(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】マイク装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/08 20060101AFI20240402BHJP
H04R 1/02 20060101ALI20240402BHJP
H04R 1/40 20060101ALI20240402BHJP
【FI】
H04R1/08
H04R1/02 108
H04R1/40 320A
(21)【出願番号】P 2020020765
(22)【出願日】2020-02-10
【審査請求日】2022-12-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】園木 朗弘
【審査官】大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0052715(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/08
H04R 1/02
H04R 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に配置された複数のマイクと、
前記基板を覆うフロントパネルと、
前記フロントパネルを正面から視る平面視において前記複数のマイクに重なり、前記フロントパネルと異なる部材に備えられた防塵部材と、
前記平面視において前記複数のマイクに重ならない位置であり、前記複数のマイクと前記フロントパネルとの間に配置された遮音壁と、
前記フロントパネルと前記基板との間に配置され、前記遮音壁の中央開口に対応する位置に孔を有する板状の保護部材と、
を備える、
マイク装置。
【請求項2】
前記防塵部材は、前記フロントパネルと前記複数のマイクとの間に配置される、
請求項1に記載のマイク装置。
【請求項3】
前記フロントパネルと前記基板との間に配置された板状の保護部材を備え、
前記遮音壁は、
前記基板と前記保護部材との間に配置され、
前記保護部材が配置されていない状態よりも前記保護部材が配置されている状態において、前記保護部材側の端面と前記基板側の端面との距離が短い、
請求項1または請求項2に記載のマイク装置。
【請求項4】
前記遮音壁は、前記平面視において前記複数のマイクをそれぞれに囲むように配置される、
請求項1
乃至請求項3のいずれか1項に記載のマイク装置。
【請求項5】
前記防塵部材は、前記遮音壁の端面に配置されている、
請求項
1乃至請求項4のいずれか1項に記載のマイク装置。
【請求項6】
基板と、
前記基板に配置された複数のマイクと、
前記基板を覆うフロントパネルと、
平面視において前記複数のマイクに重ならない位置であり、前記複数のマイクと前記フロントパネルとの間に配置された遮音壁と、
前記フロントパネルと前記基板との間に配置された板状の保護部材と、
を備え
、
前記遮音壁は、
前記基板と前記保護部材との間に配置され、
前記保護部材が配置されていない状態よりも前記保護部材が配置されている状態において、前記保護部材側の端面と前記基板側の端面との距離が短い、
マイク装置。
【請求項7】
前記遮音壁は、弾性部材である、
請求項
1乃至請求項6のいずれか1項のいずれかに記載のマイク装置。
【請求項8】
前記複数のマイクは、ランダムに配置されている、
請求項1乃至請求項
7のいずれかに記載のマイク装置。
【請求項9】
前記複数のマイクは、MEMSマイクである、
請求項1乃至請求項
8のいずれかに記載のマイク装置。
【請求項10】
前記複数のマイクは、アレイマイクである、
請求項1乃至請求項
9のいずれかに記載のマイク装置。
【請求項11】
前記フロントパネルは、メッシュ構造からなる、
請求項1乃至請求項
10のいずれかに記載のマイク装置。
【請求項12】
前記基板および前記フロントパネルは、天井に設置されている、
請求項1乃至請求項
11のいずれかに記載のマイク装置。
【請求項13】
前記フロントパネルは、前記天井のパネルと交換可能な形状である、
請求項
12に記載のマイク装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の一実施形態は、複数のマイクと、複数のマイクを覆うフロントパネルとを備えるマイク装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、アレイマイクシステムを開示している。特許文献1のアレイマイクシステムは、複数のマイク、スクリーン、および、保護用の膜を備える。複数のマイクは、基板に実装されている。
【0003】
スクリーンは、基板の表面側に配置される。スクリーンは、アレイマイクシステムを設置した際に、外部に露出する面である。
