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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】炭含有組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20240402BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20240402BHJP
   A23L 33/21 20160101ALI20240402BHJP
   A23L 33/16 20160101ALI20240402BHJP
   A61K 33/44 20060101ALI20240402BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240402BHJP
   A61K 31/733 20060101ALI20240402BHJP
   A61K 35/08 20150101ALI20240402BHJP
   A61K 36/02 20060101ALI20240402BHJP
   A61K 31/194 20060101ALI20240402BHJP
   A61K 31/718 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L33/105
A23L33/21
A23L33/16
A61K33/44
A61K47/36
A61K31/733
A61K35/08
A61K36/02
A61K31/194
A61K31/718
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019196779
(22)【出願日】2019-10-29
(65)【公開番号】P2020068776
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】P 2018203132
(32)【優先日】2018-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】513258598
【氏名又は名称】炭プラスラボ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】横山 功
(72)【発明者】
【氏名】横山 宏章
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】フリフリハッピー,2017年04月16日,pp.1-5,retrieved on 2023.10.23, retrieved from the internet,https://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B071CJQ6DX/hair0f-22
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 33/00-33/29
A61K 33/44
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Google
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性炭または食用の炭の少なくとも一方の炭を含有する炭含有組成物であって、
活性炭または食用の炭の少なくとも一方が3%~70%、
イヌリンが5%~95%
水素によって還元処理された海洋深層水が0.3%~30%
の重量比で混合されたことを特徴とする炭含有組成物。
【請求項2】
ガゴメ昆布パウダーが10%~40%の重量比でさらに混合されたことを特徴とする請求項1記載の炭含有組成物。
【請求項3】
クエン酸が0.3%~30%の重量比でさらに混合されたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の炭含有組成物。
【請求項4】
デキストリンがさらに混合されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の炭含有組成物。
【請求項5】
非晶質の水溶性ケイ素が0.01%~5%の重量比でさらに混合されたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の炭含有組成物。
【請求項6】
フルボ酸が0.01%~5%の重量比でさらに混合されたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の炭含有組成物。
【請求項7】
海藻パウダー0.01%~5%の重量比でさらに混合されたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の炭含有組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性炭または食用の炭の少なくとも一方の炭を含有する炭含有組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、活性炭を用いて、有害物質や老廃物を体内から排除し、健康状態を取り戻す方法が提案されている。例えば、特許文献1には、生体内において蓄積し、また発生する有害物質や老廃物の量を、有用物質量の低減を防ぎつつ、簡便かつ短時間で低減できる経口用組成物が開示されている。この経口用組成物は、吸着剤および炭素数10~40の長鎖脂肪酸とグリセロールとのエステルを含有する。また、例えば、特許文献2には、生体内において蓄積し、また発生する有害物質や老廃物を、簡便かつ短時間で生体内から排除できる経口用組成物が開示されている。この経口用組成物は、活性炭、膨潤率45%以上の水膨潤性物質および大腸刺激性下剤を含有する。
【0003】
また、近年、活性炭を用いたサプリメントが注目を集めており、活性炭を含む顆粒状のサプリメントを飲み物に混ぜたり、食べ物に振りかけたりすることで、活性炭を体内に採り入れ、体の内部から解毒作用を促す方法が行なわれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-235538号公報
【文献】特開2010-083820号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、活性炭または食用の炭の少なくとも一方を他のどのような材料と組み合わせたときに、有用な効果を発揮するかについては、まだ十分に解明されていなかった。また、活性炭または食用の炭の少なくとも一方を摂取する際、水に混ぜたとしても、炭が水に浮遊してしたり、沈殿したりしてしまい、均一に分散させることは容易ではなかった。このため、活性炭または食用の炭の少なくとも一方を分散させた飲料としては、熟成した商品が存在するとは言えない状況であり、「炭を水に均一に分散させ溶かし込む技術」が期待されていた。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、活性炭または食用の炭の少なくとも一方が極めて有用な効果を発揮すると共に、分散特性が良好で水に溶けやすい炭含有組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の炭含有組成物は、活性炭または食用の炭の少なくとも一方の炭を含有する炭含有組成物であって、活性炭または食用の炭の少なくとも一方が3%~70%、イヌリンが5%~95%の重量比で混合されたことを特徴とする。
【0008】
(2)また、本発明の炭含有組成物は、ガゴメ昆布パウダーが10%~40%の重量比でさらに混合されたことを特徴とする。
【0009】
(3)また、本発明の炭含有組成物は、クエン酸が0.3%~30%の重量比でさらに混合されたことを特徴とする。
【0010】
