(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ロボット外科手術システムのためのエンドエフェクタアームの重力補償
(51)【国際特許分類】
A61B 34/35 20160101AFI20240401BHJP
B25J 19/00 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
A61B34/35
B25J19/00 D
(21)【出願番号】P 2022097984
(22)【出願日】2022-06-17
【審査請求日】2022-06-17
(32)【優先日】2021-06-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507400686
【氏名又は名称】グローバス メディカル インコーポレイティッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】オリヴィエ,シャプイ
(72)【発明者】
【氏名】シモン,コスチェフスキ
【審査官】豊田 直希
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-087678(JP,A)
【文献】特開2015-213976(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0193107(US,A1)
【文献】特表2016-508072(JP,A)
【文献】特開2010-142351(JP,A)
【文献】特表2010-516398(JP,A)
【文献】特開2018-075121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/30
B25J 1/00-21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット外科手術システムと共に使用するためのエンドエフェクタアームであって、
外科手術ロボットアームのエンドエフェクタカプラに取り付けるように構成された基部と、
前記基部に回転可能に結合された第1の端部及び前記第1の端部と反対側の第2の端部を含む機械的リンケージであって、前記第2の端部が、ハンドヘルド外科手術器具に取り外し可能に結合されるように構成されている、機械的リンケージと、
前記機械的リンケージの回転角度に基づいて、前記機械的リンケージに可変回転力を与えるように構成されたばね機構と、を備え
、
前記ばね機構が、
第1のばね端部及び第2のばね端部を含むばねであって、前記ばねの前記第1のばね端部が、前記基部に結合されている、ばねと、
第1のケーブル端部及び第2のケーブル端部を含むケーブルであって、前記ケーブルの前記第1のケーブル端部が、前記ばねの前記第1のばね端部に結合されている、ケーブルと、
前記機械的リンケージの前記第1の端部に結合されたカムであって、前記ケーブルの前記第2のケーブル端部が前記カムに結合され、前記基部に対する前記機械的リンケージの回転中に前記ケーブルの前記第2のケーブル端部をカムガイド内に受容及び維持するように構成された前記カムガイドを含む、カムと、を備える、エンドエフェクタアーム。
【請求項2】
直線速度での前記基部に対する第1の回転方向における前記機械的リンケージの回転が、前記ばねを非線形速度で変形させる、請求項1に記載のエンドエフェクタアーム。
【請求項3】
前記ばねが、圧縮コイルばねを備える、請求項1に記載のエンドエフェクタアーム。
【請求項4】
前記ばねが、引張コイルばねを備える、請求項1に記載のエンドエフェクタアーム。
【請求項5】
前記ばねが、油圧ばねを備える、請求項1に記載のエンドエフェクタアーム。
【請求項6】
前記ばねが、空気圧ばねを備える、請求項1に記載のエンドエフェクタアーム。
【請求項7】
前記可変回転力が、前記基部に対する前記機械的リンケージの回転角度の範囲を通して、前記エンドエフェクタアームの前記第2の端部上の重力
に等しい、請求項1に記載のエンドエフェクタアーム。
【請求項8】
前記機械的リンケージが、
前記機械的リンケージの前記第1の端部と、第2の端部とを含む第1のリンクと、
前記機械的リンケージの前記第2の端部と、前記第1のリンクの前記第2の端部に回転可能に結合された第1の端部とを含む第2のリンクと、を備える、請求項1に記載のエンドエフェクタアーム。
【請求項9】
前記可変回転力が、前記基部に対する前記機械的リンケージの回転角度の範囲を通して、前記第1のリンク上の第1の重力、及び前記第2のリンク上の第2の重力の少なくとも一部に打ち勝つのに十分である、請求項
8に記載のエンドエフェクタアーム。
【請求項10】
前記
ハンドヘルド外科手術器具に取り付け可能であり且つ前記基部に対して前記
ハンドヘルド外科手術器具を選択的にロックするように構成されたロック機構を更に備える、請求項1に記載のエンドエフェクタアーム。
【請求項11】
外科手術器具ガイダンスシステムであって、
外科手術ロボットによって位置決めされるように構成されたロボットアームであって、エンドエフェクタカプラを含む、ロボットアームと、
エンドエフェクタアームであって、
前記ロボットアームの前記エンドエフェクタカプラに取り付けるように構成された基部と、
前記基部に回転可能に結合された第1の端部及び前記第1の端部と反対側の第2の端部を含む機械的リンケージと、
前記機械的リンケージの回転角度に基づいて、前記機械的リンケージに可変回転力を与えるように構成されたばね機構と、
前記機械的リンケージの前記第2の端部に結合するように構成されたハンドヘルド外科手術器具と、を含むエンドエフェクタアームと、を備え
、
前記ばね機構が、
第1のばね端部及び第2のばね端部を含むばねであって、前記ばねの前記第1のばね端部が、前記基部に結合されている、ばねと、
前記ばねの前記第1のばね端部に結合された第1のケーブル端部と、第2のケーブル端部とを含むケーブルと、
前記機械的リンケージの前記第1の端部に結合されたカムであって、前記ケーブルの前記第2のケーブル端部が前記カムに結合され、前記基部に対する前記機械的リンケージの回転中に前記ケーブルの前記第2のケーブル端部をカムガイド内に受容及び維持するように構成された前記カムガイドを含む、カムと、を備える、外科手術器具ガイダンスシステム。
【請求項12】
直線速度での前記基部に対する第1の回転方向における前記機械的リンケージの回転が、前記ばねを非線形速度で変形させる、請求項
11に記載の外科手術器具ガイダンスシステム。
【請求項13】
前記機械的リンケージが、
前記機械的リンケージの前記第1の端部と、第2の端部とを含む第1のリンクと、
前記機械的リンケージの前記第2の端部と、前記第1のリンクの前記第2の端部に回転可能に結合された第1の端部とを含む第2のリンクと、を備える、請求項
11に記載の外科手術器具ガイダンスシステム。
【請求項14】
外科手術システムであって、
ハンドヘルド外科手術器具によって係合されるべき解剖学的構造の姿勢を決定し、外科手術器具の姿勢を決定するように構成された追跡システムと、
外科手術ロボットであって、
ロボット基部と、
前記ロボット基部に接続されたロボットアームであって、エンドエフェクタカプラを含む、ロボットアームと、
前記ロボット基部に対して前記ロボットアームを移動させるように、動作可能に接続された少なくとも1つのモータと、を含む、外科手術ロボットと、
エンドエフェクタアームであって、
前記ロボットアームの前記エンドエフェクタカプラに取り付けるように構成された基部と、
前記基部に回転可能に結合された第1の端部及び前記第1の端部と反対側の第2の端部を含む機械的リンケージと、
前記基部に対する前記機械的リンケージの回転角度に基づいて、前記機械的リンケージに可変回転力を与えるように構成されたばね機構と、
前記機械的リンケージの前記第2の端部に結合されたハンドヘルド外科手術器具と、を含む、エンドエフェクタアームと、を備え
、
前記ばね機構が、
第1のばね端部及び第2のばね端部を含むばねであって、前記ばねの前記第1のばね端部が、前記基部に結合されている、ばねと、
前記ばねの前記第1のばね端部に結合された第1のケーブル端部と、第2のケーブル端部とを含むケーブルと、
前記機械的リンケージの前記第1の端部に結合されたカムであって、前記ケーブルの前記第2のケーブル端部が前記カムに結合され、前記基部に対する前記機械的リンケージの回転中に前記ケーブルの前記第2のケーブル端部をカムガイド内に受容及び維持するように構成された前記カムガイドを含む、カムと、を備える、外科手術システム。
【請求項15】
直線速度での前記基部に対する第1の回転方向における前記機械的リンケージの回転が、前記ばねを非線形速度で変形させる、請求項
14に記載の外科手術システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年6月21日に出願された米国仮特許出願第63/212,949号に対する優先権の利益を主張し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、2019年9月30日に出願された米国特許出願第16/587,203号、及び2020年1月8日に出願された米国特許出願第16/737,054号に関連し、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、ロボット外科手術に関し、より具体的には、ロボット支援外科手術システムと共に使用するためのエンドエフェクタアームに関する。
【背景技術】
【0004】
骨切り術、すなわち、標的平面に沿って骨などの解剖学的構造を切断することを必要とする多くの外科的介入がある。人工膝関節全置換術は、典型的には、損傷した骨及び軟骨を除去し、人工膝関節を設置するために、大腿骨骨端及び脛骨骨端の双方を切断することを必要とする。外科医は、振動手術用鋸を使用して大腿骨に5つ以上の切断及び脛骨に1つ以上の切断を行うことができる。
【0005】
関節及び膝を含む整形外科手術中、骨上の所望の位置を切断しながら鋸を正確に位置合わせ及び安定化することが重要である。外科医の手術部位への視界の制限は、鋸の動きを制御するのが困難であることと相まって、骨又は隣接する組織の望ましくない部分が切断される危険性をもたらす。切断中に鋸によって発生する振動は、切断の精度を低下させる可能性がある。膝の外科手術中、骨切断(平面切断)の精度は、露出した骨にインプラントをどれだけ正確に接続することができるかに影響を及ぼす。
【0006】
いくつかの従来のシステムでは、直接矢状鋸刃ガイダンス構造は、ロボットアームによって空間内に配置された受動運動学を使用することができ、これは、刃をその切除面内に拘束する。エンドエフェクタアームと更に呼ばれる受動構造は、刃に3自由度(2つの並進及び1つの回転)を提供する3つのリンケージ直列構造を含んでもよい。矢状鋸ハンドピースは、刃を通して受動的な構造に堅固に接続され、刃を作動させるための機械的な動力を提供する。十分な切除精度を達成するために、受動構造は、最も高い可能な横方向剛性で設計される必要がある。エンコーダによる測定機能の統合、及び製造コスト削減は、リンクの構造部品の適切な材料としてのアルミニウムの選択につながる。これは、これらの構造部品の重量に影響を与える。切除面が水平であるとき、リンク質量による重力は、ジョイント軸受によって全体的に支持される。しかしながら、多くの切除では、切除面は、水平面に対して又はほぼ垂直に傾斜している。そのような構成では、リンクの重量は、外科医の手によって部分的又は全体的に支持され、外科医の手に望ましくないひずみ又は応力を引き起こし、外科医のパフォーマンスに悪影響を与えることがある。
【0007】
したがって、外科医が追加のシステム構成要素の重量を支持することを必要とせずに、鋸刃又は他のハンドヘルド外科手術器具の動きの自由度を可能にする外科手術ガイダンスシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、ロボット外科手術に関し、より具体的には、ロボット支援外科手術システムと共に使用するためのエンドエフェクタアームに関する。
【0009】
いくつかの実施形態によれば、外科手術ナビゲーションシステムと共に使用するためのエンドエフェクタアームは、外科手術ロボットアームのエンドエフェクタカプラ及び機械的リンケージに取り付けるように構成された基部を含む。機械的リンケージは、基部に回転可能に結合された第1の端部及び第1の端部と反対側の第2の端部を含み、第2の端部は、ハンドヘルド外科手術器具に取り外し可能に結合されるように構成されている。エンドエフェクタアームは、基部に対する機械的リンケージの回転角度に基づいて、機械的リンケージに可変回転力を与えるように構成されたばね機構を更に含む。
【0010】
いくつかの実施形態によれば、外科手術器具ガイダンスシステムは、エンドエフェクタカプラを含む外科手術ロボットによって位置決めされるように構成されたロボットアームを含む。システムは、ロボットアームのエンドエフェクタカプラに取り付けるように構成された基部及び機械的リンケージを含むエンドエフェクタアームを更に含む。機械的リンケージは、基部に回転可能に結合された第1の端部及び第1の端部と反対側の第2の端部を含む。エンドエフェクタアームは、基部に対する機械的リンケージの回転角度に基づいて、機械的リンケージに可変回転力を与えるように構成されたばね機構を更に含む。システムは、機械的リンケージの第2の端部に結合するように構成されたハンドヘルド外科手術器具を更に含む。
【0011】
いくつかの実施形態によれば、外科手術システムは、ハンドヘルド外科手術器具によって係合される解剖学的構造の姿勢を決定し、外科手術器具の姿勢を決定するように構成された追跡システムを含む。システムは、ロボット基部を含む外科手術ロボットと、ロボット基部に接続されたロボットアームとを更に含み、ロボットアームは、エンドエフェクタカプラを備える。ロボットは、ロボット基部に対してロボットアームを移動させるように動作可能に接続された少なくとも1つのモータを更に含む。システムは、ロボットアームのエンドエフェクタカプラに取り付けるように構成された基部及び機械的リンケージを含むエンドエフェクタアームを更に含む。機械的リンケージは、基部に回転可能に結合された第1の端部及び第1の端部と反対側の第2の端部を含む。エンドエフェクタアームは、基部に対する機械的リンケージの回転角度に基づいて、機械的リンケージに可変回転力を与えるように構成されたばね機構を更に含む。システムは、機械的リンケージの第2の端部に結合されたハンドヘルド外科手術器具を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示の更なる理解を提供するために含まれ、且つ本出願に組み込まれる添付の図面は、本発明の概念の特定の非限定的な実施形態を例示する。図面において、
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による外科手術システムの実施形態を示している。
【
図2】本開示のいくつかの実施形態による
図1の外科手術システムの外科手術ロボット構成要素を示している。
【
図3】本開示のいくつかの実施形態による
図1の外科手術システムのカメラ追跡システム構成要素を示している。
【
図4】ロボットアームに接続可能であり、本開示のいくつかの実施形態にしたがって構成された受動エンドエフェクタの実施形態を示している。
【
図5】外科手術ロボット及びカメラシステムが患者の周りに配設されている医療手術を示している。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による受動エンドエフェクタに接続するように構成されたロボットアームのエンドエフェクタカプラの実施形態を示している。
【
図7】
図6のエンドエフェクタカプラの切断の実施形態を示している。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による外科手術システムの構成要素のブロック図を示している。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態による、外科手術ロボットから分離され且つ外科手術ロボットに動作可能に接続され、又はその中に少なくとも部分的に組み込まれることができる外科手術計画コンピュータを含む外科手術システムコンピュータプラットフォームのブロック図を示している。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態による、外科手術ロボット及び受動エンドエフェクタと組み合わせて使用されることができるCアーム撮像装置の実施形態を示している。
【
