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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】ヘッドユニット
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20240402BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/01 207
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019235446
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021102331
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-12-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125689
【弁理士】
【氏名又は名称】大林 章
(74)【代理人】
【識別番号】100128598
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 聖一
(74)【代理人】
【識別番号】100121108
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 太朗
(72)【発明者】
【氏名】新川 修
(72)【発明者】
【氏名】上柳 雅史
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2004/076180(WO,A1)
【文献】特開平09-018707(JP,A)
【文献】米国特許第04907013(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
B41J 2/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1吐出部及び第2吐出部を含む複数の吐出部と、
前記第1吐出部における液体の吐出状態を判定し、前記第2吐出部における液体の吐出状態を判定する判定部と、
前記判定部による前記第1吐出部の判定結果を示す第1判定情報を保持する第1記憶領域、及び、前記判定部による前記第2吐出部の判定結果を示す第2判定情報を保持する第2記憶領域を含む記憶部と、
を有し、
前記記憶部は、前記第1判定情報及び前記第2判定情報を順に出力するシフトレジスターを含み、
前記シフトレジスターは、
縦続接続される複数の保持部を含み、
前記複数の保持部に保持され、前記第1判定情報及び前記第2判定情報を含む情報を、1つのデータセットとして、前記複数の保持部のうちの最終段の保持部から出力する、
とを特徴とするヘッドユニット。
【請求項2】
前記判定部は、
前記第1吐出部における前記吐出状態を判定する第1判定部と、
前記第2吐出部における前記吐出状態を判定する第2判定部と、
を有することを特徴とする請求項1記載のヘッドユニット。
【請求項3】
前記シフトレジスターから出力される前記1つのデータセットを圧縮するエンコード部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のヘッドユニット。
【請求項4】
前記エンコード部は、可逆圧縮により、前記1つのデータセットを圧縮する、
ことを特徴とする請求項3に記載のヘッドユニット。
【請求項5】
前記エンコード部による前記1つのデータセットの圧縮により生成される圧縮信号を差動信号に変換し、前記差動信号を送信する差動送信回路をさらに有する、
ことを特徴とする請求項3又は4に記載のヘッドユニット。
【請求項6】
前記差動送信回路は、LVDSの規格に基づいて、前記差動信号を送信する、
ことを特徴とする請求項5に記載のヘッドユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ヘッドユニットに含まれる複数の吐出部の各々からインク等の液体を吐出して媒体に画像を形成するインクジェットプリンター等の液体吐出装置として、各吐出部からのインクの吐出状態を判定する判定処理を実行する判定部を有する液体吐出装置が記載されている。この種の液体吐出装置では、例えば、判定部は、複数の吐出部のうちの一の吐出部に対する判定処理が終了する度に、当該吐出部の判定結果を示す判定情報を、ヘッドユニット等を制御する制御部に出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-049691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、複数の吐出部のうちの一の吐出部に対する判定処理が終了する度に、当該吐出部に対応する判定情報を送信する送信処理が実行される場合、吐出部の数の増加に伴い、送信処理に係る時間が増大することが懸念される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、本発明に係るヘッドユニットは、第1吐出部及び第2吐出部を含む複数の吐出部と、前記第1吐出部における液体の吐出状態を判定し、前記第2吐出部における液体の吐出状態を判定する判定部と、前記判定部による前記第1吐出部の判定結果を示す第1判定情報を保持する第1記憶領域、及び、前記判定部による前記第2吐出部の判定結果を示す第2判定情報を保持する第2記憶領域を含む記憶部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態に係るヘッドユニットを含むインクジェットプリンターの構成の一例を示すブロック図である。
図2】インクジェットプリンターの概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。
図3】ヘッドモジュールにおけるノズルの配置の一例を示す平面図である。
図4】通常印刷処理を説明するための説明図である。
図5】補完印刷処理を説明するための説明図である。
図6】判定情報の転送を説明するための説明図である。
図7】判定情報を含むデータセットの例を示す図である。
図8】ヘッドユニットの構成を示すブロック図である。
図9】接続状態指定回路及び送受信回路の構成を示すブロック図である。
図10】インクジェットプリンターの動作の一例を示すタイミングチャートである。
図11】指定信号生成部における接続状態指定信号の生成を説明するための説明図である。
図12】接続状態指定回路の回路構成の一例を示す図である。
図13】送受信回路の回路構成の一例を示す図である。
図14】変形例2に係る送受信回路の構成を示すブロック図である。
図15】変形例3に係る判定情報の一例を説明するための説明図である。
図16】変形例3に係る判定情報の別の例を説明するための説明図である。
図17】変形例4に係るノズルの配置を説明するための説明図である。
図18】変形例5に係るインクジェットプリンターの構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0008】
[1.実施形態]
先ず、図1及び図2を参照しつつ、本実施形態に係るインクジェットプリンター1の構成について説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係るヘッドユニットHU1、HU2、HU3及びHU4を含むインクジェットプリンター1の構成の一例を示すブロック図である。以下では、ヘッドユニットHU1、HU2、HU3及びHU4を、特に区別せずに、ヘッドユニットHUと称する場合もある。本実施形態では、インクを吐出して記録用紙Pに画像を形成するインクジェットプリンター1を例示して、液体吐出装置を説明する。なお、本実施形態において、インクは「液体」の例である。
【0010】
インクジェットプリンター1には、パーソナルコンピューター又はデジタルカメラ等のホストコンピューターから、インクジェットプリンター1が記録用紙Pに形成すべき画像を示す印刷データIMGが供給される。例えば、インクジェットプリンター1は、ホストコンピューターから供給される印刷データIMGの示す画像を記録用紙Pに形成する印刷処理を実行する。なお、インクジェットプリンター1は、印刷機能の他に、コピー機能、スキャナー機能、ファクシミリ送信機能およびファクシミリ受信機能のいずれかを有してもよい。すなわち、インクジェットプリンター1は、所謂「複合機」に相当するものであってもよい。
【0011】
図1に示す例では、インクジェットプリンター1は、制御ユニット2と、ヘッドユニットHU1、HU2、HU3及びHU4を含むヘッドモジュール3と、駆動信号生成ユニット4と、記憶ユニット5と、メンテナンスユニット6と、搬送ユニット7とを有する。
【0012】
なお、本実施形態では、図1に示すように、ヘッドモジュール3が、4個のヘッドユニットHUを備える場合を、一例として想定する。以下では、4個のヘッドユニットHUのうちのヘッドユニットHU1について説明するが、当該説明は、他のヘッドユニットHUについても同様に該当する。例えば、ヘッドユニットHU1は、図1に示すように、切替回路30と、インクを吐出する複数の吐出部Dを含む記録ヘッドHDと、判定回路32と、送受信回路34とを有する。他のヘッドユニットHUの機能ブロックについては図示を省略しているが、ヘッドユニットHU2、HU3及びHU4も、ヘッドユニットHU1と同様に、切替回路30、記録ヘッドHD、判定回路32及び送受信回路34を有する。切替回路30、記録ヘッドHD、判定回路32及び送受信回路34の詳細は、後述する。
【0013】
制御ユニット2は、例えば、インクジェットプリンター1の各部を制御するCPU(Central Processing Unit)等のコンピューターである。なお、制御ユニット2は、1又は複数のプロセッサーを有してもよい。例えば、制御ユニット2は、記憶ユニット5に記憶されている制御プログラムを実行することによって、印刷信号SI、及び、波形指定信号dCOM等の、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御するための信号を生成する。なお、制御ユニット2が制御プログラムを実行することによって実現される要素の全部又は一部は、FPGA(field programmable gate array)又はASIC(Application Specific IC)等の電子回路によりハードウェアで実現されてもよい。あるいは、制御ユニット2の各機能の全部又は一部は、ソフトウェアとハードウェアとの協働により実現されてもよい。
【0014】
ここで、波形指定信号dCOMは、吐出部Dを駆動するためのアナログの駆動信号COMの波形を規定するデジタルの信号である。例えば、波形指定信号dCOMは、制御ユニット2から駆動信号生成ユニット4に供給される。また、印刷信号SIは、吐出部Dの動作の種類を指定するためのデジタルの信号である。具体的には、印刷信号SIは、吐出部Dに対して駆動信号COMを供給するか否かを指定することで、吐出部Dの動作の種類を指定する信号である。また、印刷信号SIは、吐出部Dに対して駆動信号COMを供給するか否かを指定することで、各吐出部Dから吐出されるインクの吐出量を規定する。
【0015】
駆動信号生成ユニット4は、DA変換回路を含み、波形指定信号dCOMにより規定される波形を有する駆動信号COMを生成する。なお、本実施形態では、駆動信号COMが、駆動信号COMaと駆動信号COMbとを含む場合を想定する。
【0016】
記憶ユニット5は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリーと、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、又は、PROM(Programmable ROM)等の不揮発性メモリーと、を含んで構成される。例えば、記憶ユニット5は、ホストコンピューターから供給される印刷データIMG、及び、インクジェットプリンター1の制御プログラム等の各種情報を記憶する。
【0017】
メンテナンスユニット6は、吐出部Dにおけるインクの吐出状態が異常となった場合に、当該吐出部Dにおけるインクの吐出状態を正常に回復させるメンテナンス処理を実行する。なお、吐出状態は、吐出部Dからインクが吐出されない状態を含む。吐出部Dにおけるインクの吐出状態は、後述する判定回路32により判定される。以下では、吐出部Dにおけるインクの吐出状態が異常となること、すなわち、吐出部Dからインクを正確に吐出することのできない状態を、吐出異常と称する場合がある。例えば、吐出異常とは、吐出部Dからインクを吐出できない状態、吐出部Dが駆動信号COMにより規定されるインクの吐出量とは異なる量のインクを吐出する状態、及び、吐出部Dが駆動信号COMにより規定されるインクの吐出速度とは異なる速度でインクを吐出する状態、等を含む。
【0018】
搬送ユニット7は、後述する図2に示すキャリッジ120を往復動させるためのキャリッジ搬送機構71と、記録用紙Pを搬送するための媒体搬送機構72とを有し、ヘッドモジュール3に対する記録用紙Pの相対位置を変化させる。搬送ユニット7の動作等は、図2において説明する。
【0019】
