(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】4Tx Capability3の部分コヒーレントUEのモード2動作のためのTPMIグループ化の方法
(51)【国際特許分類】
H04B 7/0456 20170101AFI20240401BHJP
【FI】
H04B7/0456 300
(21)【出願番号】P 2022526421
(86)(22)【出願日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 US2020059170
(87)【国際公開番号】W WO2021092218
(87)【国際公開日】2021-05-14
【審査請求日】2022-07-08
(32)【優先日】2019-11-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100158528
【氏名又は名称】守屋 芳隆
(74)【代理人】
【識別番号】100137903
【氏名又は名称】菅野 亨
(72)【発明者】
【氏名】ルパシンハ ナディサンカ
(72)【発明者】
【氏名】岡村 真哉
(72)【発明者】
【氏名】松村 祐輝
(72)【発明者】
【氏名】永田 聡
【審査官】阿部 弘
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/193426(WO,A1)
【文献】Intel Corporation,Remaining details of full Tx power UL transmission[online],3GPP TSG RAN WG1 #98b R1-1910670,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_98b/Docs/R1-1910670.zip>,2019年10月05日,pp. 1-20
【文献】vivo,Feature lead summary on Full TX Power UL transmission[online],3GPP TSG RAN WG1 #98b R1-1910561,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_98b/Docs/R1-1910561.zip>,2019年10月22日,pp. 1-32
【文献】NTT DOCOMO, INC.,Full Tx Power UL transmission[online],3GPP TSG RAN WG1 #98b R1-1911186,Internet<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_98b/Docs/R1-1911186.zip>,2019年10月04日,pp. 1-14
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/0456
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1,4
IEEE 802.11
15
16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信プリコーディングマトリクスインジケータ(TPMI
)の複数のグルー
プには、ランク3のTPMIと、複数のランク2のTPMIとを含むグループが含まれていること、及び前記ランク3のTPMIに対応するプリコーディングマトリクスを構成する複数の列の内の一部の列の組み合わせと、前記一部の列の組み合わせとは異なる列の組み合わせとが、前記複数のランク2のTPMIにそれぞれに対応するプリコーディングマトリクスを構成している列の組み合わせに対応していること、を識別する制御部と、
前記識別に基づいて、4アンテナポートを用いて、部分コヒーレントユーザ装置(UE)の上りリンク(UL)フルパワーを提供するTPMIグループに対応するUE能力情報を基地局に送信する送信部と、を有する
、ユーザ装置(UE)。
【請求項2】
前
記複数のグルー
プには、ノンコヒーレントTPMI
及び部分コヒーレントTPMIの
みが含まれる、請求項1記載の
ユーザ装置(UE)。
【請求項3】
前
記複数のグループの各グルー
プにおいて、同一ランクの全てのTPMIは、ノンコヒーレント又は部分コヒーレントのいずれか一方であって、両方ではない、請求項
1又は2記載の
ユーザ装置(UE)。
【請求項4】
前記ランク3のTPM
I及び前記ランク2のTMPIはいずれもノンコヒーレン
トTPMIである、請求項