図11】本開示のいくつかの実施形態による、外科手術ロボット及び受動エンドエフェクタと組み合わせて使用されることができるOアーム撮像装置の実施形態を示している。
【
図12】本開示のいくつかの実施形態にしたがって構成された受動エンドエフェクタの実施形態を示している。
【
図13】外科手術中の骨切断の進行を示すディスプレイのスクリーンショットである。
【
図14】本開示のいくつかの実施形態による、エンドエフェクタアーム構成要素上の重力を補償するためのばね機構を有するエンドエフェクタアームの実施形態を示している。
【
図15】本開示のいくつかの実施形態による、エンドエフェクタアームが垂直切除面にあるときにエンドエフェクタアーム構成要素に加えられる力を示すばね機構を有する
図14のエンドエフェクタアームの実施形態を示している。
【
図16A】本開示のいくつかの実施形態による、エンドエフェクタアームがドッキング位置にあり且つ拡張位置にあるときに、エンドエフェクタアームの第1のリンクに加えられた力を示す、
図14及び
図15のエンドエフェクタアームの一部を示している。
【
図16B】本開示のいくつかの実施形態による、エンドエフェクタアームがドッキング位置にあり且つ拡張位置にあるときに、エンドエフェクタアームの第1のリンクに加えられた力を示す、
図14及び
図15のエンドエフェクタアームの一部を示している。
【
図17】本開示のいくつかの実施形態による、エンドエフェクタアームが垂直切除面にあるときの、エンドエフェクタアームに対する重力及び補償力のグラフである。
【
図18】本開示のいくつかの実施形態による、エンドエフェクタアームが水平に対して約30度の切除面にあるときの、エンドエフェクタアームに対する重力及び補償力のグラフである。
【
図19A】本開示のいくつかの実施形態による、エンドエフェクタアームの基部に対して外科手術器具を選択的に固定するように構成されたロック機構を示している。
【
図19B】本開示のいくつかの実施形態による、エンドエフェクタアームの基部に対して外科手術器具を選択的に固定するように構成されたロック機構を示している。
【
図19C】本開示のいくつかの実施形態による、エンドエフェクタアームの基部に対して外科手術器具を選択的に固定するように構成されたロック機構を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の概念の実施形態の例が示されている添付図面を参照して、本発明の概念を以下により完全に説明する。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に記載の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的且つ完全であり、様々な本発明の概念の範囲を当業者に完全に伝えるように提供される。これらの実施形態は相互に排他的ではないことにも留意されたい。一実施形態からの構成要素は、別の実施形態で存在するか、又は別の実施形態で使用されることが暗黙的であり得る。
【0014】
本明細書に開示される様々な実施形態は、骨切り術を必要とする外科的介入を実施するときの外科手術システムの動作の改善を対象とする。外科手術ロボットによって位置付けられたロボットアームに接続可能である受動エンドエフェクタが開示される。受動エンドエフェクタは、外科手術鋸などの器具取り付け機構の動きを動きの範囲に制約する機構を有する。機構は、鋸刃の切断面を作業面に平行に制約するように構成されてもよい。
【0015】
受動エンドエフェクタは、基部に対する機械的リンケージの回転角度に基づいて、機械的リンケージに可変回転力を与えるように構成されたばね機構を含む。可変回転力は、エンドエフェクタが傾斜しているとき及び/又は垂直の切除面にあるときに、回転角度の範囲を通してエンドエフェクタアームの遠位端上の重力に打ち勝つのに十分であり得る。
【0016】
これら及び他の関連する実施形態は、外科手術のための他のロボット及び手動解決策と比較して器具のガイダンスの精度を改善し、エンドエフェクタアームの重量による外科医の手の労力及び疲労を低減するように動作することができる。ばね機構はまた、エンドエフェクタアームの運動範囲全体にわたる補償効果の変動を最小限に抑えて、エンドエフェクタ上の正味力の漸進的且つ予測可能な変化を提供するように構成されることができる。
【0017】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による外科手術システム2の実施形態を示している。整形外科手術処置の実行前に、例えば、
図10のCアーム撮像装置104又は
図11のOアーム撮像装置106を使用して、患者の計画された外科的領域、又はコンピュータ断層撮像(CT)画像若しくはミルなどの別の医療用撮像装置から、3次元(「3D」)画像スキャンを撮像することができる。このスキャンは、術前(例えば、最も一般的には、処置の数週間前)又は術中に行うことができる。しかしながら、外科手術システム2の様々な実施形態にしたがって、任意の既知の3D又は2D画像スキャンが使用されてもよい。画像スキャンは、外科手術ロボット800(例えば、
図1の外科手術システム2のロボット)及び外科手術計画コンピュータ910を含む
図9の外科手術システムコンピュータプラットフォーム900などの外科手術システム2と通信するコンピュータプラットフォームに送信される。外科手術計画コンピュータ910(
図9)の表示装置上の画像スキャンを検討する外科医は、患者の解剖学的構造が切断されるべき標的平面を定義する外科手術計画を生成する。この平面は、患者の解剖学的制約、選択されたインプラント、及びそのサイズの関数である。いくつかの実施形態では、標的平面を定義する外科手術計画は、表示装置上に表示される3D画像スキャン上で計画される。
【0018】
図1の外科手術システム2は、例えば、器具を保持すること、器具を位置合わせすること、器具を使用すること、器具を案内すること、及び/又は使用のための器具を位置決めすることによって、医療処置中に外科医を支援することができる。いくつかの実施形態では、外科手術システム2は、外科手術ロボット4及びカメラ追跡システム6を含む。双方のシステムは、任意の様々な機構によって一体に機械的に結合されてもよい。好適な機構は、機械的ラッチ、タイヤ、クランプ、又はバットレス、又は磁気若しくは磁化面を含むことができるが、これらに限定されない。外科手術ロボット4及びカメラ追跡システム6を機械的に結合する能力は、外科手術システム2が単一のユニットとして操作及び移動することを可能にし、外科手術システム2が領域内で小さなフットプリントを有することを可能にし、狭い通路を通るより容易な動きを可能にし、及びより小さな領域内の保管を可能にすることができる。
【0019】
整形外科手術処置は、外科手術システム2によって医療記憶装置から医療処置室に移動し始めることができる。外科手術システム2は、医療処置室に到達するために、出入口、ホール、及び昇降機を通して操作されてもよい。室内で、外科手術システム2は、2つの別個の異なるシステム、外科手術ロボット4及びカメラ追跡システム6に物理的に分離されてもよい。外科手術ロボット4は、医療従事者を適切に支援するために、任意の好適な場所で患者に隣接して位置付けられてもよい。カメラ追跡システム6は、患者の基部、患者の肩又は現在の姿勢を追跡するのに適した任意の他の場所、並びに外科手術ロボット4及び患者の追跡部分の姿勢の動きに位置付けられてもよい。外科手術ロボット4及びカメラ追跡システム6は、搭載電源によって電力供給され、及び/又は外部壁コンセントにプラグインされてもよい。
【0020】
外科手術ロボット4は、医療処置中に器具を保持及び/又は使用することによって外科医を支援するために使用されてもよい。器具を適切に利用及び保持するために、外科手術ロボット4は、複数のモータ、コンピュータ、及び/又はアクチュエータに適切に機能するように依存してもよい。
図1に示すように、ロボット本体8は、複数のモータ、コンピュータ、及び/又はアクチュエータが外科手術ロボット4内に固定されることができる構造として機能してもよい。ロボット本体8はまた、ロボット伸縮式支持アーム16の支持を提供してもよい。いくつかの実施形態では、ロボット本体8は、任意の好適な材料から作製されてもよい。好適な材料は、チタン、アルミニウム、又はステンレス鋼、炭素繊維、ガラス繊維、又は頑丈なプラスチックなどの金属とすることができるが、これらに限定されない。ロボット本体8のサイズは、取り付けられた構成要素を支持する固体プラットフォームを提供することができ、取り付けられた構成要素を動作させることができる複数のモータ、コンピュータ、及び/又はアクチュエータを収容、隠蔽、及び保護することができる。
【0021】
ロボット基部10は、外科手術ロボット4のための下部支持体として機能することができる。いくつかの実施形態では、ロボット基部10は、ロボット本体8を支持してもよく、ロボット本体8を複数の動力付きホイール12に取り付けてもよい。ホイールへのこの取り付けは、ロボット本体8が空間内で効率的に移動することを可能にすることができる。ロボット基部10は、ロボット本体8の長さ及び幅に延びてもよい。ロボット基部10は、約2インチから約10インチの高さであってもよい。ロボット基部10は、任意の好適な材料から作製されることができる。好適な材料は、チタン、アルミニウム、若しくはステンレス鋼、炭素繊維、ガラス繊維、又は重質プラスチック若しくは樹脂などの金属とすることができるが、これらに限定されない。ロボット基部10は、動力付きホイール12を覆い、保護し、支持することができる。
【0022】
いくつかの実施形態では、
図1に示すように、少なくとも1つの動力付きホイール12がロボット基部10に取り付けられることができる。動力付きホイール12は、任意の場所でロボット基部10に取り付けられてもよい。各個々の動力付きホイール12は、任意の方向に垂直軸を中心に回転してもよい。モータは、動力付きホイール12の上、内部、又は隣接して配設されることができる。このモータは、外科手術システム2が任意の場所に操縦し、外科手術システム2を安定化及び/又は水平にすることを可能にすることができる。動力付きホイール12内又はそれに隣接して位置するロッドは、モータによって表面に押圧されることができる。図示されていないロッドは、外科手術システム2を持ち上げるために任意の好適な金属から作製されることができる。好適な金属は、ステンレス鋼、アルミニウム、又はチタンとすることができるが、これらに限定されない。更に、ロッドは、接触面側端部において、図示されていないバッファを備えることができ、これは、ロッドが滑り、及び/又は適切な接触面を形成することを防止することができる。材料は、バッファとして作用するための任意の好適な材料とすることができる。好適な材料は、プラスチック、ネオプレン、ゴム、又はテクスチャード金属とすることができるが、これらに限定されない。ロッドは、患者に対して外科手術システム2の向きを水平にするか又は別様に固定するために必要な任意の高さまで、外科手術システム2を持ち上げることができる動力付きホイール12を持ち上げることができる。各ホイール上のロッドによって小さな接触領域を通して支持される外科手術システム2の重量は、外科手術システム2が医療処置中に移動するのを防止する。この剛性位置決めは、物体及び/又は人々が事故によって外科手術システム2を移動させることを防止することができる。
【0023】
外科手術システム2を移動させることは、ロボットレール14を使用して容易にすることができる。ロボットレール14は、ロボット本体8を把持することなく外科手術システム2を移動させる能力を人に提供する。
図1に示すように、ロボットレール14は、ロボット本体8よりも短いロボット本体8の長さを延びてもよく、及び/又はロボット本体8の長さよりも長く延びてもよい。ロボットレール14は、任意の好適な材料から作製されることができる。好適な材料は、チタン、アルミニウム、又はステンレス鋼、炭素繊維、ガラス繊維、又は頑丈なプラスチックなどの金属とすることができるが、これらに限定されない。ロボットレール14は、ロボット本体8への保護を更に提供し、オブジェクト及び/又は人員がロボット本体8に接触する、当たる、又は衝突することを防止することができる。
【0024】
ロボット本体8は、以下、「SCARA」と呼ばれる、選択的コンプライアンス関節ロボットアームの支持を提供してもよい。SCARA24は、ロボットアームの再現性及びコンパクト性により、外科手術システム2内で使用するのに有益であり得る。SCARAのコンパクト性は、医療専門家が過剰な乱雑さ及び閉じ込め領域を含まない医療処置を行うことを可能にすることができる、医療処置内に追加の空間を提供することができる。SCARA24は、ロボット伸縮式支持体16、ロボット支持アーム18、及び/又はロボットアーム20を備えてもよい。ロボット伸縮式支持体16は、ロボット本体8に沿って配設されてもよい。
図1に示すように、ロボット伸縮式支持体16は、SCARA24及びディスプレイ34の支持を提供することができる。いくつかの実施形態では、ロボット伸縮式支持体16は、垂直方向に延在及び収縮してもよい。ロボット伸縮式支持体16は、任意の好適な材料から作製されることができる。好適な材料は、チタン又はステンレス鋼、炭素繊維、ガラス繊維、又は頑丈なプラスチックなどの金属とすることができるが、これらに限定されない。ロボット伸縮式支持体16の本体は、その上に配置された応力及び重量を支持するための任意の幅及び/又は高さとすることができる。
【0025】
いくつかの実施形態では、医療従事者は、医療従事者によって提出されたコマンドを通してSCARA24を移動させることができる。コマンドは、ディスプレイ34及び/又はタブレット上で受信された入力から生じてもよい。コマンドは、スイッチの押し下げ及び/又は複数のスイッチの押し下げに由来してもよい。
図4及び
図5に最もよく示されるように、作動アセンブリ60は、スイッチ及び/又は複数のスイッチを含むことができる。作動アセンブリ60は、オペレータがSCARA24を手動で操作することを可能にする移動コマンドをSCARA24に送信するように動作可能とすることができる。スイッチ、又は複数のスイッチが押されると、医療従事者は、SCARA24を容易に移動させる能力を有してもよい。更に、SCARA24が移動するコマンドを受信していない場合、SCARA24は、人員及び/又は他の物体による偶発的な動きを防止するために所定の位置にロックしてもよい。所定の位置にロックすることにより、SCARA24は、
図4及び
図5に示される受動エンドエフェクタ1100及び接続された外科手術鋸1140が医療手術において使用する準備ができている固体プラットフォームを提供する。
【0026】
ロボット支持アーム18は、様々な機構によってロボット伸縮式支持体16上に配設されることができる。いくつかの実施形態では、
図1及び
図2に最もよく見られるように、ロボット支持アーム18は、ロボット伸縮式支持体16に関して任意の方向に回転する。ロボット支持アーム18は、ロボット伸縮式支持体16の周りを360度回転することができる。ロボットアーム20は、任意の好適な場所でロボット支持アーム18に接続してもよい。ロボットアーム20は、様々な機構によってロボット支持アーム16に取り付けられてもよい。好適な機構は、ナット及びボルト、ボール及びソケット嵌合、圧入嵌合、溶接、接着、ねじ、リベット、クランプ、ラッチ、及び/又はそれらの任意の組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。ロボットアーム20は、ロボット支持アーム18に関して任意の方向に回転することができ、実施形態では、ロボットアーム20は、ロボット支持アーム18に対して360度回転することができる。この自由回転は、オペレータが、計画されたようにロボットアーム20を位置決めすることを可能にすることができる。
【0027】
図4及び
