(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】設定情報提供装置、設定情報提供方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 9/44 20180101AFI20240401BHJP
G06F 8/60 20180101ALI20240401BHJP
【FI】
G06F9/44
G06F8/60
(21)【出願番号】P 2022139281
(22)【出願日】2022-09-01
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】角田 佳史
(72)【発明者】
【氏名】堀 優
(72)【発明者】
【氏名】栗原 良尚
(72)【発明者】
【氏名】木佐 佳子
(72)【発明者】
【氏名】岩田 大知
(72)【発明者】
【氏名】濱岡 大輔
(72)【発明者】
【氏名】野中 優
【審査官】多賀 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-005125(JP,A)
【文献】小野瀬 正一 外7名,「ネットワーク運用管理を自動化する」,日経NETWORK,日経BP社,2017年10月28日,第211号,pp.38-47
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 8/00- 8/77
G06F 9/44- 9/455
G06F 16/00-16/958
H04L 67/00-67/75
H04W 4/00-99/00
G16Y 10/00-40/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスに設定
ファイルを提供する設定情報提供装置であって、
テンプレートとパラメータ値とから設定
ファイルを生成し、生成した設定
ファイルを記憶部に格納する設定情報生成部と、
前記デバイスから、複数のデバイスに共通のアクセス先
である設定ファイル格納領域を表す第1URLを受信した場合に、
当該第1URLに、前記デバイスの識別情報に基づいて
検知したファイル名を付加して第2URLを作成し、当該第2URLを用いて、前記デバイス用の特定の設定
ファイルを前記記憶部から取得し、前記デバイスに前記特定の設定
ファイルを送信する設定情報取得部と
を備える設定情報提供装置。
【請求項2】
前記記憶部において、1つ以上のデバイスからなるグループごとにテンプレートを保持する
請求項1に記載の設定情報提供装置。
【請求項3】
前記デバイスの識別情報は、前記デバイスと前記設定情報提供装置との間の通信に使用される情報である
請求項1に記載の設定情報提供装置。
【請求項4】
デバイスに設定
ファイルを提供する設定情報提供装置が実行する設定情報提供方法であって、
テンプレートとパラメータ値とから設定
ファイルを生成し、生成した設定
ファイルを記憶部に格納するステップと、
前記デバイスから、複数のデバイスに共通のアクセス先
である設定ファイル格納領域を表す第1URLを受信した場合に、
当該第1URLに、前記デバイスの識別情報に基づいて
検知したファイル名を付加して第2URLを作成し、当該第2URLを用いて、前記デバイス用の特定の設定
ファイルを前記記憶部から取得し、前記デバイスに前記特定の設定
ファイルを送信するステップと
を備える設定情報提供方法。
【請求項5】
コンピュータを、請求項1ないし
3のうちいずれか1項に記載の前記設定情報提供装置における前記設定情報生成部、及び前記設定情報取得部として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IoTデバイスに対して設定を行う技術に関連するものである。
【背景技術】
【0002】
センサ、トラッカー、M2Mルータ等のIoTデバイスが普及している。IoTデバイスは、例えば、周期的に情報(例:映像、センサ情報)を取得し、取得した情報をサーバに送信する。
【0003】
IoTデバイスに目的の動作を行わせるためには、IoTデバイスを予め正しく設定しておく必要がある。IoTデバイスの設定には一般に設定ファイルが使用され、設定ファイルをIoTデバイスに格納することで、IoTデバイスの設定が行われる。以降、特に断らない限り、「設定」には、最初の設定のみならず、既に設定した設定内容を変更することも含まれるものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
