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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】シート排出装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 29/70 20060101AFI20240402BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B65H29/70
G03G15/00 461
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019232723
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021100874
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】中村 新
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-093406(JP,A)
【文献】特開2012-106837(JP,A)
【文献】特開平03-088672(JP,A)
【文献】特開2016-117539(JP,A)
【文献】特開2012-121689(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0218092(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 29/70
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート搬送路の排出口においてシート排出方向に直交する幅方向におけるシートの通過範囲の中央の基準位置に対して対称な位置に配置され、前記シートを前記シート搬送路から排出する2組の排出ローラー対と、
前記幅方向における前記2組の排出ローラー対の位置に対してずれた位置で支持され、前記排出口を通過中の前記シートの片面に接触し、前記シートに波形を付与する複数のコルゲーション部材と、
前記複数のコルゲーション部材のうちの1つである第1コルゲーション部材を係止する係止部と、
前記複数のコルゲーション部材のうちの前記第1コルゲーション部材以外の偶数個の第2コルゲーション部材を前記幅方向に沿って変位可能に支持する可動支持機構と、を備え、
前記可動支持機構は、
前記幅方向に沿って配置され、前記第1コルゲーション部材および前記偶数個の第2コルゲーション部材を前記幅方向にスライド可能に支持する1本の支持軸と、
前記偶数個の第2コルゲーション部材のうちの半数の部材と連結された連結部をそれぞれ有する一対の可動部材と、
前記一対の可動部材を前記幅方向に沿って相互に反対方向へスライド移動させることにより前記偶数個の第2コルゲーション部材のうちの半数ずつを前記幅方向に沿って相互に反対方向へスライド移動させる移動機構と、を備え、
前記係止部は、前記第1コルゲーション部材を前記幅方向において係止することにより前記第1コルゲーション部材を前記基準位置に保持する、シート排出装置。
【請求項2】
前記移動機構は、前記一対の可動部材がそれぞれに設けられたラックギヤおよび前記ラックギヤと噛み合うピニオンギヤを含む、請求項1に記載のシート排出装置。
【請求項3】
入力される制御司令に従って前記可動支持機構を駆動することにより前記第2コルゲーション部材を前記幅方向に沿って変位させる駆動装置と、
入力される前記シートのサイズ情報に応じた位置に前記第2コルゲーション部材を変位させる前記制御司令を前記駆動装置へ出力する位置制御部と、をさらに備える請求項1または請求項2に記載のシート排出装置。
【請求項4】
シート搬送路に沿って搬送されるシートに画像を形成するプリント装置と、
画像が形成された前記シートを前記シート搬送路の排出口から排出する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のシート排出装置と、を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排出中のシートの片面に接触して湾曲させる複数のコルゲーション部材を備えるシート排出装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置は、シート搬送路の排出口において幅方向に並ぶ複数組の排出ローラー対を備える。前記複数組の排出ローラー対は、画像が形成されたシートを前記シート搬送路から前記排出口を通じて排出トレイ上へ排出する。
【0003】
前記シートが前記排出口から出た直後に垂れ下がると、前記シートがカールした状態で前記排出トレイ上へ排出されてしまう。
【0004】
そこで、前記画像形成装置が、前記排出口における前記複数組の排出ローラーの間の位置に配置されたコロなどの複数のコルゲーション部材を備える場合がある(例えば、特許文献1を参照)。前記複数のコルゲーション部材は、前記シートの片面に接触することにより、前記シートを幅方向において波打った形状に変形させる。
【0005】
