(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】プリント回路基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
H05K3/46 L
H05K3/46 X
(21)【出願番号】P 2019104887
(22)【出願日】2019-06-04
【審査請求日】2021-11-04
(31)【優先権主張番号】10-2019-0024744
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、ヤン-ジェ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ジュン-フーン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ヒュン-キュン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、キ-ウン
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104735899(CN,A)
【文献】特開2007-123743(JP,A)
【文献】特開2004-031682(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0220535(US,A1)
【文献】特開2013-098536(JP,A)
【文献】特表2012-514859(JP,A)
【文献】国際公開第2010/073780(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屈曲性のある第1軟性フィルム層を備えた軟性基板部と、
前記軟性基板部に接続され、前記軟性基板部よりも厚く形成された硬性基板部と、を含み、
前記硬性基板部は、
前記軟性基板部に向く側面に外部に露出され、前記軟性基板部の一面の上に配置され、互いに離隔して高さの異なる層に形成された複数の金属層を含み、
前記複数の金属層は、
前記硬性基板部の内部において前記第1軟性フィルム層に隣接して形成され、前記硬性基板部の側面に露出する第1ストッパ層と、
前記硬性基板部の側面に露出するように前記硬性基板部に形成され、前記第1軟性フィルム層から離隔して形成された第2ストッパ層と、を含
み、
前記第1軟性フィルム層は、前記硬性基板部の内部に延長され、
前記硬性基板部は、厚さ方向を基準にして中心部に配置された補強層を含み、
前記補強層は、前記第1ストッパ層と前記第2ストッパ層との間に配置された、プリント回路基板。
【請求項2】
屈曲性のある第1軟性フィルム層を備えた軟性基板部と、
前記軟性基板部に接続され、前記軟性基板部よりも厚く形成された硬性基板部と、を含み、
前記硬性基板部は、
前記軟性基板部に向く側面に外部に露出され、前記軟性基板部の一面の上に配置され、互いに離隔して高さの異なる層に形成された複数の金属層を含み、
前記複数の金属層は、
前記硬性基板部の内部において前記第1軟性フィルム層に隣接して形成され、前記硬性基板部の側面に露出する第1ストッパ層と、
前記硬性基板部の側面に露出するように前記硬性基板部に形成され、前記第1軟性フィルム層から離隔して形成された第2ストッパ層と、を含み、
前記軟性基板部の一面の最外層は、接着層であり、
前記接着層の硬化度を調整して前記軟性基板部の屈曲性を調整する、プリント回路基板。
【請求項3】
屈曲性のある第1軟性フィルム層を備えた軟性基板部と、
前記軟性基板部に接続され、前記軟性基板部よりも厚く形成された硬性基板部と、を含み、
前記硬性基板部は、
前記軟性基板部に向く側面に外部に露出され、前記軟性基板部の一面の上に配置され、互いに離隔して高さの異なる層に形成された複数の金属層を含み、
前記複数の金属層は、
前記硬性基板部の内部において前記第1軟性フィルム層に隣接して形成され、前記硬性基板部の側面に露出する第1ストッパ層と、
前記硬性基板部の側面に露出するように前記硬性基板部に形成され、前記第1軟性フィルム層から離隔して形成された第2ストッパ層と、を含み、
前記硬性基板部は、
前記軟性基板部の前記一面の上において、高さの異なる層に形成された複数の硬性絶縁層を含む、プリント回路基板。
【請求項4】
前記第1軟性フィルム層は、前記硬性基板部の内部に延長される、請求項2または3に記載のプリント回路基板。
【請求項5】
前記硬性基板部は、厚さ方向を基準にして中心部に配置された補強層を含み、
前記補強層は、前記第1ストッパ層と前記第2ストッパ層との間に配置された、請求項4に記載のプリント回路基板。
【請求項6】
前記補強層の上に、前記第2ストッパ層が形成された請求項
1または5に記載のプリント回路基板。
