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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   H01F 1/34 20060101AFI20240402BHJP
   H01F 1/37 20060101ALI20240402BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20240402BHJP
   H05K 1/16 20060101ALI20240402BHJP
   H05K 3/46 20060101ALI20240402BHJP
   C08K 3/22 20060101ALI20240402BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240402BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H01F1/34 140
H01F1/37
H01F17/04 F
H05K1/16 B
H05K3/46 B
H05K3/46 Q
C08K3/22
C08L101/00
C08L63/00 C
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020009727
(22)【出願日】2020-01-24
(65)【公開番号】P2021118241
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-11-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大山 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝幸
(72)【発明者】
【氏名】大浦 一郎
【審査官】久保田 昌晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-178718(JP,A)
【文献】特開2019-067960(JP,A)
【文献】国際公開第2019/181463(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/188344(WO,A1)
【文献】特開2001-093718(JP,A)
【文献】特開2008-066364(JP,A)
【文献】特許第6962480(JP,B2)
【文献】国際公開第2021/149794(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 1/34-1/375、3/08、17/00-19/08
H01F 27/255
H05K 1/16、3/46
C01G 49/00-49/08
C08K 3/22
C08L 63/00、101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)フェライト、及び
(B)熱硬化性樹脂、を含有する樹脂組成物であって、
(A)成分に含まれるカーボン量が、(A)成分100質量%に対して、0.1質量%以下であり、
(A)成分の体積基準の粒径分布における10%径が、0.2μm以上2.0μm以下であり、
(A)成分の体積基準の粒径分布における50%径が、2.0μm以上4.3μm以下であり、
(A)成分の体積基準の粒径分布における90%径が、4.3μm以上8.5μm以下であり、
(A)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、85.4質量%以上であり、
樹脂組成物を180℃で90分間熱硬化させた硬化物の比透磁率(10MHz)が8以上であり、
樹脂組成物190℃で90分間熱硬化させた硬化物の最大点強度(23℃)が40MPa以上である、樹脂組成物。
【請求項2】
(A)成分が、球状フェライトである、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
球状フェライトのアスペクト比が2以下である、請求項2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
(A)成分が、Ni、Cu、Mn、及びZnから選ばれる少なくとも1種の元素を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
(A)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、98質量%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
(B)成分が、エポキシ樹脂を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
ペースト状である、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
スルーホール充填用である、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
支持体と、該支持体上に設けられた、請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層とを含む、磁性シート。
【請求項10】
スルーホールを有する基板と、前記スルーホールに充填した、請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物と、を有する回路基板。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物の硬化物である磁性層を含む、回路基板。
【請求項12】
請求項10又は11に記載の回路基板を含む、インダクタ基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂組成物、及び樹脂組成物を用いて得られる磁性シート、回路基板、インダクタ基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電子機器の小型化、薄型化の要求に伴い、電子機器に使用される回路基板にも小型化、配線の高密度化が求められている。このような回路基板にはスルーホールが設けられる。また、このスルーホール中に、磁性粉体を含む樹脂組成物を充填し、磁性層を形成して、インダクタ基板を作製することがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、インダクタ基板のスルーホール内部の磁性層を形成するための材料として、酸化鉄(III)やコバルト酸化鉄等の磁性粉体と熱硬化性樹脂とを含む樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-197624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、インダクタの性能の向上のため、磁性粉体を含む樹脂組成物の硬化物の比透磁率を高くするには、樹脂組成物に磁性粉体を多く含有させる方法が考えられる。しかし、本発明者は、磁性粉体としてフェライトを多く含有させると、樹脂組成物の粘度が上昇し、また樹脂組成物の硬化物の機械強度および伸び性が低下することを見いだした。樹脂組成物の粘度上昇は取り扱い性の低下や印刷性の低下を引き起こす要因となり、また機械強度および伸び性の低下は、応力等によるクラックが発生する要因となる。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、硬化物の比透磁率に優れ、かつ低粘度で、硬化物の機械強度および伸び性にも優れる樹脂組成物、及び樹脂組成物を用いて得られる磁性シート;回路基板;並びにインダクタ基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、熱硬化性樹脂を含む樹脂組成物中のフェライトに含まれるカーボン量を所定量以下とすることで、硬化物の比透磁率に優れるとともに、低粘度で硬化物の機械強度および伸び性にも優れるようになることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の内容を含む。
[1] (A)フェライト、及び
(B)熱硬化性樹脂、を含有する樹脂組成物であって、
(A)成分に含まれるカーボン量が、(A)成分100質量%に対して、0.1質量%以下であり、
樹脂組成物を180℃で90分間熱硬化させた硬化物の比透磁率(10MHz)が8以上であり、
樹脂組成物190℃で90分間熱硬化させた硬化物の最大点強度(23℃)が40MPa以上である、樹脂組成物。
[2] (A)成分が、球状フェライトである、[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 球状フェライトのアスペクト比が2以下である、[2]に記載の樹脂組成物。
[4] (A)成分が、Ni、Cu、Mn、及びZnから選ばれる少なくとも1種の元素を含む、[1]~[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5] (A)成分の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、70質量%以上98質量%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6] (B)成分が、エポキシ樹脂を含む、[1]~[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7] ペースト状である、[1]~[6]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[8] スルーホール充填用である、[1]~[7]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[9] 支持体と、該支持体上に設けられた、[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層とを含む、磁性シート。
[10] スルーホールを有する基板と、前記スルーホールに充填した、[1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物と、を有する回路基板。
[11] [1]~[8]のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物である磁性層を含む、回路基板。
[12] [10]又は[11]に記載の回路基板を含む、インダクタ基板。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、硬化物の比透磁率に優れるとともに、低粘度で硬化物の機械強度および伸び性にも優れる樹脂組成物、及び樹脂組成物を用いて得られる磁性シート;回路基板;並びにインダクタ基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態の回路基板の製造方法の一例としてのコア基板の模式的な断面図である。
