(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】構造的に同一のワークピースの機械加工中に拒絶を検出する方法及び関連する数値制御されるワークピース機械加工装置
(51)【国際特許分類】
G05B 19/18 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
G05B19/18 X
(21)【出願番号】P 2022525951
(86)(22)【出願日】2020-10-14
(86)【国際出願番号】 EP2020078844
(87)【国際公開番号】W WO2021089282
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】102019216972.4
(32)【優先日】2019-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506065105
【氏名又は名称】トルンプフ レーザー- ウント ジュステームテヒニク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】TRUMPF Laser- und Systemtechnik GmbH
【住所又は居所原語表記】Johann-Maus-Strasse 2, D-71254 Ditzingen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トビアス ハーゲンロッハー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス キーヴェラー
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/014804(WO,A1)
【文献】特開平07-195188(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0025191(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
数値制御されるワークピース機械加工装置(10)によって構造的に同一のワークピース(14)の機械加工中、ワークピースの欠陥を検出する方法であって、
a)前記ワークピース機械加工装置(10)のツール(12)に指定されたターゲットツールパス(34)を用いてワークピース(14)を機械加工するステップと、
b)前記ワークピース(14)から前記ツール(12)までの距離(22)を定義されたターゲット距離に制御するステップであって、それにより、前記ワークピース(14)の前記機械加工中、前記ツール(12)は前記ターゲットツールパス(34)に沿って距離制御される実際のツールパス(36)上を移動する、制御するステップと、
c)
前記実際のツールパス(36)が、機械加工中に記憶されたデータから計算され、その過程で、その表面形状によってワークピースの品質を評価するのに適したワークピース表面の輪郭部分(40)を特定し、好ましくは輪郭誤差によって影響を受けない前記機械加工されたワークピース(14)の
特定された輪郭部分(40)上でこのワークピース(14)に適用可能な前記ターゲットツールパス(34)からの前記距離制御される実際のツールパス(36)のずれが、指定された許容差値未満であるか否かをチェック
するステップと、
d)
前記実際のツールパス(36)のずれが前記許容差値未満である場合、前記次のワークピース(14)の前記機械加工を継続し、又は前記許容差値未満ではない場合、前記機械加工されたワークピース(14)が欠陥として検出されたことの通知が出力されるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
欠陥として検出された機械加工されたワークピース(14)は、欠陥処理、特に測定機器による検査、再機械加工、又はスクラップ処理を受ける、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
次に機械加工されるワークピース(14)に最適化されたターゲットツールパス(34’)が、前に機械加工された幾つかのワークピース(14)の前記距離制御される実際のツールパス(36)に基づいて決定され、前記次のワークピース(14)は、前記最適化されたターゲットツールパス(34’)が指定された状態で機械加工される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
欠陥として検出された、機械加工されたワークピース(14)の前記距離制御される実際のツールパス(36)は、前記次のワークピース(14)に最適化された前記ターゲットツールパス(34’)の決定に使用されない、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記次のワークピース(14)に最適化された前記ターゲットツールパス(34’)は、欠陥として検出されなかった全ての前に機械加工されたワークピース(14)の前記距離制御される実際のツールパス(36)に基づいて決定される、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記最適化されたターゲットツールパス(34’)は、前記幾つかの前に機械加工されたワークピース