(4)また、本発明の炭含有組成物は、海洋深層水が0.3%~30%の重量比でさらに混合されたことを特徴とする。
【0011】
(5)また、本発明の炭含有組成物は、非晶質の水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)が0.01%~5%の重量比でさらに混合されたことを特徴とする。
【0012】
(6)また、本発明の炭含有組成物は、フルボ酸が0.01%~5%の重量比でさらに混合されたことを特徴とする。
【0013】
(7)また、本発明の炭含有組成物は、海藻パウダー0.01%~5%の重量比でさらに混合されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、活性炭または食用の炭の少なくとも一方の炭、およびイヌリンを含有することから、これらの成分が融合し、個々の特性も保持しつつ、全体で相乗効果を生み出すことが可能となると共に、水に溶かした時に極めて分散しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】市販のヨーグルトAの菌の増殖に与える海洋深層水パウダーの効果を示す図である。
図2】市販のヨーグルトBの菌の増殖に与える海洋深層水パウダーの効果を示す図である。
図3】海洋深層水パウダーの添加が、腸内乳酸菌(Lactobacillus gasseri JCM1131)の増殖に与える効果を示す図である。
図4】人の大動脈中のケイ素含有量が年齢と共に変化する様子を示す図である。
図5】コラーゲン産生率(無添加を100%とした相対比率)の2種と3種の比較を示す図である。
図6】コラーゲン産生率(無添加を100%とした相対比率)の2種と3種の比較を示す図である。
図7A】コラーゲン31.25μg/mLの試験区におけるヒアルロン酸産生率(無添加を100%とした相対比率)の2品と3品の比較を示す図である。
図7B】コラーゲン125μg/mLの試験区におけるヒアルロン酸産生率(無添加を100%とした相対比率)の2品と3品の比較を示す図である。
図7C】コラーゲン500μg/mLの試験区におけるヒアルロン酸産生率(無添加を100%とした相対比率)の2品と3品の比較を示す図である。
図8】水溶性ケイ素の行方のモデルを示す図である。
図9】水溶性イオン化ケイ素の働きを示す図である。
図10】「食物連鎖」のモデルを示す図である。
図11】フルボ酸の行方のモデルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明者らは、ヤシ殻活性炭の有用性に着目し、イヌリンを含有し、さらに、ガゴメ昆布パウダー、クエン酸、海洋深層水を含有し、さらに、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)、フルボ酸、海藻パウダーを含有すると共に、海洋深層水、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)、フルボ酸、海藻パウダーに水素担持加工を施すことによって、これらの成分が融合し、個々の特性も保持しつつ、全体で相乗効果を生み出すことを見出し、本発明に至った。
【0017】
すなわち、本発明の炭含有組成物は、活性炭または食用の炭の少なくとも一方の炭を含有する炭含有組成物であって、活性炭または食用の炭の少なくとも一方が3%~70%、イヌリンが5%~95%の重量比で混合されたことを特徴とする。
【0018】
これにより、本発明者らは、これらの成分が融合し、個々の特性も保持しつつ、全体で相乗効果を生み出すことを可能とし、さらに、分散特性を向上させた。以下、本発明の実施形態について、具体的に説明する。
【0019】
本実施形態では、本発明に係る「炭含有組成物」を、「ハイドロチャコール」と呼称する。このハイドロチャコールは、機能性ヤシ殻活性炭、伊那赤松妙炭(登録商標)、鎌倉珪竹炭(登録商標)、紀州備長活性炭などからなる「機能性食用炭(登録商標)」、または食用の炭が3%~70%、イヌリンが5%~95%の重量比で混合されている。なお、本実施形態では、機能性食用炭として、機能性ヤシ殻活性炭(以下、「ヤシ殻活性炭」と記載する。)を用いた例を示すが、本発明は、これに限定されず、他の活性炭または食用の炭の少なくとも一方、例えば、伊那赤松妙炭、鎌倉珪竹炭、梅種炭、紀州備長活性炭などを用いたり、これらを混合して用いたりすることも可能である。また、ガゴメ昆布パウダーが10%~40%の重量比でさらに混合され、また、クエン酸が0.3%~30%、海洋深層水が0.3%~30%の重量比でさらに混合されている。
【0020】
ヤシ殻活性炭の効用は広く知られているが、発明者らは、独自にその効用を検証した。以下、ヤシ殻活性炭の効用について発明者らが検証した結果を説明する。なお、以下の検証例においては、ヤシ殻活性炭の重量比は100%であっても良いが、本発明はこれに限定されず、10%程度であっても良い。このため、検体は、「ヤシ殻活性炭を含む検体」として説明した。
【0021】
[ヤシ殻活性炭についての検証例1]
本実施形態に係るヤシ殻活性炭を含む検体と、比較例の伊那赤松妙炭とを用いて、「口内細菌の吸着試験」を行なった。使用培地は、「日水製薬株式会社製 ニッスイコンパクトドライ TC」であり、使用菌液は、「歯周病が指摘されている70歳男性の唾液」である。試験方法は、(a)使用菌液である唾液を生理食塩水で10倍に希釈した後、ろ紙(アドバンテックろ紙No.2)を用いてろ過し、(b)10mLに検体1gを添加し、3分間混和した。(c)炭の沈澱を待って上清を1mL採り、希釈後、培地に接種した。結果は、以下の通りである。
【0022】
【表1】
【0023】
本実施形態に係るヤシ殻活性炭を含む検体は、100%に近い吸着率で口内細菌を吸着できることが明らかとなった。比較例である伊那赤松妙炭も口内細菌に対する高い吸着率を示したが、本実施形態に係るヤシ殻活性炭を含む検体の方が優位であった。
【0024】
[ヤシ殻活性炭についての検証例2]
本実施形態に係るヤシ殻活性炭を含む検体(ヤシ殻活性炭パウダー)と、比較例の伊那赤松妙炭パウダーとを用いて、「アクリルアミドの吸着試験」を行なった。使用機器は、「SHIMADZU社製 TOC-V CSN(全有機炭素計)」である。試験方法は、(a)アクリルアミド30mgを200mLの蒸留水に溶解させ、(b)45mLのアクリルアミド水溶液中に検体および比較例をそれぞれ1g添加し、(c)30分撹拌後、8000rpmの回転数で10分間の遠心を行ない、上清をフィルターでろ過した。(d)このろ液について、TOC計を用いた濃度測定を行なった。結果は、以下の通りである。
【0025】
【表2】
【0026】
本実施形態に係るヤシ殻活性炭を含む検体(ヤシ殻活性炭パウダー)は、90%以上の吸着率でアクリルアミドを吸着できることが明らかとなった。アクリルアミドは、インスタントコーヒーやポテトチップスに含まれており、発ガン性のある有害物質として知られているが、本実施形態に係るヤシ殻活性炭やハイドロチャコールを用いることによって、アクリルアミドを高い割合で除去することができる。比較例である伊那赤松妙炭パウダーも、アクリルアミドに対する高い吸着率を示したが、本実施形態に係るヤシ殻活性炭を含む検体の方が優位であった。
【0027】
[ヤシ殻活性炭についての検証例3]
本実施形態に係るヤシ殻活性炭を含む検体と、比較例の伊那赤松妙炭と、比較例の鎌倉珪竹炭とを用いて、「過酸化脂質の吸着試験」を行なった。使用機器は、「島津社製 紫外可視近赤外分光光度計 UV-2600」である。使用試薬は、トリクロロ酢酸、チオバルビツール酸(TBA)、n-ブチルアルコール、マロンジアルデヒドである。本試験において吸着対象とする過酸化脂質は、非常に不安定な物質であり、分解してマロンジアルデヒドを生成する。本試験では、マロンジアルデヒドの吸着を行なった。試験方法は、(a)20ppmのマロンジアルデヒド100mLに、検体1gを加えて3分間撹拌し、(b)ろ紙(アドバンテック 2B)でろ過し、(c)TBA法により発色させたものを535nmで吸光度を測定した。比較例の伊那赤松妙炭、および比較例の鎌倉珪竹炭についても同様に測定した。結果は、以下の通りである。
