(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】表示素子、及び電子機器
(51)【国際特許分類】
H10K 50/856 20230101AFI20240401BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20240401BHJP
H10K 59/30 20230101ALI20240401BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240401BHJP
【FI】
H10K50/856
H10K59/35
H10K59/30
G09F9/30 349D
G09F9/30 365
(21)【出願番号】P 2023012555
(22)【出願日】2023-01-31
(62)【分割の表示】P 2017248697の分割
【原出願日】2017-12-26
【審査請求日】2023-02-28
(73)【特許権者】
【識別番号】316005926
【氏名又は名称】ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121131
【氏名又は名称】西川 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082131
【氏名又は名称】稲本 義雄
(74)【代理人】
【識別番号】100168686
【氏名又は名称】三浦 勇介
(72)【発明者】
【氏名】関根 昌章
(72)【発明者】
【氏名】坂入 卓
(72)【発明者】
【氏名】大地 朋和
(72)【発明者】
【氏名】市川 朋芳
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0332762(US,A1)
【文献】特表2007-503093(JP,A)
【文献】特開2009-049135(JP,A)
【文献】特開2013-191533(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0176025(US,A1)
【文献】特開2009-206041(JP,A)
【文献】国際公開第2014/148263(WO,A1)
【文献】特開2006-278257(JP,A)
【文献】特開2007-248484(JP,A)
【文献】国際公開第2017/051622(WO,A1)
【文献】特開2010-056017(JP,A)
【文献】国際公開第2016/158074(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 50/856
H10K 59/35
H10K 59/30
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の光を発する第1のサブ画素と、前記第1の光と異なる第2の光を発する第2のサブ画素を含む画素を2次元状に配置した表示領域を有し、
前記第1のサブ画素は、第1のアノード電極を含む第1の有機発光素子を有し、
前記第2のサブ画素は、第2のアノード電極を含む第2の有機発光素子を有し、
前記画素は、
無機材料からなる第1の部材を有し、
前記第1の部材は、前記第1の有機発光素子からの光を反射する第1の反射面と、前記第2の有機発光素子からの光を反射する第2の反射面を形成しており、
前記第1のアノード電極の下面から、前記第1の反射面を形成した前記第1の部材の上面までの積層方向の距離である第1の距離と、前記第2のアノード電極の下面から、前記第2の反射面を形成した前記第1の部材の上面までの積層方向の距離である第2の距離とが異な
り、
前記第1の部材は、
前記第1のアノード電極が露出した第1の開口部に対する側壁が、所定の傾斜角で傾斜して前記第1の反射面を形成し、
前記第2のアノード電極が露出した第2の開口部に対する側壁が、所定の傾斜角で傾斜して前記第2の反射面を形成し、
前記第1のアノード電極の少なくとも一部の領域は、前記第1の反射面を形成する側壁と接し、
前記第2のアノード電極の少なくとも一部の領域は、前記第2の反射面を形成する側壁と接し、
前記画素における前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素は、発光面積と画素ピッチが同じである
表示素子。
【請求項2】
第1の屈折率を有する前記第1の部材と、
前記第1の屈折率と異なる第2の屈折率を有する第2の部材であって、前記第1の開口部から露出した前記第1のアノード電極及び前記第1の反射面による第1の凹部と、前記第2の開口部から露出した前記第2のアノード電極及び前記第2の反射面による第2の凹部に埋め込まれた前記第2の部材と
により光反射層が形成される
請求項
1に記載の表示素子。
【請求項3】
前記画素は、
第3のアノード電極を含む第3の有機発光素子を有し、前記第1の光、及び前記第2の光と異なる第3の光を発する第3のサブ画素と、
第4のアノード電極を含む第4の有機発光素子を有し、前記第1の光、前記第2の光、及び前記第3の光と異なる第4の光を発する第4のサブ画素と
をさらに
含み、
前記画素における前記第1のサブ画素と、前記第2のサブ画素と、前記第3のサブ画素と、前記第4のサブ画素は、発光面積と画素ピッチが同じであり、
前記第1の部材は、前記第3の有機発光素子からの光を反射する第3の反射面と、前記第4の有機発光素子からの光を反射する第4の反射面をさらに形成しており、
前記第3のアノード電極の下面から、前記第3の反射面を形成した前記第1の部材の上面までの積層方向の距離である第3の距離と、前記第4のアノード電極の下面から、前記第4の反射面を形成した前記第1の部材の上面までの積層方向の距離である第4の距離は、前記第1の距離及び前記第2の距離の少なくとも一方と異なり、
前記第1の部材は、
前記第3のアノード電極が露出した第3の開口部に対する側壁が、所定の傾斜角で傾斜して前記第3の反射面を形成し、
前記第4のアノード電極が露出した第4の開口部に対する側壁が、所定の傾斜角で傾斜して前記第4の反射面を形成し、
前記第3のアノード電極の少なくとも一部の領域は、前記第3の反射面を形成する側壁と接し、
前記第4のアノード電極の少なくとも一部の領域は、前記第4の反射面を形成する側壁と接する
請求項1に記載の表示素子。
【請求項4】
第1の光を発する第1のサブ画素と、前記第1の光と異なる第2の光を発する第2のサブ画素を含む画素を2次元状に配置した表示領域を有し、
前記第1のサブ画素は、第1のアノード電極を含む第1の有機発光素子を有し、
前記第2のサブ画素は、第2のアノード電極を含む第2の有機発光素子を有し、
前記画素は、
無機材料からなる第1の部材を有し、
前記第1の部材は、前記第1の有機発光素子からの光を反射する第1の反射面と、前記第2の有機発光素子からの光を反射する第2の反射面を形成しており、
前記第1のアノード電極の下面から、前記第1の反射面を形成した前記第1の部材の上面までの積層方向の距離である第1の距離と、前記第2のアノード電極の下面から、前記第2の反射面を形成した前記第1の部材の上面までの積層方向の距離である第2の距離とが異な
り、
前記第1の部材は、
前記第1のアノード電極が露出した第1の開口部に対する側壁が、所定の傾斜角で傾斜して前記第1の反射面を形成し、
前記第2のアノード電極が露出した第2の開口部に対する側壁が、所定の傾斜角で傾斜して前記第2の反射面を形成し、
前記第1のアノード電極の少なくとも一部の領域は、前記第1の反射面を形成する側壁と接し、
前記第2のアノード電極の少なくとも一部の領域は、前記第2の反射面を形成する側壁と接し、
前記画素における前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素は、発光面積と画素ピッチが同じである
