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特許7463726情報処理装置、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】情報処理装置、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 30/10 20200101AFI20240402BHJP
   G06F 111/04 20200101ALN20240402BHJP
【FI】
G06F30/10 200
G06F111:04
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020000869
(22)【出願日】2020-01-07
(65)【公開番号】P2021111014
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 正登
(72)【発明者】
【氏名】向井 博和
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 朋之
(72)【発明者】
【氏名】高島 義行
【審査官】松浦 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-362480(JP,A)
【文献】特開2019-036105(JP,A)
【文献】特開2005-202937(JP,A)
【文献】特開平07-006162(JP,A)
【文献】特開2010-066955(JP,A)
【文献】特開2019-219788(JP,A)
【文献】特開2019-021343(JP,A)
【文献】Σツール マトリックス表作成ツール説明書 第一分冊 マトリックス表作成ツール取扱説明書,第1版,富士通株式会社,1991年07月31日,pp. 26-43, 76-79, 91-100
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 30/00 -30/28
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
事象を表す複数の項目について、関係を有する前記項目の間が前記関係に応じて接続されることで系統立てられて生成された連関情報を入力として、
前記連関情報から、前記項目を特定する情報、及び前記項目ごとの前記関係を特定する関係情報を抽出し、
抽出した前記関係情報に基づいて前記項目を配列し、前記項目について属性情報の入力を可能にする表を生成し、
複数の行に表示した同一の前記項目のうち一の項目に係る前記属性情報の編集時には、前記同一の項目のうち他の項目の属性情報を同時に編集し、
生成した前記表を出力する
処理を実行する、情報処理装置。
【請求項2】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
事象を表す複数の項目について、関係を有する前記項目の間が前記関係に応じて接続されることで系統立てられて生成された連関情報を入力として、
前記連関情報から、前記項目と当該項目に対応する属性情報とを入力を可能とする同一行とし、前記項目と接続された複数の下位項目を、前記行を分割して配列して、表を生成し、
複数の行に表示した同一の前記項目のうち一の項目に係る前記属性情報の編集時には、前記同一の項目のうち他の項目の属性情報を同時に編集し、
生成した前記表を出力する
処理を実行する、情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記一の項目に係る前記属性情報の編集時には、前記同一の項目の全てが存在するよう前記表を表示する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、前記表中の一の前記項目の前記属性情報の編集時に、当該一の前記項目と同一の他の項目が前記表に存在していれば、前記他の項目が存在する旨を通知する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記他の項目の数に関する情報を通知する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記関係の上位から順に前記項目を列方向に配列した前記表を生成する、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記項目の横に少なくとも1つの前記属性情報の入力を受け付ける欄を配置した前記表を生成する、請求項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記属性情報の編集の結果を、前記表の基となる前記連関情報に反映させる、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記連関情報は、前記項目を線で連結することで前記関係を表現した連関図である、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記項目は、複数のプロセスの何れかに属し、前記連関情報は、前記プロセスを軸として前記項目を展開して前記関係を表現した展開表である、請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項11】
コンピュータに、
事象を表す複数の項目について、関係を有する前記項目の間が前記関係に応じて接続されることで系統立てられて生成された連関情報を入力として、
前記連関情報から、前記項目を特定する情報、及び前記項目ごとの前記関係を特定する関係情報を抽出し、
抽出した前記関係情報に基づいて前記項目を配列し、前記項目について属性情報の入力を可能にする表を生成し、
