(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】自走式車両用の駆動モジュール及び自走式車両
(51)【国際特許分類】
B61C 3/02 20060101AFI20240401BHJP
B61B 3/02 20060101ALI20240401BHJP
B61C 13/06 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
B61C3/02
B61B3/02 Z
B61C13/06
(21)【出願番号】P 2022552563
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(86)【国際出願番号】 EP2021053812
(87)【国際公開番号】W WO2021175586
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】102020202614.9
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ベアント シュトゥーケ
(72)【発明者】
【氏名】オーラフ オールハーファー
(72)【発明者】
【氏名】フェリックス イェグレ
(72)【発明者】
【氏名】ガエル ル エン
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン ハインリヒ ズィハウ
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0072969(US,A1)
【文献】特開平11-011299(JP,A)
【文献】特開2006-088874(JP,A)
【文献】実開平03-102367(JP,U)
【文献】特開平08-208178(JP,A)
【文献】特開平04-078651(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 3/02
B61B 7/06
B61B 12/02
B61B 13/04-13/06
B61C 3/02
B61C 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高架軌道類の支持構造体(100)の自走式車両(10)用の駆動モジュール(20;20a)であって、ゴンドラ(12)用の支持アーム(14)に結合可能である駆動モジュール(20;20a)において、
前記駆動モジュール(20;20a)は、電動モータ式に少なくとも間接的に駆動可能な昇降装置(50)を有し、前記昇降装置(50)は、前記支持アーム(14)を、上昇させられた走行位置と、前記ゴンドラ(12)のための降下させられたローディング位置又はアンローディング位置との間において移動させるために構成されて
おり、
前記駆動モジュール(20)は、前記ゴンドラ(12)を前記支持構造体(100)に沿って移動させるための第1の電動モータ(25)を有し、前記昇降装置(50)は、少なくとも間接的に前記第1の電動モータ(25)によって駆動可能であり、
前記第1の電動モータ(25)は、少なくとも2つのクラッチ装置(61,63)を有する変速機(26)を介して、前記ゴンドラ(12)用の駆動要素(36)又は前記昇降装置(50)と交互に連結可能であり、
前記第1の電動モータ(25)が前記駆動要素(36)に作用接続されている状態で前記昇降装置(50)をロックするための付加的なクラッチ装置(62)が設けられており、
前記少なくとも2つのクラッチ装置(61,63)と、前記付加的なクラッチ装置(62)とは、1つの共通のアクチュエータ(67)によって切換可能であることを特徴とする、駆動モジュール(20;20a)。
【請求項2】
前記少なくとも2つのクラッチ装置(61,63)の切換は、それぞれ別個のアクチュエータ(64,66)によって行われることを特徴とする、請求項
1に記載の駆動モジュール。
【請求項3】
前記少なくとも2つのクラッチ装置(61,63)の切換は、1つの共通のアクチュエータ(67)を介して行われ、前記少なくとも2つ
のクラッチ装置(61,63)は、機械的に互いに連結されていることを特徴とする、請求項
1に記載の駆動モジュール。
【請求項4】
前記付加的なクラッチ装置(62)は、付加的なアクチュエータ(65)によって切換可能であることを特徴とする、請求項
1に記載の駆動モジュール。
【請求項5】
前記駆動モジュール(20a)は、前記ゴンドラ(12)を前記支持構造体(100)に沿って移動させるための第1の電動モータ(25)を有し、前記昇降装置(50)は、第2の電動モータ(70)によって駆動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の駆動モジュール。
【請求項6】
前記昇降装置(50)は、前記ゴンドラ(12)を昇降させるためのケーブル駆動装置又はチェーン駆動装置を有することを特徴とする、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載の駆動モジュール。