ヘッドモジュール3に含まれる各ヘッドユニットHUは、上述のとおり、切替回路30、記録ヘッドHD、判定回路32及び送受信回路34を有する。記録ヘッドHDは、2×M個の吐出部Dを備える。ここで、値Mは、「M≧1」を満たす自然数である。なお、以下では、「2×M」を、単に、「2M」と称する場合もある。また、以下では、記録ヘッドHDに設けられた2M個の吐出部Dのうち、i番目の吐出部Dを、吐出部D[i]と称する場合がある。ここで、変数iは、「1≦i≦2M」を満たす自然数である。また、以下では、インクジェットプリンター1の構成要素又は信号等が、2M個の吐出部Dのうち、吐出部D[i]に対応する場合は、当該構成要素又は信号等を表すための符号に、添え字[i]を付すことがある。なお、2M個の吐出部Dは、「複数の吐出部」の例である。また、2M個の吐出部Dのうちの2つの吐出部Dの一方は、「第1吐出部」の例であり、2つの吐出部Dの他方は、「第2吐出部」の例である。
【0020】
切替回路30は、駆動信号生成ユニット4から出力される駆動信号COMを吐出部D[i]に供給するか否かを、印刷信号SIに基づいて切り替える。なお、以下では、駆動信号COMのうち、吐出部D[i]に供給される駆動信号COMを、供給駆動信号Vin[i]と称する場合がある。また、切替回路30は、印刷信号SIに基づいて、吐出部D[i]が有する圧電素子PZ[i]の上部電極Zu[i]の電位を示す検出信号Vout[i]を、判定回路32に供給するか否かを切り替える。なお、圧電素子PZ[i]及び上部電極Zu[i]については、図8において後述する。
【0021】
判定回路32は、検出信号Vout[i]に基づいて、吐出部D[i]におけるインクの吐出状態の判定結果を示す判定情報STT1[i]を生成する。具体的には、判定回路32は、検出信号Vout[i]に基づいて、残留振動信号を生成する。そして、判定回路32は、検出信号Vout[i]に基づく残留振動信号の周期及び振幅等の特徴量を、吐出状態が正常である場合の基準特徴量と比較することにより、吐出部D[i]におけるインクの吐出状態を判定し、判定結果を示す判定情報STT1[i]を生成する。以下では、判定回路32による吐出状態の判定の対象とされる吐出部Dを、判定対象の吐出部Dと称する場合がある。
【0022】
ここで、検出信号Vout[i]に基づく残留振動信号は、吐出部D[i]が供給駆動信号Vin[i]により駆動された後に、吐出部D[i]に残留している振動である残留振動の波形を示す。また、判定情報STT1の符号の末尾の数字は、ヘッドユニットHU1の符号の末尾の数字に対応している。従って、例えば、ヘッドユニットHU4に含まれる吐出部Dにおけるインクの吐出状態の判定結果を示す判定情報STTは、判定情報STT4とも称される。なお、判定回路32は、「判定部」の例である。また、2M個の吐出部Dのうちの「第1吐出部」に該当する吐出部Dの判定情報STTは、「第1判定情報」の例であり、「第2吐出部」に該当する吐出部Dの判定情報STTは、「第2判定情報」の例である。
【0023】
なお、本実施形態では、吐出部Dにおけるインクの吐出状態を判定する方法として、残留振動信号を用いる方法を想定するが、吐出部Dにおけるインクの吐出状態を判定する方法は、残留振動信号を用いる方法に限定されない。例えば、吐出部Dにおけるインクの吐出状態を判定する方法として、インクが正常に吐出される場合に吐出部Dに生じる温度低下を検出する方法が採用されてもよい。この種の判定方法では、検出温度が最高温度に到達した時刻から一定時間後に温度の降下速度が変化する変化ポイントが出現する場合には、インクの吐出状態が正常と判定され、変化ポイントが出現しない場合には、インクの吐出状態が異常と判定される。また、例えば、吐出部Dにおけるインクの吐出状態を判定する方法として、インクの吐出状態を検出するための検出板へ向けて、帯電されたインクを吐出部Dから吐出し、当該インクが検出板に衝突する際の電流変化を検出する方法が採用されてもよい。また、例えば、吐出部Dにおけるインクの吐出状態を判定する方法として、吐出部Dからインク受け部へ向けて、帯電されたインクを吐出し、当該インクが、吐出部Dとインク受け部との間に配置された導体部の側方を通過する際に導体部に生じる誘導電流の有無を検出する方法が採用されてもよい。
【0024】
送受信回路34は、例えば、判定回路32から出力された判定情報STT1を含むデータセットDS1を、ヘッドユニットHU1の端子TIaに供給されたデータセットDS2、DS3及びDS4と結合して、ヘッドユニットHU1の端子TOaに出力する。なお、データセットDS2は、ヘッドユニットHU2の判定情報STT2を含むデータセットDSであり、データセットDS3は、ヘッドユニットHU3の判定情報STT3を含むデータセットDSであり、データセットDS4は、ヘッドユニットHU4の判定情報STT4を含むデータセットDSである。
【0025】
また、送受信回路34は、例えば、ヘッドユニットHU1の端子TIbに供給されたデータセットDS1、DS2、DS3及びDS4を、ヘッドユニットHU1の端子TObに出力する。
【0026】
図1に示す例では、ヘッドユニットHU1の端子TIaは、ヘッドユニットHU2の端子TOaと電気的に接続されている。また、ヘッドユニットHU1の端子TOaは、ヘッドユニットHU1の端子TIbと、制御ユニット2とに、電気的に接続されている。そして、ヘッドユニットHU1の端子TObは、ヘッドユニットHU2の端子TIbと電気的に接続されている。
【0027】
また、ヘッドユニットHU2の端子TIaは、ヘッドユニットHU3の端子TOaと電気的に接続され、ヘッドユニットHU2の端子TObは、ヘッドユニットHU3の端子TIbと電気的に接続されている。そして、ヘッドユニットHU3の端子TIaは、ヘッドユニットHU4の端子TOaと電気的に接続され、ヘッドユニットHU3の端子TObは、ヘッドユニットHU4の端子TIbと電気的に接続されている。なお、図1に示す例では、ヘッドユニットHU4の端子TIa及び端子TObは、他のヘッドユニットHUに接続されていない。次に、ヘッドユニットHU1、HU2、HU3及びHU4が図1に示すように接続されている場合における各データセットDSの流れを説明する。
【0028】
例えば、ヘッドユニットHU4では、送受信回路34は、判定回路32から出力された判定情報STT4を含むデータセットDS4を、ヘッドユニットHU3の端子TIaに送信する。ヘッドユニットHU3では、送受信回路34は、判定回路32から出力された判定情報STT3を含むデータセットDS3と、端子TIaに供給されたデータセットDS4とを、データセットDS3及びDS4の順に、ヘッドユニットHU2の端子TIaに送信する。
【0029】
ヘッドユニットHU2では、送受信回路34は、判定回路32から出力された判定情報STT2を含むデータセットDS2と、端子TIaに供給されたデータセットDS3及びDS4とを、データセットDS2、DS3及びDS4の順に、ヘッドユニットHU1の端子TIaに送信する。
【0030】
ヘッドユニットHU1では、送受信回路34は、判定回路32から出力された判定情報STT1を含むデータセットDS1と、端子TIaに供給されたデータセットDS2、DS3及びDS4とを、データセットDS1、DS2、DS3及びDS4の順に、制御ユニット2及び端子TIbに送信する。
【0031】
また、ヘッドユニットHU1では、送受信回路34は、端子TIbに供給されたデータセットDS1、DS2、DS3及びDS4を、端子TIbに供給された順に、ヘッドユニットHU2の端子TIbに送信する。同様に、ヘッドユニットHU2では、送受信回路34は、端子TIbに供給されたデータセットDS1、DS2、DS3及びDS4を、端子TIbに供給された順に、ヘッドユニットHU3の端子TIbに送信する。ヘッドユニットHU3では、送受信回路34は、端子TIbに供給されたデータセットDS1、DS2、DS3及びDS4を、端子TIbに供給された順に、ヘッドユニットHU4の端子TIbに送信する。
【0032】
これにより、各ヘッドユニットHUのデータセットDSが、他のヘッドユニットHU及び制御ユニット2に供給される。すなわち、各ヘッドユニットHUの判定情報STTが、他のヘッドユニットHU及び制御ユニット2に供給される。
【0033】
図2は、インクジェットプリンター1の概略的な内部構造の一例を示す斜視図である。図2に示すように、本実施形態では、インクジェットプリンター1がシリアルプリンターである場合を一例として想定する。具体的には、インクジェットプリンター1は、印刷処理を実行する場合、副走査方向に記録用紙Pを搬送しつつ、副走査方向に交差する主走査方向にヘッドモジュール3を往復動させながら、吐出部Dからインクを吐出させることで、記録用紙P上に、印刷データIMGに応じたドットを形成する。
【0034】
以下では、説明の便宜上、図2に示す互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸を適宜用いて説明する。また、X軸の矢印の指す方向は+X方向と称され、+X方向の逆方向は-X方向と称される。同様に、Y軸の矢印の指す方向は+Y方向と称され、+Y方向の逆方向は-Y方向と称される。そして、Z軸の矢印の指す方向は+Z方向と称され、+Z方向の逆方向は-Z方向と称される。また、本実施形態では、+X方向を副走査方向とし、+Y方向及び-Y方向を主走査方向とする。
【0035】
図2に示すように、インクジェットプリンター1は、筐体100と、筐体100内を+Y方向および-Y方向に往復動可能でありヘッドモジュール3を搭載するキャリッジ120とを有する。また、図1において説明したように、インクジェットプリンター1は、メンテナンスユニット6及び搬送ユニット7を有する。
【0036】
搬送ユニット7は、印刷処理が実行される場合に、キャリッジ120を+Y方向および-Y方向に往復動させるとともに、記録用紙Pを+X方向に搬送することで、記録用紙Pのヘッドモジュール3に対する相対位置を変化させる。これにより、搬送ユニット7は、記録用紙Pの全体に対するインクの着弾を可能にする。例えば、搬送ユニット7は、キャリッジ120を+Y方向および-Y方向に往復自在に支持するキャリッジガイド軸760と、キャリッジ120に固定されキャリッジ搬送機構71により駆動されるタイミングベルト710とを有する。これにより、搬送ユニット7は、ヘッドモジュール3をキャリッジ120と共に、キャリッジガイド軸760に沿って+Y方向および-Y方向に往復動させることができる。また、搬送ユニット7は、キャリッジ120に対して-Z方向に設けられているプラテン750と、媒体搬送機構72の駆動に応じて回転しプラテン750上の記録用紙Pを+X方向に搬送する搬送ローラー730とを有する。
【0037】
メンテナンスユニット6は、吐出部DのノズルNが密閉されるように各ヘッドユニットHUを覆うためのキャップ610と、吐出部D内のインクを排出する場合に排出されたインクを受けるための排出インク受領部620とを有する。また、メンテナンスユニット6は、特に図示していないが、吐出部DのノズルN近傍に付着した紙粉等の異物を拭き取るためのワイパーと、吐出部D内のインクや気泡等を吸引するためのチューブポンプとを有する。なお、ノズルNについては、図3において後述する。本実施形態では、キャップ610が、筐体100に取り付けられている態様を例示するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、キャップ610は、キャリッジ120に取り付けられていてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、キャリッジ120が、シアン、マゼンタ、イエローおよびブラックの4色のインクと1対1に対応する4個のインクカートリッジ122を格納している場合を想定する。なお、図2は一例に過ぎず、インクカートリッジ122は、キャリッジ120の外部に設けられるものであってもよい。各吐出部Dは、4個のインクカートリッジ122のいずれか1つからインクの供給を受ける。各吐出部Dは、インクカートリッジ122から供給されるインクを内部に充填し、内部に充填しているインクをノズルNから吐出することができる。なお、インクカートリッジ122は、キャリッジ120の外部に設けられてもよい。
【0039】
ここで、印刷処理が実行される場合の制御ユニット2の動作の概要を説明する。印刷処理が実行される場合、制御ユニット2は、まず、ホストコンピューターから供給される印刷データIMGを、記憶ユニット5に記憶させる。次に、制御ユニット2は、記憶ユニット5に記憶されている印刷データIMG等の各種データに基づいて、印刷信号SI等のヘッドユニットHUを制御するための信号と、波形指定信号dCOM等の駆動信号生成ユニット4を制御するための信号と、搬送ユニット7を制御するための信号と、を生成する。そして、制御ユニット2は、印刷信号SI等の各種信号や、記憶ユニット5に記憶されている各種データに基づいて、ヘッドモジュール3に対する記録用紙Pの相対位置を変化させるように搬送ユニット7を制御しつつ、吐出部Dが駆動されるように駆動信号生成ユニット4および切替回路30を制御する。従って、制御ユニット2は、吐出部Dからのインクの吐出の有無、インクの吐出量、および、インクの吐出タイミング等を調整し、印刷データIMGに対応する画像を記録用紙Pに形成する印刷処理が実行されるように、インクジェットプリンター1の各部を制御する。
