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特許7463633配向される非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含む、光学効果層を製造するための磁気組立体及びプロセス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】配向される非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含む、光学効果層を製造するための磁気組立体及びプロセス
(51)【国際特許分類】
   B41M 1/30 20060101AFI20240402BHJP
   B41M 3/14 20060101ALI20240402BHJP
   B42D 25/364 20140101ALI20240402BHJP
   B42D 25/369 20140101ALI20240402BHJP
   B42D 25/405 20140101ALI20240402BHJP
【FI】
B41M1/30 Z
B41M3/14
B42D25/364
B42D25/369
B42D25/405
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021545831
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2020052265
(87)【国際公開番号】W WO2020160993
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2022-11-30
(31)【優先権主張番号】19156150.5
(32)【優先日】2019-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】311007051
【氏名又は名称】シクパ ホルディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】SICPA HOLDING SA
【住所又は居所原語表記】Avenue de Florissant 41,CH-1008 Prilly, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ロギノフ, エフゲニー
(72)【発明者】
【氏名】デスプラント, クロード‐アラン
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-531729(JP,A)
【文献】国際公開第2017/148789(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102013015277(DE,A1)
【文献】特表2018-533466(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0290512(US,A1)
【文献】特表2017-529555(JP,A)
【文献】特表2011-506121(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0117947(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41M 1/00-3/18
B42D 15/02
B42D 25/00-25/485
H01F 1/00-1/44
H01F 7/00-7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材(x20)表面上に光学効果層(OEL)を製造するための磁気組立体(x00)であって、前記光学効果層(OEL)が、直交視差効果を示し、前記磁気組立体(x00)は、
a)n組の隔置された棒状双極子磁石(x31)を備える第1の磁場生成デバイス(x30)であり、nは1以上の整数であり、
前記棒状双極子磁石(x31)のそれぞれが、前記基材(x20)表面に実質的に平行な南北磁軸を有し、
前記n組のうちのそれぞれの組について、棒状双極子磁石(x31)が、同じ方向を指すN極を有し、互いに実質的に平行であり、
前記第1の磁場生成デバイス(x30)の前記棒状双極子磁石(x31)が、多角形の支持マトリックス(x32)に少なくとも部分的又は完全に埋め込まれている、第1の磁場生成デバイス(x30)と、
b)前記基材(x20)表面に実質的に平行な南北磁軸を有する1つ又は複数の正方形又は長方形の双極子磁石(x41)を備える第2の磁場生成デバイス(x40)と、
を具備し、
前記第1の磁場生成デバイス(x30)の前記棒状双極子磁石(x31)の磁軸のベクトル和H1、及び前記1つ又は複数の正方形又は長方形の双極子磁石(x41)のベクトル和H2が、約5°~約175°の範囲内又は約185°~約355°の範囲内、好ましくは約60°~約120°の範囲内又は約240°~約300°の範囲内の角度αを形成しており、
前記第1の磁場生成デバイス(x30)が、前記第2の磁場生成デバイス(x40)の下又は上に配置されており、
前記第1の磁場生成デバイス(x30)及び前記第2の磁場生成デバイス(x40)が、本質的に、互いに中心に配置されている、磁気組立体(x00)。
【請求項2】
前記第1の磁場生成デバイス(x30)が、n組の隔置された棒状双極子磁石(x31)、好ましくはn組の2個以上の、より好ましくはn組の2個の棒状双極子磁石(x31)を備えており、nが1に等しい、請求項1に記載の磁気組立体(x00)。
【請求項3】
前記第1の磁場生成デバイス(x30)が、n組の隔置された棒状双極子磁石(x31)、好ましくはn組の2個以上の、より好ましくはn組の2個の棒状双極子磁石(x31)を備えており、nが1より大きい整数であり、前記n組の棒状双極子磁石が、閉路状の形態、好ましくは正方形の形態又は菱形の形態に配置されている、請求項1に記載の磁気組立体(x00)。
【請求項4】
前記第1の磁場生成デバイス(x30)が、2組の2個の隔置された棒状双極子磁石(x31)を備えており、前記2組の2個の棒状双極子磁石(x31)が、閉路状の形態に配置されていることが好ましい、請求項3に記載の磁気組立体(x00)。
【請求項5】
前記2組の2個の隔置された棒状双極子磁石(x31)が、正方形の形態又は菱形の形態に配置されていることが好ましい、請求項4に記載の磁気組立体(x00)。
【請求項6】
前記n組のうちのそれぞれの組について、前記第1の磁場生成デバイス(x30)の前記隔置された棒状双極子磁石(x31)が、同じ形状、同じ寸法を有しており、同じ材料でできている、請求項1~5のいずれか一項に記載の磁気組立体(x00)。
【請求項7】
前記多角形の支持マトリックス(x32)が、正方形の支持マトリックス(x32)又は長方形の支持マトリックス(x32)である、請求項1~6のいずれか一項に記載の磁気組立体(x00)。
【請求項8】
1つ又は複数の磁極片(x50)、好ましくは、1つ又は複数の正方形又は長方形の磁極片(x50)をさらに備えており、前記1つ又は複数の磁極片(x50)が、前記第1の磁場生成デバイス(x30)の下に、かつ前記第2の磁場生成デバイス(x40)の下に配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の磁気組立体(x00)。
【請求項9】
基材上に光学効果層(OEL)を製造するための、請求項1~8のいずれか一項に記載の磁気組立体(x00)の使用。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の磁気組立体(x00)の少なくとも1つを備える回転磁気シリンダを具備する印刷装置、又は請求項1~8のいずれか一項に記載の磁気組立体(x00)の少なくとも1つを備える平台型印刷ユニットを具備する印刷装置。
【請求項11】
基材(x20)上に光学効果層(OEL)を製造するプロセスであって、前記光学効果層(OEL)が、直交視差効果を示し、前記プロセスは、
i)非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を基材(x20)表面に塗布するステップであり、前記放射線硬化性コーティング組成物が、コーティング層(x10)を形成するために第1の状態である、ステップと、
ii)前記非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向するように、前記放射線硬化性コーティング組成物を、請求項1~8のいずれか一項に記載の静磁気組立体(x00)の磁場に曝すステップと、
iii)前記非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子をその選択された位置及び配向に固定するように、ステップii)の前記放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に第2の状態まで硬化させるステップと、
を含む、プロセス。
【請求項12】
ステップiii)が、UV-可視光放射線硬化によって実行され、好ましくは、前記ステップiii)が、前記ステップii)と部分的に同時に実行される、請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記複数の非球形で扁平の磁性又は磁化可能粒子の少なくとも一部が、非球形で扁平の光学的に可変な磁性又は磁化可能顔料粒子によって構成される、請求項11又は12に記載のプロセス。
【請求項14】
前記非球形で光学的に可変な磁性又は磁化可能顔料が、磁性薄膜干渉顔料、磁性コレステリック液晶顔料、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項13に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[01]本発明は、偽造及び違法な複製に対する有価文書及び有価商品又はブランド商品の保護の分野に関する。本発明は、特に、視角による動的な見た目及び光学効果層を示す、光学効果層(OEL:optical effect layer)を製造するプロセス、並びに文書及び物品の偽造防止手段としての前記OELの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[02]セキュリティ要素及びセキュリティ文書を生産するための、磁性又は磁化可能顔料粒子、特に非球形の光学的に可変な磁性又は磁化可能顔料粒子を含むインク、コーティング組成物、コーティング、又は層の使用が、当技術分野で知られている。
【0003】
[03]セキュリティ文書及び物品のセキュリティ特徴は、「潜在的」及び「顕在的」セキュリティ特徴に分類できる。潜在的セキュリティ特徴によって実現される保護は、かかる機能が、人間の感覚に対して隠されているという概念に依存しており、通常、潜在的セキュリティ特徴の検出には、特殊な機器及び知識が必要であるが、「顕在的」セキュリティ特徴は、人間の感覚により、補助なしで簡単に検出可能である。かかる機能は、可視、及び/又は触覚によって検出可能であるが、それでもなお製造及び/又はコピーが困難であり得る。ただし、顕在的なセキュリティ特徴の有効性は、セキュリティ特徴としての認識のし易さに大きく依存する。その理由は、ユーザが、セキュリティ特徴の存在及び特質に気づいている場合にしか、実際にかかるセキュリティ特徴に基づくセキュリティチェックを実行しないからである。
【0004】
[04]配向された磁性又は磁化可能顔料粒子を含むコーティング又は層は、たとえば、米国特許第2,570,856号、米国特許第3,676,273号、米国特許第3,791,864号、米国特許第5,630,877号、及び米国特許第5,364,689号に開示されている。コーティングの中の磁性又は磁化可能顔料粒子が、対応する磁場の印加によって磁気的に誘導された画像、デザイン、及び/又はパターンの生産を可能にし、硬質化されていないコーティング中の磁性又は磁化可能顔料粒子を局所的に整列させ、続いて粒子の位置及び配向を固定するために、コーティングを硬質化する。これにより、特定の光学効果、すなわち、偽造に対して極めて耐性のある、固定された、磁気的に誘導された画像、デザイン、又はパターンが得られる。配向された磁性又は磁化可能顔料粒子に基づくセキュリティ要素は、磁性顔料粒子若しくは磁化可能顔料粒子、又は前記粒子を含む対応するインク又はコーティング組成物と、前記インク又はコーティング組成物を塗布し、塗布されたインク又はコーティング組成物中の前記顔料粒子を配向し、続いて前記インク又は組成物を硬質化させるために使用される特定の技術との、両方を利用することによってしか、製造することができない。
【0005】
[05]セキュリティ特徴が、視角などの観察条件の変化に応じてセキュリティ特徴の見た目を変化させる場合、特に印象的な光学効果が実現し得る。一例は、米国特許出願公開第2005/0106367号に開示されている、いわゆる「転動棒(rolling bar)」効果である。「転動棒」効果(図1A)は、コーティング全体にわたって湾曲した表面を模倣する、顔料粒子の配向に基づいている。観察者は、セキュリティ特徴が傾くと、観察者から遠ざかるか又は観察者に向かって動く、鏡面反射ゾーンを見る。いわゆる正の転動棒は、凹状に配向された顔料粒子を含み(図1C)、正方向に湾曲した表面を辿る。すなわち正の転動棒は、傾きに回転する感じに従って動く。いわゆる負の転動棒は、凸状に配向された顔料粒子を含み(図1B)、負方向に湾曲した表面を辿る。すなわち負の転動棒は、傾きに回転する感じに逆らって動く。凹状の湾曲を辿る配向(正方向の湾曲配向)を有する顔料粒子を含む硬質化されたコーティングは、支持体が後方に傾けられると、転動棒が上方へ動くこと(正の転動棒)を特徴とする視覚効果を示す。凹状の湾曲とは、観察者が、硬質化されたコーティングを担持する支持体の側面から硬質化されたコーティングを見たときの、湾曲を指す(図1C)。凸状の湾曲を辿る配向(負方向の湾曲配向、図1B)を有する顔料粒子を含む硬質化されたコーティングは、硬質化されたコーティングを担持する支持体が後方に傾けられると、転動棒が下方へ動くこと(負の転動棒)を特徴とする視覚効果を示す(すなわち、支持体の上部が観察者から離れる方向に動き、一方、支持体の下部が観察者に向かう方向に動く)(図1A)。この効果は、現在、5ユーロ紙幣の「5」及び10ユーロ紙幣の「10」など、紙幣の多くのセキュリティ要素に利用されている。
【0006】
[06]動的光学効果が、前記機能が傾くと動く、磁気的に配向された顔料粒子から反射された光の帯を示す、前記動的効果を有するセキュリティ特徴の別の例が、国際公開第2018/045233A1号に開示されている。国際公開第2018/045233A1号は、光の帯が反射される動的光学効果を開示しており、前記動きは、前記機能が傾く方向に垂直の方向に生じる。国際公開第2018/045233A1号に開示されている前記動的光学効果は、直交視差(ortho-parallactic)光学効果と呼ばれる。直交視差光学効果は、セキュリティ特徴の他の部分よりも明るく又は暗く見える帯などの光学機能が、セキュリティ特徴の傾く方向に直交する方向に、セキュリティ特徴を横切って動くように見える光学効果と説明できる。したがって、たとえば、セキュリティ特徴が横方向に(たとえば、短手方向の軸線を中心に)傾くと、光学機能は長手方向に動いているように見え得る。国際公開第2018/045230A1号は、磁性フレークを配向して、直交視差光学効果を示す、基材上のセキュリティ特徴を製造する装置及び方法をさらに開示しており、磁気的に配向可能なフレークは、磁場に曝され、少なくとも1つの開口を有するマスクを使用することにより所望の配向に固定される。マスク及び少なくとも1つの開口は、磁場に対して戦略的に配置され、磁気的に配向可能なフレークを、放射線源によって、基材に対して所望の2面角に固定させることができる。
【0007】
[07]インク又はコーティング組成物中の配向された磁性又は磁化可能顔料粒子に基づいて、光学効果層(OEL)を製造するための磁気組立体及びプロセスが依然として必要であり、前記磁気組立体及びプロセスは、直交視差で人目を引く効果を示し、偽造者が入手可能な機器を使って大量に製造するのが困難なOELの生産を可能にしながらも、信頼性が高く、実施が容易であり、且つ速い生産速度で作ることができる。
【発明の概要】
【0008】
[08]したがって、本発明の目的は、基材(x20)表面上に光学効果層(OEL)を製造するための磁気組立体(x00)の提供であり、前記光学効果層(OEL)は、直交視差効果を示し、前記組立体(x00)は、
a)n組の隔置された棒状双極子磁石(x31)、好ましくはn組の、2個以上の隔置された棒状双極子磁石(x31)を備える第1の磁場生成デバイス(x30)であって、nは1以上の整数であり、
前記棒状双極子磁石(x31)のそれぞれが、基材(x20)表面に実質的に平行な南北磁軸を有し、
前記n組のうちのそれぞれの組について、棒状双極子磁石(x31)が、同じ方向を指すN極を有し、互いに実質的に平行であり、
第1の磁場生成デバイス(x30)の棒状双極子磁石(x31)が、多角形の支持マトリックス(x32)に少なくとも部分的又は完全に埋め込まれている、第1の磁場生成デバイス(x30)と、
b)基材(x20)表面に実質的に平行な南北磁軸を有する、1つ又は複数の正方形又は長方形の双極子磁石(x41)を備える、第2の磁場生成デバイス(x40)と、
を具備し、第1の磁場生成デバイス(x30)の棒状双極子磁石(x31)の磁軸のベクトル和H1、及び1つ又は複数の正方形又は長方形の双極子磁石(x41)のベクトル和H2が、約5°~約175°の範囲内又は約185°~約355°の範囲内、好ましくは約60°~約120°の範囲内又は約240°~約300°の範囲内の角度αを形成する。
【0009】
[09]本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)は、本明細書に記載の第2の磁場生成デバイス(x40)の下又は上に配置される。
【0010】
[010]本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)及び本明細書に記載の第2の磁場生成デバイス(x40)は、本質的に、互いに中心に配置され得る。
【0011】
[011]基材上に光学効果層(OEL)を製造するための、本明細書に記載の磁気組立体(x00)の使用法も、本明細書に記載されている。
【0012】
[012]本明細書に記載の磁気組立体(x00)のうちの少なくとも1つを備える回転磁気シリンダを備える印刷装置、及び本明細書に記載の磁気組立体(x00)のうちの少なくとも1つを備える平台型印刷ユニットを備える印刷装置も本明細書に記載されている。前記印刷装置は、本明細書に記載されているような基材上に、本明細書に記載の光学効果層(OEL)を製造するのに好適である。本明細書に記載されているような基材上に、本明細書に記載の光学効果層(OEL)を製造するための、本明細書に記載の印刷装置の使用法も本明細書に記載されている。
【0013】
[013]基材(x20)上に本明細書に記載の光学効果層(OEL)を製造するプロセスも、本明細書に記載されており、OELは、直交視差効果を示し、またOELは、前記プロセスから得られる。前記プロセスは、
i)非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を基材(x20)表面に塗布するステップであって、前記放射線硬化性コーティング組成物が、コーティング層(x10)を形成するために第1の状態である、ステップと、
ii)非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向するように、放射線硬化性コーティング組成物を、本明細書に記載の静磁気組立体(x00)の磁場に曝すステップと、
iii)非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を、顔料粒子の選択された位置及び配向に固定するように、ステップii)の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に、第2の状態まで硬化させるステップと
を含む。
【0014】
