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特許7463485ビームフォーミングのスケジューリング方法およびネットワークエンティティ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ビームフォーミングのスケジューリング方法およびネットワークエンティティ
(51)【国際特許分類】
   H04W 16/28 20090101AFI20240401BHJP
   H04W 64/00 20090101ALI20240401BHJP
【FI】
H04W16/28
H04W64/00 173
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022199040
(22)【出願日】2022-12-14
(65)【公開番号】P2024027074
(43)【公開日】2024-02-29
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】111130829
(32)【優先日】2022-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504429600
【氏名又は名称】緯創資通股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WISTRON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】黄 源福
【審査官】伊東 和重
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0314821(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第113837461(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークエンティティに適用可能なビームフォーミングのスケジューリング方法であって、
ユーザー機器の少なくとも1つの過去の位置に基づいて未来の位置を予測し、前記少なくとも1つの過去の位置が、少なくとも1つの過去の時間点における前記ユーザー機器の位置であり、前記未来の位置が、未来の時間点における前記ユーザー機器の位置であることと、
前記未来の位置に基づいてプリコーダを決定し、前記プリコーダが、前記未来の時間点におけるダウンリンクチャネル状態を反映することと、
前記プリコーダに基づいて前記未来の時間点における基地局のビームの方向を決定することと、
を含み、
前記未来の位置に基づいて前記プリコーダを決定することが、
前記未来の位置を機械学習アルゴリズムに基づいたプリコーディング予測モデルに入力することと、
前記プリコーディング予測モデルを介して候補プリコーダを予測することと、
前記候補プリコーダに基づいて前記プリコーダを決定することとを含み、前記プリコーディング予測モデルが、特徴抽出層および多層パーセプトロンを含み、前記プリコーディング予測モデルを介して前記候補プリコーダを予測することが、
前記特徴抽出層を介して前記未来の位置から複数のランダムフーリエ特徴を取得することと、
前記多層パーセプトロンを介して前記ランダムフーリエ特徴に基づいて前記候補プリコーダを決定することと、
を含み、前記候補プリコーダに基づいて前記プリコーダを決定することが、
ードブックを有する場合、それに反応して、前記コードブックにおける複数のプリコーディングマトリクスのうち前記候補プリコーダとの相関性が最も高いものに基づいて前記プリコーダを生成することと、
前記コードブックを有していない場合、それに反応して、前記候補プリコーダを前記プリコーダとして使用することと、
を含むビームフォーミングのスケジューリング方法。
【請求項2】
前記ユーザー機器の前記少なくとも1つの過去の位置に基づいて前記未来の位置を予測することが、
前記少なくとも1つの過去の位置を機械学習アルゴリズムに基づいた位置予測モデルに入力することと、
前記位置予測モデルを介して前記未来の位置を予測することとを含み、前記位置予測モデルが、第1回帰型LSTM層および第2回帰型LSTM層を含み、前記第1回帰型LSTM層および前記第2回帰型LSTM層が、それぞれ複数のLSTMモデルを含み、前記位置予測モデルを介して前記未来の位置を予測することが、
前記第1回帰型LSTM層内の第1LSTMモデルを介して前記第2回帰型LSTM層内の第1LSTMモデルおよび前記第1回帰型LSTM層内の第2LSTMモデルに出力を送信することと、
前記第2回帰型LSTM層内の第1LSTMモデルを介して前記第2回帰型LSTM層内の第2LSTMモデルに出力を送信することと、
全結合層を介して前記第2回帰型LSTM層の出力を線形結合し、前記未来の位置を取得することと、
を含む請求項1に記載のビームフォーミングのスケジューリング方法。
【請求項3】
コードを保存するために使用されるメモリと、
前記メモリに結合され、前記コードをロードおよび実行して、
ユーザー機器の少なくとも1つの過去の位置に基づいて未来の位置を予測し、前記少なくとも1つの過去の位置が、少なくとも1つの過去の時間点における前記ユーザー機器の位置であり、前記未来の位置が、未来の時間点における前記ユーザー機器の位置であることと、
前記未来の位置に基づいてプリコーダを決定し、前記プリコーダが、前記未来の時間点におけるダウンリンクチャネル状態を反映することと、
前記プリコーダに基づいて前記未来の時間点における基地局のビームの方向を決定することと、
を実現するよう構成されたプロセッサと、
を含み、
前記未来の位置に基づいて前記プリコーダを決定することが、
前記未来の位置を機械学習アルゴリズムに基づいたプリコーディング予測モデルに入力することと、
前記プリコーディング予測モデルを介して候補プリコーダを予測することと、
前記候補プリコーダに基づいて前記プリコーダを決定することとを含み、前記プリコーディング予測モデルが、特徴抽出層および多層パーセプトロンを含み、前記プリコーディング予測モデルを介して前記候補プリコーダを予測することが、
前記特徴抽出層を介して前記未来の位置から複数のランダムフーリエ特徴を取得することと、
前記多層パーセプトロンを介して前記ランダムフーリエ特徴に基づいて前記候補プリコーダを決定することと、
を含み、前記候補プリコーダに基づいて前記プリコーダを決定することが、
コードブックを有する場合、それに反応して、前記コードブックにおける複数のプリコーディングマトリクスのうち前記候補プリコーダとの相関性が最も高いものに基づいて前記プリコーダを生成することと、
前記コードブックを有していない場合、それに反応して、前記候補プリコーダを前記プリコーダとして使用することと、