表示素子を備える電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、表示素子、及び電子機器に関し、特に、画素の輝度を向上させることができるようにした表示素子、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電圧を印加すると素子自体が発光する発光素子として、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)と呼ばれる現象を応用した有機発光ダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)を用いた有機EL表示素子等の自発光型の表示素子の開発が進められている。
【0003】
有機EL表示素子においては、光の取り出し効率が悪いと、有機EL素子における実際の発光量を有効に活用していないことになり、消費電力などの点で損失を生じる要因となるため、効率良く光を取り出すための技術が求められている。
【0004】
光の取り出し効率の向上を図るための技術としては、例えば、特許文献1に開示されている技術が知られている。特許文献1には、部材間の屈折率の差を利用して、部材表面において伝播した光の一部を反射させるアノードリフレクタ構造に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、有機EL表示素子においては、画素ごとに輝度を向上させるために、特定の画素のサイズを大きくして、発光面積を増大させる方法をとることが可能であるが、そのような方法を採用した場合には、画素ピッチが変わってしまうため、高精細化が困難となる。そのため、より適切に、画素の輝度を向上させるための技術が求められている。
【0007】
本技術はこのような状況に鑑みてなされたものであり、画素の輝度を向上させることができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本技術の一側面の表示素子は、第1の光を発する第1のサブ画素と、前記第1の光と異なる第2の光を発する第2のサブ画素を含む画素を2次元状に配置した表示領域を有し、前記第1のサブ画素は、第1のアノード電極を含む第1の有機発光素子を有し、前記第2のサブ画素は、第2のアノード電極を含む第2の有機発光素子を有し、前記画素は、無機材料からなる第1の部材を有し、前記第1の部材は、前記第1の有機発光素子からの光を反射する第1の反射面と、前記第2の有機発光素子からの光を反射する第2の反射面を形成しており、前記第1のアノード電極の下面から、前記第1の反射面を形成した前記第1の部材の上面までの積層方向の距離である第1の距離と、前記第2のアノード電極の下面から、前記第2の反射面を形成した前記第1の部材の上面までの積層方向の距離である第2の距離とが異なり、前記第1の部材は、前記第1のアノード電極が露出した第1の開口部に対する側壁が、所定の傾斜角で傾斜して前記第1の反射面を形成し、前記第2のアノード電極が露出した第2の開口部に対する側壁が、所定の傾斜角で傾斜して前記第2の反射面を形成し、前記第1のアノード電極の少なくとも一部の領域は、前記第1の反射面を形成する側壁と接し、前記第2のアノード電極の少なくとも一部の領域は、前記第2の反射面を形成する側壁と接し、前記画素における前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素は、発光面積と画素ピッチが同じである表示素子である。
【0009】
本技術の一側面の表示素子においては、第1の光を発する第1のサブ画素と、前記第1の光と異なる第2の光を発する第2のサブ画素を含む画素を2次元状に配置した表示領域が設けられ、前記第1のサブ画素には、第1のアノード電極を含む第1の有機発光素子が設けられ、前記第2のサブ画素には、第2のアノード電極を含む第2の有機発光素子が設けられ、前記画素には、無機材料からなる第1の部材が設けられ、前記第1の部材には、前記第1の有機発光素子からの光を反射する第1の反射面と、前記第2の有機発光素子からの光を反射する第2の反射面が形成されており、前記第1のアノード電極の下面から、前記第1の反射面を形成した前記第1の部材の上面までの積層方向の距離である第1の距離と、前記第2のアノード電極の下面から、前記第2の反射面を形成した前記第1の部材の上面までの積層方向の距離である第2の距離とが異っている。また、前記第1の部材には、前記第1のアノード電極が露出した第1の開口部に対する側壁が、所定の傾斜角で傾斜して前記第1の反射面が形成され、前記第2のアノード電極が露出した第2の開口部に対する側壁が、所定の傾斜角で傾斜して前記第2の反射面が形成され、前記第1のアノード電極の少なくとも一部の領域が、前記第1の反射面を形成する側壁と接し、前記第2のアノード電極の少なくとも一部の領域が、前記第2の反射面を形成する側壁と接しており、前記画素における前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素が、発光面積と画素ピッチが同じとされる。
【0010】
本技術の一側面の電子機器は、第1の光を発する第1のサブ画素と、前記第1の光と異なる第2の光を発する第2のサブ画素を含む画素を2次元状に配置した表示領域を有し、前記第1のサブ画素は、第1のアノード電極を含む第1の有機発光素子を有し、前記第2のサブ画素は、第2のアノード電極を含む第2の有機発光素子を有し、前記画素は、無機材料からなる第1の部材を有し、前記第1の部材は、前記第1の有機発光素子からの光を反射する第1の反射面と、前記第2の有機発光素子からの光を反射する第2の反射面を形成しており、前記第1のアノード電極の下面から、前記第1の反射面を形成した前記第1の部材の上面までの積層方向の距離である第1の距離と、前記第2のアノード電極の下面から、前記第2の反射面を形成した前記第1の部材の上面までの積層方向の距離である第2の距離とが異なり、前記第1の部材は、前記第1のアノード電極が露出した第1の開口部に対する側壁が、所定の傾斜角で傾斜して前記第1の反射面を形成し、前記第2のアノード電極が露出した第2の開口部に対する側壁が、所定の傾斜角で傾斜して前記第2の反射面を形成し、前記第1のアノード電極の少なくとも一部の領域は、前記第1の反射面を形成する側壁と接し、前記第2のアノード電極の少なくとも一部の領域は、前記第2の反射面を形成する側壁と接し、前記画素における前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素は、発光面積と画素ピッチが同じである表示素子を備える電子機器である。
【0011】
本技術の一側面の電子機器においては、第1の光を発する第1のサブ画素と、前記第1の光と異なる第2の光を発する第2のサブ画素を含む画素を2次元状に配置した表示領域が設けられ、前記第1のサブ画素には、第1のアノード電極を含む第1の有機発光素子が設けられ、前記第2のサブ画素には、第2のアノード電極を含む第2の有機発光素子が設けられ、前記画素には、無機材料からなる第1の部材が設けられ、前記第1の部材には、前記第1の有機発光素子からの光を反射する第1の反射面と、前記第2の有機発光素子からの光を反射する第2の反射面が形成されており、前記第1のアノード電極の下面から、前記第1の反射面を形成した前記第1の部材の上面までの積層方向の距離である第1の距離と、前記第2のアノード電極の下面から、前記第2の反射面を形成した前記第1の部材の上面までの積層方向の距離である第2の距離とが異っている表示素子が搭載される。また、表示素子において、前記第1の部材には、前記第1のアノード電極が露出した第1の開口部に対する側壁が、所定の傾斜角で傾斜して前記第1の反射面が形成され、前記第2のアノード電極が露出した第2の開口部に対する側壁が、所定の傾斜角で傾斜して前記第2の反射面が形成され、前記第1のアノード電極の少なくとも一部の領域が、前記第1の反射面を形成する側壁と接し、前記第2のアノード電極の少なくとも一部の領域が、前記第2の反射面を形成する側壁と接しており、前記画素における前記第1のサブ画素と前記第2のサブ画素が、発光面積と画素ピッチが同じとされる。
【0012】
なお、本技術の一側面の表示素子又は電子機器は、独立した装置であってもよいし、1つの装置を構成している内部ブロックであってもよい。
【発明の効果】
【0013】