1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ランク3のTPMIに対応するプリコーディングマトリクスは、行列
【数1】
に対応し、前記複数のランク2のTPMIにそれぞれに対応するプリコーディングマトリクスは、行列
【数2】
に対応する、請求項1から4のいずれかに記載のユーザ装置(UE)。
【請求項6】
送信プリコーディングマトリクスインジケータ(TPMI
)の複数のグループには、ランク3のTPMIと、複数のランク2のTPMIとを含むグループが含まれていること、及び前記ランク3のTPMIに対応するプリコーディングマトリクスを構成する複数の列の内の一部の列の組み合わせと、前記一部の列の組み合わせとは異なる列の組み合わせとが、前記複数のランク2のTPMIにそれぞれに対応するプリコーディングマトリクスを構成している列の組み合わせに対応していること、を識別するステップと、
前記識別に基づいて、4アンテナポートを用いて、部分コヒーレントユーザ装置(UE)の上りリンク(UL)フルパワー
を提供するTPMIグルー
プに対応するUE能力情報を基地局に送信するステップと、を有す
るユーザ装置(UE)の無線通信方法。
【請求項7】
4アンテナポートを用いて、部分コヒーレントユーザ装置(UE)の上りリンク(UL)フルパワーを提供する送信プリコーディングマトリクスインジケータ(TPMI)グループに対応するUE能力情報をユーザ装置(UE)から受信する受信部と、
前記UE能力情報に基づいて、前記TPMIグループは、ランク3のTPMIと、複数のランク2のTPMIとを含むグループが含まれていること、及び前記ランク3のTPMIに対応するプリコーディングマトリクスを構成する複数の列の内の一部の列の組み合わせと、前記一部の列の組み合わせとは異なる列の組み合わせとが、前記複数のランク2のTPMIにそれぞれに対応するプリコーディングマトリクスを構成している列の組み合わせに対応していること、を識別する制御部と、を有する、基地局。
【請求項8】
ユーザ装置(UE)及び基地局を含むシステムであって、
前記ユーザ装置(UE)は、
送信プリコーディングマトリクスインジケータ(TPMI)の複数のグループには、ランク3のTPMIと、複数のランク2のTPMIとを含むグループが含まれていること、及び前記ランク3のTPMIに対応するプリコーディングマトリクスを構成する複数の列の内の一部の列の組み合わせと、前記一部の列の組み合わせとは異なる列の組み合わせとが、前記複数のランク2のTPMIにそれぞれに対応するプリコーディングマトリクスを構成している列の組み合わせに対応していること、を識別する制御部と、
前記識別に基づいて、4アンテナポートを用いて、部分コヒーレントユーザ装置(UE)の上りリンク(UL)フルパワーを提供するTPMIグループに対応するUE能力情報を基地局に送信する送信部と、を有し、
前記基地局は、
前記ユーザ装置(UE)から送信された前記UE能力情報を受信する受信部と、
前記UE能力情報に基づいて、前記TPMIグループは、前記ランク3のTPMIと、前記複数のランク2のTPMIとを含むグループが含まれていること、及び前記ランク3のTPMIに対応するプリコーディングマトリクスを構成する複数の列の内の一部の列の組み合わせと、前記一部の列の組み合わせとは異なる列の組み合わせとが、前記複数のランク2のTPMIにそれぞれに対応するプリコーディングマトリクスを構成している列の組み合わせに対応していること、を識別する制御部と、を有するシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書において開示される1つ以上の実施形態は、ユーザ装置(UE:User Equipment)のための送信プリコーディングマトリクスインジケータ(TPMI:Transmission Precoding Matrix Indicator)のグループ化に関する。
【背景技術】
【0002】
New Radio(NR)は、最大4レイヤまでの上りリンク(UL)マルチアンテナ物理上りリンク共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)送信をサポートする。UEには、マルチアンテナPUSCH送信のために、2つの異なるモードを設定することができる。
【0003】