図5の受動エンドエフェクタ1100は、任意の好適な場所でロボットアーム20に取り付けられることができる。以下に更に詳細に説明されるように、受動エンドエフェクタ1100は、基部、第1の機構、及び第2の機構を含む。基部は、外科手術ロボット4によって位置決めされたロボットアーム20のエンドエフェクタカプラ22に取り付けるように構成されている。基部がエンドエフェクタカプラ22に取り付けることができる様々な機構は、ラッチ、クランプ、ナット及びボルト、ボール及びソケット嵌合、圧入嵌合、溶接、接着、ねじ、リベット、及び/又はそれらの任意の組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。第1の機構は、基部への回転可能な接続部と器具取り付け機構への回転可能な接続部との間に延在する。第2の機構は、基部への回転可能な接続部と器具取り付け機構への回転可能な接続部との間に延在する。第1及び第2の機構は、回転可能な接続部を中心に回動し、作業面内の動きの範囲への器具取り付け機構の動きを制約するように構成されることができる。回転可能な接続部は、1自由度(DOF)運動を可能にする回動ジョイント、2DOF運動を可能にするユニバーサルジョイント、又は3DOF運動を可能にするボールジョイントであってもよい。器具取り付け機構は、鋸刃有する外科手術鋸1140に又は鋸刃に直接接続するように構成されている。外科手術鋸1140は、切断のために鋸刃を振動させるように構成されることができる。第1及び第2の機構は、鋸刃の切断面を作業面に平行に制約するように構成されてもよい。回動ジョイントは、受動エンドエフェクタが鋸刃の切断面への運動を制約するように構成されるときに、平面機構を接続するために好ましくは使用されてもよい。
【0028】
器具取り付け機構は、ねじ、ナット及びボルト、クランプ、ラッチ、タイ、圧入嵌め、又は磁石を含むことができるが、これらに限定されない様々な機構を介して外科手術鋸1140又は鋸刃に接続してもよい。いくつかの実施形態では、動的参照アレイ52は、受動エンドエフェクタ1100に、例えば、器具取り付け機構に取り付けられ、及び/又は外科手術鋸1140に取り付けられている。本明細書において「DRA」とも呼ばれる動的参照アレイは、ナビゲートされた外科手術において、患者、外科手術ロボット、受動エンドエフェクタ、及び/又は外科手術鋸に配設されることができる剛体である。カメラ追跡システム6又は他の3D位置特定システムは、DRAの追跡マーカの姿勢(例えば、位置及び回転方向)をリアルタイムで追跡するように構成されている。追跡マーカは、ボール又は他の光学マーカの図示された配置を含むことができる。追跡マーカの3D座標のこの追跡は、外科手術システム2が、
図5の患者50の標的解剖学的構造に対する任意の空間におけるDRA52の姿勢を決定することを可能にすることができる。
【0029】
図1に示すように、光インジケータ28は、SCARA24の上に位置付けられることができる。光インジケータ28は、外科手術システム2が現在動作している「状態」を示すために、任意のタイプの光として照明されることができる。例えば、緑色の照明は、全てのシステムが正常であることを示すことができる。赤色の照明は、外科手術システム2が正常に動作していないことを示すことができる。脈動光は、外科手術システム2が機能を実行することを意味することができる。光と脈動との組み合わせは、現在の動作条件、状態、又は他の動作指標を通信するために、ほぼ無限の量の組み合わせを生成してもよい。いくつかの実施形態では、光は、光インジケータ28の周りにリングを形成することができるLED電球によって生成されてもよい。光インジケータ28は、光インジケータ28全体を通して光を輝くことができる完全透過性材料を含んでもよい。
【0030】
光インジケータ28は、下部ディスプレイ支持体30に取り付けられてもよい。
図2に示すように、下部ディスプレイ支持体30は、オペレータがディスプレイ34を任意の好適な場所に操縦することを可能にすることができる。下部ディスプレイ支持体30は、任意の好適な機構によって光インジケータ28に取り付けられることができる。実施形態では、下部ディスプレイ支持体30は、光インジケータ28を中心に回転してもよい。実施形態では、下部ディスプレイ支持体30は、光インジケータ28に強固に取り付けられてもよい。次いで、光インジケータ28は、ロボット支持アーム18の周りに360度回転してもよい。下部ディスプレイ支持体30は、任意の好適な長さとすることができ、好適な長さは、約8インチから約34インチとすることができる。下部ディスプレイ支持体30は、上部ディスプレイ支持体32の基部として機能してもよい。
【0031】
上部ディスプレイ支持体32は、任意の好適な機構によって下部ディスプレイ支持体30に取り付けられることができる。上部ディスプレイ支持体32は、任意の好適な長さとすることができ、好適な長さは、約8インチから約34インチとすることができる。実施形態では、
図1に示すように、上部ディスプレイ支持体32は、ディスプレイ34が上部ディスプレイ支持体32に対して360度回転することを可能にすることができる。同様に、上部ディスプレイ支持体32は、下部ディスプレイ支持体30に対して360度回転してもよい。
【0032】
ディスプレイ34は、上部ディスプレイ支持体32によって支持されることができる任意の装置とすることができる。実施形態では、
図2に示すように、ディスプレイ34は、カラー及び/又は白黒画像を生成することができる。ディスプレイ34の幅は、約8インチから約30インチの幅とすることができる。ディスプレイ34の高さは、約6インチから約22インチの高さとすることができる。ディスプレイ34の深さは、約1/2インチから約4インチとすることができる。
【0033】
実施形態では、タブレットは、ディスプレイ34と組み合わせて、及び/又はディスプレイ34なしで使用されることができる。実施形態では、テーブルは、ディスプレイ34の代わりに上部ディスプレイ支持体32上に配設されることができ、医療手術中に上部ディスプレイ支持体32から取り外し可能とすることができる。更に、タブレットは、ディスプレイ34と通信することができる。タブレットは、任意の好適な無線及び/又は有線接続によって外科手術ロボット4に接続することができてもよい。いくつかの実施形態では、タブレットは、医療手術中に外科手術システム2をプログラム及び/又は制御することができてもよい。外科手術システム2をタブレットで制御するとき、全ての入力及び出力コマンドは、ディスプレイ34上で複製されてもよい。タブレットの使用は、オペレータが、患者50及び/又は外科手術ロボット4の周りを移動する必要なく、外科手術ロボット4を操作することを可能にすることができる。
【0034】
図5に示すように、カメラ追跡システム6は、有線又は無線通信ネットワークを介して外科手術ロボット4と連動して機能する。
図1及び
図5を参照すると、カメラ追跡システム6は、外科手術ロボット4にいくつかの同様の構成要素を含むことができる。例えば、カメラ本体36は、ロボット本体8に見られる機能を提供することができる。ロボット本体8は、カメラ46が取り付けられた構造を提供することができる。ロボット本体8内の構造はまた、カメラ追跡システム6を動作させるために使用される電子機器、通信装置、及び電源のための支持を提供してもよい。カメラ本体36は、ロボット本体8と同じ材料から作製されることができる。カメラ追跡システム6は、タブレット及び/又はディスプレイ34がカメラ追跡システム6の機能を制御することを可能にするために、無線及び/又は有線ネットワークによってタブレット及び/又はディスプレイ34に直接通信することができる。
【0035】
カメラ本体36は、カメラ基部38によって支持される。カメラ基部38は、ロボット基部10として機能してもよい。
図1の実施形態では、カメラ基部38は、ロボット基部10よりも広くてもよい。カメラ基部38の幅は、カメラ追跡システム6が外科手術ロボット4と接続することを可能にすることができる。
図1に示すように、カメラ基部38の幅は、ロボット基部10の外側に嵌合するのに十分な大きさであってもよい。カメラ追跡システム6及び外科手術ロボット4が接続されると、カメラ基部38の追加の幅は、外科手術システム2の追加の操縦性及び外科手術システム2の支持を可能にすることができる。
【0036】
ロボット基部10と同様に、複数の動力付きホイール12がカメラ基部38に取り付けられてもよい。動力付きホイール12は、ロボット基部10及び動力付きホイール12の動作と同様に、カメラ追跡システム6が患者50に関して固定配向を安定化及び水平化又は設定することを可能にすることができる。この安定化は、カメラ追跡システム6が医療処置中に移動するのを防止することができ、
図5に示すように、カメラ46が、指定領域56内の解剖学的構造54及び/又は器具58に接続された1つ以上のDRA52の追跡を失うことを防ぐことができる。追跡のこの安定化及びメンテナンスは、外科手術ロボット4がカメラ追跡システム6によって効果的に動作する能力を高める。更に、広いカメラ基部38は、カメラ追跡システム6に追加の支持を提供することができる。具体的には、広いカメラ基部38は、
図5に示すように、カメラ46が患者の上に配設されているときに、カメラ追跡システム6が傾斜するのを防止することができる。広いカメラ基部38を有しない場合、広げられたカメラ46は、カメラ追跡システム6を不均衡にすることがあり、その結果、カメラ追跡システム6が転倒することがある。
【0037】
カメラ伸縮式支持体40は、カメラ46を支持することができる。実施形態では、伸縮式支持体40は、カメラ46を垂直方向に高く又は下げることができる。伸縮式支持体40は、カメラ46を支持するための任意の好適な材料から作製されることができる。好適な材料は、チタン、アルミニウム、又はステンレス鋼、炭素繊維、ガラス繊維、又は頑丈なプラスチックなどの金属とすることができるが、これらに限定されない。カメラハンドル48は、任意の好適な場所でカメラ伸縮式支持体40に取り付けられることができる。カメラハンドル48は、任意の好適なハンドル構成とすることができる。好適な構成は、バー、円形、三角形、正方形、及び/又はそれらの任意の組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。
図1に示すように、カメラハンドル48は三角形であってもよく、オペレータが医療手術の前にカメラ追跡システム6を計画された位置に移動させることを可能にする。実施形態では、カメラハンドル48が使用されて、カメラ伸縮式支持体40を下降及び上昇させることができる。カメラハンドル48は、ボタン、スイッチ、レバー、及び/又はそれらの任意の組み合わせの押し下げを介して、カメラ伸縮式支持体40の上昇及び下降を行うことができる。
【0038】
下部カメラ支持アーム42は、任意の好適な場所でカメラ伸縮式支持体40に取り付けられることができ、実施形態では、
図1に示されるように、下部カメラ支持アーム42は、伸縮式支持体40の周りに360度回転することができる。この自由回転は、オペレータが任意の好適な場所にカメラ46を位置決めすることを可能にすることができる。下部カメラ支持アーム42は、カメラ46を支持するための任意の好適な材料から作製されることができる。好適な材料は、チタン、アルミニウム、又はステンレス鋼、炭素繊維、ガラス繊維、又は頑丈なプラスチックなどの金属とすることができるが、これらに限定されない。下部カメラ支持アーム42の断面は、任意の好適な形状であってもよい。好適な断面形状は、円形、正方形、長方形、六角形、八角形、又はiビームとすることができるが、これらに限定されない。断面長さ及び幅は、約1から10インチとすることができる。下部カメラ支持アームの長さは、約4インチから約36インチとすることができる。下部カメラ支持アーム42は、任意の好適な機構によって伸縮式支持体40に接続することができる。好適な機構は、ナット及びボルト、ボール及びソケット嵌合、圧入嵌合、溶接、接着、ねじ、リベット、クランプ、ラッチ、及び/又はそれらの任意の組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。下部カメラ支持アーム42が使用されて、カメラ46の支持を提供することができる。カメラ46は、任意の好適な機構によって下部カメラ支持アーム42に取り付けられてもよい。好適な機構は、ナット及びボルト、ボール及びソケット嵌合、圧入嵌合、溶接、接着、ねじ、リベット、及び/又はそれらの任意の組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。カメラ46は、カメラ46と下部カメラ支持アーム42との間の取り付け領域において任意の方向に回動することができる。実施形態では、湾曲レール44は、下部カメラ支持アーム42上に配設されることができる。
【0039】
湾曲レール44は、下部カメラ支持アーム42上の任意の好適な場所に配設されてもよい。
図3に示すように、湾曲レール44は、任意の好適な機構によって下部カメラ支持アーム42に取り付けられてもよい。好適な機構は、ナット及びボルト、ボール及びソケット嵌合、圧入嵌合、溶接、接着、ねじ、リベット、クランプ、ラッチ、及び/又はそれらの任意の組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。湾曲レール44は、任意の好適な形状とすることができ、好適な形状は、三日月形、円形、楕円形、楕円形、及び/又はそれらの任意の組み合わせとすることができる。実施形態では、湾曲レール44は、任意の適切な長さであってもよい。適切な長さは、約1フィートから約6フィートとすることができる。カメラ46は、湾曲レール44に沿って移動可能に配設されてもよい。カメラ46は、任意の好適な機構によって湾曲レール44に取り付けられてもよい。好適な機構は、ローラ、ブラケット、ブレース、モータ、及び/又はそれらの任意の組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。図示されていないモータ及びローラは、カメラ46を湾曲レール44に沿って移動させるために使用されてもよい。
図3に示すように、医療処置中に、物体がカメラ46が1つ以上のDRA52を見ることを防止する場合、モータは、ローラを使用して湾曲レール44に沿ってカメラ46を移動させることができる。この電動運動は、カメラ46が、カメラ追跡システム6を移動させることなく、物体によってもはや妨害されない新たな位置に移動することを可能にすることができる。カメラ46は、DRA52から遮られているが、カメラ追跡システム6は、外科手術ロボット4、ディスプレイ34、及び/又はタブレットに停止信号を送信することができる。停止信号は、カメラ46がDRA52を再取得するまで、SCARA24が移動するのを防止することができる。この停止は、外科手術システム2によって追跡されることなく、SCARA24及び/又はエンドエフェクタカプラ22が、医療器具を移動及び/又は使用するのを防止することができる。
【0040】
エンドエフェクタカプラ22は、
図6に示されるように、様々なタイプの受動エンドエフェクタを外科手術ロボット4に接続するように構成されている。エンドエフェクタカプラ22は、サドルジョイント62、作動アセンブリ60、ロードセル64(
図7)、及びコネクタ66を含むことができる。サドルジョイント62は、エンドエフェクタカプラ22をSCARA24に取り付けることができる。サドルジョイント62は、任意の好適な材料から作製されることができる。好適な材料は、チタン、アルミニウム、又はステンレス鋼、炭素繊維、ガラス繊維、又は頑丈なプラスチックなどの金属とすることができるが、これらに限定されない。サドルジョイント62は、追加の強度及び耐久性を有するエンドエフェクタを提供することができる単一の金属片から作製されることができる。サドルジョイント62は、取り付け点68によってSCARA24に取り付けられてもよい。サドルジョイント62の周りに配設された複数の取り付け点68が存在してもよい。取り付け点68は、サドルジョイント62上に沈められ、同一平面上にあり、及び/又は配設されてもよい。いくつかの例では、ねじ、ナット、及びボルト、及び/又はそれらの任意の組み合わせは、取り付け点68を通過し、サドルジョイント62をSCARA24に固定してもよい。ナット及びボルトは、サドルジョイント62を、SCARA24内で図示されていないモータに接続することができる。モータは、サドルジョイント62を任意の方向に移動させることができる。モータは、現在の位置で能動的にサーボ制御することによって、又はばね作動ブレーキを加えることによって受動的にサドルジョイント62が偶発的な衝突及び/又は偶発的な接触から移動することを更に防止することができる。
【0041】
エンドエフェクタカプラ22は、サドルジョイント62と接続された受動エンドエフェクタとの間に介在するロードセル64を含むことができる。
図7に示すように、ロードセル64は、任意の好適な機構によってサドルジョイント62に取り付けられてもよい。好適な機構は、ねじ、ナット及びボルト、ねじ切り、プレス嵌め、及び/又はそれらの任意の組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。
【0042】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による外科手術システム800の構成要素のブロック図を示している。
図7及び