【請求項7】
前記硬性基板部は、
前記補強層を基準にして前記第1軟性フィルム層に対応して配置された第2軟性フィルム層をさらに含む請求項
1、5または6のいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【請求項8】
前記硬性基板部の側面には、階段状の段差部が形成され、
前記第2ストッパ層は、前記段差部の上面に配置される請求項
1、または4から7のいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【請求項9】
前記硬性基板部は、互いに離隔しており、前記軟性基板部により接続された第1硬性基板部及び第2硬性基板部を含み、
前記第1硬性基板部と前記第2硬性基板部とが対向する面には、それぞれ前記複数の金属層が形成され、互いに向い合うように配置された請求項1
から8のいずれか一項に記載のプリント回路基板。
【請求項10】
前記硬性基板部は、
前記硬性基板部の内部において形成され、前記硬性基板部の側面に露出しない複数の硬性回路層を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載のプリント回路基板。
【請求項11】
一面及び他面にそれぞれ第1ストッパ層と第2ストッパ層とが互いに対向して形成された硬性積層板を形成する段階と、
前記硬性積層板の一面に軟性回路層を積層して軟性積層部を形成し、前記硬性積層板の他面に硬性回路層を積層して硬性積層部を形成する段階と、
第1加工により前記第2ストッパ層まで前記硬性積層部を除去した後に、第2加工を行い前記第1ストッパ層まで前記硬性積層部を除去して前記軟性積層部を露出させる段階と、を含むプリント回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記第1加工及び前記第2加工は、レーザー加工を含み、
前記第1ストッパ層及び前記第2ストッパ層は、金属層である請求項11に記載のプリント回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記軟性積層部を露出させる段階は、
前記第1加工の後に前記第2ストッパ層の露出された部分をエッチングし、
前記第2加工の後に前記第1ストッパ層の露出された部分をエッチングする請求項12に記載のプリント回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板(Printed Circuit Board)及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大容量の超高速転送のための5G通信サービスについての市場の拡大により、低損失硬軟性(Rigid-Flex)プリント回路基板に対する必要性が増大している。
【0003】
しかし、5G通信に必要な硬軟性プリント回路基板は、微細な回路を実現するためにMSAP(Modified Semi-Additive Process)等の工法を必要とし、軟性基板部に対する硬性基板部の大きな高さの差を要求するので、製品の実現及び収率確保が困難であるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一側面によれば、屈曲性のある第1軟性フィルム層を備えた軟性基板部と、軟性基板部に接続され、軟性基板部よりも厚く形成された硬性基板部と、を含み、硬性基板部は、軟性基板部に向く側面から外部に露出し、軟性基板部の一面上に配置され、互いに離隔して高さの異なる層に形成された複数の金属層を含むプリント回路基板が提供される。
【0006】
本発明の他の側面によれば、一面及び他面のそれぞれに第1ストッパ層と第2ストッパ層とが互いに対向して形成された硬性積層板を形成する段階と、硬性積層板の一面に軟性回路層を積層して軟性積層部を形成し、硬性積層板の他面に硬性回路層を積層して硬性積層部を形成する段階と、第1加工により第2ストッパ層まで硬性積層部を除去した後に、第2加工により第1ストッパ層まで硬性積層部を除去して軟性積層部を露出させる段階と、を含むプリント回路基板の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施例に係るプリント回路基板を示す図である。
【
図2】本発明の一実施例に係るプリント回路基板において第1ストッパ層及び第2ストッパ層を拡大した写真である。
【
図3】本発明の他の実施例に係るプリント回路基板を示す図である。
【
図4】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
【
図6】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
【