【0004】
保護用の膜は、外部から複数のマイクおよび基板を保護するものであり、スクリーンの裏面に貼り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、スクリーンの塗り替えを行う場合、スクリーンから保護用の膜を取り外す必要があり、塗装後は、スクリーンに保護用の膜を再度貼り付ける必要がある。このため、スクリーンの塗り替えの作業は、煩雑になる。
【0007】
一方、保護用の膜を配置しなければ、複数のマイクの保護性能は、低下する。
【0008】
したがって、本発明の目的は、複数のマイクの保護性能を低下させることなく、スクリーン等のフロントパネルの塗り替えが容易なマイク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
マイク装置は、基板と、基板に配置された複数のマイクと、基板を覆うフロントパネルと、フロントパネルを正面から視る平面視において複数のマイクに重なり、フロントパネルと異なる部材に装着された防塵部材と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
マイク装置は、複数のマイクを保護しながら、スクリーン等のフロントパネルの塗り替えを容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】
図3(A)は、マイク装置の側面図であり、
図3(B)は、フロントパネルを除いた状態でのマイク装置の側面図であり、
図3(C)は、フロントパネルを除いた状態でのマイク装置の側面断面図である。
【
図4】
図4は、マイク装置の一部を拡大した側面断面図である。
【
図5】
図5(A)は、遮音壁の平面図および側面図であり、
図5(B)は、防塵部材の平面図および側面図であり、
図5(C)は、遮音壁と防塵部材とを組み合わせた状態の平面図および側面図である。
【
図6】
図6は、マイク装置の設置態様の一例を示す斜視図である。
【
図7】
図7(A)、
図7(B)、
図7(C)は、マイク装置の派生例の構成を示す部分的な拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、マイク装置の分解斜視図である。
図2は、マイク装置の平面図である。
図3(A)は、マイク装置の側面図であり、
図3(B)は、フロントパネルを除いた状態でのマイク装置の側面図であり、
図3(C)は、フロントパネルを除いた状態でのマイク装置の側面断面図である。
図4は、マイク装置の一部を拡大した側面断面図である。なお、
図1では、図を見やすくするため、一部の符号の記載を省略している。また、
図3(A)、
図3(B)、
図3(C)では、図を見やすくするため、マイク装置の内部の構造を概略的に記載している。
【0013】
図1、
図2、
図3(A)、
図3(B)、および、
図3(C)に示すように、マイク装置10は、フロントパネル20、保護部材30、基板40、複数のマイク50、複数の遮音壁60、複数の防塵部材70、および、リアパネル80を備える。
【0014】
フロントパネル20は、凹部200を有する箱状である。フロントパネル20は、例えば、メッシュ構造である。なお、フロントパネル20は、音を通過させる構造(通音性を有する構造)であれば、メッシュ構造に限るものではない。
【0015】
保護部材30は、凹部300を有する箱状である。保護部材30は、例えば、金属板等の剛性を有する板材から形成される。より具体的には、保護部材30は、主板31と複数の側板32と備える。複数の側板32は、主板21の外縁に沿って配置され、主板21に接続する。この際、複数の側板22は、主板21に直交するように接続する。これにより、保護部材30は、凹部300を備える。主板21は、複数の孔33を備える。複数の孔33は、主板21を厚み方向に貫通する。
【0016】
基板40は、互いに対向する第1面41と第2面42とを備える。基板40は、例えば、絶縁性樹脂の基材と、この基材に形成された導体パターンとを備える。
図3(A)、
図3(B)、
図3(C)、および、
図4に示すように、基板40は、複数の孔400を備える。複数の孔400は、基板40を厚み方向に貫通する。
【0017】
複数のマイク50は、例えば、MEMSマイクである。複数のマイク50は、例えば、受音面を有する筐体を備え、受音面には受音孔を有する。
【0018】
図5(A)は、遮音壁の平面図および側面図である。
図5(A)に示すように、遮音壁60は、円筒形を有し、貫通孔600を有する。貫通孔600が開口する面が、遮音壁60の端面である。遮音壁60は、弾性部材からなり、例えば、発泡ウレタン、ゴム、弾性樹脂等からなる。円筒形の壁は、所定の厚みを有する。