前記コルゲーション部材の作用により、排出中の前記シートの直進性が高まる。その結果、前記シートは、先端部が垂れ下がらずに前記排出トレイ上へ円滑に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2017-01879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記シートにおける前記コルゲーション部材との接触により変形する部分の幅方向の適切な位置は、前記シートの幅方向のサイズに応じて異なる。
【0008】
本発明の目的は、搬送路の排出口から排出されるシートにおけるコルゲーション部材との接触により変形する部分の位置を前記シートのサイズに応じて変更可能なシート搬送装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係るシート排出装置は、複数組の排出ローラー対と、複数のコルゲーション部材と、可動支持機構と、を備える。前記複数組の排出ローラー対は、シート搬送路の排出口においてシート排出方向に直交する幅方向に間隔を空けて並び、それぞれシートを挟んで回転することによって前記シートを前記シート搬送路から排出する。前記複数のコルゲーション部材は、前記幅方向における前記複数組の排出ローラー対の位置に対してずれた位置で支持され、前記排出口を通過中の前記シートの片面に接触する接触部を有する。前記可動支持機構は、前記複数のコルゲーション部材のうちの一部または全部である可動コルゲーション部材を前記幅方向に沿って変位可能に支持する。
【0010】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、シート搬送路に沿って搬送されるシートに画像を形成するプリント装置と、画像が形成された前記シートを前記シート搬送路の排出口から排出する前記シート排出装置と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、搬送路の排出口から排出されるシートにおけるコルゲーション部材との接触により変形する部分の位置を前記シートのサイズに応じて変更可能なシート搬送装置および画像形成装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
図2図2は、実施形態に係る画像形成装置における制御装置の構成を表すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る画像形成装置におけるシート排出装置の正面図である。
図4図4は、実施形態に係る画像形成装置におけるシート排出装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
[画像形成装置10の構成]
実施形態に係る画像形成装置10は、シート9に画像を形成するプリント処理を実行する装置である。シート9は、用紙または封筒などのシート状の画像形成媒体である。
【0015】
画像形成装置10は、それぞれ本体部1内に設けられたシート収容部2、シート搬送装置3、プリント装置40、制御装置8、操作装置801および表示装置802などを備える。図1に示される例では、プリント装置40は、電子写真方式で前記プリント処理を実行する。
【0016】
なお、プリント装置40が、インクジェット方式などの他の方式で前記プリント処理を実行する装置であることも考えられる。
【0017】
プリント装置40は作像装置4、転写装置5および定着装置49を備える。作像装置4は、ドラム状の感光体41、帯電装置42、現像装置43およびドラムクリーニング装置45などを含む。
【0018】
図2に示されるプリント装置40は、タンデム方式によりカラーの前記プリント処理を実行可能である。そのため、プリント装置40は、複数の色のトナーに対応した複数の作像装置4を備える。
【0019】
さらに、転写装置5は、中間転写ベルト51と、一対のベルト支持ローラー52と、ベルトクリーニング装置53と、複数の作像装置4に対応する複数の一次転写装置54とを備える。一対のベルト支持ローラー52は、中間転写ベルト51を回転可能に支持する。
【0020】
プリント装置40は、イエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの4色の前記トナーに対応する4つの作像装置4および4つの一次転写装置54を備える。
【0021】
シート搬送装置3は、シート収容部2に収容されたシート9を本体部1内のシート搬送路30へ送り出す送出ローラー対300を備える。送出ローラー対300は、シート9を挟んで回転することによってシート9をシート搬送路30へ送り出す。
【0022】
さらに、シート搬送装置3は、シート9を挟んで回転することによってシート9をシート搬送路30に沿って搬送する複数組の搬送ローラー対31を備える。複数組の搬送ローラー対31は、シート搬送路30の排出口30aに配置された複数組の排出ローラー対31aを含む。
【0023】
複数組の排出ローラー対31aは、それぞれシート9を挟んで回転することによってシート9をシート搬送路30の排出口30aから排出トレイ1x上へ排出する。排出ローラー対31aがシート9を排出口30aから排出する方向がシート排出方向D1である。以下の説明において、シート排出方向D1に直交する水平な方向のことを幅方向D2と称する。
【0024】
図3に示されるように、複数組の排出ローラー対31aは、シート搬送路30の排出口30aにおいて幅方向D2に間隔を空けて並んで配列されている。複数組の排出ローラー対31a各々における一方のローラーは、幅方向D2に沿う状態で回転可能に支持されたローラー軸310に固定されている。