様々な場所に置かれた多数のIoTデバイスに対する設定作業は、遠隔から実行できることが望ましい。IoTデバイスの設定を遠隔から行うことを可能とする技術として、OMA LwM2M(Open Mobile Alliance Lightweight Machine to Machine)等の標準化されたデバイス管理プロトコルを用いる技術がある。
【0006】
しかし、LwM2Mのようなデバイス管理プロトコルを使用するには、IoTデバイスにデバイス管理プロトコル用のクライアントソフトウェアをインストールする必要がある。多数のIoTデバイスに対してクライアントソフトウェアをインストールするには大きな手間がかかる。
【0007】
また、デバイス管理プロトコルを使用せずに、個々のIoTデバイスに遠隔からアクセスして設定作業を行うことも可能である。しかし、その場合、IoTデバイス間の設定ファイルのフォーマットの相違等に対応しなければならず、多数のIoTデバイスに対する設定作業は膨大な量の作業になってしまう。
【0008】
すなわち、従来技術では、IoTデバイスの設定を容易に行うことができないという課題があった。なお、このような課題はIoTデバイスに限らないデバイス全般に生じ得る課題である。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、デバイスの設定を容易に行うことを可能とする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
開示の技術によれば、デバイスに設定ファイルを提供する設定情報提供装置であって、
テンプレートとパラメータ値とから設定ファイルを生成し、生成した設定ファイルを記憶部に格納する設定情報生成部と、
前記デバイスから、複数のデバイスに共通のアクセス先である設定ファイル格納領域を表す第1URLを受信した場合に、当該第1URLに、前記デバイスの識別情報に基づいて検知したファイル名を付加して第2URLを作成し、当該第2URLを用いて、前記デバイス用の特定の設定ファイルを前記記憶部から取得し、前記デバイスに前記特定の設定ファイルを送信する設定情報取得部と
を備える設定情報提供装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、デバイスの設定を容易に行うことを可能とする技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態における設定情報提供システムの全体構成図である。
【
図2】システムの動作を説明するための図である。。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態(本実施の形態)を説明する。以下で説明する実施の形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られるわけではない。例えば、以下の説明では、設定の対象となるデバイスとしてIoTデバイスが使用されるが、設定の対象となるデバイスはIoTデバイスに限定されるわけではなく、例えば、PC、スマートフォン等のデバイスが設定の対象となるデバイスになってもよい。また、以下では、「設定情報」の例として「設定ファイル」を使用しているが、「設定情報」は「設定ファイル」以外の形式の情報であってもよい。
【0014】
(課題について)
本実施の形態に係る技術の利点を理解し易くするために、まず、本実施の形態に係る技術に関する課題(1)~(3)を詳細に説明する。
【0015】
(1)デバイス管理プロトコルを使用する場合の課題
OMA LwM2Mのようなデバイス管理プロトコルを利用する場合には、IoTデバイスにデバイス管理プロトコル用のクライアントソフトを導入することが必要となる。
【0016】
すなわち、IoTデバイスに対してデバイス管理プロトコルを利用する場合、IoTデバイスにクライアントソフトをインストールすることや、SDKによる開発が必要になる。そのため、クライアントソフト自体の試験、およびメンテナンスが必要となり、コスト高となる。
【0017】
(2)設定ファイルのフォーマットに関する課題
企業等において多数のIoTデバイスを利用する際には、個々の用途に合うIoTデバイスを選択するため、多数のIoTデバイスの中には、複数のベンダのIoTデバイスが含まれる。一般に、ベンダ間でIoTデバイスの設定ファイルのフォーマットが異なるため、複数のベンダにわたる多数のIoTデバイスに対する設定作業は非常に煩雑なものとなる。
