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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】スライドドア用駆動装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/643 20150101AFI20240402BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
E05F15/643
B60J5/06 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021561389
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 JP2020043509
(87)【国際公開番号】W WO2021106807
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2023-08-18
(31)【優先権主張番号】P 2019214746
(32)【優先日】2019-11-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 拓也
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-133449(JP,A)
【文献】特開2009-127336(JP,A)
【文献】特開2007-327220(JP,A)
【文献】国際公開第2015/093514(WO,A1)
【文献】特開2014-181544(JP,A)
【文献】特開2009-68220(JP,A)
【文献】特開2018-3426(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0260795(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 15/00-15/79
B60J 5/00- 5/14
H02P 23/18
H02P 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源と、
スライドドアを開閉する動力を出力するモータと、
前記電源と前記モータとを接続するモータ駆動回路と、
前記モータ駆動回路を制御する制御装置と、を備えるスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、
前記電源から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置と、
前記電源と前記電力変換装置との間に配置されたシャント抵抗と、を備え、
前記制御装置は、前記シャント抵抗の出力に基づいて前記モータの回転角度を取得する、スライドドア用駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記シャント抵抗は、前記電源の負極側と前記電力変換装置の負極側との間に配置されている、スライドドア用駆動装置。
【請求項3】
請求項1に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記制御装置は、前記シャント抵抗の出力に基づいて取得した前記モータの回転角度に応じて、前記電力変換装置を制御する、スライドドア用駆動装置。
【請求項4】
請求項1に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記制御装置は、前記シャント抵抗の出力に基づいて異物の挟み込みを判定する、スライドドア用駆動装置。
【請求項5】
請求項4に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記モータは、ロータの回転位置に応じた信号を出力する位置センサをさらに備え、
前記制御装置は、
前記位置センサの出力に基づいて前記スライドドアの位置を取得し、
前記シャント抵抗の出力が、前記スライドドアの位置に応じた閾値となった場合に、前記異物の挟み込みを判定する、スライドドア用駆動装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、
前記電源の正極側と前記電力変換装置の正極側との間に配置され、前記電源と前記電力変換装置との間の電力伝達経路を開閉するスイッチを備え、
前記制御装置は、前記モータの非駆動時に、前記シャント抵抗の出力が第1所定値となった場合に、前記スイッチを閉状態として前記電源を充電する第1ブレーキ制御を実行する、スライドドア用駆動装置。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、
前記電源の正極側と前記電力変換装置の正極側との間に配置され、前記電源と前記電力変換装置との間の電力伝達経路を開閉するスイッチを備え、
前記電力変換装置は、
第1ハイサイド・トランジスタと、第1ローサイド・トランジスタと、前記第1ハイサイド・トランジスタと前記第1ローサイド・トランジスタを直列接続する第1ノードとを備えた第1支流回路と、
第2ハイサイド・トランジスタと、第2ローサイド・トランジスタと、前記第2ハイサイド・トランジスタと前記第2ローサイド・トランジスタを直列接続する第2ノードとを備えた第2支流回路と、
第3ハイサイド・トランジスタと、第3ローサイド・トランジスタと、前記第3ハイサイド・トランジスタと前記第3ローサイド・トランジスタを直列接続する第3ノードとを備えた第3支流回路と、
前記第1支流回路と前記第2支流回路と前記第3支流回路とを並列接続する第4ノードと第5ノードと、を備え、
前記モータは、三相交流モータであって、ステータコイルが前記第1ノードと前記第2ノードと前記第3ノードとにデルタ結線され、
前記電源は、前記第4ノードと前記第5ノードとに接続され、
前記制御装置は、
前記モータの非駆動時に、前記シャント抵抗の出力が第2所定値となった場合に、前記スイッチを開状態にするとともに、
