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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-03-29
(45)【発行日】2024-04-08
(54)【発明の名称】めっき装置及びめっき方法
(51)【国際特許分類】
   C25D 21/10 20060101AFI20240401BHJP
   C25D 7/12 20060101ALN20240401BHJP
【FI】
C25D21/10 301
C25D7/12
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023218588
(22)【出願日】2023-12-25
【審査請求日】2023-12-25
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000233044
【氏名又は名称】株式会社日立パワーソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 好浩
(72)【発明者】
【氏名】岡崎 浩平
(72)【発明者】
【氏名】高星 徹也
(72)【発明者】
【氏名】森 歩
【審査官】菅原 愛
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-046154(JP,A)
【文献】中国実用新案第219136996(CN,U)
【文献】国際公開第2022/166406(WO,A1)
【文献】特開2023-321897(JP,A)
【文献】特開2020-193358(JP,A)
【文献】特開2022-125508(JP,A)
【文献】特開2019-151874(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 7/12
C25D 21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被めっき物に電解めっきを行うめっき装置であって、
前記めっき装置は、揺動ユニットと、めっき槽と、攪拌パネルと、を含んで構成され、
前記揺動ユニットは、往復動機構と、揺動機構と、を有し、
前記往復動機構は、前記被めっき物のめっき面に平行な方向を示す水平方向において前記被めっき物より大きな範囲で設定した攪拌範囲で前記攪拌パネルが所定の往復動速度で往復動するよう前記揺動機構を往復動させ、
前記揺動機構は、前記めっき槽内において、ホルダに保持された前記被めっき物にめっき液を均一に供給するように、前記水平方向において前記被めっき物の大きさより小さな範囲で設定した揺動範囲で前記攪拌パネルを前記往復動速度より速い揺動速度で揺動させながら前記往復動機構の動きに同期して前記攪拌範囲を往復動し、めっき液を攪拌すること、
を特徴とするめっき装置。
【請求項2】
前記攪拌パネルは、矩形の板状部材であり、前記攪拌パネルに所定の面積を有する矩形状で合同な形状を有する複数の穿孔部を設けることによって形成される少なくとも2本以上の攪拌棒を有し、
前記攪拌棒は、水平断面の形状が三角形または台形である柱状構造物であり、前記柱状構造物は、所定の傾斜角で構成する二つの傾斜面を備え、前記攪拌パネルが揺動するときに、二つの前記傾斜面が前記被めっき物に対向するように配設されること、
を特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記被めっき物のめっきパターンに応じて、当該被めっき物に前記めっき液を均一に供給するように、前記めっき装置を本運用する前段階のテスト運用において、前記往復動速度の値と、前記揺動速度の値と、前記攪拌棒の前記傾斜角の値と、が設定されること、
を特徴とする請求項2に記載のめっき装置。
【請求項4】
前記往復動機構は、台座上に所定の間隔で離間して配設された2本のガイドと、空気圧によって駆動するエアシリンダと、を備え、
前記エアシリンダは、第一の吸排気口と、第二の吸排気口と、を備え、
前記第一の吸排気口と前記第二の吸排気口とは、それぞれ通気管を介して吸排気切替機構に接続され、
前記吸排気切替機構は、空気供給装置に接続され、
前記吸排気切替機構の動作によって、前記空気供給装置からの圧縮空気が、前記第一の吸排気口及び前記第二の吸排気口のうちの一方を介して吸気され、他方を介して排気される処理が交互に繰り返されることで、前記エアシリンダ内のロッドを往復動運動させること、
を特徴とする請求項1に記載のめっき装置。
【請求項5】
前記往復動機構は、
前記ガイドに沿って移動可能な接続機構を有するベース部と、
前記ベース部の下面に設置され、前記ベース部と前記ロッドを連結する連結部と、
前記ベース部における前記めっき槽側の端部に直立した状態で当該ベース部に固着接続された部材取付部と、を備え、
前記ベース部が2本の前記ガイドに沿って安定して移動するように、所定の離間距離を有する1対の前記接続機構が前記ベース部の下面に2組配設され、それぞれの1対の前記接続機構がそれぞれの前記ガイドに沿って移動可能となるように接続され、
前記ロッドが移動すると、前記連結部を介して駆動力が前記ベース部に伝達され、2組の1対の前記接続機構が2本の前記ガイド上をスライドすることで、前記ロッドの往復動運動に同期して前記揺動機構が往復動すること、
を特徴とする請求項4に記載のめっき装置。
【請求項6】
前記揺動機構は、
前記部材取付部の所定の位置でモータ把持部を介して設置され、回転駆動力を発生するモータと、
前記モータの駆動軸にダイレクト接続され、前記モータの前記回転駆動力を受ける回転軸と、
前記回転軸に固着接続された回転板から構成される回転体と、を備え、
前記モータは、前記攪拌パネルを所定の前記揺動速度で揺動させるように、所定の回転速度で当該回転体を円運動させること、
を特徴とする請求項5に記載のめっき装置。
【請求項7】
前記揺動機構は、
前記回転板の中心から所定量分外れた位置において前記回転板の穿孔に挿入されたカムフォロアを備えるとともに、
長孔を有する水平面上の平面プレート部と、前記平面プレート部における前記めっき槽側の端部に鉛直に固着接続された直立プレート部と、を含むリンクプレートと、
前記部材取付部の上部に配設され、前記直立プレート部と接続するスライド部と、
前記直立プレート部と前記攪拌パネルとを接続する攪拌パネル取付部品と、を備え、
前記回転板は、前記回転軸を介して前記モータから前記回転駆動力を付与されて所定の回転速度で円運動し、前記カムフォロアは、前記回転板の中心軸との離間距離を保持したまま前記回転板に同期して円運動することによって偏心輪の移動軌跡を形成し、前記カムフォロアを挿入した長孔が前記カムフォロアの動きに応じて移動することで、前記回転板の円運動を直線運動である揺動運動に変換して前記リンクプレートに伝達し、前記リンクプレートが前記スライド部を介して前記攪拌パネルを前記揺動速度で揺動させること、
を特徴とする請求項6に記載のめっき装置。
【請求項8】