図2図2は、第1実施形態の回路基板の製造方法の一例としてのスルーホールを形成したコア基板の模式的な断面図である。
図3図3は、第1実施形態の回路基板の製造方法の一例としてのスルーホール内にめっき層を形成したコア基板の様子を示す模式的な断面図である。
図4図4は、第1実施形態の回路基板の製造方法の一例としてのスルーホール内に磁性ペーストを充填させたコア基板の様子を示す模式的な断面図である。
図5図5は、第1実施形態の回路基板の製造方法の一例としての充填させた磁性ペーストを熱硬化させたコア基板の様子を示す模式的な断面図である。
図6図6は、第1実施形態の回路基板の製造方法の一例としての硬化物を研磨した後のコア基板の様子を示す模式的な断面図である。
図7図7は、第1実施形態の回路基板の製造方法の一例としての研磨した面上に導体層を形成したコア基板の様子を示す模式的な断面図である。
図8図8は、第1実施形態の回路基板の製造方法の一例としてのパターン導体層を形成したコア基板の様子を示す模式的な断面図である。
図9図9は、第2実施形態の回路基板の製造方法の一例に含まれる(A)工程を説明するための模式的な断面図である。
図10図10は、第2実施形態の回路基板の製造方法の一例に含まれる(A)工程を説明するための模式的な断面図である。
図11図11は、第2実施形態の回路基板の製造方法の一例に含まれる(B)工程を説明するための模式的な断面図である。
図12図12は、第2実施形態の回路基板の製造方法の一例に含まれる(D)工程を説明するための模式的な断面図である。
図13図13は、一例としての第2実施形態の回路基板の製造方法により得た回路基板を含むインダクタ基板をその厚さ方向の一方からみた模式的な平面図である。
図14図14は、一例としてのII-II一点鎖線で示した位置で切断した第2実施形態の回路基板の製造方法により得た回路基板を含むインダクタ基板の切断端面を示す模式的な図である。
図15図15は、一例としての第2実施形態の回路基板の製造方法により得た回路基板を含むインダクタ基板のうちの第1導体層の構成を説明するための模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図面は、発明が理解できる程度に、構成要素の形状、大きさおよび配置が概略的に示されているに過ぎない。本発明は以下の記述によって限定されるものではなく、各構成要素は本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、本発明の実施形態にかかる構成は、必ずしも図示例の配置により、製造されたり、使用されたりするとは限らない。
【0012】
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、(A)フェライト及び(B)熱硬化性樹脂を含有する樹脂組成物であって、(A)成分に含まれるカーボン量が、(A)成分100質量%に対して、0.1質量%以下であり、樹脂組成物を180℃で90分間熱硬化させた硬化物の比透磁率(10MHz)が8以上であり、樹脂組成物180℃で90分間熱硬化させた硬化物の最大点強度(23℃)が40MPa以上である。本発明では、カーボン量を所定量以下にしたフェライトを樹脂組成物に含有させることで、硬化物の比透磁率に優れるとともに、低粘度で硬化物の機械強度および伸び性にも優れる樹脂組成物を得ることも可能となる。
【0013】
樹脂組成物は、(A)~(B)成分に組み合わせて、さらに任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分としては、例えば、(C)分散剤、(D)硬化促進剤、及び(E)その他の添加剤等が挙げられる。以下、本発明の樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
【0014】
<(A)フェライト>
樹脂組成物は、(A)成分として、(A)フェライトを含有する。この(A)成分に含まれるカーボン量は、(A)成分100質量%に対して、0.1質量%以下である。(A)成分に含まれるカーボン量を(A)成分100質量%に対して、0.1質量%以下とすることで、粘度が低く、印刷性及び取扱い性に優れるようになる。一般に、フェライトは、原料の造粒物に焼結助剤を混合し、焼結を行うことで作製する。本発明者らは、焼結後もその焼結助剤に由来するカーボンがフェライト中に残留し、そのカーボンが樹脂組成物の粘度を高くすることを見いだした。フェライト中に含まれるカーボンの量を所定値以下とすることで、樹脂組成物の粘度を低くするという技術的思想は、本発明者らが知る限り、従来なんら提案されていなかったといえる。ここで、カーボン量とは、表面処理剤におけるカーボン量は含めない。(A)成分に含まれるカーボン量の調整は、例えば、ラウリン酸等の焼結助剤の量を調整すること等により行うことができる。
【0015】
(A)成分に含まれるカーボン量としては、(A)成分100質量%に対して、0.1質量%以下であり、好ましくは0.09質量%以下、より好ましくは0.08質量%以下である。カーボン量の下限は特に制限されないが、(A)成分100質量%に対して、0質量%以上、又は0.001質量%以上等とし得る。
【0016】
(A)成分に含まれるカーボン量は、炭素分析装置を用いて測定することができる。炭素分析装置においては、例えば、高周波誘導炉で測定対象のフェライトを燃焼させ、生成した一酸化炭素および二酸化炭素を赤外線吸収法によりカーボン量を測定することができる。具体的には、炭素分析装置の酸素ガス圧を2.5kg/cmとし、窒素ガス圧を2.8kg/cmとする。まず、測定対象のフェライトと同程度のカーボン量であって、カーボン量が明らかな標準試料のカーボン量を測定する。次に、フェライトを用いずに測定する空試験を行い、以下の式から換算係数を算出する。
換算係数=標準試料のはかり取り量(g)/{(標準試料の測定値)-(空試験での測定値)}×標準試料のカーボン量(質量%)/100
続いて、測定対象のフェライトについて前記の炭素分析装置を用いて測定し、下記式によってカーボン量を算出する。
カーボン量(質量%)={(測定対象のフェライトの測定値)-(空試験での測定値)}×換算係数/測定対象のフェライトのはかり取り量(g)×100
【0017】
(A)成分に、後述する表面処理剤による表面処理がなされている場合、測定するフェライトを、100mL/分の流量で窒素をフローしながら電気炉にて500℃で6時間加熱して、フェライト表面の表面処理剤を除去した後に、上記した方法にてカーボン量を算出する。なお、焼結助剤に由来するカーボンは1000℃程度の温度であっても除去することはできないが、表面処理剤は、通常、500℃~600℃の温度で加熱することで完全に除去することが可能である。
【0018】
フェライトとしては、例えば、Mg-Zn系フェライト、Fe-Mn系フェライト、Mn-Zn系フェライト、Mn-Mg系フェライト、Cu-Zn系フェライト、Mg-Mn-Sr系フェライト、Ni-Zn系フェライト、Ba-Zn系フェライト、Ba-Mg系フェライト、Ba-Ni系フェライト、Ba-Co系フェライト、Ba-Ni-Co系フェライト、Y系フェライト、酸化鉄粉(III)、四酸化三鉄等が挙げられる。中でも、フェライトとしては、Ni、Cu、Mn、及びZnから選ばれる少なくとも1種の元素を含むことが好ましく、Fe-Mn系フェライトがより好ましい。(A)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
フェライトとしては、市販のフェライトを用いることができる。用いられ得る市販のフェライトの具体例としては、パウダーテック社製「M05S」(カーボン量0.01質量未満)、「E10s」(カーボン量0.01質量%未満)等が挙げられる。
【0020】
フェライトは、球状フェライトであることが好ましい。フェライトの長軸の長さを短軸の長さで除した値(アスペクト比)としては、好ましくは2以下、より好ましくは1.5以下、さらに好ましくは1.2以下であり、さらに好ましくは1.1であり、特に好ましくは1.0である。一般に、フェライトは球状ではない扁平な形状であるほうが、比透磁率を向上させやすい。しかし、特に球状のフェライトを用いる方が、通常、磁気損失を低くでき、また好ましい粘度を有する樹脂組成物を得る観点から好ましい。アスペクト比は、後述する方法にて測定することができる。
【0021】
(A)成分の平均粒径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的にはレーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、磁性粉体の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒径とすることで測定することができる。測定サンプルは、磁性粉体を超音波により水中に分散させたものを好ましく使用することができる。レーザー回折散乱式粒径分布測定装置としては、堀場製作所社製「LA-500」、島津製作所社製「SALD-7500nano」、「SALD-2200」等を使用することができる。
【0022】
粒径分布における10%径(D10)とは、上記の方法により粒径分布を測定した結果、粒径分布曲線において、粒径の小さい側から累積した体積の積算量が10%となるときの体積平均粒径をいう。50%粒径(D50)とは、上記の方法により粒径分布を測定した結果、粒径分布曲線において、粒径の小さい側から累積した体積の積算量が50%となるときの体積平均粒径をいう。また、90%粒径(D90)とは、上記の方法により粒径分布を測定した結果、粒径分布曲線において、粒径の小さい側から累積した体積の積算量が90%となるときの体積平均粒径をいう。
【0023】
粒径分布における10%径(D10)としては、比透磁率に優れる硬化物を得る観点から、好ましくは0.2μm以上、より好ましくは0.25μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上である。上限は好ましくは2.0μm以下、好ましくは2.0μm未満、より好ましくは1.9μm以下、さらに好ましくは1.8μm以下である。
【0024】
粒径分布における50%粒径(D50)としては、比透磁率に優れる硬化物を得る観点から、好ましくは2.0μm以上、より好ましくは2.1μm以上、さらに好ましくは2.2μm以上である。上限は好ましくは4.3μm以下、好ましくは4.3μm未満、より好ましくは4.2μm以下、さらに好ましくは4.1μm以下である。
【0025】
粒径分布における90%粒径(D90)としては、比透磁率に優れる硬化物を得る観点から、好ましくは4.3μm以上、より好ましくは4.4μm以上、さらに好ましくは4.5μm以上である。上限は好ましくは8.5μm以下、より好ましくは8.4μm以下、さらに好ましくは8.3μm以下である。
