IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セイコーエプソン株式会社の特許一覧

特許7463741記録ヘッドユニット、記録装置、記録方法
<>
  • 特許-記録ヘッドユニット、記録装置、記録方法 図1
  • 特許-記録ヘッドユニット、記録装置、記録方法 図2
  • 特許-記録ヘッドユニット、記録装置、記録方法 図3
  • 特許-記録ヘッドユニット、記録装置、記録方法 図4
  • 特許-記録ヘッドユニット、記録装置、記録方法 図5
  • 特許-記録ヘッドユニット、記録装置、記録方法 図6
  • 特許-記録ヘッドユニット、記録装置、記録方法 図7
  • 特許-記録ヘッドユニット、記録装置、記録方法 図8
  • 特許-記録ヘッドユニット、記録装置、記録方法 図9
  • 特許-記録ヘッドユニット、記録装置、記録方法 図10
  • 特許-記録ヘッドユニット、記録装置、記録方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】記録ヘッドユニット、記録装置、記録方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 401
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020012247
(22)【出願日】2020-01-29
(65)【公開番号】P2021115816
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 宏樹
(72)【発明者】
【氏名】萩尾 賢昭
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 啓吾
(72)【発明者】
【氏名】中野 智之
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-20311(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0217189(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102205698(CN,A)
【文献】特開2010-221524(JP,A)
【文献】特開2012-223960(JP,A)
【文献】特開2021-107146(JP,A)
【文献】特開2021-91184(JP,A)
【文献】特開2017-121792(JP,A)
【文献】特開2010-228215(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルがノズル列方向に列設された第1ラインヘッド第2ライ
ンヘッドおよび第3ラインヘッドを有する記録ヘッドユニットであって、
前記第1ラインヘッドは、前記ノズル列方向と交差するヘッド列方向において、前記第
2ラインヘッドの一方の側に配置され、
前記第3ラインヘッドは、前記ヘッド列方向において、前記第2ラインヘッドの他方の
側に配置され、
前記第1ラインヘッドは、前記ヘッド列方向の前記一方の側において、前記第1ライン
ヘッドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第1ラインヘッドが有する前記複数のノズ
ルが開口するノズル開口面よりも、前記液体が吐出される液体吐出方向に突出する第1防
風部材を備え、
前記第2ラインヘッドは、前記第1ラインヘッドとの間において、前記第2ラインヘッ
ドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第2ラインヘッドが有する前記複数のノズルが
開口するノズル開口面よりも、前記液体が吐出される液体吐出方向に突出する第2防風部
材を備え、
前記第3ラインヘッドは、前記第2ラインヘッドとの間において、前記第3ラインヘッ
ドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第3ラインヘッドが有する前記複数のノズルが
開口するノズル開口面よりも、前記液体が吐出される液体吐出方向に突出する第3防風部
材を備え、
前記第2防風部材が突出する長さは、前記第1防風部材が突出する長さより短く、前記
第3防風部材が突出する長さは、前記第2防風部材が突出する長さ以下である記録ヘッド
ユニット。
【請求項2】
記録媒体を支持するプラテンと、
前記プラテンに対向し、前記プラテンに支持される前記記録媒体に液体を吐出する複数
のノズルがノズル列方向に列設された第1ラインヘッドおよび第2ラインヘッドと、
前記プラテンに支持される前記記録媒体を、前記ノズル列方向と交差する搬送方向に搬
送する搬送部と、を備える記録装置であって、
前記第1ラインヘッドは、前記第2ラインヘッドに対して、前記搬送方向における上流
側に配置され、
前記第1ラインヘッドは、前記搬送方向における上流側において、前記第1ラインヘッ
ドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第1ラインヘッドが有する前記複数のノズルが
開口するノズル開口面よりも、前記プラテンの方向に突出する第1防風部材を備え、
前記第2ラインヘッドは、前記第1ラインヘッドとの間において、前記第2ラインヘッ
ドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第2ラインヘッドが有する前記複数のノズルが
開口するノズル開口面よりも、前記プラテンの方向に突出する第2防風部材を備え、
前記第2防風部材が突出する長さは、前記第1防風部材が突出する長さより短く、
前記第2防風部材は、前記プラテンの方向に突出する前記長さが可変に設けられ、
前記記録媒体の属性情報、および/または、前記記録媒体に記録する画像の画像データ
に基づき、突出する前記長さを制御する制御部を備える記録装置。
【請求項3】
記録媒体を支持するプラテンと、
前記プラテンに対向し、前記プラテンに支持される前記記録媒体に液体を吐出する複数
のノズルがノズル列方向に列設された第1ラインヘッドおよび第2ラインヘッドと、
前記プラテンに支持される前記記録媒体を、前記ノズル列方向と交差する搬送方向に搬
送する搬送部と、を備える記録装置であって、
前記第1ラインヘッドは、前記第2ラインヘッドに対して、前記搬送方向における上流
側に配置され、
前記第1ラインヘッドは、前記搬送方向における上流側において、前記第1ラインヘッ
ドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第1ラインヘッドが有する前記複数のノズルが
開口するノズル開口面よりも、前記プラテンの方向に突出する第1防風部材を備え、
