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特許7463652圧電素子および熱電素子を含む円筒形二次電池
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  • 特許-圧電素子および熱電素子を含む円筒形二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】圧電素子および熱電素子を含む円筒形二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/531 20210101AFI20240402BHJP
   H01M 50/533 20210101ALI20240402BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240402BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20240402BHJP
   H01M 10/6572 20140101ALI20240402BHJP
   H01M 10/0587 20100101ALI20240402BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240402BHJP
   H01M 4/13 20100101ALI20240402BHJP
【FI】
H01M50/531
H01M50/533
H01M10/613
H01M10/643
H01M10/6572
H01M10/0587
H01M10/052
H01M4/13
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020546092
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-08
(86)【国際出願番号】 KR2019015460
(87)【国際公開番号】W WO2020111595
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2020-09-25
(31)【優先権主張番号】10-2018-0152912
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム、ミンキュン
(72)【発明者】
【氏名】リー、ソラ
(72)【発明者】
【氏名】リュー、ドゥク ヒュン
【審査官】小川 進
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-209395(JP,A)
【文献】特表平09-503333(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0033064(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0054077(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0015070(KR,A)
【文献】特開2017-098149(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0056494(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/531
H01M 50/533
H01M 50/572
H01M 10/60-10/6572
H01M 10/0587
H01M 10/052
H01M 4/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極、負極、および分離膜を含む円筒形二次電池であって、前記正極は、正極タブを含み、前記正極タブの周縁に圧電素子および正極タブで発生する熱エネルギーが伝達されて冷却される熱電素子が設置された円筒形のリチウム二次電池。
【請求項2】
前記正極タブは、幅に比べて長さが長い長方形の帯形状である、請求項1に記載の円筒形のリチウム二次電池。
【請求項3】
前記圧電素子および前記熱電素子は、前記正極タブの長さ方向に両側周縁にそれぞれ設置された、請求項2に記載の円筒形のリチウム二次電池。
【請求項4】
前記周縁に前記圧電素子および前記熱電素子が設置され得る収納空間が形成された、請求項1から3のいずれか一項に記載の円筒形のリチウム二次電池。
【請求項5】
前記収納空間は、階段状である、請求項4に記載の円筒形のリチウム二次電池。
【請求項6】
正極、負極、および分離膜を含む円筒形二次電池であって、前記正極は、正極タブを含み、前記正極タブの周縁には二次電池の充放電過程で負極に発生する応力を電池エネルギーに変化する圧電素子だけが設置され、前記正極タブの中央部位に熱電素子が設置された、円筒形のリチウム二次電池。
【請求項7】
前記中央部位には前記正極タブの内部に湾入された構造の湾入部が形成された、請求項6に記載の円筒形のリチウム二次電池。
【請求項8】
前記熱電素子は、前記湾入部に収納された、請求項7に記載の円筒形のリチウム二次電池。
【請求項9】
前記圧電素子により生成された電気エネルギーは、前記正極タブを通じて前記熱電素子に伝達される、請求項1から8のいずれか一項に記載の円筒形のリチウム二次電池。
【請求項10】
前記負極は、負極タブを含み、前記負極タブの周縁に前記圧電素子および前記熱電素子が設置された、請求項1から9のいずれか一項に記載の円筒形のリチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年11月30日付韓国特許出願第10-2018-0152912号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、圧電素子および熱電素子を含む円筒形二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
最近、化石燃料の枯渇によるエネルギー源の価格上昇、環境汚染への関心が増幅しつつ、環境にやさしい代替エネルギー源に対する要求が未来の生活のための必須不可欠な要因になってきている。そこで、原子力、太陽光、風力、潮力など多様な電力生産技術に対する研究が続いており、このように生産されたエネルギーをより効率的に用いるための電力貯蔵装置にも大きな関心が持続している。
【0004】
