(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】ポペット弁を備えるオイルスプレーチューブ
(51)【国際特許分類】
F16H 57/04 20100101AFI20240401BHJP
F16K 15/04 20060101ALI20240401BHJP
B60L 15/00 20060101ALI20240401BHJP
B60K 6/40 20071001ALI20240401BHJP
【FI】
F16H57/04 G
F16H57/04 J
F16K15/04 D ZHV
B60L15/00 Z
B60K6/40
(21)【出願番号】P 2022561474
(86)(22)【出願日】2021-05-07
(86)【国際出願番号】 US2021031290
(87)【国際公開番号】W WO2021236360
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-10-07
(32)【優先日】2020-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515009952
【氏名又は名称】シェフラー テクノロジーズ アー・ゲー ウント コー. カー・ゲー
【氏名又は名称原語表記】Schaeffler Technologies AG & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Industriestr. 1-3, 91074 Herzogenaurach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ラムジー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ペイン
【審査官】増岡 亘
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-207693(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第2528244(DE,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0004957(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0117525(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 57/04
F16K 15/04
B60L 15/00
B60K 6/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッドモジュールのオイル冷却システムであって、前記システムは、
前記ハイブリッドモジュールのハウジングに取り付け可能であり、外周面と、中空中心を画定する内周面と、を有する側壁を含む、オイルスプレーチューブであって、前記チューブは、軸方向に凹んだ環状座を画定する近位端と、前記内
周面と前記外
周面との間に延びるオリフィスと、をさらに含む、オイルスプレーチューブと、
前記中空中心に配置されたポペット弁であって、前記ポペット弁は、
前記内
周面に着座し、かつ前記環状座上に配置された第1の側と、前記ハウジングへの前記オイルスプレーチューブの取り付けによって前記ハイブリッドモジュールの前記ハウジングに対して固定されるように構成された第2の側と、を有する径方向に延びるフランジを有する、円筒形本体であって、前記本体は、入口と、前記入口と流体連通し、かつ弁座を有する円筒形弁室と、出口通路と、を画定する、円筒形本体と、
前記弁室内に配置されたボールを有し、かつ前記ボールが前記弁座上に着座して前記入口と前記弁室との間の流体連通を断つ閉位置と、前記ボールが前記弁座から離隔して前記入口と前記弁室とを流体連通させる開位置との間で軸方向に移動可能である、弁と、を含む、ポペット弁と、
を備え
、
前記ポペット弁は、前記中空中心と前記ポペット弁との間に油密シールを形成するために、前記フランジおよび前記内周面に対して配置されたシールをさらに含み、
前記側壁は、前記外周面の中へと凹んだ円形溝を画定し、かつ前記溝内に配置された第2のシールをさらに備える、システム。
【請求項2】
前記弁は、前記ボールを前記閉位置に付勢するばねをさらに有する、請求項1に記載のオイル冷却システム。
【請求項3】
前記シールは、Oリングである、請求項
1に記載のオイル冷却システム。
【請求項4】
前記オイルスプレーチューブは、前記側壁から径方向外向きに延び、かつ前記ハイブリッドモジュールの前記ハウジングに取り付けられるように構成されたカラーをさらに含む、請求項1に記載のオイル冷却システム。
【請求項5】