前記第2ラインヘッドは、前記第1ラインヘッドとの間において、前記第2ラインヘッ
ドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第2ラインヘッドが有する前記複数のノズルが
開口するノズル開口面よりも、前記プラテンの方向に突出する第2防風部材を備え、
前記第2防風部材が突出する長さは、前記第1防風部材が突出する長さより短く、
前記第2防風部材は、前記ノズル列方向の両端部領域において突出する前記長さが、前
記ノズル列方向の中央において突出する前記長さに比べて短い記録装置。
【請求項4】
記録媒体を支持するプラテンと、
前記プラテンに対向し、前記プラテンに支持される前記記録媒体に液体を吐出する複数
のノズルがノズル列方向に列設された第1ラインヘッド、第2ラインヘッドおよび第3ラ
インヘッドを有し、
前記プラテンに支持される前記記録媒体を、前記ノズル列方向と交差する搬送方向に搬
送する搬送部と、を備える記録装置であって、
前記第1ラインヘッドは、前記第2ラインヘッドに対して、前記搬送方向における上流
側に配置され、
前記第3ラインヘッドは、前記第2ラインヘッドに対して、前記搬送方向における下流
側に配置され、
前記第1ラインヘッドは、前記搬送方向における上流側において、前記第1ラインヘッ
ドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第1ラインヘッドが有する前記複数のノズルが
開口するノズル開口面よりも、前記プラテンの方向に突出する第1防風部材を備え、
前記第2ラインヘッドは、前記第1ラインヘッドとの間において、前記第2ラインヘッ
ドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第2ラインヘッドが有する前記複数のノズルが
開口するノズル開口面よりも、前記プラテンの方向に突出する第2防風部材を備え、
前記第3ラインヘッドは、前記第2ラインヘッドとの間において、前記第3ラインヘッ
ドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第3ラインヘッドが有する前記複数のノズルが
開口するノズル開口面よりも、前記プラテンの方向に突出する第3防風部材を備え、
前記第2防風部材が突出する長さは、前記第1防風部材が突出する長さより短く、
前記第3防風部材が突出する長さは、前記第2防風部材が突出する長さ以下である記録
装置。
【請求項5】
前記第2防風部材および前記第3防風部材は、前記プラテンの方向に突出する前記長さ
が可変に設けられ、
前記記録媒体の属性情報、および/または、前記記録媒体に記録する画像の画像データ
に基づき、突出する前記長さを制御する制御部を備える請求項に記載の記録装置。
【請求項6】
前記第2防風部材および前記第3防風部材は、前記ノズル列方向の両端部領域において
突出する前記長さが、前記ノズル列方向の中央において突出する前記長さに比べて短い請
求項または請求項に記載の記録装置。
【請求項7】
記録媒体を支持するプラテンと、
前記プラテンに対向し、前記プラテンに支持される前記記録媒体に液体を吐出する複数
のノズルがノズル列方向に列設された第1ラインヘッドおよび第2ラインヘッドと、
前記プラテンに支持される前記記録媒体を、前記ノズル列方向と交差する搬送方向に搬
送する搬送部と、を備える記録装置であって、
前記第1ラインヘッドは、前記第2ラインヘッドに対して、前記搬送方向における上流
側に配置され、
前記第1ラインヘッドは、前記搬送方向における上流側において、前記第1ラインヘッ
ドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第1ラインヘッドが有する前記複数のノズルが
開口するノズル開口面よりも、前記プラテンの方向に突出する第1防風部材を備え、
前記第2ラインヘッドは、前記第1ラインヘッドとの間において、前記第2ラインヘッ
ドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第2ラインヘッドが有する前記複数のノズルが
開口するノズル開口面よりも、前記プラテンの方向に突出する第2防風部材を備え、
前記第2防風部材が突出する長さは、前記第1防風部材が突出する長さより短く、
前記第1防風部材は、前記記録媒体に当接する除電ブラシで構成される記録装置。
【請求項8】
記録媒体を支持するプラテンと、
前記プラテンに対向し、前記プラテンに支持される前記記録媒体に液体を吐出する複数
のノズルがノズル列方向に列設された第1ラインヘッドおよび第2ラインヘッドと、
前記プラテンに支持される前記記録媒体を、前記ノズル列方向と交差する搬送方向に搬
送する搬送部と、を備える記録装置であって、
前記第1ラインヘッドは、前記第2ラインヘッドに対して、前記搬送方向における上流
側に配置され、
前記第1ラインヘッドは、前記搬送方向における上流側において、前記第1ラインヘッ
ドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第1ラインヘッドが有する前記複数のノズルが
開口するノズル開口面よりも、前記プラテンの方向に突出する第1防風部材を備え、
前記第2ラインヘッドは、前記第1ラインヘッドとの間において、前記第2ラインヘッ
ドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第2ラインヘッドが有する前記複数のノズルが
開口するノズル開口面よりも、前記プラテンの方向に突出する第2防風部材を備え、
前記第2防風部材が突出する長さは、前記第1防風部材が突出する長さより短く、
前記第1防風部材は、前記記録媒体を前記プラテンに案内する案内部材で構成される記
録装置。
【請求項9】
請求項に記載の記録装置を用いた記録方法であって、
前記画像データに基づき、前記ラインヘッドが配置される位置毎に、前記記録媒体に付
与される累積の前記液体の量を算出する累積液体量算出工程と、
算出された前記ラインヘッドが配置される位置毎の前記累積の液体の量に基づき、前記
第2防風部材および前記第3防風部材が突出する前記長さを制御する制御工程と、を含む