[014]セキュリティ文書又は装飾要素若しくは装飾物を製作する方法も、本明細書に記載されており、前記方法は、a)セキュリティ文書又は装飾要素若しくは装飾物を準備するステップと、b)本明細書に記載されているような、特に、本明細書に記載のプロセスによって得られるような、光学効果層(OEL)を準備するステップであって、その結果、セキュリティ文書又は装飾要素若しくは装飾物が、光学効果層を有する、ステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】「転動棒」効果を概略的に示す図である。
図1B】基材(S)上の「転動棒」効果(図1Bでは負方向の転動棒、図1Cでは正方向の転動棒)の、顔料粒子の配向を概略的に示す図である。
図1C】基材(S)上の「転動棒」効果(図1Bでは負方向の転動棒、図1Cでは正方向の転動棒)の、顔料粒子の配向を概略的に示す図である。
図2A】基材(220)表面上に光学効果層(OEL)を製造するための磁気組立体(200)を概略的に示す図である。前記磁気組立体(200)は、1組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)を備える、第1の磁場生成デバイス(230)と、正方形の双極子磁石(241)を備える、第2の磁場生成デバイス(240)とを具備し、第1の磁場生成デバイス(230)が、第2の磁場生成デバイス(240)の下に配置され、2個の磁場生成デバイスが、本質的に、互いに中心に置かれている。2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)は、基材(220)表面に実質的に平行な磁軸を有し、互いに実質的に平行であり、且つ正方形の支持マトリックス(232)に埋め込まれている。
図2B】基材(220)表面上に光学効果層(OEL)を製造するための磁気組立体(200)を概略的に示す図である。前記磁気組立体(200)は、1組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)を備える、第1の磁場生成デバイス(230)と、正方形の双極子磁石(241)を備える、第2の磁場生成デバイス(240)とを具備し、第1の磁場生成デバイス(230)が、第2の磁場生成デバイス(240)の下に配置され、2個の磁場生成デバイスが、本質的に、互いに中心に置かれている。2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)は、基材(220)表面に実質的に平行な磁軸を有し、互いに実質的に平行であり、且つ正方形の支持マトリックス(232)に埋め込まれている。
図2C】基材(220)表面上に光学効果層(OEL)を製造するための磁気組立体(200)を概略的に示す図である。前記磁気組立体(200)は、1組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)を備える、第1の磁場生成デバイス(230)と、正方形の双極子磁石(241)を備える、第2の磁場生成デバイス(240)とを具備し、第1の磁場生成デバイス(230)が、第2の磁場生成デバイス(240)の下に配置され、2個の磁場生成デバイスが、本質的に、互いに中心に置かれている。2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)は、基材(220)表面に実質的に平行な磁軸を有し、互いに実質的に平行であり、且つ正方形の支持マトリックス(232)に埋め込まれている。
図2D-1】第1の磁場生成デバイス(230)の2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)の磁軸のベクトル及びベクトル和H1を概略的に示す図である。図2D-3は、第1の磁場生成デバイス(230)の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)の磁軸のベクトル和H1と、正方形の双極子磁石(241)のベクトル和H2との間の角度αを示す。
図2D-2】第1の磁場生成デバイス(230)の2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)の磁軸のベクトル及びベクトル和H1を概略的に示す図である。図2D-3は、第1の磁場生成デバイス(230)の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)の磁軸のベクトル和H1と、正方形の双極子磁石(241)のベクトル和H2との間の角度αを示す。
図2D-3】第1の磁場生成デバイス(230)の2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)の磁軸のベクトル及びベクトル和H1を概略的に示す図である。図2D-3は、第1の磁場生成デバイス(230)の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)の磁軸のベクトル和H1と、正方形の双極子磁石(241)のベクトル和H2との間の角度αを示す。
図2E図2A図2Dに示される磁気組立体(200)を使用して得られたOELの、サンプルが-20°~+20°まで傾けられたときに固定位置から見た、写真である。
図3A】基材(320)表面上に光学効果層(OEL)を製造するための磁気組立体(300)を概略的に示す図である。前記磁気組立体(300)は、1組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)を備える、第1の磁場生成デバイス(330)と、正方形の双極子磁石(341)を備える、第2の磁場生成デバイス(340)と、正方形の磁極片(350)とを具備し、第1の磁場生成デバイス(330)が、第2の磁場生成デバイス(340)の下に配置され、正方形の磁極片(350)が、第1の磁場生成デバイス(330)の下に配置され、前記第1の磁場生成デバイス(330)、前記第2の磁場生成デバイス(340)、及び前記正方形の磁極片(350)が、本質的に、互いに中心に置かれている。2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)は、基材(320)表面に実質的に平行な磁軸を有し、互いに実質的に平行であり、且つ正方形の支持マトリックス(332)に埋め込まれている。
図3B】基材(320)表面上に光学効果層(OEL)を製造するための磁気組立体(300)を概略的に示す図である。前記磁気組立体(300)は、1組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)を備える、第1の磁場生成デバイス(330)と、正方形の双極子磁石(341)を備える、第2の磁場生成デバイス(340)と、正方形の磁極片(350)とを具備し、第1の磁場生成デバイス(330)が、第2の磁場生成デバイス(340)の下に配置され、正方形の磁極片(350)が、第1の磁場生成デバイス(330)の下に配置され、前記第1の磁場生成デバイス(330)、前記第2の磁場生成デバイス(340)、及び前記正方形の磁極片(350)が、本質的に、互いに中心に置かれている。2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)は、基材(320)表面に実質的に平行な磁軸を有し、互いに実質的に平行であり、且つ正方形の支持マトリックス(332)に埋め込まれている。
図3C】基材(320)表面上に光学効果層(OEL)を製造するための磁気組立体(300)を概略的に示す図である。前記磁気組立体(300)は、1組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)を備える、第1の磁場生成デバイス(330)と、正方形の双極子磁石(341)を備える、第2の磁場生成デバイス(340)と、正方形の磁極片(350)とを具備し、第1の磁場生成デバイス(330)が、第2の磁場生成デバイス(340)の下に配置され、正方形の磁極片(350)が、第1の磁場生成デバイス(330)の下に配置され、前記第1の磁場生成デバイス(330)、前記第2の磁場生成デバイス(340)、及び前記正方形の磁極片(350)が、本質的に、互いに中心に置かれている。2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)は、基材(320)表面に実質的に平行な磁軸を有し、互いに実質的に平行であり、且つ正方形の支持マトリックス(332)に埋め込まれている。
図3D-1】第1の磁場生成デバイス(330)の2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の磁軸のベクトル及びベクトル和H1を概略的に示す図である。図3D-3は、第1の磁場生成デバイス(330)の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の磁軸のベクトル和H1と、正方形の双極子磁石(341)のベクトル和H2との間の角度αを示す。
図3D-2】第1の磁場生成デバイス(330)の2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の磁軸のベクトル及びベクトル和H1を概略的に示す図である。図3D-3は、第1の磁場生成デバイス(330)の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の磁軸のベクトル和H1と、正方形の双極子磁石(341)のベクトル和H2との間の角度αを示す。
図3D-3】第1の磁場生成デバイス(330)の2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の磁軸のベクトル及びベクトル和H1を概略的に示す図である。図3D-3は、第1の磁場生成デバイス(330)の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の磁軸のベクトル和H1と、正方形の双極子磁石(341)のベクトル和H2との間の角度αを示す。
図3E図3A図3Dに示される磁気組立体(300)を使用して得られたOELの、サンプルが-20°~+20°まで傾けられたときに固定位置から見た、写真である。
図4A】基材(420)表面上に光学効果層(OEL)を製造するための磁気組立体(400)を概略的に示す図である。前記磁気組立体(400)は、2組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(第1の組:431-a1及び431-a2、第2の組:431-b1及び431-b2)を備える、第1の磁場生成デバイス(430)と、正方形の双極子磁石(441)を備える、第2の磁場生成デバイス(440)とを具備し、第1の磁場生成デバイス(430)が、第2の磁場生成デバイス(440)の下に配置され、2個の磁場生成デバイスが、本質的に、互いに中心に置かれている。4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)は、基材(420)に実質的に平行な磁軸を有し、正方形の支持マトリックス(432)に埋め込まれ、且つ正方形の形態に配置されている。第1の組の2個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2)が、互いに実質的に平行であり、且つ第2の組の2個の棒状双極子磁石(431-b1、431-b2)が、互いに実質的に平行である。
図4B】基材(420)表面上に光学効果層(OEL)を製造するための磁気組立体(400)を概略的に示す図である。前記磁気組立体(400)は、2組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(第1の組:431-a1及び431-a2、第2の組:431-b1及び431-b2)を備える、第1の磁場生成デバイス(430)と、正方形の双極子磁石(441)を備える、第2の磁場生成デバイス(440)とを具備し、第1の磁場生成デバイス(430)が、第2の磁場生成デバイス(440)の下に配置され、2個の磁場生成デバイスが、本質的に、互いに中心に置かれている。4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)は、基材(420)に実質的に平行な磁軸を有し、正方形の支持マトリックス(432)に埋め込まれ、且つ正方形の形態に配置されている。第1の組の2個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2)が、互いに実質的に平行であり、且つ第2の組の2個の棒状双極子磁石(431-b1、431-b2)が、互いに実質的に平行である。
図4C】基材(420)表面上に光学効果層(OEL)を製造するための磁気組立体(400)を概略的に示す図である。前記磁気組立体(400)は、2組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(第1の組:431-a1及び431-a2、第2の組:431-b1及び431-b2)を備える、第1の磁場生成デバイス(430)と、正方形の双極子磁石(441)を備える、第2の磁場生成デバイス(440)とを具備し、第1の磁場生成デバイス(430)が、第2の磁場生成デバイス(440)の下に配置され、2個の磁場生成デバイスが、本質的に、互いに中心に置かれている。4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)は、基材(420)に実質的に平行な磁軸を有し、正方形の支持マトリックス(432)に埋め込まれ、且つ正方形の形態に配置されている。第1の組の2個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2)が、互いに実質的に平行であり、且つ第2の組の2個の棒状双極子磁石(431-b1、431-b2)が、互いに実質的に平行である。
図4D-1】第1の磁場生成デバイス(430)の4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)の磁軸のベクトル及びベクトル和H1を概略的に示す図である。図4D-3は、第1の磁場生成デバイス(430)の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)の磁軸のベクトル和H1と、正方形の双極子磁石(441)のベクトル和H2との間の角度αを示す。
図4D-2】第1の磁場生成デバイス(430)の4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)の磁軸のベクトル及びベクトル和H1を概略的に示す図である。図4D-3は、第1の磁場生成デバイス(430)の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)の磁軸のベクトル和H1と、正方形の双極子磁石(441)のベクトル和H2との間の角度αを示す。
図4D-3】第1の磁場生成デバイス(430)の4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)の磁軸のベクトル及びベクトル和H1を概略的に示す図である。図4D-3は、第1の磁場生成デバイス(430)の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)の磁軸のベクトル和H1と、正方形の双極子磁石(441)のベクトル和H2との間の角度αを示す。
図4E図4A図4Dに示される磁気組立体(400)を使用して得られたOELの、サンプルが-20°~+60°まで傾けられたときに固定位置から見た、写真である。
図5A】基材(520)表面上に光学効果層(OEL)を製造するための磁気組立体(500)を概略的に示す図である。前記磁気組立体(500)は、2組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(第1の組:531-a1及び531-a2、第2の組:531-b1及び531-b2)を備える、第1の磁場生成デバイス(530)と、正方形の双極子磁石(541)を備える、第2の磁場生成デバイス(540)とを具備し、第1の磁場生成デバイス(530)が、第1の磁場生成デバイス(530)が、第2の磁場生成デバイス(540)の下に配置され、2個の磁場生成デバイスが、本質的に、互いに中心に置かれている。4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)は、基材(520)に実質的に平行な磁軸を有し、正方形の支持マトリックス(532)に埋め込まれ、且つ菱形の形態に配置されている。第1の組の2個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2)が、互いに実質的に平行であり、且つ第2の組の2個の棒状双極子磁石(531-b1、531-b2)が、互いに実質的に平行である。
図5B】基材(520)表面上に光学効果層(OEL)を製造するための磁気組立体(500)を概略的に示す図である。前記磁気組立体(500)は、2組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(第1の組:531-a1及び531-a2、第2の組:531-b1及び531-b2)を備える、第1の磁場生成デバイス(530)と、正方形の双極子磁石(541)を備える、第2の磁場生成デバイス(540)とを具備し、第1の磁場生成デバイス(530)が、第1の磁場生成デバイス(530)が、第2の磁場生成デバイス(540)の下に配置され、2個の磁場生成デバイスが、本質的に、互いに中心に置かれている。4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)は、基材(520)に実質的に平行な磁軸を有し、正方形の支持マトリックス(532)に埋め込まれ、且つ菱形の形態に配置されている。第1の組の2個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2)が、互いに実質的に平行であり、且つ第2の組の2個の棒状双極子磁石(531-b1、531-b2)が、互いに実質的に平行である。
図5C】基材(520)表面上に光学効果層(OEL)を製造するための磁気組立体(500)を概略的に示す図である。前記磁気組立体(500)は、2組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(第1の組:531-a1及び531-a2、第2の組:531-b1及び531-b2)を備える、第1の磁場生成デバイス(530)と、正方形の双極子磁石(541)を備える、第2の磁場生成デバイス(540)とを具備し、第1の磁場生成デバイス(530)が、第1の磁場生成デバイス(530)が、第2の磁場生成デバイス(540)の下に配置され、2個の磁場生成デバイスが、本質的に、互いに中心に置かれている。4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)は、基材(520)に実質的に平行な磁軸を有し、正方形の支持マトリックス(532)に埋め込まれ、且つ菱形の形態に配置されている。第1の組の2個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2)が、互いに実質的に平行であり、且つ第2の組の2個の棒状双極子磁石(531-b1、531-b2)が、互いに実質的に平行である。
図5D-1】第1の磁場生成デバイス(530)の4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)の磁軸のベクトル及びベクトル和H1を概略的に示す図である。図5D-3は、第1の磁場生成デバイス(530)の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)の磁軸のベクトル和H1と、正方形の双極子磁石(541)のベクトル和H2との間の角度αを示す。
図5D-2】第1の磁場生成デバイス(530)の4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)の磁軸のベクトル及びベクトル和H1を概略的に示す図である。図5D-3は、第1の磁場生成デバイス(530)の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)の磁軸のベクトル和H1と、正方形の双極子磁石(541)のベクトル和H2との間の角度αを示す。