複数の行に表示した同一の前記項目のうち一の項目に係る前記属性情報の編集時には、前記同一の項目のうち他の項目の属性情報を同時に編集し、
生成した前記表を出力する
処理を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
事象を表す複数の項目について、関係を有する前記項目の間が前記関係に応じて接続されることで系統立てられて生成された連関情報を入力として、
前記連関情報から、前記項目とこの項目に対応する属性情報とを入力を可能とする同一行とし、前記項目と接続された複数の下位項目を、前記行を分割して配列して、表を生成し、
複数の行に表示した同一の前記項目のうち一の項目に係る前記属性情報の編集時には、前記同一の項目のうち他の項目の属性情報を同時に編集し、
生成した前記表を出力する
処理を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、各々が品質機能展開に係る機能を示す複数の機能項目について、依存関係を有する前記機能項目の間が依存関係に応じて接続されることで系統立てられ、かつ前記複数の機能項目のうち前記品質機能展開の複数のプロセスの何れかに属する機能を示す機能項目に、該機能項目が属する前記プロセスを特定する属性情報が付与されて作成された連関図が入力されることで、前記連関図から、前記機能項目を特定する情報、前記機能項目に付与された前記属性情報、及び前記機能項目ごとの前記依存関係を特定する依存情報を抽出して、原情報として受け付ける受付手段と、前記原情報の前記属性情報から前記機能項目を前記プロセスごとに分類し、分類した前記機能項目を前記プロセスごとに展開するための展開情報を作成し、前記原情報を前記展開情報から前記プロセスを軸として前記機能項目を展開した展開表に展開する展開手段と、前記展開手段により展開された前記展開表を出力する出力手段と、を含む情報処理装置の発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-081185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
事象間の論理的な関連を表現した連関図は、多くの事象が連鎖的に、かつ交差して繋がっている場合が多く、上流の事象に関連する下流の事象すべてを把握するために、連関図の関係線を一つ一つ辿る必要がある。
【0005】
本発明は、多くの事象を表す項目が連鎖的にかつ交差して関係している場合であっても、連関図に比べて、事象の関係が容易に把握できる情報処理装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、事象を表す複数の項目について、関係を有する前記項目の間が前記関係に応じて接続されることで系統立てられて生成された連関情報を入力として、前記連関情報から、前記項目を特定する情報、及び前記項目ごとの前記関係を特定する関係情報を抽出し、抽出した前記関係情報に基づいて前記項目を配列し、前記項目について属性情報の入力を可能にする表を生成し、生成した前記表を出力する処理を実行する。
【0007】
本発明の第2態様に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、事象を表す複数の項目について、関係を有する前記項目の間が前記関係に応じて接続されることで系統立てられて生成された連関情報を入力として、前記連関情報から、前記項目と当該項目に対応する属性情報とを入力を可能とする同一行とし、前記項目と接続された複数の下位項目を、前記行を分割して配列して、表を生成し、生成した前記表を出力する
処理を実行する。
【0008】
本発明の第3態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様又は第2態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、複数の行に表示した同一の前記項目のうち一の項目に係る前記属性情報の編集時には、前記同一の項目のうち他の項目の属性情報を同時に編集する。
【0009】
本発明の第4態様に係る情報処理装置は、本発明の第3態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記一の項目に係る前記属性情報の編集時には、前記同一の項目の全てが存在するよう前記表を表示する。
【0010】
本発明の第5態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様又は第2態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記表中の一の前記項目の前記属性情報の編集時に、当該一の前記項目と同一の他の項目が前記表に存在していれば、前記他の項目が存在する旨を通知する。
【0011】
本発明の第6態様に係る情報処理装置は、本発明の第5態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記他の項目の数に関する情報を通知する。
【0012】
本発明の第7態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様又は第2態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記関係の上位から順に前記項目を列方向に配列した前記表を生成する。
【0013】
本発明の第8態様に係る情報処理装置は、本発明の第7態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記項目の横に少なくとも1つの前記属性情報の入力を受け付ける欄を配置した前記表を生成する。
【0014】
