(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】物質排出装置
(51)【国際特許分類】
B65G 47/38 20060101AFI20240402BHJP
B65D 88/56 20060101ALI20240402BHJP
B65D 90/00 20060101ALI20240402BHJP
B65G 65/23 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B65G47/38
B65D88/56
B65D90/00 J
B65G65/23
(21)【出願番号】P 2019229802
(22)【出願日】2019-12-19
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003665
【氏名又は名称】株式会社ツムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山田 清隆
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 貴
(72)【発明者】
【氏名】橋ヶ谷 修司
【審査官】寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-352629(JP,A)
【文献】国際公開第2007/072715(WO,A1)
【文献】特開2008-207893(JP,A)
【文献】米国特許第05944470(US,A)
【文献】特開2019-135190(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/38
B65D 88/56
B65D 90/00
B65G 65/23
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体物質を収容した収容容器を上方に開口を向けて支持し前記収容容器の開口を排出位置へ向けるように傾斜動作させ得る傾斜駆動部を備え、
前記傾斜駆動部は、前記収容容器を支持して傾斜動作可能な傾斜部と前記傾斜部を傾斜駆動する駆動部とを含み、
前記傾斜部は、前記傾斜部に対する前記収容容器の搬入、搬出に機能するコンベアを備え、
前記駆動部は、前記搬入、搬出の方向において前記傾斜部の中央部よりに結合されている、
物質排出装置であって、
前記排出位置に配置され得る着脱操作が可能な排出容器と、
前記収容容器から排出されて前記排出容器に収容された前記固体物質の収容状態を検出するセンサーとを備え、
前記収容状態を前記傾斜部の傾斜角度に反映させる、
ことを特徴とする物質排出装置。
【請求項2】
請求項1記載の物質排出装置であって、
前記傾斜駆動部は、前記収容容器を直接的又は間接的に殴打するパンチング機を備えた、
ことを特徴とする物質排出装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の物質排出装置であって、
前記固体物質を前記収容容器から排出させるためのスクリュー機能及び掻出機能の一方又は双方を有する排出機を備えた、
ことを特徴とする物質排出装置。
【請求項4】
請求項3記載の物質排出装置であって、
前記排出機は、先端部側に羽根板を備えた、
ことを特徴とする物質排出装置。
【請求項5】
請求項4記載の物質排出装置であって、
前記羽根板は、半円状である、
ことを特徴とする物質排出装置。
【請求項6】
請求項4又は5記載の物質排出装置であって、
前記羽根板は、前記排出機が有する回転軸の両側に少なくとも2枚備えた、
ことを特徴とする物質排出装置。
【請求項7】
固体物質を収容した収容容器を上方に開口を向けて支持し前記収容容器の開口を排出位置へ向けるように傾斜動作させ得る傾斜駆動部を備え、
前記傾斜駆動部は、前記収容容器を支持して傾斜動作可能な傾斜部と前記傾斜部を傾斜駆動する駆動部とを含み、
前記収容容器をその開口を上方に向けて支持するための搬送枠体と、
前記傾斜駆動部にガイド駆動部を介して取り付けられた可動の排出ガイドと、を備え、
前記搬送枠体は、前記傾斜駆動部の前記傾斜部に支持され前記傾斜駆動部の前記駆動部の駆動により傾斜動作可能であり、
前記排出ガイドは、前記ガイド駆動部の駆動により前記傾斜駆動部に対して動作し、前記収容容器の開口の開口縁部を前記排出ガイドと前記搬送枠体側との間に間接的又は直接的に挟み込ませて前記収容容器の開口に連続する排出路を形成し、
前記傾斜駆動部により前記搬送枠体が傾斜動作されて前記排出路を排出位置へ向け得る、
ことを特徴とする物質排出装置。
【請求項8】
固体物質を収容した収容容器を上方に開口を向けて支持し前記収容容器の開口を排出位置へ向けるように傾斜動作させ得る傾斜駆動部を備え、
前記傾斜駆動部は、前記収容容器を支持して傾斜動作可能な傾斜部と前記傾斜部を傾斜駆動する駆動部とを含み、
前記固体物質を前記収容容器から排出させるためのスクリュー機能及び掻出機能の一方又は双方を有する排出機を備え、
前記排出位置に配置され得る着脱操作が可能な排出容器を備え、
前記排出機の動作及び前記排出容器の前記排出位置に対する着脱操作を共通のロボットアームに選択的に行わせる、
ことを特徴とする物質排出装置。
【請求項9】
請求項8記載の物質排出装置であって、
前記収容容器から排出されて前記排出容器に収容された前記固体物質の収容状態を検出するセンサーを備え、
前記センサーの検出に基づいて前記ロボットアームによる前記排出機の動作及び前記排出容器の前記排出位置に対する前記着脱操作を制御する制御盤を備えた、
ことを特徴とする物質排出装置。
【請求項10】
請求項1記載の物質排出装置であって、
前記コンベアは、ローラーである、
ことを特徴とする物質排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルコンテナバッグ等の収容容器から固体物質を排出するための物質排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の物質排出装置として、特許文献1に記載の「移動式フレキシブルコンテナバッグ計量排出装置」がある。収容容器としてのフレキシブルコンテナバッグは、以下、「フレコンバッグ」と称する。
【0003】
この物質排出装置は、バッグ受台と、検出手段と、筒部材と、連結手段と、開閉弁と、制御手段とを備えている。
【0004】
バッグ受台は、フレコンバッグを載置する。この載置は、フレコンバッグの底部の周縁を支持して行われる。フレコンバッグは、粉体が充填され底部の排出口を下方にして昇降手段により吊り下げられた柔軟な可撓性の袋体である。
【0005】
検出手段は、フレコンバッグの粉体を含む吊り重量を検出する。
【0006】
筒部材は、バッグ受台の下方に設置され、フレコンバッグの排出口からの粉体を排出先に導く。
【0007】
連結手段は、筒部材の上端部とバッグ受台に載置したフレコンバッグの排出口とを密封状態に連結する。この連結は分離可能とされている。
【0008】