UL/下りリンク(DL)のレシプロシティが維持されない場合、通常は、コードブックベースのモードが使用されてよい。コードブックベースのモードでは、ネットワークが、TPMI、SRI(Scheduling Request Indicator)、及びチャネルのランクを通知してもよい。コードブックベースのPUSCH送信では、異なるポート間のコヒーレンス能力が重要である。なお、コヒーレンス能力は、異なるポートにおいて送信される信号間の相対的な位相をどの程度まで制御できるかを定義する[1]。UEはNW側に、特に、サポートするポートの数、アンテナポートのコヒーレンス能力等を含む、自身の能力(capability)を報告(report)する必要がある。
【0004】
ノンコードブックベースのモードでは、チャネルのレシプロシティが想定されてもよい。特に、ノンコードブックベースのモードでは、NWがPUSCH送信のためのTPMIを設定しない。UEのコヒーレンス能力は、完全コヒーレント(full coherent)、部分コヒーレント(partial coherent)及びノンコヒーレント(non-coherent)の3つのカテゴリで定義される。報告されたUE能力(UE capability)に基づいて、gNodeB(gNB)は、[2]において定義されたコードブックから、(TPMIを用いて)関連するコードワードのみを割り当てる。
【0005】
図1は、2アンテナポートの場合のULコードブックを示す。
図2は、4アンテナポートの場合のシングルレイヤULコードブックを示す。NR Rel.15では、ノンコヒーレント/部分コヒーレントに対応するUEは、主に2つの理由から、コードブックベースのPUSCHをフルパワーで送信することができない。その理由の1つは、
図3のテーブルに示すように、TPMIコードブックサブセットは、UEのコヒーレント能力に予め関連付けられていることである。例えば、4つのノンコヒーレントアンテナポートを備えたUEは、TPMIとして[1,0,0,0]
T、[0,1,0,0]
T、[0,0,1,0]
T及び[0,0,0,1]
Tの使用のみが許可される。ここでは、UEが、それぞれ20dBmの出力定格である、4つのPAを有していると想定する。前述のTPMIの割り当てによって、CDD(Cyclic Delay Diversity)を考慮しても、UEはフルパワーを達成できない場合もある。
【0006】
NR Rel.15において、ノンコヒーレント/部分コヒーレントに対応するUEが、コードブックベースのPUSCHをフルパワーで送信できないもう1つの理由は、ULパワースケーリングを達成する方式にある。特に、TS38.312の§7.1では、設定されたポートの数に対するPUSCH送信(Tx)ポート数の比率に応じて、UL送信電力がスケーリングされる。その場合、エントリ数が0のTPMIが設定されたUEは、フル定格出力アンプを備えていても、フル送信電力による送信を行うことができない。
【0007】
例えば、2つのノンコヒーレントアンテナポートを備えたUEにプリコーダ[1,0]
Tが割り当てられたとする。ここで、第1のアンテナポートには、PUSCHを送信するための
【数1】
送信電力(線形値)が割り当てられる。したがって、それぞれが23dBmの出力定格を有する2つのPAによって給電されるクラス3UEでは、プリコーダ[1,0]
Tを用いる最大送信電力は、UEが送信できる可能な最大電力よりも3dB低い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】Erik Dahlman, Stefan Parkvall, Johan Skold. “5G NR: The Next Generation Wireless Access Technology.
【文献】3GPP, TS 38.211, “5G; NR; Physical channels and modulation
【発明の概要】
【0009】
1つ以上の実施形態は、送信プリコーディングマトリクスインジケータ(TPMI)をグループ化する方法を提供し、この方法は、モード2の動作により、4送信(Tx)ポートを用いて、能力(Capability)3部分コヒーレントユーザ装置(UE)の上りリンク(UL)フルパワーを達成するために、全てのTPMIグループを識別するステップを有する。
【0010】
1つ以上の実施形態は、TPMIをグループ化する方法を提供し、この方法は、モード2の動作により、4送信ポートを用いて、能力3部分コヒーレントUEのULフルパワーを達成するために、必要なTPMIグループのみを識別するステップを有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】2アンテナポートの場合のULコードブックを示す。
【
図2】4アンテナポートの場合のシングルレイヤULコードブックを示す。
【