【0019】
これにより、遮音壁60は、円筒形の軸方向に直交する方向への音の漏洩を抑制する。すなわち、遮音壁60は、内側の空間を伝搬する音が円筒形の壁を通って外側の空間へ漏洩することを抑制する。逆に、遮音壁60は、外側の空間の音が円筒形の壁を通って内側の空間へ漏洩することを抑制する。なお、遮音壁60は、円筒形に限らず、筒状であればよい。すなわち、遮音壁60は、三角柱や四角柱等を基材とする多角形の筒であってもよい。
【0020】
図5(B)は、防塵部材の平面図および側面図である。複数の防塵部材70は、シート状である。複数の防塵部材70は、例えば、不織布である。複数の防塵部材70は、通音性を有し、且つ、塵、埃等、マイク50に悪影響を与える物質の通過を抑制する。
【0021】
リアパネル80は、互いに対向する表面81と裏面82とを有し、所定の剛性を有する板である。リアパネル80は、例えば、金属板である。
【0022】
上述の構成からなるマイク装置10の各構成要素は、
図1、
図2、
図3(A)、
図3(B)、
図3(C)、および、
図4に示すように配置される。
【0023】
基板40は、リアパネル80に固定される。この際、基板40の第2面42とリアパネル80の表面81とは、対向している。
【0024】
複数のマイク50は、基板40の第2面42に配置される。複数のマイク50は、基板40に形成された導体パターンに接続する。複数のマイク50は、受音面が基板40側を向くように配置される。複数のマイク50は、マイク装置10の平面視において、受音する孔が基板40の孔400と重なるように、配置される。なお、マイク装置10の平面視とは、マイク装置10の各構成要素を組み付けた状態でリアパネル80、基板40、保護部材30、および、フロントパネル20を正面から視た状態を意味する。以下、マイク装置10の平面視とは、この状態を意味し、単に「平面視」として説明する。
【0025】
複数の孔400の開口径は、複数のマイク50の仕様、例えば、受音孔の径に応じて決定される。例えば、複数の孔400の開口径は、複数のマイク50の受音孔の開口径と同等程度であるとよい。これにより、マイク装置10は、基板40の孔400が必要以上に大きくなることを抑制でき、且つ、複数のマイク50の基板40への実装時の位置ズレによって、受音孔が不要に塞がってしまうことを抑制できる。
【0026】
複数の遮音壁60は、基板40の第1面41に配置される。複数の遮音壁60の一方の端面は、基板40の第1面41に当接する。複数の遮音壁60は、基板40の複数の孔400に配置される。より具体的には、複数の遮音壁60の1つ1つは、複数の孔400の1つ1つに対応して配置される。この際、平面視において、複数の遮音壁60の中央の開口は、基板40の孔400に重なっている。すなわち、平面視において、複数の遮音壁60は、複数のマイク50のそれぞれを囲むように、配置される。
【0027】
なお、複数の遮音壁60の一方の端面は、接着材等によって、基板40の第1面41に接着、接合されていることが好ましい。
【0028】
複数の遮音壁60の開口径は、基板40の孔400の開口径よりも大きい。これにより、マイク装置10は、複数の遮音壁60を基板40に配置する際の誤差によって、孔400と複数の遮音壁60の壁部とが重なることを抑制できる。
【0029】
図5(C)は、遮音壁と防塵部材とを組み合わせた状態の平面図および側面図である。
図5(C)に示すように、複数の防塵部材70は、複数の遮音壁60の他方の端面に装着される。この際、複数の防塵部材70は、複数の遮音壁60の中央の開口を塞ぐように装着される。複数の防塵部材70の1つ1つは、複数の遮音壁60の1つ1つに対応して配置される。なお、複数の防塵部材70は、接着材等によって、複数の遮音壁60に接着、接合されていることが好ましい。
【0030】
複数の防塵部材70の外径は、遮音壁60の内径以上であり外径程度であるとよい。これにより、防塵部材70の形状を大きくしすぎることなく、遮音壁60の中央開口を防塵部材70によって、より確実に塞ぐことができる。
【0031】
保護部材30は、平面視において、基板40に重なるように、リアパネル80に固定される。この際、保護部材30は、複数のマイク50が実装された基板40、複数の遮音壁60、および、複数の防塵部材70が凹部300内に収容されるように、リアパネル80に固定される。保護部材30は、平面視において、複数の孔33が複数の遮音壁60の中央開口に重なるように、配置される。
【0032】
複数の孔33の開口径は、複数の遮音壁60の内径よりも大きく、外形よりも小さいことが好ましい。これにより、マイク装置10は、複数の遮音壁60の設置誤差等によって孔33と遮音壁60の中央開口とが重ならないこと、および、孔33が遮音壁60および防塵部材70に重ならない部分が発生することを抑制できる。