本発明の第9態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様又は第2態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記属性情報の編集の結果を、前記表の基となる前記連関情報に反映させる。
【0015】
本発明の第10態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様又は第2態様に係る情報処理装置であって、前記連関情報は、前記項目を線で連結することで前記関係を表現した連関図である。
【0016】
本発明の第11態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様又は第2態様に係る情報処理装置であって、前記項目は、複数のプロセスの何れかに属し、前記連関情報は、前記プロセスを軸として前記項目を展開して前記関係を表現した展開表である。
【0017】
本発明の第12態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の項目について、関係を有する前記項目の間が前記関係に応じて接続されることで系統立てられて生成された連関情報を入力として、前記連関情報から、前記項目を特定する情報、及び前記項目ごとの前記関係を特定する関係情報を抽出し、抽出した前記関係情報に基づいて前記項目を配列し、前記項目について属性情報の入力を可能にする表を生成し、生成した前記表を出力する処理を実行させる。
【0018】
本発明の第13態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、事象を表す複数の項目について、関係を有する前記項目の間が前記関係に応じて接続されることで系統立てられて生成された連関情報を入力として、前記連関情報から、前記項目とこの項目に対応する属性情報とを入力を可能とする同一行とし、前記項目と接続された複数の下位項目を、前記行を分割して配列して、表を生成し、生成した前記表を出力する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の第1態様によれば、項目ごとの関係を特定する関係情報に基づいて項目を配列した表を生成し、出力することで、連関図と比べて項目間の関係を把握することが容易となる。
【0020】
本発明の第2態様によれば、項目ごとの関係情報に基づいて行を分割して配列した表を生成し、出力することで、連関図と比べて項目間の関係を把握することが容易となる。
【0021】
本発明の第3態様によれば、一の項目に係る属性情報の編集をする際に、同一の項目のうち他の項目の属性情報を同時に編集することで、同時に編集しない場合と比べて、項目の属性情報を容易に編集できる。
【0022】
本発明の第4態様によれば、一の項目に係る属性情報の編集をする際に、同一の項目の全てが存在するよう表を表示することで、そのように表示しない場合と比べて、同一の項目の存在を分かりやすく提示できる。
【0023】
本発明の第5態様によれば、一の項目に係る属性情報の編集をする際に、同一の項目が他にも存在することを提示できる。
【0024】
本発明の第6態様によれば、一の項目に係る属性情報の編集をする際に、同一の項目が他にどれだけ存在しているかを提示できる。
【0025】
本発明の第7態様によれば、上位の項目から下位の項目に並べた表を生成できる。
【0026】
本発明の第8態様によれば、各項目の属性情報の入力を受け付ける表を生成できる。
【0027】
本発明の第9態様によれば、入力された属性情報を、表の基となる連関情報に反映できる。
【0028】
本発明の第10態様によれば、連関図から表を生成できる。
【0029】
本発明の第11態様によれば、プロセスを軸として項目を展開して関係を表現した展開表から表を生成できる。
【0030】
本発明の第12態様によれば、項目ごとの関係を特定する関係情報に基づいて項目を配列した表を生成し、出力することで、連関図と比べて項目間の関係を把握することが容易となる。
【0031】
本発明の第13態様によれば、項目ごとの関係情報に基づいて行を分割して配列した表を生成し、出力することで、連関図と比べて項目間の関係を把握することが容易となる。
【0032】
本発明によれば、多くの事象が連鎖的にかつ交差して関係している場合であっても、連関図に比べて、事象の関係が容易に俯瞰できる表を作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
図2】サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】サーバの機能構成の例を示すブロック図である。
図4】連関図情報テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
図5】項目情報テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
図6】関係線情報テーブルのデータ構造例を示す説明図である。
図7】サーバによる連関表生成処理の流れを示すフローチャートである。
図8】作成する連関表の基になる連関図の一例を示す図である。
図9図8に示した連関図から生成された連関表の一例を示す図である。
図10図8に示した連関図から作成した展開表を示す図である。
図11】CPUが作成する連関表の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0035】
まず、本件発明者が本発明の実施の形態に至った経緯を説明する。
【0036】
