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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】包装容器用の弁
(51)【国際特許分類】
   B65D 30/24 20060101AFI20240401BHJP
   B29C 65/00 20060101ALI20240401BHJP
   B65D 81/26 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B65D30/24 S
B29C65/00
B65D81/26 E
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022517304
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2020076114
(87)【国際公開番号】W WO2021053149
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】102019214315.6
(32)【優先日】2019-09-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】521077576
【氏名又は名称】シンテゴンテクノロジー ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Syntegon Technology GmbH
【住所又は居所原語表記】Stuttgarter Strasse 130, 71332 Waiblingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ペーター シュターデル
(72)【発明者】
【氏名】イェニー ハーゼ
(72)【発明者】
【氏名】ホルガー ペル
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0103798(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0243807(US,A1)
【文献】米国特許第06662827(US,B1)
【文献】特開平03-024379(JP,A)
【文献】特開2014-076858(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/24
B29C 65/00
B65D 81/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装容器用の弁であって、開口(11)を有する少なくとも1つのベースフィルム(10)と、自由領域(17)を取り囲む少なくとも1つのフレームフィルム(13)とを備え、該フレームフィルム(13)は、前記ベースフィルム(10)に結合されており、該ベースフィルム(10)に配置され、前記開口(11)を覆う少なくとも1つの膜(12)が設けられており、該膜(12)と前記ベースフィルム(10)との間に流体が設けられ、
前記膜(12)は、前記自由領域(17)内で可動に前記ベースフィルム(10)に配置されており、
前記フレームフィルム(13)は、少なくとも1つの中断部を有し、これによって、少なくとも1つの通路(18)が形成されていることを特徴とする、
弁。
【請求項2】
前記フレームフィルム(13)は、前記膜(12)を少なくとも部分的にまたは完全に取り囲むように形成されており、これによって、前記膜(12)は、前記自由領域(17)から進出することができないようになっていることを特徴とする、請求項1記載の弁。
【請求項3】
前記フレームフィルム(13)は、一体形の構成で形成されていることを特徴とする、請求項1または2記載の弁。
【請求項4】
前記自由領域(17)は、円形に形成された前記膜(12)の半径よりも大きい半径を有する円形に形成されていることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の弁。
【請求項5】
前記フレームフィルム(13)の厚さは、前記膜(12)の厚さよりも大きいことを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の弁。
【請求項6】