前記被めっき物のパターンに応じて前記攪拌棒の傾斜角が変更される場合は、所定の攪拌パネル取付部品にねじ止めされた前記攪拌パネルが取り外され、新たに準備された別の攪拌パネルが前記攪拌パネル取付部品にねじ止めして取り付けられること、
を特徴とする請求項2に記載のめっき装置。
【請求項9】
前記スライド部の移動を案内するリニアガイドの前記水平方向における長さは、少なくとも前記揺動範囲の長さと前記攪拌パネルの長さとの差分以上の長さで設定されていること、
を特徴とする請求項7に記載のめっき装置。
【請求項10】
被めっき物に電解めっきを行うめっき方法であって、
揺動ユニットの往復動機構が、前記被めっき物のめっき面に平行な方向を示す水平方向において前記被めっき物より大きな範囲で設定した攪拌範囲で攪拌パネルが所定の往復動速度で往復動するよう揺動機構を往復動させ、
前記揺動ユニットの前記揺動機構が、めっき槽内において、ホルダに保持された前記被めっき物にめっき液を均一に供給するように、前記水平方向において前記被めっき物の大きさより小さな範囲で設定した揺動範囲で前記攪拌パネルを前記往復動速度より速い揺動速度で揺動させながら前記往復動機構の動きに同期して前記攪拌範囲を往復動し、めっき液を攪拌すること、
を特徴とするめっき方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、めっき装置及びめっき方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウェハやプリント基板の電解めっきに関して、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。すなわち、特許文献1には、「基板を前記めっき液中に浸漬させ、前記めっき液中のアノードと前記基板との間に電流を流して前記基板をめっきする」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-183332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、パドルが往復運動したときにパドルの両側端が基板の外側に位置するように設定される。これによって、めっき液の攪拌に伴う流動が被めっき物の全域に伝搬するようにしている。しかしながら、被めっき物の表面の回路パターン(めっきパターン)の複雑化・微細化が進むにつれて、被めっき物に均一にめっきを施すことが困難になる可能性がある。
【0005】
なお、特許文献1に記載の技術において、パドルを往復させる際の速度を速くすると、めっき液の流動が促進されるため、めっきの均一化を図ることが可能になるが、その一方で、めっき液の液はねが生じやすくなる。めっき液には硫酸イオン等が含まれることが多いため、液はねを抑制することが望ましい。つまり、めっき液の液はねを抑制しつつ、被めっき物に適切にめっきを施すことが望ましいが、そのような技術については特許文献1には記載されていない。
【0006】
そこで、本開示は、めっき液の液はねを抑制しつつ、被めっき物に適切にめっきを施すようにしためっき装置及びめっき方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した課題を解決するために、本開示は、被めっき物に電解めっきを行うめっき装置であって、前記めっき装置は、揺動ユニットと、めっき槽と、攪拌パネルと、を含んで構成され、前記揺動ユニットは、往復動機構と、揺動機構と、を有し、前記往復動機構は、前記被めっき物のめっき面に平行な方向を示す水平方向において前記被めっき物より大きな範囲で設定した攪拌範囲で前記攪拌パネルが所定の往復動速度で往復動するよう前記揺動機構を往復動させ、前記揺動機構は、前記めっき槽内において、ホルダに保持された前記被めっき物にめっき液を均一に供給するように、前記水平方向において前記被めっき物の大きさより小さな範囲で設定した揺動範囲で前記攪拌パネルを前記往復動速度より速い揺動速度で揺動させながら前記往復動機構の動きに同期して前記攪拌範囲を往復動し、めっき液を攪拌することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、めっき液の液はねを抑制しつつ、被めっき物に適切にめっきを施すようにしためっき装置及びめっき方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係るめっき装置の構成図である。
図2】実施形態に係るめっき装置の攪拌パネルの攪拌範囲及び揺動範囲に関する説明図である。
図3A】実施形態に係るめっき装置の攪拌パネルの斜視図である。
図3B】実施形態に係るめっき装置の図3AにおけるIII-III線矢視断面を含む説明図である。
図3C】比較例に係るめっき装置の攪拌棒に関する説明図である。
図3D】実施形態に係るめっき装置の攪拌棒に関する説明図である。
図4A】実施形態に係るめっき装置の往復動機構の概略的な側面図である。
図4B】実施形態に係るめっき装置の往復動機構のベース部を下から見た場合の下面図である。
図5】実施形態に係るめっき装置のエアシリンダを含む機構の説明図である。
図6】実施形態に係るめっき装置の揺動機構の構成を示す説明図である。
図7A】実施形態に係るめっき装置の攪拌パネルの揺動に関する説明図である。
図7B】実施形態に係るめっき装置の攪拌パネルの揺動に関する説明図である。
図7C】実施形態に係るめっき装置の攪拌パネルの揺動に関する説明図である。
図8】実施形態に係るめっき装置のスライド部の長さに関する説明図である。
図9】第1の変形例に係るめっき装置の攪拌パネルの揺動速度と揺動範囲の変更に関する説明図である。
図10A】第2の変形例に係るめっき装置の攪拌棒の横断面を含む説明図である。
図10B】第3の変形例に係るめっき装置の攪拌棒の横断面を含む説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
≪実施形態≫
<めっき装置の構成>
図1は、実施形態に係るめっき装置10の構成図である。
なお、図1では、めっき槽1や収容体U1において、図1の紙面手前側の側壁を取り除いた状態を示している。また、図1では、めっき槽1に貯留されるめっき液をドットで示している。図1に示すように、ホルダ2やアノード電極3や遮蔽板4や攪拌パネル5の各板面に対して垂直な方向(奥行方向)にy軸をとる。また、水平面でy軸に対して垂直な方向(幅方向)にx軸をとる。また、x軸・y軸の両方に対して垂直な方向(高さ方向)にz軸をとる。
【0011】
図1に示すめっき装置10は、被めっき物P1に電解めっきを施す装置である。このような被めっき物P1として、例えば、半導体ウェハやプリント基板が用いられる。図1の例では、被めっき物P1が矩形板状である場合を示しているが、円板状といった他の形状であってもよい。図1に示すように、めっき装置10は、めっき槽1と、ホルダ2と、アノード電極3(電極板)と、遮蔽板4と、攪拌パネル5と、めっき液供給装置6と、揺動ユニット7と、攪拌パネル取付部品8と、制御装置9と、を備えている。