図8を参照すると、ロードセル64は、力を検出及び測定するために使用される任意の好適な器具とすることができる。いくつかの例では、ロードセル64は、6軸ロードセル、3軸ロードセル、又は1軸ロードセルとすることができる。ロードセル64が使用されて、エンドエフェクタカプラ22に加えられた力を追跡することができる。いくつかの実施形態では、ロードセル64は、複数のモータ850、851、852、853、及び/又は854と通信することができる。ロードセル64が力を検知すると、加えられる力の量に対する情報は、スイッチアレイ及び/又は複数のスイッチアレイからコントローラ846に分配されることができる。コントローラ846は、ロードセル64から力情報を取得し、それをスイッチアルゴリズムによって処理することができる。スイッチアルゴリズムは、コントローラ846によって使用されて、モータドライバ842を制御する。モータドライバ842は、モータのうちの1つ以上の動作を制御する。モータドライバ842は、例えば、モータを介してロードセル64によって測定された等量の力を生成するために特定のモータを指示することができる。いくつかの実施形態では、生成された力は、コントローラ846によって指示されるように、複数のモータ、例えば850~854に由来してもよい。更に、モータドライバ842は、コントローラ846から入力を受信してもよい。コントローラ846は、ロードセル64によって検知された力の方向に関して、ロードセル64から情報を受信してもよい。コントローラ846は、モーションコントローラアルゴリズムを使用してこの情報を処理してもよい。アルゴリズムは、特定のモータドライバ842に情報を提供するために使用されてもよい。力の方向を複製するために、コントローラ846は、特定のモータドライバ842を作動及び/又は非作動としてもよい。コントローラ846は、ロードセル64によって検知された力の方向に受動エンドエフェクタ1100の動きを誘導するために、1つ以上のモータ、例えば850~854のうちの1つ以上を制御してもよい。この力制御された運動は、オペレータが、SCARA24及び受動エンドエフェクタ1100を労力なく及び/又は非常に少ない抵抗で移動させることができる。受動エンドエフェクタ1100の動きは、医療従事者による使用のために、任意の好適な姿勢(すなわち、定義された3次元(3D)直交基準軸に対する位置及び角度配向)で受動エンドエフェクタ1100を位置決めするように実行されることができる。
【0043】
コネクタ66は、受動エンドエフェクタ1100の基部に接続可能であり、ロードセル64に接続されるように構成されている。コネクタ66は、取り付け点68、感覚ボタン70、器具ガイド72、及び/又は器具接続/取り付け点74を含むことができる。
図6及び
図8に最もよく示されるように、複数の取り付け点68が存在してもよい。取り付け点68は、コネクタ66をロードセル64に接続することができる。取り付け点68は、コネクタ66上に沈められ、同一平面上に配置され、及び/又は配設されてもよい。取り付け点68及び76が使用されて、コネクタ66をロードセル64及び/又は受動エンドエフェクタ1100に取り付けることができる。いくつかの例では、取り付け点68及び76は、ねじ、ナット及びボルト、圧入、磁気取り付け、及び/又はそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0044】
図6に示すように、感覚ボタン70は、コネクタ66の中心の周りに配設されることができる。受動エンドエフェクタ1100がSCARA24に接続されているとき、感覚ボタン70は押し下げられることができる。感覚ボタン70の押し下げは、受動エンドエフェクタ1100がSCARA24に取り付けられていることを外科手術ロボット4に警告し、ひいては医療従事者に警告してもよい。
図6に示すように、ガイド72が使用されて、受動エンドエフェクタ1100のSCARA24への適切な取り付けを容易にすることができる。ガイド72は、コネクタ66上に沈められ、同一平面上に配置され、及び/又は配設されてもよい。いくつかの例では、複数のガイド72が存在してもよく、任意の好適なパターンを有してもよく、任意の好適な方向に配向されてもよい。ガイド72は、受動エンドエフェクタ1100のSCARA24への取り付けを容易にするための任意の好適な形状であってもよい。好適な形状は、円形、楕円形、正方形、多面体、及び/又はそれらの任意の組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。更に、ガイド72は、ベベル、直線、及び/又はそれらの任意の組み合わせによって切断されてもよい。
【0045】
コネクタ66は、取り付け点74を有してもよい。
図6に示すように、取り付け点74は、レッジ及び/又は複数のレッジを形成してもよい。取り付け点74は、受動エンドエフェクタ1100がクランプすることができる表面をコネクタ66に提供することができる。いくつかの実施形態では、取り付け点74は、コネクタ66の任意の表面の周りに配設され、コネクタ66に対して任意の適切な様式で配向される。
【0046】
図6及び
図7に最もよく示される作動アセンブリ60は、コネクタ66を取り囲んでもよい。いくつかの実施形態では、作動アセンブリ60は、コネクタ66の周りに巻き付けるブレスレットの形態をとることができる。いくつかの実施形態では、作動アセンブリ60は、外科手術システム2内の任意の適切な領域に位置してもよい。いくつかの例では、作動アセンブリ60は、SCARA24の任意の部分に位置してもよく、エンドエフェクタカプラ22の任意の部分は、医療従事者によって装着されてもよく(及び無線で通信してもよく)、及び/又はそれらの任意の組み合わせであってもよい。作動アセンブリ60は、任意の好適な材料から作製されることができる。好適な材料は、ネオプレン、プラスチック、ゴム、ゲル、炭素繊維、布、及び/又はそれらの任意の組み合わせとすることができるが、これらに限定されない。作動アセンブリ60は、一次ボタン78及び二次ボタン80を備えることができる。一次ボタン78及び二次ボタン80は、コネクタ66の全体を取り囲むことができる。
【0047】
一次ボタン78は、
図6に示されるように、コネクタ66を取り囲むことができる単一の隆起とすることができる。いくつかの例では、一次ボタン78は、サドルジョイント62から最も遠い端部に沿って作動アセンブリ60に配設されることができる。一次ボタン78は、
図7に最もよく示されるように、一次作動スイッチ82上に配設されてもよい。一次作動スイッチ82は、コネクタ66と作動アセンブリ60との間に配設されてもよい。いくつかの例では、一次ボタン78の全長に沿って一次ボタン78に隣接してその下方に配設されることができる複数の一次作動スイッチ82が存在してもよい。一次作動スイッチ82に一次ボタン78を押し下げることは、オペレータがSCARA24及びエンドエフェクタカプラ22を移動させることを可能にすることができる。上述したように、所定の位置に設定されると、SCARA24及びエンドエフェクタカプラ22は、オペレータが外科手術ロボット4をプログラムしてSCARA24及びエンドエフェクタカプラ22を移動させるか、又は一次ボタン78及び一次作動スイッチ82を使用して移動されるまで移動しなくてもよい。いくつかの例では、SCARA24及びエンドエフェクタカプラ22がオペレータコマンドに応答する前の少なくとも2つの非隣接一次作動スイッチ82の押し下げを必要とすることができる。少なくとも2つの一次作動スイッチ82の押し下げは、医療処置中のSCARA24及びエンドエフェクタカプラ22の偶発的な動きを防止することができる。
【0048】
一次ボタン78及び一次作動スイッチ82によって作動されると、ロードセル64は、オペレータ、すなわち医療従事者によってエンドエフェクタカプラ22に加えられる力の大きさ及び/又は方向を測定することができる。この情報は、SCARA24及びエンドエフェクタカプラ22を移動させるために使用されることができるSCARA24内のモータに転送されてもよい。ロードセル64によって測定された力の大きさ及び方向に関する情報は、モータに、ロードセル64によって検知されると同じ方向にSCARA24及びエンドエフェクタカプラ22を移動させることができる。この力制御された動きは、オペレータがSCARA24及びエンドエフェクタカプラ22を移動させると同時に、モータがSCARA24及びエンドエフェクタカプラ22を移動させることにより、SCARA24及びエンドエフェクタカプラ22を容易に且つ大量の労作なしに動かすことを可能にすることができる。
【0049】
図6に示すように、二次ボタン80は、サドルジョイント62に最も近い作動アセンブリ60の端部に配設されることができる。いくつかの例では、二次ボタン80は、複数の隆起を備えることができる。複数の隆起は、互いに隣接して配設されてもよく、コネクタ66を取り囲んでもよい。更に、二次ボタン80は、二次作動スイッチ84に配設されることができる。
図7に示すように、二次作動スイッチ84は、二次ボタン80とコネクタ66との間に配設されることができる。いくつかの例では、二次ボタン80は、「選択」装置としてオペレータによって使用されてもよい。医療手術中、外科手術ロボット4は、ディスプレイ34及び/又は光インジケータ28によって、医療従事者に特定の状態に通知することができる。医療従事者は、外科手術ロボット4によって、機能、モード、及び/又は外科手術システム2の状態を選択するように促されることができる。二次作動スイッチ84において二次ボタン80を一回押し下げることは、特定の機能、モードを作動させ、及び/又はディスプレイ34及び/又は光インジケータ28を介して医療従事者に通信される情報を確認することができる。更に、二次作動スイッチ84において二次ボタン80を急速に連続して複数回押し下げることは、追加の機能、モードを作動させ、及び/又はディスプレイ34及び/又は光インジケータ28を介して医療従事者に伝達される情報を選択することができる。いくつかの例では、二次ボタン80が適切に機能することができる前に、少なくとも2つの非隣接二次作動スイッチ84が押下されてもよい。この要件は、二次ボタン80の意図しない使用が、作動アセンブリ60における医療従事者による偶発的な衝突を防止することができる。一次ボタン78及び二次ボタン80は、ソフトウェアアーキテクチャ86を使用して、医療従事者のコマンドを外科手術システム2に通信してもよい。
【0050】
図8は、本開示のいくつかの実施形態にしたがって構成され、上記の外科手術システム2に対応することができる外科手術システム800の構成要素のブロック図を示している。外科手術システム800は、プラットフォームサブシステム802、コンピュータサブシステム820、動き制御サブシステム840、及び追跡サブシステム830を含む。プラットフォームサブシステム802は、バッテリ806、配電モジュール804、コネクタパネル808、及び充電ステーション810を含む。コンピュータサブシステム820は、コンピュータ822、ディスプレイ824、及びスピーカ826を含む。動き制御サブシステム840は、ドライバ回路842、モータ850、851、852、853、854、安定器855、856、857、858、エンドエフェクタコネクタ844、及びコントローラ846を含む。追跡サブシステム830は、位置センサ832及びカメラコンバータ834を含む。外科手術システム800はまた、取り外し可能なフットペダル880及び取り外し可能なタブレットコンピュータ890を含んでもよい。
【0051】
入力電力は、配電モジュール804に設けられることができる電源を介して外科手術システム800に供給される。配電モジュール804は、入力電力を受信し、外科手術システム800の他のモジュール、構成要素、及びサブシステムに提供される異なる電源電圧を生成するように構成されている。配電モジュール804は、コンピュータ822、ディスプレイ824、スピーカ826、ドライバ842などの他の構成要素、例えば、パワーモータ850~854及びエンドエフェクタカプラ844に設けられ、且つカメラコンバータ834及び外科手術システム800用の他の構成要素に設けられることができるコネクタパネル808に異なる電圧供給を提供するように構成されてもよい。配電モジュール804はまた、配電モジュール804が入力電力から電力を受信しない場合に一時的な電源として機能するバッテリ806に接続されてもよい。他の時点で、配電モジュール804は、バッテリ806を充電するのに役立つことができる。
【0052】
コネクタパネル808は、異なる装置及び構成要素を外科手術システム800及び/又は関連付けられた構成要素及びモジュールに接続するのに役立つことができる。コネクタパネル808は、異なる構成要素からのライン又は接続を受信する1つ以上のポートを含んでもよい。例えば、コネクタパネル808は、外科手術システム800を他の機器に接地することができる接地端子ポートと、フットペダル880を接続するポートと、位置センサ832、カメラコンバータ834、及びマーカ追跡カメラ870を含むことができる追跡サブシステム830に接続するポートと、を有してもよい。コネクタパネル808はまた、コンピュータ822などの他の構成要素へのUSB、イーサネット(登録商標)、HDMI(登録商標)通信を可能にするための他のポートを含んでもよい。
【0053】
コントロールパネル816は、外科手術システム800の動作を制御する、及び/又はオペレータによる観察のために外科手術システム800からの情報を提供する、様々なボタン又はインジケータを提供することができる。例えば、コントロールパネル816は、外科手術システム800の電源オン又はオフのボタン、支持アーム16のリフト又は下部垂直カラム、及びキャスタ(例えば、動力付きホイール12)と係合するように設計されて外科手術システム800が物理的に移動するのをロックするように設計されることができるリフト又は下部安定器855~858を含むことができる。他のボタンは、緊急時に外科手術システム800を停止してもよく、これは、全てのモータ電力を除去し、機械的ブレーキを適用して全ての運動が発生するのを停止させてもよい。コントロールパネル816はまた、バッテリ806のライン電力インジケータ又は充電状態などの特定のシステム状態をオペレータに通知するインジケータを有してもよい。
【0054】
コンピュータサブシステム820のコンピュータ822は、外科手術システム800の割り当てられた機能を動作させるためのオペレーティングシステム及びソフトウェアを含む。コンピュータ822は、情報をオペレータに表示するために、他の構成要素(例えば、追跡サブシステム830、プラットフォームサブシステム802、及び/又は動き制御サブシステム840)から情報を受信及び処理することができる。更に、コンピュータサブシステム820は、オペレータのスピーカ826を介して出力を提供することができる。スピーカは、外科手術ロボットの一部、ヘッドマウントディスプレイ構成要素の一部、又は外科手術システム2の別の構成要素内にあってもよい。ディスプレイ824は、
図1及び
図2に示されるディスプレイ34に対応してもよく、又はシースルー表示画面を介して視認可能な実世界オブジェクト上にオーバーレイされた拡張現実(AR)画像を形成するシースルー表示画面上に画像を投影するヘッドマウントディスプレイであってもよい。
【0055】
追跡サブシステム830は、位置センサ832及びカメラコンバータ834を含むことができる。追跡サブシステム830は、
図3のカメラ追跡システム6に対応することができる。マーカ追跡カメラ870は、位置センサ832によって動作して、DRA52の姿勢を決定する。この追跡は、LED又は反射マーカなどのDRA52の能動要素又は受動要素の位置をそれぞれ追跡する赤外線又は可視光技術の使用を含む、本開示と一致する方法で行うことができる。DRA52などのこれらのタイプのマーカを有する構造の場所、配向、及び位置は、コンピュータ822に提供され、ディスプレイ824上でオペレータに示されることができる。例えば、
図4及び
図5に示されるように、DRA52を有する、又は(ナビゲーション空間と呼ばれることがある)この様式で追跡されたDRA52を有するエンドエフェクタカプラ22に接続された外科手術鋸1240は、患者の解剖学的構造の3次元画像に関連してオペレータに示されることができる。
【0056】
動き制御サブシステム840は、垂直カラム16、上部アーム18、下部アーム20を物理的に移動させるか、又はエンドエフェクタカプラ22を回転させるように構成されることができる。物理的な動きは、1つ以上のモータ850~854の使用を通じて行われてもよい。例えば、モータ850は、垂直カラム16を垂直に上昇又は下降させるように構成されることができる。モータ851は、
