(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】デジタル印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240401BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 101
B41J2/01 123
B41J2/01 401
B41J2/01 451
(21)【出願番号】P 2023017303
(22)【出願日】2023-02-08
(62)【分割の表示】P 2020526455の分割
【原出願日】2018-11-16
【審査請求日】2023-02-16
(32)【優先日】2017-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514210005
【氏名又は名称】ランダ コーポレイション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002723
【氏名又は名称】高法弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ポメランツ,ウリエル
(72)【発明者】
【氏名】バーカトスキー,ヴィタリー
【審査官】小野 郁磨
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-150390(JP,A)
【文献】特開2009-240925(JP,A)
【文献】特開2009-226805(JP,A)
【文献】特開2009-154377(JP,A)
【文献】特開2009-082835(JP,A)
【文献】特開2005-224737(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0053293(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.複数のガイドローラの上に載置された可撓性無端ベルトと、第1および第2の複数の所定の部分とを備える中間転写部材(ITM)と、
b.前記ITMの表面にインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、
c.前記インク画像が基板に転写されるインプレッションステーションへ向かって前記インク画像を搬送するために前記ITMの回転を駆動するためのコンベヤと、
d.前記インプレッションステーションの下流かつ前記画像形成ステーションの上流に配置された、前記ITM表面を処理液剤の層でコーティングするために構成された処理ステーションであって、
i.前記処理液剤を前記ITMに塗布するためのアプリケータと、
ii.複数のブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリであって、所望の前記処理液剤の層のみを残すために、少なくとも一部の時間、前記ブレードの各1つがアクティブ位置にあるように構成されたコーティング厚さ調整アセンブリと、
iii.前記コーティング厚さ調整アセンブリに関連し、前記アクティブ位置にあるブレードを他のブレードと交換するためのブレード交換動作を行うために構成されたブレード交換機構と、
iv.前記インプレッションステーションにおいてインク画像が基板シートに転写されている間、ブレード交換動作を行うことを避けるように前記ブレード交換機構を制御するためのブレード交換コントローラと
を備える処理ステーションと
を備える印刷システム。
【請求項2】
a.複数のガイドローラの上に載置された可撓性無端ベルトを備える中間転写部材(ITM)と、
b.前記ITMの表面にインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、
c.前記インク画像が基板に転写されるインプレッションステーションへ向かって前記インク画像を搬送するために前記ITMの回転を駆動するためのコンベヤと、
d.前記インプレッションステーションの下流かつ前記画像形成ステーションの上流に配置された、前記ITM表面を処理液剤の層でコーティングするために構成された処理ステーションであって、
i.前記処理液剤を前記ITMに塗布するためのアプリケータと、
ii.複数のブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリであって、所望の前記処理液剤の層のみを残すために、少なくとも一部の時間、前記ブレードの各1つがアクティブ位置にあるように構成されたコーティング厚さ調整アセンブリと、
iii.前記コーティング厚さ調整アセンブリに関連し、前記アクティブ位置にあるブレードを他のブレードと交換するためのブレード交換動作を行うために構成されたブレード交換機構と、
iv.前記ブレード交換機構を制御するためのブレード交換コントローラと
を備え、
前記ブレード交換コントローラは、前記ブレード交換コントローラと通信状態にある入力デバイスから伝達されたITMパネル位置情報に従って前記ブレード交換機構を制御する、処理ステーションと
を備える印刷システム。
【請求項3】
a.複数のガイドローラの上に載置された可撓性無端ベルトを備える中間転写部材(ITM)と、
b.前記ITMの表面にインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、
c.前記インク画像が基板に転写されるインプレッションステーションへ向かって前記インク画像を搬送するために前記ITMの回転を駆動するためのコンベヤと、
d.前記インプレッションステーションの下流かつ前記画像形成ステーションの上流に配置された、前記ITM表面を処理液剤の層でコーティングするために構成された処理ステーションであって、
i.前記処理液剤を前記ITMに塗布するためのアプリケータと、
ii.複数のブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリであって、所望の前記処理液剤の層のみを残すために、少なくとも一部の時間、前記ブレードの各1つがアクティブ位置にあるように構成されたコーティング厚さ調整アセンブリと、
iii.前記コーティング厚さ調整アセンブリに関連し、前記アクティブ位置にあるブレードを他のブレードと交換するためのブレード交換動作を行うために構成されたブレード交換機構と、
iv.前記ブレード交換機構を制御するためのブレード交換コントローラと
を備え、
前記ブレード交換コントローラは、前記ブレード交換コントローラと通信状態にある入力デバイスから伝達されたITM回転速度情報に従って前記ブレード交換機構を制御する、処理ステーションと
を備える印刷システム。
【請求項4】
a.複数のガイドローラの上に載置された可撓性無端ベルトを備え、複数のマーカを含む中間転写部材(ITM)と、
b.前記ITMの表面にインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、
c.前記インク画像が基板に転写されるインプレッションステーションへ向かって前記インク画像を搬送するために前記ITMの回転を駆動するためのコンベヤと、
d.前記インプレッションステーションの下流かつ前記画像形成ステーションの上流に配置された、前記ITM表面を処理液剤の層でコーティングするために構成された処理ステーションであって、
i.前記処理液剤を前記ITMに塗布するためのアプリケータと、
ii.複数のブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリであって、所望の前記処理液剤の層のみを残すために、少なくとも一部の時間、前記ブレードの各1つがアクティブ位置にあるように構成されたコーティング厚さ調整アセンブリと、
iii.前記コーティング厚さ調整アセンブリに関連し、前記アクティブ位置にあるブレードを他のブレードと交換するためのブレード交換動作を行うために構成されたブレード交換機構と、
iv.前記ブレード交換機構を制御するためのブレード交換コントローラと、
v.前記ITMの前記マーカを検出するように構成され、前記ブレード交換コントローラと通信状態にあるマーカ検出器と
を備え、
前記ブレード交換コントローラは、前記マーカ検出器から受信した出力に従って前記ブレード交換機構を制御する、処理ステーションと
を備える印刷システム。
【請求項5】
液滴堆積によって、回転する中間転写部材(ITM)の表面にインク画像が形成され、インプレッションステーションへ向かって搬送され、基板に転写される印刷システムを動作させる方法であって、前記印刷システムは、ブレード交換機構およびブレード交換コントローラを含み、前記方法は、
a.前記インプレッションステーションの下流で、前記回転するITMの前記表面の一部分に過剰な処理液剤を塗布することと、
b.過剰な処理液剤を有する前記ITMの前記部分を、余剰除去位置を通って搬送することであって、前記余剰除去位置で、複数のブレードの1つがアクティブ位置に存在することにより、余剰液体が除去されることと、
c.制御機能に従ってブレード交換動作を行うことと
を備え、
前記制御機能は、前記アクティブ位置にあるブレードと異なるブレードとの交換が、前記余剰除去位置を通って搬送されている前記ITMの前記部分が複数の所定の部分の1つである時に起こることを避けるために、前記ブレード交換機構の前記動作を制御するブレード交換コントローラによって行われる、方法。
【請求項6】
液滴堆積によって、回転する中間転写部材(ITM)の表面にインク画像が形成され、インプレッションステーションへ向かって搬送され、基板に転写される印刷システムを動作させる方法であって、前記印刷システムは、ブレード交換機構およびブレード交換コントローラを含み、前記方法は、
a.前記インプレッションステーションの下流で、前記回転するITMの前記表面の一部分に過剰な処理液剤を塗布することと、
b.過剰な処理液剤を有する前記ITMの前記部分を、余剰除去位置を通って搬送することであって、前記余剰除去位置で、複数のブレードの1つがアクティブ位置に存在することにより、余剰液体が除去されることと、
c.制御機能に従ってブレード交換動作を行うことと
を備え、
前記制御機能は、前記インプレッションステーションにおいてインク画像が基板シートに転写されている間、ブレード交換動作を行うことを避けるように、前記ブレード交換機構の前記動作を制御するブレード交換コントローラによって行われる、方法。
【請求項7】
液滴堆積によって、回転する中間転写部材(ITM)の表面にインク画像が形成され、インプレッションステーションへ向かって搬送され、基板に転写される印刷システムを動作させる方法であって、前記印刷システムは、ブレード交換機構およびブレード交換コントローラを含み、前記方法は、
a.前記インプレッションステーションの下流で、前記回転するITMの前記表面の一部分に過剰な処理液剤を塗布することと、
b.過剰な処理液剤を有する前記ITMの前記部分を、余剰除去位置を通って搬送することであって、前記余剰除去位置で、複数のブレードの1つがアクティブ位置に存在することにより、余剰液体が除去されることと、
c.制御機能に従ってブレード交換動作を行うことと
を備え、
前記制御機能は、前記ブレード交換コントローラと通信状態にある入力デバイスから伝達されたITMパネル位置情報に従って、前記ブレード交換機構の前記動作を制御するブレード交換コントローラによって行われる、方法。
【請求項8】
液滴堆積によって、回転する中間転写部材(ITM)の表面にインク画像が形成され、インプレッションステーションへ向かって搬送され、基板に転写される印刷システムを動作させる方法であって、前記印刷システムは、ブレード交換機構およびブレード交換コントローラを含み、前記方法は、
a.前記インプレッションステーションの下流で、前記回転するITMの前記表面の一部分に過剰な処理液剤を塗布することと、
b.過剰な処理液剤を有する前記ITMの前記部分を、余剰除去位置を通って搬送することであって、前記余剰除去位置で、複数のブレードの1つがアクティブ位置に存在することにより、余剰液体が除去されることと、
c.制御機能に従ってブレード交換動作を行うことと
を備え、
前記制御機能は、前記ブレード交換コントローラと通信状態にある入力デバイスから伝達されたITM回転速度情報に従って、前記ブレード交換機構の前記動作を制御するブレード交換コントローラによって行われる、方法。
【請求項9】
液滴堆積によって、回転する中間転写部材(ITM)の表面にインク画像が形成され、インプレッションステーションへ向かって搬送され、基板に転写される印刷システムを動作させる方法であって、前記印刷システムは、ブレード交換機構およびブレード交換コントローラを含み、前記ITMは、複数のマーカを含み、前記方法は、
a.前記インプレッションステーションの下流で、前記回転するITMの前記表面の一部分に過剰な処理液剤を塗布することと、
b.過剰な処理液剤を有する前記ITMの前記部分を、余剰除去位置を通って搬送することであって、前記余剰除去位置で、複数のブレードの1つがアクティブ位置に存在することにより、余剰液体が除去されることと、
c.制御機能に従ってブレード交換動作を行うことと
を備え、
前記ITMの前記マーカは、マーカ検出器によって検出され、
前記制御機能は、前記マーカ検出器により通信状態にあるブレード交換コントローラによって行われ、
前記ブレード交換コントローラは、前記マーカ検出器から受信した出力に従って、前記ブレード交換機構の前記動作を制御する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、両方ともその全体が参照によって本願に組み込まれる、2017年11月19日に出願された米国仮特許出願第62588405号および2017年12月6日に出願された米国仮特許出願第62595536号の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、中間転写部材を用いるデジタル印刷システムの様々な態様を制御するためのシステムおよび方法に関する。特に、本発明は、中間転写部材に液剤が塗布される印刷システムに適している。
【背景技術】
【0003】
様々な印刷システムは、中間転写部材(ITM)の表面に画像を形成するためにインクが噴射され、これがその後、基板に画像を転写するために用いられる、インクジェット印刷プロセスを用いる。ITMは、剛体ドラムまたは(たとえばローラの上をガイドされ、または剛体ドラムに取り付けられた)可撓性ベルトであってよい。場合によっては、ITMの表面に印刷され、そこから基板に転写される画像の品質を改善するために、たとえば処理溶液などの溶液をITMの表面に塗布することが望ましい。溶液は、最終的な所望の厚さを超過して塗布されることがあり、その場合、余剰を除去するためにドクターブレードが用いられ得る。そのようなドクターブレードは、印刷プレスの動作中、溶液の正確かつ継続的な塗布を保証するために、時々清掃される必要がある。ブレードの清掃を容易にするために、ブレードを時々、好適にはブレード交換コントローラによって実行される命令に従ってのみ、交換することが有利であり得る。
【0004】