図7】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
【
図8】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
【
図9】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
【
図10】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
【
図11】本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
【
図12】本発明の他の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明に係るプリント回路基板及びその製造方法の実施例を添付図面を参照して詳細に説明し、添付図面を参照して説明するに当たって、同一または対応する構成要素には同一の図面符号を付し、これに対する重複説明を省略する。
【0009】
また、以下で使用する「第1」、「第2」等の用語は、同一または対応する構成要素を区別するための識別記号に過ぎず、同一または対応する構成要素が、第1、第2等の用語により限定されることはない。
【0010】
また、「結合」とは、各構成要素間の接触関係において、各構成要素間に物理的に直接接触する場合のみを意味するものではなく、他の構成が各構成要素の間に介在され、その他の構成に構成要素がそれぞれ接触している場合まで包括する概念として使用する。
【0011】
<プリント回路基板>
図1は、本発明の一実施例に係るプリント回路基板を示す図である。
【0012】
図1を参照すると、本発明の一実施例に係るプリント回路基板100は、軟性基板部Fと、硬性基板部R1、R2と、を含み、硬性基板部R1、R2は、硬性基板部の側面120a、102bに露出した複数の金属層121、122を含む。
【0013】
軟性基板部Fは、プリント回路基板において曲げることが可能な部分であって、屈曲性のある第1軟性フィルム層114を備える。軟性基板部Fは、第1軟性フィルム層114に回路パターンが形成された軟性回路層を含むことができる。
【0014】
図1を参照すると、本実施例の軟性基板部Fは、一対の硬性基板部R1、R2を接続する構造に形成されることができる。このとき、軟性基板部Fを構成する第1軟性フィルム層114は、硬性基板部R1、R2の内部に延長した構造を有し、硬性基板部R1、R2の一部を構成することができる。本実施例において第1軟性フィルム層114は、ポリイミド(polyimide)フィルム層を含み、接着層112に結合することができる。
【0015】
硬性基板部R1、R2は、プリント回路基板において曲げることを予定していない部分であって、硬い材質の絶縁層を備えることができる。硬性基板部R1、R2は、軟性基板部Fに接続され、本実施例のプリント回路基板は、リジッド-フレックス構造のプリント回路基板(rigid-flex PCB)の構造を有することができる。また、硬性基板部R1、R2は、軟性基板部Fよりも厚く形成されることができる。
【0016】
例えば、ポリイミド(polyimide)フィルム等の軟性フィルム層及び銅箔(copper foil)で構成されたFCCL(Flexible Copper Clad Laminate)が積層されて、銅箔は、パターニングされ、曲げることが可能な軟性回路層を形成することができ、軟性回路層の上に、部分的にエポキシのプリプレグ(prepreg)等の硬性絶縁層(軟性フィルム層に比べて硬い絶縁層)をさらに形成して、軟性回路層よりも硬い材質の硬性回路層を形成することができる。これにより、軟性基板のみで構成された部分は曲げることが可能な軟性基板部Fとなり、その他は硬性基板部R1、R2となるリジッド-フレックス構造のプリント回路基板を形成することができる。ここで、軟性及び硬性とは、互いに対する相対的な差を示す意味であって、使用者に意図により曲げることが可能な程度の強度を有する材質を軟性材質といい、この曲げることが可能ではないものを硬性材質という。
【0017】
本実施例において、硬性基板部R1、R2は、2つの基板領域、すなわち、第1硬性基板部R1及び第2硬性基板部R2を有することができる。このとき、第1硬性基板部R1と第2硬性基板部R2とは離隔しており、軟性基板部Fにより接続されることができる。これにより、第1硬性基板部R1-軟性基板部F-第2硬性基板部R2が連続して接続された構造を有することができる。
【0018】