前記第1ハイサイド・トランジスタ、前記第2ハイサイド・トランジスタ、及び前記第3ハイサイド・トランジスタを開状態とし、且つ、前記第1ローサイド・トランジスタ、前記第2ローサイド・トランジスタ、及び前記第3ローサイド・トランジスタの少なくとも一つを閉状態とする、又は、
前記第1ローサイド・トランジスタ、前記第2ローサイド・トランジスタ、及び前記第3ローサイド・トランジスタを開状態とし、且つ、前記第1ハイサイド・トランジスタ、前記第2ハイサイド・トランジスタ、及び前記第3ハイサイド・トランジスタの少なくとも一つを閉状態とする第2ブレーキ制御を実行する、スライドドア用駆動装置。
【請求項8】
請求項7に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記制御装置は、
前記第2ブレーキ制御において、前記シャント抵抗の出力が高いほど、前記閉状態とするトランジスタの数を増やす、スライドドア用駆動装置。
【請求項9】
請求項7に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記第2ブレーキ制御において、前記シャント抵抗の出力が高いほど、前記閉状態となるデューティ比を増やす、スライドドア用駆動装置。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、
前記電源の正極側と前記電力変換装置の正極側との間に配置され、前記電源と前記電力変換装置との間の電力伝達経路を開閉するスイッチを備え、
前記制御装置は、
前記モータの非駆動時に、前記シャント抵抗の出力が第3所定値となった場合に、前記スイッチを閉状態として前記スライドドアの移動を規制する方向に前記モータを駆動する第3ブレーキ制御を実行する、スライドドア用駆動装置。
【請求項11】
請求項1~5のいずれか一項に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、
前記電源の正極側と前記電力変換装置の正極側との間に配置され、前記電源と前記電力変換装置との間の電力伝達経路を開閉するスイッチを備え、
前記電力変換装置は、
第1ハイサイド・トランジスタと、第1ローサイド・トランジスタと、前記第1ハイサイド・トランジスタと前記第1ローサイド・トランジスタを直列接続する第1ノードとを備えた第1支流回路と、
第2ハイサイド・トランジスタと、第2ローサイド・トランジスタと、前記第2ハイサイド・トランジスタと前記第2ローサイド・トランジスタを直列接続する第2ノードとを備えた第2支流回路と、
第3ハイサイド・トランジスタと、第3ローサイド・トランジスタと、前記第3ハイサイド・トランジスタと前記第3ローサイド・トランジスタを直列接続する第3ノードとを備えた第3支流回路と、
前記第1支流回路と前記第2支流回路と前記第3支流回路とを並列接続する第4ノードと第5ノードと、を備え、
前記モータは、三相交流モータであって、ステータコイルが前記第1ノードと前記第2ノードと前記第3ノードとにデルタ結線され、
前記電源は、前記第4ノードと前記第5ノードとに接続され、
前記制御装置は、前記モータの非駆動時に、
前記シャント抵抗の出力が第1所定値となった場合に、前記スイッチを閉状態として前記電源を充電する第1ブレーキ制御を実行可能に構成され、
前記シャント抵抗の出力が第2所定値となった場合に、前記スイッチを開状態にするとともに、
前記第1ハイサイド・トランジスタ、前記第2ハイサイド・トランジスタ、及び前記第3ハイサイド・トランジスタを開状態とし、且つ、前記第1ローサイド・トランジスタ、前記第2ローサイド・トランジスタ、及び前記第3ローサイド・トランジスタの少なくとも一つを閉状態とする、又は、
前記第1ローサイド・トランジスタ、前記第2ローサイド・トランジスタ、及び前記第3ローサイド・トランジスタを開状態とし、且つ、前記第1ハイサイド・トランジスタ、前記第2ハイサイド・トランジスタ、及び前記第3ハイサイド・トランジスタの少なくとも一つを閉状態とする第2ブレーキ制御を実行する可能に構成され、
前記シャント抵抗の出力が第3所定値となった場合に、前記スイッチを閉状態として前記スライドドアの移動を規制する方向に前記モータを駆動する第3ブレーキ制御を実行可能に構成され、
前記第2ブレーキ制御における前記スライドドアの保持力は、前記第1ブレーキ制御における前記スライドドアの保持力よりも高く、
前記第3ブレーキ制御における前記スライドドアの保持力は、前記第2ブレーキ制御における前記スライドドアの保持力よりも高い、スライドドア用駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスライドドアを開閉するためのスライドドア用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワンボックスカー、ワゴン及びバンにおける後部ドアは引き戸式のスライドドアが設けられることが多く、近時はその開閉動作に自動化が図られてきている。スライドドアを自動開閉する車両用ドア開閉装置の一般的な構成としては、ボディ側面に沿って設けられたレール部材と、レール部材に沿って駆動されることによりドアを開閉するケーブルと、ケーブルを巻き取るためのスライドドア用駆動装置が設けられている。一般的にスライドドア用駆動装置は、動力源としてのモータと、該モータの回転を減速させる減速機構と、減速機構によって回転されてケーブルの巻き取りおよび繰り出しを行う回転ドラム機構と、を備える。また、スライドドア用駆動装置ではスライドドアの開閉を手動と自動に切り換えるためのスイッチが設けられていることが多い。
【0003】
例えば特許文献1に記載のスライドドア制御装置では、モータに、ロータの回転位置を検出する位置センサとして3つのホールICが設けられ、この3つのホールICからの信号を受けてモータ(ロータ)の回転角度を検出し、スライドドアを開閉することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】日本国特開2014-181544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のスライドドア制御装置では、モータの回転角度を検出するために3つのホールICが必要であり、製造コストの点で改善の余地があった。
