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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】香味吸引器
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20240401BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240401BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/20
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022567998
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 JP2020046195
(87)【国際公開番号】W WO2022123757
(87)【国際公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】隅井 干城
(72)【発明者】
【氏名】井上 康信
(72)【発明者】
【氏名】山田 学
(72)【発明者】
【氏名】森田 啓介
(72)【発明者】
【氏名】中合 弘樹
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0360794(US,A1)
【文献】特表2020-526232(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0289059(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00~47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に収容され、消費材を収容するように構成される収容部と、
前記収容部に収容された前記消費材を加熱するように構成される加熱部と、を有し、
前記収容部の軸方向と直交する断面において、前記ハウジングは、前記ハウジングの重心を通過する第1長軸を有し、
前記断面において、前記収容部は、前記収容部の重心を通過する第2長軸を有し、
前記断面において、前記第1長軸は、前記第2長軸と交差する、香味吸引器。
【請求項2】
請求項1に記載された香味吸引器において、
前記加熱部は、前記収容部の内面又は外面に設けられ、
前記断面において、前記加熱部は、前記第2長軸と交差しない、香味吸引器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された香味吸引器において、
前記消費材が前記収容部内の所望の位置に配置されたときに前記消費材と前記収容部との間に形成される空気流路を有し、
前記断面において、前記空気流路は、前記第2長軸と交差する、香味吸引器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記収容部は、筒状の側壁部を有し、
前記側壁部は、平坦な内面及び平坦な外面を有し、互いに平行な一対の平坦部を有し、
前記断面において、前記平坦部は前記第2長軸と実質的に平行であり、
前記加熱部は、前記平坦部の前記平坦な内面又は前記平坦な外面に設けられる、香味吸引器。
【請求項5】
請求項3を引用する請求項4に記載された香味吸引器において、
前記側壁部は、前記断面において前記一対の平坦部のそれぞれの端部同士を接続する湾曲部を有し、
前記空気流路は、前記消費材と前記湾曲部との間に形成される、香味吸引器。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記ハウジングの前記重心と、前記収容部の前記重心とは、実質的に一致しない、香味吸引器。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記断面において、前記第1長軸は、前記第2長軸と実質的に直交する、香味吸引器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載された香味吸引器において、
前記第1長軸における前記ハウジングの長さは、前記断面における前記ハウジングの最大長さに相当し、
前記第2長軸における前記収容部の長さは、前記断面における前記収容部の最大長さに相当する、香味吸引器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、香味吸引器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、材料の燃焼をすることなく香味等を吸引するための香味吸引器が知られている。香味吸引器は、例えば、香味発生物品を収容するチャンバと、チャンバに収容される香味発生物品を加熱するヒータと、ハウジングへのヒータの伝熱を抑制する断熱材と、を有する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、扁平な略楕円形の断面を有する加熱チャンバと、この加熱チャンバを加熱する加熱プレートとを有し、加熱チャンバ内にたばこを挿入して、たばこを加熱チャンバで圧縮して保持する装置が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2020/035454号