次の同時係属中の特許公報、WO/2017/009722号(2016年5月25日に出願されたPCT/IB2016/053049号の公報)、WO/2016/166690号(2016年4月4日に出願されたPCT/IB2016/052120の公報)、WO/2016/151462号(2016年3月20日に出願されたPCT/IB2016/051560号の公報)、WO/2016/113698号(2016年1月14日に出願されたPCT/IB2016/050170号の公報)、WO/2015/110988号(2015年1月22日に出願されたPCT/IB2015/050501号の公報)、WO/2015/036812号(2013年9月12日に出願されたPCT/IB2013/002571号の公報)、WO/2015/036864号(2014年9月11日に出願されたPCT/IB2014/002366号の公報)、WO/2015/036865号(2014年9月11日に出願されたPCT/IB2014/002395号の公報)、WO/2015/036906号(2014年9月12日に出願されたPCT/IB2014/064277号の公報)、WO/2013/136220号(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051719号の公報)、WO/2013/132419号(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051717号の公報)、WO/2013/132424号(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051727号の公報)、WO/2013/132420号(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051718号の公報)、WO/2013/132439号(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051755号の公報)、WO/2013/132438号(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051751号の公報)、WO/2013/132418号(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051716号の公報)、WO/2013/132356号(2013年1月10日に出願されたPCT/IB2013/050245号の公報)、WO/2013/132345号(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/000840号の公報)、WO/2013/132339号(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/000757号の公報)、WO/2013/132343号(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/000822号の公報)、WO/2013/132340号(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/000782号の公報)、およびWO/2013/132432号(2013年3月5日に出願されたPCT/IB2013/051743号の公報)は、関連する背景材料を提供する可能性があり、全て、参照によってその全体が本明細書に組み込まれるものである。
【発明の概要】
【0005】
次の同時係属中の出願、2017年5月30日に出願されたPCT出願PCT/IB2017/053177号、および2017年6月1日に出願されたPCT出願PCT/IL2017/050616号は、全て、参照によってその全体が本願に組み込まれるものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、たとえば複数のローラの上に載置され(たとえばベルト)、または剛体ドラムの上に載置された(たとえばドラム搭載型ブランケット)可撓性ITM(たとえばブランケット)などの移動中間転写部材(ITM)を有するデジタル印刷システムなどの印刷システムおよびその動作方法に関する。
【0007】
インク画像は、移動するITMの表面に(たとえば画像形成ステーションにおける液滴堆積によって)形成され、その後、紙、プラスティック、金属、または他の任意の適切な材料を備え得る基板に転写される。インク画像を基板に転写するために、基板は、少なくとも1つのインプレッションシリンダと、移動するITMのインク画像が位置する領域との間で押圧され、この時、(インプレッションステーションとも称される)転写ステーションは係合していると言われる。
【0008】
複数のローラの上に載置された可撓性ITMの場合、インプレッションステーションは一般に、インプレッションシリンダに加えて圧力シリンダまたはローラを備え、その外側表面は任意選択的に圧縮性であってよい。可撓性ブランケットまたはベルトは、一般に2つのシリンダ間の距離が減少または増加すると選択的に係合または係合解除され得るそのような2つのシリンダの間を通る。2つのシリンダの一方は、空間内で固定位置にあってよく、他方が、それに近付きまたは離れるように動き(たとえば圧力シリンダが可動またはインプレッションシリンダが可動)、あるいは2つのシリンダは、各々が互いに近づきまたは離れるように動いてよい。剛体ITMの場合、(任意選択的にブランケットがその上に載置され得る)ドラムは、インプレッションシリンダと係合または係合解除する第2のシリンダを構成する。
【0009】
明確性のために、本明細書において、回転という言葉は、その運動が印刷プレス内の様々な場所において局所的に直線的であるか、局所的に回転であるか、またはその他であるかにかかわらず、印刷方向における印刷プレス内のITMの運動を表すために用いられる。ドラム形状またはドラム支持体を有する剛体ITMの場合、ITMの動きは回転である。印刷方向は、画像形成ステーションからインプレッションステーションへのインク画像の運動によって定められる。文脈が特に明示しない限り、以下で用いられ得る場合の上流および下流という用語は、印刷方向に対する位置に関する。
【0010】
いくつかの実施形態は印刷システムに関し、特に、印刷システムは、複数のガイドローラの上に載置された可撓性無端ベルトを備え、第1および第2の複数の所定の部分も備える中間転写部材(ITM)と、ITMの表面にインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、インク画像が基板に転写されるインプレッションステーションへ向かってインク画像を搬送するためにITMの回転を駆動するためのコンベヤと、インプレッションステーションの下流かつ画像形成ステーションの上流に配置された、ITM表面を処理液剤の層でコーティングするために構成された処理ステーションとを備え、処理ステーションは、ITMに処理液剤を塗布するためのアプリケータと、複数のブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリであって、所望の処理剤の層のみを残すために、少なくとも一部の時間、ブレードの各1つが、ITM部分が固定の余剰除去位置を横断するとITMのその部分から余剰液体を除去するためのアクティブ位置にあるように構成されたコーティング厚さ調整アセンブリと、コーティング厚さ調整アセンブリに関連し、アクティブ位置にあるブレードを他のブレードと交換するためのブレード交換動作を行うために構成されたブレード交換機構と、ITMの第1の複数の所定の部分の1つが余剰除去位置を横断する時のみブレード交換動作が行われることを確実にするようにブレード交換機構を制御するためのブレード交換コントローラとを備えてよい。
【0011】
いくつかの実施形態において、印刷システムは、複数のガイドローラの上に載置された可撓性無端ベルトを備える中間転写部材(ITM)(ITMは、第1および第2の複数の所定の部分を備えてよい)と、ITMの表面にインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、インク画像が基板に転写されるインプレッションステーションへ向かってインク画像を搬送するためにITMの回転を駆動するためのコンベヤと、インプレッションステーションの下流かつ画像形成ステーションの上流に配置された、ITM表面を処理液剤の層でコーティングするために構成された処理ステーションとを備えてよく、処理ステーションは、ITMに処理液剤を塗布するためのアプリケータと、複数のブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリであって、所望の処理剤の層のみを残すために、少なくとも一部の時間、ブレードの各1つが、余剰液体を除去するためのアクティブ位置にあるように構成されたコーティング厚さ調整アセンブリと、コーティング厚さ調整アセンブリに関連し、アクティブ位置にあるブレードを他のブレードと交換するためのブレード交換動作を行うために構成されたブレード交換機構と、ITMの第1の複数の所定の部分の1つが余剰除去位置を横断する時のみブレード交換動作が行われることを確実にするようにブレード交換機構を制御するためのブレード交換コントローラとを備えてよい。
【0012】
いくつかの実施形態において、印刷システムは、複数のガイドローラの上に載置された可撓性無端ベルトを備える中間転写部材(ITM)(ITMは、第1および第2の複数の所定の部分を備えてよい)と、ITMの表面にインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、インク画像が基板に転写されるインプレッションステーションへ向かってインク画像を搬送するためにITMの回転を駆動するためのコンベヤと、インプレッションステーションの下流かつ画像形成ステーションの上流に配置された、ITM表面を処理液剤の層を塗布するために構成された処理ステーションとを備えてよく、処理ステーションは、ITMに処理液剤を塗布するためのアプリケータと、複数のブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリ(コーティング厚さ調整アセンブリは、所望の処理剤の層のみを残すために、少なくとも一部の時間、ブレードの各1つが、ITM部分が固定の余剰除去位置を横断するとITMのその部分から余剰液体を除去するためのアクティブ位置にあるように構成され得る)と、コーティング厚さ調整アセンブリに関連し、アクティブ位置にあるブレードを他のブレードと交換するためのブレード交換動作を行うために構成されたブレード交換機構と、ITMの第2の複数の所定の部分の1つが余剰除去位置を横断する時にブレード交換動作を行うことを避けるようにブレード交換機構を制御するためのブレード交換コントローラとを備えてよい。
【0013】
いくつかの実施形態において、印刷システムは、複数のガイドローラの上に載置された可撓性無端ベルトを備える中間転写部材(ITM)(ITMは、第1および第2の複数の所定の部分を備えてよい)と、ITMの表面にインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、インク画像が基板に転写されるインプレッションステーションへ向かってインク画像を搬送するためにITMの回転を駆動するためのコンベヤと、インプレッションステーションの下流かつ画像形成ステーションの上流に配置された、ITM表面を処理液剤の層を塗布するために構成された処理ステーションとを備えてよく、処理ステーションは、ITMに処理液剤を塗布するためのアプリケータと、複数のブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリ(コーティング厚さ調整アセンブリは、所望の処理剤の層のみを残すために、少なくとも一部の時間、ブレードの各1つが、ITM部分が固定の余剰除去位置を横断するとITMのその部分から余剰液体を除去するためのアクティブ位置にあるように構成され得る)と、コーティング厚さ調整アセンブリに関連し、アクティブ位置にあるブレードを他のブレードと交換するためのブレード交換動作を行うために構成されたブレード交換機構と、タイミング方式に従ってブレード交換機構を制御するためのブレード交換コントローラとを備えてよい。タイミング方式は、ブレード交換コントローラが、ITMの各回転中に厳密に一度だけブレード交換動作を行うようにブレード交換を制御し得ることを意味してよい。
【0014】
印刷システムの実施形態において、ブレード交換コントローラは、ITMの第1の複数の所定の部分の事前選択された1つが余剰除去位置を横断する時のみブレード交換動作を行うようにブレード交換機構を制御してよい。いくつかの実施形態において、ブレード交換コントローラは、追加または代替として、インプレッションステーションにおいてインク画像が基板シートに転写されている間、ブレード交換動作を行うことを避けるようにブレード交換機構を制御してよい。いくつかの実施形態において、ブレード交換コントローラは、追加または代替として、タイミング方式に従ってブレード交換機構を制御してよい。
【0015】
いくつかの実施形態において、印刷システムは更に、ブレード交換コントローラと通信するように構成された複数の入力デバイスを備えてよい。ブレード交換コントローラは、入力デバイスから伝達されたITMパネル位置情報に従ってブレード交換機構を制御してよい。
【0016】
特定の実施形態に関して上述したように、ITMは、第1および第2の複数の所定の部分を備えてよい。第2の複数の所定の部分は、インク画像エリアを備えるITMの部分を含んでよい。第2の複数の所定の部分は、シームを備えるITMの部分を含んでよい。いくつかの実施形態において、第1および第2の複数は、互いに排他的であり、いくつかの実施形態において、第1および第2の複数は、合わせるとITMの全ての部分を備える。
【0017】
いくつかの実施形態において、コーティング厚さ調整アセンブリはブレードホルダを備えてよく、これは、回転可能であってよく、シリンダまたは多角形シリンダであってよく、ブレードホルダから径方向に伸長するように配置されたブレードを有してよい。実施形態に係るブレード交換機構は、たとえば直流モータまたは交流モータを備えてよい。いくつかの実施形態において、ブレード交換動作は、コーティング厚さ調整アセンブリを回転させることを備える。
【0018】
実施形態において、コーティング厚さ調整アセンブリおよびブレード交換機構は、ブレード交換動作の前の第1の時間において、第1のブレードのみがアクティブ位置にあり、ブレード交換動作中の第2の時間において、第1のブレードおよび第2のブレードの両方がアクティブ位置にあり、ブレード交換動作後の第3の時間において、第2のブレードのみがアクティブ位置にあるように構成され得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、ブレード交換コントローラは、ITMの各回転中に厳密に一度だけブレード交換動作を行うようにブレード交換を制御してよい。いくつかの実施形態において、ブレード交換コントローラは、プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体を備えてよく、コンピュータシステムの1または複数のプロセッサによるプログラム命令の実行は、ブレード交換機構に、ITMの第1の複数の所定の部分の1つが余剰除去位置を横断する時のみブレード交換動作を行わせること、および、ITMの第2の複数の所定の部分の1つが余剰除去位置を横断する時のみブレード交換動作を行うことを避けさせることの少なくとも1つを1または複数のプロセッサに実行させ得る。
【0020】
