(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】画像読取機器、その制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/10 20060101AFI20240402BHJP
G03G 15/04 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H04N1/10
G03G15/04
(21)【出願番号】P 2019225704
(22)【出願日】2019-12-13
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】沈 宇晨
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-193123(JP,A)
【文献】特開2015-198406(JP,A)
【文献】特開2011-193311(JP,A)
【文献】特開2005-167934(JP,A)
【文献】特開2011-253325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/04 - 1/207
G03G 13/04 -13/056
15/00
15/04 -15/047
15/056
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラテンガラスと、
開閉可能なカバーとを備える画像読取機器であって、
前記カバーは、閉状態で前記プラテンガラスを覆い、開状態で前記プラテンガラスを露出させ、
前記プラテンガラスの一方側から、前記プラテンガラスにセットされた原稿の画像を読み取るスキャナーと、
前記プラテンガラスの他方側に設置され、前記プラテンガラスにセットされた原稿に対して、4つの角で特定される原稿領域に対する読取領域の矩形を特定するジェスチャーを検出するジェスチャーセンサーと、
前記スキャナーに前記原稿の前記読取領域の画像を読み取らせて読取画像として出力する制御回路と、
前記スキャナーが画像を読み取る解像度よりも低い解像度で前記プラテンガラスにセットされた原稿の画像を読み取ることにより低解像度画像を生成するカメラと、
前記低解像度画像を格納するメモリーとをさらに備え、
前記制御回路は、
前記カバーが開状態であって前記プラテンガラス上に原稿が載置されている場合に、
前記メモリーに前記原稿の低解像度画像が格納されていないとき、前記原稿が、当該原稿の画像が当該原稿の他方側の面に位置する状態である第1状態にあると判断して、前記ジェスチャーセンサーに前記読取領域を特定するジェスチャーを検出させ、かつ、前記原稿の低解像度画像を前記メモリーに格納し、
前記メモリーに前記原稿の低解像度画像が格納されているとき、前記原稿が、当該原稿の画像が前記原稿の一方側の面に位置する状態である第2状態にあると判断して、前記スキャナーに前記原稿の画像を読み取らせ、
前記原稿の画像のうち、前記読取領域の画像を前記読取画像として出力する、画像読取機器。
【請求項2】
前記制御回路は、前記スキャナーが前記原稿の画像を読み取った後、前記メモリーに格納された前記低解像度画像を消去する、請求項1に記載の画像読取機器。
【請求項3】
プラテンガラスと、
開閉可能なカバーとを備える画像読取機器であって、
前記カバーは、閉状態で前記プラテンガラスを覆い、開状態で前記プラテンガラスを露出させ、
前記プラテンガラスの一方側から、前記プラテンガラスにセットされた原稿の画像を読み取るスキャナーと、
前記プラテンガラスの他方側に設置され、前記プラテンガラスにセットされた原稿に対して、4つの角で特定される原稿領域に対する読取領域の矩形を特定するジェスチャーを検出するジェスチャーセンサーと、
前記スキャナーに前記原稿の前記読取領域の画像を読み取らせて読取画像として出力する制御回路と、
前記プラテンガラスにセットされた原稿の一方側から、前記スキャナーが画像を読み取る解像度よりも低い解像度で読み取ることにより低解像度画像を生成する第1カメラと、
前記プラテンガラスにセットされた原稿の他方側から、前記スキャナーが画像を読み取る解像度よりも低い解像度で読み取ることにより低解像度画像を生成する第2カメラとをさらに備え、
前記制御回路は、
前記カバーが開状態であって前記プラテンガラス上に原稿が載置されている場合に、
前記第1カメラの低解像度画像の画像データの色より前記第2カメラの低解像度画像の画像データの色の方が濃いときには、前記原稿が、当該原稿の画像が当該原稿の他方側の面に位置する状態である第1状態にあると判断して、前記ジェスチャーセンサーに前記読取領域を特定するジェスチャーを検出させ、
前記第2カメラの低解像度画像の画像データの色より前記第1カメラの低解像度画像の画像データの色の方が濃いときには、前記原稿が、当該原稿の画像が前記原稿の一方側の面に位置する状態である第2状態にあると判断して、前記スキャナーに前記原稿の画像を読み取らせ、
前記原稿の画像のうち、前記読取領域の画像を前記読取画像として出力する、画像読取機器。
【請求項4】
プロジェクタをさらに備え、
前記制御回路は、前記第1状態において、前記プロジェクタに、前記読取領域を表す枠を前記プラテンガラスにセットされた原稿の上に投影させる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の画像読取機器。
【請求項5】
プロジェクタをさらに備え、
前記制御回路は、前記第2状態において、前記プロジェクタに、前記読取領域を表す枠を前記プラテンガラスにセットされた原稿の上に投影させる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の画像読取機器。
【請求項6】
前記プロジェク
タは、前記プラテンガラスに対して前記一方側に設置される、請求項4または請求項5に記載の画像読取機器。
【請求項7】
前記プロジェク
タは、前記プラテンガラスに対して前記他方側に設置される、請求項4または請求項5に記載の画像読取機器。
【請求項8】
前記一方側は下方側であり、前記他方側は上方側である、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の画像読取機器。
【請求項9】
プラテンガラスにセットされた画像を、前記プラテンガラスに対して一方側に設置されたスキャナーによって画像を読み取る、画像読取装置の制御方法であって、
前記画像読取
装置は、開閉可能なカバーを含み、
前記カバーは、閉状態で前記プラテンガラスを覆い、開状態で前記プラテンガラスを露出させ、
前記画像読取
装置は、
前記プラテンガラスの他方側に設置され、前記プラテンガラスにセットされた原稿に対して、4つの角で特定される原稿領域に対する読取領域の矩形を特定するジェスチャーを検出するジェスチャーセンサーと、
前記スキャナーが画像を読み取る解像度よりも低い解像度で前記プラテンガラスにセットされた原稿の画像を読み取ることにより低解像度画像を生成するカメラと、
前記低解像度画像を格納するメモリーと、をさらに含み、
前記カバーが開状態であって前記プラテンガラス上に原稿が載置されている場合において、前記メモリーに前記原稿の低解像度画像が格納されていないとき、前記原稿が、当該原稿の画像が当該原稿の他方側の面に位置する状態である第1状態にあると判断し、前記メモリーに前記原稿の低解像度画像が格納されているとき、前記原稿が、当該原稿の画像が前記原稿の一方側の面に位置する状態である第2状態にあると判断するステップと、
