(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】風力タービン用発電機に関する改良
(51)【国際特許分類】
F03D 80/50 20160101AFI20240401BHJP
F03D 13/10 20160101ALI20240401BHJP
F03D 80/80 20160101ALI20240401BHJP
H02K 7/18 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
F03D80/50
F03D13/10
F03D80/80
H02K7/18 Z
(21)【出願番号】P 2021564733
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(86)【国際出願番号】 DK2020050088
(87)【国際公開番号】W WO2020221402
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2023-02-08
(32)【優先日】2019-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】514130633
【氏名又は名称】ヴェスタス ウィンド システムズ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ランバート クロー,ラース
(72)【発明者】
【氏名】モンゴー,ピーター
(72)【発明者】
【氏名】コフマン,ヨリス
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0291415(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0298330(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F03D 80/50
F03D 13/10
F03D 80/80
H02K 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力タービン用の発電機(24)であって、
ステータ(36)
が半径方向外側位置に、回転軸(R)の周りに配置され、中央中空部分を画定する円筒形リング構造体(46)を備えるロータ(32)を半径方向内側位置に収容する発電機ハウジング(33)を備え
前記発電機ハウジング(33)に取り付けられ、前記回転軸(R)の周りに延在するロータシュラウド(70)をさらに備え、前記ロータシュラウド(70)は、前記ロータ(32)の前記円筒形リング構造体(46)を保護するように、前記ロータ(32)の前記中央中空部分内に延在するドーム部分(72)を含
み、前記ロータシュラウド(70)は、前記回転軸(R)に沿った一方の端部のみで前記発電機ハウジング(33)に接続され、前記ドーム部分(72)は該端部で片持ち支持されている、風力発電タービン用の発電機。
【請求項2】
前記ロータシュラウド(70)が、前記ドーム部分(72)から半径方向外側に広がるフランジ部分(74)を含む、請求項1に記載の発電機。
【請求項3】
前記フランジ部分(74)は前記ハウジング(33)に固定されている、請求項2に記載の発電機。
【請求項4】
一つ以上の固定用ブラケット(110)が、前記フランジ部分(74)を前記ハウジング(33)に固定するように、前記フランジ部分と前記ハウジングのそれぞれの領域とに重なる、請求項3に記載の発電機。
【請求項5】
前記フランジ部分(74)は、中央開口(80)を画定する前記ハウジング(33)の環状フランジ(82)に固定される、請求項3又は4に記載の発電機。
【請求項6】
前記ロータシュラウド(70)が複数の分離可能な部分(93)を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項7】
前記ロータシュラウド(70)は、その半径方向内側に面する表面に1つ以上のチャネル(92)を画定するように形成されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項8】
前記ドーム部分(72)が開口(88)を画定する、請求項1から7のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項9】
前記開口(88)が前記回転軸(R)の周りに延在する、請求項8に記載の発電機。
【請求項10】
前記ロータシュラウド(70)は、前記ドーム部分(72)の前記開口(88)が前記ロータの駆動構成要素(44)に近接して配置されるように構成される、請求項8又は9に記載の発電機。
【請求項11】
前記ドーム部分(72)の前記開口(88)が、前記ロータの前記駆動構成要素(44)との所定の隙間を画定する、請求項10に記載の発電機。
【請求項12】
前記シュラウド(70)は、少なくとも部分的に光学的に透明な材料から作られている、請求項1から
11のいずれか一項に記載の発電機。
【請求項13】
発電機アセンブリ(20)であって、
ギアボックス(22)と、
請求項1から
12のいずれかに記載の発電機(24)と
を備え、
前記ギアボックス(22)の出力シャフトは、前記回転軸(R)と同軸である、発電機アセンブリ。
【請求項14】
風力タービンであって、
風力タービンタワー(2)と、
前記タワーに回転可能に連結されたナセル(4)と、
前記ナセルに取り付けられた回転ハブ(8)と、
前記ハブに連結された複数の風力タービンブレード(10)とを備え、
前記風力タービンは、請求項1から
12のいずれか一項に記載の発電機(24)又は請求項
13に記載の発電機アセンブリ(20)を備える、風力タービン。
【請求項15】
風力タービン用発電機を組み立てる方法であって、
ステータ(36)