記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク滴を吐出する記録ヘッドユニット、記録媒体にインク滴を吐出して記録を行う記録装置、該記録装置を用いた記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録媒体にインクを吐出する記録ヘッドの周囲に配置されて、該記録ヘッドのインク吐出部に対して上下動可能である防風壁を有することを特徴とするインクジェットプリンターが記載されている。このインクジェットプリンターによれば、記録時に起こる気流によるインクの飛翔曲がりを防ぐことができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-96057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェットプリンターでは、防風壁が、自重、あるいは、バネの付勢力によって常に記録媒体の方向に下げられた状態になっており、記録媒体の種類によっては、記録に伴い付与されるインクによって膨潤する度合いが大きく、記録中に発生する記録媒体のコックリングによって記録媒体が防風壁に引っかかってジャムが発生してしまう場合があるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の記録ヘッドユニットは、液体を吐出する複数のノズルがノズル列方向に列設された第1ラインヘッドおよび第2ラインヘッドを有する記録ヘッドユニットであって、前記第1ラインヘッドは、前記ノズル列方向と交差するヘッド列方向において、前記第2ラインヘッドの一方の側に配置され、前記第1ラインヘッドは、前記ヘッド列方向の前記一方の側において、前記第1ラインヘッドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第1ラインヘッドが有する前記複数のノズルが開口するノズル開口面よりも、前記液体が吐出される液体吐出方向に突出する第1防風部材を備え、前記第2ラインヘッドは、前記第1ラインヘッドとの間において、前記第2ラインヘッドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第2ラインヘッドが有する前記複数のノズルが開口するノズル開口面よりも、前記液体が吐出される液体吐出方向に突出する第2防風部材を備え、前記第2防風部材が突出する長さは、前記第1防風部材が突出する長さより短い。
【0006】
本発明の記録装置は、記録媒体を支持するプラテンと、前記プラテンに対向し、前記プラテンに支持される前記記録媒体に液体を吐出する複数のノズルがノズル列方向に列設された第1ラインヘッドおよび第2ラインヘッドと、前記プラテンに支持される前記記録媒体を、前記ノズル列方向と交差する搬送方向に搬送する搬送部と、を備える記録装置であって、前記第1ラインヘッドは、前記第2ラインヘッドに対して、前記搬送方向における上流側に配置され、前記第1ラインヘッドは、前記搬送方向における上流側において、前記第1ラインヘッドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第1ラインヘッドが有する前記複数のノズルが開口するノズル開口面よりも、前記プラテンの方向に突出する第1防風部材を備え、前記第2ラインヘッドは、前記第1ラインヘッドとの間において、前記第2ラインヘッドの前記ノズル列方向の幅に亘って、前記第2ラインヘッドが有する前記複数のノズルが開口するノズル開口面よりも、前記プラテンの方向に突出する第2防風部材を備え、前記第2防風部材が突出する長さは、前記第1防風部材が突出する長さより短い。
【0007】
本発明の記録方法は、上記に記載の記録装置を用いた記録方法であって、前記画像データに基づき、前記ラインヘッドが配置される位置毎に、前記記録媒体に付与される累積の前記液体の量を算出する累積液体量算出工程と、算出された前記ラインヘッドが配置される位置毎の前記累積の液体の量に基づき、前記第2防風部材および前記第3防風部材が突出する前記長さを制御する制御工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る記録装置としての記録システムの構成例を示す正面図である。
図2】実施形態1に係る記録装置としての記録システムの構成例を示すブロック図である。
図3】実施形態1に係る記録ヘッドユニットの構成例を示す、下面から見た模式図である。
図4】実施形態1に係る記録ヘッドユニットの構成例を示す、前面から見た模式図である。
図5】実施形態2に係る記録装置としての記録システムの構成を示すブロック図である。
図6】実施形態2に係る記録ヘッドユニットの構成例を示す、前面から見た模式図である。
図7】カム機構の構成を示す模式図である。
図8】実施形態2に係る記録方法のフローチャートである。
図9】実施形態3に係る防風部材の形状を示す模式図である。
図10】実施形態4に係る第1防風部材の構成を示す模式図である。
図11】実施形態5に係る第1防風部材の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態1
実施形態1に係る記録装置としての記録システム1の構成について、図1図2を参照して説明する。
なお、図面に付記する座標においては、Z軸方向が上下方向、+Z方向が上方向、X軸方向が前後方向、-X方向が前方向、Y軸方向が左右方向、+Y方向が左方向、X―Y平面が水平面としている。
記録システム1は、プリンター100、およびプリンター100に接続される画像処理装置110により構成されている。プリンター100は、画像処理装置110から受信する記録データに基づいて、ロール状に巻かれた状態で供給される記録媒体5に所望の画像を記録するラインヘッド型のインクジェットプリンターである。記録媒体5としては、例えば、上質紙、キャスト紙、アート紙、コート紙、合成紙などを使用することができる。
【0010】
画像処理装置110は、記録制御部111、入力部112、表示部113、記憶部114などを備え、プリンター100に記録を行わせる記録ジョブの制御を行う。画像処理装置110は、好適例としてパーソナルコンピューターを用いて構成している。
画像処理装置110が動作するソフトウェアには、記録する画像データを扱う一般的な画像処理アプリケーションソフトウェアや、プリンター100の制御や、プリンター100に記録を実行させるための記録データを生成するプリンタードライバーソフトウェアが含まれる。以下の説明では、画像処理アプリケーションソフトウェアを単に画像処理アプリケーションと言う。また、プリンタードライバーソフトウェアを単にプリンタードライバーと言う。
ここで、画像データとは、テキストデータやフルカラーのイメージデータなども含むRGBのデジタル画像情報である。
【0011】
記録制御部111は、CPU115や、ASIC116、DSP117、メモリー118、プリンターインターフェイス119、汎用インターフェイス120などを備え、記録システム1全体の集中管理を行う。
ここで、CPUは、Central Processing Unit、ASICは、Application Specific Integrated Circuit、DSPは、Digital Signal Processorを意味する。
入力部112は、ユーザーインターフェイスとしての情報入力手段である。具体的には、例えば、キーボードやマウスポインター、あるいは情報入力機器が接続されるポートなどである。