本技術の一側面によれば、画素の輝度を向上させることができる。
【0014】
なお、ここに記載された効果は必ずしも限定されるものではなく、本開示中に記載されたいずれかの効果であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本技術を適用した表示素子の一実施の形態の構成の例を示すブロック図である。
【
図2】画素駆動回路の構成の例を示す回路図である。
【
図4】従来の画素の構造の一部を示す要部断面図である。
【
図5】第1の実施の形態の画素の構造の一部を示す要部断面図である。
【
図6】第2の実施の形態の画素の構造の一部を示す要部断面図である。
【
図7】第3の実施の形態の画素の構造の一部を示す要部断面図である。
【
図8】リフレクタによる光の反射を説明する概念図である。
【
図9】リフレクタの斜面までの距離と全反射するリフレクタの高さとの関係を示す図である。
【
図10】リフレクタによる光の反射を説明する概念図である。
【
図11】リフレクタ角度を変化させた場合の全反射条件を満たすリフレクタの高さの変化をまとめた表である。
【
図12】所定の全反射条件を満たすリフレクタの構造の例を示す図である。
【
図13】本技術の実施の形態の画素の製造工程の第1の例の流れを説明する図である。
【
図14】本技術の実施の形態の画素の製造工程の第1の例の流れを説明する図である。
【
図15】本技術の実施の形態の画素の製造工程の第1の例の流れを説明する図である。
【
図16】本技術の実施の形態の画素の製造工程の第1の例の流れを説明する図である。
【
図17】本技術の実施の形態の画素の製造工程の第1の例の流れを説明する図である。
【
図18】本技術の実施の形態の画素の製造工程の第2の例の流れを説明する図である。
【
図19】本技術の実施の形態の画素の製造工程の第2の例の流れを説明する図である。
【
図20】本技術の実施の形態の画素の製造工程の第2の例の流れを説明する図である。
【
図21】本技術の実施の形態の画素の製造工程の第2の例の流れを説明する図である。
【
図22】本技術の実施の形態の画素の製造工程の第2の例の流れを説明する図である。
【
図23】本技術を適用した表示素子が適用される電子機器として、一眼レフカメラの外観の例を示す図である。
【
図24】本技術を適用した表示素子が適用される電子機器として、ヘッドマウントディスプレイの外観の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本技術の実施の形態について説明する。なお、説明は以下の順序で行うものとする。
【0017】
1.本技術の実施の形態
2.変形例
3.電子機器の例
【0018】
<1.本技術の実施の形態>
【0019】
(表示素子の構成例)
図1は、本技術を適用した表示素子の一実施の形態の構成の例を示すブロック図である。
【0020】
図1において、表示素子1は、例えば、有機発光ダイオード(OLED)を用いた有機EL表示素子等の自発光型の表示素子(表示装置)である。
【0021】
図1に示すように、表示素子1には、例えば、ガラス、シリコンウェハ、又は樹脂などよりなる基板11上に、複数の画素(サブ画素100R,100W,100G,100B)が、2次元状に配置されてなる表示領域23が形成される。また、この表示領域23の周辺には、映像表示用のドライバである信号線駆動回路21及び走査線駆動回路22が形成される。
【0022】
表示領域23内には、画素駆動回路33が形成されている。
図2は、画素駆動回路33の構成の例を示している。
【0023】
図2に示すように、画素駆動回路33は、駆動トランジスタTr1及び書き込みトランジスタTr2と、その間のキャパシタ(保持容量)Csと、第1の電源ライン(Vcc)及び第2の電源ライン(GND)の間において、駆動トランジスタTr1に直列に接続された有機発光素子101(101R,101W,101G,101B)とを有するアクティブ型の駆動回路である。
【0024】
画素駆動回路33において、列方向には、信号線31が複数配置され、行方向には、走査線32が複数配置されている。各信号線31と各走査線32との交差点が、有機発光素子101R,101W,101G,101Bのいずれか1つを含むサブ画素100R,100W,100G,100Bに対応している。
【0025】
各信号線31は、信号線駆動回路21に接続され、この信号線駆動回路21から信号線31を介して書き込みトランジスタTr2のソース電極に画像信号が供給されるようになっている。各走査線32は、走査線駆動回路22と接続され、この走査線駆動回路22から走査線32を介して、書き込みトランジスタTr2のゲート電極に、走査信号が順次供給されるようになっている。
【0026】
図3は、表示領域23の平面構成の例を示している。
図3において、表示領域23には、赤色(R)の光を発生するサブ画素100Rと、白色(W)の光を発生するサブ画素100Wと、緑色(G)の光を発生するサブ画素100Gと、青色(B)の光を発生するサブ画素100Bとが、順に全体として2次元状に形成されている。
【0027】
なお、隣り合うサブ画素100R,100W,100G,100B(サブピクセル)の組み合わせが、1つの画素(ピクセル)10を構成している。すなわち、表示領域23は、複数の画素10が2次元状(行列状)に配列され、各画素10は、赤色(R)、白色(W)、緑色(G)、及び青色(B)の4つのサブ画素100から構成される。換言すれば、表示領域23においては、2次元状に配置される各画素10は、WRGB画素とされる。
【0028】
(画素の構造)
ところで、有機EL表示素子において、画素を構成する各サブ画素の輝度を向上させるためには、サブ画素のサイズを変えることで、対応することが可能となる。しかしながら、画素のうちの特定のサブ画素のサイズを大きくして、発光面積を増大させる方法をとった場合には、画素ピッチが変わってしまうため、高精細化が困難となる。
【0029】
具体的には、
図4に示すように、4つのサブ画素900から構成される画素90において、サブ画素900Wの輝度を向上させるために、4つのサブ画素900のうち、サブ画素900Wにおける発光部の発光面積を増大させた構造を想定する。
【0030】
この構造においては、サブ画素900Wのみ、発光面積が増大しているため、サブ画素900Wの画素ピッチが、他のサブ画素900R,900G,900Bの画素ピッチと異なることになる。そして、このように、サブ画素900ごとに画素ピッチが変わってしまうと、高精細化が困難となるのは先に述べた通りである。
【0031】
そこで、本技術では、画素10を構成するサブ画素100ごとに、発光部に対する光反射部(リフレクタ)の高さを調整することで、画素ピッチを変えずに、サブ画素100ごとの輝度を調整することができるようにする。以下、本技術を適用した画素の構造として、第1の実施の形態乃至第3の実施の形態の画素10の構造を順に説明する。
【0032】
(画素の構造の第1の例)
図5は、第1の実施の形態の画素の構造の一部を示す要部断面図である。以下、この要部断面図を参照しながら、第1の実施の形態の画素10の構造を説明する。
【0033】
図5において、第1の実施の形態の画素10は、赤色(R)を発光するサブ画素100R、白色(W)を発光するサブ画素100W、緑色(G)を発光するサブ画素100G、及び青色(B)を発光するサブ画素100Bの4つのサブ画素から構成される。
【0034】
なお、サブ画素100Rは、有機発光素子101Rを含む。同様に、サブ画素100W,100G,100Bは、有機発光素子101W,101G,101Bをそれぞれ含んでいる。
【0035】
有機発光素子101Rは、発光層を有する有機層と、電極から構成される発光部である。有機発光素子101Rにおいて、有機層は、アノード電極とカソード電極とに挟まれる構造からなるが、
図5には、アノード電極121Rのみを図示している。なお、アノード電極121Rが露出した開口部は、発光部を規定するものとなる。
【0036】