前記円筒形本体は、前記内周面の内径と実質的に一致する外径を有する基部と、前記内径よりも小さい外径を有するバレル部と、をさらに有して、前記基部と前記バレル部との間に環状ギャップを形成する、請求項1に記載のオイル冷却システム。
【請求項6】
前記オイルスプレーチューブは、前記中空中心を閉鎖するために前記チューブの遠位端に端面を有する、請求項1に記載のオイル冷却システム。
【請求項7】
ハイブリッドモジュールのオイル冷却システムであって、前記システムは、
前記ハイブリッドモジュールのハウジングに取り付け可能であり、外周面と、中空中心を画定する内周面と、を有する側壁を含む、オイルスプレーチューブであって、前記チューブは、軸方向に凹んだ環状座を画定する近位端と、前記内周面と前記外周面との間に延びるオリフィスと、をさらに含む、オイルスプレーチューブと、
前記中空中心に配置されたポペット弁であって、前記ポペット弁は、
前記内周面に着座し、かつ前記環状座上に配置された第1の側と、前記ハウジングへの前記オイルスプレーチューブの取り付けによって前記ハイブリッドモジュールの前記ハウジングに対して固定されるように構成された第2の側と、を有する径方向に延びるフランジを有する、円筒形本体であって、前記本体は、入口と、前記入口と流体連通し、かつ弁座を有する円筒形弁室と、出口通路と、を画定する、円筒形本体と、
前記弁室内に配置されたボールを有し、かつ前記ボールが前記弁座上に着座して前記入口と前記弁室との間の流体連通を断つ閉位置と、前記ボールが前記弁座から離隔して前記入口と前記弁室とを流体連通させる開位置との間で軸方向に移動可能である、弁と、を含む、ポペット弁と、
を備え、
前記側壁は、前記外周面の中へと凹んだ円形溝を画定し、かつ前記溝内に配置されたシールをさらに備える
、オイル冷却システム。
【請求項8】
ハイブリッドモジュールのオイル冷却システムであって、前記システムは、
前記ハイブリッドモジュールのハウジングに取り付け可能であり、外周面と、中空中心を画定する内周面と、を有する側壁を含む、オイルスプレーチューブであって、前記チューブは、軸方向に凹んだ環状座を画定する近位端と、前記内周面と前記外周面との間に延びるオリフィスと、をさらに含む、オイルスプレーチューブと、
前記中空中心に配置されたポペット弁であって、前記ポペット弁は、
前記内周面に着座し、かつ前記環状座上に配置された第1の側と、前記ハウジングへの前記オイルスプレーチューブの取り付けによって前記ハイブリッドモジュールの前記ハウジングに対して固定されるように構成された第2の側と、を有する径方向に延びるフランジを有する、円筒形本体であって、前記本体は、入口と、前記入口と流体連通し、かつ弁座を有する円筒形弁室と、出口通路と、を画定する、円筒形本体と、
前記弁室内に配置されたボールを有し、かつ前記ボールが前記弁座上に着座して前記入口と前記弁室との間の流体連通を断つ閉位置と、前記ボールが前記弁座から離隔して前記入口と前記弁室とを流体連通させる開位置との間で軸方向に移動可能である、弁と、を含む、ポペット弁と、
を備え、
前記ハウジング内に画定されたボアと、
前記ハウジング内に画定され、かつ前記ボアの中へと延びる第1のオイル通路と、
前記ボアの側壁から延びる第2のオイル通路と、をさらに備え、前記オイルスプレーチューブは、前記フランジの前記第2の側が前記ボアの
底壁に対して配置され、前記入口が前記第1のオイル通路
と流体連通しており、かつ前記オリフィスが前記第2のオイル通路と位置合わせされた状態で、前記ボア内に受け入れられる
、オイル冷却システム。
【請求項9】
オイルスプレーチューブアセンブリであって、
外周面、中空中心を画定する内周面、閉じた遠位端、軸方向に凹んだ環状座を画定する開いた近位端、および前記内
周面と前記外
周面との間に延びるオリフィス、を含むチューブと、
前記チューブによってハウジングに固定されるように構成されたポペット弁であって、前記ポペット弁は、径方向に延びるフランジを含み、かつ前記フランジが前記環状座上に配置された状態で、前記中空中心内に受け入れられ、前記弁は、入口、前記入口と流体連通する円筒形弁室、前記弁室を出る出口、および前記入口と前記出口との間の弁座、を画定する、ポペット弁と、を備え、前記弁室内にボールが配置され、かつ前記ボールは、前記ボールが前記弁座に着座して前記入口と前記出口との間の流体連通を断つ閉位置と、前記ボールが前記弁座から離隔して前記入口と前記出口とを流体連通させる開位置との間で移動可能であ
り、
前記チューブは、前記外周面の中へと凹んだ円形溝を有し、かつ前記溝内に配置されたシールをさらに備える、オイルスプレーチューブアセンブリ。
【請求項10】
前記弁は、前記ボールを前記閉位置に付勢するばねをさらに有する、請求項
9に記載のオイルスプレーチューブアセンブリ。
【請求項11】
前記チューブは、前記外周面から径方向外向きに延びるカラーを画定し、前記カラーは、軸方向に延びる穴を画定する、請求項