複合的な物理現象を利用したシステムは、例えば製品の最終的な品質などの結果に対して、その結果の要因となる事象が複数あり、それらの事象を結果として生じる要因となる事象が複数あり、さらにその事象を結果として生じる要因となる事象が複数あり、という具合に、多くの事象が連鎖的に繋がっているのが一般的である。また、そのような複雑なシステムにおいては、充足しなければならない品質が数多くあるため、設計群と品質群の関係は極めて複雑になる。そのため、所望の品質を満足するための設計項目を見出すのが困難であり、ある品質を満足するための設計値の変更が他の品質に悪影響を及ぼすなどの問題を生じやすい。
【0037】
そのような複雑な関係を可視化して整理するための情報として連関情報がある。連関情報は、項目と、項目間の関係とが規定された情報のことをいう。連関情報には、例えば、項目名、特性等の属性を有する複数の事象を表す項目間を関係線で接続することによりその関係を表現した連関図がある。連関図の一例として、ロジックツリーがある。連関図は、結果の事象を表す項目とその要因の事象を表す項目とを漏れなく、かつ重複なく詳細に示すのに適している。
【0038】
また、連関情報には、例えば、互いに直交する複数の軸に列挙した事象間の関係をマトリックス状に配置した記号または数値で示した品質機能展開表がある。品質機能展開表は、多くの事象の中から重要なものを抽出して軸上に配置し、マトリックスで関係を表現するため、多数の結果の事象と多数の要因の事象との関係を簡潔に表現することができる。
【0039】
しかし、連関図は対象とする事象を表す項目が多くなりすぎると、図が過度に複雑化し、肥大化してしまう。また品質機能展開表は、軸上に配置していない事象を表す項目を含む詳細な関係を表現することはできず、その結果、項目の抜け漏れを生じやすい。
【0040】
一般に広く行われている品質機能展開表は横軸と縦軸の2軸に要因の事象と結果の事象を配置するため、そもそも、何故そのような関係となるかに関する情報は持たせることができない。しかし、3つ以上の軸を互いに直交して配置し、関係を構成する要因の中で重要なものを抽出して記載することで、概略的な関係を表現する多軸の品質機能展開が有効である。
【0041】
以上から、連関図と、多軸の品質機能展開表とを併用することで、関係を漏れなく、かつ重複なく詳細に抽出して記述しつつ、多数の要因と結果の事象の項目の関係を簡潔に表示することができる。しかし、連関図と多軸の品質機能展開表との間の変換は煩雑であり、そのためには変換を支援するシステムが必須となる。
【0042】
事象を表す項目の間の関係を階層化した連関図を描いて、階層を選択することで2軸の品質機能展開表を表示する場合、階層化した状態で連関図を作成するためには、最初から関係が階層的に整理されている必要がある。そのため、最初から関係が階層的に整理されていなければ、そもそもの目的である、漏れのない、かつ重複のない詳細な関係の描画を、階層的に行うのは困難である。また、事象を階層に分けたとしても、選択された階層の事象を全て品質機能展開表に表示すると、表示する情報量が多くなり、重要な要因となる事象を抽出して表示するという目的を達することができない。
【0043】
特開2016-081185号公報で開示された発明は、作成した連関図上で品質機能展開表の各軸に対応する事象を選択した上で、品質機能展開表に展開することを提案する。しかし、この技術では連関図の情報を縮約して品質機能展開表を作成するため、連関図が持つ情報よりも品質機能展開表が持つ情報の方が遥かに少なくなる。そのため、連関図から品質機能展開表への展開はできても、品質機能展開表へ行われた変更を逆に連関図に反映することが難しい。
【0044】
以上に述べたように、連関図と品質機能展開表とは、同じ事象の関係を異なる役割を持って可視化する仕組みである。従って、一方だけを使ったり、片方からもう一方への一方的な変換ができたりするだけでなく、複雑な事象の関係の情報を余すところなく持ちつつ、相互に行き来しながら作成、閲覧できることが求められる。
【0045】
そこで、本実施形態では、連関図及び品質機能展開表の元となる連関情報に基づいて、事象間の関係を把握することを容易にする情報を生成して出力することが可能な技術について述べる。
【0046】
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。図1には、情報処理装置としてのサーバ10、及びユーザ端末20A、20Bが示されている。
【0047】
サーバ10は、連関図及び品質機能展開表の元となる連関情報に基づいて、事象間の関係を把握することを容易にする情報を生成して出力する装置である。具体的には、サーバ10は、連関情報に基づいて、事象間の関係を把握することを容易にする表を生成して出力する。以下の説明では、サーバ10が生成する表を連関表と称する。
【0048】
連関情報は、複数の項目について、所定の関係を有する項目の間が当該関係に応じて接続されることで系統立てられて生成された情報である。項目は、各々が機能を示す機能項目であってもよい。また、項目間の関係は、依存関係又は階層関係を有していてもよい。機能項目の各々は属性情報を有してもよい。属性情報は、数値であってもよく、文字であってもよい。連関情報は、機能項目を線で連結することで依存関係を表現した連関図であってもよい。また、連関情報は、プロセスを軸として、複数のプロセスの何れかに属する機能項目を展開して依存関係を表現した多軸の展開表であってもよい。
【0049】
本実施形態は、品質機能展開における展開表及び二元表などの諸表から連関表を得るための処理を行う連関表作成処理に適用可能である。品質機能展開は、例えば、製品又はサービスの設計において、顧客に満足が得られる設計品質を設定し、設定した設計品質を具現化するように、各機能項目又は構成等との依存関係の確認などに適用される。品質機能展開においては、実際の依存関係を適正に確認する必要があり、このために、品質機能展開においては、多くの設計品質などの機能項目が正確に、かつ漏れなく(見落とし無く)設定される。また、品質機能展開においては、関連する一連のプロセスのうちから一つ又は複数のプロセスを軸として、プロセスの各機能項目を階層化し系統的に表示することで各機能項目の対応関係が明確化される。