ここで、有機層は、有機発光材料からなる発光層を有しているが、具体的には、例えば、正孔輸送層と発光層と電子輸送層との積層構造や、正孔輸送層と電子輸送層を兼ねた発光層との積層構造、正孔注入層と正孔輸送層と発光層と電子輸送層と電子注入層との積層構造などから構成することができる。例えば、この有機発光素子101Rは、白色に発光する構造を採用するのが望ましい。
【0037】
また、サブ画素100Rにおいては、有機発光素子101Rに対して、透過光が赤色(R)の領域となるカラーフィルタ131Rが設けられており、これらの組み合わせによって、サブ画素100Rは、赤色(R)の光を発生する。
【0038】
有機発光素子101Wは、有機発光素子101Rと同様に、有機層と電極(アノード電極121Wを含む)から構成される発光部である。有機発光素子101Wに対しては、カラーフィルタは設けられておらず、サブ画素100Wは、白色(W)の光を発生する。
【0039】
有機発光素子101Gは、有機発光素子101Rと同様に、有機層と電極(アノード電極121Gを含む)から構成される発光部である。有機発光素子101Gに対しては、透過光が緑色(G)の領域となるカラーフィルタ131Gが設けられており、これらの組み合わせによって、サブ画素100Gは、緑色(G)の光を発生する。
【0040】
有機発光素子101Bは、有機発光素子101Rと同様に、有機層と電極(アノード電極121Bを含む)から構成される発光部である。有機発光素子101Bに対しては、透過光が青色(B)の領域となるカラーフィルタ131Bが設けられており、これらの組み合わせによって、サブ画素100Bは、青色(B)の光を発生する。
【0041】
また、第1の実施の形態の画素10は、光の取り出し効率を向上させるために、リフレクタ(光反射部)が設けられている。
【0042】
ここで、リフレクタは、第1基板上に、有機発光素子からの光を表示面側に反射する第1部材と、第1基板に対向配置された第2基板と光反射構造との間を充填するとともに、第1部材の屈折率とは異なる屈折率を有する第2部材とから構成され、第1部材の表面において第2部材を伝播した光を反射させることによって、光取り出し効率を向上させることができる。
【0043】
図5に示すように、第1の実施の形態の画素10おいては、光反射層(リフレクタ構造)として構成される第1部材111の表面に、リフレクタ112が形成されている。なお、第1部材111は、例えば、SiO
2等の材料を用いて構成することができる。
【0044】
なお、ここでは、図示を省略しているが、第1の実施の形態の画素10においては、各有機発光素子101からの光を伝播して外部に射出する第2部材(例えば、後述の
図17の第2部材151)が形成されており、その第2部材の間を充填するように、第1部材111が形成されている。すなわち、第1部材111と第2部材(例えば、後述の
図17の第2部材151)によって、光反射層(リフレクタ構造)が形成されている。
【0045】
ここで、
図5に示すように、第1の実施の形態の画素10においては、サブ画素100R,サブ画素100W,サブ画素100G,及びサブ画素100Bの4つのサブ画素ごとに、リフレクタ112の高さ(第1部材111の斜面の高さ)が異なっている。
【0046】
ただし、第1部材111においては、アノード電極121が露出した開口部の側壁が、所定の傾斜角(リフレクタ角度)で傾斜しており、この斜面(表面)が、リフレクタ112を形成している。以下、この積層方向の斜面の高さを、リフレクタ112の「斜面高さ」ともいう。
【0047】
すなわち、第1の実施の形態の画素10において、各サブ画素100におけるリフレクタ112の斜面高さを比較した場合に、例えば、下記の式(1)に示すような関係とすることができる。
【0048】
リフレクタ112Wの斜面高さ > リフレクタ112Gの斜面高さ > リフレクタ112Rの斜面高さ > リフレクタ112Bの斜面高さ ・・・(1)
【0049】
ただし、式(1)において、リフレクタ112Wの斜面高さは、サブ画素100Wにおける第1部材111の斜面の高さに相当する。同様に、リフレクタ112G,112R,112Bの斜面高さは、サブ画素100G,100R,100Bにおける第1部材111の斜面の高さに相当する。
【0050】
このように、第1の実施の形態の画素10では、4つのサブ画素100ごとに、リフレクタ112の斜面高さを異なるようにして、サブ画素100ごとの輝度に差をつけることで、特定のサブ画素100の輝度を上げるようにしている。特に、サブ画素100Wのリフレクタ112Wの斜面高さを高くすることで、有機発光素子101W(アノード電極121W)からの光が全反射する領域が増加するため、サブ画素100Wの輝度が向上し、結果として、画素10全体の輝度を向上させることができる。
【0051】
また、第1の実施の形態の画素10では、各サブ画素100における発光面積やピッチ配列を変えずに、光を反射する領域、すなわち、リフレクタ112の斜面高さを変えることで、サブ画素100ごとの輝度に差をつけているため、高精細化を容易に行うことができる。
【0052】
以上、第1の実施の形態の画素10では、サブ画素100ごとに、発光部としての有機発光素子101(アノード電極121)に対するリフレクタ112の斜面高さを調整して、リフレクタ112Rと、リフレクタ112Wと、リフレクタ112Gと、リフレクタ112Bの斜面高さがそれぞれ異なるようにしている。これにより、第1の実施の形態の画素10においては、光反射層によって光の取り出し効率を向上させるだけでなく、サブ画素100ごとの輝度に差をつけて、特定のサブ画素100の輝度を向上させることが可能となる。
【0053】
なお、
図5においては、上述した式(1)に示したように、リフレクタ112Wの斜面高さが最も高く、リフレクタ112G,リフレクタ112R,リフレクタ112Bの順に、その斜面高さが低くなっていく場合を例示したが、この式(1)に示した関係は一例であって、リフレクタ112R,112W,112G,112Bの斜面高さがそれぞれ異なっていればよく、その斜面高さの順序は任意である。
【0054】
例えば、画素10において、サブ画素100ごとに寿命が異なる場合に、サブ画素100の輝度を向上させることで、印加電流密度を下げることができるため、各サブ画素100の寿命劣化を同一にする方向での調整を行うことができる。このような調整を行う場合に、例えば、下記の式(1)’に示すような関係を満たすように、サブ画素100ごとに、リフレクタ112の斜面高さを調整することができる。
【0055】
リフレクタ112Bの斜面高さ > リフレクタ112Wの斜面高さ > リフレクタ112Gの斜面高さ > リフレクタ112Rの斜面高さ ・・・(1)’
【0056】
また、
図5においては、画素10を構成するサブ画素100が、図中の左側から右側に向かって、サブ画素100R,100W,100G,100Bの順に並んでいるが、これらのサブ画素100の並び順は任意である。さらに、
図5に示したように、リフレクタ112の斜面高さは、サブ画素100Wのリフレクタ112Wのように均一な高さとなる場合だけでなく、均一な高さとならない場合も想定されるが、このような場合には、例えば、サブ画素100ごとに、リフレクタ112の斜面高さの平均値等を調整すればよい。
【0057】
(画素の構造の第2の例)
図6は、第2の実施の形態の画素の構造の一部を示す要部断面図である。以下、この要部断面図を参照しながら、第2の実施の形態の画素10の構造を説明する。
【0058】
図6に示すように、第2の実施の形態の画素10においては、サブ画素100R,サブ画素100W,サブ画素100G,及びサブ画素100Bの4つのサブ画素100のうち、特定のサブ画素100のリフレクタ112の斜面高さが異なっている。
【0059】
すなわち、第2の実施の形態の画素10(
図6)は、上述した第1の実施の形態の画素10(
図5)と比べて、4つのサブ画素100ごとに、リフレクタ112の斜面高さを変えるのではなく、4つのサブ画素100のうち、特定のサブ画素100のリフレクタ112の斜面高さを変えるようにしている。
【0060】
具体的には、
