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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】エアロゾル送達システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
A61M16/00 375
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022173302
(22)【出願日】2022-10-28
(62)【分割の表示】P 2019552528の分割
【原出願日】2018-03-23
(65)【公開番号】P2022187012
(43)【公開日】2022-12-15
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】62/475,603
(32)【優先日】2017-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513164163
【氏名又は名称】スタムフォード・ディバイセズ・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ポーター、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】スウィーニー、ルイーズ
(72)【発明者】
【氏名】マクローリン、ローナン
(72)【発明者】
【氏名】フィンク、ジム
(72)【発明者】
【氏名】ダフィ、エイダン
(72)【発明者】
【氏名】リリス、クレア
(72)【発明者】
【氏名】ダフィ、コナー
(72)【発明者】
【氏名】キーティング、フラン
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0241948(US,A1)
【文献】特表2010-540526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル送達システムであって、
患者が吸入するときに患者に送達するための流体をエアロゾル化するエアロゾル発生器と、
前記エアロゾル発生器に接続され、流体を前記エアロゾル発生器に圧送するポンプと、
患者が呼吸するときに信号を発信する呼吸センサと、
前記エアロゾル発生器、前記ポンプ、および前記呼吸センサに接続されたコントローラであって、前記コントローラは前記呼吸センサから信号を受信し、前記信号に応答して前記エアロゾル発生器への流体の流れを制御し、かつ吸入サイクルの前または吸入サイクル中に前記エアロゾル発生器を制御して流体のエアロゾル化を開始する、前記コントローラとを備え、
前記呼吸センサは、患者の呼吸パターンを追跡するために患者が吸入するときの流体の流れの変化を検知するように構成された流量センサを含み、
前記コントローラは、追跡される呼吸パターンを監視することによって吸入が開始される時期を予測し、吸入が開始される時期を予測することに基づいて、前記エアロゾル発生器への流体の流れを制御し、予測される吸入が開始される時期を予測することに基づいて、予測される吸入の期間の1~30%の間である、患者による予測される吸入の前の第1の期間に流体のエアロゾル化を開始するように前記エアロゾル発生器を制御し、
前記コントローラは、予測される吸入の期間の1~20%の間である、患者による予測される吸入の終了前の第2の期間に流体のエアロゾル化を停止し、前記コントローラは、前記エアロゾル発生器に、予測される吸入の開始時に、より多くのエアロゾル化された流体を生成させ、予測される吸入の間にエアロゾル化された流体の量を徐々に減少させる、エアロゾル送達システム。
【請求項2】
前記呼吸センサが流量センサである、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記呼吸センサは、レーダーセンサ、二酸化炭素センサ、温度センサ、音響パターンセンサ、インピーダンスプレチスモグラフィーセンサ、および呼吸インダクタンスプレチスモグラフィーセンサのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記ポンプは、流体送達導管を介して前記エアロゾル発生器と連結する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記エアロゾル発生器が、流体をエアロゾル化する振動可能な部材を振動させるための圧電アクチュエータを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記エアロゾル発生器は、体積メジアン径が1ミクロン以下の液滴で、80%以上の微粒子分率を有するエアロゾル化された流体を生成するように構成されている、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記呼吸センサに接続され、患者の呼吸サイクルを監視することにより前記患者が吸入する時期を予測するように構成されたプロセッサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ポンプが容積式ポンプである、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ポンプが非容積式ポンプである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
エアロゾル送達システムであって、
患者が吸入するときに患者に送達するための流体をエアロゾル化するエアロゾル発生器と、
前記エアロゾル発生器に接続され、流体を前記エアロゾル発生器に圧送するポンプと、
患者の呼吸パターンを追跡するために患者が吸入するときの流体の流れの変化を検知するように構成された流量センサと、