【0028】
【表3】
【0029】
本実施形態に係るヤシ殻活性炭を含む検体は、90%以上の吸着率でマロンジアルデヒドを吸着できることが明らかとなった。これにより、過酸化脂質の吸着能力も極めて高いことが分かった。比較例の伊那赤松妙炭、および比較例の鎌倉珪竹炭もマロンジアルデヒドを吸着することが分かったが、本実施形態に係るヤシ殻活性炭を含む検体の方が圧倒的に優位であった。
【0030】
[ヤシ殻活性炭についての検証例4]
本実施形態に係るヤシ殻活性炭を含む検体と、比較例の伊那赤松妙炭と、比較例の鎌倉珪竹炭とを用いて、「トリハロメタンの吸着試験」を行なった。ここでは、最も代表的なトリハロメタンであるクロロホルムについて吸着能力を測定した。使用機器は、「島津製作所製 ガスクロマトグラフ質量分析 QP5050A」である。使用試薬は、「和光純薬社製 クロロホルム特級」である。試験方法は、(a)クロロホルム20ppm溶液を調整し、(b)クロマト管に検体2gを層になるように入れ、その上から(a)のクロロホルム20ppm溶液を静かに流し入れ、(c)透過した液をGSMSに掛けて分析した。比較例についても同様に測定した。結果は、以下の通りである。
【0031】
【表4】
【0032】
なお、上記の表において、吸着率が「>99.9」とは、ほぼすべて吸着したことを示す。本実施形態に係るヤシ殻活性炭を含む検体は、ほぼ100%の吸着率でトリハロメタンを吸着できることが明らかとなった。また、他の比較例についても、非常に良好なトリハロメタンの吸着率を確認することができた。水道水のトリハロメタンの基準値は、0.1ppmであることから、本試験は、この基準値の200倍の濃度で吸着試験を行なったこととなる。加熱条件により、水道水中のトリハロメタンは増減する可能性はあるが、本実施形態に係るヤシ殻活性炭を含む検体は、トリハロメタンを十分に吸着できると考えられる。
【0033】
[ヤシ殻活性炭についての検証例5]
本実施形態に係るヤシ殻活性炭を含む検体と、比較例の伊那赤松妙炭と、比較例の鎌倉珪竹炭とを用いて、「残留塩素の吸着試験」を行なった。使用試薬は、「株式会社共立理化学研究所製 パックテスト 残留塩素」および「市販の次亜塩素酸」である。試験方法は、(a)次亜塩素酸ナトリウムを5ppmに希釈し(水道水の基準値である0.1ppmの50倍とし)、(b)ロートにろ紙(アドバンテック 2)を乗せ、検体1gを入れて、その上から、上記(a)の次亜塩素酸ナトリウム希釈液100mLを流し、(c)透過した液をパックテストにて測定した。比較例についても同様に測定した。また、「ろ紙ブランク」として上記(a)の次亜塩素酸ナトリウム希釈液を、ろ紙を透過させたものを測定した。結果は、以下の通りである。
【0034】
【表5】
【0035】
本実施形態に係るヤシ殻活性炭を含む検体は、100%の吸着率で残留塩素を吸着できることが明らかとなった。また、他の比較例についても、非常に良好な残留塩素の吸着率を確認することができた。
【0036】
[ヤシ殻活性炭についての検証例6]
従来から、炭を用いて乳酸菌等の微生物を人体内部(腸など)へ送る方法が知られている。この方法では、粉末状の炭を乾燥させ、減菌処理を施し、ヨーグルト、乳酸菌飲料、納豆、キムチなどに炭を混合させ、時間の経過により、炭の表面に存在するミクロンサイズの穴まで素材が浸透するまで待機し、その後にこの混合物を飲用する。これにより、乳酸菌等の微生物が炭によって保護された状態で腸まで送り届けることが可能となる。本発明者らはこの事実に着目し、「ヤシ殻活性炭・伊那赤松妙炭」が、高い多孔質性を備えていることから、これを検体とし、乳酸菌等の有用微生物を生きたまま腸に届ける保護・運搬機能について、独自に検証した。
【0037】
乳酸菌、ビフィズス菌および酪酸菌を、胃酸に見立てた希塩酸液に浸漬させ、上記検体を混和した菌体と非混和のそれぞれの菌数を測定し、その保護・運搬機能の差を測定した。試験方法は、(a)各菌種のコロニーを元に50mLの減菌生理食塩水に1コロニーを懸濁して、元菌液とし、(b)元菌液10mLに0.1gの検体を入れた区と非添加の区とに分け、それぞれに0.2mLの希塩酸を加えた後、30分間放置し、(c)酪酸菌(C.butyruicum)、ビフィズス菌(B.pseudolongum)は、GAM培地を行ない、乳酸菌(L.acidophilus)はLGB培地に塗布後、48時間嫌気培養し、菌数を測定した。結果は、次の通りである。
【0038】
【表6】
【0039】
このように、各試験群において、検体を投与した試験区の生菌数が、非添加区と比較して多く検出された。これにより、分散性のある炭を水分に懸濁させることによって、乳酸菌等の有用微生物を生きたまま腸に届ける保護・運搬機能、すなわち、生菌数を維持する担体としての機能があることが明らかとなった。このことから、炭素分子構造等が、菌体破壊に関わるpH因子を阻害していることが推認され、その結果、生菌製剤と分散性の炭との混合物に関しては、胃酸等の影響を受けずに通過する力を高めたサプリメントが実現できることとなる。なお、本実施形態に係る炭は、水に分散する顆粒のみならず、粉末の形態を採ることも可能である。
【0040】
また、本実施形態に係るハイドロチャコールは、重量比で5%~95%のイヌリンを含有する。イヌリンとは、キク科の植物によって作られる多糖類の一種であり、栄養の面で優れていることから、近年、食品に使用されることが増えてきている。すなわち、イヌリンは、砂糖やでんぷんなどの糖類に属するが、人間はイヌリンを分解する酵素を持っていないため、イヌリンを含む食材を摂取してもほとんど吸収されずに体外へ排出される。そのため、イヌリンは、水溶性の食物繊維に分類され、腸内で発酵分解されるとフラクトオリゴ糖になることで知られている。イヌリンは腸で水分を吸収するとゲル状になり、一緒に接種した糖質の吸収を抑える機能を有する。また、腸内で善玉菌のエサとなるため、腸内環境を整える効果を持ち、ダイエット食品などに多く利用されている。人間が、イヌリンを摂取することによって、腸内環境改善、血糖値・コレステロール上昇抑制効果が期待される。
【0041】
また、本実施形態に係るハイドロチャコールは、重量比で10%~40%のガゴメ昆布パウダーを含有する。これにより、人体に用いた場合に育毛効果が期待される。すなわち、近年、海藻類に含まれる「フコイダン」という成分が育毛に寄与するということが科学的に解明されてきている。「フコイダン」は、コンブ、ワカメ、モズクなど異なる複数の海藻から抽出することができるが、特に、ガゴメ昆布のフコダインが、高い育毛効果を示すことが分かっている。ガゴメ昆布は、北海道の一部の限られたエリアでしか採取できない昆布であり、この昆布から抽出されるガゴメ昆布フコイダンは、他の海藻類から抽出できるフコイダンよりも育毛効果がはるかに高いとされている。より具体的には、ガゴメ昆布の産地である函館の南茅部(みなみかやべ)の前浜は、遠浅で照度が高く、寒暖流が合流して昆布の育成に適した水温であり、また、ケイ素が豊富な酸性岩地形、広葉樹林からの栄養塩や大小30の河川から流れ込むやミネラルなど、恵まれた条件が良質の昆布を育成するとされている。
【0042】
最近の研究により、ガゴメ昆布には「F‐フコイダン」「U‐フコイダン」「G‐フコイダン」という3種類のフコイダンがあり、その中でも「F‐フコイダン」に特に強い育毛効果があることが分かっている。ガゴメ昆布フコイダンは、毛髪の成長因子の生産を増やし、毛母細胞の増殖を促進するとされている。この成長因子は、「FGF‐7」というタンパク質の一種で、人のヘアサイクルの成長期を伸ばし、毛髪の育成期間を延ばすとされている。毛髪は、成長期間が伸びた分だけ成長できるため、太く強い髪の毛を育成することが可能となる。また、休止期に入った毛根を、より早く成長期に移行させる効果もあり、さらに毛髪の成長期間を延ばすことが可能である。また、ガコメ昆布の海藻類特有の保湿効果も高く、頭皮の潤いを保持し、良好な頭皮環境を維持するとされている。