図6においては、サブ画素100Wだけ、リフレクタ112Wの斜面高さを変えて、他のサブ画素100R,100G,100Bのリフレクタ112R,112G,112Bの斜面高さよりも、高くなるようにしている。
【0061】
すなわち、第2の実施の形態の画素10において、各サブ画素100におけるリフレクタ112の斜面高さを比較した場合に、例えば、以下の式(2)に示すような関係とすることができる。
【0062】
リフレクタ112Wの斜面高さ > リフレクタ112Rの斜面高さ = リフレクタ112Gの斜面高さ = リフレクタ112Bの斜面高さ ・・・(2)
【0063】
ただし、式(2)において、リフレクタ112Wの斜面高さは、サブ画素100Wにおける第1部材111の斜面の高さに相当する。同様に、リフレクタ112R,112G,112Bの斜面高さは、サブ画素100R,100G,100Bにおける第1部材111の斜面の高さに相当する。
【0064】
このように、第2の実施の形態の画素10では、4つのサブ画素100のうち、特定のサブ画素100のリフレクタ112の斜面高さを異なるようにして、サブ画素100ごとの輝度に差をつけることで、特定のサブ画素100の輝度を上げることができる。例えば、サブ画素100Wのリフレクタ112Wのみ、その斜面高さを高くすることで、有機発光素子101W(アノード電極121W)からの光が全反射する領域が増加するため、サブ画素100Wの輝度が向上し、結果として、画素10全体の輝度を向上させることができる。
【0065】
また、第2の実施の形態の画素10においても、各サブ画素100の発光面積やピッチ配列を変えずに、リフレクタ112の斜面高さを変えることで、サブ画素100ごとの輝度に差をつけているため、高精細化を容易に行うことができる。
【0066】
以上、第2の実施の形態の画素10では、サブ画素100ごとに、発光部としての有機発光素子101(アノード電極121)に対するリフレクタ112の斜面高さを調整して、特定のサブ画素100のリフレクタ112のみ、その斜面高さを、他のサブ画素100のリフレクタ112の斜面高さと異なるようにしている。これにより、第2の実施の形態の画素10においては、光反射層によって光の取り出し効率を向上させるだけでなく、サブ画素100ごとの輝度に差をつけて、特定のサブ画素100の輝度を向上させることが可能となる。
【0067】
なお、
図6においては、上述した式(2)に示したように、リフレクタ112Wの斜面高さが最も高く、その他のリフレクタ112G,リフレクタ112R,リフレクタ112Bの斜面高さは同一の高さとなる場合を例示したが、この式(2)に示した関係は一例であって、特定のサブ画素100のリフレクタ112の斜面高さが、他のサブ画素100の斜面高さと異なっていればよく、どのリフレクタ112の斜面高さを変えるかは任意である。
【0068】
ここで、画素10において、サブ画素100ごとに寿命が異なる場合に、サブ画素100ごとに輝度を変化させることで、各サブ画素100の寿命劣化を同一にする方向での調整を行うことができるのは、先に述べた通りであるが、例えば、下記の式(2)’に示すような関係を満たすように、特定のサブ画素100Gのリフレクタ112Gの斜面高さを調整することができる。
【0069】
リフレクタ112Bの斜面高さ > リフレクタ112Wの斜面高さ = リフレクタ112Gの斜面高さ = リフレクタ112Rの斜面高さ ・・・(2)’
【0070】
さらに、ここでは、特定のサブ画素100として、1つのサブ画素100のリフレクタ112の斜面高さを変える場合を例示したが、例えば、サブ画素100W,100Bのリフレクタ112W,112Bの斜面高さを変えるなど、特定のサブ画素100の対象が、2以上のサブ画素100であってもよい。
【0071】
(画素の構造の第3の例)
図7は、第3の実施の形態の画素の構造の一部を示す要部断面図である。以下、この要部断面図を参照しながら、第3の実施の形態の画素10の構造を説明する。
【0072】
図7に示すように、第3の実施の形態の画素10においては、サブ画素100R,サブ画素100W,サブ画素100G,及びサブ画素100Bの4つのサブ画素100のうち、特定のサブ画素100に含まれる有機発光素子101のアノード電極121の位置が調整されている。
【0073】
すなわち、第3の実施の形態の画素10(
図7)は、上述した第1の実施の形態の画素10(
図5)及び第2の実施の形態の画素10(
図6)と比べて、サブ画素100において、リフレクタ112の斜面高さ(積層方向の高さ)を調整するのではなく、有機発光素子101のアノード電極121の位置(積層方向の位置)を調整している。
【0074】
このように、有機発光素子101(アノード電極121)側の位置を調整することでも、サブ画素100ごとに、発光部としての有機発光素子101(のアノード電極121)に対するリフレクタ112の斜面高さを調整することができる。その結果として、特定のサブ画素100のリフレクタ112の斜面高さを、他のサブ画素100のリフレクタ112の斜面高さと異なるようにすることができる。
【0075】
具体的には、
図7においては、サブ画素100Wだけ、有機発光素子101Wのアノード電極121Wの位置が、積層方向に深くなるように形成することで、サブ画素100Wのリフレクタ112Wの斜面高さが、他のサブ画素100R,100G,100Bのリフレクタ112R,112G,112Bの斜面高さよりも、高くなるようにしている。
【0076】
すなわち、第3の実施の形態において、各サブ画素100におけるリフレクタ112の斜面高さを比較した場合には、例えば、上述した式(2)と同様の関係が得られる。
【0077】
このように、第3の実施の形態の画素10では、4つのサブ画素100のうち、特定のサブ画素100の有機発光素子101のアノード電極121の位置を調整して、特定のサブ画素100のリフレクタ112の斜面高さを異なるようにすることで、サブ画素100ごとの輝度に差をつけることが可能となり、結果として、特定のサブ画素100の輝度を上げることができる。
【0078】
例えば、サブ画素100Wの有機発光素子101Wのアノード電極121Wの位置を調整して、サブ画素100Wのリフレクタ112Wのみ、その斜面高さを高くすることで、サブ画素100Wの輝度が向上し、結果として、画素10全体の輝度を向上させることができる。
【0079】
また、第3の実施の形態の画素10においても、各サブ画素100の発光面積やピッチ配列を変えずに、有機発光素子101のアノード電極121の位置を調整することで、サブ画素100ごとの輝度に差をつけているため、高精細化を容易に行うことができる。
【0080】
以上、第3の実施の形態の画素10では、特定のサブ画素100のアノード電極121側の位置を調整することで、サブ画素100ごとに、発光部としての有機発光素子101のアノード電極121に対するリフレクタ112の斜面高さを調整して、特定のサブ画素100のリフレクタ112のみ、その斜面高さを、他のサブ画素100のリフレクタ112の斜面高さと異なるようにしている。これにより、第3の実施の形態の画素10においては、光反射層によって光の取り出し効率を向上させるだけでなく、サブ画素100ごとの輝度に差をつけて、特定のサブ画素100の輝度を向上させることが可能となる。
【0081】
なお、
図7においては、上述した式(2)と同様の関係となるように、リフレクタ112Wの斜面高さが最も高く、その他のリフレクタ112G,リフレクタ112R,リフレクタ112Bの斜面高さは同一の高さとなる場合を例示したが、この関係は一例であって、特定のサブ画素100のリフレクタ112の斜面高さが、他のサブ画素100の斜面高さと異なっていればよく、どのサブ画素100のアノード電極121側の位置を調整するかは任意である。
【0082】
また、ここでは、特定のサブ画素100として、1つのサブ画素100のアノード電極121側の位置を調整する場合を提示したが、例えば、サブ画素100W,100Bのアノード電極121W,121B側の位置を調整するなど、特定のサブ画素100の対象が、2以上のサブ画素100であってもよい。さらに、画素10において、サブ画素100ごとに、アノード電極121側の位置を調整するようにして、例えば、上述した式(1)の関係を満たすようにしてもよい。