【0006】
一方で、スライドドア制御装置が3つのホールICを搭載する場合であっても、3つのホールICのうち1つのホールICでも故障してしまうとモータの回転角度を検出することができなくなってしまうという不都合があり、他の方法によるモータの回転角度の検出方法が模索されていた。
【0007】
本発明は、シャント抵抗を用いてモータの回転角度を検出可能なスライドドア用駆動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
電源と、
スライドドアを開閉する動力を出力するモータと、
前記電源と前記モータとを接続するモータ駆動回路と、
前記モータ駆動回路を制御する制御装置と、を備えるスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、
前記電源から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置と、
前記電源と前記電力変換装置との間に配置されたシャント抵抗と、を備え、
前記制御装置は、前記シャント抵抗の出力に基づいて前記モータの回転角度を取得する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、シャント抵抗の出力に基づいてモータの回転角度を取得することにより、ロータの回転位置に応じた信号を出力する位置センサを不要にできる。また、スライドドア用駆動装置が位置センサを搭載する場合には、位置センサとシャント抵抗のいずれでもモータの回転角度を取得することができ、故障に対する耐性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態のスライドドア用駆動装置が搭載された車両の側面図である。
図2図1のスライドドア用駆動装置の説明図である。
図3】第1実施形態のスライドドア用駆動装置のモータ制御装置のブロック図である。
図4】第2実施形態のスライドドア用駆動装置のモータ制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のスライドドア用駆動装置の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態のスライドドア用駆動装置10は車両12に搭載されており、後側のドア(スライドドア)14を自動開閉させるものである。
【0013】
ドア14はスライドドアであり、アッパーレール16a、センターレール16b及びロワーレール16cによって三点を支持されながら安定して開閉される。このうちセンターレール16bはクオータパネル18における略中間高さに設けられている。
【0014】
開用ケーブル20aと閉用ケーブル20bの各端部はドア14に設けられたサポートフレームに固定されている。サポートフレームはセンターレール16b内で転動する走行ローラを備える。開用ケーブル20aおよび閉用ケーブル20bは、スライドドア用駆動装置10と接続されている。スライドドア用駆動装置10によって開用ケーブル20aおよび閉用ケーブル20bを巻き取りおよび繰り出すことによりドア14を開閉することができる。車両12にはドア14を全開位置や全閉位置で保持する不図示の保持手段が設けられている。
【0015】
図2に示すように、スライドドア用駆動装置10は前後対称構造であって、開用ケーブル20aおよび閉用ケーブル20bと、ベース板22と、モータ24と、スライドドア制御装置40と、減速機構28と、開用ドラム機構30aおよび閉用ドラム機構30bと、前後一対の経路長調整機構32とを有し、1つのユニットとなっている。
【0016】
このスライドドア用駆動装置10では、モータ24を順方向に回転させることで、モータ24の回転動力が減速機構28を介して開用ドラム機構30aを回転させて開用ケーブル20aを巻き取るとともに閉用ドラム機構30bを回転させて閉用ケーブル20bを繰り出すことでドア14を開く。一方、モータ24を逆方向に回転させることで、モータ24の回転動力が減速機構28を介して閉用ドラム機構30bを回転させて閉用ケーブル20bを巻き取るとともに開用ドラム機構30aを回転させて開用ケーブル20aを繰り出すことでドア14を閉じる。なお、スライドドア用駆動装置10の構造についての詳細は省略する。
【0017】
車両12には、例えば運転席に、ドア14の自動開閉を禁止する手動モードが選択可能に構成される。なお、以下の説明では、自動開閉が許容されるモードを自動開閉モードと称する。ドア14には、操作者がドア14の開閉動作を指示するためにドア開閉スイッチ17が設けられている。このドア開閉スイッチ17は、ドア14の開放を指示するためのスイッチである開スイッチ17aと、ドア14の閉鎖を指示するためのスイッチである閉スイッチ17bと、で構成されている。自動開閉モードにおいて、この開スイッチ17a又は閉スイッチ17bが押下されることにより、この押下したタイミングで、ドア14の開放又は閉鎖を指示するパルス信号が後述するモータ制御装置60のスイッチ制御部61及びモータ駆動部64に出力される。一方、手動モードにおいて、開スイッチ17a又は閉スイッチ17bが押下げられてもこれらの操作は無効となり、ユーザーは手動でドア14を開閉動作することができる。
【0018】
スライドドア用駆動装置10の駆動源であるモータ24は、図3に示すように、U相,V相,W相のコイル25を備えた三相ブラシレスモータであり、デルタ結線されたU相,V相,W相のコイル25が巻回されたステータ27の内周側に、永久磁石が配置されたロータ26が所定の隙間を介して対向配置されている。
【0019】
(スライドドア制御装置の構成)
図3は、本実施形態のスライドドア制御装置40の構成を示す図である。
スライドドア制御装置40は、電源11とモータ24とを接続するモータ駆動回路50と、モータ駆動回路50を制御するモータ制御装置60と、を備える。モータ駆動回路50には、電源11からの直流電力を交流電力に変換するインバータ51と、電源11の正極側とインバータ51の正極側との間に接続されたリレースイッチ52と、電源11の負極側とインバータ51の負極側との間に接続されたシャント抵抗53と、を備える。電源11は、例えば、車両12の補器類に電力を供給する12Vバッテリである。