【0050】
本実施形態は、各種の事案の品質機能展開について、関連する2つのプロセスの対応関係(例えば、プロセスを軸とする展開表の対応関係)を組み合わせ、2つのプロセスの間の機能項目の対応関係(依存関係)を示す二元表からの連関表の作成に適用される。品質機能展開における二元表には、要求品質展開表、品質要素(特性)展開表、企画品質設定表、設計品質設定表、機能展開表、機構展開表、ユニット・部品展開表、工法展開表、シーズ展開表、及びコスト展開表などの諸表がある。また、二元表には、原価企画設定表、素材展開表、FT展開表、信頼性企画設定表、計測機器展開表、測定方法展開表、業務機能展開表、技術展開表、QA表、QC工程表、及び保証項目展開表などの諸表があり、本実施形態では、これらの諸表からの連関表の作成に適用される。また、本実施形態は、これらに限らず、所望のプロセスの間の対応関係を示す二元表からの連関表の作成に用いられる。
【0051】
さらに、本実施形態に係る品質機能展開は、2つのプロセスに限らず、2つ以上(例えば3又は4)のプロセスの対応関係を組み合わせ、各プロセスの間の機能項目の対応関係を表す品質機能展開に係る図表からの連関表の作成に用いられる。なお、以下の説明においては、複数のプロセスの対応関係を示す品質機能展開に係る図表を「多元表」と表記して説明する。即ち、以下の説明においては、2つのプロセスの対応関係を示す多元表を二元表とし、3つのプロセスの対応関係を示す多元表を三元表、4つのプロセスの対応関係を示す多元表を四元表として説明する。また、本実施形態において、プロセスは、品質-性能-構造-材料などのように、対象とする事案について、相互に関連するか又は相互に作用する一連の活動を示し、関連するプロセスの間では、一方のアウトプットが他方のインプットとなるように作用する(JIS Q 9000等参照)。
【0052】
ユーザ端末20A、20Bは、インターネット又はイントラネット等のネットワーク30を通じてサーバ10に接続して、連関情報を編集したり、連関情報から連関表を生成するよう指示したりする装置である。ユーザ端末20A、20Bは、それぞれ異なるユーザが使用するための端末である。図1では、2台のユーザ端末を図示しているが、情報処理システムにおいてはユーザ端末の数は問わない。ユーザ端末のそれぞれは、例えばパーソナルコンピュータ、スマートフォン、タブレット端末等のネットワーク30に接続する機能を有するあらゆる装置でありうる。以下の説明では、ユーザ端末20A、20Bを区別して表記する必要が無い場合には、単にユーザ端末20と表記する。
【0053】
図2は、サーバ10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0054】
図2に示すように、サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
【0055】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12またはストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12またはストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12またはストレージ14には、連関表を生成する連関表生成プログラムが格納されている。
【0056】
ROM12は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0057】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0058】
表示部16は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
【0059】
通信インタフェース17は、ユーザ端末20等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0060】
上記の連関表生成プログラムを実行する際に、サーバ10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。サーバ10が実現する機能構成について説明する。
【0061】
次に、サーバ10の機能構成について説明する。
【0062】
図3は、サーバ10の機能構成の例を示すブロック図である。
【0063】
図3に示すように、サーバ10は、機能構成として、入力部101、作成部102、出力部103、通知部104、及び記憶部105を有する。各機能構成は、CPU11がROM12またはストレージ14に記憶された連関表生成プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0064】
入力部101は、連関表を作成する元となる連関情報の入力を受け付ける。連関表の元となる連関情報は、例えば記憶部105に記憶されている。入力部101は、ユーザ端末20からの、連関情報から連関表を作成する作成指示に応じて、記憶部105から当該連関情報を取得する。
【0065】
作成部102は、入力部101が受け付けた連関情報から連関表を作成する。連関情報から連関表を作成する方法については後に詳述する。
【0066】
出力部103は、作成部102が作成した連関表を出力する。連関表の出力先は、連関表の作成指示を送出したユーザ端末20である。また、出力部103は、作成部102が作成した連関表を記憶部105に記憶させる。
【0067】