【0012】
めっき槽1は、めっき液を貯留する槽(容器)である。図1に示すように、めっき槽1は、上側が開口した箱状の本体1aを備えるとともに、本体1aの内部空間を仕切る板状のオーバーフロー壁1bを備えている。オーバーフロー壁1bは、その板面がy軸に対して垂直になっている。オーバーフロー壁1bの上端の高さ位置は、本体1aの上端の高さ位置よりも低くなっている。
【0013】
図1に示すように、オーバーフロー壁1bよりもy軸方向の正側の領域にめっき液が貯留されている。なお、めっき液の液面の高さ位置は、オーバーフロー壁1bの上端付近に設定されている。そして、攪拌パネル5の移動に伴ってオーバーフロー壁1bからy軸方向の負側の領域に溢れ出ためっき液が、めっき液供給装置6によって、オーバーフロー壁1bのy軸方向正側の領域に戻されるようになっている。
【0014】
めっき槽1に貯留されるめっき液は、電解めっきに用いられる電解液である。このようなめっき液として、例えば、銅イオン(Cu2+)や硫酸イオン(SO 2-)を含んだ電解液が用いられる。なお、めっき液に含まれる金属イオンは銅イオン(Cu2+)に限定されるものではなく、亜鉛イオン(Zn2+)やクロムイオン(Cr3+)、ニッケルイオン(Ni2+)、金イオン(Au2+)、銀イオン(Ag)といったものを用いることもできる。
【0015】
図1に示すように、ホルダ2と、攪拌パネル5と、遮蔽板4と、アノード電極3と、がめっき槽1の内部(オーバーフロー壁1bよりもy軸方向の正側の領域)に配置されている。具体的に説明すると、y軸方向の負側に向かって順に、ホルダ2と、攪拌パネル5と、遮蔽板4と、アノード電極3と、が配置されている。また、ホルダ2、攪拌パネル5、遮蔽板4、及びアノード電極3の各板面は、略平行になっている。
【0016】
前記した複数の部材間の間隔(y方向の距離)として、例えば、アノード電極3と遮蔽板4との間を25[mm]とし、遮蔽板4と攪拌パネル5との間を15[mm]とし、攪拌パネル5とホルダ2との間を5[mm]としてもよい。なお、前記した各数値は一例であり、これに限定されるものではない。各部材間の間隔は、電解めっきの条件に基づいて適宜に変更することが可能である。
【0017】
ホルダ2は、被めっき物P1をめっき液に浸漬させた状態で保持するための矩形板状の部材である。ホルダ2の下部には、被めっき物P1に対応した形状の開口部(符号は図示せず)が設けられている。そして、この開口部に被めっき物P1が嵌め込まれるようになっている。
【0018】
ホルダ2の上部には、ホルダ2を上下方向に出し入れするための矩形状の開口部H3が設けられている。そして、電解めっきの開始前にホルダ2をめっき液に浸漬させたり、電解めっきの終了後にホルダ2をめっき液から取り出したりする際には、開口部H3の上側の把持部2aが所定に把持される。なお、ホルダ2の開口部H3の高さ位置は、めっき液の液面よりも高くなっている。また、電解めっきの処理中には、ホルダ2の位置が固定されるものとする。
【0019】
アノード電極3は、直流電源E1を介して被めっき物P1に電気的に接続される矩形板状の電極板であり、めっき液に浸漬されている。なお、アノード電極3が所定の電極用ホルダ(図示せず)で保持されるようにしてもよい。このようなアノード電極3の構成材料として、例えば、銅や含リン銅といったものが用いられる。そして、直流電源E1を介して電流を流すと、被めっき物P1(カソード電極)で還元反応が生じて、めっき液中の金属イオンが被めっき物P1の表面に析出するようになっている。一方、アノード電極3では酸化反応が生じて、アノード電極3に含まれる金属がめっき液に溶出する。
【0020】
遮蔽板4は、被めっき物P1におけるめっき皮膜の膜厚を調整するための矩形板状の部材であり、めっき液に浸漬されている。図1の例では、遮蔽板4に矩形状の開口部H4が設けられている。この開口部H4の開口面積が適宜に調整されることで、被めっき物P1におけるめっき皮膜の膜厚が調整される。なお、図1の例では、電解めっきの処理中、遮蔽板4の位置は固定されている。
【0021】
攪拌パネル5は、めっき液を所定に攪拌するための部材である。攪拌パネル5は、矩形の板状部材であり、この攪拌パネル5に所定の面積を有する矩形状で合同な形状を有する複数の穿孔部H51,H52を設けることによって、3本の攪拌棒5aが形成された構成になっている。つまり、攪拌パネル5は、矩形板状の部材から、高さ方向に細長い2つの穿孔部H51,H52(図2参照)が横並びで穿孔された形状になっている。細長い穿孔部H51の一方側(x軸方向の正側)には、高さ方向に細長い柱状の攪拌棒5aが設けられている。同様に、穿孔部H51,H52の間にも柱状の攪拌棒5aが設けられ、また、穿孔部H52の他方側(x軸方向の負側)にも柱状の攪拌棒5aが設けられている。これら3本の攪拌棒5aは、x軸方向において等間隔で設けられている。このように、攪拌パネル5は、高さ方向に延びる3本の攪拌棒5aを有し、3本の攪拌棒5aがx軸方向(幅方向)に所定間隔を空けて配置された構成になっている。なお、攪拌棒5aの本数は、3本に限定されず、2本であってもよいし、また、4本以上であってもよい。つまり、攪拌棒5aの本数は、少なくとも2本以上であればよい。
【0022】
図1に示すように、3本の攪拌棒5aは、めっき液に浸漬された状態になっている。また、3本の攪拌棒5aの高さ方向の長さは、被めっき物P1の高さ方向の長さよりも長くなっている。そして、3本の攪拌棒5aの高さ方向の範囲が、被めっき物P1の高さ方向の範囲を含むように攪拌棒5aや被めっき物P1が配置されている。
【0023】
図1に示すめっき液供給装置6は、オーバーフロー壁1bからy軸方向の負側の領域に溢れ出ためっき液を反対側の領域(y軸方向の正側の領域)に戻す装置であり、図示はしないが、ポンプを備えている。また、めっき槽1の本体1aの底板において、オーバーフロー壁1bよりもy軸方向の負側の所定箇所には、めっき液の流出口H1が設けられている。また、めっき槽1の本体1aの底板において、ホルダ2よりもy軸方向の正側の所定箇所には、めっき液の流入口H2が設けられている。
【0024】
そして、流出口H1及び配管K1を順次に介してめっき液供給装置6に導かれためっき液が、めっき液供給装置6から配管K2及び流入口H2を順次に介して、めっき槽1の内部(オーバーフロー壁1bのy軸方向正側の領域)に戻されるようになっている。なお、前記したポンプ(図示せず)の他に、異物を除去するためのフィルタ(図示せず)や、温度調整を行うためのヒータ(図示せず)や冷却器(図示せず)がめっき液供給装置6に設けられるようにしてもよい。
【0025】
図1に示す揺動ユニット7は、複数の攪拌棒5aがめっき液に浸漬された状態で攪拌パネル5をx軸方向(幅方向)に移動させる装置である。詳細については後記するが、揺動ユニット7は、攪拌パネル5をx軸方向に細かく高速に揺動(往復)させつつ、この攪拌パネル5をx軸方向に大きくゆっくりと往復させるようになっている。
【0026】