前記ベースフィルム(10)、前記フレームフィルム(13)および前記膜(12)は、包装容器の内側または包装容器の外側に同様に使用可能かつ/または配置可能であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の弁。
【請求項7】
前記フレームフィルム(13)に結合された少なくとも1つのカバーフィルム(15)が設けられていることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の弁。
【請求項8】
前記開口(11)を覆うための少なくとも1つのフィルタ(16)が設けられていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の弁。
【請求項9】
前記ベースフィルム(10)および/または前記フレームフィルム(13)および/または前記カバーフィルム(15)は、ポリプロピレン、OPP、PET、ポリオレフィンまたは合成材料、好ましくはサステナブル原料または生分解性の合成材料から形成されていることを特徴とする、請求項7または請求項7を引用する請求項8記載の弁。
【請求項10】
前記フレームフィルム(13)は、溶着結合を介して前記ベースフィルム(10)および/または前記カバーフィルム(15)に結合されていることを特徴とする、請求項7または請求項7を引用する請求項8もしくは9記載の弁。
【請求項11】
前記ベースフィルム(10)は、0.1mm~0.25mmの厚さを有し、かつ/または前記フレームフィルム(13)は、0.1mm~0.2mmの厚さを有し、かつ/または前記カバーフィルム(15)は、0.05mm~0.15mmの厚さを有し、かつ/または前記膜(12)は、0.025mm~0.075mmの厚さを有することを特徴とする、請求項7または請求項7を引用する請求項8から10までのいずれか1項記載の弁。
【請求項12】
前記膜(12)は、前記自由領域(17)内で少なくとも部分的に浮遊してかつ/または自由に可動に前記ベースフィルム(10)に配置されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の弁。
【請求項13】
前記フレームフィルム(13)は、前記膜(12)を少なくとも2つの側で取り囲んでおり、過圧を逃がすことができる少なくとも2つの通路(18)が形成されており、各々の該通路(18)の幅は、前記膜(12)の直径よりも小さいことを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の弁。
【請求項14】
前記開口(11)の、前記膜(12)と反対側に面した他方の側が、前記フィルタ(16)によって覆われていることを特徴とする、請求項8記載の弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項の前提部に記載の弁、特に包装容器用の過圧弁に関する。
【0002】
先行技術
この種の弁は、包装技術において、例えば、新たに焙煎されたコーヒーを含む事例のような、充填材料がガス発生する傾向にある場合に使用される。したがって、例えば欧州特許第760790号明細書に基づき、包装容器用の過圧弁が公知である。この公知の過圧弁は、ベースプレートであって、包装容器の壁に取り付けられ、この包装容器の壁に設けられた貫通穴にわたる中央の弁穴を有するベースプレートと、弁膜であって、弁穴を覆い、2つの平行な縁ゾーンによって通路ゾーンを開放してベースプレートに取り付けられ、閉鎖位置でベースプレート上に密に位置している弁膜とを備えている。弁穴は、互いに交差しかつ/または重なり合う少なくとも2つの円形の開口から形成されている。欧州特許第2396244号明細書に基づき、一般的な過圧弁が公知である。この公知の過圧弁は、二段の凹部を有するベースボディと、封止面に向けられた変形可能な表面を有する膜とを備えている。ベースボディは、かなり複雑な構造を有している。
【0003】
発明の開示
これに関して、包装容器用の本発明に係る弁は、弁をより簡単に製造することができるという利点を有している。さらに、弁の機能が改善されている。弁は、さらに、製造コストの削減の点で優れている。主要な構成の弁は、包装容器の外側および特定の例示的な構成では包装容器の内側の両方で包装容器に取り付けられてよい。このことは、本発明によれば、膜が、少なくとも部分的に自由領域内で浮遊してかつ/または自由に可動にベースフィルムに配置されていることによって可能となる。したがって、膜は、もはや大きな面積にわたってベースボディに結合されておらず、したがって、外的な影響、例えば反りに大幅に曝されにくくなっている。