【0026】
(A)成分の比表面積は、磁気特性に優れる硬化物を得る観点から、好ましくは0.05m/g以上、より好ましくは0.1m/g以上、さらに好ましくは0.3m/g以上である。また、好ましくは10m/g以下、より好ましくは8m/g以下、さらに好ましくは5m/g以下である。(A)成分の比表面積は、BET法によって測定できる。
【0027】
(A)成分は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていてもよい。表面処理剤としては、例えば、ビニルシラン系カップリング剤、(メタ)アクリル系カップリング剤、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
【0028】
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM1003」(ビニルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM503」(3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
【0029】
表面処理剤による表面処理の程度は、(A)成分の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、(A)成分100質量部は、0.2質量部~5質量部の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量部~3質量部で表面処理されていることが好ましく、0.3質量部~2質量部で表面処理されていることが好ましい。
【0030】
(A)成分の含有量(体積%)は、磁気特性に優れる硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100体積%とした場合、好ましくは10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、さらに好ましくは30体積%以上である。また、好ましくは85体積%以下、より好ましくは80体積%以下、さらに好ましくは75体積%以下である。
【0031】
(A)成分の含有量(質量%)は、磁気特性に優れる硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上である。また、好ましくは98質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは90質量%以下である。なお、本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
【0032】
<(B)熱硬化性樹脂>
樹脂組成物は、(B)成分として熱硬化性樹脂を含有する。(B)熱硬化性樹脂としては、例えば、配線板の絶縁層を形成する際に使用される熱硬化性樹脂を用いることができる。このような熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、ナフトール系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、活性エステル系樹脂、シアネートエステル系樹脂、カルボジイミド系樹脂、アミン系樹脂、酸無水物系樹脂等が挙げられ、中でもエポキシ樹脂を含むことが好ましい。
【0033】
(B)熱硬化性樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ここで、フェノール系樹脂、ナフトール系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、活性エステル系樹脂、シアネートエステル系樹脂、カルボジイミド系樹脂、アミン系樹脂、及び酸無水物系樹脂のように、エポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させられる成分をまとめて「硬化剤」ということがある。
【0034】
エポキシ樹脂は、例えば、グリシロール型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;ビスフェノールS型エポキシ樹脂;ビスフェノールAF型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;トリスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂;tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂;ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂等の縮合環構造を有するエポキシ樹脂;グリシジルアミン型エポキシ樹脂;グリシジルエステル型エポキシ樹脂;クレゾールノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;線状脂肪族エポキシ樹脂;ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂;脂環式エポキシ樹脂;複素環式エポキシ樹脂;スピロ環含有エポキシ樹脂;シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂;トリメチロール型エポキシ樹脂;テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂から選ばれる1種以上であることが好ましい。
【0035】
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。また、エポキシ樹脂は、芳香族構造を有することが好ましく、2種以上のエポキシ樹脂を用いる場合は少なくとも1種が芳香族構造を有することがより好ましい。芳香族構造とは、一般に芳香族と定義される化学構造であり、多環芳香族及び芳香族複素環をも含む。エポキシ樹脂の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
【0036】
エポキシ樹脂には、温度25℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」とい
うことがある。)と、温度25℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。(B)成分としてエポキシ樹脂を含有する場合、エポキシ樹脂として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、液状エポキシ樹脂及び固体状エポキシ樹脂を組み合わせて含んでいてもよいが、樹脂組成物の粘度を低下させる観点から、液状エポキシ樹脂のみを含むことが好ましい。
【0037】
液状エポキシ樹脂としては、グリシロール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、グリシロール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及びビスフェノールF型エポキシ樹脂がより好ましい。液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」、ADEKA社製の「ED-523T」(グリシロール型エポキシ樹脂(アデカグリシロール))、「EP-3980S」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂)、「EP-4088S」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂)、「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);新日鉄化学社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
固体状エポキシ樹脂としては、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」、三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0039】
(B)成分として、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを併用する場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、好ましくは1:0.1~1:4、より好ましくは1:0.3~1:3.5、さらに好ましくは1:0.6~1:3である。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比が斯かる範囲にあることにより、本発明の所望の効果を顕著に得ることができる。
【0040】
(B)成分としてのエポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5000g/eq.、より好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2000g/eq.、さらにより好ましくは110g/eq.~1000g/eq.である。この範囲となることで、硬化物の架橋密度が十分となり表面粗さの小さい磁性層をもたらすことができる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができ、1当量のエポキシ基を含む樹脂の質量である。
【0041】
(B)成分としてのエポキシ樹脂の重量平均分子量は、好ましくは100~5000、より好ましくは250~3000、さらに好ましくは400~1500である。ここで、エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
【0042】
活性エステル系樹脂としては、1分子中に1個以上の活性エステル基を有する樹脂を用いることができる。中でも、活性エステル系樹脂としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する樹脂が好ましい。当該活性エステル系樹脂は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系樹脂が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系樹脂がより好ましい。
【0043】
カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
【0044】
フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
【0045】