が半径方向外側位置に、回転軸(R)の周りに配置され、中央中空部分を画定する円筒形リング構造体(46)を備えるロータ(32)を半径方向内側位置に収容する発電機ハウジング(33)を備える、発電機(24)を提供することと、
半径方向外側フランジ部分(74)と、前記フランジ部分(74)から立設した半径方向内側ドーム部分(72)とを含むロータシュラウド(70)を提供することと、
前記回転軸(R)が略垂直になるように前記発電機を方向付けることと、
前記ロータシュラウド(70)の前記ドーム部分(72)が、前記ロータ(32)の前記中央中空部分(49)と一致するように、前記ロータシュラウド(70)を前記発電機(24)と位置合わせすることと、
前記ロータシュラウド(70)の前記ドーム部分(72)が前記ロータ(32)の前記中央中空部分(49)内に受け入れられるように、前記発電機(24)と前記ロータシュラウド(70)とを相対的に移動させることと、
前記ドーム部分(72)が前記回転軸(R)に沿った一方の端部で片持ち支持されるように、前記ロータシュラウド(70)の前記フランジ部分(74)を前記発電機ハウジング(33)に固定することと、を含む方法。
【請求項16】
前記ロータシュラウド(70)を提供する
ことは、前記ロータシュラウド(70)を基部(100)に配置することを含み、
前記発電機と前記ロータシュラウド(70)とを相対的に移動させる前に、前記発電機(24)は、前記ロータシュラウドの上方に支持されており、
前記発電機(24)を前記ロータシュラウド(70)に対して移動させる
ことは、前記発電機(24)を前記ロータシュラウド(70)の方へ移動させることを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記発電機(24)を提供する
ことは、前記発電機を基部(100)に配置することを含み、
前記発電機と前記ロータシュラウドとを相対的に移動させる前に、前記ロータシュラウド(70)は、前記発電機(24)の上方に支持され、
前記発電機(24)を前記ロータシュラウド(70)に対して移動させる
ことは、前記ロータシュラウド(70)を前記発電機(24)の方へ移動させることを含む、請求項
15に記載の方法。
【請求項18】
前記基部(100)が整列形成部を含む、請求項
16又は
17に記載の方法。
【請求項19】
前記フランジ部分(74)を前記発電機ハウジング(33)に固定することは、一つ以上のブラケット(110)を前記発電機ハウジング(33)に位置決めし、前記ブラケット(110)は、前記発電機ハウジング(33)のそれぞれの領域及び前記ロータシュラウド(70)の前記フランジ部分(74)の隣接する領域の上に置かれ、前記ブラケット(110)を前記発電機ハウジング(33)と前記フランジ部分(74)に固定することをさらに含む、請求項
15から
18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記ブラケット(110)は、前記発電機ハウジング(33)の外壁の開口(114)を通してアクセスされる前記発電機ハウジング(33)の領域に配置される、請求項
19に記載の方法。
【請求項21】
前記ブラケット(110)が、前記発電機ハウジング(33)の軸方向に向いたフランジ開口(80)に配置される、請求項
19又は
20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保守要員によってより良好に保守されるように構成された風力タービン用発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、風力タービンは、多数のロータブレードを担持するロータを用いて、風からの運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。典型的な水平軸風力発電機(HAWT)は、タワーと、タワーの上部のナセルと、ナセルに取り付けられた回転ハブ又は「ロータ」と、ハブに連結された複数のロータブレードとを含む。ナセルは、発電機、ギアボックス、ドライブトレイン及びロータブレーキアセンブリを含む風力タービンの多くの機能的構成要素、並びにロータの機械的エネルギーを電気エネルギーに変換して送電網に供給するための変換装置を収容する。ギアボックスは低速のメインシャフトの回転速度を上げ、ギアボックス出力シャフトを駆動する。ギアボックス出力シャフトは発電機を駆動し、発電機はギアボックス出力シャフトの回転を電力に変換する。次いで、発電機によって生成された電力は、適切な消費者、例えば電力網分配システムに供給される前に、必要に応じて変換され得る。
【0003】
発電機はシステムの重要な構成要素であり、風力タービンメーカーは、より効率的で、より堅牢で、適切な資格を持つ技術者によってより容易に保守される発電機技術の開発に多額の投資をしている。発電所規模の風力タービンに使用される発電機は、非常に大型で重いもので、高電圧と強磁場を発生させる。そのため、技術者が作業を行うには厳しい環境を提示し、それらの技術者の安全を確保するために厳格な手順を確立し、それに従わなければならない。特に永久磁石発電機では、静電発電機に存在する強力な磁場は、金属工具が発電機の磁化領域に強く引き付けられる可能性があるので、金属工具を備えた環境で作業する必要がある保守技術者にとって重大な問題を引き起こす可能性がある。
【0004】
このような背景のもと、本発明は考案された。
【発明の概要】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、発電機ハウジングと、半径方向外側位置にあるステータと、半径方向内側位置にあるロータとを備える風力タービン用発電機が提供され、ロータは、回転軸Rの周りに配置され、中央中空部分を画定する円筒形リング構造体を備える。発電機は、発電機ハウジングに取り付けられ、回転軸Rの周りに延在するロータシュラウドをさらに含み、ロータシュラウドは、ロータの円筒形リング構造体を保護するようにロータの中央中空部分内に延在するドーム部分を含む。