ベースフィルムと、フレームフィルムと、該当する場合にはカバーフィルムとを備えた提案された構成(いわば二重T字形の梁のようなもの)の結果、比較的少ない材料投入量で高い程度の曲げ剛性が得られる。弁は、射出成形された弁の良好な弁特性をフィルム弁の弁特性に組み合わせている。これによって、極めて低い開放圧および閉鎖圧が提供される。弁は、多数のフィルム層から形成されている。これらのフィルム層は、例えば回転打抜き工具で製造され、その後、互いにラミネートされる。接合は、理想的には、溶着結合を介して行われる。代替的には、付着剤、例えば接着剤が塗布されてもよい。提案された弁は、好ましくは単一の種類の材料から製造可能であり、したがって、容易にリサイクル可能であり、ひいては、環境に優しく、かつ/または改善された溶着特性を有している。更なる有利な改良形態では、フィルムがポリプロピレンから形成されている。しかしながら、再生可能な材料、例えば、サステナブル原料または生分解性の合成材料に基づく合成材料も可能である。
【0004】
更なる有利な改良形態では、フレームフィルムが、膜を少なくとも部分的にまたは完全に取り囲むように形成されており、これによって、膜が、自由領域から進出することができないようになっている。
【0005】
更なる有利な改良形態では、フレームフィルムが、少なくとも1つの中断部を有し、これによって、まず、通路が形成されている。この通路によって、発生する可能性のある過圧の除去が可能となる。正確に1つの中断部を設けることによって、好ましくは、フレームフィルムの一体形の構成が確保される。これによって、フレームフィルムの取扱いおよび適用が容易になる。
【0006】
特に有利には、自由領域が、円形に形成された膜の半径よりも大きい半径を有する円形に形成されている。この構成は、特に簡単に製作可能であり、さらに、膜の十分な運動自由度を確保する。特に好ましくは、フレームフィルムの厚さが、膜の厚さよりも大きく、これによって、開口からの膜の持上げが確実に達成可能となる。
【0007】
更なる有利な改良形態では、フレームフィルムの厚さが、膜の厚さよりも大きく、好ましくは75%~225%だけ大きい。これによって、膜の特に確実な持上げが可能となる。
【0008】
更なる有利な改良形態では、フレームフィルムに結合された少なくとも1つのカバーフィルムが設けられている。したがって、特に外在型の弁の場合には、膜が環境の影響から保護される一方、膜が完全に持ち上がり得ない、つまり、ベースボディから分離し得ずかつ/または失われ得ないことが確保される。
【0009】
更なる有利な改良形態では、ベースフィルムおよび/またはフレームフィルムおよび/またはカバーフィルムが、ポリプロピレン、OPP、PET、ポリオレフィンまたは合成材料、好ましくはサステナブル原料または生分解性の合成材料から形成されている。これによって、再使用可能性および/または環境適合性を増強させることが可能となる。
【0010】
更なる有利な改良形態では、フレームフィルムおよび/またはベースフィルムおよび/またはカバーフィルムが、溶着結合を介して結合されていて、特にラミネートされている。これによって、清浄化要求を増大させ、その上、高価であるため望ましくない接着剤を不要にすることが可能となる。内在型の弁の場合、これによって、製品に面した側に接着剤が位置することを回避することが可能となる。
【0011】
更なる有利な改良形態では、ベースフィルムが、0.1mm~0.25mm、特に0.125mmの厚さを有して構成されており、かつ/またはフレームフィルムが、0.1mm~0.2mmの厚さを有し、カバーフィルムが、0.05mm~0.15mm、特に0.1mmの厚さを有し、かつ/または膜が、0.025mm~0.075mm、特に0.05mmの厚さを有する。このようなフィルム厚さは、1つには、良好な製造可能性のために特に適しており、もう1つには、別の幾何学形状に関連して、この適用分野に対する好適な開放圧の調整のために適している。
【0012】
記載した製造法のステップに従って、特に有利には、ベースフィルム用および/またはフレームフィルム用および/またはカバーフィルム用の基材として使用されるただ1つのフィルムを使用することが可能である。特に折畳みおよび接合のため、嵌合および/または供給のプロセスを不要にすることができる。さもないと、このプロセスによって、付加的な投入量が必要になってしまう。開口の製作および自由領域の製作の両方は、ただ1つの打抜き工具を使用して、1回の同一のステップで実現することができる。これによって、製造がさらに簡略化される。弁がまだ互いに分離されていない状態で膜が導入されると、高い程度の位置精度が達成可能となる。
