(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】冷凍装置および冷凍装置システム
(51)【国際特許分類】
F25D 3/00 20060101AFI20240401BHJP
F25D 23/02 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
F25D3/00 B
F25D23/02 303B
(21)【出願番号】P 2022543328
(86)(22)【出願日】2021-07-16
(86)【国際出願番号】 JP2021026775
(87)【国際公開番号】W WO2022038942
(87)【国際公開日】2022-02-24
【審査請求日】2022-12-21
(31)【優先権主張番号】P 2020138875
(32)【優先日】2020-08-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】592031097
【氏名又は名称】PHC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】豊岡 峻
(72)【発明者】
【氏名】新屋 英俊
(72)【発明者】
【氏名】増川 栄治
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-069612(JP,A)
【文献】特開2015-178931(JP,A)
【文献】特開2001-355950(JP,A)
【文献】特開2004-190910(JP,A)
【文献】特開2006-066099(JP,A)
【文献】特開2013-066436(JP,A)
【文献】特開2005-147650(JP,A)
【文献】特開2003-106761(JP,A)
【文献】特開平2-61480(JP,A)
【文献】特開平11-25342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 3/00
F25D 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口された収納室を有する本体部と、
前記本体部に着脱可能に、かつ、前記収納室の開口を開閉可能に取り付けられ、第1の蓄冷熱材を保持する内扉と、
前記内扉より外側にて前記収納室の開口を開閉可能に、前記本体部に取り付けられている外扉と、を備え、
前記内扉は、
前記収納室に近い側の面に穴部を有し、前記収納室の前記開口の全面を覆っており、
前記外扉は、前記内扉の全面を前記外側から覆って
おり、
前記第1の蓄冷剤は、
前記内扉において前記穴部より外側であり且つ前記穴部と前後方向において重なる位置に設けられ、
前記穴部を介して前記収納室内の冷気と接触する、
冷凍装置。
【請求項2】
前記内扉は、前記第1の蓄冷熱材を着脱可能に保持する、
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記内扉は複数の小扉から構成されており、
複数の前記小扉のそれぞれは、前記本体部に着脱可能に取り付けられている、
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記内扉は、前記収納室の外側にて前記第1の蓄冷熱材を保持する、
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項5】
前記収納室を区画し、かつ、内部に第2の蓄冷熱材を保持する空間を有する棚をさらに備えている、
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項6】
前記収納室を-80℃以下に冷却する冷凍回路をさらに備えている、
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項7】
開口された第1の収納室を有する第1の本体部と、
前記第1の本体部に着脱可能に、かつ、前記第1の収納室の開口を開閉可能に取り付けられ、第1の蓄冷熱材を保持する第1の内扉と、
前記第1の内扉より外側にて前記第1の収納室の開口を開閉可能に、前記第1の本体部に取り付けられている第1の外扉と、を有し、
前記第1の内扉は、
前記収納室に近い側の面に穴部を有し、前記第1の収納室の開口の全面を覆っており、
前記第1の外扉は、前記第1の内扉の全面を前記外側から覆って
おり、
前記第1の蓄冷剤は、
前記内扉において前記穴部より外側であり且つ前記穴部と前後方向において重なる位置に設けられ、
