(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-01
(45)【発行日】2024-04-09
(54)【発明の名称】漏液抑制装置および導入液回路閉塞装置
(51)【国際特許分類】
A61M 1/36 20060101AFI20240402BHJP
【FI】
A61M1/36 145
(21)【出願番号】P 2020031367
(22)【出願日】2020-02-27
【審査請求日】2023-01-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫃田 毅
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-518907(JP,A)
【文献】特表2005-525129(JP,A)
【文献】特開2016-10599(JP,A)
【文献】独国特許発明第19900320(DE,C1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の体外に設けられ、前記患者の体内に導入される導入液が流れる導入液回路を含むシステムに用いられる漏液抑制装置であって、
穿刺部における漏液または針抜状態を検知可能な検知部と、
前記導入液回路上に設けられ、前記導入液回路を開閉可能な開閉機構と、
前記穿刺部における漏液または針抜状態が前記検知部により検知されたときに、前記開閉機構により前記導入液回路を閉塞するように前記開閉機構を制御する制御部とを備
え、
前記開閉機構は、
第1面を有する第1部材と、
前記第1面とほぼ平行な第2面を有する第2部材と、
前記第2部材と対向する部分を有する第3部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に設けられ、前記第1面と前記第2面とを近づける方向に前記第1部材および前記第2部材を付勢する弾性部材と、
前記第3部材における前記第2部材と対向する部分が前記第2部材に近づく方向に前記第3部材を駆動可能な駆動部とを含み、
通常時において、前記弾性部材の付勢力により前記第1面と前記第2面との間に前記導入液回路は保持され、
前記穿刺部における漏液または針抜状態が前記検知部により検知されたとき、前記第3部材が駆動され、前記第2部材と前記第3部材とで前記導入液回路を挟持して前記導入液回路を閉塞するように、前記制御部が前記駆動部を制御する、漏液抑制装置。
【請求項2】
前記開閉機構が前記導入液回路を閉塞したときの前記導入液回路の圧力の変動に基づいて、前記導入液回路に導入液を循環させる導入液ポンプが停止する、請求項1に記載の漏液抑制装置。
【請求項3】
前記開閉機構は、前記導入液ポンプよりも前記導入液回路の上流側に設けられる、請求項2に記載の漏液抑制装置。
【請求項4】
前記第1面および前記第2面は各々2箇所に分けて形成される、
請求項1から請求項3のいずれかに記載の漏液抑制装置。
【請求項5】
前記導入液回路は、前記患者の血液が流れる血液回路を含む、請求項1から
請求項4のいずれかに記載の漏液抑制装置。
【請求項6】
前記システムは、前記血液回路に接続されたダイアライザを含む人工透析システムである、
請求項5に記載の漏液抑制装置。
【請求項7】
患者の体外に設けられ、前記患者の体内に導入される導入液が流れる導入液回路を閉塞可能な導入液回路閉塞装置であって、
第1面を有する第1部材と、
前記第1面とほぼ平行な第2面を有する第2部材と、
前記第2部材と対向する部分を有する第3部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に設けられ、前記第1面と前記第2面とを近づける方向に前記第1部材および前記第2部材を付勢する弾性部材と、
前記第3部材における前記第2部材と対向する部分が前記第2部材に近づく方向に前記第3部材を駆動可能な駆動部とを含み、
前記導入液回路が前記第1面と前記第2面との間に保持された状態から、前記第3部材が駆動され、前記第2部材と前記第3部材とで前記導入液回路を挟持して前記導入液回路を閉塞する、導入液回路閉塞装置。
【請求項8】
前記導入液回路は、前記患者の血液が流れる血液回路を含む、