開閉弁は、筒部材に設置され、排出先への粉体の排出を開閉する。
【0009】
制御手段は、検出された吊り重量に基づいて、昇降手段によるフレコンバッグの引き上げ量である「上げ代」を、断続的に制御する。
【0010】
かかる構成の従来の物体排出装置では、フレコンバッグをバッグ受台に載置する。この載置されたフレコンバッグの排出口と開閉弁を閉じた筒部材とを連結手段によって連結する。そして、フレコンバッグをバッグ受台から離れるまで昇降手段によって上昇させる。この上昇による吊り上げ位置を維持して筒部材に粉体を排出し、開閉弁を開にして筒部材からの粉体の排出が開始される。
【0011】
この「排出開始」に続いて、昇降手段によってフレコンバッグを引き上げる。引き上げに際しては、「全量排出」までの複数段の重量が予め設定される。排出により予め設定した重量に達するごとに、予め設定した「上げ代」分だけフレコンバッグを上昇させる。次の重量に達するまでこの引き上げ位置が維持されるように制御される。この制御が「全量排出」まで繰返される。粉体の排出は、下部のホッパーに対して行われることになる。
【0012】
かかる従来の物質排出装置である移動式フレキシブルコンテナバッグ計量排出装置は、粉塵の発生を防止しながら粉粒体を全量排出することには適している。
【0013】
しかし、従来の物質排出装置は、様々な生薬等の固体物質に対応させることはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
解決しようとする問題点は、様々な固体物質に対応させることはできなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、様々な固体物質に対応可能であり収容容器から固体物質の円滑な排出を行わせるために、固体物質を収容した収容容器を上方に開口を向けて支持し前記収容容器の開口を排出位置へ向けるように傾斜動作させ得る傾斜駆動部を備え、前記傾斜駆動部は、前記収容容器を支持して傾斜動作可能な傾斜部と前記傾斜部を傾斜駆動する駆動部とを含み、前記傾斜部は、前記傾斜部に対する前記収容容器の搬入、搬出に機能するコンベアを備え、前記駆動部は、前記搬入、搬出の方向において前記傾斜部の中央部よりに結合されている、物質排出装置であって、前記排出位置に配置され得る着脱操作が可能な排出容器と、前記収容容器から排出されて前記排出容器に収容された前記固体物質の収容状態を検出するセンサーとを備え、前記収容状態を前記傾斜部の傾斜角度に反映させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、様々な固体物質に対応可能であり収容容器から固体物質の円滑な排出を行わせることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】フレコンバッグを収容した搬送枠体と物質排出装置との関係を右側面から見た概略構成図である。(実施例1)
【
図2】フレコンバッグを収容した搬送枠体と物質排出装置との関係を正面から見た概略構成図である。(実施例1)
【
図3】フレコンバッグを収容した搬送枠体と物質排出装置との関係を左側面から見た概略構成図である。(実施例1)
【
図4】フレコンバッグを収容した搬送枠体と物質排出装置との関係を右側面から見て90°動作したときの概略構成図ある。(実施例1)
【
図5】フレコンバッグを収容した搬送枠体と物質排出装置との関係を右側面から見て135°動作したときの概略構成図ある。(実施例1)
【
図6】ロボットアームの手首部をツールチェンジャーにより排出機に結合した状態を示し、(A)は、側面図、(B)は、平面図である。(実施例1)
【
図9】スクリューによる掻き出し動作を説明し、(A)は、右側面から見た概略動作図、(B)は、平面から見た概略動作図、(C)は、右側面から見た空振り判定を含む概略動作図である。(実施例1)
【
図10】搬送容器の付け替え動作を説明するものであり、(A)は、空の搬送容器を下段にセットする概略動作図、(B)は、空の搬送容器を物質排出装置にセットする概略動作図である。(実施例1)
【発明を実施するための形態】
【0019】
様々な固体物質を収容した収容容器から固体物質の円滑な排出を行わせることを可能にするという目的を、以下のように実現した。
【0020】
本発明の物質排出装置5は、
図1~
図4のように、様々な生薬等の固体物質を収容した収容容器1を上方に開口を向けて支持し収容容器1の開口を排出位置へ向けるように傾斜動作させるための傾斜駆動部8を備えた。
【0021】
固体物質は、様々な固体物質を含むが、固体や粘性体以外の気体、液体は除かれる。様々な固体物質は、収容容器1からの排出性の異なる様々な固体物質をいい、例えば嵩密度や安息角が異なる生薬などである。固体物質は、物質単体で定形又は不定形のいずれの固体であってもよい。
【0022】
収容容器1は、固体物質を収容できればよく、フレコンバッグのように可撓性のものに限らず、定型性のあるボックスタイプ等の形態も採用することができる。ボックスタイプの収容容器は、折り畳み可能、伸縮可能、分解可能に構成することもできる。
【0023】
傾斜駆動部8は、収容容器1を支持して傾斜動作可能な傾斜部としての傾斜部19と傾斜部19を傾斜駆動する駆動部18とを含んでいる。
【0024】
駆動部18は、傾斜部19を傾斜駆動できればよく、電動モーターによる駆動、油圧、空気圧などのピストンシリンダー装置による駆動などで構成することができる。
【0025】
傾斜部19は、収容容器1を直接的又は間接的に支持できればよく、傾斜枠のように立体枠状のものの他、平面状の形態を採用することもできる。特に、ボックスタイプの収容容器では平面状の傾斜部に収容容器の底部側を直接的に支持させ、傾斜駆動する構成にすることもできる。
【0026】
本発明の物質排出装置5は、
図1~
図4のように、搬送枠体3と、傾斜駆動部8と、排出ガイド9とを備える。搬送枠体3は、固体物質を収容した収容容器1をその開口を上に向けて支持するためのものである。搬送枠体3は、固体物質を収容した収容容器1を支持できればよく、開梱ボックスのように立体枠状のものの他、パレット状の形態を採用してもよい。パレット状の形態の場合は、ボックスタイプの収容容器を底部側において支持する。
【0027】
傾斜駆動部8は、搬送枠体3を傾斜部19に収容し駆動部18の駆動により傾斜部19を傾斜動作させ得るものである。この搬送枠体3を傾斜部19に支持して傾斜動作させ得る。排出ガイド9は、傾斜駆動部8の上部にガイド駆動部59を介して取り付けられた可動のものである。
【0028】
排出ガイド9は、ガイド駆動部59の駆動により、傾斜駆動部8に対して動作する。これにより、排出ガイド9は、収容容器1の開口の開口縁部を排出ガイド9と搬送枠体3側との間で間接的又は直接的に挟み込ませて収容容器1の開口に連続する排出路を形成する。また、傾斜駆動部8により搬送枠体3が傾斜動作されると、排出ガイド9が挟み込んだ開口縁部の一部が他の部分に対して相対的に下側となって排出路の一部を構成し、且つ排出路を排出位置へ向け得る。