前記穴部を介して、前記収納室内の冷気と接触する、
第1の冷凍装置と、
開口された第2の収納室を有する第2の本体部と、
前記第2の収納室の開口を開閉可能に、前記第2の本体部に取り付けられている第2の外扉と、を有する、
第2の冷凍装置と、を備える
冷凍装置システムであって、
前記第2の冷凍装置は、前記第2の外扉の内側にて、前記第2の収納室の開口を開閉可能に、前記第1の内扉を取付可能に構成されており、
前記第1の内扉が前記第2の冷凍装置に取り付けられた状態において、前記第2の冷凍装置に取り付けられた前記第1の内扉は、前記第2の収納室の開口の全面を覆い、
前記第1の内扉が前記第2の冷凍装置に取り付けられた状態において、前記第2の外扉は、前記第2の冷凍装置に取り付けられた前記第1の内扉の全面を前記外側から覆う、
冷凍装置システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍装置および冷凍装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
生体組織等の試料や冷凍物を保管するために、収納室内を例えば-80℃以下の超低温に冷却する超低温フリーザなどの冷凍装置が開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
冷凍装置においては、停電や故障などによって冷却機能が停止した場合、収納室内の急激な温度上昇を抑制したいとの要望がある。
【0005】
本開示は、冷却機能が停止した場合における収納室内の急激な温度上昇を抑制する冷凍装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本開示における冷凍装置は、開口された収納室を有する本体部と、本体部に着脱可能に、かつ、収納室の開口を開閉可能に取り付けられ、第1の蓄冷熱材を保持する内扉と、内扉より外側にて収納室の開口を開閉可能に、本体部に取り付けられている外扉と、を備えている。
上述のような冷凍装置を実施する場合に、好ましくは、内扉は、収納室の開口の全面を覆うように構成されてよい。
又、上述のような構成を採用する場合に、好ましくは、外扉は、内扉の全面を外側から覆うように構成されてよい。
又、上述のような構成を採用する場合に、好ましくは、内扉は、収納室に近い側の面に穴部を有してよい。
又、上述のような構成を採用する場合に、好ましくは、第1の蓄冷剤は、
内扉において穴部より外側であり且つ穴部と前後方向において重なる位置に設けられ、
穴部を介して収納室内の冷気と接触するように構成されてよい。
【0007】
また、本開示における冷凍装置システムは、開口された第1の収納室を有する第1の本体部と、第1の本体部に着脱可能に、かつ、第1の収納室の開口を開閉可能に取り付けられ、第1の蓄冷熱材を保持する第1の内扉と、第1の内扉より外側にて第1の収納室の開口を開閉可能に、第1の本体部に取り付けられている第1の外扉と、を有する第1の冷凍装置と、開口された第2の収納室を有する第2の本体部と、第2の収納室の開口を開閉可能に、第2の本体部に取り付けられている第2の外扉と、を有する第2の冷凍装置と、を備える冷凍装置システムであって、第2の冷凍装置は、第2の外扉の内側にて、第2の収納室の開口を開閉可能に、第1の内扉を取付可能に構成されている。
上述のような冷凍装置システムを実施する場合に、好ましくは、内扉は、収納室の開口の全面を覆うように構成されてよい。
又、上述のような構成を採用する場合に、好ましくは、外扉は、内扉の全面を外側から覆うように構成されてよい。
又、上述のような構成を採用する場合に、好ましくは、内扉は、収納室に近い側の面に穴部を有してよい。
又、上述のような構成を採用する場合に、好ましくは、第1の蓄冷剤は、
内扉において穴部より外側であり且つ穴部と前後方向において重なる位置に設けられ、
穴部を介して収納室内の冷気と接触するように構成されてよい。
又、上述のような構成を採用する場合に、好ましくは、第1の内扉が第2の冷凍装置に取り付けられた状態において、第2の冷凍装置に取り付けられた第1の内扉は、第2の収納室の開口の全面を覆うように構成されてよい。
又、上述のような構成を採用する場合に、好ましくは、第1の内扉が第2の冷凍装置に取り付けられた状態において、第2の外扉は、第2の冷凍装置に取り付けられた第1の内扉の全面を外側から覆うように構成されてよい。
【発明の効果】
【0008】
本開示の冷凍装置によれば、冷却機能が停止した場合における収納室内の急激な温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図1に示す冷凍装置において、外扉が開いた状態を示す図