前記エアロゾル発生器、前記ポンプ、前記流量センサに接続されたコントローラであって、前記コントローラは前記流量センサから信号を受信し、前記信号に応答して前記エアロゾル発生器への流体の流れを制御し、かつ前記エアロゾル発生器を制御して流体のエアロゾル化を開始する、前記コントローラとを備え、前記コントローラは、追跡される呼吸パターンを監視することによって吸入が開始される時期を予測し、吸入が開始される時期を予測することに基づいて、前記エアロゾル発生器への流体の流れを制御し、予測される吸入が開始される時期を予測することに基づいて、予測される吸入の期間の1~30%の間である、患者による予測される吸入の前の第1の期間に流体のエアロゾル化を開始するように前記エアロゾル発生器を制御し、
前記コントローラは、予測される吸入の期間の1~20%の間である、患者による予測される吸入の終了前の第2の期間に流体のエアロゾル化を停止し、前記コントローラは、前記エアロゾル発生器に、予測される吸入の開始時に、より多くのエアロゾル化された流体を生成させ、予測される吸入の間にエアロゾル化された流体の量を徐々に減少させる、エアロゾル送達システム。
【請求項11】
前記ポンプは、流体送達導管を介して前記エアロゾル発生器と連結する、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記エアロゾル発生器が、流体をエアロゾル化する振動可能な部材を振動させるための圧電アクチュエータを含む、請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記エアロゾル発生器は、体積メジアン径が1ミクロン以下の液滴で、80%以上の微粒子分率を有するエアロゾル化された流体を生成するように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記流量センサに結合され、かつ患者の呼吸サイクルを監視することにより患者が吸入する時期を予測するように構成されたプロセッサを備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記ポンプは蠕動ポンプである、請求項10に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
この欄は、本発明の様々な態様に関連する可能性のある技術の様々な態様を読者に紹介することを意図しており、それらは以下に説明および/または特許請求される。この説明は、本発明の様々な態様のより良い理解を促進するための背景情報を読者に提供するのに役立つと考えられる。従って、これらの記載はこの観点で読まれるべきであり、先行技術の承認として読まれるべきではないことを理解すべきである。
【0002】
患者の正常な呼吸能力に影響を及ぼす可能性のある呼吸器疾患には、多くの種類がある。これらの疾患は、風邪から嚢胞性線維症までさまざまである。現代医学は、経口薬、吸入器、ネブライザーなどを含むさまざまな方法でこれらの疾患を治療する。ネブライザーは、流体(即ち、薬剤)を、呼吸を介して患者に送達するためのエアロゾルに変える装置である。患者は、口、鼻、および/または気管切開(即ち、喉に外科的に作られた切開)を介してエアロゾルを受け取り得る。しかしながら、ネブライザーは、エアロゾルの液滴が大きい、および/またはエアロゾルの形成が患者の呼吸サイクルと適切にタイミングが合わない場合、呼吸器疾患を効果的に治療できない場合がある。
【発明の概要】
【0003】
本開示は、エアロゾル送達システムの様々な実施形態に関する。いくつかの実施形態では、エアロゾル送達システムは、患者が吸入するときに患者に送達するための流体をエアロゾル化するエアロゾル発生器を含む。エアロゾル送達システムは、エアロゾル発生器と連結され、流体をエアロゾル発生器に圧送するポンプと、患者が呼吸するときに信号を発信する呼吸センサとを含む。コントローラは、エアロゾル発生器、ポンプ、および呼吸センサに接続する。動作中、コントローラは呼吸センサから信号を受信し、信号に応答してエアロゾル発生器への流体の流れを制御し、エアロゾル発生器を制御して、患者が吸入する前に、流体のエアロゾル化を開始する。
【0004】
いくつかの実施形態では、エアロゾル送達システムは、患者が吸入するときに患者に送達するための流体をエアロゾル化するエアロゾル発生器を含む。ポンプは、エアロゾル発生器と連結して流体をエアロゾル発生器に圧送し、流量センサは、患者が吸入する際の流体の流れの変化を検知するように構成されている。コントローラは、エアロゾル発生器、ポンプ、および流量センサと接続している。動作中、コントローラは流量センサから信号を受信し、信号に応じてエアロゾル発生器への流体の流れを制御し、エアロゾル発生器を制御して流体のエアロゾル化を開始する。
【0005】
本開示の一態様は、エアロゾル化された流体を患者に提供する方法を含む。方法は、呼吸センサで呼吸サイクルを検出し、続いて吸入の開始を予測することを含む。吸入の開始を予測した後、方法はポンプで振動可能な部材に流体を事前充填(preloads)する。次に、振動可能な部材を圧電アクチュエータで振動させて、流体をエアロゾル化する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
本発明の様々な特徴、態様、および利点は、図中、同様の文字は同様の構成部材を表す添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことで、よりよく理解されるであろう。
図1】呼吸システム(respiratory system)に接続されたエアロゾル送達システムの実施形態の概略図である。
図2】呼吸システムに接続されたエアロゾル送達システムの実施形態の概略図である。
図3】呼吸システムに接続されたエアロゾル送達システムの実施形態の概略図である。
図4】呼吸システムに接続されたエアロゾル送達システムの実施形態の概略図である。
図5】流体流量センサを備えた導管アダプタの斜視図である。
図6】導管コネクタと連結されたエアロゾル発生器の実施形態の斜視図。
図7】鼻カニューレと連結されたエアロゾル発生器の実施形態の断面図である。
図8】患者が呼吸するときに関して、エアロゾル送達システムが流体をエアロゾル化する時期を示すグラフである。
図9】エアロゾル発生器システムの実施形態の斜視図である。
図10】エアロゾル発生器システムの実施形態の分解斜視図である。