(14)の前記距離制御される実際のツールパス(36)の平均、特に加重平均によって決定される、請求項3~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ツール(12)の移動軸(18)に沿った軸方向位置(19)は、特にメインタイムと平行してワークピース(14)の前記機械加工中、記録され、前記距離制御される実際のツールパス(36)はそれぞれ、前記記録された軸方向位置(19)に基づいて決定される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記機械加工されたワークピース(14)の前記選択された輪郭部分(40)は、直線、円形、又は弓形である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記c)のステップにおいて、輪郭誤差によって影響を受ける前記機械加工されるワークピース(14)の輪郭部分(40)上でこのワークピース(14)に適用可能な前記ターゲットツールパス(34)からの前記距離制御される実際のツールパス(36)のずれをチェックする場合、このワークピース(14)に適用可能な前記ターゲットツールパス(34)から前記距離制御される実際のツールパス(36)の前記ずれから輪郭誤差を計算的になくすために、前記ワークピース(14)からの前記ツール(12)の前記測定される距離(22)が更に考慮に入れられる、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
ツール(12)と、ワークピース(14)からの前記ツール(12)の各距離(22)を測定する距離測定装置(20)と、ワークピース(14)の機械加工中、距離制御される実際のツールパス(36)に沿って前記ツール(12)を移動させる機械コントローラ(24)とを有するワークピース機械加工装置(10)であって、前記機械コントローラ(24)は請求項1~9のいずれか一項に記載の方法を実行するようにプログラムされる、ワークピース機械加工装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数値制御されるワークピース機械加工装置によって構造的に同一のワークピースの機械加工中、拒絶を検出する方法に関し、方法は、
a)ワークピース機械加工装置のツールに指定されたターゲットツールパスを用いてワークピースを機械加工するステップと、
b)ワークピースからのツールの作業距離を定義されたターゲット距離に制御するステップであって、それにより、ワークピースの機械加工中ツールは距離制御される実際のツールパス上でターゲットツールパスに沿って移動する、制御するステップと、
を含む。
【背景技術】
【0002】
そのような方法及び方法の実行に適したワークピース機械加工装置は例えば、(特許文献1)によって開示されている。
【0003】
そのようなワークピース機械加工装置の場合、ワークピースに関連したワークピースの機械加工で使用されるツールの位置及び移動は、数値機械コントローラによってモニタされる。ワークピースの機械加工中、ツールはツールパスに沿ってワークピースに関連して移動し、ツールパスは通常、ワークピースのターゲットジオメトリに関するCADデータ(CAD/CAM)に基づいて確立される。ツールパスはパス記述NC(数値制御)データによって符号化され、これは機械コントローラに記憶され、ワークピースの機械加工中、NCプログラムによって処理される。
【0004】
しかしながら、ワークピースは多くの場合、実際にはCADターゲットジオメトリからの幾何学的ずれを有する。したがって、特に例えば深絞り加工されたパーツ等の形成プロセスによって得られたワークピースは時に、比較的大きな不正確性を有することさえあり、それに起因して、制御側で固定されて指定されるターゲットツールパスに沿ったワークピースの機械加工がより困難になる。
【0005】
したがって、例としてレーザ機械加工装置によって機械加工されるワークピースの場合、レーザ機械加工ヘッドは常に、技術プロセス関連の理由でワークピースから非常に一定した作業距離、例えば1mmになければならない。しかしながら、ワークピースの不正確性は多くの場合、数倍大きいため、機械加工すべきワークピースからのレーザ機械加工ヘッドの各作業距離を測定する距離測定装置は通常、レーザ機械加工ヘッドに統合される。その場合、作業距離は、決定された距離値に基づいて指定されたターゲット距離に制御側で制御される。この閉ループ制御システムは、NC機械コントローラによって指定されるターゲットツールパスに沿ったレーザ機械加工ヘッドの移動制御に重ねられ、距離制御と呼ばれる。
【0006】
閉ループ制御の実際の値は一般に、実際には、補正すべき操作される変数に対応するずれを有する。制御パラメータは一般に比較的低く、したがって、比較的大きなワークピース不正確性は、機械加工プロセスに対して悪影響を有し得る。ワークピース不正確性が特定量を超える場合、距離制御は差を十分には補正することができず、機械加工されるワークピースとのツールの衝突又はプロセスの異常終了に繋がる恐れがある。この場合、一般に、制御側、即ちNCプログラムで指定されるターゲットツールパスを数値的に再補正しなければならない。このプロセスは、機械のメインタイム内にあり、したがって費用集約的である。
【0007】