実施形態において、液滴堆積によって回転する中間転写部材(ITM)の表面にインク画像が形成され、インプレッションステーションへ向かって搬送され、基板に転写される印刷システムであって、ブレード交換機構およびブレード交換コントローラを含む印刷システムを動作させる方法は、インプレッションステーションの下流で回転するITMの表面の一部分に過剰な処理液剤を塗布することと、過剰な処理液剤を有するITMの部分を、アクティブ位置における複数のブレードの1つの存在により余剰液体が除去される余剰除去位置を通って搬送することと、制御機能に従ってブレード交換動作を行うこととを備えてよい。制御機能は、アクティブ位置にあるブレードと異なるブレードとの交換が、余剰除去位置を通って搬送されているITMの部分が複数の所定の部分の1つである時のみ起こることを確実にするようにブレード交換機構の動作を制御するブレード交換コントローラによって行われ得る。方法のいくつかの実施形態において、印刷システムは、複数の入力デバイスを更に備え、いくつかの実施形態において、制御機能に従ってブレード交換動作を行うことは、1または複数の入力デバイスから位置情報およびITM回転速度情報の少なくとも1つを受信することと、ITMの部分がITMの複数の所定の部分の1つであるかを(1または複数の入力デバイスから受信した位置情報およびITM回転速度情報の少なくとも1つを用いて)決定することと、その決定に基づいてブレード交換機構によるブレード交換動作を開始することとを備えてよい。
【0021】
方法のいくつかの実施形態において、制御機能に従ってブレード交換動作を行うことは、ITMの部分が、ブレード交換動作の実行のための制御機能規則を満たすかを決定することを備えてよく、その決定に基づいて、ブレード交換機構によるブレード交換動作を開始することも備えてよい。いくつかの実施形態において、制御機能に従ってブレード交換動作を行うことは、コンピュータストレージから制御機能規則を取得することを更に備えてよい。
【0022】
方法の実施形態によると、制御機能規則は、ブレード交換コントローラの1または複数のプロセッサによって実行されるプログラム命令に含まれ得る。
【0023】
いくつかの実施形態によると、ブレード交換コントローラは、余剰除去位置を通って搬送されているITMの部分が複数の所定の部分の事前選択された1つである時のみブレード交換動作を行うようにブレード交換機構を制御してよい。いくつかの実施形態によると、ブレード交換コントローラは更に、インプレッションステーションにおいてインク画像が基板シートに転写されている間、ブレード交換動作を行うことを避けるようにブレード交換機構を制御してよい。方法のいくつかの実施形態において、ブレード交換コントローラは、タイミング方式に従ってブレード交換機構を制御してよい。
【0024】
方法の実施形態によると、印刷システムは、(シリンダまたは多角形シリンダを備えてよく、回転可能であってよい)ブレードホルダを備えるコーティング厚さ調整アセンブリを含んでよく、複数のブレードの各々がブレードホルダから径方向に伸長し、ブレード交換機構はモータを備え、ブレード交換動作は、コーティング厚さ調整アセンブリを回転させることを備えてよい。
【0025】
方法の実施形態において、コーティング厚さ調整アセンブリおよびブレード交換機構は、ブレード交換動作の前の第1の時間において、第1のブレードのみがアクティブ位置にあり、次にブレード交換動作中の第2の時間において、第1のブレードおよび第2のブレードの両方がアクティブ位置にあり、次にブレード交換動作の後の第3の時間において、第2のブレードのみがアクティブ位置にあるように構成され得る。いくつかの実施形態において、ブレード交換コントローラは、ブレード交換動作がITMの各回転中に厳密に一度だけ行われる規則を実施するようにブレード交換動作を制御してよい。
【0026】
方法のいくつかの実施形態において、ITMは、第1および第2の複数の所定の部分を備えてよく、第1および第2の複数は、互いに排他的であり、合わせるとITMの全ての部分を備える。これらの実施形態において、ブレード交換コントローラは、プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体を備えてよく、コンピュータシステムの1または複数のプロセッサによるプログラム命令の実行は、ブレード交換機構に、ITMの第1の複数の所定の部分の1つが余剰除去位置を横断する時のみブレード交換動作を行わせること、およびブレード交換機構に、ITMの第2の複数の所定の部分の1つが余剰除去位置を横断する時にブレード交換動作を行うことを避けさせることの少なくとも1つを1または複数のプロセッサに実行させる。
【0027】
実施形態において、印刷システムは、可撓性無端ベルトを備える中間転写部材(ITM)と、画像形成ステーションを通って移動するITMの表面に液滴堆積によってインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、インク画像がITM表面から基板へ転写されるインプレッションステーションと、インク画像をインプレッションステーションへ向かって搬送するためにITMの回転を駆動するためのコンベヤと、インプレッションステーションの下流かつ画像形成ステーションの上流に配置された、ITM表面を処理液剤の層でコーティングするために構成された処理ステーションとを備えてよく、処理ステーションは、処理液剤をITMの表面に塗布するためのアプリケータと、ブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリであって、ブレードの先端が、所望の処理剤の層のみを残すために処理ステーションを横断するITMの一部の表面から余剰処理剤を除去するようにブレードが配置された、コーティング厚さ調整アセンブリと、ITMの一部による処理ステーションの横断に関連するITMの不均一な延伸を検出し、不均一な延伸を補償するために液滴堆積のタイミングを変調することによって応答するように構成されたコントローラとを備えてよい。いくつかの実施形態において、不均一な延伸は、ブレードとITMの表面との相互作用によって生じる。
【0028】
可撓性無端ベルトを備える中間転写部材(ITM)と、画像形成ステーションを通って移動するITMの表面に液滴堆積によってインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、インク画像がITM表面から基板へ転写されるインプレッションステーションと、インク画像をインプレッションステーションへ向かって搬送するためにITMの回転を駆動するためのコンベヤと、インプレッションステーションの下流かつ画像形成ステーションの上流に配置された、ITM表面を処理液剤の層でコーティングするために構成された処理ステーションとを備えてよく、処理ステーションは、ITMの表面に処理液剤を塗布するためのアプリケータと、ブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリであって、ブレードの先端が、所望の処理剤の層のみを残すためにITMの表面から余剰処理剤を除去するようにITMの表面と相互作用するようにブレードが配置された、コーティング厚さ調整アセンブリと、ブレードとITMの表面との相互作用によって生じたITMの不均一な延伸を検出し、ブレードとITMの表面との相互作用によって生じたITMの不均一な延伸を補償するために液滴堆積のタイミングを変調することによって応答するように構成されたコントローラとを備えてよい。
【0029】
上記印刷システムのいずれかにおいて、コントローラは更に、不均一な延伸の検出をオペレータまたはログファイルに報告するように構成される。コーティング厚さ調整アセンブリは、少なくとも1つの追加のブレードを更に備えてよく、少なくとも一部の時間、ブレードの各1つが、ITMの表面から余剰処理剤を除去するためにITMの表面と物理的に相互作用するためのアクティブ位置にあるように構成され得る。
【0030】
実施形態において、印刷システムは、可撓性無端ベルトを備える中間転写部材(ITM)と、画像形成ステーションを通って移動するITMの表面に液滴堆積によってインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、インク画像がITM表面から基板へ転写されるインプレッションステーションと、インク画像をインプレッションステーションへ向かって搬送するためにITMの回転を駆動するためのコンベヤと、インプレッションステーションの下流かつ画像形成ステーションの上流に配置された、ITM表面を処理液剤の層でコーティングするために構成された処理ステーションであって、ITMに処理液剤を塗布するためのアプリケータと、複数のブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリであって、少なくとも一部の時間、ブレードの各1つがアクティブ位置にあり、ITMがアクティブ位置にあるブレードを横断するとITMの表面に所望の処理剤の層のみを残すように構成されたコーティング厚さ調整アセンブリと、コーティング厚さ調整アセンブリと関連し、アクティブ位置にあるブレードを他のブレードと交換するためのブレード交換動作を行うために構成されたブレード交換機構であって、ブレード交換動作が、アクティブ位置にあるブレードを通過するITMの一部の付近でITMの局所的な延伸をもたらす、ブレード交換機構とを備える処理ステーションと、ITMの上記局所的な延伸を検出し、ITMの上記局所的な延伸を補償するために液滴堆積のタイミングを変調することによって応答するように構成されたコントローラとを備えてよい。いくつかの実施形態において、ITMの局所的な延伸は、ITMの他の部分へ伝搬することがあり、アクティブ位置にあるブレードを通過するITMの一部の付近で現れないことがある。
【0031】
上記印刷システムにおいて、変調することは、処理ステーションと画像形成ステーションとの間のITMの不均一に延伸した部分の移動時間によって遅延し得る。
【0032】
実施形態において、液滴堆積によって回転する中間転写部材(ITM)の表面にインク画像が形成され、インプレッションステーションへ向かって搬送され、基板に転写される印刷システムであって、ブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリを含む印刷システムを動作させる方法は、コーティングアプリケータを用いて、インプレッションステーションの下流で回転するITMの表面の一部分に過剰な処理液剤を塗布することと、過剰な処理液剤を有するITMの部分を、ブレードの存在により、ブレードとITMとの相互作用によって余剰液体が除去される余剰除去位置を通って搬送することと、ITMの不均一な延伸の検出に応答して、不均一な延伸を補償するために液滴堆積のタイミングを変調することとを備えてよい。いくつかの実施形態において、不均一な延伸は、ブレードとITMの表面との相互作用によって生じる。
【0033】
実施形態において、液滴堆積によって回転する中間転写部材(ITM)の表面にインク画像が形成され、インプレッションステーションへ向かって搬送され、基板に転写される印刷システムであって、ブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリを含む印刷システムを動作させる方法は、コーティングアプリケータを用いて、インプレッションステーションの下流で回転するITMの表面の一部分に過剰な処理液剤を塗布することと、過剰な処理液剤を有するITMの部分を、ブレードの存在により、ブレードとITMとの相互作用によって余剰液体が除去される余剰除去位置を通って搬送することと、ブレードとITMの表面との相互作用によって生じたITMの不均一な延伸の検出に応答して、ブレードとITMの表面との相互作用によって生じたITMの不均一な延伸を補償するために液滴堆積のタイミングを変調することとを備えてよい。
【0034】
いくつかの実施形態において、方法は、繰り返されるITMの不均一な延伸の検出に応答して、ブレードの物理的位置を調整するステップを更に備える。いくつかの実施形態において、ITMの不均一な延伸の検出は、印刷システムのコントローラによって行われる。コントローラは更に、不均一な延伸の検出をオペレータまたはログファイルに報告するように構成され得る。
【0035】
実施形態において、印刷システムを動作させる方法であって、印刷システムが、画像形成ステーションにおいて液滴堆積によってその表面にインク画像が形成される回転する中間転写部材(ITM)を含み、更に、画像形成ステーションの上流に処理ステーションを含み、処理ステーションは、ITMに処理液剤を塗布するためのコーティングアプリケータと、複数のブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリと、ITMの表面から余剰処理液剤を除去するためにどのブレードがITMと相互作用するかを変更するためにブレード交換動作を行うためのブレード交換機構とを備える方法は、ブレード交換機構を用いて、ブレード交換動作を行うことと、ブレード交換動作中、処理ステーションと交差するITMの部分または処理ステーションを通過するITMの部分の付近にある部分の局所的な延伸を検出することであって、局所的な延伸は、少なくとも部分的に、ブレード交換動作によって生じることと、ITMの上記局所的な延伸を補償するために液滴堆積のタイミングを変調することによって、ITMの上記局所的な延伸の検出に応答することとを備えてよい。いくつかの実施形態において、変調することは、処理ステーションと画像形成ステーションとの間のITMの不均一に延伸した部分の移動時間によって遅延し得る。
【0036】
実施形態によると、液滴堆積によって回転する中間転写部材(ITM)の表面にインク画像が形成され、インプレッションステーションへ向かって搬送され、基板に転写される印刷システムであって、ブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリを含む印刷システムを動作させる方法は、コーティングアプリケータを用いて、インプレッションステーションの下流で回転するITMの表面の一部分に過剰な処理液剤を塗布することと、過剰な処理液剤を有するITMの部分を、ブレードの存在により、ブレードとITMとの相互作用によって余剰液体が除去される余剰除去位置を通って搬送することと、ITMの上記部分による余剰除去位置の横断に関連する、ITMの不均一な延伸の検出に応答して、ブレードの位置を調整することとを備えてよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、印刷システムは、可撓性無端ベルトを備える中間転写部材(ITM)と、画像形成ステーションを通って移動するITMの表面に、液滴堆積によってインク画像を形成するように構成された画像形成ステーションと、インク画像がITM表面から基板へ転写されるインプレッションステーションと、インク画像をインプレッションステーションへ向かって搬送するためにITMの回転を駆動するためのコンベヤと、インプレッションステーションの下流かつ画像形成ステーションの上流に配置された、ITM表面を処理液剤の層でコーティングするために構成された処理ステーションであって、処理液剤をITMの表面に塗布するためのアプリケータと、ブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリであって、ブレードの先端が、所望の処理剤の層のみを残すように、処理ステーションを横断するITMの一部の表面から余剰処理剤を除去するようにブレードが配置された、コーティング厚さ調整アセンブリと、ITMの一部による処理ステーションの横断に関連するITMの不均一な延伸を検出し、ブレードの位置を調整すること、またはブレード位置調整が推奨されることをオペレータまたはログファイルに報告することによって応答するように構成されたコントローラとを備えてよい。
【0038】