【0040】
なお、インクジェットプリンター1の構成は、図1及び図2に示す例に限定されない。例えば、ヘッドユニットHUの数は、2個でもよいし、3個でもよい。あるいは、ヘッドユニットHUの数は、5個以上でもよい。また、インクジェットプリンター1は、記録ヘッドHDにおいて、複数のノズルNが記録用紙Pの幅よりも広く延在するように設けられているラインプリンターであってもよい。
【0041】
図3は、ヘッドモジュール3におけるノズルNの配置の一例を示す平面図である。なお、図3は、+Z方向からインクジェットプリンター1を平面視した場合の4個の記録ヘッドHDと、4個の記録ヘッドHDに設けられた合計8M個のノズルNの配置の一例を説明するための説明図である。図3では、4個の記録ヘッドHDを互いに区別するために、記録ヘッドHDの符号の末尾に、当該記録ヘッドHDを含むヘッドユニットHUの符号の末尾に付された数字と同じ数字を付している。例えば、記録ヘッドHD1は、ヘッドユニットHU1に含まれる記録ヘッドHDを示している。
【0042】
4個の記録ヘッドHDの各々には、複数のノズル列LNが設けられる。ここで、ノズル列LNとは、所定方向に列状に延在するように設けられた複数のノズルNである。本実施形態では、各ノズル列LNが、M個のノズルNをX軸に沿って列状に延在するように配置して構成される場合を想定する。以下では、ヘッドモジュール3に設けられる8列のノズル列LNは、ノズル列LNbk1、LNcy1、LNmg1、LNyl1、LNbk2、LNcy2、LNmg2及びLNyl2ともそれぞれ称される。また、以下では、吐出部DのノズルNが複数のノズル列LNのうちの一のノズル列LNに属することを、単に、吐出部Dが一のノズル列LNに属すると称する場合がある。すなわち、複数のノズル列LNのうちの一のノズル列LNに属するノズルNを有する吐出部Dを、一のノズル列LNに属する吐出部Dと称する場合がある。
【0043】
ここで、記録ヘッドHD1のノズル列LNbk1及び記録ヘッドHD4のノズル列LNbk2は、ブラックのインクを吐出する吐出部DのノズルNを配列したノズル列LNであり、互いにペアとなるノズル列LNである。また、記録ヘッドHD1のノズル列LNcy1及び記録ヘッドHD4のノズル列LNcy2は、シアンのインクを吐出する吐出部DのノズルNを配列したノズル列LNであり、互いにペアとなるノズル列LNである。また、記録ヘッドHD2のノズル列LNmg1及び記録ヘッドHD3のノズル列LNmg2は、マゼンタのインクを吐出する吐出部DのノズルNを配列したノズル列LNであり、互いにペアとなるノズル列LNである。また、記録ヘッドHD2のノズル列LNyl1及び記録ヘッドHD3のノズル列LNyl2は、イエローのインクを吐出する吐出部DのノズルNを配列したノズル列LNであり、互いにペアとなるノズル列LNである。
【0044】
本実施形態では、図4において説明するように、各色の印刷において、互いにペアとなる2列のノズル列LNを用いることにより、1列のノズル列LNに対応する解像度の2倍の解像度を実現する。
【0045】
なお、各記録ヘッドHDにおけるノズルNの配置は、図3に示す例に限定されない。例えば、各記録ヘッドHDに設けられるノズル列LNの数は、1列であってもよいし、3列以上であってもよい。
【0046】
図4は、通常印刷処理を説明するための説明図である。図4では、ノズル列LNbk1に属する5個の吐出部D[1]-D[5]の吐出状態と、ノズル列LNbk2に属する5個の吐出部D[1]-D[5]の吐出状態とが正常である場合において、記録用紙Pに印刷される画像の一例を示している。また、図4では、印刷信号SIにより指定されるインクの吐出量が中ドットである場合を想定する。例えば、ノズル列LNbk1及びLNbk2のいずれかに属する合計10個の吐出部Dの吐出状態が全て正常である場合、通常印刷処理により、10個の吐出部Dから、中ドットに対応する吐出量のインクが吐出される。これにより、10個の中ドットDT1-DT10が記録用紙Pに形成される。
【0047】
図4に示す例では、ヘッドユニットHU4に含まれる5個の吐出部D[1]-D[5]に対応する中ドットDT2、DT4、DT6、DT8及びDT10は、ヘッドユニットHU1に含まれる5個の吐出部D[1]-D[5]に対応する中ドットDT1、DT3、DT5、DT7及びDT9の列と同じ列上に形成される。例えば、中ドットDT2、DT4、DT6、DT8及びDT10は、中ドットDT1、DT3、DT5、DT7及びDT9間の隙間を埋めるように形成される。これにより、本実施形態では、ノズル列LNbk1のみを用いて中ドットDT1、DT3、DT5、DT7及びDT9を記録用紙Pに形成する場合の2倍の解像度を実現する。
【0048】
図5は、補完印刷処理を説明するための説明図である。図5では、ヘッドユニットHU1の5個の吐出部D[1]-D[5]とヘッドユニットHU4の5個の吐出部D[1]-D[5]とのうち、ヘッドユニットHU1の吐出部D[2]におけるインクの吐出状態が判定回路32により異常と判定された場合を想定する。この場合、インクジェットプリンター1は、通常印刷処理の代わりに補完印刷処理を実行する。以下では、吐出異常が生じているため、印刷処理において他の吐出部Dによる補完が必要な吐出部Dを、異常吐出部Dfと称し、補完印刷処理において、異常吐出部Dfを補完する吐出部Dを、補完吐出部Dqと称する場合がある。
【0049】
例えば、図5に示す補完印刷処理では、ノズル列LNbk1に属する吐出部D[2]が異常吐出部Dfである。この場合、異常吐出部Df[2]を補完する補完吐出部Dqとして、異常吐出部Df[2]が属するノズル列LNbk1とペアになるノズル列LNbk2に属し、通常印刷処理において異常吐出部Df[2]に対応するドットDTf3と隣り合うドットDTq2及びDTq4に対応する吐出部D[1]及び吐出部D[2]を採用する。換言すれば、図5に例示する補完印刷処理では、異常吐出部Dfに対応するドットDTと副走査方向において隣り合うドットDTに対応する吐出部Dを、補完吐出部Dqとして採用する。
【0050】
補完印刷処理では、図4に示す通常印刷処理と比較して、ノズル列LNbk2に属する補完吐出部Dq[1]及びDq[2]からのインクの吐出量を増加させ、且つ、ノズル列LNbk1に属する異常吐出部Df[2]への駆動信号COMの供給を停止して異常吐出部Df[2]の駆動を停止させる。これにより、補完印刷処理では、例えば、通常印刷処理において形成される中ドットDT2及び中ドットDT4の代わりに、大ドットDTq2及び大ドットDTq4が形成されることになる。このため、補完印刷処理では、ドットDT3の形成に失敗してドット抜けが生じた場合であっても、図4に示す本来形成すべき複数のドットDTと近い態様でのドットDTの形成が可能となり、吐出異常に伴う画質の劣化の程度を低減することが可能となる。
【0051】
本実施形態では、補完印刷処理における、補完吐出部Dqからのインクの吐出量を増加させる補完制御は、制御ユニット2により実行されてもよいし、各ヘッドユニットHUにおいて実行されてもよい。例えば、制御ユニット2は、印刷データIMGに基づいて印刷信号SIを生成し、判定情報STTに基づいて印刷信号SIを変更してもよい。各ヘッドユニットHUにおいて実行される補完制御については、図12等において後述する。
【0052】
なお、図5に示す補完印刷処理では、異常吐出部Dfがノズル列LNbk1に属し、補完吐出部Dqが、ノズル列LNbk2に属する場合を例示したが、これは一例に過ぎず、異常吐出部Df及び補完吐出部Dqは、ノズル列LNbk1及びLNbk2以外のノズル列LNに属していてもよい。
【0053】
また、図5に示す補完印刷処理では、異常吐出部Dfと同じ色のインクを吐出するノズル列LNに属する吐出部Dであって、異常吐出部Dfに対応するドットDTと隣り合う2個のドットDTに対応する2個の吐出部Dを、補完吐出部Dqとして採用したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、補完吐出部Dqは1個であってもよいし、また、補完吐出部Dqは、異常吐出部Dfとは異なる色のインクを吐出するノズル列LNに属する吐出部Dであってもよい。
【0054】
なお、本実施形態では、上述のとおり、2つのヘッドユニットHUの一方に含まれるノズル列LNと、2つのヘッドユニットHUの他方に含まれるノズル列LNとがペアとなる。従って、本実施形態では、各ヘッドユニットHUにおいて補完制御を実行するために、各ノズル列LNの判定情報STTが、ヘッドユニットHU間で転送される。
【0055】
図6は、判定情報STTの転送を説明するための説明図である。図6では、互いにペアとなるヘッドユニットHU1及びHU4間において、判定情報STT1及びSTT4が転送される場合を例にして、判定情報STTの転送を説明する。図6では、一例として、記録ヘッドHDに10個の吐出部Dが設けられる場合、すなわち、「2M=10」の場合を想定する。また、図6では、記録ヘッドHD1の吐出部D[2]が吐出異常と判定された場合を想定する。なお、図6に示す例では、吐出異常と判定された吐出部Dの判定情報STTは、“1”に設定され、正常な吐出部Dの判定情報STTは、“0”に設定される。
【0056】
記録ヘッドHD1の吐出部D[1]-D[5]は、ノズル列LNbk1に属し、記録ヘッドHD1の吐出部D[6]-D[10]は、ノズル列LNcy1に属する。また、記録ヘッドHD4の吐出部D[1]-D[5]は、ノズル列LNbk1とペアになるノズル列LNbk2に属し、記録ヘッドHD4の吐出部D[6]-D[10]は、ノズル列LNcy1とペアになるノズル列LNcy2に属する。
【0057】
記録ヘッドHD1の吐出部D[1]-D[10]におけるインクの吐出状態の判定結果を示す判定情報STT1[1]-STT1[10]は、ヘッドユニットHU1の第1記憶部340に記憶される。そして、判定情報STT1[1]-STT1[10]を含むデータセットDS1が、ヘッドユニットHU1からヘッドユニットHU4に送信される。
【0058】
ヘッドユニットHU4は、ヘッドユニットHU1から受信したデータセットDS1に含まれる判定情報STT1[1]-STT1[10]を、ヘッドユニットHU4の第2記憶部345に記憶する。そして、ヘッドユニットHU4は、判定情報STT1[2]が“1”を示しているため、記録ヘッドHD1の吐出部D[2]が吐出異常であると特定する。従って、ヘッドユニットHU4は、図5において説明したように、記録ヘッドHD1の吐出部D[2]を補完する補完吐出部Dqとして、記録ヘッドHD4の吐出部D[1]及び吐出部D[2]を採用する。
【0059】
また、記録ヘッドHD4の吐出部D[1]-D[10]におけるインクの吐出状態の判定結果を示す判定情報STT4[1]-STT4[10]は、ヘッドユニットHU4の第1記憶部340に記憶される。そして、判定情報STT4[1]-STT4[10]を含むデータセットDS4が、ヘッドユニットHU4からヘッドユニットHU1に送信される。ヘッドユニットHU1は、ヘッドユニットHU4から受信したデータセットDS4に含まれる判定情報STT4[1]-STT4[10]を、ヘッドユニットHU1の第2記憶部345に記憶する。
【0060】
なお、図6では、図を見やすくするために、ヘッドユニットHU2及びHU3の記載を省略したが、図1において説明したように、本実施形態では、データセットDS1は、ヘッドユニットHU1からヘッドユニットHU4に、ヘッドユニットHU2及びHU3を介して転送される。また、データセットDS4は、ヘッドユニットHU4からヘッドユニットHU1に、ヘッドユニットHU3及びHU2を介して転送される。
【0061】
図7は、判定情報STTを含むデータセットDSの例を示す図である。図7では、データセットDS1について説明するが、当該説明は、他のデータセットDSについても同様に該当する。図7に示す例では、データセットDS1は、判定情報STT1の他に、記録ヘッド情報INFhd1を含む。記録ヘッド情報INFhd1は、例えば、ヘッドユニットHU1とペアになるヘッドユニットHU4に、データセットDS1に含まれる判定情報STT1を特定させるための情報であってもよい。例えば、記録ヘッド情報INFhd1は、記録ヘッドHD1に含まれる吐出部Dの数を示す個数情報を含んでもよい。また、記録ヘッド情報INFhd1は、記録ヘッドHD1に含まれる吐出部Dの配列を示す配列情報を含んでもよい。さらに、配列情報は、吐出部Dの並び順を示す情報を含んでもよい。また、記録ヘッド情報INFhd1は、記録ヘッドHD1に含まれるノズル列LNが何色のインクを吐出するノズル列LNかを示す色情報を含んでもよい。
【0062】
図7に示す第1パターンでは、記録ヘッド情報INFhd1は、判定情報STT1より先に送信されるように配置される。例えば、記録ヘッド情報INFhd1は、データセットDS1の先頭に配置される。また、第2パターンでは、判定情報STT1が、記録ヘッド情報INFhd1より先に送信されるように配置される。例えば、記録ヘッド情報INFhd1は、データセットDS1の最後に配置される。
【0063】