【
図3】
図1に示す冷凍装置において、外扉および内扉が開いた状態を示す図
【
図9】本開示の実施形態に係る冷凍装置システムを示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
<冷凍装置>
以下、本開示の冷凍装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下では、
図1の矢印で示すように、
図1における上側および下側をそれぞれ冷凍装置1の上方および下方とし、同じく左側および右側をそれぞれ冷凍装置1の左方および右方とし、同じく左上側および右下側をそれぞれ冷凍装置1の後方および前方として説明する。
【0011】
冷凍装置1は、生体組織等の試料を-80℃以下の超低温にて保管可能な超低温フリーザである。なお、冷凍装置1は、薬用保冷庫、血液保冷庫または恒温器であってもよい。冷凍装置1は、
図1乃至
図3に示すように、本体部10および機械部20を備えている。
【0012】
本体部10は、前方を開口する箱状に形成されている。本体部10を構成する壁内には、断熱材(不図示)が配置されている。本体部10は、収納室11、外扉12、ハンドル部13、および、内扉30を備えている。
【0013】
収納室11は、本体部10の内側に形成され、上述した試料などを保管するものである。収納室11は、前方が開口されている。収納室11内には、3つの棚40が配置されている。3つの棚40によって収納室11内が上下方向に沿って4つの収納空間Kに区画されている。なお、棚40の数が3つに限られないことは言うまでもない。
【0014】
収納空間Kには、
図4に示すように貯蔵ラックLが複数並べて収納されている。貯蔵ラックLは、複数(最大24個)の貯蔵ボックス(不図示)を貯蔵できる。貯蔵ボックスは、試料が入れられる円筒状の試験管(不図示)を貯蔵する箱である。貯蔵ボックスは、それぞれ試験管を立てた状態で複数(最大300本)収納可能に構成されている。本実施形態では、収納空間Kに貯蔵ラックLが最大6個収納できる。また、収納空間Kには、貯蔵ラックLに代えて、試料が入れられるマイクロプレート(不図示)を複数(最大60枚)収納できるマイクロプレートラック(不図示)が収納されてもよい。
図1乃至
図3に戻って説明を続ける。
【0015】
外扉12は、内扉30より外側にて収納室11の開口を開閉可能に、本体部10に取り付けられている。外扉12が収納室11を閉じると、収納室11は密閉状態となる。外扉12の内部には、断熱材(不図示)が配置されている。
【0016】
ハンドル部13は、使用者が外扉12を開閉する際に把持するものである。
【0017】
内扉30は、外扉12より内側にて本体部10に着脱可能に取り付けられ、収納室11を開閉可能に配置されている。内扉30が閉じたられた状態において、内扉30の後側面は、収納室11に面する。内扉30の詳細は後述する。
【0018】
機械部20は、本体部10の直下に配置されている。機械部20には、収納室11を-80℃以下に冷却可能な冷凍回路(不図示)を構成する圧縮機(不図示)、凝縮器(不図示)および減圧器(不図示)が収納されている。冷凍回路を構成する蒸発器(不図示)は、本体部10の側壁内に配置されている。冷凍回路の作動によって、収納室11内が冷却される。
【0019】
次に、内扉30の詳細について
図5および
図6を用いて説明する。内扉30は、複数の第1の蓄冷熱材T1を着脱可能に保持するように構成されている。
【0020】
第1の蓄冷熱材T1は、直方体状の容器および容器に収納された薬剤を備えている。薬剤の融解温度は、好ましくは-50℃以下である。薬剤の融解温度は、より好ましくは、-70℃以下であり、更に好ましくは-80℃である。
【0021】
薬剤の融解温度を-50℃以下とすることで、冷凍回路の冷却機能が停止した場合に、-80℃に冷却されていた収納室11内の温度の急激な上昇を確実に抑制することができる。また、薬剤の融解温度を-70℃以下とすることで、冷凍回路の冷却機能が停止した場合に、-80℃に冷却されていた収納室11内の温度の急激な上昇をより確実に抑制することができる。また、薬剤の融解温度を-80℃とすることで、冷凍回路の冷却機能が停止した場合に、-80℃に冷却されていた収納室11内の温度をより長時間、-80℃に維持しつつ、温度の急激な上昇をさらに確実に抑制することができる。つまり、薬剤の融解温度が、収納室11内の設定温度以下である場合、温度の急激な上昇を特に効果的に抑制することができる。