を含むネットワークエンティティ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信技術に関するものであり、特に、ビームフォーングのスケジューリング方法およびネットワークエンティティに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現代の自動運転車(例えば、自律移動ロボット(autonomous mobile robot, AMR)またはファクトリーオートメーションに使用される無人搬送車(automated guided vehicle, AGV))は、人間労働に取って代わり、生産ラインにおいて材料や物品を運搬する仕事を行っている。AMRを制御するために使用される無線通信は、低遅延および高信頼性が要求される。例えば、5G次世代ノードB(gNB)は、動作中のAGVの最適な通信品質を維持して、通信品質の劣化を防止しなければならない。そのため、5Gモバイル通信技術は、ビームフォーング(beamforming)を提案している。ビームフォーングは、アナログとデジタルに分類することができ、特定の方向に向かって好適な信号を受信端に発射するために使用される。AGVの応用については、ビームフォーングが個別のAGVに対して指向性の通信を行うことができる。デジタルビームフォーングについては、プリコーディングマトリクス(precoding matrix)の使用が鍵となる。プリコーディングマトリクスを使用して信号をプリコーディングすることによって、ビームの方向を決定することができ、その方向に対応する範囲内の信号受信品質がより好適になる。プリコーディングマトリクスの選択または決定は、受信端(例えば、AGVまたはモバイルデバイス)が設置された位置のチャネル状態情報(channel state information, CSI)によって決まる。そのため、プリコーディングマトリクスは、ビームフォーングの効果に影響を与える主要因である。
【0003】
また、CSIは、チャネル品質指標(channel quality indicator, CQI)、ランク指標(rank indication, RI)、レイヤ指標(layer indicator, LI)、プリコーディングマトリクス指標(precoding matrix indication, PMI)、CSIリソース指標(CSI resource indication, CRI)、同期化信号/物理的ブロードキャストチャネルブロックリソース指標(synchronization signal/physical broadcast channel block resource indicator, SS/PBCH resource indicator, SSBRI)、およびL1-基準信号受信電力(reference signal receiving power, RSRP)を含む。ユーザ機器(user equipment, UE)は、CSIをgNBに報告し、gNBは、CSIの報告内容に基づいてスケジューリング調整およびビーム管理に関する仕事を行う。そのため、CSIは、通信において重要な役割を果たす。5G新無線(new radio, NR)システムにおける通信推定の演算は、CSIを推定する基本としてパイロットシンボル(pilot symbol)を送信しなければならない。パイロットシンボルは、無線リソースを占有するため、過剰なリソースのオーバーヘッドをもたらし、5G NRシステムの効率を制限する。また、UEを介してCSIをgNBに報告することによって、時間遅延が発生する。そのため、報告されたCSIは、UEのチャネル状態をリアルタイムで反映することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、未来のチャネル状態を推定し、それに応じてビームの適切な方向を提供することのできるビームフォーングのスケジューリング方法およびネットワークエンティティを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの実施形態に係るビームフォーング(beamforming)のスケジューリング方法は、ネットワークエンティティに適用可能である。スケジューリング方法は、以下のステップを含む。ユーザー機器(user equipment, UE)の1つまたはそれ以上の過去の位置に基づいて未来の位置を予測する。未来の位置に基づいてプリコーダ(precoder)を決定する。プリコーダに基づいて未来の時間点における基地局のビームの方向を決定する。過去の位置は、1つまたはそれ以上の過去の時間点におけるユーザー機器の位置であり、未来の位置は、未来の時間点におけるユーザー機器の位置である。プリコーダは、未来の時間点におけるダウンリンクチャネル状態を反映する。
【0006】
本発明の1つの実施形態に係るビームフォーングのスケジューリング方法は、ネットワークエンティティに適用可能である。スケジューリング方法は、以下のステップを含む。ユーザー機器の1つまたはそれ以上の過去の位置および1つまたはそれ以上の過去のチャネル状態に基づいて未来の位置および未来のチャネル状態を予測する。未来の位置および未来のチャネル状態に基づいてプリコーダを決定する。プリコーダに基づいて未来の時間点における基地局のビームの方向を決定する。過去の位置は、1つまたはそれ以上の過去の時間点におけるユーザー機器の位置であり、過去のチャネル状態は、過去の時間点におけるダウンリンクチャネル状態であり、未来の位置は、未来の時間点におけるユーザー機器の位置であり、未来のチャネル状態は、未来の時間点におけるダウンリンクチャネル状態である。プリコーダは、未来の時間点におけるダウンリンクチャネル状態を反映する。
【0007】
本発明の1つの実施形態に係るネットワークエンティティは、メモリおよびプロセッサを含む(ただし、本発明はこれに限定されない)。メモリは、コードを保存するために使用される。プロセッサは、メモリに結合される。プロセッサは、コードをロードおよび実行して、以下のステップを実現するよう構成される。ユーザー機器の1つまたはそれ以上の過去の位置に基づいて未来の位置を予測する。未来の位置に基づいてプリコーダを決定する。プリコーダに基づいて未来の時間点における基地局のビームの方向を決定する。過去の位置は、1つまたはそれ以上の過去の時間点におけるユーザー機器の位置であり、未来の位置は、未来の時間点におけるユーザー機器の位置である。プリコーダは、未来の時間点におけるダウンリンクチャネル状態を反映する。
【発明の効果】
【0008】
以上のように、本発明の実施形態に係るビームフォーングのスケジューリング方法およびネットワークエンティティは、未来の時間点におけるユーザー機器の位置を予測し、それに応じて未来のチャネル状態および基地局のビームの方向によって反映されたプリコーダを決定する。こうすることにより、CSIが報告されていない場合でも、適切なプリコーディングマトリクスを提供することができ、それにより、無線リソースの利用率を上げて、信号通信の遅延を防ぐことができる。
【0009】