なお、データセットDSのデータ構成は、図7に示す例に限定されない。例えば、記録ヘッド情報INFhd1に相当する情報が、各ヘッドユニットHUに予め記憶されている場合、記録ヘッド情報INFhd1は、データセットDS1から省かれてもよい。以下では、データセットDS2-DS4の各々に含まれる記録ヘッド情報INFhdを、当該記録ヘッド情報INFhdを含むデータセットDSの符号の末尾に付された数字と同じ数字を付して称する場合がある。例えば、データセットDS4に含まれる記録ヘッド情報INFhdを、記録ヘッド情報INFhd4と称する場合がある。
【0064】
図8は、ヘッドユニットHU1の構成を示すブロック図である。なお、ヘッドユニットHU2、HU3及びHU4の構成は、ヘッドユニットHU1と同様である。このため、ヘッドユニットHU2、HU3及びHU4の構成の説明は、省略する。
【0065】
ヘッドユニットHU1は、図1において説明したように、記録ヘッドHDと切替回路30と判定回路32と送受信回路34とを有する。また、ヘッドユニットHU1は、駆動信号生成ユニット4から駆動信号COMaが供給される配線LHaと、駆動信号生成ユニット4から駆動信号COMbが供給される配線LHbと、検出信号Voutを判定回路32に供給するための配線LHsと、電位VBSに設定された給電線LHdとを有する。給電線LHdは、吐出部Dが有する圧電素子PZの下部電極Zdに接続される。
【0066】
切替回路30は、2M個のスイッチWaと、2M個のスイッチWbと、2M個のスイッチWsと、各スイッチWの接続状態を指定する接続状態指定回路300とを有する。なお、各スイッチWとしては、例えば、トランスミッションゲートを採用することができる。
【0067】
接続状態指定回路300には、印刷信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、期間指定信号Tsig及びクロック信号CLが、制御ユニット2から供給される。また、接続状態指定回路300には、判定情報STT1[1]-STT1[2M]と、ヘッドユニットHU1とペアになるヘッドユニットHU4の判定情報STT4[1]-STT4[2M]とが、送受信回路34から供給される。そして、接続状態指定回路300は、印刷信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、期間指定信号Tsig、クロック信号CL、判定情報STT1[1]-STT1[2M]及び判定情報STT4[1]-STT4[2M]の少なくとも一部の信号に基づいて、接続状態指定信号Qa[1]-Qa[2M]、Qb[1]-Qb[2M]及びQs[1]-Qs[2M]と、検査対象指定信号Qt[1]-Qt[2M]とを生成する。
【0068】
なお、接続状態指定信号Qa[i]は、スイッチWa[i]のオンオフを指定する信号である。接続状態指定信号Qb[i]は、スイッチWb[i]のオンオフを指定する信号である。接続状態指定信号Qs[i]は、スイッチWs[i]のオンオフを指定する信号である。また、検査対象指定信号Qt[i]は、吐出部D[i]が吐出状態の検査対象であるか否かを示す信号であり、送受信回路34に供給される。
【0069】
スイッチWa[i]は、接続状態指定信号Qa[i]に基づいて、配線LHaと、吐出部D[i]が有する圧電素子PZ[i]の上部電極Zu[i]と、の導通及び非導通を切り替える。以下では、吐出部D[i]が有する圧電素子PZ[i]の上部電極Zu[i]を、吐出部D[i]の上部電極Zu[i]と称する場合がある。例えば、スイッチWa[i]は、接続状態指定信号Qa[i]がハイレベルの場合にオンし、配線LHaと吐出部D[i]の上部電極Zu[i]とを導通させる。これにより、配線LHaに供給される駆動信号COMaが、供給駆動信号Vin[i]として、吐出部D[i]の上部電極Zu[i]に供給される。また、スイッチWa[i]は、接続状態指定信号Qa[i]がローレベルの場合にオフし、配線LHaと吐出部D[i]の上部電極Zu[i]との間を非導通の状態にする。
【0070】
スイッチWb[i]は、接続状態指定信号Qb[i]に基づいて、配線LHbと吐出部D[i]の上部電極Zu[i]との導通及び非導通を切り替える。例えば、スイッチWb[i]は、接続状態指定信号Qb[i]がハイレベルの場合にオンし、配線LHbと吐出部D[i]の上部電極Zu[i]とを導通させる。これにより、配線LHbに供給される駆動信号COMbが、供給駆動信号Vin[i]として、吐出部D[i]の上部電極Zu[i]に供給される。また、スイッチWb[i]は、接続状態指定信号Qb[i]がローレベルの場合にオフし、配線LHbと吐出部D[i]の上部電極Zu[i]との間を非導通の状態にする。
【0071】
スイッチWs[i]は、接続状態指定信号Qs[i]に基づいて、配線LHsと吐出部D[i]の上部電極Zu[i]との導通及び非導通を切り替える。例えば、スイッチWs[i]は、接続状態指定信号Qs[i]がハイレベルの場合にオンし、配線LHsと吐出部D[i]の上部電極Zu[i]とを導通させる。これにより、吐出部D[i]の上部電極Zu[i]の電位を示す検出信号Vout[i]が、配線LHsを介して判定回路32に供給される。また、スイッチWs[i]は、接続状態指定信号Qs[i]がローレベルの場合にオフし、配線LHsと吐出部D[i]の上部電極Zu[i]との間を非導通の状態にする。
【0072】
判定回路32は、図1において説明したように、配線LHsを介して供給される検出信号Vout[i]に基づいて、残留振動信号を生成する。例えば、判定回路32は、検出信号Vout[i]の振幅を増幅し、また、検出信号Vout[i]からノイズ成分を除去する等することにより、検出信号Vout[i]を、吐出状態を判定する処理に適した波形に整形する。これにより、吐出状態を判定する処理に適した波形に整形された残留振動信号が生成される。例えば、判定回路32は、検出信号Voutを増幅させるための負帰還型のアンプと、検出信号Voutの高域周波数成分を減衰させるためのローパスフィルターと、インピーダンスを変換してローインピーダンスの残留振動信号を生成するボルテージフォロアと、を含む構成等であってもよい。
【0073】
また、判定回路32は、検出信号Vout[i]を整形した残留振動信号に基づいて、吐出部D[i]におけるインクの吐出状態を判定し、判定結果を示す判定情報STT1[i]を生成する。そして、判定回路32は、判定情報STT1[i]を送受信回路34に供給する。
【0074】
送受信回路34は、図1において説明したように、判定回路32から出力された判定情報STT1を含むデータセットDS1を、ヘッドユニットHU1の端子TIaに供給されたデータセットDS2、DS3及びDS4と結合して、ヘッドユニットHU1の端子TOaに出力する。また、送受信回路34は、例えば、ヘッドユニットHU1の端子TIbに供給されたデータセットDS1、DS2、DS3及びDS4を、ヘッドユニットHU1の端子TObに出力する。
【0075】
図9は、接続状態指定回路300及び送受信回路34の構成を示すブロック図である。先ず、接続状態指定回路300について説明する。
【0076】
接続状態指定回路300は、入力シフトレジスター302、補完部304、ラッチ部306及び指定信号生成部308を有する。図9では、入力シフトレジスター302、補完部304、ラッチ部306及び指定信号生成部308の概要を説明する。入力シフトレジスター302等の詳細につては、図12において説明する。
【0077】
入力シフトレジスター302は、制御ユニット2から印刷信号SIとしてシリアルに供給される個別指定信号Sdi[1]-Sdi[2M]を、クロック信号CLに従って順次保持する。これにより、個別指定信号Sdi[1]-Sdi[2M]が、入力シフトレジスター302に保持される。
【0078】
補完部304は、個別指定信号Sdi[1]-Sdi[2M]、判定情報STT1[1]-STT1[2M]及び判定情報STT4[1]-STT4[2M]に基づいて、個別指定信号Sdo[1]-Sdo[2M]を生成する。そして、補完部304は、個別指定信号Sdo[1]-Sdo[2M]をラッチ部306に供給する。なお、例えば、ヘッドユニットHU1の吐出部D[1]-D[2M]とヘッドユニットHU4の吐出部D[1]-D[2M]との全ての吐出状態が正常である場合、個別指定信号Sdi[1]-Sdi[2M]が、個別指定信号Sdo[1]-Sdo[2M]として、補完部304からラッチ部306に供給される。換言すれば、補完部304は、判定情報STT1及びSTT4に基づいて、複数の吐出部Dにおけるインクの吐出量を調整する。
【0079】
ラッチ部306は、補完部304から供給される個別指定信号Sdo[1]-Sdo[2M]を、ラッチ信号LATが立ち上がるタイミングにおいて、ラッチする。また、指定信号生成部308は、個別指定信号Sdo[i]、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH及び期間指定信号Tsigに基づいて、接続状態指定信号Qa[i]、Qb[i]及びQs[i]と、検査対象指定信号Qt[i]とを生成する。
【0080】
送受信回路34は、第1記憶部340、第1スイッチ部341、第1シフトレジスター342、第2シフトレジスター343、第2スイッチ部344及び第2記憶部345を有する。図9では、第1記憶部340、第1スイッチ部341、第1シフトレジスター342、第2シフトレジスター343、第2スイッチ部344及び第2記憶部345の概要を説明する。第1記憶部340等の詳細につては、図13において説明する。
【0081】
第1記憶部340は、例えば、検査対象指定信号Qt[i]に基づいて、判定回路32から供給される判定情報STT1[i]を記憶する。第1スイッチ部341は、例えば、ヘッドユニットHU1の吐出部D[1]-D[2M]に対する吐出状態の検査が終了した場合に、第1記憶部340に記憶された判定情報STT1[1]-STT1[2M]を、第1シフトレジスター342に供給する。図9に示す例では、第1スイッチ部341は、検査対象指定信号Qt[1]-Qt[2M]に基づいて、判定情報STT1[1]-STT1[2M]を第1シフトレジスター342に供給するタイミングを決定する。
【0082】
第1シフトレジスター342は、判定情報STT1[1]-STT1[2M]を、クロック信号CLに従って順次出力する。これにより、判定情報STT1[1]-STT1[2M]を含むデータセットDS1が、ヘッドユニットHU1の端子TOaに供給される。また、第1シフトレジスター342は、ヘッドユニットHU1の端子TIaにシリアルに供給されるデータセットDS2-DS4を、クロック信号CLに従って順次出力する。すなわち、第1シフトレジスター342は、データセットDS1-DS4を、クロック信号CLに従って、ヘッドユニットHU1の端子TOaにシリアルに供給する。
【0083】
第2シフトレジスター343は、ヘッドユニットHU1の端子TIbにシリアルに供給されるデータセットDS1-DS4を、クロック信号CLに従って、ヘッドユニットHU1の端子TObにシリアルに供給する。
【0084】
第2スイッチ部344は、例えば、ヘッドユニットHU1とペアになるヘッドユニットHU4のデータセットDS4に含まれる判定情報STT4[1]-STT4[2M]を、第2記憶部345に供給する。図9に示す例では、第2スイッチ部344は、第2シフトレジスター343に供給されるデータセットDS4に含まれる記録ヘッド情報INFhd4に基づいて、判定情報STT4[1]-STT4[2M]を第2記憶部345に供給するタイミングを決定する。第2記憶部345は、第2シフトレジスター343から第2スイッチ部344を介して供給された判定情報STT4[1]-STT4[2M]を記憶する。
【0085】
なお、接続状態指定回路300及び送受信回路34の構成は、図9に示す例に限定されない。例えば、判定情報STT1[1]-STT1[2M]を第1シフトレジスター342に供給するタイミングを指定する信号が、制御ユニット2等から第1スイッチ部341に供給されてもよい。
【0086】
図10は、インクジェットプリンター1の動作の一例を示すタイミングチャートである。本実施形態において、インクジェットプリンター1が印刷処理を実行する場合、インクジェットプリンター1の動作期間として、1または複数の単位期間Tuが設定される。本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、各単位期間Tuにおいて、印刷処理のために各吐出部Dを駆動することができる。
【0087】
制御ユニット2は、パルスPlsLを有するラッチ信号LATと、パルスPlsCを有するチェンジ信号CHと、を出力する。これにより、制御ユニット2は、パルスPlsLの立ち上がりから次のパルスPlsLの立ち上がりまでの期間として、単位期間Tuを規定する。また、制御ユニット2は、パルスPlsCにより、単位期間Tuを2つの制御期間Tu1及びTu2に区分する。
【0088】
印刷信号SIは、例えば、2M個の吐出部D[1]-D[2M]と1対1に対応する2M個の個別指定信号Sdi[1]-Sdi[2M]を含む。個別指定信号Sdi[i]は、インクジェットプリンター1が印刷処理を実行する場合に、各単位期間Tuにおける吐出部D[i]の駆動の態様を指定する。補完印刷処理が実行される場合には、個別指定信号Sdi[i]及び判定情報STTに基づいて生成される個別指定信号Sdo[i]により、吐出部D[i]の駆動の態様が指定される。
【0089】