【0043】
また、ガゴメ昆布は、フコイダンの他に、ヨウ素やケイ素を含有することが分かっている。ヨウ素は、海底堆積物に多く含まれ海藻の中に取り込まれている。また、上記のようなガゴメ昆布の生育環境により、ケイ素も健康的な成長に良い影響を与えていることが分かっている。ケイ素は、人体の爪、毛髪、骨、細胞膜などに存在し、組織に芯を通して強くする働きや細胞を酸化・糖化から守る働きがある。なお、ガゴメ昆布の他にアカモク、メカブ、ガニアシ、海藻ダルスなどの海藻由来素材を用いても良い。
【0044】
次に、本実施形態に係るハイドロチャコールは、重量比で0.3%~30%のクエン酸を含有する。クエン酸は、カルボキシル基を3個有する弱酸で、柑橘類の果物(みかん・ライム・レモン・グレープフルーツなど)に含まれている。また、酸味を持つことから食品添加物として多用されている。クエン酸は、生体内では、「クエン酸回路」の構成成分であり、主に、クエン酸回路によるエネルギー生産を目的として、サプリメントとして多用されている。
【0045】
クエン酸には様々な効果があり、主に、疲労回復、美肌効果、発毛効果があることが知られている。例えば、「人間の髪の毛」は、弱酸性であるが、シャンプーは弱アルカリであるため、洗髪することによって、pHのバランスが崩れることがある。シャンプーを用いて洗髪した後、髪の毛がきしむことがあるが、これは髪の毛がアルカリ性に傾いてしまったことを意味する。クエン酸は、この状態を元に戻すために有用である。アルカリ性に傾いてしまった髪の毛をクエン酸で中和することによって、髪の毛の状態を元に戻すことが可能となる。クエン酸をシャンプーの後のリンスに使うことによって、髪の毛の状態を元に戻し、手触りを良くすると共に、血行を促進し頭皮を柔らかくする効果も奏する。さらに、薄毛や抜け毛の予防や、枝毛や切れ毛の改善にも効果があるとされている。
【0046】
また、本実施形態に係るハイドロチャコールは、重量比で0.3%~30%の海洋深層水を含有する。海洋深層水は、一般的に深度200m以深の海水であると理解されており、表層水に対して、清浄性、無機栄養塩類が豊富、低温安定性という特徴を有する。すなわち、海洋深層水は、人間の排水で汚染された河川水の影響を受けないため、化学物質による汚染がなく、太陽光が届かずプランクトン等が成育しないことから、有害な雑菌等も表層水の千分の一以下となっている。また、表層水に比べて、植物プランクトンの成長に必要な無機栄養塩類が豊富であり、さらに、水温や含有成分が変化し難く、水質が安定しているという特徴を有する。
【0047】
本実施形態に係るハイドロチャコールでは、海洋深層水は、水素によって還元処理されている。水素を用いた還元処理を行なうことにより、水素が吸蔵された状態となり、水に溶けた時にヤシ殻活性炭を速やかに分散させる効果を奏する。なお、本実施形態では、海洋深層水に対し、水素による還元処理を行なった上で、ヤシ殻活性炭等と混合する例を示すが、本発明は、これに限定されるわけではなく、炭含有組成物が出来上がった後で、水素によって還元処理を行なうことも可能である。なお、本発明は、海洋深層水に対し、必ずしも水素による還元処理をしなければならないわけではない。また、海洋深層水は、便宜上、粉末の状態で取り扱う場合もあるが、本発明は、粉末に限定されるわけではない。
【0048】
また、本実施形態に係るハイドロチャコールは、非晶質の水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)が0.01%~5%の重量比でさらに混合されても良い。ケイ素は、人体の皮膚、骨、毛髪、爪、血管、細胞壁など、様々な部位に含まれており、健やかな皮膚、強い骨、しなやかな髪、つやのある爪を保持するためには、ケイ素が必要とされることが分かっている。本実施形態に係るハイドロチャコールは、ケイ素を含むことによってアンチエイジング効果を高めることが可能となる。
【0049】
ここで、ケイ素およびその関連物質について説明する。ここで、国際原子量表(2010)に基づいて、原子量を「S 28.0855」、「H 1.00794」、「O 15.9994」として、小数第3位を四捨五入する。ケイ素は、「S」で表され、原子量は28.09である。人体に必要とされる1日あたりのケイ素量は、「10~40mg」であり、ケイ素として摂取目安量が用いられている。次に、シリカは、ケイ酸・無水ケイ酸・二酸化ケイ素とも呼ばれ、「S」で表され、分子量は60.09(28.09+16.00×2=60.09)である。無水であり、身体に吸収され易い水溶性ケイ素ではないものの、「シリカ」という言葉の響きの良さから、水溶性ケイ素の別名として「シリカ」と呼称される事がある。ただし、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)とシリカ(無水ケイ酸)は下記分子式・分子量の通り、異なる物質である。シリカ(ケイ酸・無水ケイ酸)が水和してHOが1つ追加されてメタケイ酸に、更に水和しHOが1つ追加されてオルトケイ酸に変化し、生体に取り込まれ有効活用され易くなる。水溶性ケイ素とは含水シリカ(含水ケイ酸)であり、メタケイ酸またはオルトケイ酸の形をとる物質を指す。山や岩石を構成する非水溶性シリカ(シリカ・ケイ酸・無水ケイ酸)がHOと結び付いて溶け出し、メタケイ酸に変化。更に水和が進み(HO追加)、より生体に吸収されやすいオルトケイ酸に変化し海洋へと達し、食物連鎖の底辺である「植物プランクトン ケイ藻」に取り込まれ連鎖し、生体内への活用が進んで行く。繰り返しになるものの、ミネラルウォーターに活用される「温泉や湧き水由来の飲むシリカ」とは、「水溶性ケイ素」であり、岩石(シリカ・ケイ酸・無水ケイ酸)より溶け出し、美肌の湯成分として飲泉に長年愛用されている「メタケイ酸(含水シリカ、含水ケイ酸)」、または「オルトケイ酸」を指している。これにより、「ケイ素/シリカ」=「28.09/60.09」=「0.47」倍となる。また、「シリカ/ケイ素」=「60.09/28.09」=「2.14」倍であり、これらのことから、ケイ酸(シリカ、S)=ケイ素(S)×1/0.47=ケイ素(S)×2.14となる(日本食品分析センター使用の換算値に基づく)。
【0050】
次に、メタケイ酸は、「H」で表され、分子量は78.1(1×2+28.09+16.00×3=30.09+48.0=78.09)である。このことから、メタケイ酸は、シリカ(ケイ酸、二酸化ケイ素)が水和して、「HO+S=H」に変化したものであるといえる。
また、以下の関係が見出される。
「ケイ素/メタケイ酸」=「28.09/78.09」=「0.36」倍
「メタケイ酸/ケイ素」=「78.09/28.09」=「2.78」倍
「シリカ/メタケイ酸」=「60.09/78.09」=「0.77」倍
「メタケイ酸/シリカ」=「78.09/60.09」=「1.30」倍
【0051】
次に、オルトケイ酸は、「H4SO4」で表され、分子量は、78.1(1×4+28.09+16.00×4=32.09+64.0=96.09)である。上記メタケイ酸の分子式と比べて更に「HO」が付いて水和化した形を採る。ケイ酸は、主に「オルトケイ酸(H4SO4)」の形で存在し、その生物地球化学的循環は珪藻によって制御されている。この「オルトケイ酸(H4SO4)」は、「S(OH)4」であり、Sを中心として、「OH基が4つ手を握る綺麗な形の分子構造」を取っており、吸収性により優れている。
また、以下の関係が見出される。
「ケイ素/オルトケイ酸」=「28.09/96.09」=「0.29」倍
「オルトケイ酸/ケイ素」=「96.09/28.09」=「3.42」倍
「シリカ/オルトケイ酸」=「60.09/96.09」=「0.63」倍