前記第1状態において、前記ジェスチャーセンサーに前記読取領域を特定するジェスチャーを検出させるステップと、
前記第1状態において、前記カメラによって生成された前記原稿の低解像度画像を前記メモリーに格納するステップと、
前記第2状態において、前記カバーが閉状態にされたことを検出するステップと、
前記第2状態において前記カバーが閉状態にされたことに応じて、前記スキャナーに、前記原稿の画像のうち、前記読取領域の画像を読み取らせるステップと、を備える、画像読取機器の制御方法。
【請求項10】
プラテンガラスにセットされた画像を、前記プラテンガラスに対して一方側に設置されたスキャナーによって画像を読み取る、画像読取装置の制御方法であって、
前記画像読取
装置は、開閉可能なカバーを含み、
前記カバーは、閉状態で前記プラテンガラスを覆い、開状態で前記プラテンガラスを露出させ、
前記画像読取
装置は、
前記プラテンガラスの他方側に設置され、前記プラテンガラスにセットされた原稿に対して、4つの角で特定される原稿領域に対する読取領域の矩形を特定するジェスチャーを検出するジェスチャーセンサーと、
前記プラテンガラスにセットされた原稿の一方側から、前記スキャナーが画像を読み取る解像度よりも低い解像度で読み取ることにより低解像度画像を生成する第1カメラと、
前記プラテンガラスにセットされた原稿の他方側から、前記スキャナーが画像を読み取る解像度よりも低い解像度で読み取ることにより低解像度画像を生成する第2カメラと、をさらに含み、
前記カバーが開状態であって前記プラテンガラス上に原稿が載置されている場合において、前記第1カメラの低解像度画像の画像データの色が前記第2カメラの低解像度画像の画像データの色よりも濃いとき、前記原稿が、当該原稿の画像が当該原稿の他方側の面に位置する状態である第1状態にあると判断し、前記第1カメラの低解像度画像の画像データの色が前記第2カメラの低解像度画像の画像データの色よりも濃いとき、前記原稿が、当該原稿の画像が前記原稿の一方側の面に位置する状態である第2状態にあると判断するステップと、
前記第1状態において、前記ジェスチャーセンサーに前記読取領域を特定するジェスチャーを検出させるステップと、
前記第2状態において、前記カバーが閉状態にされたことを検出するステップと、
前記第2状態において前記カバーが閉状態にされたことに応じて、前記スキャナーに、前記原稿の画像のうち、前記読取領域の画像を読み取らせるステップと、を備える、画像読取機器の制御方法。
【請求項11】
コンピューターによって実行されることにより、前記コンピューターに、請求項9または請求項10に記載の制御方法を実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像読取機器に関し、特に、プラテンガラス上の原稿の画像データを生成する画像読取機器、その制御方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラテンガラス上の原稿の画像データを生成する画像読取機器が利用されている。プラテンガラス上の対象物の画像データの生成に関し、たとえば、特開2015-198406号公報(特許文献1)、特開2015-170907号公報(特許文献2)、特開2011-193311号公報(特許文献3)、特許5387464号公報(特許文献4)、特開2007-96959号公報(特許文献5)、特開2003-29355号公報(特許文献6)、および特開平10-51600号公報(特許文献7)は種々の技術を提案している。特に、特許文献1は、読取領域の指定に際し、書画台上をその上方から撮像する撮像手段により撮影された原稿の画像のうち、書画台上における指定位置の入力を受け付ける入力手段によって入力され変換手段により変換された2つの指定位置により定まる読み取り範囲を保持する技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-198406号公報
【文献】特開2015-170907号公報
【文献】特開2011-193311号公報
【文献】特許5387464号公報
【文献】特開2007-96959号公報
【文献】特開2003-29355号公報
【文献】特開平10-51600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像読取機器の利用に際し、ユーザは、原稿中の一部の領域を、読取対象としたい場合または読取対象にしたくない場合がある。このような場合、従来、ユーザは、上記領域を手作業で特定していた。すなわち、ユーザーは、読取対象とした領域のみの画像が読み取られるように、または、読取対象としたくない領域の画像が読み取られないように、原稿の一部の領域(たとえば、秘密情報に相当する領域)にマーカーや修正テープを利用してマスキングしていた。
【0005】
一般的に、画像読取機器では、原稿の画像を読み取るスキャナーがプラテンガラスの下方に配置されている。このため、ユーザは、画像読取機器に原稿の画像を読み取らせる場合、原稿の読取対象の面が下方に向くように、すなわち、ユーザが原稿の読取対象の面を直接視認できない状態に、原稿をセットする必要があった。したがって、一般的な画像読取機器において、上記領域の指定のために、特許文献1に記載されたような書画台上における指定位置を入力する技術を直接適用しようとしても、ユーザは指定される領域を直接視認することができず、利便性に欠けるという課題があった。
【0006】
本開示は、係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、原稿において、画像読取機器に画像を読み取らせる領域の指定を容易にするための技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示のある局面に従うと、プラテンガラスと、プラテンガラスの一方側から、プラテンガラスにセットされた原稿の画像を読み取るスキャナーと、プラテンガラスにセットされた原稿に対する領域の指定を検出するセンサーと、スキャナーに原稿の画像を読み取らせて読取画像として出力する制御回路とを備え、制御回路は、プラテンガラスにセットされた原稿が、当該原稿の画像がプラテンガラスの他方側を向けて載置された状態である第1状態でセンサーに領域の指定を検出させ、当該原稿の画像が一方側の面を向けて載置された状態である第2状態でスキャナーに原稿の画像を読み取らせ、原稿の画像のうち、指定された領域の画像を読取画像として出力する、画像読取機器が提供される。
【0008】
制御回路は、指定された領域を示す第1領域情報を、第1状態から第2状態への変更に応じて第2領域情報に変換し、第2領域情報に基づいてスキャナーに原稿画像を読み取らせてもよい。
【0009】
制御回路は、原稿が、第1状態および第2状態のいずれの状態にあるかを判断し、原稿が第1状態にある場合には、ジェスチャーセンサーに領域の指定を検出させ、原稿が第2状態にある場合には、スキャナーに原稿の画像を読み取らせてもよい。
【0010】
画像読取機器は、プラテンガラスにセットされた原稿を、一方側から、スキャナーが画像を読み取る解像度よりも低い解像度で読み取ることにより低解像度画像を生成するカメラと、低解像度画像を格納するメモリーとをさらに備えていてもい。制御回路は、領域の指定の検出に応じて、低解像度画像をメモリーに格納し、メモリーに低解像度画像が格納されている場合には、プラテンガラスにセットされた原稿が第2状態にあると判断し、メモリーに低解像度画像が格納されていない場合には、プラテンガラスにセットされた原稿が第1状態にあると判断してもよい。