制御ユニット2は、印刷処理が実行される各単位期間Tuに先立って、個別指定信号Sdi[1]-Sdi[2M]を含む印刷信号SIを、クロック信号CLに同期させて接続状態指定回路300に供給する。そして、接続状態指定回路300は、当該単位期間Tuにおいて、個別指定信号Sdi[i]に基づいて、接続状態指定信号Qa[i]、Qb[i]及びQs[i]と、検査対象指定信号Qt[i]とを生成する。
【0090】
なお、本実施形態では、吐出部D[i]が、単位期間Tuにおいて、大ドットと、大ドットよりも小さい中ドットと、中ドットよりも小さい小ドットとのうち、いずれかのドットを形成可能である場合を想定する。以下では、大ドットに相当する量のインクを大程度の量のインクと称し、中ドットに相当する量のインクを中程度の量のインクと称し、小ドットに相当する量のインクを小程度の量のインクと称する場合がある。
【0091】
例えば、個別指定信号Sdi[i]は、各単位期間Tuにおいて、吐出部D[i]に対して、大程度の量のインクの吐出、中程度の量のインクの吐出、小程度の量のインクの吐出、インクの非吐出、及び、吐出状態を判定する場合における判定対象としての駆動、の5つの駆動態様のうち、いずれか一つの駆動態様を指定する信号である。なお、本実施形態では、一例として、個別指定信号Sd[i]が、3ビットのデジタル信号である場合を想定する。個別指定信号Sd[i]の3ビットのデジタル信号と指定内容との関係の例は、後述する図11に示す。
【0092】
図10に示すように、駆動信号生成ユニット4は、波形PX及び波形PYを有する駆動信号COMaを出力する。なお、波形PXは、制御期間Tu1における駆動信号COMaの波形であり、波形PYは、制御期間Tu2における駆動信号COMaの波形である。
【0093】
本実施形態では、波形PXの最高電位VHxと最低電位VLxとの電位差が、波形PYの最高電位VHyと最低電位VLyとの電位差よりも大きくなるように、波形PX及び波形PYを定める。具体的には、波形PXを有する駆動信号COMaにより吐出部D[i]を駆動する場合、吐出部D[i]から中程度の量のインクが吐出されるように、波形PXの波形を定める。また、波形PYを有する駆動信号COMaにより吐出部D[i]を駆動する場合、吐出部D[i]から小程度の量のインクが吐出されるように、波形PYの波形を定める。なお、波形PX及び波形PYは、開始時及び終了時の電位が基準電位V0に設定されている。
【0094】
そして、個別指定信号Sd[i]が吐出部D[i]に対して、大ドットの形成を指定する場合、接続状態指定回路300は、接続状態指定信号Qa[i]を、制御期間Tu1及びTu2においてハイレベルに設定し、接続状態指定信号Qb[i]及びQs[i]を、単位期間Tuにおいてローレベルに設定する。この場合、吐出部D[i]は、制御期間Tu1において波形PXの駆動信号COMaにより駆動されて中程度の量のインクを吐出し、また、制御期間Tu2において波形PYの駆動信号COMaにより駆動されて小程度の量のインクを吐出する。これにより、吐出部D[i]は、単位期間Tuにおいて、合計で大程度の量のインクを吐出し、記録用紙Pには大ドットが形成される。
【0095】
また、個別指定信号Sd[i]が吐出部D[i]に対して、中ドットの形成を指定する場合、接続状態指定回路300は、接続状態指定信号Qa[i]を、制御期間Tu1においてハイレベルに、制御期間Tu2においてローレベルに、それぞれ設定し、接続状態指定信号Qb[i]及びQs[i]を、単位期間Tuにおいてローレベルに設定する。この場合、吐出部D[i]は、単位期間Tuにおいて中程度の量のインクを吐出し、記録用紙Pには中ドットが形成される。
【0096】
また、個別指定信号Sd[i]が吐出部D[i]に対して、小ドットの形成を指定する場合、接続状態指定回路300は、接続状態指定信号Qa[i]を、制御期間Tu1においてローレベルに、制御期間Tu2においてハイレベルに、それぞれ設定し、接続状態指定信号Qb[i]及びQs[i]を、単位期間Tuにおいてローレベルに設定する。この場合、吐出部D[i]は、単位期間Tuにおいて小程度の量のインクを吐出し、記録用紙Pには小ドットが形成される。
【0097】
また、個別指定信号Sd[i]が吐出部D[i]に対して、インクの非吐出を指定する場合、接続状態指定回路300は、接続状態指定信号Qa[i]、Qb[i]及びQs[i]を、単位期間Tuにおいてローレベルに設定する。この場合、吐出部D[i]は、単位期間Tuにおいて、インクを吐出せず、記録用紙Pにドットを形成しない。
【0098】
また、駆動信号生成ユニット4は、波形PSを有する駆動信号COMbを出力する。なお、波形PSは、単位期間Tuにおける駆動信号COMbの波形である。本実施形態では、波形PSの最高電位VHsと最低電位VLsとの電位差が、波形PYの最高電位VHyと最低電位VLyとの電位差よりも小さくなるように、波形PSを定める。具体的には、波形PSを有する駆動信号COMbを吐出部D[i]に供給する場合、吐出部D[i]からインクが吐出されない程度に吐出部D[i]が駆動されるように、波形PSの波形を定める。なお、波形PSは、開始時及び終了時の電位が基準電位V0に設定されている。
【0099】
また、制御ユニット2は、パルスPlsT1及びパルスPlsT2を有する期間指定信号Tsigを出力する。これにより、制御ユニット2は、単位期間Tuを、パルスPlsLの開始からパルスPlsT1の開始までの制御期間TSS1と、パルスPlsT1の開始からパルスPlsT2の開始までの制御期間TSS2と、パルスPlsT2の開始から次のパルスPlsLの開始までの制御期間TSS3と、に区分する。
【0100】
そして、個別指定信号Sd[i]が吐出部D[i]を、判定対象の吐出部Dとして指定する場合、接続状態指定回路300は、接続状態指定信号Qa[i]を、単位期間Tuにおいてローレベルに設定し、接続状態指定信号Qb[i]を、制御期間TSS1及びTSS3においてハイレベルに、制御期間TSS2においてローレベルに、それぞれ設定し、接続状態指定信号Qs[i]を、制御期間TSS1及びTSS3においてローレベルに、制御期間TSS2においてハイレベルに、それぞれ設定する。
【0101】
この場合、判定対象の吐出部Dは、制御期間TSS1において波形PSの駆動信号COMbにより駆動される。具体的には、判定対象の吐出部Dが有する圧電素子PZは、制御期間TSS1において波形PSの駆動信号COMbにより変位させられる。その結果、判定対象の吐出部Dにおいて振動が生じる。制御期間TSS1において生じた振動は、制御期間TSS2においても残留する。そして、制御期間TSS2において、判定対象の吐出部Dが有する圧電素子PZの上部電極Zuは、判定対象の吐出部Dにおいて生じている残留振動に応じて電位を変化させる。換言すれば、制御期間TSS2において、判定対象の吐出部Dが有する圧電素子PZの上部電極Zuは、判定対象の吐出部Dにおいて生じている残留振動に起因する圧電素子PZの起電力に応じた電位を示す。そして、当該上部電極Zuの電位は、制御期間TSS2において、検出信号Voutとして検出することができる。
【0102】
図11は、指定信号生成部308における接続状態指定信号Qa[i]、Qb[i]及びQs[i]の生成を説明するための説明図である。個別指定信号Sdo[i]は、図10において説明したように、吐出部D[i]の駆動態様を、ビットb1、b2及びb3の3ビットで指定する。本実施形態では、ビットb1、b2及びb3のうち、ビットb1が最上位ビットであり、ビットb3が最下位ビットである場合を想定する。なお、吐出部D[1]-D[2M]の全ての吐出状態が正常である場合、個別指定信号Sdo[i]は、印刷信号SIに含まれる個別指定信号Sdi[i]と同じ値に設定される。
【0103】
個別指定信号Sdo[i]は、大ドットの形成を指定する値(1,1,0)、中ドットの形成を指定する値(1,0,0)、小ドットの形成を指定する値(0,1,0)、インクの非吐出を指定する値(0,0,0)、又は、判定対象の吐出部Dとしての駆動を指定する値(1,1,1)のいずれかの値を示す。そして、指定信号生成部308は、個別指定信号Sdo[i]が(1,1,0)を示す場合、制御期間Tu1及びTu2において接続状態指定信号Qa[i]をハイレベルとし、個別指定信号Sdo[i]が(1,0,0)を示す場合、制御期間Tu1において接続状態指定信号Qa[i]をハイレベルとし、個別指定信号Sdo[i]が(0,1,0)を示す場合、制御期間Tu2において接続状態指定信号Qa[i]をハイレベルとし、個別指定信号Sdo[i]が(1,1,1)を示す場合、制御期間TSS1及びTSS3において接続状態指定信号Qb[i]をハイレベルとするとともに、制御期間TSS2において接続状態指定信号Qs[i]をハイレベルとし、以上に該当しない場合において各信号をローレベルとする。
【0104】
図12は、接続状態指定回路300の回路構成の一例を示す図である。なお、図12に示す接続状態指定回路300は、ヘッドユニットHU1の接続状態指定回路300の一例である。接続状態指定回路300は、図9において説明したように、入力シフトレジスター302、補完部304、ラッチ部306及び指定信号生成部308を有する。
【0105】
入力シフトレジスター302は、例えば、縦続接続された2M個の保持回路FFsiを有する。なお、保持回路FFsiとしては、例えば、フリップフロップ回路を採用することができる。
【0106】
保持回路FFsi[1]-FFsi[2M]のうち、保持回路FFsi[1]-FFsi[2M-1]は、印刷信号SIを、クロック信号CLに従って、後段の保持回路FFsiに順次転送する。例えば、3ビットの個別指定信号Sdiが印刷信号SIとして、クロック信号CLに同期して、制御ユニット2から1段目の保持回路FFsi[1]にシリアルに供給される。保持回路FFsi[1]は、3ビットの個別指定信号Sdiを、一旦保持し、クロック信号CLに従って、後段の保持回路FFsi[2]に順次転送する。同様に、保持回路FFsi[2]-FFsi[2M-1]は、前段の保持回路FFsiから転送された3ビットの個別指定信号Sdiを、一旦保持し、クロック信号CLに従って、後段の保持回路FFsiに順次転送する。そして、最終段の保持回路FFsi[2M]まで個別指定信号Sdiが転送されることにより、保持回路FFsi[i]には、3ビットの個別指定信号Sdi[i]が、一時的に保持される。
【0107】
補完部304は、2M個の加算回路ADDと、2M個の論理和回路ORと、2M個のスイッチASと、2M個のスイッチBSとを有する。加算回路ADD[i]は、保持回路FFsi[i]に保持された3ビットの個別指定信号Sdi[i]に、個別指定信号Sdi[i]の上位2ビットの排他的論理和の結果を加算し、加算結果を示す3ビットの信号をスイッチAS[i]に供給する。
【0108】
スイッチAS[i]は、論理和回路OR[i]から供給される信号に基づいて、保持回路FFsi[i]に保持された3ビットの個別指定信号Sdi[i]と、加算回路ADD[i]から供給される3ビットの信号とのいずれかを、スイッチBS[i]に供給する。例えば、スイッチAS[i]は、論理和回路OR[i]から供給される信号が“1”を示す場合、加算回路ADD[i]から供給される3ビットの信号をスイッチBS[i]に供給する。また、スイッチAS[i]は、論理和回路OR[i]から供給される信号が“0”を示す場合、3ビットの個別指定信号Sdi[i]をスイッチBS[i]に供給する。
【0109】
論理和回路OR[1]は、“0”と判定情報STT4[1]との論理和の結果を示す信号を、スイッチAS[1]に供給する。また、論理和回路OR[2]-OR[2M]の各論理和回路OR[i]は、判定情報STT4[i-1]と判定情報STT4[i]との論理和の結果を示す信号を、スイッチAS[i]に供給する。
【0110】
すなわち、論理和回路OR[i]がスイッチAS[i]に供給する信号は、印刷データIMGに基づく個別指定信号Sdi[i]により規定されるインクの吐出量から吐出部D[i]におけるインクの吐出量を増加させるか否かを制御する補完制御信号に該当する。例えば、判定情報STT4[i]が吐出異常を示す場合、論理和回路OR[i]がスイッチAS[i]に供給する信号、すなわち、補完制御信号は、個別指定信号Sdi[i]により規定されるインクの吐出量からヘッドユニットHU1の吐出部D[i]におけるインクの吐出量を増加させることを示す。
【0111】
なお、個別指定信号Sdi[i]が大ドットの形成を指定している場合、ヘッドユニットHU1の吐出部D[i]におけるインクの吐出量は、個別指定信号Sdi[i]により規定されるインクの吐出量から増加しない。また、図12に示す例では、判定情報STT4[i]が吐出異常を示す場合であっても、ヘッドユニットHU1の個別指定信号Sdi[i]がインクの非吐出を指定しているときには、個別指定信号Sdi[i]により規定されるインクの吐出量からヘッドユニットHU1の吐出部D[i]におけるインクの吐出量を増加させない。なお、判定情報STT4[i]が吐出異常を示す場合、ヘッドユニットHU1の個別指定信号Sdi[i]がインクの非吐出を指定しているときにも、個別指定信号Sdi[i]により規定されるインクの吐出量からヘッドユニットHU1の吐出部D[i]におけるインクの吐出量を増加させてもよい。
【0112】