【0022】
内扉30は、2つの小扉31から構成されている。一方の小扉31は、収納室11の上側を開閉する。他方の小扉31は、収納室11の下側を開閉する。小扉31は、閉じられた状態において、後側面が収納室11に臨むように配置されている。なお、小扉31の数が2つに限られないことは言うまでもない。
【0023】
小扉31は、表板32、枠部33、裏板34、被取付部35、および、把手部36を備えている。
【0024】
表板32は、正面視矩形状に形成され、小扉31の前側に配置される。
【0025】
枠部33は、表板32と裏板34に挟持されている。枠部33は、複数の第1の蓄冷熱材T1を着脱可能に保持する。枠部33は、第1の蓄冷熱材T1が着脱可能に嵌まる正面視矩形状の貫通穴に形成された9つのはめ込み部33aを備えている。なお、はめ込み部33aの数が9つに限られないことは言うまでもない。また、枠部33は、第1の蓄冷熱材T1を着脱不能に保持してもよい。
【0026】
裏板34は、正面視矩形状に形成され、小扉31の後側に配置されている。裏板34には、はめ込み部33aに対応するように9つの穴部34aが形成されている。枠部33に嵌められた第1の蓄冷熱材T1の一部は、穴部34aから露出する。これにより、枠部33に保持された第1の蓄冷熱材T1は、収納室11の冷気に直接接触する。穴部34aの数が9つに限られないことは言うまでもない。穴部34aは、「穴部」の一例である。なお、裏板34には、穴部34aが形成されていなくてもよい。
【0027】
表板32、枠部33、および、裏板34は、例えばネジによって分解可能に組み立てられる。例えば表板32が取り外されることによって、第1の蓄冷熱材T1を枠部33から取り外すことができる。また、内扉30は、本体部10に取り付けられた状態において、収納室11の外側にて第1の蓄冷熱材T1を保持するように構成されている。なお、内扉30は、本体部10に取り付けられた状態において、収納室11の内側にて第1の蓄冷熱材T1を保持するように構成されてもよい。
【0028】
被取付部35は、小扉31を本体部10に着脱可能に取り付けるものである。被取付部35は、本体部10に配置された取付部15(
図2,6)に着脱可能に取り付けられる。取付部15は、
図6に示すように、円柱状の支持部15aおよび支持部15aの上端から上方に向けて上下方向に沿って延びる軸部15bを備えている。
【0029】
被取付部35は、円柱状に形成されるとともに、枠部33の右側に取り付けられており、取付部15の軸部15bが嵌まる軸受部35aが形成されている。軸受部35aには、軸部15bが、軸線の回りに回転可能に、かつ、軸線の方向に沿って移動可能に嵌まる。これにより、小扉31が本体部10に取り付けられている状態において、小扉31が開閉可能になり、かつ、小扉31が持ち上げられることによって、小扉31を本体部10から取り外すことが可能となる。
【0030】
把手部36は、表板32に配置され、小扉31が開閉されるときに、使用者によって把持される部位である。
【0031】
上述したような冷凍装置1において、例えば停電によって冷凍回路の運転が停止した場合、収納室11内が冷却されないため、収納室11内の温度が上昇する。しかしながら、本実施形態に係る冷凍装置1は、内扉30に保持された第1の蓄冷熱材T1を有している。よって、収納室11内の急激な温度上昇が抑制される。
【0032】
本実施形態によれば、冷凍装置1は、開口された収納室11を有する本体部10と、本体部10に着脱可能に、かつ、収納室11の開口を開閉可能に取り付けられ、第1の蓄冷熱材T1を保持する内扉30と、内扉30より外側にて収納室11の開口を開閉可能に、本体部10に取り付けられている外扉12と、を備えている。
【0033】
これによれば、冷却機能が停止した場合における収納室11内の急激な温度上昇を、第1の蓄冷熱材T1によって抑制することができる。さらに、冷凍装置1が圧縮機のオンとオフを繰り返して冷却運転している場合において、圧縮機がオフの状態であるときにおいても同様に、収納室11内の急激な温度上昇を、第1の蓄冷熱材T1によって抑制することができる。また、外扉12は常に外気に触れているため、圧縮機がオフの状態であるとき、外扉12ひいては収納室11における外扉12側の部分は、外気温度の影響を受けやすい。しかしながら、複数の蓄冷熱材T1が配置されている内扉30は、外扉12と収納室11の間に配置されている。よって、複数の蓄冷熱材T1によって収納室11への外気温度の影響を抑制することができる。
【0034】