図5D-3】第1の磁場生成デバイス(530)の4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)の磁軸のベクトル及びベクトル和H1を概略的に示す図である。図5D-3は、第1の磁場生成デバイス(530)の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)の磁軸のベクトル和H1と、正方形の双極子磁石(541)のベクトル和H2との間の角度αを示す。
図5E図5A図5Dに示される磁気組立体(500)を使用して得られたOELの、サンプルが-20°~+60°まで傾けられたときに固定位置から見た、写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
[015]以下の定義は、説明に使用され、特許請求の範囲に記載されている用語の意味に当てはまる。
【0017】
[016]本明細書で使用される場合、不定冠詞「a」は、1つばかりでなく複数も示し、「a」の指示対象の名詞を、必ずしも単数に限定するものではない。
【0018】
[017]本明細書で使用される場合、「約」という用語は、当該の量又は値が、指定された特定の値又は特定の値の近傍の、他の某かの値であり得ることを意味する。一般に、特定の値を示す「約」という用語は、特定の値の±5%以内の範囲を示すことが意図されている。一例として、「約100」という句は、100±5の範囲、すなわち95~105の範囲を示す。一般に、「約」という用語を使用する場合、示された値の±5%の範囲内で、本発明による同様の結果又は効果が得られる可能性があることが期待され得る。
【0019】
[018]「実質的に平行な」という用語は、平行の整列状態から10°以下のずれがあることを指し、「実質的に垂直な」という用語は、垂直の整列状態から10°以下のずれがあることを指す。
【0020】
[019]本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語は、この用語でつながれた要素の両方又は一方のみが存在することを意味する。たとえば、「A及び/又はB」は、「Aのみ、Bのみ、又はAとBとの両方」を意味するものとする。「Aのみ」の場合、この用語は、Bが存在しない可能性、すなわち「Aのみ、しかしBはない」も包含する。
【0021】
[020]本明細書で使用される「含む」という用語は、非排他的であり、制限がないことが意図されている。したがって、たとえば、化合物Aを含む溶液組成物には、A以外の他の化合物も含まれる場合がある。しかし、「含む」という用語は、その特定の実施形態として、「本質的に何々からなる」及び「何々からなる」の、より限定的な意味も包含し、したがってたとえば、「A、B及び任意選択でCを含む組成物」は、(本質的に)A及びBからなるか、又は(本質的に)A、B及びCからなる場合もある。
【0022】
[021]「コーティング組成物」という用語は、固体基材上にコーティング、特に本明細書に記載の光学効果層(OEL)を形成することができ、印刷方法によって塗布され得ることが好ましいが排他的ではない、任意の組成物を指す。本明細書に記載のコーティング組成物は、少なくとも複数の非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子及び結合剤を含む。
【0023】
[022]本明細書で使用される「光学効果層(OEL)」という用語は、少なくとも複数の磁気的に配向された、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子及び結合剤を含む層を示し、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子は、前記結合剤内の所定の位置及び配向に固定又は凍結(固定/凍結)される。
【0024】
[023]本開示の範疇において「顔料粒子」は、インク又はコーティング組成物中で不溶性であり、インク又はコーティング組成物に、決定されたスペクトル透過/反射応答をもたらす粒子状材料を表す。
【0025】
[024]「磁気方向」という用語は、磁石の外側で、磁石のN極から磁石のS極に向いている磁力線に沿った磁場ベクトルの方向を示す(Handbook of Physics、Springer 2002、463~464頁参照)。
【0026】
[025]「硬化させる」という用語は、刺激に対する反応としてコーティング組成物の粘度を高め、コーティング組成物を、コーティング組成物中に含まれる磁性又は磁化可能顔料粒子が、顔料粒子の位置及び配向を固定/凍結され、もはや移動も回転もできない状態(すなわち、硬化された、硬質化された、又は固体の状態)に変換するプロセスを示す。
【0027】
[026]本明細書で使用される場合、「少なくとも」という用語は、決定された量又は前記量より多い量を定義し、たとえば、「少なくとも1つ」は、1つ、2つ、又は3つなどを意味する。
【0028】
[027]「セキュリティ文書」という用語は、少なくとも1つのセキュリティ特徴によって偽造又は詐欺から保護されている文書を指す。セキュリティ文書の例には、通貨、有価文書、身分証明書などが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
[028]「セキュリティ特徴」という用語は、セキュリティ特徴を担持する文書又は物品の認証に使用できる、顕在的な又は潜在的な画像、パターン、又はグラフィック要素を示す。
【0030】
[029]本説明が「好ましい」実施形態/機能に言及する場合、こうした「好ましい」実施形態/機能の組合せもまた、この「好ましい」実施形態/機能の組合せに技術的な意味がある限り、好ましいものとして開示されていると考えられるものとする。
【0031】
[030]本発明は、光学効果層(OEL)を製造するのに好適な磁気組立体(x00)及び前記磁気組立体(x00)を使用するプロセスを提供し、前記OELは、複数の非ランダムに配向された非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含み、前記顔料粒子は、硬質化/硬化される材料、及び硬質化/硬化される材料から得られる光学効果層(OEL)中に分散されている。前記磁性又は磁化可能顔料粒子の配向パターンのおかげで、本明細書に記載の光学的なOELは、直交視差効果の、すなわちこの場合は、前記OELを担持する基材が、水平/短手方向の軸線を中心にして傾けられると、長手方向に動くか、又は前記OELを担持する基材が、長手方向の軸線を中心にして傾けられると、水平/短手方向に動く、明るい反射垂直棒の形態である、光学的印刷物を実現する。
【0032】
[031]本発明は、本明細書に記載の基材上に本明細書に記載の光学効果層(OEL)を製造するプロセス及び方法、並びに前記プロセス及び方法によって得られる光学効果層(OEL)を提供し、前記方法は、本明細書に記載の非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含む、放射線硬化性コーティング組成物を基材表面に塗布するステップi)を含み、前記放射線硬化性コーティング組成物は、第1の状態、すなわち液体又はペースト状態であり、放射線硬化性コーティング組成物は、放射線硬化性コーティング組成物中に分散された非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子が、磁場に曝されると、自由に移動、回転、及び/又は配向可能となるように、十分に湿っているか又は柔らかい。
【0033】
[032]本明細書に記載のステップi)は、たとえば、ローラ及びスプレーでのコーティングプロセスなどのコーティングプロセスによって、又は印刷プロセスによって進められ得る。本明細書に記載のステップi)は、スクリーン印刷、輪転グラビア印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷、及び凹版印刷(当技術分野では、彫刻銅版印刷及び彫刻鋼金型印刷とも呼ばれる)からなる群から選択されることが好ましく、スクリーン印刷、輪転グラビア印刷、及びフレキソ印刷からなる群から選択されることがより好ましい、印刷プロセスによって実施されることが好ましい。
【0034】
[033]続いて、本明細書に記載の基材表面への、本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物の塗布(ステップi)と部分的に同時に又は同時に、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を、組立体(x00)によって生成された磁力線に沿って整列させるために、放射線硬化性コーティング組成物を本明細書に記載の磁気組立体(x00)の磁場に曝し、そして静止状態にすることによって、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部が配向される(ステップii)。
【0035】
[034]本明細書に記載の磁場を印加することにより、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向/整列させるステップに続いて、又は部分的に同時に、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子の配向が、固定又は凍結される。したがって、放射線硬化性コーティング組成物は、注目に値する、第1の状態、すなわち放射線硬化性コーティング組成物が、放射線硬化性コーティング組成物中に分散する非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子が磁場に曝されているときに、自由に移動可能、回転可能、及び/又は配向可能であるように、十分に湿っているか又は柔らかい、液体又はペースト状態と、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子が、それぞれの位置及び配向で固定又は凍結される、第2の硬化(たとえば、固体の)状態とを有していなければならない。
【0036】
[035]したがって、本明細書に記載の基材上に光学効果層(OEL)を製造するプロセスは、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を、顔料粒子の選択された位置及び配向に固定するように、ステップii)の放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に、第2の状態まで硬化させるステップiii)を含む。放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させるステップiii)は、本明細書に記載の磁場を印加すること(ステップii)によって、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向/整列させるステップに続いて、又は部分的に同時に、実施され得る。放射線硬化性コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させるステップiii)は、本明細書に記載の磁場を印加することによって、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部を配向/整列させるステップ(ステップii)と部分的に同時に、実施されることが好ましい。「部分的に同時に」とは、両方のステップが部分的に同時に実行されること、すなわち、ステップのそれぞれを実行する時間が部分的に重複することを意味する。本明細書に記載の範疇において、硬化が配向ステップii)と部分的に同時に実行される場合、OELが完全に又は部分的に硬化又は硬質化される前に、顔料粒子を配向するための時間を有するように、硬化は、配向後に有効になることを理解しなければならない。
【0037】
[036]放射線硬化性コーティング組成物の第1及び第2の状態は、特定のタイプの放射線硬化性コーティング組成物を使用することによって実現される。たとえば、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子以外の放射線硬化性コーティング組成物の構成成分は、セキュリティ用途で、たとえば紙幣印刷用に使用されるような、インク又は放射線硬化性コーティング組成物の形態をとることができる。前述の第1及び第2の状態は、電磁放射線への曝露に反応して粘度の高まりを示す材料を使用することにより実現される。すなわち、液体結合剤材料が硬化又は固化すると、前記結合剤材料は、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子が、顔料粒子の現在の位置及び配向に固定され、もはや結合剤材料の中で動くことも回転することもできない、第2の状態に変わる。
【0038】
[037]当業者には知られているように、基材などの表面に塗布されるべき放射線硬化性コーティング組成物に含まれる成分、及び前記放射線硬化性コーティング組成物の物理的特性は、基材表面へ放射線硬化性コーティング組成物を運ぶために使用される、プロセスの要件を満たさなければならない。結果として、本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物に含まれる結合剤材料は、通常は、当技術分野で知られているものの中から選択され、放射線硬化性コーティング組成物を塗布するために使用されるコーティング又は印刷プロセス、及び選択された放射線硬化プロセスによって変わる。
【0039】
[038]本明細書に記載の光学効果層(OEL)において、本明細書に記載の非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子は、磁性又は磁化可能顔料粒子の配向を固定/凍結する、硬化される結合剤材料を含む、硬化される/硬質化される放射線硬化性コーティング組成物中に分散されている。硬化される結合剤材料は、200nm~2500nmの間に含まれる波長範囲の電磁放射線に対して、少なくとも部分的に透明である。したがって、結合剤材料は、少なくとも結合剤材料が硬化した状態又は固体の状態(本明細書では第2の状態とも呼ばれる)において、200nm~2500nmの間に含まれる波長範囲の、すなわち、通常「光学スペクトル」と呼ばれ、電磁スペクトルの赤外線、可視、及びUV部分を含む波長範囲内の電磁放射線に対して、少なくとも部分的に透明であり、したがって、硬化した状態又は固体の状態の結合剤材料に含まれる粒子、及び粒子の配向に依存する反射性が、結合剤材料を通して知覚できる。硬化した結合剤材料は、200nm~800nmの間に含まれる波長範囲の電磁放射線に対して、少なくとも部分的に透明であることが好ましく、400nm~700nmの間に含まれる波長範囲の電磁放射に対して少なくとも部分的に透明であることがより好ましい。本明細書において、「透明な」という用語は、OEL内に存在する硬化した結合剤材料(小平板の形状の磁性又は磁化可能顔料粒子は含まないが、OELの他の任意選択的な構成成分(かかる構成成分が存在する場合)のすべて)の20μmの層を通る電磁放射線の透過率が、当該の波長(複数可)で少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%であることを示す。これは、たとえば、十分に確立された試験方法、たとえばDIN5036-3(1979-11)に従って、硬化した結合剤材料(非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含まない)の試験片の透過度を測定することによって判定できる。OELが潜在的なセキュリティ特徴として作用する場合、通常は、選択された非可視の波長を含むそれぞれの照明条件下で、OELによって生成される(完全な)光学効果を検出するための技術的手段が必要となろう。すなわち前記検出では、入射放射線の波長が、可視範囲外で、たとえば近紫外線の範囲で、選択される必要がある。電磁スペクトルの赤外線、可視、及びUV部分は、それぞれ700~2500nm、400~700nm、及び200~400nmの間の波長範囲にほぼ対応する。
【0040】
[039]上記のように、本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物は、前記放射線硬化性コーティング組成物を塗布するために使用されるコーティング又は印刷プロセス、及び選択される硬化プロセスによって変わる。放射線硬化性コーティング組成物の硬化は、本明細書に記載のOELを有する物品を通常使用する際に起こる可能性がある、単純な温度上昇(たとえば、最大80℃)によって逆戻りしない化学反応を伴うことが好ましい。「硬化させる」又は「硬化性の」という用語は、塗布される放射線硬化性コーティング組成物中の少なくとも1つの構成成分が、出発物質よりも大きな分子量を有する高分子材料に変わるような形での、化学反応、架橋、又は重合を含むプロセスを指す。放射線硬化は、硬化照射への曝露後に、放射線硬化性コーティング組成物の粘度の瞬間的な高まりをもたらし、それによって、顔料粒子のいかなるさらなる移動も防ぎ、その結果、磁気配向のステップ後の、情報のいかなる損失も防ぐので有利である。硬化させるステップ(ステップiii))は、UV-可視光放射線硬化を含む放射線硬化によって、又は電子ビーム放射線硬化によって実施されることが好ましく、UV-Vis放射線硬化によって実施されることがより好ましい。
【0041】
[040]したがって、本発明に好適な放射線硬化性コーティング組成物は、UV-可視光放射線(これ以降、UV-Vis光放射線と呼ぶ)又は電子ビーム放射線(これ以降、EB放射線と呼ぶ)によって硬化され得る、放射線硬化性組成物を含む。放射線硬化性組成物は、当技術分野で知られており、シリーズ「Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatings,Inks & Paints」、第IV巻、Formulation(C.Lowe、G.Webster、S.Kessel、及びI.McDonald著、1996年にJohn Wiley & SonsがSITA Technology Limitedと共同で出版)などの、標準的な教科書に見ることができる。本発明の1つの特に好ましい実施形態によれば、本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物は、UV-Vis放射線硬化性コーティング組成物である。したがって、本明細書に記載の非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物は、UV-Vis光放射線によって、好ましくはUV-A(315~400nm)又は青色(400~500nm)スペクトル領域の狭帯域幅LED光によって、最も好ましくは、通常の発光帯域幅が20nm~50nmの範囲内である、350nm~450nmスペクトル領域内で発光する高出力LED光源によって、少なくとも部分的に硬化されることが好ましい。水銀蒸気ランプ又はドープ水銀ランプからのUV放射線を使用して、放射線硬化性コーティング組成物の硬化速度を速めることもできる。
【0042】