【0029】
収容容器1の開口の開口縁部を排出ガイド9と搬送枠体3側との間で間接的に挟み込ませるとは、搬送枠体3に支持された部材又は搬送枠体3と一体となった傾斜駆動部8に支持された部材が搬送枠体3の内側に臨み、この部材と排出ガイド9との間に挟み込むことを意味する。
【0030】
収容容器1の開口を排出ガイド9と搬送枠体3側との間で直接的に挟み込ませるとは、傾斜部19に支持された搬送枠体3の一部と排出ガイド9との間に挟み込むことを意味する。
【0031】
傾斜駆動部8は、収容容器1を直接又は間接的に殴打するパンチング機41a~41fを備えるのが好ましい。直接に殴打するとは、パンチング機41a~41fが収容容器1そのものを殴打することを意味し、間接的に殴打するとは、パンチング機41a~41fが搬送枠体3や傾斜部19などを殴打し、殴打による振動を収容容器1に間接的に伝達することを意味する。
【0032】
物質排出装置5は、固体物質を収容容器1から排出させるためのスクリュー機能及び掻出機能の一方又は双方を有した排出機83を備えるのが好ましい。排出機83のスクリュー機能及び掻出機能は、明確に分けて備える機能とする必要は無い。例えば、排出機83は、スクリュー機能を備えつつも、このスクリュー機能として駆動しなければ、スクリューの停止した羽根の部分で掻き出し機能を得ることは可能となる。但し、排出機83のスクリュー機能を奏する部分と掻出機能を奏する部分とを明確に分けて備えてもよい。
【0033】
排出機83は、回転軸89の先端部側にスクリュー機能及び掻出機能を奏する少なくとも2枚の半円状の羽根板91、93を回転軸89の両側に備えたものを用いることができる。半円状とは、楕円の様な形状や、中心角が180度に限らない形状を含む。なお、羽根板は半円状に限らず、固体物質を掻き出せるように、排出機の軸に対して突形状を有していればよい。また、羽根板の枚数についても排出機の軸に巻き付くように一枚の螺旋状に配されてもよい。また、2枚以上配する場合、必ずしも排出機83が有する回転軸89の両側に配される必要はなく、物質を掻き出すのに効率の良い所望の配置でよい。
【0034】
また、物質排出装置5は、排出位置に配置され得る着脱可能な排出容器としての排出ホッパー67を備えた。排出機83の動作と排出ホッパー67の排出位置への着脱操作とを、共通のロボットアームに選択的に行わせてもよい。
【0035】
なお、着脱操作とは、排出ホッパー67や排出機83が物質排出装置5に対し、着脱する前後の操作も含む。具体的には、装着する前の排出位置へ排出ホッパー67や排出機83を運搬する操作や、排出位置から外した際に、排出ホッパー67や排出機83を所望の場所へ運搬する動作、それに付随する操作である。
【0036】
この場合、物質排出装置5は、収容容器1から排出されて排出ホッパー67に収容された固体物質の収容状態を検出するセンサー68を備え、センサー68の検出に基づいてロボットアーム75が選択的に行う排出機83の動作と排出ホッパー67の排出位置に対する着脱操作とを制御する制御盤70を備えてもよい。制御盤70は、物質排出装置5の動作制御用のものを利用することが可能である。
【実施例1】
【0037】
[物質排出装置の概要]
図1は、収容容器としてのフレコンバッグ1を収容した搬送枠体としての開梱ボックス3と物質排出装置5との関係を右側面から見た概略構成図である。
図2は、フレコンバッグを収容した搬送枠体と物質排出装置との関係を正面から見た概略構成図である。
図3は、フレコンバッグを収容した搬送枠体と物質排出装置との関係を左側面から見た概略構成図である。
【0038】
図1~
図3において本発明実施例1の物質排出装置5の概要を説明する。なお、以下の説明において、物質排出装置5の正面とは、開梱ボックス3を受け入れる側の正面、左右とは、物質排出装置5を正面から見て左右、前後とは、搬送方向の前後、上下とは、物質排出装置5を水平に設置したときの重力方向の上下を言う。
【0039】
物質排出装置5は、固体物質を収容したフレコンバッグ1から固体物質の円滑な排出を行わせることを可能とするものである。なお、実施例においては、固体物質として嵩密度、安息角が異なる様々な生薬を対象としている。しかし、粉状、粒状物、粘性体等のその他の固体物質を対象とすることもできる。以下では、固体物質を生薬として説明する。
【0040】
フレコンバッグ1は、ポリプロピレン、ポリエチレン等で角型、丸型等に形成されている。このフレコンバッグ1は、最大充填容量が種々有り、例えば容量が500kg、1トン、2トンなどが存在する。本実施例のフレコンバッグ1は、角型が使用されている。
【0041】
なお、フレコンバッグ1は、例えば倉庫にて開梱ボックス3に収容させる。つまり、フレコンバッグ1は、生薬を収容した状態で倉庫に保管されており、保管時に開梱ボックス3ごと2段、3段等と積み上げることも可能である。
【0042】
このフレコンバック1は、フォークリフトで吊耳等を介して吊り上げ、開梱ボックス3の上部から挿入される。開梱ボックス3に挿入されたフレコンバッグ1は、例えば8か所の吊耳が開梱ボックス3のフックに掛けられる。また、図示しないフラットバーをフレコンバッグ1の表面の挿通部に指し込み、フラットバーの両端部は開梱ボックス3側に支持させる。
【0043】
このようにフレコンバッグ1をセットした開梱ボックス3は、
図1のようにコンベア7を用いて搬送され、物質排出装置5に引き継がれる。
【0044】
コンベア7は、一般的なローラーコンベアであり、モーター駆動のローラーで構成されている。
【0045】
物質排出装置5は、開梱ボックス3に加え、傾斜駆動部8と、排出ガイド9とをさらに含んでいる。
【0046】
[開梱ボックス]
開梱ボックス3は、前記のように、生薬を収容したフレコンバッグ1をその開口部を上に向けて支持するための搬送枠体である。本実施例の開梱ボックス3は、立体の矩形枠状に形成されている。
【0047】
「フレコンバッグ1をその開口部を上に向けて支持する」とは、開梱ボックス3をフレコンバッグ1の開口を上に向けた状態で物質排出装置5(傾斜駆動部8)にセットする場合を想定している。
【0048】
但し、生薬の排出動作全般では、フレコンバック1を開梱ボックス3ごと傾斜させて生薬を排出する際に、フレコンバッグ1の開口が斜め下方に向く状態を取ることもある。このため、「フレコンバッグ1をその開口部を上に向けて支持する」とは、開梱ボックス3との相対的な関係での配置を意味する。なお、ここでの上は、フレコンバッグ1から生薬がこぼれない程度の上を意味し、この限りにおいて、厳密な上下方向の上だけではなく、上下方向に対して傾斜した斜め上も含まれる。
【0049】
開梱ボックス3は、全体が金属や樹脂等で形成されている。但し、材質の選択は自由である。開梱ボックス3は、実施例の角型のフレコンバッグ1に合わせて開梱パレット11が平面から見て矩形に形成されている。但し、フレコンバッグ1が円形であれば開梱ボックス3の開梱パレット11を円形に形成することもできる。すなわち、開梱パレット11の形状は所望の形状を取れる。