【請求項7】
前記駆動モジュール(20;20a)は、少なくとも実質的に閉鎖されたハウジング(24)を有することを特徴とする、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載の駆動モジュール。
【請求項8】
支持アーム(14)に結合されたゴンドラ(12)と、前記支持アーム(14)に結合された、請求項1乃至
7のいずれか一項に記載の駆動モジュール(20;20a)とを備えた自走式車両(10)において、
前記支持アーム(14)は、前記昇降装置(50)によって前記駆動モジュール(20;20a)に対して相対的に可動であり、前記支持アーム(14)は、好ましくはセンタリング補助手段(56,57)を有する連結部(55)によって、前記駆動モジュール(20;20a)と連結可能であることを特徴とする、自走式車両(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、高架軌道類の支持構造体の自走式車両用の駆動モジュールに関する。「自走式車両」とは、本発明の枠内においては、駆動モジュールを用いて、即ち、自己の駆動装置を用いて、支持構造体に沿って移動させられ得る車両であると解される。この場合、自律走行式車両、即ち、運転者のいない無人車両も、運転者又はオペレータによって制御されるような車両も、あり得る。このような車両は、典型的には人員の輸送又は貨物の輸送かのいずれかのために使用され得る。さらに本発明は、本発明に係る駆動モジュールを備えた自走式車両に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
本願の出願後に公開された同一出願人による独国特許出願公開第102019217948号明細書に基づき、請求項1の前提部に記載の特徴を有する、高架軌道類の支持構造体の自走式車両用の駆動モジュールが公知である。この公知の駆動モジュールは、自走式車両の一部であり、この自走式車両は、昇降装置により特徴付けられており、この昇降装置によってゴンドラは、停留場の領域において又は走行区間に沿って、たとえば非常時の状況において、ゴンドラの走行運転中にとられる上昇させられた位置から、ゴンドラのローディング又はアンローディングのための降下させられた位置へ移動させられ得る。上で挙げた独国特許出願公開明細書からは、さらに、昇降装置が支持アーム装置の構成要素又はゴンドラの構成要素として構成されていることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】独国特許出願公開第102019217948号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の開示
請求項1に記載の特徴を有する、自走式車両用の本発明に係る駆動モジュールには、次のような利点がある。即ち、本発明に係る駆動モジュールは、昇降装置の特に有利な構造、及び、自走式車両への昇降装置の有利な組込みを可能にする。このために、本発明の構成においては、駆動モジュールは、電動モータ式に少なくとも間接的に駆動可能な昇降装置を有し、この昇降装置は、上昇させられた走行位置と、降下させられたゴンドラ用のローディング位置又はアンローディング位置との間において支持アームを移動させるように構成されている。
【0005】
言い換えれば、このことは、冒頭で挙げた従来技術とは異なり、昇降装置がもはや支持アーム又はゴンドラの構成要素ではなく、ゴンドラを支持構造体に沿って移動させるために用いられる駆動モジュールの構成要素であることを意味する。これには、以下のような利点がある。即ち、ゴンドラを支持構造体に沿って駆動するため又は移動させるために、及び、ゴンドラを昇降させるために必要となる全ての構成要素は、駆動モジュールの内部に配置されているものとしてよく、さらに場合によっては、ゴンドラの駆動のために使用される構成部分又は構成要素は、同時に昇降装置の構成要素としても用いられ得る。
【0006】
高架軌道類の支持構造体の自走式車両用の本発明に係る駆動モジュールの有利な改良形は、従属形式の各請求項に記載されている。
【0007】
本発明の一般的な思想の特に好適な構造的な変化形においては、駆動モジュールは、ゴンドラを支持構造体に沿って移動させるための第1の電動モータを有し、昇降装置は、少なくとも間接的にこの第1の電動モータによって駆動可能である。従って、このような構成は、ゴンドラを支持構造体に沿って駆動するためにも、ゴンドラをローディング及びアンローディングのために昇降させるためにも、同一の電動モータを使用することを可能にする。このことは、昇降装置の駆動出力が、典型的には、ゴンドラを支持構造体に沿って移動させるために必要となる駆動出力よりも低い場合には、有利である。これにより、電動モータが昇降装置の動作のためではなくゴンドラの駆動のために用いられるような変化形に比較して、電動モータの構成サイズ又は出力を変更することは、必要とされない。さらに、ゴンドラの駆動のためにも、昇降装置の駆動のためにも、単一の電動モータしか使用しないことに基づき、全体的に駆動モジュール内における所要スペースが最小限に抑制され、投資コストが比較的少なく保持される。