「オルトケイ酸/シリカ」=「96.09/60.09」=「1.60」倍
【0052】
ここで、1日の推奨摂取目安量について説明する。上述したように、「シリカ/ケイ素」=「60.09/28.09」=「2.14」倍、「メタケイ酸/ケイ素」=「78.09/28.09」=「2.78」倍、「オルトケイ酸/ケイ素」=「96.09/28.09」=「3.42」倍、である。ケイ素単体での1日推奨摂取目安量は、「10~40mg」であることから、シリカ、メタケイ酸、オルトケイ酸に換算した場合の1日推奨摂取目安量は、ケイ素量からの各換算値範囲内と考えられる。すなわち、ケイ素として「10~40mg」、シリカとして「21.4~85.6mg(10~40mg×2.14倍)」、メタケイ酸として「27.8~111.2mg(10~40mg×2.78倍)」、オルトケイ酸として「34.2~136.8mg(10~40mg×3.42倍)」となる。
【0053】
「Gerd Bendz」編集の文献「Biochemistry of Silicon and Related Problems (Nobel Foundation Symposia)」によれば、「人の大動脈中のケイ素含有量は、年齢と共に変化する」とされている。図4に示すように、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)は、誕生時に体内にあった数値を100とすると、個人差を無視すると、40歳までに約半分に減ってしまう。人間は、必要な水溶性ケイ素を自分の身体でつくることができないため、美容と健康を維持するためには、積極的に水溶性ケイ素を摂取することが重要である。
【0054】
水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)は、人体にも含まれ、毛髪、爪、血管、骨、関節や細胞壁などに存在しており、生体内のケイ素はコラーゲンを束ねる作用を持ち、骨、毛髪、爪、コラーゲンの再生や補強、維持に役立つ他、肌の保湿などにも影響を及ぼす。また、ケイ素は皮膚(真皮層)・毛髪・爪等に含まれ、コラーゲン・セラミド、エラスチン・ヒアルロン酸・コンドロイチンなどを結び付け、肌のハリや弾力を維持し、組織を束ね丈夫にする機能を有する。さらに、ケイ素は、肌(皮膚)におけるコラーゲンの合成を促進させ、コラーゲン層間の接着および上質化を担う機能を有することから、これらを組み合わせることによって美容健康効果が発揮されることが期待される。更に、ケイ素は腸壁から吸収され、血管を通る際、血管内部の付着物を可溶化する作用があり、動脈硬化の予防にも効果がある。さらに、植物の成長の促進、あるいは茎の強化を図る機能を有している。
【0055】
米国の「フラミンガム子孫研究」では、ケイ素(水溶性ケイ素に含有)の摂取量と骨密度(BMD)に密接な関係があるとされた。この研究では、30代から80代までの研究対象者の男女2846人の食生活において、「ケイ素摂取量」の測定結果に応じて4グループに分けて比較した。その結果、男性や閉経前の女性では、ケイ素摂取量が多いほど、大腿骨頚部の骨密度が高いことが判明した。これにより、ケイ素の骨粗鬆症予防に対する効果が期待されている。このように、ケイ素の重要性が明らかになったことから、欧米では、身体に吸収されやすい水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)の健康補助食品・サプリメントはかなり以前より注目されており、欧米のケイ素商品の市場はすでに非常に莫大な規模となっている。
【0056】
植物由来のケイ素も鉱物由来のケイ素も同一条件下にて温度・圧力などを用いた加工を施すことで水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)を得ることはできるが、それぞれケイ素以外に含まれるミネラルバランスは異なるため、大地の恵み・植物の恵みを共に満喫するのであれば、植物性水溶性ケイ素・鉱物性水溶性ケイ素の濃縮液をミックスすることで、相乗効果を期待することもできる。なお、「水溶性ケイ素」については、竹由来、竹と同じくイネ科植物であるサトウキビや熊笹、ススキ、もみ殻・イナワラ由来などの「植物性ケイ素」、または、水晶・石英などの「鉱物由来ケイ素」のいずれのケイ素を用いても良い。霧島(霧島連山)や箱根の天然水や温泉水由来の水溶性ケイ素を配合しても良い。また、富士山溶岩マリモパウダーより溶出する水溶性ケイ素を活用したり、富士山の湧き水や温泉水に豊富に含まれる水溶性ケイ素を掛け合わせたりすることにより、ミネラルの更なる相乗効果を期待できる「富士山のミネラルの恵み」と、「海洋深層水ミネラルの恵み」は、まさに高低ミネラルの恵みであり、陰陽のミネラルバランスの恵みであると言うことができる。なお、富士山の湧き水、温泉水、溶岩などには「バナジウム」が含まれており、「バナジウム」は、糖尿病への効果が期待できることが知られている。富士山の大地に降った雨や雪は、長い歳月をかけ、分厚い玄武岩層の中を浸透する間に、バナジウムをはじめ豊富なミネラルをバランス良く取り込んだ天然水となることが知られている。本実施形態においても、「バナジウム」を含有することによって、糖尿病への効果が期待できるようになる。
【0057】
また、水溶性ケイ素を多く含むミネラルウォーターの産地は、おもに富士・箱根地域や九州地方に分布している。九州地方は、阿蘇・雲仙・霧島・久住・桜島・別府といった世界有数の火山・温泉群を有しており、このエリアの地層にはシリカ(ケイ酸・無水ケイ酸)が多く含まれ、長い時間をかけて水の中に溶け出している事が知られている(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸に変化)。また、水溶性ケイ素を豊富に含む霧島の温泉水については、「はるか昔、イザナギノミコトとイザナミノミコトが、足腰の立たないヒルコノミコトを船にのせ、たどり着いた「なげきの杜」で温泉治療をさせた」という神話が知られている。本実施形態においても、霧島や桜島の湧き水や天然水由来の水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)を含有していても良い。
【0058】
また、桜島産のミネラルウォーターは、天然ゲルマニウムを含有する場合がある。ゲルマニウムは、酸素と結合し、酸素を運搬する機能を果たし、体内のインターフェロンを活性化させることが分かってきている。このため、本実施形態においても、桜島産のミネラルウォーターを用いることによって、天然ゲルマニウムの利点を得ることができる可能性もある。興味深い事に、炭素(原子番号6)、ケイ素(原子番号14)、ゲルマニウム(原子番号32)は、周期表において同じ第14族元素に属しており、価電子に「s2p2」の4電子を持つ電子構造を有しつつ、それぞれ固有の健康効果を期待できる特徴を有している。
【0059】
本発明者らは、コラーゲン生成についての水溶性ケイ素による相乗効果について、研究機関による研究結果に基づいて検証した。試験物質は、(a)コラーゲン、(b)水溶性イオン化ケイ素超濃縮液、(c)セラミド(1%セラミド溶液)であり、試験方法は、以下の通りとした。すなわち、正常ヒト皮膚線維芽細胞を培養し、対数増殖期に移行させると同時に、必要細胞数を確保し、正常ヒト皮膚線維芽細胞を「96well micro plate」に「1×104cells/100μL/well」の濃度で播種した。次に、24時間前培養を行ない、培養液を除去し、調整した試験サンプル溶液を各wellに加え48時間の培養を行なった。次に、培養上清を回収し、この培養上清について、ELISAコラーゲンキットにより測定し、細胞タンパク質で補正した値で示した。結果は、次の表の通りである。
【表7】
【0060】