以下、本発明は、添付図面を参照して例として詳しく説明され、図面において、図内に示された構成要素および特徴の寸法は、提示の利便性および明確性のために選択されたものであり、必ずしも一定比率で拡大縮小されたものではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】実施形態に係る印刷システムの立面図である。
【
図2A】実施形態に係る印刷システムの構成要素の立面図である。
【
図2B】実施形態に係る印刷システムの構成要素の立面図である。
【
図2C】
実施形態に係る印刷システムの構成要素の立面図である。
【
図3】実施形態に係る、溶質の蓄積を有するドクターブレードの立面図である。
【
図4】実施形態に係るコーティング厚さ調整アセンブリの構成要素の択一的な立面図である。
【
図5A】実施形態に係るコーティング厚さ調整アセンブリの構成要素の択一的な立面図である。
【
図5B】実施形態に係るコーティング厚さ調整アセンブリの構成要素の択一的な立面図である。
【
図6】実施形態に係る印刷システムの構成要素の立面図である。
【
図7】実施形態に係る、異なる3つの時間における
図4のコーティング厚さ調整アセンブリの構成要素の図を含む。
【
図8】実施形態に係る中間転写部材(ITM)の択一的な平面概略図を含む。
【
図9】実施形態に係る中間転写部材(ITM)の択一的な平面概略図を含む。
【
図10】実施形態に係る、ロケータおよび固定ロケータを備える印刷システムの立面図である。
【
図11】実施形態に係る印刷システムの立面図である。
【
図12】実施形態に係る、ITMパネルおよびシームの平面概略図である。
【
図13A】実施形態に係る中間転写部材(ITM)の択一的な平面概略図を含む。
【
図13B】実施形態に係る中間転写部材(ITM)の択一的な平面概略図を含む。
【
図14】実施形態に係る中間転写部材(ITM)の択一的な平面概略図を含む。
【
図15】実施形態に係る中間転写部材(ITM)の択一的な平面概略図を含む。
【
図16】実施形態に係る、ブレード交換機構およびブレード交換コントローラを含む印刷システムを動作させる方法のフローチャートである。
【
図17】代替実施形態に係る、ブレード交換機構およびブレード交換コントローラを含む印刷システムを動作させる方法のフローチャートである。
【
図18】実施形態に係る、制御機能に従ってブレード交換動作を行うための方法のフローチャートである。
【
図19】実施形態に係る、制御機能に従ってブレード交換動作を行うための別の方法のフローチャートである。
【
図20】実施形態に係る、ブレード交換機構およびブレード交換コントローラを含む印刷システムを動作させる別の方法のフローチャートである。
【
図21】実施形態に係る、制御機能に従ってブレード交換動作を行うための別の方法のフローチャートである。
【
図22A】実施形態に係る、ドクターブレードとITMとの相互作用に影響を及ぼす物理的力の概略図である。
【
図22B】実施形態に係る、ドクターブレードとITMとの相互作用に影響を及ぼす物理的力の概略図である。
【
図22C】実施形態に係る、ドクターブレードとITMとの相互作用に影響を及ぼす物理的力の概略図である。
【
図22D】実施形態に係る、ブレードとITMの表面との相互作用によって生じる不均一な延伸を有するITMの部分の概略図である。
【
図23】実施形態に係る印刷システムの立面図である。
【
図24】実施形態に係る、処理液剤のアプリケータおよびブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリを含む印刷システムを動作させる方法のフローチャートである。
【
図25】実施形態に係る、処理液剤のアプリケータおよびブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリを含む印刷システムを動作させる別の方法のフローチャートである。
【
図26】実施形態に係る、処理液剤のアプリケータ、複数のブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリ、およびブレード交換機構を含む印刷システムを動作させる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、添付図面を参照して、単に例として本明細書で説明される。ここで、図面が具体的に詳しく参照される場合、示される事項は、例として、本発明の好適な実施形態の例示的な説明を目的としたものにすぎず、本発明の原理および概念的態様の最も有用かつ容易に理解される説明であると確信されるものを提供するために提示されることを強調する。この点に関して、本発明の基本的な理解のために必要な程度よりも詳しく本発明の構造的細部を示す試みはなされておらず、本説明は、本発明のいくつかの形態がどのように実際に具体化され得るかを当業者に明らかにする図面とともに取り上げられる。図面全体を通して、同類の参照番号は一般に、同類の要素を表すために用いられる。
【0041】
便宜上、本明細書における説明に関して、ここで様々な用語が提示される。ここで、または本出願におけるどこかで明示的または暗示的に定義が提供される限り、そのような定義は、当業者(複数も可)による定義された用語の用法と一致するものとして理解される。また、そのような定義は、そのような用法と一致する、考えられる最も広範囲の意味で解釈されるべきである。
【0042】
「制御機能」は、本明細書で用いられる場合、コンピュータストレージからデータを取得すること、コンピュータストレージから(「規則」または「制御機能規則」とも呼ばれる)システム動作規則を取得すること、入力デバイスからデータを受信すること、プログラム命令を実行すること、プログラム命令を実行することによって計算、決定、および判断を行うこと、および動作を開始、修正、または停止するために印刷システム構成要素へ電子または電気信号を送信することを非網羅的に含む、コントローラによって行われる機能を意味する。
【0043】
「コントローラ」は、本明細書で用いられる場合、規則、機械学習規則、アルゴリズム、および/または発見的教授法を含み得るプログラム命令に従って印刷システムまたは1または複数の印刷システム構成要素の動作の1または複数の態様を制御するように構成された任意のプロセッサ、または1または複数のプロセッサを備えるコンピュータを表すことが意図され、そのプログラミング方法は、本発明と無関係である。コントローラは、上述したような単一の機能を有するスタンドアロンコントローラであってよく、あるいは、本明細書の実施形態に係る複数の制御機能、および/または本発明に関連しない、または本明細書に開示されない1または複数の制御機能を組み合わせてよい。たとえば、印刷システムの動作の全態様を制御するために単一のコントローラが提供されてよく、本明細書で説明される制御機能は、そのようなコントローラの制御機能の一態様である。同様に、コントローラに関して本明細書に開示された機能は、複数のコンピュータまたはプロセッサに分割または分散されてよく、この場合、任意のそのような複数のコンピュータまたはプロセッサは、この定義のために単一のコンピュータまたはプロセッサと同等のものとして解釈すべきである。明確性のために、たとえば通信装置およびデータストレージ装置といったコンピュータネットワークに関連するいくつかの構成要素は本明細書において省略されているが、当業者は、本明細書で用いられるようなコントローラが、本明細書で説明される機能を実行するために必要な任意のネットワークギアまたは補助装置を含み得ることを理解するであろう。
【0044】
様々な実施形態において、インク画像は、最初に中間転写部材(ITM)の表面に堆積し、中間転写部材の表面から基板(すなわちシート基板またはウェブ基板)に転写される。本開示に関して、「中間転写部材」、「画像転写部材」、および「ITM」は同義語であり、同じ意味で用いられ得る。インクがITMに堆積する位置は、「画像形成ステーション」と称される。多数の実施形態において、ITMは「ベルト」または「無端ベルト」または「ブランケット」を備え、これらの用語はITMと同じ意味で用いられる。インク画像が基板に転写される印刷プレスの領域または範囲は、「インプレッションステーション」である。理解されるように、いくつかの印刷システムに関して、複数のインプレッションステーションが存在してよい。
【0045】
無端中間転写部材の場合、ITMの「長さ」は、その周囲の長さとして定義される。無端中間転写部材は、ベルトの両端をシームで接合することによって形成され得る。シームは、ベルトに用いられる材料に依存してベルトの両端を接合する任意の方法によって生じてよく、たとえば、縫合、ジッパーの閉鎖、面ファスナの使用、熱溶接および超音波溶接を含んでよく、たとえばリベット、ねじ、ボルト、スナップ、クリップ、金属、プラスティック、または複合材料を備えるファスナ、または接着剤を用いて両端を接合してよい。これらの例は、網羅的であることは意図されず、当業者が利用可能な接合方法の多様性を例示することが意図される。
【0046】
ここで図面を参照すると、
図1は、本発明のいくつかの実施形態に係る印刷システム100の概略図である。
図1の印刷システム100は、複数のガイドローラ232、240、250、253、242の上に載置された可撓性無端ベルトを備える中間転写部材(ITM)210を備える。他の例(不図示)において、ITM210は、ドラム、またはドラムに巻き付けられたベルトである。この図は、本発明の説明に関連する特定の構成の態様を示すものであり、示された構成は、提示された数および配置のローラに限定されず、その形状および関連寸法にも限定されず、それら全ては、システム構成要素を明確に示す便宜上、ここに示されるものである。
【0047】
図1の例において、ITM210は、この図に関して時計回りの方向に回転する。ベルトの移動方向が、上流および下流の方向を定める。ローラ242、240はそれぞれ、画像形成ステーション212の上流および下流に配置されるので、ローラ242は「上流ローラ」と称され、ローラ240は「下流ローラ」と称され得る。印刷システム100は更に、
(a)
図3に示すように、各印刷バーがインクジェット印刷ヘッド(複数も可)223を備える、(各々がC、M、Y、およびKの1つを指定された)印刷バー222A~222Dを備える画像形成ステーション212。画像形成ステージ212はITM210(例えば、その上に液滴付着)の表面上にインク画像を形成するように構成されていると、
(b)インク画像を乾燥するための乾燥ステーション214と、
(c)ITM210の表面からシート231またはウェブ基板(
図1にはシート基板のみが示される)へインク画像が転送される、インプレッションステーション216と
を備える。
【0048】
図1の特定の非限定的例において、インプレッションステーション216は、インプレッションシリンダ220と、圧縮性ブランケット219を担持するブランケット/圧力シリンダ218とを備える。
【0049】
(d)残留材料(たとえば処理膜および/またはインク画像またはその一部、または他の残留材料)がITM210の表面から取り除かれる、インプレッションステーションの上流にある(システム内で用いられ得る清掃方法の単なる一例である、
図1に示すような清掃ブラシを備え得る)清掃ステーション258。
【0050】
(e)インプレッションステーションおよび清掃ステーションの上流にある処理ステーション260(ここで、処理液剤(たとえば処理水溶液)がITM表面に塗布される)。例として、処理溶液は荷電ポリマの希釈溶液を備えてよく、適切な処理液剤であってよい。裏当ローラ1141は、ITM210の、処理ステーション260と反対側に配置される。
【0051】
当業者は、
図1に示す全ての構成要素が必要とされるわけではないことを理解するであろう。また、冷却および清掃ステーションは単一のステーションに結合されてよく、ITM210が画像形成ステーション212へ進む前にITM210を冷却するための冷却機能も果たしてよい。
ドクターブレード設計および機能の例
【0052】
以下の段落は、本発明の様々な実施形態に係るドクターブレードの設計および機能の典型的な非限定的例を提供する。
【0053】
図2Aは、処理ステーション260の1つの非限定的例を断面図で模式的に示し、処理ステーション260は、この例においてITM210の表面に処理溶液2030を塗布するように構成された処理溶液噴水盤1128であるアプリケータと、ITMから余剰処理溶液2031を除去するために配置されたドクターブレード2014と、余剰処理溶液2031のタンク2016とを備える。図において、ITM210の示された部分は、矢印2012で表すように、一般に2014と示されタンク2016内に適切に設置されたドクターブレードの上を、目視されるように右から左へ(すなわち時計回りの回転の下側行程の一部として)移動する。
図2Aの例において、ドクターブレード2014は、ITM210の幅全体に伸長する平滑で規則的な円筒形表面を有する剛体バーで形成される。
【0054】
ドクターブレード2014の上を通過する前に、ITM210の裏面(または下側行程)は、過剰な処理剤(たとえば溶液)2030でコーティングされる。ITM210に過剰な処理剤(たとえば溶液)が塗布される方法またはコーティングに用いられるアプリケータの種類は、いずれも本発明の基本的重要事項ではなく、ITM210はたとえば、単純に液体が入ったタンクに浸漬されてよく、
図2Aに示すように処理剤(たとえば処理溶液)2030の噴水盤1128の上を通過してよく、あるいは上に向けられた噴射口(不図示)によって吹き付けられてよい。当業者は、たとえば上述したような任意の適切なアプリケータによって、または本明細書に開示された通りではなく、他の手段によって、処理溶液がITM210に塗布され得ることを認識するであろう。
【0055】
図に示すように、ITM210がドクターブレード2014に近付く時、ITM210は、所望の厚さを上回るまたは著しく上回る液体のコーティング2030を有する。ドクターブレード2014の機能は、ITM210から余剰液体2031を除去し、残りの液体がITM210の表面全体に均等かつ均一に広がることを確実にすることである。非限定的例において、ドクターブレード2014は、ITM210に向かって付勢されてよく、その間ITM210は緊張状態に維持される。たとえば、ドクターブレード2014は、ITM210に向かって付勢されることによりITM210を裏当ローラ1141に押し付けてよい。他の例において、裏当ローラ1141は、ITM210がドクターブレード2014を横断する時に追加の力を提供するために下向きに付勢され得る。裏当ローラ1141は円筒形ローラとして示されるが、実際は、ITM210に面する平坦、楕円形、または横長の表面を有してよく、その原理は、ITM210のドクターブレード2014と反対側に、ドクターブレード2014の余剰除去機能の効果を高める対向力または存在を有する物体が存在することである。いくつかの実施形態において、
図2Cに模式的に示すように、ドクターブレード2014の先端が、可撓性ITM210に裏当ローラ1141の表面を「めり込ませ」または変形させるように、裏当ローラ1141は、軟性または圧縮性表面を有してよい。裏当ローラ1141の表面の圧縮性および/またはドクターブレード2014が裏当ローラ1141の表面のめり込みまたは変形をもたらす範囲は、いくつかの実施形態において、ITM210の表面における処理溶液2030の厚さを調整する要因として用いられる。
図2Cに示す実施形態および裏当ローラ1141のめり込みまたは変形の特徴は、その特徴が明確に言及されない場合でも、本明細書の他の実施形態のいずれかと組み合わせて用いられ得る。
【0056】
当業者は、処理溶液が他の手段によってITM210に塗布され得ること、および余剰液体2031が他の手段によって除去され得ることを認識するであろう。
【0057】