活性エステル系樹脂の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系樹脂、ナフタレン構造を含む活性エステル系樹脂、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系樹脂、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系樹脂が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル系樹脂、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系樹脂がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
【0046】
活性エステル系樹脂の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系樹脂として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H-65TM」、「EXB-8000L-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含む活性エステル系樹脂として「EXB9416-70BK」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-8150L-65T」、「EXB-8150-62T」(DIC社製);フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系樹脂として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系樹脂として「YLH1026」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系樹脂として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系樹脂として「YLH1026」(三菱ケミカル社製)、「YLH1030」(三菱ケミカル社製)、「YLH1048」(三菱ケミカル社製);等が挙げられる。
【0047】
フェノール系樹脂及びナフトール系樹脂としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するものが好ましい。また、導体層との密着性の観点から、含窒素フェノール系硬化剤が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系樹脂がより好ましい。
【0048】
フェノール系樹脂及びナフトール系樹脂の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN-495V」「SN375」、「SN395」、DIC社製の「TD-2090」、「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-1356」、「LA-3018-50P」、「EXB-9500」等が挙げられる。
【0049】
ベンゾオキサジン系樹脂の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OD100」(ベンゾオキサジン環当量218g/eq.)、「JBZ-OP100D」(ベンゾオキサジン環当量218g/eq.)、「ODA-BOZ」(ベンゾオキサジン環当量218g/eq.);四国化成工業社製の「P-d」(ベンゾオキサジン環当量217g/eq.)、「F-a」(ベンゾオキサジン環当量217g/eq.);昭和高分子社製の「HFB2006M」(ベンゾオキサジン環当量432g/eq.)等が挙げられる。
【0050】
シアネートエステル系樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル、等の2官能シアネート樹脂;フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂;これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー;などが挙げられる。シアネートエステル系樹脂の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」及び「PT60」(フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「ULL-950S」(多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
【0051】
カルボジイミド系樹脂の具体例としては、日清紡ケミカル社製のカルボジライト(登録商標)V-03(カルボジイミド基当量:216g/eq.)、V-05(カルボジイミド基当量:262g/eq.)、V-07(カルボジイミド基当量:200g/eq.)、V-09(カルボジイミド基当量:200g/eq.);ラインケミー社製のスタバクゾール(登録商標)P(カルボジイミド基当量:302g/eq.)が挙げられる。
【0052】
アミン系樹脂としては、1分子内中に1個以上のアミノ基を有する樹脂が挙げられ、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、本発明の所望の効果を奏する観点から、芳香族アミン類が好ましい。アミン系樹脂は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系硬化剤の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、ジフェニルジアミノスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系樹脂は市販品を用いてもよく、例えば、日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」等が挙げられる。
【0053】
酸無水物系樹脂としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する樹脂が挙げられる。酸無水物系樹脂の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。
【0054】
(B)成分としてエポキシ樹脂及び硬化剤を含有する場合、エポキシ樹脂とすべての硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.01~1:5の範囲が好ましく、1:0.5~1:3がより好ましく、1:1~1:2がさらに好ましい。ここで、「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値を全て合計した値である。また、「硬化剤の活性基数」とは、樹脂組成物中に存在する硬化剤の不揮発成分の質量を活性基当量で除した値を全て合計した値である。
【0055】
(B)熱硬化性樹脂の含有量は、機械特性及び磁気特性に優れる硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上である。上限は、本発明の効果が奏される限りにおいて特に限定されないが、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。
【0056】
(B)熱硬化性樹脂のうち、固形の熱硬化性樹脂の含有量が、樹脂組成物中の(B)熱硬化性樹脂を100質量%とした場合、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下、10質量%以下、又は8質量%以下であり、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上であり、さらに好ましくは1質量%以上である。「固形の熱硬化性樹脂」とは、25℃で粘度が20Pa・s以上の固形状の熱硬化性樹脂をいう。固形の熱硬化性樹脂の含有量を斯かる範囲内となるように調整することにより、樹脂組成物の粘度を低下させることが可能となる。
【0057】
<(C)分散剤>
樹脂組成物は、さらに任意成分として、(C)分散剤を含んでいてもよい。
【0058】
(C)分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸等のリン酸エステル系分散剤;ドデシルベンゼルスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩等のアニオン性分散剤;オルガノシロキサン系分散剤、ポリオキシアルキレン系分散剤、アセチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド等の非イオン性分散剤等が挙げられる。これらの中でも、非イオン性分散剤が好ましい。(C)分散剤は1種単独で用いてもよく、又は2種以上を併用してもよい。
【0059】
リン酸エステル系分散剤は、市販品を用いることができる。市販品として、例えば東邦化学工業社製「フォスファノール」シリーズの「RS-410」、「RS-610」、「RS-710」等が挙げられる。
【0060】
オルガノシロキサン系分散剤としては、市販品として、ビックケミー社製「BYK347」、「BYK348」等が挙げられる。
【0061】
ポリオキシアルキレン系分散剤としては、市販品として、日油株式会社製「マリアリム」シリーズの「AKM-0531」、「AFB-1521」、「SC-0505K」、「SC-1015F」及び「SC-0708A」、並びに「HKM-50A」等が挙げられる。ポリオキシアルキレン系分散剤とは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド等をまとめた総称である。
【0062】
アセチレングリコールとしては、市販品として、Air Products and Chemicals Inc.製「サーフィノール」シリーズの「82」、「104」、「440」、「465」及び「485」、並びに「オレフィンY」等が挙げられる。
【0063】
(C)分散剤を含む場合、(C)分散剤の含有量は、本発明の効果を顕著に発揮させる観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、上限は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0064】
<(D)硬化促進剤>
樹脂組成物は、さらに任意成分として、(D)硬化促進剤を含んでいてもよい。(D)硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、金属系硬化促進剤がより好ましく、イミダゾール系硬化促進剤がさらに好ましい。(D)硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0065】
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
【0066】