【0006】
有利には、ロータシュラウドは、ツールのような物体がロータの構成要素に接触するのを防止するように、発電機の中央中空部分に延在するトンネル状表面を提供する。
【0007】
好ましくは、ロータシュラウドは、ドーム部分から半径方向外側に広がるフランジ部分を含むことができる。従って、フランジ部分は、ロータシュラウドを発電機ハウジングの適切な点に接続し、従って、ドーム部分を片持ちばり状に支持するために使用することができる。
【0008】
フランジ部分は発電機ハウジングに単に当接することができるが、より強固で信頼性のある接続を確保するためにフランジ部分はハウジングに固定されることが好ましい。1つのオプションは、フランジ部分をハウジングに固定するために、フランジ部分とハウジングの各領域とに重なる1つ以上の固定用ブラケットを設けることである。このため、摩耗などの理由で必要であれば、固定用ブラケットを交換することができるのが便利である。より具体的には、一実施形態では、フランジ部分は、中央開口を画定するハウジングの環状フランジに固定される。このような固定構成は、ドーム部分が中央開口内の中央に位置することを確保するのに役立つ。
【0009】
ロータシュラウドは、単一の構成要素として製造することができる。しかしながら、有益な実施形態では、ロータシュラウドは、複数の分離可能な部分を含む。これらの分離可能なセクションは同一であってもよい。従って、ロータシュラウドは、製造及び輸送が容易である。
【0010】
ロータシュラウドは、滑らかな半径方向内側表面を画定することができるが、一実施形態では、ロータシュラウドは、半径方向内側に向いている表面に1つ以上のチャネルを画定するように形成される。これらのチャネルは、漏れた潤滑油のような流体を所定の流出ポイントに導くように作用し得る。加えて、又は代替的に、シュラウドの反対側にある適切な容器に流体を集めるために、所定の位置でロータシュラウドを通過させるための排水口が設けられてもよい。
【0011】
一実施形態では、ドーム部分は開口を画定する。開口は、ロータシュラウドの表面を越えた領域への保守要員へのアクセスを提供することができる。また、開口は、他の発電機構成要素がシュラウドを通って延在することができるチャネルとして機能することができる。例えば、シャフト、ブレーキディスク、又はロータに関連する他の回転構成要素は、開口を通って延在することができる。このような場合、開口は、ロータの回転軸の周りに延在することができる。
【0012】
特定の一実施形態では、ロータシュラウドは、ドーム部分の開口がロータの駆動構成要素の近位に配置されるように構成される。この位置決めは、シュラウドと駆動構成要素との間に、例えば約5mmから20mmの間の所定の隙間が存在するようにすることができ、この隙間は、空気流が発電機の中心を通過するのを防止する傾向があり、その代わりに、冷却空気流がシュラウドの外側の環状間隙の周りを流れてロータの空気流冷却を促進する。
【0013】
別の態様では、本発明は、風力タービン用発電機を組み立てる方法であって、
発電機ハウジングを備え、前記発電機ハウジングは、外側位置にステータを、内側位置にロータを収容し、前記ロータは、中央中空部分を画定するように回転軸(R)の周りに配置された円筒形リング構造体を備える、発電機を提供することと、
半径方向外側フランジ部分と、前記フランジ部分から立設した半径方向内側ドーム部分とを含むロータシュラウドを提供することと、
前記回転軸(R)が略垂直になるように発電機を方向付けることと、
前記ロータシュラウドの前記ドーム部分が、前記ロータの前記中央中空部分と一致するように、前記ロータシュラウドを前記発電機と位置合わせすることと、
前記ロータシュラウドの前記ドーム部分が前記ロータの前記中央中空部分内に受け入れられるように、前記発電機と前記ロータシュラウドとを相対的に移動させることと、
前記ロータシュラウドの前記フランジ部分を前記発電機ハウジングに固定することと、を含む方法である。
【0014】
ロータシュラウドを発電機内に組み立てるこの方法は、シュラウドと発電機の内部容積との間の位置合わせを確実にし、シュラウドが発電機ハウジングに固定される前に最終位置に有効に位置決めされることを確実にするための便利で効果的なアプローチである。発電機とロータを垂直方向に整列させることにより、ロータシュラウドが自重で変形するのを防ぐことができる。これにより、ロータシュラウドが中空部分に正確に嵌合し、容易に位置を固定することができる。
【0015】
一実施形態では、ロータシュラウドを提供するステップは、ロータシュラウド、特にフランジ部分を基部に配置するステップを含む。
【0016】
ここで、ロータシュラウドは、比較的低い位置で基部に支持され、発電機は、発電機とロータシュラウドとを相対的に移動させる前に、ロータシュラウドの上方に支持される。2つの構成要素を一緒にするために、発電機をロータシュラウドの方へ移動させてもよい。
【0017】
代替的な実施形態では、発電機を提供するステップは、基部に発電機を配置することを含む。基部は、例えば、輸送パレットであってもよいし、組立ホールの床面であってもよい。この実施形態では、ロータシュラウドは、発電機とロータシュラウドとを相対的に移動させる前に、発電機の上方に支持される。2つの構成要素を一緒にするために、ロータシュラウドを発電機の方へ移動させてもよい。
【0018】
これらの実施形態のいずれにおいても、ロータシュラウドを1回の動作で発電機の中に移動させる必要はない。例えば、途中まで発電機をロータシュラウドの上に下降させ、その時点で下降を停止させることができる。次いで、発電機及び/又はロータシュラウドの位置の制御を別の機構に変更することができる。例えば、ロータシュラウドは、発電機内の最終位置に係合するまで、油圧機構によって持ち上げられる。このようなアプローチにより、組立作業者は、2つの構成要素の最終的な位置決めをより正確に制御することができる。
【0019】
