(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】単位セルの製造装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0585 20100101AFI20240402BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20240402BHJP
H01M 10/28 20060101ALI20240402BHJP
H01M 10/30 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/052
H01M10/28 Z
H01M10/30 Z
(21)【出願番号】P 2022554431
(86)(22)【出願日】2021-03-18
(86)【国際出願番号】 KR2021003372
(87)【国際公開番号】W WO2021194164
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0036392
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クォン、スーン クァン
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、ス テク
(72)【発明者】
【氏名】リー、ビョン キュ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン、タイ ジン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ、セオン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ジュ ヒョン
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0045602(KR,A)
【文献】国際公開第2019/163489(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0124544(KR,A)
【文献】特開2010-238424(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0028714(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極が形成される電極シートが巻き出される電極リールと、
前記電極と積層されるセパレータシートが巻き出されるセパレータリールと、
複数の前記電極が前記セパレータシートの長さ方向に一列に離隔配置され、前記セパレータシートと積層されて形成される積層体において、複数の前記電極の間に配置され、前記電極のコーナー
のみ、前記電極のエッジ
のみ、または前記電極のコーナーおよびエッジのみに熱および圧力を印加するシーラーと、
を含む、単位セルの製造装置。
【請求項2】
前記シーラーは、
第1ボディと、
前記第1ボディから垂直に延びて形成される第2ボディと、を含む、請求項1に記載の単位セルの製造装置。
【請求項3】
前記シーラーは、
前記第1ボディの下面から下方に向かって突出し、前記第1ボディの長さ方向に長く形成される第1突出部と、
前記第2ボディの下面から下方に向かって突出し、前記第2ボディの長さ方向に長く形成される第2突出部と、をさらに含む、請求項2に記載の単位セルの製造装置。
【請求項4】
前記積層体をラミネートするラミネータをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の単位セルの製造装置。
【請求項5】
前記ラミネータは、
前記積層体の全面に熱および圧力を共に印加するヒータを含む、請求項4に記載の単位セルの製造装置。
【請求項6】
前記ラミネータは、
回転しつつ前記積層体に熱および圧力を印加する加熱ローラをさらに含む、請求項5に記載の単位セルの製造装置。
【請求項7】
前記電極リールは、
複数の中央電極が形成される中央電極シートが巻き出される中央電極リールを含み、
前記セパレータリールは、
前記中央電極シートが切断されて形成された中央電極の上面に積層される上部セパレータシートが巻き出される上部セパレータリールと、
前記中央電極の下面に積層される下部セパレータシートが巻き出される下部セパレータリールと、を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の単位セルの製造装置。
【請求項8】
前記電極リールは、
前記上部セパレータシートの上面に積層される上部電極が形成される、上部電極シートが巻き出される上部電極リールと、
前記下部セパレータシートの下面に積層される下部電極が形成される、下部電極シートが巻き出される下部電極リールと、をさらに含む、請求項7に記載の単位セルの製造装置。
【請求項9】
電極リールから巻き出された電極シートを切断して複数の電極を形成するステップと、
セパレータリールから巻き出されたセパレータシートに、複数の前記電極を前記セパレータシートの長さ方向に一列に離隔配置して積層することで、積層体を形成するステップと、
前記積層体において複数の前記電極の間にシーラーを配置するステップと、
前記シーラーを介して前記電極のコーナー
のみ、前記電極のエッジ
のみ、または前記電極のコーナーおよびエッジのみに熱および圧力を印加するステップと、
を含む、単位セルの製造方法。
【請求項10】
前記シーラーは、
第1ボディと、
前記第1ボディから垂直に延びて形成される第2ボディと、を含む、請求項9に記載の単位セルの製造方法。
【請求項11】
前記熱および圧力を印加するステップにおいて、
前記第1ボディは、
前記電極のエッジのうち、前記積層体の外側に向かう第1エッジに熱および圧力を印加し、
前記第2ボディは、
前記電極のエッジのうち、隣り合う他の電極と対向し、前記第1エッジと交差して前記コーナーを形成する第2エッジに熱および圧力を印加する、請求項10に記載の単位セルの製造方法。
【請求項12】
前記シーラーは、
前記第1ボディの下面から下方に向かって突出し、前記第1ボディの長さ方向に長く形成される第1突出部と、前記第2ボディの下面から下方に向かって突出し、前記第2ボディの長さ方向に長く形成される第2突出部と、をさらに含む、請求項11に記載の単位セルの製造方法。
【請求項13】
前記熱および圧力を印加するステップにおいて、
前記第1突出部は、
前記セパレータシートにおいて、前記電極の前記第1エッジから外側に延びた第1領域に熱および圧力を印加し、
前記第2突出部は、
前記セパレータシートにおいて、複数の前記電極の間に形成された第2領域に熱および圧力を印加する、請求項12に記載の単位セルの製造方法。
【請求項14】
前記積層体を形成するステップ以後および前記シーラーを配置するステップ以前に、
前記積層体をラミネートするステップをさらに含む、請求項9から13のいずれか一項に記載の単位セルの製造方法。
【請求項15】
前記ラミネートするステップは、
ヒータが前記積層体の全面に熱および圧力を印加するステップと、