【0018】
(3)設定ファイルの取得に関する課題
IoTデバイスに対する設定を行う技術として、サーバに設定ファイルを格納しておき、IoTデバイスが、例えば定期的にサーバにアクセスして設定ファイルを取得する技術がある。
【0019】
サーバ側では、IoTデバイスごと(あるいはIoTデバイスのグループごと)に設定ファイルを保持しておく。本技術を用いてIoTデバイスが設定ファイルを取得するには、IoTデバイスは、サーバにおける目的の設定ファイルにアクセスする必要がある。
【0020】
上記のアクセスを自動的に行うには、IoTデバイスに対してアクセス先を予め設定しておく必要があるが、多数のIoTデバイスに対してそれぞれ異なるアクセス先(具体的にはURL等の文字列)を設定するには大きな負荷がかかる。
【0021】
以下、上記の課題を解決するシステムの構成と動作を詳細に説明する。
【0022】
(システム構成例)
図1に、本実施の形態における設定情報提供システムの全体構成例を示す。
図1に示すように、本実施の形態の設定情報提供システムは、設定情報提供装置100、及び管理装置300を有する。設定情報提供装置100、及び管理装置300はいずれも、物理マシンにより実現されてもよいし、クラウド上の仮想マシンにより実現されてもよい。管理装置300は外部装置400に接続されている。
【0023】
設定情報提供装置100は、アクセス網200を経由して各IoTデバイス10と接続される。アクセス網200には複数のIoTデバイス10が接続されている。
【0024】
各IoTデバイス10は、例えば、センサ、トラッカー等である。本実施の形態では、各IoTデバイス10は、アクセス網200を介して設定情報提供装置100と通信することができる。
【0025】
アクセス網200は、モバイル網であってもよいし、固定網であってもよい。また、アクセス網200は、パブリックなネットワークでもよいし、プライベートなネットワークでもよい。
【0026】
管理装置300は、設定情報提供装置100において処理のために使用する情報を保持している。管理装置300が保持する情報については、例えば、SO(サービスオーダ)投入という形で外部装置400から入力される。
【0027】
設定情報提供装置100は、管理装置300から取得する情報に基づいて、設定ファイル等の設定情報をIoTデバイス10に提供する装置である。なお、設定情報提供装置100は、1つのコンピュータ(サーバ等)で構成されてもよいし、複数のコンピュータで構成されてもよい。
図1に示すように、設定情報提供装置100は、設定情報取得部110、設定情報生成部120、及び記憶部130を有する。なお、記憶部130は、設定情報提供装置100の外部に備えられたデータベースサーバであってもよい。これらの機能部の動作例については後述する。
【0028】
(システムの動作例)
図2を参照して、本実施の形態における設定情報取得システムの動作例を説明する。なお、
図2では、便宜上、記憶部130を2箇所に記載している。これらはそれぞれ記憶部130における領域に相当する。
【0029】
図2の例において、IoTデバイス10を利用している企業として、企業(1)、企業(2)、企業(3)が存在するものとする。企業をテナントと呼んでもよい。
【0030】
また、ここでは、同一の設定ファイル(ファイル名が異なっても設定の内容が同一であれば同一の設定ファイルであるとする)を使用する1以上のIoTデバイス10を「グループ」と呼ぶことにする。IoTデバイス10の利用形態によって、「グループ」はどのような単位にもなり得る。例として、IoTデバイス10とグループとの対応として、下記のケース1~4がある。
【0031】
ケース1:1つのIoTデバイス10が1つのグループに対応する。
【0032】
ケース2:1つの企業の全IoTデバイス10が1つのグループに対応する。
【0033】
ケース3:1つの企業の全IoTデバイスのうちの複数のIoTデバイス10があるグループに対応し、別の複数のIoTデバイスが別のグループに対応する。
【0034】
ケース4:複数の企業の全IoTデバイスが1つのグループに対応する。
【0035】
図2の例では、企業(1)においてグループ1-A(IoTデバイス10A群)とグループ1-B(IoTデバイス10B群)が存在し、企業(2)においてグループ2(IoTデバイス10C群)が存在し、企業(3)においてグループ3(IoTデバイス10D群)が存在する。