[041]UV-Vis放射線硬化性コーティング組成物は、ラジカル硬化性化合物及びカチオン硬化性化合物からなる群から選択される、1つ又は複数の化合物を含むことが好ましい。本明細書に記載のUV-Vis放射線硬化性コーティング組成物は、ハイブリッドシステムであり、1つ又は複数のカチオン硬化性化合物と1つ又は複数のラジカル硬化性化合物との混合物を含んでもよい。カチオン硬化性化合物は、通常は、酸などの、カチオン種を遊離する1つ又は複数の光開始剤の放射線による活性化を含む、カチオンの仕組みによって硬化され、次に、モノマー及び/又はオリゴマーを反応及び/又は架橋させるように硬化を開始し、以て放射線硬化性コーティング組成物を硬化させる。ラジカル硬化性化合物は、通常は、1つ又は複数の光開始剤の放射線による活性化を含む、フリーラジカルの仕組みによって硬化され、以てラジカルを生成し、次に放射線硬化性コーティング組成物を硬化させるように、重合を開始する。本明細書に記載のUV-Vis放射線硬化性コーティング組成物に含まれる結合剤を調製するために使用されるモノマー、オリゴマー、又はプレポリマーに応じて、様々な光開始剤が使用され得る。フリーラジカル光開始剤の好適な例は、当業者に知られており、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ベンジルジメチルケタール、アルファアミノケトン、アルファヒドロキシケトン、ホスフィンオキシド、及びホスフィンオキシド誘導体、並びにこれらの2つ以上の混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。カチオン性光開始剤の好適な例は、当業者に知られており、有機ヨードニウム塩(たとえばジアリールヨードイニウム塩)、オキソニウム(たとえばトリアリールオキソニウム塩)、及びスルホニウム塩(たとえばトリアリールスルホニウム塩)などのオニウム塩、並びにこれらの2つ以上の混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。有用な光開始剤の他の例は、「Chemistry & Technology of UV & EB Formulation for Coatngs,Inks & Paints」、第III巻、「Photoinitiators for Free Radical Cationic and Anionic Polymerization」、第2版、(J.V.Crivello及びK.Dietliker著、G.Bradley編集、1998年にJohn Wiley & SonsがSITA Technology Limitedと共同で出版)などの、標準的な教科書に見られ得る。効率的な硬化を実現させるために、1つ又は複数の光開始剤と組み合わせて、増感剤を含めることも有利であり得る。好適な光増感剤の典型的な例には、イソプロピルチオキサントン(ITX)、1-クロロ-2-プロポキシ-チオキサントン(CPTX)、2-クロロ-チオキサントン(CTX)、及び2,4-ジエチル-チオキサントン(DETX)、並びにこれらの2つ以上の混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。UV-Vis放射線硬化性コーティング組成物に含まれる1つ又は複数の光開始剤は、好ましくは、約0.1重量%~約20重量%、より好ましくは約1重量%~約15重量%の総量で存在し、重量パーセントは、UV-Vis放射線硬化性コーティング組成物の総重量に基づいている。
【0043】
[042]本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物は、磁性材料(本明細書に記載の、小平板の形状の磁性又は磁化可能顔料粒子とは異なる)、発光材料、導電性材料、及び赤外線吸収材料からなる群から選択される、1つ又は複数のマーカ物質若しくはタガント、及び/又は1つ又は複数の機械可読材料をさらに含み得る。本明細書で使用される場合、「機械可読材料」という用語は、前記層又は前記層を有する物品を認証する特定の機器の使用によって、前記層又は前記層を有する物品を認証する手段を与えるために、層に含まれ得る材料を指す。
【0044】
[043]本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物は、有機顔料粒子、無機顔料粒子、及び有機染料、並びに/又は1つ又は複数の添加剤からなる群から選択される、1つ又は複数の着色用構成成分をさらに含み得る。添加剤には、粘度(たとえば、溶媒、増粘剤、及び界面活性剤)、一貫性(たとえば、沈降防止剤、充填剤、及び可塑剤)、発泡特性(たとえば、消泡剤)、潤滑特性(ワックス、オイル)、UV安定性(光安定剤)、接着特性、帯電防止特性、貯蔵寿命(重合阻害剤)、光沢などの、放射線硬化性コーティング組成物の物理的、流動学的、及び化学的パラメータを調整するために使用される化合物及び材料が含まれるが、これらに限定されるものではない。本明細書に記載の添加剤は、添加剤の寸法の少なくとも1つが1~1000nmの範囲内にある、いわゆるナノ材料を含む、当技術分野で知られている量及び形態で、放射線硬化性コーティング組成物中に存在し得る。
【0045】
[044]本明細書に記載の放射線硬化性コーティング組成物は、本明細書に記載の非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含む。非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子は、約2重量%~約40重量%の量で、より好ましくは約4重量%~約30重量%の量で存在することが好ましく、重量パーセントは、結合剤材料、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子、及び放射線硬化性コーティング組成物の他の任意選択的な構成成分を含む、放射線硬化性コーティング組成物の総重量に基づいている。
【0046】
[045]本明細書に記載の非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子は、顔料粒子の非球形で扁平の形状に起因して、硬化又は硬質化した結合剤材料が少なくとも部分的に透明になる入射電磁放射線に対して、非等方的反射性を有するものと定義される。本明細書で使用される場合、「非等方的反射性」という用語は、第1の角度からの入射放射線の、粒子によって特定の(観察)方向(第2の角度)に反射される割合が、粒子の配向の関数であること、すなわち、第1の角度に対する粒子の配向の変化が、観察方向への反射の様々な大きさをもたらし得ることを示す。本明細書に記載の非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子は、粒子の配向の変化がその粒子による特定の方向への反射の変化をもたらすように、約200~約2500nm、より好ましくは約400~約700nmの、一部の又は全波長範囲で、入射電磁放射に対する非等方的反射性を有することが好ましい。当業者に知られているように、本明細書に記載の磁性又は磁化可能顔料粒子は、前記従来の顔料粒子が、粒子の配向に関係なく同じ色及び反射性を示す一方で、本明細書に記載の磁性又は磁化可能顔料粒子が、粒子の配向によって変わる、反射若しくは色、又はその両方を示すという点で、従来の顔料とは異なる。
【0047】
[046]本明細書に記載の非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子は、小平板の形状の磁性又は磁化可能顔料粒子であることが好ましい。
【0048】
[047]本明細書に記載の非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子の好適な例には、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ガドリニウム(Gd)及びニッケル(Ni)からなる群から選択される磁性金属;鉄、マンガン、コバルト、ニッケル、及びこれらのうちの2つ以上の混合物の磁性合金;クロム、マンガン、コバルト、鉄、ニッケル、及びこれらのうちの2つ以上の混合物の磁性酸化物;並びにこれらのうちの2つ以上の混合物を含む顔料粒子が含まれるが、これらに限定されるものではない。金属、合金、及び酸化物に関する「磁性」という用語は、強磁性又はフェリ磁性の金属、合金、及び酸化物を指す。クロム、マンガン、コバルト、鉄、ニッケル又はこれらのうちの2つ以上の混合物の磁性酸化物は、純粋な酸化物であっても、又は混合酸化物であってもよい。磁性酸化物の例には、ヘマタイト(Fe)、マグネタイト(Fe)、2酸化クロム(CrO)、磁性フェライト(MFe)、磁性スピネル(MR)、磁性ヘキサフェライト(MFe1219)、磁性オルソフェライト(RFeO)、磁性ガーネットM(AOなどの酸化鉄が含まれるが、これらに限定されるものではない。ここで、Mは2価の金属を表し、Rは3価の金属を表し、Aは4価の金属を表す。
【0049】
[048]本明細書に記載の非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子の例には、コバルト(Co)、鉄(Fe)、ガドリニウム(Gd)、又はニッケル(Ni)などの磁性金属;及び鉄、コバルト、又はニッケルの磁性合金のうちの1つ又は複数から作製された磁性層Mを含む顔料粒子が含まれるが、これらに限定されるものではない。前記小平板の形状の磁性又は磁化可能顔料粒子は、1つ又は複数の追加の層を有する多層構造であり得る。1つ又は複数の追加の層は、フッ化マグネシウム(MgF)などの金属フッ化物、酸化ケイ素(SiO)、2酸化ケイ素(SiO)、酸化チタン(TiO)、硫化亜鉛(ZnS)、及び酸化アルミニウム(Al)からなる群から選択される1つ又は複数の材料から、より好ましくは2酸化ケイ素(SiO)で別個に作製された層A;金属及び金属合金からなる群から選択される、好ましくは、反射性金属及び反射性金属合金からなる群から選択される、より好ましくは、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、及びニッケル(Ni)からなる群から選択される1つ若しくは複数の材料から、さらにより好ましくは、アルミニウム(Al)で別個に作製された層B;又は上記のような1つ若しくは複数の層Aと、上記のような1つ若しくは複数の層Bとの組合せであることが好ましい。上記の多層構造である小平板の形状の磁性又は磁化可能顔料粒子の典型的な例には、A/M多層構造、A/M/A多層構造、A/M/B多層構造、A/B/M/A多層構造、A/B/M/B多層構造、A/B/M/B/A多層構造、B/M多層構造、B/M/B多層構造、B/A/M/A多層構造、B/A/M/B多層構造、B/A/M/B/A/多層構造が含まれるが、これらに限定されるものではない。層A、磁性層M、及び層Bは、上記のものから選択される。
【0050】
[049]本明細書に記載の非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部は、非球形で扁平の、光学的に可変な磁性顔料粒子若しくは磁化可能顔料粒子、及び/又は非球形で扁平の、光学的に可変な特性を有していない磁性顔料粒子若しくは磁化可能顔料粒子によって構成され得る。本明細書に記載の非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部は、非球形で扁平の、光学的に可変な磁性又は磁化可能顔料粒子によって構成されることが好ましい。非球形で扁平の、光学的に可変な磁性又は磁化可能顔料粒子の、色シフト特性によって実現される顕在的なセキュリティによって、本明細書に記載の、非球形で扁平の、光学的に可変な磁性又は磁化可能顔料粒子を含む、インク、放射線硬化性コーティング組成物、コーティング、又は層を担持する物品又はセキュリティ文書を、人間の感覚を補助なしで使用して、物品又はセキュリティ文書の起こり得る偽造から、容易に検出、認識、及び/又は区別することが可能となることに加えて、小平板の形状の光学的に可変な磁性又は磁化可能顔料粒子の光学特性は、光学効果層(OEL)を認識するための機械可読ツールとしても使用できる。したがって、非球形で扁平の、光学的に可変な磁性又は磁化可能顔料粒子の光学特性は、顔料粒子の光学(たとえば、スペクトル)特性が分析される認証プロセスにおいて、潜在的な又は半ば潜在的なセキュリティ特徴として同時に使用できる。OELを製造するための、放射線硬化性コーティング組成物中の、非球形で扁平の、光学的に可変な磁性又は磁化可能顔料粒子の使用は、かかる材料(すなわち、非球形で扁平の、光学的に可変な磁性又は磁化可能顔料粒子)が、セキュリティ文書印刷業界に確保されており、一般向けに市販されていないので、セキュリティ文書用途におけるセキュリティ特徴としてのOELの重要性を高める。
【0051】
[050]さらに、本明細書に記載の、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子は、顔料粒子の磁気的特徴のために、機械可読であり、したがって、そうした顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物は、たとえば特定の磁気検出器を使って検出できる。したがって、本明細書に記載の、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物は、セキュリティ文書の潜在的な又は半ば潜在的なセキュリティ要素(認証ツール)として使用できる。
【0052】
[051]上記のように、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子の少なくとも一部は、非球形で扁平の、光学的に可変な磁性又は磁化可能顔料粒子で構成されることが好ましい。こうした顔料粒子は、非球形で扁平の磁性薄膜干渉顔料粒子、非球形で扁平の磁性コレステリック液晶顔料粒子、磁性材料を含む非球形で扁平の干渉コーティングされた顔料粒子、及びこれらのうちの2つ以上の混合物からなる群から選択され得ることがより好ましい。
【0053】
[052]磁性薄膜干渉顔料粒子は、当業者に知られており、たとえば、米国特許第4,838,648号、国際公開第2002/073250A2号、欧州特許第0686675B1号、国際公開第2003/000801A2号、米国特許第6,838,166号、国際公開第2007/131833A1号、欧州特許出願公開第2402401A1号、及びそこに引用されている文書に開示されている。磁性薄膜干渉顔料粒子は、5層ファブリペロー多層構造を有する顔料粒子及び/又は6層ファブリペロー多層構造を有する顔料粒子及び/又は7層ファブリペロー多層構造を有する顔料粒子を含むことが好ましい。
【0054】
[053]好ましい5層ファブリペロー多層構造は、吸収体/誘電体/反射体/誘電体/吸収体の多層構造からなり、反射体及び/又は吸収体も磁性層であり、反射体及び/又は吸収体は、ニッケル、鉄及び/若しくはコバルト、並びに/又はニッケル、鉄及び/若しくはコバルトを含む磁性合金、並びに/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性酸化物を含む磁性層であることが好ましい。
【0055】
[054]好ましい6層ファブリペロー多層構造は、吸収体/誘電体/反射体/磁性体/誘電体/吸収体の多層構造からなる。
【0056】
[055]好ましい7層ファブリペロー多層構造は、米国特許第4,838,648号に開示されているような、吸収体/誘電体/反射体/磁性体/反射体/誘電体/吸収体の多層構造からなる。
【0057】
[056]本明細書に記載の反射層は、金属及び金属合金からなる群から選択される、好ましくは、反射性金属及び反射性金属合金からなる群から選択される、より好ましくは、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、白金(Pt)、スズ(Sn)、チタン(Ti)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群から選択される、さらにより好ましくは、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びこれらの合金からなる群から選択される1つ又は複数の材料から、さらにより一層好ましくはアルミニウム(Al)で、別個に作製されることが好ましい。誘電体層は、フッ化マグネシウム(MgF)、フッ化アルミニウム(AlF)、フッ化セリウム(CeF)、フッ化ランタン(LaF)、フッ化アルミニウムナトリウム(たとえば、NaAlF)、フッ化ネオジム(NdF)、フッ化サマリウム(SmF)、フッ化バリウム(BaF)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化リチウム(LiF)などの金属フッ化物、及び酸化シリコン(SiO)、2酸化シリコン(SiO)、酸化チタン(TiO)、酸化アルミニウム(Al)などの金属酸化物からなる群から選択される、より好ましくは、フッ化マグネシウム(MgF)及び2酸化シリコン(SiO)からなる群から選択される1つ又は複数の材料から、さらにより好ましくはフッ化マグネシウム(MgF)で、別個に作製されることが好ましい。吸収体層は、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、鉄(Fe)、スズ(Sn)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ロジウム(Rh)、ニオブ(Nb)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、これらの金属酸化物、これらの金属硫化物、これらの金属炭化物、及びこれらの金属合金からなる群から選択される、より好ましくはクロム(Cr)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、これらの金属酸化物、及びこれらの金属合金からなる群から選択される、さらにより好ましくは、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、及びこれらの金属合金からなる群から選択される、1つ又は複数の材料から別個に作製されることが好ましい。磁性層は、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)、並びに/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/又はコバルト(Co)を含む磁性合金、並びに/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性酸化物を、含むことが好ましい。7層ファブリペロー構造を有する磁性薄膜干渉顔料粒子が好ましい場合、磁性薄膜干渉顔料粒子は、7層ファブリペローの、Cr/MgF/Al/M/Al/MgF/Cr多層構造からなる、吸収体/誘電体/反射体/磁性体/反射体/誘電体/吸収体の多層構造を有することが特に好ましく、ここでMは、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)、並びに/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性合金、並びに/又はニッケル(Ni)、鉄(Fe)、及び/若しくはコバルト(Co)を含む磁性酸化物を含む、磁性層である。
【0058】
[057]本明細書に記載の磁性薄膜干渉顔料粒子は、人間の健康及び環境にとって安全であると考えられており、また、たとえば5層ファブリペロー多層構造、6層ファブリペロー多層構造、及び7層ファブリペロー多層構造に基づいている、多層顔料粒子であり得る。前記顔料粒子は、約40重量%~約90重量%の鉄、約10重量%~約50重量%のクロム、及び約0重量%~約30重量%のアルミニウムを含む、実質的にニッケルを含まない組成を有する磁性合金を含む、1つ又は複数の磁性層を有する。人間の健康及び環境にとって安全であると考えられている多層顔料粒子の典型的な例は、欧州特許出願公開第2402401A1号に見ることができ、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0059】
[058]本明細書に記載の磁性薄膜干渉顔料粒子では、典型的には、ウェブ上へ様々な必要な層が、確立された堆積技法によって製造される。たとえば、物理気相蒸着(PVD:physical vapor deposition)、化学気相蒸着(CVD:chemial vapor deposition)、又は電解蒸着による、所望の数の層の堆積後、離型層を好適な溶剤中で溶解することにより、又はウェブから材料を剥がすことにより、積層体をウェブから剥離する。次いで、そのようにして得られた材料は、必要なサイズの顔料粒子を得るために、粉砕、磨砕(たとえば、ジェットミルによるプロセスなど)、又は任意の好適な方法によってさらに処理されなければならない、小平板の形状の顔料粒子に分解される。得られた製品は、壊れた縁部、異形の形状、及び様々な縦横比を有する、平坦な小平板の形状の顔料粒子からなる。好適な小平板の形状の磁性薄膜干渉顔料粒子の調製に関するさらなる情報は、たとえば、欧州特許出願公開第1710756A1号及び欧州特許出願公開第1666546A1号に見ることができ、参照により本明細書に組み込まれている。
【0060】
[059]光学的に可変な特徴を示す、好適な磁性コレステリック液晶顔料粒子には、磁性単層コレステリック液晶顔料粒子及び磁性多層コレステリック液晶顔料粒子が含まれるが、これらに限定されるものではない。かかる顔料粒子は、たとえば、国際公開第2006/063926A1号、米国特許第6,582,781号、及び米国特許第6,531,221号に開示されている。国際公開第2006/063926A1号は、高い輝度及び色シフト特性を、磁化率などのさらなる特定の特性と共に有する、単層及び単層から得られた顔料粒子について開示している。前記単層を細かく砕くことによって単層から得られる、開示された単層及び顔料粒子は、3次元的に架橋されたコレステリック液晶混合物及び磁性ナノ粒子を含む。米国特許第6,582,781号及び米国特許第6,410,130号は、配列A/B/Aを有するコレステリック多層顔料粒子について開示しており、ここでA及びAは、同一であっても、又は相異なってもよく、それぞれが少なくとも1つのコレステリック層を有し、Bは、層A及びAを透過し、中間層に磁気特性を付与する、光の全部又は一部を吸収する前記中間層である。米国特許第6,531,221号は、配列A/B及び任意選択でCを有する、小平板の形状のコレステリック多層顔料粒子について開示しており、ここでA及びCは、磁気特性を付与する、顔料粒子を含む吸収層であり、Bは、コレステリック層である。