加熱ローラが回転しつつ前記積層体に熱および圧力を印加するステップと、をさらに含む、請求項14に記載の単位セルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年03月25日付けの韓国特許出願第10-2020-0036392号に基づく優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として組み込まれる。
【0002】
本発明は、単位セルの製造装置および方法に関し、より詳しくは、単位セルのサイドの接着力が低下するのを防止することができる単位セルの製造装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的に、二次電池の種類としては、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、およびリチウムイオンポリマー電池などが挙げられる。このような二次電池は、デジタルカメラ、P-DVD、MP3P、携帯電話、PDA、携帯ゲーム機(Portable Game Device)、パワーツール(Power Tool)、およびE-バイク(E-bike)などの小型製品だけでなく、電気自動車やハイブリッド自動車のような高出力が求められる大型製品と、余剰の発電電力や再生可能エネルギーを貯蔵する電力貯蔵装置と、バックアップ用電力貯蔵装置にも適用されて用いられている。
【0004】
正極(Cathode)、セパレータ(Separator)、および負極(Anode)が積層されて形成された単位セル(Unit Cell)が集まって1つの電極組立体が形成される。そして、このような電極組立体が特定のケースに収容されることで、リチウム二次電池が製造される。
【0005】
このような単位セルには、フルセル(Full-Cell)とバイセル(Bi-Cell)がある。フルセルは、セルの最外部の両側に正極と負極がそれぞれ位置するセルである。このようなフルセルの最も基本的な構造として、正極/セパレータ/負極、または正極/セパレータ/負極/セパレータ/正極/セパレータ/負極などがある。
【0006】
バイセルは、セルの最外部の両側に同一極性の電極が位置するセルである。このようなバイセルの最も基本的な構造として、正極/セパレータ/負極/セパレータ/正極構造のA型バイセル、または負極/セパレータ/正極/セパレータ/負極構造のC型バイセルなどがある。すなわち、最外部の両側に正極が位置するセルをA型バイセルといい、両側に負極が位置するセルをC型バイセルという。
【0007】
一般的に、このような単位セルを製造するためには、中央電極がコンベヤーベルトなどにより一側に移動する間に、中央電極の上下面にそれぞれセパレータが積層され、その後、上部電極と下部電極がさらに積層される。仮に、単位セルがバイセルであれば、中央電極が1つなどの奇数であってもよく、単位セルがフルセルであれば、中央電極が存在しないかまたは2個などの偶数であってもよい。
【0008】
一方、電極組立体の安全性の評価および安全性の確保は非常に重要である。最も重要な考慮事項は、電極組立体が誤作動の際に使用者に傷害を負わせてはならないということであり、このような目的で、安全規格は、電極組立体内の発火および発煙などを厳格に規制している。電極組立体の安全性特性において、電極組立体が過熱して熱暴走が起こるかまたはセパレータが貫通する場合には、爆発を引き起こす恐れが大きい。特に、電極組立体のセパレータとして通常用いられるポリオレフィン系多孔性高分子基材は、材料的特性と、延伸を含む製造工程上の特性により、100度以上の温度で激しい熱収縮挙動を示すことで、正極と負極との間の短絡を引き起こすという問題がある。
【0009】
電極組立体の安全性問題を解決するために、複数の気孔を有する多孔性高分子基材の少なくとも一面に、過量の無機物粒子と高分子バインダーの混合物を含むスラリーがコーティングされ、多孔性有機-無機コーティング層を形成したセパレータが提案された。多孔性有機-無機コーティング層に含まれた無機物粒子は耐熱性に優れるため、電極組立体が過熱する場合にも正極と負極との間の短絡を防止する。
【0010】
しかしながら、多孔性コーティング層が薄く、例えば、多孔性基材の断面を基準として3μm未満の厚さにコーティングされる場合には、セパレータと電極との間における接着力が不足して組立性が低下する。セパレータと電極との間の接着力に優れなければ、電極組立体のサイクル(cycle)時に電解液の分解産物として生成される気体によりセパレータと電極が脱着されることで発生する界面抵抗の増加を防止することができない。そして、サイクル時に電極の体積膨張によるセパレータと電極との間の界面抵抗の増加を防止することができ、ゼリーロール(Jelly-roll)やスタック&フォールディング(Stack & Folding)形態の電極組立体の曲げを抑制して電極組立体の強度を向上させることができる。このことから、セパレータと電極との間の接着力は、電極組立体において非常に重要な因子である。
【0011】
図1は、単位セル2の未接着領域22を示した概略図である。
従来は、高分子基材(
図2に図示)123にスラリーを塗布して多孔性コーティング層(
図2に図示)124を形成することで、セパレータ(
図2に図示)12を製造した。そして、前記セパレータ12に電極(
図4に図示)11を積層し、熱および圧力を印加し、
図1に示されたように、単位セル2を製造した。
【0012】
しかしながら、液体状態またはゲル(Gel)状態のスラリーを高分子基材123に塗布した後に固体化させて多孔性コーティング層124が形成されるため、スラリーを平たく均一に塗布しても、表面から或る程度の高さの差が存在した。特に、セパレータ12のサイド(セパレータのサイド126、
図2に図示)よりも中心部(セパレータの中心部125、
図2に図示)にスラリーがさらに凝集し、サイド126におけるスラリーの高さがさらに低く形成された。したがって、セパレータ12のサイド126と中心部125において、このようなスラリーを固体化させた多孔性コーティング層124にも高さの差が存在するため、電極11を積層して単位セル2を製造しても、セパレータ12の接着力に偏差が発生した。したがって、
図1に示されたように、単位セル2のサイド(積層体のサイド21)の一部に、電極11とセパレータ12が互いに接着されないかまたは不十分に接着される未接着領域22が形成されるという問題があった。
先行技術文献として、韓国公開特許第2017-0057251号公報が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明が解決しようとする課題は、単位セルのサイドの接着力が低下するのを防止することができる単位セルの製造装置および方法を提供することにある。
【0014】
本発明の課題は、以上で言及した課題に制限されず、言及していないまた他の課題は、下記の記載から当業者に明らかに理解できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係る単位セルの製造装置は、複数の電極が形成される電極シートが巻き出される電極リールと、前記電極と積層されるセパレータシートが巻き出されるセパレータリールと、複数の前記電極が前記セパレータシートの長さ方向に一列に離隔配置され、前記セパレータシートと積層されて形成される積層体において、複数の前記電極の間に配置され、前記電極のコーナーまたは前記電極のエッジのうち少なくとも1つに熱および圧力を印加するシーラーと、を含む。
【0016】
また、前記シーラーは、第1ボディと、前記第1ボディから垂直に延びて形成される第2ボディと、を含むことができる。