【0036】
グループ1-AのIoTデバイス10Aは、設定ファイルとしてConfig_Aを使用し、グループ1-BのIoTデバイス10Bは、設定ファイルとしてConfig_Bを使用する。グループ2のIoTデバイス10Cは、設定ファイルとしてConfig_Cを使用する。グループ2のIoTデバイス10Dは、設定ファイルとしてConfig_Dを使用する。
【0037】
図2に示すとおり、Config_AとConfig_BのフォーマットはJSONであり、Config_CとConfig_DのフォーマットはCSVである。
【0038】
また、
図2の例では、企業(1)の各IoTデバイス10は固定アクセス網201で設定情報提供装置100に接続され、企業(2)、(3)の各IoTデバイス10は、モバイルアクセス網202で設定情報提供装置100に接続される。
【0039】
<設定ファイルの生成に関する動作>
本実施の形態では、設定情報生成部120が、テンプレートに、値(パラメータ)を設定することで設定ファイルを作成し、その設定ファイルを記憶部130に格納する。
【0040】
テンプレートには、設定ファイルに含めるべき値(パラメータ)の名前(定義)が記載されており、設定情報生成部120は、その名前の位置に、値を挿入することで、設定ファイルを作成する。例えば、下記のように、テンプレートにおける値の名前として、「パラメータ1」、「パラメータ2」、「パラメータ3」、「パラメータ4」があるとする。
【0041】
パラメータ1:
パラメータ2:
パラメータ3:
パラメータ4:
同じグループの設定ファイルについては、同じテンプレートを使用することができる。グループ2のテンプレートとして上記テンプレートを使用するものとし、例えば、グループ2の各IoTデバイス10C用のパラメータ1の値がABC.comであり、パラメータ2の値が60であり、パラメータ3の値が10であり、パラメータ4の値が$imeiであるとすると、設定情報生成部120は、グループ2の各IoTデバイス10C用の設定ファイルとして、下記の内容を持つ設定ファイルを生成する。パラメータにはパラメータ4のように$から始まるプレースホルダを含めることができ、$imeiは、設定ファイル生成時にプレースホルダの示す外部装置から入力した識別情報値に置き換わる。
【0042】
パラメータ1:ABC.com
パラメータ2:60
パラメータ3:10
パラメータ4:123456789012345
例えば、設定内容に変更が生じ、グループ2の各IoTデバイス10C用のパラメータ1の値がXYZ.comでなり、パラメータ2の値が50になり、パラメータ3の値が10になったとすると、設定情報生成部120は、グループ2の各IoTデバイス10C用の設定ファイルとして、下記の内容を持つ設定ファイルを生成する。
【0043】
パラメータ1:XYZ.com
パラメータ2:50
パラメータ3:10
パラメータ4:123456789012345
設定ファイルの内容に関しては特に限定はなく、どのようなパラメータ値を設定することも可能である。例えば、IoTデバイス10の情報送信先アドレス、情報取得周期等がパラメータ値として設定される。
【0044】
図2のS1~S3の手順に沿って、動作例を説明する。この手順には、後述する設定情報取得のための準備の処理も含まれる。ここでは、例として、企業(2)(つまり、同一設定ファイルを使用するグループ2)に関する動作を説明する。他の企業に関しても基本的に同様の動作となる。
【0045】
S1において、管理装置300は、外部装置400(例えばシステム担当者の端末)から、グループ2の各IoTデバイス10Cの識別情報と、グループ2を識別するための識別情報を取得する。取得した情報は、グループごとに記憶部130に格納される。
【0046】
IoTデバイス10Cの識別情報とは、IoTデバイス10Cが設定情報提供装置100にアクセスしたときに、設定情報提供装置100が取得でき、それによりアクセス元(要求送信元)を識別可能な情報である。
【0047】
IoTデバイス10Cの識別情報は、例えば、IoTデバイス10Cの電話番号、IoTデバイス10CのSIM情報(例:IMSI)、IoTデバイス10CのIPアドレス、IoTデバイス10Cのハードウェア情報(例:IMEI)のうちのいずれか1つ又はいずれか複数である。これらの情報はいずれも、IoTデバイス10Cがアクセス網200を介して設定情報提供装置100に接続するときに、通信情報(例:パケットヘッダ、制御信号等)から取得可能であるとする。なお、電話番号、SIM情報、IPアドレスは、通信のために使用する情報の例である。