表示部113は、ユーザーインターフェイスとしての情報表示手段であり、記録制御部111の制御の基に、入力部112から入力される情報や、プリンター100に記録する画像、記録ジョブに関係する情報などが表示される。
【0012】
記憶部114は、ハードディスクドライブやメモリーカードなどの書き換え可能な記憶媒体であり、画像処理装置110が動作するソフトウェアとしての記録制御部111で動作するプログラムや、記録する画像、記録ジョブに関係する情報などが記憶される。
メモリー118は、CPU115が動作するプログラムを格納する領域や動作する作業領域などを確保する記憶媒体であり、RAM、EEPROMなどの記憶素子によって構成される。ここで、RAMは、Random access memory、EEPROMは、Electrically Erasable Programmable Read-Only Memoryを意味する。
汎用インターフェイス120は、例えば、LANインターフェイスやUSBインターフェイスなど、外部電子機器を接続できるインターフェイスである。
LANは、Local Area Network、USBは、Universal Serial Busを意味する。
【0013】
プリンター100は、記録部10、搬送部20、プリンター制御部30などから構成されている。画像処理装置110から記録データを受信したプリンター100は、記録データに基づき、プリンター制御部30によって記録部10、搬送部20を制御し、記録媒体5に画像を記録する。
記録データは、画像データを、画像処理装置110が備える画像処理アプリケーションおよびプリンタードライバーによってプリンター100で記録できるように変換処理した画像形成用のデータであり、プリンター100を制御するコマンドを含んでいる。
【0014】
記録部10は、記録ヘッドユニット11、インク供給部12などから構成されている。
搬送部20は、供給部21、収納部22、搬送ローラー23、プラテン25などから構成されている。
【0015】
記録ヘッドユニット11は、液体としての記録用のインクをインク滴として吐出する複数のノズルを列設したノズル列を備える4つのラインヘッド13およびヘッド制御部14を備えている。それぞれのラインヘッド13が、プリンター制御部30の制御の下に、プラテン25に支持される記録媒体5にインク滴を吐出することによって、ノズル列に対応する複数のドット列が記録媒体5に形成される。搬送部20により、記録媒体5を記録ヘッドユニット11に対して相対移動させながらドット列を形成することにより、画像データに基づく所望の画像が記録される。
なお、本実施形態においては、記録制御部111とプリンター制御部30とによって、画像データに基づき記録部10と搬送部20とを制御し記録を行う制御部50を構成している。
【0016】
インク供給部12は、インクタンクおよびインクタンクからラインヘッド13にインクを供給するインク供給路などを備えている。インク供給路については、図示を省略する。
インクは、シアンC、マゼンタM、イエローYの3色のインクセットにブラックKを加えた4色のインクセットを用いている。4つのラインヘッド13は、この4色のインクに対応しており、インクタンク、インク供給路、および同一インクを吐出するノズルまでのインク供給経路は、インクごとに独立して設けられている。
【0017】
インク滴を吐出するインクジェット方式には、ピエゾ方式を用いている。ピエゾ方式は、圧力発生室に貯留されたインクに、圧電素子としてのピエゾ素子を利用したアクチュエーターにより記録情報信号に応じた圧力を加え、圧力発生室に連通するノズルからインク滴を噴射し記録する方式である。
なお、インク滴を吐出する方式は、これに限定するものではなく、インクを液滴状に噴射させ、記録媒体上にドット群を形成する他の記録方式であってもよい。
【0018】
搬送部20は、プリンター制御部30の制御の下に、記録媒体5を記録ヘッドユニット11に対し相対移動させる。
供給部21は、記録媒体5がロール状に巻かれたリールを回転可能に支持し、記録媒体5を搬送経路に送り出す。収納部22は、記録媒体5を巻き取るリールを回転可能に支持し、記録が完了した記録媒体5を搬送経路から巻き取る。
搬送ローラー23は、プラテン25の上面において記録媒体5をY軸方向に移動させる駆動ローラーや記録媒体5の移動に伴って回転する従動ローラーなどから成り、記録媒体5を供給部21から記録部10の記録領域を経由し、収納部22に搬送する搬送経路を構成する。記録領域は、プラテン25の上面でラインヘッド13がインクを吐出し記録媒体5に着弾させる領域である。
なお、本実施形態において、ラインヘッド13と記録媒体5とが相対的に移動する相対移動方向は、記録領域における記録媒体5の搬送方向であり、Y軸方向である。
【0019】
プリンター制御部30は、インターフェイス31、CPU32、メモリー33、駆動制御部34などを備え、記録部10、搬送部20の制御を行う。
インターフェイス31は、画像処理装置110のプリンターインターフェイス119に接続され、画像処理装置110とプリンター100との間でデータの送受信を行う。
CPU32は、プリンター100全体の制御を行うための演算処理装置である。
メモリー33は、CPU32が動作するプログラムを格納する領域や動作する作業領域などを確保する記憶媒体であり、RAM、EEPROMなどの記憶素子によって構成される。
CPU32は、メモリー33に格納されているプログラム、および画像処理装置110から受信した記録データに従って、駆動制御部34を介して記録部10、搬送部20を制御する。
【0020】
駆動制御部34は、CPU32の制御に基づいて動作するファームウェアを含み、記録部10の記録ヘッドユニット11、インク供給部12、搬送部20の駆動を制御する。駆動制御部34は、移動制御信号生成回路35、吐出制御信号生成回路36、駆動信号生成回路37などを含む駆動制御回路、これら駆動制御回路を制御するファームウェアを内蔵するROMやフラッシュメモリーなどから構成されている。駆動制御回路を制御するファームウェアを内蔵するROMやフラッシュメモリーについては、図示を省略している。ここで、ROMは、Read-Only Memoryを意味する。
【0021】
移動制御信号生成回路35は、記録データに基づき、CPU32からの指示に従って、搬送部20を制御する信号を生成する回路である。
吐出制御信号生成回路36は、記録データに基づき、CPU32からの指示に従って、インクを吐出するノズルの選択、吐出する量の選択、吐出するタイミングの制御などをするためのヘッド制御信号を生成する回路である。
駆動信号生成回路37は、インクを吐出するためにラインヘッド13が備える圧力発生部を駆動する駆動波形を生成する回路である。