9に記載のオイルスプレーチューブアセンブリ。
【請求項12】
前記ポペット弁は、前記中空中心と前記ポペット弁との間に油密シールを形成するために、前記フランジおよび前記内周面に対して配置されたシールをさらに含む、請求項
9に記載のオイルスプレーチューブアセンブリ。
【請求項13】
前記シールは、前記ポペット弁に画定された溝内に配置された、請求項
12に記載のオイルスプレーチューブアセンブリ。
【請求項14】
ハイブリッドモジュールであって、
第1のオイル通路および第2のオイル通路と、ボアであって、底部および前記底部から延び、かつ前記ボアの周囲を画定する側壁を有する、ボアと、を画定するハウジングであって、前記第1の
オイル通路は、前記底部に通じており、かつ前記第2の
オイル通路は、前記側壁に通じている、ハウジングと、
オイルスプレーチューブであって、中空中心と、前記中空中心と流体連通し、かつ前記チューブの側壁を貫通して延びるオリフィスと、を画定し、前記チューブは、挿入部分と、突出部分と、それらの間のカラーと、を含む、オイルスプレーチューブと、
前記中空中心内に配置されたポペット弁であって、前記ポペット弁は、入口、弁室、出口、および前記室を開閉するように構成された可動ボールを画定し、前記挿入部分は、前記カラーが前記ハウジングに対して配置され、前記ポペット弁が前記オイルスプレーチューブによって前記ボアの前記底部に対して固定され、前記第1の
オイル通路が前記入口と流体連通され、かつ前記第2の
オイル通路が前記出口と流体連通された状態で、前記ボアに受け入れられる、ポペット弁と、
第2の
オイル通路からオイルを受け入れるように位置付けられる電気機械と、
を備える、ハイブリッドモジュール。
【請求項15】
前記弁室は、弁座を含み、かつ前記ポペット弁は、前記ボールが前記弁座に着座したときに閉じ、かつ前記ボールが前記弁座から離隔するときに開く、請求項
14に記載のハイブリッドモジュール。
【請求項16】
前記チューブの前記挿入部分は、円形溝を画定し、また前記溝内に配置され、かつ前記ボアの前記側壁に対して着座するシールをさらに備える、請求項
14に記載のハイブリッドモジュール。
【請求項17】
前記ポペット弁は、前記中空中心と前記ポペット弁との間に油密シールを形成するために、前記中空中心に対して配置されたシールをさらに含む、請求項
14に記載のハイブリッドモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年5月8日に出願された米国特許非仮出願第16/876,700号の優先権を主張するものであり、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、電気機械の熱管理、より具体的には、ポペット弁を備えたオイルスプレーチューブを含む熱管理システムに関する。
【背景技術】
【0003】
電動車両には、車両を推進するためのモータとして、かつトラクションバッテリを充電するための発電機として機能するように構成された1つ以上の電気機械が含まれる。電気機械は、動作中に発熱し、冷却を必要とする。電気機械は、空冷式または液冷式であり得る。空冷式電気機械は、電気機械から空気への熱エネルギーの伝達を容易にする冷却フィンを含んでもよい。液冷式電気機械は、オイルまたは水系冷却剤を使用して冷却してもよい。電気機械は、変速機内に配置されることが多く、変速機流体(オイル)を使用して液冷することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一実施形態によれば、ハイブリッドモジュールのオイル冷却システムは、ハイブリッドモジュールのハウジングに取り付け可能なオイルスプレーチューブを含む。オイルスプレーチューブは、外周面と、中空中心を画定する内周面と、を有する側壁を含む。チューブは、軸方向に凹んだ環状座を画定する近位端と、内面と外面との間に延びるオリフィスと、をさらに含む。ポペット弁は、中空中央に配置されている。ポペット弁は、内面に着座し、かつ環状座に配置された第1の側と、ハウジングへのオイルスプレーチューブの取り付けによってハイブリッドモジュールのハウジングに対して固定されるように構成された第2の側と、を有する径方向に延びるフランジを有する、円筒形本体を含む。本体は、入口と、入口と流体連通し、かつ弁座を有する円筒形弁室と、出口通路と、を画定する。弁は、弁室内に配置されたボールを有し、ボールが弁座上に着座して入口と弁室との間の流体連通を断つ閉位置と、ボールが弁座から離隔して入口と弁室とを流体連通させる開位置と、の間で軸方向に移動可能である。
【0005】