【0020】
なお、シャント抵抗53は、電源11の正極側とインバータ51の正極側との間に接続されてもよいが、シャント抵抗53を、電源11の負極側とインバータ51の負極側との間に接続することで、ノイズによる影響を抑制でき、モータ24の回転角度をより適切に取得することができる。
【0021】
インバータ51は、第1ハイサイド・トランジスタTH1と、第1ローサイド・トランジスタTL1と、第1ハイサイド・トランジスタTH1と第1ローサイド・トランジスタTL1を直列接続する第1ノードP1とを備えた第1支流回路55と、第2ハイサイド・トランジスタTH2と、第2ローサイド・トランジスタTL2と、第2ハイサイド・トランジスタTH2と第2ローサイド・トランジスタTL2を直列接続する第2ノードP2とを備えた第2支流回路56と、第3ハイサイド・トランジスタTH3と、第3ローサイド・トランジスタTL3と、第3ハイサイド・トランジスタTH3と第3ローサイド・トランジスタTL3を直列接続する第3ノードP3とを備えた第3支流回路57と、第1支流回路55と第2支流回路56と第3支流回路57とを並列接続する第4ノードP4と第5ノードP5と、を備える。
【0022】
そして、第1ノードP1と第2ノードP2と第3ノードP3は、それぞれデルタ結線されたU相,V相,W相のコイル25に接続される。第4ノードP4は、リレースイッチ52を介して電源11の正極端子に接続され、第5ノードP5はシャント抵抗53を介して電源11の負極端子に接続される。なお、トランジスタTH1,TL1,TH2,TL2,TH3,TL3は、例えばMOSFETにより構成され、モータ制御装置60のモータ駆動部64がゲート電圧を調整することによって開閉制御される。
【0023】
各トランジスタTH1,TL1,TH2,TL2,TH3,TL3には、それぞれ還流ダイオードとして動作するダイオードが並列に接続されている。還流ダイオードは、トランジスタTH1,TL1,TH2,TL2,TH3,TL3をオフにしたとき、モータ24側から逆流する電流を電源11側に還流(回生)させることにより、トランジスタの破損を防止するために設けられる。
【0024】
モータ制御装置60は、具体的には後述のプロセッサを主体に構成されており、プロセッサの動作に必要なRAM(Random Access Memory)と各種情報を記憶するROM(Read Only Memory)等の記憶媒体をさらに含む。プロセッサとは、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。モータ制御装置60は、ROMに記憶されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現される機能ブロックとして、リレースイッチ52を制御するスイッチ制御部61と、インバータ51に流れる電流によってシャント抵抗53に発生する電圧を検出し、検出した電圧をデジタル信号に変換するAD変換部62と、AD変換部62の出力により、モータ24(ロータ26)の回転角度を検出する位置検出部63と、この位置検出部63が検出したモータ24の回転角度に応じて、インバータ51に通電を切り替えるゲート信号を出力するモータ駆動部64と、を備える。
【0025】
スイッチ制御部61は、自動開閉モードにおいて、開スイッチ17a又は閉スイッチ17bが押下されると、リレースイッチ52をオンにする信号を出力し、電源11からの電力がインバータ51を介してモータ24に供給されるように制御する。また、手動モードにおいて、ドア14の移動速度が所定速度を超えた場合にも後述するようにリレースイッチ52をオンにする信号を出力する場合がある。
【0026】
位置検出部63は、シャント抵抗53の出力をモニタリングし、所定のフィルタリング処理、フーリエ変換等の変換処理を行うことで、モータ24の回転角度を取得するとともに、モータ24の移動方向及び移動速度、つまりドア14の移動方向及び移動速度を取得する。即ち、位置検出部63は、シャント抵抗53の出力に基づいてモータ24の回転角度を取得する。
【0027】
モータ駆動部64は、ドア開閉スイッチ17から入力される信号、位置検出部63から入力されるモータ24の回転角度、ドア14の移動方向及び移動速度に関する信号に基づいて、インバータ51の各トランジスタTH1,TL1,TH2,TL2,TH3,TL3を交互にスイッチングするための駆動信号を生成し出力する。これによって、モータ駆動回路50は、U相,V相,W相のコイル25を交互に通電する供給電圧の通電パターンをU相,V相,W相のコイル25に印加し、モータ24を駆動してドア14が開方向又は閉方向に所定速度で移動するように制御する。
【0028】
このように構成されたスライドドア用駆動装置10の具体的なドア14の各制御について以下に説明する。
【0029】
(モータ始動制御)
自動開閉モードにおいて開スイッチ17a又は閉スイッチ17bが押下されると、モータ24を始動する。位置センサが搭載されていないモータ24において、モータ駆動回路50はモータ24の回転角度(ロータ26の位置)を取得できない。そのため、モータ24の始動時には、モータ駆動回路50が、U相,V相,W相のコイル25を交互に通電する供給電圧の通電パターンをU相,V相,W相のコイル25に印加する。これにより、いずれかの通電パターンでモータ24が動き出す。このときの電流値は、通常の電流値よりも小さいことが好ましい。モータ24が動き出せば、所定速度となるようにプログラムにしたがってモータ24を矩形波制御する。
【0030】
(モータ駆動制御1)
矩形波制御により始動の回転力を得られたモータ24の定常運転では、シャント抵抗53の出力をモニタリングし、ロータ26の永久磁石の見做し回転角度を予測し、モータ24の回転角度に応じた駆動電力を最適な正弦波電力となるように制御する。
【0031】
(モータ駆動制御2)
矩形波制御により始動の回転力を得られたモータ24の定常運転では、シャント抵抗53の出力をモニタリングし、ロータ26の永久磁石の見做し回転角度を予測し、モータ24の回転角度に応じた駆動電力を最適な正弦波電力となるようにベクトル制御する。