ヘッド制御部14は、記録データに基づく吐出制御信号生成回路36や駆動信号生成回路37からの信号に従い、ラインヘッド13を駆動する。
【0022】
次に、図3図4を参照して、記録ヘッドユニット11の構成の例を説明する。
記録ヘッドユニット11は、4つのラインヘッド13、ヘッド制御部14、および、4つの防風部材15を備えている。
【0023】
4つのラインヘッド13は、ブラックKのインクを吐出するラインヘッド13K、シアンCのインクを吐出するラインヘッド13C、マゼンタMのインクを吐出するラインヘッド13M、イエローYのインクを吐出するラインヘッド13Yであり、この順に、記録媒体5の搬送方向における上流側から下流側に、つまり、-Y側から+Y側に向かって並んでいる。
本実施形態においては、ラインヘッド13Kが第1ラインヘッドであり、ラインヘッド13Cが第2ラインヘッドであり、ラインヘッド13Mが第3ラインヘッドである。
すなわち、第1ラインヘッドとしてのラインヘッド13Kは、ノズル列方向と交差するヘッド列方向としてのY軸方向において、第2ラインヘッドとしてのラインヘッド13Cの一方の側である-Y側に配置されている。また、第3ラインヘッドとしてのラインヘッド13Mは、ヘッド列方向としてのY軸方向において、第2ラインヘッドとしてのラインヘッド13Cの他方の側である+Y側に配置されている。また、ラインヘッド13Yは、ヘッド列方向としてのY軸方向において、ラインヘッド13Mの他方の側である+Y側に配置されている。
【0024】
それぞれのラインヘッド13は、搬送方向、つまりY軸方向、と交差するX軸方向に沿って並べられた複数のヘッドチップ131を備えている。
各ヘッドチップ131には、インクを吐出する♯1~♯400の400個のノズル74が、ノズル列方向であるX軸方向に列設されている。また、図3に示すように、ヘッドチップ131は、X軸方向における一方の端部の4個のノズル74が、隣接するヘッドチップ131の他方の端部の4個のノズル74と、X軸の位置が重なるように連なって並べられている。
【0025】
4つの防風部材15は、記録媒体5が搬送されることによって記録領域に発生する気流が、記録を行う際に吐出されるインク滴の軌道に影響を与えないようにするための部材であり、4つのラインヘッド13それぞれの-Y側、つまり、記録媒体5の搬送方向における上流側に備えられている。
4つの防風部材15は、ラインヘッド13Kの-Y側に備えられた第1防風部材としての防風部材15K、ラインヘッド13Cの-Y側に備えられた第2防風部材としての防風部材15C、ラインヘッド13Mの-Y側に備えられた第3防風部材としての防風部材15M、ラインヘッド13Yの-Y側に備えられた防風部材15Yである。
それぞれの防風部材15は、X―Z面内に延在する長方形の板部材であり、各ラインヘッド13のノズル列方向、つまりX軸方向、の幅に亘って、各ラインヘッド13が有する複数のノズル74が開口するノズル開口面Nよりも、プラテン25の方向、つまり液体吐出方向としてのインク吐出方向である-Z方向、に突出するように設けられている。
【0026】
すなわち、ラインヘッド13Kは、搬送方向における上流側、つまり-Y側において、ラインヘッド13Kのノズル列方向の幅に亘って、ラインヘッド13Kが有する複数のノズル74が開口するノズル開口面N1よりも、プラテン25の方向、つまりインク吐出方向、に突出する防風部材15Kを備え、ラインヘッド13Cは、第1ラインヘッド、つまり、ラインヘッド13Kとの間において、ラインヘッド13Cのノズル列方向の幅に亘って、ラインヘッド13Cが有する複数のノズル74が開口するノズル開口面N2よりも、プラテン25の方向、つまりインク吐出方向、に突出する防風部材15Cを備え、ラインヘッド13Mは、ラインヘッド13Cとの間において、ラインヘッド13Mのノズル列方向の幅に亘って、ラインヘッド13Mが有する複数のノズル74が開口するノズル開口面N3よりも、プラテン25の方向、つまりインク吐出方向、に突出する防風部材15Mを備えている。
また、ラインヘッド13Yは、ラインヘッド13Mとの間において、ラインヘッド13Yのノズル列方向の幅に亘って、ラインヘッド13Yが有する複数のノズル74が開口するノズル開口面N4よりも、プラテン25の方向、つまりインク吐出方向に、突出する防風部材15Yを備えている。
【0027】
防風部材15Cが、ノズル開口面N2の高さよりも突出する長さd2は、防風部材15Kがノズル開口面N1の高さよりも突出する長さd1より短く、防風部材15Mがノズル開口面N3の高さよりも突出する長さd3は、防風部材15Cがノズル開口面N2の高さよりも突出する長さd2と同じか、より短い。また、防風部材15Yがノズル開口面N4の高さよりも突出する長さd4は、防風部材15Mがノズル開口面N3の高さよりも突出する長さd3と同じか、より短い。
なお、本実施形態において、プラテン25が記録媒体5を支持する支持面Spは、水平面、つまりX―Y面であり、ノズル開口面N1~ノズル開口面N4は、プラテン25の支持面Spと平行な同一のノズル開口面Nに含まれる。
また、防風部材15Kが突出する先端とプラテン25の支持面Spとの間には、記録媒体5が通過する必要充分な距離が確保されている。
【0028】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
まず、記録ヘッドユニット11の効果としては、記録ヘッドユニット11を記録システム1に取り付けて使用する場合において、記録ヘッドユニット11を、そのノズル開口面Nが記録システム1のプラテン25に対向するように、また、ラインヘッド13Kが、記録媒体5が記録中に搬送される搬送方向の上流側になるように設置することにより、記録媒体5が搬送されることによって各ラインヘッド13のノズル開口面Nと記録媒体5との間に発生する気流を、防風部材15K、防風部材15C、防風部材15Mおよび防風部材15Yによって弱めることができる。
【0029】
また、記録媒体5が、記録に伴い付与されるインクにより膨潤する場合、その膨潤の度合いは、インクの付与開始直後からしばらくの時間において、付与されるインクの量が増すほどに、また時間が経過するほどに大きくなる傾向がある。従って、記録中の記録媒体5は、ラインヘッド13Kを経て、下流側に搬送されるに従い、膨潤に伴うコックリングの度合いが増加し、プラテン25から持ち上がるようになる傾向がある。これに対し、記録ヘッドユニット11は、記録ヘッドユニット11を、ラインヘッド13Kが、記録媒体5の搬送方向の上流側になるように設置することにより、下流側の防風部材15Cが突出する長さが、上流側の防風部材15Kが突出する長さより短くなるため、記録媒体5が防風部材15Cの先端に引っかかってジャムが発生してしまうことが抑制される。
また、防風部材15Cより下流側の防風部材15Mが突出する長さが、上流側の防風部材15Cが突出する長さと同じか、より短いため、記録媒体5が防風部材15Mの先端に引っかかってジャムが発生してしまうことが抑制される。