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられ、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセンが好ましい。
【0067】
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。
【0068】
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、四国化成社製の「2P4MZ」、三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
【0069】
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが好ましい。
【0070】
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
【0071】
(D)硬化促進剤を含む場合、(D)硬化促進剤の含有量は、機械特性により優れる硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上であり、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0072】
<(E)任意の添加剤>
樹脂組成物は、さらに必要に応じて、任意の添加剤を含んでいてもよい。斯かる他の添加剤としては、例えば、フェノキシ樹脂等の熱可塑性樹脂、難燃剤、有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物、並びに、増粘剤、消泡剤、レベリング剤、密着性付与剤、及び着色剤等の樹脂添加剤等が挙げられる。
【0073】
<樹脂組成物の製造方法>
樹脂組成物は、例えば、配合成分を、3本ロール、回転ミキサーなどの撹拌装置を用いて撹拌する方法によって製造できる。
【0074】
<樹脂組成物の物性等>
樹脂組成物は、粘度が低いという特性を示す。よって、樹脂組成物は、ペースト状(ペースト状の樹脂組成物)であるという特性をもたらし、スルーホール充填用の樹脂組成物として好適に使用することができる。樹脂組成物の粘度は、具体的には、25℃で、好ましくは200Pa・s以下、より好ましくは150Pa・s以下、さらに好ましくは140Pa・s以下である。下限は特に限定されないが、好ましくは20Pa・s以上、より好ましくは30Pa・s以上である。粘度は、樹脂組成物の温度を25±2℃に保ち、E型粘度計を用いて測定することができ、詳細は後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0075】
樹脂組成物は、通常溶剤を含まなくても粘度が低いという特性を示すペースト状の組成物であり得る。よって、樹脂組成物中に含まれる溶剤の含有量は、樹脂組成物の全質量に対して、好ましくは1.0質量%未満、より好ましくは0.8質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.1質量%以下である。下限は、特に制限はないが0.001質量%以上、又は含有しないことである。樹脂組成物は、通常液状の熱硬化性樹脂等を使用することにより、溶剤を含まなくてもその粘度を低くすることができる。樹脂組成物中の溶剤の量が少ないことにより、溶剤の揮発によるボイドの発生を抑制することができるうえに、真空印刷への適応も可能となる。
【0076】
樹脂組成物を180℃で90分間熱硬化させた硬化物は、周波数10MHzにおける比透磁率が高いという特性を示す。周波数10MHzにおける比透磁率は、8以上であり、好ましくは9以上、より好ましくは10以上である。上限は特に限定されないが、50以下等とし得る。比透磁率は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0077】
樹脂組成物を180℃で90分間熱硬化させた硬化物は、好ましくは、周波数100MHzにおける比透磁率が高いことが好ましい。周波数100MHzにおける比透磁率は、好ましくは5以上、より好ましくは6以上、さらに好ましくは7以上である。上限は特に限定されないが、30以下等とし得る。比透磁率は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0078】
樹脂組成物を180℃で90分間熱硬化させた硬化物は、周波数10MHzにおける磁気損失が低いという特性を示す。周波数10MHzにおける磁気損失は、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.1以下である。下限は特に限定されないが、0.001以上等とし得る。磁気損失は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0079】
樹脂組成物を180℃で90分間熱硬化させた硬化物は、好ましくは、周波数100MHzにおける磁気損失が低いことが好ましい。周波数100MHzにおける磁気損失は、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下、さらに好ましくは0.1以下である。下限は特に限定されないが、0.001以上等とし得る。磁気損失は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0080】
樹脂組成物を190℃で90分間熱硬化させた硬化物は、最大点強度が高いという特性を示す。23℃における最大点強度は、40MPa以上であり、好ましくは50MPa以上、より好ましくは55MPa以上である。上限は特に限定されないが、200MPa以下等とし得る。最大点強度は、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0081】
樹脂組成物を190℃で90分間熱硬化させた硬化物は、好ましくは、伸びが高いことが好ましい。23℃における伸びは、好ましくは0.4%以上、より好ましくは0.5%以上、さらに好ましくは0.6%以上である。上限は特に限定されないが、5%以下等とし得る。伸びは、後述する実施例に記載の方法に従って測定することができる。
【0082】
[磁性シート]
磁性シートは、支持体と、該支持体上に設けられた、本発明の樹脂組成物で形成された樹脂組成物層とを含む。
【0083】
樹脂組成物層の厚さは、薄型化の観点から、好ましくは250μm以下、より好ましくは200μm以下である。樹脂組成物層の厚さの下限は、特に限定されないが、通常、5μm以上、10μm以上等とし得る。
【0084】
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
【0085】
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0086】
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
【0087】
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理を施してあってもよい。
【0088】
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、アルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルムである、リンテック社製の「PET501010」、「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」;東レ社製の「ルミラーT60」;帝人社製の「ピューレックス」;ユニチカ社製の「ユニピール」等が挙げられる。
【0089】
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
【0090】
磁性シートにおいて、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)には、支持体に準じた保護フィルムをさらに積層することができる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。磁性シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。磁性シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
【0091】
[回路基板及びその製造方法]
第1実施形態の回路基板は、スルーホールを有する基板と、前記スルーホールに充填した、本発明の樹脂組成物の硬化物とを含む。また、第2実施形態の回路基板は、磁性シートの樹脂組成物層の硬化物により形成された磁性層を含む。以下、回路基板の製造方法の第1実施形態及び第2実施形態について説明する。但し、本発明に係る回路基板の製造方法は、以下に例示する第1及び第2実施形態に限定されない。
【0092】
<第1実施形態>
第1実施形態の回路基板は、例えば、下記の工程(1)~(4)を含む製造方法によって製造する。第1実施形態では、樹脂組成物を用いて磁性層を形成することが好ましく、ペースト状の樹脂組成物を用いて磁性層を形成することがより好ましい。
(1)スルーホールを有する基板のスルーホールに樹脂組成物を充填する工程、
(2)該樹脂組成物を熱硬化させ、硬化物を得る工程、
(3)硬化物又は樹脂組成物の表面を研磨する工程、及び
(4)硬化物を研磨した面に導体層を形成する工程、を含む。
本発明の回路基板の製造方法は、工程(1)~(4)の順で行ってもよく、工程(3)の後に工程(2)を行ってもよい。
【0093】
以下、回路基板を製造するにあたっての上記の工程(1)~(4)について詳細に説明する。
【0094】
<工程(1)>
工程(1)を行うにあたって、樹脂組成物を準備する工程を含んでいてもよい。樹脂組成物は、上記において説明したとおりである。
【0095】
また、工程(1)を行うにあたって、図1に一例を示すように、支持基板11、並びに該支持基板11の両表面に設けられた銅箔等の金属からなる第1金属層12、及び第2金属層13を備えるコア基板10を準備する工程を含んでいてもよい。支持基板11の材料の例としては、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の絶縁性基材が挙げられる。第1及び第2金属層の材料の例としては、キャリア付銅箔、後述する導体層の材料等が挙げられる。
【0096】
また、図2に一例を示すように、コア基板10にスルーホール14を形成する工程を含んでいてもよい。スルーホール14は、例えば、ドリル、レーザー照射、プラズマ照射等により形成することができる。具体的には、ドリル等を用いてコア基板10に貫通穴を形成することにより、スルーホール14を形成することができる。
【0097】
スルーホール14の形成は、市販されているドリル装置を用いて実施することができる。市販されているドリル装置としては、例えば、日立ビアメカニクス社製「ND-1S211」等が挙げられる。