【0061】
[060]1つ又は複数の磁性材料を含む好適な干渉コーティングされた顔料には、1つ又は複数の層でコーティングされたコアからなる群から選択される、基材からなる構造体が含まれるが、これらに限定されるものではない。コアの少なくとも1つ又は1つ若しくは複数の層は、磁気特性を有する。たとえば、好適な干渉コーティングされた顔料は、上記のような磁性材料で作製されたコアを有し、前記コアは、1つ又は複数の金属酸化物で作製された1つ又は複数の層でコーティングされているか、又は干渉コーティングされた顔料は、合成雲母若しくは天然雲母、層状ケイ酸塩(たとえばタルク、カオリン、及びセリサイト)、ガラス(たとえばボロケイ酸塩)、2酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(TiO)、グラファイト、及びこれらの2つ以上の混合物で作製されたコアからなる構造を有する。さらに、着色層などの、1つ又は複数の追加の層が存在し得る。
【0062】
[061]本明細書に記載の非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子は、放射線硬化性コーティング組成物内で生じる可能性がある、どんな劣化からも顔料粒子を保護するため、及び/又は放射線硬化性コーティング組成物に顔料粒子を容易に付加するため、表面処理され得る。通常は、腐食防止剤材料及び/又は湿潤剤が使用され得る。
【0063】
[062]本明細書に記載の基材は、紙又はセルロースなどの他の繊維材料、紙を含む材料、ガラス、金属、セラミック、プラスチック及びポリマー、金属化プラスチック又はポリマー、これらの複合材料及び混合物又は組合せからなる群から選択されることが好ましい。一般的な紙、紙状の又は他の繊維材料は、マニラ麻、綿、麻、木材パルプ、及びこれらの混紡を含むがこれらに限定されるものではない、様々な繊維から作製される。当業者によく知られているように、紙幣にとって、綿及び綿/麻の混紡が好ましく、一方、木材パルプは、紙幣以外のセキュリティ文書で一般的に使用されている。プラスチック及びポリマーの典型的な例には、ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン、ポリアミド、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET)、ポリ(1,4-ブチレンテレフタレート)(PBT)、ポリ(エチレン2,6-ナフトエート)(PEN)、及びポリ塩化ビニル(PVC)などのポリエステルが含まれる。タイベック(Tyvek)(登録商標)の商標で販売されているようなオレフィン系スパンボンド繊維も、基材として使用できる。金属化プラスチック又は金属化ポリマーの典型的な例には、金属がプラスチック又はポリマー材料の表面に連続的又は不連続に配置されている、上記のプラスチック又はポリマー材料が含まれる。金属の典型的な例には、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、銅(Cu)、金(Au)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、これらの組合せ、又は前述の金属のうちの2つ以上の合金が含まれるが、これらに限定されるものではない。上記のプラスチック又はポリマー材料の金属化は、電着プロセス、高真空コーティングプロセス、又はスパッタリングプロセスによって行われ得る。複合材料の典型的な例には、紙の多層構造体又は積層体、及び上記のような少なくとも1つのプラスチック又はポリマー材料、並びに上記のような、紙状材料又は繊維材料に付加されたプラスチック及び/又はポリマー繊維が含まれるが、これらに限定されるものではない。もちろん、基材は、糊剤、増白剤、加工助剤、補強剤又は湿潤強化剤などの、当業者に知られている他の添加剤を含み得る。本明細書に記載の基材は、ウェブの形態(たとえば、上記の材料の連続シート)又はシートの形態で準備できる。本発明に従って製造される光学効果層(OEL)がセキュリティ文書上にあり、セキュリティレベル及び前記セキュリティ文書の偽造及び違法複製に対する耐性をさらに高めることを目的とする場合、基材は、印刷された、コーティングされた、又はレーザマーク若しくはレーザ穿孔された印、透かし、安全線(security thread)、繊維、プランシェット、発光化合物、窓、箔、デカール、及びこれらの2つ以上の組合せを有し得る。セキュリティレベルをさらに高め、セキュリティ文書の偽造及び違法な複製に対する耐性をさらに高めるという同じ目的で、基材は、1つ若しくは複数のマーカ物質若しくはタガント、及び/又は機械可読物質(たとえば、発光物質、UV/可視/IR吸収物質、磁性物質、及びこれらの組合せ)を含み得る。
【0064】
[063]図2A図5Aは、本明細書に記載のプロセスの際に使用されるべき、好適な磁気組立体(x00)を概略的に示す。本明細書に記載の磁気組立体(x00)は、生産に好適であり、本明細書に記載の基材上のOELの製造を可能にし、直交視差効果の光学的印刷物を実現する。本明細書に記載のOELを製造するために、前記磁気組立体(x00)を使用して、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を配向する。本明細書に記載の磁気組立合体(x00)は、少なくともa)本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)及びb)本明細書に記載の第2の磁場生成デバイス(x40)の相互作用に基づいており、第1の磁場生成デバイス及び第2の磁場生成デバイスは、相互に斜行した磁軸を有する。本明細書に記載の磁気組立体(x00)は、本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)及び本明細書に記載の第2の磁場生成デバイス(x40)を備えるか、又は第1の磁場生成デバイス及び第2の磁場生成デバイスからなり、本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)は、本明細書に記載のn組の隔置された棒状双極子磁石(x31)を備えるか、又は棒状双極子磁石からなり、第2の磁場生成デバイス(x40)は、本明細書に記載の、1つ又は複数の正方形又は長方形の双極子磁石(x41)を備えるか、又は正方形又は長方形の双極子磁石からなる。
【0065】
[064]本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)は、n(n=1、2、3など)組の隔置された棒状双極子磁石(x31)を備え、前記棒状双極子磁石(x31)のそれぞれは、棒状双極子磁石のそれぞれの南北磁軸が基材(x20)表面に実質的に平行であり、前記n組のうちのそれぞれの組について、棒状双極子磁石(x31)は、棒状双極子磁石のN極が同じ方向を指し、互いに実質的に平行であり、且つ第1の磁場生成デバイス(x30)の棒状双極子磁石(x31)は、本明細書に記載の多角形の支持マトリックス(x32)に、少なくとも部分的に又は完全に埋め込まれている。
【0066】
[065]隔置されるとは、n組のうちのそれぞれの組について、棒状双極子磁石(x31)が直接接触しておらず、ゼロではない、2個の棒状双極子磁石(x31)を90°の角度で結合する直線セグメントの寸法として画定された距離だけ、分離されていることを意味する。言い換えれば、2個の棒状双極子磁石(x31)間の距離は、前記棒状双極子磁石(x31)がそれに沿って整列する2つの平行線間の距離に等しい。n組のうちのそれぞれの組について、棒状双極子磁石(x31)は、直接接触しておらず、少なくとも1個分、より好ましくは少なくとも2個分、さらにより好ましくは少なくとも4個分の、前記棒状双極子磁石(x31)の平均厚さ(複数可)に一致する距離だけ、分離されていることが好ましい。n組のうちの1つ又は複数の組で、2個以上の棒状双極子磁石(x31)が使用される実施形態では、前記磁石間の各距離は、少なくとも1個分、より好ましくは少なくとも2個分、さらにより好ましくは少なくとも4個分の、前記棒状双極子磁石(x31)の平均厚さ(複数可)に一致している。
【0067】
[066]本明細書で説明されているように、本明細書に記載の1つ又は複数の多角形の支持マトリックス(x32)は、本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)の、隔置された棒状双極子磁石(x31)を、一体になって保持するために使用される。本明細書に記載の1つ又は複数の多角形の支持マトリックス(x32)は、正多角形(丸い角の有無にかかわらず)の形状を有してもよく、又は異形の多角形(丸い角の有無にかかわらず)の形状を有してもよい。一実施形態によれば、本明細書に記載の1つ又は複数の多角形の支持マトリックス(x32)は、別個に、正方形又は長方形である。
【0068】
[067]本明細書に記載の1つ又は複数の支持マトリックス(x32)は、別個に、1つ又は複数の非磁性材料でできている。非磁性材料は、非磁性金属並びにエンジニアリングプラスチック及びポリマーからなる群から選択されることが好ましい。非磁性金属には、アルミニウム、アルミニウム合金、真鍮(銅及び亜鉛の合金)、チタン、チタン合金、及びオーステナイト鋼(すなわち、非磁性鋼)が含まれるが、これらに限定されるものではない。エンジニアリングプラスチック及びポリマーには、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、並びにポリアリールエーテルケトンの誘導体であるポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、及びポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK);ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、コポリエーテルエステル、ポリイミド、ポリエーテルイミド、高密度ポリエチレン(HDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリプロピレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)コポリマー、フッ素化及び過フッ素化ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、並びに液晶ポリマーが含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましい材料は、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、POM(ポリオキシメチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ナイロン(Nylon)(登録商標)(ポリアミド)、及びPPSである。本明細書に記載の1つ又は複数の多角形の、特に1つ又は複数の正方形又は長方形の支持マトリックス(x32)は、別個に、本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)の棒状双極子磁石(x31)を保持するための、1つ又は複数の窪み、空隙、凹み、及び/又は空間を有する。
【0069】
[068]n組のうちのそれぞれの組について、本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)の隔置された棒状双極子磁石(x31)は、同じ形状及び/若しくは同じ寸法を有することができ、並びに/又は同じ材料で作製され得る。n組のうちのそれぞれの組について、本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)の隔置された棒状双極子磁石(x31)は、同じ形状、同じ寸法を有し、同じ材料でできていることが好ましい。n組のうちのそれぞれの組について、本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)の隔置された棒状双極子磁石(x31)が同じ形状、同じ寸法を有し、同じ材料でできている実施形態では、前記隔置された棒状双極子磁石(x31)間の距離は、棒状双極子磁石の厚さの倍数Mとして表すことができ、前記厚さは、1組の中の各棒状双極子磁石(x31)が整列され、同時に基材(x10)表面に対して平行である、平行面に垂直である棒状双極子磁石(x31)の寸法として画定される。倍数Mは、約1~約30の間、より好ましくは約2~約20の間、さらにより好ましくは約4~約15の間であることが好ましい。
【0070】
[069]本明細書に記載の磁気組立体(x00)は、1つ又は複数の片(x50)をさらに備えることができ、前記1つ又は複数の磁極片(x50)は、本明細書に記載の、第1の磁場生成デバイス(x30)の下、且つ第2の磁場生成デバイス(x40)の下に配置されることが好ましい。本明細書に記載の1つ又は複数の片(x50)は、第1及び第2の磁場生成デバイス(x30、x40)と直接接触していてもよく、又は第1及び第2の磁場生成デバイス(x30、x40)から離されていてもよい。磁極片は、高い磁気的透磁性、好ましくは約2~約1,000,000N・A-2(ニュートン/平方アンペア)、より好ましくは約5~約50,000N・A-2、さらにより好ましくは約10~約10,000N・A-2の透磁性を有する材料からなる構造体を示す。磁極片は、磁石によって作られた磁場を方向づけるよう作用する。本明細書に記載の1つ又は複数の磁極片(x50)は、鉄又は磁化可能な粒子が分散されているプラスチック材料で作製され得る。本明細書に記載の1つ又は複数の磁極片(x50)は、鉄でできていることが好ましい。1つ又は複数の磁極片(x50)は、別個に、正方形又は長方形の磁極片(x50)であることが好ましい。
【0071】
[070]たとえば図2A及び図3Aに示される一実施形態によれば、本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)は、1組(n=1)の隔置された棒状双極子磁石(x31)、好ましくは1組の、2個以上の隔置された棒状双極子磁石(x31)、より好ましくは1組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(x31)を備え、前記棒状双極子磁石(x31)のそれぞれが、基材(x20)表面に実質的に平行な、棒状双極子磁石の南北磁軸を有し、前記棒状双極子磁石のすべてが、同じ方向を指し、且つ互いに実質的に平行である、棒状双極子磁石のN極を有し、1組の前記棒状双極子磁石は、本明細書に記載の多角形の、特に正方形又は長方形の支持マトリックス(x32)に、より好ましくは本明細書に記載の正方形の支持マトリックス(x32)に、少なくとも部分的に又は完全に埋め込まれている。1組の棒状双極子磁石(x31)は、同じ形状を有することができ、同じ寸法を有することができ、同じ材料で作製され得る。一実施形態によれば、本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)は、1組(n=1)の隔置された棒状双極子磁石(x31)、好ましくは1組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(x31)を備え、すべての棒状双極子磁石(x31)は、同じ形状、同じ寸法を有し、同じ材料でできている。
【0072】
[071]1組(n=1)の隔置された棒状双極子磁石(x31)、好ましくは1組の、2個以上、より好ましくは本明細書に記載の、2個の隔置された棒状双極子磁石(x31)を備える、第1の磁場生成デバイス(x30)を具備する磁気組立体(x00)の実施形態では、前記磁気組立体(x00)は、本明細書に記載の1つ又は複数の磁極片(x50)、好ましくは1つ又は複数の正方形又は長方形の磁極片(x50)をさらに備えることができ、前記1つ又は複数の磁極片(x50)は、本明細書に記載の、第1の磁場生成デバイス(x30)の下、且つ第2の磁場生成デバイス(x40)の下に配置される。
【0073】
[072]別の実施形態によれば、本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)は、2組以上(n=2、3、4など)の隔置された棒状双極子磁石(x31)、好ましくは2組以上の、2個以上の隔置された棒状双極子磁石(x31)、より好ましくは2組以上の、2個の隔置された棒状双極子磁石(x31)を備え、前記棒状双極子磁石(x31)のそれぞれは、基材(x20)表面に実質的に平行な、棒状双極子磁石の南北磁軸を有し、前記2組以上のそれぞれの組について、棒状双極子磁石は、同じ方向を指し、互いに実質的に平行である、棒状双極子磁石のN極を有し、2組以上の前記棒状双極子磁石は、本明細書に記載の多角形、特に正方形又は長方形の支持マトリックス(x32)に、少なくとも部分的又は完全に埋め込まれている。2組以上の隔置された棒状双極子磁石(x31)、好ましくは2組以上の、2個以上の隔置された棒状双極子磁石(x31)、より好ましくは2組以上の、2個の隔置された棒状双極子磁石(x31)が、閉路状の形態、好ましくは正方形の形態、長方形の形態、又は菱形の形態で、より好ましくは正方形の形態又は菱形の形態で配置され、n組のそれぞれの組について、棒状双極子磁石(x31)は、同じ形状を有することができ、同じ寸法を有することができ、同じ材料で作製され得、好ましくは同じ形状を有し、同じ寸法を有し、同じ材料でできていることが好ましい。一実施形態によれば、本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)は、2組以上(n=2、3、4など)の、2個以上(すなわち2個、3個、4個など)の隔置された棒状双極子磁石(x31)、好ましくは2組以上の、2個の隔置された棒状双極子磁石(x31)を備え、n組のうちのそれぞれの組について、棒状双極子磁石(x31)は、同じ形状、同じ寸法を有し、同じ材料でできている。
【0074】
[073]本明細書に記載の閉路状の形態は、連続的であっても、又は不連続的であってもよい。「連続的な閉路状の形態」とは、相異なる組の棒状双極子磁石(x31)が直接接触し、したがって閉路状の形態を形成することを意味し、「不連続な閉路状の形態」とは、相異なる組の棒状双極子磁石(x31)の少なくとも一部が直接接触しておらず、そのようにして得られた閉路状の形態は、前記磁石間にいくつかの穴、間隔、又は間隙を有する。
【0075】
[074]たとえば図4A及び図5Aに示される別の実施形態によれば、本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)は、2組以上(n=2、3、4など)の隔置された棒状双極子磁石(x31)、好ましくは2組の、2個以上の隔置された棒状双極子磁石(x31)、より好ましくは2組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(x31)を備え、前記棒状双極子磁石(x31)のそれぞれが、基材(x20)表面に実質的に平行な、棒状双極子磁石の南北磁軸を有し、前記2組以上のうちのそれぞれの組について、棒状双極子磁石が、同じ方向を指し、且つ互いに実質的に平行である、棒状双極子磁石のN極を有し、2組以上の前記棒状双極子磁石(x31)は、本明細書に記載の多角形の、特に正方形又は長方形の支持マトリックス(x32)に、より好ましくは本明細書に記載の正方形の支持マトリックス(x32)に、少なくとも部分的に又は完全に埋め込まれている。2組の隔置された棒状双極子磁石(x31)、より好ましくは2組の、2個以上の隔置された棒状双極子磁石(x31)、より好ましくは2組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(x31)が、閉路状の形態、好ましくは正方形の形態又は菱形の形態で配置されていることが好ましく、2組以上のそれぞれの組について、棒状双極子磁石(x31)は、同じ形状を有することができ、同じ寸法を有することができ、同じ材料で作製され得、好ましくは同じ形状を有し、同じ寸法を有し、同じ材料でできている。