また、内扉30は、第1の蓄冷熱材T1を着脱可能に保持する。
【0035】
これによれば、第1の蓄冷熱材T1を内扉30から外して、収納室11に収納することができる。また、第1の蓄冷熱材T1を簡便に交換することができる。
【0036】
また、第1の蓄冷熱材T1は、内扉30に形成された穴部34aを介して、収納室11内の冷気と直接接触可能に保持されている。
【0037】
これによれば、第1の蓄冷熱材T1を効率よく冷却することができる。さらに、穴部34aによって裏板34と第1の蓄冷熱材T1との接触面積が低減されるため、穴部34aがない場合に比べて、第1の蓄冷熱材T1を容易に取り外すことができる。
【0038】
また、内扉30は、複数の小扉31から構成されている。複数の小扉31のそれぞれは、本体部10に着脱可能に取り付けられている。
【0039】
これによれば、小扉31を交換することによって第1の蓄冷熱材T1を交換することができる。
【0040】
また、内扉30は、収納室11の外側にて第1の蓄冷熱材T1を保持する。
【0041】
これによれば、内扉30は、収納室11の有効容積を減らすことなく、つまり、収納可能な試料等の個数を減らすことなく、第1の蓄冷熱材T1を保持できる。
【0042】
また、冷凍装置1は、収納室11を-80℃以下に冷却する冷凍回路を備えている。
【0043】
これによれば、冷却機能が停止した場合における-80℃以下に冷却された収納室11内の急激な温度上昇を、第1の蓄冷熱材T1によって抑制することができる。
【0044】
また、上述した小扉31は、持ち上げられることによって取り外し可能に本体部10に取り付けられているが、これに代えて、公知の着脱機構を用いて、使用者が小扉31を上下方向に直交する方向に引くことによって取り外し可能となるように、小扉31を本体部10に取り付けてもよい。
【0045】
また、冷凍装置1は、上述した小扉31に代えて、
図7に示す小扉131を備えても良い。小扉131は、一つの板部材によって構成されている。小扉131の後側面には、第1の蓄冷熱材T1を保持する複数の保持部137が配置されている。保持部137は、上方を開口し、側壁に穴部138を有する箱状に形成されている。保持部137の開口から第1の蓄冷熱材T1の取り入れ、および、取り出しが可能である。
【0046】
また、冷凍装置1は、上述した棚40に代えて、
図8に示す棚140を備えてもよい。棚140は、内部に第2の蓄冷熱材T2を保持するように構成されている。棚140は、前方を開口する中空の直方体状に形成され、側壁141によって内側の空間を3つの保持空間142に区画されている。なお、保持空間142の数は、3つに限定されないことは言うまでもない。保持空間142のそれぞれは、第2の蓄冷熱材T2を着脱可能に保持する。
【0047】
第2の蓄冷熱材T2は、保持空間142に収まる大きさの容器に、第1の蓄冷熱材と同じ薬剤が収納されている。また、第2の蓄冷熱材T2の容器は、保持空間142に収納された状態において使用者が把持可能な把手部T2aを有している。使用者は、把手部T2aを把持して第2の蓄冷熱材T2を保持空間142に対して着脱する。なお、棚140は、第2の蓄冷熱材T2を着脱不能に保持してもよい。なお、第2の蓄冷熱材T2の容器を、第1の蓄冷熱材T1の容器と同じ形状にしてもよい。同じ形状とすることで、第1の蓄冷熱材T1と第2の蓄冷熱材T2との間で互換性を持たせることができる。
【0048】
また、棚140は、穴部143をさらに有している。穴部143は、棚140の上側壁において、保持空間142に保持された第2の蓄冷熱材T2が露出する位置に形成されている。これにより、保持空間142に保持された第2の蓄冷熱材T2は、収納室11の冷気に直接接触する。よって、第2の蓄冷熱材T2を効率よく冷却することができる。また、穴部143は、棚40の上側壁以外の壁(例えば下側壁)に形成されてもよい。さらに、棚140は、本体部10に対して着脱可能に構成されてもよい。
【0049】
本実施形態において、冷凍装置1は、収納室11を区画し、かつ、内部に第2の蓄冷熱材T2を保持する空間を有する棚140をさらに備えている。
【0050】
これによれば、冷却機能が停止した場合における収納室11内の急激な温度上昇を、第2の蓄冷熱材T2によって抑制することができる。収納空間Kに試料等がスキマ無く収納されている場合においても、第2の蓄冷熱材T2を収納室11内に収納できる。また、本実施形態において、第2の蓄冷熱材T2は、第1の蓄冷熱材T1よりも、貯蔵ラックLに近い位置に配置される。また、第2の蓄冷熱材T2は、貯蔵ラックLの上方または下方の少なくとも一方に配置される。よって、第2の蓄冷熱材T2によって、貯蔵ラックLの急激な温度上昇を確実に抑制できる。冷凍装置1が圧縮機のオンとオフを繰り返して冷却運転している場合において、圧縮機がオフの状態であるときにおいても同様に、貯蔵ラックLの急激な温度上昇を、第2の蓄冷熱材T2によって抑制することができる。
