテーナの分離を可能にするように構成されている、ラッチ部材と、(c)第1の本体側に配設された弾性接触部材であって、弾性接触部材が、アンビルと接触し、かつ第2の本体側に向かって弾性的に偏向し、それにより、アンビルを第2の本体側及びデッキに平行に配向するように構成されている、弾性接触部材と、を備える、ステープルリテーナ。
【実施例17】
【0082】
弾性接触部材が弾性的に偏向可能なビームを備える、実施例16に記載のステープルリテーナ。
【実施例18】
【0083】
弾性接触部材が弾性的に偏向可能なビーム上に配設された複数の突出部を更に備え、突出部がアンビルと接触するように構成されている、実施例17に記載のステープルリテーナ。
【実施例19】
【0084】
外科用ステープラとともに使用するためのステープルカートリッジユニットであって、(a)カートリッジハウジングであって、(i)デッキと、(ii)デッキ内に形成された複数の開口部と、(iii)開口部内に配設された複数のステープルであって、開口部からデッキに対して位置付けられた組織内に駆動されるように構成されている、複数のステープルと、を含む、カートリッジハウジングと、(b)カートリッジハウジングに移動可能に連結されたアンビルであって、アンビルがステープルを形成するように構成された複数のポケットを含み、カートリッジハウジングがアンビルに向かって、かつそれから離れて並進可能である、アンビルと、(c)デッキとアンビルとの間に取り外し可能に位置付けられたステープルリテーナであって、(i)アンビルと向かい合う第1の本体側及びデッキと向かい合う第2の本体側を有する本体と、(ii)第1の本体側に配設された第1の突出部であって、第1の位置でアンビルと接触するように構成されている、第1の突出部と、(iii)第1の本体側に配設された第2の突出部であって、第1の位置から離間された第2の位置でアンビルと接触するように構成されている、第2の突出部と、を含む、ステープルリテーナと、を備え、第1の突出部又は第2の突出部のうちの少なくとも一方が第2の本体側に向かって弾性的に偏向可能である、ステープルカートリッジユニット。
【実施例20】
【0085】
ステープルカートリッジユニットが、カートリッジハウジングとアンビルとの間に延在する細長いピンを更に備え、カートリッジハウジングが、アンビルに向かって、かつそれから離れて細長いピンに沿って並進するように構成されており、ステープルリテーナが、細長いピンを解放可能に捕捉して、カートリッジハウジング及びアンビルに対して本体を拘束するように構成されている、実施例19に記載のステープルカートリッジユニット。
【0086】
III.その他
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる点が理解されるべきである。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して独立して考慮されるべきではない。本明細書の教示に照らして、本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法が、当業者には容易に明らかとなろう。かかる改変及び変形は、「特許請求の範囲」内に含まれるものとする。
【0087】
更に、本明細書に記載された教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上を、本願と同日出願の「Tissue Cutting Washer for Right Angle Surgical Stapler」と題する米国特許出願第号[代理人参照番号END9086USNP1];本願と同日出願の「Clamping Based Lockout Mechanism for Right Angle Surgical Stapler」と題する米国特許出願第号[代理人参照番号END9087USNP1];及び、本願と同日出願の「Cartridge Based Lockout Mechanism for Right Angle Surgical Stapler」と題する米国特許出願第号[代理人参照番号END9088USNP1](その開示は参照により本明細書に組み込まれる)の教示、表現、実施形態、実施例のいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせてもよい。
【0088】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、公報、又はその他の開示内容は、全体的に又は部分的に、組み込まれる内容が現行の定義、見解、又は本開示に記載されるその他の開示内容とあくまで矛盾しない範囲でのみ本明細書に組み込まれると理解されるべきである。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示内容は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾する任意の内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。
【0089】