図3】トランスフォームプリコーディングが有効な4アンテナポートを使用するシングルレイヤ送信用のプリコーディングマトリクスWを示すテーブルを示す。
【
図4】本発明の1つ以上の実施形態に係る無線通信システムを示す。
【
図5】4Txアンテナを有するUEのパワーアンプ部(PA:Power Amplifier)アーキテクチャを示す。
【
図6】1つ以上の実施形態に係るモード1(Mode 1)の略図を示す。
【
図7】1つ以上の実施形態に係るモード2(Mode 2)の略図を示す。
【
図8A】1つ以上の実施形態に係る、RIが1である場合のRel.15の4Txコードブックを示す。
【
図8B】1つ以上の実施形態に係る、RIが2である場合のRel.15の4Txコードブックを示す。
【
図8C】1つ以上の実施形態に係る、RIが3である場合のRel.15の4Txコードブックを示す。
【
図8D】1つ以上の実施形態に係る、RIが4である場合のRel.15の4Txコードブックを示す。
【
図9A】1つ以上の実施形態に係る、提案1におけるオプション1の一例を示す。
【
図9B】1つ以上の実施形態に係る、提案1におけるオプション1の一例を示す。
【
図9C】1つ以上の実施形態に係る、提案1におけるオプション1の一例を示す。
【
図9D】1つ以上の実施形態に係る、提案1におけるオプション1の一例を示す。
【
図9E】1つ以上の実施形態に係る、提案1におけるオプション1の一例を示す。
【
図9F】1つ以上の実施形態に係る、提案1におけるオプション1の一例を示す。
【
図9G】1つ以上の実施形態に係る、提案1におけるオプション1の一例を示す。
【
図10A】1つ以上の実施形態に係る、提案1におけるオプション2の一例を示す。
【
図10B】1つ以上の実施形態に係る、提案1におけるオプション2の一例を示す。
【
図10C】1つ以上の実施形態に係る、提案1におけるオプション2の一例を示す。
【
図10D】1つ以上の実施形態に係る、提案1におけるオプション2の一例を示す。
【
図10E】1つ以上の実施形態に係る、提案1におけるオプション2の一例を示す。
【
図10F】1つ以上の実施形態に係る、提案1におけるオプション2の一例を示す。
【
図10G】1つ以上の実施形態に係る、提案1におけるオプション2の一例を示す。
【
図11】1つ以上の実施形態に係る、4Tx Capability3(4送信能力3)のULフルパワーTxをサポートするTPMIグループを示すテーブルを示す。 1つ以上の実施形態に係る、4Tx Capability3(4送信能力3)のULフルパワーTxをサポートするTPMIグループを示すテーブルを示す。
【
図12】1つ以上の実施形態に係る、4Tx Capability3の部分コヒーレントUEのULフルパワーをサポートする、単純化されたTPMIグループのテーブルを示す。
【
図13】1つ以上の実施形態に係る、4Tx Capability3の部分コヒーレントUEのULフルパワーをサポートする、単純化されたTPMIグループのテーブルを示す。
【
図14】本発明の実施形態に係るBSの概略的な構成を示す図である。
【
図15】本発明の実施形態に係るUEの概略的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。異なる図面における同様の要素には、一貫性を維持するために同様の参照符号を付している。
【0013】
本発明の実施形態の以下の詳細な説明では、本発明のより完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細を記載する。しかしながら、当業者であれば、それらの具体的な詳細がなくとも、本発明を実施できることは明らかである。他の例では、本発明が不明確になることを回避するために、公知の特徴については詳細には説明しない。
【0014】
図4は、1つ以上の実施形態に係る無線通信システム1を示す。無線通信システム1は、ユーザ装置(UE)10と、基地局(BS)20と、コアネットワーク30と、を含む。無線通信システム1は、NR(New Radio)システムであってもよい。無線通信システム1は、本明細書において説明する特定の構成に限定されるものではなく、LTE/LTE-Advanced(LTE-A)システムなど、任意の種類の無線通信システムであってもよい。
【0015】
BS20は、そのBS20のセル内のUE10と、上り(UL:uplink)信号及び下り(DL:downlink)信号を通信してもよい。DL信号及びUL信号は、制御情報及びユーザデータを含んでもよい。BS20は、バックホールリンク31を介して、コアネットワーク30とDL信号及びUL信号を通信してもよい。BS20は、gNB(gNodeB)であってもよい。