冒頭で引用した文献(特許文献1)は、ワークピースが、ワークピース機械加工装置のツールに指定された、最適化されたターゲットツールパスを用いて機械加工される、構造的に同一のワークピースを機械加工する方法を開示している。機械加工されるワークピースに最適化されたターゲットツールパスはこの場合、各事例で前に機械加工されたワークピースの機械加工中のツールの距離制御される実際の各ツールパスに対応する。ワークピース品質は、距離制御される実際のツールパスに基づいて査定される。
【0008】
3D構成要素の連続生産では、構成要素ジオメトリのずれが生じ得る。ワークピース機械加工装置への装填プロセス中、追加のずれが生じる。したがって、距離制御を用いた機械加工プロセスを理由にして、輪郭誤差が生じ得る。現在の測定方法を用いた場合、そのような誤差は全ての構成要素の費用集約的なモニタリングによってしか検出することができない。欠陥のある構成要素が下流の生産に入り込む場合、これは関連する高コストの影響を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】独国特許出願公開第10 2011 006 447 A1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
この背景に鑑みて、本発明の目的は、冒頭で述べたタイプの方法において欠陥のあるワークピースを可能な限り早期に拒絶として検出することであり、特に、なお機械加工すべき構造的に同一のワークピースの表面プロファイルにより正確に適合した、最適化されたターゲットツールパスを提供することでもある。また、本発明の目的は、方法を実行するためのワークピース機械加工装置を提供することでもある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、冒頭で述べた方法の場合、距離制御される実際のツールパスが、好ましくはコンタリング誤差によって影響を受けない機械加工されるワークピースの選択された輪郭部分でのこのワークピースに適用可能ターゲットツールパスからのずれが、指定された許容差値未満であるか否かをチェックし、許容差値未満の場合、次のワークピースの機械加工を継続し、又は許容差値未満ではない場合、機械加工されるワークピースが拒絶として検出されたことの通知が出力されることにより、本発明により達成される。
【0012】
本発明によれば、機械加工されるワークピースのワークピース品質は、このワークピースに適用可能なターゲットツールパスからの距離制御される実際のツールパスのパスずれに基づいて決定され、指定された最小品質に達しない場合、ワークピースは拒絶として検出され、可能な場合には、例えば測定機器による検査、再機械加工、又はスクラップ処理等の定義された欠陥処理を受ける。この場合、機械加工されるワークピースの距離制御される実際のツールパスは特に、機械加工中に記憶されたデータ及びそれにより識別されるワークピース品質の査定に、輪郭プロファイルによって適するワークピース表面の輪郭部分から計算される。特定されたずれが顧客によって指定された許容差外である場合、対応する指示が出力される。特に、適した輪郭部分は、本発明による機械加工方法の過程において自動的に決定し得る。
【0013】
特に好ましくは、ずれのチェックは、コンタリング誤差による影響を受けない輪郭部分、即ち例えば平坦、特に直線、円形、又は弓形の輪郭部分で実行される。コンタリング誤差は特に、ワークピースの縁部において生じ、距離制御される実際のツールパスを丸めることに繋がる。コンタリング誤差による影響を受ける機械加工されるワークピースの輪郭部分の場合、このワークピースに適用可能なターゲットツールパスからの距離制御される実際のツールパスのずれからコンタリング誤差を計算的になくすために、有利なことには、ワークピースから測定されたツールの作業距離をステップc)において更に考慮に入れ得る。例えば、距離制御される実際のツールパスが変わらなくとも輪郭部分で測定された作業距離が急に変化する場合、コンタリング誤差がある。距離制御される実際のツールパスはまず、ターゲットツールパスからのずれが特定される前、この輪郭部分で測定された作業距離によって補正されなければならない。
【0014】
特に好ましくは、次に機械加工されるワークピースに最適化されたターゲットツールパスは、前に機械加工された幾つかのワークピースの距離制御される実際のツールパスに基づいて決定され、次いで次のワークピースは、指定された、最適化されたターゲットツールパスを用いて機械加工される。機械加工されたワークピースの数が多くなるほど、最適化されたターゲットツールパスの決定に利用可能な距離制御される実際のツールパスも多くなり、最適化されたターゲットツールパスは、なお機械加工されるべき構造的に同一のワークピースの表面プロファイルによりよく適合することができる。最適化されたターゲットツールパスは特に、前に機械加工された構造的に同一のワークピースから適応的に計算される。最適化されたターゲットツールパスの決定は、実際に機械加工されたワークピースに基づいて実行される。方法は、更なるターゲット仕様から独立しており、特にCAD仕様は必要ない。ワークピース位置は、機械加工中、モニタし得、最適化されたターゲットツールパスとの比較を実行し得る。ワークピースの変化は、機械加工方法の新たなセットアップを必要としない。本発明による機械加工方法はオートメーションによく適し、ワークピースの汚染又は不適応は本機械加工方法によって回避される。本機械加工方法の過程で実行される測定は、作業距離を制御するためを含め、安定して実行することができる。この場合、作業距離は特に、機械加工されるワークピースの表面に垂直な方向において特定される。実行されたステップは、ワークピースの査定を実行する間、文書化することができる。