【0076】
[075]2組以上(n=2、3、4など)の隔置された棒状双極子磁石(x31)、好ましくは2組の、2個以上の、より好ましくは2個又は4個の、さらにより好ましくは2個の、本明細書に記載の、隔置された棒状双極子磁石(x31)を備える、第1の磁場生成デバイス(x30)を具備する磁気組立体(x00)の実施形態では、前記磁気組立体(x00)は、本明細書に記載の1つ又は複数の磁極片(x50)、好ましくは1つ又は複数の正方形又は長方形の磁極片(x50)をさらに備えることができ、前記1つ又は複数の磁極片(x50)は、本明細書に記載の、第1の磁場生成デバイス(x30)の下、且つ第2の磁場生成デバイス(x40)の下に配置される。
【0077】
[076]本明細書に記載の第2の磁場生成デバイス(x40)は、基材(x20)表面に実質的に平行である、双極子磁石の南北磁軸を有する、1つ又は複数の正方形又は長方形の双極子磁石(x41)を備える。本明細書に記載の第2の磁場生成デバイス(x40)が、複数個の、すなわち2個以上の正方形又は長方形の双極子磁石(x41)を備える場合、前記双極子磁石(x41)は、基材(x20)表面に実質的に平行である、双極子磁石の南北磁軸を有し、且つ同じ磁気方向を有する。
【0078】
[077]本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)は、本明細書に記載の第2の磁場生成デバイス(x40)の上に配置されてもよく、又は本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)の下に配置されてもよい。図2A図5Aに示されるように、本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)は、本明細書に記載の第2の磁場生成デバイス(x40)の下に配置されることが好ましい。言い換えれば、本明細書に記載の光学効果層(OEL)を製造するプロセスの間、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含むコーティング層(x10)を担持する基材(x20)は、第2の磁場生成デバイス(x40)の上に配置され、前記第2の磁場生成デバイス(x40)は、第1の磁場生成デバイス(x30)の上に配置される。一実施形態によれば、本明細書に記載のOELを製造するプロセスの間、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含むコーティング層(x10)を担持する基材(x20)が、第2の磁場生成デバイス(x40)の上に配置され、前記第2の磁場生成デバイス(x40)が、第1の磁場生成デバイス(x30)の上に配置され、前記第1の磁場生成デバイス(x30)が、1つ又は複数の磁極片(x50)の上に配置される。
【0079】
[078]第1の磁場生成デバイス(x30)の磁軸及び第2の磁場生成デバイス(x40)の磁軸は、前記光学効果層(OEL)がその上に製造される基材(x20)表面に実質的に平行である。n組(n=1、2、3など)の棒状双極子磁石(x31)を備える、本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)は、前記棒状双極子磁石(x31)の磁軸のベクトル和H1を有し、1つ又は複数の正方形又は長方形の双極磁石(x41)を備える、本明細書に記載の第2の磁場生成デバイス(x40)は、前記1つ又は複数の双極子磁石(x41)の磁軸のベクトル和H2を有する。「磁軸」という用語は、本発明の範疇では、磁石のN極面及びS極面の磁気の中心を結び、S極からN極に進む、単位ベクトルを示す(明確にするために、磁軸は、図2D図5Dで、N極から突き出すように示されている)。本明細書に記載の、第1の磁場生成デバイス(x30)及び第2の磁場生成デバイス(x40)は、積み重ねられ、同軸に配置されていることが好ましい。第1の磁場生成デバイス(x30)の棒状双極子磁石(x31)及び棒状双極子磁石の磁軸は、前記第1の磁場生成デバイス(x30)の前記棒状双極子磁石(x31)の磁軸のベクトル和H1、及び1つ又は複数の正方形又は長方形の双極子磁石(x41)のベクトル和H2が、約5°~約175°の範囲内又は約185°~約355°の範囲内、好ましくは約60°~約120°の範囲内又は約240°~約300°の範囲内の角度αを形成するように配置される。
【0080】
[079]第1の磁場生成デバイス(x30)の棒状双極子磁石(x31)及び第2の磁場生成デバイス(x40)の正方形又は長方形の双極子磁石(x41)は、別個に、高保磁力材料(強磁性材料とも呼ばれる)でできていることが好ましい。好適な高保磁力材料は、エネルギー積(BH)maxの最大値が少なくとも20kJ/m、好ましくは少なくとも50kJ/m、より好ましくは少なくとも100kJ/m、さらにより好ましくは少なくとも200kJ/mの材料である。高保磁力材料は、たとえばアルニコ5(R1-1-1)、アルニコ5DG(R1-1-2)、アルニコ5-7(R1-1-3)、アルニコ6(R1-1-4)、アルニコ8(R1-1-5)、アルニコ8HC(R1-1-7)、及びアルニコ9(R1-1-6)などのアルニコ;式MFe1219のヘキサフェライト(たとえば、ストロンチウムヘキサフェライト(SrO*6Fe)又はバリウムヘキサフェライト(BaO*6Fe))、式MFeのハードフェライト(たとえば、コバルトフェライト(CoFe)又はマグネタイト(Fe)のような)、ここでMは、2価の金属イオン)、セラミック8(SI-1-5);RECo(RE=Sm又はPrを含む)、RETM17(RE=Sm、TM=Fe、Cu、Co、Zr、Hfを含む)、RETM14B(RE=Nd、Pr、Dy、TM=Fe、Coを含む)を含む群から選択される希土類磁性材料;Fe、Cr、Coの異方性合金;PtCo、MnAlC、REコバルト5/16、REコバルト14の群から選択される材料からなる群から選択される、1つ又は複数の焼結又はポリマー結合磁性材料でできていることが好ましい。磁石棒の高保磁力材料は、希土類磁性材料からなる群から、より好ましくは、NdFe14B及びSmCoからなる群から選択されることが好ましい。ストロンチウム-ヘキサフェライト(SrFe1219)又はネオジム-鉄-ホウ素(NdFe14B)粉末などの永久磁性充填剤をプラスチックタイプ又はゴムタイプのマトリックス中に含む、容易に加工できる永久磁性複合材料が特に好ましい。
【0081】
[080]本明細書に記載の磁気組立体(x00)は、1つ又は複数の印を表す、1つ又は複数の表面浮彫り、彫刻、及び/又は切欠きを有する磁化板(x60)をさらに含み得、前記磁化板は、基材(x20)と磁場生成デバイス(x30、x40)との間、したがって基材(x20)に面して配置されている(図6A参照)。本明細書で使用される場合、「印」という用語は、記号、英数字記号、模様、文字、単語、数字、ロゴ、及び図面を含むがこれらに限定されるものではない、デザイン及びパターンを意味するものとする。磁化板(x60)の1つ又は複数の表面浮彫り、彫刻、及び/又は切欠きは、本明細書に記載の磁気組立体(x00)によって生成された磁場を局所的に修正することにより、未硬化状態にあるOELに転写される印を生む。本発明についての、本明細書に記載の1つ又は複数の表面浮彫り、彫刻、及び/又は切欠きを有する磁化板(x60)の好適な例は、国際公開第2005/002866A1号、国際公開第2008/046702A1号、国際公開第2008/139373A1号、国際公開第2018/019594A1号、及び国際公開第2018/033512A1号に見られ得る。
【0082】
[081]本明細書に記載の1つ又は複数の彫刻及び/又は切欠きを有する磁化板(x60)は、可鍛性の金属マトリックス又はポリマーマトリックス中に永久磁性粉末を含む永久磁性複合材料などの、任意の機械的に加工できる永久磁性材料で作製され得る。本明細書に記載の磁化板(x60)は、磁性材料のポリマー結合板、すなわち、ポリマーを含む複合材料でできている磁化板(x60)であることが好ましい。ポリマー(たとえば、ゴム又はプラスチックのようなポリマー)は、構造的結合剤として機能し、永久磁性粉末材料は、増量剤又は充填剤として機能する。ポリマー及び永久磁性粉末材料を含む複合材料でできている磁化板は、他の状態では脆くてうまく加工できないフェライト、アルニコ、希土類、又はさらに他の磁石の、所望の磁気特性(高い保磁力)を、可鍛性金属又はプラスチック材料の、所望の機械的特性(柔軟性、機械加工性、耐衝撃性)と、有利に組み合わせている。好ましいポリマーには、ニトリルゴム、EPDM炭化水素ゴム、ポリイソプレン、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、及びクロロスルホン化ポリエチレンなど、ゴムタイプの可撓性材料が含まれる。
【0083】
[082]好ましい永久磁性粉末材料には、コバルト、鉄、及びコバルト、鉄の合金、2酸化クロム、一般的な磁性酸化物スピネル、一般的な磁性ガーネット、カルシウムヘキサフェライト、ストロンチウムヘキサフェライト、及びバリウムヘキサフェライト(それぞれ、CaFe12019、SrFe12019、BaFe12019)などのヘキサフェライトを含む一般的な磁性フェライト、一般的なアルニコ合金、一般的なサマリウムコバルト(SmCo)合金、並びに一般的な希土類-鉄-ホウ素合金(NdFeBなど)ばかりでなく、これらの永久磁性化学誘導体(汎称で示されるものなど)及びこれらの混合物も含まれる。ポリマー及び永久磁性粉末を含む複合材料でできている板は、Group ARNOLD(プラスティフォーム(Plastiform)(登録商標))又はMateriali Msgnetici、Albairate、Milano、IT(Plastoferrite)など、多くの様々な供給元から入手可能である。
【0084】
[083]本明細書に記載の磁化板(x60)、特に、本明細書に記載のポリマー及び永久磁性粉末材料を含む複合材料でできている磁化板(x60)は、任意の所望のサイズ及び形態で、たとえば、曲げて機械的に加工できる、たとえば一般的に入手可能な機械的切断ツール及び機械、並びに空気若しくは液体ジェット式切断、又はレーザ切断ツールを使用して、サイズ又は形状にカットできる、薄くて柔軟な板として得ることができる。
【0085】
[084]本明細書に記載の磁化板(x60)、特に本明細書に記載のポリマー及び永久磁性粉末材料を含む複合材料でできている磁化板(x60)の、1つ又は複数の表面彫刻及び/又は切欠きは、鋳造、成型、手彫り、又は機械的切断ツール(コンピュータ制御された彫刻ツールを含む)、ガス若しくは液体ジェット式切断ツールからなる群から選択される切断ツール、化学エッチング、電気化学エッチング、及びレーザ切断ツール(たとえば、COレーザ、Nd-YAGレーザ、又はエキシマレーザ)を含むがこれらに限定されるものではない、当技術分野で知られている任意のカッティング、彫刻、又は形成方法によって、製造できる。当業者に理解され、本明細書に記載されているように、本明細書に記載の磁化板(x60)、特に、本明細書に記載のポリマー及び永久磁性粉末材料を含む複合材料でできている磁化板(x60)はまた、彫刻されるのではなく、特定のサイズ及び形状にカット又は成型されてもよい。磁化板に穴を開けてもよく、又は切り取られた片を支持体上に組み立ててもよい。
【0086】
[085]磁化板(x60)、特に本明細書に記載のポリマー及び永久磁性粉末材料を含む複合材料でできている磁化板(x60)の1つ又は複数の彫刻及び切欠きは、充填剤を含み得る、ポリマーで埋めることができる。前記充填剤は、1つ又は複数の彫刻/切欠きの場所で磁束を修正するための軟磁性材料であり得るか、又は充填剤は、磁場の特性を修正する、若しくは単に滑らかな表面を製造するための、他の任意のタイプの磁性又は非磁性材料であり得る。磁化板(x60)、特に本明細書に記載の、ポリマー及び永久磁性粉末材料を含む複合材料でできている磁化板(x60)は、基材との接触を容易にし、高速印刷用途での摩擦及び/又は摩耗及び/又は帯電を抑えるために、さらに表面処理され得る。
【0087】
[086]本明細書に記載の磁化板(x60)は、本明細書に記載のポリマー及び永久磁性粉末材料を含む複合材料でできており、好ましくはプラストフェライトでできており、1つ又は複数の彫刻を有することが好ましい。プラストフェライト板は、機械的彫刻ツールを使用して、又は好ましくは自動COレーザ、Nd-YAGレーザ彫刻ツールを使用して、印の形を有する所望の高解像度パターンで彫刻される。
【0088】
[087]本明細書に記載の、ポリマー及び永久磁性粉末材料を含む複合材料でできている、好ましくはプラストフェライトでできている、本明細書に記載の磁化板(x60)は、予め形成された板として準備でき、印を表す1つ又は複数の彫刻及び/又は表面の凹凸は、その後、使用上の特定要件に応じて作成される。
【0089】
[088]本明細書に記載の第1の磁場生成デバイス(x30)と本明細書に記載の第2の磁場生成デバイス(x40)との間の距離(d)は、好ましくは約0~約10mmの間、より好ましくは約0mm~約5mmの間、さらにより好ましくは0である。
【0090】
[089]本明細書に記載の、第1の磁場生成デバイス(x30)又は第2の磁場生成デバイス(x40)の最上面と、第1の磁場生成デバイス(x30)又は第2の磁場生成デバイス(x40)のいずれかに面する基材(x20)の下面との間の距離(h)は、好ましくは約0.5mm~約10mmの間、より好ましくは約0.5mm~約7mmの間、さらにより好ましくは約1mm~7mmの間である。
【0091】
[090]第1の磁場生成デバイス(x30)又は第2の磁場生成デバイス(x40)と、本明細書に記載の1つ又は複数の磁極片(x50)との間の距離(e)は、別個に、好ましくは約0~約5mmの間、より好ましくは約0mm~約2mmの間である。
【0092】
[091]第1の磁場生成デバイス(x30)の棒状双極子磁石(x31)、第2の磁場生成デバイス(x40)の正方形又は長方形の双極子磁石(x41)、存在する場合、1つ又は複数の磁極片(x50)の材料、並びに距離(d)、(h)、及び(e)は、第1の磁場生成デバイス(x30)、第2の磁場生成デバイス(x40)、及び存在する場合、1つ又は複数の磁極片(x50)の相互作用によって生じる磁場が、本明細書に記載の光学効果層(OEL)を製造するのに好適となるように、すなわち、直交視差効果の光学的印刷物を製造するために、磁気組立体(x00)の磁場に配置される、基材(x20)上の未だ硬化していない放射線硬化性コーティング組成物中の、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を、前記生じた磁場が配向できるように、選択される。
【0093】
[092]図2A図2Dは、本発明による基材(220)上に非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含む光学効果層(OEL)を製造するのに好適な、磁気組立体(200)の例を示す。磁気組立体(200)は、1組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)を備える第1の磁場生成デバイス(230)と、正方形の双極子磁石(241)を備える第2の磁場生成装デバイス(240)とを具備する。
【0094】
[093]図2A図2Bに示されるように、第1の磁場生成デバイス(230)の2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)は、基材(220)表面に実質的に平行な磁軸を有し、互いに実質的に平行であり、且つ正方形の支持マトリックス(232)に埋め込まれている。2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)は、同じ形状、同じ寸法を有し、同じ材料でできていることが好ましい。
【0095】
[094]第2の磁場生成デバイス(240)の正方形の双極子磁石(241)は、第1の磁場生成デバイス(230)の2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)の上に配置される。すなわち、正方形の双極子磁石(241)は、2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)と基材(220)との間に配置される。
【0096】
[095]図2A図2Dに示されるように、2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)は、前記2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)の磁軸(h231-a1、h231-a2)のベクトル和H1が、正方形の双極子磁石(241)の磁軸H2と、5°~約175°の間、好ましくは60°~約120°の間、特に68°の角度αをなすように配置されている。
【0097】
[096]正方形の双極子磁石(241)の下面と2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)の上面との間の距離(d)は、好ましくは約0~約10mmの間、より好ましくは約0~約5mmの間、さらにより好ましくは約0である。すなわち、正方形の双極子磁石(241)と2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)とが、直接接触している。
【0098】
[097]正方形の双極子磁石(241)の上面と、磁気組立体(200)に面する基材(220)の表面との間の距離(h)は、好ましくは約0.5mm~約10mmの間、より好ましくは約0.5mm~約7mmの間、さらにより好ましくは約1mm~7mmの間である。
【0099】
[098]図2A図2Cに示される静磁気組立体(200)を使って製造された結果得られたOELは、基材(220)を-20°~+20°の間で傾けることによって、様々な視野角で図2Eに示されている。そのようにして得られたOELは、基材(220)を傾けると横方向に動く、明るい反射垂直棒の光学的印刷物を実現する。
【0100】
[099]図3A図3Dは、本発明による、基材(320)上に非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含む光学効果層(OEL)を製造するのに好適な、磁気組立体(300)の例を示す。磁気組立体(300)は、1組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)を備える第1の磁場生成デバイス(330)と、正方形の双極子磁石(341)を備える第2の磁場生成装デバイス(340)と、正方形の磁極片(350)とを具備する。
【0101】
[0100]図3A図3Bに示されるように、第1の磁場生成デバイス(330)の2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)は、基材(320)表面に実質的に平行な磁軸を有し、互いに実質的に平行であり、且つ正方形の支持マトリックス(332)に埋め込まれている。2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)は、同じ形状、同じ寸法を有し、同じ材料でできていることが好ましい。
【0102】
[0101]第2の磁場生成デバイス(340)の正方形の双極子磁石(341)は、第1の磁場生成デバイス(330)の2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の上に配置される。すなわち、正方形の双極子磁石(341)は、2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)と基材(320)との間に配置される。
【0103】
[0102]第1の磁場生成デバイス(330)の2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)は、正方形の磁極片(350)の上に配置される。すなわち、2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)は、正方形の双極子磁石(341)と正方形の磁極片(350)との間に配置される。
【0104】