図1に示すように、揺動ユニット7は、往復動機構71と、揺動機構72と、を含んで構成されている。往復動機構71は、攪拌パネル5を所定の攪拌範囲でx軸方向(幅方向)に往復させる機構である。揺動機構72は、攪拌パネル5を所定の揺動範囲でx軸方向(幅方向)に揺動させる機構である。なお、攪拌パネル5の攪拌範囲や揺動範囲については後記する。
【0027】
図1に示す攪拌パネル取付部品8は、前記した揺動機構72と攪拌パネル5とを接続する部材である。攪拌パネル取付部品8は、第1攪拌パネル取付部品81と、第2攪拌パネル取付部品82と、第3攪拌パネル取付部品83と、が順次に接続された構成になっている。図1に示す収容体U1は、揺動ユニット7を収容するものである。
【0028】
制御装置9は、めっき液供給装置6や往復動機構71や揺動機構72を所定に制御する装置である。制御装置9は、図示はしないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。なお、制御装置9が実行する処理については後記する。
【0029】
図2は、攪拌パネル5の攪拌範囲及び揺動範囲に関する説明図である。
なお、被めっき物P1については概略的な平面図(z軸方向から見た図)を示し、攪拌パネル5についてはy軸方向から見た正面図を示している。図2の「攪拌範囲」は、往復動機構71(図1参照)の駆動に伴って、攪拌パネル5がx軸方向に往復する際の範囲を示している。図2に示すように、攪拌範囲のx軸方向(幅方向)の長さは、被めっき物P1のx軸方向(幅方向)の寸法よりも長くなっている。また、x軸方向において、被めっき物P1の範囲が攪拌範囲に含まれている。往復動機構71(図1参照)は、この攪拌範囲において攪拌パネル5を所定の往復動速度でx軸方向に往復させる。
【0030】
なお、攪拌範囲におけるx軸方向正側の端は、攪拌パネル5がx軸方向で往復する際の攪拌パネル5のx軸方向正側の端の限界位置を示している。同様に、攪拌範囲におけるx軸方向負側の端は、攪拌パネル5がx軸方向で往復する際の攪拌パネル5のx軸方向負側の端の限界位置を示している。
【0031】
図2の「揺動範囲」は、揺動機構72(図1参照)の駆動に伴って、攪拌パネル5がx軸方向に揺動(x方向の正側・負側に交互に移動)する際の1回当たりの揺動における移動範囲を示している。図2に示すように、攪拌パネル5の1回当たりの揺動における揺動範囲のx軸方向(幅方向)の長さは、被めっき物P1のx軸方向(幅方向)の寸法よりも短くなっている。揺動機構72(図1参照)は、この揺動範囲において攪拌パネル5を所定の揺動速度でx軸方向に揺動させる。
【0032】
すなわち、揺動ユニット7(図1参照)は、所定の揺動範囲で攪拌パネル5をx軸方向(幅方向)に揺動させつつ、所定の攪拌範囲で攪拌パネル5をx軸方向(幅方向)に往復させる。したがって、図2に示す揺動範囲の位置が固定されているわけでは特になく、攪拌範囲内での攪拌パネル5の往復移動に伴って、揺動範囲のx軸方向の位置も時々刻々と変化する。
【0033】
前記したように、被めっき物P1のx軸方向の寸法よりも長い攪拌範囲で攪拌パネル5を往復させることで、被めっき物P1の全体に亘ってめっき(銅の析出等)を行うことができる。また、被めっき物P1のx軸方向の寸法よりも短い揺動範囲で攪拌パネル5を揺動させることで、めっき液の液はねを抑制しつつ、被めっき物P1に向けてめっき液を流動させることができる。これによって、被めっき物P1に微細な回路パターン(めっきパターン)が存在する場合でも、めっき皮膜の膜厚の均一化を図ることができる。
【0034】
なお、揺動ユニット7が所定の揺動範囲で攪拌パネル5を揺動させる際の単位時間当たりの揺動回数が、所定の攪拌範囲で攪拌パネル5を往復させる際の単位時間当たりの往復回数よりも多いことが好ましい。すなわち、揺動ユニット7が所定の揺動範囲で攪拌パネル5を揺動させる際の揺動速度が、所定の攪拌範囲で攪拌パネル5を往復させる際の往復動速度よりも速いことが好ましい。
【0035】
要するに、揺動ユニット7(図1参照)が、所定の揺動範囲で攪拌パネル5をx軸方向に細かく高速に揺動させつつ、所定の攪拌範囲で攪拌パネル5をx軸方向にゆっくりと大きく往復させるようにするとよい。これによって、めっき液の液はねを抑制しつつ、攪拌パネル5の揺動でめっき液の流動を促進させることができる。したがって、被めっき物P1の細かい回路パターン(めっきパターン)にもめっき液の流動が伝搬しやすくなるため、めっき被膜の膜厚の均一化が促進される。
このように、揺動ユニット7(図1参照)の往復動機構71は、被めっき物P1のめっき面に平行な方向を示す水平方向(x軸方向)において被めっき物P1より大きな範囲で設定した攪拌範囲で攪拌パネル5が所定の往復動速度で往復動するよう揺動機構72を往復動させる。また、揺動ユニット7の揺動機構72は、めっき槽1内において、ホルダ2に保持された被めっき物P1にめっき液を均一に供給するように、水平方向(x軸方向)において被めっき物P1の大きさより小さな範囲で設定した揺動範囲で攪拌パネル5を往復動速度より速い揺動速度で揺動させながら往復動機構71の動きに同期して攪拌範囲を往復動し、めっき液を攪拌する。これによって、めっき液の液はねを抑制しつつ、めっき被膜の膜厚の均一化を図ることができる。
【0036】
図2に示すように、攪拌パネル5のx軸方向の寸法は、揺動範囲よりも短くなっている。各寸法の一例を示すと、被めっき物P1のx軸方向の寸法を300[mm]とした場合、攪拌パネル5のx方向の長さを150[mm]とし、x軸方向の攪拌範囲の長さを310[mm]とし、また、x軸方向の揺動範囲の長さを210[mm]としてもよい。これらの各数値は、めっき液の液はねを抑制しつつ、被めっき物に適切にめっきを施すという効果が奏される範囲内で適宜に設定される。
【0037】
図3Aは、攪拌パネル5の斜視図である。
前記したように、攪拌パネル5は、矩形板状の部材から高さ方向に細長い矩形状の穿孔部H51,H52が横並びで穿孔された形状になっている。攪拌パネル5が備える3本の攪拌棒5aは、それぞれ、高さ方向に延びる柱状を呈している。
【0038】
図3Bは、図3AにおけるIII-III線矢視断面を含む説明図である。
なお、図3Bには攪拌棒5aを図示している他、平面視での被めっき物P1も図示している。図3Bの例では、攪拌棒5aは、水平断面の形状が三角形である柱状構造物として形成されている。この柱状構造物(つまり、攪拌棒5a)は、所定の傾斜角θ2,θ3で構成する二つの傾斜面52a,53aを備えている。より具体的には、図3Bの例では、攪拌棒5aの横断面の形状が二等辺三角形になっている。攪拌棒5aにおいて、前記した二等辺三角形の底辺を形成している側面51aは、y軸に対して垂直になっている。また、攪拌棒5aにおいて、前記した二等辺三角形の一対の等辺を形成している傾斜面52a,53aは、xy平面に対して所定に傾斜している。そして、攪拌パネル5(図3A参照)が揺動するときに、二つの傾斜面52a,53aが被めっき物P1に対向するように攪拌棒5aが配設されている。
【0039】