【0032】
このモータ駆動制御1及びモータ駆動制御2において、正弦波制御を行うことで矩形波制御に比べて電力効率を向上できるとともに、静音性能(低振動)を向上できる。また、モータ駆動制御2においてベクトル制御を行うことで、モータ駆動制御1の正弦波制御よりも電力効率をさらに向上できる。なお、このモータ駆動制御1及びモータ駆動制御2において、ロータ26の永久磁石の見做し回転角度に対し電力印加を早めたり(進角)、遅くしたり(遅角)することにより、モータ24に発生するトルク-回転数特性を変化させてもよい。これにより、モータ24を高トルク低回転運転や低トルク高回転運転することができる。
【0033】
また、モータ駆動制御1及びモータ駆動制御2において、シャント抵抗53の出力をモニタリングすることによりドア速度を算出し、設定速度と成るようモータ24に印加するデューティを変化させてもよい。
【0034】
(挟み込み検出)
シャント抵抗53の出力をモニタリングし、ドア速度の急変に応じたシャント抵抗53の出力の変動を取得し、該変動が挟み込みしきい値となった場合に、異物の挟み込みと判断する。
【0035】
以下、ドア14に保持力を発生させるためのブレーキ制御について説明する。ブレーキ制御は、モータ24の非駆動時、例えば、自動開閉モードにおいてドア14を開位置と閉位置との間の中間位置で保持する場合や、手動モードにおいてドア14に操作負荷を与えるために用いられる。自動開閉モードにおいてドア14を開位置と閉位置との間の中間位置で保持するとき、傾斜地に停車した車両においてドア14が意図せずに開閉することが起こり得る。一方、手動モードにおいて、ドア14の操作速度が速すぎると、車体が損傷する虞や開閉音が大きくなる虞がある。このような場合に、ドア14に操作負荷を与えることで、ドア14の移動速度を抑えることができる。ドア14の速度は、シャント抵抗53の出力によって判定される。
【0036】
(第1ブレーキ制御)
モータ24の非駆動時に、シャント抵抗53の出力が第1所定値となった場合に、リレースイッチ52を閉状態として電源11を充電する。モータ24の非駆動時にモータ24に与えた外力により発電されたエネルギーが所定量を超えた場合に、リレースイッチ52をオンにし、発電エネルギーが電源電圧を上回った場合に電源11に吸収させることでモータ24に操作負荷を発生させることができる。言い換えると、第1ブレーキ制御では、モータ24の非駆動時におけるドア14の移動に対し、回生ブレーキにより制動力を付与することができる。
【0037】
(第2ブレーキ制御)
モータ24の非駆動時に、シャント抵抗53の出力が第1所定値よりも大きい第2所定値となった場合に、リレースイッチ52を開状態にするとともに、第1ハイサイド・トランジスタTH1、第2ハイサイド・トランジスタTH2、及び第3ハイサイド・トランジスタTH3を開状態とし、且つ、第1ローサイド・トランジスタTL1、第2ローサイド・トランジスタTL2、及び第3ローサイド・トランジスタTL3の少なくとも一つを閉状態とする。第2ブレーキ制御では、モータ駆動回路50に閉回路が形成されモータ24に制動力が発生する。これにより、モータ24の非駆動時におけるドア14の移動に対し、発電ブレーキにより制動力を付与することができる。
【0038】
なお、第1ハイサイド・トランジスタTH1、第2ハイサイド・トランジスタTH2、及び第3ハイサイド・トランジスタTH3を開状態とし、且つ、第1ローサイド・トランジスタTL1、第2ローサイド・トランジスタTL2、及び第3ローサイド・トランジスタTL3の少なくとも一つを閉状態とする代わりに、第1ローサイド・トランジスタTL1、第2ローサイド・トランジスタTL2、及び第3ローサイド・トランジスタTL3を開状態とし、且つ、第1ハイサイド・トランジスタTH1、第2ハイサイド・トランジスタTH2、及び第3ハイサイド・トランジスタTH3の少なくとも一つを閉状態としてもよい。
【0039】
第2ブレーキ制御において、シャント抵抗53の出力が高いほど、閉状態とするトランジスタの数を増やすことが好ましい。閉状態とするトランジスタの数を増やすことで、形成される閉回路が増え、モータ24に発生する制動力も大きくなる。これにより、ドア14の移動速度に応じて適切に制動力を付与することができる。また、モータ24に発生する制動力を大きくするためには、トランジスタが閉状態となる割合であるデューティ比を増やしてもよい。第2ブレーキ制御において、シャント抵抗53の出力が高いほど、閉状態となるデューティ比を増やすことで、ドア14の移動速度に応じて適切に制動力を付与することができる。
【0040】
(第3ブレーキ制御)
モータの非駆動時に、シャント抵抗53の出力が第2所定値よりも大きい第3所定値となった場合に、リレースイッチ52を閉状態としてドア14の移動を規制する方向にモータ24を駆動する。モータの非駆動時におけるドア14の移動に対し、ドア14の移動を規制する方向にモータ24を駆動することによりドア14により強い制動力を付与することができる。
【0041】
なお、第2ブレーキ制御におけるドア14の保持力は、第1ブレーキ制御におけるドア14の保持力よりも高く、第3ブレーキ制御におけるドア14の保持力は、前2ブレーキ制御におけるドア14の保持力よりも高いことが好ましい。このように第1ブレーキ制御、第2ブレーキ制御、第3ブレーキ制御における保持力を変えることで、ドア14の移動速度に応じて適切に制動力を付与することができる。また、自動開閉モードにおいてドア14を開位置と閉位置との間の中間位置で保持する場合、ドア14の移動速度に限らず、第1~第3ブレーキ制御のいずれを採用してもよい。
【0042】
<第2実施形態>
第1実施形態のスライドドア制御装置40では、シャント抵抗53の出力に基づいてモータ24の回転角度を取得する場合を例示したが、シャント抵抗53及び位置センサによってモータの回転角度を取得してもよい。以下、第2実施形態のスライドドア制御装置40では、第1実施形態のモータ24がさらに位置センサとして3つのホールIC54u、54v、54wを備える。なお、スライドドア制御装置40の他の構成については第1実施形態と同じため、同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