このように、「コラーゲン 31.25(μg/mL)」と「セラミド(1%セラミド溶液) 125(μg/mL)」の組み合わせで、増殖率が128.8%(28.8%増加)となり、「コラーゲン 31.25(μg/mL)」と「セラミド(1%セラミド溶液) 125(μg/mL)」と「水溶性ケイ素 125(μg/mL)」との組み合わせで、増殖率が148.3%(48.3%増加)となった。この結果を、図5に示す。また、「コラーゲン 125(μg/mL)」と「セラミド(1%セラミド溶液) 125(μg/mL)」の組み合わせで、増殖率が165.2%(65.2%増加)となり、「コラーゲン 125(μg/mL)」と「セラミド(1%セラミド溶液) 125(μg/mL)」と「水溶性ケイ素 125(μg/mL)」との組み合わせで、増殖率が208.8%(108.8%増加)となった。この結果を、図6に示す。このように、「水溶性ケイ素」添加により、コラーゲン・セラミドの2種混合に対して、統計的に有意なレベルにて、高い相乗作用が確認された(有意差検定(Studentのt検定) vs. 2種混合:p値<0.001)。
【0061】
また、本発明者らは、ヒアルロン酸生成についての相乗効果について、研究機関による研究結果に基づいて検証した。すなわち、正常ヒト皮膚繊維芽細胞を用いたヒアルロン酸産生効果試験を、被験物質「コラーゲン」、「水溶性イオン化ケイ素超濃縮液」、「セラミド(1%セラミド溶液)」に対して、単体および各被験物質の組み合わせで実施した。試験方法は、次の通りである。(A)正常ヒト皮膚線維芽細胞を培養し、必要細胞数を確保した。(B)正常ヒト皮膚線維芽細胞を96well micro plate に1×104cells/100μL/wellの濃度で各プレートに播種した。(C)24時間前培養を行った。(D)前培養後培養液を除去し、調整した試験物質溶液を各wellに加え、48時間の培養を行った。(E)培養終了後、培養上清を回収し、ELISAヒアルロン酸キットにより培養上清中のヒアルロン酸産生量を測定した。
【0062】
試験結果の計算方法は、次の通りである。(A)ヒアルロン酸産生量は、細胞数に比例するタンパク量で除算してタンパク量当たりのヒアルロン酸産生量を算出した。(B)相対的な評価として、Control群のヒアルロン酸産生量を100%として換算し、試験物質のヒアルロン酸産生率を算出した。(C)細胞生存率、ヒアルロン酸産生量、ヒアルロン酸産生率は、ControlとStudentのt検定により有意差を検定した。各試験区のデータは3回独立で試験を実施し、有意差検定を実施した。有意水準は、両側検定でp<0.05とした。試験物質単体、およびその組み合わせによるヒアルロン酸産生効果試験結果は、以下の表に示す通りである。
【表8】
上の表は、試験物質単体のヒアルロン酸産生率結果であり、無添加を100%とした相対比率を示している。
【表9】
上の表は、2品の組み合わせによるヒアルロン酸産生率結果であり、無添加を100%とした相対比率を示している。
【表10】
上の表は、3品の組み合わせによるヒアルロン酸産生率結果であり、無添加を100%とした相対比率を示している。
【0063】
試験物質単体において、各被験物質ともにヒアルロン酸産生促進効果が認められており、コラーゲンおよびセラミドは単品で高いヒアルロン酸産生を示し、全ての試験区で無添加と比較して有意な産生促進効果が認められた。水溶性ケイ素については、125μg/mL試験区で無添加と比較して有意な産生促進効果が認められた。また、2品の組み合わせでは、コラーゲンと水溶性ケイ素の組み合わせでは、全試験区でコラーゲン単品と比較して、有意にヒアルロン酸産生が促進され、セラミドと水溶性ケイ素の組み合わせでは、セラミドの濃度が31.25μg/mL以上の濃度区で水溶性ケイ素との組み合わせによりヒアルロン酸産生が促進され、セラミド単体と比較してヒアルロン酸産生促進効果が認められた。コラーゲンとセラミドの2品の組み合わせでは、コラーゲン31.25μg/mL以上の組み合わせで、コラーゲン単品と比較し、ヒアルロン酸産生が促進され、組み合わせによる相乗効果が認められた。
【0064】
さらに、コラーゲンとセラミドの組み合わせに、水溶性ケイ素を加える3品混合では、コラーゲン31.25μg/mL以上の試験区でヒアルロン酸産生量が2品の組み合わせと比較して有意に促進され、水溶性ケイ素の相乗効果が認められた。この様子を7A~図7Cに示す。
【0065】
また、ケイ素は、海の宝石と言われる「桜エビ」の生育・甲殻形成に大きな影響を与えている事が知られている。世界的にも貴重な桜エビは、台湾と駿河湾の2箇所でしか獲る事ができない。日本国内の水揚げ量のほぼ100%が静岡県駿河湾産である。図8に示すように、駿河湾に注がれる富士湧き水など河川には、「水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)」が豊富に含まれており、桜エビの稚エビ期に餌となる植物プランクトン「ケイ藻」の骨格形成に重要なファクターとなる。桜エビに取り込まれたケイ藻は「生体内ケイ素」として食物連鎖を通じて、生物生育に欠かさない美のミネラルとしての役割を担っている。すなわち、水や温泉から川を通じて海(駿河湾)へと辿り着き、植物プランクトン「ケイ藻」の身体を構成する重要成分となり、桜えびをはじめとする駿河湾の豊かな生態系、食物連鎖を通じて、日本人の身体の骨格、組織を強くする働きを担っている。「鉱物ケイ素→植物ケイ素→生体内ケイ素へと変遷し、食物連鎖を経て、再び便や死骸となり海底や大地へと戻り、長い年月を経て鉱物ケイ素へと変化する」という流れが「地球上のケイ素循環」となる。このように、ケイ素は、地球上を長い年月をかけて循環し、鉱物・植物・生体内を移動しており、人体にも不可欠な「美のミネラル」であるといえる。本実施形態に係るハイドロチャコールは、このようなケイ素の利点を有効に活用するものである。
【0066】
本発明者らは、第三者機関を介して、本実施形態に係る水溶性ケイ素の皮膚浸透性試験を行なった。この試験では、本実施形態に係る水溶性ケイ素と市販のケイ素水とを比較することで皮膚浸透性の評価を行なった。すなわち、試験検体を、本実施形態に係る水溶性ケイ素、市販のケイ素水とし、被験者を51歳男性とし、被験部位を右前腕内側とした。試験方法は、まず、試験検体の浸透性を目視できるようにするため、それぞれの試験検体に蛍光剤を所定量添加した。被験者は、被験部位を暴露して着座姿勢にて一定条件(室温:25℃、湿度50%)にした試験室内の環境に慣れるため、約10分間の馴化を行なった。馴化終了後、被験部位に3cm×3cmの試験区を2箇所設定し、片方を「本実施形態に係る水溶性ケイ素」試験区、もう片方を「市販のケイ素水」試験区とした。それぞれの試験区に検体20μL滴下して、試験区内に均一に塗り広げた。次に、双方の試験区全体に蒸留水をスプレーして散布した後、直ちにブラックライトを照射して、蛍光色の発光の有無を観察した。
【0067】
結果は、「本実施形態に係る水溶性ケイ素」の試験区においては、蛍光剤の発色は認められず、「市販のケイ素水」の試験区のみが蛍光発色が認められた。このことから、「市販のケイ素水」は、皮膚上に蛍光剤が残存していたことから、皮膚浸透現象が起きていないと考えられる一方、「本実施形態に係る水溶性ケイ素」は、蛍光剤の残存発色がないことから、皮膚への浸透が起きたと考えられる。図9は、水溶性イオン化ケイ素の働きを示す図である。図9に示すように、ケイ素は、コラーゲンなどと結びつき、皮膚の隙間を埋めて弾力を保つ役割を果たしている。ただし、ケイ素そのものでは皮膚に浸透しにくいため、本実施形態では、特殊加工により浸透率に優れた「水溶性イオン化ケイ素」を実現した。これにより、浸透率が高くなり、皮膚の活力を取り戻したり、皮膚の再構築が可能となったりするなど、更なる効果が期待できる。
【0068】