請求項7に記載の導入液回路閉塞装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、漏液抑制装置および導入液回路閉塞装置に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性腎不全の患者に施される血液透析治療が従来から知られている。血液透析治療とは、シャントと呼ばれる人工的に血流を増加させた血管部分より、留置針を用いて取り出した患者の血液を数時間かけて血液回路で対外循環させ、人工腎臓(ダイヤライザ)内で浄化および水分調整し、その後に患者の体内に戻す治療法である。
【0003】
血液透析治療において、患者の腕に刺された針からの液漏れが生じた場合、素早く対処することが求められる。特開2007-143895号公報(特許文献1)には、漏血等の液漏れが少量であっても検出することが可能な水分感知シートが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の発明では、穿刺部からの液漏れが検知されたという情報を知らせるために、感知シートが音源や発信装置等の付属機器に接続される。これにより、看護師等に容易に情報が伝達されると特許文献1では説明されている。液漏れの情報が伝達された看護師等が血液ポンプを停止させることで血液の循環が停止される。しかしながら、液漏れを効果的に抑制する観点からは、血液の循環停止までをさらに迅速に行なうことが要請される。
【0006】
本開示は、患者の体外に設けられ、上記患者の体内に導入される導入液が流れる導入液回路を含むシステムにおいて、液漏れ発生時に導入液の循環停止までを迅速に行ない、効果的に漏液を抑制することができる漏液抑制装置および導入液回路閉塞装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る漏液抑制装置は、患者の体外に設けられ、上記患者の体内に導入される導入液が流れる導入液回路を含むシステムに用いられる漏液抑制装置であって、穿刺部における漏液または針抜状態を検知可能な検知部と、上記導入液回路上に設けられ、上記導入液回路を開閉可能な開閉機構と、上記穿刺部における漏液または針抜状態が上記検知部により検知されたときに、上記開閉機構により上記導入液回路を閉塞するように上記開閉機構を制御する制御部とを備える。
【0008】
一つの実施態様では、上記漏液抑制装置において、上記開閉機構が上記導入液回路を閉塞したときの上記導入液回路の圧力の変動に基づいて、上記導入液回路に導入液を循環させる導入液ポンプが停止する。
【0009】
一つの実施態様では、上記漏液抑制装置において、上記開閉機構は、上記導入液ポンプよりも上記導入液回路の上流側に設けられる。
【0010】
一つの実施態様では、上記漏液抑制装置において、上記開閉機構は、第1面を有する第1部材と、上記第1面とほぼ平行な第2面を有する第2部材と、上記第2部材と対向する部分を有する第3部材と、上記第1部材と上記第2部材との間に設けられ、上記第1面と上記第2面とを近づける方向に上記第1部材および上記第2部材を付勢する弾性部材と、上記第3部材における上記第2部材と対向する部分が上記第2部材に近づく方向に上記第3部材を駆動可能な駆動部とを含み、通常時において、上記弾性部材の付勢力により上記第1面と上記第2面との間に上記導入液回路は保持され、上記穿刺部における漏液または針抜状態が上記検知部により検知されたとき、上記第3部材が駆動され、上記第2部材と上記第3部材とで上記導入液回路を挟持して上記導入液回路を閉塞するように、上記制御部が上記駆動部を制御する。
【0011】
一つの実施態様では、上記漏液抑制装置において、上記第1面および上記第2面は各々2箇所に分けて形成される。
【0012】
一つの実施態様では、上記漏液抑制装置において、上記導入液回路は、上記患者の血液が流れる血液回路を含む。
【0013】
一つの実施態様では、上記漏液抑制装置において、上記システムは、上記血液回路に接続されたダイアライザを含む人工透析システムである。
【0014】