また、防風部材15Mより下流側の防風部材15Yが突出する長さが、上流側の防風部材15Mが突出する長さと同じか、より短いため、記録媒体5が防風部材15Yの先端に引っかかってジャムが発生してしまうことが抑制される。
【0030】
次に、記録システム1の効果としては、記録システム1が記録ヘッドユニット11を備えるため、記録媒体5が搬送されることによって各ラインヘッド13のノズル開口面Nと記録媒体5との間に発生する気流を、防風部材15K、防風部材15C、防風部材15Mおよび防風部材15Yによって弱めることができる。
【0031】
また、記録中の記録媒体5が、ラインヘッド13Kを経て、下流側に搬送されるに従い、膨潤に伴うコックリングの度合いが増加し、プラテン25から持ち上がるようになる傾向があるのに対し、防風部材15Cが突出する長さは、防風部材15Kが突出する長さより短い。つまり、プラテン25の記録媒体5を支持する支持面Spから防風部材15Cが突出する先端までの長さが、支持面Spから防風部材15Kが突出する先端までの長さより長いため、記録媒体5が防風部材15Cの先端に引っかかってジャムが発生してしまうことが抑制される。
また、防風部材15Cより下流側の防風部材15Mが突出する長さが、上流側の防風部材15Cが突出する長さと同じか、より短い。つまり、プラテン25の記録媒体5を支持する支持面Spから防風部材15Mが突出する先端までの長さが、支持面Spから防風部材15Cが突出する先端までの長さと同じか、より長いため、記録媒体5が防風部材15Mの先端に引っかかってジャムが発生してしまうことが抑制される。
また、防風部材15Mより下流側の防風部材15Yが突出する長さが、上流側の防風部材15Mが突出する長さと同じか、より短い。つまり、プラテン25の記録媒体5を支持する支持面Spから防風部材15Yが突出する先端までの長さが、支持面Spから防風部材15Mが突出する先端までの長さと同じか、より長いため、記録媒体5が防風部材15Yの先端に引っかかってジャムが発生してしまうことが抑制される。
【0032】
なお、本実施形態では、記録ヘッドユニット11が4つのラインヘッド13を備える場合の例について説明したが、ラインヘッド13の数はこれに限定するものではない。
例えば、モノクロームのプリンター100Mを備え、インクセットとしてブラックインクと、ブラックインクの耐擦性を向上させるための後処理液とを吐出して記録を行う記録システム1Mにおいて、記録ヘッドユニット11が、ブラックインクを吐出する第1ラインヘッドと、後処理液を吐出する第2ラインヘッドの2つのラインヘッドを備える構成であっても良い。第2ラインヘッドに備える第2防風部材が突出する長さを、第1ラインヘッドが備える第1防風部材が突出する長さより短くすることで、記録媒体5が第2防風部材の先端に引っかかってジャムが発生してしまうことが抑制される。
また、例えば、記録ヘッドユニット11が、5つ以上のラインヘッドを備える場合であっても良い。下流側の3つ目以降のラインヘッドが備える防風部材が突出する長さを、その上流側の防風部材が突出する長さと同じか、より短くすることで、記録媒体5が、下流側の防風部材の先端に引っかかってジャムが発生してしまうことが抑制される。
【0033】
2.実施形態2
実施形態2に係る記録装置としての記録システム1Aの構成について、図5図7を参照して説明する。なお、実施形態1と同一の構成については、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0034】
本実施形態に係る記録システム1Aは、プリンター100に代わりプリンター100Aを備えている。
プリンター100Aは、記録部10に代わり記録部10Aを、プリンター制御部30に代わりプリンター制御部30Aを備えている。
記録部10Aは、記録ヘッドユニット11に代わり記録ヘッドユニット11Aを備えている。
プリンター制御部30Aは、駆動制御部34に代わり駆動制御部34Aを備えている。
駆動制御部34Aは、駆動制御部34に、更に防風部材駆動回路38を備えている。
記録制御部111とプリンター制御部30Aとによって、制御部50Aを構成している。
【0035】
記録ヘッドユニット11Aは、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yのそれぞれが、プラテン25の方向に突出する長さを変更することが可能に設けられている。また、制御部50Aは、記録媒体5の属性情報、および/または、記録媒体5に記録する画像の画像データに基づき、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yのそれぞれが突出する長さを制御する。
以上を除き、記録システム1Aは、記録システム1と同じである。以下に具体的に説明する。
【0036】
記録ヘッドユニット11Aは、図6に示すように、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yの突出量をそれぞれ変化させることができるカム機構16として、カム機構16C、カム機構16M、および、カム機構16Yを備えている。カム機構16は、例えば、図7に示すように、偏心した板カム17とカム駆動モーター18とを有し、カム駆動モーター18によって回動する板カム17の回動角度によって当接する防風部材15の突出量を変化させることができる構成である。
【0037】
カム機構16Cは、プラテン25の方向への防風部材15Cの突出長さを変更することが可能なカム機構であり、板カム17C、カム駆動モーター18Cを備えている。カム駆動モーター18Cの回動角度によって、防風部材15Cの突出長さを変更することができる。カム駆動モーター18Cは、防風部材駆動回路38によって駆動制御される。つまり、防風部材駆動回路38は、防風部材15Cの突出長さを制御することができる。
同様に、カム機構16Mは、プラテン25の方向への防風部材15Mの突出長さを変更することが可能なカム機構であり、板カム17M、カム駆動モーター18Mを備えている。カム駆動モーター18Mの回動角度によって、防風部材15Mの突出長さを変更することができる。カム駆動モーター18Mは、防風部材駆動回路38によって駆動制御される。つまり、防風部材駆動回路38は、防風部材15Mの突出長さを制御することができる。
同様に、カム機構16Yは、プラテン25の方向への防風部材15Yの突出長さを変更することが可能なカム機構であり、板カム17Y、カム駆動モーター18Yを備えている。カム駆動モーター18Yの回動角度によって、防風部材15Yの突出長さを変更することができる。カム駆動モーター18Yは、防風部材駆動回路38によって駆動制御される。つまり、防風部材駆動回路38は、防風部材15Yの突出長さを制御することができる。