また、本実施形態に係るハイドロチャコールは、フルボ酸が0.01%~5%の重量比でさらに混合されても良い。フルボ酸は、植物が土中の微生物により分解されたできた腐植土壌に存在する有機酸の一つである。フルボ酸は、植物が土中のミネラルを吸収するために必要な役割を担う。また、フルボ酸は、ミネラルをイオン化し、体内に吸収されやすい形に変化させる(キレート作用)。フルボ酸は、このキレート作用により、ミネラルをイオン化し、活性酸素の抑制が期待できることが知られている。本実施形態に係るハイドロチャコールは、フルボ酸を含むことによって、健康維持や健康増進のために期待できると言える。
【0069】
フルボ酸は、自然界では多くの金属と錯体を形成するが、鉄との錯体はフルボ酸鉄となり、海洋への鉄分の移動の大きな部分を占めると共に、植物(植物プランクトンを含む)や家畜の成長を促進する効果を示すエビデンスが多く存在している。また、フルボ酸は、森林や土壌の中に存在する有機酸の一つであるが、植物プランクトンを起点とする食物連鎖を通じて人や動物に取り込まれて、体内に運ばれてきたミネラルなど養分の循環を促す働き(イオン交換)を担っている。
【0070】
近年、北海道西部の日本海沿岸で、海底の岩肌が真っ白に変色する「磯焼け」と呼ばれる現象が発生している。この現象が発生すると、図10に示す「食物連鎖」の底辺にある「海藻や植物プランクトン」が減少し、その結果、これを餌とする沿岸の魚が姿を消し、漁業に深刻な影響を及ぼすことになる。その一因に森の荒廃とフルボ酸鉄との関係が挙げられている。海中の藻や植物プランクトンの成長には、窒素が不可欠となるが、この窒素吸収には、触媒の働きをする「鉄イオン」が必要となる。鉄イオンは、海水には極微量しか存在せず、森からの川を通じた鉄供給が減少すると鉄イオン不足となる。川を通じて海に運ばれる「鉄イオン」を考える時に、「フルボ酸鉄」がキーワードとなる。森林では、地上に落ちた葉や枝が微生物により分解され、その時にフルボ酸が生成され、腐植土中の鉄と結合し「フルボ酸鉄」となる。鉄はイオンのままでは、川に運ばれる途中で酸素に触れて酸化し「鉄粒子」に変わってしまう。しかし、図11に示すように、森林でフルボ酸と結合した鉄イオンは、「フルボ酸鉄」として「鉄イオンのまま」川を下り海へと到達する。フルボ酸鉄は、植物プランクトンや海藻の窒素吸収を通じた成長に重要な役割を果たしている。
【0071】
「フルボ酸」および「フミン酸」は、腐植物質(ヒューミン)といわれ、有機物質、特に植物の分解で作り出され、植物にミネラルを補給する役目を担っている。どちらもキレート力(つかむ力)でミネラルやアミノ酸を運び、過剰なミネラルを排出する働きがある。フルボ酸は、酸性溶液に可溶であり、とても希少価値が高いとされている。フミン酸は、アルカリ水溶液に可溶であり、色素が濃く黒色のメラニン色素が集まっている。このように、「フミン酸」が黒色を呈するのは、主として、古代の海の浅瀬に生えていた植物、すなわち、ワカメ、海苔、木の葉などの植物類が海底に沈殿し、火山灰などの埋積物により厚く閉じ込められ、何億年という長い年月をかけて経年変化で有機物に分解されたことによる。フミン酸は、有機物に結びついていたミネラルを含むことを特徴としており、地表に出ても劣化することがない。
【0072】
また、例えば、有明海再生を可能にするため、フルボ酸鉄ケイ素による干潟浄化実証試験が行われ、また、フルボ酸が森林や山から鉄分や水溶性ケイ素を運ぶ担持体として機能し、湖沼や海の干潟が、フルボ酸鉄ケイ素により再生することも知られている。このようなフルボ酸は、生活習慣病をはじめ、有害物質の分解能力による細胞の機能回復や美肌づくり、アトピー性皮膚炎やアレルギー体質の改善、視力回復や育毛、免疫力アップなどへの活用に向けた研究が、農業・畜産・ヒトの飲用・化粧品への用途おいて進められている。
【0073】
また、本実施形態に係るハイドロチャコールは、海藻パウダーが0.01%~5%の重量比でさらに混合されても良い。この海藻パウダーは、石灰質が沈着した海藻が枯れて海底に堆積したものを採取して粉末にしたものであり、カルシウム、マグネシウム、リン、カリウム、イオウ、鉄などのミネラルを豊富に含んでいる。例えば、アイスランドの北大西洋沿岸の浅瀬や沖の海底に生息している海藻(例えば、Lithothamnion)の粉末を用いることができる。
【0074】
以上説明したように、本実施形態に係るハイドロチャコールは、機能性食用炭または食用の炭、イヌリンを含有すると共に、ガゴメ昆布パウダー、クエン酸、海洋深層水を含有し、さらに、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)、フルボ酸、海藻パウダーを含有すると共に、ガゴメ昆布パウダー、海洋深層水、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)、フルボ酸、海藻パウダーに水素担持加工を施すことによって、これらの成分が融合し、個々の特性も保持しつつ、全体で相乗効果を生み出すよう設計された物質である。さらに、水素担持加工を施した海洋深層水、ガゴメ昆布パウダー(ガゴメ昆布含有ミネラル)、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)、フルボ酸、海藻パウダーによって、水に溶かした際に、速やかに分散させることを可能にした。なお、乳酸菌やビフィズス菌などを添加しても良い。特に、ヤシ殻活性炭などの炭が多孔質であることから、善玉菌の良い住処となるため、腸内環境の維持・改善に有用である。また、添加する材料の種類が増えるとその分、他の材料の含有比率が下がることは言うまでもない。例えば、乳酸菌、ビフィズス菌等を添加した場合には、イヌリンの含有比率が下がることになっても、適正な範囲であれば、本発明の効果の点では問題はない。
【0075】
[水素発生量についての検証例]
本発明者らは、本実施形態に係るハイドロチャコールから生ずる水素の量を独自に検証した。すなわち、本実施形態に係るハイドロチャコールを検体とし、ガスクロマトグラフィーによって、検体から生じる水素の量を測定した。試験方法は、(a)検体を乳鉢で粉砕後、1gおよび0.5gを採取し、125mLバイアルに加え、そこに精製水25mLを加え、すばやく蓋をし、30分間超音波抽出した。(b)室温で48時間以上静置後、バイアル中のヘッドスペースガス0.5mLをガスクトマトグラフに注入し、水素を測定した。測定結果は、「6.5mL/g」であった。一般的に、高濃度の水素水は、1ppmの水素を含有するとされているが、本実施形態に係るハイドロチャコールを水に溶かすことによって、非常に高い濃度の水素溶液を生成することが可能となる。さらに、本実施形態に係るハイドロチャコールは、ガゴメ昆布を含んでいるため、その「とろみ」から水素が抜けにくいという効果も有する。
【0076】
水素は、活性酸素を除去する機能を有し、分子サイズが宇宙最小であるため、皮膚や毛髪から速やかに浸透して活性酸素を除去すると言われている。また、紫外線によるシミなど皮膚老化抑制、抜け毛抑制に対する効果も期待されている。
【0077】
[本実施形態に係るハイドロチャコールの用途]
(1)飲用または食用
例えば、本実施形態に係るハイドロチャコールをコーヒーに混ぜることで、種々の効用が得られる。インスタントコーヒーは、深煎りであることが多い。コーヒーにおける苦味と酸味のバランスの観点で、深煎りの場合は、生豆本来の酸味クエン酸が、加熱によって消失するため、苦味が強くなり、また発ガン性物質「アクリルアミド」が発生することが分かっている。本実施形態に係るハイドロチャコールは、上記のように、ヤシ殻活性炭が苦味成分やアクリルアミドを吸着すると共に、水の中の残留塩素やトリハロメタンも吸着する。そして、クエン酸が生豆本来の酸味を補填し、海洋深層水がミネラルを供給し、水素が焙煎や熱抽出で酸化したコーヒーそのものを還元する。また、ガゴメ昆布やイヌリンが程良いとろみを与えて水素が抜けにくくする機能を果たす。これにより、飲みやすく健康に良いコーヒーを楽しむことが可能となる。なお、コーヒー以外においても、ハイドロチャコールを様々な飲み物に入れて活用することが可能である。