本開示に係る導入液回路閉塞装置は、患者の体外に設けられ、上記患者の体内に導入される導入液が流れるた導入液回路を閉塞可能な導入液回路閉塞装置であって、第1面を有する第1部材と、上記第1面とほぼ平行な第2面を有する第2部材と、上記第2部材と対向する部分を有する第3部材と、上記第1部材と上記第2部材との間に設けられ、上記第1面と上記第2面とを近づける方向に上記第1部材および上記第2部材を付勢する弾性部材と、上記第3部材における上記第2部材と対向する部分が上記第2部材に近づく方向に上記第3部材を駆動可能な駆動部とを含み、上記導入液回路が上記第1面と上記第2面との間に保持された状態から、上記第3部材が駆動され、上記第2部材と上記第3部材とで上記導入液回路を挟持して上記導入液回路を閉塞する。
【0015】
一つの実施態様では、上記導入液回路閉塞装置において、上記導入液回路は、上記患者の血液が流れる血液回路を含む。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、患者の体外に設けられた導入液回路を含むシステムにおいて、液漏れ発生時に導入液の循環停止までを迅速に行ない、効果的に漏液を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本開示の実施の形態に係る漏液抑制装置を含む人工透析システムの構成を示す図である。
【
図2】
図1に示す漏液抑制装置に含まれる検知部の構成を示す図である。
【
図3】
図2に示す検知部を患者の穿刺部に設ける手順を示す図(その1)である。
【
図4】
図2に示す検知部を患者の穿刺部に設ける手順を示す図(その2)である。
【
図5】
図2に示す検知部を患者の穿刺部に設ける手順を示す図(その3)である。
【
図6】
図2に示す検知部を患者の穿刺部に設ける手順を示す図(その4)である。
【
図7】
図1に示す漏液抑制装置に含まれる開閉機構の構成を示す図(その1)である。
【
図8】
図1に示す漏液抑制装置に含まれる開閉機構の構成を示す図(その2)である。
【
図9】
図7,
図8に示す開閉機構に含まれる駆動部としてのソレノイドを示す図(その1)である。
【
図10】
図7,
図8に示す開閉機構に含まれる駆動部としてのソレノイドを示す図(その2)である。
【
図11】
図7,
図8に示す開閉機構を血液回路上に設けた状態を示す図である。
【
図12】
図1に示す漏液抑制装置に含まれる制御部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本開示の実施の形態について説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本開示の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、以下の実施の形態において、各々の構成要素は、特に記載がある場合を除き、本開示にとって必ずしも必須のものではない。
【0019】
図1は、人工透析システム100の構成を示す図である。
図1に示すように、人工透析システム100は、ダイアライザ1と、透析液供給装置2と、血液回路3(導入液回路)と、血液ポンプ4と、抗凝固薬注入ポンプ5とを含む。
【0020】
ダイアライザ1には、患者から取り出した血液(導入液)が送り込まれる。ダイアライザ1において、血液は、半透膜の孔を通じて血液と反対方向に流れる透析液と接触する。この際、尿素や老廃物など人体にとって有害な物質や余分な水分が、血液から透析液に移行し、電解質など身体に不足している物質が透析液から血液に補なわれる。
【0021】
透析液供給装置2は、矢印DR2A方向に沿ってダイアライザ1に透析液を供給する。ダイアライザ1内を流れて血液と接触した老廃物を含む透析液は、矢印DR2B方向に沿って透析液供給装置2に戻される。
【0022】
血液回路3は、脱血側の血液回路3Aと、返血側の血液回路3Bとを含む。患者から取り出された血液は、矢印DR3A方向に沿って血液回路3Aを流れ、ダイアライザ1に達する。ダイアライザ1において浄化された血液は、矢印DR3B方向に沿って血液回路3Bを流れ、患者に返血される。
【0023】
血液ポンプ4は、血液回路3内に圧力をかけて、血液を循環させる。
図1に示すように、血液ポンプ4は、脱血側の血液回路3A上に設けられる。
【0024】
抗凝固薬注入ポンプ5は、脱血側の血液回路3Aに接続され、抗凝固薬を血液回路3Aに供給するものである。
【0025】
血液は、患者の穿刺部6(穿刺部6A)から脱血され、ダイアライザ1で浄化された後、患者の穿刺部6(穿刺部6B)に戻り、患者の体内に返血される。