【0051】
<冷凍装置システム>
次に、本開示の冷凍装置システム2の実施形態について
図9を用いて説明する。冷凍装置システム2は、上述した冷凍装置1を2つ備えている。なお、冷凍装置システムが備える冷凍装置1の数が2つに限られないことは言うまでもない。以下、冷凍装置システム2について、一方の冷凍装置1を第1の冷凍装置1aとし、第1の冷凍装置1aの構成部品の符号には、上述した冷凍装置1の構成部品の符号に添え字「a」を付けて説明する。また、他方の冷凍装置1を第2の冷凍装置1bとし、第2の冷凍装置1bの構成部品の符号には、上述した冷凍装置1の構成部品の符号に添え字「b」を付けて説明する。
【0052】
第1の冷凍装置1aおよび第2の冷凍装置1bは同じ構成であるため、第1の冷凍装置1aの第1の小扉31aと第2の冷凍装置1bの第2の小扉31bとは交換可能である。また、第1の小扉31aに保持された第1の蓄冷熱材T1と、第2の小扉31bに保持された第1の蓄冷熱材T1とは交換可能である。
【0053】
冷凍装置システム2において、第2の冷凍装置1bの冷凍回路の運転が停止した場合、第2の冷凍装置1bにおいて、第2の収納室11b内の温度上昇は、第2の小扉31bに保持された第1の蓄冷熱材T1によって抑制される。
【0054】
この場合において、第2の冷凍装置1bの冷凍回路の運転停止が継続すると、収納室11内の温度が上昇ととともに、第2の小扉31bに保持された第1の蓄冷熱材T1の温度が上昇する。一方、第1の冷凍装置1aの冷凍回路の運転が継続している場合、第1の小扉31aに保持された第1の蓄冷熱材T1は冷却されている。よって、第2の小扉31bに保持された第1の蓄冷熱材T1に代えて、第1の小扉31aに保持された第1の蓄冷熱材T1を第2の小扉31bに保持させることで、第2の収納室11b内の温度上昇を、第1の小扉31aに保持されていた第1の蓄冷熱材T1によって抑制することができる。なお、この場合、第2の冷凍装置1bの第2の小扉31bに代えて、第1の冷凍装置1aの第1の小扉31aを、第2の冷凍装置1bに取り付けてもよい。
【0055】
また、第1の冷凍装置1aが第1の棚140aを有し、かつ、第2の冷凍装置1bが第2の棚140bを有する場合、第1の棚140aに保持された第2の蓄冷熱材T2と、第2の棚140bに保持された第2の蓄冷熱材T2とは交換可能である。よって、第2の棚140bに保持された第2の蓄冷熱材T2に代えて、第1の棚140aに保持された第2の蓄冷熱材T2を第2の棚140bに保持させることで、第2の収納室11b内の温度上昇を、第1の棚140aに保持されていた第2の蓄冷熱材T2によって抑制することができる。なお、この場合、第2の冷凍装置1bの第2の棚140bに代えて、第1の冷凍装置1aの第1の棚140aを、第2の冷凍装置1bに取り付けてもよい。
【0056】
本実施形態によれば、冷凍装置システム2は、開口された第1の収納室11aを有する第1の本体部10aと、第1の本体部10aに着脱可能に、かつ、第1の収納室11aの開口を開閉可能に取り付けられ、第1の蓄冷熱材T1を保持する第1の内扉30aと、第1の内扉30aより外側にて第1の収納室11aの開口を開閉可能に、第1の本体部10aに取り付けられている第1の外扉12aと、を有する第1の冷凍装置1aと、開口された第2の収納室11bを有する第2の本体部10bと、第2の収納室11bの開口を開閉可能に、第2の本体部10bに取り付けられている第2の外扉12bと、を有する第2の冷凍装置1bと、を備える。第2の冷凍装置1bは、第2の外扉12bの内側にて、第2の収納室11bの開口を開閉可能に、第1の内扉30aを取付可能に構成されている。
【0057】
これによれば、冷凍装置システム2は、第2の冷凍装置1bの冷凍回路の運転が停止した場合、第2の冷凍装置1bにて保持されている第1の蓄冷熱材T1に加えて、第1の冷凍装置1aにて保持されている第1の蓄冷熱材T1によっても、第2の冷凍装置1bの第2の収納室11b内の温度上昇を抑制することができる。つまり、第2の冷凍装置1bの冷凍回路の運転が停止する前の第2の収納室11bの温度を、冷凍回路の停止後に、より長時間維持することができる。
【0058】