図11】容積式ポンプの実施形態の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の1つまたは複数の特定の実施形態を以下に説明する。これらの実施形態は、本発明の例示にすぎない。さらに、これらの例示的な実施形態の簡潔な説明を提供するために、実際の実施のすべての特徴が本明細書に記載されていないことがあり得る。そのような実際の実施の開発では、エンジニアリングまたは設計プロジェクトのように、実施ごとに異なることがあり得るシステム関連およびビジネス関連の制約への準拠など、開発者の特定の目標を達成するために、多くの実施固有の決定を行う必要があることを理解する必要がある。さらに、そのような開発努力は、複雑で時間がかかるかもしれないが、それにもかかわらず、本開示の利益を有する当業者のための設計、製作、および製造の日常的な作業であることを理解されたい。
【0008】
以下に説明する実施形態は、吸入可能なエアロゾル薬剤の生成および送達のタイミングをとるために、患者の吸入を予測することができるエアロゾル送達システムを含む。例えば、エアロゾル送達システムは、吸入前に薬剤をエアロゾル化できるように吸入を予測し得る。患者の吸入時に薬剤をエアロゾル化することにより、エアロゾル送達システムは、呼吸ごとに患者に送達される薬剤の量を増加させ、薬剤の有効性を高め、かつ/または患者の肺内のより広い領域(例えば、肺の奥深く)に薬剤を送達する。エアロゾル送達システムは、1つまたは複数の呼吸センサを使用して、患者による吸入を検出する。これらの呼吸センサは、強制、補助、自発を含むすべての換気モードで吸入を検出し得る。例えば、エアロゾル送達システムは、流量センサを呼吸センサとして使用して、患者による吸入を検出し得る。以下に説明するように、吸入の開始および停止を検出するには、流量センサの方が圧力センサよりも効果的である。
【0009】
エアロゾル送達システムは、1ミクロン以下の体積メジアン径(VMD:volume median diameter)を有する液滴/粒子を有する80%を超える微粒子分率(FPF:fine particle fractions)を生成することができるエアロゾル発生器により送達効率を高めることもできる。換言すれば、エアロゾル発生器は、搬送流体(例えば、空気、酸素、酸素/空気混合物など)に容易に浮遊して搬送される非常に細かいエアロゾルを生成することができる。最後に、以下に説明するエアロゾル送達システムは、既存の呼吸システムを再設計または再構成することなく、それらのシステムと連結することができる。これにより、エアロゾル送達システムを既存の人工呼吸器(ventilators)、加湿器、持続的気道陽圧(CPAP:continuous positive airway pressure)マシンなどで使用することができる。
【0010】
図1は、呼吸システム12に接続されたエアロゾル送達システム10の実施形態の概略図である。図1において、呼吸システム12は、空気(例えば、空気、酸素、空気/酸素混合物など)を患者に送り込み、かつ患者から空気を引き戻すことができる人工呼吸器14を含む。以下に詳細に説明するように、エアロゾル送達システム10は、様々な既存の呼吸システム12に接続して、患者治療用のエアロゾル化流体(例えば、薬剤)を提供することができる。即ち、エアロゾル送達システム10は、エアロゾル送達システム10とともに機能するように既存の呼吸システム12を再設計または再構成することなく、呼吸システム12(例えば、人工呼吸器、加湿器、持続的気道陽圧(CPAP)マシン、またはそれらの組み合わせ)に後付けすることができる。
【0011】
エアロゾル送達システム10は、気管内チューブ18、鼻カニューレ/マスク、気管切開チューブなどの様々な気流装置に結合することができるエアロゾル発生器16を含む。エアロゾル発生器16は、流体送達導管22を介して流体源20から流体を受け取る。流体源20(例えば、容器、バイアル)は、薬剤、界面活性剤、それらの組み合わせなどを含むさまざまな物質を含み得る。動作中、流体源20からの流体は、流体送達導管22を介してエアロゾル発生器16にポンプ24で圧送され、エアロゾル発生器16で、患者が吸入する前および/またはその間に流体がエアロゾル化される。いくつかの実施形態では、流体送達導管22は、迅速な送達(例えば、エアロゾル発生器16内の流体の事前充填)を確実にするために、治療前に流体で準備され(primed)得る。ポンプ24は、流体の送達時間および投与量を測定するコントローラ26によって制御される。
【0012】
コントローラ26は、1つまたは複数のメモリ30に格納された命令を実行して、ポンプ24およびエアロゾル発生器16の動作を駆動する1つまたは複数のプロセッサ28を含む。例えば、メモリ30は、特定の期間または特定の複数の期間に圧送される流体の量など、エアロゾル発生器16の各作動に対する各用量でエアロゾル発生器16にポンプで圧送される流体の量を示す命令を含み得る。格納された命令は、患者のサイズ、患者の年齢、患者の性別、薬剤の種類、液体添加物、エアロゾルの所望量などに基づき得る。メモリ30は、エアロゾル発生器16を作動させるための命令も含む。図示のように、コントローラ26は、ケーブル32(即ち電気ケーブル)でエアロゾル発生器16と接続しているが、いくつかの実施形態では、コントローラ26はエアロゾル発生器16に無線で接続され得る。ケーブル32は、エアロゾル発生器16内の圧電(または他の)アクチュエータを作動させる信号を搬送する。圧電アクチュエータが動作すると、圧電アクチュエータは振動可能な部材を振動させて、患者に送達するための(即ち、吸入を介する)流体をエアロゾル化する。従って、メモリは、圧電アクチュエータの起動、停止、振動周波数または複数の振動周波数などを制御するための命令を含み得る。
【0013】
エアロゾル送達システム10は、エアロゾルの生成のタイミングをとることにより治療の有効性を高める。例えば、エアロゾル送達システム10は、患者が吸入する前に薬剤のエアロゾル化を開始し得る。このようにして、エアロゾル送達システム10は、吸入の開始時に増加した気流を活用する。これにより、吸入された空気が患者の肺に薬剤をさらに搬送するため、患者への薬剤の送達が増加する。エアロゾル送達システム10はまた、(例えば、自発呼吸のために)吸入が検出されるとすぐに薬剤をエアロゾル化し得る。
【0014】