【文献】中国実用新案公告205052881号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に開示された装置の略楕円形の断面を有する加熱チャンバでは、楕円形の長軸に沿った面と、楕円形の短軸に沿った面とで、外部筐体と近接する面積が異なる。具体的には、長軸に沿った面の外部筐体と近接する面積が、短軸に沿った面の外部筐体と近接する面積よりも大きくなる。したがって、長軸に沿った面と外部筐体との間の距離と、短軸に沿った面と外部筐体との間の距離とが略同一である場合、長軸に沿った面に近接する外部筐体の部分に、加熱チャンバの熱が伝達されやすくなる。その結果、このような装置では、意図しない熱の漏洩が生じたり、ユーザに使用時の違和感を与えたりする恐れがある。他方、これを防止するために、外部筐体を大きくすると、装置の小型化を阻害してしまう。
【0006】
本発明の目的の一つは、香味吸引器において熱の漏洩を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1形態によれば、香味吸引器が提供される。この香味吸引器は、ハウジングと、前記ハウジング内に収容され、消費材を収容するように構成される収容部と、前記収容部に収容された前記消費材を加熱するように構成される加熱部と、を有する。前記収容部の軸方向と直交する断面において、前記ハウジングは、前記ハウジングの重心を通過する第1長軸を有する。前記断面において、前記収容部は、前記収容部の重心を通過する第2長軸を有する。前記断面において、前記第1長軸は、前記第2長軸と交差する。
【0008】
第1形態によれば、第1長軸が第2長軸と平行にならないので、収容部の第2長軸に沿った面が、ハウジングの第1長軸に沿った面と対向することが防止され得る。その結果、収容部の第2長軸に沿った面がハウジングの第1長軸に沿った面と対向する場合に比べて、収容部の第2長軸に沿った面のハウジングと近接する面積を小さくすることができるので、収容部の熱がハウジングに伝達されて、熱が漏洩することが抑制され得る。なお、本明細書において「第1長軸」とは、収容部の軸方向と直交する断面において、ハウジングの重心を通過する所定の軸におけるハウジングの長さ(外側表面間の長さ)が、ハウジングの最大長さに相当する場合における、所定の軸上に位置する軸をいう。また、本明細書において、「第1長軸」とは、収容部の軸方向と直交する断面において、ハウジングの重心を通過する所定の軸と直交し且つハウジングの重心を通過する軸におけるハウジングの長さ(外側表面間の長さ)が、ハウジングの最小長さに相当する場合における、所定の軸上に位置する軸ということもできる。同様に、本明細書において「第2長軸」とは、収容部の軸方向と直交する断面において、収容部の重心を通過する所定の軸における収容部の長さ(外側表面間の長さ)が、収容部の最大長さに相当する場合における、所定の軸上に位置する軸をいう。また、本明細書において、「第2長軸」とは、収容部の軸方向と直交する断面において、収容部の重心を通過する所定の軸と直交し且つ収容部の重心を通過する軸における収容部の長さ(外側表面間の長さ)が、収容部の最小長さに相当する場合における、所定の軸上に位置する軸ということもできる。
【0009】
第2形態は、第1形態において、前記加熱部は、前記収容部の内面又は外面に設けられ、前記断面において、前記加熱部は、前記第2長軸と交差しない、ことを要旨とする。
【0010】
第1長軸が第2長軸と交差する場合、収容部には、第2長軸上の収容部の面よりもハウジングから離れて位置する面が存在し得る。したがって、第2形態によれば、加熱部が第2長軸と交差する場合に比べて、ハウジングと加熱部との距離を大きくすることができるので、加熱部の熱がハウジングに漏洩することがより抑制され得る。
【0011】
第3形態は、第1形態又は第2形態において、前記消費材が前記収容部内の所望の位置に配置されたときに前記消費材と前記収容部との間に形成される空気流路を有し、前記断面において、前記空気流路は、前記第2長軸と交差する、ことを要旨とする。
【0012】
第3形態によれば、ハウジングと収容部との距離が比較的近い第2長軸上に空気流路が設けられるので、空気流路が空気断熱層として機能し、収容部内で加熱される消費材の熱が収容部の外部に伝達されることが抑制され得る。その結果、熱がハウジングに漏洩することが抑制され得る。
【0013】
第4形態は、第1形態から第3形態のいずれかにおいて、前記収容部は、筒状の側壁部を有し、前記側壁部は、平坦な内面及び平坦な外面を有し、互いに平行な一対の平坦部を有し、前記断面において、前記平坦部は前記第2長軸と実質的に平行であり、前記加熱部は、前記平坦部の前記平坦な内面又は前記平坦な外面に設けられる、ことを要旨とする。
【0014】
第4形態によれば、ハウジングと収容部との距離が比較的近い第2長軸上に加熱部が設けられないので、ハウジングと加熱部との距離を遠くすることができ、加熱部の熱がハウジングに漏洩することがより抑制され得る。