【0050】
開梱パレット11は、下面が平面に形成されている。この開梱パレット11の平面により開梱ボックス3は、コンベア7上を円滑に移動する。
【0051】
開梱ボックス3は、開梱パレット11上に左右枠12,13が立設されている。左右枠12,13は同一構成であり、それぞれ縦桟14と、上桟15と、中桟17とからなっている。左右枠12,13は、正面側にフラットバー(図示せず。)が架設されている。このフラットバーは、フレコンバッグ1の挿通部(図示せず。)に通されている。フラットバーは、フレコンバッグ1を開梱ボックス3に固定する一要素となる。
【0052】
縦桟14と上桟15と中桟17とは、角棒で形成されている。縦桟14及び上桟15は、中桟17よりも相対的に太く形成されている。
【0053】
中桟17は、縦桟14間でフレコンバッグ1の側面に対向する。この中桟17は、横1本、縦2本の複数本で構成されている。中桟17の縦横の組み合わせ形態、本数は適宜選択することができる。横1本の中桟17は、開梱パレット11寄りで縦桟14間を横方向に結合している。縦2本の中桟17は、縦桟14間の中央側で上桟15と横の中桟17との間を縦方向に結合している。
【0054】
なお、開梱ボックス3の構造は、フレコンバッグ1を支持でき後述の傾斜駆動部に収容でき、且つ傾斜時に生薬を崩して排出することなどに寄与できる限り自由に設定することができる。
【0055】
[傾斜駆動部]
図4は、フレコンバッグ1を収容した開梱ボックス3と物質排出装置5との関係を右側面から見て90°動作したときの概略構成図ある。
図5は、フレコンバッグ1を収容した開梱ボックス3と物質排出装置5との関係を右側面から見て135°動作したときの概略構成図ある。
【0056】
図1~
図5のように、傾斜駆動部8は、開梱ボックス3を一側部である正面側から受け入れて収容させ傾斜動作させる構造体である。
【0057】
傾斜駆動部8は、概ね左右の駆動部としての駆動ベース18と傾斜部としての傾斜枠19とからなっている。
図1、
図4、
図5では、右側の駆動ベース18を図示している。左右の駆動ベース18は、同一構造であり、
図2、
図3では、駆動ベースの図示を省略している。
【0058】
左右の駆動ベース18によって傾斜枠19が
図1の状態から
図4、
図5のように90°~135°までの範囲で回転により傾動する。傾斜枠19の90°の傾動位置では後述する排出ホッパー67の付け替え作業が行われる。
【0059】
傾斜枠19の90°~135°の範囲での傾動位置は、フレコンバック1に収容されている生薬の種類により決定される。すなわち、傾動位置は、比較的排出の容易な生薬の場合、90°寄りとなり、排出の困難さに応じて徐々に135°寄りとなる。傾斜枠19の135°の傾動位置は、本実施例においては最大傾斜角である。
【0060】
なお、傾斜枠19の傾斜角の設定範囲は、90°~135°に限られず、固体物質との関係において自由に設定可能である。
【0061】
駆動ベース18は、金属や樹脂等で形成されている。但し、材質の選択は自由である。駆動ベース18は、台座21を備えている。台座21は、接地ブロック23に支柱25及び補強材27を介して取付ブロック29を支持したものである。
【0062】
台座21の取付ブロック29上には、減速機付きの傾斜モーター31が取り付けられている。傾斜モーター31の出力軸は、傾斜枠19に結合されている。従って、傾斜枠19は、台座21の傾斜モーター31により駆動される。なお、傾斜モーター31を左右一方のみの配置とし、他方は軸受とし、傾斜枠19に結合した軸を他方の軸受で支持させる構成にすることも可能である。
【0063】
傾斜枠19は、金属や樹脂等で形成されている。但し、材質の選択は自由である。傾斜枠19は、立体の矩形枠状に形成されている。傾斜枠19の立体の矩形枠状は、開梱ボックス3に対し一回り大きく形成されている。
【0064】
傾斜枠19は、底部及び天部の矩形枠33,35の四隅を縦枠37で結合している。傾斜枠19の左右には、中間部に連結バー38(
図1では、右側のみ示す。)が縦枠37間を前後に連結している。
【0065】
左右の連結バー38は、前後中央よりも若干前よりの位置で前記のように傾斜モーター31(
図1では、右側のみ示す。)の出力軸に結合されている。
【0066】
傾斜枠19は、底部にモーター駆動のモーターローラー39が支持されている。モーターローラー39は、コンベア7と連携して傾斜枠19に対する開梱ボックス3の搬入、搬出に機能する。
【0067】
傾斜枠19は、受け入れた開梱ボックス3を固定する機構を備えている。この固定機構は、例えば、開梱ボックス3の各部を抑えるシリンダーで構成できる。シリンダーは、例えば、パレット抑え(2か所)、開梱ボックスフレーム抑え(2か所)、フレコン吊耳抑え(4か所)、フレコン胴膨れ抑え(2か所)として備える。
【0068】
パレット抑えは、開梱パレット11を抑え、開梱パレット11の部分で開梱ボックス3を傾斜枠19側に固定する。開梱ボックスフレーム抑えは、左右枠12,13を抑え、左右枠12,13の部分で開梱ボックス3を傾斜枠19側に固定する。フレコン吊耳抑えは、フレコンバッグ1の吊耳を抑えて吊耳での動きを規制する。フレコン胴膨れ抑えは、フレコンバッグ1の胴部を抑え、フレコンバッグ1の胴部の崩れを抑制する。
【0069】
傾斜駆動部8の傾斜枠19は、左右側後ろ寄り及び後部左右中央側にパンチング機41a,41b,41c;41d,41e,41fが各3台取り付けられている。
【0070】
パンチング機41a,41b,41c;41d,41e,41fは、傾斜枠19上でフレコンバッグ1を直接又は間接的に殴打する。これにより、生薬は、フレコンバッグ1内の特定箇所に留まることを防止され、フレコンバッグ1から滞りなく排出される。この意味において、パンチング機の数は自由に設定可能である。
【0071】
パンチング機41a,41b,41c;41d,41e,41fは、例えばエアシリンダー43にパンチ部45を取り付けて構成されている。パンチ部45は、フレコンバッグ1の殴打用の樹脂等が採用されている。連結バー38が存在する部分では、連結バー38に孔が形成され、この孔をパンチング機41bのピストンロッドが貫通配置されフレコンバッグ1を直接叩くようになっている。
【0072】
なお、パンチング機41a,41b,41c;41d,41e,41fは、フレコンバッグ1を叩くことができればよく、その構成は自由である。例えば、カムの回転によりフレコンバッグ1を直接叩き、或いはカムの回転により板を振動させ、この板によりフレコンバッグ1を間接的に叩くなどの構成にすることもできる。
【0073】
また、パンチング機41a,41b,41c;41d,41e,41fの一部又は全ては、傾斜枠19側を殴打し、フレコンバッグ1を間接的に叩く構成にすることもできる。パンチング機によるフレコンバッグ1の殴打に代えてフレコンバッグ1を直接又は間接的に振動させ、或いはフレコンバッグ1の殴打と共にフレコンバッグ1を振動させるなどの構成にすることもできる。
【0074】