エアロゾル送達システム10は、患者が吸入する時期および吸入する期間を決定するための1つまたは複数の呼吸センサ34を使用して薬剤の送達を調整する。呼吸センサ34は、流量センサ36(例えば、電気流量センサ)、レーダーセンサ38(例えば、胸部変位を測定するためのUWBレーダーセンサ)、二酸化炭素センサ、高速温度センサ40、音響センサ40、インピーダンスプレチスモグラフィー(plethysmography)センサ40、呼吸インダクタンスプレチスモグラフィーセンサ、圧力センサなどを含み得る。これらの呼吸センサ34は、有線接続および/または無線接続を介してコントローラ26と通信し得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル送達システム10は、呼吸センサ34(例えば、1、2、3、4、5)の組み合わせを使用して、冗長性および/または患者の呼吸サイクルのより正確な監視を提供し得る。例えば、エアロゾル送達システム10は、流量センサ36をレーダーセンサ38と組み合わせて使用して、気流および胸部の動きの両方を監視し得る。別の実施形態では、エアロゾル送達システム10は、流量センサ36、レーダーセンサ38、およびプレチスモグラフィーセンサ40を使用して呼吸サイクルを監視し得る。
【0015】
図示されるように、流量センサ36は、ガス送達導管42と連結して、吸入中の気流の変化(例えば、強制呼吸、補助呼吸、または自発呼吸)を検知する。いくつかの実施形態では、流量センサ36はまた、ガス戻り導管44と連結して吐き出しの開始および終了を検出し得る。そして、さらに他の実施形態では、エアロゾル送達システム10は、ガス送達導管42およびガス戻り導管44と連結する流量センサ36を含み得る。コントローラ26が流量センサ(単数または複数)36からデータを受信すると、コントローラ26は呼吸パターンを監視して、患者が呼吸する時期を予測し得る。吸入が開始する時期を予測する機能により、エアロゾル送達システム10は、即時吸入用のエアロゾル化薬剤を調製することが可能になる。より具体的には、エアロゾル送達システム10は、吸入前に流体をエアロゾル化できるように、エアロゾル発生器16内の振動可能な部材に流体を事前充填することができる。流量検出は遅行指標(lagging indicator)ではないため、流量センサ36は、エアロゾル送達のための異常なまたは自発的な吸入を迅速に(例えば、吸入の開始から10ミリ秒未満に)検出することができる。
【0016】
患者の吸入の予測は、1つまたは複数の呼吸センサおよび/または流量センサ36を使用して、患者の呼吸パターンおよび/または換気サイクル(患者が強制換気されている場合)を追跡することから開始し得る。次に、コントローラ26は、追跡されたデータを使用して、後続の吸入が開始する時期を予測する。これにより、コントローラ26は、吸入の前に流体源20からエアロゾル発生器16に流体を送達するようにポンプ24に指示することができる。また、コントローラ26は、エアロゾル発生器16に信号を送信して、予測された吸入の前および/またはその間の所定の期間内(例えば、+/-0.5秒)などの適切な時間に流体のエアロゾル化を開始し得る。このようにして、エアロゾルが吸入の開始時に患者用に準備される。エアロゾル送達システム10は、呼吸サイクルを予測して患者用のエアロゾルを生成することができるが、エアロゾル送達システム10は、呼吸センサ34を使用して、正常なパターンの一部ではない自発呼吸/不規則な呼吸を認識することもできる。自発呼吸が認識されると、エアロゾル送達システム10は、患者への送達のために流体をエアロゾル発生器16に直ちに圧送し得る。
【0017】
(例えば、人工呼吸器14により)患者が強制的に換気されている場合、または補助換気を受けている場合、流量センサ36は、人工呼吸器14が空気を患者に送り込むことと患者から空気を引き出すこととを交互に行う際の流れの変化を検出することができる。コントローラ26は、これらの流れの変化を監視し、その後、上述したように薬剤のエアロゾル化を開始する時期を算出する。このようにして、エアロゾル送達システム10は、システムを一緒にプログラムまたは接続することなく、既存の呼吸システム12に統合することができる。換言すれば、エアロゾル送達システム10および呼吸システム12は、エアロゾル化の生成および患者への送達を調整/測定するために互いに通信する必要がない。
【0018】
流量センサ36は、患者が吸入を開始した時期を検出する圧力センサよりも能力があることに留意されたい。圧力センサは、空気回路を構築するのに時間がかかるため、遅行指標または遅延指標(delayed indicator)を提供する。従って、圧力センサは、呼吸が終了した後、またはほぼ終了した後に吸入を検出する。また、圧力センサは持続的な吸気休止(即ち、患者が吸入と吐き出しとの間に休止するときのプラトー圧)を必要とするため、圧力センサは吸入が完了する時期を判断するのに効果的ではない。さらに、空気回路の漏れおよび/またはチューブのねじれが発生すると、圧力センサの精度が大幅に低下する。最後に、人工呼吸が正圧を生成し、自発呼吸が空気回路において負圧を生成するため、圧力センサを使用するシステムは、強制呼吸、補助呼吸、および自発呼吸の状況で動作するために堅牢な適応制御アルゴリズムを必要とする。しかしながら、状況によっては、エアロゾルの生成と送達のタイミングがそれほど厳しくない場合、圧力センサがエアロゾル送達システム10で使用され得る。
【0019】
上記で説明したように、エアロゾル送達システム10は、既存の呼吸システム12を再設計または再構成することなく(例えば、通信することなく)、さまざまな既存のシステムに接続して、患者の治療にエアロゾル化流体(例えば、薬剤)を提供することができる。図2では、エアロゾル送達システム10は、人工呼吸器14および加湿器60を含む呼吸システム12に接続している。いくつかの呼吸システム12は、患者による吸入の前に空気を湿潤化する加湿器を含み得る。図示のように、ガス送達導管42は、加湿器60を人工呼吸器14および患者と連結する。空気が加湿器60を通過すると、空気が気管内チューブ18に入る前に湿潤化される。他の実施形態では、ガス送達導管42は、鼻カニューレ、気管切開チューブなどと連結し得る。エアロゾル送達システム10は、気管内チューブ18にも連結し、そこでエアロゾル送達システム10は患者に搬送される流体をエアロゾル化する。