[0103]図3A図3Dに示されるように、2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)は、前記2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の磁軸(h331-a1、h331-a2)のベクトル和H1が、正方形の双極子磁石(341)の磁軸H2と、5°~約175°の間、好ましくは60°~約120°の間、特に90°の角度αをなすように配置されている。
【0105】
[0104]正方形の双極子磁石(341)の下面と2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の上面との間の距離(d)は、好ましくは約0~約10mmの間、より好ましくは約0~約5mmの間、さらにより好ましくは約0である。すなわち、正方形の双極子磁石(341)と2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)とが、直接接触している。
【0106】
[0105]正方形の双極子磁石(341)の上面と、磁気組立体(300)に面する基材(320)の表面との間の距離(h)は、好ましくは約0.5mm~約10mmの間、より好ましくは約0.5mm~約7mmの間、さらにより好ましくは約1mm~7mmの間である。
【0107】
[0106]2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の下面と正方形の磁極片(350)との間の距離(e)は、好ましくは約0~約5mmの間、より好ましくは約0~約2mmの間である。
【0108】
[0107]図3A図3Dに示される静磁気組立体(300)を使って製造された結果得られたOELは、基材(320)を-20°~+20°の間で傾けることによって、様々な視野角で図3Eに示されている。そのようにして得られたOELは、基材(320)を傾けると横方向に動く、明るい反射垂直棒の光学的印刷物を実現する。
【0109】
[0108]図4A図4Dは、本発明による基材(420)上に非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含む光学効果層(OEL)を製造するのに好適な、磁気組立体(400)の例を示す。磁気組立体(400)は、2組の2個の、すなわち4個の隔置された棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)を備える第1の磁場生成デバイス(430)と、正方形の双極子磁石(441)を備える第2の磁場生成装デバイス(440)とを具備する。
【0110】
[0109]図4A図4Bに示されるように、第1の磁場生成デバイス(430)の4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)は、基材(420)表面に実質的に平行な磁軸を有し、且つ正方形の支持マトリックス(432)に埋め込まれている。2組のそれぞれの組について、2個の棒状双極子磁石は、同じ形状、同じ寸法を有し、同じ材料でできていることが好ましく、特に4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)が、同じ形状、同じ寸法を有し、同じ材料でできていることが好ましい。
【0111】
[0110]図4A図4Bに示されるように、2組のうちの第1の組(a)が、互いに実質的に平行であり、同じ第1の方向を指す棒状双極子磁石のN極を有する、2個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2)を備え、2組のうちの第2の組(b)が、互いに実質的に平行であり、同じ第2の方向を指す棒状双極子磁石のN極を有する、2個の棒状双極子磁石(431-b1、431-b2)を備える。4個の棒状双極子磁石(431)は、閉路状の形態、特に正方形の形態に配置されている。
【0112】
[0111]第2の磁場生成デバイス(440)の正方形の双極子磁石(441)は、第1の磁場生成デバイス(430)の4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)の上に配置されている。すなわち、正方形の双極子磁石(441)は、4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)と基材(420)との間に配置されている。
【0113】
[0112]図4A図4Dに示されるように、4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)は、前記4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)の磁軸(h431-a1、h431-a2、h431-b1、h431-b2)のベクトル和H1が、正方形の双極子磁石(441)の磁軸H2と、185°~約355°の間、好ましくは240°~約300°の間、特に247.5°の角度をなすように配置されている。
【0114】
[0113]正方形の双極子磁石(441)の下面と4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)の上面との間の距離(d)は、好ましくは約0~約10mmの間、より好ましくは約0~約5mmの間、さらにより好ましくは約0である。すなわち、正方形の双極子磁石(441)と4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)とが、直接接触している。
【0115】
[0114]正方形の双極子磁石(441)の上面と、磁気組立体(400)に面する基材(420)の表面との間の距離(h)は、好ましくは約0.5mm~約10mmの間、より好ましくは約0.5mm~約7mmの間、さらにより好ましくは約1mm~7mmの間である。
【0116】
[0115]図4A図4Dに示される静磁気組立体(400)を使って製造された結果得られたOELは、基材(420)を-20°~+60°の間で傾けることによって、様々な視野角で図4Eに示されている。そのようにして得られたOELは、基材(420)を傾けると横方向に動く、明るい反射垂直棒の光学的印刷物を実現する。
【0117】
[0116]図5A図5Dは、本発明による、基材(520)上に非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含む光学効果層(OEL)を製造するのに好適な、磁気組立体(500)の例を示す。磁気組立体(500)は、2組の2個の、すなわち4個の隔置された棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)を備える第1の磁場生成デバイス(530)と、正方形の双極子磁石(541)を備える第2の磁場生成装デバイス(540)とを具備する。
【0118】
[0117]図5A図5Bに示されるように、第1の磁場生成デバイス(530)の4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)は、基材(520)表面に実質的に平行な磁軸を有し、且つ正方形の支持マトリックス(532)に埋め込まれている。2組のそれぞれの組について、2個の棒状双極子磁石は、同じ形状、同じ寸法を有し、同じ材料でできていることが好ましく、特に、4つの棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)が、同じ形状、同じ寸法を有し、同じ材料でできている。
【0119】
[0118]図5A図5Bに示されるように、2組のうちの第1の組(a)が、互いに実質的に平行であり、同じ第1の方向を指す棒状双極子磁石のN極を有する、2個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2)を備え、2組のうちの第2の組(b)が、互いに実質的に平行であり、同じ第2の方向を指す棒状双極子磁石のN極を有する、2個の棒状双極子磁石(531-b1、531-b2)を備える。4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)は、閉路状の形態、特に菱形の形態に配置されている。
【0120】
[0119]第2の磁場生成デバイス(540)の正方形の双極子磁石(541)は、第1の磁場生成デバイス(530)の4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)の上に配置されている。すなわち、正方形の双極子磁石(541)は、4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)と基材(520)との間に配置されている。
【0121】
[0120]図5D1図5D3に示されるように、4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)は、前記4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)の磁軸(h531-a1、h531-a2、h531-b1、h531-b2)のベクトル和H1が、正方形の双極子磁石(541)の磁軸H2と、5°~約175°の間、好ましくは60°~約120°の間、特に90°の角度αをなすように配置されている。
【0122】
[0121]正方形の双極子磁石(541)の下面と4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)の上面との間の距離(d)は、好ましくは約0~約10mmの間、より好ましくは約0~約5mmの間、さらにより好ましくは約0である。すなわち、正方形の双極子磁石(541)と4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)とが、直接接触している。
【0123】
[0122]正方形の双極子磁石(541)の上面と、磁気組立体(500)に面する基材(520)の表面との間の距離(h)は、好ましくは約0.5mm~約10mmの間、より好ましくは約0.5mm~約7mmの間、さらにより好ましくは約1mm~7mmの間である。
【0124】
[0123]図5A図5Cに示される静磁気組立体(500)を使って製造された結果得られたOELは、基材(520)を20°~+60°の間で傾けることによって、様々な視野角で図5Eに示されている。そのようにして得られたOELは、基材(520)を傾けると横方向に動く、明るい反射垂直棒の光学的印刷物を実現する。
【0125】
[0124]本発明は、回転磁気シリンダ及び本明細書に記載の1つ又は複数の磁気組立体(x00)を備える印刷装置をさらに提供し、前記1つ又は複数の磁気組立体(x00)は、回転磁気シリンダの周方向又は軸線方向の溝に取り付けられている。本発明はそればかりでなく、平台型印刷ユニット及び本明細書に記載の1つ又は複数の磁気組立体(x00)を備える印刷組立体も提供し、前記1つ又は複数の磁気組立体は、平台型印刷ユニットの窪みに取り付けられている。本発明は、本明細書に記載されているような基材上に、本明細書に記載の光学効果層(OEL)を製造するための、前記印刷装置の使用法をさらに提供する。
【0126】
[0125]回転磁気シリンダは、印刷若しくはコーティング機器内で使用されるか、印刷若しくはコーティング機器と組み合わせて使用されるか、又は印刷若しくはコーティング機器の一部であり、本明細書に記載の1つ又は複数の磁気組立体を支持することを意図している。一実施形態では、回転磁気シリンダは、連続的に高速印刷動作を行う回転式、枚葉式、又はウェブ巻取式の業務用印刷機の一部である。
【0127】
[0126]平台型印刷ユニットは、印刷若しくはコーティング機器内で使用されるか、印刷若しくはコーティング機器と組み合わせて使用されるか、又は印刷若しくはコーティング機器の一部であり、本明細書に記載の磁気組立体のうちの1つ又は複数を支持することを意図している。一実施形態では、平台型印刷ユニットは、不連続に動作する枚葉式の業務用印刷機の一部である。
【0128】
[0127]本明細書に記載の回転磁気シリンダ又は本明細書に記載の平台型印刷ユニットを備える印刷装置は、本明細書に記載の、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子の層をその上に有する、本明細書に記載されているような基材を供給する、基材フィーダを備え得る。その結果磁気組立体は磁場を生成し、磁場が顔料粒子に作用して顔料粒子を配向し、本明細書に記載のOELを形成する。本明細書に記載の回転磁気シリンダを備える印刷装置の一実施形態では、基材は、シート又はウェブの形態で基材フィーダによって供給される。本明細書に記載の平台型印刷ユニットを備える印刷装置の一実施形態では、基材は、シートの形態で供給される。
【0129】
[0128]本明細書に記載の回転磁気シリンダ又は本明細書に記載の平台型印刷ユニットを備える印刷装置は、本明細書に記載の、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を、本明細書に記載の基材上に塗布する、コーティング又は印刷ユニットを備え得る。放射線硬化性コーティング組成物は、光学効果層(OEL)を形成するために、本明細書に記載の磁気組立体で生成された磁場によって配向される、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含む。本明細書に記載の回転磁気シリンダを備える印刷装置の一実施形態では、コーティング又は印刷ユニットは、回転式の連続プロセスに従って動作する。本明細書に記載の平台型印刷ユニットを備える印刷装置の一実施形態では、コーティング又は印刷ユニットは、段階的な不連続プロセスに従って動作する。
【0130】
[0129]本明細書に記載の回転磁気シリンダ又は本明細書に記載の平台型印刷ユニットを備える印刷装置は、本明細書に記載の磁気組立体によって磁気的に配向された、非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子を含む放射線硬化性コーティング組成物を、少なくとも部分的に硬化させるための硬化ユニットを備えることができ、以て非球形で扁平の磁性又は磁化可能顔料粒子の配向及び位置を固定し、光学効果層(OEL)を製造する。
【0131】
[0130]本明細書に記載の光学効果層(OEL)のコーティング層(x10)の形状は、連続的であっても、又は不連続であってもよい。一実施形態によれば、コーティング層(x10)の形状は、1つ又は複数の印、点、及び/又は線を表す。コーティング層(x10)の形状は、自由領域によって互いに隔置されている線、点、及び/又は印で構成され得る。
【0132】
[0131]本明細書に記載の光学効果層(OEL)は、光学効果層が恒久的に残ることになる基材上に、直接設けられ得る(紙幣用途など)。別法として、OELはまた、生産目的のために一時的な基材上に設けられてもよく、その後OELを基材から剥離する。これにより、たとえば、特に結合剤材料がまだ液体の状態である間に、容易にOELを生産できる。その後、OELを生産するために、コーティング組成物を少なくとも部分的に硬化させた後に、一時的な基材がOELから取り外され得る。
【0133】
[0132]別法として、接着剤層は、OEL上に存在してもよく、又はOELを有する基材上に存在してもよい。前記接着剤層は、OELが設けられる側と反対側の基材の側面上にあるか、又はOELと同じ側面上且つOELの上にある。したがって、接着剤層を、OEL又は基材に塗布できる。かかる物品は、機械装置を必要とする印刷又は他のプロセス及び多大な労力なしに、あらゆる種類の文書又は他の物品若しくはアイテムに添付できる。別法として、本明細書に記載のOELを有する本明細書に記載の基材は、別の転写ステップで文書又は物品に付着され得る、転写箔の形態であってもよい。この用途のために、基材に離型用コーティングが施され、離型用コーティングの上に、本明細書に記載されるOELが製造される。そのように製造されたOELの上に、1つ又は複数の接着剤層を塗布できる。
【0134】
[0133]本明細書に記載のプロセスによって得られる、複数の、すなわち2層、3層、4層などの光学効果層(OEL)を有する、本明細書に記載されているような基材も、本明細書で説明されている。
【0135】
[0134]本発明に従って製造された光学効果層(OEL)を有する物品、特にセキュリティ文書、装飾要素又は装飾物も、本明細書で説明されている。物品、特にセキュリティ文書、装飾要素又は装飾物は、本発明に従って製造された2層以上(たとえば、2層、3層など)のOELを有することができる。
【0136】
[0135]本明細書で言及されているように、本発明に従って製造された光学効果層(OEL)は、装飾目的のために、並びにセキュリティ文書を保護及び認証するために使用され得る。装飾要素又は装飾物の典型的な例には、高級品、化粧品の包装、自動車部品、電子/電気製品、家具、及び指の爪用ラッカが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0137】
[0136]セキュリティ文書には、有価文書及び有価商品が含まれるが、これらに限定されるものではない。有価文書の典型的な例には、紙幣、証書、チケット、小切手、商品券、会計スタンプ及び税ラベル、契約書など、パスポートなどの身分証明文書、身分証明カード、ビザ、運転免許証、銀行カード、クレジットカード、取引カード、アクセス文書又はカード、入場券、公共交通機関のチケット又は権利書などが、好ましくは紙幣、身分証明文書、権利付与文書、運転免許証、及びクレジットカードが含まれるが、これらに限定されるものではない。「有価商品」という用語は、特に化粧品、栄養補助食品、医薬品、アルコール、タバコ製品、飲料又は食品、電気/電子製品、織物、又は宝石のための包装材料、すなわち、たとえば本物の薬のように、包装の内容を保証するために、偽造及び/又は違法な複製から保護されなければならない物品を指す。こうした包装材料の例には、認証ブランドラベル、改ざん証拠ラベルなどのラベル及びシールが含まれるが、これらに限定されるものではない。開示された基材、有価文書及び有価商品は、本発明の範囲を制限することなく、例示目的のためだけに提示されていることを指摘しておく。
【0138】
[0137]別法として、光学効果層(OEL)は、たとえば、安全線、セキュリティストライプ、箔、デカール、窓、又はラベルなどの補助基材上に製造され、その結果、別のステップで、セキュリティ文書に移されてもよい。
【0139】
[0138]当業者は、本発明の精神から逸脱することなく、上記の特定の実施形態に対するいくつかの修正形態を想定できよう。かかる修正形態は、本発明に包含される。
【0140】
[0139]さらに、この明細書全体にわたって参照されるすべての文書が、本明細書に完全に記載されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例
【0141】
[0140]図2E図5Eに示される光学効果層(OEL)を製造するために、図2A図2Dから図5A図5Dに示される磁気組立体(x00)を使用して、コーティング、特に印刷された、表1に記載されているUV硬化性スクリーン印刷用インクの層(x10)の中の、非球形で扁平の光学的に可変な磁性顔料粒子を配向した。UV硬化性スクリーン印刷用インクを黒の市販の紙(Gascogne Laminates M-cote120)(x20)上に塗布した。前記塗布は、約20μmの厚さのコーティング層を形成するために、T90スクリーンを使用した手作業でのスクリーン印刷によって実行した。UV硬化性スクリーン印刷用インクの塗布層を担持する基材を、磁気組立体上に配置した。次いで、そのようにして得られた小平板の形状の光学的に可変な顔料粒子の磁気配向パターンを、配向ステップと部分的に同時に(すなわち、UV硬化性スクリーン印刷用インクのコーティング層(x10)を担持する基材(x20)が、まだ磁気組立体(x00)の静磁場内にある間に)、PhoseonのUV-LEDランプ(FireFlexタイプ、50×75mm、395nm、8W/cm)を使用して、顔料粒子を含む層を約0.5秒間UV硬化に曝すことによって固定した。
【0142】
【表1】
【0143】
実施例1(図2A図2E
[0141]基材(220)上に実施例1の光学効果層(OEL)を作成するために使用した磁気組立体(200)は、図2A図2Dに示されている。
【0144】