図2Bに模式的に示す処理ステーションの他の例において、ドクターブレード2014は、ドクターバー2020およびドクターロッド2022を備えてよい。ドクターバー2020は好適には、ドクターロッド2022が導入される溝24または同等にノッチまたは開口部を有し、ドクターロッド2022よりも頑強な構造であってよい。いくつかの実施形態において、ドクターバー2020は剛体であり、ITM210の幅全体に伸長する。ITM210の裏面に面する上側表面において、バー2020は、チャネルまたは溝24を有して形成され、その内側にロッド2022が支持される。
図2Bにおける処理ステーション260の機能および動作は、
図2Aと同じである。ドクターロッド2022は、たとえば溶接、接着剤、摩擦、またはねじやボルトといった機械的留め具などの任意の手段によって溝24内に保持され得る。
【0058】
実施形態において、ドクターブレード2014の先端は、ITM210の幅にわたり均一な半径を有する平滑ロッド2022を備え、その平滑性は、平滑ロッド2022とITM210の裏面との隙間における液体の層流を確実にする。この流れの性質は、動圧軸受における液体潤滑剤の性質と同様であってよく、ITM210の表面に残り付着している液体2030の膜を、ドクターブレード2014に対しITM210を付勢する力およびロッド2022の曲率半径に依存する厚さまで低減する。半径および力の両方がウェブの幅にわたり一定であるため、結果として生じる膜は均一であり、その厚さは、付加された力およびロッド径の適当な選択によって設定され得る。
【0059】
余剰処理剤(たとえば溶液)が入るタンク2016は、主要貯蔵タンクであってよく、そこから過剰な処理剤2030(たとえば溶液)によってウェブの裏面に処理剤2030を塗布するために液体が引き込まれ、あるいは、タンク2016は、主要貯蔵タンク(不図示)へ排水されおよび/または適切な排気システム(不図示)へ空けられる個別タンクであってよい。
【0060】
ロッド2022は好適には、摩滅耐性を有するように、たとえば硬化鋼または溶融石英などの硬質材料で作られる。液体には、液体がその表面を流れる丸みを帯びたエッジを損傷させ得る小さな粒子の砂または塵が存在し得る。実施形態において、材料は、均一な径または厚さ、かつ、10ミクロン未満、特に0.5ミクロン未満のITMに接する表面粗さの平滑ロッドに形成することが可能でなくてはならない。ドクターロッド2022の断面は、(床面に直行する平面において)円形断面を有してよく、あるいは断面は、たとえば楕円または長円形などの任意の丸みを帯びた形状を有してよく、あるいは
図3に示すような丸みを帯びた先端1125を有してよい。ドクターロッド2022は、6mm、場合によっては0.5mmの半径または厚さを有してよく、比較的脆弱であり、場合によっては、たとえばドクターバー2020による機械的支持を必要とする。
【0061】
場合によっては、特定の製剤(たとえば溶液)の塗布に関連してそのようなドクターブレードを用いる場合、
図3に模式的に示すように、溶質の堆積物34がドクターブレード2014の下流側に蓄積される。
図3は、
図2Aを参照して説明される単一構成要素のドクターブレード2014の例を示すが、溶質の蓄積は、
図2Bの2部品ドクターブレード2014の例、すなわちドクターブレード2014がドクターバー2020およびドクターロッド2022を備える例にも等しく当てはまる。そのような堆積物の形成およびその組成は、過剰に成長することが許された場合、最終的に、ITM210に塗布される処理剤(たとえば溶液)の層に干渉する。
ドクターブレードの取替えまたは交換
【0062】
本発明の実施形態は、ドクターブレードが汚れた時にこれを取り替え、または交換するための装置および方法に関する。
図4は、ドクターブレードがどのようにして容易に、好適にはウェブコーティングプロセス、またはITMに調整剤が塗布されることを必要とする印刷システムを中断する必要なく取り替えられ得るかの例を示す。
【0063】
図4の非限定的例において、12のドクターブレード1122は、軸1127の周囲を回転可能な円筒形タレット1120の周囲に沿った凹部1123に均等に取り付けられる。円筒形タレット1120は、複数のブレードのためのブレードホルダの役割を果たす。径方向に伸長するドクターブレード1122は、
図2Bのドクターロッド2022と同じように挙動し、タレット1120は、
図2Bのドクターバー2020と同じくロッドホルダとしての目的および機能を果たす。円形、長円形、または楕円形断面のロッドを用いるのではなく、ドクターブレード1122は、平滑で丸みを帯びた研磨エッジを有する細長ストリップとして構成される。均等な曲率半径の丸みを帯びたエッジを有するストリップは、たとえば、円形断面のロッドを平らにすることによって製造され得る。ドクターブレード1222は、好適にはステンレス鋼で作られ得るが、他の摩滅耐性を有する硬質材料が用いられてもよい。
【0064】
ブレードホルダ(たとえばタレット)は、その機能を変えることなく、ここで示されたものと異なる構成を有してよいことが当業者には明らかである。たとえば
図5Aおよび
図5Bに示すように、円筒形回転可能タレット1120Aは、円形断面ではなく多角形断面を有してよい。
図5Aにおいて、ドクターブレード1122は、多角形シリンダ1120aの側面から径方向に伸長するが、
図5Bでは、ドクターブレード1122は、多角形シリンダ1120bの角部から径方向に伸長する。理解すべき点として、ブレードまたは多角形側面の数、ならびに角部の丸みおよび他の幾何学的形状の態様は、そのようなシステムを設計する際に当業者によって選択され得る。様々な実施形態において、ブレードホルダは、たとえば複数のドクターブレード1122を把持し、回転可能であるといった同等の機能を行うように設計される限り、固体シリンダを備えてよく、骨格構造を備えてもよい。明確性のために、本明細書の説明は、タレット1120のみに言及するが、以下、たとえば1120aまたは1120bなどの変形例を含むことを理解すべきである。他の実施形態において、ブレードの交換は、ブレードホルダが回転可能であることを必要としない他の構成によって果たされ得る。
【0065】
タレット1120およびドクターブレード1122がITM210と相互作用する方法は、処理ステーション260の一例を更に詳しく示す
図6に示される。
【0066】
図6の例において、12のドクターブレード1122の1つは、ITM210が矢印2012によって示す印刷方向に移動しながら12のドクターブレード1122の1つの位置を横断すると、たとえば処理剤などの余剰液体の除去をもたらす(本開示において「アクティブ位置」と称する)位置でITM210に面する。
図2Aを参照する説明で上述したようなコーティングプロセスは、ここに示す実施形態にも関連する。
図6において、ブレードの1つ1122
ACTIVEは、ブレード1122のいずれかのうちITM210に最も近いため、余剰処理剤2031の除去のための「アクティブブレード」であり、アクティブブレード1122
ACTIVEの先端1125は、ITM210に面する。図に示す他のドクターブレード1122は、「非アクティブ」と呼ばれる。アクティブドクターブレード1122
ACTIVEが余剰処理剤2031を除去するためにITM210に面した位置にある場所が、以下、「余剰除去位置」と称される。
【0067】
ITM210が回転し、ITM210の一部がこの余剰除去位置を示された方向に横断すると、これが、ITM210の一部の表面からの過剰な処理剤2030の除去をもたらすただ1つのブレード1122
ACTIVEである。
図6は、特定の時点における図示された要素の位置を模式的に示し、他の時間(不図示)には、
図6に非アクティブとして示されるドクターブレード1122がアクティブであってよく、
図6に示すアクティブドクターブレード1122
ACTIVEが非アクティブであってよい。
【0068】
アクティブドクターブレード1122
ACTIVE(またはその丸みを帯びた先端1125)は、ブレードホルダ(この図においてタレット1120)およびアクティブ位置にはない他のドクターブレード1122、および裏当ローラ1141(または、丸みを帯びた先端1125へ向かって空気圧を供給するためのデバイス)は、集合的に、コーティング厚さ調整アセンブリを備え、すなわち、余剰除去位置を横断したITM210の一部に残る処理剤2030の厚さは、特に、アクティブドクターブレード112
ACTIVEの先端1125をITM210の対向部分へ向かって、またはその逆に推進させる力F1の大きさに従って調整され得る。
図2Cにおいて先に示すように、力F1によって、アクティブドクターブレード1122
ACTIVEおよびITM210および処理剤2030の薄い層が裏当ローラ1141にめり込み、または変形させ得るので、力F1は、処理剤2030の厚さの調整に寄与する。
図6は、ITM210を介して裏当ローラ1141の方向からアクティブドクターブレード1122
ACTIVEへ付加された力F1を示し、いくつかの実施形態において、同様の力が(裏当ローラ1141がITM210の反対側面にある位置で)反対方向に、すなわちアクティブドクターブレード1122
ACTIVEからITM210へ向かって付加される。力がどちらの方向から付加されるかにかかわらず、この原理は、ITM210に垂直な力が付加されると、余剰液体の除去が増進され調整され得ることである。
【0069】
図6の非限定的例において、ただ1つのドクターブレード1122、具体的にはアクティブドクターブレード1122
ACTIVEが、任意の所与の時間にITM210と相互作用する。ただし、たとえば(
図6には示されないが
図3に示す)乾燥した溶液34によってブレード1122が汚れた場合、隣り合う次のドクターブレード1122を上述したようなアクティブ位置に持ってくることが望ましい。図示したこの例において、タレット1120の回転は、このブレード交換を果たすために適している。アクティブ位置にあるアクティブブレードが、これまでアクティブ位置になかった異なるブレードと交換されるブレード交換動作を可能にするために、ブレード交換機構、たとえばタレット1120を軸に対して回転させるモータ1140が示されるように提供され得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、汚れたブレード1122は、タレット1120が回転する連続的ブレード交換動作によって、すなわちタレット回転サイクルにおける後半段階においてアクティブ位置へ戻される前に、ブレードをアクティブ位置へ再び戻す前にあらゆる堆積物を除去しブレードを清掃する清掃デバイス、たとえば
図6に模式的に示すような固定または回転ブラシ1130を通過する。
【0071】
実施形態において、ブレード交換動作は、オペレータによる要求で開始されてよく、あるいは所定間隔で行われてよい。他の実施形態において、ブレード交換動作は、ブレード交換動作がいつ生じるか生じないかに関する規則を適用するブレード交換コントローラ1150によって制御され得る。いくつかの実施形態において、ブレード交換コントローラ1150は、プログラム命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体を備え、コンピュータシステムの1または複数のプロセッサによるプログラム命令の実行は、1または複数のプロセッサに、ブレード交換機構がいつブレード交換動作を行い、または有効化し、またはもたらすか、またはブレード交換動作を避け、または防止するかを制御させる。ブレード交換動作を有効化または避けることは、タイミングに基づいてよく、ITM210のどの部分が、ブレード交換動作の時間に余剰除去位置を横切ることが可能か、または不可能かに基づいてよい。
【0072】
タレット1120に設置されたドクターブレード1122の数は、示されたように12である必要はなく、任意の数のブレード1122がタレット1120に設置され得る。いくつかの実施形態において、取替え中、すなわちブレード交換動作中、2つのドクターブレード1122が同時に機能してITM210と相互作用し(「アクティブ」であり)、ともに余剰除去位置を占める時間が存在するために十分な数があることが望ましい。このようにすると、1つのブレードのアクティブ状態から別のブレードのアクティブ状態へのほぼ継続的な移行がもたらされるので、コーティング厚さ調整アセンブリの動作におけるあらゆる中断の必要がなく、印刷システムを中断することなくドクターブレード1122が取り替えられることが可能になる。
【0073】
図7を参照すると、実施形態に係る印刷システム100の構成要素が、3つの異なる時間において示される。時間T1において、図は、
図6に示す状況に類似した状況を示し、ここでは1122
1と表示されるが
図6の1122
ACTIVEと等しい第1のドクターブレードが、アクティブ位置にある唯一のドクターブレード1122である。第2のドクターブレード1122
2は、余剰液体除去と向かい合った非アクティブ位置にある。この非限定的例におけるタレット1120は、矢印2103によって示すように反時計回りに回転するように構成されるので、第2のドクターブレード1122
2は、タレット1120の反時計回りの回転を伴うブレード交換動作の後にアクティブ位置にある次のドクターブレードであることが明確である。時間T2はT1よりも後の時間であり、ブレード交換動作が開始しているが、未だ完了していない。この時点で、第1のドクターブレード1122
1は既に、時間T1において保持された位置から移動し始めているが、非アクティブ位置に未だ到達していない。第2のドクターブレード1122
2は、時間T1に第1のドクターブレード1122
1があった位置へ向かう回転による移動を開始しているが、未だそこへ到達していない。コーティング厚さ調整アセンブリおよびブレード交換機構は、好適には、時間T2において、第1および第2のドクターブレード1122
1および1122
2の両方がそれぞれともにアクティブ位置にあり、すなわち両方のブレードがITM210と相互作用し、継続的な余剰液体の除去を提供するように構成され、この場合、余剰除去は、
図2Cに示すように裏当ローラ1141を介してまたは裏当ローラ1141へ向かって付加された圧力または他の力および裏当ローラ1141の軟性または圧縮性によって継続的に支援される。留意すべき点として、時間T2に関して
図7に示すように2つのブレード1122がともにアクティブ位置にある時、「余剰除去位置」という用語は、単一のアクティブブレードの位置ではなく、ドクターブレード1122
1および1122
2のそれぞれの先端1125によって画定される、ITM210に対し略平行な長方形状の平坦部分の位置を意味するものとして解釈すべきである。時間T3において、ブレード交換動作は完了しており、第1のドクターブレード1122
1は非アクティブ位置に到達しており、その先端はITM210から十分離れた場所へ移動しているので、ITM210が処理ステーションを横断する時に余剰液体の除去のためにITM210と干渉することはない。第2のドクターブレード1122
2は、時間T1に第1のドクターブレード1122
1があったアクティブ位置へ移動しているので、この時点で、アクティブ位置にある唯一のドクターブレードである。
【0074】
当業者には明確であるように、コーティング厚さ調整アセンブリおよびブレード交換機構に関して本明細書で説明され図示された様々な例は、余剰液体(たとえば処理剤)を除去し、アクティブ位置のブレードを交換する基本原理が順守される限り、これらの構成要素に関して可能な唯一の設計選択ではない。
【0075】