フレコンバッグ1のパンチング機41a,41b,41c;41d,41e,41fの動作は、傾斜枠19の傾動位置において、後述の排出ホッパー67への生薬の排出が止まった場合に動作する。但し、パンチング機41a,41b,41c;41d,41e,41fは、生薬の排出が止まっていない場合であっても、生薬の排出促進のために作動させることも可能である。
【0075】
パンチング機41a,41b,41c;41d,41e,41fの動作としては、例えば、傾斜枠19の傾斜時に底部側となって位置する3台のパンチング機41d,41e,41fの内、後部側となる2台41e,41fの組み合わせ(1)、側部側となって位置する3台のパンチング機41a,41b,41cの内、前部側となる2台41a,41bの組み合わせ(2)、後部側となる2台41b,41cの組み合わせ(3)を順に作動させる。(1)~(3)の動作時間は、順番に0.5秒か2秒サイクルで各10秒から15秒間である。
【0076】
傾斜角度が最大の135°になったときは、傾斜時に底部側となって位置する3台のパンチの内、前端となる1台41dを2度ほど作動させる。この1台の作動は、回数を限っている。この位置で多くパンチングを行うとフレコンバッグ1と後述の排出ガイド9とが離れてしまったり、フレコンバッグ1にしわが寄ってしまったりするためである。
【0077】
[排出ガイド押え]
図2、
図3のように、傾斜枠19には、排出ガイド押さえ47,49が取り付けられている。排出ガイド押さえ47,49は、後述の排出ガイド9の回転による挿入を受ける機構である。
【0078】
排出ガイド押さえ47,49は、傾斜枠19の背面側と側面側とにおいて上部側に配置されている。排出ガイド押さえ47,49の上下位置は、使用するフレコンバッグ1の上部開口の高さに対応して設定されている。従って、フレコンバッグ1の開口の高さが異なれば、排出ガイド押さえ47,49の上下位置も開口部の高さに合せて設計される。
【0079】
排出ガイド押さえ47,49は、押え板51,53及びエアシリンダー55,57により構成されている。押え板51,53には、フレコンバッグ1に対向する内側面にスポンジやゴム等の弾性体が取り付けられている。
【0080】
正面側の押え板51は、左右枠12,13間で開梱ボックス3の内側に対しエアシリンダー55により進退可能に配置されている。押え板51は、左右枠12,13間にほぼ渡る長さに設定されている。左右側の押え板53は、縦桟14と縦の中桟17との間、縦の中桟17相互間で左右枠12,13の内側に対しエアシリンダー57により進退可能に配置されている。押え板53は、縦桟14と縦の中桟17との間、縦の中桟17相互間にそれぞれ応じた長さに設定されている。エアシリンダー55,57は、傾斜枠19に図示しないブラケット等を介して支持されている。
【0081】
従って、後述の排出ガイド9の回転による挿入を受け入れ、エアシリンダー55,57により排出ガイド9側に向かって力を加えることで排出ガイド9とフレコンバッグ1との密着性を高めることができる。
【0082】
このとき、押え板51,53の弾性体であるスポンジ等により密着性をより高めることができる。
【0083】
[排出ガイド]
排出ガイド9は、傾斜駆動部8の上部にガイド駆動部59を介して取り付けられている。
【0084】
排出ガイド9は、シュート板9aと左右の側板9bとで短い樋状に形成されている。
【0085】
ガイド駆動部59は、左右に備えられ、傾斜枠19の左右上部に取り付けられている。ガイド駆動部59は、排出ガイド9を回転可能且つ昇降可能に支持している。このためガイド駆動部59は、例えば回転用の電動モーターと電動モーターを昇降支持するシリンダー装置等で構成されている。
【0086】
排出ガイド9は、シュート板9aの先端がクランク状の連結部材61によりガイド駆動部59の電動モーターに連動するように連結されている。なお、
図2、
図3では、排出ガイド9の動作を二重の図示で表現している。
【0087】
排出ガイド9は、ガイド駆動部59の駆動により傾斜駆動部8に対して動作し、フレコンバッグ1の開口の開口縁部を、自身と開梱ボックス3側との間に挟み込ませている。この排出ガイド9の動作によりフレコンバッグ1の開口に連続する排出路を形成する。
【0088】
ここで「フレコンバッグ1の開口の開口縁部を、開梱ボックス3側との間に挟み込ませている」とは、排出ガイド9がフレコンバッグ1の開口の開口縁部を開梱ボックス3側との間で間接的に挟み込ませることであり、傾斜駆動部8側に支持された部材としての排出ガイド押さえ47,49が開梱ボックス3の内側に進退可能に臨み、この排出ガイド押さえ47,49と排出ガイド9との間に前記開口縁部を挟み込ませることを意味する。
【0089】
この場合、排出ガイド9は、ガイド駆動部59の駆動により傾斜駆動部8に対して動作し、この動作により回転して排出ガイド9の一部がフレコンバッグ1の開口内へ挿入され、前記開口縁部を挟んで排出ガイド押さえ47,49に対向する。
【0090】
また、「フレコンバッグ1の開口に連続する排出路を形成する」とは、フレコンバッグ1の開口縁部の挟み込みにより、排出ガイド9の一部がフレコンバッグ1内に配置され、排出ガイド9のシュート板9aと左右の側板9bとがフレコンバッグ1の開口縁部に一体的に連続することを意味する。ただし、排出ガイド9とフレコンバッグ1の開口縁部とが連続していれば、排出ガイド9の一部がフレコンバッグ1内に配置される必要はない。
【0091】
各ガイド駆動部59には、昇降ロッド63が結合されている。この昇降ロッド63の先端にフレコンバッグ1の高さを検知するセンサー65が備えられている。センサー65は、昇降ロッド63を介して排出ガイド9と同期して昇降するように構成されている。センサー65の昇降範囲は、例えば200mm等となっている。但し、昇降範囲の設定は、フレコンバッグ1との関係において自由に設定することができる。
【0092】
センサー65は、フレコンバッグ1の開口縁部の高さ位置を検出する。センサー65は、開口縁部の高さ位置を検出できればよく、その種類は問わないが、例えば静電容量型近接センサー等を採用することができる。
【0093】
フレコンバッグ1の開口縁部の高さ位置の検出により、排出ガイド9の下降位置が決定され、この排出ガイド9が、回転によるフレコンバッグ1の開口縁部の挟み込み動作を行う。
【0094】
傾斜駆動部8により開梱ボックス3が傾斜動作されると、排出ガイド9及び排出ガイド押え47,49により挟み込んだフレコンバッグ1の開口縁部が下側となり、フレコンバッグ1の開口及び排出路を排出位置へ向け得る。
【0095】
ここでの「傾斜駆動部8により開梱ボックス3が傾斜動作される」とは、傾斜モーター31の駆動により、開梱ボックス3が
図1の上向きの位置から回転動作を開始し、
図4の90°回転位置と
図5の135°回転位置との範囲で開梱ボックス3の適宜傾斜位置が設定される動作を意味する。
【0096】