【0015】
第5形態は、第3形態を引用する第4形態において、前記側壁部は、前記断面において前記一対の平坦部のそれぞれの端部同士を接続する湾曲部を有し、前記空気流路は、前記消費材と前記湾曲部との間に形成される、ことを要旨とする。
【0016】
第5形態によれば、湾曲部と消費材との間に空気流路が形成されるので、空気流路を通過する空気が湾曲部の熱を吸収し、湾曲部を冷却することができる。また、収容部の第2長軸は平坦部と実質的に平行であるので、湾曲部は第2長軸上に位置することになる。したがって、ハウジングとの距離が比較的近い湾曲部が冷却されるので、熱がハウジングに漏洩することが抑制され得る。
【0017】
第6形態は、第1形態から第5形態のいずれかにおいて、前記ハウジングの前記重心と、前記収容部の前記重心とは、実質的に一致しない、ことを要旨とする。
【0018】
第6形態によれば、収容部の重心がハウジングの重心と一致する場合に比べて、ハウジング内に広い空間が形成され得る。その結果、ハウジング内に電源等の部品を収容するスペースの確保が容易になる。
【0019】
第7形態は、第1形態から第6形態のいずれかにおいて、前記断面において、前記第1長軸は、前記第2長軸と実質的に直交する、ことを要旨とする。
【0020】
第7形態によれば、第1長軸が第2長軸と直交しない場合に比べて、収容部の第2長軸に沿った面がハウジングの第1長軸に沿った面から、より離間され得る。その結果、収容部の熱がハウジングに伝達されて、熱が漏洩することが抑制され得る。
【0021】
第8形態は、第1形態から第7形態のいずれかにおいて、前記第1長軸における前記ハウジングの長さは、前記断面における前記ハウジングの最大長さに相当し、前記第2長軸における前記収容部の長さは、前記断面における前記収容部の最大長さに相当する、ことを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1A】本実施形態に係る香味吸引器の概略正面図である。
図1B】本実施形態に係る香味吸引器の概略上面図である。
図1C】本実施形態に係る香味吸引器の概略底面図である。
図2】消費材の概略側断面図である。
図3図1Bに示した矢視3-3における香味吸引器の断面図である。
図4A】チャンバの斜視図である。
図4B図4Aに示す矢視4B-4Bにおけるチャンバの断面図である。
図5A図4Bに示す矢視5A-5Aにおけるチャンバの断面図である。
図5B図4Bに示す矢視5B-5Bにおけるチャンバの断面図である。
図6】チャンバ及び加熱ユニットの斜視図である。
図7図1に示した矢視7-7における香味吸引器の断面図である。
図8図3から図7に示したチャンバ内の所望の位置に消費材が配置された状態のチャンバの軸方向に直交する断面における断面図である。
図9A】他の実施形態に係る香味吸引器が備えるチャンバの軸方向と直交する断面における断面図を示す。
図9B】他の実施形態に係る香味吸引器が備えるチャンバの軸方向と直交する断面における断面図を示す。
図10】他の実施形態に係る香味吸引器100のチャンバとアウタハウジングの相対的な向きを説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0024】
図1Aは、本実施形態に係る香味吸引器100の概略正面図である。図1Bは、本実施形態に係る香味吸引器100の概略上面図である。図1Cは、本実施形態に係る香味吸引器100の概略底面図である。本明細書で説明する図面においては、説明の便宜のためにX-Y-Z直交座標系を付することがある。この座標系において、Z軸は鉛直上方を向いており、X-Y平面は香味吸引器100を水平方向に切断するように配置されており、Y軸は香味吸引器100の正面から裏面へ延出するように配置されている。Z軸は、後述する霧化部30のチャンバ50に収容される消費材の挿入方向、又は筒状のチャンバ50の軸方向ということもできる。本明細書では、Z軸方向を単に軸方向と称することがある。また、X軸は、軸方向に直交する第1方向ということもでき、Y軸は、軸方向及び第1方向に直交する第2方向ということもできる。また、X軸方向は、消費材の挿入方向に直交する面におけるデバイス長手方向、又は加熱部と電源部とが並ぶ方向ということもできる。Y軸方向は、消費材の挿入方向に直交する面におけるデバイス短手方向ということもできる。
【0025】
本実施形態に係る香味吸引器100は、例えば、エアロゾル源を含んだ香味源を有するスティック型の消費材を加熱することで、香味を含むエアロゾルを生成するように構成される。
【0026】
図1Aから図1Cに示されるように、香味吸引器100は、アウタハウジング101(ハウジングの一例に相当する)と、スライドカバー102と、スイッチ部103と、を有する。アウタハウジング101は、香味吸引器100の最外のハウジングを構成し、ユーザの手に収まるようなサイズを有する。ユーザが香味吸引器100を使用する際は、香味吸引器100を手で保持して、エアロゾルを吸引することができる。アウタハウジング101は、複数の部材を組み立てることによって構成されてもよい。アウタハウジング101は、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の樹脂で形成することができる。