【0026】
人工透析の治療中における穿刺部6からの血液漏れや針抜けを検知することが要請される。特に、治療中に返血側の穿刺部6Bにおいて針抜けが発生した場合、血液回路3を流れる血液が体外に流出することになる。かかる事態を迅速に検知するとともに、漏血を防止ないし最小限に抑制することが求められる。
【0027】
本実施の形態に係る漏血抑制装置は、人工透析システム100に用いられるものであって、穿刺部6における漏血または針抜状態を検知可能な検知部10と、血液回路3上に設けられ、血液回路3を開閉可能な開閉機構20と、穿刺部6における漏血が検知部10により検知されたときに、開閉機構20により血液回路3を閉塞するように開閉機構を制御する制御部30とを備える。
図1においては、図示の便宜上、開閉機構20を脱血側の血液回路3A上に設けられているが、1つの典型例において、開閉機構20は、返血側の血液回路3B上に設けられたチャンバ(図示せず)の下部(好ましくは直下)に取り付けられる。なお、開閉機構20の設置位置は上述の位置に限定されない。以下、検知部10、開閉機構20、および制御部30について説明する。
【0028】
図2は、検知部10の構成を示す図である。
図2に示すように、検知部10は、センサ11と、パッド12と、粘着テープ13とを含む。粘着テープ13には、折り返し部分13Aが設けられている。検知部10は、脱血側の穿刺部6Aおよび返血側の穿刺部6Bの両方に設けられるが、場合により、穿刺部6A,6Bのうち片方にのみ設けられることもあり得る。
【0029】
センサ11は、たとえば銀やカーボンペーストなどの導電体から構成される。パッド12は、たとえば不織布により構成される。粘着テープ13は、たとえばレーヨン、合成繊維、アクリル系接着剤などから構成される。
【0030】
図3~
図6は、検知部10を患者の穿刺部6に設ける手順を示す図である。まず、個包装された検知部10を開封し、
図3に示すように、粘着テープ13の折り返し部分13Aを持ち、台紙14から剥がす。次に、
図4に示すように、穿刺針7の穿刺部位(穿刺部6)にパッド12をあて、しっかりと密着させる。次に、
図5に示すように、センサ11の一部をクリップ15により挟む。そして、
図6に示すように、クリップ15を穿刺針7に取り付ける。クリップ15は、制御部30と電気的に接続されている。
【0031】
上記検知部10により、穿刺部6からの血液漏れを検知することができる。また、穿刺針7が抜けた場合には、クリップ15がセンサ11から離脱して、針抜けを検知することができる。漏血や針抜状態が検知されたとき、開閉機構20により血液回路3が閉塞される。
【0032】
図7,
図8は、開閉機構20の構成を示す図である。
図7は、通常時の開閉機構20を示し、
図8は、異常時、すなわち穿刺部6における漏血または針抜状態が検知部10により検知されたときの開閉機構20を示す。
図7,
図8においては、血液回路3を図示していない。
図7,
図8に示すように、開閉機構20は、第1部材21と、第2部材22と、第3部材23と、弾性部材24と、ソレノイド25(駆動部)とを含む。
【0033】
第1部材21は、支持面21Aと、保持面21B,21C(第1面)とを有する。第2部材は、突起部22Aと、保持面22B,22C(第2面)とを有する。突起部22Aは、第3部材23に向かって突出する。保持面22B,22Cは、第1部材21の保持面21B,21Cとほぼ平行に形成される。第3部材23は、突起部23Aを有する。突起部23Aは、第2部材22の突起部22Aと対向する。
【0034】
弾性部材24は、第1部材21の支持面21Aと第2部材22との間に設けられる。弾性部材24は、保持面21B,21C(第1面)と保持面22B,22C(第2面)とを近づける方向に第1部材21および第2部材22を付勢する。通常時(
図7)においては、弾性部材24の付勢力により、第1部材21の保持面21B,21Cと第2部材22の保持面22B,22Cとの間に血液回路3は保持される。すなわち、通常時において、血液回路3は、第1部材21の2箇所(保持面21B,21C)と、第2部材22の2箇所(保持面22B,22C)とで保持される。保持面21B,21C,22B,22Cは、通常時に血液回路3の流路を狭めて血液の流れを阻害しないよう、平面状に形成されている。