通知部104は、連関表を表示しているユーザ端末20に対して、作成部102が作成した連関表に関する情報を通知する。例えば、通知部104は、連関表を表示しているユーザ端末20に対し、項目の属性情報の編集時に、同一の項目が存在していれば、同一の項目が存在する旨を通知する。また例えば、通知部104は、項目の属性情報の編集時に、同一の項目が存在していれば、同一の項目の数に関する情報を通知する。通知部104が通知する連関表に関する情報の例は、後に詳述する。
【0068】
記憶部105は、サーバ10の動作に関する種々の情報を記憶する。本実施形態では、記憶部105は、連関情報に関する情報を記憶する。例えば、連関情報が連関図である場合、記憶部105は、連関図情報テーブル、項目情報テーブル、関係線情報テーブルを記憶する。ここで、記憶部105が記憶する連関情報に関する情報の例を説明する。
【0069】
図4は、連関図情報テーブル900のデータ構造例を示す説明図である。連関図情報テーブル900は、連関図ID欄905、連関図名欄910、作成者欄915、作成日時欄920、項目数欄925、項目ID欄930、関係線数欄935、関係線ID欄940を有している。連関図ID欄905は、本実施の形態において、連関図を一意に識別するための情報(連関図ID:IDentification)を記憶している。連関図名欄910は、その連関図IDの連関図の名称を記憶している。作成者欄915は、その連関図の作成者を記憶している。作成日時欄920は、その連関図の作成または編集した日時(年、月、日、時、分、秒、秒以下、又はこれらの組み合わせであってもよい)を記憶している。項目数欄925は、その連関図における項目数を記憶している。項目数欄925内の項目数だけ、その後に項目ID欄930が続く。項目ID欄930は、本実施形態において、項目を一意に識別するための情報(項目ID)を記憶している。項目IDが示す情報は、項目情報テーブル1000に記憶されている。関係線数欄935は、その連関図における関係線数を記憶している。関係線数欄935内の関係線数だけ、その後に関係線ID欄940が続く。関係線ID欄940は、本実施形態において、関係線を一意に識別するための情報(関係線ID)を記憶している。関係線IDが示す情報は、関係線情報テーブル1100に記憶されている。
【0070】
図5は、項目情報テーブル1000のデータ構造例を示す説明図である。項目情報テーブル1000は項目IDごとに用意され、属性として、項目に付属した属性である項目付属属性と、連関図を構成するための属性である連関図構成属性とを有する。項目付属属性は、事象を表す項目名、特性、属する軸等の属性である。なお、ここでいう特性とは、事象を表す性質、挙動、及び作用である。連関図構成属性は、接続項目数、接続項目ID、座標等の属性である。連関図構成属性に伴い、項目情報テーブル1000は、項目ID欄1005、項目名欄1010、座標欄1015、特性欄1020、属する軸欄1025、接続項目数欄1030、接続項目ID欄1035を有している。項目ID欄1005は、項目IDを記憶している。項目名欄1010は、その項目IDの項目の名称を記憶している。座標欄1015は、その項目が表示されている連関図上の座標を記憶している。特性欄1020は、その項目の特性を記憶している。属する軸欄1025は、連関図を展開図に変換した場合にその項目に対応する軸項目が属することとなる軸を記憶している。接続項目数欄1030は、その項目が接続されている項目数、つまり、その項目が接続元項目である場合の接続先項目数とその項目が接続先項目である場合の接続元項目数との和を記憶している。接続項目数欄1030内の項目数だけ、その後に接続項目ID欄1035が続く。接続項目ID欄1035は、接続先項目ID及び接続元項目IDを記憶している。
【0071】
図6は、関係線情報テーブル1100のデータ構造例を示す説明図である。関係線情報テーブル1100は、関係線ID欄1105、接続元項目ID欄1110、接続先項目ID欄1115、属性欄1120を有している。関係線ID欄1105は、関係線IDを記憶している。接続元項目ID欄1110は、その関係線の接続元である項目の項目IDを記憶している。接続先項目ID欄1115は、その関係線の接続先である項目の項目IDを記憶している。属性欄1120は、その関係線の属性を記憶している。属性として、例えば、その関係線の極性がある。極性とは、接続元である項目の数値が増加すれば、接続先である項目の数値も増加する関係(例えば、正比例等)にあるのか、接続元である項目の数値が増加すれば、接続先である項目の数値は減少する関係(例えば、反比例等)にあるのか、の性質である。属性として、例えば、その関係線の関係度合いの強弱又は関係の方向もある。
【0072】
なお、図4~6に示したテーブルは例示であって、この他のデータ構造であってもよい。例えば、グラフ構造を示すデータ構造を用いてもよい。
【0073】
また、連関情報は記憶部105に記憶されていなくてもよい。連関情報はサーバ10と別の装置に記憶されていてもよい。
【0074】
次に、サーバ10の作用について説明する。
【0075】
図7は、サーバ10による連関表生成処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から連関表生成プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、連関表生成処理が行なわれる。
【0076】
まず、CPU11は、ユーザ端末20からの連関表の作成指示の取得を待機する(ステップS101)。
【0077】
CPU11は、ユーザ端末20からの連関表の作成指示を取得するまで連関表作成処理を待機する(ステップS101;No)。
【0078】