【0020】
エアロゾル送達システム10には、薬剤、界面活性剤などを含む流体源20(例えば、容器、バイアル)が含まれる。流体源20は、流体送達導管22によりエアロゾル発生器16と流体的に連結している。動作中、流体源20内の流体は、流体送達導管22を介してエアロゾル発生器16にポンプ24で圧送され、患者が吸入する前および/またはその間に、流体がエアロゾル化される。ポンプ24は、エアロゾル発生器16への送達の量およびタイミングを制御するコントローラ26によって制御される。
【0021】
コントローラ26は、エアロゾル発生器16への流体の送達を調整し、次いで、呼吸センサ34と通信することにより流体のエアロゾル化を調整する。図2では、呼吸センサ34は流量センサ36であるが、他の呼吸センサ34を単独で、または流量センサ36と組み合わせて使用し得る。図示のように、複数の流量センサ36が呼吸システム12と連結しているが、他の実施形態では、単一の流量センサ36が呼吸システム12と連結し得る。例えば、流量センサ36は、ガス送達導管42およびガス戻り導管44と連結し得る。いくつかの実施形態では、単一の流量センサ36は、加湿器60の上流で呼吸システム12と連結し得る。加湿器60の上流に流量センサ36を配置すると、流量センサ36と加湿器60によって追加された水分との接触を遮断または低減することにより、流量センサ36(例えば、電気流量センサ36)の寿命を延ばし得るが、いくつかの実施形態は、加湿器60の下流に配置された流量センサ36を特徴とし得る。いくつかの実施形態は、加湿器60の上流の第1の流量センサ36と、加湿器60の下流の別の流量センサ36とを含み得る。2つ以上の流量センサ36を含むことにより、患者による吸入の開始および停止および/または人工呼吸器14からの強制空気の送達の検出において冗長性を提供し得る。さらに別の実施形態では、エアロゾル送達システム10は、ガス送達導管42と連結する1つまたは複数の流量センサ36と、ガス戻り導管44と連結する1つまたは複数の流量センサ36とを含み得る。ガス送達導管42およびガス戻り導管44の両方に流量センサ36を含むことにより、患者が吸入を開始し、吸入を停止し、吐き出しを開始し、吐き出しを停止する詳細な情報とともに冗長な監視を提供し得る。呼吸サイクルを監視することにより、コントローラ26は、エアロゾルの生成および送達のタイミングをとることにより、薬剤の有効性を高めることができる。
【0022】
図3は、持続的気道陽圧(CPAP)マシン80(例えば、nCPAP)を含む呼吸システム12に接続されたエアロゾル送達システム10の実施形態の概略図である。動作中、CPAPマシン80は、気道の虚脱を防止するために空気を患者の喉に圧送する。図3では、CPAPマシン80は、ガス送達導管42により鼻カニューレ82と連結している。鼻カニューレ82は、鼻を介して空気を患者に送る。図示されるように、エアロゾル送達システム10は、ガス送達導管42上の流量センサ36によりCPAPマシン80と連結し、かつエアロゾル発生器16により鼻カニューレ82と連結している。いくつかの実施形態では、エアロゾル送達システム10は、患者インターフェースの前または患者インターフェースにおいて既存の呼吸システムの端部または端部付近で連結する。このようにして、エアロゾル送達システム10は、CPAPマシン80を再設計または再構成することなく、既存のCPAPマシン80と連結することができる。
【0023】
上記で説明したように、流体は、流体源20からポンプ24により流体送達導管22を介してエアロゾル発生器16に圧送される。エアロゾル発生器16は、続いて患者が吸入する前および/またはその間に、エアロゾル発生器内の圧電(または他の)アクチュエータにより流体をエアロゾル化する。ポンプ24は、流体送達時間およびエアロゾル発生器16に送達される量を測定するコントローラ26によって制御される。コントローラ26は、流体のエアロゾル発生器16への送達を調整し、次いで流量センサ36と通信することにより流体のエアロゾル化を調整する。いくつかの実施形態では、エアロゾル送達システム10は、別の種類の呼吸センサ34および/または追加の流量センサ36を使用して、患者の呼吸サイクルを冗長的に検知し得る。追加の呼吸センサ34は、レーダーセンサ38(例えば、胸部変位を測定するためのUWBレーダーセンサ)、二酸化炭素センサ、高速温度センサ40、音響センサ40、インピーダンスプレチスモグラフィーセンサ40、呼吸インダクタンスプレチスモグラフィーセンサなどを含み得る。2つ以上の呼吸センサ34を含むことにより、患者による吸入の開始および停止を検出する際の冗長性が提供され得る。
【0024】
図4は、加湿器60を含む呼吸システム12に接続されたエアロゾル送達システム10の実施形態の概略図である。加湿器60は、熱の有無にかかわらず水分を追加して、患者の気道の乾燥を防ぐために患者が吸入するガスの湿度を高める。図示のように、加湿器60は、ガス送達導管42により気管内チューブ18と連結する。他の実施形態では、ガス送達導管42は、加湿器60を鼻カニューレ、気管切開チューブなどと連結し得る。エアロゾル送達システム10はまた、気管内チューブ18と連結し、そこで患者への送達のために流体をエアロゾル化する。
【0025】
エアロゾル送達システム10は、薬剤、界面活性剤などを含む流体源20(例えば、容器、バイアル)を含む。流体源20は、流体送達導管22によりエアロゾル発生器16と流体的に連結している。動作中、流体源20内の流体は、流体送達導管22を介してエアロゾル発生器16にポンプ24で圧送され、患者が吸入する前および/またはその間に、流体がエアロゾル化される。ポンプ24は、送達時間およびエアロゾル発生器16が受け取る流体の量を測定するコントローラ26によって制御される。コントローラ26は、呼吸センサ34と通信することにより、流体の送達を調整し、次いで流体のエアロゾル化を調整する。図4では、呼吸センサ34は流量センサ36である。しかしながら、追加の呼吸センサ34(例えば、レーダーセンサ38、二酸化炭素センサ、高速温度センサ40、音響センサ40、インピーダンスプレチスモグラフィーセンサ40、呼吸インダクタンスプレチスモグラフィーセンサなど)を単独で、または流量センサ36と組み合わせて使用し得る。患者の吸入および/または吐き出しを監視することにより、薬剤の効果的な送達が可能となり、これは、患者の治療およびエアロゾル化された薬剤の有効性に使用される薬剤の量を低減し得る。