基部は、問題の実施形態に応じて、シュラウド又は発電機が、それらの構成要素が互いに向かって移動するときに、それらの対応する構成要素と整列するような整列形成部を含むことができる。これは、組立工程中にロータシュラウド又は発電機が位置から外れることを防止する。
【0020】
一実施形態では、フランジ部分を発電機ハウジングに固定することは、発電機ハウジングに1つ以上のブラケットを位置決めすることであって、前記ブラケットは、発電機ハウジングのそれぞれの領域及びロータシュラウドのフランジ部分の隣接する領域を覆うことと、ブラケットをジェネレータハウジングとフランジ部分に固定することとを含む。このような構成は、ブラケットを任意の位置に配置することで、ハウジング内の他の構成要素の配置に対応することができるため、ロータシュラウドを発電機ハウジングに固定するための特に柔軟な取り付けスキームを提供する。
【0021】
好ましくは、固定領域へのアクセスを可能にするために、ブラケットは、発電機ハウジングの外壁の開口を通してアクセスされる発電機ハウジングの領域に配置される。ブラケットは、発電機ハウジングの軸方向に向いたフランジ開口に配置することができる。
【0022】
本発明の別の態様によれば、実質的に上記のような発電機アセンブリが提供される。
【0023】
本発明の別の態様によれば、実質的に上記のような発電機アセンブリを備える風力タービンが提供される。特に、風力タービンは、風力タービンタワーと、タワーに回転可能に連結されたナセルと、ナセルに取り付けられた回転ハブと、ハブに連結された複数の風力タービンブレードとを備える。ナセルは、発電機アセンブリを含む。
【0024】
本出願の範囲内で、特許請求の範囲及び/又は以下の説明及び図面、特にその個々の特徴において、前段落に記載された様々な態様、実施形態、実施例及び代替例が、独立して又は任意の組み合わせで採用され得ることが明示的に意図される。すなわち、任意の実施形態のすべての実施形態及び/又は特徴は、そのような特徴が両立しない場合を除き、任意の方法及び/又は組み合わせで組み合わせることができる。出願人は、当初に提出された請求項を変更する権利又はそれに応じて新たな請求項を提出する権利を留保する。これには、当初に提出された請求項がそのような方法で請求されていないにもかかわらず、他の請求項に従属し、及び/又は、その特徴を組み込むように補正する権利を含む。
【0025】
本発明の上記及び他の態様を、以下の添付図面を参照して、一例としてのみ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態による発電機アセンブリを実施することができる風力タービンの概略図である。
【
図2】
図1の風力タービンナセル内に位置する様々な機能的発電構成要素の概略図である。
【
図3】
図2に示した発電機の斜視図であり、本発明の一実施形態に係るロータカウル又はシュラウドを示す。
【
図5】発電機へのロータシュラウドの組立を示す一連の図である。
【
図6】発電機へのロータシュラウドの組立を示す一連の図である。
【
図7】発電機へのロータシュラウドの組立を示す一連の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
異なる図面で同一又は類似の特徴は、同様の参照記号で示される。
【0028】
次に、本発明の特定の実施形態について説明し、特許請求の範囲に定義された発明の概念を完全に理解するために、多くの特徴を詳細に説明する。しかし、当業者には明らかなように、本発明は特定の詳細なしに実施することができ、また、本発明を不必要に不明瞭にしないために、周知の方法、技術及び構造を詳細に説明していない場合もある。
【0029】
本発明の実施形態を適切な文脈に置くために、まず、本発明の実施形態による発電アセンブリを実施することができる典型的な水平軸風力タービン(HAWT)を示す
図1を参照する。この特定の画像は陸上風力タービンを示しているが、同様の特徴が洋上風力タービンにも見られることは理解されよう。さらに、このような風力タービンは「水平軸」と称されるが、実用上、強風時にロータブレードと風力タービンタワーとの接触を防止するために、軸は通常、わずかに傾斜していることが当業者には理解されよう。
【0030】
上述したように、風力タービン1は、タワー2と、タワー2の頂部にヨーシステム(不図示)によって回転可能に連結されたナセル4と、ナセル4に取り付けられた回転ハブ又はロータ8と、ハブ8に連結された複数の風力タービンロータブレード10とを備える。ナセル4及びロータブレード10は、ヨーシステムにより旋回して風向方向に向けられる。
【0031】
図2を参照すると、ナセル4は、ギアボックス22及び発電機24を含む発電アセンブリ20を含む。メインシャフト26は、メインベアリングハウジング25に支持され、ロータ8に連結されて駆動され、ギアボックス22に入力駆動を与える。ギアボックス22は、内部ギヤ(不図示)を介して低速メインシャフト26の回転速度を上げ、ギアボックス出力シャフト(不図示)を駆動する。ギアボックス出力シャフトは、次に、発電機24を駆動し、発電機は、ギアボックス出力シャフトの回転を電力に変換する。次いで、発電機24によって生成された電力は、適切な消費者、例えば、電力網分配システムに供給される前に、必要に応じて他の構成要素(不図示)によって変換されてもよい。ギアボックスを使用しない、いわゆる「直接駆動」風力タービンも知られている。直接駆動風力タービンでは、発電機はロータに接続されたシャフトによって直接駆動される。いわゆる「ピッチチューブ」27は、ハブに油圧及び電気の一方又は両方を提供するために、発電機24及びギアボックス22の中心に沿って通るように配置されてもよい。従って、ピッチチューブ27は、参照符号「R」で示されるように、風力タービン駆動ラインの回転軸と同軸である。
【0032】
ギアボックス22及び発電機24は、一体化されたユニット内で一緒に結合されて、発電アセンブリ20を形成することができる。このような一体化されたユニットを