【0038】
制御部50Aは、プラテン25の記録媒体5を支持する支持面Spから防風部材15Cが突出する先端までの長さが、支持面Spから防風部材15Kが突出する先端までの長さより長くなる制御を行う。
また、制御部50Aは、支持面Spから防風部材15Mが突出する先端までの長さが、支持面Spから防風部材15Cが突出する先端までの長さと同じか、より長くなる制御を行う。
また、制御部50Aは、支持面Spから防風部材15Yが突出する先端までの長さが、支持面Spから防風部材15Mが突出する先端までの長さと同じか、より長くなる制御を行う。
【0039】
また、制御部50Aは、更に、記録媒体5の属性情報に基づき、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yの突出する長さを制御することができる。
具体的には、例えば、記録媒体5の仕様によって、付与されるインクによる膨潤の度合い、つまりコックリングの度合いが異なる場合があるため、予め、記録媒体5の仕様毎にコックリングの度合いを評価しておき、記録媒体5の仕様に応じて、防風効果を得る中で、ジャムを発生させないように、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yの突出する長さを制御する。
予め、記録媒体5の仕様に紐付けられる記録媒体5の属性情報と、それぞれの仕様の記録媒体5に対する防風部材15の必要充分な突出長さとの関係を対応テーブルとして記憶部114に記憶させておき、制御部50Aが、記録媒体5の属性情報に基づいて、この対応テーブルを参照することで、記録媒体5の仕様に適した制御を行うことができる。
【0040】
また、制御部50Aは、更に、記録媒体5に記録する画像の画像データに基づき、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yの突出する長さを制御することができる。
具体的には、例えば、記録媒体5に付与されるインクの量によって、記録媒体5が膨潤する度合い、つまりコックリングの度合いが異なる場合があるため、予め、記録媒体5に付与するインクの量によるコックリングの度合いを評価しておき、記録媒体5に付与するインクの量に応じて、防風効果を得る中で、ジャムを発生させないように、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yの突出する長さを制御する。
制御部50Aは、画像データを参照することで、記録媒体5が、プラテン25上において下流側に向かいながら、累積して付与されていくインクの増加の度合いを把握することが可能であり、その度合いに応じてそれぞれの防風部材15の必要充分な突出長さを制御する。
【0041】
図8に示すフローチャートを参照し、本実施形態における記録方法を説明する。
本実施形態における記録方法としては、画像データに基づき、ラインヘッド13が配置される位置毎に、記録媒体5に付与される累積のインクの量を算出する累積インク量算出工程と、算出されたラインヘッド13が配置される位置毎の累積のインクの量に基づき、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yのそれぞれが突出する長さを制御する制御工程と、を含むことを特徴としている。
記録を実行させるまでの一連の処理は、画像処理アプリケーションおよびプリンタードライバーの機能において、表示部113に、ユーザーに対して、必要なユーザーインターフェイス画面を表示し、入力部112から、ユーザーに、ユーザーインターフェイス画面に表示される情報に対する必要な指示を入力させることにより進める。つまり、印刷を実行させるまでの一連の処理は、制御部50Aによって行われる。
【0042】
まず、ステップS1として、記録する画像データを取得する。具体的には、画像処理装置110において、汎用インターフェイス120を介して、外部電子機器から、記録対象の画像データを取得する。あるいは、予め取得し、記憶部114に記憶しておいた画像データの中から記録対象の画像データを選択する。
次にステップS2として、記録仕様を決定する。具体的には、画像処理アプリケーションおよびプリンタードライバーの機能において、記録画像のサイズや解像度、および、鮮鋭度などの記録モードを含む記録仕様を決定する。
次に、ステップS3として、記録を行う記録媒体5の種類を選択する。
【0043】
次に、ステップS4として、制御部50Aにより、画像データを参照し、ラインヘッド13が配置される位置毎に、記録媒体5に付与される累積のインクの量を算出する。このステップS4は、累積インク量算出工程である。
【0044】
次に、ステップS5として、制御部50Aにより、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yのそれぞれが突出する長さを設定する。
具体的には、制御部50Aは、ラインヘッド13C、ラインヘッド13M、ラインヘッド13Yが配置されるそれぞれの位置毎に算出された、記録媒体5に付与される累積のインクの量、および、記録仕様によって決定される記録時間、選択された記録媒体5の種類に基づき、予め記憶部114に記憶された対応テーブルや算出式により、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yのそれぞれが突出する長さを導出する。制御部50Aは、導出された長さに基づき、防風部材駆動回路38を介してカム駆動モーター18を制御し、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yを所定の長さだけ突出させる。このステップS5は、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yのそれぞれが突出する長さを制御する制御工程である。
【0045】
次に、ステップS6として、制御部50Aにより、画像データや記録仕様に基づき記録データを生成し、プリンター100に記録データを送信して記録を実行させる。
【0046】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
制御部50Aは、プラテン25の記録媒体5を支持する支持面Spから防風部材15Cが突出する先端までの長さが、支持面Spから防風部材15Kが突出する先端までの長さより長くなる制御を行う中で、また、支持面Spから防風部材15Mが突出する先端までの長さが、支持面Spから防風部材15Cが突出する先端までの長さと同じか、より長くなる制御を行う中で、また、支持面Spから防風部材15Yが突出する先端までの長さが、支持面Spから防風部材15Mが突出する先端までの長さと同じか、より長くなる制御を行う中で、記録媒体5の属性情報に基づき、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yの突出する長さを制御する。その結果、防風効果を得る中で、ジャムを発生させないように、記録媒体5の仕様に対して適切な制御を行うことができる。