また、「挟み込んだ開口縁部を下側としフレコンバッグ1の開口及び排出路を排出位置へ向け得る」とは、開梱ボックス3が適宜傾斜位置を設定されたことで、排出ガイド9からフレコンバッグ1内の生薬が排出容器である排出ホッパー67に排出可能になることを意味する。
【0097】
本実施例では、排出ホッパー67に対し、センサー68が配置設定されている。このセンサー68は、排出ホッパー67内の生薬の収容状態を検出する。本実施例では、フレコンバッグ1から排出されて排出ホッパー67に収容された生薬の収容状態として、少量、満杯等を検出するものである。センサー68は、排出ホッパー67内の生薬の表面状態(表面レベル)を検出する。
【0098】
センサー68は、排出ホッパー67内の生薬の表面状態を検出できればよく、その種類は問わないが、例えば静電容量型近接センサー等を採用することができる。
【0099】
センサー68は、支持ロッド69を介して傾斜枠19に取り付けられている。従って、傾斜枠19の傾斜動作時には、センサー68と排出ホッパー67とが相対位置を保持しながら動作することができる。
【0100】
排出ホッパー67は、排出位置に配置され得る着脱可能な構成である。傾斜駆動部8側の傾斜枠19には、受け枠71がシャフト72を介して揺動自在に支持されている。
【0101】
受け枠71及び排出ホッパー67は、例えば着脱用の凹凸部が設けられている。受け枠71の凹部に対して排出ホッパー67の凸部をスライドで抜き差しさせることにより排出ホッパー67がワンタッチで着脱可能となっている。排出ホッパー67は、シャフト72に対する受け枠71の回動で傾斜枠19側の傾斜動作時にも平行移動する。
【0102】
かかる排出ホッパー67は、ホッパー保持具73に解除可能にビス止めされている。排出ホッパー67は、ホッパー保持具73に対し洗浄時にビスでの結合を解除する。この結合の解除により、洗浄性と運搬性とを確保する。例えば、生薬との接合面である排出ホッパー67のみを洗浄し、ホッパー保持具73は拭き取りを行う。
【0103】
ホッパー保持具73は、排出ホッパー67を受ける機構(例えば、枠体)を備えている。この機構には、排出ホッパー67を取り付けるための出っ張り(図示せず。)が設けられている。
【0104】
ホッパー保持具73には、ツールチェンジャー(ツール)77が設けられている。ツールチェンジャー(ツール)77は、ロボットアーム75とのジョイント部分である。
【0105】
また、ホッパー保持具73には、上縁部79の溝(図示せず。)が設けられている。この上縁部79の溝は、ロボットアーム75にて搬出する際に排出ホッパー67を2段重ねにするためのものである。さらに、ホッパー保持具73には、下縁部81の出っ張り(図示せず。)が設けられている。下縁部81の出っ張り(図示せず。)は、他のホッパー保持具73の上縁部79の溝に差し込まれる。
【0106】
排出ホッパー67を支持するホッパー保持具73は、排出機83との間でツールチェンジャーを介し、共通のロボットアーム75により選択的に結合させて排出機83の動作及び物質排出装置5に対するホッパー保持具73の着脱操作による排出ホッパー67の排出位置への着脱操作を行わせる構成となっている。
【0107】
なお、着脱操作とは、排出ホッパー67や排出機83が物質排出装置5に対し、着脱する前後の操作も含む。具体的には、装着する前の排出位置へ排出ホッパー67や排出機83を運搬する操作や、排出位置から外した際に、排出ホッパー67や排出機83を所望の場所へ運搬する動作、それに付随する操作である。
【0108】
このため、ロボットアーム75の手首部84には、ツールチェンジャー(マスター)85が備えられている。排出機83には、ツールチェンジャー(ツール)87が備えられている。
【0109】
ツールチェンジャー77、85、87は、ビーエルオートテック社製のクイック-チェンジ QC-150「QUICK-CHANGE(登録商標) QC-150C」を使用している。このツールチェンジャーは、例えば空気圧の給排によりチャックのオン、オフを行う。
【0110】
ツールチェンジャーは、空気圧以外にも、油圧や磁力などを利用し、排出ホッパー67や排出機83を着脱できる構成であれば良い。磁力は電磁石を用いると、着脱が容易である。
【0111】
なお、
図4等では、ロボットアーム75が同時に複数図示されているが、共通に使用する単一のロボットアーム75の動作を表現したものである。
【0112】
[排出機]
図6は、ロボットアーム75の手首部84をツールチェンジャーにより排出機83に結合した状態を示す。(A)は、平面図、(B)は、側面図である。
図7は、スクリューの平面図である。
図8は、スクリューの正面図である。
【0113】
図4、
図6~
図8のように、排出機83は、生薬をフレコンバッグ1から排出させるためのスクリュー機能及び掻出機能を有した構成となっている。この排出機83は、回転軸89の先端部側にスクリュー機能及び掻出機能を奏する少なくとも2枚の半円状の羽根板91,93を回転軸89の両側に備えている。
【0114】
羽根板91,93は、半円の弦の部分が回転軸89の軸方向の正面から見ると重なって一直線状となり、双方で一体的な円形をなしている。羽根板91,93を、平面及び側面から見るとX字状に交差配置されている。
【0115】
回転軸89は、減速機付きモーター95に結合されている。減速機付きモーター95の外面には、ブラケット97を介してツールチェンジャー(ツール)87が備えられている。ツールチェンジャー(ツール)87は、ロボットアーム75のツールチェンジャー(マスター)85に選択的に結合される。
【0116】
ツールチェンジャー(ツール)87の外面側にはセンサー99が取り付けられている。センサー99は、回転軸89及び羽根板91,93でなる排出機83のスクリューの空振り判定に用いられる。このセンサー99は、フレコンバッグ1内の生薬の表層面を検出する。
【0117】
センサー99によるフレコンバッグ1内の生薬表層面の認識により、生薬ごとに表層面からどの深度までスクリューを入れるかが決定される。この深度は、経験的に決まっている。
【0118】
センサー99は、フレコンバッグ1内の生薬の表層面を検出できればよく、その種類は問わないが、静電容量型近接センサー等を採用することができる。
【0119】
スクリューの空振り判定は、排出機83の動作時間の短縮を図るためのものであり、スクリューがフレコンバッグ1の奥まで到達したこととセンサー99が生薬を検知していないこととの2つの条件が成り立つときに空振りが有ったと判定する。スクリューがフレコンバッグ1の奥まで到達したことは、例えばロボットアーム75の位置制御等から知ることができる。
【0120】
排出機83は、2枚の半円状の羽根板91,93の形状及び配置により、羽根板91,93を含めた部分をフレコンバッグ1内の生薬に挿入して回転させるとスクリュー機能を奏する。このとき、排出機83は、生薬の固まりを羽根板91,93の回転で崩しつつ、2枚の羽根板91,93のX字状の配置で軸方向後方へ若干移動させることもできる。また、排出機83は、生薬に回転させながら挿入することもできる。回転させることで、物質が固まりを形成している際にも、排出機83を挿入しやすい。