モータ24には、図4に示すように、ロータ26又はロータ26と一体に回転する回転体に、ロータ26の回転位置を検出する3つのホールIC54u、54v、54wが、互いに120度の位置に設けられている。これらの3つのホールIC54u、54v、54wは、モータ24が回転するとそれぞれ互いに120度位相のずれた位置センサ信号を位置検出部63に対して出力する。
【0044】
位置検出部63は、位置センサ信号の発生間隔に基づいてモータ24の回転速度、つまりドア14の移動速度を取得し、位置センサ信号の出現する順番に基づいてモータ24の回転方向、つまりドア14の移動方向を取得する。したがって、位置検出部63は、シャント抵抗53及びホールIC54u、54v、54wの両方によってモータ24(ロータ26)の回転角度を取得できる。また、位置検出部63は、ドア14が基準位置(例えば全閉位置)となったときを起点として位置センサ信号の切り替わりを積算することによりドア14の位置を取得することができる。
【0045】
このように構成されたスライドドア用駆動装置10の具体的なドア14の各制御について具体的に説明するが、第1~第3ブレーキ制御については第1実施形態と同じであるため説明を省略する。
【0046】
(モータ始動制御)
自動開閉モードにおいて開スイッチ17a又は閉スイッチ17bが押下されると、モータ24を始動する。このとき、ホールIC54u、54v、54wによりモータ24の回転角度検出し、モータ24の回転角度に応じてU相,V相,W相のコイル25を交互に通電する供給電圧の通電パターンをU相,V相,W相のコイル25に印加し、モータ24を矩形波制御する。
【0047】
(モータ駆動制御1)
矩形波制御により始動の回転力を得られたモータ24の定常運転では、シャント抵抗53の出力又はホールIC54u、54v、54wの位置センサ信号に基づいて、ロータ26の永久磁石の見做し回転角度を予測し、モータ24の回転角度に応じた駆動電力を最適な正弦波電力となるように制御する。
【0048】
(モータ駆動制御2)
矩形波制御により始動の回転力を得られたモータ24の定常運転では、シャント抵抗53の出力又はホールIC54u、54v、54wの位置センサ信号に基づいて、ロータ26の永久磁石の見做し回転角度を予測し、モータ24の回転角度に応じた駆動電力を最適な正弦波電力となるようにベクトル制御する。
【0049】
このモータ駆動制御1及びモータ駆動制御2において、正弦波制御を行うことで矩形波制御に比べて電力効率を向上できるとともに、静音性能(低振動)を向上できる。また、モータ駆動制御2においてベクトル制御を行うことで、モータ駆動制御1の正弦波制御よりも電力効率をさらに向上できる。なお、このモータ駆動制御1及びモータ駆動制御2において、ロータ26の永久磁石の見做し回転角度に対し電力印加を早めたり(進角)、遅くしたり(遅角)することにより、モータ24に発生するトルク-回転数特性を変化させてもよい。これにより、モータ24を高トルク低回転運転や低トルク高回転運転することができる。シャント抵抗53の出力が安定するまでは、ホールIC54u、54v、54wの位置センサ信号に基づいてモータ24の回転角度を取得することで、より適切にモータ24の回転角度を取得することができる。
【0050】
また、モータ駆動制御1及びモータ駆動制御2においては、シャント抵抗53の出力又はホールIC54u、54v、54wの位置センサ信号に基づいてドア位置とドア速度を算出し、ドア位置に応じた設定速度と成る様、モータ24に印加するデューティを変化させてもよい。
【0051】
(挟み込み検出1)
シャント抵抗53の出力をモニタリングし、ホールIC54u、54v、54wの位置センサ信号から求められるドア位置に応じた挟み込みしきい値となった場合に、異物の挟み込みと判断する。ドア速度の急変に応じたシャント抵抗53の出力の変動を取得することで、適切に異物の挟み込みを判定することができる。
【0052】
(挟み込み検出2)
ホールIC54u、54v、54wの位置センサ信号からドア位置に応じた挟み込みしきい値となった場合に、異物の挟み込みと判断する。ドア速度の急変に応じたホールIC54u、54v、54wの位置センサ信号の変動を取得することで、適切に異物の挟み込みを判定することができる。
【0053】
本実施形態のスライドドア用駆動装置10によれば、位置検出部63がホールIC54u、54v、54wとシャント抵抗53のいずれでもモータ24の回転角度を取得することができるので、故障に対する耐性が高い。
【0054】
以上、図面を参照しながら各種の実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上記実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
例えば、上記実施形態では、位置センサとしてホールICを例示したが、ロータリエンコーダ等の他の位置センサであってもよい。
【0055】
また、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。なお、括弧内には、上記した実施形態において対応する構成要素等を示しているが、これに限定されるものではない。
【0056】
(1) 電源(電源11)と、
スライドドア(ドア14)を開閉する動力を出力するモータ(モータ24)と、
前記電源と前記モータとを接続するモータ駆動回路(モータ駆動回路50)と、
前記モータ駆動回路を制御する制御装置(モータ制御装置60)と、を備えるスライドドア用駆動装置(スライドドア用駆動装置10)であって、
前記モータ駆動回路は、
前記電源から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置(インバータ51)と、
前記電源と前記電力変換装置との間に配置されたシャント抵抗(シャント抵抗53)と、を備え、
前記制御装置(位置検出部63)は、前記シャント抵抗の出力に基づいて前記モータの回転角度を取得する、スライドドア用駆動装置。
【0057】