【0011】
制御回路は、スキャナーが原稿の画像を読み取った後、メモリーに格納された低解像度画像を消去してもよい。
【0012】
画像読取機器は、プラテンガラスにセットされた原稿を、他方側から、スキャナーが画像を読み取る解像度よりも低い解像度で読み取ることにより、低解像度画像を生成する第1カメラと、プラテンガラスにセットされた原稿を、一方側から、スキャナーが画像を読み取る解像度よりも低い解像度で読み取ることにより、低解像度画像を生成する第2カメラとをさらに備えていてもよい。制御回路は、第1カメラによって生成された低解像度画像と第2カメラによって生成された低解像度画像とを用いて、原稿が第1状態または第2状態のいずれにあるかを判断してもよい。
【0013】
制御回路は、第1カメラおよび第2カメラによって生成された低解像度画像の濃度の比較結果に基づいて、原稿が第1状態または第2状態のいずれにあるかを判断してもよい。
【0014】
画像読取機器は、プラテンガラスを覆うカバーをさらに備えていてもよい。制御回路は、カバーの開閉動作に基づいて、原稿が第1状態にあるか第2状態にあるかを判断してもよい。
【0015】
制御回路は、スキャナーが原稿の画像を読み取った後、カバーが開状態とされたときには、原稿が第1状態にあると判断してもよい。
【0016】
画像読取機器は、原稿が第1状態または第2状態にあることを表す状態の指定の入力を受け付ける入力インターフェースをさらに備えていてもよい。制御回路は、入力インターフェースが受け付けた状態の指定に基づいて、原稿が第1状態または第2状態にあるかを判断してもよい。
【0017】
入力インターフェースは、ハードウェアボタンを含んでいてもよい。
制御回路は、センサーの検出出力に基づいて、原稿が第1状態または第2状態にあることを検出してもよい。
【0018】
画像読取機器は、領域の指定に従った情報を投影する、1以上のプロジェクターをさらに備えていてもよい。
【0019】
1以上のプロジェクターは、領域の指定に従った情報を、プラテンガラスにセットされた原稿の上に投影してもよい。
【0020】
画像読取機器は、プラテンガラスにセットされた原稿を、他方側から、スキャナーが画像を読み取る解像度よりも低い解像度で読み取ることにより、低解像度画像を生成する第1カメラと、プラテンガラスにセットされた原稿を、一方側から、スキャナーが画像を読み取る解像度よりも低い解像度で読み取ることにより、低解像度画像を生成する第2カメラとをさらに備えていてもよい。制御回路は、第1カメラによって生成された低解像度画像と第2カメラによって生成された低解像度画像とに基づいて、1以上のプロジェクターによって投影される情報の配置を設定してもよい。
【0021】
画像読取機器は、プラテンガラスにセットされた原稿を、一方側から、スキャナーが画像を読み取る解像度よりも低い解像度で読み取ることにより、低解像度画像を生成する第2カメラとをさらに備えていてもよい。制御回路は、第1カメラによって生成された低解像度画像と第2カメラによって生成された低解像度画像とに基づいて、1以上のプロジェクターによって投影される情報の配置を設定してもよい。
【0022】
制御回路は、原稿が第2状態にあるときに、第1状態において検出された領域の指定によって特定される位置を予め定められた条件に従って変換された位置に、情報を配置してもよい。
【0023】
1以上のプロジェクターは、プラテンガラスに対して一方側に設置されていてもよい。
1以上のプロジェクターは、プラテンガラスに対して他方側に設置されていてもよい。
【0024】
1以上のプロジェクターは、プラテンガラスに対して一方側に設置される第1のプロジェクターと、プラテンガラスに対して他方側に設置される第2のプロジェクターとを含んでいてもよい。制御回路は、原稿の用紙の透過率が所与の基準より高い場合には、第1のプロジェクターに情報を投影させ、原稿の用紙の透過率が所与の基準より低い場合には、第2のプロジェクターに情報を投影させてもよい。
【0025】
一方側は下方側であってもよい。他方側は上方側であってもよい。
本開示の他の局面に従うと、プラテンガラスにセットされた画像を、プラテンガラスに対して一方側に設置されたスキャナーによって画像を読み取る、画像読取装置の制御方法であって、プラテンガラスにセットされた原稿が、当該原稿の画像がプラテンガラスの他方側の面を向けて載置された状態である第1状態で、原稿に対する領域の指定を検出するステップと、プラテンガラスにセットされた原稿が、当該原稿の画像が一方側の面を向けて載置された状態である第2状態で、原稿の画像を読み取るステップと、原稿の画像のうち、指定された領域の画像を出力するステップとを備える、画像読取機器の制御方法が提供される。
【0026】
本開示のさらに他の局面に従うと、コンピューターによって実行されることにより、コンピューターに、上記制御方法を実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0027】
ユーザーは、第1状態で、原稿の画像を見ながら読取対象の領域を指定できる。これにより、ユーザーは、画像読取機器に対して、読取対象の領域を容易に指定できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本開示に係る画像読取機器の外観を示す図である。
【
図2】画像読取機器1の、カバー51が開かれた状態を示す図である。
【
図3】画像読取機器1のハードウェア構成を示す図である。
【
図4】画像読取機器1における、読取対象の領域の指定を受け付けを説明するための図である。
【
図5】ユーザーの手HDのジェスチャーによって指定された読取対象の領域を模式的に示す図である。
【
図6】画像読取機器1における、読取対象の領域の投影を説明するための図である。
【
図7】読取対象として特定された領域を示す情報の投影の一例を示す図である。
【
図8】読取対象として特定された領域に対する情報の投影の一例を示す図である。
【
図9】原稿90の画像データを生成するために画像読取機器1が実行する処理の一例のフローチャートである。
【
図10】原稿90の画像データを生成するために画像読取機器1が実行する処理の一例のフローチャートである。
【
図11】原稿90の画像データを生成するために画像読取機器1が実行する処理の一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、図面を参照しつつ、画像形成装置の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0030】
[1.画像読取機器の外観]
図1は、本開示に係る画像読取機器の外観を示す図である。画像読取機器1の一例は、MFP(Multi-Functional Peripheral)、すなわち、コピー、ネットワークプリンティング、スキャナー、ファクシミリ、およびドキュメントサーバーの中の複数の機能を集約した装置である。なお、原稿の画像を生成する機能を有している限り、画像読取機器は、それ以外の機能(たとえば、画像形成機能)を含まなくても良い。
【0031】
画像読取機器1は、操作パネル11、スキャナー装置13、プリンター装置14、フィニッシャー装置15、カバー51、および、給紙装置18を含む。