なお、モバイル機器と電気自動車に対する技術開発と需要が増加することに伴いエネルギー源としての電池の需要が急激に増加しており、そのため、多様な要求に応えることができる電池に対する多くの研究が行われている。特に、材料の面では高いエネルギー密度、放電電圧、出力安定性などの長所を有するリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池などのようなリチウム二次電池に対する需要が高い。
【0005】
二次電池は、正極、負極、および正極と負極との間に介される分離膜が積層された構造の電極組立体が如何なる構造からなるかにより分類される。代表的には、長いシート型の正極と負極を分離膜が介された状態で巻き取った構造のジェリーロール型(巻取型)電極組立体、所定の大きさの単位に切り取った多数の正極と負極を分離膜を介した状態で順次に積層したスタック形(積層型)電極組立体などが挙げられ、最近は、前記ジェリーロール型電極組立体およびスタック型電極組立体が有する問題点を解決するために、前記ジェリーロール型とスタック型の混合形態である一歩進んだ構造の電極組立体として、所定単位の正極と負極を分離膜を介した状態で積層した単位セルを分離フィルム上に位置させた状態で順次に巻き取った構造のスタック/フォルディング型電極組立体が開発されている。
【0006】
このような電極組立体を使用目的により、パウチケース、円筒形カン、および角形ケースなどに収納して電池を製造する。
【0007】
このうち、円筒形電池は、製造が容易であり、重量当たりのエネルギー密度が高いという長所を有しており、携帯用コンピュータから電池自動車に至るまで多様な機器のエネルギー源として使用されている。前記エネルギー高密度化の長所を最大限に活用するために負極活物質にケイ素の含有量を増加させる。この時、ケイ素は電池の充放電過程で体積膨張が大きく起こるが、これは負極の反復的な体積膨張過程で電池内部に多くの応力を発生させる。ケイ素に比べて相対的に体積膨張が小さいが、黒鉛も体積膨張をして応力を発生させる。特に、前記応力は正極の段差部に集中するという問題点がある。
【0008】
また、円筒形電池のように高密度および高容量電池の場合、充放電過程で多くの熱エネルギーが発生し、これを効果的に制御しなければならないという問題点がある。
【0009】
したがって、このような問題点を根本的に解決できる技術が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記のような従来技術の問題点と過去から要請されてきた技術的課題を解決することを目的とする。
【0011】
本出願の発明者らは、深い研究と多様な実験を重ねた結果、以下で説明するように、正極タブに圧電素子および熱電素子を設置することによって負極の膨張により発生する応力を電気エネルギーに変換し、これを利用して熱エネルギーを制御することができることを確認して本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このような目的を達成するための本発明による円筒形二次電池は、正極、負極、および分離膜を含み、前記正極は、正極タブを含み、前記正極タブの周縁に圧電素子および熱電素子が形成されてもよい。
【0013】
前記正極タブは、幅に比べて長さが長い長方形の帯形状であってもよい。
【0014】
前記圧電素子および前記熱電素子は、前記正極タブの長さ方向に両側周縁にそれぞれ形成されてもよい。
【0015】
前記周縁に前記圧電素子および前記熱電素子が設置され得る収納空間が形成されてもよい。
【0016】
前記収納空間は、階段状であってもよい。
【0017】
前記周縁には前記圧電素子だけが形成されてもよい。
【0018】
前記正極タブの中央部位に前記熱電素子が形成されてもよい。
【0019】
前記中央部位には前記正極タブの内部に湾入された構造の湾入部が形成されてもよい。
【0020】
前記熱電素子は、前記湾入部に収納されてもよい。
【0021】
前記圧電素子により生成された電気エネルギーは、前記正極タブを通じて前記熱電素子に伝達されてもよい。
【0022】
前記正極に二つ以上の前記正極タブが形成されてもよい。
【0023】
前記負極は、負極集電体上に負極活物質を塗布、乾燥して作製され、必要に応じて、追加の成分が選択的にさらに含まれてもよい。
【0024】
前記負極集電体は、一般に3から500μmの厚さに作られる。このような負極集電体は、当該電池に化学的変化を誘発せずに導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、銅、ステンレススチール、アルミニウム、ニッケル、チタン、焼成炭素、銅やステンレススチールの表面にカーボン、ニッケル、チタン、銀などで表面処理したもの、アルミニウム-カドミウム合金などを用いることができる。また、正極集電体と同様に、表面に微細な凹凸を形成して負極活物質の結合力を強化させることもでき、フィルム、シート、ホイル、ネット、多孔質体、発泡体、不織布体など多様な形態で用いることができる。
【0025】
前記負極活物質としては、例えば、難黒鉛化炭素、黒鉛系炭素などの炭素;LiFe(0≦x≦1)、LiWO(0≦x≦1)、SnMe1-xMe'(Me:Mn、Fe、Pb、Ge;Me':Al、B、P、Si、周期表の第1族、第2族、第3族元素、ハロゲン;0<x≦1;1≦y≦3;1≦z≦8)などの金属複合酸化物;リチウム金属;リチウム合金;ケイ素系合金;スズ系合金;SnO、SnO、PbO、PbO、Pb、Pb、Sb、Sb、Sb、GeO、GeO、Bi、Bi、およびBiなどの金属酸化物;ポリアセンチレンなどの導電性高分子;Li-Co-Ni系材料などを用いることができる。
【0026】
前記負極活物質は、ケイ素の含有量を25%以下で含むことができる。
【0027】
前記負極は、負極タブを含み、前記負極タブの周縁に前記圧電素子および前記熱電素子が形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施例による円筒形二次電池の正極タブに圧電素子および熱電素子が形成されたものを示す平面図である。
図2図1の点線Cにおける断面図である。
図3】本発明の他の一実施例を示す平面図である。
図4図3の点線Cにおける断面図である。
図5図3の点線Cにおける電極タブの断面図である。
図6】本発明の他の一実施例を示す平面図である。