【0025】
ローラー軸310が不図示のモーターによって回転駆動されることにより、複数組の排出ローラー対31aが回転する。
【0026】
作像装置4において、感光体41が回転し、帯電装置42が感光体41の表面を帯電させる。さらに、光走査装置46が、感光体41の表面に静電潜像を書き込む。さらに、現像装置43が、前記静電潜像をトナー像として現像する。
【0027】
転写装置5において、一次転写装置54各々が、感光体41各々の表面の前記トナー像を中間転写ベルト51へ転写する。これにより、中間転写ベルト51の下面にカラーの前記トナー像が形成される。
【0028】
二次転写装置48は、中間転写ベルト51に形成された前記トナー像を、シート搬送路30に沿って搬送されているシート9に転写する。定着装置49は、シート9に転写された前記トナー像を、加熱および加圧することによってシート9に定着させる。
【0029】
定着装置49を通過した画像形成後のシート9は、複数組の排出ローラー対31aによって排出トレイ1x上へ排出される。ベルトクリーニング装置53は、中間転写ベルト51における二次転写装置48を通過した部分に残存する前記トナーを除去する。
【0030】
操作装置801は、ユーザーの操作を受け付ける装置である。例えば、操作装置801は、タッチパネルまたは操作ボタンなどを含む。表示装置802は、情報を表示する液晶表示パネルなどの装置である。
【0031】
図2に示されるように、制御装置8は、CPU(Central Processing Unit)80、RAM(Random Access Memory)81および二次記憶装置82などを備える。
【0032】
CPU80は、予め二次記憶装置82に記憶されたコンピュータープログラムを実行することにより、前記プリント処理に関する各種のデータ処理、および、各種の電気機器の制御を実行する。
【0033】
CPU80は、前記コンピュータープログラムを実行することにより実現される処理モジュールとして、搬送制御部8aおよびプリント制御部5bなどを含む。搬送制御部8aは、シート搬送装置3を制御する。プリント制御部5bは、プリント装置40を制御する。
【0034】
二次記憶装置82は、コンピューター読み取り可能な不揮発性の記憶装置である。二次記憶装置82は、CPU80により実行されるプログラムおよびCPU80により参照される各種のデータを記憶する。例えば、フラッシュメモリーまたはハードディスクドライブの一方または両方が、二次記憶装置82として採用される。
【0035】
RAM81は、揮発性の記憶装置である。RAM81は、CPU80が実行するプログラムおよびCPU80が前記プログラムを実行する過程で出力および参照するデータを一次記憶する。RAM81は、二次記憶装置82よりも高速なデータアクセスが可能な記憶装置である。
【0036】
なお、が、MPU(Micro Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)などの他のプロセッサーによって実現されてもよい。また、制御装置8の一部または全部が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの回路によって実現されることも考えられる。
【0037】
画像形成装置10において、シート9がシート搬送路30の排出口30aから出た直後に垂れ下がると、シート9がカールした状態で排出トレイ1x上へ排出されてしまう。
【0038】
画像形成装置10は、シート9のカールの問題を解消するため、コルゲーション機構60をさらに備える(図1,3,4参照)。コルゲーション機構60は、シート搬送路30の排出口30aに設けられた複数のコルゲーション部材61を備える。
【0039】
図3,4に示されるように、複数のコルゲーション部材61は、幅方向D2における複数組の排出ローラー対31aの位置に対してずれた位置で支持されている。
【0040】
コルゲーション部材61各々は、シート搬送路30の排出口30aを通過中のシート9の片面に接触する接触部61aを有する(図3参照)。
【0041】
複数のコルゲーション部材61の接触部61aがシート9の片面に接触することにより、コルゲーション機構60は、シート9を幅方向D2において波打った形状に変形させる。即ち、コルゲーション部材61各々の接触部61aは、シート9を湾曲させ、シート9に波形を付与する。
【0042】
複数組の排出ローラー対31aおよびコルゲーション機構60は、シート搬送路30に沿って搬送されるシート9を排出口30aから排出するシート排出装置6を構成している。シート排出装置6は、画像が形成されたシート9をシート搬送路30の排出口30aから排出する。なお、シート排出装置6は、複数組の排出ローラー対31aを回転駆動させる不図示のモーターも含む。
【0043】
本実施形態において、コルゲーション部材61各々の接触部61aは、シート9の上面に接触する。コルゲーション部材61の作用により、排出中のシート9の直進性が高まる。その結果、シート9は、先端部が垂れ下がらずに排出トレイ1x上へ排出され、シート9のカールの問題が解消される。即ち、排出トレイ上に積載されるシート9の整合性が改善される。
【0044】