【0098】
コア基板10にスルーホール14を形成した後、図3に一例を示すように、コア基板10の粗化処理を行い、スルーホール14内、第1金属層12の表面上、及び第2金属層13の表面上にめっき層20を形成する工程を含んでいてもよい。
【0099】
前記の粗化処理としては、乾式及び湿式のいずれの粗化処理を行ってもよい。乾式の粗化処理の例としては、プラズマ処理等が挙げられる。また、湿式の粗化処理の例としては、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、及び、中和液による中和処理をこの順に行う方法が挙げられる。
【0100】
めっき層20は、めっき法により形成され、めっき法によりめっき層20が形成される手順は、後述する工程(4)における導体層の形成と同様である。
【0101】
スルーホール14内にめっき層20を形成されたコア基板10を用意した後で、図4に一例を示すように、樹脂組成物30aをスルーホール14へ充填する。充填は、例えば印刷法で行い得る。印刷法としては、例えば、スキージを介してスルーホール14へ樹脂組成物30aを印刷する方法、カートリッジを介して樹脂組成物30aを印刷する方法、マスク印刷して樹脂組成物30aを印刷する方法、ロールコート法、インクジェット法等が挙げられる。
【0102】
<工程(2)>
工程(2)では、スルーホール14内に樹脂組成物30aを充填後、樹脂組成物30aを熱硬化して、図5に一例を示すように、スルーホール14内に硬化物層(磁性層)30を形成する。樹脂組成物30aの熱硬化条件は、樹脂組成物30aの組成や種類によっても異なるが、硬化温度は好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは150℃以上であり、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。樹脂組成物30aの硬化時間は、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、さらに好ましくは15分以上であり、好ましくは120分以下、より好ましくは100分以下、さらに好ましくは90分以下である。
【0103】
工程(2)における磁性層30の硬化度としては、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。硬化度は、例えば示差走査熱量測定装置を用いて測定することができる。
【0104】
樹脂組成物30aを熱硬化させる前に、樹脂組成物30aに対して、硬化温度よりも低い温度で加熱する予備加熱処理を施してもよい。例えば、樹脂組成物30aを熱硬化させるのに先立ち、通常50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上110℃以下、より好ましくは70℃以上100℃以下)の温度にて、樹脂組成物30aを、通常5分間以上(好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間)、予備加熱してもよい。
【0105】
<工程(3)>
工程(3)では、図6に一例を示すように、コア基板10から突出又は付着している余剰の磁性層30を研磨することにより除去し、平坦化する。研磨方法としては、コア基板10から突出又は付着している余剰の磁性層30を研磨することができる方法を用いることができる。このような研磨方法としては、例えば、バフ研磨、ベルト研磨等が挙げられる。市販されているバフ研磨装置としては石井表記社製「NT-700IM」等が挙げられる。
【0106】
磁性層の研磨面の算術平均粗さ(Ra)としては、めっき密着性を向上させる観点から、好ましくは300nm以上、より好ましくは350nm以上、さらに好ましくは400nm以上である。上限は、好ましくは1000nm以下、より好ましくは900nm以下、さらに好ましくは800nm以下である。表面粗さ(Ra)は、例えば、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
【0107】
工程(2)の後に工程(3)を行う場合、工程(2)後工程(3)前に、磁性層の硬化度をさらに高める等の目的で、必要により熱処理を施してもよい。前記熱処理における温度は上記した硬化温度に準じて行えばよく、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは150℃以上であり、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。熱処理時間は、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、さらに好ましくは15分以上であり、好ましくは90分以下、より好ましくは70分以下、さらに好ましくは60分以下である。
【0108】
また、工程(2)の前に工程(3)を行う場合、工程(3)の前に、樹脂組成物の硬化温度よりも低い温度で加熱する予備加熱処理を施してもよい。前記予備加熱処理における温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは110℃以上、さらに好ましくは120℃以上であり、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。熱処理時間は、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、さらに好ましくは15分以上であり、好ましくは90分以下、より好ましくは70分以下、さらに好ましくは60分以下である。
【0109】
<工程(4)>
工程(4)では、図7に一例を示すように、磁性層30の研磨面、及びめっき層20上に導体層40を形成する。さらに、導体層40を形成後、図8に一例を示すように、エッチング等の処理により導体層40、第1金属層12、第2金属層13、及びめっき層20の一部を除去してパターン導体層41を形成してもよい。ここで示す例では、工程(3)にて硬化物を研磨しているので、磁性層を粗化処理する工程を含まない。図7では、導体層40はコア基板10の両面に形成されているが、導体層40は、コア基板10の一方の面のみに形成してもよい。
【0110】
導体層の形成方法は、例えば、めっき法、スパッタ法、蒸着法などが挙げられ、中でもめっき法が好ましい。好適な実施形態では、セミアディティブ法、フルアディティブ法等の適切な方法によって硬化物の表面にめっきして、所望の配線パターンを有するパターン導体層を形成する。導体層の材料としては、例えば、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ、インジウム等の単金属;金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムの群から選択される2種以上の金属の合金が挙げられる。中でも、汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅、又はニッケルクロム合金、銅ニッケル合金、銅チタン合金を用いることが好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅、又はニッケルクロム合金を用いることがより好ましく、銅を用いることがさらに好ましい。
【0111】
ここで、硬化物を研磨した面上にパターン導体層を形成する実施形態の例を、詳細に説明する。硬化物を研磨した面に、無電解めっきにより、めっきシード層を形成する。次いで、形成されためっきシード層上に、電解めっきにより電解めっき層を形成し、必要に応じて、不要なめっきシード層をエッチング等の処理により除去して、所望の配線パターンを有する導体層を形成できる。導体層形成後、導体層のピール強度を向上させる等の目的で、必要によりアニール処理を行ってもよい。アニール処理は、例えば、回路基板を150~200℃で20~90分間加熱することにより行うことができる。
【0112】
パターン導体層の厚さは、薄型化の観点から、好ましくは70μm以下であり、より好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下、さらにより好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下、20μm以下、15μm以下又は10μm以下である。下限は好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。
【0113】
<第2実施形態>
第2実施形態の回路基板は、樹脂組成物の硬化物により形成された磁性層を含む。第2実施形態では、磁性シートを用いて磁性層を形成することが好ましい。以下、製品基板の製造方法の第2実施形態について説明する。第1実施形態と説明が重複する箇所は適宜説明を省略する。
【0114】
第2実施形態の回路基板は、例えば、下記の工程(A)~(D)を含む製造方法によって製造する。
(A)磁性シートを、樹脂組成物層が内層基板と接合するように内層基板に積層し、磁性層を形成する工程、
(B)磁性層に穴あけ加工を行う工程、
(C)磁性層の表面を研磨する工程、及び
(D)磁性層の研磨した面に導体層を形成する工程、を含む。
【0115】
以下、回路基板を製造するにあたっての上記の工程(A)~(D)について詳細に説明する。
【0116】
<(A)工程>
(A)工程は、磁性シートを、樹脂組成物層が内層基板と接合するように内層基板に積層し、磁性層を形成する工程である。(A)工程の一実施形態として、磁性シートを、樹脂組成物層が内層基板と接合するように内層基板に積層し、樹脂組成物層を熱硬化して磁性層を形成する。
【0117】
(A)工程において、図9に一例を示すように、支持体330と、該支持体330上に設けられた樹脂組成物層320aとを含む磁性シート310を、樹脂組成物層320aが内層基板200と接合するように、内層基板200に積層させる。
【0118】
内層基板200は、絶縁性の基板である。内層基板200の材料としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等の絶縁性基材が挙げられる。内層基板200は、その厚さ内に配線等が作り込まれた内層回路基板であってもよい。
【0119】
図9に一例を示すように、内層基板200は、第1主表面200a上に設けられる第1導体層420と、第2主表面200b上に設けられる外部端子240とを有している。第1導体層420は、複数の配線を含んでいてもよい。図示例ではインダクタ素子のコイル状導電性構造体400を構成する配線のみが示されている。外部端子240は図示されていない外部の装置等と電気的に接続するための端子である。外部端子240は、第2主表面200bに設けられる導体層の一部として構成することができる。
【0120】
第1導体層420、及び外部端子240を構成し得る導体材料としては、第1実施形態の「<工程(4)>」欄において説明した導体層の材料と同様である。