特に、本実施例において硬性基板部R1、R2は、軟性基板部Fに向く側面に、外部に露出された構造で形成された複数の金属層121、122を備えることができる。このとき、硬性基板部R1、R2の側面にある複数の金属層121、122は、軟性基板部Fの一面の上に配置され、互いに離隔して高さの異なる層に分離して配置されることができる。すなわち、複数の金属層121、122は、軟性基板部Fを基準にして一方向にいずれも配置されており、互いに異なる層に形成され、基板の厚さ方向において離れて配置されることができる。
【0019】
図1を参照すると、本実施例の硬性基板部R1、R2は、軟性基板部Fよりも厚く形成され、厚さ方向を基準にして一側(図面では、上側方向)が他側(図面では、下側方向)よりも軟性基板部Fに対して大きな高さの差を有する構造を有する。大きな高さの差を有する硬性基板部R1、R2の一側にある側面に露出する複数の金属層121、122が形成される。
【0020】
本実施例において複数の金属層は、第1ストッパ層121と、第2ストッパ層122と、を含むことができる。第1ストッパ層121は、軟性基板部Fに隣接して形成され、第2ストッパ層122は、軟性基板部Fから離れて形成されることができる。
【0021】
例えば、第1ストッパ層121は、硬性基板部R1、R2の内部に延長した第1軟性フィルム層114上の接着層112に形成されることができ、第2ストッパ層122は、硬性基板部R1、R2において第1ストッパ層121よりも上の絶縁層に、離れて形成されることができる。第1ストッパ層121及び第2ストッパ層122は、いずれも硬性基板部R1、R2に埋め込まれた構造であるが、端面が硬性基板部R1、R2の側面(軟性基板部Fに向く側面)に露出する。
【0022】
また、本実施例において硬性基板部R1、R2は、軟性基板部Fに接続された第1硬性基板部R1及び第2硬性基板部R2を有し、それぞれの硬性基板部R1、R2に形成された複数の金属層121、122が互いに向い合って配置されることができる。
【0023】
図1を参照すると、第1硬性基板部R1において軟性基板部Fに向く側面120aと、第2硬性基板部R2において軟性基板部Fに向く側面120bとは、互いに対向して配置されることができる。このとき、それぞれの側面に形成された複数の金属層121、122である第1ストッパ層121及び第2ストッパ層122は、互いに向い合って配置されることができる。
【0024】
また、軟性基板部Fに対して小さな高さの差を有する硬性基板部R1、R2の他側の側面には、第3ストッパ層123が形成されることができる。
【0025】
一方、硬性基板部R1、R2は、基板の強度を高めるコア層を含むことができる。
【0026】
図1を参照すると、硬性基板部R1、R2は、厚さ方向を基準にして中心部に配置されている補強層125を含んでコア層を形成することができる。補強層125は、炭素繊維やガラス繊維等の繊維強化材にエポキシ樹脂等の液状合成樹脂を浸透させた複合材で形成されることができる。
【0027】
このとき、補強層125は、第1ストッパ層121と第2ストッパ層122との間に配置されることができる。例えば、第1ストッパ層121は、硬性基板部R1、R2の内部に延長された第1軟性フィルム層114上に形成され、補強層125上には、第2ストッパ層122が形成されることができる。
【0028】
また、硬性基板部R1、R2は、補強層125を基準にして第1軟性フィルム層114に対応して配置された第2軟性フィルム層127をさらに含むことができる。
【0029】
図1を参照すると、補強層125を挟んで第1軟性フィルム層114と第2軟性フィルム層127とが対称的な構造を有することができる。この構造は、硬性基板部R1、R2が中心層を基準にして対称的な構造を有するようにし、反りを最小化することができる。
【0030】
一方、硬性基板部R1、R2の側面には、階段状の段差部126が形成されることができる。
【0031】
図2は、本発明の一実施例に係るプリント回路基板における第1ストッパ層及び第2ストッパ層を拡大した写真である。
【0032】
図2を参照すると、第2ストッパ層122が形成された絶縁層において側面境界線が段差を形成することができる。すなわち、硬性基板部R1、R2の側面には、階段状の段差部126が形成でき、第2ストッパ層122は、段差部126の上面に配置されることができる。
【0033】
一方、本実施例の軟性基板部Fは、最外層として接着層112を備えることができる。
【0034】
図1を参照すると、軟性基板部Fの一面の最外層は、接着層112であり得る。接着層112は、硬化の程度に応じて硬度が変わるので、露出する最外層である接着層112の硬化度を調整し、軟性基板部Fの屈曲性を調整することができる。
【0035】
また、軟性基板部Fの最外層には、接着層112が形成されないことも可能である。
【0036】
図3は、本発明の他の実施例に係るプリント回路基板を示す図である。
【0037】