別の実施形態によれば、オイル冷却システムは、外周面と、中空中心を画定する内周面と、を有する側壁を有するオイルスプレーチューブを含む。チューブは、軸方向に凹んだ環状座を画定する近位端と、内面と外面との間に延びるオリフィスと、をさらに有する。ポペット弁は、中空中央に配置され、チューブによってハウジングに固定されるように構成される。ポペット弁は、内面に着座し、かつ環状座に配置された径方向に延びるフランジを有する円筒形本体を含む。本体は、入口と、入口と流体連通する円筒形弁室と、を画定する。弁室は、弁座と、出口通路と、を有する。弁は、弁室内に配置されたボールを有する。ボールは、ボールが弁座に着座して入口と弁室との間の流体連通を断つ閉位置と、ボールが弁座から離隔して入口と弁室とを流体連通させる開位置と、の間で軸方向に移動可能である。
【0006】
さらに別の実施形態によれば、ハイブリッドモジュールは、第1のオイル通路および第2のオイル通路路と、ボアであって、底部および底部から延び、かつ当該ボアの周囲を画定する側壁を有する、ボアと、を画定するハウジングを含む。第1の通路は、底部に通じており、第2の通路は、側壁に通じている。オイルスプレーチューブは、中空中心と、中空中心と流体連通し、かつチューブの側壁を貫通して延びるオリフィスと、を画定する。チューブは、挿入部分と、突出部分と、それらの間のカラーと、を含む。ポペット弁は、中空中央に配置されている。ポペット弁は、入口、弁室、出口、および室を開閉するように構成された可動ボールを画定する。挿入部分は、カラーがハウジングに対して配置され、第1の通路が入口と流体連通され、第2の通路が出口と流体連通された状態で、ボアに受け入れられる。電気機械は、第2の通路からオイルを受け入れるように位置付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】電気機械アセンブリのオイルスプレーチューブアセンブリの断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の実施形態を、本明細書において説明する。しかしながら、開示する実施形態は単なる例であり、他の実施形態は様々な代替形態を取ることができることを理解されたい。図は必ずしも縮尺どおりではなく、いくつかの特徴部は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張または最小化されていると考えられる。したがって、本明細書に開示する特定の構造的詳細および機能的詳細は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に、当業者に実施形態を様々に使用することを教示するための代表的な基準として解釈されるべきである。当業者が理解するように、図のいずれか1つを参照して例解および説明された様々な特徴部は、1つ以上の他の図に例解される特徴部と組み合わせて、明示的に例解または説明されていない実施形態を生成することができる。例解される特徴部の組み合わせは、典型的な用途のための代表的な実施形態を提供する。しかしながら、本開示の教示と一致する特徴部の様々な組み合わせおよび修正形態が、特定の用途または実装のために所望され得る。
【0009】
最新の自動車は、内燃機関、電気機械、またはハイブリッドの場合はそれらの組み合わせなどの複数の異なる作動装置によって動力が供給される場合がある。電気機械は、過熱を防ぐために熱管理を必要とする。熱管理システムは、電気機械の温度を調整するために空冷または液冷を採用する場合がある。液冷システムは、作動流体として水系冷却剤またはオイル(例えば、変速機流体)を利用することができる。一例の実施形態では、熱管理システムは、温度を調整するために、電気機械のステータ、ロータ、もしくは両方にオイルを噴霧してもよく、またはそうでなければオイルを提供してもよい。
【0010】
図1を参照すると、電気機械アセンブリ20の断面が概略的に示されている。車両構造のタイプに応じて、電気機械22は、異なる場所に配置され、異なるより大きなアセンブリ内にパッケージ化されてもよい。ハイブリッド車両の場合、電気機械22は、(ハイブリッド変速機と呼ばれることもある)ハイブリッドモジュール内に配置されてもよい。純粋な電気車両(EV)の場合、電気機械は、電動車軸の一部としてパッケージ化されてもよい。
図1は、ハウジング24に取り付けられた電気機械22を示す。ハウジング24は、ハイブリッド構造の場合などの変速機ハウジングであってもよいか、または他の任意の好適なハウジングであってもよい。すなわち、この開示は、特定の車両種類または構造に限定されない。
【0011】