【0026】
図5は、流量センサ36を備えた導管アダプタ90の斜視図である。上記で説明したように、エアロゾル送達システム10は、患者の吸入および/または吐き出しを検出するために1つまたは複数の呼吸センサ34を追加することを含む既存の呼吸システム12に後付けされ得る。いくつかの実施形態において、エアロゾル送達システム10は、1つまたは複数の導管(例えば、ガス送達導管42、ガス戻り導管44)と連結する1つまたは複数の流量センサ36を含む。図示のように、流量センサ36は、入口94を備えた第1の端部92と、出口98を備えた第2の端部96とを形成する導管アダプタ90(例えば、ハウジング)内に配置されている。いくつかの実施形態では、第1の端部92は、人工呼吸器、CPAPマシン、加湿器などの出口と直接連結し、第2の端部は導管(例えば、ガス送達導管42、ガス戻り導管44)と連結する。別の実施形態では、第1の端部92および第2の端部96は、導管(例えば、ガス送達導管42、ガス戻り導管44)と連結し得る。このようにして、流量センサ36は、呼吸システム12を再設計または再構成することなく、既存の呼吸システム12に後付けされ得る。
【0027】
図6は、気管内/気管切開チューブアダプタ110と連結されたエアロゾル発生器16の実施形態の斜視図である。アダプタ110は、エアロゾル発生器16がガス送達導管42と気管内チューブまたは気管切開チューブ18(図1で確認される)との間で流体的に連結することを可能にする。この位置で、アダプタ110は、エアロゾル発生器16を患者の近くに配置し、これにより、患者に送達されるエアロゾルの割合が増加する。図示のように、アダプタ110は、人工呼吸器、CPAPマシン、加湿器、またはそれらの組み合わせを使用する医療治療用のガス送達導管42と連結し得る入口114を備えた第1の端部112を含む。いくつかの実施形態では、第1の端部112は何にも連結せず、代わりに患者の周囲の大気を受け入れ得る。出口118を備えた第2の端部116は、エアロゾル発生器16を患者に対して固定するために、圧入接続、スナップ嵌め接続、ねじ込み接続、溶接、接着剤などにより気管内チューブまたは気管切開チューブ18と連結する。
【0028】
図示のように、エアロゾル発生器16はハウジング120を含む。ハウジング120内に、エアロゾル発生器16は、振動可能な部材および圧電アクチュエータを含む。動作中、コントローラ26はポンプ24(図1図4で確認される)を駆動して、流体を流体送達導管22を介してハウジング120内に圧送する。上記で説明したように、流体送達導管22は、振動可能な部材への流体の事前充填を可能にするために、流体によって準備され得る。流体がハウジング120に流入すると、流体は振動可能な部材の一部またはすべての上に広がる。コントローラ26は、続いて電気信号を圧電(または他の)アクチュエータに送信し、圧電アクチュエータは、振動可能な部材を振動させて流体をエアロゾル化する。次いで、エアロゾル化された流体は、出口122を介してハウジング120から流出して、チューブアダプタ110に流入する。
【0029】
いくつかの実施形態では、ハウジング120は、エアロゾル化された流体がチューブアダプタ110の中心軸126により近い出口122から流出するように、チューブアダプタ110の開口部124を貫通して延在し得る。これにより、チューブアダプタ110を通過する搬送流体ストリーム128が、患者への送達のためにより多くのエアロゾルを捕捉することが可能になり得る。いくつかの実施形態では、ハウジング120の出口122は、チューブアダプタ110の開口部124と同一平面にあるか、または開口部124によって取り囲まれ得る。ハウジング120は、チューブアダプタ110に溶接、接着、スナップ嵌め、ねじ込み、圧入などが行われる。いくつかの実施形態では、エアロゾル発生器のハウジング120は、ガスケット、溶接、接着剤などを使用してチューブアダプタ110と流体密接シール(fluid tight seal)を形成して、患者による汚染物質の吸入を阻止し得る。
【0030】
図7は、鼻マスクまたは鼻カニューレ150と連結されたエアロゾル発生器の実施形態の断面図である。鼻カニューレ150は、本体152から離れるように延在する鼻プロング154を備えた本体152を含む。鼻カニューレ150は、鼻プロング154の開口160に搬送流体128を供給する第1および第2の入口156、158を含み得る。しかしながら、いくつかの実施形態は、搬送流体128を鼻プロング154に供給するための入口156または入口158のいずれかを含み得る。上記の説明と同様に、エアロゾル発生器のハウジング120は、エアロゾル化された流体が中心軸164により近い出口122から流出するように、開口160を貫通して鼻カニューレ150内に延在し得る。これにより、鼻カニューレ150を介して流れる搬送流体ストリーム128の中心のより近くにエアロゾルが流入するため、患者へのエアロゾルの流れを促進し得る。いくつかの実施形態では、鼻カニューレ150内に延在する代わりに、ハウジング120の出口122は、開口部162と同一平面にあるか、または開口部162によって取り囲まれ得る。
【0031】
エアロゾル発生器16のハウジング120は、溶接、接着剤などを使用して鼻カニューレ150と連結してもよく、またはスナップ嵌め接続、ねじ込み接続、圧入接続などを使用して連結してもよい。いくつかの実施形態では、エアロゾル発生器のハウジング120は、ガスケット164、溶接、接着剤などを使用してチューブアダプタ110と流体密接シールを形成して、患者が吸入する流体ストリームに汚染物質が侵入するのを阻止し得る。
【0032】