図2に示すが、ギアボックスと発電機を一体化する必要はなく、代わりに軸方向に分離することができることに留意されたい。
【0033】
ギアボックス22を一般的に参照すると、ギアボックス・ハウジング30は、形状がほぼ円筒形であり、その主要回転軸が図面の向きで水平になるように方向付けられている。ギアボックス・ハウジング30の円筒形状は、図示された実施形態で使用される特定のタイプのギアボックス、すなわち遊星式ギアボックスによる。当業者が知っているように、遊星式ギアボックスは、中央の太陽ギアの周りに配置された一連の遊星ギアを備え、これらの遊星ギアは、環状のリングギア内に集合的に配置される。リングギア、遊星ギア、及び太陽ギア間の歯数の比率によって、ギアボックスのギア比が決まる。ギアボックスは本発明の主要な対象ではないため、分かりやすくするために、ここではギアボックスの詳細についてはこれ以上説明しない。遊星ギアボックスは風力タービンナセルの拘束に適した的確な解決策を提供するということが現在想定されているが、他のギアボックス構成も使用可能であると言うに十分である。
【0034】
次に、発電機24の構成要素をより明確に示す
図3及び
図4を参照して、発電機24の詳細を説明する。ここで、簡潔かつ明瞭にするために、発電機のいくつかの構成要素は、この議論の焦点から逸脱しないように図示又は説明されていないことに留意されたい。例えば、発電機24がギアボックスに連結される駆動シャフトは図示されていない。
【0035】
しかし、ギアボックス22の出力シャフトは、発電機24のロータ32と接続することに留意されたい。従って、ギアボックス出力シャフトの長軸は、発電機24の回転軸を規定し、この回転軸は、ピッチチューブ27の水平経路と一致する。
【0036】
図示の実施形態における発電機24は、ロータ32を囲む外部ステータ36を有するIPM(内部永久磁石)電気機械である。「外部」とは、ロータがステータの外部にある発電機設計と比較して、ステータ36がロータ32に対して半径方向外側の位置にあり、ロータを取り囲むことを意味する。発電機24の能動構成要素は、この実施形態では立方体状の発電機ハウジング33内に収容される。
【0037】
ステータ36は、ステータ巻線38と、ステータコア40と、ステータ巻線38及びステータコア40を包囲及び支持するステータフレーム(
図3及び
図4には不図示)とを含む。ここで、本発明は、ここに示すステータの特定の構成に限定されないことに留意されたい。
【0038】
前述したように、発電機24は「外部ステータ」発電機として知られるタイプであり、ロータ32は回転軸Rに対してステータ36の半径方向内側にある。このようにして、ロータ32は、ステータ36によって画定される円筒形容積内で回転する。ロータ32は、非駆動端部及び駆動端部を有する発電機ロータアセンブリ42を含む。非駆動端部は風力タービン駆動系から離れているのに対し、駆動端部は駆動系に向かっているため、使用時にはギアボックスに結合するロータ32の端部となる。発電機ロータアセンブリ42の駆動端部は、
図3において最も明瞭に見ることができ、ギアボックスシャフトからの構成要素駆動が発電機ロータアセンブリ42に伝達されるロータシャフトカップリング44の形態の駆動構成要素によって画定される。
【0039】
図4をさらに詳細に参照すると、発電機ロータアセンブリ42は、回転軸Rの周りを回転するように配置された円筒形リング構造体46で構成される。
【0040】
円筒形リング構造体46は、複数の永久磁石パッケージ48を備える。本実施形態では、永久磁石パッケージ48は、全て同じ円周及び厚さである。いくつかの実施形態において、永久磁石パッケージ48の厚さは、互いに変化し得る。例えば、ロータ32は、二つの異なる厚さの永久磁石パッケージ48が交互に配置された、異なる厚さの永久磁石パッケージ48を含むことができる。永久磁石パッケージ48は、回転軸Rの周りに同軸に配置され、組み立てられたとき、永久磁石パッケージ48の配置は、構造体の半径方向内側に中央中空部分49を有する円筒構造を画定する。永久磁石パッケージ48は、永久磁石パッケージ48の各対の間に隙間が画定されるように、等しい距離だけ離間される。これらの隙間は、発電機の中心に供給された空気がロータ構造を通って流れ、発電機ロータアセンブリ42、並びにロータアセンブリ42の半径方向外側に位置する部品を含む発電機の他の部品を冷却することを可能にする。この空気流は、ロータアセンブリ42のための構造及び支持を提供するために中心ハブを必要としないという事実によってさらに強化される。
【0041】
円筒形リング構造体46は、両端部パッケージと、それらの間に設けられた複数の永久磁石パッケージ48とによって画定される。両端部パッケージは、円筒形リング構造体46の両端に配置された第一端部パッケージ50及び第二端部パッケージ52を含む。
図4に示すように、第一端部パッケージ50は、円筒形リング構造体46の非駆動端部に位置し、第二端部パッケージ52は、円筒形リング構造体46の駆動端部に位置する。
【0042】
端部パッケージ50、52は、円筒形リング構造体46内の他の永久磁石パッケージ48と同様に、円筒形リング構造体46の端部に設けられていることを除いて、一般的には単なる通常の永久磁石パッケージであることを理解されたい。或いは、一方又は両方の端部パッケージは、他の永久磁石パッケージ48よりも大きな厚さを有してもよい。端部パッケージ50、52は、発電機の他の部分への円筒形リング構造体46の接続、又は円筒形リング構造体46の外面を覆うコーティングを可能にするための追加の特徴をさらに含むことができる。
【0043】