【0047】
また、制御部50Aは、プラテン25の記録媒体5を支持する支持面Spから防風部材15Cが突出する先端までの長さが、支持面Spから防風部材15Kが突出する先端までの長さより長くなる制御を行う中で、また、支持面Spから防風部材15Mが突出する先端までの長さが、支持面Spから防風部材15Cが突出する先端までの長さと同じか、より長くなる制御を行う中で、また、支持面Spから防風部材15Yが突出する先端までの長さが、支持面Spから防風部材15Mが突出する先端までの長さと同じか、より長くなる制御を行う中で、記録媒体5に記録する画像の画像データに基づき、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yの突出する長さを制御する。つまり、制御部50Aは、画像データを参照することで、記録媒体5が、プラテン25上において下流側に向かいながら、累積して付与されていくインクの増加の度合いを把握することが可能であり、その度合いに応じて防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yの突出する長さを制御することができる。その結果、防風効果を得る中で、ジャムを発生させないように、記録媒体5の仕様に対して適切な制御を行うことができる。
【0048】
また、本実施形態における記録方法によれば、累積インク量算出工程において、ラインヘッド13が配置される位置毎に記録媒体5に付与される累積のインクの量が把握され、制御工程において、その累積のインクの量に応じて防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yが突出する長さを制御することができる。その結果、防風効果を得る中で、ジャムを発生させないように、記録媒体5の仕様に対して適切な制御を行うことができる。
【0049】
3.実施形態3
本実施形態は、実施形態1の変形の例である。
実施形態1では、防風部材15は、X―Z面内に延在する長方形の板部材であると説明したが、長方形の板部材に限定するものではない。
本実施形態の防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yは、図9に示すように、ノズル列方向、つまりX軸方向、の両端部領域において突出する長さdbが、ノズル列方向の中央において突出する長さdaに比べて短い形状である。
【0050】
記録媒体5が、プラテン25上において記録に伴い付与されるインクにより膨潤する場合に、記録媒体5の端部領域が、中央領域に比べてより高くプラテン25から浮き上がる傾向がある。本実施形態によれば、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yは、ノズル列方向の両端部領域において突出する長さが、ノズル列方向の中央において突出する長さに比べて短い。換言すると、プラテン25の支持面Spから防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yが突出する先端までの長さが、それぞれ、ノズル列方向の両端部領域において、ノズル列方向の中央の長さより長い。そのため、膨潤によって浮き上がった記録媒体5が、防風部材15C、防風部材15M、および、防風部材15Yに引っかかってジャムが発生してしまうことが抑制される。
【0051】
4.実施形態4
本実施形態は、実施形態1の変形の例である。
実施形態1では、防風部材15は、X―Z面内に延在する長方形の板部材であると説明したが、長方形の板部材に限定するものではない。
本実施形態の防風部材15Kaは、図10に示すように、記録媒体5に当接する除電ブラシで構成される。除電ブラシとしての防風部材15Kaは、導電性の繊維、あるいは、導電性の繊維を織り込んだ繊維の束で構成されたブラシであり、その先端は、プラテン25に支持される記録媒体5の表面に接触し、記録媒体5の表面が帯電した場合の電荷を除電ブラシが導通する接地レベルに逃がす。除電ブラシとしての防風部材15Kaは、ラインヘッド13Kのノズル列方向、つまりX軸方向、の幅に亘って設けられており、記録媒体5の搬送に伴う気流がラインヘッド13Kのノズル開口面Nと記録媒体5との間に流れ込むのを抑制することができる。
このように、記録媒体5の表面の帯電を抑制する除電ブラシを防風部材15Kaとして用いることで、除電ブラシとは別に防風部材15Kを設ける必要が無くなりコストダウンが図れる。
【0052】
5.実施形態5
本実施形態は、実施形態1の変形の例である。
実施形態1では、防風部材15は、X―Z面内に延在する長方形の板部材であると説明したが、長方形の板部材に限定するものではない。
本実施形態の防風部材15Kbは、記録媒体5をプラテン25に案内する案内部材で構成される。案内部材としての防風部材15Kbは、図11に示すように、屈曲した板状の弾性部材で構成されており、+Z側の辺がラインヘッド13Kに支持され、-Z側の辺が、記録媒体5をプラテン25の支持面Spに沿うように案内し、支持面Spから浮かないように押圧するように構成されている。案内部材としての防風部材15Kbは、ラインヘッド13Kのノズル列方向、つまりX軸方向、の幅に亘って設けられており、記録媒体5の搬送に伴う気流がラインヘッド13Kのノズル開口面Nと記録媒体5との間に流れ込むのを抑制することができる。
記録媒体5をプラテン25に案内する案内部材を防風部材15Kbとして用いることで、案内部材とは別に防風部材15Kを設ける必要が無くなりコストダウンが図れる。
【符号の説明】
【0053】
1…記録システム、5…記録媒体、10…記録部、11…記録ヘッドユニット、12…インク供給部、13…ラインヘッド、14…ヘッド制御部、15…防風部材、16…カム機構、17…板カム、18…カム駆動モーター、20…搬送部、21…供給部、22…収納部、23…搬送ローラー、25…プラテン、30…プリンター制御部、31…インターフェイス、32…CPU、33…メモリー、34…駆動制御部、35…移動制御信号生成回路、36…吐出制御信号生成回路、37…駆動信号生成回路、38…防風部材駆動回路、50…制御部、74…ノズル、100…プリンター、110…画像処理装置、111…記録制御部、112…入力部、113…表示部、114…記憶部、115…CPU、116…ASIC、117…DSP、118…メモリー、119…プリンターインターフェイス、120…汎用インターフェイス、131…ヘッドチップ、N…ノズル開口面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11