(1)によれば、シャント抵抗の出力に基づいてモータの回転角度を取得することにより、モータの回転位置に応じた信号を出力する位置センサを不要にできる。また、スライドドア用駆動装置が位置センサを搭載する場合には、位置センサとシャント抵抗のいずれでもモータの回転角度を取得することができ、故障に対する耐性が高い。
【0058】
(2) (1)に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記シャント抵抗は、前記電源の負極側と前記電力変換装置の負極側との間に配置されている、スライドドア用駆動装置。
【0059】
(2)によれば、シャント抵抗を電源の負極側と電力変換装置の負極側との間に配置することで、ノイズによる影響を抑制でき、モータの回転角度をより適切に取得することができる。
【0060】
(3) (1)に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記制御装置は、前記シャント抵抗の出力に基づいて取得した前記モータの回転角度に応じて、前記電力変換装置を制御する、スライドドア用駆動装置。
【0061】
(3)によれば、シャント抵抗の出力に基づいて取得したモータの回転角度に応じて、電力変換装置を制御することにより、効率的にモータに電力を供給することができるとともに、振動を抑えることができる。
【0062】
(4) (1)に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記制御装置は、前記シャント抵抗の出力に基づいて異物の挟み込みを判定する、スライドドア用駆動装置。
【0063】
(4)によれば、シャント抵抗をモータの回転角度の取得のためのみならず、異物の挟み込みのために用いることで、少ない部品点数で機能を拡充することができる。
【0064】
(5) (4)に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記モータは、ロータの回転位置に応じた信号を出力する位置センサをさらに備え、
前記制御装置は、
前記位置センサの出力に基づいて前記スライドドアの位置を取得し、
前記シャント抵抗の出力が、前記スライドドアの位置に応じた閾値となった場合に、前記異物の挟み込みを判定する、スライドドア用駆動装置。
【0065】
(5)によれば、シャント抵抗に加えて位置センサを備えることで、より精度よくモータの回転角度を取得することができる。また、シャント抵抗の出力が、スライドドアの位置に応じた閾値となった場合に、異物の挟み込みを判定することにより、異物の挟み込みの判定精度を向上できる。
【0066】
(6) (1)~(5)のいずれかに記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、
前記電源の正極側と前記電力変換装置の正極側との間に配置され、前記電源と前記電力変換装置との間の電力伝達経路を開閉するスイッチ(リレースイッチ52)を備え、
前記制御装置は、前記モータの非駆動時に、前記シャント抵抗の出力が第1所定値となった場合に、前記スイッチを閉状態として前記電源を充電する第1ブレーキ制御を実行する、スライドドア用駆動装置。
【0067】
(6)によれば、モータの非駆動時におけるスライドドアの移動に対し、回生ブレーキにより制動力を付与することができる。
【0068】
(7) (1)~(5)のいずれかに記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、
前記電源の正極側と前記電力変換装置の正極側との間に配置され、前記電源と前記電力変換装置との間の電力伝達経路を開閉するスイッチ(リレースイッチ52)を備え、
前記電力変換装置は、
第1ハイサイド・トランジスタ(第1ハイサイド・トランジスタTH1)と、第1ローサイド・トランジスタ(第1ローサイド・トランジスタTL1)と、前記第1ハイサイド・トランジスタと前記第1ローサイド・トランジスタを直列接続する第1ノード(第1ノードP1)とを備えた第1支流回路(第1支流回路55)と、
第2ハイサイド・トランジスタ(第2ハイサイド・トランジスタTH2)と、第2ローサイド・トランジスタ(第2ローサイド・トランジスタTL2)と、前記第2ハイサイド・トランジスタと前記第2ローサイド・トランジスタを直列接続する第2ノード(第2ノードP2)とを備えた第2支流回路(第2支流回路56)と、
第3ハイサイド・トランジスタ(第3ハイサイド・トランジスタTH3)と、第3ローサイド・トランジスタ(第3ローサイド・トランジスタTL3)と、前記第3ハイサイド・トランジスタと前記第3ローサイド・トランジスタを直列接続する第3ノード(第3ノードP3)とを備えた第3支流回路(第3支流回路57)と、
前記第1支流回路と前記第2支流回路と前記第3支流回路とを並列接続する第4ノード(第4ノードP4)と第5ノード(第5ノードP5)と、を備え、
前記モータは、三相交流モータであって、ステータコイルが前記第1ノードと前記第2ノードと前記第3ノードとにデルタ結線され、
前記電源は、前記第4ノードと前記第5ノードとに接続され、
前記制御装置は、
前記モータの非駆動時に、前記シャント抵抗の出力が第2所定値となった場合に、前記スイッチを開状態にするとともに、
前記第1ハイサイド・トランジスタ、前記第2ハイサイド・トランジスタ、及び前記第3ハイサイド・トランジスタを開状態とし、且つ、前記第1ローサイド・トランジスタ、前記第2ローサイド・トランジスタ、及び前記第3ローサイド・トランジスタの少なくとも一つを閉状態とする、又は、
前記第1ローサイド・トランジスタ、前記第2ローサイド・トランジスタ、及び前記第3ローサイド・トランジスタを開状態とし、且つ、前記第1ハイサイド・トランジスタ、前記第2ハイサイド・トランジスタ、及び前記第3ハイサイド・トランジスタの少なくとも一つを閉状態とする第2ブレーキ制御を実行する、スライドドア用駆動装置。
【0069】
(7)によれば、モータの非駆動時におけるスライドドアの移動に対し、発電ブレーキにより制動力を付与することができる。
【0070】
(8) (7)に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記制御装置は、