このように、柱状の攪拌棒5aの側面を形成している複数の面には、板状の被めっき物P1の板面を含む平面(xy平面と平行な平面:図示せず)に対して所定に傾斜している傾斜面52a,53aが含まれている。これらの傾斜面52a,53aは、被めっき物P1に臨んでいる(被めっき物P1に対向している)。
【0040】
攪拌棒5aにおける傾斜面52aの傾斜角θ2、及び、傾斜面53aの傾斜角θ3のそれぞれの大きさは、攪拌パネル5をx軸方向で細かく揺動させながらx軸方向に往復させた場合に、被めっき物P1に向けてめっき液の流動が適切に伝搬するように設計段階で適宜に調整される。攪拌棒5aがx軸方向に揺動した場合、図3Bに矢印で示すように、攪拌棒5aからx軸方向の正側に向かう抗力F1をめっき液が受けるとともに、攪拌棒5aからy軸方向の正側に向かう揚力F2をめっき液が受ける。その結果、攪拌棒5aの傾斜面53aから被めっき物P1に対して、斜め方向の合力F12が作用する。また、他方の傾斜面52aからも被めっき物P1に対して所定の合力が作用する。これによって、攪拌棒5aの断面形状が矩形状である場合に比べて、被めっき物P1に効率的にめっき液の流動を伝搬させることができる。
【0041】
なお、攪拌棒5aの横断面の形状は二等辺三角形に限定されるものではなく、二等辺三角形以外の所定の三角形であってもよい。また、後記するように、攪拌棒5aの横断面の形状を台形(図10A参照)や菱形(図10B参照)といった他の形状にしてもよい。
図3Cは、比較例に係るめっき装置の攪拌棒5Daに関する説明図である。
なお、図3Cでは、説明を分かりやすくするために、めっき液の粒子M1(所定のイオン)を図示している。また、図3Cの複数の白抜き矢印は、攪拌棒5Daからめっき液の粒子M1に作用する力を示している。図3Cに示すように、攪拌棒5Daの横断面を矩形状にした場合、攪拌棒5Daの移動に伴って、めっき液の粒子M1にx軸方向の力が作用するため、めっき液の流動が被めっき物P1の方に伝搬しにくくなる。なお、図3Cでは攪拌棒5Daからめっき液の粒子M1に作用する力を単純化しているが、実際には、攪拌棒5Daの横断面が矩形状の場合でも、被めっき物P1に向けてめっき液の流動が多少は伝搬する。
図3Dは、実施形態に係るめっき装置の攪拌棒5aに関する説明図である。
本実施形態では、前記したように、攪拌棒5aの横断面の形状が三角形になっている。つまり、攪拌棒5aが傾斜面52,53を有しているため、図3Dの複数の白抜き矢印(図3Bの合力F12に対応)で示すように、めっき液の粒子M1に対して斜め方向の力が作用する。その結果、被めっき物P1に効率的にめっき液の流動を伝搬させることができる。
【0042】
図4Aは、往復動機構71の概略的な側面図である。
図4Aに示すように、往復動機構71は、台座71aと、一対のガイドレール71b(ガイド)と、ベース部71cと、部材取付部71dと、エアシリンダ71eと、連結部71f(図4B参照)と、を備えている。台座71aは、その上面に一対のガイドレール71bが設置される台である。一対のガイドレール71bは、ベース部71cのx軸方向の移動を案内するためのレールであり、x軸方向に細長く延びている。また、一対の(つまり、2本の)ガイドレール71bは、台座71a上の水平方向(y軸方向)に所定の間隔で離間して配設されている。これら一対のガイドレール71bにおけるy軸方向の位置は、次に説明する接続機構711cのy軸方向の位置に対応している(図4Bも参照)。
【0043】
ベース部71cは、エアシリンダ71eの駆動に伴ってx軸方向に移動する板状部材であり、4つの接続機構711cを有している(図4Bも参照)。それぞれの接続機構711cは、エアシリンダ71eの駆動に伴い、一対のガイドレール71bに沿ってx軸方向に移動するものであり、ベース部71cの下面に設置され、ガイドレール71b(ガイド)に沿って移動可能になっている。
【0044】
部材取付部71dは、ベース部71cと揺動機構72との相対位置を固定するための部材であり、ベース部71cにおけるめっき槽1側の端部に直立した状態でベース部71cに固着接続される。具体的には、部材取付部71dは、その下端がベース部71cに固定され、側面視でz方向に細長く延びている。また、部材取付部71dにおけるy軸方向の負側には、揺動機構72が設置されている。エアシリンダ71eは、空気圧でx軸方向(幅方向)に往復するロッド713e(図4B参照)を備えている。
【0045】
図4Bは、往復動機構71のベース部71cを下から見た場合の下面図である。
図4Bに示すように、ベース部71cは、下面視で矩形状を呈している。ベース部71cの下面の四隅には、接続機構711cがひとつずつ設置されている。y軸方向の位置が等しい一対の接続機構711cは、一方のガイドレール71bに沿ってx軸方向に移動し、残り一対の接続機構711cは、他方のガイドレール71bに沿ってx軸方向に移動するようになっている。
【0046】
ベース部71cの下面において、y軸方向の中央部には連結部71fが設置されている。連結部71fは、ベース部71cとエアシリンダ71eのロッド713eを連結する部材であり、ベース部71cの下面に設置され、ロッド713eの先端に固定されている。また、ベース部71cが2本のガイドレール71b(ガイド)に沿って安定して移動するように、所定の離間距離を有する1対の接続機構711cがベース部71cの下面に2組配設され、それぞれの1対の接続機構711cがそれぞれのガイドレール71b(ガイド)に沿って移動可能となるように接続されている。そして、ロッド713eが移動すると、連結部71fを介して駆動力がベース部71cに伝達され、2組の1対の接続機構711cが2本のガイドレール71b(ガイド)上をスライドすることで、ロッド713eの往復動運動に同期して揺動機構72が往復動するようになっている。つまり、揺動機構72(図4A参照)の全体がx軸方向に往復移動し、また、揺動機構72に攪拌パネル取付部品8(図1参照)を介して接続された攪拌パネル5(図1参照)もx軸方向に往復移動する。なお、ロッド713eの伸縮に伴って攪拌パネル5(図1参照)が往復する移動する際のx軸方向の移動範囲は、前記した攪拌範囲(図2参照)に対応している。
【0047】
図5は、エアシリンダ71eを含む機構の説明図である。
図5に示すように、エアシリンダ71eは、空気圧によって駆動するものであり、シリンダ本体711eと、ピストン712eと、ロッド713eと、第一の吸排気口H6と、第二の吸排気口H7と、を備えている。シリンダ本体711eは、その内部をピストン712eが摺動するように構成された中空円筒状の部材である。ピストン712eは、シリンダ本体711eの内部を空気圧でx軸方向に往復移動する円板状の部材である。ロッド713eは、ピストン712eと一体で移動する棒状部材である。ロッド713eは、その基端がピストン712eに固定され、先端が連結部71f(図4B参照)に固定されている。
【0048】