図7図3の点線Cにおける電極タブの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照して本発明の多様な実施例について本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳細に説明する。本発明は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施例に限定されない。
【0030】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り、他の構成要素を除外せず、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0031】
また、明細書全体において、「断面図」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を側方から見た時を意味する。
【0032】
また、明細書全体において、「平面図」という時、これは対象部分を上方から見た時を意味する。
【0033】
また、「圧電素子」および「熱電素子」の構造および作動原理は既に公知の技術であるため、これらについての説明は省略する。
【0034】
図1は本発明の一実施例による円筒形二次電池の正極タブに圧電素子および熱電素子が形成されたものを示す平面図である。図2図1の点線Cにおける断面図である。
【0035】
図1および図2を参照すると、円筒形二次電池100の正極タブ101の周縁A、Bには圧電素子102および熱電素子103が形成されている。説明の便宜のために、図1には正極105が分離膜(図示せず)を間に置いて負極(図示せず)と共に巻き取られる前に正極タブ101が正極105の無地部104に形成されている部位を拡大して示した。
【0036】
正極タブ101は、幅に比べて長さが長い長方形の帯形状であってもよい。長さ方向に両側周縁A、Bに圧電素子102および熱電素子103が形成されてもよい。前述したように、周縁A、Bは円筒形二次電池100の充放電過程で負極(図示せず)の反復的膨張により発生する応力が集中する部分である。このような応力は、圧電素子102を通じて電池エネルギーに変化され得る。そして、前記電池エネルギーは、熱電素子103を作動させて充放電過程で円筒形二次電池100の内部で発生する熱エネルギーを吸収することができる。圧電素子102により生成された電気エネルギーは多様な経路を通じて熱電素子103に伝達され得る。例えば、圧電素子102と熱電素子103を電気的に連結する金属連結部(図示せず)を通じて前記電気エネルギーが伝達され得る。一方、図1から図6に示された実施例では、正極タブ101を通じて圧電素子102により生成された電気エネルギーは熱電素子103に伝達され得る。
【0037】
特に、正極タブ101が形成された部位は、円筒形二次電池100の充放電過程で電流の急激な流れにより多くの熱エネルギーが集中的に発生する部分である。このような熱エネルギーは熱電素子103により吸収されて制御され得る。
【0038】
図3は本発明の他の一実施例を示す平面図である。図4図3の点線Cにおける断面図である。図5図3の点線Cにおける電極タブの断面図である。
【0039】
図3から図5を参照すると、円筒形二次電池200の正極タブ101の両側周縁A、Bに圧電素子102と熱電素子103が装着され得る収納空間110、120が形成されてもよい。収納空間110、120の形態は特に限定されないが、一つの例として、階段状段差の形態で形成されてもよい。圧電素子102の一部または全体が周縁Aの収納空間110に形成されてもよい。また、熱電素子103の一部または全体が周縁Bの収納空間120に形成されてもよい。
【0040】
このような構造を通じて、多様な形状および体積の圧電素子102および熱電素子103が正極タブ101に適用され得るだけでなく、充放電過程で発生するD方向の応力により圧電素子102および熱電素子103が正極タブ101から離脱することを防止することができる。ここで、D方向は、地面を基準として正極105が形成された面と平行な方向において正極タブ101の長さ方向に垂直な方向を意味する。
【0041】
図6は本発明の他の一実施例を示す平面図である。図7図6の点線Cにおける電極タブの断面図である。
【0042】
図6および図7を参照すると、円筒形二次電池300の正極タブ101の周縁A、Bには圧電素子102が形成され、正極タブ101の中央部位に熱電素子103が形成されてもよい。
【0043】
前述したように、周縁A、Bは円筒形二次電池300の充放電過程で負極(図示せず)の反復的膨張により発生する応力が集中する部分である。したがって、周縁A、Bに圧電素子102だけを設置してより多くの電池エネルギーを確保することができる。そして、前記電池エネルギーで熱電素子103を作動させて高容量および高出力の円筒形二次電池300で発生する高い熱エネルギーを容易に制御することができる。
【0044】
正極タブ101の両側周縁A、Bには圧電素子102が装着され得る収納空間110、120が形成されてもよい。収納空間110、120の形態は特に限定されないが、一つの例として、階段状段差の形態で形成されてもよい。圧電素子102の一部または全体が周縁A、Bの収納空間110、120に形成されてもよい。
【0045】
正極タブ101の中央部位には熱電素子103が収納され得る湾入部130が形成されてもよい。湾入部130は、正極タブ101の内部に湾入された構造から形成されてもよく、熱電素子103の一部または全体が湾入部130に収納されてもよい。このような構造を通じて、多様な形状および体積の熱電素子103が正極タブ101に適用され得る。また、熱電素子103が正極タブ101に接触する面積を最大化して正極タブ101で発生する熱エネルギーが熱電素子103に迅速に伝達されて冷却され得る。
【0046】
変形例として、前述した圧電素子102と熱電素子103は、負極タブ(図示せず)にも同様に適用され得る。
【0047】
本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、前述の内容に基づいて本発明の範疇内で多様な応用および変形を行うことが可能であろう。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上で説明したとおり、本発明の実施例による二次電池は、正極タブに圧電素子および熱電素子を形成することによって、負極の膨張過程で発生する応力を圧電素子を利用して電気エネルギーに変化させ、発生した電気エネルギーを用いて熱電素子を作動させて電池内部で発生した熱エネルギーを制御することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7