図8を参照すると、ITM210は、印刷方向(印刷方向は矢印2012として示される)に測定された長さ、およびW方向における幅によって画定されてよく、この図は平面図であるため、印刷方向2012およびW方向はともに平面を画定する。ITM210が、印刷システムを通って回転する無端ベルトを備える例において、その長さは周囲の長さに等しく、あるいは、無端ベルトを形成するためにその両端がたとえばシームで接合された材料の長さに等しい。いくつかの実施形態によると、ITM210は、複数のITMパネル700を備え、その各々は、ITM210とほぼ同じ幅、および0より大きくITMの長さ未満のパネル長さLPを有する。いくつかの実施形態において、ITMパネルは、ITMの物理的に分離された、たとえばITM上のマークまたはITMにおける溝または他の機械的改造によって分離された部分である。他の実施形態において、ITMパネルは、ITMの仮想(物理的に分離されてないことを意味する)部分であり、その寸法はコンピュータシステムに格納される。
【0076】
ITM210は、任意の数のITMパネルを備えてよく、ITMパネルの数は、印刷システムの特定の設計およびサイズに従って選択され得る。たとえば、ITM210は、N個のパネル700
1、700
2、700
3、・・・、700
Nを備えてよい。いくつかの実施形態において、パネルの各々は、
図8に示す例のように同じパネル長さLPを有し、ITM210の長さは、LPの整数倍である。
図8における例は長さLPのN個のパネルを備えるので、この例におけるITMの全長は、N×LPに等しい。他の実施形態において、パネルは、様々な長さを有してよい。
図9に示す例において、1つを除きパネルが長さLPを有し、パネル700
3はLP+Mの長さを有し、ここでMは任意の正の数である。
【0077】
ITMパネル700はインク画像領域710を備え、これは、画像形成ステーション212をパネルが通過するごとにインク画像が規則的に形成される、ITMパネルの領域である。たとえば、ITMパネル7001はインク画像領域7101を備え、ITMパネル7002はインク画像領域7102を備え、N個のパネルおよびN個のそれぞれのインク画像領域に関し同様である。
【0078】
いくつかの実施形態において、ITMパネル700は、印刷システム100の他の構成要素に対するITMパネル700の位置を特定するために用いられるロケータ720を備える。ロケータ720は、マーカおよび入力デバイスの1つを備える。マーカは、光学マーカ、磁気マーカ、機械マーカ、またはたとえば無線周波数識別デバイス(RFID)などの電子マーカであってよい。入力デバイスは、センサまたは検出器、たとえばマーカを検出および/またはマーカからのデータ通信を受信するように構成された検出器であってよい。いくつかの実施形態において、各ITMパネルは、ロケータ720としてマーカを備え、これらの実施形態において、印刷システム100内のどこかに固定的に設置された入力デバイスを備える固定ロケータ810(
図10を参照して後述)は、マーカを検出し、それによってマーカおよびパネルの位置を、それらがITM回転経路を移動すると同時に常時決定および/または追跡するように構成される。他の実施形態において、各ITMパネル700は、たとえばセンサまたはマーカ検出器などの入力デバイスをロケータ720として備え、これは好適には、印刷システム内のどこかに設置されたマーカを備える1または複数の固定ロケータ810を検出し、それによって入力デバイスおよびパネルの位置を、それら(入力デバイスを備えるロケータ720およびそれぞれのITMパネル700)がITM回転経路を移動すると同時に常時決定および/または追跡するように構成される。印刷システム内の定位置に対するITMパネルの追跡は、たとえばインク画像がITMの所望の部分に形成されること、たとえばインク画像が過去に形成されたインク画像領域にインク画像が形成されることを確実にするなど、システムの何らかの動作機能を制御するために役立ち得る。定位置に対するITMパネルおよびそれらのそれぞれのロケータの追跡は、たとえばITMの回転速度または任意の時間におけるITMの任意の特定のパネルまたは部分またはロケータの位置などのパラメータ、および回転速度に基づくそのような位置の予測を決定するために役立ち得る。追跡は、たとえばインク画像領域外またはシーム上など、ITMの不所望の部分にインク画像を形成することを避けるためにも役立ち得る。追跡は、インク画像領域またはシームのいずれかを含むITMの一部が余剰除去位置を横断する時にブレード交換動作が実行されないことを確実にするようにブレード交換機構を制御するため、あるいはインク画像領域またはシームを含まない部分が余剰除去位置を横断する時のみブレード交換動作が実行されることを確実にするようにブレード交換機構を制御するため、あるいは特定の部分が余剰除去位置を横断する時のみブレード交換動作が実行されることを確実にするようにブレード交換機構を制御するために、本明細書に開示される実施形態に関連して有用であり得る。
【0079】
図10は、ITMパネル700におけるロケータ720および印刷システム100内のどこかに設置された対応する固定ロケータ810を備える印刷システム100の例を示す。図に示すロケータ720の例は、ロケータ720
X、720
Y、および720
Zであり、それらは全てITM210に設置される。図に示す固定ロケータ810の例は、固定ロケータ810
A、810
B、および810
Cであり、その各々が、非限定的な例においてそれぞれが印刷システム100の固定フレーム要素である剛体フレーム要素245
A、245
B、および245
Cに適切な手段で取り付けられる。当然、任意の数のロケータ720が提供されてよく、任意の数の固定ロケータ810が提供されてよい。上述したように、ロケータ720のいずれかは、マーカまたは入力デバイスであってよく、固定ロケータ810のいずれかは、マーカまたは入力デバイスであってよく、その原理は、固定マーカが、ITMの回転とともに移動する入力デバイスと通信状態にあり、入力デバイスが、ITMの回転とともに移動するマーカと通信状態にあることである。マーカと入力デバイスとの間の通信は、光、磁気、RFIDを含む電子、および/または機械であってよい。
【0080】
ITM回転経路を通るITMパネル700の回転は、単一の印刷サイクルに少なくとも2つの期間を含んでよい。第1の期間中、インク画像領域710は、インク画像711を備える(各インク画像711は、それぞれのインク画像領域710と同じ広がりを持つため、不図示)。
図11に示すように、第1の期間は、インク画像711がITMパネル700に形成される画像形成ステーション212から始まり、インク画像711が基板に転写されるインプレッションステーション216で終わるITM回転経路部分をITMパネル700が横断することに対応する。第2の期間は、ITM回転経路の残り、すなわちインク画像711が基板に転写されるインプレッションステーション216の後から始まり印刷ステーション212の前に終わるITM回転経路部分をITMパネルが横断することに対応する。第2の期間中、インク画像領域710は、インク画像711を含まないが、インク画像711は、画像形成ステーション212をインク画像領域(およびそれぞれのITMパネル)が通過するごとにインク画像領域710に規則的に形成され、具体的には、インク画像領域711が画像形成ステーション212を再び通過すると即、形成される。
【0081】
図12は、2つの隣接したITMパネル700
N、700
1の間に配置されたシーム800を示し、それぞれの下付き文字は、この非限定的例において、シーム800が最後の(N番目の)パネルと第1のパネルとの間に設けられたことを示す。シーム800の構成およびそれらをITM210に生成または設けるための方法は、上述された。
【0082】
ITMの「繊細な」部分が余剰除去位置を横断している時、上述したように、ブレード交換動作の実行を避けることが望ましい。ブレード交換動作の力は、アクティブ位置に保持されたドクターブレードの先端の上を通過するITM部分に過剰な応力を与え、ITMに塗布された処理剤層の品質(たとえばその均一性、所望の厚さなど)を低下させ得るので、アクティブ位置を出入りするブレードの動きは、好適には、繊細な部分が存在しない時に起こるべきである。留意すべき点として、ブレード交換動作は好適には、たとえば100ミリ秒未満、50ミリ秒未満、または10ミリ秒未満など非常に迅速に行われ、これは、ブレードが高度の加速を受けることにより、ブレードが物理的に相互作用するITMの繊細な部分に機械的に影響を及ぼし得る大きな力を受けることを意味する。繊細な部分の例は、インク画像領域を含む部分である。インク画像領域は、そこへのインク画像の形成のために繰返し用いられるので、また、この使用はインク画像の形成だけではなく、転写をもたらすために強い機械力が付加され得るインプレッションステーションにおける基板への画像の転写も必然的に伴うので、インク画像領域を含む部分は、より薄く、より摩耗しており、材料疲労を示し、あるいはブレード交換動作によってその表面に動的に付加される力への機械的抵抗に関する頑丈性がより低くなり得る。加えて、ブレード交換動作の動的応力は、ブレード交換動作中にアクティブ領域を通過するITM部分の今後の有用性に有害な影響を及ぼし得るので、この部分は、繰り返されるインク画像形成およびインプレッションステーションにおけるインプレッションによる繰り返される基板への転写を含む繰り返される印刷動作に関して、将来的に、機械的に適さなくなり得る。ITMは、繰り返されるブレード交換動作を経験することによって引き伸ばされ、薄くなり、擦り切れ、またはその他の損傷を受けることがあり、その後、印刷される表面の伝導性が低くなり、または動作寿命が短くなり、そうでない場合よりも早く交換を必要とする。また、特にインク画像領域において、処理剤が可能な限り均一であり、可能な限り所望の厚さに近いことは特に重要であってよく、上述したように、ブレード交換動作は、ブレード交換動作時に処理ステーションを横断するITMの部分における処理剤の厚さおよび均一性に局所的に影響を及ぼし得る。繊細な部分の他の例は、シームを含む部分である。一度か繰返しかにかかわらず、ブレード交換動作の応力を受けたシームは弱くなり、または断裂または擦り切れ、あるいは破壊され、今後の動作に役立たなくなり得る。したがって、いくつかの実施形態において、そのような繊細なITM部分が余剰除去位置を横断する間、ブレード交換動作を行うことを避けるように、ブレード交換動作の発生を制御することが望ましい。いくつかの実施形態において、ITMの繊細でない部分が余剰除去位置を横断する時のみブレード交換動作が行われることを確実にするようにブレード交換動作の発生を制御することが望ましい。いくつかの実施形態において、ITMの特定の繊細でない部分が余剰除去位置を横断する時のみブレード交換動作が行われることを確実にするようにブレード交換動作の発生を制御することが望ましい。インク画像領域またはシームを含む部分以外の繊細な部分がITMには存在し得るが、明確性のために、これら2つの例のみが、繊細な部分の概念を説明するために本明細書において用いられる。いくつかの実施形態において、ITMにおけるインク画像形成のタイミングに基づいてブレード交換動作を実行するようにブレード交換の発生を制御することが望ましい。いくつかの実施形態において、ITMから基板へのインク画像転写のタイミングに基づいてブレード交換動作を実行するようにブレード交換の発生を制御することが望ましい。
【0083】
図13Aを参照すると、実施形態に係るITM210は、隣り合うインク画像領域710間の領域を含むが、任意のインク画像領域710またはその一部、あるいはシーム800を備える領域を含まない複数の部分750を備える。これらの部分750は、繊細な領域として上述されたものを除くものであり、いくつかの好適な実施形態において、これらの部分750の1つが余剰除去位置を横断する時のみ、ブレード交換動作が実行される。代替実施形態において、インク画像領域701
Nとシーム800との間、および/またはシーム800とインク画像領域701
1との間に挟まれた部分が存在してよく、その設計選択は、これら2つの領域のいずれかにおける利用可能な空間量(および特に印刷方向における長さの成分)、およびITM210の回転速度に依存し、これらはともに、後のインク画像領域710
Nの横断とシーム800の横断との間、またはシーム800の横断とインク画像領域701
1の横断との間に、それぞれブレード交換動作を可能にするための十分な時間があるかを定める。これらの部分750が余剰除去位置を横断する時のみブレード交換動作が実行される実施形態において、たとえば上述したブレード交換コントローラ1150などのブレード交換コントローラは、ブレード交換動作を、これらの部分750の1つが余剰除去位置を横断する期間に限定するプログラム命令を実行するプロセッサを含む。
【0084】
図13Bにおいて、実施形態に係るITM210は、インク画像領域710およびシーム800を含む複数の部分760を備える。これらの部分760は、繊細な領域として上述されたものを含み、いくつかの好適な実施形態において、ブレード交換動作は、これらの部分760の1つが余剰除去位置を横断する時には行われない。代替実施形態において、インク画像領域701
Nとインク画像領域701
1との間の領域内に示される部分760は、より小さく、シーム800のみを覆うものであってよく、この設計選択は、これら2つの領域における利用可能な空間量(および特に印刷方向における長さの成分)、およびITM210の回転速度に依存し、これらはともに、後のインク画像領域710
Nの横断とシーム800の横断との間、またはシーム800の横断とインク画像領域701
1の横断との間に、それぞれブレード交換動作を可能にするための十分な時間があるかを定める。これらの部分760が余剰除去位置を横断する時のみブレード交換動作が行われる実施形態によると、たとえば上述したブレード交換コントローラ1150などのブレード交換コントローラは、印刷システム100に、これらの部分760の1つが余剰除去位置を横断する期間中、ブレード交換動作を行うことを避けさせるプログラム命令を実行するプロセッサを含む。
【0085】
図14は、
図12Aを参照して上述したような第1の複数の部分750と、
図12Bを参照して上述したような第2の複数の部分760とを備えるITM210を示す。図に示されるように、2つの複数の部分750、760の間に重なりはなく、それらは互いに排他的である。加えて、ITM210は、2つの複数の部分750、760で全体が構成され、第1の複数の部分または第2の複数の部分のどちらでもないITM部分は存在しない。
【0086】
図15において、ITM210は、事前選択部分770を備える。いくつかの実施形態において、
図15のITM210は、
図9のITM210と同じであり、上述したように、1つのパネル700
3が他のパネル700よりも大きい長さを有し、この場合、事前選択部分770は、好適には、パネル700
3のインク画像領域710
3とエッジ715との間に、大きなパネルとともに設けられる。事前選択部分770は、本明細書で言及されるような繊細な部分を含まない。実施形態において、ブレード交換動作は好適には、事前選択部分770が余剰除去位置を横断する時に行われる。当業者には、事前選択部分770が第3のパネルの一部である必要はなく、任意のパネル、たとえば示されたITMパネル700
1、770
2、または770
Nのいずれかの一部であってよいことが明らかである。また、事前選択部分770は、事前選択部分770を備えるパネルと隣接したパネルとの間にシーム800が存在しない限りは、最大で隣接したパネル700内のインク画像領域710を含まないところまで、隣接したパネル700の一部を更に含んでよく、たとえばこの図がパネル770