【0027】
アウタハウジング101は、消費材を受け入れるための図示しない開口を有し、スライドカバー102は、この開口を閉じるようにアウタハウジング101にスライド可能に取り付けられる。具体的には、スライドカバー102は、アウタハウジング101の上記開口を閉鎖する閉位置(図1A及び図1Bに示す位置)と、上記開口を開放する開位置との間を、アウタハウジング101の外表面に沿って移動可能に構成される。例えば、ユーザがスライドカバー102を手動で操作することにより、スライドカバー102を閉位置と開位置とに移動させることができる。これにより、スライドカバー102、香味吸引器100の内部への消費材のアクセスを許可または規制することができる。
【0028】
スイッチ部103は、香味吸引器100の作動のオンとオフとを切り替えるために使用される。例えば、ユーザは、消費材を香味吸引器100に挿入した状態でスイッチ部103を操作することで、図示しない加熱ユニットに図示しない電源から電力が供給され、消費材を燃焼させずに加熱することができる。なお、スイッチ部103は、アウタハウジング101の外部に設けられるスイッチであってもよいし、アウタハウジング101の内部に位置するスイッチであってもよい。スイッチがアウタハウジング101の内部に位置する場合、アウタハウジング101の表面のスイッチ部103を押下することで、間接的にスイッチが押下される。本実施形態では、スイッチ部103のスイッチがアウタハウジング101の内部に位置する例を説明する。
【0029】
香味吸引器100はさらに、図示しない端子を有してもよい。端子は、香味吸引器100を例えば外部電源と接続するインターフェースであり得る。香味吸引器100が備える電源が充電式バッテリである場合は、端子に外部電源を接続することで、外部電源が電源に電流を流し、電源を充電することができる。また、香味吸引器100は、端子にデータ送信ケーブルを接続することにより、香味吸引器100の作動に関連するデータを外部装置に送信できるように構成され得る。
【0030】
次に、本実施形態に係る香味吸引器100で使用される消費材について説明する。図2は、消費材110の概略側断面図である。本実施形態において、香味吸引器100と消費材110とにより喫煙システムが構成され得る。図2に示す例においては、消費材110は、喫煙可能物111と、筒状部材114と、中空フィルタ部116と、フィルタ部115と、を有する。喫煙可能物111は、第1の巻紙112によって巻装される。筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115は、第1の巻紙112とは異なる第2の巻紙113によって巻装される。第2の巻紙113は、喫煙可能物111を巻装する第1の巻紙112の一部も巻装する。これにより、筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115と喫煙可能物111とが連結される。ただし、第2の巻紙113が省略され、第1の巻紙112を用いて筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115と喫煙可能物111とが連結されてもよい。第2の巻紙113のフィルタ部115側の端部近傍の外面には、ユーザの唇が第2の巻紙113からくっつきにくくするためのリップリリース剤117が塗布される。消費材110のリップリリース剤117が塗布される部分は、消費材110の吸口として機能する。
【0031】
喫煙可能物111は、例えばたばこ等の香味源と、エアロゾル源とを含み得る。また、喫煙可能物111を巻く第1の巻紙112は、通気性を有するシート部材であり得る。筒状部材114は、紙管又は中空フィルタであり得る。図示の例では、消費材110は、喫煙可能物111、筒状部材114、中空フィルタ部116、及びフィルタ部115を備えているが、消費材110の構成はこれに限られない。例えば、中空フィルタ部116が省略され、筒状部材114とフィルタ部115とが互いに隣接配置されてもよい。
【0032】
次に、香味吸引器100の内部構造について説明する。図3は、図1Bに示した矢視3-3における香味吸引器100の断面図である。図3に示すように、香味吸引器100のアウタハウジング101の内側には、インナハウジング10が設けられる。インナハウジング10は、例えば、樹脂製であり、特に、ポリカーボネート(PC)、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)または複数種類のポリマーを含有するポリマーアロイ等、あるいは、アルミ等の金属で形成され得る。耐熱性や強度の観点からは、インナハウジング10はPEEKで形成されることが好ましい。しかしながら、インナハウジング10の材料は特に限定されない。インナハウジング10の内部空間には、電源部20と、霧化部30と、が設けられる。また、アウタハウジング101は、例えば、樹脂製であり、特に、ポリカーボネート(PC)、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene)樹脂、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)または複数種類のポリマーを含有するポリマーアロイ等、あるいは、アルミ等の金属で形成され得る。