図2に示すように、垂直カラムとの係合点の周りで上部アーム18を横方向に移動させるように構成されることができる。モータ852は、
図2に示すように、上部アーム18との係合点の周りで下部アーム20を横方向に移動させるように構成されることができる。モータ853及び854は、エンドエフェクタカプラ22を移動させて、ほぼ3次元軸に沿って並進運動及び回転を提供するように構成されることができる。
図9に示す外科手術計画コンピュータ910は、外科手術中に切断されることになる解剖学的構造に対して計画された姿勢(すなわち、定義された3D直交基準軸に対する位置及び角度方向)で、エンドエフェクタカプラに接続された受動エンドエフェクタを位置決めするようにエンドエフェクタカプラ22の動きを案内する制御入力をコントローラ846に提供することができる。動き制御サブシステム840は、統合された位置センサ(例えば、エンコーダ)を使用して受動エンドエフェクタ構造の位置を測定するように構成されることができる。実施形態のうちの1つでは、位置センサは、受動エンドエフェクタ構造の少なくとも1つの関節に直接接続されるが、構造内の別の場所に位置決めされ、タイミングベルト、ワイヤ、又は任意の他の同期伝送相互接続の相互接続によって関節位置を遠隔測定することもできる。
【0057】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による、外科手術ロボット800から分離され且つ外科手術ロボットに動作可能に接続され、又はその中に少なくとも部分的に組み込まれることができる外科手術計画コンピュータ910を含む外科手術システムコンピュータプラットフォーム900のブロック図を示している。あるいは、外科手術計画コンピュータ910について本明細書に開示される動作の少なくとも一部は、コンピュータサブシステム820などによって、外科手術ロボット800の構成要素によって実行されてもよい。
【0058】
図9を参照すると、外科手術計画コンピュータ910は、ディスプレイ912と、少なくとも1つのプロセッサ回路914(簡潔にするためのプロセッサとも呼ばれる)と、コンピュータ可読プログラムコード918を含む少なくとも1つのメモリ回路916(簡潔にするためのメモリとも呼ばれる)と、少なくとも1つのネットワークインターフェース920(簡潔にするためにネットワークインターフェースとも呼ばれる)と、を含む。ネットワークインターフェース920は、
図10のCアーム撮像装置104、
図11のOアーム撮像装置106、別の医用画像装置、医用画像の画像データベース950、外科手術ロボット800の構成要素、及び/又は他の電子機器に接続するように構成されることができる。
【0059】
外科手術計画コンピュータ910が外科手術ロボット800内に少なくとも部分的に統合されているとき、ディスプレイ912は、
図2のディスプレイ34及び/又は
図8のタブレット890及び/又はヘッドマウントディスプレイに対応することができ、ネットワークインターフェース920は、
図8のプラットフォームネットワークインターフェース812に対応することができ、プロセッサ914は、
図8のコンピュータ822に対応することができる。
【0060】
プロセッサ914は、汎用及び/又は専用プロセッサ、例えば、マイクロプロセッサ及び/又はデジタル信号プロセッサなどの1つ以上のデータ処理回路を含むことができる。プロセッサ914は、メモリ916内のコンピュータ可読プログラムコード918を実行して動作を実行するように構成されており、これは、本明細書で説明される動作のうちのいくつか又は全てを、外科手術計画コンピュータによって実行されるものとして含むことができる。
【0061】
プロセッサ914は、撮像装置104及び106のうちの1つから、及び/又はネットワークインターフェース920を介して画像データベース950から受信される骨の画像を表示装置912に表示するように動作することができる。プロセッサ914は、計画された外科的切断のためにディスプレイ912上の場所を選択するオペレータの接触によって、又は計画された外科的切断のための場所を定義するためにマウスベースのカーソルを使用することなどによって、1つ以上の画像に示された解剖学的構造、すなわち1つ以上の骨が切断されるべき場所のオペレータの定義を受信する。
【0062】
外科手術計画コンピュータ910は、股関節の中心、角度の中心、自然なランドマーク(例えば、経顆線、ホワイトサイド線、後顆線など)などを決定する様々な角度の測定のような、膝の手術に有用な解剖学的構造の測定を可能にする。いくつかの測定は、自動とすることができるが、いくつかの他の測定は、人間の入力又は支援を伴う。この外科手術計画コンピュータ910は、オペレータが、サイズ及び位置合わせの選択を含む、患者の正しいインプラントを選択することを可能にする。外科手術計画コンピュータ910は、CT画像又は他の医用画像の自動又は半自動(人間の入力を伴う)セグメンテーション(画像処理)を可能にする。患者の外科手術計画は、外科手術ロボット800による回収のために、クラウドベースのサーバに記憶されてもよい。外科手術中、外科医は、コンピュータ画面(例えば、タッチスクリーン)又は例えばヘッドマウントディスプレイを介した拡張現実相互作用を使用して、どの切断を行うか(例えば、後方大腿骨、近位脛骨など)を選択する。外科手術ロボット4は、計画された切断の標的平面が外科手術鋸刃とロボットアーム20とを相互接続する受動エンドエフェクタの作業空間内に最適に配置されるように、外科手術鋸刃を計画位置に自動的に移動させることができる。動きを可能にするコマンドは、様々なモダリティ、例えばフットペダルを使用してユーザによって与えられることができる。
【0063】
いくつかの実施形態では、外科手術システムコンピュータプラットフォーム900は、2つのDRAを使用して、以下の患者の解剖学的位置を追跡することができる:患者の脛骨上に1つ、及び患者の大腿骨上に1つ。プラットフォーム900は、位置合わせ及び検査のための標準的なナビゲートされた器具(例えば、脊椎手術のためのGlobus ExcelsiusGPSシステムにおいて使用されるものと同様のポインタ)を使用することができる。追跡された解剖学的構造に関するDRA動きの検出を可能にする追跡マーカも同様に使用されることができる。
【0064】
膝手術における重要な困難は、膝におけるインプラントの位置を計画する方法であり、多くの外科医は、3D解剖学的構造の2D表現であるコンピュータ画面上でそれを行うことに苦労する。プラットフォーム900は、拡張現実(AR)ヘッドマウントディスプレイを使用して、実際の患者の膝の周りにインプラントオーバーレイを生成することによって、この問題に対処することができる。例えば、外科医は、仮想ハンドルを動作可能に表示して、インプラントを所望の姿勢に把持して移動させ、計画されたインプラント配置を調整することができる。その後、外科手術中、プラットフォーム900は、ARヘッドマウントディスプレイを介してナビゲーションをレンダリングして、外科医が直接見えないものを示すことができる。また、骨除去の進行、例えば深さ又は切断がリアルタイムで表示されることができる。ARを介して表示されることができる他の特徴は、限定するものではないが、関節可動域に沿った間隙又は靭帯バランス、関節可動域に沿ったインプラント上の接触線、色又は他のグラフィッカルオーバーレイによる靭帯の張力及び/又は弛緩などを含むことができる。
【0065】
外科手術計画コンピュータ910は、いくつかの実施形態では、標準的なインプラント、例えば、後方安定化インプラント及び十字保持インプラント、センメント及びセメントレスインプラント、例えば、全体又は部分的な膝及び/又は股関節の置換及び/又は外傷に関連する外科手術用の補正システムの計画を可能にすることができる。
【0066】
プロセッサ914は、解剖学的構造を切断するためにオペレータによって選択された位置で表示された解剖学的構造と交差する1つ以上の切断面をディスプレイ912上にグラフィカルに示すことができる。プロセッサ914はまた、エンドエフェクタカプラ22が位置決めされなければならない角度方向及び位置の1つ以上のセットを決定し、したがって、外科手術鋸刃の切断面は、オペレータが定義した切断を実行するために標的平面と位置合わせされ、角度方向及び位置のセットを外科手術計画データ構造内のデータとして記憶する。プロセッサ914は、受動エンドエフェクタの器具取り付け機構の既知の動き範囲を使用して、ロボットアーム20に取り付けられたエンドエフェクタカプラ22が位置決めされる必要がある場所を決定する。
【0067】
外科手術ロボット800のコンピュータサブシステム820は、外科手術計画データ構造からデータを受信し、カメラ追跡システム6から、切断される解剖学的構造の現在の姿勢を示し、DRAを介して追跡された受動エンドエフェクタ及び/又は外科手術鋸の現在の姿勢を示す情報を受信する。コンピュータサブシステム820は、解剖学的構造がどこで切断されるべきかを定義する外科手術計画に基づいて、及び解剖学的構造の姿勢に基づいて、標的平面の姿勢を決定する。コンピュータサブシステム820は、標的平面の姿勢と外科手術鋸の姿勢との比較に基づいて、操縦情報を生成する。操縦情報は、鋸刃の切断面が標的平面と位置合わせされ、鋸刃が受動エンドエフェクタの器具取り付け機構の移動の範囲内にある切断されるべき解剖学的構造からの距離に位置決めされるように、受動エンドエフェクタが移動される必要がある場所を示す。
【0068】
上で説明したように、外科手術ロボットは、ロボット基部と、ロボット基部に接続されたロボットアームと、ロボット基部に対してロボットアームを移動させるように動作可能に接続された少なくとも1つのモータと、を含む。外科手術ロボットはまた、少なくとも1つのモータに接続されて動作を実行するように構成された少なくとも1つのコントローラ、例えば、コンピュータサブシステム820及び動き制御サブシステム840を含む。
【0069】
図12~
図19に関して以下に更に詳細に説明されるように、受動エンドエフェクタは、ロボットアームの作動アセンブリに取り付けるように構成された基部と、第1の機構と、第2の機構と、を含む。第1の機構は、基部への回転可能な接続部と器具取り付け機構への回転可能な接続部との間に延在する。第2の機構は、基部への回転可能な接続部と器具取り付け機構への回転可能な接続部との間に延在する。第1及び第2の機構は、回転可能な接続部を中心に回動し、これは、作業面内の動きの範囲への器具取り付け機構の動きを制約するように構成されることができる。回転可能な接続部は、1自由度(DOF)運動を可能にする回動ジョイント、2DOF運動を可能にするユニバーサルジョイント、又は3DOF運動を可能にするボールジョイントであってもよい。器具取り付け機構は、切断用の鋸刃を備える外科手術鋸に接続するように構成されている。第1及び第2の機構は、鋸刃の切断面を作業面に平行に制約するように構成されてもよい。
【0070】
いくつかの実施形態では、外科手術ロボットの少なくとも1つのコントローラによって実行される動作はまた、鋸刃の切断面が標的平面と位置合わせされ、鋸刃が受動エンドエフェクタの器具取り付け機構の動きの範囲内にある切断されるべき解剖学的構造からの距離に位置決めされるように、受動エンドエフェクタを再配置するために操縦情報に基づいて少なくとも1つのモータの動きを制御することを含む。操縦情報は、外科手術鋸のオペレータの動きを案内するために表示されてもよく、及び/又は外科手術鋸を自動的に移動させるために少なくとも1つのコントローラによって使用されてもよい。
【0071】
一実施形態では、外科手術ロボットの少なくとも1つのコントローラによって実行される動作は、鋸刃の切断面が標的平面と位置合わせされ、鋸刃が切断されるべき解剖学的構造からの距離、すなわち受動エンドエフェクタの器具取り付け機構の動きの範囲内に位置決めされるように、受動エンドエフェクタのオペレータの動きを案内するために表示用の表示装置に操縦情報を提供することを含む。表示装置は、ディスプレイ824(
図8)、
図1のディスプレイ34、及び/又はヘッドマウントディスプレイに対応することができる。
【0072】
例えば、操縦情報は、シースルー表示画面を介して視認可能な実世界オブジェクト上にオーバーレイされた拡張現実画像を形成するシースルー表示画面上に画像を投影するヘッドマウントディスプレイ上に表示されてもよい。動作は、骨上にオーバーレイされた姿勢で、且つ骨が切断されるようにどのように計画されるかについて、外科手術計画に対応する相対的な配向で標的平面のグラフィカル表現を表示してもよい。動作は、代替的又は追加的に、オペレータが骨を切断するために、切断面を計画された標的平面とより容易に位置合わせすることができるように、鋸刃の切断面のグラフィカル表現を表示することができる。それにより、オペレータは、鋸刃の切断面を標的平面と位置合わせするための動きを視覚的に観察して実行することができ、したがって、鋸刃が骨に対して計画された姿勢に且つ受動エンドエフェクタの器具取り付け機構の動きの範囲内に位置決めされる。
【0073】
自動撮像システムは、外科手術計画コンピュータ910及び/又は外科手術システム2と併せて使用されて、患者の術前、術中、術後、及び/又はリアルタイム画像データを取得することができる。例示的な自動撮像システムを
図10及び
図11に示す。いくつかの実施形態では、自動撮像システムは、Cアーム104(
図10)撮像装置又はOアーム(登録商標)106(
図11)である。(Oアーム(登録商標)は、Louisville,Colo.,USAに事業所を有するMedtronic Navigation,Inc.によって著作権を与えられる)それは、X線システムにおいて必要とされることがある患者の頻繁な手動再配置を必要とせずに、多数の異なる位置から患者のX線を撮像することが望ましい場合がある。Cアーム104X線診断機器は、頻繁な手動再配置の問題を解決することができ、外科手術及び他の介入処置の医療技術分野において周知とすることができる。
図10に示すように、Cアームは、「C」形状の対向する遠位端112で終端する細長いC字形部材を含む。C字形部材は、X線源114及び画像レセプタ116に取り付けられている。アームのCアーム104内の空間は、医師がX線支持構造からの干渉を実質的に含まないように患者に注意する余地を提供する。
【0074】
Cアームは、2自由度(すなわち、球形運動の2つの垂直軸の周り)でのアームの回転運動を可能にするように搭載されている。Cアームは、X線支持構造に摺動可能に取り付けられ、これは、その曲率中心の周りのCアームの旋回回転運動を可能にし、X線源114及び画像レセプタ116の垂直及び/又は水平の選択的配向を許容することができる。Cアームはまた、横方向に回転可能であってもよい(すなわち、患者の幅及び長さの双方に対するX線源114及び画像レセプタ116の選択的に調整可能な位置決めを可能にするために、旋回方向に対して垂直方向に)。Cアーム装置の球形回転態様は、医師が、撮像されている特定の解剖学的状態に関して決定された最適な角度で患者のX線を撮像することを可能にする。
【0075】
図11に示すOアーム(登録商標)106は、図示されていない画像捕捉部分を囲むことができるガントリハウジング124を含む。画像捕捉部分は、X線源及び/又は発光部分及びX線受信部分及び/又は画像受信部分を含み、これらは、互いに約180度に配設され、画像捕捉部分の軌道に対してロータ(図示せず)に取り付けられることができる。画像捕捉部分は、画像取得中に360度回転するように動作可能であってもよい。画像捕捉部分は、中心点及び/又は軸の周りを回転してもよく、患者の画像データが複数の方向又は複数の平面から取得されることを可能にする。
【0076】
ガントリハウジング124を備えたOアーム(登録商標)106は、撮像される物体の周りに位置決めするための中央開口部と、ガントリハウジング124の内部の周りを回転可能であり且つ複数の異なる投影角度から放射線を投射するように適合されることができる放射線源と、を有する。検出器システムは、各投影角度での放射線を検出して、準同時に複数の投影平面から物体画像を取得するように適合されている。ガントリは、片持ち式のホイールを備えたホイール付き移動カートなどの支持構造Oアーム(登録商標)支持構造に取り付けられることができる。位置決めユニットは、好ましくはコンピュータ化された動き制御システムの制御下で、ガントリを計画された位置及び向きに並進及び/又は傾斜させる。ガントリは、ガントリ上で互いに反対側に配設された供給源及び検出器を含んでもよい。供給源及び検出器は、電動ロータに固定されてもよく、これは、互いに協調してガントリの内部の周りで源及び検出器を回転させることができる。供給源は、ガントリの内側に位置する標的物体の多平面撮像のために、部分的及び/又は完全に360度の回転にわたって複数の位置及び配向でパルス化されてもよい。ガントリは、ロータが回転するときにロータを案内するためのレール及び軸受システムを更に備えてもよく、これは、供給源及び検出器を担持することができる。Oアーム(登録商標)106及びCアーム104の双方及び/又はいずれかは、自動撮像システムとして使用されて、患者をスキャンし、情報を外科手術システム2に送信することができる。