また、前記シーラーは、前記第1ボディの下面から下方に向かって突出し、前記第1ボディの長さ方向に長く形成される第1突出部と、前記第2ボディの下面から下方に向かって突出し、前記第2ボディの長さ方向に長く形成される第2突出部と、をさらに含むことができる。
【0017】
また、前記積層体をラミネートするラミネータをさらに含むことができる。
また、前記ラミネータは、前記積層体の全面に熱および圧力を共に印加するヒータを含むことができる。
また、前記ラミネータは、回転しつつ前記積層体に熱および圧力を印加する加熱ローラをさらに含むことができる。
【0018】
また、前記電極リールは、複数の中央電極が形成される中央電極シートが巻き出される中央電極リールを含み、前記セパレータリールは、前記中央電極シートが切断されて形成された中央電極の上面に積層される上部セパレータシートが巻き出される上部セパレータリールと、前記中央電極の下面に積層される下部セパレータシートが巻き出される下部セパレータリールと、を含むことができる。
【0019】
また、前記電極リールは、前記上部セパレータシートの上面に積層される上部電極が形成される、上部電極シートが巻き出される上部電極リールと、前記下部セパレータシートの下面に積層される下部電極が形成される、下部電極シートが巻き出される下部電極リールと、をさらに含むことができる。
【0020】
上記の課題を解決するための本発明の実施形態に係る単位セルの製造方法は、電極リールから巻き出された電極シートを切断して複数の電極を形成するステップと、セパレータリールから巻き出されたセパレータシートに、複数の前記電極を前記セパレータシートの長さ方向に一列に離隔配置して積層することで、積層体を形成するステップと、前記積層体において複数の前記電極の間にシーラーを配置するステップと、前記シーラーを介して前記電極のコーナーまたは前記電極のエッジのうち少なくとも1つに熱および圧力を印加するステップと、を含む。
【0021】
また、前記シーラーは、第1ボディと、前記第1ボディから垂直に延びて形成される第2ボディと、を含むことができる。
また、前記熱および圧力を印加するステップにおいて、前記第1ボディは、前記電極のエッジのうち、前記積層体の外側に向かう第1エッジに熱および圧力を印加し、前記第2ボディは、前記電極のエッジのうち、隣り合う他の電極と対向し、前記第1エッジと交差して前記コーナーを形成する第2エッジに熱および圧力を印加することができる。
【0022】
また、前記シーラーは、前記第1ボディの下面から下方に向かって突出し、前記第1ボディの長さ方向に長く形成される第1突出部と、前記第2ボディの下面から下方に向かって突出し、前記第2ボディの長さ方向に長く形成される第2突出部と、をさらに含むことができる。
【0023】
また、前記熱および圧力を印加するステップにおいて、前記第1突出部は、前記セパレータシートにおいて、前記電極の前記第1エッジから外側に延びた第1領域に熱および圧力を印加し、前記第2突出部は、前記セパレータシートにおいて、複数の前記電極の間に形成された第2領域に熱および圧力を印加することができる。
【0024】
また、前記積層体を形成するステップ以後および前記シーラーを配置するステップ以前に、前記積層体をラミネートするステップをさらに含むことができる。
【0025】
また、前記ラミネートするステップは、ヒータが前記積層体の全面に熱および圧力を印加するステップと、加熱ローラが回転しつつ前記積層体に熱および圧力を印加するステップと、をさらに含むことができる。
本発明のその他の具体的な事項は、詳細な説明および図面に含まれている。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施形態によると、少なくとも次のような効果を有する。
電極がセパレータシートに積層された積層体において、シーラーが電極のコーナーまたは前記電極のエッジのうち少なくとも1つに熱および圧力を印加することで、単位セルのサイドにおける未接着領域の形成を防止して電極とセパレータの接着力が低下するのを防止することができる。
【0027】
本発明に係る効果は以上で例示された内容により制限されず、さらに多様な効果が本明細書内に含まれている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】単位セルの未接着領域を示した概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るセパレータの概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る単位セルの製造方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の一実施形態に係る単位セルの製造装置の概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るシーラーの斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るシーラーが積層体に熱および圧力を印加する様子を示した平面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係るシーラーが積層体に熱および圧力を印加する様子を示した側面図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係る単位セルの製造装置の概略図である。
【
図9】本発明のまた他の実施形態に係るシーラーの斜視図である。
【
図10】本発明のまた他の実施形態に係るシーラーが積層体に熱および圧力を印加する様子を示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の利点および特徴、そしてそれらを達成する方法は、添付図面と共に詳細に後述している実施形態を参照すれば明らかになるであろう。ただし、本発明は、以下に開示される実施形態に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態で実現できるものであり、本実施形態は、単に本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範囲によって定義されるのみである。明細書の全体にわたって、同一の参照符号は、同一の構成要素を指す。
【0030】
他の定義がなければ、本明細書で用いられる全ての用語(技術および科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者に共通に理解できる意味として用いられてもよい。また、一般的に用いられる辞書に定義されている用語は、明らかに特に定義していない限り、理想的にまたは過度に解釈されない。
【0031】
本明細書で用いられた用語は、実施形態を説明するためのものであって、本発明を制限しようとするものではない。本明細書において、単数形は、語句で特に言及しない限り、複数形も含む。明細書で用いられる「含む(comprises)」および/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素の他に、1つ以上の他の構成要素の存在または追加を排除するものではない。