4を示す場合、パネル770
3とインク画像領域710
4との間のパネル770
4の一部が事前選択部分770に含まれてよい。また、この図およびそれに伴う説明は、事前選択部分770が、他のパネルよりも大きい長さを有するパネル700に全体的または部分的に設けられた非限定的な例に言及するが、事前選択部分770は、本明細書で言及されるような繊細な部分に重ならない限り、任意のパネル700に全体的または部分的に設けられ得ることも明確である。事前選択部分770が余剰除去位置を横断する時のみブレード交換動作が行われる実施形態によると、たとえば上述したブレード交換コントローラ1150などのブレード交換コントローラは、印刷システム100に、事前選択部分770が余剰除去位置を横断する期間中のみブレード交換動作を行わせるプログラム命令を実行するプロセッサを含む。
システム動作の実例
例1
【0087】
本明細書における実施形態のいずれかに係る印刷システムは、11のパネル(すなわちN=11)および(パネルNとパネル1との間のシームを示す
図13Aに示すように)パネル11とパネル1との間のシームを含むITMを備え、各パネルはインク画像領域を備え、印刷システムは更に、ブレード交換機構に、ITMの回転ごとに1度、たとえば
図13Aに示すパネルN内の部分750など、パネル10上のインク画像領域が余剰除去位置を通過した後かつパネル11上のインク画像領域が余剰除去位置を通過する前に、ブレード交換動作を行わせるようにプログラムされたブレード交換コントローラを備える。
例2
【0088】
本明細書における実施形態のいずれかに係る印刷システムは、11のパネルおよびパネル11とパネル1との間のシームを含むITMを備え、各パネルはインク画像領域を備え、印刷システムは更に、ブレード交換機構に、規則を実施させるようにプログラムされたブレード交換コントローラを備え、それによってブレード交換動作は、ITMの各回転中に厳密に一度だけ、この例において、パネル11上のインク画像領域が余剰除去位置を通過した後かつシームが余剰除去位置を通過する前に行われる。
【0089】
上述したように、繊細な部分は、たとえばインク画像領域またはシームを含む部分である。実施形態において、コントローラは、位置および/または速度情報を用いて、繊細な部分を備えない部分がいつ余剰除去位置を通過するかを決定し、その決定に基づいてのみブレード交換動作を開始することにより、ブレード交換動作時に余剰除去位置を横断する部分が、繊細な部分を含まない複数の所定の部分の1つであることを確実にする。実施形態において、方法は、ITMの複数の所定の部分の1つ、たとえば
図13Aの部分750が余剰除去位置を横断する時のみブレード交換動作が行われることを確実にするようにブレード交換機構を制御するブレード交換コントローラを用いる。代替実施形態において、コントローラは、位置および/または速度情報を用いて、繊細な部分を備える部分がいつ余剰除去位置を通過するかを決定し、その決定に基づいてブレード交換動作を開始し、具体的には、ブレード交換動作時に余剰除去位置を横断する部分が、繊細な部分を含む複数の所定の部分の1つであるという状況を避ける。実施形態において、方法は、ITMの複数の所定の部分の1つ、たとえば
図13Aの部分760が余剰除去位置を横断する時にブレード交換動作が行われることを避けるようにブレード交換機構を制御するブレード交換コントローラを用いる。
【0090】
たとえば
図16を参照して説明する実施形態などの実施形態において、ブレード交換コントローラ1150は、ブレード交換コントローラ1150に、繊細な部分を備えない部分が余剰除去位置を通過する時のみブレード交換動作が実行されることを確実にさせるプログラム命令を備えてよい。たとえば
図17を参照して説明する実施形態などの代替実施形態において、ブレード交換コントローラ1150は、ブレード交換コントローラ1150に、繊細な部分を備える部分が余剰除去位置を通過する時にブレード交換動作を行うことを避けさせるプログラム命令を備えてよい。
【0091】
図16は、いくつかの実施形態に係る、ブレード交換機構およびブレード交換コントローラを含む印刷システムを動作させる方法のフローチャートを含み、この方法は、以下を備える。
a)液滴堆積によって、回転するITM210の表面にインク画像を形成するステップS01、
b)インク画像をインプレッションステーションへ搬送するステップS02、
c)インク画像を基板へ搬送するステップS03、
d)インプレッションステーションの下流で、回転するITMの表面の一部分に過剰な処理液剤を塗布するステップS04、
e)過剰な処理液剤を有するITMの部分を、余剰除去位置を通って搬送するステップであって、アクティブ位置にあるドクターブレードの存在により、たとえば厚さおよび厚さの均一性などの所定の特性を有する処理溶液膜を残し、余剰液体が除去されるステップS05、および
f)制御機能に従ってブレード交換動作を行うステップS06Aを備える。制御機能は好適には、余剰除去位置を通って搬送されているITMの部分が繊細な部分を含まない時のみ、アクティブ位置にあるブレードと異なるブレードとの交換が生じることを確実にするようにブレード交換機構の動作を制御するブレード交換コントローラによって果たされる。
【0092】
他の実施形態において、ステップS06Aは、余剰除去位置を通って搬送中のITMの部分が、ITMの複数の所定の「許容可能」部分の1つである場合のみ、アクティブ位置にあるブレードと異なるブレードとの交換が生じることを確実にするようにブレード交換機構の動作を制御することを備え、すなわち、それらの部分は、ブレード交換動作が許容されるものとして所定である。「許容可能」部分の例は、
図13Aにおける部分750を含む。
【0093】
図17は、代替実施形態に係る、ブレード交換機構およびブレード交換コントローラを含む印刷システムを動作させる方法のフローチャートを含み、この方法は、
図16にフローチャートが示された方法と全て同じであるステップS01、S02、S03、S04、およびS05と、制御機能に従ってブレード交換動作を行うステップS06Bとを備える。制御機能は好適には、余剰除去位置を通って搬送中のITMの一部が繊細な部分を含む間、アクティブ位置にあるブレードと異なるブレードとの交換を避けるようにブレード交換機構の動作を制御するブレード交換コントローラによって果たされる。
【0094】
他の代替実施形態において、ステップS06Bは、余剰除去位置を通過して搬送されているITMの部分が、複数の所定のITMの「許容不可能」部分の1つである時、アクティブ位置にあるブレードと異なるブレードとの交換を避けるようにブレード交換機構の動作を制御することを備え、すなわち、それらの部分は、ブレード交換動作が許容されないものとして所定である。所定の「許容不可能」部分の例は、
図13Bにおける部分760を含む。
【0095】
いくつかの実施形態において、方法の全てのステップが必要なわけではない。
【0096】
ステップS01、S02、S03、S04、およびS05を実行するための適切な装置の例は、
図1、
図2A、および
図2Bを参照して説明されている。ステップS06AまたはステップS06Bのいずれかを実行するための適切な装置の例は、
図6のブレード交換コントローラ1150、ならびにたとえば
図6のモータ1140などのブレード交換機構である。
【0097】
実施形態において、ステップS06AまたはステップS06Bのいずれか1つは、たとえば
図18におけるフローチャートで示す方法など、制御機能に従ってブレード交換動作を行うための方法を実施することによって適切に実行されてよく、この方法は、以下を備える。
a)コンピュータストレージから制御機能規則を取得するステップS07。制御機能規則の例の非網羅的なリストは、
i.ITMのX回の回転ごとに、ブレード交換動作を行う、
ii.Y秒ごとに、ブレード交換動作を行う、
iii.(枚葉印刷機における)Z枚のシートごとに、ブレード交換動作を行う、
iv.XX個の画像ごとに、ブレード交換動作を行う(XXは、たとえばITMに付着したインク画像の数、または基板に転写されたインク画像の数であってよい)
ことを含み、ここで、X、Y、Z、およびXXは全て、その値が設計者によって事前に決定され、コントローラによる後の取得のためにコンピュータストレージに格納され得るか、あるいはコントローラのプログラム命令に含まれ得るパラメータである。
b)ブレードコントローラによって、たとえば上述したようなロケータ720または固定ロケータ810として機能する入力デバイスなどの1または複数の入力デバイスから位置情報および/またはITM回転速度情報を受信するステップS08、
c)次に余剰除去部分を通過するITM部分が繊細な部分を備えるかを決定する決定Q1であって、この決定は、たとえば1または複数の入力デバイスから受信した位置情報および/またはITM回転速度情報を用いて、ブレード交換コントローラによってなされる。答えが「はい」である場合、後続のITM部分を待機し、後続の部分に関してQ1に戻ることを伴うステップS09が実行される。答えが「いいえ」である場合、決定Q2が対処される。
d)次のITM部分が制御機能規則の条件を満たすかの決定Q2。たとえば、ステップS07において規則(i)「ITMのX回の回転ごとにブレード交換動作を行う」が取得された場合、コントローラは、最後のブレード交換が行われてからITMがX回回転したかを決定する。Xは、たとえば1などの整数であってよいが、いくつかの実施形態において、整数ではない。答えが「いいえ」である場合、後続の部分を待機し、後続の部分に関してQ1に戻ることを伴うステップS09が実行される。答えが「はい」である場合、ステップS10が実行される。
e)ブレード交換機構によってブレード交換動作を開始するステップS10。
【0098】
いくつかの実施形態において、たとえば制御機能規則がコントローラのプログラム命令に含まれる実施形態、あるいは制御機能規則が以前、たとえば印刷システムが最初に起動された時に取得された場合、取得すること(ステップS07)がスキップされ得ることが当業者には明らかである。また、決定Q1およびQ2の順番は、方法の効果を変えることなく逆にされ得ることも当業者には明らかである。いくつかの実施形態において、決定Q1はスキップされてよく、他の実施形態において、受信すること(ステップS08)及び決定Q1の両方がスキップされ得る。これら2つの場合のいずれかにおいて、開始すること(ステップS10)は、決定Q2による「はい」の結果のみに基づいて進められ得る。明確性のために、(ステップS08)および決定Q1の両方がスキップされる実施形態の典型的な非限定的例に係る方法のフローチャートが
図19に含まれる。この例において、制御機能規則は、規則(ii)「Y秒ごとにブレード交換動作を行う」を含んでよい。したがって、開始すること(ステップS10)は、たとえばITMの長さおよび回転速度が既知であり、制御機能規則のY秒間隔の持続期間を決定する際に考慮される場合、(
図18におけるステップS08のように)ITM部分位置情報を受信する必要なく、またはブレード交換動作中にどのITM部分が余剰除去位置を通過しようとしているかを確認する(
図18における決定Q1のように)必要なく、タイミングのみに基づいて行われ得る。
【0099】
他の実施形態において、ステップS08は、1または複数の入力デバイスから受信した位置情報およびITM回転速度情報の少なくとも1つを用いて、ITMの複数の所定の「許容可能」または「許容不可能」部分の1つが余剰除去位置を通過する時を決定することを備え、ステップS10は、ブレード交換動作に、ステップS08の決定に従ってブレード交換動作を行わせることを備える。
【0100】
たとえばITMに設置されたマーカおよびセンサまたはマーカ検出器などの入力デバイスは、それぞれ印刷システム内に設置された対応するセンサまたはマーカ検出器、またはマーカとともに、回転するITMの特定の一部、部分、および/または部品の位置を追跡してよい。代替実施形態において、ステップS08は、1または複数のそのような入力デバイスからの位置情報を受信することを備え、方法は、位置情報からITM速度を計算するステップS08.1(不図示)を備える。たとえばブレード交換コントローラ1150などのコントローラは、位置および任意選択的に速度追跡情報を入力デバイスから受信する。
【0101】
たとえば
図20を参照して説明される実施形態などの実施形態において、ブレード交換コントローラ1150は、ブレード交換コントローラ1150に、ITMの事前選択部分が余剰除去位置を通過する時のみブレード交換動作が実行されることを確実にさせるプログラム命令を備えてよい。事前選択部分は好適には、「許容可能」部分の1つである。代替または追加として、事前選択部分は、繊細な部分を備えていない。例示として、上述の例1において、隣接したパネル(パネル10および11)内のインク画像領域間の事前選択部分が余剰除去位置を通過する度にブレード交換動作が行われる実施形態が説明される。
【0102】
図20は、いくつかの実施形態に係る、ブレード交換機構およびブレード交換コントローラを含む印刷システムを動作させる方法のフローチャートを含み、この方法は、以下を備える。
a)液滴堆積によって、回転するITM210の表面にインク画像を形成するステップS11、
b)インク画像をインプレッションステーションへ向かって搬送するステップS12、
c)インク画像を基板に転写するステップS13、
d)インプレッションステーションの下流で、回転するITMの表面の一部分に過剰な処理液剤を塗布するステップS14、
e)過剰な処理液剤を有するITMの部分を、アクティブ位置にあるドクターブレードの存在により余剰液体が除去される余剰除去位置を通って搬送するステップS15、および
f)事前選択部分が余剰除去位置を通過する時のみブレード交換動作が生じることを確実にするようにブレード交換機構の動作を制御するブレード交換コントローラを用いて、制御機能に従ってブレード交換動作を行うステップS16。
【0103】
いくつかの実施形態において、方法の全てのステップが必要なわけではない。
【0104】
ステップS11、S12、S13、S14、およびS15を実行するための適切な装置の例は、
図1、
図2A、および
図2Bを参照して説明されている。ステップS16を実行するための適切な装置の例は、
図6のブレード交換コントローラ1150である。実施形態において、ステップS16は、たとえば
図21におけるフローチャートで示された方法など、制御機能に従ってブレード交換動作を行うための方法を実施するための方法を実施することによって適切に実行されてよく、この方法は、以下を備える。
a)たとえば上述したようなロケータ720または固定ロケータ810として機能する入力デバイスなどの1または複数の入力デバイスからの位置情報および/またはITM回転速度情報を受信するステップS17、
b)次に余剰除去位置を通過するITM部分が事前選択部分を備えるかの決定Q3であって、この決定は、たとえば1または複数の入力デバイスから受信した位置情報および/またはITM回転速度情報を用いて、ブレード交換コントローラによってなされる。答えが「はい」である場合、後続の部分を待機し、後続の部分に関してQ3に戻ることを伴うステップS18が実行される。答えが「いいえ」である場合、ステップS19が実行される。
c)ブレード交換機構によってブレード交換動作を開始するステップS19。
【0105】
代替実施形態において、ステップS17は、1または複数の入力デバイスからの位置情報を受信することを備え、方法は、位置情報からITM速度を計算するステップS17.1(不図示)を備える。たとえばブレード交換コントローラ1150などのコントローラは、入力デバイスから位置および任意選択的に速度追跡情報を受信する。コントローラは、位置および/または速度情報を用いて、事前選択部分がいつ余剰除去位置を通過するかを決定し、その決定に基づいてブレード交換動作を開始する。実施形態において、方法は、ITMの特定の事前選択部分、たとえば