【0048】
IoTデバイス10Cの識別情報は、通信情報から取得できなくてもよく、その場合には、例えば、アクセス網200における加入者管理装置等から取得可能であるとする。
【0049】
グループ2を識別するための識別情報は、例えば、企業ID、テナントID、グループ2で使用しているIoTデバイスの種類(例:スマートメータ)、等のうちのいずれか1つ又はいずれか複数である。
【0050】
記憶部130には、グループごと(例えばテナントごと)にテンプレートが格納される。ここでは、記憶部130には既にグループ2用のフォーマットのテンプレート(テンプレートファイル)が格納されているものとし、テンプレートにパラメータ値を新たに設定する、あるいは、パラメータ値を変更することを想定する。
【0051】
そのため、S1では、情報した情報の他に、管理装置300は、外部装置400から、グループ2用のパラメータ値を取得する。
【0052】
S2において、管理装置300は、グループ2(テナント2)用のパラメータ値を、記憶部130におけるテナント2用の領域に格納する。
図2の例では、パラメータ値(parameters)とグループ情報(Group Info)が示されている。なお、グループ情報を使用しないこととしてもよい。
【0053】
また、テンプレートは順次更新されることを想定している。ただし、テンプレートは複数世代分を記憶部130に保存可能であり、新規テンプレートを使用した場合に不具合等が生じた場合には、旧世代のテンプレートを指定して設定ファイルを再生成することで、ロールバックすることが可能である。
【0054】
また、テンプレートにおいて、IoTデバイス10Cの識別情報をパラメータ値として設定できるようにしてもよい。その場合、設定ファイル内のパラメータ値として、IoTデバイス10Cの識別情報が含まれる。
【0055】
S3において、設定情報生成部120は、グループ2(テナント2)のテンプレート及びパラメータ値を用いて設定ファイルを生成し、生成した設定ファイルを記憶部130における設定ファイル保存領域に格納する。
【0056】
本実施の形態では、グループ2のIoTデバイス10Cは、設定ファイルのファイル名を直接に指定することなく、グループ2の設定ファイルを取得できる。それを可能にするための準備となる動作として、設定ファイル生成にあたって下記の動作を行う。
【0057】
S3では、上述したパラメータ値の他、管理装置300から記憶部130に対して、グループ2の各IoTデバイス10Cの識別情報と、グループ2を識別するための識別情報とを対応付けて格納する。設定情報生成部120は、これらの識別情報を用いて、下記の動作例1又は動作例2を行う。なお、動作例1、2以外の動作を行うこととしてもよい。
【0058】
動作例1:
設定情報生成部120は、グループ2の設定ファイルについて、個々のIoTデバイス10Cの識別情報をファイル名とした設定ファイルを作成する。例えば、1234という識別情報のIoTデバイス10Cに対して「1234」をファイル名とする設定ファイルを作成する。動作例1の場合、グループ2の同一内容の異なるファイル名の設定ファイルが、IoTデバイス10Cの数だけ生成される。なお、IoTデバイス10Cの識別情報がグループ2のIoTデバイスの識別情報であることの判別に関して、IoTデバイス10Cの識別情報に対応付けて、グループ2の識別情報が記憶部130に格納されているので、それらを用いて判別をすることができる。
【0059】
また、動作例1では、個々のIoTデバイスに対して、その識別情報をファイル名とする設定ファイルを生成するので、IoTデバイスごとに、設定ファイルの内容を異ならせることも可能である。
【0060】
動作例2:
設定情報生成部120は、グループ2の設定ファイルについて、1つの設定ファイルを生成する。この場合のファイル名はどのようなものでもよく、ここでは「Config_C」というファイル名の設定ファイルを生成し、格納したとする。
【0061】
設定情報生成部120は、ファイル名「Config_C」と、各IoTデバイス10Cの識別情報とを対応付けた情報を対応情報として生成し、当該対応情報を記憶部130に格納する。なお、対応情報の生成に関しては、設定情報取得部110が行ってもよい。
【0062】