ユーザ端末20からの連関表の作成指示を取得すると(ステップS101;Yes)、CPU11は、作成する連関表の基になる連関情報における項目名を記憶部105から取得する(ステップS102)。連関図から連関表を作成する場合、CPU11は、作成する連関表の基になる連関図の連関図IDのレコードを連関図情報テーブル900から取得し、取得したレコードにおける項目IDのレコードを項目情報テーブル1000から取得する。そしてCPU11は、取得した項目IDのレコードにおける項目名を取得する。
【0079】
ステップS102に続いて、CPU11は、取得した項目名について関係を取得する(ステップS103)。具体的には、連関図から連関表を作成する場合、CPU11は、項目情報テーブル1000から取得した項目IDのレコードにおける接続項目IDを取得する。また、CPU11は、項目情報テーブル1000から取得した項目IDと接続項目IDとを結ぶ線に対応する関係線IDのレコードを関係線情報テーブル1100から取得する。
【0080】
ステップS103に続いて、CPU11は、取得した関係に基づいて、取得した項目名を順次配列することで連関表を生成する(ステップS104)。CPU11は、入力した連関情報がプロセスに関する情報を有する場合、取得した関係に基づいて、取得した項目名を順次配列する際に、取得した項目が属するプロセスに従って配列する。
【0081】
ステップS104に続いて、CPU11は、配列した項目名に対する属性情報を入力するための領域を、項目名のそれぞれの隣に配列することで連関表を生成する(ステップS105)。
【0082】
図7に示した、サーバ10による連関表生成処理によって生成される連関表の例を示す。
【0083】
図8は、作成する連関表の基になる連関図の一例を示す図である。記憶部105には、図8に示した連関図200に関する情報が、連関図情報テーブル900、項目情報テーブル1000、関係線情報テーブル1100にそれぞれ格納されている。
【0084】
CPU11は、図8に示した連関図200を入力とし、まず事象を表す項目名の情報を取得する。CPU11は、図8に示した連関表から、「鍋の調理効率」、「品質A」、「一度に調理できる食材の量」、「加熱時の食材の温度」、「加熱部の容量」、「加熱部の伝熱効率」、「物理A」、「加熱部の高さ」、「加熱部の直径」、「加熱部の材料」、「加熱部の厚さ」、「設計A」という項目名を取得する。
【0085】
図8に示した連関図200は、「品質」、「機能」、「物理」、「設計」の4つのプロセスから成るとする。「品質」は1軸、「機能」は2軸、「物理」は3軸、「設計」は4軸であるとする。これらの軸の情報は属する軸欄1025に格納される。「鍋の調理効率」、及び「品質A」は「品質」のプロセスに属する。「一度に調理できる食材の量」、及び「加熱時の食材の温度」は「機能」のプロセスに属する。「加熱部の容量」、「加熱部の伝熱効率」、及び「物理A」は「物理」のプロセスに属する。「加熱部の高さ」、「加熱部の直径」、「加熱部の材料」、「加熱部の厚さ」、及び「設計A」は「設計」のプロセスに属する。
【0086】
なお、「加熱部の熱伝導率」は、複数のプロセスの何れにも属さない項目であるとする。そのため、CPU11は、「加熱部の熱伝導率」は取得しない。
【0087】
図9は、図8に示した連関図から生成された連関表の一例を示す図である。CPU11は、連関図200から連関表300を生成する際に、プロセス毎に同じ列に項目を配列する。
【0088】
図9に示したように、CPU11は、まず「品質」、「機能」、「物理」、「設計」のプロセスをヘッダに配列する。そして、それぞれのプロセスに属する項目名を、プロセスの上位から順に配列する。
【0089】
「品質」のプロセスに属するのは「鍋の調理効率」、及び「品質A」であるので、CPU11は、「品質」の列に「鍋の調理効率」、及び「品質A」を配列する。そして、CPU11は「鍋の調理効率」、及び「品質A」の右隣に属性情報を入力するための入力欄を配列する。図9では、属性情報として「目標値」及び「計測方法」を入力するための入力欄が配列されている。CPU11は、予め作成されたテンプレートを参照して、どのような属性情報を入力するための入力欄を設けるかを決定してもよい。
【0090】
続いて、「機能」のプロセスに属するのは「一度に調理できる食材の量」、及び「加熱時の食材の温度」であるので、CPU11は、「品質」の列に「一度に調理できる食材の量」、及び「加熱時の食材の温度」を配列する。この際、項目の関係を参照すると、「鍋の調理効率」は「一度に調理できる食材の量」、及び「加熱時の食材の温度」と関係がある。従ってCPU11は、「鍋の調理効率」の右に「一度に調理できる食材の量」、及び「加熱時の食材の温度」の両方を配置する。また、「品質A」は「加熱時の食材の温度」とだけ関係がある。従ってCPU11は、「品質A」の右に「加熱時の食材の温度」だけを配置する。そして、CPU11は、「一度に調理できる食材の量」、及び「加熱時の食材の温度」の右隣に属性情報を入力するための入力欄を配列する。図9では、属性情報として「目標値」を入力するための入力欄が配列されている。配列する際に、CPU11は、上位項目と階層関係を持つ下位の階層の項目が複数ある場合、上位項目を配置した行を下位階層の項目の数だけ分割して、下位の階層の項目を配列して表を生成する。例えば、上位項目「鍋の調理効率」と関連する下位の階層の項目は「一度に調理できる食材の量」及び「加熱時の食材の温度」の2つであるので、CPU11は、項目「鍋の調理効率」の行を分割して、下位の階層の項目は「一度に調理できる食材の量」及び「加熱時の食材の温度」を配列している。このように分割されて配置された項目が隣接する場合は、CPU11は、項目を統合して表を生成してもよい。例えば、項目「加熱部の伝熱効率」の右と項目「物理A」の右に同じ項目の「設計A」が配列されているが、項目「設計A」は列方向で隣接しているので、CPU11は、項目「設計A」を統合してもよい。
【0091】