【0032】
カバー51は、画像読取機器1の上部に位置し、
図2等を参照して後述されるように、プラテンガラスを覆う。カバー51は、ドキュメントフィーダー17を含む。ドキュメントフィーダー17は、原稿を自動的に搬送する機構を含む。
【0033】
プリンター装置14は、制御ボックス100を収容する。制御ボックス100は、画像読取機器1を制御する制御回路を収容する。
【0034】
操作パネル11は、入力装置11aとディスプレイ11bとを含む。入力装置11aは、数字、文字、および記号などを入力するための複数のキーを含む。ディスプレイ11bは、種々の画面を表示する。表示される画面は、ユーザーに対するメッセージまたは指示、設定の入力を補助する情報、および、画像読取機器1における処理の結果を含む。入力装置11aおよびディスプレイ11bは、タッチパネルとして実現されてもよい。
【0035】
スキャナー装置13は、原稿の画像を読み取ることにより、当該原稿の画像データを生成する。プリンター装置14は、給紙装置18から供給される記録用紙に画像を形成する。フィニッシャー装置15は、記録用紙に対する後処理(ステープル、パンチ、など)を行う。
【0036】
[2.カバー近傍の要素]
図2は、画像読取機器1の、カバー51が開かれた状態を示す図である。カバー51が開かれると、画像読取機器1の上部に設けられたプラテンガラス50が露出する。画像読取機器1は、プラテンガラス50上に載置された原稿の画像を読み取り、当該原稿の画像データを生成する。
【0037】
カバー51には、上部カメラ31と、上部プロジェクター33と、ジェスチャーセンサー35とが設けられている。上部カメラ31は、プラテンガラス50上の原稿を上方から撮影し、当該原稿の画像を低解像度で読み取る。低解像度とは、スキャナー装置13が画像を読み取るよりも低い解像度であることを意味する。より具体的には、低解像度とは、人間が、文字やシンボルなどの要素が存在することは認識できるが、文字やシンボルの内容の具体的な視認はできない程度の解像度を意味する。低解像度の一例は、10~20dpi(dot per inch)である。
【0038】
上部プロジェクター33は、上方から、プラテンガラス50に画像を投影する。一実現例では、投影される画像は、後述のように指定される領域を表す枠の画像である。ジェスチャーセンサー35は、プラテンガラス50上のユーザーのジェスチャーを検出する。ジェスチャーセンサー35は、たとえば、光センサーを含む要素によって実現される。
【0039】
プラテンガラス50の下には、下部カメラ32と、下部プロジェクター34とが設置されている。下部カメラ32は、プラテンガラス50上の原稿を下方から撮影し、当該原稿の低解像度の画像(たとえば、サムネイル画像)を生成する。下部プロジェクター34は、下方から、プラテンガラス50に画像を投影する。一実現例では、投影される画像は、後述のように指定される領域を表す枠の画像である。
【0040】
プラテンガラス50の下には、ライトユニット13aとCCD(Charge Coupled Diode)センサー13bとが設けられている。ライトユニット13aは、ライトビームとミラーとを含む。ライトユニット13aとCCDセンサー13bは、スキャナー装置13の構成要素である。
【0041】
[3.ハードウェア構成]
図3は、画像読取機器1のハードウェア構成を示す図である。
図3に示されるように、画像読取機器1は、CPU(Central Processing Unit)20、ROM(Read Only Memory)21、RAM(Random Access Memory)22、記憶装置23、および、USB(Universal Serial Bus)インターフェース23Aを含む。CPU20は、プログラムを実行することにより、画像読取機器1内の各要素の動作を制御する。CPU20は、制御回路の一例である。ROM21は、CPU20によって実行されるプログラムを格納する。なお、CPU20は、ROM21以外の記憶装置に格納されるプログラムを実行してもよい。RAM22は、CPU20のデータ展開領域として利用され得る。記憶装置23は、種々のデータを一時的および非一時的に格納し得る。
【0042】
ネットワークI/F16は、たとえば、NIC(Network Interface Card)、モデム、および/または、TA(Terminal Adapter)である。CPU20は、ネットワークI/Fを介して、外部の機器との間でデータを送受信する。また、CPU20は、USBインターフェース23Aを介して、USBメモリー23Xからデータを読み出し、また、USBメモリー23Xにデータを書き込む。
【0043】
スキャナー装置13は、写真、文字、絵などの画像情報を原稿から光電的に読取って画像データを取得する。取得された画像データ(濃度データ)は、図示しない画像処理部においてデジタルデータに変換され、周知の各種画像処理を施された後、プリンター装置14やネットワークI/F16に送られ、画像の印刷やデータの送信に供されるか、または、後の利用のために記憶装置23に格納される。
【0044】
プリンター装置14は、スキャナー装置13により取得された画像データ、ネットワークI/F16を介して外部機器から送信された画像データ、または記憶装置23に格納されている画像データを、用紙またはフィルムなどの記録シートに印刷する。一例では、プリンター装置14は、電子写真方式で画像形成するために、感光体ドラムなどを含む。給紙装置18は、画像読取機器1本体の下部に設けられており、印刷対象の画像に適した記録シートをプリンター装置14に供給するために用いられている。
【0045】
プリンター装置14によって画像が印刷された記録シートつまり印刷物に対して、フィニッシャー装置15は、モード設定に応じてステープル、パンチなどの処理を実施した後、印刷物をトレイ24に排出する。
【0046】
[4.原稿中の読取対象の指定と提示]
画像読取機器1は、原稿の画像データの生成に際して、スキャナー装置13に画像を読み取らせる領域の指定を受け付けた場合、スキャナー装置13に、指定された領域についてのみ画像を読み取らせることができる。以下、
図4~
図8を参照して、画像読取機器1の、画像の読取対象の領域の指定に関連する動作を説明する。
【0047】
(読取対象の領域の指定)
図4は、画像読取機器1における、読取対象の領域の指定を受け付けを説明するための図である。
図4には、画像読取機器1のプラテンガラス50およびカバー51近傍の部分のみが示される。
図4において、矢印A1は、原稿90の画像が形成された面の向きを表す。矢印A1によって示されるように、
図4に示された状態では、原稿90は、読取対象の面が上に向くように載置されている。原稿90について、「プラテンガラス50上に載置された」状態は、プラテンガラス50にセットされた状態の一例である。
【0048】
図4に示されるように、ユーザーは、手HDで、プラテンガラス50上の原稿90に対して領域を指定するためのジェスチャーを実施する。画像読取機器1は、ジェスチャーセンサー35によってジェスチャーを検出し、ジェスチャーの検出結果に基づいて、読取対象の領域を特定する。
【0049】
図5は、ユーザーの手HDのジェスチャーによって指定された読取対象の領域を模式的に示す図である。
図5には、プラテンガラス50上に載置された原稿90が模式的に示されている。原稿90について、点P1~P4として、4つの角が示されている。