【0015】
好ましくは、拒絶として検出された機械加工されたワークピースの距離制御される実際のツールパスは、次のワークピースの最適化されたターゲットツールパスの決定に使用されない。現在機械加工されているワークピースの場合での測定されたパスずれが許容差内である場合、現在機械加工中のワークピースの場合の距離制御される実際のツールパスを考慮に入れながら、既存の最適化されたターゲットツールパスの加重更新が実行される。パスずれは特に、距離制御される実際のツールパスのポイントと関連する最適化されたターゲットツールパスのポイントとの間の距離によって特定され、これらのポイントは各事例で、機械加工されるワークピースの表面に垂直な方向においてペアで存在する。
【0016】
また好ましくは、次のワークピースの最適化されたターゲットツールパスは、拒絶として検出されなかった前に機械加工された全てのワークピースの距離制御される実際のツールパスに基づいて決定される。
【0017】
好ましくは、最適化されたターゲットツールパスは、幾つかの前に機械加工されたワークピースの距離制御される実際のツールパスの平均、特に加重平均によって決定される。平均化は、距離制御される実際のツールパスから最適化されたターゲットツールパスを容易に決定できるようにする。幾つかの構成では、平均化は、距離制御される実際のツールパスに沿って指定された間隔で存在する距離制御される実際のツールパスのポイントに基づいて実行される。代替又は追加として、平均化は、距離制御される実際のツールパス上で、指定された時間間隔後に各事例でワークピースの機械加工中にツールがとる位置又はポイントに基づいて実行される。他の構成では、平均化は、1つ又は複数の前に機械加工されたワークピースの最適化されたターゲットツールパスに基づいて実行される。
【0018】
好ましくは、移動軸に沿った/周囲のツールの軸方向位置は、特にメインタイムと平行してワークピースの機械加工中、記録され、距離制御される実際のツールパスはそれぞれ、記録された軸方向位置に基づいて決定される。ワークピースの機械加工中、好ましくはレーザ機械加工中、距離制御される実際のツールパスの再構築を可能にする信号が特に連続して測定される。数値制御されるワークピース機械加工装置の場合、軸方向位置は制御パラメータであり、いずれの場合でも、制御側で入手可能であり、又はワークピース機械加工装置の既存のセンサによって容易に記録することができる。
【0019】
本発明は、ツールと、ワークピースからのツールの各作業距離を測定する距離測定装置と、ワークピースの機械加工中、距離制御される実際のツールパスに沿ってツールを移動させ、上述した方法を実行するようにプログラムされた機械コントローラとを有するワークピース機械加工装置にも関する。そのようなワークピース機械加工装置により、ワークピースは、更なるターゲット仕様を指定することなく適応的に機械加工することができる。
【0020】
本発明の主題の更なる利点及び有利な構成は、説明、図面、及び特許請求の範囲から得ることができる。同様に、上述した特徴及びなお更に提示すべき特徴は、いずれの場合にも、個別に又は任意の所望の組み合わせで併用することができる。図示し説明する実施形態は、網羅的な列挙として理解されるべきではなく、むしろ、本発明を概説するための例示的な特徴を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ワークピースの機械加工中、数値制御装置によって制御されるツールを有する本発明によるワークピース機械加工装置を側面図で示す。
【
図2】本発明による方法の一実施形態の流れ図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、(レーザ)ツール12を有するレーザ機械加工装置として形成されるワークピース機械加工装置10を側面図で示す。ワークピース14を機械加工するために、ツール12は、幾つかのサーボ駆動回路16によって幾つかの移動軸18に沿って/周囲をワークピース14に関して移動可能である。ツール12の軸方向位置は19によって示される。ツール12に配置される光学又は容量性距離測定装置20は、ワークピース14からのツール12の各作業距離22を測定する役割を果たす。
【0023】
数値機械コントローラ24は、コンピュータ26、コンピュータ26に接続された入力ユニット28、及びモニタ30を備える。コンピュータ26は、制御線32によってサーボ駆動回路16及びツール12の距離測定装置20に接続され、機械コントローラ24によって指定されたターゲットツールパス34に沿ったツール12の移動を制御するとともに、ツール12の作業距離22を機械コントローラ24に記憶されたターゲット距離に制御する役割を果たす。
【0024】