【0013】
更なる有利な構成は、別の従属請求項および明細書から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の構成を添付の図面を参照しながら詳しく説明する。
図1】外在型の弁に対する第1の例示的な実施形態の弁の構成を示す図である。
図2】円形の幾何学形状を有する外在型の弁の別の例示的な実施形態を示す図である。
図3】方形もしくは正方形の幾何学形状を有する内在型の弁の別の例示的な実施形態を示す図である。
図4】円形の幾何学形状を有する内在型の弁の別の例示的な実施形態を示す図である。
図5】フレームフィルムの代替的な別の例示的な実施形態を示す図である。
【0015】
発明の好適な構成
以下に、本発明の例示的な実施形態を図面を参照しながら詳しく説明する。
【0016】
図1には、第1の例示的な実施形態による弁8の個々の構成要素が示してある。弁8はベースフィルム10を備えている。このベースフィルム10には、開口11が設けられている。一例として、この開口11は、互いに交差しかつ/または重なり合う2つの円の幾何学形状を有している。しかしながら、任意の別の幾何学形状が可能である。特に好ましくは、幾何学形状は、所望の開放圧および閉鎖圧に適合可能である。さらに、少なくとも1つのフレームフィルム13が設けられている。このフレームフィルム13は、膜12が少なくとも部分的にではあるものの失われてしまわない形で取り囲まれるように形成されている。このために、フレームフィルム13は、膜12が配置される自由領域17を有している。組立て状態では、膜12は、例示的な実施形態に図示したフレームフィルム13の2つの部分の間に位置することになる。図示の外在型の弁8には、さらに、カバーフィルム15が設けられている。組立て状態では、ベースフィルム10と膜12との間に流体もしくは流体膜、例えばシリコーンオイル、または生物学的な流体、例えばパームオイル、ココナッツオイルまたはこれに類するものが配置されている。膜12もフィルムとして形成されている。膜12は開口11を覆っている。過圧を包装体から放出することを可能にするために、膜12は開口11から持上げ可能であり、これによって、包装体内の過圧を外側に向かって減圧することができる。
【0017】
図1の例示的な実施形態は、方形の基本形状、好ましくは正方形の基本形状を有している。したがって、ベースフィルム10とカバーフィルム15とは、方形、特に正方形に形成されている。フレームフィルム13の外面は、フレームフィルム13の上側もしくは下側に整合させられたベースフィルム10もしくはカバーフィルム15に整合させられている。膜12は円形に形成されていて、開口11に対してセンタリングされて配置されている。フレームフィルム13の内面は、少なくとも部分的に部分円形に形成されている。その結果、膜12に対して一定の距離が得られる。こうして、円形の自由領域17が形成されている。フレームフィルム15は、膜12を少なくとも2つの側で取り囲んでいる。結果として、過圧を逃がすことができる2つの通路18が形成されている。これらの通路18の幅は、膜12の直径よりも小さい。これによって、膜12がフレームフィルム13よりも内側に残されることが確保される。フレームフィルム13の別の幾何学形状も可能である。特に好ましくは、別の幾何学形状は、ただ1つの通路18を有するフレームフィルム13の幾何形状であり、このような場合、フレームフィルム13は一体形の構成で形成されている。このことは、フレームフィルム13の自由領域17がただ1つの通路18を介して一方の側に向かって開放している図5に例示的に示してある。本明細書における通路18は、側面に対して平行に延びている。基本的には、フレームフィルム13は、ベースフィルム10とカバーフィルム15(もしくは内在型の弁8の場合には包装体壁)との間に配置された膜12がこの領域から進出してしまうことがないように形成されている。この目的のために、膜12は自由領域17に残されている。
【0018】
弁8は多数のフィルム層から形成されている。図1の例示的な実施形態では、これらの層は、ベースフィルム10、膜12、フレームフィルム13および(任意選択的に外在型の弁8用には)カバーフィルム15である。組み立てられた弁8を製造するためには、フィルム層が、例えば打抜き工具、特に回転打抜き工具で製造され、その後、ラミネートされる。フィルム層同士の接合は、好ましくは溶着結合を介して実現される。各々のフィルム厚さに適した入熱は、対応する溶着法によって提供され、これによって、それぞれ異なるフィルム層(ベースフィルム10、フレームフィルム13、任意選択的にはカバーフィルム15)の固定結合が行われる。代替的または追加的には、接合は付着剤(接着剤)によって実現されてよい。