上記の装置の変形例は、医療専門家により行われる従来の治療及び処置における用途のみではなく、ロボット支援された治療及び処置における用途をも有することができる。単に一例として、本明細書の様々な教示は、ロボット外科用システム、例えばIntuitive Surgical,Inc.(Sunnyvale,California)によるDAVINCI(商標)システムなどに容易に組み込まれ得る。同様に、当業者であれば、本明細書における様々な教示を、以下のうちのいずれかの様々な教示と容易に組み合わせることができることを認識するであろう:1998年8月11日に発行され、「Articulated Surgical Instrument For Performing Minimally Invasive Surgery With Enhanced Dexterity and Sensitivity」と題する米国特許第5,792,135号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)、2014年7月22日に発行され、「Robotically-Controlled Surgical End Effector System」と題する米国特許第8,783,541号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)、2013年7月9日に発行され、「Drive Interface for Operably Coupling a Manipulatable Surgical Tool to a Robot」と題する米国特許第8,479,969号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)、2014年8月12日に発行され、「Robotically-Controlled Cable-Based Surgical End Effectors」と題する米国特許第8,800,838号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は2013年11月5日に発行され、「Robotically-Controlled Surgical End Effector System with Rotary Actuated Closure Systems」と題する米国特許第8,573,465号(その開示は参照により本明細書に組み込まれる)。
【0090】
上述の装置の変形例は、1回の使用後に処分するように設計することができ、又はそれらは、複数回使用するように設計することができる。変形例は、いずれか又は両方の場合においても、少なくとも1回の使用後に再利用のために再調整され得る。再調整は、装置の分解工程、それに続く特定の部品の洗浄又は交換工程、及びその後の再組立工程の、任意の組み合わせを含み得る。特に、装置のいくつかの変形例は分解することができ、また、装置の任意の数の特定の部分若しくは部品を、任意の組み合わせで選択的に交換又は取り外してもよい。特定の部品の洗浄及び/又は交換後、装置のいくつかの変形例を、再調整用の施設において、又は処置の直前にユーザによってのいずれかで、その後の使用のために再組み立てすることができる。当業者であれば、装置の再調整において、分解、洗浄/交換、及び再組立のための様々な技術を利用することができることを理解するであろう。かかる技術の使用、及び結果として得られる再調整された装置は、全て本発明の範囲内にある。
【0091】
単に一例として、本明細書に記載される変形例は、処置の前及び/又は後に滅菌されてもよい。1つの滅菌技術では、装置をプラスチック製又はTYVEK製のバックなど、閉鎖及び封止された容器に入れる。次いで、容器及び装置を、γ線、X線、又は高エネルギー電子線などの、容器を透過し得る放射線場に置いてもよい。放射線は、装置上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次いで、滅菌された装置を、後の使用のために、滅菌容器内に保管してもよい。β線若しくはγ線、エチレンオキシド、又は水蒸気が挙げられるがこれらに限定されない、当該技術分野で既知のその他の任意の技術を用いて、装置を滅菌してもよい。
【0092】
以上、本発明の様々な実施形態を示し、記載したが、当業者による適切な改変により、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適合化を実現することができる。かかる可能な改変のうちのいくつかについて述べたが、他の改変も当業者には明らかになるであろう。例えば、上記の実施例、実施形態、形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであって、必須のものではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲の観点から考慮されるべきものであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び動作の細部に限定されないものとして理解される。
【0093】
〔実施の態様〕