【0016】
BS20は、アンテナ、隣接するBS20と通信するための通信インターフェース(例えば、X2インターフェース)、コアネットワーク30と通信するための通信インターフェース(例えば、S1インターフェース)、UE10との間で送受信された信号を処理するためのプロセッサ又は回路などのCPU(Central Processing Unit)を含む。BS20の動作は、メモリに格納されたデータ及びプログラムをプロセッサが処理又は実行することで実現されてもよい。しかしながら、BS20は、上述のハードウェア構成に限定されるものではなく、当業者であれば分かるように、他の任意の適切なハードウェア構成によって実現されてもよい。多数のBS20が、無線通信システム1のより広範なサービスエリアをカバーするように配置されてもよい。
【0017】
UE10は、多入力多出力(MIMO:Multi Input Multi Output)技術を用いて、制御情報及びユーザデータを含むDL信号及びUL信号をBS20と通信してもよい。UE10は、移動局、スマートフォン、携帯電話、タブレット、モバイルルータ、又はウェアラブルデバイスなどの無線通信機能を有する情報処理装置であってもよい。無線通信システム1は、1つ以上のUE10を含んでもよい。
【0018】
UE10は、CPU、例えばプロセッサ、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、及びBS20とUE10との間で無線信号を送受信するための無線通信装置を含む。例えば、以下において説明するUE10の動作は、メモリに格納されたデータ及びプログラムをCPUが処理又は実行することで実現されてもよい。しかしながら、UE10は、上述のハードウェア構成に限定されるものではなく、例えば、以下に説明する処理を実現するための回路を備えた構成であってもよい。
【0019】
図5は、4Txアンテナを有するUE10のパワーアンプ部(PA)アーキテクチャを示す。UE能力(UE capability)は、以下のように規定されてもよい:
能力1:x_0=x_1=x_2=x_3=23dBm;
能力2:x
i<23dBm、i∈{0,1,2,3};
能力3:x
i=23dBm;i≠j;i,j∈{0,1,2,3}
例えば、能力1を有するUE10は、能力1UE(Capability 1 UE)と表されてもよい。
【0020】
アンテナポート間のコヒーレント能力(coherent capability)は、全てのアンテナポートがコヒーレントである完全コヒーレント、アンテナポート{0,2}及び{1,3}がコヒーレントである部分コヒーレント、いずれのポートもコヒーレントではないノンコヒーレントに分類されてもよい。能力1UE、能力2UE又は能力3UEは、完全コヒーレント、部分コヒーレント又はノンコヒーレントであってもよい。
【0021】
図6及び
図7に示したような、NR Rel.16によりULフルパワーを達成するための2つの動作モードがある。
図6は、1つ以上の実施形態に係るモード1の略図を示す。モード1では、TPMIが新たなコードブックサブセットから導出されてもよく、またRel.15パワースケーリングを適用してもよい。能力2UE及び能力3UEの両方が信号を送信してもよい。サウンディング参照信号(SRS:Sounding Reference Signal)リソースは、同数のSRSポートを有する。
【0022】
図7は、1つ以上の実施形態に係るモード2の略図を示す。モード2では、TPMIが、報告されたTPMIから選択されてもよい。能力2UE及び能力3UEの両方が信号を送信してもよい。SRSリソースは、異なる数のSRSポートを有する。SRSポートは、アクティブ化されたTxチェーン(chain)に関連する。SRIは、異なる数のSRSポートをアクティブ化するために使用されてもよい。示されたTPMIが報告されたTPMIグループに由来するものである場合、パワースケーリングファクタは1である。
【0023】
1つ以上の実施形態では、4Tx Capability3のUEのPAアーキテクチャの数について以下説明する。Xiは、i番目のPAの定格電力を示してもよい。
【0024】
いずれの制限もない全ての組み合わせは、能力1UE、能力2UE及び能力3UEを含む。
【0025】
[X1X2X3X4]、但しXi∈{23,20,17}
3×3×3×3=81個の組み合わせ
能力3UEの場合、23dBmを有する少なくとも1つのPAが存在すべきである。したがって、少なくとも1つの23dBmPAを有さない全てのPAアーキテクチャ(能力2UE)は、除く必要がある。