【0083】
(リフレクタの構造の詳細)
次に、
図8乃至
図12を参照して、リフレクタ112の構造の詳細について説明する。
【0084】
図8は、リフレクタ112による光の反射を説明する概念図である。
【0085】
図8に示すように、サブ画素100において、リフレクタ112に対する有機発光素子101(のアノード電極121)からの光は、全方位となるが、リフレクタ112では、所定の全反射の角度以上で入射してきた光は反射されるが、それ以下の角度で侵入してきた光は透過することになる。
【0086】
例えば、
図8において、有機発光素子101のアノード電極121からの光線L1乃至L4のうち、光線L2,L3は、リフレクタ112によって全反射される一方で、光線L4は、リフレクタ112を透過している。
【0087】
ここで、
図9には、リフレクタ112の斜面までの距離L(単位:nm)と、全反射するリフレクタ112の高さ(斜面高さ)H(単位:nm)との関係を示している。
【0088】
例えば、リフレクタ112の間の開口部(アノード電極121が露出している部分)の幅が、2000nmとなる場合には、リフレクタ112の斜面までの距離Lは、最大で、2000nmとなる。この場合において、全反射条件を満たす高さHは、
図9に示したLとHの関係から、略1600nmとなる。
【0089】
すなわち、リフレクタ112において、反射領域は、高さH = 1600nm以上となり、この高さ(斜面高さ)Hを高くするほど、全反射領域が増加するため、サブ画素100の輝度を向上させることができる。換言すれば、高さ(斜面高さ)Hの増加に対して、反射面積の増加分で、輝度が向上すると言える。
【0090】
ここで、全反射条件を満たす高さ(斜面高さ)Hは、例えば、次のような計算によって求めることができる。
【0091】
すなわち、
図10に示すように、リフレクタ112に入射する光の入射角(反射角)をθとしたとき、αは、下記の式(3)によって、計算することができる。
【0092】
α = tan-1 (H / (L + t)) ・・・(3)
【0093】
ここで、リフレクタ角度(傾斜角)をβとすれば、三角形の外角の定理によって、下記の式(4)の関係が得られる。
【0094】
(90 - θ) + α = β ・・・(4)
【0095】
したがって、上述の式(3)及び式(4)から、下記の式(5)の関係を導くことができる。
【0096】
θ = 90 + α - β = 90 + tan-1 (H / (L + t)) - β
tan-1 (H / (L + t)) = θ + β - 90
tan(θ + β - 90) = H / (L + t) ・・・(5)
【0097】
また、tanβ = H/t の関係から、t = H/tanβが得られるので、上述の式(5)に基づき、下記の式(6)の関係を導くことができる。
【0098】
H = (L + t) × tan(θ + β - 90) = (L + (H/tanβ)) × tan(θ + β - 90) ・・・(6)
【0099】
そして、θ > θmax(臨界角)で全反射するので、下記の式(7)の関係を満たす高さHを求めることができる。
【0100】
H ≧ L × tan(θmax + β - 90) / (1 - (tan(θmax + β - 90) / tanβ)) ・・・(7)
【0101】
このようにして、全反射条件を満たす高さ(斜面高さ)Hが求められる。
【0102】
ここで、
図10に示すように、リフレクタ112(例えば、SiO)の屈折率nA、すなわち、第1部材111の表面の屈折率nAを1.4とし、リフレクタ112との界面における有機層(例えば、後述の
図17の層141)の有機EL材料の屈折率nBを1.8とした場合を想定する。この場合において、全反射となるθ
max(臨界角)は、下記の式(8)の関係を有する。
【0103】
sinθmax = sinθmax / sin90°= nA / nB ・・・(8)
【0104】
そして、式(8)を計算することで、下記の式(9)の計算結果が得られる。
【0105】
θmax = sin-1(nA / nB) = sin-1(1.4 / 1.8) = sin-1(0.882) = 51.3° ・・・(9)
【0106】
このようにして、θmax = 51.3°が得られるので、例えば、L = 1000nmで、β = 71°の場合を想定すれば、上述の式(7)に基づき、下記の式(10)を解くことで、H = 808nm を求めることができる。
【0107】
H = L × tan(θmax + β - 90) / (1 - (tan(θmax + β - 90) / tanβ))
= 1000 × tan(51.3°+ 71°- 90°) / (1 - (tan(51.3°+ 71°- 90°) / tan71°))
= 808.07
【0108】
また、本技術の発明者は、リフレクタ角度βを変化させた場合の全反射条件を満たす高さ(斜面高さ)Hの変化を、詳細なるシミュレーションによって求めることで、最適なリフレクタ角度βと、リフレクタ112の間の開口部の幅(開口部分の大きさ)の分析を行った。このシミュレーションの結果を、
図11に示している。
【0109】
図11の表は、リフレクタ角度βの値(単位:度)と、リフレクタ112の斜面までの距離Lの値(単位:nm)を、それぞれ変化させたときの全反射条件を満たす高さ(斜面高さ)Hの値(単位:nm)を示している。
【0110】
ただし、
図11の表においては、β = 60°,65°,68°,70°,71°,73°,74°,75°,80°とし、L = 10nm, 100nm, 500nm, 1000nm, 1500nm, 2000nm, 2500nm, 3000nmとしたときに、上述の式(7)を計算することで得られる高さHの値を示している。
【0111】
そして、このシミュレーションの結果から、発光部としての有機発光素子101が発光する部分(アノード電極121が露出している部分)の幅、すなわち、開口部分の大きさは、3000nm以下が望ましく、その場合のリフレクタ角度βは、60°~ 80°が望ましいことが見いだされた。このような全反射条件を満たす構造の例を、
図12に示している。
図12においては、β = 71°,L = 2000nmとしたときに、H =1616nmとなっている。
【0112】
(製造工程の第1の例)
次に、
図13乃至
図17を参照して、本技術の実施の形態の画素の製造工程の第1の例の流れを説明する。
【0113】
なお、製造工程の第1の例では、説明の便宜上、画素10を構成する任意のサブ画素100として、サブ画素100R,100Gの製造工程の流れについて説明する。
【0114】
ここでは、まず、
図13のAに示すように、ドライ加工工程が行われる。このドライ加工工程によって、第1部材111A上に、アノード電極121R,121Gが形成される。なお、第1部材111Aの材料としては、例えば、SiO
2等を用いることができる。また、アノード電極121の材料としては、例えば、AlCu等を用いることができる。
【0115】
次に、
図13のBに示すように、CVD成膜工程が行われる。このCVD成膜工程によって、第1部材111A上に形成されたアノード電極121R,121Gに対し、第1部材111Bが成膜される。なお、第1部材111Bの材料としては、例えば、P-SiO等を用いることができる。
【0116】
次に、
図13のCに示すように、レジスト塗布工程が行われる。このレジスト塗布工程によって、第1部材111B上に、フォトレジスト211が塗布される。
【0117】
続いて、
図14のDに示すように、露光工程が行われる。この露光工程によって、フォトマスク221を用い、フォトレジスト211の表面をパターン状に露光することで、露光された部分(露光部分212)と、露光されていない部分(露光部分212を除いた部分)からなるパターンが形成される。
【0118】
次に、
図14のEに示すように、現像工程が行われる。この現像工程によって、フォトレジスト211の露光部分212が除去される。