【0050】
ジェスチャーセンサー35は、原稿90において、1以上の領域を読取対象の領域として検出する。ジェスチャーに基づく領域の検出には、公知の技術が適用され得る。一例では、ジェスチャーセンサー35は、4点の指定を受け付けると、当該4点に囲まれる矩形を、読取対象の領域として検出する。より具体的には、ジェスチャーセンサー35は、原稿90内の領域AR1の4つの角の指定を受け付けたことによって領域AR1を読取対象の領域として検出し、原稿90内の領域AR2の4つの角の指定を受け付けたことによって領域AR2を読取対象の領域として検出する。他の例では、ジェスチャーセンサー35は、2点の指定を受け付けると、当該2点を対角とする矩形を、読取対象の領域として検出する。また、点の指定方法は、たとえば、ダブルタップを用いたものが想定される。より具体的には、原稿上でダブルタップ(原稿面を指先で叩く動作を2回)のジェスチャーがなされると、原稿上の当該ダブルタップの位置に対応した位置が指定され得る。
【0051】
(読取対象の領域の投影)
図6は、画像読取機器1における、読取対象の領域の投影を説明するための図である。
図6において、矢印A2は、原稿90の画像が形成された面の向きを表す。矢印A2によって示されるように、
図6に示された状態では、原稿90は、読取対象の面が下に向くように(プラテンガラス50と対向するように)載置されている。
【0052】
図6では、上部プロジェクター33が、原稿90上に、読取対象として特定された領域を示す情報(たとえば、
図5の領域AR1,AR2の外枠、すなわち、後述のように指定される領域を表す枠の画像)を投影している。光束PLは、情報の投影のために上部プロジェクター33から出力される光を表す。
【0053】
画像読取機器1では、下部プロジェクター34が、読取対象として特定された領域を示す情報を投影してもよい。プラテンガラス50上に原稿90が載置されている場合、ユーザーは、原稿90を透過する光像を視認し得る。
【0054】
画像読取機器1は、プラテンガラス50において原稿90が載置される向きに応じて、投影する情報の配置を調整する。投影される情報の配置について、
図7および
図8を参照して説明する。
【0055】
(読取対象の領域の投影位置)
図7は、読取対象として特定された領域を示す情報の投影の一例を示す図である。
図8は、読取対象として特定された領域に対する情報の投影の一例を示す図である。
図7および
図8は、
図5に示されたように、読取対象として領域AR1および領域AR2が検出された場合に投影される情報の配置を表す。
【0056】
図7および
図8のいずれにおいても、プラテンガラス50上には、原稿90が
図9に示された状態に対して裏返されて載置されている。すなわち、原稿90は、読取対象の面が下を向くように(スキャナー装置13と対向するように)載置されている。
図7および
図8のいずれにおいても、原稿90上に画像ID1と画像ID2が投影されている。画像ID1,ID2のそれぞれは、
図5における領域AR1,AR2のそれぞれの裏側に位置するように、投影される。ユーザーは、目EYで、原稿90の裏面側から、原稿90の表面において読取対象として指定された領域を確認し得る。
【0057】
(裏返し前後の原稿の向きの関係)
図7および
図8のいずれにおいても、点P1~P4と画像ID1,ID2との間の相対的な位置関係は一定である。このように位置関係が保たれるために、画像読取機器1は、原稿90がどのように裏返されたかに応じて画像ID1,ID2の配置を設定する。
【0058】
一実現例では、ユーザーは、予め定められたルールに従って原稿90を裏返す。たとえば、ユーザーは、
図5に示されたように原稿90を載置して画像読取機器1に読取対象の領域を指定し、
図7に示されたように原稿90を載置して画像読取機器1に画像の読取を指示する。この場合、画像読取機器1は、
図5に示された状態にある原稿90中の位置が、
図7に示された状態で原稿90中の同じ位置を表すように、指定された領域の座標を変換し、変換後の座標を利用して画像ID1,ID2を投影する位置を設定する。
【0059】
画像読取機器1は、原稿90が裏返されたことを、ジェスチャーセンサー35の検出出力に基づいて特定してもよいし、所与のボタンが操作されたことに基づいて特定してもよい。後者の場合、ユーザーは、原稿を裏返した後、当該所与のボタンを操作してもよい。
【0060】
他の実現例では、画像読取機器1は、ジェスチャーセンサー35の検出出力を利用して、原稿90がどのように裏返されたかを特定す。たとえば、ユーザーが
図5に示されたように原稿90を載置して読取対象の領域を指定した後、ジェスチャーセンサー35は、ユーザーによる原稿90の裏返しのためのジェスチャーを解析することにより、裏返された後の原稿90が、
図7に示されたように載置されたか、または、
図8に示されたように載置されたかを検出してもよい。画像読取機器1は、ジェスチャーセンサー35が検出された、裏返された後の原稿90の状態に従って、
図5に示された状態にある原稿90に対して指定された領域の座標を変換し、変換後の座標を利用して画像ID1,ID2のそれぞれを表す枠を投影する位置を設定する。
【0061】
(読取対象の領域を示すために投影される内容)
画像読取機器1は、
図5に示された状態において、指定された領域だけでなく、指定された領域に含まれる原稿の画像を格納してもよい。格納される画像の一例は、上部カメラ31によって生成される低解像度の画像である。そして、画像読取機器1は、画像ID1,ID2として、当該低解像度画像を原稿90上に投影してもよい。また、画像読取機器1は、画像ID1,ID2として、上記低解像度画像が反転された画像を原稿90上に投影してもよい。これにより、
図7または
図8に示された状態において、画像読取機器1は、ユーザーに対して、読取対象の領域を、低解像度画像として提示し得る。
【0062】
画像ID1,ID2は、上部プロジェクター33によって投影されてもよいし、下部プロジェクター34によって投影されてもい。一実現例では、画像読取機器1は、原稿90の透過率に従って、画像ID1,ID2を投影するプロジェクターを選択しても良い。たとえば、画像読取機器1は、原稿90の透過率が高い場合(たとえば、原稿90が紙厚が薄い用紙である場合)には下部プロジェクター34に画像ID1,ID2を投影させ、原稿90の透過率が低い場合(たとえば、原稿90が書籍である、原稿90の材質が厚紙である、等)、上部プロジェクター33に画像ID1,ID2を投影させても良い。
【0063】
画像ID1,ID2のそれぞれを表す枠の形状は、矩形であってもよいし、他の形状(円、楕円、など)であってもよいし、ユーザーが読取対象の領域として指定した形状と同じ形状(たとえば、フリーハンドで入力された形状)であってもよい。また、枠線は、赤色など、強調される色で投影されてもよい。
【0064】
(動作モード)
本実施の形態では、画像読取機器1の動作モードとして、2つのモードが定義され得る。1つは、原稿90の読取対象の面が上側を向く状態(たとえば、
図5)に対応する「領域指定可能モード」である。もう1つは、原稿90の読取対象の面が下側を向く状態(たとえば、
図7または
図8)に対応する「スキャン可能モード」である。「領域指定可能モード」は、原稿90が上向きの状態(第1状態の一例)にあるときの動作モードの一例であり、「スキャン可能モード」は、原稿90が下向きの状態(第2状態の一例)にあるときの動作モードの一例である。