【0078】
また、ハイドロチャコールは、上記の飲用のほか、食用も有用である。すなわち、ガゴメ昆布がヨウ素やケイ素、フコイダンを含むため、これらを身体への取り込む方法として、食用、すなわち「食べる育毛ケア」として活用することができる。
【0079】
また、上述したように、本実施形態に係る活性炭は、pH2程度の強酸性・胃酸環境においても生菌数が多数確認できたことから、ハイドロチャコールと乳酸菌やビフィズス菌と混合させることによって、ハイドロチャコールが乳酸菌やビフィズス菌の逃避場所(シェルター)となり、強酸の環境下であっても乳酸菌やビフィズス菌が死滅せずに生き残る場所を提供することが可能となる。これにより、ハイドロチャコールに含まれるヤシ殻活性炭が乳酸菌やビフィズス菌に逃避場所を与え、腸内でフラクトオリゴ糖に変換されるイヌリンや、ミネラル豊富な海洋深層水・ガゴメ昆布との相乗効果によって、ハイドロチャコール全体で腸内環境全体に寄与する可能性が高いと言える。
【0080】
本発明者らは、以下のように、本実施形態に係る海洋深層水が乳酸菌等の菌に与える影響について検証した。
【0081】
[市販のヨーグルト中の菌の増殖についての検証例]
本発明者らは、本実施形態に係る海洋深層水が市販のヨーグルト中の菌の増殖に与える影響について着目し、第三者による試験結果に基づいて、検討を行なった。試験方法は、(a)12mLのMRS培地、もしくは海洋深層水パウダーを1%添加したMRS培地に、100倍希釈の市販のヨーグルトAおよびBを1mL添加し、(b)37℃で培養し、経時的に濁度を測定した。この「濁度」とは、液体の濁りの程度を示すもので,蒸留水1L中に,白陶土1mgを含む場合の濁りの度合いを1度(または1ppm)とする。図1は、市販のヨーグルトAの菌の増殖に与える海洋深層水パウダーの効果を示し、図2は、市販のヨーグルトBの菌の増殖に与える海洋深層水パウダーの効果を示す。図1および図2に示すように、海洋深層水パウダーを添加すると、ヨーグルト中の菌の増殖を促進することが明らかとなった。
【0082】
[腸内乳酸菌(Lactobacillus gasseriJCM1131)の菌の増殖についての検証例]
本発明者らは、本実施形態に係る海洋深層水が腸内乳酸菌(Lactobacillus gasseri JCM1131)の菌の増殖に与える影響について検証した。試験方法は、(a)12mLの改変MRS培地、もしくは海洋深層水パウダーを1%、2%添加した改変MRS培地に、濁度(OD600)値が1.0(MRS培地)の腸内乳酸菌(Lactobacillus gasseri JCM1131)株を、1mL添加し、(b)37℃で培養し、経時的に濁度を測定した。図3は、海洋深層水パウダーの添加が、腸内乳酸菌(Lactobacillus gasseri JCM1131)の増殖に与える効果を示す。図3に示すように、海洋深層水パウダーの添加は、腸内乳酸菌(Lactobacillus gasseri JCM1131)株の増殖を促進することが明らかとなった。
【0083】
(2)人体への塗布等
本実施形態に係るハイドロチャコールは、上述した機能を有する材料から構成されているため、洗顔、口腔ケア、頭皮ケアとして用いたり、皮膚ジェルパック、入浴料などに添加したりすることで活用できる。すなわち、シャンプーや洗顔料に混ぜて使用することによって、頭皮や皮膚に手軽に水素補給およびミネラル補給ができ、皮膚を清潔に還元させて酸化トラブルを抑制可能となる。また、ヤシ殻活性炭が余計な皮脂や細菌などを吸着するため、皮膚の状態を良好に保持することが可能となる。
【0084】
また、入浴料として使用することによって、浴槽の水に含まれるトリハロメタンや残留塩素をヤシ殻活性炭が吸着し、皮膚に水素が供給される。さらに、ヤシ殻活性炭が遠赤外線を発するため、身体が温まりやすく冷めにくくする効果を期待することができる。また、ハイドロチャコールを少量の水と混ぜて皮膚に塗布することで、水素炭パックに活用することが可能である。また、上述したように、ガゴメ昆布が水にとろみをつけるため、水素が抜けにくくなり、塗布した後で、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)のシートやシートマスクを載せて乾きにくくすることで、皮膚に手軽にミネラル水素補給が可能となる。
【0085】
さらに、ハイドロチャコールをシャンプーに混ぜて使用する場合、ガゴメ昆布の力で育毛効果が期待される。すなわち、ハイドロチャコールは、ガゴメ昆布を含むため、シャンプーやトリートメントに混ぜることで、毛根にフコイダンやヨウ素、ケイ素を供給することができ、育毛効果が期待できると考えられる。
【0086】
[イヌリンの含有割合についての検証例]
本発明者らは、本実施形態に係るハイドロチャコールを水に溶かした際の分散特性を重視し、炭とイヌリンの含有割合について検証した。まず、適切であると考えられる配合割合が一つ見出されている。
(配合割合)
炭 20%
イヌリン 20%
デキストリン 60%
また、イヌリンの配合割合を下げた場合、以下のように、9%での実現が可能であることが判明した。
(配合割合)
炭 20%
デキストリン 71%
イヌリン 9%
【0087】
ここで、炭の配合割合が多すぎたり、逆にイヌリンの配合が割合が多すぎたりすると、歩留まりが悪くなり、水への溶け具合(分散性)が悪くなる事が分かっている。このため、本実施形態に係る炭含有組成物を製造することは、容易ではない。
【0088】
本発明者らは、「炭を3%、イヌリンを1%」とした場合と、「炭を3%、イヌリンを5%」とした場合についても検証した。ここで、イヌリンを配合せずデキストリンのみ配合とした場合は、顆粒炭の水への分散性が悪くなり、イヌリンの配合比率を1%とした場合も同様であった。また、顆粒炭を水に投入すると同時に水面から下方へ広がりつつ分散性させるには、イヌリン配合割合は9%以上が好適と判明した。さらに「炭3%、イヌリン5%」配合とした場合は、分散することが確認された。しかしながら、歩留まりが悪いため、今後その解決策が望まれる。最終的に、水への分散性の良い(溶けの良い)顆粒炭を製造するには、イヌリン配合比率は最低5%以上必要であり、9%以上が望ましいと判明した。
【0089】
以上説明したように、本実施形態に係るハイドロチャコールは、機能性食用炭または食用の炭、イヌリンを含有し、また、ガゴメ昆布パウダー、クエン酸および海洋深層水を含有し、さらに、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)、フルボ酸、海藻パウダーを含有すると共に、さらに、ガゴメ昆布パウダー、海洋深層水、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)、フルボ酸、海藻パウダーに水素担持加工を施したことから、これらの成分が融合し、個々の特性も保持しつつ、全体で相乗効果を生み出すことが可能となる。特に、水素担持加工を施したガゴメ昆布パウダー(ガゴメ昆布含有ミネラル)、海洋深層水、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)、フルボ酸、海藻パウダーによって、水に溶かした際に、速やかに分散させることが可能となる。さらに、一定の配合割合を定めることにより、機能性食用炭または食用の炭とイヌリンだけであっても、十分な分散特性を発揮することが可能となる。なお、イオン化アパタイト、ハイドロキシアパタイト、シルク水素パールパウダー、焼成サンゴカルシウム水素パウダー、還元発酵フルボ酸、還元発酵乳酸菌と混合させることによって、これらとの相乗効果が期待される。
図1
図2
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図7A
図7B
図7C
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図11