【0121】
第1導体層420、及び外部端子240は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。また、第1導体層420、外部端子240の厚さは、後述する第2導体層440と同様である。
【0122】
第1導体層420及び外部端子240のライン(L)/スペース(S)比は特に制限されないが、表面の凹凸を減少させて平滑性に優れる磁性層を得る観点から、通常、900/900μm以下、好ましくは700/700μm以下、より好ましくは500/500μm以下、さらに好ましくは300/300μm以下、さらにより好ましくは200/200μm以下である。ライン/スペース比の下限は特に制限されないが、スペースへの樹脂組成物層の埋め込みを良好にする観点から、好ましくは1/1μm以上である。
【0123】
内層基板200は第1主表面200aから第2主表面200bに至るように内層基板200を貫通する複数のスルーホール220を有していてもよい。スルーホール220にはスルーホール内配線220aが設けられている。スルーホール内配線220aは、第1導体層420と外部端子240とを電気的に接続している。
【0124】
樹脂組成物層320aと内層基板200との接合は、例えば、支持体330側から、磁性シート310を内層基板200に加熱圧着することにより行うことができる。磁性シート310を内層基板200に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(ステンレス(SUS)鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を磁性シート310に直接的に接触させてプレスするのではなく、内層基板200の表面の凹凸に磁性シート310が十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材からなるシート等を介してプレスするのが好ましい。
【0125】
加熱圧着する際の温度は、好ましくは80℃~160℃、より好ましくは90℃~140℃、さらに好ましくは100℃~120℃の範囲であり、加熱圧着する際の圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着する際の時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。磁性シートと内層基板との接合は、圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施することが好ましい。
【0126】
磁性シート310の樹脂組成物層320aと内層基板200との接合は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアプリケーター等が挙げられる。
【0127】
磁性シート310と内層基板200との接合の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された磁性シート310の平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理とは、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
【0128】
磁性シートを内層基板に積層した後、樹脂組成物層を熱硬化して磁性層を形成する。図10に一例を示すように、内層基板200に接合させた樹脂組成物層320aを熱硬化し第1磁性層320を形成する。
【0129】
樹脂組成物層320aの熱硬化条件は、樹脂組成物の組成や種類によっても異なるが、硬化温度は好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは150℃以上であり、好ましくは240℃以下、より好ましくは220℃以下、さらに好ましくは200℃以下である。樹脂組成物層320aの硬化時間は、好ましくは5分以上、より好ましくは10分以上、さらに好ましくは15分以上であり、好ましくは120分以下、より好ましくは100分以下、さらに好ましくは90分以下である。
【0130】
支持体330は、(A)工程の熱硬化後と(B)工程との間に除去してもよく、(B)工程の後に剥離してもよい。
【0131】
<(B)工程>
(B)工程において、図11に一例を示すように、第1磁性層320に穴あけ加工をし、ビアホール360を形成する。ビアホール360は、第1導体層420と、後述する第2導体層440とを電気的に接続するための経路となる。ビアホール360の形成は、磁性層の形成に使用した樹脂組成物の組成等に応じて、例えば、ドリル、レーザー、プラズマ等を使用して実施してよい。ホールの寸法や形状は、プリント配線板のデザインに応じて適宜決定してよい。
【0132】
<(C)工程>
(C)工程において、ビアホールを形成した磁性層の表面を研磨する。(C)工程における研磨方法としては、第1実施形態の「<工程(3)>」欄において説明したものと同様の研磨により行うことができる。
【0133】
磁性層の研磨面の算術平均粗さ(Ra)としては、めっき密着性を向上させる観点から、好ましくは300nm以上、より好ましくは350nm以上、さらに好ましくは400nm以上である。上限は、好ましくは1000nm以下、より好ましくは900nm以下、さらに好ましくは800nm以下である。表面粗さ(Ra)は、例えば、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
【0134】
<(D)工程>
(D)工程では、図12に一例を示すように、第1磁性層320上に、第2導体層440を形成する。
【0135】
第2導体層440を構成し得る導体材料としては、第1実施形態の「<工程(4)>」欄において説明した導体層の材料と同様である。
【0136】
第2導体層440の厚さは、薄型化の観点から、好ましくは70μm以下であり、より好ましくは60μm以下であり、さらに好ましくは50μm以下、さらにより好ましくは40μm以下、特に好ましくは30μm以下、20μm以下、15μm以下又は10μm以下である。下限は好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上である。
【0137】
第2導体層440は、めっきにより形成することができる。第2導体層440は、例えば、無電解めっき工程、マスクパターン形成工程、電解めっき工程、フラッシュエッチング工程を含むセミアディティブ法、フルアディティブ法等の湿式めっき法により形成されることが好ましい。湿式めっき法を用いて第2導体層440を形成することにより、所望の配線パターンを含む第2導体層440として形成することができる。なお、この工程により、ビアホール360内にビアホール内配線360aが併せて形成される。
【0138】
第1導体層420及び第2導体層440は、例えば後述する図13~15に一例を示すように、渦巻状に設けられていてもよい。一例において、第2導体層440の渦巻状の配線部のうちの中心側の一端はビアホール内配線360aにより第1導体層420の渦巻状の配線部のうちの中心側の一端に電気的に接続されている。第2導体層440の渦巻状の配線部のうちの外周側の他端はビアホール内配線360aにより第1導体層42のランド420aに電気的に接続されている。よって第2導体層440の渦巻状の配線部のうちの外周側の他端はビアホール内配線360a、ランド420a、スルーホール内配線220aを経て外部端子240に電気的に接続される。
【0139】
コイル状導電性構造体400は、第1導体層420の一部分である渦巻状の配線部、第2導体層440の一部分である渦巻状の配線部、第1導体層420の渦巻状の配線部と第2導体層440の渦巻状の配線部とを電気的に接続しているビアホール内配線360aにより構成されている。
【0140】
(D)工程後、さらに導体層上に磁性層を形成する工程を行ってもよい。詳細は、図14に一例を示すように、第2導体層440及びビアホール内配線360aが形成された第1磁性層320上に第2磁性層340を形成する。第2磁性層は既に説明した工程と同様の工程により形成してもよい。
【0141】
[インダクタ基板]
インダクタ基板は、本発明の回路基板を含む。このようなインダクタ基板は、第1実施形態の回路基板の製造方法により得られた回路基板を含む場合、前記の樹脂組成物の硬化物の周囲の少なくとも一部に導体によって形成されたインダクタパターンを有する。このようなインダクタ基板は、例えば特開2016-197624号公報に記載のものを適用できる。
【0142】
また、第2実施形態の回路基板の製造方法により得られた回路基板を含む場合、インダクタ基板は、磁性層と、この磁性層に少なくとも一部分が埋め込まれた導電性構造体とを有しており、この導電性構造体と、磁性層の厚さ方向に延在し、かつ導電性構造体に囲まれた磁性層のうちの一部分によって構成されるインダクタ素子を含んでいる。ここで図13は、インダクタ素子を内蔵するインダクタ基板をその厚さ方向の一方からみた模式的な平面図である。図14は、図13に示すII-II一点鎖線で示した位置で切断したインダクタ基板の切断端面を示す模式的な図である。図15は、インダクタ基板のうちの第1導体層の構成を説明するための模式的な平面図である。
【0143】
回路基板100は、図13及び図14に一例として示されるように、複数の磁性層(第1磁性層320、第2磁性層340)及び複数の導体層(第1導体層420、第2導体層440)を有する、即ちビルドアップ磁性層及びビルドアップ導体層を有するビルドアップ配線板である。また、インダクタ基板100は、内層基板200を備えている。
【0144】
図14より、第1磁性層320及び第2磁性層340は一体的な磁性層としてみることができる磁性部300を構成している。よってコイル状導電性構造体400は、磁性部300に少なくとも一部分が埋め込まれるように設けられている。すなわち、本実施形態のインダクタ基板100において、インダクタ素子はコイル状導電性構造体400と、磁性部300の厚さ方向に延在し、かつコイル状導電性構造体400に囲まれた磁性部300のうちの一部分である芯部によって構成されている。
【0145】
図15に一例として示されるように、第1導体層420はコイル状導電性構造体400を構成するための渦巻状の配線部と、スルーホール内配線220aと電気的に接続される矩形状のランド420aとを含んでいる。図示例では渦巻状の配線部は直線状部と直角に屈曲する屈曲部とランド420aを迂回する迂回部を含んでいる。図示例では第1導体層420の渦巻状の配線部は全体の輪郭が略矩形状であって、中心側からその外側に向かうにあたり反時計回りに巻いている形状を有している。
【0146】
同様に、第1磁性層320上には第2導体層440が設けられている。第2導体層440はコイル状導電性構造体400を構成するための渦巻状の配線部を含んでいる。図13又は図14では渦巻状の配線部は直線状部と直角に屈曲する屈曲部とを含んでいる。図13又は図14では第2導体層44の渦巻状の配線部は全体の輪郭が略矩形状であって、中心側からその外側に向かうにあたり時計回りに巻いている形状を有している。