上記で説明したように、エアロゾル発生器16は、圧電アクチュエータ170に応答して流体を振動させてエアロゾル化する振動可能な部材168を含む。振動可能な部材168は、2016年5月12日に公開され、かつあらゆる目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2016/0130715号明細書に記載されているような、光画成(photo-defined)振動可能な部材であり得る。振動可能な部材は、ポリマー、金属、金属合金などで作成され得る。動作時において、振動可能な部材168は、体積メジアン径(VMD:volume median diameter)が4ミクロン以下の液滴/粒子を有する99.6%以上の微粒子分率(FPF)を生成することができる。いくつかの実施形態では、振動可能な部材168を使用するエアロゾル発生器16は、VMDが1ミクロン以下の液滴を有する80%以上のFPFを生成することができる。これらの特性を備えたエアロゾルは、患者への効果的な送達(例えば、患者の肺内のより深い深度への薬剤の送達)のために、搬送流体(例えば、空気、酸素、酸素/空気混合物など)に容易に浮遊して搬送される。
【0033】
図8は、患者の呼吸サイクルに関するエアロゾル生成を示すグラフ190である。上記で説明したように、エアロゾル送達システム10は、患者が吸入および吐き出しをする時期を検知する1つまたは複数の呼吸センサ34を含む。患者の呼吸パターンおよび/または換気サイクルを追跡した後(患者が強制換気されている場合)、コントローラ26は、吸入が始まる時期を予測することができる。この情報を使用して、流体をエアロゾル発生器16に圧送し(例えば、振動可能な部材168に流体を事前充填し)、エアロゾル発生器16に信号を送信して流体のエアロゾル化を開始する。このようにして、エアロゾルが吸入の開始時に患者用に準備される。エアロゾル送達システム10は、呼吸サイクルを予測して患者用のエアロゾルを生成することができるが、エアロゾル送達システム10は、呼吸センサ34を使用して、正常なパターンの一部ではない自発呼吸/不規則な呼吸を認識することもできる。自発呼吸が認識されると、エアロゾル送達システム10は、患者への送達のために流体をエアロゾル発生器16に直ちに圧送し得る。
【0034】
グラフ190では、線192はエアロゾル発生器16によるエアロゾル生成を表し、線194は吸入中の気流を表す。ピーク196は、患者への最大気流を表す。図示されているように、エアロゾルの生成は、患者による吸入の前の期間198で開始する。例えば、期間198は、吸入期間(即ち、患者への気流)を表す期間200に対して1-10%、1-15%、1-20%、1-30%などであり得る。エアロゾルの生成は、吸入の終了の近くで停止する前に、期間202の間継続する。例えば、エアロゾルの生成は、吸入の終了前に、吸入の持続時間を表す期間200に対して1-10%、1-15%、1-20%などで停止し得る。このようにして、エアロゾル送達システム10は、患者に効果的に送達されない可能性のあるエアロゾルの生成を停止することにより、薬剤の無駄を低減する。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成は、吸入を表す期間200全体にわたって継続し得る。エアロゾル生成期間198および202は、治療のタイプ(例えば、薬剤)、患者(例えば、性別、サイズ、年齢など)に応じて変化し得る。例えば、エアロゾル生成は、期間200に関して異なる時間に開始および停止する場合がある(例えば、より早く開始、より遅く開始、より早く終了、より遅く終了)。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成は、期間200の間に複数回開始および停止し得る。他の実施形態では、エアロゾル発生器16は、吸入の開始時および/または吸入が開始する前により多くのエアロゾルを生成し、その後、生成されるエアロゾルの量を徐々に低減し得る。エアロゾル発生器16は、逆のことを行って、吸入中(例えば、患者への気流が増加するにつれて)エアロゾル生成を徐々に増加させ得る。さらに他の実施形態では、エアロゾル発生器16は、吸入中にエアロゾル生成を徐々に増加して徐々に減少させ得る(例えば、エアロゾル生成を徐々に増加させて気流196をピークにし、その後エアロゾル生成を徐々に減少させる)。
【0035】
図9は、エアロゾル送達システム10の実施形態の斜視図である。図示のように、流体源20は、コントローラ26と連結する流体容器220である。流体容器220は、ポンプ接続ライン222によってポンプ24と連結し、コントローラ26によって起動されると、ポンプ24は流体源20から流体を吐出することが可能となる。流体は、薬剤、界面活性剤、またはそれらの組み合わせであり得る。ポンプ24は、流体源20から制御された量の流体を排出することができる容積式ポンプであり得る。例えば、ポンプ24は、蠕動ポンプ、回転ポンプ、往復ポンプ、プランジャーポンプ、ギアポンプ、スクリューポンプ、プログレッシブキャビティポンプなどであり得る。いくつかの実施形態では、ポンプ24は非容積式ポンプであり得る。例えば、非容積式ポンプは、点滴(例えば、静脈内療法の点滴)などの重力供給式システム(gravity fed system)であり得る。点滴からの流体の流れを制御するために、重力供給式システムはバルブを含み得る。いくつかの実施形態では、非容積式ポンプは、回転翼駆動ポンプ、圧電駆動ポンプであり得る。非容積式ポンプの流体送達の精度を高めるために、システムは、流体流量センサ、流体圧センサ、および/または体積検出センサ(例えば、ウェット/ドライセンサ、容量性レベルセンサ、通気圧センサ)を含み得る。
【0036】
上記で説明したように、コントローラ26は、1つまたは複数のメモリ30に格納された命令を実行してポンプ24の動作およびエアロゾル発生器16の動作を制御する1つまたは複数のプロセッサ28を含む。コントローラ26は、コントローラハウジング224内に収容され得る。コントローラハウジング224には、ディスプレイ226および1つまたは複数のボタン228が連結されている。例えば、コントローラ26は、コントローラ26の電源をオンおよびオフにするための電源ボタン230と、1つまたは複数のメニューなどへのアクセスおよび/または複数のメニューによるナビゲーションを提供するボタンとを含み得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイ226は、エアロゾル送達システム10との相互作用を可能にするタッチスクリーンであり得る。ハウジング224は、ポンプ24を収容する凹部232を形成して、ポンプ24が、ハウジング224の縁部と位置合わせされるか、またはハウジング224と実質的に位置合わせされるようにし得る。これにより、コントローラ26の美的外観が向上するだけでなく、隣接する物体との接触を介してポンプ24がコントローラ26から意図せずに取り外されることが低減される。