図1では、機械コントローラ24によって指定され、ツール12がワークピース14の機械加工中に調整される基となるターゲットツールパス34は、点線によって表されている。ツール12が、ワークピース14の機械加工中、距離制御をもって移動する実際のツールパス36は、破線によって表されている。ツール12のこの距離制御される実際のツールパス36は、本事例では、矢印38で示される、ターゲットツールパス34からのパスずれを有する。ツール12が、次の構造的に同一のワークピース14の機械加工中、ワークピース14に関して移動すべき最適化されたターゲットツールパス34’は、示されていない前に機械加工されたワークピースの距離制御される実際のツールパスと一緒にツール12の距離制御される実際のツールパス36から決定することができる。パスずれ38は好ましくは、コンタリング誤差の影響を受けないワークピース表面の輪郭部分40、例えば平坦、特に直線、円形、又は弓形の輪郭部分等で特定される。
【0025】
ワークピース14の機械加工後、機械加工されたワークピース14の選択された輪郭部分40でこのワークピース14に適用可能なターゲットツールパス34からの距離制御される実際のツールパス36のずれが、指定された許容差値未満であるか否かがチェックされる。許容差値未満である場合、次のワークピース14の機械加工が継続され、又は許容差値未満ではない場合、機械加工されたワークピース14が拒絶として検出されたことの通知が作業者に出力される。
【0026】
コンタリング誤差は特に、ワークピースの縁部において生じ、距離制御される実際のツールパス36を丸めることに繋がる。コンタリング誤差による影響を受ける機械加工されるワークピース14の輪郭部分の場合、このワークピースに適用可能なターゲットツールパス34からの距離制御される実際のツールパス36のずれからコンタリング誤差を計算的になくすために、ワークピース14から測定されたツール12の作業距離22を更に考慮に入れられる。例えば、距離制御される実際のツールパス36が変わらなくとも輪郭部分で測定された作業距離22が急に変化する場合、コンタリング誤差がある。距離制御される実際のツールパス36はまず、ターゲットツールパス34からのパスずれ38が特定される前、この輪郭部分で測定された作業距離22によって補正されなければならない。
【0027】
図2に、構造的に同一のワークピース14の機械加工中、拒絶を検出し、最適化されたターゲットツールパス34’を決定する本発明による方法100を概略的に表す。
【0028】
第1のステップ101において、ワークピース14の機械加工中に距離制御されるツール12の実際のツールパス36が提供される。このために、ワークピース14の機械加工中、距離制御される実際のツールパス36の再構築を可能にするサーボ駆動回路16の信号が連続して測定される。
【0029】
第2のステップ102において、1つ又は複数の前に機械加工された、構造的に同一のワークピース14の機械加工中に決定された、最適化されたターゲットツールパス34’が既にあるか否かをチェックする。
【0030】
そのような最適化されたターゲットツールパス34’がない場合、即ちワークピース14が新しい(最初の)構成要素である場合、第3のステップ103において、最適化されたターゲットツールパス34’の決定に適するワークピース14の輪郭部分40が決定される。この新しい構成要素について、距離制御される実際のツールパス36は、最適化されたターゲットツールパス34’として確立される。
【0031】
最適化されたターゲットツールパス34’が既にある場合、第4のステップ104において、選択された輪郭部分40での現在のワークピースに適用可能な最適化されたターゲットツールパス34’からの距離制御される実際のツールパス36のパスずれ38が、指定された許容差値未満であるか否かをチェックする。
【0032】
パスずれ38が指定された許容差値未満である場合、第5のステップ105において、この現在の距離制御される実際のツールパス36と、各ワークピース14に適用可能な最適化されたターゲットツールパス34’からの距離制御される実際のツールパス36のずれが指定された許容差値未満である、前に機械加工された全てのワークピース14の距離制御される実際のツールパス36との両方に基づいて、次のワークピース14の最適化されたターゲットツールパス34’を決定する。この場合、個々の距離制御される実際のツールパス36は、同じように又は異なるように加重し得る。例えば、最近のワークピース14の距離制御される実際のツールパス36ほど、古いワークピース14の距離制御される実際のツールパス36よりも強く加重し得る。
【0033】
パスずれ38が指定された許容差値未満ではない場合、第6のステップ106において、距離制御される実際のツールパス36は、最適化されたターゲットツールパス34’の決定に関して破棄される。
【0034】
第7のステップ107において、ワークピース14は拒絶として検出され、残りから区別され、又は再機械加工を受ける。
【符号の説明】
【0035】
10 ワークピース機械加工装置
12 ツール
14 ワークピース
16 サーボ駆動回路
18 移動軸
19 軸方向位置
20 距離測定装置
22 作業距離
24 機械コントローラ
26 コンピュータ
28 入力ユニット
30 モニタ
32 制御線
34 ターゲットツールパス
34’ 最適化されたターゲットツールパス
36 実際のツールパス
38 パスずれ
40 輪郭部分
101 第1のステップ
102 第2のステップ
103 第3のステップ
104 第4のステップ
105 第5のステップ
106 第6のステップ
107 第7のステップ