永久磁石パッケージ48及び端部パッケージ50、52は、発電機の非駆動端部に位置する第一端部リング54と、発電機の駆動端部に位置する第二端部リング56との間の圧縮によって適所に保持される。複数のタイロッド58は、永久磁石パッケージ48の周りに円周方向に配置され、その中に画定されたそれぞれのタイロッド孔を通って延在する。タイロッド58のそれぞれの端部のスプリングパック59は、端部リング54、56に当接して、これらと永久磁石パッケージ48とを圧縮状態に置く。端部リング間で磁石パッケージ48を圧縮するこの構成は、様々な構成要素間の相対的な移動を防止する固体アセンブリを形成する。
【0044】
発電機ロータアセンブリ42は発電機ロータハブ60を含み、これにより、ロータアセンブリ42の磁気的に活性な部分がギアボックス駆動シャフトに連結される。これは、ロータシャフトカップリング44を画定するために半径方向内側に延在する発電機ロータハブ60に接続されるか、又はこれと一体である第二端部リング54によって達成される。発電機ロータハブ60の正確な詳細は、本発明の中心ではない。しかしながら、発電機ロータハブ60の主な機能は、半径方向内側位置にあるロータシャフトカップリング44と半径方向外側位置にある第二端部リング54との間の機械的接続を提供することであることを理解されたい。ロータシャフトカップリング44は、永久磁石パッケージ48によって周囲が囲まれた円筒形体積内において軸方向に沿って大きな距離で突出しないことに留意されたい。したがって、この配置は、磁石パッケージを中央体積の内部から支持するための構造的な中央ハブの必要性が無くなるので、スペース効率がよい。さらに、磁石パッケージ48の間の相対的に「空(empty)」の空間は、ここに示されるように、磁石パッケージが軸方向から支持されるのではなく径方向から支持される代替構成と比較して、アセンブリ42が相対的に低い質量を有することを意味する。
【0045】
この構成のさらなる利点は、内部空間が開放されているので、保守要員が発電機の設置及び保守作業を容易に行うことができることである。
【0046】
しかしながら、このような発電機の現場での保守作業は、特に永久磁石パッケージによって発生する磁場強度のために困難を伴う。高い磁場強度は、保守要員に作業空間のリスクをもたらす可能性がある。なぜなら、その領域に導入された個人の所持品や工具のような金属物が磁石パッケージ48に強く引き付けられる危険性があるからである。保守要員に作業空間のリスクをもたらす可能性がある。従って、固定されていない物品は、発電機ロータアセンブリ42に損傷を与える危険性がある。
【0047】
このような注意すべき損傷から保護するために、本発明の発電機24は、ロータ32を保護するカバー又はシュラウド70を含む。大まかに言えば、シュラウド70の機能は、金属工具のような物体が磁石パッケージ48と接触するのを防止する円筒形リング構造体46によって画定される中空内部に延在する保護トンネル状表面を提供することである。シュラウド70は、その表面が、磁石パッケージによって生成される磁場強度が強磁性材料からなるツールに引力を生じさせないように強度が低下した位置にあるような寸法である。
【0048】
この実施形態では、シュラウド70は、ドーム部分72と、ドーム部分72の周りに延在すると共にその周りを囲む半径方向外側フランジ部分74とを含む点で、ベル又はトップハットの一般的な形状を有する。フランジ部分74は、シュラウド70を発電機24に接続する手段を提供する。本実施形態では、ドーム部は略円錐台状である。
【0049】
図3及び
図4から分かるように、発電機24の駆動端部は駆動端部開口80を有する。本実施形態では、開口80は円形であり、円筒形リング構造体46及びステータ36の直径よりもわずかに大きい直径を有する。この直径の差は、組み立て中にこれらの構造体を発電機ハウジング33内に受け入れることを可能にする。駆動端部開口80は、発電機ハウジング33の平坦な端部面82の形態で環状フランジに画定され、端部面82のX及びY寸法よりわずかに小さい直径を有する。シュラウド70のフランジ部分74は、駆動端部開口80を補完する形状を有する。ここで、駆動端部開口80は円形状であり、フランジ部分74も略同径の円形状をなしている。しかしながら、整合形状は必須ではないことを理解されたい。
【0050】
フランジ部分74は、駆動端部開口80の周囲に間隔を置いて配置されたボルトなどの機械的締結具によって、駆動端部開口80で発電機ハウジング33に接続されてもよい。この締結機構の詳細は
図4には示されていないが、後述する。フランジ部分74と駆動端部開口80とを間接的に連結するためにブラケットを設けてもよい。
【0051】
シュラウド70のベル状の形状により、フランジ部分74が発電機ハウジング33の駆動端部開口80に隣接するとき、ドーム部分72は、図面に示す向きで、ロータ32の中央中空部分49内に水平に延在するように配向される。
図4の断面図から分かるように、フランジ部分74及びドーム部分72は厳密には別個の部分として規定されておらず、実質的にドーム部分72の基部を形成する滑らかな移行部分86を介して互いに融合される。ドーム部分72は、回転軸Rに対して浅い角度でフランジ部分74から立ち上がるところから内方に先細りになっているが、一般的には、フランジ部分74の直径の約50%から60%の間の比較的広い直径を有している。
【0052】
ドーム部分72の頭部は閉じた表面ではなく、ドーム開口88を画定する。ドーム開口88は、本実施形態では円形であり、発電機の回転軸Rを中心としている。シュラウド70は、ドーム状開口がロータシャフトカップリング44を取り囲むように寸法決めされかつ構成される。特に、シュラウド70は、使用中、ロータ32に対して静止しており、従って、ドーム開口88は、ロータシャフトカップリング44に隣接して配置されるが、ロータシャフトカップリング44がシュラウド70と接触することなく回転することを可能にするために、それとの間に小さな隙間を画定するような寸法にされる。現時点では、シュラウドとロータシャフトカップリング44との間の隙間は、5mmから20mmの間であることが想定されているが、これらの数字は単に例として示されているだけである。
【0053】