スイッチBS[i]は、判定情報STT1[i]に基づいて、スイッチAS[i]から供給される3ビットの信号と、“0”を示す信号とのいずれかを、3ビットの個別指定信号Sdo[i]として、ラッチ部306に含まれるラッチ回路LTsd[i]に供給する。
【0113】
ラッチ部306は、2M個のラッチ回路LTsdを有する。ラッチ回路LTsd[i]は、ラッチ信号LATが立ち上がるタイミングにおいて、スイッチBS[i]から供給される3ビットの個別指定信号Sdo[i]をラッチする。そして、ラッチ回路LTsd[i]は、ラッチした3ビットの個別指定信号Sdo[i]を、指定信号生成部308に含まれるデコーダーDC[i]及び論理積回路AND[i]に供給する。
【0114】
指定信号生成部308は、2M個のデコーダーDCと2M個の論理積回路ANDとを有する。デコーダーDC[i]は、3ビットの個別指定信号Sdo[i]と、ラッチ信号LATと、チェンジ信号CHと、期間指定信号Tsigとに基づいて、接続状態指定信号Qa[i]、Qb[i]及びQs[i]を生成する。論理積回路AND[i]は、期間指定信号Tsigと3ビットの個別指定信号Sdo[i]との論理積を演算することにより、検査対象指定信号Qt[i]を生成する。
【0115】
ここで、ヘッドユニットHU2-HU4の接続状態指定回路300の回路構成は、補完部304に供給される判定情報STTを除いて、ヘッドユニットHU1の接続状態指定回路300と同様である。但し、ヘッドユニットHU3及びHU4では、論理和回路OR[1]ではなく、論理和回路OR[2M]に“0”が供給される。例えば、ヘッドユニットHU4では、論理和回路OR[1]-OR[2M-1]の各論理和回路OR[i]は、判定情報STT1[i]と判定情報STT1[i+1]との論理和の結果を示す信号を、スイッチAS[i]に供給し、論理和回路OR[2M]は、“0”と判定情報STT1[2M]との論理和の結果を示す信号を、スイッチAS[2M]に供給する。
【0116】
なお、接続状態指定回路300の回路構成は、図12に示す例に限定されない。例えば、1個の異常吐出部Dfに対して補完吐出部Dqが1個である場合、論理和回路OR[1]-OR[2M]は、省かれてもよい。この場合、スイッチAS[i]には、例えば、判定情報STT4[i]が供給されてもよい。また、例えば、1個の異常吐出部Dfに対して補完吐出部Dqが1個である場合、補完部304は、スイッチAS[i]に供給する判定情報STT4を、判定情報STT4[i-1]と判定情報STT4[i]との間で交互に切り替えるスイッチを、論理和回路OR[i]の代わりに有してもよい。
【0117】
図13は、送受信回路34の回路構成の一例を示す図である。なお、図13に示す送受信回路34は、ヘッドユニットHU1の送受信回路34の一例である。送受信回路34は、図9において説明したように、第1記憶部340、第1スイッチ部341、第1シフトレジスター342、第2シフトレジスター343、第2スイッチ部344及び第2記憶部345を有する。
【0118】
第1記憶部340は、2M個のラッチ回路LT1を有する。ラッチ回路LT1[i]は、検査対象指定信号Qt[i]が立ち上がるタイミングにおいて、判定情報STT1を判定情報STT1[i]としてラッチする。そして、ラッチ回路LT1[i]は、ラッチした判定情報STT1[i]を、接続状態指定回路300のスイッチBS[i]に供給する。また、ラッチ回路LT1[i]は、ラッチした判定情報STT1[i]を、第1スイッチ部341に含まれるスイッチSW1[i]に供給する。
【0119】
第1スイッチ部341は、第1スイッチ制御部SCT1と、2M個のスイッチSW1とを有する。第1スイッチ制御部SCT1は、例えば、検査対象指定信号Qt[1]-Qt[2M]に基づいて、スイッチ制御信号Lsigを生成する。例えば、第1スイッチ制御部SCT1は、検査対象指定信号Qt[1]-Qt[2M]と1対1に対応する2M個の判定フラグを有し、“1”を示す検査対象指定信号Qtが供給される度に、当該検査対象指定信号Qtに対応する判定フラグに“1”をセットする。そして、第1スイッチ制御部SCT1は、2M個の判定フラグの全てが“1”にセットされた場合、スイッチ制御信号Lsigをハイレベルとし、スイッチ制御信号Lsigをハイレベルにしてから所定時間経過後に、スイッチ制御信号Lsigをローレベルとする。例えば、第1スイッチ制御部SCT1は、後述する保持回路FF1[1]にデータセットDS2が供給される前に、スイッチ制御信号Lsigをローレベルとする。また、第1スイッチ制御部SCT1は、2M個の判定フラグの全てが“1”にセットされた場合、2M個の判定フラグを“0”にリセットする。
【0120】
スイッチSW1[i]は、スイッチ制御信号Lsigがハイレベルの場合にオンし、ラッチ回路LT1[i]から供給される判定情報STT1[i]を、第1シフトレジスター342に含まれる保持回路FF1[i]に供給する。また、スイッチSW1[i]は、スイッチ制御信号Lsigがローレベルの場合にオフし、例えば、ラッチ回路LT1[i]と保持回路FF1[i]との間を非導通の状態にする。
【0121】
第1シフトレジスター342は、例えば、縦続接続された“2M+α”個の保持回路FF1を有する。なお、“α”は、例えば、データセットDSに含まれる記録ヘッド情報INFhdの保持に必要な保持回路FF1の数である。図13では、α個の保持回路FF1を保持回路FF1aとして記載している。保持回路FF1としては、例えば、フリップフロップ回路を採用することができる。
【0122】
保持回路FF1[i]は、保持回路FF1[1]にデータセットDS2が供給される前に、スイッチSW1[i]から供給される判定情報STT1[i]を保持する。また、送受信回路34は、保持回路FF1[1]にデータセットDS2が供給される前に、保持回路FF1aに記録ヘッド情報INFhd1を保持させる。そして、保持回路FF1[i]及び保持回路FF1aは、保持している情報を、クロック信号CLに従って、後段の保持回路FF1に順次転送する。なお、最終段の保持回路FF1aは、前段の保持回路FF1からクロック信号CLに同期して供給された情報を、クロック信号CLに従って、ヘッドユニットHU1の端子TOaに順次転送する。これにより、データセットDS1がヘッドユニットHU1の端子TOaに供給される。
【0123】
ここで、他のヘッドユニットHUの第1シフトレジスター342も、ヘッドユニットHU1の第1シフトレジスター342と同様の動作をしている。このため、ヘッドユニットHU1の保持回路FF1[1]には、データセットDS2-DS4が、クロック信号CLに同期して、ヘッドユニットHU2の送受信回路34からシリアルに供給される。
【0124】
保持回路FF1[1]は、クロック信号CLに同期してシリアルに供給されるデータセットDS2-DS4を、一旦保持し、クロック信号CLに従って、後段の保持回路FF1[2]に順次転送する。同様に、保持回路FF1[2]-FF1[2M]及び保持回路FF1aは、前段の保持回路FF1から転送された情報を、一旦保持し、クロック信号CLに従って、後段の保持回路FF1に順次転送する。これにより、データセットDS1に続いて、データセットDS2-DS4がヘッドユニットHU1の端子TOaに供給される。
【0125】
なお、第1記憶部340と第1スイッチ部341と第1シフトレジスター342とを含むブロック、又は、第1記憶部340は、「第1記憶領域」及び「第2記憶領域」を含む「記憶部」の例である。また、第1記憶部340の記憶領域のうち、「第1判定情報」に該当する判定情報STT1をラッチするラッチ回路LT1は、「第1記憶領域」の例であり、「第2判定情報」に該当する判定情報STT1をラッチするラッチ回路LT1は、「第2記憶領域」の例である。また、第1シフトレジスター342は、「第1判定情報」及び「第2判定情報」を順に出力する「シフトレジスター」の例である。また、複数の保持回路FF1は、「複数の保持部」の例である。
【0126】
このように、本実施形態に係るヘッドユニットHU1では、判定情報STT1の他のヘッドユニットHUへの送信は、吐出部D[1]-D[2M]のうちの一の吐出部Dに対する判定が終了する度に実行されるのではなく、吐出部D[1]-D[2M]の全ての判定が終了した場合に実行される。
【0127】
ここで、判定情報STT1を他のヘッドユニットHU等に送信する送信処理と、吐出部Dにおけるインクの吐出状態を判定する判定処理とが互いに干渉しないように、判定処理の前後に、所定の処理が実行される場合がある。この場合、送信処理の実行回数の増加に伴い、所定の処理の実行回数が増加する。所定の処理の実行回数の増加に伴い、全ての吐出部Dの判定情報STT1の送信に係る処理時間が増加する。本実施形態では、吐出部D[1]-D[2M]のうちの一の吐出部Dに対する判定が終了する度に判定情報STT1を他のヘッドユニットHUに送信する場合に比べて、送信処理の実行回数を低減することができるため、全ての吐出部Dの判定情報STT1を送信するための一連の処理に係る時間を低減することができる。
【0128】
第2シフトレジスター343は、例えば、縦続接続された“2M+α”個の保持回路FF2を有する。なお、“α”は、例えば、データセットDSに含まれる記録ヘッド情報INFhdの保持に必要な保持回路FF2の数である。図13では、α個の保持回路FF2を保持回路FF2aとして記載している。保持回路FF2としては、例えば、フリップフロップ回路を採用することができる。
【0129】
保持回路FF2[1]には、ヘッドユニットHU1の端子TIbにクロック信号CLに同期して供給されたデータセットDS1-DS4が、シリアルに供給される。そして、保持回路FF2[1]は、クロック信号CLに同期してシリアルに供給されたデータセットDS1-DS4を、一旦保持し、クロック信号CLに従って、後段の保持回路FF2[2]に順次転送する。同様に、保持回路FF2[2]-FF2[2M]及び保持回路FF2aは、前段の保持回路FF2から転送された情報を、一旦保持し、クロック信号CLに従って、後段の保持回路FF2に順次転送する。なお、最終段の保持回路FF2aは、前段の保持回路FF2からクロック信号CLに同期して供給された情報を、クロック信号CLに従って、ヘッドユニットHU1の端子TObに順次転送する。これにより、データセットDS1-DS4がヘッドユニットHU1の端子TOaに供給される。
【0130】
第2スイッチ部344は、第2スイッチ制御部SCT2と、2M個のスイッチSW2とを有する。第2スイッチ制御部SCT2は、例えば、データセットDS4に含まれる記録ヘッド情報INFhd4に基づいて、スイッチ制御信号PSELを生成する。例えば、第2スイッチ制御部SCT2は、保持回路FF2[1]に供給されるデータセットDSに含まれる記録ヘッド情報INFhdを解析し、保持回路FF2[1]に供給されたデータセットDSが、ヘッドユニットHU1とペアになるヘッドユニットHU4のデータセットDS4であるか否かを判定する。
【0131】
そして、第2スイッチ制御部SCT2は、データセットDS4が保持回路FF2[1]に供給された場合、データセットDS4に含まれる記録ヘッド情報INFhd4に基づいて、判定情報STT4[1]-STT4[2M]が保持回路FF2[1]-FF2[2M]に保持されるタイミングを特定する。第2スイッチ制御部SCT2は、例えば、判定情報STT4[1]-STT4[2M]が保持回路FF2[1]-FF2[2M]から後段の保持回路FF2に転送されるタイミングに合わせて、スイッチ制御信号PSELをハイレベルにする。そして、第2スイッチ制御部SCT2は、例えば、スイッチ制御信号PSELをハイレベルにした後に、クロック信号CLに従って、スイッチ制御信号PSELをローレベルとする。
【0132】
スイッチSW2[i]は、スイッチ制御信号PSELがハイレベルの場合にオンし、保持回路FF2[i]から供給される判定情報STT4[i]を、第2記憶部345に含まれるラッチ回路LT2[i]に供給する。また、スイッチSW2[i]は、スイッチ制御信号PSELがローレベルの場合にオフし、例えば、ラッチ回路LT2[i]と保持回路FF2[i]との間を非導通の状態にする。
【0133】
第2記憶部345は、2M個のラッチ回路LT2を有する。ラッチ回路LT2[i]は、ラッチ信号LATが立ち上がるタイミングにおいて、スイッチSW2[i]から供給された判定情報STT4[i]をラッチする。そして、ラッチ回路LT2[i]は、ラッチした判定情報STT4[i]を、接続状態指定回路300の補完部304に供給する。
【0134】
なお、ヘッドユニットHU2-HU4の送受信回路34の回路構成は、ヘッドユニットHU1の送受信回路34と同様である。
【0135】
また、送受信回路34の回路構成は、図13に示す例に限定されない。例えば、スイッチ制御信号Lsigは、制御ユニット2等からスイッチSW1[1]-SW[2M]に供給されてもよい。この場合、第1スイッチ制御部SCT1は、省かれてもよい。また、例えば、データセットDSに記録ヘッド情報INFhd4が含まれない場合、保持回路FF1a及び保持回路FF2aは、省かれてもよい。また、例えば、第2記憶部345は、接続状態指定回路300に設けられてもよい。
【0136】
また、例えば、第2記憶部345は、接続状態指定回路300が、論理和回路OR[1]-OR[2M]による論理和の結果を記憶する記憶部を有する場合、省かれてもよい。
【0137】