(1) 外科用ステープルカートリッジユニットとともに使用するためのステープルリテーナであって、
(a)第1の本体側及び第2の本体側を有する本体であって、前記本体が、前記ステープルカートリッジユニットのアンビルとデッキとの間に画定されたアパーチャ内に位置付けられるように構成されており、これにより、前記第1の本体側が前記アンビルと向かい合い、前記第2の本体側が前記デッキと向かい合うようになり、前記第2の本体側が、前記デッキ内に形成された開口部内にステープルを保持するように構成されている、本体と、
(b)前記第1の本体側に配設された第1の突出部であって、第1の位置で前記アンビルと接触するように構成されている、第1の突出部と、
(c)前記第1の本体側に配設された第2の突出部であって、前記第1の位置から離間された第2の位置で前記アンビルと接触するように構成されている、第2の突出部と、を備え、
前記ステープルリテーナが前記ステープルカートリッジユニットの前記アパーチャ内に位置付けられたことに応じて、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記第2の本体側に向かって弾性的に偏向するように構成されており、
前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記第2の本体側と協働して、前記アンビルと前記デッキとの間の所定の距離を維持するように構成されている、ステープルリテーナ。
(2) 前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記本体の長さに沿って離間されている、実施態様1に記載のステープルリテーナ。
(3) 前記第1の本体側に連結された弾性的に偏向可能なビームを更に備え、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記ビーム上に配設されている、実施態様1に記載のステープルリテーナ。
(4) 前記ステープルリテーナが接触面に沿って前記アンビルと接触するように構成されており、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が協働して前記接触面を画定する、実施態様1に記載のステープルリテーナ。
(5) 前記第1の突出部及び前記第2の突出部が、前記接触面が前記第2の本体側及び前記デッキに平行になるように前記アンビルを配向するように構成されている、実施態様4に記載のステープルリテーナ。
【0094】
(6) 前記ステープルリテーナが第1のステープルカートリッジユニットの第1のアパーチャ内に位置付けられると、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記本体に対して第1の偏向された状態を弾性的に呈するように構成されており、前記ステープルリテーナが第2のステープルカートリッジユニットの第2のアパーチャ内に位置付けられると、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が、前記本体に対して第2の偏向された状態を弾性的に呈するように構成されており、前記第1のアパーチャと前記第2のアパーチャのサイズが異なる、実施態様1に記載のステープルリテーナ。
(7) 前記第1の本体側が細長い開口部を含み、前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記細長い開口部内に移動可能に配設されている、実施態様1に記載のステープルリテーナ。
(8) 前記本体に連結されたラッチ部材を更に備え、前記ラッチ部材がラッチ位置と解放位置との間で前記本体に対して移動可能であり、前記ラッチ位置で、前記ラッチ部材が前記ステープルカートリッジユニットの特徴部を捕捉し、それにより、前記ステープルカートリッジユニットに対して前記ステープルリテーナを拘束するように構成されており、前記解放位置で、前記ラッチ部材が前記特徴部を解放し、それにより、前記ステープルカートリッジユニットからの前記ステープルリテーナの分離を可能にするように構成されている、実施態様1に記載のステープルリテーナ。
(9) 前記第1の突出部及び前記第2の突出部が、前記本体に対する前記ラッチ部材の移動から独立して、前記本体に対して弾性的に偏向可能である、実施態様8に記載のステープルリテーナ。
(10) 前記ラッチ部材が前記ラッチ位置に向かって弾性的に付勢されている、実施態様8に記載のステープルリテーナ。
【0095】
(11) 前記ラッチ部材の第1の端部が前記本体に対して固定されており、前記ラッチ部材の第2の端部が前記ラッチ位置と前記解放位置との間で前記本体に対して並進可能である、実施態様8に記載のステープルリテーナ。
(12) 前記ラッチ部材がジョーを含み、前記ジョーが前記ラッチ位置と前記解放位置との間で前記本体に対して並進可能である、実施態様8に記載のステープルリテーナ。
(13) 前記本体が、前記ステープルリテーナが前記ステープルカートリッジユニットの前記アパーチャ内に位置付けられると前記ステープルカートリッジユニットの前記特徴部を受容するように構成されたスロットを含み、前記ジョーが、前記特徴部が前記スロット内に配設されると前記特徴部を解放可能に捕捉するように構成されている、実施態様12に記載のステープルリテーナ。