従って、上記の説明から、シュラウド70は、その一端、すなわちフランジ部分74においてのみ発電機ハウジング33に接続され、それによりドーム部分72は、発電機24の非駆動端部方向に片持ちばりされていることが理解されよう。従って、シュラウド70の構造は、変形に抵抗する十分な剛性を有しているので、一旦取り付けられた形状を保持し、重要なことは、ドーム開口88とロータシャフトカップリング44との間の隙間が、二つの構成要素が互いに接触するのを回避するために維持されていることである。より一層の剛性を提供するための手段として、ギアボックスは、ギアボックスと発電機とが一体的なユニットに組み立てられる際に、ロータシュラウド70のフランジ部分74に対して支えられるような適切な形状に形成されていてもよい、又は適切な形状を備えていてもよいと考えられる。
【0054】
特に
図4から明らかなように、シュラウド70は、発電機ハウジング33の駆動端部開口80に当接し、一方で、ロータ32のロータシャフトカップリング44との間に隙間嵌合を形成している。さらに、シュラウド70の表面の連続的な性質のため、円筒形リング構造体46の内面との間に環状ボリューム90が画定され、磁石パッケージ48間の円周方向の間隙を通って冷却空気流をより効果的に導く役割を果たしている。従って、シュラウド70は、発電機24の冷却空気流路の少なくとも一部を画定すると考えることができる。さらに、ドーム部分72の表面は、磁界の強さが安全なレベルに消散するように、磁気パッケージから所定の距離を隔てて配置されている。あくまでも一例として、このような距離は、50mmから200mmの範囲内であると考えられるが、記載時点では100mmが最適と考えられる。
【0055】
図4を参照すると、シュラウド70の半径方向内側面91が明確に示されている。シュラウド70の内側面91に対するオプションは、ドーム部分72からフランジ部分まで延在する滑らかで均一なテーパ面を有することである。しかしながら、この実施形態では、内側面91は、一つ以上の機能的表面特徴部又は形成部92を画定する。形成部92は、シャフトシール等から漏れ得る潤滑流体を捕捉し、その流体を発電機ハウジング33の底部近くの適切な位置に配置された収集領域(不図示)に導く働きをし得る一つ以上のトラフ又はチャネルを含む。この実施形態では、シュラウド70の内側面91は回転対称であり、これは、表面形成部92を正しい位置に配置するために、シュラウド70を特定の方向に整列される必要がないので、組み立てに有利である。チャネルはまた、ロータシュラウドの剛性を改善する。一つのオプションは、ロータシュラウド70の半径方向内側面91、特に表面形成部92に排水口を設けることである。図面には示されていないが、このような排水口は、流出した流体がロータシュラウドを通って滴り落ちることを可能にし、その結果、適切な収集リザーバ内の反対側に流体を収集することができる。収集リザーバは、発電機ハウジングのアクセスハッチ、好ましくは発電機の下にあるアクセスハッチと組み合わせてもよい。
【0056】
シュラウド70の構造を見ると、プラスチック材料がシュラウド70を製造するのに適した材料であると考えられる。熱可塑性ポリマーは、その強靭性及び化学的抵抗特性のため、適切な材料の一例であり、例えばポリカーボネート(PC)である。このような材料は、所望の形状に容易に加工でき、比較的軽量である。さらに、熱可塑性プラスチックは、光学的に透明な形態で利用可能であり、これは、保守要員が、発電機からカバーを取り外すことなく、カバーを介して発電機の領域を検査することを可能にするという利点であり得る。
【0057】
シュラウド70が熱可塑性材料又は他の材料から製造されるかどうかにかかわらず、一つのオプションは、それが単一の部品として形成され得ることである。熱可塑性材料は、適切な形状のダイ上に真空成形するのに適した構造に特に適している。しかしながら、この実施形態では、シュラウド70は、完全なシュラウド70を形成するように互いに結合された複数の部分93から形成されることに留意されたい。シュラウド70の別個の部分93は、
図4に見られるシュラウド70の分割線94を観察することによって理解することができる。
図4は断面図であるため、シュラウド70は、合計で4本の分割線94を含むことが理解されるべきであり、これは、シュラウド70が、本質的に形状が同一である4つの別々の部分から製造することができることを意味する。このような構成は、シュラウド70が、分解された形態で輸送され、次いで組み立てられるか、又は発電機の組み立て中に、組み立てられることができるので、有益である。したがって、組み立て前に、個々のシュラウド部分を入れ子状にして収納することができ、スペースを節約することができる。
【0058】
保護シュラウド70を備えた発電機の構造的構成を説明したが、ここからは、
図5から
図7に段階的に示される発電機の組立プロセスに移る。
【0059】
まず、
図5を参照すると、シュラウド70は基部又はプラットフォーム100に支持されて示されており、発電機24は持ち上げケーブル102からその上方に吊り下げられている。ここで、発電機24は、シュラウド70のドーム部分72がロータの中央中空部分分と一直線上になるようにシュラウドと位置合わせされていることが分かる。
【0060】
基部100は、例えば、組立ホールの床の一部であってもよいし、シュラウド70の輸送に使用される別個の構成要素であってもよい。シュラウド70は、ボルト又はピン(不図示)のような適当な一時的固定具によって基部100に固定されてもよく、又は単に基部100に載置されてもよい。任意に、リブ又はポストのようなガイド機能(不図示)を基部100に設けて、シュラウド70が所定位置から外れるのを抑制することができる。
【0061】
シュラウド70は、ドーム部分72が上方を向いている間シュラウドのフランジ部分74が基部100の上面に載るように、基部100上に直立した向きで支持される。
【0062】