【0147】
このようなインダクタ基板は、半導体チップ等の電子部品を搭載するための配線板として用いることができ、かかる配線板を内層基板として使用した(多層)プリント配線板として用いることもできる。また、かかる配線板を個片化したチップインダクタ基板として用いることもでき、該チップインダクタ基板を表面実装したプリント配線板として用いることもできる。
【0148】
またかかる配線板を用いて、種々の態様の半導体装置を製造することができる。かかる配線板を含む半導体装置は、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラおよびテレビ等)および乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶および航空機等)等に好適に用いることができる。
【実施例
【0149】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、以下の記載において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示のない限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。
【0150】
<実施例1>
鉄及びマンガンがモル比で8:1の割合になるように酸化鉄、及び酸化マンガンを計量し、水を加えて混合・粉砕することで固形分50質量%のスラリーを調製した。この時の粉砕平均粒径(原料1次粒径)は5μmであった。調製したスラリーをスプレードライヤーで造粒し、造粒物を分級して平均粒径約50μmの造粒物を作製した。さらに得られた造粒物に粉末状のラウリン酸を造粒物100質量部に対して5質量部混合し、溶射用の原料とした。
【0151】
次に、得られた溶射用の原料を体積比でプロパン:酸素=1:7の可燃性ガス燃焼炎中に供給することで溶射装置にて溶射(フェライト化)し、続いて空気給気による気流に乗せて搬送することによって大気中で急冷しながら、溶射装置の下流側に設置した気流分級装置(サイクロン)を用いてフェライトを捕集し、その後、所望の粒径分布となるようにフェライトを分級し球状フェライト粒子A(アスペクト比1.0)を得た。
【0152】
フェライト粒子Aを100質量部に対して、エポキシ樹脂(「ZX-1059」、ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品、新日鉄住金化学社製)を15質量部、硬化促進剤(「2P4MZ」、イミダゾール系硬化促進剤、四国化成社製)を1質量部、分散剤(「SC-1015F」、ポリオキシアルキレン系分散剤、日油社製)を1質量部加え、高速回転ミキサーで均一に分散しペースト状の樹脂組成物1を得た。
【0153】
<実施例2>
実施例1において、ラウリン酸の量を5質量部から3質量部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして球状フェライト粒子Bを作製し、ペースト状の樹脂組成物2を得た。球状フェライト粒子Bのアスペクト比は1.0であった。
【0154】
<実施例3>
実施例1において、ラウリン酸の量を5質量部から1.5質量部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にして球状フェライト粒子Cを作製し、ペースト状の樹脂組成物3を得た。球状フェライト粒子Cのアスペクト比は1.0であった。
【0155】
<実施例4>
実施例1において、ラウリン酸を用いなかった。以上の事項以外は実施例1と同様にして球状フェライト粒子Dを作製し、ペースト状の樹脂組成物4を得た。球状フェライト粒子Dのアスペクト比は1.0であった。
【0156】
<実施例5>
実施例4において、フェライト粒子Dを以下の方法にてシランカップリング剤で表面処理し、球状フェライト粒子Eを作製した。以上の事項以外は実施例4と同様にしてフェライト粒子Eを作製し、ペースト状の樹脂組成物5を得た。
【0157】
フェライト粒子D100質量部を、シランカップリング剤(「KBM-403」、信越シリコーン社製)0.5質量部で処理して、フェライト粒子Eを作製した。球状フェライト粒子Eのアスペクト比は1.0であった。
【0158】
<実施例6>
実施例4において、球状フェライト粒子Dの量を100質量部から150質量部に変えた。以上の事項以外は実施例4と同様にして、ペースト状の樹脂組成物6を得た。
【0159】
<比較例1>
実施例1において、ラウリン酸の量を5質量部から15質量部に変えた。以上の事項以外は実施例1と同様にしてフェライト粒子Fを作製し、ペースト状の樹脂組成物6を得た。球状フェライト粒子Fのアスペクト比は1.0であった。
【0160】
<フェライト粒子のアスペクト比の測定>
フェライト粒子の走査電子顕微鏡(SEM)の影像を画像解析ソフトウェアにより測長した。10kV、1000倍の撮影条件にて。各粒子のSEM映像写真を取得し、最大長径を最大長径に直交する幅で除した値をアスペクト比とした。各粒子のアスペクト比は、30個の粒子の平均値で求めた。
【0161】
<フェライト粒子の粒径分布の測定>
フェライト粒子0.05g及び水20mlを30mlのビーカーに入れ、分散剤としてヘキサメタリン酸ナトリウムを0.01g添加した。次いで、超音波ホモジナイザー(エスエムテー社製、UH-150型)を用いて分散を行った。このとき、超音波ホモジナイザーの出力レベルを4に設定し、20秒間の分散を行った。その後、ピーカー表面にできた泡を取り除き、レーザー回折式粒径分布測定装置(島津製作所社製、SALD-7500nano)に導入して測定を行った。この測定により、体積粒径分布における10%径(D10)、50%径(D50)及び90%径(D90)を求めた。ここで、測定条件は、ポンプスピード7、内蔵超音波照射時間30、屈折率1.70-050iとした。
【0162】
<表面処理がなされていないフェライト粒子のカーボン量の測定>
フェライト粒子A~D、及びFのカーボン量の測定は、炭素分析装置(C-200、LECO社製)を用いて行った。酸素ガス圧は2.5kg/cmとし、窒素ガス圧は2.8kg/cmとした。まず、フェライト粒子と同程度のカーボン含有率であってカーボン含有率が明らかな標準試料について、上記装置によって測定した。また、試料自体を全く用いずに測定した(空試験)。そして、得られた測定値から下記式によって換算係数を算出した。
換算係数=標準試料のはかり取り量(g)/{(標準試料の測定値)-(空試験での測定値)}×標準試料の炭素含有率(質量%)/100
続いて、フェライト粒子について上記装置によって測定し、下記式によってカーボン含有量を算出した。
カーボン量(質量%)={(フェライト粒子の測定値)-(空試験での測定値)}×換算係数/フェライト粒子のはかり取り量(g)×100
【0163】
<表面処理がなされているフェライト粒子のカーボン量の測定>
フェライト粒子E 2gを、100mL/分の流量で窒素をフローしながら電気炉(ヤマト科学社製、「FP102」)にて500℃で6時間加熱して、フェライト粒子表面のシランカップリング剤の除去を行った。シランカップリング剤を除去した後、表面処理がなされていないフェライト粒子と同様の方法にてカーボン量を測定した。
【0164】
上記のように測定したフェライト粒子A~Fの粒径分布、及びカーボン量を下記表にまとめた。
【0165】
【表1】
【0166】
<粘度の測定>
各実施例及び各比較例の樹脂組成物の温度を25±2℃に保ち、E型粘度計(東機産業社製「RE-80U」、3°×R9.7ロータ)を用いて、測定サンプル0.22ml、回転数5rpmの測定条件にて粘度測定を行った。
【0167】
<比透磁率の測定>
支持体として、シリコーン系離型剤処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(リンテック社製「PET501010」、厚さ50μm)を用意した。各樹脂組成物1~6を上記PETフィルムの離型面上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが100μmとなるよう、ドクターブレードにて均一に塗布し、磁性シートを得た。得られた磁性シートを180℃で90分間加熱することにより樹脂組成物層を熱硬化し、支持体を剥離することによりシート状の硬化物を得た。得られたシート状の硬化物を、幅5mm、長さ18mmの試験片に切断し、評価サンプルとした。この評価サンプルを、アジレントテクノロジーズ(Agilent Technologies社製、「HP8362B」)を用いて、3ターンコイル法にて測定周波数を10MHzとし、室温23℃にて比透磁率(μ’)、及び磁気損失(tanδ(=μ”/μ’)を測定した。また、同様の方法で、測定周波数を100MHzとし、室温23℃にて比透磁率(μ’)、磁気損失(tanδ(=μ”/μ’)を測定した。
【0168】
<最大点強度、伸びの測定>
支持体として、シリコーン系離型剤処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(リンテック社製「PET501010」、厚さ50μm)を用意した。各樹脂組成物1~6を上記PETフィルムの離型面上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが100μmとなるよう、ドクターブレードにて均一に塗布し、磁性シートを得た。得られた磁性シートを190℃で90分間加熱することにより樹脂組成物層を熱硬化し、支持体を剥離することによりシート状の硬化物を得た。得られたシート状の硬化物を、日本工業規格(JIS K7127)に準拠し、テンシロン万能試験機(エー・アンド・デイ社製)を用いて引っ張り試験を行い、23℃での最大点強度、及び伸びを測定した。
【0169】
【表2】
【0170】
表からわかるように、実施例1~6は、比透磁率に優れるとともに低粘度化が達成され、比較例1よりも比透磁率が高く、かつ低粘度となっていることがわかる。また、実施例1~5は、比較例1よりも最大点強度及び伸びにも優れることがわかる。
【符号の説明】
【0171】
10 コア基板
11 支持基板
12 第1金属層
13 第2金属層
14 スルーホール
20 めっき層
30a 樹脂組成物
30 磁性層
40 導体層
41 パターン導体層
100 回路基板
200 内層基板
200a 第1主表面
200b 第2主表面
220 スルーホール
220a スルーホール内配線
240 外部端子
300 磁性部
310 磁性シート
320a 樹脂組成物層
320 第1絶縁層
330 支持体
340 第2絶縁層
360 ビアホール
360a ビアホール内配線
400 コイル状導電性構造体
420 第1導体層
420a ランド
440 第2導体層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15