【0033】
電源部20は、電源21を有する。電源21は、例えば、充電式バッテリ又は非充電式のバッテリであり得る。電源21は、霧化部30と電気的に接続される。これにより、電源21は、消費材110を適切に加熱するように、霧化部30に電力を供給することができる。
【0034】
霧化部30は、図示のように、消費材110の挿入方向(Z軸方向)に延びるチャンバ50(収容部の一例に相当する)と、チャンバ50の一部を囲う加熱ユニット40と、断熱部32と、略筒状の挿入ガイド部材34と、を有する。チャンバ50は、消費材110を収容するように構成される。加熱ユニット40は、チャンバ50の外周面に接触し、チャンバ50に収容された消費材110を加熱するように構成される。
【0035】
香味吸引器100は、さらに、チャンバ50及び断熱部32の両端を支持する、第1支持部37と、第2支持部38とを有する。第1支持部37は、チャンバ50及び断熱部32のスライドカバー102側(Z軸正方向側)の端部を支持するように配置される。第2支持部38は、チャンバ50及び断熱部32のZ軸負方向側の端部を直接的又は間接的に支持するように配置される。第1支持部37及び第2支持部38は、例えば、シリコーンゴム等のエラストマーで形成することができる。図示のように、チャンバ50の底部には、底部材36が設けられていてもよい。底部材36は、チャンバ50に挿入された消費材110を位置決めするストッパとして機能し得る。底部材36は、消費材110が当接する面に凹凸を有し、消費材110が当接する面に空気を供給可能な空間を画定し得る底部材36は、例えば、PEEK等の樹脂材料、金属、ガラス、又はセラミック等で構成され得るが、特にこれに限定されない。また、底部材36を構成する材料は、チャンバ50を構成する材料に比べて、熱伝導性が低い材料であってもよい。底部材36をチャンバ50の底部56(図6B参照)に接合する場合、エポキシ樹脂等の樹脂材料や無機材料で構成され得る接着剤を用いることができる。チャンバ50及び加熱ユニット40についての詳細は後述する。
【0036】
断熱部32は、全体として略筒状であり、チャンバ50を囲うように配置される。断熱部32は、例えばエアロゲルシートを含み得る。挿入ガイド部材34は、例えばPEEK、PC、又はABS等の樹脂材料により形成され、閉位置にあるスライドカバー102とチャンバ50との間に設けられる。本実施形態では、挿入ガイド部材34がチャンバ50と接触し得るので、挿入ガイド部材34は、耐熱性の観点からPEEKで形成されることが好ましい。挿入ガイド部材34は、スライドカバー102が開位置にあるときに、香味吸引器100の外部と連通し、消費材110を挿入ガイド部材34に挿入することで、チャンバ50への消費材110の挿入を案内する。
【0037】
次に、チャンバ50の構造について説明する。図4Aは、チャンバ50の斜視図である。図4Bは、図4Aに示す矢視4B-4Bにおけるチャンバ50の断面図である。図5Aは、図4Bに示す矢視5A-5Aにおけるチャンバ50の断面図である。図5Bは、図4Bに示す矢視5B-5Bにおけるチャンバ50の断面図である。図6は、チャンバ50及び加熱ユニット40の斜視図である。図4A及び図4Bに示すように、チャンバ50は、消費材110が挿入される開口52と、消費材110を収容する筒状の側壁部60と、を含む筒状部材であり得る。チャンバ50は、耐熱性を有し、且つ熱膨張率が小さい材料で形成されることが好ましく、例えば、ステンレス鋼等の金属、PEEK等の樹脂、ガラス、又はセラミック等で形成され得る。
【0038】
図4B及び図5Bに示すように、側壁部60は、平坦部62と、湾曲部66と、を含む。消費材110がチャンバ50内の所望の位置に配置されたとき、平坦部62は、消費材110の一部と接触又は押圧し、湾曲部66は、消費材110から離間する。なお、本明細書において、「チャンバ50内の所望の位置」とは、消費材110が適切に加熱される位置、又はユーザが喫煙するときの消費材110の位置をいう。平坦部62は、平坦な内面62aと、平坦な外面62bとを有する。湾曲部66は、内面66aと、外面66bとを有する。図6に示すように、加熱ユニット40は、平坦部62の外面62bに配置される。加熱ユニット40は、平坦部62の外面62bに隙間なく配置されることが好ましい。なお、加熱ユニット40は接着層を含んでもよい。その場合、接着層を含む加熱ユニット40が、平坦部62の外面62bに隙間なく配置されることが好ましい。
【0039】
平坦部62の外面62bが平坦であることにより、図6に示すように平坦部62の外面62bに配置される加熱ユニット40に帯状の電極48が接続されている場合に、帯状の電極48が撓むことを抑制することができる。また、図4B及び図5Bに示すように、平坦部62の厚みは均一である。
【0040】