【0026】
[X1X2X3X4]、但しXi∈{20,17}
2×2×2×2=16個の組み合わせ
[23 23 23 23]の組み合わせは能力1UEなので、これは除く必要がある。したがって、4Tx Capability3のUEのPAアーキテクチャの総数は、81-16-1=64であってよい。
【0027】
モード2では、ULフルパワーをサポートできるTPMIグループをUEがシグナリングすることが要求される。4Tx Capability3のUEでは、64個の異なるPAアーキテクチャが考えられる。各PAアーキテクチャは、異なるTPMIによる異なるランクのフルパワーをサポートする。TPMIを明示的に報告するために、高い信号オーバーヘッドが必要となる。
【0028】
したがって、4Tx Capability3の部分コヒーレントUEの全てのPAアーキテクチャを分析することによって、ULフルパワーを提供する共通のTPMIをグループ化することが必要になると考えられる。更に、TMPIグループ間の関係を利用することによって、グループ数を減らすことが必要になると考えられる。
【0029】
図8Aから
図8Dは、1つ以上の実施形態に係る、RIが1、2、3及び4である場合のRel.15の4Txコードブックをそれぞれ示す。Rel.15のTPMIは、TPMIグループを識別するために使用されてもよい。
【0030】
提案1:4Tx Capability3の部分コヒーレントUEのためのTPMIグループ化
TPMIは、提案1のオプション1及びオプション2の両方に共通して、以下のようにグループ化することができる。
【0031】
オプション1では、ランク=1について、23dBmと23dBmのポートペア、又は23dBmと20dBmのポートペア、又は23dBmと17dBmのポートペアをコヒーレントに組み合わせることによってULフルパワーを達成することができると想定すると、64個の異なるPAアーキテクチャのランク=1、2、3、4についてULフルパワーをサポートするTPMIは、
図9Aから
図9G、「Full_Pwr_TPMIs_[Mode2]_[Cap3]_[PartialCoherent]」において捕捉される。
【0032】
オプション2では、ランク=1について、23dBmと23dBmのポートペアのみをコヒーレントに組み合わせることによってULフルパワーを達成することができると想定すると、64個の異なるPAアーキテクチャのランク=1、2、3、4についてULフルパワーをサポートするTPMIは、
図10Aから
図10G、「Full_Pwr_TPMIs_[Mode2]_[Cap3]_[PartialCoherent]_Variation」において捕捉される。
【0033】
図11は、1つ以上の実施形態に係る、4Tx Capability3の部分コヒーレントUEのULフルパワーTxをサポートするTPMIグループを示すテーブルを示す。提案1におけるオプション1及びオプション2では、TPMIが、
図11に示すようにグループ化されてもよい。
【0034】
提案2:ランク=1、部分コヒーレントTPMIグループ
提案2は、提案1におけるオプション1にのみ適用されてもよい。提案2の第1の例では、TPMI#0がPAアーキテクチャ[23 X
2X
3X
4]、X
i∈{23,20,17}によりフルパワーを提供することができる。この場合、TPMI#4~#7もフルパワーを提供する。このことは、以下により与えることができる。
プリコーダ
【数2】
がフルパワーを提供する場合、プリコーダ
【数3】
もフルパワーを提供する。
【0035】
同様に、TPMI#2がPAアーキテクチャ[23 X
2X
3X
4]、X
i∈{23,20,17}によりフルパワーを提供する場合、TPMI#4~#7もフルパワーを提供する。提案2の第2の例では、TPMI#1がPAアーキテクチャ[23 X
2X
3X
4]、X
i∈{23,20,17}によりフルパワーを提供することができる。この場合、TPMI#8~#11もフルパワーを提供する。このことは、以下により与えることができる。
プリコーダ
【数4】
がフルパワーを提供する場合、プリコーダ
【数5】
もフルパワーを提供する。
【0036】
同様に、TPMI#3がPAアーキテクチャ[X
1X
2X
3 23]、X
i∈{23,20,17}によりフルパワーを提供する場合、TPMI#8~#11もフルパワーを提供する。したがって、
図11のテーブルにおいて、ランク=1について部分コヒーレントTPMIグループを明示的に捕捉する必要はない。これは、ランク=1についてノンコヒーレントTPMIグループを使用して暗黙的に導出することができる。