【0077】
自動撮像システムによって捕捉された画像は、外科手術計画コンピュータ910、外科手術ロボット800、及び/又は外科手術システム2の別の構成要素の表示装置に表示されることができる。
【0078】
ここで、外科手術システムと共に使用するように構成された受動エンドエフェクタの様々な実施形態が、
図12~
図21の文脈において説明される。
【0079】
以下に更に詳細に説明されるように、
図12~
図18E及び
図21に示される様々な受動エンドエフェクタは、各々、基部と、第1の平面機構と、第2の平面機構と、を含むことができる。基部は、外科手術ロボットによって位置決められたロボットアーム(例えば、
図1及び
図2のロボットアーム20)のエンドエフェクタカプラ(例えば、
図4及び
図5のエンドエフェクタカプラ22)に取り付けるように構成されている。様々なクランプ機構が使用されて、基部をエンドエフェクタカプラにしっかりと取り付け、バックラッシュを除去し、適切な剛性を確保することができる。基部をエンドエフェクタカプラに取り付けるために使用されることができる不可逆的クランプ機構は、トグルジョイント機構又は不可逆的ロックスクリューを含むことができるが、これらに限定されない。ユーザは、クランプ機構を作動又は締め付けるためのねじ回し、トルクレンチ、又はドライバなどの追加の器具を使用することができるが、これらに限定されない。第1の機構は、2つの基部への回転可能な接続部と器具取り付け機構への回転可能な接続部との間に延在する。第2の機構は、基部への回転可能な接続部と器具取り付け機構への回転可能な接続部との間に延在する。第1及び第2の機構は、回転可能な接続部を中心に回動する。回転可能な接続部は、1自由度(DOF)運動を可能にする回動ジョイント、2DOF運動を可能にするユニバーサルジョイント、又は3DOF運動を可能にするボールジョイントであってもよい。回動ジョイントが使用されるとき、第1及び第2の機構は、作業面内の動きの範囲への器具取り付け機構の動きを制約するように構成されることができる。器具取り付け機構は、切断のために発振するように構成された鋸刃を有する外科手術鋸に接続するように構成されている。第1及び第2の機構は、例えば、1DOF運動を有する回動ジョイントを介して、作業面に平行であるように鋸刃の切断面を拘束するように構成されてもよい。器具取り付け機構は、ねじ、ナット及びボルト、クランプ、ラッチ、タイ、圧入嵌め、又は磁石を含むことができるが、これらに限定されない様々な機構を介して外科手術鋸又は鋸刃に接続してもよい。DRAは、器具取り付け機構又は外科手術鋸に接続されて、カメラ追跡システム6(
図3)による鋸刃の姿勢の追跡を可能にすることができる。
【0080】
上で説明したように、外科手術システム(例えば、
図1及び
図2の外科手術システム2)は、鋸刃によって切断されるべき解剖学的構造の姿勢を決定し且つ鋸刃の姿勢を決定するように構成された外科手術ロボット(例えば、
図1及び
図2の外科手術ロボット4)及び追跡システム(例えば、
図1及び3のカメラ追跡システム6)を含む。外科手術ロボットは、ロボット基部と、ロボット基部に回転可能に接続され、受動エンドエフェクタを位置決めするように構成されたロボットアームと、を含む。ロボット基部に対してロボットアームを移動させるように、少なくとも1つのモータが動作可能に接続されている。少なくとも1つのコントローラは、少なくとも1つのモータに接続され、解剖学的構造が切断されるべき外科手術計画に基づいて標的平面の姿勢を決定することと、解剖学的構造の姿勢に基づいて、外科手術計画が、オペレータからの入力、例えば、外科医又は他の手術人員に基づいて
図9の外科手術計画コンピュータ910によって生成されることができる動作を実行するように構成されている。動作は、標的平面の姿勢と外科手術鋸の姿勢との比較に基づいて、操縦情報を生成することを更に含む。操縦情報は、鋸刃の切断面が標的平面と位置合わせされるように、受動エンドエフェクタを移動させて受動エンドエフェクタの作業面を位置決めする必要がある場所を示す。
【0081】
いくつかの更なる実施形態では、少なくとも1つのコントローラによって実行される動作は、受動エンドエフェクタを再配置するための操縦情報に基づいて少なくとも1つのモータの動きを制御することを更に含み、したがって、鋸刃の切断面は、標的平面と位置合わせされ、鋸刃は、受動エンドエフェクタの器具取り付け機構の動きの範囲内にある解剖学的構造からの距離に位置決めされる。
【0082】
動作は、鋸刃の切断面が標的平と位置合わせされるように、及び、鋸刃が切断されるべき解剖学的構造から距離を置いて、すなわち、受動エンドエフェクタの器具取り付け機構の動きの範囲内に位置決めされるように、受動エンドエフェクタのオペレータの動きを案内するために表示装置に操縦情報を提供することを含んでもよい。
【0083】
上で説明したように、いくつかの外科手術システムは、外科医、看護師、及び/又は外科手術処置を支援する他の人物によって着用されることができるヘッドマウントディスプレイ装置を含むことができる。外科手術システムは、着用者が受動エンドエフェクタをより正確に位置決めし、及び/又は解剖学的構造上の計画された位置を切断するために、鋸刃が標的平面と正確に位置合わせされたことを確認することを可能にする情報を表示することができる。操縦情報を表示装置に提供するための動作は、鋸刃の切断面が標的平面と位置合わせされ且つ鋸刃が受動エンドエフェクタの器具取り付け機構の動きの範囲内で解剖学的構造から距離を置いて位置決めされるように、受動エンドエフェクタのオペレータの移動を案内するために切断されるべき解剖学的構造上のオーバーレイとして操縦情報を表示するシースルー表示画面を有するヘッドマウントディスプレイ装置に表示するための操縦情報を構成することを含むことができる。
【0084】
ヘッドマウントディスプレイ装置上に表示するための操縦情報を構成するための動作は、切断されるべき解剖学的構造に固定され、それと位置合わせされたオーバーレイとして表示される標的平面のグラフィカル表現を生成することと、鋸刃に固定され、且つ鋸刃に位置合わせされたオーバーレイとして表示される鋸刃の切断面の別のグラフィカル表現を生成することと、を含むことができる。それにより、着用者は、外科手術鋸を動かして、グラフィカルにレンダリングされた標的平面とグラフィカルにレンダリングされた切断面との間に視覚的に観察された位置合わせを提供することができる。
【0085】
ヘッドマウントディスプレイ装置上に表示するための操縦情報を構成するための動作は、鋸刃によって形成された切断深度を、切断されている解剖学的構造のグラフィカル表現に生成することを含んでもよい。したがって、着用者は、切断の直接観察が組織又は他の構造によって妨げられているにもかかわらず、鋸刃が骨を切断する方法をより良好に監視するために、切断深度のグラフィカル表現を使用することができる。
【0086】
追跡システムは、解剖学的構造に取り付けられた追跡マーカ、例えばDRAの姿勢を決定することに基づいて、鋸刃によって切断されるべき解剖学的構造の姿勢を決定するように構成されることができ、外科手術鋸及び受動エンドエフェクタのうちの少なくとも1つに接続された追跡マーカの姿勢を決定することに基づいて、外科手術鋸の姿勢を決定するように構成されることができる。追跡システムは、作業面内の器具取り付け機構の移動中に、第1及び第2の機構の回転位置を測定するように構成された回転位置センサに基づいて、外科手術鋸の姿勢を決定するように構成されることができる。上で説明したように、位置センサは、受動エンドエフェクタ構造の少なくとも1つの関節に直接接続されることができるが、構造内の別の場所に位置決めされ、タイミングベルト、ワイヤ、又は任意の他の同期伝送相互接続の相互接続によって関節位置を遠隔測定することもできる。更に、鋸刃の姿勢は、構造基部に取り付けられた追跡マーカ、受動構造の位置センサ、及び構造の運動学的モデルに基づいて決定されることができる。
【0087】
本明細書に開示される様々な受動エンドエフェクタは、鋸刃に平行な平面内の2つの並進(切断面を画定する)及びこの切断面に垂直な1つの回転(器具の向き)に沿って、矢状鋸などの外科手術鋸又は鋸刃の機械的案内を可能にする、滅菌可能又は非滅菌(滅菌ドレープによって覆われている)の受動3DOF(自由度)機械構造とすることができる。外科手術中、外科手術ロボット4は、エンドエフェクタカプラ22を移動させ、受動エンドエフェクタ及び外科手術鋸が、自動的に膝又は他の解剖学的構造の近くに位置決めし、その結果、切断されるべき全ての骨は、受動エンドエフェクタの作業空間内にある。この位置は、行われ得る切断及び外科手術計画及びインプラント構築に依存する。受動エンドエフェクタは、
図12に示すように、2つの並進(X及びY方向)及び回転(Z軸の周り)を提供する切断面上の矢状鋸又は鋸刃を案内するための3DOFを有することができる。
【0088】
外科手術ロボット4が計画された位置を達成するとき、それは(ブレーキ又はアクティブモータ制御のいずれかで)位置を保持し、特定の骨切断中に移動しない。それは、計画された標的平面に沿った外科手術鋸の鋸刃の動きを可能にする受動エンドエフェクタである。そのような平面切断は、全ての骨切断が平面である古典的な人工膝関節全置換術に特に有用である。部分膝関節形成術では、「オンレイ」と呼ばれる特別なタイプのインプラントがあり、これは、鋸で準備された骨表面と併せて使用されることができる。様々な受動エンドエフェクタは、古典的な治具よりも高い精度で、切断中の案内の精度を確保することができ、計画されている全ての骨を切断するのに十分な範囲の作業空間範囲を提供し、外科医によって加えられる力及び骨の反力に加えて、外科手術鋸から生じる可能性のあるかなりの量の振動にもかかわらず、十分な横方向剛性(ロックされたDOFに対応する)を提供することができる機械的構造を有する。
【0089】
同時に、受動エンドエフェクタ位置を測定することは、外科手術ロボット4が外科医にどれだけの骨が除去されたか(処置の進行)を知らせることを可能にするため好ましい。骨除去に関するリアルタイム情報を提供するための1つの方法は、骨が切断された場所のみを刃が通過することができるため、骨に対して鋸刃が通過した場所を測定するための外科手術ロボット4のためのものである。鋸刃位置を測定するために、DRAは、外科手術鋸及び/又は受動エンドエフェクタに取り付けられることができる。これは、3D空間における鋸位置の直接的又は間接的な測定を可能にする。鋸刃位置を測定するための代替的な方法は、受動エンドエフェクタ形状の位置と鋸刃の先端との間の定義された関係の数学的モデルを使用して鋸刃の位置を計算するために、位置(回転又は並進)センサ(例えば、エンコーダ、リソルバ)を受動エンドエフェクタの位置情報に統合することである。
【0090】
一実施形態では、従来の矢状鋸機構は、変化がほとんど又は全くない外科手術システムコンピュータプラットフォーム900と共に使用されることができる。潜在的な変化は、外科手術鋸の受動エンドエフェクタへの容易な取り付けを可能にするために外部シールドを適応させることを含むが、必ずしも内部機構の変化を伴わない。受動エンドエフェクタは、例えば、DeSoutter社によって提供される従来の矢状鋸に接続するように構成されてもよい。更に、鋸刃は、鋸ハンドピースなしで受動エンドエフェクタに直接取り付けられてもよい。
【0091】
外科手術ロボット4が受動エンドエフェクタを位置決めするときに、鋸が意図しない受動エンドエフェクタ動きを防止するために、例えば、外科手術鋸が重力によって患者に落下するのを防止するために、受動エンドエフェクタは、係合動作と係合解除動作との間を移動するロック機構を含むことができる。係合されている間、ロック機構は、外科手術鋸の自由度(DOF)をロックすることによって直接的に、又は受動エンドエフェクタのブレーキ若しくはロックの特定の関節によって間接的にのいずれかで、ロボットエンドエフェクタカプラに対する鋸刃の動きを防止する。係合解除されている間、受動エンドエフェクタの第1及び第2の機構は、ロック機構からの干渉なしに基部に対して移動されることができる。
図19A~
図19Cに関して以下により詳細に説明されるロック機構はまた、外科医が外科手術鋸を保持し、外科手術鋸に力及びトルクを加えることによって外科手術ロボット4の動きを制御するときに使用されることができる。外科手術ロボット4は、ロボットアーム20の遠位端に一体化された
図6及び
図7のロードセル64を使用して、ロボットアーム20上に応答力及びトルクを適用及び生成する力及びトルクを測定し、その結果、外科医は、受動エンドエフェクタを前後、左右により容易に移動させ、様々な軸周りに回転を加えることができる。
【0092】
受動エンドエフェクタの実施形態が
図12に示されている。受動エンドエフェクタ1200は、外科手術ロボットによって位置決めされたロボットアーム(例えば、
図1及び
図2のロボットアーム18)のエンドエフェクタカプラ(例えば、
図4及び
図5のエンドエフェクタカプラ22)に取り付けるように構成された基部1202を含む。受動エンドエフェクタ1200は、第1のリンクセグメント1210及び第2のリンクセグメント1220を更に含む。第1のリンクセグメント1210は、基部1202への回転可能な接続部と、第2のリンクセグメント1220の一端への回転可能な接続部との間に延在する。第2のリンクセグメント1220の別の端部は、器具取り付け機構に回転可能に接続されている。回転軸q1、q2、及びq3は、刃1242の平面切断面を提供するように互いに平行である。したがって、鋸1240の3DOF運動は、x方向Tx、y方向Ty、及びz軸Rzの周りの回転方向を含む。この実施形態のために開示された回転可能な接続部のうちの1つ以上は、1DOF運動を可能にする回動ジョイント、2DOF運動を可能にするユニバーサルジョイント、又は3DOF運動を可能にするボールジョイントであってもよい。
【0093】
骨(例えば、脛骨及び大腿骨)上の追跡マーカと共にエンドエフェクタ基部1202及び鋸1240に取り付けられた追跡マーカ(例えば、DRA52)が使用されて、切断される患者の骨に対する刃1242及び刃先端のリアルタイム位置を正確且つ連続的に監視することができる。他の図には明示的に示されていないが、追跡マーカは、全ての実施形態において鋸1240及び全てのエンドエフェクタ(例えば、エンドエフェクタ1200、エンドエフェクタアーム1400など)に取り付けられて、切断される患者の骨に対する刃の位置を追跡することができる。図示されていないが、代替的に又は追跡マーカに加えて、エンコーダは、リンクセグメント1210及び1220の各々に位置決められて、鋸刃先端が常にどこにあるかを正確に決定することができる。
【0094】
例示的な外科的処置
外科手術室(OR)内の外科手術ロボット4を使用する例示的な外科手術は、以下を含むことができる:
任意のステップ:外科手術は、医用画像に基づいて術前に計画される
外科手術ロボット4システムは、外科手術室(OR)の外側にある。看護師は、患者が手術のために準備されているときに、システムをORに運ぶ。
【0095】
看護師は、ロボットに電力を供給し、ロボットアームを展開する。看護師は、ロボット及び追跡システムの精度を検証する。
【0096】
滅菌された受動エンドエフェクタの場合、手術着看護師は、ロボットアーム上に滅菌ドレープを配置し、ロボットアーム上の矢状鋸で受動エンドエフェクタを装着する。手術着看護師は、受動エンドエフェクタをロック機構によってロックする。手術着看護師は、ドレープを介してDRAを受動構造に取り付けた(必要に応じて)。滅菌されていない受動エンドエフェクタの場合、ドレープは、ロボットアーム上の受動エンドエフェクタの取り付け後に配置され、DRAは、それらの間にドレープを介して受動エンドエフェクタに取り付けられ、滅菌鋸又は鋸刃が、ドレープがそれらの間に介在する受動エンドエフェクタに取り付けられる。ロック機構は、エンドエフェクタカプラに対する鋸刃の位置を固定するために係合される。
【0097】