【0065】
「領域指定可能モード」は、画像読取機器1が、原稿90に対する、読取対象の領域の指定を受け付けるためのモードである。「スキャン可能モード」は、画像読取機器1が、原稿90の、読取対象として指定された領域の画像を読み取るためのモードである。
【0066】
一実現例では、画像読取機器1は、「領域指定可能モード」で領域の指定を受け付けたことを条件として、「スキャン可能モード」に移行できる。これにより、スキャナー装置13に、原稿90の中でユーザーが読取対象として指定された領域の画像のみを読み取らせることができる。すなわち、スキャナー装置13が原稿90の中でユーザーが読取を希望しない領域の画像を読み取ることが回避され得る。画像読取機器1がこのように構成されることにより、スキャナー装置13が原稿90の中の機密情報の画像データを一時的に生成することさえも抑制され得る。
【0067】
上部カメラ31および下部カメラ32が「領域指定可能モード」において原稿90全体の画像を生成できるとしても、上部カメラ31および下部カメラ32が低解像度の画像のみを生成するように構成されていれば、原稿90中の機密情報の画像データとして解読可能な画像データが画像読取機器1において生成される事態は回避され得る。
【0068】
(動作モードの切替方法)
画像読取機器1において、「領域指定可能モード」と「スキャン可能モード」との間の切替にはいくつかの方法が採用され得る。
【0069】
一実現例では、画像読取機器1は、まず、「領域指定可能モード」で動作し、所与の条件が成立すると、「スキャン可能モード」へとモードを切り替える。より具体的には、画像読取機器1は、起動時またはある原稿のスキャンの終了時に、「領域指定可能モード」で動作する。画像読取機器1は、読取対象の領域の指定を受け付けたことに伴って、指定された領域の座標とともに、読取対象の面の低解像度の画像を記憶装置23に格納する。
【0070】
その後、画像読取機器1は、記憶装置23に低解像度の画像が格納されているか否かを判断する。そして、画像読取機器1は、低解像度の画像が格納されていれば「スキャン可能モード」へ移行し、低解像度の画像が格納されていなければ「領域指定可能モード」にとどまる。画像読取機器1が記憶装置23に低解像度の画像が格納されているか否かを判断するトリガーは、ジェスチャーセンサー35がプラテンガラス50において原稿90を裏返すジェスチャーを検出したことであってもよいし、読取対象の領域の指定が検出されてから一定の時間が経過したことであってもよいし、入力装置11aの中の所定のボタン(スキャンを開始するためのボタン、裏返しが完了したことを表すボタン、など)が操作されたことであってもよい。
【0071】
他の実現例では、画像読取機器1は、上部カメラ31と下部カメラ32のそれぞれによって生成された画像データの濃度(階調)の関係に基づいて、動作モードを切り替えても良い。すなわち、原稿90上の画像は裏面から見ると表面から見た場合よりも薄くしか視認されないことを利用して、上部カメラ31による撮影画像と下部カメラ32による撮影画像の間の色の濃さの比較結果に基づき、原稿90が上向きであるか下向きであるかが判断されてもよい。
【0072】
より具体的には、画像読取機器1は、上部カメラ31によって撮影された画像が下部カメラ32によって生成された画像よりも色が濃い(画像データにおいて階調が高い)場合、「領域指定可能モード」で動作してもよい。この場合、原稿90の読取対象の面が上向き(たとえば、
図5)であることが想定される。
【0073】
一方、画像読取機器1は、下部カメラ32によって撮影された画像が上部カメラ31によって生成された画像よりも色が濃い(画像データにおいて階調が高い)場合、「スキャン可能モード」で動作してもよい。この場合、原稿90の読取対象の面が下向き(たとえば、
図7または
図8)であることが想定される。
【0074】
この実現例では、上部カメラ31と下部カメラ32のそれぞれによって生成された画像データの濃度の関係が切り替わったときに、動作モードが切替えられ得る。たとえば、上部カメラ31の画像が下部カメラ32の画像より色が濃い状態から下部カメラ32の画像が上部カメラ31の画像より色が濃い状態に移行すると、画像読取機器1は、当該画像読取機器1の動作モードを、「領域指定可能モード」から「スキャン可能モード」へと切り替える。下部カメラ32の画像が上部カメラ31の画像より色が濃い状態から上部カメラ31の画像が下部カメラ32の画像より色が濃い状態に移行すると、画像読取機器1は、当該画像読取機器1の動作モードを、「スキャン可能モード」から「領域指定可能モード」へと切り替える。
【0075】
さらに他の実現例では、画像読取機器1は、カバー51の開閉動作に基づいて、動作モードを設定してもよい。より具体的には、起動時またはスキャナー装置13による画像の読取が実行された後に初めてカバー51が開状態とされると、画像読取機器1は、「領域指定可能モード」で動作する。その後、原稿90の裏返しが検出されると、画像読取機器1は、「スキャン可能モード」で動作する。原稿90の裏返しは、たとえば、ジェスチャーセンサー35の検出出力、所与のボタンに対する操作、または、「領域指定可能モード」での動作開始からの経過時間に基づいて検出され得る。
【0076】
また、原稿90の裏返しは、カバー51開閉動作に基づいて検出されてもよい。より具体的には、ユーザーは、原稿90を上向き(たとえば、
図5)に載置して、読取対象の領域を指定した後、カバー51を一度開閉し、その後に、原稿90を下向き(たとえば、
図7または
図8)に載置してもよい。この場合、画像読取機器1は、まず「領域指定可能モード」で動作し、カバー51が閉状態にされた後、開状態にされると、「スキャン可能モード」で動作する。その後、カバー51が閉状態にされた後、開状態にされると、画像読取機器1は、再度「領域指定可能モード」で動作する。
【0077】
さらに他の実現例では、画像読取機器1は、モード切替用のボタンの操作に応じて、「領域指定可能モード」で動作するか「スキャン可能モード」で動作するかを決定してもよい。たとえば、ユーザーは、原稿90を上向き(たとえば、
図5)に載置して、「領域指定可能モード」用のボタンを操作し、読取対象の領域を指定する。これにより、画像読取機器1は、読取対象の領域を記憶装置23に格納する。その後、ユーザーは、原稿90を下向き(たとえば、
図7または
図8)に載置して、「スキャン可能モード」用のボタンを操作する。これにより、画像読取機器1は、原稿90上に、読取対象の領域を示す情報を投影する。さらに、ユーザーがスキャン開始用のボタンを操作する。これにより、画像読取機器1は、原稿90の、指定された領域の画像を読み取る。モード切替用のボタンは、リモコン操作であってもよい。モード切替用のボタンが入力装置11aに含まれる場合、入力装置11aが入力インターフェースの一例である。モード切替用のボタンがリモコン装置に含まれる場合、当該リモコン装置からの信号を受信するネットワークI/F16が入力インターフェースの一例である。
【0078】
さらに他の実現例では、画像読取機器1は、ジェスチャーセンサー35の検出出力に基づいて、「領域指定可能モード」で動作するか「スキャン可能モード」で動作するかを決定してもよい。たとえば、画像読取機器1は、初期状態では「領域指定可能モード」で動作する。その後、ジェスチャーセンサー35が原稿90を裏返すことに対応するジェスチャーを検出すると、画像読取機器1は「スキャン可能モード」で動作する。その後、スキャナー装置13が原稿90の画像を読み取ると、画像読取機器1は、当該画像読取機器1の動作モードを「領域指定可能モード」に戻す。