【0037】
提案3:ランク=3、ノンコヒーレント/部分コヒーレントTPMIグループ
提案3では、PAアーキテクチャが、
図11のテーブルにおけるノンコヒーレント/部分コヒーレントTPMIグループ、{TPMI=0}及び{TPMI=1}によりランク=2についてフルパワーを提供する場合、PAアーキテクチャは、
図11のテーブルにおけるノンコヒーレント/部分コヒーレントTPMIグループ、{TPMI=0}によりランク=3についてフルパワーを提供し、これは逆の場合にも当てはまる。このことは、以下により与えることができる。
プリコーダ
【数6】
がランク2についてフルパワーを提供する場合、プリコーダ
【数7】
はランク3についてフルパワーを提供する。
【0038】
これら3つのTPMIを1つにグループ化することで、ランク=2及びランク=3によるフルパワー送信を達成することができる。その一方で、
図11のテーブルにおけるランク=3についてノンコヒーレント/部分コヒーレント、{TPMI=0}である場合には、明示的に捕捉する必要はない。何故ならば、これは、ランク=2についてのノンコヒーレントTPMIグループを使用して、暗黙的に導出することができるからである。
【0039】
提案4:ランク=3、部分コヒーレントTPMIグループ
提案4では、PAアーキテクチャが、
図11のテーブルにおけるノンコヒーレントTPMIグループ、{TPMI=4}によりランク=2についてフルパワーを提供できる場合、PAアーキテクチャは、
図11のテーブルにおける部分コヒーレントTPMIグループ、{TPMI=1,2}によりランク=3についてフルパワーを提供し、これは逆の場合にも当てはまる。このことは、以下により与えることができる。
プリコーダ
【数8】
がランク2についてフルパワーを提供する場合、プリコーダ
【数9】
はランク3についてフルパワーを提供する。したがって、
図11のテーブルにおいてランク=3について部分コヒーレントTPMIグループ{TPMI=1,2}を明示的に捕捉する必要はない。これは、ランク=2についてノンコヒーレントTPMIグループを使用して暗黙的に導出することができる。
【0040】
提案5:提案1におけるオプション1に適用される、修正TMPIグループ化
提案1におけるオプション1に適用される提案5では、全ての4Tx部分コヒーレント、Capability3のPAアーキテクチャが、
図11のテーブルにおけるランク=2についての部分コヒーレントTPMIグループ{TPMI=6,7,8,9,10,11,12,13}によりフルパワーを提供する。全ての4Tx部分コヒーレント、Capability3のPAアーキテクチャは、
図11のテーブルにおけるランク=4についての部分コヒーレントTPMIグループ{TPMI=0}及び{TPMI=1,2}によりフルパワーを提供する。
【0041】
図12は、1つ以上の実施形態に係る、4Tx Capability3の部分コヒーレントUEのULフルパワーをサポートする、単純化されたTPMIグループのテーブルを示す。
図12のテーブルは、提案5の方法を適用することによって得られる。したがって、
図11のテーブルは、提案2、提案3又は提案4に基づいて簡略化されてもよい。
【0042】
提案5:提案1におけるオプション2に適用される、修正TMPIグループ化
提案1におけるオプション2に適用される提案5では、全ての4Tx部分コヒーレント、Capability3のPAアーキテクチャが、
図11のテーブルにおけるランク=2についての部分コヒーレントTPMIグループ{TPMI=6,7,8,9,10,11,12,13}によりフルパワーを提供する。全ての4Tx部分コヒーレント、Capability3のPAアーキテクチャは、
図11のテーブルにおけるランク=4についての部分コヒーレントTPMIグループ{TPMI=0}及び{TPMI=1,2}によりフルパワーを提供する。
【0043】
図13は、1つ以上の実施形態に係る、4Tx Capability3の部分コヒーレントUEのULフルパワーをサポートする、単純化されたTPMIグループのテーブルを示す。
図13のテーブルは、提案5の方法を適用することによって得られる。したがって、
図11のテーブルは、提案3又は提案4に基づいて簡略化されてもよい。
【0044】
BSの構成
以下では、
図14を参照しながら、本発明の実施形態に係るBS20を説明する。