【0119】
次に、
図14のFに示すように、エッチング工程が行われる。このエッチング工程によって、フォトレジスト211によりマスクされた部分を除いた部分がエッチングされ、第1部材111Bの一部が加工される。
【0120】
続いて、
図15のGに示すように、レジスト塗布工程が行われる。このレジスト塗布工程によって、第1部材111Bの加工部分上にも、フォトレジスト211が塗布される。
【0121】
次に、
図15のHに示すように、露光工程が行われる。この露光工程によって、フォトマスク231を用い、フォトレジスト211の表面をパターン状に露光することで、露光された部分(露光部分213,214)と、露光されていない部分(露光部分213,214を除いた部分)からなるパターンが形成される。
【0122】
次に、
図15のIに示すように、現像工程が行われる。この現像工程によって、フォトレジスト211の露光部分213,214が除去される。
【0123】
続いて、
図16のJに示すように、エッチング工程が行われる。このエッチング工程によって、フォトレジスト211によりマスクされた部分を除いた部分がエッチングされ、第1部材111Bの一部が加工される。この加工によって、サブ画素100ごとに高さが異なるリフレクタが形成され、第1部材111A上のアノード電極121R,121Gが露出する。
【0124】
次に、
図16のKに示すように、レジスト剥離工程が行われる。このレジスト剥離工程によって、フォトレジスト211が剥離される。
【0125】
次に、
図16のLに示すように、蒸着工程とCVD成膜工程が行われる。この蒸着工程によって、第1部材111A上に形成されたアノード電極121R,121Gと、第1部材111Bの表面に、有機層及びカソード電極層からなる層141と、保護膜142が成膜される。なお、有機層は、アノード電極とカソード電極層との間で発光する。例えば、この有機層は、白色に発光する構造が望ましい。なお、保護膜142の材料としては、例えば、絶縁性材料又は導電性材料などを用いることができる。
【0126】
続いて、
図17のMに示すように、平坦化工程が行われる。この平坦化工程によって、第2部材151が埋め込まれ、平坦化される。なお、この第2部材151の材料としては、例えば、アクリル系樹脂やポリミイド系樹脂、シリコン系樹脂等の樹脂などを用いることができる。
【0127】
このように、有機層及びカソード電極層からなる層141と、保護膜142を形成したのち、さらに、第2部材151を形成することで、第1部材111(111B)と、第2部材151とからなる光反射層(リフレクタ構造)が形成される。
【0128】
次に、
図17のNに示すように、カラーフィルタ形成工程が行われる。このカラーフィルタ形成工程によって、平坦化された第2部材151上に、カラーフィルタ131R,131Gが形成される。
【0129】
以上のようにして製造される画素10においては、サブ画素100ごとに、第1部材111の斜面の傾斜によるリフレクタの斜面高さが異なっているため、サブ画素100ごとの輝度に差をつけて、特定のサブ画素100の輝度を向上させることが可能となる。
【0130】
以上、製造工程の第1の例を説明した。
【0131】
(製造工程の第2の例)
次に、
図18乃至
図22を参照して、本技術の実施の形態の画素の製造工程の第2の例の流れを説明する。
【0132】
なお、製造工程の第2の例では、説明の便宜上、画素10を構成する任意のサブ画素100として、サブ画素100R,100G,100W,100Bの製造工程の流れについて説明する。
【0133】
ここでは、まず、
図18のAに示すように、ドライ加工工程が行われる。このドライ加工工程によって、第1部材111A上に、アノード電極121R,121G,121W,121Bが形成される。なお、第1部材111Aの材料としては、例えば、SiO
2等を用いることができる。また、アノード電極121の材料としては、例えば、AlCu等を用いることができる。
【0134】
次に、
図18のBに示すように、CVD成膜工程が行われる。このCVD成膜工程によって、第1部材111A上に形成されたアノード電極121R,121G,121W,121Bに対し、第1部材111Bが成膜される。なお、第1部材111Bの材料としては、例えば、P-SiO等を用いることができる。
【0135】
次に、
図18のCに示すように、レジスト塗布工程が行われる。このレジスト塗布工程によって、第1部材111B上に、フォトレジスト311が塗布される。
【0136】
続いて、
図19のDに示すように、露光工程が行われる。この露光工程によって、フォトマスク321を用い、フォトレジスト311の表面をパターン状に露光することで、露光された部分(露光部分312)と、露光されていない部分(露光部分312を除いた部分)からなるパターンが形成される。
【0137】
次に、
図19のEに示すように、現像工程が行われる。この現像工程によって、フォトレジスト311の露光部分312が除去される。
【0138】
次に、
図19のFに示すように、エッチング工程が行われる。このエッチング工程によって、フォトレジスト311によりマスクされた部分を除いた部分がエッチングされ、第1部材111Bの一部が加工される。
【0139】
続いて、
図20のGに示すように、レジスト塗布工程が行われる。このレジスト塗布工程によって、第1部材111Bの加工部分上にも、フォトレジスト311が塗布される。
【0140】
次に、
図20のHに示すように、露光工程が行われる。この露光工程によって、フォトマスク331を用い、フォトレジスト311の表面をパターン状に露光することで、露光された部分(露光部分313,314,315,316)と、露光されていない部分(露光部分313,314,315,316を除いた部分)からなるパターンが形成される。
【0141】
次に、
図20のIに示すように、現像工程が行われる。この現像工程によって、フォトレジスト311の露光部分313,314,315,316が除去される。
【0142】
続いて、
図21のJに示すように、エッチング工程が行われる。このエッチング工程によって、フォトレジスト311によりマスクされた部分を除いた部分がエッチングされ、第1部材111Bの一部が加工される。この加工によって、サブ画素100ごとに高さが異なるリフレクタが形成され、第1部材111A上のアノード電極121R,121G,121W,121Bが露出する。
【0143】
次に、
図21のKに示すように、レジスト剥離工程が行われる。このレジスト剥離工程によって、フォトレジスト311が剥離される。
【0144】
次に、
図21のLに示すように、蒸着工程とCVD成膜工程が行われる。この蒸着工程によって、第1部材111A上に形成されたアノード電極121R,121G,121W,121Bと、第1部材111Bの表面に、有機層及びカソード電極層からなる層141と、保護膜142が成膜される。なお、有機層は、アノード電極とカソード電極層との間で発光する。例えば、この有機層は、白色に発光する構造が望ましい。なお、この保護膜142の材料としては、例えば、絶縁性材料又は導電性材料などを用いることができる。
【0145】
続いて、
図22のMに示すように、平坦化工程が行われる。この平坦化工程によって、第2部材151が埋め込まれ、平坦化される。なお、この第2部材としては、例えば、アクリル系樹脂やポリミイド系樹脂、シリコン系樹脂等の樹脂などを用いることができる。
【0146】
このように、有機層及びカソード電極層からなる層141と、保護膜142を形成したのち、さらに、第2部材151を形成することで、第1部材111(111B)と、第2部材151とからなる光反射層(リフレクタ構造)が形成される。
【0147】
次に、
図22のNに示すように、カラーフィルタ形成工程が行われる。このカラーフィルタ形成工程によって、平坦化された第2部材151上に、カラーフィルタ131R,131G,131Bが形成される。
【0148】
以上のようにして製造される画素10においては、サブ画素100ごとに、第1部材111の斜面の傾斜によるリフレクタの斜面高さが異なっているため、サブ画素100ごとの輝度に差をつけて、特定のサブ画素100の輝度を向上させることが可能となる。