【0032】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳しく説明することにする。
図2は、本発明の一実施形態に係るセパレータ12の概略図である。
【0033】
本発明の一実施形態に係るセパレータ12は、
図2に示されたように、多孔性高分子基材123の少なくとも一面に無機物粒子および高分子バインダーの混合物を含むスラリーがコーティングされ、多孔性コーティング層124が形成されることで製造される。
【0034】
多孔性高分子基材123としては、多様な高分子で形成された多孔性高分子フィルム基材または多孔性高分子不織布基材など、電極組立体に通常用いられる平面状の多孔性基材であれば制限なく多様な基材を含む。例えば、電極組立体、特にリチウム二次電池のセパレータ12として用いられるポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィン系多孔性高分子フィルムや、ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布などを用いてもよく、その材質や形態は、目的とするものに応じて多様に選択されてもよい。このようなポリオレフィン多孔性高分子フィルムは、高密度ポリエチレン、直鎖状の低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレンのようなポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリペンテンなどのポリオレフィン系高分子をそれぞれ単独でまたはこれらを混合した高分子で形成されてもよい。また、前記多孔性高分子フィルム基材は、ポリオレフィンの他に、ポリエステルなどの多様な高分子を用いて多孔性高分子フィルムを製造してもよい。また、前記多孔性高分子フィルム基材は、2層以上のフィルム層が積層された構造に形成されてもよく、各フィルム層は、前述したポリオレフィン、ポリエステルなどの高分子を単独でまたはこれらを2種以上混合した高分子で形成されてもよい。
【0035】
前記多孔性高分子不織布基材としては、前述したポリオレフィン系高分子、またはそれよりも耐熱性が高いポリエチレンテレフタレート(Polyethyleneterephthalate)、ポリブチレンテレフタレート(Polybutyleneterephthalate)、ポリエステル(Polyester)、ポリアセタール(Polyacetal)、ポリアミド(Polyamide)、ポリカーボネート(Polycarbonate)、ポリイミド(Polyimide)、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone)、ポリアリールエーテルケトン(Polyaryletherketone)、ポリエーテルアミド(Polyetherimide)、ポリアミドイミド(Polyamideimide)、ポリベンズイミダゾール(Polybenzimidazole)、ポリエーテルスルホン(Polyethersulfone)、ポリフェニレンオキサイド(Polyphenyleneoxide)、環状オレフィンコポリマー(Cyclic olefin copolyer)、ポリフェニレンスルフィド(Polyphenylenesulfide)、ポリエチレンナフタレン(Polyethylenenaphthalene)などをそれぞれ単独でまたはこれらを混合した高分子で形成された不織布であってもよい。そして、不織布の構造は、長繊維で構成されたスパンボンド不織布またはメルトブローン不織布であってもよい。ただし、これに制限されず、前記多孔性高分子基材123の材質や形態は多様に選択されてもよい。
【0036】
多孔性高分子基材123の厚さは、特に制限されないが、好ましくは1~100μm、より好ましくは5~50μmであり、多孔性高分子基材123に存在する気孔大きさおよび気孔度も、特に制限されないが、それぞれ0.01~50μmおよび10~95%であることが好ましい。
【0037】
多孔性高分子基材123の少なくとも一面には、無機物粒子および高分子バインダーの混合物を含むスラリーがコーティングされ、多孔性コーティング層124が形成される。スラリーのコーティング方法としては、制限なく多様な方法を用いてもよいが、ディップコーティング(dip coating)方法を用いることが好ましい。ディップコーティングは、コーティング液が入っているタンクに基材を浸漬させてコーティングする方法であり、コーティング液の濃度およびコーティング液タンクから基材を取り出す速度に応じて多孔性コーティング層124の厚さの調節が可能であり、その後、オーブンで乾燥し、多孔性高分子基材123の少なくとも1つの表面に多孔性コーティング層124を形成する。
【0038】
無機物粒子は、電気化学的に安定しさえすれば、特に制限されない。すなわち、本発明に使用可能な無機物粒子は、適用される電極組立体の作動電圧範囲(例えば、Li/Li+を基準として0~5V)で、酸化および/または還元反応が起こらないものであれば、特に制限されない。特に、無機物粒子として誘電率の高い無機物粒子を用いる場合、液体電解質中の電解質塩、例えば、リチウム塩の解離度の増加に寄与し、電解液のイオン伝導度を向上させることができる。
【0039】
このような理由で、前記無機物粒子は、誘電率定数が5以上、好ましくは10以上の高誘電率無機物粒子を含むことが好ましい。誘電率定数が5以上である無機物粒子の非制限的な例としては、BaTiO3、Pb(Zr、Ti)O3(PZT)、Pb1-xLaxZr1-yTiyO3(PLZT、0<x<1、0<y<1)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3(PMN-PT)、ハフニア(HfO2)、SrTiO3、SnO2、CeO2、MgO、NiO、CaO、ZnO、ZrO2、Y2O3、Al2O3、ベーマイト(γ-AlO(OH))、TiO2、SiC、またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0040】
特に、前述したBaTiO3、Pb(Zr、Ti)O3(PZT)、Pb1-xLaxZr1-yTiyO3(PLZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3-PbTiO3(PMN-PT)、およびハフニア(HfO2)のような無機物粒子は、誘電率定数100以上の高誘電率特性を示すだけでなく、一定圧力を印加して引張または圧縮される場合に、電荷が発生して両面の間に電位差が発生する圧電性(Piezoelectricity)を有することで、外部衝撃による両電極11の内部短絡の発生を防止し、電気化学素子の安全性の向上を図ることができる。また、前述した高誘電率無機物粒子とリチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子とを混用する場合、これらの上昇効果が倍加することができる。
【0041】