図4A図4B、及び図5Bに示すように、チャンバ50は、平坦部62をチャンバ50の周方向に2つ有し、一対の平坦部62は、互いに平行である。一対の平坦部62の内面62a間の少なくとも一部の距離は、チャンバ50に挿入される消費材110の平坦部62間に配置される箇所の幅よりも小さいことが好ましい。
【0041】
図5Bに示すように、湾曲部66の内面66aは、チャンバ50の長手方向(Z軸方向)に直交する面において、全体的に円弧状の断面を有し得る。また、湾曲部66は、平坦部62と周方向において隣接するように配置される。言い換えれば、湾曲部66は、一対の平坦部62のそれぞれの端部同士を接続するように構成される。
【0042】
図4Bに示すように、チャンバ50は図3に示した底部材36が貫通してチャンバ50内部に配置されるように、その底部56に穴56aを有し得る。底部材36は、チャンバ50の底部56の内部に接着剤等により固定され得る。底部56に設けられる底部材36は、消費材110の端面の少なくとも一部を露出するように、チャンバ50に挿入された消費材110の一部を支持し得る。
【0043】
図4A及び図4Bに示すように、チャンバ50は、開口52と側壁部60との間に筒状部54を有することが好ましい。消費材110がチャンバ50の所望の位置に位置決めされた状態において、筒状部54と消費材110との間に隙間が形成され得る。また、図4A及び図4Bに示すように、チャンバ50は、筒状部54の内面と平坦部62の内面62aとを接続するテーパ面58aを備えた第1ガイド部58を有することが好ましい。
【0044】
図6に示すように、加熱ユニット40は、加熱要素42(加熱部の一例に相当する)を有する。加熱要素42は、例えばヒーティングトラックであってもよい。加熱要素42は、チャンバ50の外面に設けられてもよいし、内面に設けられてもよい。加熱要素42は、チャンバ50の湾曲部66に接触せず、平坦部62を加熱するように配置されることが好ましい。言い換えれば、加熱要素42は、平坦部62の外面にのみ配置されることが好ましい。加熱要素42は、チャンバ50の湾曲部66を加熱する部分と、平坦部62を加熱する部分とを有し、それぞれの加熱能力に差を有していてもよい。具体的には、加熱要素42は、湾曲部66よりも平坦部62を高い温度に加熱するように構成されていてもよい。例えば、平坦部62と湾曲部66とにおける加熱要素42のヒーティングトラックの配置密度が調整され得る。また、加熱要素42は、チャンバ50の全周において略同一の加熱能力を有して、チャンバ50の外周に巻回されてもよい。図6に示すように、加熱ユニット40は、加熱要素42に加えて、加熱要素42の少なくとも一面を覆う電気絶縁部材44を有することが好ましい。本実施形態においては、電気絶縁部材44は加熱要素42の両面を覆う様に配置される。
【0045】
次に、本実施形態におけるチャンバ50とアウタハウジング101の相対的な向きについて説明する。図7は、図1に示した矢視7-7における香味吸引器100の断面図である。なお、図7においては、説明を容易にするために、アウタハウジング101とチャンバ50を除いた部品の図示を省略している。図5B及び図6に示したように本実施形態のチャンバ50は、軸方向に直交する断面において扁平な形状を有する。具体的には、チャンバ50は、互いに平行な一対の平坦部62と、一対の平坦部62のそれぞれの端部同士を接続する一対の湾曲部66を有する。また、図7に示すように、本実施形態のアウタハウジング101は、軸方向に直交する断面において扁平な形状を有する。具体的には、図7に示すようにアウタハウジング101は、第1側壁101a及び第1側壁101aとY軸方向に対向する第2側壁101bとを有する。
【0046】
図7に示す断面において、アウタハウジング101は、アウタハウジング101の重心を通過する第1長軸A1を有する。本明細書におけるアウタハウジング101の重心とは、図7に示す断面におけるアウタハウジング101の外縁の内部を同一質量としたときの重心をいう。また、本明細書において「第1長軸」とは、チャンバ50の軸方向と直交する断面(図7に示す断面)において、アウタハウジング101の重心を通過する所定の軸におけるアウタハウジング101の長さ(外側表面間の長さ)が、アウタハウジング101の最大長さに相当する場合における、所定の軸上に位置する軸をいう。したがって、図7に示す第1長軸A1におけるアウタハウジング101の長さは、チャンバ50の軸方向と直交する断面におけるアウタハウジング101の最大長さに相当する。また、本明細書において、「第1長軸」とは、チャンバ50の軸方向と直交する断面において、アウタハウジング101の重心を通過する所定の軸と直交し且つアウタハウジング101の重心を通過する軸におけるアウタハウジング101の長さ(外側表面間の長さ)が、アウタハウジング101の最小長さに相当する場合における、所定の軸上に位置する軸ということもできる。
【0047】