ところで、シート9におけるコルゲーション部材61各々との接触により変形する部分の幅方向D2の適切な位置は、シート9の幅方向D2のサイズに応じて異なる。
【0045】
画像形成装置10のシート排出装置6は、シート搬送路30の排出口30aから排出されるシート9におけるコルゲーション部材61との接触により変形する部分の位置をシート9のサイズに応じて変更可能な構成を備える。以下、その構成について説明する。
【0046】
[シート排出装置6の構成]
前述したように、シート排出装置6は、複数組の排出ローラー対31aと、コルゲーション機構60とを備える。コルゲーション機構60は、複数のコルゲーション部材61、可動支持機構62および係止部63を備える。
【0047】
複数のコルゲーション部材61のうちの予め定められた一部または全部は、幅方向D2に沿って変位可能に支持された可動コルゲーション部材611である。可動支持機構62が、可動コルゲーション部材611を幅方向D2に沿って変位可能に支持している。
【0048】
本実施形態において、複数組の排出ローラー対31aは、排出口30aの幅方向D2においてシート9の通過範囲の中央の基準位置P0に対して対称な位置関係で配置されている。複数のコルゲーション部材61は、幅方向D2における複数組の排出ローラー対31aの間の位置と、複数組の排出ローラー対31aの両外側の位置とに設けられている。
【0049】
図3,4に示される例では、複数組の排出ローラー対31aは、幅方向D2における基準位置P0に対して対称な位置に配置された2組の前記排出ローラー対31aである。また、コルゲーション機構60は、3つのコルゲーション部材61を備える。
【0050】
3つのコルゲーション部材61は、2つの可動コルゲーション部材611と、残り1つの固定コルゲーション部材612とを含む。固定コルゲーション部材612は、幅方向D2における予め定められた位置で保持されている。
【0051】
本実施形態において、固定コルゲーション部材612は、幅方向D2における基準位置P0で支持される中央コルゲーション部材である。
【0052】
可動支持機構62は、幅方向D2に沿って配置された支持軸620と、一対の可動部材621と、1つのピニオンギヤ623とを備える。
【0053】
支持軸620は、可動コルゲーション部材611各々を幅方向D2に沿ってスライド可能に支持する。ピニオンギヤ623は、一定の位置でギヤ軸624によって回転可能に支持されている。
【0054】
可動部材621各々は、スライドガイド部622によって幅方向D2に案内されることにより、幅方向D2に沿ってスライド移動可能である。
【0055】
一対の可動部材621は、それぞれラックギヤ6211および1つ以上の連結部6212を有する。一対の可動部材621のラックギヤ6211は、それぞれピニオンギヤ623を介して対向する位置でピニオンギヤ623と噛み合う。
【0056】
連結部6212は、幅方向D2における基準位置P0に対し一方の側において、可動コルゲーション部材611のうちの半数の部材と連結されている。本実施形態において、可動部材621各々は、2つの可動コルゲーション部材611のうちの一方に対応する1つの連結部6212を有する。
【0057】
一対の可動部材621は、ピニオンギヤ623の回転に連動して幅方向D2に沿って相互に反対方向へスライド移動する。これにより、偶数個の可動コルゲーション部材611のうちの半数ずつが、ピニオンギヤ623の回転に連動して、幅方向D2に沿って相互に反対方向へスライド移動する。
【0058】
図4に示される例では、ピニオンギヤ623が時計方向に回転することにより、一対の可動部材621の連結部6212および2つの可動コルゲーション部材611が基準位置P0に近づく内側方向へ変位する。また、ピニオンギヤ623が反時計方向に回転することにより、一対の可動部材621の連結部6212および2つの可動コルゲーション部材611が基準位置P0から遠ざかる外側方向へ変位する。
【0059】
可動支持機構62は、偶数個の可動コルゲーション部材611を、幅方向D2における基準位置P0に対して対称な位置関係維持しつつ幅方向D2に沿って変位可能に支持する。前述したように、本実施形態において可動支持機構62が支持する可動コルゲーション部材611の個数は2つである。
【0060】
一方、固定コルゲーション部材612は、可動コルゲーション部材611と同様に支持軸620によって支持されているとともに、幅方向D2へ移動しないように係止部63によって係止されている。即ち、固定コルゲーション部材612は、係止部63によって幅方向D2において基準位置P0に保持されている。
【0061】
なお、支持軸620は、コルゲーション部材61各々を、排出口30aを通過中のシート9に対して離接する方向において揺動可能に支持している。また、複数のコルゲーション部材61に対応する不図示の複数のバネ各々が、対応するコルゲーション部材61をシート9の表面に向かう方向へ付勢している。
【0062】
コルゲーション機構60は、可動支持機構62を駆動する駆動装置64をさらに備える(図4参照)。駆動装置64は、第1プーリー641、第2プーリー642、駆動ベルト643、制御モーター644およびモーター駆動回路645を備える。
【0063】
第1プーリー641は、ピニオンギヤ623と一体に構成されている。第1プーリー641が第1回転方向またはその反対の第2回転方向へ回転することにより、ピニオンギヤ623が第1プーリー641の回転方向と同じ方向へ回転する。