無機物粒子としては、リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子、すなわち、リチウム元素を含有するが、リチウムを貯蔵せず、リチウムイオンを移動させる機能を有する無機物粒子を用いてもよい。リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子は、粒子構造の内部に存在する一種の欠陥によりリチウムイオンを伝達および移動させることができるため、電池内のリチウムイオン伝導度が向上し、これにより電池性能の向上を図ることができる。リチウムイオン伝達能力を有する無機物粒子の非制限的な例としては、リチウムホスフェート(Li3PO4)、リチウムチタンホスフェート(LixTiy(PO4)3、0<x<2、0<y<3)、リチウムアルミニウムチタンホスフェート(LixAlyTiz(PO4)3、0<x<2、0<y<1、0<z<3)、14Li2O-9Al2O3-38TiO2-39P2O5などのような(LiAlTiP)xOy系ガラス(0<x<4、0<y<13)、リチウムランタンチタネート(LixLayTiO3、0<x<2、0<y<3)、Li3.25Ge0.25P0.75S4などのようなリチウムゲルマニウムチオホスフェート(LixGeyPzSw、0<x<4、0<y<1、0<z<1、0<w<5)、Li3Nなどのようなリチウムナイトライド(LixNy、0<x<4、0<y<2)、Li3PO4-Li2S-SiS2などのようなSiS2系ガラス(LixSiySz、<x<3、0<y<2、0<z<4)、LiI-Li2S-P2S5などのようなP2S5系ガラス(LixPySz、0<x<3、0<y<3、0<z<7)、またはこれらの混合物などが挙げられる。
【0042】
無機物粒子の平均粒径は、特に制限されないが、均一な厚さの多孔性コーティング層124の形成および適切な孔隙率のために、0.001~10μmの範囲であることが好ましい。0.001μm未満である場合には、分散性が低下し得、10μmを超過する場合には、形成される多孔性コーティング層124の厚さが増加して機械的物性が低下し得、また、過度に大きい気孔大きさにより電池の充放電時に内部短絡が起こる確率が高くなる。
【0043】
高分子バインダーは、ガラス転移温度(glass transition temperature、Tg)が-200~200℃の高分子を用いることが好ましく、これは、最終的に形成されるコーティング層124の柔軟性および弾性などのような機械的物性を向上できるためである。
【0044】
また、高分子バインダーは、イオン伝導能力を必ずしも有する必要はないが、イオン伝導能力を有する高分子を用いる場合、電極組立体の性能をさらに向上させることができる。したがって、高分子バインダーは、可能な限り、誘電率定数が高いことが好ましい。実際に電解液における塩の解離度は電解液溶媒の誘電率定数によるため、高分子バインダーの誘電率定数が高いほど、電解質における塩の解離度を向上させることができる。このような高分子バインダーの誘電率定数は1.0~100(測定周波数=1kHz)の範囲のものが使用可能であり、特に10以上のものが好ましい。
【0045】
前述した機能の他に、高分子バインダーは、液体電解液に含浸時にゲル化することで高い電解液膨潤度(degree of swelling)を示せる特徴を有することができる。これにより、溶解度パラメータが15~45MPa1/2の高分子を用いることが好ましく、より好ましい溶解度パラメータは15~25MPa1/2および30~45MPa1/2の範囲である。したがって、ポリオレフィン類のような疎水性高分子よりは、極性基を多く有する親水性高分子を用いることが好ましい。溶解度パラメータが15MPa1/2未満および45MPa1/2を超過する場合、通常の電池用液体電解液により膨潤(swelling)し難いためである。
【0046】
このような高分子バインダーの非制限的な例としては、ポリビニリデンフルオライド-ヘキサフルオロプロピレン(Polyvinylidene fluoride-co-hexafluoropropylene)、ポリビニリデンフルオライド-トリクロロエチレン(Polyvinylidene fluoride-co-trichloroethylene)、ポリメチルメタクリレート(Polymethylmethacrylate)、ポリアクリロニトリル(Polyacrylonitrile)、ポリビニルピロリドン(Polyvinylpyrrolidone)、ポリビニルアセテート(Polyvinylacetate)、エチレンビニルアセテート共重合体(Polyethylene-co-vinyl acetate)、ポリエチレンオキサイド(Polyethylene oxide)、セルロースアセテート(cellulose acetate)、セルロースアセテートブチレート(cellulose acetate butyrate)、セルロースアセテートプロピオネート(cellulose acetate propionate)、シアノエチルプルラン(cyanoethylpullulan)、シアノエチルポリビニルアルコール(cyanoethylPolyvinylalcohol)、シアノエチルセルロース(cyanoethylcellulose)、シアノエチルスクロース(cyanoethylsucrose)、プルラン(pullulan)、カルボキシルメチルセルロース(carboxyl methyl cellulose)などが挙げられる。
【0047】
さらに、高分子バインダーは、PVDF-HFPを含んでもよい。「PVDF-HFP高分子バインダー」とは、ビニリデンフルオライド(Vinylidene Fluoride:VDF)の構成単位、およびヘキサフルオロプロピレン(Hexafluoropropylene:HFP)の構成単位を含むビニリデンフルオライド共重合体を意味する。ただし、高分子バインダーは、これに制限されず、多様な素材を含んでもよい。
【0048】
無機物粒子と高分子バインダーの重量比は、例えば50:50~99:1の範囲が好ましく、より好ましくは70:30~95:5である。高分子バインダーに対する無機物粒子の含量比が50:50未満である場合には、高分子の含量が多くなり、形成されるコーティング層124の気孔大きさおよび気孔度が減少し得る。無機物粒子の含量が99重量部を超過する場合には、高分子バインダーの含量が少ないため、形成されるコーティング層124の耐剥離性が弱化し得る。
【0049】
高分子バインダーの溶媒としては、使用しようとする高分子バインダーと溶解度パラメータが類似し、沸点(boiling point)が低いものが好ましい。これは、均一な混合、およびその後の溶媒の除去を容易にするためである。使用可能な溶媒の非制限的な例としては、アセトン(acetone)、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran)、塩化メチレン(methylene chloride)、クロロホルム(chloroform)、ジメチルホルムアミド(dimethylformamide)、N-メチル-2-ピロリドン(N-methyl-2-pyrrolidone、NMP)、シクロヘキサン(cyclohexane)、水、またはこれらの混合体などが挙げられる。
【0050】
無機物粒子が分散し、かつ、高分子バインダーが溶媒に溶解されたスラリーは、高分子バインダーを溶媒に溶解させた後に無機物粒子を添加し、それを分散させて製造することができる。無機物粒子は、適正大きさに破砕された状態で添加してもよいが、高分子バインダーの溶液に無機物粒子を添加した後、無機物粒子をボールミル法などを用いて破砕しつつ分散させることが好ましい。
【0051】