図3を参照すると、本実施例のプリント回路基板100'において、接着層112は、硬性基板部R1、R2にのみ設けられ、軟性基板部Fの最外層が軟性フィルム層となるように構成することができる。
【0038】
<プリント回路基板の製造方法>
図4~
図11は、本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
【0039】
図4~
図11を参照すると、本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造方法は、硬性積層板を形成する段階と、軟性積層部110及び硬性積層部120を形成する段階と、軟性積層部110を露出させる段階と、を含む。
【0040】
硬性積層板を形成する段階においては、一面及び他面にそれぞれ第1ストッパ層121'及び第2ストッパ層122'が互いに対向するように形成された硬性積層板を形成する。
【0041】
図4及び
図5を参照すると、補強層125の両面にそれぞれ第1ストッパ層121'及び第2ストッパ層122'を形成して硬性積層板を形成することができる。補強層125は、繊維強化材にエポキシ樹脂等の液状合成樹脂を浸透させた複合材で形成することができる。
【0042】
図4を参照すると、補強層125の他面に、第2ストッパ層122'を含むメッキ層を形成することができる。第2ストッパ層122'は、軟性基板部Fが形成された領域よりも広く形成される。
【0043】
図5を参照すると、補強層125の一面に第1ストッパ層121'を含む他のメッキ層を形成することができる。第1ストッパ層121'は、第2ストッパ層122'に対応して形成され、軟性基板部Fの形成された領域よりも広く形成される。このとき、第1ストッパ層121'は、補強層125の他面上に直接形成されるか、補強層125の他面に積層された絶縁層に形成されることができる。
【0044】
また、第1ストッパ層121'及び/または第2ストッパ層122'を形成するメッキ層の一部は、硬性基板部R1、R2の回路パターンとなることができる。
【0045】
軟性積層部110及び硬性積層部120を形成する段階は、硬性積層板の一面に軟性回路層を積層して軟性積層部110を形成し、硬性積層板の他面に硬性回路層を積層して硬性積層部120を形成する。
【0046】
図6を参照すると、第1ストッパ層121'の形成された硬性積層板の一面に、屈曲性のある第1軟性フィルム層114を積層することができる。第1軟性フィルム層114に回路パターンを形成して軟性回路層を形成することができる。このとき、軟性回路層で構成された軟性積層部110は、基板の全面に形成され、軟性積層部110において硬性基板部R1、R2に配置された部分は、硬性基板部R1、R2の一部となることができる。また、第1軟性フィルム層114は、ポリイミド(polyimide)フィルム層を含み、接着層112に結合することができる。
【0047】
第2ストッパ層122'の形成された硬性積層板の一面には、エポキシのプリプレグ(prepreg)等の硬性絶縁層(軟性フィルム層に比べて硬い絶縁層)を積層することができる。硬性絶縁層に硬性基板部R1、R2の回路パターンが形成され、硬性回路層となることができる。このとき、軟性基板部Fを形成する領域にある硬性絶縁層は除去される部分であるため、回路パターン等が形成されなくてもよい。
【0048】
また、硬性積層部120は、補強層125を基準にして第1軟性フィルム層114に対応して配置された第2軟性フィルム層127をさらに含むことができる。補強層125を挟んで第1軟性フィルム層114と第2軟性フィルム層127とが対称的な構造を有することができる。この構造は、硬性基板部R1、R2が中心層を基準にして対称的な構造を有するようにし、反りを最小化することができる。
【0049】
また、軟性回路層に、さらに第3ストッパ層123が形成され、硬性積層部130をさらに形成することができる。
【0050】
軟性積層部110を露出させる段階では、第1加工で硬性積層部120を第2ストッパ層122'まで除去し、その後、第2加工で第1ストッパ層121'まで硬性積層部120を除去する。
【0051】
図7を参照すると、第1加工で硬性積層板の一面にある硬性積層部120を第2ストッパ層122'まで除去する。第1加工は、レーザー加工を含み、軟性基板部Fの境界に沿って硬性積層部120を第2ストッパ層122'の手前まで切断することができる。これにより、軟性基板部Fの領域において硬性積層部120は第2ストッパ層122'の手前まで切断され除去されることができる。第2ストッパ層122'は、金属で形成されたメッキ層であり、軟性基板部Fの領域よりも大きく形成されるので、レーザー加工を停止させるストッパの役割を担うことができる。
【0052】