本発明の上記および他の目的、特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
添付図面は、本発明の原理がさらに理解されるために含まれており、本明細書に組み込まれ、且つその一部を構成するものである。図面は、本発明の実施形態を例示しており、説明とともに、本発明の原理を説明する役割を果たしている。
【0011】
図1図1Aは、本発明の1つの実施形態に係るオープン無線アクセスネットワーク(open radio access network, O-RAN)システムのフレームワーク図である。図1Bは、本発明の1つの実施形態に係る機能分離(functional split)の概略図である。
図2図2は、本発明の1つの実施形態に係るネットワークエンティティの素子のブロック図である。
図3図3は、本発明の1つの実施形態に係るビームフォーングのスケジューリング方法のフローチャートである。
図4図4は、本発明の1つの実施形態に係る位置予測モデルの概略図である。
図5図5は、本発明の1つの実施形態に係るプリコーディング予測モデルの概略図である。
図6図6は、本発明の1つの実施形態に係るチャネルを通した信号の概略図である。
図7図7は、本発明の1つの実施形態に係るチャネル状態情報から得られた信号通信(signaling)の概略図である。
図8図8は、本発明の1つの実施形態に係るプリコーダを生成する時のフローチャートである。
図9図9は、本発明の1つの実施形態に係るビームフォーングのスケジューリング方法のフローチャートである。
図10図10は、本発明の1つの実施形態に係る位置およびチャネル予測モデルの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1Aは、本発明の1つの実施形態に係るオープン無線アクセスネットワーク(open radio access network, O-RAN)システム1のフレームワーク図である。図1Aを参照すると、オープン無線アクセスネットワークシステム1は、サービス管理オーケストレーション(service management and orchestration, SMO)フレームワーク11、非リアルタイム(non-real time)無線アクセスネットワークインテリジェントコントローラ(radio access network intelligent controller, RIC)12、ニアリアルタイム(near-real time)RIC13、オープン無線アクセスネットワーク集約基地局(open radio access network central unit, O-CU)14(ユーザープレーン(user plane, UP)および/またはコントロールプレーン(control plane, CP)に用いる)、オープン無線アクセスネットワーク分散局(open radio access network distributed unit, O-DU)15、オープン無線アクセスネットワークリモート無線局(open radio access network remote unit, O-RU)16、オープンクラウドプラットフォーム(open-cloud platform)17、オープン無線アクセスネットワーク進化型ノードB(open radio access network evolved Node B, O-eNB)18、およびユーザー機器(user equipment, UE)19を含む(ただし、本発明はこれに限定されない)。
【0013】
SMOフレームワーク11は、例えば、障害、構成、アカウンティング、パフォーマンス、およびセキュリティ(fault, configuration, accounting, performance, security, FCAPS)管理、オープンクラウドプラットフォーム17のリソース管理および負荷管理、およびO-RU16の管理等のネットワークファシリティの管理サービスを提供する。
【0014】
非リアルタイムRIC12は、SMOフレームワーク11内に設置される。非リアルタイムRIC12の機能は、データの分析、機械学習モデルの訓練、強化情報(enrichment information)の提供、およびポリシー(policy)の設定を含む。
【0015】
ニアリアルタイムRIC13は、非リアルタイムRIC12およびSMOフレームワーク11を接続する。ニアリアルタイムRIC13は、無線アクセスネットワーク(radio access network, RAN)内に位置し、RANからリアルタイム情報を受信および分析して、非リアルタイムRIC12によって提供された追加情報を結合し、非リアルタイムRIC12によって配備された機械学習モデルを利用して、ユーザー機器19の接続状態における変化をモニタリングまたは予測するために使用される。非リアルタイムRIC12によって設定されたポリシーが適合しないことをニアリアルタイムRIC13が検出した時、RANのパラメータ、例えば、リソース割り当て、伝送率、伝送優先順位、切換接続点、ハンドオーバー等を調整することができる。このようにして、確立されたポリシー目標を維持することができる。
【0016】
O-CU14は、ニアリアルタイムRIC13およびSMOフレームワーク11を接続する。O-CU14は、無線リソース制御(radio resource control, RRC)、サービスデータ適応プロトコル(service data adaptation protocol, SDAP)、およびパケットデータコンバージェンスプロトコル(packet data convergence protocol, PDCP)の論理ノードに対して責任を負う。コントロールプレーン(CP)に用いるO-CU14は、RRCおよびPDCPのコントロールプレーン部分の論理ノードに対して責任を負う。ユーザープレーン(UP)に用いるO-CU14は、SDAPおよびPDCPのユーザープレーン部分の論理ノードに対して責任を負う。
【0017】
O-DU15は、O-CU14およびSMOフレームワーク11を接続する。O-DU15は、無線回線制御(radio link control, RLC)、メディアアクセス制御(media access control, MAC)、および物理-高(physical-high)層の論理ノードに対して責任を負う。
【0018】
O-RU16は、O-DU15およびSMOフレームワーク11を接続する。O-RU16は、物理-低(physical-low)層および無線周波数(radio frequency, RF)の論理ノードに対して責任を負う。
【0019】
オープンクラウドプラットフォーム17は、SMOフレームワーク11に接続される。オープンクラウドプラットフォーム17は、物理インフラストラクチャノードまたはO-RANシステム1内の全てまたはいくつかの機能のデータに対して責任を負い、支援ソフトウェアエレメント、ハードウェアリソース、および適切な管理オーケストレーション機能を各ノードに提供する。例えば、各ノードの機能は、ネットワーク仮想化(network functions virtualization, FNV)、仮想マシン(virtual machine)、またはコンテナ(container)を介して配属される。