【0121】
排出機83の回転軸89の回転数は、特に限定はされないが、固体物質の流動性の違いにより所望の値に変更できることが望ましい。流動性の悪い固体物質に対しては、回転数を上げて、効率的に固体物質を崩すことができ、短時間での作業が可能である。流動性の良い固体物質では、回転数を控え、消費電力を軽減できる。実施例では、固体物質の流動性に合わせ、105rpmと120rpmとの2パターンを挙げる。回転軸89及び羽根板91,93でなるスクリューが入りづらい流動性の低い固体物質である生薬(例えばサイコ)の場合は120rpm、その他流動性の高い固体物質である生薬(ジオウ、ゴミシ、ソヨウ等)は105rpmとしている。回転数のパターン分けを行わず、流動性の低い固体物質に合わせて一定の回転数としても良い。その場合、回転数を変化させる機構が簡略化できる。
【0122】
排出機83は、フレコンバッグ1内の生薬にスクリューを挿入して回転軸89の回転により固まりを崩した後、回転軸89の回転を止めて生薬をかき出すことのできる掻出機能を奏することができる。この場合、半円板2枚の構造で、回転軸89の軸方向から見て、欠けの少ない円形を形成することができ、排出機83を回転軸89の軸方向に動作させると、羽根板91,93に生薬がかかり、効果的に生薬を掻き出すことができる。
【0123】
また、回転軸89の先端側のみに羽根板91,93を配置することで、フレコンバッグ1内の生薬に羽根板91,93を含めて回転軸89を挿入すると、羽根板91,93の後ろの軸部分(羽根板91,93の無い部分)が生薬で満たされ、排出機83を回転軸89の軸方向に動作させると、羽根板91,93に生薬がかかり、効果的に崩し出しを行うことができる。
【0124】
羽根板は、固体物質への挿入のしやすさ及び掻き出しのしやすさを考慮すると、上記に示した通り、半円形の2枚以上の形状が好ましいが、羽根板は半円状に限らず、固体物質を掻き出せるように、排出機の軸に対して突形状を有していればよい。また、羽根板の枚数についても排出機の軸に巻き付くように一枚の螺旋状に配されてもよい。また、2枚以上配する場合、必ずしも排出機83が有する回転軸89の両側に配される必要はなく、物質を掻き出すのに効率の良い所望の配置でよい。
【0125】
[制御盤]
センサー68の検出信号は、制御盤70に入力されるようになっている。制御盤70は、例えばマイクロコンピューターで構成され、ROM、RAM等のメモリーやMPU等のプロセッサーを備えている。
【0126】
制御盤70は、センサー68の満杯検出に基づいてロボットアーム75による排出機83の動作及び排出ホッパー67の排出位置に対する着脱操作を制御する構成となっている。着脱操作の意義については、上記の通りである。
【0127】
制御盤70には、傾斜モーター31、ローラーモーター39、パンチング機41a~41fにおけるエアシリンダー43の駆動原、排出ガイド押さえ47,49のエアシリンダー55,57の駆動原、ガイド駆動部59、センサー65,99、ロボットアーム75、ツールチェンジャー(ツール)77、ロボットアーム75のツールチェンジャー(マスター)85、排出機83のツールチェンジャー(ツール)87、排出機83の減速機付きモーター95、センサー99等が接続されている。
【0128】
[フレコンバッグからの生薬の排出]
生薬を収容したフレコンバッグ1は、倉庫内で開梱ボックス3に組み込み固定され、コンベア7により搬送される。そして、フレコンバッグ1は、制御盤70の制御によるモーターローラー39とコンベア7との協働により、物質排出装置5に搬入されて
図1の傾斜枠19に収容・固定された状態となる。
【0129】
以下、制御盤70がセンサー65等の各種センサーの信号を受け取り、制御盤70の制御でエアシリンダー55,57、ガイド駆動部59等の各種アクチュエーターが駆動される。これにより、生薬の種類に応じた制御でフレコンバッグ1からの生薬の排出が行われる。
【0130】
図1のように傾斜枠19にフレコンバッグ1がセットされた状態では、ガイド駆動部59の動作で排出ガイド9が
図3のように下降しながら回動する。一体に下降するセンサー65は、傾斜枠19内でのフレコンバッグ1の開口縁部の高さを検出する。
【0131】
そして、排出ガイド9の回転による挿入を排出ガイド押さえ47,49が受け、検出されたフレコンバッグ1の開口縁部の高さに応じた下降位置に排出ガイド9が位置決められる。
【0132】
この動作で排出ガイド押さえ47,49と排出ガイド9との間にフレコンバッグ1の開口縁部が挟み込まれる。このときエアシリンダー55,57が動作し、押え板51,53が排出ガイド9に向かって力を加え、排出ガイド9とフレコンバッグ1とを密着させる。加えて押え板51,53のスポンジが撓み、排出ガイド9とフレコンバッグ1との密着性をさらに高める。
【0133】
かかる排出ガイド9の配置で可撓性のフレコンバッグ1と物質排出装置5との密着性を高め、生薬排出時にフレコンバッグ1内に生薬が留まることや、傾斜時等に生薬がこぼれ落ちて無駄になることを防止できる。
【0134】
次いで、傾斜モーター31の動作により駆動ベース18に対し傾斜枠19が回転して
図4の90°から
図5の135°の範囲で傾斜枠19の傾斜が行われる。
【0135】
この傾斜と共にパンチング機41a~41fが前記のように動作し、フレコンバッグ1内から排出ガイド9を経て排出ホッパー67内に生薬が排出される。
【0136】
傾斜と共に排出機83が使用されるときは、
図9のようにロボットアーム75に取り付けられた排出機83がフレコンバッグ1内に挿入され、回転制御、掻き出し制御等が行われる。
【0137】
排出機83は、スクリューがフレコンバッグ1内の生薬に差し込まれ、回転軸89の回転で羽根板91、93が回転する。この回転軸89の回転と共に羽根板91、93が生薬の固まりの中で回転し、生薬の固まりを崩す。
【0138】
生薬の固まりを崩したら回転軸89の回転が止められる。この状態でロボットアーム75が引き抜き動作で生薬の掻き出しを行わせる。この掻き出しは、2枚の羽根板91,93が掻き出し羽根となって行われ、フレコンバッグ1内から排出ガイド9を経て排出ホッパー67内に生薬が排出される。
【0139】
排出ホッパー67上では、排出機83の正転、逆転の制御が行われ、スクリューについている生薬が振り落とされる。振り落とされた生薬は、排出ホッパー67内に入る。
【0140】
ロボットアーム75の制御により排出機83のスクリューがフレコンバッグ1内の生薬に差し込まれるまでは、センサー99の検出に基づき、前記のように空振り検出が行われる。
【0141】
このような生薬の排出動作は、生薬の種類により大きく2パターンに分けることができる。
【0142】
流動性の良いハンゲ、カッセキなどの生薬の場合は、傾斜枠19の傾斜とパンチング機41a~41fの殴打とを組み合わせる。つまり、排出機83は使用せず、傾斜枠19の傾斜とパンチング機41a~41fによるフレコンバッグ1の殴打とで原体である生薬の排出を行わせる。
【0143】