(14) 外科用ステープラとともに使用するために構成されたステープルカートリッジユニットであって、
(a)複数の開口部を含むデッキを有するカートリッジハウジングと、
(b)前記開口部内に配設された複数のステープルと、
(c)複数のステープル形成ポケットを有するアンビルであって、前記アンビル及び前記デッキがそれらの間にアパーチャを画定する、アンビルと、
(d)実施態様1に記載のステープルリテーナと、を備え、
前記ステープルリテーナが、前記第1の本体側の前記第1の突出部及び前記第2の突出部が前記アンビルと接触し、かつ前記第2の本体側が前記デッキと接触するように、前記アパーチャ内に取り外し可能に位置付けられるように構成されている、ステープルカートリッジユニット。
(15) 外科用ステープラであって、
(a)本体アセンブリと、
(b)前記本体アセンブリから遠位に延在するシャフトアセンブリと、
(c)前記シャフトアセンブリの遠位端にあるエンドエフェクタであって、
(i)支持構造体と、
(ii)前記支持構造体内に取り外し可能に取り付けられた実施態様14に記載のステープルカートリッジユニットと、を備える、エンドエフェクタと、を備える、外科用ステープラ。
【0096】
(16) 外科用ステープルカートリッジユニットとともに使用するためのステープルリテーナであって、
(a)第1の本体側及び第2の本体側を有する本体であって、前記本体が、前記ステープルカートリッジユニットのアンビルとデッキとの間に画定されたアパーチャ内に位置付けられるように構成されており、これにより、前記第1の本体側が前記アンビルと向かい合い、前記第2の本体側が前記デッキと向かい合うようになり、前記第2の本体側が、前記デッキ内に形成された開口部内にステープルを保持するように構成されている、本体と、
(b)前記本体に連結されたラッチ部材であって、前記ラッチ部材がラッチ位置と解放位置との間で前記本体に対して移動可能であり、前記ラッチ位置で、前記ラッチ部材が前記ステープルカートリッジユニットの細長いピンを捕捉し、それにより、前記ステープルカートリッジユニットに対して前記ステープルリテーナを拘束するように構成されており、前記解放位置で、前記ラッチ部材が前記細長いピンを解放し、それにより、前記ステープルカートリッジユニットからの前記ステープルリテーナの分離を可能にするように構成されている、ラッチ部材と、
(c)前記第1の本体側に配設された弾性接触部材であって、前記弾性接触部材が、前記アンビルと接触し、かつ前記第2の本体側に向かって弾性的に偏向し、それにより、前記アンビルを前記第2の本体側及び前記デッキに平行に配向するように構成されている、弾性接触部材と、を備える、ステープルリテーナ。
(17) 前記弾性接触部材が弾性的に偏向可能なビームを備える、実施態様16に記載のステープルリテーナ。
(18) 前記弾性接触部材が前記弾性的に偏向可能なビーム上に配設された複数の突出部を更に備え、前記突出部が前記アンビルと接触するように構成されている、実施態様17に記載のステープルリテーナ。
(19) 外科用ステープラとともに使用するためのステープルカートリッジユニットであって、
(a)カートリッジハウジングであって、
(i)デッキと、
(ii)前記デッキ内に形成された複数の開口部と、
(iii)前記開口部内に配設された複数のステープルであって、前記開口部から前記デッキに対して位置付けられた組織内に駆動されるように構成されている、複数のステープルと、を含む、カートリッジハウジングと、
(b)前記カートリッジハウジングに移動可能に連結されたアンビルであって、前記アンビルが前記ステープルを形成するように構成された複数のポケットを含み、前記カートリッジハウジングが前記アンビルに向かって、かつそれから離れて並進可能である、アンビルと、
(c)前記デッキと前記アンビルとの間に取り外し可能に位置付けられたステープルリテーナであって、
(i)前記アンビルと向かい合う第1の本体側及び前記デッキと向かい合う第2の本体側を有する本体と、
(ii)前記第1の本体側に配設された第1の突出部であって、第1の位置で前記アンビルと接触するように構成されている、第1の突出部と、
(iii)前記第1の本体側に配設された第2の突出部であって、前記第1の位置から離間された第2の位置で前記アンビルと接触するように構成されている、第2の突出部と、を含む、ステープルリテーナと、を備え、
前記第1の突出部又は前記第2の突出部のうちの少なくとも一方が前記第2の本体側に向かって弾性的に偏向可能である、ステープルカートリッジユニット。
(20) 前記ステープルカートリッジユニットが、前記カートリッジハウジングと前記アンビルとの間に延在する細長いピンを更に備え、前記カートリッジハウジングが、前記アンビルに向かって、かつそれから離れて前記細長いピンに沿って並進するように構成されており、前記ステープルリテーナが、前記細長いピンを解放可能に捕捉して、前記カートリッジハウジング及び前記アンビルに対して前記本体を拘束するように構成されている、実施態様19に記載のステープルカートリッジユニット。