【0079】
[5.処理の流れ]
図9~
図11は、原稿90の画像データを生成するために画像読取機器1が実行する処理の一例のフローチャートである。一実現例では、画像読取機器1は、CPU20に所与のプログラムを実行させることによって、
図9~
図11の処理を実行する。
図9~
図11の処理は、たとえば、画像読取機器1がスキャン動作を指示されたこと(たとえば、入力装置11a中のスキャン用のスタートボタンの操作)に応じて開始される。以下、当該処理の内容を説明する。
【0080】
図9~
図11の処理は、項目(動作モードの切替方法)において一実現例として説明された、記憶装置23に低解像度の画像が格納されているか否かに基づく動作モードの切替の一具体例に相当する。なお、画像読取機器1では、この方法に限らず、少なくとも項目(動作モードの切替方法)において説明された種々の実現例に従って動作モードが切り替えられ得る。
【0081】
図9を参照して、まず、ステップS10にて、画像読取機器1は、カバー51が開いているか否かを判断する。一実現例では、図
2がカバー51が開いている状態の一例を示し、図
1がカバー51が閉じられている状態の一例を示す。画像読取機器1は、カバー51が開いていると判断するまでステップS10の制御を繰り返し(ステップS10にてNO)、カバー51が開いていると判断すると(ステップS10にてYES)、ステップS12へ制御を進める。
【0082】
ステップS12にて、画像読取機器1は、プラテンガラス50上に原稿が置かれているか否かを判断する。一実現例では、画像読取機器1は、上部カメラ31によって撮影された画像(プラテンガラス50を含む領域の画像)に対するパターン認識を行うことにより、当該画像から原稿が検出されたか否かを判断することによりステップS12における判断を実行する。画像読取機器1は、プラテンガラス50上に原稿を置いたときに操作されるボタンを備えても良く、当該ボタンを操作されたか否かに従ってステップS12の判断を実行してもよい。
【0083】
画像読取機器1は、プラテンガラス50上に原稿が置かれたと判断するまでステップS10に制御を戻し(ステップS12にてNO)、プラテンガラス50上に原稿が置かれた判断すると(ステップS12にてYES)、ステップS14へ制御を進める。
【0084】
ステップS14にて、画像読取機器1は、原稿の向きを検出する。より具体的には、画像読取機器1は、プラテンガラス50上の原稿90が、読取対象の面が上向きの状態(たとえば、
図5)で載置されているのか、読取対象の面が下向きの状態(たとえば、
図7または
図8)で載置されているのかを判断する。
【0085】
画像読取機器1は、記憶装置23に低解像度画像(後述するステップS28において格納され、後述するステップS44において消去される)が格納されているか否かにも基づいて、原稿の向きを検出してもよい。画像読取機器1は、記憶装置23に低解像度画像が格納されていれば、原稿の読取対象の面が下向きであると判断してもよい。画像読取機器1は、記憶装置23に低解像度画像が格納されていなければ、原稿の読取対象の面が上向きであると判断してもよい。
【0086】
ステップS44において、記憶装置23に低解像度画像が格納されている場合であっても、画像読取機器1は、さらなる条件を用いて原稿の向きを検出してもよい。すなわち、画像読取機器1は、上部カメラ31に原稿を撮影および低解像度画像の生成を実行させ、当該生成された低解像度画像と、記憶装置23に格納されている低解像度画像との一致度が所与の割合以下であることを条件として、原稿の読取対象の面が下向きであることを検出してもよい。この場合、記憶装置23に低解像度画像が格納されている場合であっても、その時点で上部カメラ31が生成した低解像度画像と記憶装置23に格納されている低解像度画像との一致度が所与の割合を超えている場合には、画像読取機器1は、原稿の読取対象の面は上向きであると判断する。これにより、画像読取機器1は、原稿がその両面に印刷されている場合であっても、当該原稿の読取対象の面についてステップS26およびステップS28の制御が既に実行されていれば、スキャン可能モードで動作し、当該原稿の読取対象の面についてステップS26およびステップS28の制御がまだ実行されていなければ、領域指定可能モードで動作する。
【0087】
ステップS16にて、画像読取機器1は、ステップS14における判断の結果が下向き(たとえば、
図7または
図8)であるか否かを判断する。
【0088】
画像読取機器1は、当該結果が下向きであると判断すると(ステップS16にてYES)、ステップS30(
図11)へ制御を進める。一方、当該結果が下向きではないと判断すると(ステップS16にてNO)、画像読取機器1は、ステップS20(
図10)へ制御を進める。なお、ステップS20~ステップS28(
図10)の制御は、「領域指定可能モード」における制御の一例である。ステップS30~ステップS44(
図11)の制御は、「スキャン可能モード」における制御の一例である。
【0089】
図10を参照して、ステップS20にて、画像読取機器1は、ユーザーの手HDが原稿90上に位置するか否かを判断する。画像読取機器1は、たとえば、ジェスチャーセンサー35の検出出力に基づいて、ユーザーの手HDが原稿90上に位置するか否かを判断する。画像読取機器1は、手HDが原稿90上に位置すると判断するまでステップS20に制御を留め(ステップS20にてNO)、手HDが原稿90上に位置すると判断すると(ステップS20にてYES)、ステップS22へ制御を進める。
【0090】
ステップS22にて、画像読取機器1は、ジェスチャーセンサー35の検出出力に基づいて、手HDによるジェスチャーを検出する。
【0091】
ステップS24にて、画像読取機器1は、ステップS22において検出されたジェスチャーが読取対象の領域を指定するためのジェスチャーであるか否かを判断する。一実現例では、記憶装置23に、領域指定用のジェスチャーを特定するデータ(たとえば、手HDを移動させるパターンを特定するデータ)が格納されており、ステップS24にて、画像読取機器1は、ステップS22において検出されたジェスチャーが当該データに対応するジェスチャーであるか否かを判断する。
【0092】
画像読取機器1は、ステップS22において検出されたジェスチャーが領域指定用のジェスチャーであると判断すると(ステップS24にてYES)、ステップS25へ制御を進め、そうでなければ(ステップS24にてNO)、ステップS22へ制御を戻す。
【0093】
ステップS25にて、画像読取機器1は、指定された領域を上部プロジェクター33および/または下部プロジェクター34を用いて(たとえば、領域の外縁を表す枠として)投影する。これにより、ユーザーは、指定された領域を視認し得る。
【0094】
ステップS26にて、画像読取機器1は、指定された領域(を特定するデータ)を記憶装置23に格納する。
【0095】
ステップS28にて、画像読取機器1は、下部カメラ32によって撮影された原稿90の画像(低解像度画像)を記憶装置23に格納する。その後、画像読取機器1は、ステップS14(
図9)へ制御を戻す。
【0096】