図7に示す断面において、チャンバ50は、チャンバ50の重心を通過する第2長軸A2を有する。本明細書におけるチャンバ50の重心とは、図7に示す断面におけるチャンバ50の外縁の内部を同一質量としたときの重心をいう。また、本明細書において「第2長軸」とは、チャンバ50の軸方向と直交する断面(図7に示す断面)において、所定の軸におけるチャンバ50の長さ(外側表面間の長さ)が、チャンバ50の最大長さに相当する場合における、所定の軸上に位置する軸をいう。したがって、図7に示す第2長軸A2におけるチャンバ50の長さは、チャンバ50の軸方向と直交する断面におけるチャンバ50の最大長さに相当する。また、本明細書において、「第2長軸」とは、チャンバ50の軸方向と直交する断面において、チャンバ50の重心を通過する所定の軸と直交し且つチャンバ50の重心を通過する軸におけるチャンバ50の長さ(外側表面間の長さ)が、チャンバ50の最小長さに相当する場合における、所定の軸上に位置する軸ということもできる。
【0048】
図7に示すような扁平な形状を有するチャンバ50及びアウタハウジング101において、第1長軸A1が第2長軸A2と平行となるように、チャンバ50がアウタハウジング101内に配置されると、チャンバ50の第2長軸A2に沿った面、即ち平坦部62を含む面が、アウタハウジング101の第1側壁101a及び第2側壁101bと対向することになる。この場合、アウタハウジング101の第1側壁101a及び第2側壁101bと近接する面積が比較的大きい、チャンバ50の第2長軸A2に沿った面が対向することになり、アウタハウジング101から意図しない熱の漏洩又はユーザの使用時の違和感が生じる恐れがある。そこで、本実施形態では、図7に示す断面において、第1長軸A1と第2長軸A2とが交差するように、アウタハウジング101とチャンバ50が配置される。
【0049】
これにより、第1長軸A1が第2長軸A2と平行にならないので、チャンバ50の第2長軸A2に沿った面が、アウタハウジング101の第1長軸A1に沿った面(第1側壁101a又は第2側壁101b)と対向することが防止され得る。その結果、チャンバ50の第2長軸A2に沿った面がアウタハウジング101の第1長軸A1に沿った面と対向する場合に比べて、チャンバ50の第2長軸A2に沿った面のアウタハウジング101と近接する面積を小さくすることができるので、チャンバ50の熱がアウタハウジング101に伝達されて、熱が漏洩することが抑制され得る。
【0050】
本実施形態において、図7に示す断面において、第1長軸A1は、第2長軸A2と実質的に直交することが好ましい。これにより、第1長軸A1が第2長軸A2と直交しない場合に比べて、チャンバ50の第2長軸A2に沿った面がアウタハウジング101の第1長軸A1に沿った面からより離間され得る。その結果、加熱ユニット40の熱がアウタハウジング101に伝達されて、熱が漏洩することが抑制され得る。
【0051】
また、本実施形態において、図7に示すように、アウタハウジング101の重心と、チャンバ50の重心とが、実質的に一致しないことが好ましい。これにより、チャンバ50の重心がアウタハウジング101の重心と一致する場合に比べて、アウタハウジング101内に広い空間が形成され得る。その結果、アウタハウジング101内に電源21等の部品を収容するスペースの確保が容易になる。
【0052】
図8は、図3から図7に示したチャンバ50内の所望の位置に消費材110が配置された状態のチャンバ50の軸方向に直交する断面における断面図である。図8では、加熱要素42が平坦部62にのみ設けられている例が示されている。消費材110がチャンバ50内の所望の位置に配置されたとき、消費材110とチャンバ50との間に空気流路が形成され得る。具体的には、図8に示すように、消費材110がチャンバ50内の所望の位置に配置されると、消費材110はチャンバ50の平坦部62と接触して押圧され得る。他方、消費材110と湾曲部66との間には、空隙67が形成される。空隙67は、チャンバ50の開口52と、チャンバ50内に位置づけられた消費材110の端面と連通し得る。これにより、チャンバ50の開口52から流入した空気は、空隙67を通過して、消費材110の内部に流入することができる。言い換えれば、消費材110と湾曲部66との間に空気流路(空隙67)が形成される。
【0053】
図8に示すように、軸方向に直交する断面において、加熱要素42は、第2長軸A2と交差しないことが好ましい。図7に示したように第1長軸A1が第2長軸A2と交差する場合、チャンバ50には、第2長軸A2上のチャンバ50の面(湾曲部66の面)よりもアウタハウジング101から離れて位置する面が存在し得る。具体的には、図7に示した例においては、チャンバ50の平坦部62の面は、湾曲部66の面よりもアウタハウジング101の第1側壁101a又は第2側壁101bよりも離れて位置する。したがって、図8に示す例では、加熱要素42が第2長軸A2と交差する場合に比べて、アウタハウジング101と加熱要素42との距離を遠くすることができるので、加熱要素42の熱がアウタハウジング101に漏洩することがより抑制され得る。加熱要素42が疎な部分と密な部分を有する場合には、加熱要素42の疎な部分が第2長軸A2と交差し、加熱要素の密な部分が第1長軸A1と交差することが好ましい。
【0054】