【0035】
ソレノイド25(駆動部)は、第2部材22に近づく方向に第3部材23の突起部23Aを駆動することができる。穿刺部6における漏血または針抜状態が検知部10により検知されたとき、制御部30は、第3部材23の突起部23Aを第2部材22の突起部22Aに近づける方向に第3部材23を駆動する(
図8)。これにより、血液回路3は、第2部材22の突起部22Aと第3部材23の突起部23Aとで挟持される。すなわち、穿刺部6における漏血または針抜状態が発生したとき、血液回路3は、第2部材22の1箇所(突起部22A)と、第3部材23の1箇所(突起部23A)とで挟持され、これにより、血液回路3が閉塞される。これにより、漏血を防止ないし最小限に抑制することができる。突起部22A,23Aの先端は、血液回路3を閉塞しやすいよう、尖った形状(応力集中が生じやすい形状)に形成されている。
【0036】
血液回路3が閉塞されると、血液回路3中の圧力が変動(上昇)する。このとき、血液ポンプ4は、その圧力の変動に基づいて動作を停止させる。この動作停止の機能は、従来の血液ポンプ4にも備えられている。よって、本実施の形態に係る漏血抑制装置は、既存の人工透析システム100にそのまま取り付けることができる。たとえば返血側の血液回路3B上に設けられたチャンバの下部に開閉機構20を取り付けた場合、血液回路3Bの閉塞に伴なって静脈側チャンバの圧力が上昇する。人工透析システム100において、静脈側チャンバの圧力は常に監視されているため、既存の設備を利用して圧力の上昇を検知することができる。血液回路3Bの圧力上昇が検知されたとき、血液ポンプ4の動作は停止する。
【0037】
図9,
図10は、ソレノイド25を示す図である。
図9,
図10に示すように、ソレノイド25は、棒状部材25Aと、コイル25Bとを含む。コイル25Bに電流が流れると、棒状部材25Aが軸方向に駆動され、第3部材23の突起部23Aが第2部材22の突起部22Aに近づく方向に第3部材23が駆動される。
【0038】
図11は、開閉機構20を血液回路3上に設けた状態を示す図である。
図11に示すように、通常時においては、弾性部材24の付勢力により第1部材21と第2部材22との間に血液回路3が保持されている。
【0039】
図12は、制御部30の構成を示す図である。
図12に示すように、制御部30は、マイコン31と、抵抗32(32A,32B)と、スイッチ回路33と、電源34とを含む。
【0040】
マイコン31は、検知部10のクリップ15と電気的に接続されている。マイコン31は、異常時(漏血ないし針抜状態)の信号を検知部10から受信し、予めプログラムされたパターンにより、ソレノイド25を駆動する指令を発信する。抵抗32を介してマイコン31に接続されたスイッチ回路33および電源34により、ソレノイド25が駆動される。
【0041】
本実施の形態に係る人工透析システム100によれば、液漏れ(漏血ないし針抜状態)の発生時に、血液の循環停止までを迅速に行ない、効果的に漏血を抑制することができる。
【0042】
なお、本実施の形態においては、漏液抑制装置の一例として、人工透析システム100に用いられる漏血抑制装置について説明したが、漏液抑制装置はこれに限定されるものではなく、たとえば、輸液ポンプやシリンジポンプにおける漏液や抜針の監視にも同様の構成を適用可能である。
【0043】
以上、本開示の実施の形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0044】
1 ダイアライザ、2 透析液供給装置、3,3A,3B 血液回路、4 血液ポンプ、5 抗凝固薬注入ポンプ、6,6A,6B 穿刺部、7 穿刺針、10 検知部、11 センサ、12 パッド、13 粘着テープ、13A 折り返し部分、14 台紙、15 クリップ、20 開閉機構、21 第1部材、21A 支持面、21B,21C 保持面、22 第2部材、22A 突起部、22B,22C 保持面、23 第3部材、23A 突起部、24 弾性部材、25 ソレノイド、25A 棒状部材、25B コイル、30 制御部、31 マイコン、32,32A,32B 抵抗、33 スイッチ回路、34 電源、100 人工透析システム。