電気機械22は、実施形態に応じて、1つ以上の電気機械であってもよい。電気機械22は、車両を推進するためのモータとして、またはトラクションバッテリを充電するための発電機として動作するように構成されてもよい。電気機械22は、交流(AC)機械または直流(DC)機械であってもよい。1つ以上の実施形態では、電気機械22は、三相AC機械であってもよい。電気機械22は、ハウジング24に取り付けられたケース23と、ステータ25と、ステータ25内で回転するように支持されたロータ(図示せず)と、を含んでもよい。電気機械アセンブリ20は、ロータの中心を通って延びる中心線27を含む。本明細書で使用される方向を示す用語は、例示的な図面において示された表示および向きを参照してなされる。「外」および「内」などの用語は、中心線27に対するものである。例えば、「外」面は、面が中心線27から離れる方向に面することを意味し、またはもう一方の「内」面の外側である。「径方向」、「直径」、「円周」などの用語もまた、中心線27に対するものである。「前」、「後」、「上」、および「下」という用語は、参照される図面における方向を示す。
【0012】
図1の例では、電気機械22は、ハウジング24内に画定された通路を通って送達されるオイルによって冷却される。オイルは、変速機の弁本体または他の制御装置によって制御される変速機流体であってもよい。オイルスプレーチューブアセンブリ26は、ハウジング24から電気機械22へのオイルの流れを制御する。チューブアセンブリ26は、ハウジング24の通路と下流の電気機械22との間に介在されており、オイルがハウジング24の通路から電気機械22へと流れることを選択的に可能にするポペット弁28を含んでもよい。
【0013】
1つ以上の実施形態では、ハウジング24は、弁28に通じるオイル通路30と、弁28から電気機械22へと通じるオイル通路32と、を画定する。オイル通路30および32は、ハウジング24内に画定されたボア34によって接続されている。ボア34は、底壁36と、底壁36からハウジング24の面40まで延びる側壁38と、を含む。通路30は、底壁36に通じており、通路32は、側壁38に通じている。通路32は、ボア34から、電気機械22の少なくとも一部を受け入れる空洞35まで延びている。ボア34は、オイルスプレーチューブアセンブリ26の挿入部分42を受け入れる。ポペット弁28が開いているとき、オイルは、通路30から通路32へと流れることが可能となり、ポペット弁28が閉じているとき、通路30と通路32とは、流体的に隔離されている、すなわち、それらの流体接続は、断たれている。オイル通路30は、一般に、軸方向に延びてもよく、オイル通路32は、一般に、径方向または斜めに延びてもよい。
【0014】
図1および
図2を参照すると、チューブアセンブリ26は、外周面54(外径)を画定する側壁52と、中空中心58を画定する内周面56(内径)と、を有するチューブ50を含む。チューブ50は、一般に、中心線27と平行に軸方向に延びてもよく、電気機械22の径方向外側に配置されてもよい。この向きは必須ではなく、他の実施形態では変化してもよい。チューブ50は、(以下でより詳細に説明されるように)オイルがチューブ50から電気機械22の上に噴霧され得るように、電気機械22の上方に配置してもよい。チューブ50は、開いた近位端60と、端面64を有する閉じた遠位端62と、を含んでもよい。1つ以上のオリフィス66、68は、チューブ50内画定されており、外周面54から内周面56へと延びている。オリフィス66、68は、中空中心58内に配置されたオイルがチューブ50から出るのを可能にする。チューブ50は、カラー70と、ハウジング24から外側に延びる突起部分72と、を含む。カラー70は、2つの耳部74の形態であってもよい。耳部74は、チューブ50の両側から延びてもよい。耳部74のそれぞれは、留め具78を受け入れるように構成された貫通穴76を画定してもよい。留め具78は、ハウジング24のタップ穴80にねじ込んでもよい。チューブ50は、挿入部分42上に円形溝82を画定する。Oリングなどのシール84が、溝82に受け入れられる。シール84は、ボアの側壁38と係合して油密界面を形成するように構成されている。
【0015】
ポペット弁28をハウジング24に取り付けられた別個のアセンブリとして有するのではなく、ポペット弁28は、チューブ50によってハウジングに固定されている。この配置は、パッケージを小さくし、軸方向に間隔が制限されたハイブリッドモジュールおよび電気機械モジュールで使用することができる。図示の実施形態では、ハウジング24は、通路30と電気機械空洞35との間の軸方向の間隔を制限している。ポペット弁28およびチューブ50は、ポペット弁28をチューブ50内に置き、ポペット弁28をハウジング24に対してチューブ50で固定することにより、この制限された軸方向間隔内に適合する。
【0016】