つまり、動作例2では、グループ2の1つの設定ファイル「Config_C」に対して、グループ2に属する複数のIoTデバイスの識別情報が対応付けられる。
【0063】
<設定ファイルの提供に関する動作>
上述した動作が行われたことを前提として、次に、設定情報提供装置100が、グループ2の各IoTデバイス10Cに、グループ2の設定ファイルを提供する動作例を説明する。
【0064】
図2のS4において、グループ2のIoTデバイス10Cが、設定ファイルの取得要求を送信する。
図2の例において、IoTデバイス10Cから送信された取得要求は、モバイルアクセス網202を経由して、設定情報提供装置100に届く。
【0065】
本実施の形態において、IoTデバイス10Cが送信する取得要求には、送信先(アクセス先)である設定情報提供装置100を特定する情報(あるいは、設定情報提供装置100内の設定ファイル格納領域を特定する情報)を含むが、IoTデバイス10Cが取得するべき設定ファイルを特定する情報を含まない。
【0066】
あるいは、IoTデバイス10Cが送信する取得要求は、設定情報提供装置100(あるいは、設定情報提供装置100内の設定ファイル格納領域)を送信先として送信されるが、その送信先は、IoTデバイス10Cが取得するべき設定ファイルを特定するものではない。
【0067】
取得要求を受け取った設定情報取得部110は、その取得要求の送信元のIoTデバイス10Cの識別情報を取得する。前述したとおり、IoTデバイス10Cの識別情報は、例えば、IoTデバイス10Cの電話番号、IoTデバイス10CのSIM情報(例:IMSI)、IoTデバイス10CのIPアドレス、IoTデバイス1010Cのハードウェア情報(例:IMEI)のうちのいずれか1つ又はいずれか複数である。
【0068】
前述した動作例1の動作で設定ファイルが準備されている場合、設定情報取得部110は、記憶部130から、IoTデバイス10Cの識別情報をファイル名とする設定ファイルを取得し、取得した設定ファイルを、取得要求送信元のIoTデバイス10Cに送信する。
【0069】
前述した動作例2の動作で設定ファイルが準備されている場合、設定情報取得部110は、ファイル名「Config_C」と、各IoTデバイス1010Cの識別情報とを対応付けた対応情報に基づいて、ファイル名が「Config_C」である設定ファイルを記憶部130から取得し、取得した設定ファイルを、取得要求送信元のIoTデバイス10Cに送信する。
【0070】
IoTデバイス10Cが、取得要求として、HTTPのGETを使用する場合の具体例を説明する。例えば、設定情報提供装置100における設定ファイル格納領域が、「http://xxx.yy.jp/conf/」で特定されるとする。当該設定ファイル格納領域は、全IoTデバイス10に共通であるとし、当該設定ファイル格納領域内に、各設定ファイルが格納されていて、所望の設定ファイルはファイル名で特定できるとする。ここではIoTデバイス10Cが取得するべき設定ファイルのファイル名が「Config_C」であるとする。
【0071】
取得要求における対象リソースとして、IoTデバイス10Cから「http://xxx.yy.jp/conf/」を受信した設定情報取得部110は、IoTデバイス10Cの識別情報から、IoTデバイス10Cが取得するべき設定ファイルのファイル名が「Config_C」であることを検知すると、「http://xxx.yy.jp/conf/」に「Config_C」を加えて「http://xxx.yy.jp/conf/Config_C」を作成する。そして、「http://xxx.yy.jp/conf/Config_C」を用いて、ファイル名が「Config_C」の設定ファイルを取得し、取得した設定ファイルを、取得要求送信元のIoTデバイス10Cに送信する。
【0072】
上記のように、IoTデバイス10が設定ファイルの取得要求を行う際に、IoTデバイス10は設定ファイルを指定する必要はなく、複数のIoTデバイス10に共通の場所(アクセス先)を指定すればよい。従って、個々のIoTデバイス10に対して共通のアクセス先を設定しておくだけで、個々のIoTデバイス10は、それが取得するべき特定の設定ファイルを取得できる。
【0073】
例えば、IoTデバイス10において定期的に設定ファイルを取得する動作を実装することで、設定ファイルが変更されても、IoTデバイス10を操作することなく、IoTデバイス10は変更後の設定ファイルを取得できる。
【0074】