外科医は、ナビゲーションマーカを患者の骨、例えば脛骨及び大腿骨に取り付ける。骨は、例えば、ホーンポイントツーポイントアルゴリズム、表面マッチング、又は他のアルゴリズムを使用して、カメラ追跡システム6に位置合わせされる。軟部組織バランス評価が実行されてもよく、それにより、システムは、例えば、外科医が異なる方向に力(例えば、内反/外反応力)を加えるときに、大腿骨及び脛骨の相対的な動きを追跡することによって、外科医が外科手術室の軟部組織のバランスを評価することを可能にする。軟部組織バランス情報が使用されて、外科手術計画を変更することができる(例えば、インプラント部品を移動させる、インプラントのタイプを変更するなど)。
【0098】
外科医が骨を切断する準備ができている場合、手術着看護師は、外科手術ロボット4を手術されるべき膝に近接する手術台に運び、外科手術ロボット4を床上に安定化させる。システムは、全ての切断面がロボット及び受動的構造作業空間にあるように、ロボット4の位置を見つける際に看護師を案内するように動作してもよい。
【0099】
外科医は、外科手術ロボット4の画面上で、第1の切断を行うための手術の計画にしたがって異なるパラメータを選択する(切断されるべき骨、所望の切断計画など)。
【0100】
外科手術ロボット4は、ロボットアーム20を自動的に動かして受動エンドエフェクタを再配置し、したがって、鋸刃の切断面が標的平面と位置合わせされ、鋸刃が、受動エンドエフェクタの器具取り付け機構の動きの範囲内にある解剖学的構造からの距離を置いて位置決めされる。
【0101】
外科医は、受動エンドエフェクタをロック解除する。
【0102】
外科医は、受動エンドエフェクタによって提供される切断面に拘束された切断を行う。外科手術ロボット4は、外科医が骨除去の進行を監視することができるように、骨に対する鋸刃の追跡された位置のリアルタイム表示を提供することができる。1つの方法では、追跡サブシステムは、鋸、ロボットアーム、エンドエフェクタ、大腿骨及び脛骨に取り付けられたカメラ画像及び様々な追跡マーカに基づいて骨に対する鋸の位置をリアルタイムで処理する。次いで、外科医は、切断の完了時にロック機構を使用して受動エンドエフェクタをロックすることができる。
【0103】
外科医は、実行されるべき次の切断を画面上で選択し、前と同様に進む。
【0104】
外科医は、試行インプラント配置及び中間軟部組織バランス評価を行うことができ、それに基づいて、インプラント計画及び関連する切断を変更することができる。
【0105】
全ての切断の完了後、看護師は、外科手術ロボット4を手術台から取り外し、受動エンドエフェクタをロボットアームから取り外す。
【0106】
外科医は、インプラントを配置し、手術を終了する。
【0107】
上記のステップ9では、医師は、骨の周りの組織及び靭帯、切断から形成される破片、及び骨の近くの他の外科手術器具のために切断の進行を視覚的に確認するのが困難であることがある。視覚的確認が許容可能であっても、切断される骨の後方部分など、医師が見ることができない骨の領域が存在する。
【0108】
有利には、本発明の1つのロボットシステムの実施形態は、医師が、複数の寸法で切断される骨の進行を確認する方法を提供する。カメラ追跡システム6は、エンドエフェクタ基部1202、ロボットアーム20、及び鋸1240に取り付けられた追跡マーカと共に、追跡サブシステム830及びコンピュータサブシステム820が、骨に対する鋸刃の正確な位置をリアルタイムで計算することを可能にするため、外科医は、骨除去の進行を監視することができる。この実施形態及び他の実施形態では、鋸1240は、受動エンドエフェクタアームに取り付けられ、且つ受動エンドエフェクタアームによって案内されるハンドヘルド外科手術装置の例として使用される。しかしながら、ドリル、外科用メス、ドライバなどの他のハンドヘルド外科手術装置もまた、必要に応じて本明細書の実施形態と共に使用されてもよいことを理解されたい。
【0109】
図13は、外科手術中の骨切断の進行を示すディスプレイのスクリーンショットである。
図13は、横方向、A-P、及び平面図の3つの画像を表示するサブシステム830及び820を示している。各画像では、骨(例えば、脛骨1300)に対する鋸刃1242のリアルタイム位置がディスプレイ34に表示される。横方向及び平面図は、容易に見ることができない鋸刃の位置を表示するため、医師にとって特に有用であり得る。ディスプレイの上部では、コンピュータサブシステム830、820は、切断プログラムの数及びそれが現在実行されているプログラムを表示する。例えば、スクリーンショットが示すように、医師は、プログラムされた6個の平面切断を有してもよく、現在の切断プログラムは、最初のものである。また、サブシステム830及び820は、刃が移動することができる追跡マーカを追跡することができるため、どの程度特定の切断プログラムの骨切断(切断された領域)が完了し、進行の割合がディスプレイ34に表示されるかを決定することができる。骨画像自体は、より正確な表現のために、患者の身体の実際の画像から導出されることが好ましい。骨画像は、皮質骨1304及び海綿骨1302を示す輪郭線を有するサブシステム820によって増強される。これは、切断に対する抵抗の量が2つのタイプの骨の間で大きく変動するため、医師にとって重要であり得る。
【0110】
拡張現実(AR)ヘッドマウントディスプレイが使用される場合、コンピュータサブシステム820は、皮質骨及び海綿骨を示す同じ輪郭線を生成し、医師が頭部を動かすときにそれを実際の脚に連続的に重ね合わせることができる。既に切断された領域は、暗い陰影で実際の骨の上にオーバーレイされることができる。更に、切断領域上に挿入されるインプラントも骨上にオーバーレイされて、切断がインプラントの平面に沿って正しく行われていることを医師に示すことができる。これは、サブシステム830及び820が、追跡マーカ及びカメラサブシステムによって骨に対する刃の位置及びその動きの履歴を追跡することができるため、全て可能である。
【0111】
上記の実施例に関して論じたように、膝手術は、切除された表面上に更に配置されるインプラントによって与えられる位置及び配向を有して、大腿骨及び脛骨上の平面表面を切除する必要があり得る。これらの切除を実施するために、
図12の鋸1240の振動矢状鋸刃などの切断要素を有する動力付きハンドピースは、外科医によって、
図12の受動エンドエフェクタ1200などの受動エンドエフェクタアームを用いて保持されてもよく、刃を平面内で3自由度、すなわち、切除面に平行なx方向及びy方向、並びに切除面に垂直な回転軸周りの回転方向を可能にしながら固定された切除面内で鋸を維持する。
【0112】
十分な切除精度を達成するために、高レベルの横方向剛性を有する受動エンドエフェクタ1200を提供することが望ましい。例えば、アルミニウムは、高い剛性、及び製造コストなどの他の要因のために、受動エンドエフェクタ1200のための1つの好適な材料である。しかしながら、アルミニウム及び/又は他の高剛性材料の使用は、これらの構造部品の重量に影響を及ぼすことがある。
【0113】
膝手術中、鋸1240及びエンドエフェクタ1200は、双方とも、患者の解剖学的構造に対して計画された切除面に位置決めされる。切除面が水平であるとき、エンドエフェクタ1200の重量による重力は、エンドエフェクタ1200の(例えば、ジョイント1403、1443、1445の)関節軸受によって全体的に支持される。しかしながら、多くの切除動作は、90度まで、すなわち垂直を含む、水平面に対して傾斜している切除面を用いることが一般的である。そのような構成では、エンドエフェクタ1200のリンクセグメント1210、1220の重量は、外科医の手によって部分的又は全体的に支持されてもよい。したがって、鋸1240を正しい位置に維持するために、鋸1240の重量を支持することに加えて、外科医はまた、エンドエフェクタ1200上の垂直重力を補償するのに十分な反力をエンドエフェクタ1200の方向に加える。これは、鋸1240の知覚される重量の著しい増加につながる可能性があり、これは使い勝手に悪影響を及ぼす。
【0114】
エンドエフェクタ1200の運動学的挙動はまた、特に切除面がほぼ垂直である場合、許容できないリスクにつながることがある。例えば、外科医が鋸1240をロック解除して、切除を実行するために、ロボットアームに対する鋸1240の動きを可能にするとき、エンドエフェクタ1200の構成要素、例えばリンクセグメント1210、1220の重心に加えられる重力は、望ましくない加速度を引き起こすことがあり、エンドエフェクタ1200構造の予期せぬ挙動につながることがある。鋸1240の患者との意図しない接触のリスクに加えて、加速度はまた、リンクセグメント1210、1220の向きに応じて外科医の手に横方向の力を加える傾向もあり得る。例えば、エンドエフェクタ1200の構成は、特にリンクセグメント1210、1220が実質的に同一直線上(すなわち、特異点構成の近く)にある場合、適切な支持なしで突然変化することが可能性がある。
【0115】
したがって、エンドエフェクタ1200が傾斜した切除面にあるときに、重力に起因して、エンドエフェクタ1200に対するこれらの望ましくない力を補償することが望ましい。これに関して、
図14は、本開示のいくつかの実施形態による、エンドエフェクタアーム構成要素上の重力を補償するためのばね機構1412を有するエンドエフェクタアーム1400の実施形態を示している。この例では、エンドエフェクタアーム1400は、例えば、
図4及び
図5のエンドエフェクタカプラ22などの外科手術ロボットアームのエンドエフェクタカプラに取り付けるように構成された基部1402を含む。エンドエフェクタアーム1400は、基部ジョイント1403において基部1402に回転可能に結合された第1の端部1406と、第1の端部1406と反対側の第2の端部1408とを含む機械的リンケージ1404を含む。第2の端部1408は、例えば、
図12の鋸1240などのハンドヘルド外科手術器具に取り外し可能に結合されるように構成されている。エンドエフェクタアーム1400は、基部1402に対する機械的リンケージ1404の回転角度に基づいて、機械的リンケージ1404に可変回転力を与えるように構成されたばね機構1412を含む。
【0116】
以下に論じられるように、この実施形態及び他の実施形態は、重力にさらされたとき、例えばエンドエフェクタアーム1400がロック解除されたときに、構成要素の予期せぬ加速度を回避するために、エンドエフェクタアーム1400の構成要素の重量を補償することができる。これらの実施形態及び他の実施形態はまた、エンドエフェクタアーム1400の重量による外科医の手の労力及び疲労を低減することができる。
【0117】
例えば、
図14の例の実施形態は、エンドエフェクタアーム1400が垂直切除面にあるときに、第1のリンク1436の重量を完全に補償し、第2のリンク1440の重量を部分的に補償するように構成されてもよい。エンドエフェクタアームはまた、エンドエフェクタアーム1400の運動範囲全体にわたる補償効果の変動を最小限に抑えるように構成されてもよい。
【0118】
この利点及び他の利点を達成するために、ばね機構1412は、エンドエフェクタアーム1400の構造に統合され、いかなる電気エネルギーもなく、エンドエフェクタアーム1400の構成要素の重量を補償するように構成されている。例えば、この実施形態におけるばね機構1412は、切除面が垂直であるときに、第1のリンク1436に関連する位置エネルギーの完全な損失及び第2のリンク1440に関連する位置エネルギーの部分的な損失を補償するために弾性位置エネルギーを提供する。
【0119】
この例では、ばね1414は、第1の端部1416及び第2の端部1418を有し、ばね1414の第1の端部1416は、エンドエフェクタアーム1400の基部1402に結合されている。ケーブル1420は、第1の端部1421及び第2の端部1423を有し、第1の端部1421は、ばね1414の第1の端部1416に結合されている。この例では、ばね1414は、基部1402内のチャネル1422内に配設された圧縮コイルばねであり、ばね1414の第1の端部1416は、チャネル内の停止部1428と、ばね1414の第2の端部1418に配設されたボス1426とに当接する。ガイドロッド1424は、ボス1426に取り付けられ、ばねを通って第1のリンク1436に向かって延在し、ケーブル1420の第1の端部1421に取り付けられ、ケーブル1420の張力がばね1414の第2の端部1418に伝達されてばね1414を圧縮し、ばね1414内の圧縮量に基づいてケーブル1420に反力を加える。
【0120】
しかしながら、必要に応じて、他のタイプのばね機構及び/又は構成が使用されてもよいことを理解されたい。例えば、適切なばね機構は、引張コイルばね、油圧及び/又は空気圧ばね、エラストマー、医療グレードゴムバンド、及び/又は加えられた力に応答して弾性反力を加えるための任意の他の適切な機構又は構成要素を使用してもよい。
【0121】
図14に戻って参照すると、カム1430は、例えば、第1のリンク1436と基部1402との間のジョイントのシャフト1431を介して、カム1430が基部1402に対して第1のリンク1436と共に回転するように、機械的リンケージの第1の端部1406に結合されている。ケーブル1420の第2の端部1423は、カム1430に結合され、ケーブル1420の第2の端部1423は、基部1402に対する機械的リンケージ1404の回転中にカム1430のカムガイド1432内に受容及び案内される。
【0122】
しかしながら、必要に応じて、他の配置が使用されてもよいことを理解されたい。例えば、いくつかの実施形態では、ばねは、第1のリンク1436内に配設されてもよく、カムは、第1のリンク1436及びばねが基部1402及びカムに対して回転するように、基部に結合されてもよい。
【0123】
この実施形態では、カム1430は、シャフト1431に対して可変半径を有し、これは、基部1402に対する機械的リンケージ1404の回転を直線速度で引き起こし、ばね1414を非線形速度で変形させる。カム1430は、基部1402に対する第1のリンク1436の各角度位置について、エンドエフェクタアーム1400の重心1437に加えられた重力によって生成されるおおよそのモーメントに対応する補償トルクM
compがシャフト1431の周りに加えられるように構成されてもよい。補償トルクM
compは、1つ以上の構成要素の合計に対応することができる。例えば、
図15に示すように、1つの構成要素は、第1のリンク1436の重心1437に加えられた重力PL1によって生成された基部ジョイント1403の周りのモーメントの振幅とすることができ、モーメントM1は、第1のリンク1436の重心1437と基部ジョイント1403との間の水平距離RL1のPL1倍に等しい。別の構成要素は、第1のリンク1436の第1の端部1442と第2の端部1438との間のジョイント1443に加えられた第2のリンク1440の質量の定義された分率に対応する重力PL2によって生成されたモーメントの振幅とすることができ、モーメントM2は、ジョイント1443と基部ジョイント1403との間の水平距離RL2のPL2倍に等しい。これは、下向きの力PL2の有効振幅が第2のリンク1440の垂直角度に基づいて変化することができ、次に、第2のリンク1440の重心1441の実際の距離を同様に変化させるためである。したがって、この例では、PL2は、必要に応じて、第2のリンク240上の実際の重力の平均振幅、最大振幅などの任意の数の要因に基づいて近似されることができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、ばね機構1412によって付与される可変回転力は、基部1402に対する機械的リンケージ1404の回転角度の範囲を通して、エンドエフェクタアーム1400の第2の端部1408上の重力に打ち勝つのに十分である。例えば、カム1430は、可変回転力が、回転角度の範囲にわたってエンドエフェクタアーム1400の第2の端部1408にある重力、平均重力、及び/又は近似重力に実質的に等しいように構成されてもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、複数のばね機構が使用されてもよいことも理解されたい。例えば、上記の
図14及び
図15の例では、第1のリンク1436と第2のリンク1440との間に第2のばね機構が追加されて、例えば、第1のリンク1436に対する第2のリンク1440の重力補償を提供してもよい。これは、合計補償トルクが2つの機構によって同時に供給されるため、一次ばね機構1412のばね力が低減されることを可能にすることができる。いくつかの実施形態では、第1のリンク1436と第2のリンク1440との間、又は2つの他のリンク間のばね機構は、必要に応じて、ばね機構1412に加えて、又はその代わりに使用されてもよい。
【0126】
これに関して、
図16A及び
図16Bは、本開示のいくつかの実施形態による、エンドエフェクタアーム1400の第1のリンク1436に加えられた力を示す、