図11を参照して、ステップS30にて、画像読取機器1は、ステップS26において格納された、指定された領域(を特定するデータ)を読み出す。
【0097】
ステップS32にて、画像読取機器1は、プラテンガラス50における原稿90の傾きを検出する。傾きの相違の一例は、
図7および
図8に示される。
図8に示された原稿90は、
図7に示された原稿90に対して時計方向に90度回転した状態にある。すなわち、
図8に示された原稿90は、
図7に示された原稿90に対して90度傾いている。
【0098】
ステップS34にて、画像読取機器1は、ステップS32において検出された傾きに従って、指定された領域を示す情報の投影ために、当該情報の配置を決定する。たとえば、原稿90が
図7に示されたように傾いていれば、画像読取機器1は、画像ID1,ID2の配置を
図7に示されたように決定し、原稿90が
図8に示されたように傾いていれば、画像読取機器1は、画像ID1,ID2の配置を
図8に示されたように決定する。
【0099】
ステップS36にて、画像読取機器1は、ステップS34において決定された配置で、上部プロジェクター33および/または下部プロジェクター34に、指定された領域を示す情報(たとえば、画像ID1,ID2)を投影させる。
【0100】
ステップS38にて、画像読取機器1は、カバー51が閉じられたか否かを判断する。画像読取機器1は、カバー51が閉じられたと判断するまでステップS38に制御を留め(ステップS38にてNO)、カバー51が閉じられたと判断すると(ステップS38にてYES)、ステップS40へ制御を進める。
【0101】
ステップS40にて、画像読取機器1は、スキャナー装置13に、原稿90の、指定された領域をスキャンさせる。これにより、原稿90の読取対象の面における画像のうち、読取対象として指定された領域の画像が、スキャナー装置13によって読み取られる。ステップS40にて、画像読取機器1は、ステップS36における投影を停止させてもよい。
【0102】
ステップS42にて、画像読取機器1は、ステップS40においてスキャンされた画像の画像データを生成し、記憶装置23に格納する。
【0103】
ステップS44にて、画像読取機器1は、ステップS26において格納された低解像度画像を記憶装置23から消去する。その後、画像読取機器1は、
図9~
図11の処理を終了させる。
【0104】
以上説明された本実施の形態では、画像読取機器1は、プラテンガラス50にセットされた原稿90が、原稿90の読取対象の画像が原稿90における他方側(上側)の面に位置する状態である第1状態(たとえば、
図5)、および、原稿90の読取対象の画像が原稿90における一方側(下側)の面に位置する状態である第2状態(たとえば、
図7または
図8)のいずれの状態にあるかを判断する。画像読取機器1は、プラテンガラス50にセットされた原稿90が第1状態にある場合には、領域指定可能モードで、ジェスチャーセンサー35に、領域の指定を検出させる。画像読取機器1は、プラテンガラス50にセットされた原稿90が第2状態にある場合には、スキャン可能モードで、スキャナー装置13に、原稿90の画像を読み取らせる。画像読取機器1は、スキャナー装置13に、ジェスチャーセンサー35によって検出された読取対象の領域についてのみ、原稿90の画像を読み取らせる。
【0105】
ジェスチャーセンサー35は、読取対象にされない領域の指定を検出してもよい。この場合、画像読取機器1は、スキャナー装置13に、原稿90の画像のうち、ジェスチャーセンサー35が検出した領域以外の領域の画像を読み取らせる。この場合であっても、スキャナー装置13が画像を読み取る領域は、ジェスチャーセンサー35の検出出力に基づいて特定されるため、ジェスチャーセンサー35は読取対象の領域を検出すると言える。
【0106】
以上説明された実施の形態において、プラテンガラス50に対する「下方」「上方」のそれぞれは、「一方(側)」「他方(側)」の一例である。「一方(側)」「他方(側)」のそれぞれは、水平方向を基準として設定されてもよい。たとえば、画像読取機器1において、プラテンガラス50は、その主面を鉛直方向に沿うように設置されていてもよい。より具体的には、プラテンガラス50は、壁面に沿っていても良い。そして、スキャナー装置13は、プラテンガラス50に対して奥側(水平方向における一方側)に設置されていてもよく、原稿90は、プラテンガラス50の手前側(水平方向における他方側)にセットされてもよい。なお、「一方(側)」「他方(側)」のそれぞれは、鉛直方向および水平方向以外の方向を基準として設定されてもよい。
【0107】
以上説明された実施の形態では、画像読取機器1は、まず原稿をスキャンし、その後、領域指定を受け付けても良い。この場合、ユーザーは、まず、原稿を、その読取対象の面をプラテンガラス50に向けて配置して、カバー51を閉じる。これにより、制御は、ステップS16からステップS38へ進められ、その後、ステップS40、ステップS42へと順に進められる。このとき、一実現例では、画像読取機器1は、ステップS40にて、原稿全体の画像をスキャンし、ステップS42にて、当該スキャン画像を記憶装置23に格納する。その後、画像読取機器1は、
図9~
図11の処理において未だ「指定された領域」の格納(ステップS26)を実行していないことを条件として、ステップS10へ制御を戻しても良い。ユーザーは、その後、カバー51を開いて原稿を裏返す。これにより、原稿は、その読取対象の面が上を向くように載置されることになる。そして、ユーザーは、カバー51を閉じる。これにより、制御は、ステップS10、ステップS12、ステップS14へと順に進められ、その後、ステップS16からステップS20へと進められる。そして、画像読取機器1は、ステップS20、ステップS22、ステップS24の制御を順に実行する。その後、画像読取機器1は、既にステップS42にて原稿全体の画像を格納していることを条件として、ステップS42にて格納された原稿全体の画像を、ステップS22にて検出された領域以外の領域の画像を削除するように更新する。その後、
図9~
図11の処理を終了させる。
【0108】
また、以上説明された実施の形態では、画像読取機器1は、ステップS16の判断に基づいて、領域指定可能モードとスキャン可能モードとの間でのモードの切換を実行する。モードの切換は、原稿の読取対象の面の向きを検出することに基づいて行われる。なお、画像読取機器1は、当該画像読取機器1に備えられたキー(ハードウェアとして搭載されたボタンあってもよいし、ソフトウェアキーであってもよい)が操作されたことに基づいて、モードの切換を実行してもよい。
【0109】
今回開示された各実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態および各変形例において説明された発明は、可能な限り、単独でも、組合わせても、実施することが意図される。
【符号の説明】
【0110】
1 画像読取機器、11 操作パネル、11a 入力装置、11b ディスプレイ、13 スキャナー装置、13a ライトユニット、13b CCDセンサー、14 プリンター装置、15 フィニッシャー装置、17 ドキュメントフィーダー、18 給紙装置、23 記憶装置、23A USBインターフェース、23X USBメモリー、31 上部カメラ、32 下部カメラ、33 上部プロジェクター、34 下部プロジェクター、35 ジェスチャーセンサー、50 プラテンガラス、51 カバー、90 原稿、100 制御ボックス。