【0008】
直前で成された提案の改良形においては、(単一の)電動モータは、少なくとも2つのクラッチ装置を有する変速機を介して、ゴンドラ用の駆動ローラ又は昇降装置と交互に連結可能である。ゴンドラ用の駆動ローラは、ゴンドラを支持構造体に沿って移動させるために用いられる。
【0009】
直前で成された提案の他の改良形においては、電動モータが車両用の駆動要素に作用接続されている状態で昇降装置をロックするための付加的なクラッチ装置が設けられているものとすると、特に有利である。その理由は、このような切換状態においては、電動モータを用いて昇降装置を移動させるために設けられているクラッチ装置は、解放された状態に切り換えられているので、昇降装置がたとえばゴンドラの重力を受けただけで動作させられること、又は、ゴンドラが意図せずに降下することが回避されなければならないからである。
【0010】
一方ではゴンドラ用の駆動装置又は駆動要素に、他方では昇降装置に結合可能である少なくとも2つのクラッチ装置の切換に関しても、複数の変化形が存在する。第1の変化形においては、少なくとも2つのクラッチ装置の切換は、両クラッチ装置のためにそれぞれ専用の別個のアクチュエータを用いて行われるようになっているものとしてよい。
【0011】
しかし、これに対して選択的な他の変化形においては、少なくとも2つのクラッチ装置の切換は、1つの共通のアクチュエータを介して行われるようになっているものとしてもよい。この場合、これらのクラッチ装置は、機械的に互いに連結されている。
【0012】
さらに他の選択的な構成においては、昇降装置をロックするための付加的なクラッチ装置が設けられている場合に、少なくとも2つのクラッチ装置と、付加的なクラッチ装置とは、1つの共通のアクチュエータによって切換可能であるものとしてよい。
【0013】
もちろん、選択的には、付加的なクラッチ装置は、付加的なアクチュエータ、即ち、第3のアクチュエータによって切換可能であることも可能である。
【0014】
本発明の基本的に選択的な他の構成又は昇降装置用の駆動装置及びゴンドラ用の駆動装置の基本的に選択的な他の構成においては、駆動モジュールは、ゴンドラを支持構造体に沿って移動させるための第1の電動モータを有し、昇降装置は、第2の電動モータによって駆動可能であることが想定される。このような構成は、確かに、2つの別個の電動モータが必要になるという欠点を有するが、機械的により単純な構造が得られるという利点を提供する。特に、単一の電動モータしか存在しない場合に昇降装置又はゴンドラを交互に駆動するために必要とされる装置又はクラッチ装置は、必要とされない。また、昇降装置のために専用の別個の電動モータが存在する場合には、この電動モータの構成サイズ、ひいてはその所要スペース及びコストも、一般に比較的小さく保持することができる。なぜならば、ゴンドラ用の駆動モータに比較して比較的低い駆動出力しか必要とされないからである。
【0015】
昇降装置の好適な構造上の構成としては、ゴンドラを昇降させるためのケーブル駆動装置又はチェーン駆動装置が有利であることが判明している。このようなケーブル駆動装置又はチェーン駆動装置は、電動モータ又はケーブルウィンチに似た構造によって特に簡単に操作可能であり、さらに、比較的コンパクトな構成スペースにおいて高いリフトストロークを可能にする。しかし、当然ながら、たとえば滑車装置又はこれに類するエレメントを使用した別構造の昇降装置もあり得る。
【0016】
さらに、本発明は、本発明に係る駆動モジュールを備えた自走式車両をも包含する。通常の走行運転の間、即ち、ゴンドラが上昇させられた状態においては、支持アームが駆動モジュールに剛性的に又は堅固にかつ確実に結合されていることが必要である。このような背景に鑑み、自走式車両における本発明の他の構成においては、支持アームは、昇降装置によって駆動モジュールに対して相対的に可動であり、支持アームは、好ましくはセンタリング補助手段を有する連結部によって、駆動モジュールと連結可能であることが提案される。センタリング補助手段は、特にゴンドラの再上昇時又は降下時において、駆動モジュールに対して相対的な支持アームの規定された案内又は制限された運動を可能にし、かつ、駆動モジュールに対して正確な位置に支持アームを方向付けるために用いられる。
【0017】
高架軌道類の支持構造体の自走式車両用の本発明に係る駆動モジュールの他の利点、特徴及び詳細は、以下において図面につき説明する好適な実施形態の説明から認識される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】ゴンドラが昇降装置によって昇降可能となる門形アセンブリの領域における輸送システムの簡略化された断面図である。