[0142]磁気組立体(200)は、正方形の支持マトリックス(232)に埋め込まれた、1組の、2個の隔置された棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)を備える第1の磁場生成デバイス(230)、及び正方形の双極子磁石(241)を備える第2の磁場生成デバイス(240)を具備し、第2の磁場生成デバイス(240)を、第1の磁場生成デバイス(230)の上に配置した。
【0145】
[0143]第1の磁場生成デバイス(230)の2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)は、棒状双極子磁石のそれぞれの磁軸(h231-a1、h231-a2)が、基材(220)表面に実質的に平行であり(すなわち、棒状双極子磁石は、棒状双極子磁石の幅A5にわたって磁化されていた)、棒状双極子磁石のN極が、同じ方向を指していた。磁気組立体(230)の2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)の寸法は、30mm(A4)×3mm(A5)×6mm(A6)であり、NdFeB N42でできていた。前記2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)は、互いに実質的に平行であり、棒状双極子磁石間の距離(A11)は15mmであった。2個の棒状双極子磁石(231a1、231-a2)間の距離と前記棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)の厚さとの比率を表す倍数Mは、A11/A5として計算され、5に等しい。
【0146】
[0144]正方形の支持マトリックス(232)の寸法は、40mm(A1)×40mm(A2)×7mm(A3)であり、ポリオキシメチレン(POM)でできていた。
【0147】
[0145]第2の磁場生成デバイス(240)の正方形の双極子磁石(241)は、双極子磁石の南北磁軸が基材(220)表面に実質的に平行であった(すなわち、双極子磁石は、双極子磁石の長さB1にわたって磁化されていた)。正方形の双極子磁石(241)の寸法は、30mm(B1)×30mm(B2)×2mm(B3)であった。正方形の双極子磁石(241)は、NdFeB NdFeB N52でできていた。
【0148】
[0146]第1の磁場生成デバイス(230)及び第2の磁場生成デバイス(240)は、第1の磁気組立体(230)の2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)の平行配置の中心が、第2の磁気組立体(240)の正方形の棒状双極子磁石(241)の中心と整列されるように配置した。
【0149】
[0147]第2の磁場生成デバイス(240)の正方形の棒状双極子磁石(241)の下面と、第1の磁場生成デバイス(230)の2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)の上面との間の距離(d)は、0mmであった。すなわち、2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)と正方形の棒状双極子磁石(241)とが、直接接触していた。第2の磁場生成デバイス(240)の正方形の棒状双極子磁石(241)の上面と、リング状双極子磁石に面する基材(220)の表面との間の距離(h)は、約2.5mmであった。
【0150】
[0148]2個の実質的に平行な棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)は、棒状双極子磁石が正方形の支持マトリックス(232)の長さ(A1)と、22°の角度β(=90°-α)を形成するように、且つ図2D1図2D3に示されるように、前記2個の棒状双極子磁石(231-a1、231-a2)の磁軸(h231-a1及びh231-a2)のベクトル和H1が、正方形の双極子磁石(241)の磁軸H2と、68°の角度αをなすように、配置した。
【0151】
[0149]図2A図2Cに示される磁気組立体(200)を使って製造された結果得られたOELは、基材(220)を-20°~+20°の間で傾けることによって、様々な視野角で図2Eに示されている。そのようにして得られたOELは、直交視差効果を示し、基材(220)を傾けると横方向に動く、特に-20°~+20°で右から左に動く、明るい反射垂直棒の光学的印刷物を実現した。
【0152】
実施例2(図3A図3E
[0150]基材(320)上に実施例2の光学効果層(OEL)を作成するために使用した磁気組立体(300)は、図3A図3Dに示されている。
【0153】
[0151]磁気組立体(300)は、正方形の支持マトリックス(332)に埋め込まれた、1組の、2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)を備える第1の磁場生成デバイス(330)、正方形の双極子磁石(341)を備える第2の磁場生成デバイス(340)、及び正方形の磁極片(350)を具備し、第2の磁場生成デバイス(340)を、第1の磁場生成デバイス(330)の上に配置し、第1の磁場生成デバイス(330)を、正方形の磁極片(350)の上に配置した。
【0154】
[0152]第1の磁場生成デバイス(330)の2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)は、棒状双極子磁石のそれぞれの磁軸(h331-a1、h331-a2)が、基材(320)表面に実質的に平行であり(すなわち、棒状双極子磁石は、棒状双極子磁石の幅(A5)にわたって磁化されていた)、棒状双極子磁石のN極が、同じ方向を指していた。磁気組立体(330)の2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の寸法は、40mm(A4)×3mm(A5)×6mm(A6)であり、NdFeB N45でできていた。前記2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)は、互いに実質的に平行であり、棒状双極子磁石間の距離(A11)は21mmであった。2個の棒状双極子磁石(331a1、331-a2)間の距離と前記棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の厚さとの比率を表す倍数Mは、A11/A5として計算され、7に等しい。
【0155】
[0153]正方形の支持マトリックス(332)の寸法は、50mm(A1)×50mm(A2)×8mm(A3)であり、ポリオキシメチレン(POM)でできていた。
【0156】
[0154]第2の磁場生成デバイス(340)の正方形の双極子磁石(341)は、双極子磁石の南北磁軸が基材(320)表面に実質的に平行であった(すなわち、双極子磁石は、双極子磁石の長さB1にわたって磁化されていた)。正方形の双極子磁石(341)の寸法は、38mm(B1)×38mm(B2)×2mm(B3)であった。正方形の双極子磁石(341)は、NdFeB N42でできていた。
【0157】
[0155]正方形の磁極片(350)は、純鉄でできており、寸法は40mm(C1)×40mm(C2)×1mm(C3)であった。
【0158】
[0156]第1の磁場生成デバイス(330)、第2の磁場生成デバイス(340)、及び正方形の磁極片(350)は、第1の磁気組立体(330)の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の平行配置の中心が、第2の磁気組立体(340)の正方形の棒状双極子磁石(341)の中心と整列され、且つ第1の磁気組立体(330)の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の平行配置の中心が、正方形の磁極片(350)の中心と整列されるように配置した。
【0159】
[0157]第2の磁場生成デバイス(340)の正方形の棒状双極子磁石(341)の下面と、第1の磁場生成デバイス(340)の2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の上面との間の距離(d)は、約0mmであった。すなわち、2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)と正方形の棒状双極子磁石(341)とが、直接接触していた。第2の磁場生成デバイス(340)の正方形の棒状双極子磁石(341)の上面と、正方形の双極子磁石(341)に面する基材(320)の表面との間の距離(h)は、約2.5mmであった。正方形の磁極片(350)の上面と、正方形の支持マトリックス(332)の下面との間の距離(e)は、0mmであった。すなわち、第1の磁場生成デバイス(340)の2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)と、正方形の磁極片(350)との間には、約2mmの距離(A3-A6)があった。
【0160】
[0158]2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)は、前記2個の棒状双極子磁石(331-a1、331-a2)の2つの磁軸(h331-a1、h331-a2)のベクトル和H1が、正方形の双極子磁石(341)の磁軸H2と、90°の角度αをなすように配置した。
【0161】
[0159]図3A図3Dに示される磁気組立体(300)を使って製造された結果得られたOELは、基材(320)を-20°~+20°の間で傾けることによって、様々な視野角で図3Eに示されている。そのようにして得られたOELは、直交視差効果を示し、基材(20)を傾けると横方向に動く、特に-20°~+20°で右から左に動く、明るい反射垂直棒の光学的印刷物を実現した。
【0162】
実施例3(図4A図4E
[0160]基材(420)上に実施例3の光学効果層(OEL)を作成するために使用した磁気組立体(400)は、図4A図4Dに示されている。
【0163】
[0161]磁気組立体(400)は、正方形の支持マトリックス(432)に埋め込まれた、2組(a、b)の、2個の隔置された棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)を備える第1の磁場生成デバイス(430)、及び正方形の双極子磁石(441)を備える第2の磁場生成デバイス(440)を具備し、第2の磁場生成デバイス(440)を、第1の磁場生成デバイス(430)の上に配置した。
【0164】
[0162]第1の磁場生成デバイス(430)の4個の双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)は、双極子磁石のそれぞれの磁軸(h431-a1、h431-a2、h431-b1、h431-b2)が、基材(420)表面に実質的に平行であった(すなわち、双極子磁石は、双極子磁石の幅A5にわたって磁化されていた)。第1の組(a)は、双極子磁石のN極が同じ第1方向を指している、2個の双極子磁石(431-a1、431-a2)を備え、第2の組(b)は、双極子磁石のN極が同じ第2の方向を指している、2個の双極子磁石(431-b1、431-b2)を備えていた。
【0165】
[0163]磁気組立体(430)の第1の組(a)及び第2の組(b)の4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)の寸法は、30mm(A4)×3mm(A5)×6mm(A6)であり、NdFeB N42でできていた。4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)を、正方形の形態に配置し、前記磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)は、正方形の支持マトリックス(432)の中で、磁石(431b-1及び431-b2)に平行な対称軸が、正方形の支持マトリックス(432)の長さ(A1)と、β=22.5°の角度をなすように配置した。組ごとの2個の棒状双極子磁石(431-a1/431-a2及び431-b1/431-b2)間の距離と、前記棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)の厚さとの比率を表す倍数Mは、A4/A5として計算され、10に等しい。
【0166】
[0164]正方形の支持マトリックス(432)の寸法は、50mm(A1)×50mm(A2)×7mm(A3)であり、ポリオキシメチレン(POM)でできていた。
【0167】
[0165]第2の磁場生成デバイス(440)の正方形の双極子磁石(441)は、双極子磁石の南北磁軸が基材(420)表面に実質的に平行であった(すなわち、双極子磁石は、双極子磁石の長さB1にわたって磁化されていた)。正方形の双極子磁石(441)の寸法は、38mm(B1)×38mm(B2)×2mm(B3)であった。正方形の双極子磁石(441)は、NdFeB N42でできていた。
【0168】
[0166]第1の磁場生成デバイス(430)及び第2の磁場生成デバイス(440)は、第1の磁気組立体(430)の4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)で形成された正方形の配置の中心が、第2の磁気組立体(440)の正方形の棒状双極子磁石(441)の中心と整列されるように配置した。
【0169】
[0167]第2の磁場生成デバイス(440)の正方形の棒状双極子磁石(441)の下面と、第1の磁場生成デバイス(440)の4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)の上面との間の距離(d)は、0mmであった。すなわち、4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)と正方形の棒状双極子磁石(441)とが、直接接触していた。第2の磁場生成デバイス(440)の正方形の棒状双極子磁石(441)の上面と、正方形の棒状双極子磁石(441)に面する基材(420)の表面との間の距離(h)は、約2mmであった。
【0170】
[0168]4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)は、前記4個の棒状双極子磁石(431-a1、431-a2、431-b1、431-b2)の磁軸(h431-a1、h431-a2、h431-b1、h431-b2)のベクトル和H1が、正方形の双極子磁石(441)の磁軸H2と、247.5°の角度αをなすように配置した。
【0171】
[0169]図4A図4Dに示される磁気組立体(400)を使って製造された結果得られたOELは、基材(420)を-20°~+60°の間で傾けることによって、様々な視野角で図4Eに示されている。そのようにして得られたOELは、直交視差効果を示し、基材(420)を傾けると横方向に動く、特に-20°~+60°で左から右に動く、明るい反射垂直棒の光学的印刷物を実現した。
【0172】
実施例4(図5A図5E
[0170]基材(520)上に実施例4の光学効果層(OEL)を作成するために使用した磁気組立体(500)は、図5A図5Dに示されている。
【0173】
[0171]磁気組立体(500)は、正方形の支持マトリックス(532)に埋め込まれた、2組(a、b)の、2個の隔置された棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)を備える第1の磁場生成デバイス(530)、及び正方形の双極子磁石(541)を備える第2の磁場生成デバイス(540)を具備し、第2の磁場生成デバイス(540)を、第1の磁場生成デバイス(530)の上に配置した。
【0174】
[0172]第1の磁場生成デバイス(530)の4個の双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)は、双極子磁石のそれぞれの磁軸(h531-a1、h531-a2、h531-b1、h531-b2)が、基材(520)表面に実質的に平行であった(すなわち、双極子磁石は、双極子磁石の幅A5にわたって磁化されていた)。第1の組(a)は、互いに実質的に平行であり、双極子磁石のN極が同じ第1方向を指している、2個の双極子磁石(531a1、531-a2)を備え、第2の組(b)は、互いに実質的に平行であり、双極子磁石のN極が同じ第2の方向を指している、2個の双極子磁石(531b1、531-b2)を備えていた。
【0175】
[0173]磁気組立体(530)の第1の組(a)及び第2の組(b)の4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)の寸法は、30mm(A4)×3mm(A5)×6mm(A6)であり、NdFeB N42でできていた。4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)を、最短の対角線の寸法(A7)が36.6mmであり、最長の対角線の寸法(A8)が47.6mmである、菱形の形態に配置した。組ごとの2個の棒状双極子磁石(531-a1/531-a2及び531-b1/531-b2)間の距離と、前記棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)の厚さ(A5)との比率を表す倍数Mは、A4、A5、及びA7(又はA8)から計算され、9.7に等しく、ここで、
【数1】

である。
【0176】
[0174]正方形の支持マトリックス(532)の寸法は、50mm(A1)×50mm(A2)×7mm(A3)であり、ポリオキシメチレン(POM)でできていた。
【0177】
[0175]第2の磁場生成デバイス(540)の正方形の双極子磁石(541)は、双極子磁石の南北磁軸が基材(520)表面に実質的に平行であった(すなわち、双極子磁石は、双極子磁石の長さ(B1)にわたって磁化されていた)。正方形の双極子磁石(541)の寸法は、38mm(B1)×38mm(B2)×2mm(B3)であった。正方形の双極子磁石(541)は、NdFeB N42でできていた。
【0178】
[0176]第1の磁場生成デバイス(530)及び第2の磁場生成デバイス(540)は、第1の磁気組立体(530)の4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)で形成された菱形の閉路状の配置の中心が、第2の磁気組立体(540)の正方形の棒状双極子磁石(541)の中心と整列されるように配置した。
【0179】
[0177]第2の磁場生成デバイス(540)の正方形の棒状双極子磁石(541)の下面と、第1の磁場生成デバイス(530)の4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)の上面との間の距離(d)は、0mmであった。すなわち、4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)と正方形の棒状双極子磁石(541)とが、直接接触していた。第2の磁場生成デバイス(540)の正方形の棒状双極子磁石(541)の上面と、正方形の棒状双極子磁石(541)に面する基材(520)の表面との間の距離(h)は、約2mmであった。
【0180】
[0178]4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)は、前記4個の棒状双極子磁石(531-a1、531-a2、531-b1、531-b2)の磁軸(h531-a1、h531-a2、h531-b1、h531-b2)のベクトル和H1が、正方形の双極子磁石(541)の磁軸H2と、90°の角度αをなすように配置した。
【0181】
[0179]図5A図5Dに示される磁気組立体(500)を使って製造された結果得られたOELは、基材(520)を-20°~+60°の間で傾けることによって、様々な視野角で図5Eに示されている。そのようにして得られたOELは、直交視差効果を示し、基材(520)を傾けると横方向に動く、特に-20°~+60°で右から左に動く、明るい反射垂直棒の光学的印刷物を実現した。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図2D-1】
図2D-2】
図2D-3】
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D-1】
図3D-2】
図3D-3】
図3E
図4A
図4B
図4C
図4D-1】
図4D-2】
図4D-3】
図4E
図5A
図5B
図5C
図5D-1】
図5D-2】
図5D-3】
図5E