前述したように、液体状態またはゲル(Gel)状態のスラリーを高分子基材123に塗布した後に固体化させて多孔性コーティング層124が形成されるため、スラリーを平たく均一に塗布しても、表面から或る程度の高さの差dが存在した。特に、中心部125よりもサイド126にスラリーを構成する物質間の引力が大きく作用するため、サイド126におけるスラリーの高さがさらに低く形成された。したがって、
図2に示されたように、セパレータ12のサイド126と中心部125において、このようなスラリーを固体化させた多孔性コーティング層124にも高さの差dが存在するため、電極11を積層して単位セル2を製造しても、セパレータ12の接着力に偏差が発生した。したがって、単位セル2のサイド21の一部に、電極11とセパレータ12が互いに接着されないかまたは不十分に接着される未接着領域22が形成されるという問題があった。
【0052】
図3は、本発明の一実施形態に係る単位セルの製造方法のフローチャートである。
本発明の一実施形態によると、電極11がセパレータシート1211、1221に積層された積層体20において、シーラー14が電極11のコーナーまたは前記電極のエッジのうち少なくとも1つに熱および圧力を印加することで、単位セル2のサイド21における未接着領域22の形成を防止して電極11とセパレータ12の接着力が低下するのを防止することができる。
【0053】
このために、本発明の一実施形態に係る単位セルの製造方法は、電極リール111、112、113から巻き出された電極シート1111、1121、1131を切断して複数の電極11を形成するステップと、セパレータリール121、122から巻き出されたセパレータシート1211、1221に、複数の前記電極11を前記セパレータシート1211、1221の長さ方向に一列に離隔配置して積層することで、積層体20を形成するステップと、前記積層体20において複数の前記電極11の間にシーラー14を配置するステップと、前記シーラー14が前記電極11のコーナーまたは前記電極11のエッジのうち少なくとも1つに熱および圧力を印加するステップと、を含む。
【0054】
以下、
図3のフローチャートに示された各ステップについて
図4~
図7を参照して具体的に説明する。
図4は、本発明の一実施形態に係る単位セルの製造装置1の概略図である。
【0055】
本発明の一実施形態に係る単位セルの製造装置1は、
図4に示されたように、複数の電極11が形成される電極シート1111、1121、1131が巻き出される電極リール111、112、113と、前記電極11と積層されるセパレータシート1211、1221が巻き出されるセパレータリール121、122と、複数の前記電極11が前記セパレータシート1211、1221の長さ方向に一列に離隔配置され、前記セパレータシート1211、1221と積層されて形成された積層体20において、複数の前記電極11の間に配置され、前記電極11のコーナーまたは前記電極11のエッジのうち少なくとも1つに熱および圧力を印加するシーラー14と、を含む。そして、前記電極リールは、複数の中央電極1112が形成される中央電極シート1111が巻き出される中央電極リール111を含み、前記セパレータリール121、122は、前記中央電極シート1111が切断されて形成された中央電極1112の上面に積層される上部セパレータシート1211が巻き出される上部セパレータリール121と、前記中央電極1112の下面に積層される下部セパレータシート1221が巻き出される下部セパレータリール122と、を含むことができる。
【0056】
前述したように単位セル2には、フルセルとバイセルがある。前述したように、仮に、単位セル2がバイセルであれば、中央電極1112は1個などの奇数であってもよく、単位セル2がフルセルであれば、中央電極1112は存在しないかまたは2個などの偶数であってもよい。以下、単位セル2は、電極11が3個で、セパレータ12が2個であるバイセルであるものとして説明する。ただし、これは、説明の便宜のためのものであって、権利範囲を制限しようとするためのものではない。
【0057】
中央電極リール111は中央電極シート1111が巻き取られたリールであり、中央電極シート1111が前記中央電極リール111から巻き出される。仮に単位セル2がA型バイセルであれば、中央電極シート1111は負極シートであり、仮に単位セル2がC型バイセルであれば、中央電極シート1111は正極シートである。このような電極シート1111、1121、1131は、電極集電体上に電極活物質、導電材、およびバインダーのスラリーを塗布した後、それを乾燥し、プレスして製造することができる。
【0058】
上部セパレータリール121および下部セパレータリール122は、セパレータシート1211、1221が巻き取られたリールである。そして、上部セパレータリール121から巻き出された上部セパレータシート1211は、前記中央電極シート1111が切断されて形成された中央電極1112の上面に積層され、下部セパレータリール122から巻き出された下部セパレータシート1221は、中央電極1112の下面に積層される。
【0059】
前記電極リールは、前記上部セパレータシート1211の上面に積層される上部電極1122が形成される、上部電極シート1121が巻き出される上部電極リール112と、前記下部セパレータシート1221の下面に積層される下部電極1132が形成される、下部電極シート1131が巻き出される下部電極リール113と、をさらに含むことができる。
【0060】
上部電極リール112は上部電極シート1121が巻き取られたリールであり、上部電極シート1121が上部電極リール112から巻き出される。そして、下部電極リール113は下部電極シート1131が巻き取られたリールであり、下部電極シート1131が下部電極リール113から巻き出される。単位セル2がフルセルであれば、上部電極1122と下部電極1132は、互いに異なる極性を有する。そして、単位セル2がバイセルであれば、上部電極1122と下部電極1132は、互いに同一の極性を有し、中央電極1112とは逆の極性を有する。仮に単位セル2がA型バイセルであれば、中央電極シート1111は負極シートであるが、上部電極シート1121および下部電極シート1131は正極シートであり、仮に単位セル2がC型バイセルであれば、中央電極シート1111は正極シートであるが、上部電極シート1121および下部電極シート1131は負極シートである。
【0061】
上部電極シート1121が切断されて形成された上部電極1122は、前記上部セパレータシート1211の上面に積層され、下部電極シート1131が切断されて形成された下部電極1132は、前記下部セパレータシート1221の下面に積層される。それにより、下部電極1132、下部セパレータシート1221、中央電極1112、上部セパレータシート1211、および上部電極1122が順に積層された積層体20が形成される。
【0062】
積層体20は、セパレータシート1211、1221に複数の電極11がセパレータシート1211、1221の長さ方向に一列に離隔配置されて積層されることで形成される。この際、上部電極1122、中央電極1112、および下部電極1132は互いに離隔する間隔が異なり得るが、同一極性の電極11同士は互いに大きさが同一であるため、離隔する間隔も常に一定であることが好ましい。そして、上部電極1122、中央電極1112、および下部電極1132らは、いずれも中心が一致するように整列されて配置されることが好ましい。
【0063】