(ハードウェア構成例)
設定情報提供装置100は、例えば、コンピュータにプログラムを実行させることにより実現できる。このコンピュータは、物理的なコンピュータであってもよいし、クラウド上の仮想マシンであってもよい。
【0075】
すなわち、設定情報提供装置100は、コンピュータに内蔵されるCPUやメモリ等のハードウェア資源を用いて、設定情報提供装置100で実施される処理に対応するプログラムを実行することによって実現することが可能である。上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体(可搬メモリ等)に記録して、保存したり、配布したりすることが可能である。また、上記プログラムをインターネットや電子メール等、ネットワークを通して提供することも可能である。
【0076】
図3は、上記コンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
図3のコンピュータは、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置1000、補助記憶装置1002、メモリ装置1003、CPU1004、インタフェース装置1005、表示装置1006、入力装置1007、出力装置1008等を有する。なお、これらのうち、一部の装置を備えないこととしてもよい。例えば、表示を行わない場合、表示装置1006を備えなくてもよい。
【0077】
当該コンピュータでの処理を実現するプログラムは、例えば、CD-ROM又はメモリカード等の記録媒体1001によって提供される。プログラムを記憶した記録媒体1001がドライブ装置1000にセットされると、プログラムが記録媒体1001からドライブ装置1000を介して補助記憶装置1002にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体1001より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置1002は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
【0078】
メモリ装置1003は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置1002からプログラムを読み出して格納する。CPU1004は、メモリ装置1003に格納されたプログラムに従って、設定情報提供装置100に係る機能を実現する。インタフェース装置1005は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられ、送信部及び受信部として機能する。表示装置1006はプログラムによるGUI(Graphical User Interface)等を表示する。入力装置1007はキーボード及びマウス、ボタン、又はタッチパネル等で構成され、様々な操作指示を入力させるために用いられる。出力装置1008は演算結果を出力する。
【0079】
(実施の形態のまとめ、効果)
以上説明したように、本実施の形態に係る技術により、IoTデバイスの設定を容易に行うことが可能となる。より具体的には下記のとおりである。以下、前述した課題(1)~(3)に対応させて、本実施の形態に係る技術の特徴やその効果を説明する。
【0080】
なお、以下では、複数の効果を説明しているが、これら複数の効果は本実施の形態に係る技術で得られる効果の例であり、本発明の実施技術において、以下で説明する複数の効果のうちの1つ又は複数の効果が得られないこととしてもよい。
【0081】
(1)デバイス管理プロトコルを使用する場合の課題について
本実施の形態に係る技術により、一般的に使用されているHTTPを用いて、テキストベースの設定ファイルを送信することができるので、LwM2M等のデバイス管理プロトコルを使用する必要がない。
【0082】
また、テンプレートを用いて、自由なフォーマットで設定ファイルを生成することができるので、IoTデバイス側にLwM2M等のクライアントソフトやSDKを必要としない。
【0083】
(2)設定ファイルのフォーマットに関する課題について
本実施の形態では、テンプレートで任意の設定ファイルのフォーマットを定義できるため、IoTデバイスのベンダごとの設定ファイルのフォーマットの違いを吸収できる。また、同一の設定ファイルを使用するIoTデバイスをグループ化することで、IoTデバイスの用途や種類ごとに設定ファイルを保持できる。また、設定ファイルの内容の変更は、テンプレートに対して行えばよいため、IoTデバイスの一元管理を行うことができる。