図5に見られるように、発電機24は、ガントリークレーンのような適当な持ち上げ装置によって所定の位置に置かれ、シュラウド70の上に位置決めされる。これは主に手作業によるもので、組み立て技術者が発電機24の位置決めを正確に制御することを必要とする。しかしながら、発電機24をシュラウド70に対して移動させたり、又はシュラウド上に下降する際に、発電機24を補正位置に誘導するために、基部内の所定の設置位置から垂直上方に延在する垂直ガイドレール(不図示)を立設することによって補助が提供され得ることが想定される。
【0063】
持ち上げケーブル102は、ロータシュラウドと発電機が完全に組み立てられるまで発電機をずっと下方に下げるために使用することができるが、これは必須ではない。例えば、持ち上げケーブル102を使用して発電機を途中まで降ろし、その時点で別の機構を使用してロータシュラウドを発電機又は最終固定に向けて移動させることが想定される。例えば、この状況では、発電機に対するロータシュラウドの位置決めを非常に厳密に制御するために、油圧式リフト装置を使用することができる。
【0064】
図5は、シュラウド70が発電機24の中央中空部分内に受容されるように発電機を基部100に降ろしている間の、発電機24に対するシュラウド70の初期位置決めを示しているのに対して、
図6は、シュラウド70が所定位置にある発電機の部分切断図を示している。この図から分かるように、発電機24が異なる向きで示されているにもかかわらず、シュラウド70は、
図4に示すように設置位置に配置されている。基部100は
図6には示されていないが、その存在が暗示されていることに留意されたい。
図6の二つの挿入枠は、シュラウド70が発電機24の隣接する構成要素とどのように係合するかを示す。
【0065】
最初に下部挿入枠「A」を参照すると、シュラウド70が発電機24の中央中空部分49に完全に受け入れられると、フランジ部分74の円周リップ104が発電機ハウジング33の駆動端部開口80に当接することが理解されよう。円周リップ104のわずかに内側には、
図7を参照して後述するように、フランジ部分74をハウジング33に固定するために使用される穴106の配列がある。
【0066】
上部挿入枠「B」を見ると、ドーム開口88がロータシャフトカップリング44を取り囲んでいるため、ドーム開口88がカップリングに非常に接近しているが、カップリングには接触していないことが分かる。シュラウド70の剛性により、発電機24が水平方向に配置されても、この隙間が確保される。
【0067】
図7は、シュラウド70を発電機ハウジング33に取り付ける方法の一つのオプションを示す。ここで、ハウジング33のそれぞれの領域とシュラウド70のフランジ部分74の隣接する領域とにまたがるか、又はそれらを覆う複数のブラケット110が設けられている。二つの挿入枠から分かるように、ボルトのような適当な機械的留め具112を使用してブラケット110を所定の位置に固定する。容易に取り外せるので、ボルトが好ましいことが想定されるが、スナップイン固定具を代替として使用することができる。
【0068】
特に、ブラケット110を用いてシュラウド70とハウジングとを所定の円周位置で接続するアプローチは、これら二つの構成要素を結合する便利な方法である。第一に、シュラウド70の周囲全体について直接固定具を使用する必要がなくなる。第二に、ブラケット110は、ハウジング33の外壁の開口を通ってアクセス可能な領域に配置される。この実施形態では、その内部へのアクセスを提供するためにハウジングのコーナー領域114が開いているが、ハウジング33は、断面においてほぼ正方形であることに留意されたい。
【0069】
便利なことに、発電機24をシュラウド70に下げて正確に位置合わせし、次いでシュラウド70をハウジング33に固定するという上述のアプローチは、二つの構成要素を組み立てる有効な方法である。シュラウド70がそのフランジ部分74に支持されているので、それは発電機24を所定位置に下げるための非常に安定した位置又は基準を提供する。上述したように、発電機が所定の位置に配置される前にシュラウド70を正しい位置に位置決めするために、基部及び/又はシュラウド70に適切な整列形成部を設けることができる。したがって、組立作業者は、発電機とシュラウドを組み立てる際に一つの吊り荷だけに気を配ればよく、より効率的で安全な組立工程が提供される。
【0070】
上記の具体的な実施形態は、本発明を実施することができる一つの方法を示す。いくつかの変形例も上述したが、当業者は、特許請求の範囲により定義される本発明の範囲から逸脱することなく、特定の実施形態に対して行うことができる他の変更及び修正を考えることができる。
【0071】
上記の実施形態では、組立工程は、ロータシュラウド70を基部100に配置すること、発電機をロータシュラウドの上方に配置すること、二つの構成要素を整列させること、そして、ロータシュラウド70の直立したドーム部分72が発電機の内部容積内に受容されるように発電機をロータシュラウドに下降させることを含んでもよいことが説明された。しかし、ロータシュラウド70を発電機の中に降ろすことも許容されると考えられる。このような実施形態では、発電機ハウジング33は、基部100に支持されるが、発電機24の開放端中央中空部分49が上方を向く向きに支持される。したがって、この位置では、発電機24は、ロータシュラウドを受ける準備ができている。次いで、ロータシュラウド70は、中央中空部分49に沿って発電機24の真上に配置され、必要に応じて持ち上げ装置、例えば前の実施形態に関連して説明した持ち上げケーブル102によって支持される。位置合わせされると、ロータシュラウド70のドーム部分72が発電機24の中央中空部分49内に受容されるように、ロータシュラウド70を発電機24の方へ下げることによって、ロータシュラウドと発電機24とを互いに移動させることができる。一度二つの構成要素が組み立てられると、例えば、前述の実施形態を参照して説明したような方法で、それらを適切に一緒に固定することができる。