【0037】
図10は、エアロゾル送達システム10の実施形態の分解斜視図である。図示されるように、コントローラハウジング224は、側壁252から離れるように延在する棚部250を含む。流体容器220がコントローラハウジング224と連結すると、棚部250は、流体容器220を意図しない取り外しから保護するとともに、ユーザーが流体容器220の上に配置し得る物体から保護する。棚部250に加えて、コントローラ26は、側壁252から延在するシャフト254を含む。シャフトは、コントローラ26内のモータと連結する。動作時において、コントローラ26はモータを作動させ、モータはシャフト254を介してポンプ24を駆動する。いくつかの実施形態において、コントローラハウジング224は、ポンプ24および流体容器220のコントローラハウジング224への連結を可能にする複数の開口を側壁252に含む。
【0038】
図10では、流体容器220は、流体源20およびポンプレセプタクル部260を含む流体収容部258を含む。ポンプレセプタクル部260は、流体容器220がコントローラハウジング224と連結するときにポンプ24を受承する。いくつかの実施形態では、ポンプ24は、ポンプレセプタクル部260内のポンプ接続ライン222によって流体源20と連結する。このようにして、流体容器220は、流体源20からのポンプ接続ライン222の意図しない切断を阻止または低減する。
【0039】
図11は、ポンプ24の実施形態の分解斜視図である。上記で説明したように、ポンプ24は、流体源20からの流体の測定された放出を可能にする容積式ポンプである。図11では、ポンプ24は蠕動ポンプである。ポンプ24は、ポンプハウジング280と、使い捨てチューブ284およびローラ286を覆うカバー282とを含む。ローラ286は、ベアリング290によりプレート288と連結している。ベアリング290は、シャフト292の動きに応答してプレート288が回転するときに、ローラ286が回転するのを可能にする。組み立て時には、使い捨てチューブ284は、ローラ286がカバー282の内面に対して使い捨てチューブ284を圧縮できるように、ローラ286の周りに巻き付けられる。ローラ286がカバー282内で回転すると、ローラ286は、流体源20から測定された量の流体を受け取り、次いで、測定された量の流体を使い捨てチューブ284を介して駆動する。いくつかの実施形態では、使い捨てチューブ284は、入口294でポンプ接続ライン222に、出口296で流体送達導管22と連結する。別の実施形態では、使い捨てチューブ284は、流体送達導管22と連結するポンプ接続ライン222である。さらに別の実施形態では、使い捨てチューブ284は、ポンプ接続ライン222と連結するか、または流体源20と直接連結する流体送達導管22である。
【0040】
上述のように、本発明の実施形態は、人工呼吸器、CPAPマシン、加湿器、および/または他の呼吸システムなどの既存の呼吸システムに後付けされ得るエアロゾル送達システムを提供する。例えば、ユーザーは、既存の人工呼吸システムと、鼻カニューレ、フェイスマスク、マウスピース、気管内チューブ、LMA、または気管切開チューブに見られるような送達ルーメン(delivery lumen)との間にアダプタ110などの導管アダプタおよび/または他の患者インターフェース機器を連結し得る。上記で詳述したように、導管アダプタは、開放内部(open interior)を形成し、かつ患者が呼吸すると信号を発信して呼吸パターンを検出するように構成されている流量センサ、レーダーセンサ、二酸化炭素センサ、高速温度センサ、音響センサ、インピーダンスプレチスモグラフィーセンサ、呼吸インダクタンスプレチスモグラフィーセンサ、圧力センサ、およびその他のうちの1つ(または組み合わせ)などの1つまたは複数の呼吸センサを含むか、および/またはそれと連結され得る。アダプタは、導管アダプタの開放内部と流体連通している出力を有するエアロゾル発生器を含み、かつ/またはエアロゾル発生器と連結され得る。ユーザーは、送達ルーメンを患者の気道と接合し得る。上記でより詳細に説明したように、呼吸システムを使用して患者に空気を送り、呼吸センサ(単数または複数)を使用して患者の呼吸サイクルを検出することができる。呼吸センサ(単数または複数)は、検出された呼吸サイクルに関連する信号をコントローラに送信し、コントローラはこのデータを使用して後続の吸入の開始を予測する。コントローラは、続いて流体を振動可能な部材に圧送するなどして、流体を振動可能な部材に事前充填し得る。次に、振動可能な部材を圧電アクチュエータで振動させて、流体をエアロゾル化し、導管アダプタの開放内部および送達ルーメンを介してエアロゾル化した流体を患者の気道に導入する。いくつかの実施形態では、プロセスは、1つまたは複数の流体ラインを使用してポンプを流体源およびエアロゾル発生器に結合することも含み得る。
【0041】
本発明は様々な修正形態および代替形態の影響を受け得るが、特定の実施形態を例として図面に示し、本明細書で詳細に説明した。しかしながら、本発明は開示された特定の形態に限定されることを意図するものではないことを理解すべきである。むしろ、本発明は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の技術思想および範囲内にあるすべての修正、等価物、および代替物を網羅するものである。
図1
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図7
図8
図9
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図11