図15の部分770が余剰除去位置を横断する時のみブレード交換動作が生じることを確実にするようにブレード交換機構を制御するブレード交換コントローラを用いる。他の態様において、事前選択部分770は、たとえば
図13Aの部分750など、複数の所定の部分の事前選択された1つを備えてよい。
【0106】
実施形態において、ブレード交換コントローラ1150は、ブレード交換動作は、インプレッションステーション216におけるインク画像711の基板への転写と同時に生じないことを確実にするように構成される。いくつかの実施形態において、これを確実にすることは、基板が個々のシートを備える場合にのみ起こる。
【0107】
上述したように、(
図2Cおよび
図3に示す)ドクターブレード2014または(ブレード1122が、たとえば図示された回転シリンダなどのコーティング厚さ調整アセンブリ1120における複数のブレードの1つである場合、
図4~7に示す)ドクターブレード1122の(
図3および
図6に示す)先端1125は、
図2Cに模式的に示すように、表面裏当ローラ1141を「めり込ませ」または変形させるように表面裏当ローラ1141に可撓性ITM210を押し付ける。裏当ローラ1141の表面の圧縮性および/またはドクターブレード2014または1122が裏当ローラ1141の表面をめり込ませ、または変形させる範囲は、いくつかの実施形態において、ITM210の表面における処理剤2030の厚さを調整する際の要因として用いられる。ドクターブレードと裏当ローラの間とともにそれら2つの間のITM210に付加される力(たとえば
図6およびず7に示す力F1)は、それがドクターブレード2014または1122の方向から付加されるか裏当ローラ1141の方向から付加されるかにかかわらず、ブレードとITM210との相互作用を、ITM210の表面からの余剰液体2030の除去に効果的にするために役立つ。ブレードおよびITMとともに用いられる場合の「相互作用」という用語は、本明細書において、ITM210がブレードを横断すること、および/またはその結果生じる任意のまたは全ての物理現象を意図して用いられる。
【0108】
ITM210の局所的な延伸は、いくつかの要因またはそれらの組み合わせによって生じ得る。非限定的例において、ドクターブレードとITMとの相互作用は、ITMの局所的および/または不均一な延伸をもたらし得る。これは、付加された力F1により、または一方におけるITMと他方におけるドクターブレードおよび/または裏当ローラとの間の摩擦力により、または力F1と摩擦力との組み合わせにより生じ得る。
【0109】
図22Aは、裏当ローラ1141の方向から力が付加される例に係る力F1を示す。
図22Bは、力F1と等しい大きさであるが反対方向、すなわちドクターブレード2014の方向から付加された時の力F1’を示す。
図22Cは、ここではITM210の移動方向(矢印2012で示された印刷方向)と反対であるものとして示される、ITM210とブレード2014との間の摩擦による力FFを模式的に示す。
【0110】
図22Dに示すように、
図22A、
図22B、および
図22Cに示す力は、単一か組み合わせか、あるいは他の要因との組み合わせかにかかわらず、延伸したITM部分211によって明示するように、ITM210の表面がブレード2014の先端1125を横断する点の付近でITM210の延伸をもたらし得る。他の例(不図示)において、ITM210の局所的延伸は、ITM210の表面がブレード2014の先端1125を横断する点の付近ではないITM210の他の部分に伝搬し得る。
【0111】
当業者が理解するように、単一のブレード2014とITM210との相互作用および対応する力および起こり得るITM210の延伸に関する
図22A~Dを参照した上記説明は、
図4~7を参照して本明細書で説明したように、処理ステーションにおいて複数のブレード1122がブレード回転機構1120に取り付けられた例にも等しく適用可能である。
【0112】
図23は、実施形態に係る印刷システム100を示す。印刷システム100は、ITM210と、画像形成ステーション212と、インプレッションステーション216と、ITM210の回転を駆動する、たとえば電気モータであってよいコンベヤ(不図示)と、処理ステーション260と、コントローラ215とを備える。処理ステーション260は、たとえば、処理ステーション260が単一のブレード2014を備えるものとして示される
図2Aまたは
図2Bに示す処理ステーション、またはコーティング厚さ調整アセンブリ1120が複数のブレード1122を備える
図6に示す処理ステーションのいずれかであってよい。コントローラは、ITMの不均一な延伸を検出するように構成される。これはたとえば、(
図10に示す)固定ロケータ810間を(
図8~10に示す)マーカ720が通過するタイミングによってITM210の局所的速度を計算し、位置検出器810の各ペア、および特に画像形成ステーション212の上流かつそれぞれの印刷バー222間に配置され得るそのような固定ロケータのペアに関する予測または標準通過時間からの逸脱を記録するためのプログラム命令を実行することによって行われ得る。プログラム命令は好適には、コントローラ215の非一時的記憶媒体(不図示)に格納される。またコントローラは好適には、プログラム命令を実行するように構成された少なくとも1つのコンピュータプロセッサも備える。コントローラ215は、本明細書に開示された実施形態のいくつかまたは全てを実行するためだけに提供されてよく、または、印刷システム100の動作に関する他の機能も実行するコントローラであってよい。図示されないが、コントローラは、印刷システム100の他の構成要素および/または他の任意のコンピューティングデバイスおよび/またはコンピュータネットワークまたはネットワーク構成要素に有線または無線で接続され得ることが明らかであり、上記は特に、たとえばディスプレイおよびプリンタなどのユーザインタフェースおよび記憶媒体も含み得る。
【0113】
コントローラ215は、不均一な延伸を補償するために、様々な印刷バー222による液滴堆積のタイミングを変調することによって、ITM210の不均一な延伸の検出に応答するように更に構成され得る。液滴堆積のタイミングを変調することは、インク液滴の位置ずれを避け、画像形成ステーション212が歪んだインク画像、または(たとえば4色印刷システムにおいて)たとえばシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックなどの様々なインク色が意図した通りにインク画像を形成するために適切に整列しない画像を形成することを避けるためである。タイミングの変調は、一部のインク液滴の堆積を、本来発生するはずの時より早くまたは遅く行うことを含んでよい。場合によっては、変調は、画像の一部のインク液滴の堆積を加速(速く)し、同じ画像内の他のインク液滴の堆積を減速(遅く)することを含んでよい。
【0114】
ITMの不均一な延伸を検出し、ITMの不均一な延伸の検出に応答するための方法の適切な例は、参照によってその全体が本願に組み込まれるUS2015/0042736号に開示された実施形態を含む。
【0115】
いくつかの実施形態において、コントローラ215によって検出された不均一な延伸は、ブレード2014または1122とITM210との相互作用によって生じる。この相互作用の性質は、
図22A~Dを参照して上述された。設計によって、ITMは、印刷システムの通常動作中、ブレードの上を継続的に走り、好適には、ブレードとの通常の相互作用の結果として不均一な延伸を経ないように設計される。しかし、たとえばブレードが誤って位置合わせまたは誤って位置決めされるなどの予期せぬ出来事が、異常または不均一な延伸を招くことがある。たとえば、コーティング厚さ調整アセンブリが複数のブレードを備える場合、複数のブレードのうちの特定の1つのブレードがコーティング厚さ調整アセンブリ内で誤って位置合わせまたは誤って位置決めされ、それぞれの誤って位置合わせまたは誤って位置決めされたブレードがITMの表面から余剰液体を除去するためのアクティブ位置にある間のみ、ITMの不均一な延伸をもたらすことがあり、そのような例において、誤った位置合わせの問題は、他のブレードがアクティブ位置にある時にITMの不均一な延伸をもたらすことはない。そのような場合、コントローラは、多数の反復的および/または周期的な不均一な延伸を検出および追跡し、それらを印刷システムのユーザまたはオペレータに、またはメンテナンスログとして機能し得るファイル報告してよい。不均一な延伸が検出される度にインク液滴の堆積のタイミングを変調することによって応答することに加えて、多数の反復的および/または周期的な不均一な延伸の検出に応答した行動が取られ得る。適切な応答は、繰り返される不均一な延伸の原因である特定のブレードを再位置合わせまたは調整することであってよい。いくつかの実施形態において、調整は、コーティング厚さ調整アセンブリがそのように構成されている場合、コーティング厚さ調整アセンブリとともにコントローラによって自動的に行われてよく、他の実施形態において、印刷システムのオペレータがこの機能を果たしてよい。
【0116】
いくつかの実施形態において、コントローラ215によって検出された不均一な延伸は、ブレード交換動作の追加の応力によって生じ得る。ブレード交換動作の詳細は、ブレード交換動作により、ブレード交換動作が生じる時に処理ステーションを通過するITM210の部分に追加の力が付加されるため、ブレード交換動作はITM210の延伸をもたらし得るという点を含め、既に上述されている。
【0117】
図24は、いくつかの実施形態に係る、本明細書に開示される実施形態に従って印刷システムを動作させる方法のフローチャートを含み、印刷システムは、インプレッションステーションの下流かつ画像形成ステーションの上流の処理ステーションにおいて、処理液剤のアプリケータと、ブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリとを含む。この方法は、以下を備える。
a)ITM表面の一部分に過剰な処理液剤を塗布するステップS101。
b)(ステップS101により過剰な処理液剤を有する)ITMの部分を、ブレードの存在により上記ITM部分からブレードによって余剰液体が除去される余剰除去位置を通って搬送することにより、ITMの不均一な延伸をもたらすステップS102。
c)ITMの上記不均一な延伸を検出するステップS103。
d)ITMの不均一な延伸を検出することに応答して、不均一な延伸を補償するために液滴堆積のタイミングを変調するステップS104。
【0118】
いくつかの実施形態において、コーティング厚さ調整アセンブリは更に、1または複数の追加のブレードを備え、その結果、コーティング厚さ調整アセンブリは複数のブレードを備え、ステップS102におけるブレードは、複数のブレードのうちの1つである。いくつかの実施形態において、不均一な延伸は局所的であり、処理ステーションを横断するITMの部分またはその付近にある。いくつかの実施形態において、方法の全てのステップが必要なわけではない。
【0119】
図25は、いくつかの実施形態に係る、本明細書に開示される実施形態に従って印刷システムを動作させる方法のフローチャートを含み、印刷システムは、インプレッションステーションの下流かつ画像形成ステーションの上流の処理ステーションにおいて、処理液剤のアプリケータと、ブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリとを含む。この方法は、以下を備える。
a)ITMの一部分に過剰な処理液剤を塗布するステップS101A。これは好適には、インプレッションステーションの下流かつ画像形成ステーションの上流の処理ステーションにおいて生じる。
b)ブレードの存在によりブレードとITMとの相互作用によって余剰液体が除去される余剰除去位置を通って(ステップS101Aにより過剰な処理液剤を有する)ITMの部分を搬送するステップあって、ブレードとITMとの相互作用がITMの不均一な延伸をもたらす、ステップS102A。
c)ITMの上記不均一な延伸を検出するステップS103A。
d)ブレードとITMとの相互作用によって生じたITMの不均一な延伸の検出に応答して、不均一な延伸を補償するために液滴堆積のタイミングを変調するステップS104A。
【0120】
いくつかの実施形態において、コーティング厚さ調整アセンブリは更に、1または複数の追加のブレードを備え、その結果、コーティング厚さ調整アセンブリは複数のブレードを備え、ステップS102Aにおけるブレードは、複数のブレードのうちの1つである。いくつかの実施形態において、不均一な延伸は局所的であり、処理ステーションを横断するITMの部分またはその付近にある。いくつかの実施形態において、方法の全てのステップが必要なわけではない。他の実施形態において、ITMの局所的な延伸は、処理ステーションを横断するITMの部分またはその付近ではないITMの他の部分へ伝搬し得る。
【0121】
図26は、いくつかの実施形態に係る、本明細書における実施形態のいずれかに従って印刷システムを動作させる方法のフローチャートを含み、印刷システムは、インプレッションステーションの下流かつ画像形成ステーションの上流の処理ステーションにおいて、処理液剤のアプリケータと、複数のブレードを備えるコーティング厚さ調整アセンブリと、ITMの表面から余剰処理液剤を除去するためにどのブレードがITMと相互作用するかを変更するためにブレード交換動作を行うためのブレード交換機構とを含む。この方法は、以下を備える。
a)ブレード交換動作を行うためにブレード交換機構を用いるステップS111。
b)ブレード交換動作中、処理ステーションと交差するITMの部分または処理ステーションを通過するITMの部分の付近にある部分の局所的な延伸を検出するステップであって、局所的な延伸は少なくとも部分的にブレード交換動作によって生じる、ステップS112。
c)ITMの局所的な延伸を補償するために液滴堆積のタイミングを変調することによってITMの局所的な延伸の検出に応答するステップS113。
【0122】
いくつかの実施形態において、ステップS113の変調は、処理ステーションと画像形成ステーションとの間でのITMの不均一に延伸した部分の移動時間によって遅延し得る。
【0123】
本発明は、例として提供され、本発明の範囲を限定することが意図されない、本発明の実施形態の詳細な説明を用いて説明された。説明された実施形態は様々な特徴を備えるが、それらの全てが本発明の全ての実施形態において必要なわけではない。本発明のいくつかの実施形態は、特徴または特徴の可能な組み合わせの一部のみを用いる。説明された本発明の実施形態および説明された実施形態に記載された様々な特徴の組み合わせを備える本発明の実施形態の変形例は、本発明が関与する当業者が思い至るものである。
【0124】
本開示の上記説明および特許請求の範囲において、「備える」、「含む」、および「有する」という動詞の各々およびその活用形は、その動詞の1または複数の目的語が、必ずしもその動詞の1または複数の主語の部材、構成要素、要素、または部品の完全なリストではないことを示すように用いられる。本明細書で用いられる場合、単数形の「a」、「an」、および「the」は、文脈が特に明示しない限り、複数形への言及を含む。たとえば、「マーク」または「少なくとも1つのマーク」という用語は、複数のマークを含み得る。