シーラー14は、前記積層体20において複数の前記電極11の間に配置され、前記電極11のコーナーまたは前記電極11のエッジのうち少なくとも1つに熱および圧力を印加する。したがって、電極11のコーナーを含む単位セル2のサイド21に、未接着領域22が形成されるのを防止し、電極11とセパレータ12の接着力が低下するのを防止することができる。シーラー14に関する詳しい説明は後述する。
【0064】
ラミネータは、電極11およびセパレータ12が積層されて形成された前記積層体20の全面をラミネートする。ラミネートとは、積層体20に熱および圧力を印加し、電極11とセパレータ12を接着させることを指す。ラミネータは、
図4に示されたように、前記積層体20の全面に熱および圧力を印加するヒータ15を含むことができ、回転しつつ前記積層体20に圧力を印加する加熱ローラ16をさらに含むことができる。
【0065】
ヒータ15は、上部ヒータ151と下部ヒータ152とから形成され、それぞれ前記積層体20の上面および下面に熱および圧力を印加することができる。このようなヒータ15は、積層体20と接触する面、すなわち、上部ヒータ151の下面および下部ヒータ152の上面が概して平たく形成されることができる。それにより、積層体20の全面に熱および圧力を均一に印加することができる。
【0066】
ヒータ15が積層体20に熱および圧力を印加すると、加熱ローラ16が回転しつつ積層体20に熱および圧力を印加することができる。一般的に、単に平たい面で圧力を印加するヒータ15よりは、回転しつつ圧力を印加する加熱ローラ16が、印加する圧力がさらに大きい。したがって、ヒータ15が積層体20に熱および圧力を印加した後、加熱ローラ16が積層体20にヒータ15よりもさらに大きい熱および圧力を印加することで、積層体20に印加される熱および圧力が段階的に増加することができる。すなわち、前記積層体20が急激な温度および圧力の変化により内部が損傷するのを防止することができる。
【0067】
中央電極シート1111が中央電極リール111から巻き出されると、第1カッタ131が中央電極シート1111をカットする(S301)。すると、複数の中央電極1112が形成される。そして、上部セパレータリール121から上部セパレータシート1211が巻き出され、中央電極1112の上面に積層され、下部セパレータリール122から下部セパレータシート1221が巻き出され、中央電極1112の下面に積層される。
【0068】
一方、上部電極シート1121が上部電極リール112から巻き出されると、第2カッタ132が上部電極シート1121をカットして上部電極1122が形成され、下部電極シート1131が下部電極リール113から巻き出されると、第3カッタ133が下部電極シート1131をカットして下部電極1132が形成される。前記上部電極1122は、上部セパレータシート1211の上面に積層され、前記下部電極1132は、下部セパレータシート1221の下面に積層される。それにより、下部電極1132、下部セパレータシート1221、中央電極1112、上部セパレータシート1211、および上部電極1122が順に積層された積層体20が形成される(S302)。
【0069】
積層体20は、上部電極1122および下部電極1132のうち少なくとも1つが省略されてもよく、さらに、上部セパレータシート1211および下部セパレータシート1221のうち少なくとも1つが省略されてもよい。以下、積層体20は、このような電極11およびセパレータ12が省略されていないものとして説明する。ただし、これは、説明の便宜のためのものであって、権利範囲を制限するためのものではない。
【0070】
積層体20の形成後には、ラミネータが積層体20をラミネートする。前述したように、ラミネータは、ヒータ15および加熱ローラ16を含み、ラミネート時には、ヒータ15が積層体20の全面に熱および圧力を印加した後、加熱ローラ16が回転しつつ前記積層体20に熱および圧力を印加することができる。
【0071】
図5は、本発明の一実施形態に係るシーラー14の斜視図である。
シーラー14は、
図5に示されたように、第1ボディ141と、前記第1ボディ141から垂直に延びて形成される第2ボディ142と、を含む。ここで、第2ボディ142は、第1ボディ141の一端から延びて形成されてもよいが、第1ボディ141の中心から延びて形成されることが好ましい。すなわち、シーラー14は、全体的にT形状を有することができる。それにより、シーラー14の第2ボディ142を中心に、一側に1つの電極11、他側に他の1つの電極11が配置されることで、同時に2個の電極11に熱および圧力を印加することができる。
【0072】
シーラー14の内部には、加熱コイル(図示せず)が含まれる。したがって、シーラー14が積層体20に接触して圧力を印加する際に、加熱コイルから発生した熱も積層体20に印加されることができる。
【0073】
図6は、本発明の一実施形態に係るシーラー14が積層体20に熱および圧力を印加する様子を示した平面図であり、
図7は、本発明の一実施形態に係るシーラー14が積層体20に熱および圧力を印加する様子を示した側面図である。
【0074】
前述したように、セパレータ12のサイド126と中心部125における多孔性コーティング層124の高さの差が存在し得る。したがって、セパレータ12の接着力に偏差が発生し、セパレータ12のサイド126には、電極11が接着されないかまたは不十分に接着される未接着領域22が形成され得る。
【0075】
したがって、本発明の一実施形態によると、積層体20が形成されると、ラミネータが前記積層体20に熱および圧力を印加した後に、
図6に示されたように、前記積層体20において複数の前記電極11の間にシーラー14を配置する(S303)。そして、シーラー14が前記積層体20のサイド21、すなわち、電極11のコーナーまたは前記電極11のエッジのうち少なくとも1つに熱および圧力を印加する(S304)。この際、シーラー14は、複数形成され、前記積層体20の両側にそれぞれ配置され、前記積層体20の両サイド21にそれぞれ熱および圧力を印加することができる。ここで、サイド21とは、積層体20の両端からの長さがそれぞれ全体長さに対して1%~30%の領域であることが好ましく、5%~20%の領域であることがより好ましい。
【0076】
仮に、シーラー14を使用せず、単にラミネータが積層体20の全面に印加する熱および圧力を増加するのであれば、積層体20の中心部がサイド21に比べて過度に圧力を受ける。すると、セパレータ12の多孔性コーティング層124の気孔(Pore)が破壊されて通気度が低下することで、その後に電極11とセパレータ12が電解液に十分に含浸されない。
【0077】
シーラー14は、第1ボディ141および第2ボディ142を含む。シーラー14の第1ボディ141は、前記電極11において、前記積層体20の外側に向かう第1エッジ114に熱および圧力を印加し、第2ボディ142は、前記電極11において、隣り合う他の電極11と対向し、前記第1エッジ114と交差して前記コーナーを形成する第2エッジ115に熱および圧力を印加することができる。
【0078】
第1エッジ114は、電極11の複数のエッジのうち、積層体20の外側に向かうエッジである。そして、シーラー14の第1ボディ141は、このような第1エッジ114と平行な方向に形成される。したがって、第1ボディ141は、積層体20に接触する際に、電極11の第1エッジ114に接触して熱および圧力を印加することができる。