【
図2】ゴンドラを支持構造体に沿って移動させるためにも、昇降装置を駆動するためにも用いられる単一の電動モータを備えたゴンドラの駆動モジュールの領域を示す、簡略化された図である。
【
図3】
図2に示した電動モータと、駆動装置又は昇降装置との連結に関する切換パターンを示す図である。
【
図4】
図2に示した電動モータと、駆動装置又は昇降装置との連結に関する他の切換パターンを示す図である。
【
図5】
図2に示した電動モータと、駆動装置又は昇降装置との連結に関するさらに他の切換パターンを示す図である。
【
図6】ゴンドラを支持構造体に沿って移動させ、かつ、昇降装置を駆動するために、それぞれ別個の電動モータを使用する、
図2に示した実施形態に対して改良された駆動モジュールを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の実施形態
同一の構成要素又は同等の機能を有する構成要素には、図面において、同一の符号が付与されている。
【0020】
図1には、自走式車両10用の輸送システム1000が図示されている。輸送システム1000は、支持構造体100を有し、この支持構造体100は、高架軌道類の支持構造体100として構成されている。支持構造体100は、たとえば、支持ケーブル102に下方へ向かって懸吊された支持レール(
図1には図示されていない)を用いて、輸送システム1000の種々の個所を互いに接続することを可能にし、この場合、車両10は、自己の駆動装置によって支持レールに沿って走行する。
【0021】
さらに、輸送システム1000の支持構造体100は、一般に少なくとも1つの停留場又は乗換場を含む。停留場又は乗換場は、門形のアセンブリ104を備えており、この門形のアセンブリ104は、たとえば、垂直な2つの支柱105,106と、両支柱105,106を互いに結合する少なくとも1つの横桁108とから成っている。横桁108の領域には、同様に、純然たる例示的に4つのキャリヤ装置110が配置されている。これらのキャリヤ装置110は、個々に双方向矢印112の向きに水平方向において駆動装置(図示しない)によって可動である。キャリヤ装置110が支持レールと整合するように位置調整されて配置されるものとすると、これらのキャリヤ装置110を用いて、アセンブリ104の領域に走入した車両10を、支持ケーブル102に取り付けられた支持レールから、キャリヤ装置110に設けられたガイド領域114へ引き渡すことが可能となる。キャリヤ装置110への引渡しが行われ、引き続きキャリヤ装置110の横方向運動が行われ、かつ、他のキャリヤ装置110が支持レールに整合するように位置調整された後に(破線で描かれた車両10において示されている)、最初に挙げた車両10を降下させることができ、それに対して、他の車両10は、支持レールと整合するように位置調整された他のキャリヤ装置110を利用して、アセンブリ104を停留なしに通り抜けることができる。
【0022】
図示の実施例においては人員輸送のためのゴンドラ12を装備している自走式車両10は、ゴンドラ12の上側に配置された支持アーム14を介して駆動モジュール20と連結されている。この駆動モジュール20は、ゴンドラ12を支持構造体100に沿って移動させるためにも、支持アーム14をゴンドラ12と一緒に昇降させるためにも、用いられる。
【0023】
駆動モジュール20に対して相対的にゴンドラ12と支持アーム14とを昇降させる間、たとえば風の影響に基づいたゴンドラ12の揺動を回避するために、ゴンドラ12の昇降場又はアセンブリ104の領域には、さらに、ゴンドラ12を水平案内するための装置30が設けられている。この装置30は、たとえば、保護ハウジング32の一部としてスリーブ状に形成されており、この場合、保護ハウジング32は、さらに扉領域34を有し、この扉領域34を介して、ゴンドラ12への乗車又はゴンドラ12からの降車が可能となる。
【0024】
ゴンドラ12は、双方向矢印22の向きに駆動モジュール20によって垂直方向において昇降可能である。補足的に説明しておくと、駆動モジュール20を用いたゴンドラ12の昇降は、アセンブリ104の領域においてのみ行われ得るのではなく、たとえば非常時には、特にアセンブリ104及び装置30が存在していない輸送システム1000の任意の個所においても行われ得る。また、ゴンドラ12は、物体又は対象物の輸送のために用いられるように構成されているものとしてもよい。
【0025】
図2には、駆動モジュール20の第1実施形態が示されている。駆動モジュール20は、たとえば、好ましくは実質的に閉鎖されたハウジング24を含み、このハウジング24内には電動モータ25が配置されている。電動モータ25は、変速機26と、少なくとも1つの第1の出力シャフト28とを介して、車両10のための駆動要素である複数の駆動ローラ36と連結されている。これらの駆動ローラ36は、ゴンドラ12を支持レール38に沿って又は輸送システム1000に沿って移動させるために、支持レール38(概略的にのみ図示されている)と協働する。さらに、電動モータ25又は変速機26は、第2の出力シャフト40を介して昇降装置50と連結されている。