【0033】
フロントパネル20は、通音性(音響透過性)を有する。フロントパネル20は、例えば、金属、プラティック等のメッシュ構造や、通音性を有するフィルム等によって実現される。なお、メッシュ構造は、所謂、グリル構造も含んでいる。フロントパネル20は、平面視において、保護部材30に重なるように、言い換えれば、複数のマイク50が実装された基板40、複数の遮音壁60、および、複数の防塵部材70に重なるように、配置され、リアパネル80に固定される。
【0034】
マイク装置10は、上述の構成を備えることによって、以下のような作用効果を得る。
【0035】
マイク装置10の外部からの音は、フロントパネル20を通過し、保護部材30の複数の孔33をそれぞれ通過し、複数の防塵部材70および複数の遮音壁60の中央開口をそれぞれ通過し、基板40の複数の孔400をそれぞれ通過して、複数のマイク50で収音される。これにより、マイク装置10は、外部の音を、複数のマイク50によって収音できる。
【0036】
マイク装置10の外部からの塵や埃等は、複数の防塵部材70によって吸着される。これにより、マイク装置10は、塵や埃等が複数のマイク50に到達することを抑制できる。
【0037】
複数の防塵部材70は、フロントパネル20に装着されていない。したがって、フロントパネル20の塗り替え等の際に、フロントパネル20から複数の防塵部材70を取り外す必要は無い。これにより、作業者やユーザは、フロントパネル20の塗り替えを容易に行うことができる。
【0038】
複数の防塵部材70は、保護部材30と複数の遮音壁60との間に配置されている。すなわち、複数の防塵部材70は、保護部材30によって保護される。したがって、フロントパネル20の取り替えの際、作業者やユーザが複数の防塵部材70に接触することは抑制され、複数の防塵部材70の破損等は抑制される。
【0039】
複数の遮音壁60が複数のマイク50毎に備えられている。これにより、マイク装置10は、複数のマイク50の音響結合を抑制できる。
【0040】
特に、保護部材30を備える態様では、保護部材30と基板40との間に略閉空間が形成される。このような場合、複数の遮音壁60が無ければ、この略閉空間によって音響結合は生じ易い。
【0041】
しかしながら、マイク装置10では、複数のマイク50毎に複数の遮音壁60が配置される。さらに、複数の遮音壁60の一方端面は、基板40の第1面41に当接し、他方端面は、複数の防塵部材70を介して保護部材30に当接する。これにより、保護部材30と基板40との間の空間に、複数のマイク50毎に、音響的に独立する空間(音の伝搬経路)を形成できる。この結果、マイク装置10は、複数のマイク50の音響結合を、より効果的に抑制できる。
【0042】
さらに、保護部材30は、複数の遮音壁60を基板40に押しつけるように、設置されることが好ましい。この場合、複数の遮音壁60が弾性部材であれば、保護部材30が配置されていない状態に対して、保護部材30が配置されている状態の方が、複数の遮音壁60の高さは低い。言い換えれば、遮音壁60の保護部材30側の端面と基板40側の端面との距離が短い。そして、複数の遮音壁60が弾性部材であるので、この押圧によって複数の遮音壁60と基板40の第1面41との間の隙間が抑制される。同様に、保護部材30と複数の防塵部材70の間の隙間が抑制される。したがって、基板40の第1面41に平行な方向の音の漏洩は、さらに抑制され、マイク装置10は、複数のマイク50の音響結合を、より効果的に抑制できる。なお、この理由によって、複数の遮音壁60は、弾性部材であることが好ましいが、遮音性能を有する材質であれば、弾性部材でなくてもよい。また、複数の遮音壁60は、両端面付近を弾性部材として、その間の部分を他の部材としてもよい。
【0043】
複数のマイク50は、MEMSマイクである。これにより、マイク装置10は、薄型になる。また、複数のマイク50を基板40に実装し易く、マイク装置10のように多くのマイク50を備える構成に対しては、他構造のマイクを用いるよりも、マイク装置10の製造が容易になる。なお、この理由によって、複数のマイク50は、MEMSマイクであることが好ましいが、複数のマイク50をMEMSマイクと異なるマイクとすることも可能である。
【0044】
なお、上述の説明では、詳細に説明していないが、複数のマイク50は、ランダムに配置されている。ランダムな配置とは、例えば、複数のマイク50が直線上に並ぶ配置や、一定の径の円周上等に並ぶ配置とは異なる配置を意味する。このような構成に対して、マイク装置10は、複数のマイク50毎に複数の遮音壁60および複数の防塵部材70を個別に備える。したがって、マイク装置10は、複数のマイク50の配置パターンによらず、複数のマイク50のそれぞれに対して、複数の遮音壁60および複数の防塵部材70を確実に配置できる。また、複数の遮音壁60および複数の防塵部材70の形状を統一でき、これら複数の遮音壁60および複数の防塵部材70を製造し易く、装着も容易になる。