【0020】
O-eNB18は、非リアルタイムRIC12およびSMOフレームワーク11を接続する。O-eNB18は、RANの物理デバイスである。O-eNB18は、次世代ノードB(gNB)、ベーストランシーバシステム(base transceiver system, BTS)、リレー(relay)、リピータ(repeater)、または他の基地局で合ってもよい。O-eNB18の「O-」は、O-RANに位置していることを示す。そのため、下記において、O-eNB18を総じて基地局と称す。
【0021】
1つの実施形態において、オープン無線アクセスネットワークシステム1は、機能分離(functional split)を提供することができる。例えば、図1Bは、本発明の1つの実施形態に係る機能分離の概略図である。図1Bを参照すると、O-eNB18の通信プロトコルにおける物理-低および無線周波数層182(例えば、プリコーディング、高速フーリエ変換、およびデジタルアナログ変換等の機能に用いる)は、O-RU16により実施され、物理-高層183(例えば、チャネル推定、プリコーディング、変調、および符号化/復号化等の機能に用いる)、MAC層184、およびRLC層185は、O-DU15により実施され、PDCP層186およびRRC/SDCP層187は、O-CU14により実施される。
【0022】
説明すべきこととして、図1Bに示した分離方法(例えば、分離オプション7-2x)は、単なる例であり、他の実施において他の分離方法が存在する。例えば、物理-高層183および物理-低および無線周波数層182は、いずれもO-RU16により実施される。
【0023】
ユーザー機器(UE)19は、O-eNB18に連通接続される。ユーザー機器19は、移動局、発展した移動端末(advanced mobile station, AMS)、電話装置、宅内機器(customer premises equipment, CPE)、無線センサ、ウェアラブルデバイス、車載システム、ロボット、または他のデバイスであってもよい。
【0024】
O-RANシステム1における機械学習サービスの実施は、下記の2つの方法により達成することができる。1つ目は、非リアルタイムRIC12に機械学習操作ツールをインポートすることであり、2つ目は、第三者に接続された機械学習サービスサーバー(支援機械学習訓練、予測、およびモデルモニタリングの管理)を統合することである。しかしながら、データ収集、データ前処理、訓練、予測、モデル管理、および性能モニタリング等の操作は、依然としてニアリアルタイムRIC13、O-CU14、O-DU15、および/またはO-eNB18に分散させて実施することができる。
【0025】
図2は、本発明の1つの実施形態に係るネットワークエンティティ20の素子のブロック図である。図2を参照すると、ネットワークエンティティ20は、図1AのニアリアルタイムRIC13、O-DU15、O-RU16、またはO-eNB18、他のコアネットワークエンティティ(例えば、アクセスおよびモビリティ管理機能(access and mobility management function, AMF)またはモビリティ管理エンティティ(mobility management entity, MME))、または他の基地局のハードウェアデバイスであってもよい。
【0026】
ネットワークエンティティ20は、通信用トランシーバ21、メモリ22、およびプロセッサ23を含む(ただし、本発明はこれに限定されない)。
【0027】
通信用トランシーバ21は、1つまたはそれ以上のアンテナ、受信機32、送信機、およびアナログ-デジタルまたはデジタル-アナログ変換器を有する無線トランシーバであってもよく、あるいは、基地局間またはネットワークエンティティ20間の伝送インターフェース(例えば、イーサネット(Ethernet)または光ファイバー網)であってもよい。1つの実施形態において、通信用トランシーバ21は、他のデバイスにデータを送信する、または他のデバイスからデータを受信するために使用される。
【0028】
メモリ22は、任意の種類の固定またはリムーバブルランダムアクセスメモリ(random access memory, RAM)、読み出し専用メモリ(read-only memory, ROM)、フラッシュメモリ(flash memory)、類似する素子、またはこれらの組み合わせであってもよい。メモリ22は、コード、装置構成、コードブック、およびバッファリングされた、または永続的なデータを保存し、RRC、PDCP、RLC、MAC、および物理層等の様々な通信プロトコルに関連するソフトウェアモジュールを保存する。
【0029】
プロセッサ23は、メモリ22に結合される。プロセッサ23は、デジタル信号を処理して、本発明の例示的実施形態に基づくプログラムを実行するよう構成され、メモリ22に保存されたデータおよびソフトウェアモジュールにアクセスする、またはそれらをロードすることができる。1つの実施形態において、プロセッサ23の機能は、中央処理装置(central processing unit, CPU)、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、デジタル信号処理(digital signal processing, DSP)チップ、およびフィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array, FPGA)等のプログラマブルユニットを使用することによって実施することができる。1つの実施形態において、プロセッサ23の機能は、独立した電子デバイスまたは集積回路(integrated circuit, IC)によって実施されてもよい。1つの実施形態において、プロセッサ23の操作は、ソフトウェアによって実施することができる。
【0030】
以下、本発明の実施形態に基づく方法について、ネットワークエンティティ20の各素子と組み合わせて説明する。本発明の実施形態に基づく方法の各プロセスは、実施状況に応じて調整することができ、これらに限定されるものではない。
【0031】
図3は、本発明の1つの実施形態に係るビームフォーングのスケジューリング方法のフローチャートである。図3を参照すると、プロセッサ23は、ユーザー機器19の1つまたはそれ以上の過去の位置に基づいて未来の位置を予測する(ステップS310)。具体的に説明すると、1つまたはそれ以上の過去の位置は、1つまたはそれ以上の過去の時間点におけるユーザー機器19の位置である。例えば、ある時間点がtである場合、過去の位置は、時間点t-5、t-4、t-3、t-2、およびt-1におけるユーザー機器19の位置であってもよい。時系列に配列された過去の位置は、同じまたは異なる期間によって分離することができる。未来の位置は、未来の時間点におけるユーザー機器19の位置である。過去の位置が時間点t-5、t-4、t-3、t-2、およびt-1における位置にある場合を例に挙げると、未来の位置は、時間点t、t+1、またはt+2における位置であってもよい。また、位置は、緯度と経度、相対位置、または特定の座標系の座標形式であってもよい。1つの実施形態において、プロセッサ23は、受信した信号強度、衛星測位、および三角測量等の方法によって、ユーザー機器19の位置を推定することができる。