【0026】
昇降装置50は、たとえばケーブルドラム52を有し、このケーブルドラム52は、第2の出力シャフト40を介して駆動可能である。ケーブルドラム52には、2本のケーブル53,54が取り付けられており、両ケーブル53,54は、ゴンドラ12の支持アーム14の上側に結合されている。従って、第2の出力シャフト40の回転又はケーブルドラム52の回転により、支持アーム14は、ゴンドラ12と共に双方向矢印22の向きに昇降され得る。走行運転の間、即ち、支持アーム14が持ち上げられた状態において、駆動モジュール20又はハウジング24に対する支持アーム14の堅固な連結又は結合を可能にするために、駆動モジュール20と支持アーム14とは、さらに連結部55を有する。連結部55は、たとえば支持アーム14の上側から垂直に離隔する向きに突出したセンタリングピン56を含み、このセンタリングピン56は、センタリングプレート57に設けられた対応する同径の開口(図示しない)と協働する。
【0027】
(単一の)電動モータ25は、ゴンドラ12を支持構造体100に沿って移動させるためにも、ゴンドラ12を昇降装置50によって双方向矢印22の向きに移動させるためにも、用いられる。この場合、ゴンドラ12が電動モータ25によって支持構造体100に沿って移動させられること、又は、ゴンドラ12が昇降装置50によって昇降させられることのいずれかが実施されるように設計されている。電動モータ25によって昇降装置50と駆動ローラ36とを同時に動作させることは、設定されていない。
【0028】
駆動モジュール20又は電動モータ25のこのような選択的な動作については、以下において、先ず
図3につき説明する。
図3から認識されるように、変速機26は、合計3つのクラッチ装置61乃至63を有する。
図3に示した事例においては、第1のクラッチ装置61が解放されていて、他の2つのクラッチ装置62,63が締結された位置において示されている。
【0029】
たとえば、クラッチ装置61乃至63は、つめクラッチとして構成されているが、公知技術に基づいてそれ自体公知の別構造のクラッチ装置61乃至63も想定され得る。
【0030】
さらに、各クラッチ装置61乃至63には、それぞれ別個のアクチュエータ64乃至66が対応しており、アクチュエータ64乃至66は、各クラッチ装置61乃至63の解放又は締結のために用いられる。第1のクラッチ装置61は、ケーブルドラム52を駆動するために用いられる第2の出力シャフト40の力伝達経路に配置されている。第2のクラッチ装置62は、同様に第2の出力シャフト40の力伝達経路に配置されていて、
図3に示した事例、即ち、第1のクラッチ装置61が解放されている事例において、意図されていないゴンドラ12の降下を回避するために用いられる。この場合、第2のクラッチ装置62は、ケーブルドラム52の回転を回避するために締結されている。第3のクラッチ装置63は、第1の出力シャフト28の力伝達経路に配置されている。
図3に示した事例においては、昇降装置50が動作不能にされており、それに対して、電動モータ25を介して、支持構造体100に沿ったゴンドラ12の駆動又は運動が可能である。
【0031】
図4に示した実施形態においては、確かに引き続き3つのクラッチ装置61乃至63が設けられているが、2つのアクチュエータ64,66しか設けられておらず、これらのアクチュエータ64,66は、両クラッチ装置61,63を操作するために用いられる。第1のアクチュエータ64は、第1のクラッチ装置61を解放すると同時に第2のクラッチ装置62を締結させ、これによりケーブルドラム52の運動を回避する。
【0032】
図5に示した事例においては、これら3つのクラッチ装置61乃至63が、単一のアクチュエータ67によって操作可能となる。この場合、第1のクラッチ装置61と第3のクラッチ装置63とは、リンクジョイント68を介して機械的に結合されており、この場合、第1のクラッチ装置61が解放されると同時に第3のクラッチ装置63の締結が行われる。それと同時に、
図4に示した事例と同様に、アクチュエータ67を介して第2のクラッチ装置62の運動が行われる。
【0033】
最後に、
図6には、改良された駆動モジュール20aが図示されている。この駆動モジュール20aは、第1の電動モータ25の他に第2の電動モータ70を含む。第2の電動モータ70は、好ましくは変速機71を介在させてケーブルドラム52に結合されている。即ち、第2の電動モータ70は、昇降装置50にしか結合されておらず、又は、昇降装置50を操作するためにしか用いられない。それに対して、(第1の)電動モータ25は、ゴンドラ12を支持構造体100に沿って移動させるためにしか用いられない。
【0034】
ここまで説明した自走式車両10は、本発明の思想から逸脱することなしに種々様々に変更又は改良され得る。