以上、本実施形態では、ヘッドユニットHUは、複数の吐出部Dと、各吐出部Dにおけるインクの吐出状態を判定する判定回路32と、判定回路32による各吐出部Dの判定結果を示す判定情報STTを保持するラッチ回路LT1を含む第1記憶部340とを有する。
【0138】
このため、本実施形態に係るヘッドユニットHUでは、複数の吐出部Dに対応する複数の判定情報STTを第1記憶部340に記憶させた後に、第1記憶部340に記憶された複数の判定情報STTを含む情報を、1つのデータセットDSとして、他のヘッドユニットHU及び制御ユニット2等に送信することができる。この結果、本実施形態では、複数の吐出部Dのうちの一の吐出部Dに対する判定が終了する度に判定情報STTを他のヘッドユニットHUに送信する場合に比べて、全ての吐出部Dの判定情報STTを送信するための一連の処理に係る時間が吐出部Dの数の増加に伴い増大することを抑制することができる。
【0139】
また、本実施形態では、送受信回路34は、複数の判定情報STTを順に出力する第1シフトレジスター342を有する。このため、各ヘッドユニットHUは、複数の判定情報STTを第1シフトレジスター342からシリアルに出力することにより、複数の判定情報STTを1つのデータセットDSとして、他のヘッドユニットHU及び制御ユニット2に転送することができる。
【0140】
具体的には、第1シフトレジスター342は、縦続接続される複数のラッチ回路LT1を有する。例えば、第1シフトレジスター342は、複数のラッチ回路LT1に保持された複数の判定情報STTを1つのデータセットDSとして、複数のラッチ回路LT1のうちの最終段のラッチ回路LT1から出力する。
【0141】
従って、本実施形態では、複数の判定情報STTをヘッドユニットHU間で転送するための配線の数、及び、複数の判定情報STTをヘッドユニットHUから制御ユニット2に転送するための配線の数を、複数の判定情報STTをパラレルに出力する場合に比べて、低減することができる。
【0142】
[2.変形例]
以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下に例示する変形例において作用や機能が実施形態と同等である要素については、以上の説明で参照した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0143】
[変形例1]
上述した実施形態では、判定回路32が判定対象の吐出部Dを1つずつ判定する場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、判定回路32は、互いに異なる2つの吐出部Dの一方におけるインクの吐出状態を判定する第1判定部と、2つの吐出部Dの他方におけるインクの吐出状態を判定する第2判定部とを有してもよい。第2判定部は、第1判定部と並列に動作してもよい。
【0144】
例えば、第1判定部が、奇数番目の吐出部Dにおけるインクの吐出状態を判定し、第2判定部が、偶数番目の吐出部Dにおけるインクの吐出状態を判定してもよい。あるいは、第1判定部が、吐出部D[1]-D[M]におけるインクの吐出状態を判定し、第2判定部が、吐出部D[M+1]-D[2M]におけるインクの吐出状態を判定してもよい。
【0145】
なお、判定回路32が第1判定部及び第2判定部を有する場合、例えば、図8に示した配線LHsは、第1判定部により判定される吐出部Dの検出信号Voutを第1判定部に供給するための配線と、第2判定部により判定される吐出部Dの検出信号Voutを第2判定部に供給するための配線とに分けられる。同様に、判定回路32から第1記憶部340までの配線も、第1判定部により判定される吐出部Dの判定情報STTが転送される配線と、第2判定部により判定される吐出部Dの判定情報STTが転送される配線とに分けられる。
【0146】
なお、判定回路32は、3個以上の判定部を有してもよい。変形例1においても、上述の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、変形例1では、第2判定部を第1判定部と並列に動作させることができるため、複数の吐出部Dに対する判定を効率よく実行することができる。
【0147】
[変形例2]
上述した実施形態及び変形例1では、送受信回路34が第1シフトレジスター342から出力されるデータセットDSを制御ユニット2等に送信する場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、図14に示すように、ヘッドユニットHUは、第1シフトレジスター342から出力されるデータセットDSを圧縮する第1圧縮部348aを含む送受信回路35を、図1に示した送受信回路34の代わりに有してもよい。
【0148】
図14は、変形例2に係る送受信回路35の構成を示すブロック図である。送受信回路35は、第1差動受信部346a、第1復号部347a、第1圧縮部348a、第1差動送信部349a、第2差動受信部346b、第2復号部347b、第2圧縮部348b及び第2差動送信部349bが図9に示した送受信回路34に追加されていることを除いて、送受信回路34と同様である。
【0149】
第1圧縮部348aは、第1シフトレジスター342から出力されたデータセットDS1-DS4を圧縮することにより、圧縮データセットDSc1-DSc4を生成する。例えば、第1圧縮部348aは、可逆圧縮により、データセットDS1-DS4を圧縮してもよい。具体的には、第1圧縮部348aは、ランレングス圧縮、又は、ハフマン符号等の圧縮方法により、データセットDS1-DS4を圧縮してもよい。なお、第1圧縮部348aは、「エンコード部」の例であり、圧縮データセットDSc1-DSc4は、「圧縮信号」の例である。
【0150】
第1差動送信部349aは、第1圧縮部348aから供給されたシングルエンドの圧縮データセットDSc1-DSc4を差動信号に変換することにより、差動データ信号DScd1-DScd4を生成する。そして、第1差動送信部349aは、差動データ信号DScd1-DScd4を、ヘッドユニットHU1の端子TOaに供給する。例えば、第1差動送信部349aは、低電圧差動信号の差動データ信号DScd1-DScd4を、ヘッドユニットHU1の端子TOaに送信する。具体的には、第1差動送信部349aは、LVDS(Low voltage differential signaling)の規格に基づいて、差動データ信号DScd1-DScd4を送信する。なお、第1差動送信部349aは、「差動送信回路」の例であり、差動データ信号DScd1-DScd4は、「差動信号」の例である。
【0151】
第1差動受信部346aは、ヘッドユニットHU1の端子TIaに供給された差動データ信号DScd2-DSc4を受信する。例えば、第1差動受信部346aは、LVDSの規格に基づいて、差動データ信号DScd2-DSc4を受信する。そして、第1差動受信部346aは、差動データ信号DScd2-DSc4を、シングルエンドの圧縮データセットDSc2-DSc4に変換する。
【0152】
第1復号部347aは、第1差動受信部346aから供給されたシングルエンドの圧縮データセットDSc2-DSc4を復号することにより、データセットDS2-DS4を復元する。そして、第1復号部347aは、圧縮データセットDSc2-DSc4から復元したデータセットDS2-DS4を、第1シフトレジスター342に供給する。
【0153】
第2差動受信部346bは第1差動受信部346aと同様であり、第2復号部347bは第1復号部347aと同様であり、第2圧縮部348bは第1圧縮部348aと同様であり、第2差動送信部349bは第1差動送信部349aと同様である。このため、第2差動受信部346b、第2復号部347b、第2圧縮部348b及び第2差動送信部349bの詳細な説明は省略する。
【0154】
第2差動受信部346bは、ヘッドユニットHU1の端子TIbに供給された差動データ信号DScd1-DScd4を受信し、差動データ信号DScd1-DScd4をシングルエンドの圧縮データセットDSc1-DSc4に変換する。
【0155】
第2復号部347bは、第2差動受信部346bから供給されたシングルエンドの圧縮データセットDSc1-DSc4を復号することにより、データセットDS1-DS4を復元する。そして、第2復号部347bは、圧縮データセットDSc1-DSc4から復元したデータセットDS1-DS4を、第2シフトレジスター343に供給する。
【0156】
第2圧縮部348bは、第2シフトレジスター343から出力されたデータセットDS1-DS4を圧縮することにより、圧縮データセットDSc1-DSc4を生成する。なお、第2圧縮部348bは、「エンコード部」の別の例である。
【0157】
第2差動送信部349bは、第2圧縮部348bから供給されたシングルエンドの圧縮データセットDSc1-DSc4を差動信号に変換することにより、差動データ信号DScd1-DScd4を生成する。そして、第2差動送信部349bは、差動データ信号DScd1-DScd4を、ヘッドユニットHU1の端子TObに供給する。なお、第2差動送信部349bは、「差動送信回路」の別の例である。
【0158】
なお、変形例2に係る送受信回路35の構成は、図14に示す例に限定されない。例えば、第1差動受信部346a、第1差動送信部349a、第2差動受信部346b及び第2差動送信部349bは、省かれてもよい。また、例えば、第1復号部347a、第1圧縮部348a、第2復号部347b及び第2圧縮部348bは、省かれてもよい。
【0159】
あるいは、第1復号部347a、第1圧縮部348a、第2復号部347b及び第2圧縮部348bのうち、第1復号部347aのみが省かれてもよい。この場合、第1圧縮部348aは、データセットDS1を圧縮することにより、圧縮データセットDSc1を生成する。そして、第1圧縮部348aは、第1差動受信部346aから第1シフトレジスター342を介して供給された圧縮データセットDSc2-DSc4に対しては圧縮処理を実行しない。すなわち、第1差動送信部349aには、第1差動受信部346aから第1シフトレジスター342を介して圧縮データセットDSc2-DSc4が供給される。
【0160】
また、第1圧縮部348aは、データセットDSに含まれる記録ヘッド情報INFhd及び判定情報STTのうち、判定情報STTのみを圧縮してもよい。この場合、第2復号部347bが第2スイッチ部344に含まれ、第2圧縮部348bが省かれてもよい。例えば、ヘッドユニットHU1の第2復号部347bは、圧縮データセットDSc4が第2シフトレジスター343に供給された場合、圧縮データセットDSc4から復元したデータセットDS4を第2記憶部345に記憶する。この場合、第2差動送信部349bには、第2差動受信部346bから第2シフトレジスター343を介して圧縮データセットDSc1-DSc4が供給される。
【0161】
変形例2においても、上述の実施形態及び変形例1と同様の効果を得ることができる。さらに、変形例2では、データセットDSが圧縮されるため、ヘッドユニットHU間、又は、ヘッドユニットHUと制御ユニット2との間でのデータセットDSの転送量を低減することができる。また、データセットDSが可逆圧縮されることにより、圧縮データセットDScを復号した場合に、圧縮前のデータセットDSと同じ情報を得ることができる。これにより、吐出異常の吐出部Dを示す判定情報STTを正確に転送することができる。
【0162】
また、圧縮データセットDScが差動データ信号DScdとして転送される場合、シングルエンドの圧縮データセットDScが転送される場合に比べて、ノイズに対する耐性を高くすることができる。特に、差動データ信号DScdがLVDSの規格に基づいて転送される場合、差動データ信号DScdを安定して転送することができる。
【0163】
[変形例3]
上述した実施形態、変形例1及び変形例2では、判定情報STTが、吐出部Dにおけるインクの吐出状態が異常であるか否かを示す情報である場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、判定情報STTは、図15に示すように、正常な吐出状態、吐出異常、及び、吐出部Dの故障のいずれかを示す情報であってもよい。あるいは、判定情報STTは、図16に示すように、吐出部Dにおける吐出状態の異常の原因を示す原因情報を含む情報であってもよい。
【0164】
図15は、変形例3に係る判定情報STTの一例を説明するための説明図である。図15に示す例では、判定情報STTは、吐出部Dの状態を、判定情報STTa及びSTTbの2ビットで示す。例えば、判定情報STTaは、吐出部Dにおけるインクの吐出状態が正常な場合に“0”に設定され、吐出部Dにおけるインクの吐出状態が正常でない場合に“1”に設定される。また、判定情報STTbは、吐出部Dが故障と判定された場合に“1”に設定され、故障と判定されない場合に“0”に設定される。例えば、判定回路32は、吐出異常と判定した吐出部Dの履歴を有し、メンテナンスユニット6によるメンテナンス処理が所定の回数以上実行されても、吐出異常と判定される吐出部Dを故障と判定してもよい。
【0165】
吐出部Dにおけるインクの吐出状態が正常である場合、通常印刷処理が実行される。また、吐出部Dにおけるインクの吐出状態が正常である場合、補完印刷処理及びメンテナンス処理が実行される。吐出部Dが故障している場合、補完印刷処理が実行される。