ポペット弁28は、基部88と、バレル90と、基部88から径方向外向きに延びるフランジ92と、を有する円筒形本体86を含む。基部88は、(クリアランスのためにわずかに小さいが)チューブ50の内径56と実質的に一致する外径91を有する。バレル90は、基部88から軸方向に延び、チューブ50の内径56よりも小さい外径93を有し、その結果、バレル90と内径56との間に環状ギャップ95が形成される。基部88は、Oリングなどのシール96を受け入れるように構成された円形溝94を画定する。シール96は、弁28がチューブ50に組み入れられたときに内周面56と係合するように構成されている。溝94は、シール96がフランジ92と係合するように、フランジ92に隣接してもよい。チューブ50の近位端60は、軸方向に凹み、かつフランジ92を受け入れるように構成された環状座98を画定する。
【0017】
ポペット弁28は、付勢されて閉じており、また閾値を超える油圧に応答して開く受動装置であり得る。弁28は、ボール102およびばね104を含む弁室100を含んでもよい。基部88は、入口108と、入口108の周りの弁座106と、を画定する。弁座106は、ボール102を受け入れ、かつオイルが入口108から弁室100に流れ込むのを防ぐ油密シールを作成するようにサイズ決めされ、かつ成形されている。ばね104は、ボール102と、バレル90の遠位端に位置するばね保持部108と、の間に配置されている。ばね104は、閉位置と呼ばれ得る弁座106に対してボール102を付勢する。ボール102に作用する油圧が、ばね104の強度を超えると、ばね104は圧縮され、ボール102がバレル90に沿って1つ以上の開位置に軸方向に移動することを可能にする。ばね104は、弁28のポップオフ圧力を調節するように調整可能である。バレル90は、ボール102が1つ以上の開位置にあるときにオイルが弁28から流出することを可能にする1つ以上のオリフィス110(出口)を画定する。オイルは、オリフィス110を出て、チューブ50内に溜まる。次に、オイルは、オリフィス66、68を介してチューブを出て、電気機械22に接触し、熱を除去する。オリフィス66を出るオイルは、電気機械22内の内部回路に接続し得る通路32に流れ込み、オリフィス68を出るオイルは、電気機械22のケース23に滴下または噴霧し得る。いくつかの実施形態では、スプレーノズルをオリフィス68に取り付けてもよい。オイルは、最終的にオイルパンに排出され、システム全体に再循環される。いくつかの実施形態では、熱交換器(図示せず)は、電気機械22に再循環する前にオイルを冷却してもよい。
【0018】
例示的な実施形態を上で説明したが、これらの実施形態が、特許請求の範囲に含まれるすべての可能な形態を説明することは意図していない。本明細書で使用する用語は、限定ではなく説明のための用語であり、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解される。前述のように、様々な実施形態の特徴を組み合わせて、明示的に説明または図示されていない可能性がある本発明のさらなる実施形態を形成することができる。様々な実施形態は、1つ以上の所望の特性に関して、利点を提供するもの、または他の実施形態もしくは従来技術の実装形態よりも好ましいものとして説明されてきたが、当業者は、1つ以上の特徴部または特性を妥協して特定の応用形態および実装形態に依存する所望の全体的なシステム属性を達成することができることを認識する。これらの属性は、コスト、強度、耐久性、ライフサイクルコスト、市場性、外観、包装、サイズ、保守性、重量、製造性、組み立ての容易さなどを含み得るが、これらに限定されない。したがって、任意の実施形態が、1つ以上の特性に関して他の実施形態または先行技術の実装よりも望ましくないと記載される限りにおいて、これらの実施形態が本開示の範囲外ではなく、特定の用途に望ましい場合があり得る。
【0019】
以下は、図に示されている参照番号のリストである。しかしながら、これらの用語の使用は、一実施形態に関して単に例示を目的とするものであることを理解されたい。そして、図に例示され、かつ特許請求の範囲に存在する特定の用語を相関させる参照番号の使用は、例示された実施形態のみを網羅するように特許請求の範囲を限定することを意図しない。
【符号の説明】
【0020】
20 電気機械アセンブリ
22 電気機械
23 ケース
24 ハウジング
25 ステータ
26 オイルスプレーチューブアセンブリ
27 中心線
28 ポペット弁
30 通路
32 通路
34 ボア
35 空洞
36 底壁
38 側壁
40 面
42 挿入部分
50 チューブ
52 側壁
54 外周面
56 内周面
58 中空中心
60 近位端
62 遠位端
64 端面
66 オリフィス
68 オリフィス
70 カラー
72 突起部分
74 耳部
76 穴
78 留め具
80 穴
82 溝
84 シール
86 円筒形本体
88 基部
90 バレル
91 外径
92 フランジ
93 外径
94 溝
95 環状ギャップ
96 シール
98 環状座
100 弁室
102 ボール
104 ばね
106 弁座
108 入口
108 ばね保持部
110 オリフィス