【0032】
未来の位置は、下記のように定義することができる。
【0033】
【数1】
【0034】
式中、
(外1)
は、未来の時間点kにおけるユーザー機器19の位置であり、
(外2)
は、未来の時間点から時間差
(外3)
を有する過去の時間点k-1におけるユーザー機器19の位置であり、
(外4)
は、過去の時間点k-1におけるユーザー機器19の速度であり、
(外5)
は、過去の時間点k-1における未決定要素である。
【0035】
1つの実施形態において、プロセッサ23は、1つまたはそれ以上の過去の位置を位置予測モデルに入力し、位置予測モデルを介して未来の位置を予測する。位置予測モデルは、機械学習アルゴリズムに基づく。機械学習アルゴリズムには、ディープニューラルネットワーク(deep neural network, DNN)、多層パーセプトロン(multilayer perceptron, MLP)、またはサポートベクターマシン(support vector machine, SVM)等の多くの種類が存在する。1つの実施形態において、位置予測モデルは、位置を推論するために使用することができる。機械学習アルゴリズムは、訓練サンプルを分析し、そこから正則パターンを取得することにより、正則パターンを介して未知のデータを予測することができる。一般的に、未来の位置は、通常、過去の位置によって形成される軌跡および過去の時間点における行為に関連する。位置予測モデルは、学習後に構築される機械学習モデルであり、それに応じて評価したいデータ(例えば、過去の位置)を推論する。
【0036】
図4は、本発明の1つの実施形態に係る位置予測モデルの概略図である。図4を参照すると、1つの実施形態において、位置予測モデルは、長・短期記憶(long short-term memory, LSTM)層に基づく回帰型(recurrent)ニューラルネットワーク(recurrent neural network, LRNet)である。位置予測モデルは、入力層401、第1回帰型LSTM層402、第2回帰型LSTM層403、全結合(fully-connected, FC)層404、および出力層405を含む。
【0037】
入力層401は、複数の過去の位置uk-L、uk-L+1、...、uk-1を取得し、Lは、1より大きい正の整数である。第1回帰型LSTM層402は、複数のLSTMモデルを含み、第2回帰型LSTM層403は、複数のLSTMモデルを含む。LSTMモデルは、入力層401における過去の位置uk-L、uk-L+1、...、uk-1と一対一対応(one-to-one correspondence)を有する。LSTMモデルは、時間回帰型ニューラルネットワーク(recurrent neural network, RNN)であり、特徴抽出を行うために使用される。いくつかのアプリケーションシナリオにおいて、LSTMモジュールは、時系列において長い時間間隔および遅延を有する重要な事象を処理および予測する、例えば、軌跡または未来の位置を予測するのに適している。第1回帰型LSTM層402および第2回帰型LSTM層403は、時間とともに変化する移動特性を取得することができる。移動特性は、速度、加速度、ステップサイズ、および/または方向(つまり、特徴抽出からの特徴)であってもよい。
【0038】
プロセッサ23は、第1回帰型LSTM層402内の第1LSTMモデルを介して第2回帰型LSTM層403内の第1LSTMモデルおよび第1回帰型LSTM層402内の第2LSTMモデル(第1LSTMモデルの次の時間点に対応する)にその出力を送信することができる。例えば、第1回帰型LSTM層402における図面の上から下までの第1LSTMモデルの出力
(外6)
(l1は、第1回帰型LSTM層402に属することを示す)は、第2回帰型LSTM層403における図面の上から下までの第1LSTMモデルに送信され、第1回帰型LSTM層402の第2LSTMモデルに保存される。類推によって、第1回帰型LSTM層402の第2LSTMモデルの出力
(外7)
は、第2回帰型LSTM層403の第2LSTMモデルおよび第1回帰型LSTM層402の第3LSTMモデル(図示せず)に送信される。第1回帰型LSTM層402の第LLSTMモデルは、次の時間点において対応するLSTMモデルがないため、その出力
(外8)
は、第2回帰型LSTM層403の第LLSTMモデルにのみ送信される。
【0039】
また、プロセッサ23は、第2回帰型LSTM層403内の第1LSTMモデルを介して第2回帰型LSTM層403内の第2LSTMモデル(第1LSTMモデルの次の時間点に対応する)にその出力を送信する。例えば、第2回帰型LSTM層403における図面の上から下までの第1LSTMモデルの出力
(外9)
(l2は、第2回帰型LSTM層403に属することを示す)は、第2回帰型LSTM層403内の第2LSTMモデルに保存される。類推によって、第2回帰型LSTM層403の第2LSTMモデルの出力
(外10)
は、第2回帰型LSTM層403の第3LSTMモデル(図示せず)に保存される。第2回帰型LSTM層403の第LLSTMモデルは、次の時間点において対応するLSTMモデルがないため、その出力
(外11)
は、全結合層404にのみ送信される。出力
(外12)
は、以下のように定義することができる。
【0040】
【数2】
【0041】
式中、Ukは、ユーザー機器19の過去の位置uk-L、uk-L+1、...、uk-1の集合(例えば、
(外13)
であり、
(外14)
、パラメータλを使用する非線形関数である(第1回帰型LSTM層402および第2回帰型LSTM層403を実施するために用いる)。
【0042】
プロセッサ23は、全結合層404を介して第2回帰型LSTM層403の出力
(外15)
を線形結合し、未来の位置を取得する(つまり、出力層405を介して未来の位置を出力する)。線形結合は、以下のように定義される。
【0043】
【数3】
【0044】
式中、
(外16)
は、推定した未来の位置であり、
(外17)
は、線形活性化関数(linear activation function)を示し、Wは、重量であり、bは、バイアス(bias)である。
【0045】