この場合、生薬が一気に排出されることを防止するために、排出ホッパー67内の薬量を感知するセンサー68に工夫がされている。センサー68が排出ホッパー67内の生薬の少量と満杯の量とを感知し、それぞれ違った対応を傾斜枠19の傾斜角度に反映させることができる。
【0144】
排出ホッパー67内の生薬の少量の感知を行った時点では、傾斜角度を2度ほど戻すことで生薬が一気に排出されるのを防ぐことができる。その後、排出ホッパー67内の生薬の満杯を感知したところで傾斜枠19の傾斜を戻しフレコンバッグ1からの生薬の排出を止める。
【0145】
流動性の悪いサイコ、ジオウ、ゴミシ、ソヨウなどの生薬の場合は、排出機83が用いられる。
【0146】
特にサイコは、排出機83のスクリューの入りが悪いため、回転軸89を回転速度120rpmで回転させて対応する。
【0147】
生薬が満たされた排出ホッパー67は、ロボットアーム75により次工程に搬出される。
【0148】
このとき、まず、排出機83の待機位置で、結合されているロボットアーム75がツールチェンジャーにより排出機83から取り外される。
【0149】
排出機83を取り外したロボットアーム75に、ツールチェンジャーにより新規の空の排出ホッパーを付ける。
【0150】
図10(A)のように、傾斜枠19の例えば90°位置で物質排出装置5にセットされている満杯の排出ホッパー67の下から空の排出ホッパー67をすくい上げる。これにより、満杯の排出ホッパー67の下に空の排出ホッパー67が結合された2段の状態となる。
【0151】
その後、物質排出装置5から上段の満杯の排出ホッパー67を取り外し、下段の空の排出ホッパー67を物質排出装置5に2段のままセットする。
【0152】
この物質排出装置5にセットされた空の排出ホッパー67からロボットアーム75が取り外され、上段の満杯の排出ホッパー67にロボットアーム75が結合される。
【0153】
次いで、ロボットアーム75の動作で満杯の排出ホッパー67が空の排出ホッパー67から離脱され、次工程に搬出されることになる。
【0154】
[実施例の効果]
以上説明したように、本発明実施例の物質排出装置5は、生薬を収容したフレコンバッグ1をその開口を上に向けて支持するための開梱ボックス3と、開梱ボックス3を一側部から受け入れて収容させ傾斜動作させ得る傾斜駆動部8と、傾斜駆動部8の上部にガイド駆動部59を介して取り付けられた可動の排出ガイド9とを備えている。
【0155】
排出ガイド9は、ガイド駆動部59の駆動により傾斜駆動部8に対して動作しフレコンバッグ1の開口縁部を開梱ボックス3との間に挟み込ませてフレコンバッグ1の開口に連続する排出路を形成する。
【0156】
傾斜駆動部8により開梱ボックス3が傾斜動作されて挟み込んだ開口縁部を下側としフレコンバッグ1の開口及び排出路を排出位置へ向け得る。
【0157】
このため、本実施例では、不定形なフレコンバッグ1を、開梱ボックス3への支持により開梱ボックス3と共に傾斜枠19により傾斜させ、形を維持しつつ傾斜動作させることができる。
【0158】
しかも、フレコンバッグ1の開口縁部を開梱ボックス3と排出ガイド9との間に挟み込ませてフレコンバッグ1の開口に連続する排出路を形成するから、不定形なフレコンバッグ1の形を維持しつつ傾斜動作させることと相俟って、フレコンバッグ1からの生薬の排出を確実且つ容易に行わせることが可能となる。
【0159】
つまり、本実施例では、フレコンバッグ1内に生薬が残存して留まったり、フレコンバッグ1の傾斜時に生薬がこぼれ落ちて無駄になるといった問題を改善することができる。
【0160】
傾斜駆動部8は、フレコンバッグ1を直接又は間接的に殴打するパンチング機41a~41fを備えた。
【0161】
このため、フレコンバッグ1の傾斜や排出機83による排出だけではフレコンバッグ1内に生薬が残存してしまうという問題を改善できる。
【0162】
特に、フレコンバッグ1の傾斜時に横及び下からフレコンバッグ1を殴打することで、排出時の生薬の偏りや、排出終盤での生薬の残留の問題を改善することができる。
【0163】
さらに、複数のパンチング機41a~41fを選択的に順番に動作させるなどにより、確実な排出を行わせることができる。
【0164】
生薬をフレコンバッグ1から排出させるためのスクリュー機能及び掻出機能を有した排出機83を備えた。
【0165】
このため、排出機83の2枚の半円状の羽根板91,93の形状及び配置により、回排出機83の羽根板91,93を含めたスクリュー部分をフレコンバッグ1内の生薬に挿入して回転させるとスクリュー機能を奏し、生薬の固まりを崩すことができる。また、排出機83のスクリュー部分を回転させずに生薬から引き抜けば、フレコンバッグ1から生薬を掻き出す掻出機能を奏することができる。
【0166】
つまり、フレコンバッグ1からの生薬の固まりの崩しと掻き出しがスクリューのみで可能となった。
【0167】
排出機83は、回転軸89の先端部側にスクリュー機能及び掻出機能を奏する少なくとも2枚の半円状の羽根板91,93を回転軸89の両側に備えた。
【0168】
このため、本実施例では、2枚の半円状の羽根板91,93で軸方向から見て円形に構成することができ、生薬を崩し出すスクリュー機能と生薬を掻き出す掻出機能とをより確実に奏することができる。
【0169】
また、本実施例の物質排出装置5は、排出位置に配置され得る着脱可能な排出ホッパー67を備え、排出機83及び排出ホッパー67の着脱操作を、ツールチェンジャーを介して共通のロボットアーム75に選択的に行わせる。
【0170】
このため、排出ホッパー67及び排出機83で共通のロボットアーム75を使用することができ、装置の設置スペースの削減に寄与し、安価な装置にすることもできる。
【0171】
また、本実施例の物質排出装置5は、フレコンバッグ1から排出されて排出ホッパー67に収容された生薬の収容状態を検出するセンサー68を備え、センサー68の検出に基づいてロボットアーム75による排出機83及び排出ホッパー67の選択的な結合及び動作を制御する制御盤70を備えた。
【0172】
このため、制御盤70がセンサー65等の各種センサーの信号を受け取り、生薬の種類に応じた制御盤70による制御でフレコンバッグ1からの生薬の排出を行わせることができる。具体的には、排出機83の物質に対しての挿入位置や角度、回転数、の制御や、傾斜枠19の角度、パンチング機41a~41fを制御することができる。
【0173】
従って、様々な生薬に対応できるシステムを構築することができる。
【符号の説明】
【0174】
1 フレコンバッグ
3 開梱ボックス(搬送枠体)
5 物質排出装置
8 傾斜駆動部
9 排出ガイド
18 駆動ベース(駆動部)
19 傾斜枠(傾斜部)
41a~41f パンチング機
59 ガイド駆動部
67 排出ホッパー(排出容器)
68 満杯検出センサー(センサー)
70 制御盤
77 ツールチェンジャー(ツール)
83 排出機
85 ツールチェンジャー(マスター)
87 ツールチェンジャー(ツール)
89 回転軸
91、93 羽根板