往復動機構71(図4A図4B参照)は、前記したエアシリンダ71e等の他に、空気供給装置71gと、吸排気切替機構71hと、を備えている。空気供給装置71gは、制御装置9からの指令に基づいて、吸排気切替機構71hに通気管G1を介して圧縮空気を供給する。吸排気切替機構71hは、通気管G1を介して空気供給装置71gに接続されるとともに、2本の通気管G2,G3を介して、エアシリンダ71eに接続されている。
【0049】
一方の通気管G2の下流端は、シリンダ本体711eの第一の吸排気口H6に接続されている。また、他方の通気管G3の下流端は、シリンダ本体711eの第二の吸排気口H7に接続されている。第一の吸排気口H6は、シリンダ本体711eにおいてピストン712eよりもx軸方向正側の空間に連通している。他方の第二の吸排気口H7は、シリンダ本体711eにおいてピストン712eよりもx軸方向負側の空間に連通している。このように、エアシリンダ71eの第一の吸排気口H6と第二の吸排気口H7とは、それぞれ通気管G2,G3を介して吸排気切替機構71hに接続されている。そして、制御装置9からの指令に基づいて、空気供給装置71gからの圧縮空気の供給先が、吸排気切替機構71hによって、第一の吸排気口H6と第二の吸排気口H7とに交互に切り替えられるようになっている。つまり、吸排気切替機構71hの動作によって、空気供給装置71gからの圧縮空気が、第一の吸排気口H6及び第二の吸排気口H7のうちの一方を介して吸気され、他方を介して排気される処理が交互に繰り返されることで、エアシリンダ71e内のロッド713eを往復動運動させる。
【0050】
例えば、第一の吸排気口H6に圧縮空気が供給されている間は、ピストン712e及びロッド713eがx軸方向の負側に移動する。その結果、ベース部71c(図4A参照)や部材取付部71d(図4A参照)や揺動機構72(図4A参照)もx軸方向の負側に移動する。また、第二の吸排気口H7に圧縮空気が供給されている間は、ピストン712e及びロッド713eがx方向の正側に移動する。その結果、ベース部71c(図4A参照)や部材取付部71d(図4A参照)や揺動機構72(図4A参照)もx方向の正側に移動する。このようにして、揺動機構72(図4A参照)の全体がx軸方向に往復移動し、それに伴って、攪拌パネル5(図1参照)もx軸方向に往復移動する。
【0051】
図6は、揺動機構72の構成を示す説明図である。
揺動機構72は、モータ72aの回転運動をx軸方向の揺動運動(往復運動)に変換する機構である。図6に示すように、揺動機構72は、モータ72aと、モータ把持部72bと、回転板72c(回転体)と、カムフォロア72dと、平面プレート部72eと、直立プレート部72fと、スライド部72gと、リニアガイド72hと、を備えている。
【0052】
モータ72aは、回転駆動力を発生させる電動機であり、部材取付部71dの所定の位置でモータ把持部72bを介して設置されている。回転軸721aは、モータ72aの回転駆動力を受ける軸であり、モータ72aの駆動軸にダイレクト接続されて、z軸方向に延びている。モータ把持部72bは、モータ72aと部材取付部71dとの間の相対位置を固定するための部材であり、側面視でL字状を呈している。
【0053】
回転板72cやカムフォロア72dや平面プレート部72eは、モータ72aの回転駆動力をx軸方向の揺動運動に変換する機構である。回転板72c(回転体)は、モータ72aの駆動軸に接続された回転軸721aと一体で周方向に回転する円板状の部材であり、その板面がz軸に対して垂直になるように配置されている。このような回転板72cは、回転軸721aに固着接続された「回転体」として機能する。また、モータ72aの駆動軸に接続された回転軸721aは、回転板72cの下面の中心に固定されている。カムフォロア72dは、回転板72cと一体で円運動をする部材であり、回転板72cの上面からz軸方向の正側に延びている。また、回転板72cの中心から所定距離だけ離れた位置にカムフォロア72dが設置されている。
【0054】
カムフォロア72dは、その軸線がz軸に平行な円柱状の部材であり、回転板72cの中心から所定量分外れた位置において回転板72cの穿孔に挿入されている。また、カムフォロア72dは、平面プレート部72eの長孔H8に嵌挿されている。そして、モータ72aの駆動に伴って、カムフォロア72dが長孔H8の範囲内でy軸方向に往復するようになっている。
【0055】
平面プレート部72eは、y軸方向に細長い長孔H8(図7Aも参照)を有する矩形状の板であり、水平面上に延びている。平面プレート部72eは、その板面がz軸に対して垂直になるように配置されている。直立プレート部72fは、平面プレート部72eやスライド部72gや攪拌パネル取付部品8の相対位置を固定するための板状部材である。直立プレート部72fは、その板面がy軸に対して垂直になるように配置され、平面プレート部72eにおけるめっき槽1側の端部に鉛直に固着接続されている。なお、回転板72cの円運動からの変換後の直線運動(揺動運動)が伝達される「リンクプレート」は、平面プレート部72eと、直立プレート部72fと、を含んで構成されている。
【0056】
図6に示すように、直立プレート部72fは、平面プレート部72eに設置されるとともに、攪拌パネル取付部品8を介して攪拌パネル5に接続されている。すなわち、直立プレート部72fの一方側(y軸方向の負側)の板面には平面プレート部72eが固定され、他方側(y軸方向の正側)の板面にはスライド部72gが固定されている。また、直立プレート部72fの上面は、攪拌パネル取付部品8の端部に固定されている。
【0057】
スライド部72gは、前記した「リンクプレート」を介して伝達される直線運動(揺動運動)によって、攪拌パネル取付部品8や攪拌パネル5をx軸方向に揺動させる部材である。スライド部72gは、部材取付部71dの上部に配設されるとともに、直立プレート部72fに接続されている。リニアガイド72hは、スライド部72gがx軸方向に移動するように案内するためのレールであり、x軸方向に細長く延びている。そして、攪拌パネル5を所定の揺動速度で揺動させるように、モータ72aが所定の回転速度で回転板72cを円運動させる。
【0058】
攪拌パネル取付部品8は、揺動機構72の直立プレート部72fと攪拌パネル5とを接続する部材である。すなわち、揺動機構72が攪拌パネル取付部品8を介して攪拌パネル5に接続されている。図6の例では、攪拌パネル取付部品8は、第1攪拌パネル取付部品81と、第2攪拌パネル取付部品82と、第3攪拌パネル取付部品83と、がy軸方向の正側に向かって順次に接続された構成になっている。第1攪拌パネル取付部品81は、y軸方向に延びる板状部材であり、その端部が直立プレート部72fの上面に固定されている。また、第1攪拌パネル取付部品81は、第2攪拌パネル取付部品82を介して、第3攪拌パネル取付部品83に接続されている。第3攪拌パネル取付部品83は、攪拌パネル5の上部に固定されている。
【0059】