【0064】
第2プーリー642は、制御モーター644によって回転駆動される。駆動ベルト643は、第1プーリー641および第2プーリー642に架け渡されている。これにより、制御モーター644の回転に連動して第2プーリー642、第1プーリー641およびピニオンギヤ623が回転し、これにより2つの可動コルゲーション部材611が幅方向D2に沿って変位する。
【0065】
制御モーター644は、例えばステッピングモーターまたはサーボモーターである。制御モーター644は、モーター駆動回路645から供給される駆動信号に従って回転する。
【0066】
モーター駆動回路645は、制御装置8から入力される制御司令に従った前記駆動信号を制御モーター644へ出力する。前記制御司令は、制御モーター644の回転方向および回転量を表す。
【0067】
以上に示されるように、駆動装置64は、入力される前記制御司令に従って可動支持機構62を駆動することにより、可動コルゲーション部材611を幅方向D2に沿って変位させる。
【0068】
制御装置8のCPU80は、前記コンピュータープログラムを実行することにより実現される前記処理モジュールとして、位置制御部8cをさらに含む(図2参照)。位置制御部8cは、シート排出装置6の一部を構成している。
【0069】
位置制御部8cは、入力されるシート9のサイズ情報に応じた位置に可動コルゲーション部材611を変位させる前記制御司令を駆動装置64のモーター駆動回路645へ出力する。
【0070】
例えば、前記サイズ情報は、ユーザーにより操作される操作装置801を通じて位置制御部8cに入力される。また、画像形成装置10がシート収容部2に収容されたシート9のサイズを検出するサイズセンサーを備える場合、位置制御部8cは、前記サイズセンサーから前記サイズ情報を入力する。
【0071】
以上に示されるように、シート排出装置6は、排出口30aから排出されるシート9におけるコルゲーション部材61との接触により変形する部分の幅方向D2の位置を、シート9のサイズに応じた適切な位置に変更可能である。
【0072】
[第1応用例]
次に、シート排出装置6の第1応用例について説明する。本応用例において、駆動装置64は、コルゲーション機構60から省略されている。
【0073】
本応用例において、可動支持機構62は、ユーザーの手動によって駆動されることにより、可動コルゲーション部材611を幅方向D2に沿って変位させる。
【0074】
本応用例において、可動コルゲーション部材611が、ユーザーの直接の操作によって幅方向D2へ変位することが考えられる。また、一対の可動部材621の一方または両方が、ユーザーによって操作される取手部を有することも考えられる。
【0075】
[第2応用例]
次に、シート排出装置6の第2応用例について説明する。本応用例において、駆動装置64は、制御モーター644の代わりに、回転量の制御機能を有さない一般的なモーターである汎用モーターを備える。
【0076】
さらに、本応用例における駆動装置64は、可動コルゲーション部材611のいずれか1つ、または、一対の可動部材621の一方である検出対称が幅方向D2の予め定められた複数の候補位置のいずれに存在するかを検出する位置検出センサーを備える。
【0077】
本応用例において、位置制御部8cは、前記位置検出センサーによって検出されている前記検出対象の現状位置と前記サイズ情報に対応する前記候補位置である目標位置とに応じて前記汎用モーターの作動回転方向を設定する。
【0078】
さらに、位置制御部8cは、前記目標位置において前記検出対象が前記位置検出センサーによって検出されるまで、前記汎用モーターを前記作動回転方向へ回転させる。本応用例が採用される場合も、シート排出装置6が採用される場合と同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0079】
1 :本体部
1x :排出トレイ
2 :シート収容部
3 :シート搬送装置
4 :作像装置
5 :転写装置
5b :プリント制御部
6 :シート排出装置
8 :制御装置
8a :搬送制御部
8c :位置制御部
9 :シート
10 :画像形成装置
30 :シート搬送路
30a :排出口
31 :搬送ローラー対
31a :排出ローラー対
40 :プリント装置
41 :感光体
42 :帯電装置
43 :現像装置
45 :ドラムクリーニング装置
46 :光走査装置
48 :二次転写装置
49 :定着装置
51 :中間転写ベルト
52 :ベルト支持ローラー
53 :ベルトクリーニング装置
54 :一次転写装置
60 :コルゲーション機構
61 :コルゲーション部材
61a :接触部
62 :可動支持機構
63 :係止部
64 :駆動装置
80 :CPU
81 :RAM
82 :二次記憶装置
300 :送出ローラー対
310 :ローラー軸
611 :可動コルゲーション部材
612 :固定コルゲーション部材
620 :支持軸
621 :可動部材
622 :スライドガイド部
623 :ピニオンギヤ
624 :ギヤ軸
641 :第1プーリー
642 :第2プーリー
643 :駆動ベルト
644 :制御モーター
645 :モーター駆動回路
801 :操作装置
802 :表示装置
6211 :ラックギヤ
6212 :連結部
D1 :シート排出方向
D2 :幅方向
P0 :基準位置
図1
図2
図3
図4