【0149】
以上、製造工程の第2の例を説明した。
【0150】
<2.変形例>
【0151】
上述した実施の形態では、画素10が、WRGB画素、すなわち、4つのサブ画素100R,100G,100B,100Wから構成されるとして説明したが、サブ画素100の構成は、これに限定されるものではない。
【0152】
例えば、画素10において、サブ画素100Wを設けずに、3つのサブ画素100R,100G,100Bから構成されるようにしてもよい。また、例えば、白色(W)のサブ画素100Wに代えて、白色(W)と同等に視感度の高い他の色のサブ画素100を用いてもよい。さらに、画素10において、複数のサブ画素100の並び順についても、色ごとに任意の順序に並べることができる。
【0153】
また、上述した第1,第2の実施の形態では、サブ画素100ごとに、リフレクタ112の斜面高さを調整する一方で、上述した第3の実施の形態では、サブ画素100ごとに、アノード電極121側の位置を調整していたが、それらの調整を同時に行ってもよい。すなわち、画素10において、サブ画素100ごとに、リフレクタ112の斜面高さと、アノード電極121側の位置の両方を調整するようにしてもよい。
【0154】
なお、上述した実施の形態において説明した各層の材料及び厚み、又は成膜方法及び成膜条件などは、上述の説明に限定されるものではなく、他の材料及び厚み、又は他の成膜方法及び成膜条件としてもよい。また、上述した実施の形態などでは、有機発光素子101の構成を具体的に説明したが、全ての層を有する必要はなく、また、他の層をさらに有するようにしてもよい。
【0155】
また、上述した実施の形態では、アクティブマトリックス型の表示素子(表示装置)の構成について説明したが、本技術は、パッシブマトリックス型の表示素子(表示装置)への適用も可能である。さらにまた、アクティブマトリックス駆動のための画素駆動回路の構成は、上述した実施の形態で説明したものに限らず、必要に応じて容量素子やトランジスタなどを適宜追加してもよい。その場合には、画素駆動回路の変更に応じて、上述の信号線駆動回路21(
図1)や走査線駆動回路22(
図1)のほかに、必要な駆動回路を適宜追加してもよい。
【0156】
<3.電子機器の例>
【0157】
(一眼レフカメラの例)
図23は、本技術を適用した表示素子が適用される電子機器(撮像装置)として、一眼レフカメラ(レンズ交換式一眼レフレックスタイプのデジタルカメラ)の外観の例を示している。
【0158】
この一眼レフカメラは、
図23のAに示すように、例えば、カメラ本体部(カメラボディ)411の正面右側に、交換式の撮影レンズユニット(交換レンズ)412を有し、正面左側に、撮影者が把持するためのグリップ部413を有している。
【0159】
また、
図23のBに示すように、カメラ本体部411の背面略中央部には、モニタ414が設けられている。モニタ414の上部には、ビューファインダ(接眼窓)415が設けられている。撮影者は、ビューファインダ415を覗くことによって、撮影レンズユニット412から導かれた被写体の光像を視認して構図決定を行うことが可能である。
【0160】
このビューファインダ415は、上述した本技術を適用した表示素子(表示素子1)により構成されている。
【0161】
(ヘッドマウントディスプレイの例)
図24は、本技術を適用した表示素子が適用される電子機器として、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)の外観の例を示している。
【0162】
このヘッドマウントディスプレイは、
図24のAに示すように、例えば、眼鏡型の表示部511の両側に、使用者の頭部に装着するための耳掛け部512を有している。この表示部511は、上述した本技術を適用した表示素子(表示素子1)により構成されている。
【0163】
例えば、
図24のAのヘッドマウントディスプレイを頭部に装着したユーザは、表示部511に表示される、仮想現実(VR:Virtual Reality)の映像を見ることができる。
【0164】
なお、
図24のAでは、使用者の目を完全に覆った非透過型のヘッドマウントディスプレイの例を示したが、
図24のBに示すように、透過型(例えばビデオ透過等)のヘッドマウントディスプレイの表示部521が、上述した本技術を適用した表示素子(表示素子1)により構成されるようにしてもよい。
【0165】
例えば、
図24のBのヘッドマウントディスプレイを頭部に装着したユーザは、表示部521に表示される拡張現実(AR:Augmented Reality)の映像を見ることができる。
【0166】
(その他の例)
なお、上述した
図23及び
図24においては、本技術を適用した表示素子が適用される電子機器として、一眼レフカメラとヘッドマウントディスプレイを例示したが、例えば、スマートフォン、テレビ受像機、パーソナルコンピュータ、ビデオカメラ、携帯電話機、ゲーム機、ウェアラブル機器などの電子機器に、本技術を適用した表示素子が適用されるようにしてもよい。
【0167】
また、本技術の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【0168】
また、本技術は、以下のような構成をとることができる。
【0169】
(1)
複数のサブ画素からなる画素を2次元状に配置した表示領域を有し、
前記画素は、前記サブ画素ごとに、発光部に対する光反射部の高さを調整している
表示素子。
(2)
前記サブ画素ごとに、前記光反射部の積層方向の斜面の高さを調整している
前記(1)に記載の表示素子。
(3)
前記サブ画素ごとに、前記光反射部の斜面の高さが異なる
前記(2)に記載の表示素子。
(4)
複数の前記サブ画素のうち、特定のサブ画素のみ、前記光反射部の斜面の高さが異なる
前記(2)に記載の表示素子。
(5)
前記サブ画素ごとに、前記発光部の積層方向の位置を調整している
前記(1)に記載の表示素子。
(6)
前記サブ画素ごとに、前記発光部の位置が異なる
前記(5)に記載の表示素子。
(7)
複数の前記サブ画素のうち、特定のサブ画素のみ、前記発光部の位置が異なる
前記(5)に記載の表示素子。
(8)
前記光反射部の斜面の高さは、前記光反射部の斜面の角度と、前記発光部の発光部分の幅に応じて調整される
前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の表示素子。
(9)
前記画素は、3つの基本色光を発する第1のサブ画素、第2のサブ画素、及び第3のサブ画素と、非基本色光を発する第4のサブ画素からなる
前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の表示素子。
(10)
前記基本色光は、赤色光、緑色光、及び青色光であり、
前記非基本色光は、白色光である
前記(9)に記載の表示素子。
(11)
前記サブ画素は、前記発光部として自発光する発光素子を有する画素であり、
前記発光素子は、電極と、発光層を有する有機層から構成される
前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の表示素子。
(12)
複数のサブ画素からなる画素を2次元状に配置した表示領域を有し、
前記画素は、前記サブ画素ごとに、発光部に対する光反射部の高さを調整している
表示素子を備える電子機器。
【符号の説明】
【0170】
1 表示素子, 10 画素, 11 基板, 21 信号線駆動回路, 22 走査線駆動回路, 23 表示領域, 31 信号線, 32 走査線, 33 画素駆動回路, 100,100R,100G,100B,100W サブ画素, 101,101R,101G,101B,101W 有機発光素子, 111 第1部材, 112,112R,112G,112B,112W リフレクタ, 121,121R,121G,121B,121W アノード電極, 131,131R,131G,131B カラーフィルタ, 141 層, 142 保護膜, 151 第2部材