以下、CPU11は、同様にして「物理」のプロセスに属する項目名と、「設計」のプロセスに属する項目名とを配列する。そして、CPU11は、配列した項目名の右隣に、属性情報を入力するための入力欄を配列する。
【0092】
なお、元の連関図に属性情報が入力されている場合は、CPU11は、入力されていた属性情報を連関表に反映させた状態で連関表300を作成する。
【0093】
CPU11は、ユーザ端末20からの操作に応じて、項目の各々についての属性情報を入力するための入力欄の数を任意に増加又は減少させてもよい。
【0094】
連関図には、極性を示す記号が項目の名称に付されている場合がある。図9に示した連関図では、上向きの矢印は、接続元である項目の数値が増加すれば、接続先である項目の数値も増加する関係にあることを意味する。また下向きの矢印は、接続元である項目の数値が増加すれば、接続先である項目の数値は減少する関係にあることを意味する。CPU11は、連関図の基となる連関情報に極性に関する情報が含まれている場合、連関図と同様に、連関表において極性を示す記号を項目の名称に付してもよい。
【0095】
このように、CPU11が作成した、それぞれのプロセスに属する項目を、関係に基づいて順次配列した連関表は、連関図及び展開表と比較して、事象間の関係を把握することが容易となる。
【0096】
図10は、特開2016-081185号公報で開示された発明を用いて、図8に示した連関図200から作成した展開表を示す図である。連関図200はプロセスが4つ規定されているので、展開表400は四元表となる。図10では、対応関係を有する項目の間について、展開表400の対応する位置(セル)に○印を付与している。
【0097】
図8に示した連関図では、「加熱部の材料」がどの項目に影響を与えるかを知るためは、関係を示した線を辿っていく必要がある。また、図10に示した展開表では、「加熱部の材料」がどの項目に影響を与えるかを知るためは、展開表の見方が分かっている必要があり、さらには展開表で印が付いているところを順次辿っていく必要がある。
【0098】
一方、図9に示した連関表300を参照すると、例えば、「設計」のプロセスに属する「加熱部の材料」は、「品質」のプロセスに属する「鍋の調理効率」、及び「品質A」の両方に影響を与えることが、線を辿ったり、印を辿ったりしなくても把握できる。また、図9に示した連関表を参照すると、「機能」のプロセスに属する「食材の温度」に影響を及ぼす、「設計」のプロセスに属する項目は、「加熱部の材料」、「加熱部の厚さ」、及び「設計A」であることが把握できる。
【0099】
また、図9に示した連関表300は、図8に示した連関図及び図10に示した展開表にはない、属性情報を入力及び表示する欄を有する。従って、CPU11が作成する連関表は、項目同士の関係のみならず、項目の各々の属性情報も含めて俯瞰した把握を可能にする。
【0100】
CPU11が作成する連関表は、同一の項目が複数の行に表示される場合がある。例えば、図9を参照すると、「物理」のプロセスに属する「物理A」という項目は3つの行に表示されている。そこで、CPU11は、ある項目の属性情報をユーザが入力する際に、他の行にもその項目が存在する場合は、その他の行の属性情報を入力するための入力欄に、ユーザの入力を反映させて、連関表を表示してもよい。
【0101】
図11は、CPU11が作成する連関表の例を示す図である。図11では、連関表300において、「物理」のプロセスに属する「物理A」という項目の属性情報に任意の文字列が入力されている様子が示されている。この場合、CPU11は、「物理A」の属性情報に同じ文字列が入力されるよう、連関表へ表示を反映する。
【0102】
CPU11は、ある項目、又はその項目の属性情報を連関表上でユーザが選択した場合、他の行にもその項目が存在する場合は、他の行に同じ属性情報が存在する旨を連関表上で通知してもよい。また、CPU11は、ある項目、又はその項目の属性情報を連関表上でユーザが選択した場合、他の行にもその項目が存在する場合は、同じ属性情報の数を連関表上で通知してもよい。
【0103】
図11に示した例では、ポップアップ310が連関表300に表示されている様子が示されている。ポップアップ310には、「物理」のプロセスに属する「物理A」という項目の属性情報の入力欄をユーザが選択した場合、同じ項目が3つ存在する旨、及び同じ項目の属性情報が同時に編集される旨が通知されている。
【0104】
本実施形態に係るサーバ10は、項目の各々に設定した属性情報を含めて、事象の関係が容易に俯瞰できる連関表を作成できる。本実施形態に係るサーバ10は、同じ項目の属性情報を編集できる入力欄を設けた連関表を作成することで、連関図の下流の事象を容易に整理することができる。また、本実施形態に係るサーバ10は、同じ項目の属性情報を同時に編集できる複数の入力欄が存在することを通知することで、意図せずに属性情報が変更されることを防止することができる。
【0105】
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した位置確認処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、位置確認処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0106】
また、上記各実施形態では、連関表生成プログラムがROMまたはストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0107】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0108】
10 サーバ
20A、20B ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11