前記第2ブレーキ制御において、前記シャント抵抗の出力が高いほど、前記閉状態とするトランジスタの数を増やす、スライドドア用駆動装置。
【0071】
(8)によれば、第2ブレーキ制御において、シャント抵抗の出力が高いほど、閉状態とするトランジスタの数を増やすことで、スライドドアの移動速度に応じて適切に制動力を付与することができる。
【0072】
(9) (7)に記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記第2ブレーキ制御において、前記シャント抵抗の出力が高いほど、前記閉状態となるデューティ比を増やす、スライドドア用駆動装置。
【0073】
(9)によれば、第2ブレーキ制御において、シャント抵抗の出力が高いほど、閉状態となるデューティ比を増やすことで、スライドドアの移動速度に応じて適切に制動力を付与することができる。
【0074】
(10) (1)~(5)のいずれかに記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、
前記電源の正極側と前記電力変換装置の正極側との間に配置され、前記電源と前記電力変換装置との間の電力伝達経路を開閉するスイッチ(リレースイッチ52)を備え、
前記制御装置は、
前記モータの非駆動時に、前記シャント抵抗の出力が第3所定値となった場合に、前記スイッチを閉状態として前記スライドドアの移動を規制する方向に前記モータを駆動するモータの非駆動時に、前記シャント抵抗の出力が第3所定値となった場合に、前記スイッチを閉状態として前記スライドドアの移動を規制する方向に前記モータを駆動する第3ブレーキ制御を実行する、スライドドア用駆動装置。
【0075】
(10)によれば、モータの非駆動時におけるスライドドアの移動に対し、スライドドアの移動を規制する方向にモータを駆動することにより制動力を付与することができる。
【0076】
(11) (1)~(5)のいずれかに記載のスライドドア用駆動装置であって、
前記モータ駆動回路は、
前記電源の正極側と前記電力変換装置の正極側との間に配置され、前記電源と前記電力変換装置との間の電力伝達経路を開閉するスイッチを備え、
前記電力変換装置は、
第1ハイサイド・トランジスタ(第1ハイサイド・トランジスタTH1)と、第1ローサイド・トランジスタ(第1ローサイド・トランジスタTL1)と、前記第1ハイサイド・トランジスタと前記第1ローサイド・トランジスタを直列接続する第1ノード(第1ノードP1)とを備えた第1支流回路(第1支流回路55)と、
第2ハイサイド・トランジスタ(第2ハイサイド・トランジスタTH2)と、第2ローサイド・トランジスタ(第2ローサイド・トランジスタTL2)と、前記第2ハイサイド・トランジスタと前記第2ローサイド・トランジスタを直列接続する第2ノード(第2ノードP2)とを備えた第2支流回路(第2支流回路56)と、
第3ハイサイド・トランジスタ(第3ハイサイド・トランジスタTH3)と、第3ローサイド・トランジスタ(第3ローサイド・トランジスタTL3)と、前記第3ハイサイド・トランジスタと前記第3ローサイド・トランジスタを直列接続する第3ノード(第3ノードP3)とを備えた第3支流回路(第3支流回路57)と、
前記第1支流回路と前記第2支流回路と前記第3支流回路とを並列接続する第4ノード(第4ノードP4)と第5ノード(第5ノードP5)と、を備え、
前記モータは、三相交流モータであって、ステータコイルが前記第1ノードと前記第2ノードと前記第3ノードとにデルタ結線され、
前記電源は、前記第4ノードと前記第5ノードとに接続され、
前記制御装置は、前記モータの非駆動時に、
前記シャント抵抗の出力が第1所定値となった場合に、前記スイッチを閉状態として前記電源を充電する第1ブレーキ制御を実行可能に構成され、
前記シャント抵抗の出力が第2所定値となった場合に、前記スイッチを開状態にするとともに、
前記第1ハイサイド・トランジスタ、前記第2ハイサイド・トランジスタ、及び前記第3ハイサイド・トランジスタを開状態とし、且つ、前記第1ローサイド・トランジスタ、前記第2ローサイド・トランジスタ、及び前記第3ローサイド・トランジスタの少なくとも一つを閉状態とする、又は、
前記第1ローサイド・トランジスタ、前記第2ローサイド・トランジスタ、及び前記第3ローサイド・トランジスタを開状態とし、且つ、前記第1ハイサイド・トランジスタ、前記第2ハイサイド・トランジスタ、及び前記第3ハイサイド・トランジスタの少なくとも一つを閉状態とする第2ブレーキ制御を実行する可能に構成され、
前記シャント抵抗の出力が第3所定値となった場合に、前記スイッチを閉状態として前記スライドドアの移動を規制する方向に前記モータを駆動する第3ブレーキ制御を実行可能に構成され、
前記第2ブレーキ制御における前記スライドドアの保持力は、前記第1ブレーキ制御における前記スライドドアの保持力よりも高く、
前記第3ブレーキ制御における前記スライドドアの保持力は、前記第2ブレーキ制御における前記スライドドアの保持力よりも高い、スライドドア用駆動装置。
【0077】
(11)によれば、第1ブレーキ制御、第2ブレーキ制御、第3ブレーキ制御における保持力を変えることで、スライドドアの移動速度に応じて適切に制動力を付与することができる。
【0078】
なお、本出願は、2019年11月27日出願の日本特許出願(特願2019-214746)に基づくものであり、その内容は本出願の中に参照として援用される。
【符号の説明】
【0079】
10 スライドドア用駆動装置
11 電源
14 ドア
24 モータ
50 モータ駆動回路
51 インバータ(電力変換装置)
52 リレースイッチ
53 シャント抵抗
54u,54v,54w ホールIC(位置センサ)
55 第1支流回路
56 第2支流回路
57 第3支流回路
60 モータ制御装置
63 位置検出部
TH1 第1ハイサイド・トランジスタ
TL1 第1ローサイド・トランジスタ
TH2 第2ハイサイド・トランジスタ
TL2 第2ローサイド・トランジスタ
TH3 第3ハイサイド・トランジスタ
TL3 第3ローサイド・トランジスタ
P1 第1ノード
P2 第2ノード
P3 第3ノード
P4 第4ノード
P5 第5ノード

図1
図2
図3
図4