図3を参照すると、プロセッサ23は、未来の位置に基づいてプリコーダ(precoder)を決定する(ステップS320)。具体的に説明すると、プリコーダは、未来の時間点におけるダウンリンクチャネル状態を反映する。ダウンリンクは、O-eNB18からユーザー機器19への送信方向を指す。プリコーダは、マルチアンテナシステムにおけるマルチストリーム伝送がビームフォーミングを実施できるようにする。従来のシングルストリーム伝送において、同じ信号は、各アンテナを介して発射される。受信アンテナ全体の信号電力を増やすために、プリコーダのマルチストリーム伝送が必要である。プリコーディングの実行にはチャネル状態が必要であるが、本発明の実施形態に基づくプリコーダは、未来の時間点における未来の位置に基づいて決定されるため、未来の時間点におけるチャネル状態が必要である。
【0046】
1つの実施形態において、プロセッサ23は、未来の位置をプリコーディング予測モデルに入力し、プリコーディング予測モデルを介して未来の時間点におけるダウンリンクチャネル状態に一致する候補プリコーダを予測することができる。プリコーディング予測モデルは、機械学習アルゴリズムに基づく。機械学習アルゴリズムの例は、上記で説明したため、ここでは繰り返し説明しない。1つの実施形態において、プリコーディング予測モデルは、プリコーディングマトリクスを推論するために使用することができる。一般的に、ダウンリンクチャネル状態は、ユーザー機器19の位置に強く関係し、プリコーディングは、ダウンリンクチャネル状態に基づく。プリコーディング予測モデルは、学習後に構築される機械学習モデルであり、それに基づいて、評価したいデータ(例えば、未来の位置)を推論する。
【0047】
図5は、本発明の1つの実施形態に係るプリコーディング予測モデルの概略図である。図5を参照すると、プリコーディング予測モデルは、入力層501、特徴抽出(feature extraction)層502、多層パーセプトロン(multilayer perceptron, MLP)503、および出力層504を含む。
【0048】
入力層501は、未来の時間点におけるユーザー機器19の未来の位置(例えば、式(3)の未来の位置
(外18)
を取得する。
【0049】
プロセッサ23は、特徴抽出層502を介して未来の位置から複数のランダムフーリエ特徴(random Fourier feature, RFF)を取得する。特徴抽出層502は、マッピング関数を介して比較的低い次元を有するユークリッド空間(Euclidean space)に未来の位置をマッピングし、ユークリッド空間における未来の位置の座標の内積を取ることによって核関数(kernel function)の推定値を取得することができる。核関数のフーリエ変換において、ランダムに抽出した正弦関数(sine function)を使用して、マッピングを実施することができる。
【0050】
また、プロセッサ23は、多層パーセプトロン503を介してランダムフーリエ特徴に基づいて候補プリコーダを決定する。多層パーセプトロン503は、入力ベクトルの1つの集合を入力ベクトルの別の集合にマッピングすることができる。多層パーセプトロン503は、複数のノード層で構成され、各層は、次の層に完全に接続される。多層パーセプトロン503の入力層におけるノード以外の残りのノードは、非線形活性化関数を有するニューロン(または、処理ユニット)である。1つの実施形態において、多層パーセプトロン503は、正規化線形ユニット(rectified linear unit, ReLU)励起関数を使用して、ニューロンの機能を実施することができる。多層パーセプトロン503の出力は、候補プリコーダである。
【0051】
1つの実施形態において、候補プリコーダの性能は、候補プリコーダW(プリコーディングマトリクス(precoding matrix)によって示される)とチャネル状態hの間の正規化相関
(外19)
に基づいて評価することができる。
【0052】
【数4】
【0053】
正規化相関
(外20)
、0と1の間の値を有する。正規化相関が1に近い時、候補プリコーダWの性能は、好適である。性能は、エラー率、受信電力、または時間遅延に関連してもよい。
【0054】
1つの実施形態において、訓練段階の間、プリコーディング予測モデルは、正規化相関(外21)
に基づいてコスト関数(cost function)CFを確立することができる。
【0055】
【数5】
【0056】
式中、Wiは、訓練サンプル中の第iプリコーダであり、hiは、訓練サンプル中の第iチャネル状態であり、Nは、訓練サンプル中のプリコーダまたはチャネル状態の数である。
【0057】
図6は、本発明の1つの実施形態に係るチャネルを通した信号の概略図である。図6を参照すると、xは、送信端(例えば、O-eNB18)の信号を示し、yは、受信端(例えば、ユーザー機器19)の信号を示し、hは、ダウンリンクチャネル状態であり、nは、ノイズであり、uは、干渉である。そのため、送信端と受信端の間の関係を以下のように取得することができる。
【0058】
【数6】
【0059】
図7は、本発明の1つの実施形態に係るチャネル状態情報から得られた信号通信(signaling)の概略図である。図7を参照すると、O-eNB18は、ユーザー機器19によって報告されたチャネル状態情報(CSI)に基づいてプリコーディングを調整し、ユーザー機器19にデータを送信することができる。ユーザー機器19とO-eNB18の間のダウンリンクチャネル状態は、ユーザー機器19の位置と関連するため、未来の時間点におけるダウンリンクチャネル状態は、未来の時間点における未来の位置を使用することによって前もって予測することができ、それに応じて対応するプリコーダ(例えば、プリコーディングマトリクス)を生成し、プリコーディングを実行する。ユーザー機器19がチャネル状態を報告していない場合でも、O-eNB18は、依然として未来の時間点におけるダウンリンクチャネル状態に基づいてプリコーディングを実行することができるため、それにより、効率を上げることができる。本発明の実施形態は、機械学習ユニットのロケーションアウェア(location-aware)ビームフォーミングのスケジューリングと称してもよい。
【0060】
1つの実施形態において、プロセッサ23は、候補プリコーダに基づいてプリコーダを決定することができる。図8は、本発明の1つの実施形態に係るプリコーダを生成する時のフローチャートである。図8を参照すると、プロセッサ23は、メモリ22または他のデータベースがコードブック(codebook)を有するかどうかを判断することができる(ステップS810)。コードブックを有していない場合、それに反応して、プロセッサ23は、候補プリコーダをプリコーダとして直接使用することができる(ステップS820)。例えば、プリコーディング予測モデルの出力をプリコーダとして使用する。
【0061】
コードブックを有する場合、それに反応して、プロセッサ23は、条件を満たすプリコーダを取得することができる(ステップS830)。1つの実施形態において、プロセッサ23は、コードブックにおける複数のプリコーディングマトリクスのうち候補プリコーダとの相関性が最も高いものに基づいてプリコーダを生成する。例えば、プロセッサ23は、コードブックにおいて正規化相関(例えば、