また、上述した冷凍装置システム2において、複数の冷凍装置1のうち第2の冷凍装置1bは、第2の内扉30bを備えなくてもよい。
【0059】
<変形例>
本開示は、これまでに説明した実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の範囲内に含まれる。
【0060】
例えば、被取付部35は、通常は、取付部15から取り外すことができず、所定の操作をすることで初めて取り外しが可能となる構造を有していてもよい。所定の操作は、例えば、把手部36の操作である。
【0061】
具体例を
図10および
図11を参照しながら説明する。被取付部135は、被取付部35の変形例である。被取付部135は、被取付部135の上方および下方に配置された取付部115に取り付けられる。被取付部135は、案内部材135a、一対の軸部材135b、ギア135c、および、渦巻きばね部135dを備えている。
【0062】
案内部材135aは、上下方向に沿って延びる円筒状に形成され、一対の軸部材135bを軸線の方向に沿って移動可能に内側に保持ものである。案内部材135aの両端には、貫通穴135a1が形成されている。
【0063】
一対の軸部材135bは、軸部135b1、および、ラック部135b2を備えている。軸部135b1は、貫通穴135a1に上下方向に移動可能に嵌まるものである。また、軸部135b1は、取付部115に形成された嵌合穴115cに軸線の回りに回転可能に、かつ、上下方向に移動可能に嵌まる。
【0064】
ラック部135b2は、軸部135b1と一体に、上下方向に沿って延びる歯が案内部材135aの半径方向の内側に向くように形成されている。
【0065】
ギア135cは、ラック部135b2と噛み合うものである。ギア135cが回転することにより、一対の軸部材135bが上下方向に沿って移動する。
【0066】
渦巻きばね部135dは、ギア135cを回転させるものである。渦巻きばね部135dは、薄板135d1が巻かれることによって構成された接触型の渦巻きばねである。薄板135d1の第1端は、ギア135cに接続されている。薄板135d1の第2端は小扉31の把手部36に接続されている。
【0067】
小扉31が本体部10に取り付けられている状態において(
図10)、渦巻きばね部135dは、薄板135d1が繰り出された状態である。このとき、一対の軸部材135bは、軸部135b1が貫通穴135a1から外部に突出し、嵌合穴115cに嵌合している。
【0068】
小扉31が取り外される場合、例えば把手部36が回転等の操作をされると、渦巻きばね部135dが薄板135d1を巻き取る。これによってギア135cが回転して、一対の軸部材135bは、軸部135b1が案内部材135aに収納されるように上下方向に沿って移動する(
図11)。これにより、軸部135b1が取付部15から外れる。よって、使用者は、小扉31を上下方向に直交する方向に引くことで、小扉31を本体部10から取り外すことができる。
【0069】
一方、小扉31が取り外されている状態において、使用者が被取付部135と取付部15とを位置合わせをして、例えば把手部36を回す等の所定の操作をすると、渦巻きばね部135dは薄板135d1を繰り出す。これによってギア135cが回転して、一対の軸部材135bは、軸部135b1が案内部材135aから外部に突出するように上下方向に沿って移動する。これにより、軸部135b1が嵌合穴115cに嵌合して、小扉31は本体部10に取り付けられる。
【0070】
これによれば、小扉131は、使用者の所定の操作によって本体部から取り外される。すなわち、小扉131は、通常の開閉動作では本体部10から外れない。よって、使用者の意図に反して本体部10から外れることを防止できるため、小扉131の落下を防止できるとともに、使用者の安全性を確保できる。
【0071】
2020年8月19日出願の特願2020-138875の日本出願に含まれる明細書、特許請求の範囲、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本開示は、超低温フリーザ、薬用保冷庫、血液保冷庫、および、恒温器などの冷凍装置、並びに、冷凍装置システムに広く利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 冷凍装置
1a 第1の冷凍装置
1b 第2の冷凍装置
2 冷凍装置システム
10 本体部
11 収納室
12 外扉
15 取付部
30 内扉
31 小扉
34a 穴部
140 棚
142 保持空間
T1 第1の蓄冷熱材
T2 第2の蓄冷熱材