【0084】
また、あるグループでの設定ファイルを変更する必要がある場合には、そのグループに紐づいたテンプレートを用いて、設定ファイルを生成することで、別グループの設定ファイルには影響することなく対象グループにおける設定ファイルの変更が可能となる。
【0085】
(3)設定ファイルの取得に関する課題について
本実施の形態では、IoTデバイスが設定ファイルの取得要求を行う際に、設定情報提供装置100において、IoTデバイスの通信に使用する識別情報等を使用することで、受信した取得要求がどのIoTデバイスからの取得要求であるかを識別し、IoTデバイスに設定すべき設定ファイルを特定することができる。これにより、IoTデバイス側で設定する設定ファイル取得のためのアクセス先(URL等)を複数IoTデバイス間で共通化でき、IoTデバイスに対する初期設定(キッティング)と運用を簡素化できる。
【0086】
また、IoTデバイスに対して、設定ファイルを取得するための共通のアクセス先と、設定ファイルを取得する時間間隔とを最初に設定するだけで、自動で各IoTデバイスに対する設定ファイルの更新等を行うことができる。
【0087】
また、設定情報提供装置100の設定情報生成部120において、生成した設定ファイルに対し、生成時刻を示すタイムスタンプを付与することとしてもよい。この場合、設定情報提供装置100の設定情報取得部110は、IoTデバイスから取得要求を受けた際に、当該IoTデバイス用の設定ファイルのタイムスタンプを確認し、タイムスタンプが更新されていれば設定ファイルを送信し、タイムスタンプが更新されていなければ、既に送信済であると判断し、設定ファイルを送信しない。これにより、データ通信量を削減することができる。
【0088】
(付記)
本明細書には、少なくとも下記の各項に記載した設定情報提供装置、設定情報提供方法、及びプログラムが記載されている。
(付記項1)
デバイスに設定情報を提供する設定情報提供装置であって、
テンプレートとパラメータ値とから設定情報を生成し、生成した設定情報を記憶部に格納する設定情報生成部と、
前記デバイスから、複数のデバイスに共通のアクセス先に対する取得要求を受信した場合に、前記デバイスの識別情報に基づいて、前記デバイス用の特定の設定情報を前記記憶部から取得し、前記デバイスに前記特定の設定情報を送信する設定情報取得部と
を備える設定情報提供装置。
(付記項2)
前記記憶部において、1つ以上のデバイスからなるグループごとにテンプレートを保持する
付記項1に記載の設定情報提供装置。
(付記項3)
前記デバイスの識別情報は、前記デバイスと前記設定情報提供装置との間の通信に使用される情報である
付記項1又は2に記載の設定情報提供装置。
(付記項4)
前記記憶部において、設定情報が各デバイスの識別情報と対応付けて格納されており、前記設定情報取得部は、前記デバイスの識別情報に対応する設定情報を前記記憶部から取得し、当該設定情報を前記デバイスに送信する
付記項1ないし3のうちいずれか1項に記載の設定情報提供装置。
(付記項5)
デバイスに設定情報を提供する設定情報提供装置が実行する設定情報提供方法であって、
テンプレートとパラメータ値とから設定情報を生成し、生成した設定情報を記憶部に格納するステップと、
前記デバイスから、複数のデバイスに共通のアクセス先に対する取得要求を受信した場合に、前記デバイスの識別情報に基づいて、前記デバイス用の特定の設定情報を前記記憶部から取得し、前記デバイスに前記特定の設定情報を送信するステップと
を備える設定情報提供方法。
(付記項6)
コンピュータを、付記項1ないし4のうちいずれか1項に記載の前記設定情報提供装置における前記設定情報生成部、及び前記設定情報取得部として機能させるためのプログラム。
【0089】
以上、本実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0090】
10 IoTデバイス
100 設定情報提供装置
110 設定情報取得部
120 設定情報生成部
130 記憶部
200 アクセス網
300 管理装置
400 外部装置
1000 ドライブ装置
1001 記録媒体
1002 補助記憶装置
1003 メモリ装置
1004 CPU
1005 インタフェース装置
1006 表示装置
1007 入力装置
1008 出力装置