(外22)
)を最大化するプリコーディングマトリクス(例えば、hi)を探す。つまり、正規化相関が最大の場合、条件が満たされる。
【0062】
別の実施形態において、コードブックがあるかどうかに関わらず、プロセッサ23は、候補プリコーダをプリコーダとして直接使用することができる。
【0063】
図3を参照すると、プロセッサ23は、プリコーダに基づいて未来の時間点における基地局(例えば、O-eNB18)のビームの方向を決定する(ステップS330)。具体的に説明すると、プリコーディングは、デジタルビームフォーミングを実施するための技術手段である。基地局の複数のアンテナ上の信号がプリコーディングされた場合、ある方向/角度の信号は、強め合う干渉(constructive interference)を達成し、他の方向の信号は、弱め合う干渉(destructive interference)を達成するため、それにより、ビームが形成される。本発明の実施形態は、未来の時間点におけるユーザー機器19の未来の位置を予測することができるため、ビームの主ローブ(main lobe)は、未来の時間点においてほぼユーザー機器19の方に向くことができる。
【0064】
モバイル通信システムにおいて、チャネルは、急速に変化する。特に、ユーザー機器19が高速で移動している時、ユーザー機器19によるチャネル情報のフィードバックが遅すぎると、フィードバック情報は、その時のチャネル環境に適さない可能性があるため、それにより、信号対干渉電力と雑音比(signal to interference plus noise ratio SINR)が低下して、チャネル品質も下がり、その結果、変調のためのシンボル符号化率(symbol coding rate)が低下する。また、コードブックメカニズムは、フィードバック情報の量を節約することができるが、依然としてコードブックにおける最適なプリコーディングマトリクスを検索する必要があるため、それにより、受信端(例えば、ユーザー機器19)の計算複雑性が増す。
【0065】
図9は、本発明の1つの実施形態に係るビームフォーングのスケジューリング方法のフローチャートである。図9を参照すると、プロセッサ23は、ユーザー機器19の1つまたはそれ以上の過去の位置および1つまたはそれ以上の過去のチャネル状態に基づいて未来の位置および未来のチャネル状態を予測する(ステップS910)。具体的に説明すると、図3のステップS310との相違点は、未来の位置の決定も1つまたはそれ以上の過去のチャネル状態(過去の時間点において使用したプリコーダ/マトリクスに対応する)を参照することである。1つまたはそれ以上の過去のチャネル状態は、1つまたはそれ以上の過去の時間点におけるダウンリンクチャネル状態である。また、本実施形態は、また、未来のチャネル状態も予測して、急速に変化するチャネル状態の要求に適合させる。未来のチャネル状態は、未来の時間点におけるダウンリンクチャネル状態である。
【0066】
1つの実施形態において、プロセッサ23は、1つまたはそれ以上の過去の位置および過去のチャネル状態を位置およびチャネル予測モデルに入力し、位置およびチャネル予測モデルを介して未来の位置および未来のチャネル状態を予測する。位置およびチャネル予測モデルは、機械学習アルゴリズムに基づく。機械学習アルゴリズムには、DNN、MLP、またはSVM等の多くの種類が存在する。1つの実施形態において、位置およびチャネル予測モデルは、位置およびチャネル状態を推論するために使用することができる。機械学習アルゴリズムは、訓練サンプルを分析して、そこから正則パターンを取得することにより、正則パターンを介して未知のデータを予測することができる。一般的に、未来の位置は、通常、過去の位置によって形成される軌跡および過去の時間点における行為に関連し、未来のチャネル状態も過去のチャネル状態に関連し、位置は、チャネル状態に反映されてもよい。位置およびチャネル予測モデルは、学習後に構築される機械学習モデルであり、それに応じて評価したいデータ(例えば、過去のチャネル状態)を推論する。
【0067】
図10は、本発明の1つの実施形態に係る位置およびチャネル予測モデルの概略図である。図10を参照すると、1つの実施形態において、位置およびチャネル予測モデルは、LSTM層に基づく回帰型ニューラルネットワーク(LRNet)である。位置およびチャネル予測モデルは、入力層1001、第1回帰型LSTM層1002、第2回帰型LSTM層1003、全結合層1004、および出力層1005を含む。
【0068】
入力層1001は、複数の過去の位置lk-L、lk-L+1、...、lk-1および複数の過去のチャネル状態hk-L、hk-L+1、...、hk-1を取得し、Lは、1より大きい正の整数である。第1回帰型LSTM層1002は、複数のLSTMモデルを含み、第2回帰型LSTM層1003は、複数のLSTMモデルを含む。LSTMモデルは、入力層1001における過去の位置lk-L、lk-L+1、...、lk-1および複数の過去のチャネル状態hk-L、hk-L+1、...、hk-1と一対一対応を有する。LSTMモデルの説明については、図4の説明を参照することができるため、ここでは繰り返し説明しない。
【0069】
プロセッサ23は、第1回帰型LSTM層1002内の第1LSTMモデルを介して第2回帰型LSTM層1003内の第1LSTMモデルおよび第1回帰型LSTM層1002内の第2LSTMモデル(第1LSTMモデルの次の時間点に対応する)にその出力を送信することができる。例えば、第1回帰型LSTM層1002における図面の上から下までの第1LSTMモデルの出力
(外23)
(l1は、第1回帰型LSTM層1002に属することを示す)は、第2回帰型LSTM層1003における図面の上から下までの第1LSTMモデルに送信され、第1回帰型LSTM層1002の第2LSTMモデルに保存される。類推によって、第1回帰型LSTM層1002の第2LSTMモデルの出力
(外24)
は、第2回帰型LSTM層1003の第2LSTMモデルおよび第1回帰型LSTM層1002の第3LSTMモデル(図示せず)に送信される。第1回帰型LSTM層1002の第LLSTMモデルは、次の時間点において対応するLSTMモデルがないため、その出力
(外25)
は、第2回帰型LSTM層1003の第LLSTMモデルにのみ送信される。
【0070】
さらに、プロセッサ23は、第2回帰型LSTM層1003内の第1LSTMモデルを介して第2回帰型LSTM層1003内の第2LSTMモデル(第1LSTMモデルの次の時間点に対応する)にその出力を送信する。例えば、第2回帰型LSTM層1003における図面の上から下までの第1LSTMモデルの出力
(外26)
(l2は、第2回帰型LSTM層1003に属することを示す)は、第2回帰型LSTM層1003内の第2LSTMモデルに保存される。類推によって、第2回帰型LSTM層1003の第2LSTMモデルの出力