【0019】
膜12は、ベースフィルム10に緩く載置されている。膜12は、ベースフィルム10と膜12との間に配置された流体(図示せず)を介して浮遊してベースフィルム10に結合されている。流体は、毛管力によって膜12をベースフィルム10に密に隣接させて、開口11をガス密に閉鎖するものの、過圧の場合には膜12を持ち上げることを可能にする。したがって、封止面は、膜12とベースフィルム10との間の流体膜である。このために、膜12は、フレームフィルム13によって取り囲まれた自由領域17に導入されている。外在型の弁8の場合に使用されるカバーフィルム15は、膜12を外的な影響から保護し、膜12の完全な浮き上がりを防止する。フレームフィルム13は膜12を取り囲んでいる。フレームフィルム13は膜12の位置を固定している。
【0020】
図2には、弁8の別の例示的な実施形態が示してある。この実施形態は、円形の幾何学形状の点で異なっている。円形のベースフィルム10は、中央に配置された開口11を有している。この開口11は円形に形成されている。フレームフィルム13は、4つの部分フィルムから形成されている。フレームフィルム13の部分フィルムは、それぞれ同一に形成されていて、縁側でベースフィルム10の外側輪郭と面一に終端している。フレームフィルム13は、膜12が配置される自由領域17を取り囲んでいる。フレームフィルム13の部分フィルムの幅は一定である。したがって、膜12に向けられた縁部も円形に延在している。フレームフィルム13の部分フィルムは、膜12を取り囲む。この膜12は円形に形成されている。それぞれ2つの隣り合った部分フィルムの間には、4つの部分フィルムによって全部で4つの通路18が形成されている。弁8は外在型の弁8として形成されていて、したがって、包装体の外面に配置されている。カバーフィルム15自体は、膜12を保護するように形成されている。カバーフィルム15は円形に形成されていて、フレームフィルム13に結合される。カバーフィルム15は、ベースフィルム10の輪郭に対応している。組立て状態では、ベースフィルム10、フレームフィルム13およびカバーフィルム15の外側の縁部が互いに整合させられている。組立て状態では、ベースフィルム10と膜12との間に流体膜が設けられている。膜12自体は自由領域17においてベースフィルム10に緩く載置されている。流体は相互間に存在している。4つの通路18は、弁8の内部における自由領域17と、周辺との間の接続路を形成している。
【0021】
図3の例示的な実施形態は、内在型の弁8を示している。したがって、この弁8は包装体の内面に配置される。弁8自体はベースフィルム10から形成されている。このベースフィルム10は、少なくとも1つの開口11を有している。ベースフィルム10には、フレームフィルム13が配置される。このフレームフィルム13は、膜12を完全に取り囲む閉じられた縁部を有している。こうして画定された領域が、円形の自由領域17である。したがって、側方の通路は形成されていない。膜12は、ベースフィルム10上に、つまり、自由領域17内に緩く配置される。膜12とベースフィルム10との間に流体膜が設けられている。弁8の組立て状態では、フレームフィルム13の上面が包装体の内面に結合されている。膜12の領域において、包装体は、膜12の僅かな持上げ後に過圧の放出を可能にする小さな開口を有している。開口11の他方の側は、フィルタ16、特に不織布フィルタ16によって覆われている。このフィルタ16もしくは不織布フィルタ16は、充填材料の粒子が、膜12とベースフィルム10との間で弁8内に進入することを防止するために必要である。さもないと、機能性に影響が出てしまう。例示的な実施形態では、フィルタ16は円形に形成されている。図3の例示的な実施形態は、ベースフィルム10とフレームフィルム13との方形、特に正方形の基本形状の点で異なっている。膜12は円形に形成されている。フレームフィルム13の内側輪郭も自由領域17も膜12の外側の幾何学形状に対応して、膜12よりも僅かに大きな直径を有する円形に形成されている。開口11は、例示的には、互いに交差しかつ/または重なり合う2つの円の輪郭を有している。
【0022】