【0045】
また、複数のマイク50の配置は、ランダムでなく、渦巻き状、直線状、多角形状であってもよく、渦巻き状の配置、直線状の配置、多角形状の配置は、単数であっても、複数であってもよく、複数種類を組み合わせたものであってもよい。
【0046】
また、複数のマイク50は、例えば、収音ビームを形成するアレイマイクである。複数のマイク50をアレイマイクに用いた場合、上述のように、複数のマイク50の音響結合が抑制されることで、所望の収音ビームを、より精度よく形成できる。なお、複数のマイク50は、アレイマイクを構成していなくてもよい。
【0047】
このような構成のマイク装置10は、例えば、次に示すように用いられる。
図6は、マイク装置の設置態様の一例を示す斜視図である。
【0048】
図6に示すように、マイク装置10は、収音対象の部屋90に設置される。この際、マイク装置10は、部屋90の天井901に設置される。より具体的には、マイク装置10は、フロントパネル20側が部屋90の床902に向くように、天井901に設置される。すなわち、マイク装置10は、所謂シーリングマイクとして利用される。なお、フロントパネル20を平面視した形状は、天井901のパネルと交換可能な形状であることが好ましい。例えば、その形状は、米国、欧州等の各国で典型的に決められている形状に合わせていればよい。これにより、マイク装置10を天井901に備え付ける作業は、容易になる。
【0049】
このような利用態様では、ユーザが部屋90のデザインに合わせて、フロントパネル20の色を塗り替えることがある。このような場合、フロントパネル20は取り外されるが、上述のように、マイク装置10の構成を備えることによって、作業者やユーザは、フロントパネル20の塗り替え、取り替えを容易に行うことができる。
【0050】
なお、上述の構成は、一例であり、例えば、マイク装置は、次の例に示す構成であってもよい。
図7(A)、
図7(B)、
図7(C)は、マイク装置の派生例の構成を示す部分的な拡大側面図である。
【0051】
図7(A)に示すように、マイク装置10Aは、マイク装置10に対して、複数の遮音壁60と複数の防塵部材70との位置関係が逆である。マイク装置10Aの他の構成は、マイク装置10と同様であり、説明は省略する。マイク装置10Aでは、複数の防塵部材70は、複数の遮音壁60と基板40の第1面41との間に配置される。
【0052】
図7(B)に示すように、マイク装置10Bは、マイク装置10に対して、複数の遮音壁60に共通の防塵部材70を用いる点で異なる。マイク装置10Bの他の構成は、マイク装置10と同様であり、説明は省略する。マイク装置10Bでは、防塵部材70は、複数の遮音壁60に重なるように配置される。
【0053】
図7(C)に示すように、マイク装置10Cは、マイク装置10に対して、複数の防塵部材70が保護部材30に装着されている点で異なる。マイク装置10Cの他の構成は、マイク装置10と同様であり、説明は省略する。マイク装置10Cでは、複数の防塵部材70は、保護部材30における複数の遮音壁60への接触面と反対側の面に配置される。そして、複数の防塵部材70は、例えば、接着材等によって保護部材30に装着される。
【0054】
このように、本発明のマイク装置では、防塵部材70がフロントパネル20と異なる部材(マイク装置の構成要素)に装着されていればよい。
【0055】
なお、上述の説明において、
図7(C)の構成を除けば、保護部材30は、省略可能である。また、作業者やユーザがフロントパネル20の塗り替え、取り替えを容易に行うという点においては、複数の遮音壁60は、省略可能である。
【0056】
また、防塵部材70は、マイク50よりもフロントパネル20側にあれば、上述の構成以外の位置にあってもよい。なお、防塵部材70は、上述の音響結合の抑制を課題とする場合には、省略することも可能である。
【0057】
本実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
10、10A、10B、10C:マイク装置
20:フロントパネル
21:主板
22:側板
30:保護部材
32:側板
33:孔
40:基板
41:第1面
42:第2面
50:マイク
60:遮音壁
70:防塵部材
80:リアパネル
81:表面
82:裏面
90:部屋
200:凹部
300:凹部
400:孔
600:貫通孔
901:天井
902:床