(外27)
は、第2回帰型LSTM層1003の第3LSTMモデル(図示せず)に保存される。第2回帰型LSTM層1003の第LLSTMモデルは、次の時間点において対応するLSTMモデルがないため、その出力
(外28)
は、全結合層1004にのみ送信される。出力
(外29)
は、以下のように定義することができる。
【0071】
【数7】
【0072】
式中、Ukは、ユーザー機器19の過去の位置lk-L、lk-L+1、...、lk-1の集合(例えば、
(外30)
)であり、Hkは、ユーザー機器19の過去の位置uk-L、uk-L+1、...、uk-1に対応する過去のチャネル状態の集合(例えば、
(外31)
)であり、
(外32)
は、パラメータλを使用する非線形関数である(第1回帰型LSTM層1002および第2回帰型LSTM層1003を実施するために用いる)。
【0073】
プロセッサ23は、全結合層1004を介して第2回帰型LSTM層1003の出力
(外33)
を線形結合し、未来の位置および未来のチャネル状態を取得する(つまり、出力層1005を介して未来の位置および未来のチャネル状態を出力する)。線形結合は、以下のように定義される。
【0074】
【数8】
【0075】
式中、
(外34)
は、推定した未来の位置であり、
(外35)
は、推定した未来の位置であり、
(外36)
は、線形活性化関数(linear activation function)を示し、W2は、重量であり、b2は、バイアス(bias)である。
【0076】
図9を参照すると、プロセッサ23は、未来の位置および未来のチャネル状態に基づいて、プリコーダを決定する(ステップS920)。具体的に説明すると、図3のステップS320との相違点は、プリコーダの決定が未来のチャネル状態も考慮することである。
【0077】
1つの実施形態において、プロセッサ23は、メモリ22または他のデータベースがコードブックを有するかどうかを判断することができる。コードブックを有していない場合、それに反応して、プロセッサ23は、予測した未来のチャネル状態に基づいてプリコーダを決定することができる。例えば、位置およびチャネル予測モデルの出力における未来のチャネル状態をプリコーダとして使用する。コードブックを有する場合、それに反応して、プロセッサ23は、条件を満たすプリコーダを取得することができる。1つの実施形態において、プロセッサ23は、コードブックにおける複数のプリコーディングマトリクスのうち予測した未来のチャネル状態との相関性が最も高いものに基づいてプリコーダを生成することができる。例えば、プロセッサ23は、コードブックにおいて正規化相関(例えば、
(外37)
)を最大化するプリコーディングマトリクス(例えば、hi)を探す。つまり、正規化相関が最大の場合、条件が満たされる。
【0078】
別の実施形態において、コードブックがあるかどうかに関わらず、プロセッサ23は、予測した未来のチャネル状態(マトリクス形式の)をプリコーダとして直接使用することができる。
【0079】
図9を参照すると、プロセッサ23は、プリコーダに基づいて未来の時間点における基地局(例えば、O-eNB18)のビームの方向を決定する(ステップS930)。具体的に説明すると、プリコーディングは、デジタルビームフォーミングを実施するための技術手段である。基地局の複数のアンテナ上の信号がプリコーディングされた場合、ビームが形成される。本発明の実施形態は、未来の時間点におけるユーザー機器19の未来の位置を予測することができるため、ビームの主ローブは、未来の時間点においてほぼユーザー機器19の方に向くことができる。
【0080】
図9の実施形態において、ユーザー機器19の変位状態を考慮する。また、異なる時間点においてSINRを考慮することによって、機械学習モデルを介して探した時間点kにおけるプリコーダWkは、別の時間点iにおけるプリコーダWiと比較して、最適なSINRkを有することができる。
【0081】
【数9】
【0082】
【数10】
【0083】
以上のように、本発明の実施形態に係るビームフォーングのスケジューリング方法およびネットワークエンティティは、過去の位置(および過去のチャネル状態)に基づいて未来の位置(および未来のチャネル状態)を予測し、それに応じてプリコーダを決定するため、基地局のビームを未来の時間点においてユーザー機器の方に向けることができる。それにより、無線リソースのシステム効率および利用率を上げることができる。また、ユーザー機器によるチャネル状態の報告が遅延しても、チャネル状態に応じてプリコーディング処理を提供することができるため、それにより、移動過程におけるユーザー機器の通信品質を向上させることができる。
【0084】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【産業上の利用可能性】
【0085】
本発明の実施形態に係るビームフォーングのスケジューリング方法およびネットワークエンティティは、通信デバイスおよびその操作方法に応用することができる。
【符号の説明】
【0086】
10 オープン無線アクセスネットワーク(O-RAN)システム
11 サービス管理オーケストレーション(SMO)フレームワーク
12 非リアルタイム無線アクセスネットワークインテリジェントコントローラ(RIC)
13 ニアリアルタイムRIC
14 オープン無線アクセスネットワーク集約基地局(O-CU)
15 オープン無線アクセスネットワーク分散局(O-DU)
16 オープン無線アクセスネットワークリモート無線局(O-RU)
17 オープンクラウドプラットフォーム(O-クラウド)
18 オープン無線アクセスネットワーク進化型ノードB(O-eNB)
19 ユーザー機器(UE)
182 物理-低および無線周波数層
183 物理-高層
184 メディアアクセス制御(MAC)層
185 無線回線制御(RLC)層
186 パケットデータコンバージェンスプロトコル(PDCP)層
187 無線リソース制御(RRC)/サービスデータ適応プロトコル(SDCP)層
20 ネットワークエンティティ
21 通信用トランシーバ
22 メモリ
23 プロセッサ
S310~S330、S810~S830、S910~S930 ステップ
k-L、uk-L+1、…、uk-1、lk-L、lk-L+1、…、lk-1 過去の位置
(外38)
出力
401、501、1001 入力層
402、1002 第1回帰型長・短期記憶(LSTM)層
403、1003 第2回帰型LSTM層
404、1004 全結合層
405、504、100 出力層
502 特徴抽出層
503 多層パーセプトロン(MLP)
x、y 信号
h ダウンリンクチャネル状態
n ノイズ
u 干渉
k-L、hk-L+1、…、hk-1 過去のチャネル状態
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10