なお、攪拌パネル5と第3攪拌パネル取付部品83との接続の他、モータ把持部72bと部材取付部71dとの接続や、リニアガイド72hと部材取付部71dとの接続が、それぞれ、ねじ止めで行われるようにするとよい。これによって、例えば、攪拌棒5a(図3A図3B)として、傾斜面52a,53aの傾斜角が現状とは異なるものを使用する際、第3攪拌パネル取付部品83にねじ止めされた攪拌パネル5を作業員が取り外し、傾斜角が異なる別の攪拌パネルをねじ止めして取り付ければよいため、攪拌パネル5の交換が容易になる。このように、被めっき物P1のパターンに応じて攪拌棒5aの傾斜角が変更される場合は、所定の攪拌パネル取付部品8にねじ止めされた攪拌パネル5が取り外され、新たに準備された別の攪拌パネル(図示せず)が攪拌パネル取付部品8にねじ止めして取り付けられる。
【0060】
図7A図7B図7Cは、攪拌パネル5の揺動に関する説明図である。
モータ72a(図6参照)の駆動に伴って回転板72cが回転すると、この回転板72cに設置されたカムフォロア72dが円運動を行う。例えば、図7A図7B図7Cの順に、カムフォロア72dが平面視で時計回りに円運動を行う。なお、カムフォロア72dの円運動における円の半径は、モータ72a(図6参照)の回転軸721aと、カムフォロア72dの軸線と、の間の平面視での距離に等しい。
【0061】
前記したように、平面プレート部72eの長孔H8にカムフォロア72dが嵌挿されている。したがって、カムフォロア72dが円運動する過程で、このカムフォロア72dが長孔H8をy軸方向に移動しつつ、長孔H8の壁面をx軸方向に押圧する。一方、リニアガイド72hに対して、平面プレート部72eがスライド部72g(図6参照)を介して、x軸方向に移動可能になっている。したがって、カムフォロア72dが長孔H8の壁面をx軸方向に押圧すると、これに伴って、平面プレート部72eや攪拌パネル取付部品8や攪拌パネル5もx軸方向に移動する。
このように、回転板72cは、回転軸721aを介してモータ72aから回転駆動力を付与されて所定の回転速度で円運動する。そして、カムフォロア72dは、回転板72cの中心軸との離間距離を保持したまま回転板72cに同期して円運動することによって偏心輪の移動軌跡を形成する。さらに、カムフォロア72dを挿入した長孔H8がカムフォロア72dの動きに応じて移動することで、回転板82cの円運動を直線運動である揺動運動に変換してリンクプレート(平面プレート部72eや直立プレート部72f)に伝達する。これによって、リンクプレートは、スライド部72gを介して攪拌パネル5を所定の揺動速度で揺動させる。
【0062】
図7Aの状態では、モータ72a(図6参照)の回転軸721aを基準として、カムフォロア72dがx軸方向の負側に位置している。また、図7Bの状態では、カムフォロア72dがx軸方向の中央に位置している。また、図7Cの状態では、カムフォロア72dがx軸方向の正側に位置している。このようなカムフォロア72dの移動(円運動)に伴い、攪拌パネル5が所定の揺動範囲でx軸方向(幅方向)に揺動するようになっている。
【0063】
なお、モータ72aの回転速度と、攪拌パネル5の揺動速度と、の間の関係は、以下の式(1)で表される。ここで、式(1)に含まれるRは、モータ72a(図6参照)の回転軸721aからカムフォロア72dの軸線までの平面視での距離である。また、式(1)に含まれるπは、円周率である。
【0064】
(揺動速度)=2πR×(回転速度) ・・・(1)
【0065】
例えば、R=15[mm]、(回転速度)=360[min-1](単位として[rpm]が用いられることもある。)とすると、攪拌パネル5の1分間当たりの揺動回数も360回となる。また、(揺動速度)=2π×15×360=10,800π(mm/min)となる。
【0066】
前記したように、攪拌パネル5が所定の揺動範囲でx軸方向に揺動している間も、エアシリンダ71e(図4A図4B参照)によって、揺動機構72の全体が所定の攪拌範囲でx軸方向に往復する。例えば、6秒間に攪拌パネル5が一往復するように往復動速度が設定されるようにしてもよい。この場合には、攪拌パネル5の1分間当たりの往復回数は10回となる。前記したように、攪拌パネル5のx軸方向の揺動速度は、x軸方向の往復動速度(攪拌速度)よりも速い値に設定される。
なお、攪拌パネル5の揺動速度や往復動速度は、被めっき物P1にめっき液が均一に供給されるように、シミュレーションや実験に基づいて事前に設定され、制御装置9(図1参照)に記憶される。より具体的には、被めっき物P1のめっきパターンに応じて、被めっき物P1にめっき液を均一に供給するように、めっき装置10を本運用する前段階のテスト運用において、往復動速度の値と、揺動速度の値と、攪拌棒5aの傾斜角の値と、が設定される。
【0067】
図8は、リニアガイド72hの長さに関する説明図である。
図8に示すように、x軸方向における揺動範囲の中央と、攪拌パネル5の中央と、の位置を合わせた状態で、x軸方向の正側・負側のそれぞれにおける揺動範囲と攪拌パネル5との間の長さの差分をLとする。攪拌パネル5の揺動では、中央の位置からx軸方向の正側に攪拌パネル5を長さLだけ移動させた後、中央の位置に戻し、さらに、中央の位置からx軸方向の負側に長さLだけ移動させるという処理が繰り返される。このような処理が行われるために、スライド部72gの移動を案内するリニアガイド72hの水平方向(x軸方向)における長さは、少なくとも揺動範囲の長さと攪拌パネル5の長さとの差分以上の長さで設定されている。図8の例では、x軸方向におけるリニアガイド72hの長さが2Lになっているが、リニアガイド72hの長さが2Lよりも長くなるようにしてもよい。
【0068】
<効果>
本実施形態によれば、揺動ユニット7は、被めっき物P1のx軸方向の長さよりも長い攪拌範囲で攪拌パネル5を往復させる。これによって、被めっき物P1の全域にめっき液の流動が伝搬するため、被めっき物P1の全域に電解めっきを施すことができる。また、揺動ユニット7は、被めっき物P1の長さよりも短い揺動範囲で攪拌パネル5を揺動させる。これによって、例えば、揺動機構72を設けずに往復動機構71で攪拌パネル5を高速で往復させる場合に比べて、めっき液の液跳ねを抑制できる他、めっき皮膜の膜厚の均一化を図ることができる。特に、攪拌パネル5の往復動速度(攪拌範囲での移動速度)よりも揺動速度を高く設定することで、めっき皮膜の膜厚の均一化が促進される。
【0069】
また、本実施形態によれば、攪拌パネル5の複数の攪拌棒5aが、それぞれ、傾斜面52a,53a(図3B参照)を有している。したがって、めっき液が被めっき物P1に向かうように流動しやすくなるため、電解めっきを効率的に行うことができる。
【0070】
≪変形例≫
以上、本開示に係るめっき装置10やめっき方法について実施形態で説明したが、これらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、実施形態では、回転板72cにおいてカムフォロア72dが設置される螺合穴の数が1つである場合について説明したが、これに限らない。すなわち、図9で説明するように、回転板72cにおいてカムフォロア72dの螺合穴が複数設けられるようにしてもよい。