図4の例示的な実施形態は、円形の輪郭を有する内在型の弁8を示している。ベースフィルム10は円形に形成されていて、中央に開口11を有している。一例として、開口11は円形に形成されている。フレームフィルム13は一体形の構成で形成されている。フレームフィルム13は膜12を完全に取り囲む。したがって、側方の通路は形成されていない。開口11の、膜12と反対側に面した他方の側は、フィルタ16、特に不織布フィルタ16によって覆われている。このフィルタ16もしくは不織布フィルタ16は、充填材料の粒子が、膜12とベースフィルム10との間で弁8内に進入することを防止するために必要である。さもないと、機能性に影響が出てしまう。例示的な実施形態では、フィルタ16は円形に形成されている。フレームフィルム13は、一定の幅を有する円の内径と円の外径とを有している。こうして、円形の自由領域17が形成されている。膜12自体は円形に形成されている。膜12の直径は、自由領域17の直径よりも小さい。組立て状態では、膜12は、ベースフィルム10に緩く載置されていて、流体によって密に保持されている。流体は、膜12とベースフィルム10との間に存在している。フレームフィルム13の自由上面は、包装体の内面に結合されている。過圧を逃がすために、包装体は、膜12もしくは開口11の領域に小さな開口を有している。
【0023】
図5のフレームフィルム13は、単一の通路18が形成されるように、フレームフィルム13に設けられたただ1つの開口の点で異なっている。自由領域17自体は、膜12の直径よりも僅かに大きい直径を有して、円形に形成されている。フレームフィルム13は、好ましくは一体形の構成で形成されている。
【0024】
フレームフィルム13へのベースフィルム10の結合および/またはカバーフィルム15へのフレームフィルム13の結合は、好ましくは溶着法によって実現される。フィルム10,13,15は、溶着可能であるように形成されている。フィルム10,13,15は、好ましくは合成材料から形成されている。特に好ましくは、弁8は、同一の材料を含むフィルムから形成されている。本発明では、ポリプロピレンが特に適している。それぞれ異なるフィルム10,13,15の一様な材料の結果として、再使用可能性が簡略化される。サステナブル原料に基づく合成材料または生分解性の合成材料の使用も可能である。例えば、ベースフィルム10および/またはフレームフィルム13および/またはカバーフィルム15は、ポリプロピレン、好ましくはOPP(二軸延伸ポリプロピレン)、つまり、長手方向または二軸方向に引き伸ばされたプロピレンから形成されてよい。ベースフィルム10および/またはフレームフィルム13および/またはカバーフィルム15および/または膜12は、代替的にPETから形成されてよい。その他には、例えばPP-EVOH-PPのような多層フィルムも可能である。膜12の材料は、高い酸素バリアの点で優れている。例えば、膜12はPETから形成されている。
【0025】
以下の幾何学形状が、弁8に特に適していてよい。図1もしくは図3の例示的な実施形態(正方形の基本形状)では、ベースフィルム10の縁部長さが、好ましくは12.5mm~20mmの範囲内にあってよい。ベースフィルム10の厚さは、好ましくは0.1mm~0.25mmの範囲内にあり、特に好ましくは、例えば0.125mmである。流体膜として、バイオ系の材料および/またはサステナブル原料に基づく流体、例えばパームオイル、ココナッツオイルまたはこれに類するものに基づく流体、例えばシリコーンオイルが使用される。流体膜の体積は約2μl~5μlである。膜12の厚さは、例えば0.025mm~0.075mmの範囲内にあり、好ましくは0.05mmである。フレームフィルム13の厚さは、例えば0.1mm~0.2mmの範囲内にある。フレームフィルム13の厚さは、膜12の厚さよりも大きい。可能なカバーフィルム15の厚さは、例えば0.05mm~0.15mmの範囲内にあり、特に好ましくは0.1mmである。厚さは、使用事例、材料選択、結合法等に応じて相応に異なっていてよい。
【0026】
上述した弁8は、包装体の内部に過圧を生じさせるガス発生製品、例えばコーヒー豆、グラウンドコーヒー、未使用の生地またはこれに類するものの包装体の芳香保護弁として使用される。放圧は、膜12を開口11に対して相対的に持ち上げることによって行われ、その後、圧力は、自由領域17を介して逃げ出すか、もしくは(外在型の弁の場合には)自由領域17に接続されていて、フレームフィルム13とカバーフィルム15との間に形成された少なくとも1つの側方の通路18を介して逃げ出す。
図1
図2
図3
図4
図5