図14及び
図15のエンドエフェクタアーム1400の一部を示している。
図16Aに示すように、エンドエフェクタアーム1400がドッキング位置にあるとき、第1のリンク1436の重心1437は、第1のリンク1436の形状により、垂直から水平にオフセットされる。この例では、ばね1414は、引張力F
s1をケーブル1420に加えるように構成され、これは、ドッキング位置角度におけるカム1430の半径R
1の引張力F
s1倍に等しい補償トルクM
comp1を付与する。この例では、補償トルクM
comp1は、機械的リンケージ1404上の重力によって引き起こされるモーメントよりも高くなるように設定され、その結果、機械的リンケージ1404は、必要に応じて、安全性、人間工学的、及び/又は他の理由からドッキング位置に向かって付勢される。
【0127】
図16Bに示すように、第1のリンク1436は、ドッキング位置角度に対して142度の角度である。カム1430の回転は、カム1430の142度の回転により、カムガイド1432内に配設されたケーブルの追加の長さに等しい長さだけばね1414を圧縮させる。ばね1414のこの圧縮は、引張力F
s2を比例的に増加させる。一方、機械的リンケージ1404の回転はまた、機械的リンケージの重心の変化、及び基部ジョイント1403に対する第1のリンク1436及び/又は機械的リンケージ1404の重心1437の水平距離の変化に起因して、機械的リンケージ1404上の重力を補償するのに必要なトルクの量を変化させる。この例では、この角度でのカム1430の半径R
2は、この角度のエンドエフェクタアーム1400の第2の端部1408上の重力に打ち勝つのに十分な半径R
2の引張力F
s2倍に等しい補償トルクM
comp2を生成するように構成されている。カム1430及びばね1414のプロファイルをカスタマイズすることにより、補償トルクM
compは、機械的リンケージ1404上の重力を補償するようにカスタマイズされて、機械的リンケージ1404が傾斜した切除面に固定されているときに外科医の手に対する機械的リンケージ1404の知覚された重量を最小化及び/又は排除することができる。
【0128】
ここで
図17を参照すると、本開示のいくつかの実施形態による、エンドエフェクタアームが垂直切除面にあるときに、エンドエフェクタアーム上の重力トルクM
g1702、補償トルクM
comp1704、及び正味トルクM
net1706のグラフ1700が示されている。この例では、重力トルクM
g1702のプロットは、0度(すなわち、垂直ドッキング位置)から180度(すなわち、完全に拡張された位置)の伸長角度の間のエンドエフェクタアーム上の重力に起因して、エンドエフェクタアームの基部ジョイントに加えられるトルクを示している。この例では、重力による最大トルクは90度であり、機械的リンケージの重心と基部ジョイントとの間の水平距離が最大である。この例では、重力トルクM
g1702は、以下のように表されることができる:
M
g=-M
link*L
link*(sin θ)*G
式中、M
linkは、機械的リンケージの質量であり、L
linkは、機械的リンケージの質量中心から基部ジョイントまでの距離であり、シータは、機械的リンケージの質量中心と基部ジョイントとの間の線の垂直角であり、Gは重力定数である。
【0129】
補償トルクM
comp1704は、同様に以下のように表されることができる:
M
comp=M
link*L
link*(sin θ)*G
通常の角度範囲にわたってこの補償トルクM
compプロファイルを生成するようにカムを構成することによって、正味トルクM
net1706は、角度範囲全体にわたってゼロ又はゼロ付近に維持されるようにカスタマイズされることができる。例えば、
図16Aのドッキング構成、すなわち、シータ=0では、M
comp1は、機械的リンケージ1404のほぼゼロの角度に起因して比較的低く、力F
s1はまた、ばね1414の制限された圧縮のために比較的低く、カム1430は、所望のM
comp1を生成するために半径R
1を有して構成されている。機械的リンケージが回転すると、M
compは、垂直に対して90度で最大まで増加し、カム1430のプロファイルは、カム1430のケーブル界面点と半径Rとを考慮して、ばね力F
sの増加に基づいて適切な補償トルクを生成するように構成されている。
図16Bによって示されるように、機械的リンケージ1404が全ストローク、すなわち180度に近付くにつれて、補償トルクM
compが減少するが、ばね力F
s2は増加し続ける。カム1430が回転するにつれて半径R
2を減少させるためにカム1430のプロファイルを構成することにより、これは、補償トルクM
comp2を2つの方法で減少させる。第1に、減少した半径は、補償トルク方程式におけるばね力の増加を相殺する。第2に、減少した半径は、カム1430が回転するにつれてばね力の増加速度を減少させ、それによって、これらのより大きな角度での補償トルク方程式におけるカムが、減少した半径の寄与を増加させる。
【0130】
図18は、本開示のいくつかの実施形態による、エンドエフェクタアームが水平に対して約30度の切除面にあるときの、エンドエフェクタアーム上の重力トルクM
g1802、補償トルクM
comp1804、及び正味トルクM
net1806のグラフ1800である。
【0131】
この例では、重力トルクMg1802は、以下のように表されることができる:
Mg=-sin θr*Mlink*Llink(sin θlink)G
式中、Mlinkは、機械的リンケージの質量であり、Llinkは、基部ジョイントへの機械的リンケージの質量中心からの距離であり、シータは、機械的リンケージの質量中心と基部ジョイントとの間の線の垂直角度であり、Gは、重力定数であり、θrは、水平に対する切除面の角度である。したがって、この実施形態では、30度の切除面における機械的リンケージ上の重力トルクは、垂直切除面における対応する重力トルクの約半分である。
【0132】
補償トルクMcomp1804の方程式は、この例では同じままである:
Mcomp=Mlink*Llink*(sin θ)*G
したがって、この例では、正味トルクMnet1706は、以下のように表されることができる:
Mnet=Mg+Mcomp=(1-sin θr)*Mlink*Llink*(sin θlink)*G
したがって、この例では、重力は、エンドエフェクタアームのばね機構によって完全に補償されるよりも多い。いくつかの例では、ばね機構は、重力がエンドエフェクタアームを患者に向かって下方に付勢することを可能にするのではなく、エンドエフェクタアームを患者から引き離させるのが好ましい場合がある。結果として得られる正味トルクMnetは、依然として対応する重力トルクよりも小さくてもよく、外科医は、外科手術器具に係合するために正味トルクに対して引っ張ることが、動作中に外科手術器具を重力に対して上向きに押すことが好ましい場合があることを見出すことができる。
【0133】
上述したように、
図19A~
図19Cは、エンドエフェクタアーム1900の基部1902に対して外科手術器具1904を選択的に固定するように構成されたロック機構1906を示している。
図19Aに示すように、器具1904は、器具1904に固定された基部1908を有するロック機構1906を含む。基部1908は、エンドエフェクタ1900の基部1902に取り付けられた突起1924を受容するためのチャネル1910を含む(
図19Cを参照)。ロック機構1906はまた、各々がテーパ状係合面1916を有する一対のロックフランジ1914に結合されたばね式ロックブロック1912を含む。手動アクチュエータ1918は、アクチュエータ1918の両側にハンドル1920を有する。
【0134】
図19Bに示すように、外科医は、ハンドル1920を押して、アクチュエータを基部1908から離れるように移動させることができ、これは、ロックフランジ1914のテーパ状係合面1916をチャネル1910の反対側の内壁1922から離れて移動させ、それによってチャネル1910の有効直径を増加させる。
図19Cによって示されるように、エンドエフェクタアーム1900のエンドエフェクタ基部1902に固定された突起1924(例えば、ピン又は他の剛性構造)は、チャネル1910に挿入され、ハンドル1920が解放され、これは、ばね式ロックブロックがロックフランジ1914の係合面1916を突起1924に向かって戻して、フランジ1914のテーパ状係合面1916とチャネル1910の反対側の内壁1922との間において突起1924をクランプし、それにより、エンドエフェクタ基部1902に対して外科手術器具1904を選択的に固定することを可能にする。外科手術器具1904は、アクチュエータ1918を再係合して突起1924を解放することによってエンドエフェクタ基部1902から選択的に解放されることができ、それによって、外科手術器具1904を移動させて、アクチュエータ1918を再解放する前に、突起1924を取り外すことを可能にする。
【0135】
更なる定義及び実施形態:
本発明の概念の様々な実施形態の上記の説明において、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明する目的のためであり、本発明の概念を限定することを意図するものではないことを理解されたい。別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明の概念が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されるものなどの用語は、本明細書及び関連技術の文脈においてそれらの意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書で明示的にそのように定義された、理想的又は過度に形式的な意味で解釈されるべきではないことが更に理解されよう。
【0136】
要素が別の要素に「接続された」、「結合された」、「応答する」、又はそれらの変形と呼ばれる場合、それは、他の要素に直接接続され、結合され、又は応答することができるか、又は介在要素が存在してもよい。対照的に、要素が「直接接続された」、「直接結合された」、「直接応答する」、又はそれらに変化すると呼ばれる場合、介在要素は存在しない。同様の番号は、全体を通して同様の要素を指す。更に、本明細書で使用される「結合された」、「接続された」、「応答する」、又はそれらの変形は、無線で結合され、接続され、又は応答することを含むことができる。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別途明確に示されない限り、複数形も含むことが意図される。周知の機能又は構造は、簡潔さ及び/又は明確さのために詳細に説明されない場合がある。「及び/又は」という用語は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0137】
本明細書では、第1、第2、第3などの用語が、様々な要素/動作を説明するために使用されることができるが、これらの要素/動作は、これらの用語によって限定されるべきではないことが理解されよう。これらの用語は、1つの要素/動作を別の要素/動作から区別するためにのみ使用される。したがって、いくつかの実施形態における第1の要素/動作は、本発明の概念の教示から逸脱することなく、他の実施形態では第2の要素/動作と呼ばれることができる。同じ参照番号又は同じ参照符号は、本明細書全体を通して同じ又は同様の要素を示す。
【0138】
本明細書で使用される場合、「備える(comprise)」、「備える(comprising)」、「備える(comprises)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」、又はそれらの変形は、オープンエンドであり、1つ以上の記載された特徴、整数、要素、ステップ、構成要素又は機能を含むが、1つ以上の他の特徴、整数、要素、ステップ、構成要素、機能又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではない。更にまた、本明細書で使用される場合、ラテン句「例えば(exempli gratia)」から派生する一般的な略語「例えば(e.g.)」は、前述の項目の一般的な例又は複数の例を導入又は指定するために使用されてもよく、そのような項目を限定することを意図するものではない。ラテン句「すなわち(id est)」から派生する一般的な略語「すなわち(i.e.)」は、より一般的な列挙から特定の項目を指定するために使用されることができる。
【0139】
例示的な実施形態は、コンピュータ実装方法、装置(システム及び/又は装置)及び/又はコンピュータプログラム製品のブロック図及び/又はフローチャート図を参照して本明細書に記載されている。ブロック図及び/又はフローチャート図のブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図におけるブロックの組み合わせは、1つ以上のコンピュータ回路によって実行されるコンピュータプログラム命令によって実装されることができることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ及び/又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、ブロック図及び/又はフローチャートブロック又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実装するために、トランジスタ、メモリ位置に記憶された値、及びそのような回路内の他のハードウェア構成要素を変換及び制御し、それによってブロック図及び/又はフローチャートブロックで指定された機能/動作を実施するための手段(機能)及び/又は構造を形成するように、機械を製造するために汎用コンピュータ回路、専用コンピュータ回路、及び/又は他のプログラマブルデータ処理回路のプロセッサ回路に提供されてもよい。
【0140】
これらのコンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ可読媒体に記憶された命令が、フローチャート及び/又はブロック図のブロック又は複数のブロックにおいて指定された機能/動作を実装させる命令を含む製品を生成するように、特定の方法で機能するようにコンピュータ又は他のプログラム可能データ処理装置に指示することができるコンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。したがって、本発明の概念の実施形態は、集合的に「回路」、「モジュール」、又はそれらの変形と呼ばれることができる、ハードウェア及び/又はデジタル信号プロセッサなどのプロセッサ上で実行されるソフトウェア(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)において具現化されてもよい。
【0141】
また、いくつかの代替の実装では、ブロックに記載された機能/動作がまた、フローチャートに記載された順序とは異なる順序で発生してもよいことにも留意されたい。例えば、連続して示される2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行されてもよいか、又はブロックは、関与する機能/動作に応じて、時には逆の順序で実行されてもよい。更に、フローチャート及び/又はブロック図の所与のブロックの機能は、複数のブロックに分離されてもよく、又はフローチャート及び/又はブロック図の2つ以上のブロックの機能は、少なくとも部分的に統合されてもよい。最後に、本発明の概念の範囲から逸脱することなく、例示されるブロック間に他のブロックが追加/挿入されてもよく、及び/又はブロック/動作が省略されてもよい。更に、一部の図は、通信の主要な方向を示すために通信経路上に矢印を含むが、通信は、描かれた矢印と反対方向に発生してもよいことを理解されたい。
【0142】
本発明の概念の原理から実質的に逸脱することなく、実施形態に対して多くの変形及び変更が行われることができる。全てのそのような変形及び変更は、本発明の概念の範囲内で本明細書に含まれることが意図される。したがって、上記の主題は、例示的であると見なされるべきであり、限定的ではなく、実施形態の添付の例は、本発明の概念の趣旨及び範囲内にある、そのような全ての変更、強化、及び他の実施形態を網羅することを意図している。したがって、法律によって許容される最大範囲まで、本発明の概念の範囲は、実施形態及びそれらの均等物の以下の例を含む本開示の最も広い許容可能な解釈によって決定されるべきであり、前述の詳細な説明によって制限又は限定されるものではない。