図14は、本発明の実施形態に係るBS20の概略的な構成を説明するための図である。BS20は、複数のアンテナ(アンテナ素子群)201と、アンプ部202と、送受信部(送信部/受信部)203と、ベースバンド信号処理部204と、呼処理部205と、伝送路インターフェース206と、を含んでもよい。BS20からUE10へのDLにおいて送信されるユーザデータは、コアネットワークから、伝送路インターフェース206を介して、ベースバンド信号処理部204に入力される。
【0045】
ベースバンド信号処理部204では、信号に対して、PDCP(Packet Data Convergence Protocol)レイヤの処理、ユーザデータの分割・結合、RLC(Radio Link Control)再送制御送信処理などのRLCレイヤの送信処理、例えばHARQ送信処理を含むMAC(Medium Access Control)再送制御、スケジューリング、伝送フォーマット選択、チャネル符号化、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理、プリコーディング処理などが行われる。続いて、結果として得られた信号が、各送受信部203に転送される。DL制御チャネルの信号に関しては、チャネル符号化及び逆高速フーリエ変換を含む送信処理が行われ、結果として得られた信号が各送受信部203に転送される。
【0046】
ベースバンド信号処理部204は、セル内の通信のための制御情報(システム情報)を、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング及びブロードキャストチャネル)によって各UE10に通知する。セル内の通信のための情報は、例えば、ULシステム帯域幅又はDLシステム帯域幅を含む。
【0047】
各送受信部203では、アンテナ毎にプリコーディングされて、ベースバンド信号処理部204から出力されるベースバンド信号に対して、無線周波数帯域への周波数変換処理が行われる。アンプ部202は、周波数変換が行われた無線周波数信号を増幅し、結果として得られた信号は、アンテナ201から送信される。UE10からBS20へのULにおいて送信されるデータに関しては、無線周波数信号が、各アンテナ201において受信され、アンプ部202において増幅され、送受信部203において周波数変換が行われてベースバンド信号に変換され、ベースバンド信号処理部204に入力される。
【0048】
ベースバンド信号処理部204は、受信したベースバンド信号に含まれるユーザデータに対して、FFT処理、IDFT処理、誤り訂正復号処理、MAC再送制御の受信処理、RLCレイヤ及びPDCPレイヤの受信処理を行う。続いて、結果として得られた信号が、伝送路インターフェース206を介してコアネットワークに転送される。呼処理部205は、通信チャネルの設定・解放などの呼処理を行い、BS20の状態を管理し、また無線リソースを管理する。
【0049】
UEの構成
以下では、
図15を参照しながら、本発明の実施形態に係るUE10を説明する。
図15は、本発明の実施形態に係るUE10の概略的な構成である。UE10は、複数のUEアンテナ101と、アンプ部102と、送受信部(送信部/受信部)1031を含む回路103と、制御部104と、アプリケーション部105と、を有する。
【0050】
DLに関しては、UEアンテナ101において受信された無線周波数信号が、各アンプ部102において増幅され、送受信部1031においてベースバンド信号へと周波数変換される。制御部104では、これらのベースバンド信号に対して、FFT処理、誤り訂正復号、再送信制御などの受信処理が行われる。DLユーザデータは、アプリケーション部105に転送される。アプリケーション部105は、物理レイヤ及びMACレイヤよりも上位のレイヤに関する処理を行う。下りリンクデータでは、ブロードキャスト情報もアプリケーション部105に転送される。
【0051】
一方、ULユーザデータは、アプリケーション部105から制御部104に入力される。制御部104では、再送制御(Hybrid ARQ)送信処理、チャネル符号化、プリコーディング、DFT処理、IFFT処理などが行われ、結果として得られた信号が各送受信部1031に転送される。送受信部1031では、制御部104から出力されたベースバンド信号が無線周波数帯域に変換される。その後、周波数変換された無線周波数信号がアンプ部102において増幅され、続いて、アンテナ101から送信される。
【0052】
本開示を、限られた数の実施形態のみに関して説明したが、本開示の恩恵を受ける当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な他の実施形態に想到し得ることは明らかであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。