また、図8に示すように、軸方向に直交する断面において、空気流路(空隙67)は、第2長軸A2と交差することが好ましい。これにより、アウタハウジング101とチャンバ50との距離が比較的近い第2長軸A2上に空気流路(空隙67)が設けられるので、空気流路(空隙67)が空気断熱層として機能し、チャンバ50内で加熱される消費材110の熱がチャンバ50の外部に伝達されることが抑制され得る。その結果、熱がチャンバ50に漏洩することが抑制され得る。
【0055】
また、図8に示すように、軸方向に直交する断面において、平坦部62は第2長軸A2と実質的に平行であり、且つ加熱要素42が、平坦部62の内面又は外面に設けられることが好ましい。これにより、アウタハウジング101とチャンバ50との距離が比較的近い第2長軸A2上に加熱要素42が設けられないので、アウタハウジング101と加熱要素42との距離を遠くすることができ、加熱要素42の熱がアウタハウジング101に漏洩することがより抑制され得る。
【0056】
また、図8に示すように、本実施形態では、湾曲部66と消費材110との間に空気流路(空隙67)が形成されるので、空気流路(空隙67)を通過する空気が湾曲部66の熱を吸収し、湾曲部66を冷却することができる。また、チャンバ50の第2長軸A2は平坦部62と実質的に平行であるので、湾曲部66は第2長軸A2上に位置することになる。したがって、アウタハウジング101との距離が比較的近い湾曲部66が冷却されるので、熱がアウタハウジング101に漏洩することが抑制され得る。
【0057】
図9A及び図9Bは、他の実施形態に係る香味吸引器100が備えるチャンバ50の軸方向と直交する断面における断面図を示す。図9Aに示すように、チャンバ50は、軸方向と直交する断面において、略楕円形の断面を有してもよい。また、図9Aに示すように、加熱要素42は、チャンバ50の内面に設けられてもよい。図9Aに示す第2長軸A2におけるチャンバ50の長さは、チャンバ50の軸方向と直交する断面におけるチャンバ50の最大長さに相当する。図9Aに示す例においても、図8に示したチャンバ50と同様に、軸方向と直交する断面において、加熱要素42は、第2長軸A2と交差しない。また、図9Aに示すチャンバ50は略楕円形断面を有するので、このチャンバ50に円形断面を有する消費材110を挿入すると、消費材110とチャンバ50との間に空隙が生じ、この空隙が第2長軸A2上に位置することになる。
【0058】
図9Bに示すように、チャンバ50は、軸方向と直交する断面において、略長方形の断面を有してもよい。図9Bに示す例では、図9Aと同様に、加熱要素42がチャンバ50の内面に設けられている。図7図8図9Aに示した第2長軸A2と異なり、図9Bに示す第2長軸A2におけるチャンバ50の長さは、チャンバ50の軸方向と直交する断面におけるチャンバ50の最大長さには相当しない。対して、図9Bでは、チャンバ50の軸方向と直交する断面において、チャンバ50の重心C1を通過する第2長軸A2と直交し且つチャンバ50の重心C1を通過する軸A3におけるチャンバ50の長さ(外側表面間の長さ)が、チャンバ50の最小長さに相当する。図9Bに示す例においても、図8に示したチャンバ50と同様に、軸方向と直交する断面において、加熱要素42は、第2長軸A2と交差しない。また、図9Bに示すチャンバ50は略長方形断面を有するので、このチャンバ50に円形断面を有する消費材110を挿入すると、消費材110とチャンバ50との間に空隙が生じ、この空隙が第2長軸A2上に位置することになる。
【0059】
図10は、他の実施形態に係る香味吸引器100のチャンバ50とアウタハウジング101の相対的な向きを説明する概略図である。図10では、説明を容易にするためにチャンバ50とアウタハウジング101のみが示されている。図10に示すように、アウタハウジング101の第1長軸A1とチャンバ50の第2長軸A2は、直交しなくてもよい。この場合であっても、第1長軸A1が第2長軸A2と平行にならないので、チャンバ50の第2長軸A2に沿った面が、アウタハウジング101の第1長軸A1に沿った面と対向することが防止され得る。
【0060】
以上に本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載のない何れの形状や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば、本実施形態の香味吸引器100は、チャンバ50の開口52から流入した空気が消費材110の端面に供給される、いわゆるカウンターフロー式の空気流路を有するが、これに限らず、チャンバ50の底部56からチャンバ50内に空気が供給する、いわゆるボトムフロー式の空気流路を有してもよい。また、加熱要素42は、抵抗加熱型に限らず、誘導加熱型であってもよい。その場合、加熱要素42は、誘導加熱によってチャンバ50を加熱することができる。また、消費材110がサセプタを有する場合には、加熱要素42が誘導加熱によって消費材110のサセプタを加熱することができる。
【符号の説明】
【0061】
42 :加熱要素
50 :チャンバ
60 :側壁部
62 :平坦部
66 :湾曲部
67 :空隙
100 :香味吸引器
101 :アウタハウジング
110 :消費材
A1 :第1長軸
A2 :第2長軸
C1 :重心
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10