【0079】
第2エッジ115は、電極11の複数のエッジのうち、前記第1エッジ114とともに電極11のコーナーを形成するエッジである。前述したように、積層体20には、セパレータシートの長さ方向に、電極11が一列に離隔配置される。したがって、電極11が互いに隣り合って配置され、第2エッジ115は、隣り合う他の電極11と対向する。そして、シーラー14の第2ボディ142は、このような第2エッジ115と平行な方向に形成される。したがって、第2ボディ142は、積層体20に接触する際に、電極11の第2エッジ115に接触して熱および圧力を印加することができる。
【0080】
シーラー14は、複数形成され、前記積層体20の両側にそれぞれ配置されることができる。それのみならず、積層体20において一列に羅列された電極11の間ごとに配置されてもよい。したがって、
図6に示されたように、積層体20において複数の電極11に同時に熱および圧力を印加し、単位セル2の生産効率が増加することができる。
【0081】
このように本発明の一実施形態によると、複数のシーラー14が電極11のコーナーに熱および圧力を印加してもよい。したがって、単位セル2のサイド21における未接着領域22の形成を防止して電極11とセパレータ12の接着力が低下するのを防止することができる。
【0082】
シーラー14が電極11のコーナーに熱および圧力を印加する場合、第1ボディ141および第2ボディ142がそれぞれ単なる長方形の形状を有してもよい。しかし、シーラー14が電極11のコーナーには熱および圧力を印加せず、電極のエッジ、特に積層体20の両サイド21に含まれる電極のエッジにだけ熱および圧力を印加してもよい。この場合には、電極11のコーナーに対応するシーラー14の部分は、陥没形成されてもよい。この場合にも、積層体20の両サイド21に熱および圧力を印加することができるため、未接着領域22の形成を防止することができる。
【0083】
シーラー14が積層体20のサイド21に熱および圧力を印加した後には、第4カッタ134が積層体20をカットすることで、単位セル2が製造されることができる。
【0084】
図8は、本発明の他の実施形態に係る単位セルの製造装置1aの概略図である。
本発明の他の実施形態によると、
図8に示されたように、ラミネータが含まれない。すなわち、ヒータ15および加熱ローラ16のいずれも含まれない。
【0085】
シーラー14を用いると、積層体20の両サイド21にそれぞれ熱および圧力を印加し、単位セル2のサイド21における未接着領域22の形成を防止することができる。したがって、本発明の他の実施形態によると、ラミネータが積層体20の全面をラミネートしなくても、電極11とセパレータ12が全体的に均一に接着されることができる。それのみならず、ラミネータが含まれないことで、全体的な工程速度が増加し、単位セル2の生産効率が増加することもできる。
【0086】
図9は、本発明のまた他の実施形態に係るシーラー14aの斜視図である。
本発明のまた他の実施形態によると、
図9に示されたように、シーラー14aは、前記第1ボディ141の下面から下方に向かって突出し、前記第1ボディ141の長さ方向に長く形成される第1突出部1431と、前記第2ボディ142の下面から下方に向かって突出し、前記第2ボディ142の長さ方向に長く形成される第2突出部1432と、をさらに含むことができる。
【0087】
図10は、本発明のまた他の実施形態に係るシーラー14aが積層体20aに熱および圧力を印加する様子を示した側面図である。
シーラー14aが積層体20aに熱および圧力を印加する際に、前記第1突出部1431は、前記セパレータシート1211、1221において、前記電極11の前記第1エッジ114から外側に延びた第1領域127に熱および圧力を印加し、前記第2突出部1432は、前記セパレータシート1211、1221において、複数の前記電極11の間に形成された第2領域128に熱および圧力を印加することができる。
【0088】
第1領域127は、積層体20aにおいて、電極11の第1エッジ114から外側に延びた、セパレータシート1211、1221の一部の領域である。電極11の第1エッジ114が積層体20aの外側に向かうため、前記第1領域127も積層体20aの外側に向かう。そして、シーラー14aの第1突出部1431がこのようなセパレータシート1211、1221の第1領域127を加圧し、
図10に示されたように、上部セパレータシート1211と下部セパレータシート1221を接着させる。
【0089】
第2領域128は、積層体20aにおいて、複数の電極11の間に形成された、セパレータシート1211、1221の一部の領域である。すなわち、電極11の第2エッジ115から延びた領域である。そして、シーラー14aの第2突出部1432がこのようなセパレータシート1211、1221の第2領域128を加圧し、上部セパレータシート1211と下部セパレータシート1221を接着させる。
【0090】
第1突出部1431および第2突出部1432が上部セパレータシート1211を加圧して下部セパレータシート1221に容易に接着させるためには、第1突出部1431および第2突出部1432は、中央電極1112および上部電極1122の厚さの和よりも厚く形成されることが好ましい。
【0091】
このように本発明のまた他の実施形態によると、セパレータ12と電極11との間における接着力を向上させるだけでなく、上部セパレータシート1211と下部セパレータシート1221も互いに接着させることで、単位セル2をさらに堅固に形成することができる。
【0092】
本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明がその技術的思想や必須の特徴を変更せず、他の具体的な形態で実施可能であることを理解することができるであろう。したがって、以上で記述された実施形態は、全ての面で例示的なものであって、限定的なものではないことを理解しなければならない。本発明の範囲は上記の詳細な説明よりは後述の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味および範囲、そしてその均等概念から導き出される多様な実施形態が本発明の範囲に含まれるものと解釈しなければならない。
【符号の説明】
【0093】
1:単位セルの製造装置
2:単位セル
11:電極
12:セパレータ
14:シーラー
15:ヒータ
16:ローラ
20:積層体
21:積層体のサイド
22:未接着領域
111:中央電極リール
112:上部電極リール
113:下部電極リール
114:第1エッジ
115:第2エッジ
121:上部セパレータリール
122:下部セパレータリール
123:高分子基材
124:多孔性コーティング層
125:セパレータの中心部
126:セパレータのサイド
127:第1領域
128:第2領域
131:第1カッタ
132:第2カッタ
133:第3カッタ
134:第4カッタ
141:第1ボディ
142:第2ボディ
143:突出部
1431:第1突出部
1432:第2突出部
151:上部ヒータ
152:下部ヒータ
1111:中央電極シート
1121:上部電極シート
1131:下部電極シート
1112:中央電極
1122:上部電極
1132:下部電極
1211:上部セパレータシート
1221:下部セパレータシート