【0166】
図16は、変形例3に係る判定情報STTの別の例を説明するための説明図である。図16に示す例では、判定情報STTは、吐出部Dの状態及び吐出部Dにおける吐出状態の異常の原因を、判定情報STTa、STTb、STTc、STTd及びSTTeの5ビットで示す。例えば、判定情報STTaは、吐出部Dにおけるインクの吐出状態が正常な場合に“0”に設定され、吐出部Dにおけるインクの吐出状態が正常でない場合に“1”に設定される。また、判定情報STTbは、吐出部Dが故障と判定された場合に“1”に設定され、故障と判定されない場合に“0”に設定される。判定情報STTcは、気泡の混入に起因する吐出異常が生じている場合に“1”に設定される。判定情報STTdは、インクの増粘に起因する吐出異常が生じている場合に“1”に設定される。判定情報STTeは、異物の付着に起因する吐出異常が生じている場合に“1”に設定される。
【0167】
なお、図16に示す例において、判定情報STTaは、省かれてもよい。この場合、ヘッドユニットHU等は、判定情報STTaに対応する情報を、判定情報STTb、STTc、STTd及びSTTeの論理和の結果から得てもよい。また、判定情報STTは、図16に示した正常、気泡、増粘、付着及び故障の5個の項目を、3ビットのデータにより示してもよい。また、吐出部Dにおける吐出状態が異常になる複数の原因のうちのいずれかを示す原因情報を判定情報STTが含む場合、データセットDSは、複数の原因を識別するための情報を含んでもよい。例えば、記録ヘッド情報INFhdが、複数の原因を識別するための情報を含んでもよい。
【0168】
具体的には、複数の原因を識別するための情報は、例えば、図16に示す判定情報STTおいて、(STTa,STTb,STTc,STTd,STTe)=(1,0,1,0,0)により示される吐出異常の原因が気泡の混入であること等を示す情報である。変形例3においても、上述の実施形態、変形例1及び変形例2と同様の効果を得ることができる。
【0169】
[変形例4]
上述した実施形態、及び、変形例1から変形例3までの変形例では、ノズル列LNに属する複数のノズルNが1列に配置される場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、ノズル列LNに属する複数のノズルNは、図17に示すように、2列に配置されてもよい。
【0170】
図17は、変形例4に係るノズルNの配置を説明するための説明図である。図17では、ノズル列LNに属する複数のノズルNの配置の例として、6個のパターンを示している。
【0171】
図17に示す例では、値“01”の配列情報及び値“02”の配列情報は、ノズル列LNに属する複数のノズルNが1列に配置されていることを示す。さらに、値“01”の配列情報は、+X方向に位置するノズルNから順にノズル番号が割り当てられていることを示す。ノズル番号は、例えば、複数のノズルNを識別するために、ノズルNに割り当てられた番号である。また、値“02”の配列情報は、-X方向に位置するノズルNから順にノズル番号が割り当てられていることを示す。
【0172】
値“03”の配列情報及び値“04”の配列情報は、ノズル列LNに属する複数のノズルNが2列に配置されていることを示す。さらに、値“03”の配列情報は、2列のうち、-Y方向に位置する列に属するノズルNから順にノズル番号が割り当てられていることを示す。また、値“04”の配列情報は、+X方向に位置するノズルNから、-Y方向に位置する列に属するノズルNと+Y方向に位置する列に属するノズルNと交互に、ノズル番号が割り当てられていることを示す。
【0173】
値“05”の配列情報及び値“06”の配列情報は、ノズル列LNに属する複数のノズルNが千鳥状に配置されていることを示す。なお、千鳥状に配置とは、例えば、図17において+X方向から偶数番目のノズルNと奇数番目のノズルNの+Y方向に沿う位置が互いに異なるように配置されることである。値“05”の配列情報は、2列のうち、-Y方向に位置する列に属するノズルNから順にノズル番号が割り当てられていることを示す。また、値“06”の配列情報は、+X方向に位置するノズルNから、-Y方向に位置する列に属するノズルNと+Y方向に位置する列に属するノズルNと交互に、ノズル番号が割り当てられていることを示す。
【0174】
変形例4においても、上述の実施形態、及び、変形例1から変形例3までの変形例と同様の効果を得ることができる。
【0175】
[変形例5]
上述した実施形態、及び、変形例1から変形例4までの変形例では、ヘッドユニットHU4のデータセットDS4がヘッドユニットHU3及びHU2を介してヘッドユニットHU1に供給される場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、ヘッドモジュール3は、図18に示すように、ヘッドユニットHU4のデータセットDS4がヘッドユニットHU3及びHU2を介さずにヘッドユニットHU1に供給される経路を有してもよい。
【0176】
図18は、変形例5に係るインクジェットプリンター1Aの構成の一例を示すブロック図である。図18に示すインクジェットプリンター1Aは、4個のヘッドユニットHU間の接続関係を除いて、図1に示したインクジェットプリンター1と同様である。
【0177】
図18に示す例では、ヘッドユニットHU1-HU4の各々の端子TObは、他のヘッドユニットHUに接続されていない。
【0178】
また、ヘッドユニットHU1の端子TOaは、ヘッドユニットHU4の端子TIb及び制御ユニット2と、電気的に接続されている。また、ヘッドユニットHU2の端子TOaは、ヘッドユニットHU1の端子TIa及びヘッドユニットHU3の端子TIbと、電気的に接続されている。
【0179】
また、ヘッドユニットHU3の端子TOaは、ヘッドユニットHU2の端子TIa及び端子TIbと、電気的に接続されている。また、ヘッドユニットHU4の端子TOaは、ヘッドユニットHU3の端子TIa及びヘッドユニットHU1の端子TIbと、電気的に接続されている。次に、ヘッドユニットHU1、HU2、HU3及びHU4が図18に示すように接続されている場合における各データセットDSの流れを説明する。
【0180】
制御ユニット2に供給されるデータセットDS1-DS4の流れは、図1に示したインクジェットプリンター1と同様である。すなわち、ヘッドユニットHU1は、データセットDS1-DS4を、データセットDS1、DS2、DS3及びDS4の順に、制御ユニット2に送信する。
【0181】
また、データセットDS1は、ヘッドユニットHU2及びHU3を介さずに、ヘッドユニットHU1の端子TOaからヘッドユニットHU4の端子TIbに供給される。データセットDS2は、ヘッドユニットHU1を介さずに、ヘッドユニットHU2の端子TOaからヘッドユニットHU3の端子TIbに供給される。データセットDS3は、ヘッドユニットHU1を介さずに、ヘッドユニットHU3の端子TOaからヘッドユニットHU2の端子TIbに供給される。データセットDS4は、ヘッドユニットHU3及びHU2を介さずに、ヘッドユニットHU4の端子TOaからヘッドユニットHU1の端子TIbに供給される。
【0182】
なお、図18に示す例では、例えば、図9等に示した第2スイッチ部344及び第2記憶部345は、省かれてもよい。この場合、例えば、ヘッドユニットHU1では、第2シフトレジスター343に対するクロック信号CLの供給は、判定情報STT4[1]-STT4[2M]が第2シフトレジスター343に保持された後、停止されてもよい。変形例5においても、上述の実施形態、及び、変形例1から変形例4までの変形例と同様の効果を得ることができる。さらに、変形例5では、各ヘッドユニットHUの端子TIbに最初に供給されるデータセットDSが、ペアとなるヘッドユニットHUのデータセットDSであるため、ペアとなるヘッドユニットHUのデータセットDSを容易に特定することができる。
【0183】
[変形例6]
上述した実施形態、及び、変形例1から変形例5までの変形例では、ヘッドユニットHUに含まれる2M個の吐出部Dに対する全ての判定が終了したときに判定情報STTが他のヘッドユニットHUに送信される場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、判定情報STTの他のヘッドユニットHU等への送信は、吐出部D[1]-D[2M]のうちの2個以上の数の吐出部Dに対する判定が終了した場合に実行されてもよい。具体的には、例えば、判定情報STTの他のヘッドユニットHU等への送信は、吐出部D[1]-D[2M]のうちのM個の吐出部Dに対する判定が終了した場合に実行されてもよい。
【0184】
変形例6においても、複数の判定情報STTが、1つのデータセットDSとして、他のヘッドユニットHU等に送信される。従って、変形例6においても、上述の実施形態、及び、変形例1から変形例5までの変形例と同様の効果を得ることができる。
【0185】
[変形例7]
上述した実施形態、及び、変形例1から変形例6までの変形例では、ヘッドモジュール3が複数のヘッドユニットHUを有する場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、ヘッドモジュール3が有するヘッドユニットHUの数は、1個でもよい。この場合においても、複数の判定情報STTが、1つのデータセットDSとして、制御ユニット2に送信される。このため、変形例7においても、複数の吐出部Dのうちの一の吐出部Dに対する判定が終了する度に判定情報STTを制御ユニット2に送信する場合に比べて、全ての吐出部Dの判定情報STTを送信するための一連の処理に係る時間が吐出部Dの数の増加に伴い増大することを抑制することができる。
【0186】
[変形例8]
上述した実施形態、及び、変形例1から変形例7までの変形例では、各ヘッドユニットHUが補完部304を有する場合を例示したが、本発明はこのような態様に限定されるものではない。例えば、補完部304、第2シフトレジスター343、第2スイッチ部344及び第2記憶部345は、省かれてもよい。この場合、第1記憶部340は、省かれてもよい。第1記憶部340が省かれる場合、第1シフトレジスター342に対するクロック信号CLの供給は、例えば、判定情報STT1[1]-STT1[2M]が揃うまで、停止されてもよい。なお、第1記憶部340が省かれる場合、第1シフトレジスター342は、「第1記憶領域」及び「第2記憶領域」を含む「記憶部」の例であり、「第1判定情報」及び「第2判定情報」を順に出力する「シフトレジスター」の例でもある。すなわち、第1記憶部340が省かれる場合、「シフトレジスター」が「記憶部」に該当する。第1シフトレジスター342が「第1記憶領域」及び「第2記憶領域」を含む「記憶部」に該当する場合、複数の保持回路FF1のいずれかが「第1記憶領域」に該当し、複数の保持回路FF1の他のいずれかが「第2記憶領域」に該当する。
【0187】
変形例8においても、複数の判定情報STTが、1つのデータセットDSとして、制御ユニット2に送信される。このため、変形例8においても、複数の吐出部Dのうちの一の吐出部Dに対する判定が終了する度に判定情報STTを制御ユニット2に送信する場合に比べて、全ての吐出部Dの判定情報STTを送信するための一連の処理に係る時間が吐出部Dの数の増加に伴い増大することを抑制することができる。
【符号の説明】
【0188】
1、1A…インクジェットプリンター、2…制御ユニット、3…ヘッドモジュール、4…駆動信号生成ユニット、5…記憶ユニット、6…メンテナンスユニット、7…搬送ユニット、30…切替回路、32…判定回路、34、35…送受信回路、71…キャリッジ搬送機構、72…媒体搬送機構、100…筐体、120…キャリッジ、122…インクカートリッジ、300…接続状態指定回路、302…入力シフトレジスター、304…補完部、306…ラッチ部、308…指定信号生成部、340…第1記憶部、341…第1スイッチ部、342…第1シフトレジスター、343…第2シフトレジスター、344…第2スイッチ部、345…第2記憶部、346a…第1差動受信部、346b…第2差動受信部、347a…第1復号部、347b…第2復号部、348a…第1圧縮部、348b…第2圧縮部、349a…第1差動送信部、349b…第2差動送信部、610…キャップ、620…排出インク受領部、710…タイミングベルト、730…搬送ローラー、750…プラテン、760…キャリッジガイド軸、ADD…加算回路、AND…論理積回路、AS…スイッチ、BS…スイッチ、D…吐出部、DC…デコーダー、Df…異常吐出部、Dq…補完吐出部、FF1、FF1a、FF2、FF2a、FFsi…保持回路、HD、HD1-HD4…記録ヘッド、HU、HU1-HU4…ヘッドユニット、LN…ノズル列、LT1、LT2、LTsd…ラッチ回路、N…ノズル、OR…論理和回路、P…記録用紙、PZ…圧電素子、SCT1…第1スイッチ制御部、SCT2…第2スイッチ制御部、SW1…スイッチ、SW2…スイッチ、TIa、TIb、TOa、TOb…端子、W…スイッチ、Wa…スイッチ、Wb…スイッチ、Ws…スイッチ、Zd…下部電極、Zu…上部電極。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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