【0071】
図9は、第1の変形例に係るめっき装置の攪拌パネルの揺動速度と揺動範囲の変更に関する説明図である。
図9の例では、カムフォロア72dを螺合するための3つの螺合穴H11,H12,H13が回転板72Acに設けられている。これらの螺合穴H11,H12,H13は、回転板72cの中心を通る所定の直線上に設けられている。また、螺合穴H11,H12,H13は、回転板72cの中心(回転軸721aの位置)からの距離がそれぞれ異なっている。すなわち、前記した距離は、螺合穴H11よりも螺合穴H12の方が回転板72cの中心からの距離が長く、また、螺合穴H12よりも螺合穴H13の方が回転板72cの中心からの距離がさらに長くなっている。
【0072】
そして、カムフォロア72dが螺合穴H11,H12,H13のうちのいずれかに螺合されるようになっている。このように、カムフォロア72dの取付位置を適宜に変更することで、攪拌パネル5(図1参照)の揺動速度や揺動範囲を変更できる。具体的には、回転板72cの中心からカムフォロア72dまでの距離が長いほど、揺動範囲が広くなり、また、モータ72aを所定の回転速度で駆動させた場合の揺動速度が速くなる。
【0073】
なお、螺合穴(図示せず)がひとつずつ設けられた回転板72cが複数用意されるようにしてもよい。この場合において、複数の回転板72cのそれぞれは、その中心から螺合穴までの距離が異なっているものとする。
【0074】
図10Aは、第2の変形例に係るめっき装置の攪拌棒5Baの横断面を含む説明図である。
なお、図10Aには、説明を分かりやすくするために、めっき液の粒子M1(所定のイオン)を図示している。また、図10Aの複数の白抜き矢印は、攪拌棒5Baの傾斜面53Ba,54Baからめっき液の粒子M1に作用する力を示している。図10Aの例では、攪拌棒5Baの横断面が台形状になっている。
【0075】
なお、攪拌棒5Baの横断面の台形の上底・下底に対応する側面51Ba,52Baはy軸に対して垂直であり、また、台形の上底に対応する側面51Baが被めっき物P1に対向している。攪拌棒5Baの横断面の台形における一対の脚は、被めっき物P1の板面を含む平面に対して所定に傾斜した傾斜面53Ba,54Baになっている。これらの傾斜面53Ba,54Baは、被めっき物P1に臨んでいる。すなわち、攪拌棒5Baは、水平断面の形状が台形である柱状構造物であり、この柱状構造物は、所定の傾斜角θ3,θ4で構成する二つの傾斜面53Ba,54Baを備え、攪拌パネル(図示せず)が揺動するときに、二つの傾斜面53Ba,54Baが被めっき物P1に対向するように配設される。このように攪拌棒5Baの横断面を台形状にした場合でも、攪拌棒5Baがx軸方向に移動することで、被めっき物P1に対してめっき液を効率的に供給できる。
【0076】
図10Bは、第3の変形例に係るめっき装置の攪拌棒5Caの横断面を含む説明図である。
図10Bに示すように、攪拌棒5Caの横断面の形状が菱形であってもよい。この菱形の2本の対角線(図示せず)のうちの一方はx軸に平行であり、他方はy軸に平行になっている。前記した菱形の横断面において、被めっき物P1に臨む2本の辺が傾斜面51Ca,52Caを形成している。すなわち、攪拌棒5Caは、水平断面の形状が菱形である柱状構造物であり、この柱状構造物は所定の傾斜角θ1,θ2で構成する二つの傾斜面51Ca,52Caを備えている。このように横断面を菱形にした場合でも、攪拌棒5Caがx軸方向に移動することで、被めっき物P1に対してめっき液を効率的に供給できる。
【0077】
なお、複数の攪拌棒のそれぞれの横断面の形状は、三角形(図3B参照)や台形(図10A参照)や菱形(図10B参照)に限定されるものではなく、他の所定の形状であってもよい。前記したように、被めっき物P1の板面を含む平面に対して所定に傾斜している傾斜面を攪拌棒が有することで、被めっき物P1に向けてめっき液の流動を効率的に伝搬させることができる。
【0078】
また、実施形態では、攪拌パネル5(図3A参照)が備える複数の攪拌棒5a(図3A参照)の本数が3本である場合について説明したが、これに限らない。すなわち、攪拌棒5aの本数は、2本であってもよく、また、4本以上であってもよい。
【0079】
また、実施形態では、往復動機構71(図4A参照)の駆動源としてエアシリンダ71e(図4A参照)が用いられる場合について説明したが、これに限らない。すなわち、往復動機構71の駆動源として、油圧シリンダやモータが用いられてもよい。
また、実施形態では、揺動機構72が攪拌パネル5をx軸方向に直線往復運動させる場合について説明したが、これに限らない。例えば、所定の揺動軸(図示せず)を設けて、攪拌パネル5を振り子のように揺らすことで「揺動」させるようにしてもよい。
【0080】
また、各実施形態は本開示を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0081】
1 めっき槽
2 ホルダ
3 アノード電極(電極板)
4 遮蔽板
5 攪拌パネル
5a,5Ba,5Ca 攪拌棒
6 めっき液供給装置
7 揺動ユニット
8 攪拌パネル取付部品
9 制御装置
10 めっき装置
52a,53a,53Ba,54Ba,51Ca,52Ca 傾斜面
71 往復動機構
71a 台座
71b ガイドレール(ガイド)
71c ベース部
711c 接続機構
71d 部材取付部
71e エアシリンダ
71f 連結部
713e ロッド
72 揺動機構
72a モータ
72b モータ把持部
72c,72Ac 回転板
72d カムフォロア
72e 平面プレート部(リンクプレート)
72f 直立プレート部(リンクプレート)
72g スライド部
72h リニアガイド
81 第1攪拌パネル取付部品(攪拌パネル取付部品)
82 第2攪拌パネル取付部品(攪拌パネル取付部品)
83 第3攪拌パネル取付部品(攪拌パネル取付部品)
H6 第一の吸排気口
H7 第二の吸排気口
H8 長孔
H51,H52 穿孔部
P1 被めっき物
【要約】
【課題】めっき液の液はねを抑制しつつ、被めっき物に適切にめっきを施すようにしためっき装置及びめっき方法を提供する。
【解決手段】被めっき物P1に電解めっきを行うめっき装置10であって、めっき装置10の揺動ユニット7は、往復動機構71と、揺動機構72と、を有し、往復動機構71は、被めっき物P1のめっき面に平行な方向を示す水平方向において被めっき物P1より大きな範囲で設定した攪拌範囲で攪拌パネル5が所定の往復動速度で往復動するよう揺動機構72を往復動させ、揺動機構72は、めっき槽1内において、ホルダ2に保持された被めっき物P1にめっき液を均一に供給するように、水平方向において被めっき物P1の大きさより小さな範囲で設定した揺動範囲で攪拌パネル5を往復動速度より速い揺動速度で揺動させながら往復動機構71の動きに同期して攪拌範囲を往復動し、めっき液を攪拌する。
【選択図】図1
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B