このとき、レーザー加工により、第3ストッパ層123'上に形成された硬性回路層を除去することができる。レーザー加工により、軟性基板部Fの境界に沿って第3ストッパ層123'上に形成された硬性積層部120を第3ストッパ層123'の手前まで切断することができる。
【0053】
図8を参照すると、レーザー加工後に第2ストッパ層122'の露出された部分をエッチングする。軟性基板部Fの領域においての第2ストッパ層122'を除去し、軟性基板部Fの領域に対する第2加工を可能とすることができる。このとき、第2ストッパ層122'は、軟性基板部Fの領域よりも大きく形成されるので、第2ストッパ層122'において硬性基板部R1、R2の領域に位置した部分122が残って硬性基板部R1、R2の絶縁層に埋め込まれ、端面が硬性基板部R1、R2の切断面に露出される。
【0054】
このとき、第3ストッパ層123'の露出された部分もエッチングすることができる。第3ストッパ層123'の露出した部分が除去されると、下の軟性積層部110が露出される。このとき、第3ストッパ層123'も硬性基板部R1、R2の領域に位置した部分123は残って硬性基板部R1、R2の絶縁層に埋め込まれ、端面が硬性基板部R1、R2の切断面に露出される。
【0055】
図9を参照すると、第2加工により、第1ストッパ層121'まで硬性積層部120を除去する。第2加工は、レーザー加工を含み、軟性基板部Fの境界に沿って硬性積層部120を第1ストッパ層121'の手前まで切断することができる。このとき、補強層125も切断されることができる。これにより、軟性基板部Fの領域において硬性積層部120は、第1ストッパ層121'の手前まで切断されて除去されることができる。第1ストッパ層121'は、金属で形成されたメッキ層であり、軟性基板部Fの領域よりも大きく形成されるため、レーザー加工を停止させるストッパの役割を担うことができる。
【0056】
図10を参照すると、レーザー加工の後に、第1ストッパ層121'の露出した部分をエッチングし、軟性積層部110を露出させることができる。このとき、第1ストッパ層121'は、軟性基板部Fの領域よりも大きく形成されるため、第1ストッパ層121において硬性基板部R1、R2の領域に位置した部分121が残って硬性基板部R1、R2の絶縁層に埋め込まれ、端面が硬性基板部R1、R2の切断面に露出される。
【0057】
図11を参照すると、さらに硬性基板部の外層にソルダーレジスト層129を積層することができる。
【0058】
上述したように、本発明の実施例では、軟性基板部Fの領域に対して2回のレーザー加工を行い、硬性基板部R1、R2と軟性基板部Fとの高さの差の大きい硬軟性(Rigid-Flex)プリント回路基板を形成することができる。これにより、軟性基板部Fに対する硬性基板部R1、R2の大きな高さの差を必要とする5G通信用アンテナモジュール基板を実現することができる。
【0059】
さらに、本発明に係る製造方法は、絶縁層を積層する際に、事前に打ち抜かれた部分を必要としないので、絶縁層の平坦度を高く維持することができる。これにより、微細な回路を実現するためのMSAP(Modified Semi-Additive Process)等の工法が可能であるという利点がある。
【0060】
一方、
図12は、本発明の他の実施例に係るプリント回路基板の製造方法を説明するための図である。
図12は、
図2のように、外層に接着層112のない軟性基板部Fを形成するための製造方法を提示する。
【0061】
図12を参照すると、第1ストッパ層121'上に第1軟性フィルム層114を積層する際に、第1ストッパ層121'に付着される接着層112において軟性基板部Fに該当する領域Pは、接着層112を事前に除去することができる。これにより、第1ストッパ層121'が除去された後の軟性基板部Fの最外層に接着層112を残さないことが可能となる。この場合にも、補強層125により、第2ストッパ層122'の以後に積層される硬性積層部120が支持されるので、接着層112が打ち抜かれるかどうかに関係なく、絶縁層の平坦度を高く維持することができる。
【0062】
以上では、本発明の一実施例について説明したが、当該技術分野で通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の思想から逸脱しない範囲内で、構成要素の付加、変更、削除または追加等により本発明を様々に修正及び変更することができ、これも本発明の権利範囲内に含まれるものといえよう。
【符号の説明】
【0063】
F 軟性基板部
R1、R2 硬性基板部
110 軟性積層部
112 接着層
114 第1軟性フィルム層
120、130 硬性積層部
121 第1ストッパ層
122 第2ストッパ層
123 第3ストッパ層
125 補強層
126 段差部
127 第2軟性フィルム層